レイジーレイジーの、クレイジーな絆

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13 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2018/12/09(日) 13:08:04.58 ID:fZLSzMfRo




カチン、カチン、カチンカチン。

結局の所、アタシたちはお互いココロのヨユーがないところに寄りかかり合ってるだけなんだ。

アタシたち、いつかはもっとオトナになって、ココロのヨユーというものがでてきて、
この主従ごっこを懐かしく思える日が来るんだろうか。

来てしまうんだろうか。

カチン、カチン、カチンカチン。



シキちゃんに、会いたい。触れたい。
会えない。触れられない。
太平洋の向こうは遠すぎる。

カチン、カチン、カチンカチン。



もっとお互いを自由にしたほうがいいのかな。
そうしたら、こんなに苦しまずに済むのかな。

でも、シキちゃんに、会いたい。触れたい。

シキちゃんがアタシから自由になれなくなってるのと同じくらい、
アタシもシキちゃんから自由になれなくなってる。

その束縛を愛おしいとさえ思ってる。

でもこのまま締め続けたら、アタシたち、窒息しちゃうよね。



カチン、カチン、カチンカチン。

やっぱり、もっとお互いを自由にしたほうがいいのかな。
そうしたら、こんなに苦しまずに済むのかな。



自由、自由、自由――

――自由、か。



ひらめいた。

14 : ◆FreegeF7ndth [saga]:2018/12/09(日) 13:08:54.10 ID:fZLSzMfRo



アタシはホテルを飛び出しながら、シキちゃんに電話を入れた。

『シキちゃん! アタシだよ、フレちゃんだよ! 今どこにいるの? ブルックリンでしょ?』
『フレちゃん――そだね。あたし、今、ブルックリンのホテルだけど――』

アタシは街路を走りながら、頬が勝手に緩んでくのを感じた。

『アタシ、いま、パリの――今、リュクサンブールに向かってる!』

走る、走る――パリジェンヌにしては、おてんばすぎかな?



走って、走って、走って――目的地に、着く。

アタシは、電話の向こうのシキちゃんに向かって、叫んだ。

『自由の女神(スタチュー・オブ・リバティー)、見えるかなっ!』
『――ちょっと待ってて!』

シキちゃんの、はーっ、はーっって息遣いが聞こえる。



しばらくして。

『見えるよ、フレちゃん! 自由の女神っ』
『アタシにも、見えるんだよ。自由の、女神っ!』

アタシは、リュクサンブール公園にある、自由の女神の前にいた。
ニューヨークの女神像制作の準備のために作られた、アーキタイプ。

『ねぇ、今――アタシたち、同じ像を見てるよ!』

――アタシたち、大西洋を飛び越えて、自由の女神でつながってる!



アハハ、自由の女神でつながるって。へんなの。

でも、まぁ、レイジーなアタシとシキちゃんには、
きっとそのぐらいいい加減なのが、ちょうどいいよね。

『にゃは――にゃはははっ! あたしたち、自由だ、自由だっ!』
『あはは、あはははっ!』

アタシは、鎖をだらんとぶら下げながら、興奮した吐息を携帯電話に浴びせ続けた。


(おしまい)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/12/09(日) 22:02:05.60 ID:gonfMlhbo
乙です
>>12>>13 が太平洋になってる
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