棟方愛海「交錯公演 ライバル!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:29:34.37 ID:HgjEsChf0
あたし、アマミタウンの棟方愛海。

14歳になって自分のポケモン、レジロックを手に入れたあたしは幼馴染で親友の七海ちゃんとキサラギシティへ向かっている。

目指すは志希さんの待つポケモン研究所!

「なんて、冒険っぽく言ってみたけど、わりとよく行くよねキサラギシティ」

「隣町れすしね。七海は先週も買い物で行ったれすよ」

お喋りをしながらあたしたちは自転車をこいだ。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1559305774
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:31:41.09 ID:HgjEsChf0
棟方愛海「交錯公演 めざせポケモンマスター」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1534123765/

の続き
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:33:05.09 ID:HgjEsChf0
海と山しかないアマミタウンと比べてキサラギシティは割と都会だ。

あくまで田舎基準での割となので高い建物などはないけれど、アマミタウンよりは品ぞろえのいいお店が並んでいる。

「でもポケモン研究所なんてあったっけ?ジムはあったと思うけど」

たしかほのおタイプのジムがあったはずだ。

あたしはポケモンバトルに興味がなかったから、ジムリーダーの顔も知らないけど。

でもそれ以上にポケモン研究所があるなんて話は聞いたこともない。

「七海も知らないれす。志希さんは研究所の場所は言ってたれすか?」

「聞いたよ。でもその場所ちょっとおかしいんだよね」

七海ちゃんに志希さんから教わった研究所の場所を伝えると、七海ちゃんも思案顔になった。

「うーん?まあ、行ってみればわかるれす」

「そうだね」

あたし達はスピードをあげてキサラギシティへと向かった。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:34:14.29 ID:HgjEsChf0
『ここはキサラギシティ。夢へ羽ばたく目覚めの町』

町の入口にある掲示板を横目に走り抜け、目的地に到着したのだがそこはあたし達もよく知る場所だ。

「ここ、植物園だよね?」

キサラギシティの名物の一つ、キサラギ植物園。

あたしも七海ちゃんも学校の社会科見学などでお世話になったことがある場所だ。

逆に言えばそれぐらいでしか入った覚えはない。

「この中で会おう、ってことなのかな?」

入場料払うのやだなあ、とあたしが思っていたら七海ちゃんが声をあげた。

「愛海ちゃん、これを見てくらさい!」

七海ちゃんが示した入口看板には当然ながら『キサラギ植物園』と書かれている。

「よく見るれす。『キサラギ植物園』の後に小さく『兼、一ノ瀬研究所』って書き足してあるれすよ」

「え?それってつまりどういうこと?」

「説明しよー!」

植物園の入口が開き、中からあたし達を呼んだ張本人、志希さんが白衣をひるがえしながら現れた。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:35:36.58 ID:HgjEsChf0
「もともとここはあたしの研究所だったんだ。でもあたしが失踪や旅で留守にしまくってる間に植物園にされていたんだなー、これが」

「乗っ取られてるじゃないですか!?」

「もともと研究のために色んな珍しい植物を育ててたから、一部を一般開放する案はあったんだけどね。めんどくさくて放置してたら研究員達の間で勝手に決まっちゃった。ま、いーけど」

「いいんれすか」

けっこうやばい問題な気がするけど。

『研究所兼植物園』じゃなくて『植物園兼研究所』なところとか。

そんなあたし達の心配をよそに、志希さんはずずいと近付いてくる。

「そんなことより、おはよう諸君。さっそくキミ達のポケモン見せてっ」

植物園関連をそんなことと本人が流したのでこちらも追及はせず、あたしはレジロックを、七海ちゃんはチョンチーをボールから出す。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:36:52.92 ID:HgjEsChf0
出てきたポケモンに志希さんは目を輝かせて、まずはチョンチーに寄った。

「チョンチーだ!この辺だとあまり生息してない子だよ。別の地方の子かなー」

「はい。漁をしてるお父様が捕まえてきてくれたれす」

「そっかー。はすはす」

七海ちゃんの返事を聞きながら、志希さんはチョンチーにぐいっと顔を近付ける。

「なるほど。くんくん。あ、嗅いでもいい?すんすん」

「もう嗅いでるれす……いいれすけど……」

うんざりとした顔で七海ちゃんが了承する。

「本当に愛海ちゃんみたいなヘンタイさんが他にもいたんれすね」

「ちょっ、あたしは匂い嗅いだりしないよ!?」

「嗅ぐか登るかの違いれす。同じれしょう」

「いやいや。あたし達の行いにはそれぞれ異なる意味や目的があって」

「聞いてないれす」

塩対応、もとい潮対応な七海ちゃんにガックリしながら志希さんを眺める。

チョンチーのヒレの付け根に顔を突っ込んで匂いを嗅いでいる白衣美女。

けっこうきつい絵面だ。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:37:50.75 ID:HgjEsChf0
というか今あたし達がいるのは植物園兼研究所の目の前、つまり外。

町の中心部からは離れた場所にあるとはいえ、地元の人が通りかからないかハラハラする。

こんな姿を見られたらこの町で生活できないだろうに。

もしかしてよく失踪するのってそういう理由なのだろうか。

「あ、愛海ちゃん……」

七海ちゃんがひそひそと声をかけてきたので振り向くと、少し離れた道を地元民らしきおじさんが歩いていた。

「やば」

志希さんを隠すべきだろうか、いやもう遅い。

おじさんは志希さんを見て、チョンチーを見て、あたし達を見た。

そして、すべてを察した顔をしたあとに「うちの町の者が申し訳ありません」と言いたげに頭をさげてから去っていった。

「……町のみんなにバレてるんれすね、志希さん」

「まあ、人目をはばからず野生のポッポに顔うずめるような人だからね」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:38:58.00 ID:HgjEsChf0
あたし達が呆れていると「ふんふん。なるほどなるほど」という声とともに、満足げな志希さんがチョンチーから顔を離す。

「生まれてまだ半年ぐらいかなー。健康体だよ。すっぱい味が好みみたい。今の環境にはまだ戸惑ってるけど、悪い気はしてない感じー」

「え?」

急に始まった志希さんの話にあたし達はポカンと口を開けてしまう。

「わかるんれすか?匂いを嗅いだだけで」

「匂いを嗅いだからねー」

七海ちゃんの問いかけに志希さんはにゃははと笑う。

「匂いには情報がつまってるんだよ。どれだけの時間を過ごしてきたか、どんなものを主に食べてきたか、ストレスをどのくらい感じているかとか」

なるほど?

試しに七海ちゃんの匂いを嗅いでみたけど、何もわからなかった。

あと頬を叩かれた。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:40:13.56 ID:HgjEsChf0
「あたしの研究所ではポケモンと匂いに関する研究を主にしてるよ。半分以上趣味みたいなものだけど」

そう言って笑う志希さんは、さっきまでのただの匂い好きなヘンタイさんのイメージを払拭する雰囲気を纏っていた。

「志希さん、すごい人だったんれすね」

七海ちゃんも見る目が変わっている。

あたしも登り心地をテーマにしたポケモン博士になれば七海ちゃんにすごいと言ってもらえるだろうか。

「さて、じゃあ次はキミ!にゃはは、土の匂い!」

チョンチーを堪能した志希さんは次のターゲットであるレジロックに張りつくようにして匂いを嗅ぎはじめていた。

「ざ……」

レジロックも大人しく嗅がれている。

「レジロック、抵抗しないれすね。チョンチーだって少しは嫌がったれすよ」

「家であたしが撫でたり掴んだり揉めるか試したり色々してるから、慣れてるんじゃない?」

「抵抗しても無駄だと悟ってるんれすね……」

七海ちゃんが憐れみの目をレジロックに向ける。

あたし流の愛情表現なのに。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:41:09.25 ID:HgjEsChf0
「そういえばちゃんとご飯あげてるれすか?レジロックが何を食べるのか、というかそもそも物を食べるのかもわからないれすれど」

「市販のポケモンフーズをあげてるよ。フーズを両手で掴んで顔に近付けたと思ったら、いつの間にか消えてるからたぶん食べてるんだと思う」

「軽くホラーれすね」

何も食べてくれない方がホラーだから、食べてくれるなら問題ない。

「それにしても匂いであんなにたくさんのことがわかるんれすね」

「ねー。志希さんってもしかしてポチエナより鼻いいんじゃない?」

「えー、それは流石にないれすよ」

あたし達が世間話を続ける間も、目の前では志希がレジロックの匂いを嗅いでいる。

「はすはすはすはす!すごい!この子、こんなのはじめて!はあ!たまんない!はすはすはす!!」

見てられない。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:42:10.57 ID:HgjEsChf0
「うわぁ……」

さっきは尊敬の目をしていた七海ちゃんも改めてヘンタイさんを見る目になっている。

嗅がれてるのがあたしのポケモンじゃなかったら今すぐこの場を離れて他人のフリをするのに。

「登山してる愛海ちゃんもこんなれすよ」

「いやいやいや!?ここまで酷くないでしょ!?」

「……」

「マジ?」

「マジれす」

「……えっと、友達でいてくれてありがとう七海ちゃん」

「どういたしまして」

「これからも迷惑かけるけどよろしく」

「あ、治す気はないんれすね」

「うん」

好きなものの前でテンション上がっちゃうのは仕方ないよね。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:44:18.45 ID:HgjEsChf0
「はぁ、よかったぁ……」

しばらくして、志希さんが恍惚とした表情でレジロックから離れた。

とりあえず嗅ぐのは終わったらしい。

と思ったら急に志希さんの様子が変わった。

「体を構成する岩は全部匂いが違ったのは……というか右肩の岩、フタミ島の岩がたしか同じ匂いだったような……もしかして色んな地方の岩が集まってできている?だとしたら……たしか文献では……」

ぶつぶつと難しそうな独り言を呟く志希さん。

志希さんの顔がヘンタイさんの顔からポケモン博士の顔になる。

自分だけの世界に入った志希さんに置いてかれたあたしと七海ちゃんは顔を見合わせる。

「邪魔しちゃ悪いし、目的は果たしたから帰る?」

「そうれすね。何か買い物してから帰りましょう」

歩き出したあたし達に、志希さんから待ったがかかる。

「まだ続きあるから帰らないでー」

歩きだしたあたし達に志希さんからストップがかかる。

ぶつぶつタイムは終わったらしい。

なんとなくわかったけど、志希さんは興味やスイッチの切り替えが異常に速いらしい。

まわりの人はついていくの大変だね。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:45:42.96 ID:HgjEsChf0
「まだ見せたいものがあるんだー。というわけでついてきて」

志希さんに続いてあたし達は植物園の中、スタッフオンリーと書かれた扉の中へ入る。

てっきり植物園の事務室かと思いきや、入った部屋にはたくさんの本やよくわからない薬品が飾ってあって、まるで研究所の一室みたいだった。

「研究所だよー。一応ね」

そうだった。

そして部屋の中央にある机の引き出しから、志希さんは手帳のような機械を二つ取り出す。

「これはポケモン図鑑。図鑑をポケモンに向ければそのポケモンについて噂話から研究報告まで、判明している情報がわかる優れものだよー。ほら」

志希さんがチョンチーに図鑑を向ける。

すると図鑑にチョンチーの画像、身長、体重などのデータと簡単な説明が表示された。

『暗い海底ではいつも点滅している触手の明かりだけが通信手段』

「触手ってこれ?へえ、チョンチーのこれって通信に使うんだ」

「七海は知ってたれすよ」

続けて図鑑をレジロックに向ける。

『全身が岩でできていると言われている』

「見ればわからないそれ?」

「そのまんまれすね」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:46:51.27 ID:HgjEsChf0
「レジロックはまだあんまり資料がないからねー。これから増えていくはずー」

どことなく嬉しそうな志希さんはポケモン図鑑を一つずつあたし達に手渡した。

「じゃあこれはキミたちにあげちゃおう」

「え!?」

「いいんれすか!?」

こんな貴重そうな機械をこんな簡単に貰っていいんだろうか。

「いいよー、他にもあるし。他にも二人ぐらいにあげてるから」

そういうことなら貰っちゃおうかな。

「ただし、ちょっとお願いがあってー」

やっぱり来たか、と身構えるあたし達を志希さんは笑いながら図鑑を操作してみせる。

「図鑑は調べるだけじゃなくてデータを収集する機能もあるんだけど、これで健康診断みたいなこともできるんだー」

志希さんが図鑑を改めてチョンチーに向けると、図鑑に『正常』と文字が表れた。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:47:29.25 ID:HgjEsChf0
「健康状態のチェックも兼ねて、できれば毎日、せめて週に一回は手持ちのポケモンに図鑑を向けて状態を測っておいてよ。で、たまにここにくるかパソコンでデータを送ってほしいなー」

つまりレジロックやチョンチーのデータを経過観察したい、という話らしい。

断る理由はないし、健康状態を把握することができるというのならこちらからお願いしたいぐらいだ。

あたしも七海ちゃんも快く了承した。

「うんうん、第一目標が達成できて志希ちゃん満足。じゃあ、ここからは次の話なんだけどー」

志希さんの目がキラリと光った。

「キミたち旅に出てみる気、ない?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:48:40.95 ID:HgjEsChf0
急に何の話だろう、と困惑するあたし達に志希さんは話を続ける。

「あたしがポケモンと匂いに関する研究をしてるのは言ったよね。だからその図鑑には匂いを分析する機能もついてるんだー」

「匂い?」

「匂いはすごいよー。森の香りを調べれば、そこに住んでいるポケモンやどんな果実がよく食べられているかだってわかっちゃう」

「匂いだけで、れすか?」

「うん。それでね、キミたちには軽く地方一周を旅して、途中で通った街や森や道路の匂いを分析していってほしいんだー。分析って言っても、その図鑑を持って歩きまわるだけでいいから。あとは見かけたポケモンに図鑑を向けたりしてくれたら嬉しいなー」

それが事実なら、本当にただ移動するだけでよさそうだ。

問題があるとすれば、地方一周は全然軽くはないってことかな。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:49:39.31 ID:HgjEsChf0
世間一般的に、ポケモンを手に入れた子供が旅に出るという話は多い。

でもそれはあくまでポケモンとどこまで行けるか試してみよう、という腕試しのようなものであって半分以上の子供は数日間の『冒険』をした後に自宅へ帰っている。

ましてや地方一周するような子供はそうそういないし大人だっていない。

地方を回ろうなんて本気で考えているのは、それこそ各地にあるポケモンジムに挑んでポケモンリーグチャンピオンになろうと思っていたりするような目標のある人だけだ。

それこそ、ポケモンリーグチャンピオンになろうと家出するように旅立っていった幼馴染の忍ちゃんのような人だ。

今頃どうしてるだろうか。

また会えたら、あの意外とガードの緩いお山に……、っと話がそれた。

ともかく旅は大変だから、ちょっと躊躇してしまう。

それは七海ちゃんも同じことだろう。

と思ったけど、隣にいる七海ちゃんを窺ったら目を輝かせていた。

「行くれす!」

七海ちゃん!?
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:51:00.60 ID:HgjEsChf0
「七海は前々から旅に出たいと思っていたれす。旅に出て、いろんな場所でお魚を釣りたいと。だからこれはチャンスなんれすよ」

そういえば七海ちゃんはそんなことを言っていた気がする。

そうか、七海ちゃんそっち側かあ。

「というか、愛海ちゃんがこの話に乗り気じゃないのが意外れす」

「え、なんで?」

「だって旅行れすよ?」

「旅行?」

「はい、旅行れす。べつに愛海ちゃんは忍ちゃんみたいにジムを巡るわけでもないんれすから、柔らかいポケモンに会って触れたらいいなあ、ぐらいれしょう?」

「…………たしかに」

旅行。

そう言われると、一気にあたしの中にあったイメージが柔らかくなっていくのを感じる。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:51:42.67 ID:HgjEsChf0
どうも忍ちゃんの影響で、旅のことを試練とか修行とかそういうお堅いイメージで捉えてしまっていた。

でも冷静になってみたら、難しく考える必要なんてなかったんだ。

「そうだね。七海ちゃんの言う通り、旅行先で柔らかくてふわふわなポケモンに出会えるかもしれないし、柔らかくてふかふかな女の子に出会えるかもしれない」

「女の子は言ってないれす」

「あたしも旅行に行くよ!目指せお山マスター!」

「お山は目指さなくていいれす」

あたしと七海ちゃんの旅立ちが決まった。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:53:39.33 ID:HgjEsChf0
話がまとまって、志希さんに旅に行く意思を伝える。

「あ、行ってくれるの?志希ちゃんが自分でやるのはメンドーでたぶん途中で飽きるから、助かるー」

飽きるって言ったよこの人。

「それならキミたちにはポケモンをあげないとね」

あの二人にはあげて愛海ちゃん達にあげないのは不公平だしー、と言いながら志希さんは棚に飾ってあるモンスターボールを三個取り出した。

「この中にはそれぞれ、くさタイプのチコリータ、ほのおタイプのヒノアラシ、みずタイプのワニノコが入ってるよ。この中から好きな子を一匹あげよう」

そして志希さんはボールを床に投げて、三匹のポケモンが出てくる。

頭に葉っぱの生えたチコリータ。

ボッと背中から炎を出すヒノアラシ。

口を大きく開けているワニノコ。

どの子もぬいぐるみみたいで可愛い。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:54:40.10 ID:HgjEsChf0
この三匹の中から好きな子を選んでいいなんて!

「七海はワニノコにするれす」

二匹になった。

七海ちゃん選ぶの速くない?

「七海は名前に海が入ってるれすから。水タイプはいただきれす」

愛海も海入ってるけどね。

ともあれ、チコリータにするかヒノアラシにするか選ばないといけない。

ここはやっぱり抱き心地で決めるべきだ。

志希さんに了解をもらって、まずはチコリータから抱きしめる。

しっとりとした手触りが指になじみ、頭の葉っぱからはほんのり甘い香りがした。

感想、とても良い。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:55:35.73 ID:HgjEsChf0
「……はぁ」

「愛海ちゃん?感慨深げにため息なんかついてどうしたれすか?」

「いや、ポケモンって柔らかかっただなあって。最近は暇さえあればレジロックの固い頭を撫でてたから忘れてたよ」

「ああ、レジロックの頭がちょっぴりテカってたのはそういうー」

「どんだけ撫でてたんれすか……」

面白がる志希さんと呆れる七海ちゃんの視線を浴びながら、チコリータを床に戻す。

そしてヒノアラシに背中から火を出すのを止めてもらってから、両手で抱きしめた。

「ふわぁぁ!?」

抱きしめた瞬間、変な声が出た。

さっき三匹をぬいぐるみのようだと言ったけど、ヒノアラシは柔らかい毛が全身に生えていて本当にぬいぐるみそのもののような抱き心地がした。

しかもそれだけじゃない。

ほのおタイプだからか、さっきまで背中から火を出していたからか、体がほんのりと暖かい!

柔らかくて暖かくて、ずっと抱きしめていたくなる。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:56:21.31 ID:HgjEsChf0
あたしの心は決まった。

「あたしヒノアラシにする!はぁん、なんて素敵な抱き心地!」

「よかったれすね、愛海ちゃん。でもちょっと」

ヒノアラシはぎゅーっと抱きしめるほどに温もりが伝わってくる。

ああ、これが幸せなのかもしれない。

「愛海ちゃん、あんまり抱きしめるとヒノアラシが苦しそ、あ」

「ヒノッ!」

「あついっ!?」

ヒノアラシが背中から火の粉を出して、あたしの抱きしめは中断させられた。

「あちち。ごめんね、あんまり抱き心地がよくて夢中になっちゃった」

「ヒノッ、ヒノッ」

ヒノアラシに謝るあたしに七海ちゃんが可哀想なものを見る目を向ける。

「こんな調子で大丈夫なんれすか……」

「ワニャ……」

ワニノコも同じ表情でこちらを見ている。

七海ちゃんもワニノコと仲良くなれそうでなによりだね。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:56:54.14 ID:HgjEsChf0
さて、志希さんにレジロックを見せてポケモン図鑑を貰って、旅に出ることになってヒノアラシを貰って。

じゃあ次は、いったん家に戻って、お母さんとお父さんを説得して旅に出る許可を貰ってこないと。

「ちょっと待つれす」

うちの両親は納得してくれるだろうか、と考えながら歩きだしたところで七海ちゃんに呼び止められた。

ああ、そういえば買い物して帰る約束だったね。

「それもあるれすけど、違うれす。今貰ったワニノコとヒノアラシでバトルしましょう」

……え?
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:57:51.48 ID:HgjEsChf0
「ポケモンと旅をするということは、ポケモンバトルは避けて通れない道れす。野生のポケモンと戦ったり捕まえたり、トレーナーさんとの挨拶代わりに戦ったり」

「う、うん……」

「愛海ちゃんがバトルに乗り気じゃなかったから今までは特に誘わなかったれす。でもせっかく同じ条件のポケモンを貰ったんれすから、七海たちもトレーナーデビューすべきだと思うれす」

「それは、わかるけど……」

七海ちゃんの言うことはわかる。

以前にも言われたけれど、新しい柔らかポケモンを捕まえるためにはバトルは必要だし、女の子のトレーナーとお近づきになるにはポケモンバトルは必要だ。

わかってる、けど。

足元でこちらを見上げているヒノアラシを見る。

こてり、と首をかしげる姿はとても可愛くて、可愛すぎて。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:58:36.31 ID:HgjEsChf0
あたしは手を伸ばし、今度は苦しくさせないように優しく抱き上げた。

手にぬいぐるみのようにふわふわとした感触と生き物の温もりが伝わってくる。

「ごめん!わかっててもムリ!!」

こんな子を戦わせることなんてできない。

ヒノアラシを抱えたまま、あたしは走る。

棟方愛海は逃げ出した!

「愛海ちゃん!?わっ、相変わらずムダに足速いれす!」

「ごめんなさーい!!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 21:59:49.81 ID:HgjEsChf0
キサラギシティの中をあてもなく走って、あたしは小さな公園を見つけてベンチで一息ついた。

「はあ……暑い……」

ポカポカしたヒノアラシをずっと抱きしめながら走るのはさすがに暑かった。

あと普通に重さで腕が限界。

「というか、これからどうしよう」

思わず逃げてきちゃったけど、何も解決しない。

トレーナーとしてバトルするのは当然のことだし、そこを拒否していては何も始まらない。

「なんてことぐらいわかってるけどさあ」

ベンチに座らせたヒノアラシの頭を撫でる。

もともと細い目をさらに細くして、気持ちよさそうにしている。

こんなふわふわなポケモンをどうして戦わせることができようか。

じゃあレジロックならいいのか、ってそういう話じゃないんだよ。

そうじゃなくて。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:00:48.65 ID:HgjEsChf0
「はあ……」

どうしてポケモンバトルなんてするんだろう。

みんなポケモンが好きなのに、どうして戦わせるの?

そんな深いため息をついて項垂れるあたしに、頭上から声がした。

「あの、大丈夫?ずいぶん辛そうだけど……?」

「え?」

見上げると、目の前に母性溢れるお山、じゃなかった優しそうなお姉さんがこちらを心配を心配そうに見つめていた。

「……ちょっと抱きしめてさせてもらっていいですか?」

「え?えっと?」

「失礼します」

お姉さんに抱き着いた。

優しい柔らかさがあたしの疲れた心と顔を包み込む。

あとめっちゃいい匂いした。

ミンミンウサミン

愛海は元気になった。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:01:49.95 ID:HgjEsChf0
「そう、初めてのバトルで……」

美優さん、というそのお姉さんはあたしの話を親身になって聞いてくれた。

志希さんとも知り合いらしい。

やっぱりあの人、有名人なんだね。色々と。

「別にね、ポケモンバトルを危険だーとか思ってるわけじゃないんです。ポケモンセンターとかあるし。ただ、どうしてポケモン同士を戦わせるのかわからないです」

あたしの疑問に美優さんは「そうね……」と少し考えた後に、モンスターボールを一つ取り出して投げた。

「ガディッ」

出てきたのはあたしも知ってるほのおタイプのこいぬポケモン、ガーディだ。

ガーディの頭を撫でながら美優さんはいくつかの単語を呟く。

「ひのこ、かえんぐるま、ほのおのキバ、かえんほうしゃ、フレアドライブ」

「それは?」

「ガーディが成長したら覚えていく技よ。今はまだ生まれたばかりでひのこしか使えないけど、レベルが上がればもっと強力な技を覚えていくわ」

「へえ」

「どうしてだと思う?」

「え?」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:02:55.26 ID:HgjEsChf0
急な問いかけにあたしは考える。

どうしても何も、覚えるのだから覚えるとしかいえないと思うけど。

「そうね、彼らは覚えるわ。トレーナーがいようと野生であろうと関係なく、ただ成長するだけで強い技をいくつも。野生で生きるうえではそんな強い技は必要ないのに」

「必要ないの?」

「野生の生き物の目的は相手を倒すことじゃなくて、生き延びることだから。本来、というのが正しいかはわからないけど、本来なら攻撃手段なんてダメージを与えて相手に手強いと思わせるだけでいいの。そしてそれはひのこがあれば充分なはず」

「でもひのこぐらいじゃたいしてダメージを受けない強い相手がきた時はどうするんですか?」

「その時は戦ったりせず逃げて、そんな強い敵がいない場所へ群れごと引っ越すわ。そこで勝てるために強くなろうなんて、する必要がないもの」

これは受け売りの話だけどね、と美優さんは微笑む。

美優さんの話はなんとなくだけどわかる。

わかるけど、わからない。

だって実際にはたくさんの技を覚えるのだから。

それがどういう意味を持つのだろう。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:04:11.57 ID:HgjEsChf0
「ポケモンたちは、バトルをするようにできてる生き物ってことですか?」

「そう断言はできないし、するのは危険だと思うわ。ただ、私はこの話を聞いた時にポケモントレーナーの役割がわかった気がするの」

美優さんは優しい眼差しのままに言った。

「理由はわからないけど、ポケモンはたくさんの技を覚えるわ。可能性を秘めていると言ってもいい。ポケモンバトルには使えるけど生物として生きるのには不要なものも含めて。だからこそ」

美優さんの眼差しに強い光が宿る。

「そんなポケモンたちが全力を出せる場を作ってあげるのがトレーナーの役割だと思うの。成長したポケモンが新しく覚えた技を危なげなく披露できて、他のポケモンと競いあえる環境を作ってあげる。そうやってポケモンを導くのがトレーナーだと私は信じているわ」

「それがポケモンバトルなんですか?」

「きっとね。今のところ、それが一番ポケモンたちが全力を発揮できる場になっているみたいだから」

美優さんの言葉にガーディはどこか誇らしげな顔をしている。

美優さんなら自分の全力を十分に発揮してくれる、自分を任せられるという信頼を感じる顔だ。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:05:36.75 ID:HgjEsChf0
あたしはどうだろうか。

あたしはヒノアラシがふわふわで暖かくて可愛いから、そんなヒノアラシが戦うのが嫌でここまで逃げてきたけれど。

ヒノアラシはその時、どんな気持ちだったんだろうか。

「あたし、ヒノアラシが戦うの嫌だったんです。でも、ヒノアラシの気持ちは全然聞いてなかった。全部あたしの都合で決めて……」

「だったら今聞けばいいわ。まずはそこから、ね?」

美優さんの言葉に背中を押されて、あたしはベンチで丸くなっているヒノアラシを見た。

「ねえ、ヒノアラシ。ヒノアラシはバトルしたい?」

「ヒノッ!」

あたしの言葉に、ヒノアラシはグッと力を込めるポーズをとる。

「そっか。わかったよ」

ぬいぐるみじゃあ、ないんだもんね。

「だったら行こうか。美優さんもありがとうございました」

「ええ。バトル頑張ってね」

美優さんに頭を下げてから、あたしはヒノアラシをボールに入れて研究所へ向かった。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:06:40.02 ID:HgjEsChf0
研究所に戻ったら、七海ちゃんが志希さんとコーヒーを飲みながら待っていた。

「あれ、早かったれすね」

予想外にのほほんとした様子に謝罪の言葉を必死に考えていたこっちの気がそがれる。

「怒ってないの?」

「こうなることを予想してなかった七海にも落ち度はあるれすし。志希さんとお喋りできて楽しかったれすよ。それで、もういいんれすか?」

七海ちゃんの言葉にあたしは頷く。

「うん。もう大丈夫。あたしはポケモントレーナーだから」

「少し見ない間にずいぶん雰囲気が変わったれすね。でも七海も負けないれすよ」

研究所の外に出て、お互いにあたしと七海ちゃんはボールを構えて向かい合う。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:07:32.68 ID:HgjEsChf0
そして同時にボールを投げた。

「いって、ヒノアラシ!」

「いくれす、ワニノコ!」

あたしのヒノアラシと七海ちゃんのワニノコのバトルが始まった。

まず、あたしはヒノアラシに指示を出さないといけない。

これがあたしのトレーナーとしての第一歩だ。

ヒノアラシへの指示はええっと、その。

「ヒノアラシ!…………なんか頑張って!」

あたし以外のみんながズッコケた。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:08:35.80 ID:HgjEsChf0
「愛海ちゃん、さすがにその指示はどうかと思うのれす」

でも指示といってもわからないし。

「図鑑を見れば憶えてる技がわかるよー」

コーヒーを片手に志希さんがアドバイスをくれる。

どれだけ便利なんだろうこの図鑑は。

図鑑を見ると「たいあたり」と「にらみつける」が表記されていた。

なるほど、じゃあ改めまして。

「ヒノアラシ、たいあたり!」

あたしの声に従ってヒノアラシがワニノコに向かってぶつかる。

攻撃を受けたワニノコは弾き飛ばされるがすぐに体勢を立て直した。

「ワニノコ、にらみつけるれす!」

すかさず七海ちゃんの指示が飛ぶ。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:10:02.90 ID:HgjEsChf0
にらみつける、はヒノアラシも覚えていた。

対抗してあたしも指示を出す。

「ヒノアラシ、こっちもにらみつける!」

ワニノコとヒノアラシがにらみあう。

「ワニノコ、もっとにらみつけるれす!」

「ヒノアラシ、こっちも負けずににらみつける!」

ワニノコとヒノアラシがさらににらみあう。

「もっとにらみつけるれす!」

「もっともっとにらみつける!」

ワニノコとヒノアラシがますますにらみあう。

「もっともっともっとにらみつけるれす!」

「もっともっともっともっとにらみつける!」

ワニノコとヒノアラシがまだまだにらみあう。

「ワニノコ、ひっかくれす!」

「もっともっ、え!?あ、ヒノアラシもひっかく!あ、じゃなくて」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:10:57.88 ID:HgjEsChf0
急に指示を変えた七海ちゃんにあたしは戸惑ってしまい、ヒノアラシも動揺している。

そこにすかさずワニノコのひっかくがヒノアラシに炸裂した。

「ヒノッ!?」

先ほどのワニノコ以上にヒノアラシは吹っ飛んで、そのまま倒れた。

「バトル終了。七海ちゃんとワニノコの勝ちー」

志希さんの声とともに、あたしはヒノアラシに駆け寄る。

「大丈夫!?ヒノアラシ!?」

「ヒ、ヒノー」

ヒノアラシはぐったりとしている。

「ごめんね、ヒノアラシ」

こうしてあたしの初戦は無様な完敗に終わった。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:12:11.87 ID:HgjEsChf0
バトルの後はポケモンセンターに行けばポケモンの怪我を治してもらえる。

あたしのヒノアラシはもちろん、七海ちゃんのワニノコも預けることになった。

「ごめんなさいれす」

待っている間、七海ちゃんが謝ってきた。

「謝らなくていいよ。バトルなんだもん」

「そうれすけど、ちょっと勝ち方が大人げなかったれす。愛海ちゃんがバトルに慣れてないのを狙いうちして」

「それこそ、あたしが未熟なのが悪かったんだから謝らないでよ。というか、七海ちゃんだってバトル初心者でしょ。あたしがそれ以下だっただけで」

「そうなんれすけどね」

その後は七海ちゃんと今回のバトルについて反省会をした。

反省点多すぎるけど。

これからはせめて手持ちのポケモンの技は把握しておくようにしないと。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/31(金) 22:12:42.45 ID:HgjEsChf0
「七海ちゃん」

「なんれすか?」

「次は負けないよ」

「望むところれす」

あんなに嫌がったバトルなのに、今では次を考えている自分にちょっと笑いながらも再戦を誓う。

次こそは。

そう誓って努力することにはお山登りでなれている。

「もしかしたら、お山登りもポケモンバトルも一緒なのかもね」

「それは違うれす」
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