屍男「おい、そこのロクでなし」吸血娘「なんだ髪なし」

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400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/15(月) 15:03:03.14 ID:611UgkHHo
おお若いな 適度に息抜きつつ適度に頑張ってくれ
401 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2019/12/04(水) 04:16:52.16 ID:hgv7Elsgo
生存報告的な何か
色々待たせてしまってごめんなさい…一応まだ生きてます
受験の方ですが一段落付いたので、もしかしたら来月には続きを書けるかもしれないです
まだ確定していないので断言は出来ないんですけど…また近いうちに短編と一緒にこのスレで報告させてもらいます
402 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:06:56.94 ID:2FhL85uyo
吸血娘「オラァ!ハゲ!心霊スポットに行くぞ!!!!」


屍男「……」

屍男「……いきなりなんだ。今、何時だと思っている。夜中の二時だぞ」


吸血娘「アホか!真昼間から肝試しに行く馬鹿がどこにいるんだよ!」


屍男「……明日もバイトがあるんだ。俺は寝るぞ」ゴロン


吸血娘「ふーん、あっそ。私の人生をめちゃくちゃにしておいて、自分はゆっくりおねんねですか」


屍男「…………」


吸血娘「じゃあいいですよ。私は一人で行きますから。あーあ……パパが生きてたら一緒に連れて行ってくれたのになぁ……」

吸血娘「うぅっ……パパ……」ウルウル


屍男(……こ、こいつというやつは……)
403 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:07:56.26 ID:2FhL85uyo
……………………………………………
……………………………


屍男「……」

吸血娘「ふむふむ、地図だとこの山道をずっと登ったところにあるのか」

屍男「おい、いきなりなぜ心霊スポットなんだ。理由くらい聞かせろ」

吸血娘「え?別に?理由なんてないけど?」

吸血娘「ただ単にホラー映画見てたら、そういや私って幽霊見たことなかったなって思って、見たくなっただけ」

吸血娘「で、ネットで調べてみたらこの近くに心霊スポットがあるって見つけて、こりゃ行くしかないっしょってことになったわけよ」

屍男「……そんな下らん理由で俺を連れ回すのか」

吸血娘「お前が私のパパを殺した理由に比べたら可愛いもんだろ」

屍男「…………」


吸血娘「突っ立ってないでさっさと行くぞハゲ。頭の表面だけじゃなくて、中身までスカスカになったのか」


屍男(……あぁ、クソ)
404 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:09:18.33 ID:2FhL85uyo
吸血娘「で、ハゲ。幽霊と怪物って何が違うの?」


屍男「……なんだ。そんなことも知らないのか」


吸血娘「そりゃね、職業柄的に怪物とは何回か会ったことがあるけど、幽霊はないからな。だってあいつら金稼ぐ必要ないし」

吸血娘「幽霊と怪物って具体的に何が違うの?」


屍男「……一番の大きな違いは、肉体を持たない霊体ということにあるだろうな」

屍男「その特性故に、感じ取れる素質がないと探知することが出来ない。俗にいう霊感というやつだ」

屍男「他にも、基本的には物理攻撃が通じないために対策は必須だ。サシでやり合う相手ではないな」


吸血娘「ふーん……怪物と比べたら強いの?」
405 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:11:35.02 ID:2FhL85uyo
屍男「個体にもよる。が、攻撃を通す手段さえあればそこまでの相手ではない。肉体を持ってない分、防御は脆いからな」

屍男「だがこれはあくまで通常の霊の話だ。”足付き”相手になると話は変わる」


吸血娘「足付き……?」


屍男「あぁ、普通霊の下半身には脚が付いていないんだが、極稀にそれが付いている個体が存在する」

屍男「こいつらは手強い。その力は通常の霊とは大きく異なる。次元を歪める力や、人を発狂させる精神汚染、強力な念力など、その力は多岐にわたる」

屍男「真っ向から挑めば、まず返り討ちだ。狩人でも相当の手練ではないと勝負にならない」


吸血娘「……ふーん、中々強そうじゃん。そいつとならいい勝負になるかも」
406 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:12:40.38 ID:2FhL85uyo
屍男「……狩人の世界で幽霊とは主にこの二つを指す。だが、正確にはもう一つの分類が存在する」


吸血娘「え?まだあんの?」


屍男「あぁ、それが”突然変異”だ」

屍男「はっきり言って霊の中ではこいつらが一番警戒すべき相手だ。”足付き”より更に数が少ないが、その分タチが悪い」

屍男「”突然変異”が誕生する経路はその個体によって違うが、共通しているのは霊体が肉体の代わりの媒体を得て、その姿を変化させるということにある」


吸血娘「……ん?つまりどういうこと?幽霊なのに霊体じゃないの?」


屍男「あぁ、分かりやすい例を挙げるなら……以前、俺が遭遇した”突然変異”はカメラの姿をしていた」


吸血娘「カメラァ????」
407 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:14:17.49 ID:2FhL85uyo
屍男「そいつの特性は単純なものだ。そのカメラで撮影した人物を呪い殺す。恐らく、持ち主の霊がカメラと融合したものなのだろうな。俺が確認した限りではこれまで犠牲者が三桁近くにまで上っていた」


吸血娘「でもそんなカメラただぶっ壊せばいいだけじゃないの?」


屍男「そこが”突然変異”の厄介なところだ。奴らの共通点として何らかの不死性を得ている」

屍男「物理的な破壊手段は考えうる限りの全てを試した。しかし破壊には至らなかった」

屍男「ならば祓いの力ではどうだと、これも全ての方法を試した。”足付き”の霊でも一発で消滅するような道具をいくつも使ってな」

屍男「だが、これも無駄だった。そいつを壊すことは如何なる手段を用いても出来なかったんだ」


吸血娘「……で、どうしたんだそのカメラ。封印でもしたの?」


屍男「いや、それも考えたが……このカメラはもう一つの特性を持っていた。一定期間撮影が行われないと、瞬間移動をする性質があったんだ。持ち主の元を離れ、人通りの多いところに突然現れる」

屍男「これはどのような封印刻式を施しても、通用しなかった。自分から手を汚すことはないが、俺達以上の不死身の存在と言ってもいいだろうな」


吸血娘「……や、やばくね?それ……」

吸血娘「そ、そのカメラって今どこにあるの?まさか、今でも放置したままなんじゃ……」
408 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:16:20.96 ID:2FhL85uyo
屍男「安心しろ。結果的には破壊に成功した」


吸血娘「え?マジで?どうやったの?」


屍男「そのカメラは人間を撮影するとその人間を呪い殺す。では人間以外を写すとどうなるか……という話になる」

屍男「試しに、俺が標的にしていた怪物をそのカメラで撮影してみた。生者ではない存在を写せばどうなるか……とな」


吸血娘「どうなったんだ?」


屍男「写した怪物は数秒後に、カメラの呪いで死んだ。これでカメラの能力が人間以外にも通用することが証明された」

屍男「そこからしばらくはそのカメラを狩りの道具として使っていたんだが、ある日突然シャッターが切れなくなった」

屍男「カメラはなぜか分らんが故障していた。その日以来、そいつはただのガラクタになってしまった」


吸血娘「……どゆこと?」
409 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:18:32.17 ID:2FhL85uyo
屍男「考えられる可能性は一つあった。これが”突然変異”の弱点なのかもしれない」

屍男「奴らは生きている対象、生者相手には無敵に近い存在だが、同族の死者、霊や怪物には弱い……と推測出来る」

屍男「同じ波をぶつければ、その波の勢いは落ち、両者は打ち消される……」


吸血娘「……つまり”突然変異”の弱点は同じ死者なのか」


屍男「あぁ、さっきも説明したが、突然変異は他の媒体を肉体の代用として、その身を融合させることで産まれる」

屍男「つまり、霊体に不純物が混じってしまう。これが霊の弱点を消している」

屍男「だが、その代償としてとても不安定な存在になってしまっているのだろう。僅かにでもそのバランスを崩せば……消滅させることが出来るのかもしれない」
410 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:19:57.99 ID:2FhL85uyo
吸血娘「ふーん、なるほどねぇ。自分の弱点を消すことは出来たけど、完璧な存在にはなれないってことか」

吸血娘「他は?他の”突然変異”の例とかないの?」


屍男「……俺の経験でも、完全に消滅させることが出来たのはこの件だけだ」

屍男「”突然変異”へと辿り着く個体はかなり少ない。それに加えて、大抵は物理的な物に宿るのではなく、”現象”としてその姿を変化させる」


吸血娘「現象?」


屍男「分かりやすく言うなら天変地異の災害だ。ハリケーン、地震、火山の噴火など…人の手ではどうにもならない存在だ。これらは地縛霊のようにその土地に住み着いていて、俺でも手を出せない」

屍男「他にも、歴史を辿ればかつて中世で流行した黒死病、これはただのウイルスではなく、霊がウイルスに”突然変異”した、という説もある」


吸血娘「え?マジで!?」
411 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:20:30.06 ID:2FhL85uyo
屍男「あくまで一説だがな。だが、可能性としては充分にあり得る」


吸血娘「マジかぁ……そいつはヘビーな話だな……」

吸血娘「しかし最強の狩人の”Shadow”でも勝てない相手がいるんだな。この世界も広いってことか」


屍男「……そうだな。俺もまだ……狩り残したやつらが何人かいる」


吸血娘「どうするよ、その心霊スポットに突然変異の幽霊がいたら!」


屍男「あり得ない話をするな。例えいたとしても足がない下級霊だろう。そんな偶然があってたまるか」
412 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:21:38.60 ID:2FhL85uyo
…………………………………………
……………………………




幼女幽霊「ぶえっくしょい!!!!!!ちくしょうえい!!!!!」クシュン

幼女幽霊「な、なんだ……急にくしゃみが……誰か私の噂してんのかな」ズズー




DQN幽霊「いや先輩、なんで幽霊なのにくしゃみしてんスか。おかしいっスよ」


幼女幽霊「足付きはくしゃみもするんだよ。下級霊のお前には分かんないだろうけど」


DQN幽霊「まーたそうやってマウント取るんだから……ガキっスね」



ボコッ!!!!!!!!



DQN幽霊「」



幼女幽霊「次舐めたら殺す」
413 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:22:29.97 ID:2FhL85uyo
幼女幽霊「しかし、今週は一人も客来ねえなぁ……退屈だわ」


DQN幽霊「い、いてて……そりゃそうっスよ。もう肝試しシーズンなんてとっくに過ぎてるんだから」


幼女幽霊「はぁ……誰か来ねえかなぁ……何か来る予感すんだけどなぁ……」



ピーーー



幼女幽霊「来たあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!すげぇ!!!!!私の勘やっぱ当たるじゃん!!!!!」



DQN幽霊(な、なんて都合がいいんだ……)


幼女幽霊「どれどれ……どんな面をしてやがる……」

幼女幽霊「ん?こいつは……」
414 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:24:11.95 ID:2FhL85uyo






屍男『……』






DQN幽霊「ハゲのおっさん一人だけっスね」

幼女幽霊「…………」ピクッ

DQN幽霊「ん?どうしたんスか先輩」

幼女幽霊「……何でもない」



幼女幽霊(な、なにこれ……今、変な感じがした)

幼女幽霊(あのハゲ……何者だ)
415 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:24:59.08 ID:2FhL85uyo
DQN幽霊「で、今日はどうするんスか?」

幼女幽霊「……いや、今日はいいわ。気分じゃない」

DQN幽霊「えっ!?」

幼女幽霊「私の勘がしない方がいいって言ってるし、今日はそのまま放置で」

DQN幽霊(め、珍しいな……先輩が客を放置するなんて)








屍男「…………」ジー


吸血娘「どしたハゲ。じっと入り口付近でも見つめて」

屍男「……お前は確か、カメラなどの被写体にならないにならないんだったな」

吸血娘「は?急に何?」

屍男「……何でもない。行くぞ」
416 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:25:57.05 ID:2FhL85uyo
屍男(確認出来るだけで15台、死角がないように上手く隠して配置されている)

屍男(だが、プロの仕業ではないな。よく出来ているが、まだアマチュアの域だ)

屍男(大方、こちらの様子を地下のモニターで監視していると言ったところか、この廃墟の空気から察するに、霊がいるのは本当らしいな)

屍男(……悪趣味な奴だ)


吸血娘「出てこねえなぁ……幽霊……」


屍男「……あぁ、そうだな」


吸血娘「寒いし帰るか。つまんね、もう飽きた」


屍男「……相変わらず飽きっぽいやつだ」
417 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:26:39.32 ID:2FhL85uyo
スタスタ スタスタ


吸血娘「あーあ、結局幽霊が出るって噂は嘘だったみたいだな。無駄足だったわ」

吸血娘「結構ネットだと報告多かったんだけどなぁ。やっぱネットの情報は信用ならないな」


屍男「……その噂、あそこで行方不明者でもいるのか?」


吸血娘「ん?あぁ、そういうのじゃなくて、ただ幽霊を見たって書き込みが多かっただけ」


屍男「……そうか」






屍男(……大人しくしているなら、こちらから手は出さない)


屍男(精々、慎ましく生きることだな。お互いに)
418 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:28:22.94 ID:2FhL85uyo
幼女幽霊(な、なんだったんだろあいつ。あいつと同じ霊能力者……ってことはないな。こっちには二度と干渉しないって言ってたし、約束を破るやつとも思えない)




幼女幽霊(……いや、どちらかと言うと……あの感覚は人間じゃなくて、私達と同じ……)




幼女幽霊(あーもう!!!!!!!胃が痛くなってきたわ!!!!!!なんなんだよあのハゲはあああああああああああ!!!!!!!!!!)








おわり
419 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2020/02/05(水) 10:31:19.27 ID:2FhL85uyo
はい
ということで色々遅れちゃったんですけど無事終わりました
今月中には新しいスレを立てられると思うのでよろしくお願いします
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/05(水) 18:21:03.27 ID:Tc7O+l/e0
おつ
新スレ楽しみにしてる
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/10(月) 08:53:35.69 ID:QlxNae7KO
おぉ あの作者だっったのか
次スレも楽しみにしてるよ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/04/14(火) 13:19:42.30 ID:wUHjVAZc0
これもしかして新スレもうできてる?見つけれないんだが
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/14(火) 16:46:28.34 ID:bW4OvB4K0
ageんなks
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/14(火) 20:41:43.81 ID:6Biw7bxIO
>>422
ほれ
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