高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「3月下旬のカフェで」

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31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:21:59.20 ID:2uMcbXTl0
加蓮「ところでさー」

藍子「はい、何ですか?」

加蓮「んー……。うん。藍子のコラムへのファンレターのこと、もっと教えてほしいなー?」

藍子「ファンレターのことですか? そうですね……。最近の……そうそう、加蓮ちゃんは普段、あいっ、私と何をしているんですか? って聞かれたことがあります」

加蓮「ふんふん。なんて答え――って、答える場がないか」

藍子「そうですね……。あっ、でも、この前SNSでも同じことを聞かれて。あの時は、いつもカフェでのんびりしています、ってお返ししました」

加蓮「……ここのこと教えた?」

藍子「教えていませんよ。それはやめた方がいいって、前にPさんが言っていましたし。ずっと前に、こういうお店は秘密にした方がいいってお話になったじゃないですか」

加蓮「そだね。やっぱり覚えてたんだ、藍子」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:22:29.02 ID:2uMcbXTl0
藍子「ふふっ。それに――」

藍子「いつの間にか、ここは私たちの隠れ家みたいになってるから……」

藍子「このカフェのこと、みなさんには知ってほしいですけれど、でも秘密なんです。ふふ、おかしなお話ですよね」

加蓮「……、」

藍子「……?」

加蓮「や……。ん、そっか」

藍子「はいっ♪」

加蓮「……」

加蓮「……、」ズズ

藍子「……♪」ズズ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:22:59.28 ID:2uMcbXTl0
加蓮「っていうかファンレターで聞かれるの? 私達が何してるのかってこと」

藍子「ときどき聞かれますよ。みなさん、加蓮ちゃんに興味しんしんなんですね」

加蓮「だからそれ私じゃなくて私に絡んでる藍子のことでしょ……。でも……そっか。ファンレター、いっぱい来てるんだ」

藍子「おかげさまで、ですっ」

加蓮「よかった。ねね、他にも教えてよ。どんなのが来てるの? 質問? 感想?」

藍子「……? そうですね、他には……例えば、加蓮ちゃんと、あいっ、私がよく注文するメニューは――」

藍子「…………」

藍子「…………加蓮ちゃん?」

加蓮「ん、何ー?」

藍子「何かを楽しんでいませんか?」

加蓮「さー何のことだろーねー」

藍子「楽しんでるっ」

加蓮「藍子が自分のことを藍子ちゃんって言いそうになって慌てて言い換えるところなんて、ちっとも楽しんでないよー?」

藍子「にやにやしながら言っても説得力がぜんぜんありませんっ」

加蓮「にやにやー」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:23:29.29 ID:2uMcbXTl0
藍子「……い、いいじゃないですか。べつに」

加蓮「別にいいよ? たださ、加蓮ちゃん的には自分のことを藍子ちゃんって呼ぶ藍子ちゃんもアリかなーって」

藍子「わ、私としては無しです。……でも加蓮ちゃん、よく自分のことを"加蓮ちゃん"って呼びますよね。今みたいに」

加蓮「そーだねー。だから藍子もやってみようか。さんはいっ」

藍子「あ、あ〜」

加蓮「あー?」

藍子「……高森藍子です。こんにちは」

加蓮「はいこんにちは、ゲストの北条加蓮です」

藍子「ラジオでしょうか……」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:23:58.98 ID:2uMcbXTl0
加蓮「じゃラジオのコーナーってことで。自分を名前で呼んでみよー。わー」パチパチ

藍子「わ、わ〜?」

加蓮「はいノッたね。では高森さん、どうぞっ」

藍子「は、はいっ。……ごほん」

藍子「あ――」

加蓮「あ?」

藍子「……藍子です」

加蓮「はい。ゲストの北条加蓮です。今日は藍子ちゃんが台本をガン無視するので困ってます」

藍子「だっ、台本にないことをやってるのは加蓮ちゃんです!」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:24:29.03 ID:2uMcbXTl0
加蓮「お? そーきたか。ではここでお便りを募集しましょう。あっ、早速ツイッターのアカウントに投稿が。"私も見てみたいです!"とのことです」

加蓮「これは期待に答えないといけませんねー。では藍子ちゃん、どうぞっ」

藍子「……か、加蓮ちゃん? 本当にそういう企画や、台本がある訳じゃないんですよね?」

加蓮「ないよ? やりたいなら持ち込むけど」

藍子「それなのに、こんなにすらすらと……」

加蓮「場慣れ的なヤツかな。ほら、私Pさんに鍛えてもらってますから♪」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:24:59.51 ID:2uMcbXTl0
加蓮「では藍子ちゃん、どうぞっ」

藍子「は、はいっ。あ――」

加蓮「い?」

藍子「……まずは加蓮ちゃんがお手本を見せてくださいっ」

加蓮「えー、しょうがないなぁ。やっほー、加蓮ちゃんだよー♪」ヨコピースッ

加蓮「――ぉ?」

藍子「あっ……」

加蓮「……、…………えーと店員さん? 何の御用かな?」

藍子「コップをお下げに来た……ですか。あ、あはは」

加蓮「み、見ての通り? ラジオの収録中……なんだけどなー……」

藍子「……そうですね。機材、ありませんよね……」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:25:29.14 ID:2uMcbXTl0
加蓮「……」

藍子「えと……コップ、お願いします、ね?」

加蓮「よ、よろしくねー……」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「…………」

加蓮「…………やっほー加蓮ちゃんだよー。じゃあ次、藍子ちゃんの番、行ってみよっか」

藍子「まだ続けるんですか!? 加蓮ちゃん顔真っ赤ですよ無理しなくていいです! ほ、ほらほらっ、店員さんまだこっち見てますったぶんあれは聞こえてもいます!」

加蓮「いいからアンタもやりなさいよ自己紹介! 藍子ちゃんって言いなさいよ!!」

藍子「無理です、無理ですってば〜〜〜〜っ!」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:25:59.33 ID:2uMcbXTl0
□ ■ □ ■ □


加蓮「……っと、もう6時すぎてるんだ。そろそろ帰る?」

藍子「は〜い」

加蓮「外暗くなるの遅くなったよね」

藍子「お散歩していたら、気付いたら6時半になっていたりして……。もう、春ですね」

加蓮「だねー。って、時間には気をつけなさいよ? アイドルなんだし」

藍子「あはは……。気をつけますねっ」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:26:28.81 ID:2uMcbXTl0
加蓮「ったくもー。……っと、ごめん、Pさんから電話だ。待っててもらってていい?」

藍子「分かりましたっ」

加蓮「先帰っててもいいよ?」

藍子「そんな。ちゃんと待ちますよ」

加蓮「どーだか。とか言ってこっそり逃げ帰ったり――」

藍子「……加蓮ちゃんがそう言うなら本当にやりますからね? 外に出た時、ひとりぼっちでも知りませんからっ」スタタ

加蓮「あっ。……まぁ藍子はマジでやったりしないでしょ。しないしない」

加蓮「……しないよね?」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:26:59.64 ID:2uMcbXTl0
加蓮「……。っと、電話に出なきゃ」

加蓮「もしもし? Pさん? うん、今は大丈夫。そろそろ帰るとこだよ。……うんうん、――うん」

加蓮「……」チラ

<〜♪ あっ、レジの隣に猫さんの雑貨が……。これ、新しく入れたんですか? 可愛いっ

加蓮「……分かった。今度の金曜日の夕方ね。オッケー」

加蓮「ううん。ね、Pさん。ありがと。無理言ってごめんね? ――うん、うん、分かった。後は私がやる。私にやらせて」

加蓮「じゃあ、またね。……だから体調は万全だってば。心配いらないよ」ピッ

加蓮「よしっと。……もうっ。ホントに過保護なんだから!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:27:28.83 ID:2uMcbXTl0
加蓮「……、」チラ

<ごちそうさまでした。……まだ外、少し冷えますね。え? このカイロ、もらっていいんですか? ありがとうございます♪

加蓮(さて――)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 18:27:59.30 ID:2uMcbXTl0
毎日は変わらず過ぎていく。

夕陽と朝の日差しは、変わらずに繰り返され。雪は溶け、暖かな風が流れていく。

そうしてカレンダーをめくっていると、あの日の傷や、できあがった溝も、まるで当たり前のようになってきて。
何が起きたかなんて、忘れそうになってしまうけど。

……目を背け続け、それが当たり前だと慣れてしまうのも、1つの生き方かもしれない。
でも、私も、そして藍子も。
これまで何回も、傷ついて――時にはお互い、傷口に手を突っ込んで、ぐちゃぐちゃに痛みあって、そうして一緒に歩き続けてきた。

だから今回も、完全に治してしまおう。

私らしいやり方、アイドルとしてのやり方で。


【おしまい】
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/25(月) 20:02:31.55 ID:2uMcbXTl0

作者です。
大変申し訳ございません。タイトルに誤りがありましたので修正致します。

誤:高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「3月下旬のカフェで」
正:高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「3月下旬のカフェテラスで」

もしこのお話をまとめて頂けるのであれば、お手数ですがタイトルを正しい方にて表記して頂ければ幸いです。
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