須賀京太郎は静かに暮らしたい 咲「α章?いつの話?」【咲-Saki-安価】

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29 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:17:51.94 ID:U5AQxdLm0

晴絵「打ってみて、何か掴めるものはあったか?」

憧「いや……フツーに強すぎてなんも……」

晴絵「……だよなぁ。こればっかりは仕方ない」

晴絵「何十回も何百回も打って、その様子を動画で撮りつつ……何かしら見つけ出していくしかないな」

灼「骨が折れそ……」

晴絵「頑張るしかないさ。それに、京太郎と打つのは、弱点探しだけじゃなく、みんなのレベルアップも目的でやってるわけだからな」

晴絵「京太郎。「これから毎回、打つたびに皆の打ち筋で問題があったところを指摘して、アドバイスをしてやってくれ」」

京太郎「わかった」 ギュギュウウウン

京太郎「新子憧。君は鳴きの速攻を得意としているようだが……俺には通用しない。判断力が低すぎるのだ…手牌のケアがお留守になりすぎだぞ」

憧「……っ!!むかつく〜!!……てか、なんでアタシの名前知ってるわけ?」

晴絵「あっ。……そ、それはだな。前もって教えといたんだ。「そうだよな?」京太郎」

京太郎「そういうことだよ」 ギュギュウウウン

憧「ふぅん……」

晴絵(世界が「1巡」した話とかは……私も聞いたばっかでびっくりしてるとこだし、ややこしいから話さないでおこう)



30 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:19:28.54 ID:U5AQxdLm0
>>28
田舎もんは「はえ〜東京の高校生は進んでんだべなぁ」くらいにしか思ってない説
31 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:25:22.60 ID:U5AQxdLm0

晴絵「あっ、そうだ。京太郎、「東京に戻ってからウチの生徒の弱点とか特徴とかは話すなよ?」」

京太郎「分かった」 ギュギュウウン

穏乃「あっ!!でも、それズルくないですかー?!」

京太郎「構わないさ。真の強者は相手がどういう打ち手だとかどこが弱点だとか…そういう小賢しいところに考えを巡らせずとも強者たり得るのだ」

憧「な、なんて傲慢なヤツなの……」

晴絵「……ちなみに、こう言えっていう風には命令してない。元からこういう考え方してるってワケだな」

宥「い、色々とすごい人なんですね……」

晴絵「ま、そういうことだ」

晴絵「性格は悪いけど慣れたらかわいいもんだし、私がいない間も仲良くしとくんだぞ!」

灼「えっ?」

穏乃「え?!赤土先生、どこかに行っちゃうんですか?!」

晴絵「あれ、言ってなかったっけ」
32 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:34:39.57 ID:U5AQxdLm0

晴絵「明日からちょっと奈良市の教育委員会まで出張でさ」

晴絵「ついでに色々ツテを辿って、京太郎以外の白糸台の選手の対策練るためにあれこれやっとこうと思って」

晴絵「1週間くらい、部活に顔出せないんだよ。もしかして、言うの忘レジェンド?」

玄「き、聞いてなかったです……」

憧「ちょ、そういうの早めに言ってよね〜」

晴絵「あはは、ごめんごめん」

灼「……気になるんだけど、その間この人…須賀くん?はどうするの……」

晴絵「ん?ああ……」

晴絵「いや、最初はウチに置いておこうかと思ったんだけどな。「おとなしくしとけ」って命令するのも監禁してるみたいでかわいそうだし、どうしようかと思って」

憧「考えてないんだ……」

晴絵「誰か、京太郎を家に連れて帰って面倒みてあげられるやついないか?」

憧「え、ムリムリムリ!!!男子と1週間一緒に住むとかむりーっ!!」

穏乃「うーん、私んちはどうだろ……」

灼「うちは……おばあちゃんになんて説明しよ…」

穏乃「そこですよねっ!!問題はっ!!」

晴絵「むむむ」
33 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:39:20.32 ID:U5AQxdLm0

晴絵「京太郎、かわいそうになぁ。誰か飼い主になってくれたらいいのになぁ」

京太郎「いや、俺は別に……。ホテル暮らしでも構わないのだが」

晴絵「京太郎、「かわいそうな子犬のアピールをしてみ」」

京太郎「えっ」 ギュギュウウン

京太郎「く、クゥーン……」 シュン

穏乃「プッ」

玄「ふふっ」 クスクス

憧「ちょ、かわいそうでしょ!!やめなよハルエ〜!!」 ケラケラ

晴絵「わっはっは」

京太郎「く、屈辱だぁ……!!」 ワナワナ

宥「あっ、そうだぁ〜!うちに…お泊りすればいいんじゃないかな〜?」

玄「あ、それ!いいかもしれないね、おねーちゃん!」

憧「え、マジ?!」
34 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:47:52.40 ID:U5AQxdLm0

憧「マジで言ってんの?!玄、宥姉!?」

宥「うん……。ちょっとおうちのお手伝いとかしてくれるなら、お父さんもいいよって言うかなって」

玄「そうだね〜」

晴絵「おー、いいじゃん!住ませてくれるとこが見つかって良かったな、京太郎!」

京太郎「いや俺は……」

晴絵「じゃ、私がいない間は「松実館で手伝いとかしながら、ウチの麻雀部のレベルアップを助けてくれよ!」」

京太郎「分かった」 ギュギュウウン

晴絵「玄、宥。もし私の命令の効果が誤動作で切れたりしたら困るし…アプリ送っとくから、そこに声と波紋を登録しといて」

晴絵「玄たちも二重で命令かけて、ちゃんと京太郎がうちの麻雀部に協力してくれるようにしてくれな」

玄「おまかせあれ!」

宥「わかりました……」

京太郎「え……本当に1週間も協力させられるのか?」

晴絵「「頼むぞ」、京太郎!」

京太郎「はい」 ギュギュウウン
35 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/22(土) 18:57:23.17 ID:U5AQxdLm0
こうして、京太郎の奇妙な阿知賀滞在が始まった……。


ってとこで友達が襲撃してきたので一旦中断

小ネタにしては導入なげーぞ……
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/22(土) 23:32:52.70 ID:1orc8JU20
今のところハルエがアプリ堪能してるようにしか見えないが…
ここからどうやってクロチャーが京太郎ギュギュウウンにドハマリするのか期待
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/23(日) 08:26:48.37 ID:4jf+00KqO
丁度阿知賀との邂逅も兼ねることになってるのは良いな
そしてクロチャーのキャラとしての汎用性の高さよな
憧辺りは普通に一巡前でも親密になってるし違う意味で危険
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/23(日) 11:31:45.08 ID:5LHZvzgk0
クロチャーはどこまで京太郎を好きにできるんだろう
一緒に風呂に入るぐらいまでか?
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/23(日) 11:52:19.71 ID:vGANoEiF0
クロチャー悪乗り暴走しかかったところで
アナザーさんが大人の威厳で諭して
後日レジェンドにも説教…って流れがピンとくる
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/23(日) 17:56:27.88 ID:NKy5lk3A0
アナザーってレジェンドより年上なんだよな
41 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:29:30.12 ID:6Vhy22hD0
>>40
いや、レジェンドの方が年上ですよ

アナザーワンは中身41歳だけど、

レジェンドは御身所有者だから「1巡前」の時点で51歳、「1巡後」も記憶持ってるから+26で77歳……ってめっちゃババアじゃん!!

実際中身が何歳かちゃんと考えてはなかったけど、計算してみると記憶受け継いでないトシさんより年取ってんぞ……


てかこの話、超短編小ネタのつもりだったのに結構長くなりそう……

ちょっと書き溜めた分投下します
42 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:30:07.39 ID:6Vhy22hD0
―松実館―



玄「ただいま〜」 ガラララッ

松実父「おお、二人ともおかえり……って誰だ彼は」

京太郎「こんばんは」

宥「あのね、お父さん。赤土先生のお知り合いの方で……須賀くんっていうんだけど、行くところがないみたいで…」

松実父「えっ?家がないのか?」

京太郎「いえそういうわけでは――玄「だから、1週間だけうちのお手伝いしてもらう代わりに、泊らせてあげられないかなぁ…?」

松実父「ええ……?う、うーん……それはかわいそうな話だが……1週間後に家のあてはあるのか?」

玄「うん!赤土先生が何とかしてくれるそうなのです!」

松実父「まぁ、1週間くらいなら構わないが……須賀くん、と言ったね?」

京太郎「はい、須賀京太郎です」

松実父「若いのに大変だな。こんな田舎の旅館だが、ゆっくりしていきなさい」

玄「やったぁ!」

宥「よかったね、須賀くん」

京太郎「あ、はい」

松実父「夏休みシーズンでお客さんも多くてね。仕事を手伝ってくれるというならむしろありがたいよ。気兼ねせずにな」

京太郎「……ありがとうございます」

京太郎(人がいいな……)
43 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:30:37.66 ID:6Vhy22hD0
―客間―


玄「ここが須賀くんのお部屋なのです」 ガラララッ

京太郎「ふぅん……。普通に旅行客が泊まる部屋じゃあないですか」

京太郎「いいんですか?こんなところを使わせていただいても」

玄「うん!須賀くんにはうちでも部活でも助けてもらうわけだし、おもてなしできるところはしなきゃ!と思って」

京太郎「へぇ……。そいつはありがたいですね」

玄「どうかな?別のお部屋が良ければ、もう少し回ってみる?」

京太郎「いえ……ここで構いませんよ」

京太郎「味がある。滞在する上で何の不満もありません」

玄「そっかぁ!よかったぁ」 ニコッ

京太郎「ところで……旅館の業務内容というのを教えていただけませんかね」

玄「あっ、そんなにやる気出してくれてるの?」

京太郎「いや……働きたくないはずなんですが、晴絵に受けた命令のせいか働かずにはいられない気分なんです」

玄「そ、そっかぁ……なんだか申し訳ないなぁ……」

京太郎「成行き上仕方がない。お気になさらないでください」
44 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:31:16.60 ID:6Vhy22hD0
京太郎「そして、やらなくっちゃあならないことなら、完璧にこなしたいので」

玄「わ、わかったよ。じゃあ説明するね」

京太郎「ええ、お願いします」

アナザー京『なんだ、思ったよりマジメにやる気じゃあねえか。相棒』

京太郎(フン……松実館の仕事を手伝わなくてはいけない…そんな気持ちに無性に駆られているのだ)

京太郎(止める必要はないぞ、アナザーワン。俺がやりたくてやるのだからな)

アナザー京『ああ。ハナっからその気はねえよ』

アナザー京『宝くじが当たっちまってバイトの一つもする必要がなくなったことを心配してたんだがな。ちょうどいい社会経験ができそうで何よりだぜ』

アナザー京『それに、止めたくても止められねえ。晴絵のかけた催眠の効果は、別人格のおれにまで及んでるみてえだからな』

京太郎(なに?そうだったのか)

アナザー京『ああ。だからおれも、阿知賀の波紋雀士たちのレベルアップに協力しようとするてめーを止められねえし、阿知賀から去らせることもできねえ』

京太郎(……ん?それは少し…マズいんじゃあないのか?)

アナザー京『なんでだ?』

京太郎(……いや。何か、俺たちにはやらなくてはならないことがあった気がするのだが……)

アナザー京『……ああ。おれも何か大切なことを忘れている気はするぜ』

京太郎(……参ったな。何だったかまるで思い出せん)

京太郎(アナザーワン。晴絵が俺にアプリを使用しようとしたとき、お前が阻止してくれればよかったものを……)

アナザー京『いや……それもできたが、敢えてやらなかった』

京太郎(なに?何故だ)

アナザー京『そりゃあ……晴絵には負い目があるからな』
45 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:31:45.81 ID:6Vhy22hD0
アナザー京『「1巡前」にスコヤを倒す旅を続けている時……須賀京太郎はあいつのおかげでスコヤを倒せるところまで成長できた』

アナザー京『しかし……最終決戦の時によ…。スコヤをビビらせるついでに晴絵を助けようと、ヤツの腸を引きちぎって晴絵に移植しちまったばっかりに……』

アナザー京『「1巡」する直前にスコヤは復活しちまって、晴絵はまたしても腹に風穴ブチ開けられて死んじまったわけだからな』

京太郎「……」

アナザー京『それを思うと、おれは晴絵に何をされても文句は言えねえ。今回のことだって、晴絵の気が済むまで操られてやるつもりだぜ』

京太郎(……そうか)

アナザー京『相棒。てめえにもちっとはそういう気持ちがあったんじゃあねえのか?』

アナザー京『じゃなきゃ、晴絵がアプリを使う素振りを見せたところでスマホを破壊しちまえばよかったわけだからな。違うか?』

京太郎(……俺はただ、「1巡」ぶりにあった晴絵との間でトラブルを起こしたくなかっただけだが……そういう気持ちもあったかもしれんな)

アナザー京『だろ。なに、心配はいらねーさ』

アナザー京『晴絵だって鬼じゃあねえ。1週間もすりゃ催眠を解除して元の生活に戻らせてくれるぜ』

アナザー京『それまでは阿知賀の波紋雀士たちのレベルアップに協力するなり、旅館の手伝いなり、なんでもしてやろうぜ』

京太郎(……ああ。元よりそのつもりだよ)

京太郎(それに、逆らおうと思ったところで既に逆らえない段階にきているからな)

アナザー京『ハハハ。違いねえ』



こうして須賀京太郎の奇妙な阿知賀滞在が始まった……。
46 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:32:13.91 ID:6Vhy22hD0
住み込みで仕事を手伝うことになった京太郎の朝は早い

〜AM5:30〜


京太郎「おはようございます、玄さん」

玄「須賀くんもおはようございます!」

玄「あれっ、身支度はもう済んでるんだ?」

京太郎「ええ。いつも6時には起きているのでね。1時間ほど起床時間をズラせば身だしなみくらいは整えられます」

玄「そっかぁ……。じゃあ、早速お仕事をお願いしてもいいかな?」

京太郎「ええ。ただ、今朝到着予定の3組の部屋については、既に掃除を済ませておきました」

玄「え?!ほ、ほんと?」

京太郎「ええ。ですが素人の仕事なのでね。念のため、後からチェックをしておいてください」

玄「わ、分かったよ」

玄「そ、そっかぁ……。じゃあ、お願いしようと思ってたお仕事もそれで済んじゃったし……あっ、おねーちゃんを起こしてもらってきてもいい?」

京太郎「分かりました。……ですが、女性の部屋に男の俺が立ち入ってもいいんでしょうか?」

玄「え?あ……でも、須賀くんならいいんじゃないかな?おねーちゃん、ちょっと恥ずかしがるかもだけど」

京太郎「そういうものですか」
47 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:32:47.00 ID:6Vhy22hD0
―宥の部屋―

京太郎「宥さん、起きてください。宥さん」 コンコンコン

京太郎「……」

京太郎「……仕方がないな」 ガララララッ


宥「むにゃ……あと30分…」 ゴロン

京太郎「強欲だな」

京太郎「そんなことを言っていないで、起きてくださいよ。宥さん」 ユサユサ

宥「んぅ……玄ちゃん、もうちょっとだけぇ……」 ムニャムニャ

京太郎「俺は玄さんじゃあない。須賀京太郎ですよ」 ユサユサ

宥「うぇっ?!」 ガバッ

京太郎「おっ…やっとお目覚めですか」

宥「す、須賀くん……?な、なんでここに……」 カァッ

京太郎「玄さんに頼まれたんですよ。宥さんを起こしてくるようにと」

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ム、 V: : : : -‐ 、  ヽ、 ̄|//////////////////////ヽ  、`‐-、    うぅ……。は…恥ずかしい……
  ヽ \: 」 、 \  ヽ  |/////////////////////// > }ヽ  ヽ
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   / ー 、  ヘ  ヘ | //////////////////////// レ/ / / /- 、
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京太郎「低血圧なんですか?なら、早く日光を浴びた方がいいでしょう」

京太郎「あとはヨーグルトだのチェダーチーズだのを食事に取り入れるだとか……」

宥「わ、分かったよ〜……と、とりあえず…お着替えするから…」

京太郎「ああ、失礼しました」 スタコラサッサ
48 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:33:17.76 ID:6Vhy22hD0
朝の仕事を終えれば、松実姉妹と共に麻雀部へ向かう


―阿知賀女子・麻雀部―



憧「チィッ!!」 カシャッ

京太郎「遅いな……。門前の俺の方が……ずっと速いッ!!」

憧「むっ」

穏乃「え、えー?も、もう聴牌してたり……?」 タンッ

京太郎「ご名答……。ロン、16000……」

穏乃「うぎゃー!!」

玄「うーん……須賀くんはいい牌ばっかり引いてくるね……」

宥「聴牌速度がすごく速い……」

京太郎「俺は基本的に有効牌しか引かないので」

憧「ズルすぎでしょっ!!」

京太郎「……それより、ずっと撮影するのはやめていただきたいものですが……」

灼「ハルちゃんの指示だから……」 ジーッ

京太郎「……」

玄「須賀くん、「がまんしてもらえる」……?ごめんねっ!!」

京太郎「仕方がないですね」 ギュギュウウン

憧(人権蹂躙じゃないのこれ)
49 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:33:47.38 ID:6Vhy22hD0
夕方、松実館に帰ってからは忙しい仕事に追われる


玄「わ〜、忙し忙し!」 バタバタ

京太郎「玄さん」

玄「あ、す、須賀くん!」

玄「えっとね、素泊まりのお客さんが2名いて――京太郎「部屋は掃除してお茶・お菓子の補充もしておきました」

玄「ほ、ほんと?!それと、食材が足りなくなっちゃってて――京太郎「すみません。俺のポケットマネーで間に合わせの量なら買ってきました」

玄「えっ?!そ、そこまでしなくても――京太郎「いえ、俺が急に滞在することになったので消費が増えたんでしょう。俺の宿代分ということで、ここは」

玄「え、いやそれは――京太郎「玄さんは仕入れの確認をお願いします。俺は調理場に届けてそのまま料理のお手伝いをするので」

玄「え?でもお父さんがいるから大丈夫――京太郎「ああ、客に出す分は素人の俺は何もできませんが、ご家族の分を俺がやっておきます」

京太郎「それじゃ……」 スタスタ

玄「す、須賀くん……。初日で私よりそつなく仕事をこなしてる……」 アゼン
50 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:34:17.66 ID:6Vhy22hD0
そして……


―食卓―


松実父「うぅーん、須賀くんの作った料理は美味いなぁ!」 モグモグ

宥「ほんとだ〜!私よりお上手…」 モグ

玄「す、すごいね……」 

京太郎「ありがとうございます」

松実父「やれやれ……普段より2倍早く仕事が終わったぞ」

松実父「どうだ、須賀くんも一杯」 グイッ

玄「あっ!おとーさん!ダメだよ〜!須賀くんは高校生なんだから〜」

京太郎「そうですね……遠慮しておきますよ」

松実父「まぁまぁ、そう言わずに」 スッ

京太郎「そうおっしゃるなら……」 グビッ

宥「あぁ〜!飲んじゃった……大丈夫?お酒飲んでも…」

京太郎「このくらいはなんとも……」

松実父「ワッハッハ!どうだ、仕事終わりのビールは格別だろ?!」

京太郎「ええ。全くですね」 ゴクゴク
51 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:34:46.47 ID:6Vhy22hD0
松実父「うぅーん、須賀くんはまっこといい男だなぁ!」

松実父「若い頃のボウイ似のハンサムで、仕事もデキるし料理も上手い!」

松実父「どうだ、玄か宥をもらってくれんかね?」 

宥「えっ」 ポッ

玄「お、おとーさん!やめてよ〜!」 カァッ

京太郎「ははは……。俺のような若輩者ではとても分不相応ですよ」

京太郎「見目麗しい旅館の看板娘を貰ってしまってはお客さんの嫉妬を買ってしまうんじゃあないでしょうか」

宥「須賀くん、お上手……」 カァッ

玄「も、も〜!須賀くんもやめてよ〜!」 テレッ

松実父「はっはっは!謙虚なのはいいが、君は最近流行の草食系なのか?それはいかんなぁ〜」

松実父「どうだ、玄。宥。1週間のうちに須賀くんをモノにしてしまっては」

宥「え、えぇ〜……」 カァッ

玄「へ、変なこと言わないでよ〜!」 ポカッ

松実父「わはは!須賀くんになら、ウチの娘をくれてやっても構わんのだぞー!」

京太郎「ふふ……少しお酒が回ってきたんじゃあないですか」

松実父「ヒック……そ、そんあことはないぞ〜」

玄「もう……弱いのに、調子に乗るからだよ〜」
52 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:36:08.83 ID:6Vhy22hD0

宥「ごめんね、須賀くん…。だる絡みしちゃって〜……」

京太郎「いえ……お気になさらず。それにお二人とももらえるものならもらいたいくらい美しいですしね」

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京太郎「いえ、本当のことを言ったまでですよ…」

京太郎(本当に……「手」はもらいたいと思うね…嫁にはいらんが…)
53 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:36:47.65 ID:6Vhy22hD0
玄「も、もう……や、やめてよ〜」 ドキドキ…

京太郎(特に松実玄……。彼女の手は……「強さ」があるッ)

京太郎(皿洗いやら掃除やらで酷使してもなお、美しさを保つ白魚のようなきめ細かい肌…)

京太郎(きっとどこか……精神的に強いところがあって、それが「肌の強さ・美しさ」に現れているのだ……)

京太郎(是非とも……お持ち帰りしたいところだな…)

京太郎(……持ち帰り?)

京太郎(…………どこへ、持ち帰るつもりだったのかな……?)

京太郎(……あれ?俺は今……何故阿知賀に……)

京太郎(ん…?俺が滞在したいと思っていたからじゃあなかったか……?)

京太郎(あれ……。だが、俺にはやるべきことが……)

京太郎(ああ、そうだ……。やるべきことがあったが、晴絵に命令されて旅館の手伝いなんかをしているのだったな……)

京太郎(やるべきこと……?……やるべきこととは…なんだったかな……)

京太郎(……まぁ、いいか……)

京太郎「玄さん、宥さん……。俺も少し酒が回ってきたようです。お先に床に就いても構いませんかね」

玄「う、うん。お、おやすみなさい」

宥「お、おやすみ〜」

京太郎(……何か大切なことを忘れている気がするが……なんだったろうか…本当に思い出せん…) フラフラ…
54 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:37:17.14 ID:6Vhy22hD0
〜翌日〜

―阿知賀女子・麻雀部―

玄「それでね〜!須賀くんって、お料理まで上手で!」

宥「お仕事もすっごくてきぱきとしてて、大助かりなんだ〜」

穏乃「へぇ〜!!麻雀以外もそんなにすごいんですね!!須賀さんって!!」

憧「完璧超人じゃない」

灼「いるんだ…そういう人…」

京太郎「……」

京太郎(……しまったな……)

京太郎(旅館の仕事を「そつなく」こなしたつもりだったが……)

京太郎(何故か「松実館での手伝い」を頑張らねばならないような強迫観念に駆られて……「そつなくこなす」という以上の仕事ぶりを見せてしまった……)

京太郎(こんなつもりじゃあなかったのだが……俺としたことが、どうしたのだ?)

京太郎(今までなら、目立たないようにバランスを考えて手を抜くことができたのに……)

京太郎(こうなったら、どこかで失敗をして釣り合いをとらねば……)

憧「そういえばさー、須賀くんに他にどんな命令してんの?」

憧「お客さんの前で宴会芸させたりとか?」

玄「し、しないよ〜!そ、そんなかわいそうなことー!」

穏乃「え、でも面白そう!!私もやってみたいかも、宴会芸!!」

憧「シズは勝手にやってなさい」

穏乃「え〜」

京太郎「……」
55 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:37:45.41 ID:6Vhy22hD0
憧「せっかく人に好きな命令できるなんて面白いことになってるんだし、もっと色々使ってみたらいいんじゃないの?」

玄「え〜……でも、須賀くんはお仕事も頑張ってくれてるし、私たちの練習にも付き合ってくれてるし……ちょっと悪いよぉ」

憧「んー……そうだ!」 ピコーン

憧「ねぇ、シズの夏休みの宿題手伝ってあげてよ」

穏乃「えっ!!」

京太郎「宿題?」

京太郎「なに……?8月のアタマなのに、まだ終わっていないのか」

穏乃「そ、そりゃそうだよ〜!だってまだ8月のアタマだしっ!!インハイもあるしっ!!」

京太郎「大会があるのなら、なおさら7月中に終わらせておけばよかったものを」

憧「おっ、話が分かる人発見〜やっぱそうだよねフツー」

穏乃「そりゃ、憧は頭いいからそう思うだけでさー」

穏乃「フツーは夏休みの最終日に全部やるよ〜……」

灼「それはだらしな……」

玄「う〜ん……7月中に、とは言わなくてもコツコツ終わらせておかなきゃだと思うよ〜」

宥「そうだね〜」

穏乃「えぇー……みんなマジメタイプですか……」 ガクッ
56 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:38:17.31 ID:6Vhy22hD0
憧「でさ、チームメイトとしてもシズ心配だしー。玄、須賀くんに命令して手伝わせてみてよー」

玄「えー」

京太郎「……!」 ピコーン

京太郎(……これはチャンスなんじゃあないのかッ?)

京太郎(脳足りんのフリを装って評価を下げ……上がり過ぎてしまった評価との釣り合いをとる……ッ!)

京太郎(バカだと思われるのは癪だが……万能のイメージを崩しておく方が優先だッ!!)

京太郎「よし、いいだろう。高鴨穏乃、宿題を一部寄越してくれ」

穏乃「えっ!!??ほ、ほんとにいいのっ?!」

憧「おー!よかったね、シズ〜」

玄「えっ、私そんな命令出してないよ?」 アセアセ

京太郎「いや、これは命令を受けてやるんじゃあなく……自分の意志でやろうとしているだけですよ」

穏乃「やさしー!!須賀さん、マジで感謝ですっ!!」 ペコペコ

京太郎「……」

灼「普通にいい人…」
57 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:38:46.63 ID:6Vhy22hD0
玄「じゃあ、今からちょっとお勉強の時間にしようよ〜!」

宥「そうだね〜……私たちも、宿題を進めちゃお……」

憧「じゃ、あたしは自分の終わってるし……シズ、あたしも手伝ってあげるわよ」

穏乃「おおー!!憧、信じてたぞー!!」

憧「ジュース2本ね。あたしと須賀くんに、1本ずつ」

穏乃「なー?!ぐ、ぐぐぐ……しょ、しょうがないっ!!もちろん相応の対価は払おうっ!!」

憧「まいどあり〜!」

京太郎(呑気な奴らめ……)

京太郎(ま……高校の勉強くらい、古文・漢文以外はそつなくこなせるが……無能のフリをしてやるとするか…)

穏乃「じゃあ、須賀さん!!古典の問題集のこっからここまで、ノートにお願いします!!」

京太郎「え」
58 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:39:15.03 ID:6Vhy22hD0
〜30分後〜


穏乃「む、むむむむむむ〜〜!!!」

             _ ,. .‐:´: : : : : : : : : : :`: : . 、
           /:/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
          /:/: : : : : : : : : : : : : :;ヽ: : : : : : : : : :\
            / : /: : : /: : : : : : /: :/: :'  ヽ: : : : : : : : : : ヽ
          /: : / : :、:/: : : : :/: ! : ハ: :{   '; :、: ヽ: : ヽ: :ヽヽ
       /: : : ': : : :/:/: :\: :ハ: :ハ: {   ';.ハ: ハレ: :i : :ヽ:',
       l/: : :!:、: : :{:/ : : ハ`ト'、:{ V    }:レiイ }: : }: : :ハ:.!
       /: : : ハ: :\:iハ: : :{ ,z==ミゞー'    彡zzx ハ :ノ: : :ハj
        /: : : : ∧: : : i: :ヽ:i〃           ゙{イ !:ノ
     /: : : : : : : ヽ/´!: : ハ! ヽヽ     `  ヽヽi: ヽレ
      /: :/: : : : : : : { { : {                ト; :.ヘ
.    /: :/: : : : : : :/: ヽ{: :{__   /ニー ―‐_ァ  ノ ヽ: }    あ〜!!二次関数ってなんなんだよ〜!!
   /: :/i: : : : : : :ハ: :{ ヽ: !  ヽ,  ̄ ̄  ̄ ̄ イ   ヽ:!
   {: / {: : /: : : ハ: :{ ヽ:!  「::::::エ=--、zz彡}     i:}
   i: { ヽ: !: : : :{ /⌒TV::::く:`===:::zl゚}:::=〈__   i!
.   V   ヽヽ: :/    ヽ::::::::::`::-:::_::《::_:ノ:::::::::', \
    /つ/ノ/ 7 r,     }::::::::::::::::::::::::::::》:::::::::::::::::::::i  ヽ
   ハ 〈 / / / / ハ   j:::::::::::::::::::::::::::::{{::::::::::::::::::::::i  ヽ
  〈ヽ ´ Lノ / ノ ノ   /::::::::::::::::::::::::::::::}}::::::::::::::::::::::i   ヽ
.   \`     /  / /::::::::::::::::::::::::::::::::}}::::::::::::::::::::::ト    \


憧「えーそこからー?」 ガクッ

憧「どの問題でつまずいてるわけ?……え、なによ。普通に因数分解してから解けばいいだけじゃない」

穏乃「因数分解ってなに!!なんで分解するのさっ!!」

憧「は〜?」

穏乃「分解なんてしなくていいよ〜!こんな山なりの曲線、山と同じで自然のままがいいに決まってるっ!!」

憧「じゃあ一生解けないわね」

穏乃「うぅ〜」
59 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:39:50.02 ID:6Vhy22hD0
憧「まったく、あたしはあんたの英語の課題もう4割くらい終わってるってのに……」

憧「須賀くんも……」 チラッ

京太郎「…………」 アセアセ…

憧「……え?……最初のページから進んでなくない?」

京太郎「……」 コクリ

穏乃「えっ!!??ほんと?!!」

京太郎「……古典は、苦手なのだ……」

憧「……マジ?文法も1問も解けないレベルで?」

灼「え……なんか意外…」

穏乃「おぉー!!私の宿題が進んでないってのに、仲間が見つかったことの喜びの方が大きいぞーーーっ!!」

京太郎「こ、古典世界はッ!!この須賀京太郎にとって理解したくもない不衛生な時代だからだッ!!」

京太郎「ゴミだめに吐き捨てられたタンカスのように不潔できったない身体で過ごしている人間の言葉など、分かりたくもないからできないだけだッ!!」

憧「プッ……な、なによ、その言い訳……」 クスクス
60 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:40:39.13 ID:6Vhy22hD0
宥「へぇ〜……須賀くんにも、苦手なものはあるんだね〜」 フフッ

玄「なんだかかわいいね〜」 フフフ

灼「そういうところもある方が、よっぽど人間らしいと思…」

京太郎「な……」

穏乃「」 ポン

京太郎「?」

                           _. .―. .. . . 、
              lヽ          , . :´: : : : : : : : : : : :`: .、
             _| }        /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
          / ニ⌒)     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
          /   ̄ヽ)    /:/: : : : : : : : : : : : :ハ: : : : : : : : : : : :ヽ
         /   、\ノ    /:/: : : : : /: : : : : /:/  !:}: : : : : : : : : : : :',
           _,'    イノ   /:/: : : : /:/: : : : : ://  !:ハ: : : : : !: : : : : :ヘ
        ィ::ー..._ノ    /i/: /: : :`ト/:{: : : ://   }:i }: : : : : }: : : : : : ハ
      __/::\.二..::フ   /:/:从: : : ハハ`ト:、_ハ   !ハ: : : レi: : ノ: : : :ハ
     /::::\::_:::ィ     /:/: !: :ハ: :/ ヾx、\:!`   ノ__レイ ノノ: :/: : : : ハ!
     /::::::::::::::::::::::}    /:/: : i :/: V _,z≧       ´__,z レイ: : : //:ノ
    ノ:::::::::::::::::::::::ノ   /:/: : : Vi: : ! " ̄         ≦, ̄   /: :/:ノノ
  /:::::::::::::::::::::/    /:/: : : : V: ハ  ""            ゙ヾ  /:イ
  /:::::::::::::::::::::::/     /:/: : : : : l :ハ    、          ""  /: :/
 /:::::::::::::::::::::::/    /:/: : : : : :i :i : ヽ      ̄´`ー一     //:/    大丈夫!ひとりじゃない!
./:::::::::::::::::::::::::ヘ    /:/: : : : : : :V: : : : \          ノ´l:/
'::::::::::::::::::::::::ノ:::\:⌒\/⌒i:⌒\: : : /:`:エヽ   _   ´  〃
::::::::::::::::::::/::::::::::::ヽ::::::::ヽ::::::::}::::::::::\/ニ ー:::: ̄r:::┴┐   /
、:::::::::: ̄::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::}:::::::::::::::::\:::::ヽコ_〉ニ'┤  ´
 `ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::j::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::}}::::::::::}`ヽ、           ___
    `ヽ、::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}}:: ̄:::::::::::::::::\     ,< ___ >,
       `ヽ、::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}}:::::::::::::::::::::::::/:ヽ      !          !
          `ヽ、:::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}}::::::::::::::::::::::/:::::ヽ     |    (´ )    !
              `ヽ、::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}}::::::::::::::::::i::/::::::::::',    |    ,L_|_ │
                  i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}}::::::::::::::::::}:/::::::::::::ヽ  |  (`Y、__ } |
                  |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}}::::::::::::::::::}'::::::::::::::::::l   !   (`(___ ) !


京太郎「な…慰めはいらんッ!!」

阿知賀女子一同「あははははっ!」
61 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:41:05.03 ID:6Vhy22hD0
京太郎「ぐ、ぐぐぐ……!!」

京太郎(おのれ……!わざとできないところを見せるつもりが、本当にダメなところを見せてしまった……!)

京太郎(これにはプライドが傷ついたぞ……)

京太郎(それに、美点と欠点で釣り合いをとるつもりが……そこまで馬鹿にされもしない特徴のひとつとして捉えられてしまった…!)

京太郎(お人よしどもめ……!そんなに甘っちょろい性格をしていると、将来苦労するぞ……!)

アナザー京『アットホームな部活だな。なんだか随分昔……清澄高校に通ってた頃を思い出すぜ』

京太郎(ん……。ああ、そういえばそんなこともあったな……)

アナザー京『こういういい子たちを相手にしてると、催眠なんざかけられなくったって色々と助けになってやりたい気がしてこねえか?』

京太郎(いや、それはない。……が、居心地が悪いわけじゃあないな)

アナザー京『いいことだぜ』

京太郎(ふん、やれやれ、だがね…)
62 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/23(日) 21:41:59.99 ID:6Vhy22hD0
ではちょっと書き溜めタイムに戻ります

多分ヒッサなら自分にしかジュース奢らせてない
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/23(日) 21:59:04.84 ID:PGglyTsd0

まだアットホームだけどここからクロチャーが暴走する予定なんだよな…
どちらかというと松実父の方が暴走しそうな気配だけど。いずれ和も出てくるのかな?
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/23(日) 23:13:31.00 ID:4G07NI/jO
古文赤点野郎で草
65 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:20:59.61 ID:BugKwq/a0
その夜……

―松実館―


京太郎「……ふぅ」

京太郎(さて、と……。今日の業務も終わったことだ。床に就いて身体を休めるかな……)


「キャーーーーーーーーーーーー!!!!ゴキブリー!!!」

「きもいいいいい!!追い出してよパパーーーー!!」

「お、俺は触れねえーーーーーッ!!!!おい、仲居さぁーん!!」


京太郎(……なんだ?ゴキブリが客の部屋に現れたのか…)

京太郎(……仕方ない。少し様子を見に行くか…) ツカツカ


玄「は、はーい!!今行きますのだっ!!」 ドタドタ


京太郎(ん、玄さんが気づいた……。俺は特に助ける必要はないか…?)

京太郎(まぁいい、見に行くだけ行くか…) ツカツカ
66 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:21:29.17 ID:BugKwq/a0
―客間―


玄「ど、どうされましたかっ?!」 ガラララッ

妻「ご、ゴキブリが出たのよぉ!!」

夫「そこの布団の下に潜り込んでるっ!!早く処理してくれっ!!あと部屋を変えてくれっ!!」

息子「うぉえええーーーーん!!!気持ち悪いよーーーー!!」 ビエーン

玄「えっ、えっ、は、はい!」 アタフタ

玄(あ、ど、どうしよう?私も虫は苦手なんだけど、おとーさんを呼びに行くわけにもいかないし……) 

玄(というか、今夜は満室だから替えの部屋がないよー!!ど、どうしよう…) アセアセ


京太郎「……」 チラッ

京太郎(なるほど……少しばかり面倒なトラブルだな)

京太郎(ゴキブリを始末したところで、確か俺の確認した限りだと、部屋の空きはなかったはず……)

京太郎「……」

京太郎(やれやれ……もう一仕事しなくてはね……)
67 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:21:56.16 ID:BugKwq/a0
京太郎(アナザーワン。君にも手伝ってもらう)

アナザー京『なに?ゴキブリの処理はともかく、相手は客だ』

アナザー京『虫が出て気持ちワリイって言ってるヤツをブチのめすのも言い負かすのも、得策じゃあねえぜ』

京太郎(君は荒っぽすぎる……。俺はもっとスマートに解決するよ)

アナザー京『ふぅん…?どうやって』

京太郎「〜〜〜〜〜〜〜」

アナザー京『……なるほどな。分かったぜ』

アナザー京『トラブルを穏便に処理することにかけては、てめーの右に出る者はいねえな!相棒!』

京太郎(減らず口を叩いていないで、早く手伝ってくれ)

アナザー京「おうよ」 ドン☆
68 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:22:25.89 ID:BugKwq/a0
1秒後……


―客間―


京太郎「……何かお困りのようですが、どうなされましたか?」 ガラララッ

玄「あっ、す、須賀くん!」

妻「ゴキブリが出たのよぉ!!もう気持ち悪くってぇ!!」

夫「は、早く処理してくれー!!あと、部屋も変えてくれよー!!」

息子「ぼくゴキブリやだあああああああああああああ!!!!!」


         __      __   _      __
    /::ヽ.   「::::l /}  /:::/ /´::::/     /´::::> ,.-.、_        __,,..、
    〈:::::::ハ  |:::::j '´   |:::::/ /:::::::/./!   /:::::/ /:::::/      /::::::::j__
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                     (Y⌒ヽ\:\}/ ̄∨ / Y⌒ヾく)
                   ,ィ八しjク::::::\/ : : : ∨:::::::乂フリ‐{)
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           /ト、ヽ==ミ、} l 〉〉}ノ):::::(_\:/:):::l\oV⌒7ヽ
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.  〈    |     V∧  |/,!   |  l   / j   /: : :∧
   ) \ ヽ.     V∧ノ|┌_|  l   |    /  /|: : : : : ヽ
   /    ヽ 〉\   l\V|└_」  | │    {  / : : : : : : 〉
69 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:23:00.09 ID:BugKwq/a0
妻「そこに敷いてあるお布団の下に逃げ込んだわっ!!」

京太郎「かしこまりました」 スッ


屈んだ京太郎は……敷布団の下に手を突っ込んだッ!!


玄「わわっ!!??」

夫「げぇっ!!??す、素手でぇっ!!??」

妻「うぇー……」

息子「よく触れるね……お兄ちゃん……」

京太郎「……」


京太郎「……捕まえました」 スッ…

玄・妻「」 ホッ

夫「ふぅー……良かった…。じゃ、さっさとどっか持ってって殺してくれ…で、部屋の交換も頼む」

京太郎「ええ……かしこまりました」
70 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:23:28.94 ID:BugKwq/a0
京太郎「しかし……お客様、どうやらこれはゴキブリではありませんね……」

妻「えっ?」

玄「???」

夫「何言ってんだ。不衛生なのを誤魔化そうったってそうはいかんぞ」

京太郎「いえ……。そうではありません」

京太郎「当旅館は衛生面には殊に気を遣っておりますので……時節柄、もしや…とは思ったのですが」 パッ


京太郎は、ゴキブリを捕らえているという右手を開いて見せたッ!!


夫「うおっ!!??」

玄「えっ!!??」

妻「に、逃げるでしょっ!!なにしてんのっ!!??」

京太郎「いえ……よくご覧ください」

息子「あ……!」


           ,.、 ,.、
           ヽ'::':/
            }:::{
            l:::|
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          l:(.ノ:::l
        ,.r:::'':::!:::ヽ゚;~   __,
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      /~:::y'''::::-:::〈ー‐"
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  _〃         l:!
  ´          ヽ、



息子「カブトムシだぁーーーーっ!!!」 キラキラ

玄・妻・夫「!!???」
71 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:24:01.75 ID:BugKwq/a0
京太郎「どうやらお客様……虫が部屋に現れたことで動揺するあまり、見間違えてしまったご様子…」

妻「え、えぇっ!!??そ、そんなはずないわよぉ!!」

夫「だ、だってあんなに速く動き回ってたんだぞ!あんな速度で移動するカブトムシがいるかっ!!」

京太郎「よほど腹が空いていたのかもしれません……布団の下にゼリーのカップが押し込められていたので、それに反応していたんじゃあないでしょうか」 スッ

妻「あっ!!このごみは……息子がさっき食べていたッ!?」

夫「コラ!!ごみはゴミ箱に捨てろっていつも言ってるだろ!」 ガツン

息子「いてっ!!え、えー?!ちゃんと捨てたはずなんだけどなぁ……」

京太郎「夏も真っ盛りです。甘い匂いにつられて、開いていた襖から入り込む……ということも…滅多にはないことですが、あるのかもしれません」

玄「」 ポカーン

妻「いや、あはは……すみません、お騒がせしました…」 ペコリ

京太郎「いえ、お気になさらず……」
72 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:24:34.89 ID:BugKwq/a0
京太郎「カブトムシとは言え、虫が出た部屋では寛げませんでしょう。お部屋替えを致しましょうか?」

玄「あっ!す、須賀くん!今、空きのお部屋は……」

京太郎「一室だけありますが……いかがいたしましょうか」

夫「あー……ど、どうする?」

息子「えー、ぼく別にこの部屋でいいよぉ」

妻「え、う、うぅん……そうね。ゴキブリだったら気持ち悪いけど、カブトムシくらいなら追い出せば良かっただけだし……」

夫「だ、だよな。……そういうことなんで、大丈夫です…。すみません、カブトムシぐらいで大騒ぎして…」

京太郎「いえいえ……お気持ちはよく分かります。色も大きさもゴキブリとそっくりですからね……」

京太郎「それでは、ごゆっくり……。……いきましょう、玄さん」

玄「あ、う、うん!」

玄「ごゆっくりどうぞ!また何かありましたら、お気軽にお声掛けください!」 ペコリ

夫「あ、はい……」
73 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:25:50.44 ID:BugKwq/a0
―廊下―


京太郎「……」 ツカツカ

玄「ね、ねぇ須賀くん?」

京太郎「なんです?」

玄「かぶとむし、捕まえてくれてありがとうね……。庭先から虫が入ってきちゃうトラブルってたまにあるんだけど、私も焦っちゃってたから助かったのです…」

京太郎「どういたしまして……」

玄「でも、お部屋に空きはなかったはずだよ〜?それは私の確認不足だったかなぁ」

京太郎「いいえ。その通りです。空室なんてありませんよ」

玄「えっ?」

京太郎「向こうは害虫のゴキブリが出たと騒ぎ立てたのに、実際に出てきたのはカブトムシに過ぎなかった」

京太郎「それも、息子さんが布団の下に捨てたゼリーのゴミが原因だった可能性が高い……」

京太郎「と、なれば……罪悪感で部屋を替えろなどとは言わないと踏んでいたんです」

玄「えぇっ?!」

京太郎「こちらも客商売ですから…「本当は部屋を替えるつもりはなくても」……「建前上は部屋を替える意思がある」ことくらいは示しておかなくっちゃあならない」

京太郎「何から何まで誠意を持って接してくる相手に、それ以上の傲慢は発揮できないものと思いましてね」

京太郎「むろん、それでも「部屋を替えろ」と言い張るのなら……俺のお借りしている部屋を片付けて提供していましたがね」

玄「そ、そこまで考えてたんだ……」

/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
:.:.:/.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:人:.:.:.:.:.:.:.:./   だ な な そ
:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.(___):.:. |:.:.: ′   ね か .か れ
:.:i:.:.:.:.: :/:. 斗‐/┼‐- イ : |:.:.:.: | |:.|:.|:.:.:|     : .な な は
:.:|:.:.:.:.:.: :':.:.:.|:/ :|:././/|:.:.:.: |_|人|:.:.:|     : .か か
:.:l:./⌒i:.:.:.:斗芋示ミ/  |:.:.:抖弌ミ:.:八         の
:.o{   |:.爪 んノ::::ハ     :|/んハ 犲:.:,ト 、
//: ヽ_|: :|:|弋:::::::ソ      V:ソ.ノノ:./|:|. \           /
:.i:.:.:.:.: |: :|:| ::::::::::     ,  ::::::/:.:.:/ :|:|  ノノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人: : :.:|: :|:|             /:.:.:/  |:|  ∧
  ヽ:.八:.|:| `        °  イ:.:.:./   :|:| (__)
/.  \: ヽ{ ̄\ /‐--<:.:.:.:.|:.:./    ;リ
    \:.:\ .}}_ /}}  .}ヽ:.: |:/|   /
74 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:26:32.67 ID:BugKwq/a0
玄「須賀くんって、そんなにやり手だったんだ〜!すごいなぁ〜!」

京太郎「いえ、それほどでも……」

玄「それにしても、かぶとむしで良かったね〜!ゴキブリだったらどうしようかと思ったよ〜!」

京太郎「え?ああ……フフフ」

                       __
 ┌┐.┌i   ┌┐  __ ┌┐  | | [][]
 |└[][]L.ロロ | [][] | | ロロ |.[][] l└─┐
 |┌┤.r‐┘│┌┘ | └┐└─┐l ̄ ̄
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               └┘

 二 `丶、`丶、_\__\〉-<⌒
`‐-、 二. `ヽ、 ミ ̄ /⌒シ \
二‐/,ィ┐|=ミ=|  /|_,/l_イ| \  \_
‐ニ| i<  i ,.{  | }/__ 从 、 |` ̄ ̄
二‐ヽ ┘ |     lヾ. } } /从}
ニ ‐'"/   /    |_{;)} レ' ∧{
'  /   /     '" ` `゙ / `
  /    ,      F'′
  ヽ.    \、 L`___l
 _\    ヽ._>┘    そうですね……。布団の下から出てきたのがイメージの良いカブトムシで本当に良かった……。
 /了\_ノ
 ◆(
 門|



                    ____
               ,, :´ : : : : : `: ..
               ≦: : : : : : : : : : :\
          .  .ク:.:::.: : : : : : : : : : : :.ヽ
           /::.::.::.:. : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い
         ./. __.ヾ:. :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,:  ‘, ゚.
        .,/..../::.!.―:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |: : : :|: ゚
          ′::::i::..丁¨{丁{│:.:..: : i| ¨v:丁¨`:|: : : :|: :
       |:: '::: i:. : :{,x≠ミ: :{\: : vr≠ミ.}::.:.|: : : :|: :.゚
       |::|l:::::i:.:.:〃んrハ^\  ーんrハ |::...|: : : :|: : i
       |::|l::::ハ.:.:.} 乂_ノ      乂_ノ. ,i::: : : : :|: : |
       |::|l::/.::::...|.  ,_   、    __   : :.|: : : |: : |
       |::|l:{.i:::::.:八          ,ハ}: :..:.: :...|: : |
        `O′:::.(: 介o。,  ‘`   イ : /: :..|: : : |: : |    …………?
        /::j |:::::_≧=ー : 〕     {  j:.:/: : :.イ: : :.l: : |
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       .Y /::::ヾ/../ >..={_}=ー 〉...: : :/::/



この京太郎の意味深な笑みに……松実玄はひとつの疑問を抱いた
75 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:27:35.79 ID:BugKwq/a0
玄「……ねぇ、須賀くん?」

京太郎「はい?」

玄「私、やっぱりちょっと気になったんだけど……ゴキブリとかぶとむしを見間違えるなんてこと…あるのかなぁ?」

京太郎「……フッフッフ」

京太郎「あるんじゃあないですか…?」

京太郎「現に、布団の下から出てきたのはカブトムシだった…。ならば布団に潜り込んだ俊足の害虫もカブトムシだ」

玄「えっ?」

京太郎「しかし…同じようなトラブルが発生しないよう、対策を講じておく必要はある……」

京太郎「ちょっと外出して、ゴキブリホイホイをいくつか買ってきますよ…」

玄「え……」

京太郎「それと……ごみ処理はきちんとしているから発生源がこの松実館じゃあないとは思いたいが、念のため館内を粗方探してみましょう」

京太郎「買い物のついでに、旅館周辺も見回ってきます」

京太郎「隣家が夜だというのにゴミを捨てていたりしたら、そこから湧いているのかもしれませんしね……」

玄「!!」

玄「じゃ、じゃあ……や、やっぱり、お部屋に出てきたのはゴキブリだったの?!」

京太郎「いいえ、違いますよ。「カブトムシ」です」

玄「え?で、でも……」

京太郎「箱の中の猫も、開けてみれば虎に化けていることだってあるかもしれない。となれば、箱に入れたのは虎の子だったも同然…」
76 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:28:03.39 ID:BugKwq/a0

京太郎「ゴキブリも同じ……。嫌われ者が布団の中で人気者へと生まれ変わったのかもしれない……」

京太郎「だったら最初からそれは昆虫の王様…。子供も大人もなじみ深い、カブトムシだったのだ」


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             `  ̄ >' __,ノー==彡,ィi } }l ji廴_
              <__ /_ノ}r'⌒7´'⌒^'ヘj}_ノ 厂 ̄}
                Y⌒_ノ  {{     ^ーくニ=ァ ノ
                   rく{( {ア'⌒\ `ヽ      } ri'´|
               j几jノ   rt_ぅミ   _,ノ    ハ│l|
                  /`V l  ^冖 ノ} └=====y'(│リ
.            / /ハ/ }      /   代_テx_ しi} リ
            乂i{ / /    「廴}  ^ー‐'  }ノj/
                   ̄{   ー‐ __ー'     __,厶イ
                  ∧    __  \  / (__, /
            _/{      `   / ∠ノノ/   ま……。ある種の魔法のようなものですよ、玄さん…
           / / \ ヽ__      __/ー一
              / /    ≧ニ=一 二´∧
.        _/ /   /_A\     / {
     ̄  /   /\o/| {o o} ∧   {   \__
.       /    /     |__巴ノ  \o_|     { } \__
    ∠ ____ /     / ̄|      |     |ノ\
    ̄ ̄/ |     /三ヨ       |     |    >'´
   __/   │     /A_A |      |     l   /
   }       |     /{o o}|      |\  │ /
  │    │    /∧皿{/|     /  {\」_ /   /
.   |       |    //\__/|   / /   \ /  /
.  │    |   /// ̄\| /   /     }/  /
   |      l   / | ∧_∧ |(   /       |   {
   |     │ / | {O O}│  /      人 │  )
   |     ∨  | Y皿Y |   /       /  }ト、} /
   |     /  |\___/|  ′     /   { ∨
   |      |   |/  ̄ \| i      /    \__/
   |      |__/|/|_|\」 |     /     ノ

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       | { 〈_/ <_ノ     | ̄〉       r‐、ヘ
       | `ー―-、  <\_二L_〉      r-┼┤/
       l  |`ー一'  ヽ  、―‐′    l └‐~‐-、
       ゝ/          \_>       l | ̄ ̄ ̄
                            凵
       ≦:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽ:: :: ::.::.::ヽ
      ク:.:::.:::.::: : :: i: :: :: :: :: :: :: :: : : :ヾ: : :.::.::.ハ
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     /  ヾ:::::::::::i i:::::::::::::::::| |::::::::::::::::::::::::::::::::::ヒ.i
    /ソ|`::::::::::‖::i |:::::::::::::::;| .i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
 .  ‖ |::::::::::::ハ::|. {:::::::::::::::|  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ヾ|`|/ヽ|ソヾ:::::ハ|ー≦\::::::::::::::::::::::::::::|
      |::::::::ハ ィ.爪ハ  .ヾ:i  イ斤心 }:::::::|ヽ::::::::::::::|
.     |::::::::::::i 弋っリ       込:::リ.|:::::::i |:::::::::::::::|
      i:ハ:::::::::| xx  ,     xx .,i:::::::ヒ」:::::::::::::::|
      o .i:::::::::i              u |::::::::|:::::::::::::::::::|
      i::| ト::::::ヽ.    _      i::::::::|:::::::::::::::::::::|   …………!!
     ノ:|:| |.:.ヾ::::::::ゝ 、   .,孑≦|::::::::|;;;;;;::::::::::::::::|
     /ノ |  |.:.:.:i::::::::::::::::ソ` 夭  /|::::::ソ:::::,:::::::::::::::::::|
        |ゞ:::::i::::::::/ ゝ仆'   i:::ソi|/|.:.:.:.:.:.i:::::::::::::|
       |:.:.:ヾ、:广 レへ /ヽ .i:// ノ.:.:.:.:./::/ヽ、::|
        |.:.:.:i:::::| 尸ヽ一イ ̄刀  /.:.:.:.:./:::/  .ヽ|
       |.:.:.:i::::::|  >  ,卅   /  ノ.:.:.:.:/:::::/   /`.i
      |.:.:.i:::::::/. <ヽ イ  ト-匕ヽ/.:.:.:.:/:::::/   /   .|



この問答を経てようやく……!松実玄は確信したッ!!
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/24(月) 00:28:41.64 ID:BV24LWlC0
誰だこのイケメン
78 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:28:55.66 ID:BugKwq/a0
玄(やっぱり……!お部屋に出たのは、かぶとむしじゃなくて……ゴキブリだったんだ…!!)

玄(それを……どうやったのかわからないけど、かぶとむしにすり替えた…!!!???)

玄(でも、どうやって……?!手品なのかな…?!それとも、本当に魔法…!?)


その結論は正しかった……。が、京太郎の取った手法は手品でも魔法でもない


京太郎(俺の『キラークイーン』とアナザーワンの『ザ・ユニバース』の合わせ技さ……)

アナザー京『おれが時を止め……その間に、ゴキブリと似た昆虫を探しに行く……』

アナザー京『これはともすればゴキブリと見間違えるような虫ならなんでも良かった……』

アナザー京『茶色いカナブンだとか…そういう虫でも良かったんだが、イメージを考慮すりゃあやはりカブトムシが最適解だったな』

京太郎(コオロギだとかじゃあ少し気持ちが悪いし……カナブンも微妙。結局、昆虫の王様が飛び回ってるこの季節に助けられたというわけだな……)

アナザー京『そしてカブトムシを回収したら……問題の部屋に突入して、カブト虫が好きそうな甘いお菓子のゴミを探す……』

京太郎(ここで見つかったのが「ゼリーのゴミ」というのがツイていた)

京太郎(ゼリーだったからこそ…「昆虫ゼリーを食すカブトムシ」のイメージが定着しているおかげで、不自然さを緩和できた…)

京太郎(やはりこの須賀京太郎に運は味方しているというのがよく分かる一幕だったな……)

アナザー京『全くだな……。そして、ゴミを布団に突っ込んだところで時間停止のタイムリミットが来たから廊下に戻って相棒と交代し……』

京太郎(俺は何食わぬ顔で部屋に入り、布団の下に手を突っ込んで……)

京太郎(『キラークイーン』でゴキブリに触れると同時に爆破……。触覚1本残らず消し飛ばしてやった……)

京太郎(そして「カブトムシ」と「ゼリーのゴミ」を布団の下で見つけたかのように取り出してオワリ……)

アナザー京『トコトン戦闘に向いたおれたちの『スタンド』を…よくもまぁ、こうも上手くトラブル解決に使ったもんだぜ』

京太郎(どんなトラブルも切り抜けてきたこの須賀京太郎にとっては容易いことさ……)


しかし……

流石の京太郎も、この一件が新たな波乱…彼にとってはちょっぴり厄介な事態を招くことまでは予見していなかった
79 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:29:30.65 ID:BugKwq/a0
そう……

松実玄は……恋をしたッ!!


                 _   _,-、                  /| ./^!
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    ,/ /_,∧∧/ / /ヽ.∨   /\_/\/| \/  /〉 ||||
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            '' _.――  ....
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   /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......  ',
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...rぅ' ,|::.|::.:.|:;{.  ,.::| ト'::ィ;リ      トィリr::ノl:ノ
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  / .:: :::::::: ル´}::.从`⌒H⌒´}.丿. }:.{
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玄(須賀くん……。お仕事もできて、俳優さんみたいな顔立ちで、お上品で、でもお勉強が苦手な一面もあって、なんかいいな〜って思ってたけど…)

玄(いま……すっごく胸にズキューン!ってきたよっ!!)

玄(なんだかとってもミステリアスなところが…たまらないのです!!) ドキドキ
80 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:30:15.09 ID:BugKwq/a0
玄(すごく胸がドキドキするよ……こんな気持ち、初めてかも…)

玄(だって、阿知賀は女子高だから……男の子とこんな風にたくさん接する機会なんてなかったし……)

玄(でも……なんとなくわかる…っ)


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                                                /\(   }__ノ
.                                                 \  \,ノ\
.                                                  \  ___〉
.                                                   \ \    __
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              /:::::::::::::::::::/´   `、   |:::',、 \:|_ γ' (/ / ヽ 
         ,....:´::::::::::::::::::/  -- 、   `、  乂| ト、   j  {/_/ソ   (私……須賀くんのことが……好きになっちゃった?!)
        /:::::::::::::::::::::/ /    ヽ  f⌒ヽノ_!_ i /{     /
       /::::::::::::::::::::::::,' /       } |-_-_j_)-/| j  \ _入
     ,.:´::::::::::::::::::::::::::/ /          U乂_シ、_-}:レ′     /
   /:::::::::::::::::::::::::::::/ y          , /-_-_| |Y ,′       /
  /:::::::::::::::::::::::::::::::, '   |           ‖ ``〜' ヾ/      ,
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81 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:30:44.23 ID:BugKwq/a0
京太郎「さて、と……」

京太郎「それじゃあ、寝る前に買い物に行ってきますね」

京太郎「あ……百均はまだ開いているかな…?」

玄「う、うん。もう少しで閉まっちゃうけど、急げば間に合うと思うよっ」

京太郎「そうですか。じゃあ行ってきます」

玄「あっ、待って!」

京太郎「?」

玄「そ、その……私もついていくねっ」 ドキドキ

京太郎「? いえ、俺一人で十分ですよ」

玄「でも、須賀くんにばっかりお任せするの悪いし……」

京太郎「……ふっ。変わってますね、玄さん。命令できる立場なのだから、こき使えば良いものを」

玄「そ、そんなことしないよ〜」

京太郎「それじゃ……急ぎましょうか」

玄「うんっ!」
82 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:31:13.01 ID:BugKwq/a0
―夜道―


玄「あ、そうだ……。あのね、須賀くん……」

京太郎「なんですか?」

玄「その……す、須賀くんのこと……下のお名前でお呼びしてもよろしいでしょうかっ」 ドキドキ

玄「あっ、こ、これは命令とかじゃなくってね?!」

京太郎「え?構いませんが」

玄「!! やったぁ!」

                     ( )
    i ニlニ○ _L/、     /   (⌒ ⌒)
    { cト  ´ | ノ ⌒ ーノ{__ノ  て人_)
         .   ――  ..
          / ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: `:..、
       '       .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\  /
      / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}::.:}:..  :/ }   ハ
    /::.:′. .: }::斗/L/!::.:.:. /::、i:.:.:.}......:.   ̄
    /::. |:...:.:/|::.:/ j/ |::.:.:/}:/リ|\|::.:.}.‘ ―
    {: /.! :|.:.:..::|:/ -- _}:/ノ' /十/,「:..ハ:.i
   rぅ' ,|::.|::.:.|:;{z≦三    三ミメ.|:/|:.ト{ \
   /:{ V:|::.|::.:.|´i             `|:: |:.|
   |:.|/::.:,::.:.::. l :|/// 、__   /// |::.i!:.!
   {i:{:: :ハ::.: 込{. __  (__ ノ    .ィ}:リ|:     それじゃあ、明日からもよろしくねっ!京太郎くんっ!
   乂:/:.:∧::.:.V/⌒ヽ.--r >ォ抓/:./ |′
 /:/.:.:.:.:/\:ハ´  ̄`V ´  ̄`∨:/|   ( )
イ.:/::.:.:.:. /  /\     {      {:小{  (⌒ ⌒)
://::.:.:.:.:.:.:{ fノ       |!    人.}:.{  て人_)
./::.:.:.:.:.:. 人       ,八      ノト{
'::.:.:.:.:./:.:.:.:ト、    /  乂   /:.:|



 二 `丶、`丶、_\__\〉-<⌒
`‐-、 二. `ヽ、 ミ ̄ /⌒シ \
二‐/,ィ┐|=ミ=|  /|_,/l_イ| \  \_
‐ニ| i<  i ,.{  | }/__ 从 、 |` ̄ ̄
二‐ヽ ┘ |     lヾ. } } /从}
ニ ‐'"/   /    |_{;)} レ' ∧{
'  /   /     '" ` `゙ / `
  /    ,      F'′
  ヽ.    \、 L`___l
 _\    ヽ._>┘    ええ……。…………ん?
 /了\_ノ
 ◆(
 門|
83 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:31:52.17 ID:BugKwq/a0
玄「ふぅ〜……緊張したよ〜」

玄「でも、言えてよかったぁ」 ホッ


                  -─………‐-
                  ´              `丶、
              /                    \
           /                     \
           ,′.: .: .: .: .:/ .: .: .: .: .: .: .: .: .:\ .: .: .: .: .: .:ヽ
            .: .: .: .: .: .: .: .: .: :/ .: .: .: .:| .: .: .: .: .: | .: .: .: .:ハ
           i.: .: .: .:i: .: .:| .: .: :|.:.: .: .:│i .: .: .: |.: : | . : | .: .: i
           | .:| .: : i: .: .:| .: .: :|.:.: .: .:∧| .: .: .:i|⌒:ト: |│.: .:i|
           | .:| .: : i .: i | .: .: :|.:'⌒:/ :| :|.: .:八.::│.: リ.:.: .:i|
           | .:| .: : i .: i | .: ´.:|/|/  |/|/ _∨l/|/.: .:∨|
           | .:| .: : i .: N .: .: :| ,..二.      ,..‐=ミ│ .: : iリ
           | .:| .: : ii.:.:N: .: .:≠^⌒`        | .: .: :|
           | .:| .: i八:.:ト| .: .: :|        、 /::/::. .: .:|
           | .:| .: i.:.iヘ:|.| .: .: :| ::/:::/  ____    j.: .: .:|
           | .:| .: i.:.!.: o|: .: .: |     {  ∨   .:'|.: .: .:|   これで明日からも、お仕事も麻雀も頑張れそうだよ〜!
           | .:| .: i: ∨八|.: .: |> .   __ノ  イi |.: .: .:|
            j.:│ .: .:│ .:∧| .:{__`_ ┬<: .:Vi |.: /| |
          ,'.: .: : .: .: |/l人人 :∨゙   \ト∧.: .: :i |:/ :|/
           / .: .: .\.: .: .: .: \ヽ{     「∨トヘ: .: ∨
        /.: .: .: .: .:.i\.: .: .: .: ヽ \.  |_」儿_∧.: .: :.
          /.: .: .: .: .: .:i/\ . : .: . ヽ \人≫、}レ'ヘ:.: .: :.
.         / .: .: .: .: .: :/ ___ \ . : .: .ヽ  〈  ,z={}∧.: .: :.
        / .: .: .: .: .: :/{/   `ヽ \ . : .: :.  マ´ _八_.ム.: .: :.
.       / .: .:. .: .: .: /:V       \.:.: .: :. ゙T   |\∨.:.|
      / .: .: .: .: .: :/.: .|       |   ∨ .: |  L........|\「|.:丿



京太郎(……この態度、何か……「妙」だッ!!)

京太郎(一体どうしたのだ…?)

京太郎(何か……さっきのトラブルの前後で、態度に変化が生じているのが分かる……)



                ,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
              /_,..-        ヽ `  、
         __/ /´    /    ∨   \
        ト、_,  ´     / ,'     :    、 ヽ
          /   ,   , / /|  |  :.  | | |   ∨
        /_///,  | |从∧. |    } | | | | |
           / イ '  { ´| |/ヽl i| { , ´/}/_}∧ |  |
           / /{( .rY'´/へ\从{∨/ _/,.ィl| |
          ´/イ}lムヽ从 、弋ァ-、\V//-、ノ ,/ ∧{
              \,ハ  ¨ ̄ /! f´¨タン /ノ  \
             /l l  i    ! .ノ .i )  /
            / /i !  |!   弋ヽ-/ ./
          // i ヽ \   -‐‐、ニ´  /
         //  .l  \ ヽ  ゙ー--‐ ./、    …………。
       / /     l    \.\  ノ /  \丶、
    ,.イ   /    l      \ヽ-- く l    \
        /     l o _.. -‐ てマi   l
       /___,.  l/    人レヘ. o l  、_
       _.. ‐ ¨  l     /  l  \ノl   ヽ、
                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
84 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:32:37.81 ID:BugKwq/a0
/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:‘,:.
:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.‘:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:斗‐:.:.才:.:.://:.:.:.:.:.ィ:.:7卜:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.|:.:/ // /:.:.:.:.:./i:.:/ |:.ィ:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.|'′ ´ /:.:.:. イ }/   |:.:.:.:.:.:
:.:.:. /|:.:.:.:.:.|γ⌒ヽ  ̄      γ⌒ヽレ:.:.:.:.:
:.: /:.:|:.:.:.:.:.|弋  丿       弋  丿 |:.:.:.:.
:./:.:/|:.:.:.:.:.|   ¨             ¨  |:.:.:.:.
O:.:{ !:.:.:.:.:| ヽヽ   、____,   ヽヽ ヽ:.:.:    ? 京太郎くん、どうかしたの〜?
:.|:.:.ゝ.!:.:.:.:.:|      ′  :.        丿:.:.
トヽ:.:.:.i:.:.:.:.:.ト.._    乂 __ 丿   _...ィ:.:.:.:.:.:.
|:.ヾ:.:.:‘,:.:.:斗‐≧‐------‐≦:.:.:.:.:.|:.:.:.:./:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:〉、:.:.、  {: : : :{: :}: : : }  ヽ:.:.!:.:../:.:.:



                ,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
              /_,..-        ヽ `  、
         __/ /´    /    ∨   \
        ト、_,  ´     / ,'     :    、 ヽ
          /   ,   , / /|  |  :.  | | |   ∨
        /_///,  | |从∧. |    } | | | | |
           / イ '  { ´| |/ヽl i| { , ´/}/_}∧ |  |
____∧,、__/{( .rY'´/へ\从{∨/ _/,.ィl| |_ ______
 ̄ ̄ ̄ ̄'`'`´ ̄/イ}lムヽ从 、弋ァ-、\V//-、ノ ,/ ∧{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              \,ハ  ¨ ̄ /! f´¨タン /ノ  \
             /l l  i    ! .ノ .i )  /
            / /i !  |!   弋ヽ-/ ./
          // i ヽ \   -‐‐、ニ´  /
         //  .l  \ ヽ  ゙ー--‐ ./、       …………!
       / /     l    \.\  ノ /  \丶、
    ,.イ   /    l      \ヽ-- く l    \
        /     l o _.. -‐ てマi   l
       /___,.  l/    人レヘ. o l  、_
       _.. ‐ ¨  l     /  l  \ノl   ヽ、
                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
85 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:33:59.17 ID:BugKwq/a0

                ,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
              /_,..-        ヽ `  、
/ ̄ ̄ ̄ ̄\ __/ /´    /    ∨   \
       惚 .|ト、_,  ´     / ,'     :    、 ヽ
 :. し れ |  /   ,   , / /|  |  :.  | | |   ∨
 :. ま て |/_///,  | |从∧. |    } | | | | |
 :  っ    .|   / イ '  { ´| |/ヽl i| { , ´/}/_}∧ |  |
   た   >、 / /{( .rY'´/へ\从{∨/ _/,.ィl| |
    ね    .|  ´/イ}lムヽ从 、弋ァ-、\V//-、ノ ,/ ∧{
\____/..     \,ハ  ¨ ̄ /! f´¨タン /ノ  \
             /l l  i    ! .ノ .i )  /
            / /i !  |!   弋ヽ-/ ./
          // i ヽ \   -‐‐、ニ´  /   ボソリ
         //  .l  \ ヽ  ゙ー--‐ ./、 
       / /     l    \.\  ノ /  \丶、
    ,.イ   /    l      \ヽ-- く l    \
        /     l o _.. -‐ てマi   l
       /___,.  l/    人レヘ. o l  、_
       _.. ‐ ¨  l     /  l  \ノl   ヽ、
                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、



玄「えっ?」

京太郎「……」

玄「ごめんね、なんて言ったか聞こえなかったんだけど……」

京太郎「いえ……なんでもないです」

玄「……?」

京太郎(この手の経験は豊富な俺…!!態度と表情ですぐに分かる……ッ!!)

京太郎(いるのだ…!男慣れしていないタイプの女には…!こういう!割とストレートに態度と表情に好意が表れるヤツがッ!!)

京太郎(松実玄…!この女……俺に「惚れている」ぞッ!!)

京太郎(しまった……。「デキる」ところを見せすぎたか…?!)

アナザー京『相棒も罪な男だな。これはちとマズいんじゃあねえのか?』

京太郎(なに……?そ、そこまでマズい事態かな…?少し厄介ではあるが……)

アナザー京『いや……晴絵が帰ってきた時の反応を考えるとな』

京太郎「……?」
86 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:34:30.19 ID:BugKwq/a0

アナザー京『晴絵は精神的には77歳の婆さんだ。もはや結婚できねえことに焦りを感じる年齢じゃあねえし…生徒の恋心に嫉妬はしねえ。むしろ応援するだろう』

京太郎(……応援されると何かマズいのか?俺が拒絶してしまえばいいだけじゃあないか)

アナザー京『ここで問題を出すぜ…』

アナザー京『あるところに、生徒の恋心を応援するために老婆心を働かせて、生徒の意中の相手を監禁しようとしたババアがいます。それは誰でしょう?』

京太郎「!!!!!」

京太郎(く…熊倉トシッ!!??)

アナザー京『正解だ。トシさんは『アトム・ハート・ババア』で「1巡前の須賀京太郎」を姉帯さんの家に閉じ込めようとしたことがあったよなァ』

アナザー京『晴絵の場合、『スタンド』じゃあねえが……同じことができる「アプリ」を持っているんだぜ…』

京太郎(はぐァーーーーーーッッ!!!!そ、それはヤバすぎるぞッ!!アナザーワンッ!!!)
87 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:34:57.14 ID:BugKwq/a0
アナザー京『ま……「1巡前」のトシさんのように手荒なことをしてくるとは限らねえし……』

アナザー京『玄さんと結ばれたところで、一生阿知賀から出られなくなるなんてこともねえとは思うが……』

アナザー京『運命の女(ひと)は決まっちまったのかもしれねえな』

京太郎(な、なにィィィィ…………ッッ!!!!!) ガタガタ…

                 ____             ___
            ,, :´ : : : : : `: .          /    \
            . : : : : : : : : : : : :\     {___j⌒ヽ  ゚。
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       { : : /: : : : : /: : : : : |: : : : : : : : い   /  --- ´
.       / \__/: : :.ィ: /!: : : : :.ハ : : : : :‘:,:  ‘, ゚. 乂,ノ
      /ー―――:{ |: i |: : : : : | ∨:.:|: : : |: : : :|: ゚◯
.     / : : | : : :|丁¨{丁{│:.:..: : i| ¨v:丁¨`:|: : : :|: :.゚
    i: i: : |: : : |ハ!ハl リ い、 :小 乂{\: |: : : :|: : i
    |:ハ :|: : : | ,ィ宍ミト } \:..゚。ィ宍ミトぃ..: : :|: : |
    || |: |: : : |〈 _)トJi:|    `¨ _)トJi:| 〉|: : : |: : |   
    || |: |: : : l ,込rク      込rク  :.: :...|: : |
    リ |: |: : : |i 。            。 |: : : |: : |
.       {: } : : ト:.:':':':     ′   :':':': イ: : :.l: : |    京太郎くん、どうしたの?すごく汗かいてるよ?
        C|: : : |:ハ      へ      /::|: : :。.: : !
      /:||i: : :{: 个: .     ̄       イ: :,゚: :.,゚: : :.|
       |: ||ハ: : :。: : : i >  ___  ィ: : : :i{: /: :/: : : j{
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       |i ゚。>''ゞミ{    ,八八    ノイ、|: : : : |: : :|
     ィリゝヘ    r=====ミ___,ィ=====ュ  |: : : : ト、:..|





                ,. ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
              /_,..-        ヽ `  、
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        ト、_,  ´     / ,'     :    、 ヽ
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           / /{( .rY'´/へ\从{∨/ _/,.ィl| |
          ´/イ}lムヽ从 、---、\V//-、ノ ,/ ∧{
              \,ハ  ¨ ̄ /! f´、_ン /ノ  \
             /l l  i u   ! .ノ .i ) U/
            / /i !.u |! U 弋ヽ-/  /
          // i ヽ \ u -‐‐、ニ´ u/     な…なんでもない…です……
         //  .l  \ ヽU ゙ー--‐ ./、
       / /     l    \.\  ノ /  \丶、
    ,.イ   /    l      \ヽ-- く l    \
        /     l o _.. -‐ てマi   l
       /___,.  l/    人レヘ. o l  、_
       _.. ‐ ¨  l     /  l  \ノl   ヽ、
                ,.  ⌒ヽ、/⌒ 、-- 、
88 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:37:42.11 ID:BugKwq/a0
玄「えぇ〜?そう……?」

玄「心配だよ…早く帰って、今日はゆっくり寝よう?」

京太郎「そ、そうですね……そうしましょ…う…」

京太郎(嘘だろう……?!)

京太郎(この須賀京太郎の人生に…!彼女は勿論…!妻なんていらない…ッ!!)

京太郎(誰かと暮らしてもストレスが溜まるだけだッ!!自分の思うよーに生活することができなくなるのだからッ!!)

アナザー京『ちなみにおれ自身は相棒が恋愛する分にはいいことだと思うぜ』

アナザー京『照さんはおれのもんだしおれは照さんのもんだが、相棒は勝手に誰かと結ばれてくれても構わねえ。いい経験になるしな』

京太郎(貴様ッ!!同じ「須賀京太郎の片割れ」が窮地に陥っているというのにッ!!他人事かッ!!!!)

アナザー京『ま……ガンバレ。おれからはそれしか言えねー』

京太郎「くっ!!!」


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           -‐==〈ニ二¨¨⌒ ー==彡' _ノ / ∧ リ :l/J:: {_∧}  ̄´
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-‐==ミ,/        |   |:ニ\\_      厂{rf)ノ...:::  〈'゙ |: : |
      \        |   |ニニ{\_,) \  .:`¨¨´‐'.:::..   ..::. 八: }         ヘ、   (ど…どうすればよいのだッ!!??)
                |   lニニ八   ゚,   \    u  u 、__/ ,′}/        /   /  /\
.        }       |   |ニニニニ\__∧   :. lj U __ ..ィ ′:/       ノ: .  / /ヘ  冫
‐-        \、 : : . . |   人ニニニニ/《_込   :}    /`二フノ{丶>      /  ¨7´ {{__//
      く: : : : :..\ : : }     \ニニ/{i:i:i:i:i:i}|> .    ー=彡'八/   __/    :厂  ̄「  , -―=ミ
      \: : : : ::::.   {__    }\} }《__》{ |   >   __ノ: ..:}  /广¨}:.     ..::/  i  .::{ ̄{[ ̄]  }
        : : : ::::}}  : : /:...  {ニニニ|i:i:i:i:| |:....∠,   /. ........:::::://. :/ ..::{::      }   | ..:::}ニ`二二¨´
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89 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:39:23.32 ID:BugKwq/a0
おれは京エイをやめるぞっ!!ジョジョーーーッ!!!


なんか思いつくままに書いてたらすげー長くなったしこんな展開になったが後悔はしていない

それではまた
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/24(月) 00:44:21.23 ID:+FMJN0pHO
乙です
過去話で且つ3回戦でスタンドには目覚めてなかったし
今のところ親父による襲撃は阿知賀には及んでなさそうか
91 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/24(月) 00:53:15.07 ID:BugKwq/a0
最初は晩世威団(前作のネタ)に絡まれたクロチャーを京太郎が助ける……みたいなありきたりな話にしようかと思ったけど、

明華のときに同じようなの書いたしこっちの方が吉良京太郎っぽいかと思ってやめました


てか小ネタのくせにマジで長くなるな……阿知賀は1部から関りあるししゃーないか

これが1部でも2部本編でも絡みのないなるカッスとかだともっとささっと終わらせられるんだけど……咲原作並みに本筋進まなくなってすません

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/24(月) 04:45:55.00 ID:mTewNwJU0
なかなかアプリを悪用しないクロチャー
早く悪用するんだよ!
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/24(月) 14:16:04.82 ID:oyyk77yA0
これだけガッツリ描写や話練り込んでるんなら
多少時間かかっても無問題よ

ただ懸念としては
あまりガッツリ仲が進展したりすると
既に書かれている3回戦でクロチャーが京太郎にほとんど無関心だったことに対して
矛盾みたいなのが生じていかないかが心配ではある
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/25(火) 21:02:13.43 ID:cl+gWVFY0
今週当たりから1か月ほど時間がないとこぼしていたけど…
もうそろそろ更新休止か?
95 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 00:29:31.80 ID:+RttcvUs0
時間がねえ!お金もねえ!SS書いてる場合じゃねえ!

テストの勉強 職場の環境 色々解決せにゃならねえ!

だけどやりたい準決勝! それでも書きたい玄との逢瀬!

しゃにむに更新するっきゃねえ! YO!


というわけでちょっとだけやります ガチで更新してる場合じゃないんだがまあええか
96 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 00:43:31.21 ID:+RttcvUs0
京太郎(次の日から……俺の懸念は段々と現実味を帯びていった…)

京太郎(松実玄は異性経験が少なかったのだろう……まるで…好意を寄せる異性との接し方というのを心得ていなかったのだ…)



―翌日・阿知賀女子麻雀部―


京太郎「ロン、6400」 パタッ

憧「っ……」

京太郎「せっかくの親番で張り切るのは分かるがね……些か攻めが拙すぎるんじゃあないのかね?」

京太郎「俺の存在をもう少しばかり意識した方がいい。俺は焦って鳴きにくることくらい読んで待ちを作っているのだ」

憧「意識してるから速攻を頑張ってんだけどねー……」

京太郎「俺を相手にして配牌四向聴以下で和了りを目指すのは無謀だよ…」

憧「んん〜……」

京太郎「それに…ここ数日見ていて思うのだが、攻撃に使うスペースが広すぎるんじゃあないかい?」

憧「スペースねぇ……」

京太郎「最大限鳴きの可能性を上げにいくというのは下手な打ち手のやることだろう」

京太郎「友人に優れたデジタル打ちがいるのだが、彼女の場合は第一ツモの時点で和了可能性をキッチリ計算してオリる時は完璧にオリてくるよ」

穏乃「えっ、それってもしかして……」

京太郎「ん……。君たちも知っているだろう。原村和だ」

憧「!! の、和……」
97 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 00:45:56.44 ID:+RttcvUs0

穏乃「えっ!?須賀さんって和と仲良かったんですかっ!!??」

京太郎「……そうだね。最近仲良くなったよ」

穏乃「へぇぇーー!!!!」

憧「そ、そうよね……。同じ学校の同じ部活だもんね……」

穏乃「えっ、和って向こうではどんな感じなんですか!!??めっちゃ気になるっ!!」

京太郎「ん……そうだな…」

玄「え〜!私も、和ちゃんのお話聞いてみたいなぁ〜!」 ムギュッ

憧・穏乃「!!??」

京太郎「……玄さん。暑いので、後ろからくっつかないでいただきたい」

玄「あっ、ご、ごめんね!おねーちゃんにやってあげると、いつも喜ぶから…つい……」

宥「玄ちゃんはあったかいからね〜」 ポヤーン

灼「……」
98 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 00:56:04.77 ID:+RttcvUs0

灼「なんか玄……。今日…全体的に、須賀くんとの距離が近くな…?」

玄「えっ?そ、そうかなぁ?」

憧「やっぱそうよねー。今のだけじゃなくってさ、今日部室来た時もやけに距離近いなぁって思ったし」

玄「えっ、えぇ〜?そ、そうだったかなぁ……」

京太郎(そうなのだ。俺のパーソナルスペースは1メートル13センチ……それを1メートル以上侵していたッ)

京太郎(俺のパーソナルスペースが人より若干広いというのもあるが……あまりに侵略しすぎ…)

京太郎(俺がさり気無く距離をとっても……無意識なのかどうなのかは知らんが、自然と距離を詰めてくるというのが厄介…)

京太郎(例えばこうやって……6度ほど前かがみになると……) ススッ

玄「そんなことないと思うんだけどなぁ〜……ねえ、京太郎くん?」 ススッ

京太郎(やはりッ!!6度こちら側に寄ってくるッ!!)

穏乃「あーっ!!」

憧「? どうしたのよ、急に大声出して」
99 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 01:35:53.43 ID:+RttcvUs0

穏乃「なんかさっきから変に思ってたんだけど……!」

穏乃「須賀さんがちょっと動くと、玄さんもその方向にちょっとずつ動いてるっ!!」

京太郎「!!」

憧「は?なにそれ」

穏乃「いや、磁石みたいな感じっていうか!!とにかくそんな感じで!!」

玄「え〜?それはないよ〜」

宥「あ、でも分かるかも〜」

玄「ええ〜?」

京太郎(こいつ…!一見鈍感そうに見えて……観察眼が鋭いぞッ!!)

京太郎(案外…!デキる…?!)

憧「や、でもそんな感じで動きが連動してるかどうかはともかくとして……今日の玄はちょっと様子違うわよね」

玄「うぅん……そんなはずないんだけどなぁ」
100 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 01:39:11.77 ID:+RttcvUs0

灼「……何かあったの?」

玄「え〜?特になにもないよ〜」

憧「………」

憧「……!」 ピコーン

憧「……あー、そういうことね」

穏乃「え?どういうこと?」

憧「シズ、灼さん、宥姉、ちょっと廊下に集合!」

穏乃・宥「??」

玄「え、私と京太郎くんは仲間外れなの……?」

京太郎「……」

憧「ちょっとね〜あ、悪口とかそーいうのじゃないから!」 ガチャッ バタン
101 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 01:42:00.77 ID:+RttcvUs0
―廊下―


灼「どうしたの……なんでわざわざ廊下…」

憧「やー、本人たちの前で話すのもなって」

穏乃「??何を?」

憧「えー、あそこまで露骨だったら気づかない?」

憧「玄……絶対須賀のこと好きになってるわよ!」

灼「!!」

穏乃「!?!!?!」

宥「あ、そうだったんだ〜」

穏乃「え、ま、マジっ!!??」

憧「マジマジ。だって乙女の顔してるもん」

穏乃「お…乙女の顔っ!!こんな感じっ!?」 ニヘラ

憧「いや、それは違うけど」

穏乃「ウェヒヒ」
102 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 01:48:21.02 ID:+RttcvUs0

灼「そういうことだったんだ……でも、確かにそれなら納得もいく…」

宥「玄ちゃんに好きな男の子ができるなんて、初めてかもね〜」

憧「そうそう。初めてだから、あんな感じで好き好きオーラ出しまくっちゃうわけ」

憧「ホントならもうちょっと恋の駆け引きってもんがあるはずなんだけどなぁー」

穏乃「え?恋の駆け引きって……どんな感じなの?!!」

憧「……いや、パっとは出てこないわ。……うちら女子高の民には難しいのかもね」

穏乃「なんだぁ」

憧「……で!みんなで廊下に集まったのはそれを確認しておきたかったのと……」

憧「どうやったら玄と須賀をくっつけられるか?!を考えるためよっ!」

穏乃「おぉー!!」

灼「え、くっつけにいくの……」

憧「だって、ハルエが帰ってきたら須賀も東京に帰っちゃうかもしれませんし。時間はないですから!」

灼「そのモチベーションはなに……」

憧「え?だって……面白いでしょっ!?」 ニヤ

灼「……女子高生っぽ…」

憧「JKですから!」
103 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 01:51:42.92 ID:+RttcvUs0

穏乃「でもでも、確かに名案かもっ!!」

穏乃「玄さんに彼氏ができたら、すっごくおめでただしっ!!」

憧「おめでたって言ったらなんかニュアンス変わる気もするんだけど、そういうことよね」

宥「私も賛成だよ〜」

憧「じゃあ、須賀&玄のカップル成立のために何ができるか、だけど……」

憧「……どうすればいいと思う?」

灼「……わかんな」

穏乃「えっ……難しいなぁ」

宥「うぅん……すぐには思いつかないよ…」

憧「……まぁ、そうよね……あたしもイマイチどうすればいいのかよくわかんないし」
104 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:04:42.51 ID:+RttcvUs0

憧「あ、そうだ。うちらが今から理由付けて帰っちゃって、二人っきりにするとか」

穏乃「お!!いいね!!」

灼「私はできるけど……宥さんは?」

宥「あ……私が帰ることになったら、玄ちゃんたちも帰っちゃうよね……」

憧「でも、学校の用事で、とか言えば……あ、でも今夏休みだしそれもヘンよね……」

灼「……この案は無理」

宥「そうだね〜……」

憧「うーん……結構いいアイデアだと思ったんだけどね」

穏乃「……!!」 ピコーン

穏乃「そうだーっ!!いいこと思いついたっ!!」

憧「なによ、言ってみて」

穏乃「アプリだよっ!!」

憧「!」
105 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:10:45.82 ID:+RttcvUs0

穏乃「アプリで、須賀さんに玄さんと仲良くなってもらえばいいんじゃないかなっ!!??」

灼「あ……存在を忘れてた……」

憧「確かに……。一番手ごろなツールがあったじゃない…!」

宥「名案だね〜!」

憧「玄は初めて好きな人ができて舞い上がってるカンジだし……調子よくポンポン命令して、二人の仲は急接近…的なカンジになるかもっ!!」

穏乃「よーしっ!!それでいこうっ!!」

灼「というか……それで「玄を好きになるように」命令すればいいんじゃないの…」

宥「え〜?それはダメだよ〜」

灼「なんでですか?」

宥「アプリの効果で須賀くんが玄ちゃんを好きになってくれても……それはちょっと違う気がするし…」

憧「まぁ、それはそうよね」

穏乃「うん……。でも、アプリで色々してもらってるうちに須賀さんが玄さんを好きになったならそれは問題ないよっ!!」

憧「うんうん!じゃ、戻ってそーいう流れにしてみましょうか!」

穏乃「おー!!」
106 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:17:11.73 ID:+RttcvUs0
―部室―


憧「やっほー」 ガラララッ

穏乃「ふぃー」 

玄「あっ、みんなー!廊下で何してたの?」

憧「いやいや、そんな大したことじゃないんだけどね」

玄「えー?気になるのです……」

京太郎「……」

玄「ねぇねぇ灼ちゃん、何を話してたの?」

灼「……えーと……ハルちゃんの作ったアプリ……便利そうだね…って話…」

玄「えぇ?そんな話なら、ここでしてもよかったんじゃ」

灼「……」

穏乃(灼さん、嘘下手っ!!)
107 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:18:33.91 ID:+RttcvUs0

憧(もう……)

憧「いや、そりゃあれよ。男子には聞かせられない乙女の会話ってのがあるでしょ?」

京太郎「……?」

玄「私は乙女じゃないの……」

憧「いや、玄が須賀を見張ってないと、部室で何されるか分かんないしね」

京太郎「どういう意味だ」

憧「だって、小学校の時とかいたじゃない。好きな子のリコーダー舐めるキモいヤツとか」

穏乃「あー!!いたいた!!」

京太郎「おい……。俺がそーいう類のことをするとでも言いたいのかね?」

憧「いやぁ……念のため、ね?あたしのカバンの持ち手とか舐められてたら発狂するわ」

京太郎「舐めるかッ!!汚らしいッ!!」

憧「あら失礼」 オホホ
108 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:22:06.01 ID:+RttcvUs0

憧「ところでさー、なんかヒマね」

京太郎「……君たちはインハイに向けて練習しなければならないんじゃあないのか?」

憧「いや、息抜きも必要でしょ」

憧「と、いうわけでさ。須賀、なんか面白い話してよ」

京太郎「なんという無茶振りを……。いきなりそう言われてもね……」

穏乃「えー、聞いてみたいなぁ。須賀さんのすべらない話!」

京太郎「嫌だ……」

宥「私も聞きたいかも……」

京太郎「そう言われましても……」

灼「あ……そうだ。玄、アプリで須賀くんに命令してみたらどう…?」

京太郎「なにッ」

玄「えぇ〜?うーん……」
109 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:27:10.64 ID:+RttcvUs0

玄「でも、須賀くんが嫌がってることを命令するのはちょっと……」

玄「それに、私はこのアプリあまり好きじゃないのです……命令する、っていうのがあんまり……」

憧「そうね……あー、じゃあ「命令」じゃなくて「お願い」だと思えばいいんじゃない?」

玄「「お願い」?」

憧「そうそう。嫌がることを無理やり命令してる、って言うより「お願い」してやってもらうって言うんなら別に問題ないでしょ」

京太郎(いや……拒否権がないのだから同じではないか…?)

憧「なんか「お願い」したら、その見返りに玄がなんかしてあげるとかさー。そういうのだったらいいんじゃない?」

玄「!」

玄「……なるほど……」

京太郎(あっ、この女……余計なことを付け加えてくれたなッ!?)

玄「……確かに……。そういうことなら、アリかもしれないのです……」 ムムム

憧「でしょー!じゃあ早速、須賀に「すべらない話」をさせてみてっ!!」

憧「後で玄がお礼になんかするって条件で!」

玄「……そうだねっ!じゃあ須賀くん、何か面白い話をしてみてくれる…?お願いっ!」

京太郎「!!」 ギュギュウウン
110 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:37:15.85 ID:+RttcvUs0

京太郎「面白い話…すべらない話…か」

京太郎「……短くて構わないか?」

憧「モチ」

京太郎「なら……そうだね。この須賀京太郎……「心の平穏」を保つことを心掛けて日々を過ごしているが…」

京太郎「その平穏が乱されるトラブルというのは残念ながらある程度起きてしまうものだ……」

京太郎「これはその一例なのだが……」

穏乃「おーっ!!なんか始まったっ!!」

京太郎「俺はハイブラ趣味でね。アパレルは全てお気に入りのブランドで固めると決めているのだが……」

憧「うわー、いるいる。そういう人」

灼「お金持ちにしかできな……」

京太郎「まぁ…わけあって金に不自由はしていないんです。そちらの話については省きますがね」
111 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:47:44.91 ID:+RttcvUs0

京太郎「それで、学校に行くときの鞄はルイヴィトン。休日に外出するときはヴァレンティノ…といった具合に使い分けたりもしているのだが……」

穏乃「うひゃー、何語か全くわかんないや!」

京太郎「先週……ちょっとした用事で日曜日に出かけることになってね」

京太郎「その日は少し浮かれた気分だったので、グッチのね……赤と緑のラインが入ったものを使おうと、戸棚を開いたのだ」

宥「うんうん」

京太郎「その時は何も違和感を覚えなかった。普通にバッグを持ち出して外出したよ」

京太郎「しかし、電車に揺られて、膝の上にバッグを抱えているときに……妙に思った…」

灼「何が…?」

京太郎「女性は革の良し悪しに敏感だと言いますが……俺もある程度の目利きくらいはできるんです」

京太郎「そして気付いたのが……「持ち手」の部分と鞄本体で……それぞれ、革の劣化の度合いが違うように思えたッ!」

憧「? それって、持ち手の部分はよく触るとこだからとかじゃなくて?」

京太郎「そうだろう……。普通はそう考える……「持ち手」の方が革が劣化していたと考えるだろう……」

京太郎「だがそれが……逆だったのだッ!!」

憧「逆??」

京太郎「「持ち手」の革よりも……「本体」の革の方が劣化していたのだッ!!」

玄「へぇ〜……なんでだろう?」
112 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:53:27.74 ID:+RttcvUs0

京太郎「俺が今……この話をしたのには理由がある」

京太郎「新子憧……先ほど「小学校で好きな子のリコーダーを舐める輩がいた」という話をしていたね……」

憧「え?うん。それがどうかしたの?」

京太郎「ここで追加の情報を出しておくと……俺にはひとり、厄介なストーカーがいるのだがね」

玄「えっ……」

憧「いきなりとんでもない話ぶっこんできたわね」

穏乃「そんなポンって出す情報それ?!!」

宥「な、なにそれ……」 ブルブル

灼「こわ……」

京太郎「もうお分かりいただけただろうか……?」

憧「え……?いや、全然分かんないんだけど……」

京太郎「……「それ」だったのだッ!!」

京太郎「俺のストーカーは……「好きな子のリコーダーを舐める」というのと同じことを……俺の鞄の「持ち手」にしていたッ!!」

玄「えぇぇぇっ!!???」 ゾゾゾゾッ

宥「ひぃっ……」 ブルブルブルブル
113 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 03:58:01.70 ID:+RttcvUs0

憧「え、まってまって……わけわかんないんだけど……」

憧「カバンの「持ち手」を舐められてたってわけ??」

京太郎「そういうことだ…」

憧「うわキモ……」

穏乃「へぇー……いるんだ、そういう人って……」

京太郎「ただ、そのストーカーとは以前キチンと話し合いをしていてね。基本的に俺に迷惑をかけないように誓わせている」

灼「いや十分迷惑でしょ……」

京太郎「……まぁ、そうなんですが。しかし、俺としては許容範囲だった」

宥「心が広いんだね……」

京太郎「そうじゃあありません。なぜなら、俺に特に害はなかったし……舐められた「持ち手」を持たなくっちゃあならなかったわけじゃあない」

玄「??」
114 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:05:37.85 ID:+RttcvUs0

穏乃「どゆこと??」

京太郎「「革の劣化」の度合いが違ったという話をしたね。なぜか「持ち手」の方が劣化していないと……」

穏乃「うん」

京太郎「それは……「取り換えられていたから」だったのだッ!!」

阿知賀女子一同「?!!」

京太郎「俺のストーカーは…ッ!自分が舐めた「持ち手」を持った俺が不愉快な思いをしないよう…!「持ち手」を新品のものに「取り換えていた」ッ!!」

穏乃「なんじゃそりゃーっ!!??」 ズコー

京太郎「どうやったのかは分からないッ!!まさに職人技だったッ!!グッチの名匠が取り付けたのと同じように本体と持ち手が接合されていたのだッ!!」

憧「えぇ……」

京太郎「そもそも……戸棚の中に置いてある俺の鞄をいつの間にどうやって持ち出したのかも分からないのだがね」

宥「こわいよ…」 ブルブル…

京太郎「ま……以前ならこれでも発狂していた俺だろうが…耐性がついたのか、むしろ新品の同じ製品を買って職人技で持ち手を取り換える根性に感心したものです」

京太郎「以上、須賀京太郎のすべらない話でした」

憧「いやいやいや……すべらない話じゃなくて怖い話だったんだけど…」

京太郎「む……。確かにそれもそうか……」
115 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:13:00.65 ID:+RttcvUs0

京太郎「いや……面白い話をしろ、というのは難しいものだな」

京太郎「パッと思い浮かぶのはそのストーカーのエピソードばかりでね」

京太郎「以前も同じような機会があったのだが、怖がられてしまったよ」 フフフ

穏乃「慣れ切っちゃってる須賀さんももはや怖いよー…」

灼「大変なんだね……」

玄「け、警察とかには言わないの?」

京太郎「いや……。詳しくは言えませんが、なかなか立件が難しそうなんですよ」

京太郎「脅迫だとかそういう類のことはないし、恐らく警察は取り合ってくれない……。俺が男性というのもありますが」

宥「かわいそう……」

京太郎「それに、首尾よく警察が捕まえてくれたとしても……裁判所の接近禁止命令など無視しそうなものだし、刑務所に入ったところで脱獄してきそうな女なので」

玄「えぇ……。どんな人なの……」

京太郎「ま…そういう人間はいるのでね。俺はもう割り切って捉えている」

京太郎「俺が不愉快にならない範囲…「平穏」が乱されない程度なら…まぁいいか、と……」

京太郎「なので、「平穏」の裏で暗躍している彼女の存在にはノータッチを決め込んでいるんです」

玄「うぅ……。ほんとにかわいそうになってくるよ…」
116 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:19:34.11 ID:+RttcvUs0

憧「いやぁ……なんか…夏にぴったりな背筋の冷える話だったわね…」

穏乃「須賀さんも苦労してるんだね……」

京太郎「ま、そうなのだよ」

玄「うぅ……。辛くなったら、誰かに打ち明けたりとか、警察の人に強くお願いしてみたりとかしようね?」

京太郎「その必要はないですね。心配はいりませんよ。平気なので」

宥「須賀くんは心が強いね……」

灼「メンタル強者……」

京太郎「それは自負してますよ(精神力値145)」

憧「あっ、そうだ。玄、須賀へのお礼ってどうするの?怖い話してくれたお礼」

玄「あ……そうだね。どうしようかな……」 ウーン

京太郎「いや……いりませんよ。あまり面白くもなかったですし」

玄「代わりに怖かったからね……」

117 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:25:34.58 ID:+RttcvUs0

玄「……あっ!!そうだっ!」 ピキーン

玄「ストーカーの人にも負けずに頑張ってる京太郎くんを……たくさん褒めてあげるのです!!」

京太郎「は……?」

京太郎「いや、別にそんなもの……」

玄「京太郎くん、えらいね〜。よく頑張ってるよ〜!すごいね〜」

京太郎「はぁ……。ありがとうございます」

憧「!」 

憧「玄さー、言葉だけじゃなくって……頭撫でてあげたりとかしたら?」 ニヤリ

玄「えっ!!」

京太郎「!!!!!」

京太郎(な゛ッ!!な゛にィィィィィィィィィィィッ!!!!????)

京太郎(松実玄のカワイイ手で…!!頭を……撫でるッ!!!???)

京太郎(そッ!!それは……それはマズいッ!!)




                         / ̄ ̄¨¨ ニ=ミ__r=ミ-- 、
                         ___/==一  ー=ミ  \ < ⌒\ 
                   厂 ̄ -―====ミ \ {  ヽ ̄ ̄ヽ- 、
                  // >―‐===ミ \ ヽ}   } }} /
                     / ー=彡  _____  \ \ } ノ /ハ¨¨>
                 /-‐=ニ二. ___ \  ヽ ∨ //' }-<
                    / 厂 ¨二ニ=‐====ミ\ }  }} } //⌒ ー‐=、___
                ∨ >‐一  / ̄ ̄ミ /⌒ー=ミ /⌒ ー―=ミ   /
                〈〈ー=ニ二 .. _/⌒)八 </´   ∧ /八  \_,/
                   }乂________彡' /  } {从  } | / :::/イリ\ \
           -‐==〈ニ二¨¨⌒ ー==彡' _ノ / ∧ リ :l/J:: {_∧}  ̄´
        ´     -‐=〕 ー=ミ ー=ニ .. ____/  :::.∨ U ::.. ノ}  リ
     /    ,/    ,八{{ Y⌒\ー=ミ}厂}  U u ⌒ヽ  ,:://{⌒〉
    /    ,/    /  乂| {\ V=彡  〉-‐=ミ、_   :. }|_,ノ},}: : |
. /    ,/       l    八八(〈_ \}   /'⌒二≧=ミ辷} |f)ノ{: :|
-‐==ミ,/        |   |:ニ\\_      厂{rf)ノ...:::  〈'゙ |: : |
      \        |   |ニニ{\_,) \  .:`¨¨´‐'.:::..   ..::. 八: }         ヘ、 (キレイな手で頭を撫でられるなどッ!!無力化されてしまうッ!!)
                |   lニニ八   ゚,   \    u  u 、__/ ,′}/        /   /  /\
.        }       |   |ニニニニ\__∧   :. lj U __ ..ィ ′:/       ノ: .  / /ヘ  冫
‐-        \、 : : . . |   人ニニニニ/《_込   :}    /`二フノ{丶>      /  ¨7´ {{__//
      く: : : : :..\ : : }     \ニニ/{i:i:i:i:i:i}|> .    ー=彡'八/   __/    :厂  ̄「  , -―=ミ
      \: : : : ::::.   {__    }\} }《__》{ |   >   __ノ: ..:}  /广¨}:.     ..::/  i  .::{ ̄{[ ̄]  }
        : : : ::::}}  : : /:...  {ニニニ|i:i:i:i:| |:....∠,   /. ........:::::://. :/ ..::{::      }   | ..:::}ニ`二二¨´
        }: :.::/.:    /:::....   {ニニニ|《__》| |:::::.../   /. :....:::::::::/ノ : /...::::::::}    . :   / |..:::::::} {[ ̄]  }
         /. :     \::::.....::{ニニニ|i:i:i:i:| l:::: /::...../. : ...::://{  :/    {  . :/ / {  ...:厂〔匚} ̄〉


118 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:30:16.24 ID:+RttcvUs0

玄「そ、そうだねっ!そのくらいしないと、褒めてあげてる感じしないもんね〜!」

京太郎「まっ、待って――玄「よしよし、えらいね〜」 ナデナデ

京太郎「ふぐぅッ!!??」 ビクゥッ


憧「……?!」


玄「京太郎くんはとってもえらいのです」 ナデナデ

京太郎「あ、あ、あ……!!」 プルプル…


灼「え、なんか様子が……」


玄「なでなで〜」 ナデナデ

京太郎「あ、ぐ、が、ぎ……!!」 プルプルプル…


宥「ど、どうしたの?須賀くん…」

穏乃「!! 様子が変だッ!!玄さん、今すぐナデナデを中止するんだーーーーッ!!!!」


玄「えっ?」 ナデナデ

京太郎「は、ふ、は、お、ぁ……!!!!」 プルプルプルプルプル


穏乃「玄さんッ!!手を動かし続けちゃあダメだァーーーーーーーッッ!!!!!!」
119 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:37:42.91 ID:+RttcvUs0


憧「な、なんか須賀が変よっ!?」

灼「震えてる……」

宥「だ、大丈夫……?」

穏乃「須賀さんの表情がおかしいッ!!今すぐ頭を撫でるのを止めなきゃダメだーーーーッ!!!」


玄「え、きょ、京太郎くん?」 ナデナデ

京太郎「う―――――――!!!」 ビクンッ

穏乃「!! す、須賀さんの顔がーーーーーッッ!!!!」




      ∩.⊂⊃     ___   n n
  .     l | ⊆⊇ __  └ーtノ   l」 l l
 ..    Ll(⊆广  つ)  广ー┐   .rリ
                 ̄ ̄

        ,..-―へ/ . : : :ヽー- 、
        彡';´.:/.: : : ; : : ヽ: : .、ヽ
         //: : i: : : : :ハハ: : ;ハ:i、 iヾ、
   ー--‐':´: : : : |: : : | |   ゙、: ! И人ト、
   \__: : : /: :ヽ!、: |!    V     ハ
       / : /: : :/   r- 、 __, -‐'   !
        !:∠:イ´   丶、 _     _,..ノ
        |ハ:(        U   ̄ ̄   /    はぅぁ〜〜〜…………
        |;ヘー\            /
            \: ;ヽ、   r--‐'′
           r―┴┐ ├┬┐
          ノ::::::::::::::|i  ! _|O|_
          /:: ̄ ̄ ̄\「:::: ̄:::::::\




穏乃「あの顔は!さっきまでの不機嫌そうな難しい顔じゃあないッ!母親と会話する息子のようにやすらいでいる顔だ!」

憧「よだれ垂れてるしっ!!??」
120 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 04:44:33.84 ID:+RttcvUs0

京太郎「フゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 ウットリ

京太郎「ハァァァ〜〜〜〜〜〜〜落ち着くゥ〜……」

京太郎「もっと…もっと撫でてください…」

玄「えっ……だ、大丈夫?」

京太郎「大丈夫です……。手を止めないで…一定のリズムで動かしていてくれればそれで…」

玄「う、うん……わ、わかったよ?」 ナデナデ

京太郎「アフゥゥゥゥゥ〜〜〜……」


憧「え、えぇぇ……」

灼「す、須賀くん……。こ、こんな顔するんだ……」

憧「クールぶってる普段のカンジからは想像もできなかった光景ね……」

宥「気持ちよさそうだね〜」 ポヤーン
121 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 05:06:11.72 ID:+RttcvUs0

玄「きょ、京太郎くんは……頭を撫でられるのが好きなの?」 ナデナデ

京太郎「ええ……。大好き…大好きです…」 ウットリ

玄「!」 ドキッ

玄「そ、そっか〜!それなら、これからもしてあげるねっ!」 ナデナデ

京太郎「ぜひ…!是非とも…!お願いしたい…!」 


京太郎(この時から俺は……アプリの命令に抗おうだとか…松実玄が厄介だとか…そういった考えを捨て去った…)

京太郎(完全に虜にされてしまったのだ……。松実玄のカワイイ「手」に……)

京太郎(一瞬殺意も湧いた。松実玄を殺してこの手を奪い取ってやりたい衝動も湧き上がってきたが……キチンと抑えた…)

京太郎(アルコールが回っているときと同じ……)

京太郎(理性と欲望の境界線がぼやけていると……普段は理性に抑制されてやらないようなことだってしてしまう……)

京太郎(涎だって垂れてくるのに気づくのが遅れるし……立ち小便くらいいいか、と思ってしてしまうとはいえ……)

京太郎(室内で放尿してしまおうなどとは考えない……。そのくらいの理性は残っているからだ……)

京太郎(それと同じで……松実玄を殺害してしまえば、晴絵との間で何か問題が生じかねないと思われるからヤメだ……)

京太郎(それに……冷たくなった「手」を愛でるのは普段から小鍛治健夜の「左手首」で堪能しているが……)

京太郎(「あたたかい手」というのはそれとはまた違った良さがあるじゃあないか……)

京太郎(少なくとも今……殺してしまうのは惜しいぞ…)

京太郎(だから殺さん……。今はただ……この「あたたかい手」を堪能するのみ……っ) ホッコリ


アナザー京『そもそも殺人衝動抱くのが狂ってんだがな……』

アナザー京『それに、阿知賀の波紋雀士らの前で松実玄殺害が頭をよぎってること自体理性がやべえことに気付けよ』

京太郎(あ……それもそうか…)

玄「なでなで〜」 ナデナデ

京太郎(まあなんでもいいか) ウットリ
122 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 05:07:13.33 ID:+RttcvUs0
話進まねえ!短編っていったら5〜10レスくらいで終わらせるつもりだったのに

ちょっと休憩してから再開します
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/28(金) 07:05:26.60 ID:4RDVI6WxO
面白いから気にせず続けたまえ
124 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 09:13:06.97 ID:+RttcvUs0

京太郎(その日から……松実玄は弾けた)




〜帰宅後〜

―松実館―



玄「あっ、京太郎くん!」

京太郎「なんです?玄さん」

玄「ちょっと「お願い」したいんだけど……松の間のお客様と麻雀のお相手務めてもらえないかなっ?」

京太郎「構いませんよ」 ズギュウウン

玄「ありがとう〜!私もおねーちゃんも、今手が離せなくって……」

玄「あっ、お客様相手だから、ほどほどにね?」

京太郎「ええ。俺は手加減は得意なので……波風の立たないように打ってきますよ」

玄「流石京太郎くんなのです!」 ナデナデ

京太郎「はふぅ……」 ウットリ



京太郎(これはただの仕事の依頼であって……初日に説明されていた業務の一環ではある……)

京太郎(撫でられることで俺の心が安らぐというオマケがついただけ…)

京太郎(無論この程度は序の口に過ぎない……)
125 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 09:15:49.11 ID:+RttcvUs0

その夜…


―玄の部屋―


京太郎「玄さん、俺です」 コンコン


玄「あ、京太郎くん!入って〜」


京太郎「はい、失礼します」 ガラララッ



                        .  -‐……‐-
                      /:::::::::::::::/:::::::::::::::::\
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                     |:l::::|:::::::::|:::::|::::::::|::::厶 j/ fれ::|i:::|
                     |:l::::|::::::八::::|::::::::レf: r}  りハノレ′
                     |:l::::|:::i::| ∧:|::::::::找, ,ン   `Г
                       八:::∨ |/:::∧::::::八 rvヘヘ n从    京太郎くん、今日もおつかれさまでした!
                   //∧:::∨::::∧ 〈:::::::: '| | | |∨:::}
                   |::::|:∧:::∨:::小‐',:::::::\/ /__}:乂
                   !-|:::∧:::∨::|小 |\:::::::::`¨¨ア_
                  /  | :::∧:::∨|::|:: |:::::|\_彡'′ \
                   |   | :::|:∧:::∨:|:: |:::::|\:::∨    ノヘ
                   |\ | :::|:::∧::::Y:::|:::::|  |::::| {  /  }
                   ∧ }| :|:/::∧:::Yi|:::::|  |::::| ∨/  ハ
                   / ∧ { |::::/:::/ ∧ : 寸::::|  |::::|   〈   |::|
                  /:∧} |:/: :/::/::: \:::\| / : |  ノ:, ||
                    /:::::::/ /::::/::/:::::::::/:\:::\:::::人    ヽ |::|
           /⌒¨¨´:::::/|/::::::/:::::::::∧:::::::\:::\  \   Vハ
           (:::::::::::(¨¨¨´ /:::/::::::::::/::::::::::::::::::\::::.     }} }___
       ____ア⌒ニ=-‐=ニア:::::::::::/::::::::ノ^\::::::::::|:::|    丈彡'⌒) )
 (___/ ̄::::::::::/ >、、   /:::::::::/{:::::::::::::{⌒  \::::∨   イ⌒¨¨))くく
.  >'´::::::::::::::::/ /   \_/::::::::::::/  {:::::::::::::{  {\ \::寸¨        )\
 /:::::::::::::::::___|/       /::::::::::::/⌒^{:::::::::::::{  {  \ \`¨¨¨¨¨¨¨¨¨::'く
 {:::::::::://¨ア        {:::::::::::/  八:::::::::::::\ 〉  }  }`¨'く::::::::\:::::::::\
..人::::::(  |, ′         人::::::/   /   \:::::::::::\__{   \_\:::::::\:::::::::\
/::/\::ヽ/    ‐-  ../:::ハ:::{:        \:::\:::\  ̄V ハ \\::::::}\:::::::::.
{:::{  }::/          /:::::/、 j圦      .   ´ }::::::}\:::\  '/ }ノ\  } :: }  ',::: }
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  7-‐……‐-  .,      / ,::::′  {/{/            .| | /:::::::(   `¨´
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京太郎「玄さんこそ、お疲れさまです」
126 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 09:18:59.44 ID:+RttcvUs0

京太郎「ところで、何の御用ですか?仕事が終わったら部屋に来るようにとのお話でしたが」

玄「えっとね……京太郎くんに「お願い」があって……」

京太郎「……なんです?」

玄「今日はお客様が多くてちょっと疲れちゃったから……肩もみしてもらおうかなーって!」

京太郎「肩もみ…ですか」

玄「うん!もちろん、私もお礼に京太郎くんの肩もむよ〜」

京太郎「はぁ……なるほど」

玄「揉み合いっこしようってことだったんだけど……ダメかな?」

京太郎「うーん……」

玄「「お願い」!京太郎くん!」

京太郎「分かりました」 ズギュウウン
127 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 09:22:26.59 ID:+RttcvUs0

京太郎「何を隠そう……この須賀京太郎は健康オタクでしてね…」

京太郎「血行を良くする揉み方くらいは心得ているんです」

玄「おぉ〜!そうだったんだ〜!」

玄「じゃあ、期待しちゃってもいいのかなっ?」

京太郎「ハードルは越えますよ」

玄「それは楽しみかも!じゃあ、お願いしますっ!」



   _   r'^>/^ゝ      r-、  ,、    _   r'^>/^ゝ      r-、  ,、
  |  `l / // /      / / く ヽ  |  `l / // /      / / く ヽ
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                     (Y⌒ヽ\:\}/ ̄∨ / Y⌒ヾく)
                   ,ィ八しjク::::::\/ : : : ∨:::::::乂フリ‐{)
             ,__|Vレく(、トヘハ:::彡三入: : : 〈三o\::r'/
           /ト、ヽ==ミ、} l 〉〉}ノ):::::(_\:/:):::l\oV⌒7ヽ
          / N二Y⌒ソリノノ//ィ\:::::\:/:/::::/l/`::/://
.          /::<_/./从_(`"'''"´V{\:\/`:<::::/ |::|\:l :l/ : :
.        ;: : : /イV.ヒjト、 })  _,ノjn: : /`ヽ o V jノ: : '⌒ヽ :
.         i: : : : :〈ト{、 ftゥぅ ftァラ{リ:´: : : : : ∨∧/: : : : : : : : \
.         人: : /: :ーl ヽ   j リ //: : : : : : : : ∨:/ : ヽ:_:_: : : : : :
            ヽ{: : : :「\ ー= ‐ / :__ : : : : : : : V: : : : : : : : ̄ : __
          \:./|\ ヽ_/ト、: : :`ヽ: : : : /\: : : : : : : : /:::::
           _x≦/│ >==<。j ≧-  _: / : : : `: <: : : :{:::::::
   r─‐ァ≦   / |/ \__/ヽハ ∧    ̄ ̄∧: : : : :`: ーヽ-    ご期待には沿いますよ…
   /  /     /  |、   | |  l _∧      / 〉: : : : : : : : /
   V  ',    `フ | ヽ |「 |  , |  ̄|    {/7 : : : : : /
   V  ヽ    〈  ! \ lr‐| / l   |    l /、: : : : :./
    ∧  {     V∧   ゙|\|  |.  |二二}/|/ ∧: : : :/
.  〈    |     V∧  |/,!   |  l   / j   /: : :∧
   ) \ ヽ.     V∧ノ|┌_|  l   |    /  /|: : : : : ヽ
   /    ヽ 〉\   l\V|└_」  | │    {  / : : : : : : 〉
128 : ◆Rcg5z0T7ZfzG [saga]:2019/06/28(金) 09:31:35.67 ID:+RttcvUs0

京太郎(この須賀京太郎は独自のマッサージを確立している……!)

京太郎(俺の両手と『キラークイーン』の両手……4つの手で力加減を変えながら解すのだッ!!) モミモミ

キラークイーン『……』 モミモミ

玄「わっ、わわっ??!きょ、京太郎くん……なんだか手がたくさんあるみたいに揉むのが早いね……」

京太郎「ええ。痛くはないですか?」

玄「うぅん、気持ちいいよ」 

京太郎「それは良かった」 モミモミ

キラークイーン『……』 モミモミ

京太郎(一般的女子中学生程度しかない俺の握力と近距離パワー型の『キラークイーン』の力……言うまでもなく『キラークイーン』は加減して使うが…)

京太郎(揉む力に大きな差があることで、一定の力で揉み続けるよりも血流が良くなるのだ…)

京太郎(そして4つの手でもみほぐすということは通常の2倍の速度で揉んでいるも同じ……つまり血行を良くする効率も2倍ッ!!)

玄「うっ……ぁっ……す、すごい……京太郎くん、とってもお上手……」 ホッコリ

京太郎「フフ……まだこんなものじゃあないですよ…」 モミモミ
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