【ダンロン】ダンガンロンパ・クエスト【オリキャラ】後編

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8 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 20:10:20.26 ID:NKE51hxA0
【御影のコテージ】

御影「……」

目が霞んできた……もうすぐ兄さんに会える……

御影「……」

私、結局兄さんに何をしてあげられたんだろう。

兄さんは私を気にかけてくれてた、だけど私は素直にならずに時間を無駄にして……

御影「っ……」

涙なんてとっくに枯れたはずなのに絞り出すように溢れてくる。

御影「兄さん……」

コツ

御影「えっ……?」

今の、音。

コツ……コツ……

木を叩くこの音は……

御影「兄さんの、杖の音だ……」

もしかして迎えに来てくれたの?

それとも幻聴?

御影「……」

ううん、そんなのどうでもいい……

幻覚でも、幽霊でも、兄さんに会えるかもしれない。

それだけが今の私にとって大切な事。

フラフラになった身体で音の鳴る方向に向かって歩く。

そしてコテージの扉を掴んで、開けて――
9 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 20:10:57.81 ID:NKE51hxA0






御影「うあっ!?」

私は、強い力で押さえつけられた。






10 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 20:17:25.85 ID:NKE51hxA0
佐場木「出てきたぞ!点滴と水を!」

津浦「はい!」

御影「っ、っ!」

いきなりの事にわけもわからず暴れるけど、身体が全く動かない。

道掛「暴れないでくれ牡丹ちゃん……!」

六山「薬あったよ!」

佐場木「貸せ、すぐに飲ませる!」

口をこじ開けられて、薬と水を流し込まれる。

その時私は、見た。

兵頭「……」

兄さんの杖を持つ兵頭……

ああ、そういう事。

私を、嵌めたんだね。

御影「何の、つもり……」

兵頭「御影さんを外に出すにはこれが確実だろうと思いまして。栄養失調で判断力がさらに低下しているでしょうし」

御影「そんな事を聞きたいんじゃない……!」

よりによって兄さんの杖を利用した。

許せない、許せるわけない。

御影「こんな、兄さんの死を――」
11 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 20:18:52.02 ID:NKE51hxA0






兵頭「赤穂さんを侮辱しているのはあなたでしょう?」

御影「は?」






12 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 20:37:59.77 ID:NKE51hxA0
私が、兄さんを侮辱……?

兵頭「あなたがこのまま栄養失調で死んだとしましょう。そうなったらあなたを庇った赤穂さんの死が完全に無意味なものになります」

御影「そんな事!」

兵頭「あるんですよ。彼は最期にあなたに何を望みました?後を追って死ぬ事ですか?」

御影「それは……」

違う。

兄さんが最期に私に望んだのは……


赤穂『――守れて、よかった。お前は、生きて、くれ……そして、幸せになって…………』


わかってる。

そんなのわかってるけど……!

御影「じゃあどうしろって言うの!?」

私にとって兄さんと過ごす時間が何よりも幸せだったのに!

その兄さんがいなくなってどう幸せになればいいの!?

こんな、こんな病気だらけの身体で、どうやって……

兵頭「それはわかりません……幸せになる方法は人それぞれですし、一生かかっても見つけられない人も私はたくさん見てきました」

御影「……」

兵頭「でも御影さん」

兵頭「あなたは死んではいけません」

御影「私がこんな才能だから……?」

兵頭「違います」

兵頭「それが、赤穂さんが自分の命を懸けても守りたかったものだからです」
13 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 20:49:19.49 ID:NKE51hxA0
佐場木「人はいずれ死ぬ。急いで追わなければならないというものでもあるまい」

津浦「……気持ちがわかるとは言えません。でもワタシは、彼に救われた命を捨てたくないと思います」

道掛「牡丹ちゃん死んだら、俺泣くぞ!だから生きてくれよ!」

六山「それにこんな形で死んだらモノクマ喜ぶよ?それでいいの?」

御影「……」

兵頭「それに御影さん」

兵頭「私達もあなたに死んでほしくありません。赤穂さんには遠く及ばないでしょうが……それでは、不足ですか?」

御影「……」

兄さん。

兄さんは前に、みんなと仲良くしろって言ってたよね?

御影「っ、ううっ」

私、兄さんの願い叶えられたのかな?

御影「うわあああああっ……!」

私……生きていて、いいのかな?

『当たり前だろ』

……うん、兄さんならきっとそう言うよね。

兄さん……私、もう少しだけ、頑張ってみるよ。

きっと、それが……赤穂牡丹のやるべき事だから。
14 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 21:02:22.28 ID:NKE51hxA0
【御影のコテージ】

それから私はみんなに、一旦戻ってもらった。

1人になって……したい事があったから。

御影「……よし」

【ホテルミライ・レストラン】

御影「……お待たせ」

道掛「おっ、牡丹ちゃん来……なあっ!?」

津浦「Ms.御影、その髪は……」

みんな驚いてる……当たり前か。

今まで腰までだった髪、バッサリ切っちゃったもんね。

佐場木「1つの決意表明か」

六山「うん、そういうイベントもいいんじゃないかな」

御影「ちょっと慣れないけどね」

兵頭「お似合いですよ御影さん」

御影「……」

無言で兵頭の前に立つ。

兵頭には言わないといけない事があるから。

兵頭「御影さん?」

御影「牡丹」

兵頭「はい?」

御影「牡丹って呼んでよ……私も千って呼ぶから」

兵頭「……」

やっぱり、いきなり過ぎた?

友達作りなんて、まともにしてなかったから……

兵頭「……ふふっ、わかりました。牡丹さん」

御影「あっ」

佐場木「……御影も戻ってきたところで今後について話し合うぞ」

道掛「おう!」

津浦「まだ問題は山積みですからね」

六山「如月くんの事とかね……」

兵頭「そうですね。ほら、座ってください牡丹さん」

御影「うん……ありがとう千」
15 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 21:03:30.18 ID:NKE51hxA0






【第1の島・歩道】

如月「…………」






16 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/27(火) 21:04:09.43 ID:NKE51hxA0
今回はここまで。
17 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/31(土) 20:24:41.33 ID:Coz3zhMA0
御影「じゃあ佐場木以外第5の島にはまだ行ってないんだね」

道掛「ぶっちゃけそれどころじゃなかったしな!」

御影「……私のせいだよね、ごめん」

津浦「Mr.道掛……」

道掛「えっ、いや俺そんなつもりじゃ!?」

佐場木「そこまでにしておけ。俺の調査では脱出に繋がる物は見つからなかったが……視点を変えれば見つかる物もあるかもしれない」

六山「じゃあわたし達も……行こっか?」カチカチ

兵頭「またゲームを再開するんですね……」

六山「御影さんの復帰祝い……かな?」

御影「まあ、ゲームしてない六山なんて縁起悪いからその方がいいよ」

六山「ふふん、褒められたよ」

津浦「褒めた……?」

道掛「とにかく行ってみようぜ!もしかしたら如月もいるかもしんねえし!」

兵頭「そうですね……」

そうして私達は、第5の島に行く事になった……
18 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/31(土) 20:33:20.01 ID:Coz3zhMA0
【第5の島・スプリングアイランド】

御影「わあ……」

橋を渡った私達を出迎えたのはピンクの花びら。

桜の花びらが風に舞って……こんな形じゃなければ感動していたかもしれないね。

道掛「つうか……ずっと思ってたけど相変わらず季節感滅茶苦茶だよなこの島」

津浦「こんな距離でここまで明確に四季が分かれる島というのは、確かに珍しいですね」

六山「珍しいというかあり得るの?ゲームの中じゃないんだよねここ」

佐場木「……異常過ぎて麻痺していたが、この環境自体が何らかの手がかりになるか」

兵頭「まずは島を調べましょう。佐場木さん、案内をお願いします」

調べたっていう佐場木の先導で私達は歩き出す。

何でもいいから見つかればいいんだけど……
19 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/31(土) 20:40:27.43 ID:Coz3zhMA0
【モノクマ量産工場】

御影「ここって……」

第4の島にあったモノクマ量産工場。

それと全く変わらない建物がここにもあった。

六山「モノクマの言ってた量産工場のスペアだね……」

道掛「こんなもんがあったからメメちゃんも赤穂も……」

兵頭「中はどういった感じなんですか佐場木さん」

佐場木「ほとんど変わらない。ただ1つ……自爆スイッチが消えた事以外はな」

津浦「同じ轍は踏まない、というわけですか」

その後念のために調べてみたけど……中はやっぱり第4の島のと変わらなかった。

御影「……」

これがあったんだからあの時モノクマがあんなに焦ってたのも演技だったんだろうね……

御影「……最悪」

本当に、最悪だよ。
20 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/31(土) 20:50:38.01 ID:Coz3zhMA0
【神社】

御影「ここは、神社?」

道掛「こんなもんまであんのか」

鳥居をくぐった敷地の中には立派な建物。

六山「うーん、よしここはこれの出番かな」

津浦「それは?」

六山「メダルだよ。お賽銭代わりになるかなって」

佐場木「神頼みか……こんな状況ではなんでもするべきか」

六山からメダルを受け取った私達は並んで賽銭箱にそれを放り投げる。

御影「……」

どうかもう誰も死なずに済みますように。

みんなでこの島から脱出出来ますように。

きっとみんなも同じ願い事だろうけど、人数が増えればそれだけかなう確率も上がるかな?

道掛「よし!しっかりと願ったぜ!もう誰も死なずに済みますようにってな!」

兵頭「言ってしまうとかなわないらしいですが」

道掛「……今の聞かなかった事にしてくれ!!」
21 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/08/31(土) 21:02:39.27 ID:Coz3zhMA0
【武器庫】

御影「これ……!」

そこにあったのは銃やらナイフやら爆弾やら……戦車とか戦闘機もある。

佐場木「ここは武器庫……というにはまた違う物もあるが」

道掛「この戦車ってあの時見たのと似てんな」

津浦「Ms.静音とMs.六山の時のですか……あれからかなり経ちました」

六山「……」ブルッ

兵頭「大丈夫ですか?」

六山「うん、まあ……」

御影「ピコピコハンマー……なんでこんなものまであるんだろう」

なんかとにかく色んな物を詰め込んだって感じ……
22 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/07(土) 21:30:51.77 ID:KUZMSAXA0
【???】

道掛「なんだここ?」

次に私達が来たのは真っ黒な建物。

看板とかもないし……なんなんだろ。

佐場木「ここは入らない方がいい」

兵頭「佐場木さんはここがいったいどういう場所かご存じなんですか?」

佐場木「ああ、その上でもう一度言う。ここはやめておけ」

六山「せめて何があるかぐらいは教えてほしいなぁ」

津浦「Ms.六山の言葉に同意します。ろくなものでないのはわかりますが……」

佐場木「……死体だ」

道掛「はっ!?死体って誰のだよ!?」

佐場木「わからん。少なくとも百人以上は死んでいたようだからな」

御影「それってもしかして……ここの」

兵頭「いたはずの職員の謎がようやく解けた……という事ですか」

六山「ここの中で全員殺されちゃったんだね……」

佐場木「……」

津浦「Mr.佐場木?」

佐場木「帰ってから話す。次に行くぞ」

そう言って歩いていっちゃった佐場木……私達は困惑しながら、その後を追いかけていった。
23 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/07(土) 21:47:41.14 ID:KUZMSAXA0
【桜の大樹】

御影「……!」

私達が最後に来たのはこの島の道にある桜の中でも一際大きな桜の木。

それはあの第3の島にあった花よりも大きくて……私達は圧倒されてしまう。

兵頭「綺麗な桜、ですね」

津浦「はい……」

六山「ゲームで見たやつよりも大きいね」

道掛「こんなもんもあるんだな……」

佐場木「……」

私達はしばらく桜の木を眺めていた。

こんな事に巻き込まれて、大切な人も失って。

それでも私はこうして生きてる。

御影「……兄さん」

兄さんにも見てほしかったな、ここ……
24 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/07(土) 22:24:13.34 ID:KUZMSAXA0
【ホテルミライ・レストラン】

御影「確かに手がかりはなかったね……」

兵頭「如月さんも結局見つかりませんでした」

道掛「その代わりいいもん見れたけどな!」

六山「代わりでいいのかなぁ」

佐場木「……」

津浦「あのMr.佐場木?それで帰ってから話す事とは」

道掛「そういえばそれがあったな!佐場木がわざわざ改めて言うって事はかなり重要っぽいよな!」

佐場木「……」

兵頭「あの黒い建物……死体置き場とでもしておきましょうか。あそこで何を知ったんですか?」

佐場木「……六山」

六山「えっ、わたし?」

佐場木「お前は言ったな?職員達はあの場所で殺されたと」

六山「う、うん」

佐場木「それは違う」

道掛「はっ?」

佐場木「あそこにあった死体を調べるだけ調べた。そしてはっきりした」

御影「何が……?」
25 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/07(土) 22:24:51.59 ID:KUZMSAXA0






佐場木「あの場にいた百人以上の人間は」

佐場木「全員自殺していた」






26 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/07(土) 22:25:55.77 ID:KUZMSAXA0
今回はここまで。
27 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/09(月) 22:57:39.92 ID:+OgnMo7A0
道掛「自殺って、なんだよそれ……!」

佐場木「それも全員笑顔で死んでいた」

津浦「ひっ!?」

笑顔で自殺していたって……想像しただけで寒気がする。

兵頭「なぜそのような……」

佐場木「それはわからん。しかしはっきりしているのは異常な何かが起きたという事だ」

六山「集団自殺……予備学科の事件みたいだね」

津浦「あれは確か【超高校級の絶望】の仕業でしたね……」

御影「だけどもう【超高校級の絶望】はいない。【絶望の残党】だって」

兵頭「……何にせよ、私達の置かれている状況に変わりはありません」

佐場木「兵頭の言う通りだ。黒幕がいったいどんな手段で職員達を自殺させたか……それを知る術は今の俺達にはない」

御影「……そうだね」

道掛「わざわざコロシアイなんかさせてんだ。向こうもそれをやる気はねえんだろうな」

津浦「使う気ならMr.苗木が嬉々として使いそうですしね」

笑顔で集団自殺していた職員……

兄さんなら、どう感じたんだろう……?
28 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/12(木) 22:24:38.46 ID:DvsQiypA0
如月を見かけたら報告するって決めて、私達は一旦別行動する事にした。

御影「そういえば千」

兵頭「なんですか牡丹さん」

御影「あんた投票で興奮しなくなったね」

遠見……いや、その前の苗木から千は薄井やグレゴリーのような反応をしなくなってた。

もしかして……

兵頭「ああ、あれは驚きが勝った……と言うんでしょうか」

御影「驚き?」

兵頭「苗木さんが黒幕だった、遠見さんは抵抗して……赤穂さんが亡くなった」

兵頭「衝撃が大きすぎてそちらに思考を割けなかったんですよ」

御影「要するに……」

兵頭「そういう事がなければ、またああなると思います」

御影「……難儀だね。別にコロシアイ煽ったりしてるわけでもないのに」

兵頭「仕方ありませんよ。生まれ持った性質だったんでしょうし」

御影「……」

せっかく仲良くなれた気がするのに、ここから脱出したら千はもう未来機関から離れるつもりで。

いや、私だって軟禁状態になるかも……

御影「本当、やんなるよ」

兵頭「そうですね……」
29 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/16(月) 21:21:13.44 ID:WNzEC0eA0
佐場木「……」

佐場木が手首を擦りながら何か考え込んでる……

御影「遠見の事でも考えてたの?」

佐場木「……御影か。間違ってはいない」

御影「やっぱり辛い?」

佐場木「当たり前だ。あいつは命を懸けて戦った……しかしそれすらあのふざけた黒幕の手のひらの上でしかなかった」

佐場木「あいつは嘆くだろう。自分の死を受け入れていたとはいっても、それはきっと自分を最後の死者だと思っていたからだ」

御影「……うん」

佐場木「……赤穂の死を、俺達は防げなかった。その術すらなかった」

佐場木「……だからこそ俺は奴に聞かなければならない」

佐場木「本当に赤穂を見殺しにしたのかをな」

奴……如月の事だよね。

如月は兄さんを助けられたのにそうしなかった……もしそれが本当なら。

私は、どうするんだろう……
30 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/16(月) 21:38:16.37 ID:WNzEC0eA0
津浦「Ms.御影は黒幕が本当にワタシ達の中にいると思いますか?」

御影「黒幕……」

苗木はそう言ってたけど、モノクマは内通者に関しては嘘ついてたんだよね。

津浦「ワタシの場合は正直信じたくないというのが一番の理由になってしまいますが……」

御影「私だって同じだよ」

今生きている中に黒幕がいる。

私だって信じたくない……でも苗木という前例がそれを許さない。

今こうして話してる津浦がそうかもしれないんだ。

津浦「今までコロシアイに巻き込まれてきた皆さんも、こんな気持ちだったのでしょうか……」

そういえば、今も別のどこかでコロシアイが起きてるんだよね……

そっちは、どうなってるんだろう……
31 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/16(月) 22:01:54.37 ID:WNzEC0eA0
道掛「おっ、牡丹ちゃん!」

御影「道掛」

島の道を歩いてると道掛が自転車でこっちに向かって走ってきてた。

そういえば……

御影「道掛、私が塞ぎ込んでから毎日コテージ来てくれてたよね」

道掛「んっ?ああ……牡丹ちゃんをほっとけなかったしな」

御影「ありがとう。死んだら泣くって言ってくれたのも嬉しかったよ」

道掛「お……おう」

御影「どうしたの?」

道掛「いや、こうして牡丹ちゃんと向かい合って話すってなかなかなかったからさ」

御影「そういえば……私だいたい兄さんと一緒だったしね」

道掛「だからちょっと緊張してる」

御影「緊張ってそんな大袈裟な……」

いや、昔の私なら確かに話しかけにくかったかもしれないけど……

道掛「まあ牡丹ちゃんかわいいしな!緊張もするってもんだ!」

御影「ちょっ」

そういうのをいきなり言わないでよ……恥ずかしい。
32 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/16(月) 22:09:30.19 ID:WNzEC0eA0
こっちはここまで。
続けて洋館を更新します。
33 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 20:35:14.28 ID:eyRwX/yA0
御影「あれ?」

六山「……」

あそこにいるの六山?

どこに行くんだろう。

【電気街】

六山「これもダメ……これも違う……」

御影「……」

色んな物漁ってるみたいだけど……声かけてみようか。

御影「六山?」

六山「っ!?」

それはいつもどこかのんびりしてる六山とはまるで違う反応だった。

というか声かけただけでこの反応って……

六山「なんだ、御影さんか……どうしたの?」

御影「いや、どうしたのはこっちの台詞なんだけど……」

六山「わたしはゲームに使える何かないかなぁって探しに来たんだよ」

御影「えぇ……」

あんな鬼気迫る感じでやってたのがそれって……

六山「だけど全然ダメだね。こんなに電化製品あるのに全く役に立たないよ」

御影「今持ってるのじゃダメなの」

六山「御影さん、ゲームの世界は日進月歩なんだよ?」

よくわかんないけど、ダメなのはわかる。

御影「ま、まあ……ほどほどにしときなよ」

六山「まかせて。ウルトラレアを見つけてみせるよ」

御影「……」

六山って時々よくわかんない……



六山「…………」
34 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:01:49.93 ID:eyRwX/yA0
佐場木「如月は見つかったか」

道掛「どこにもいねえ……あいつ本当にどこ行っちまったんだ?」

津浦「心配ですね……あの時の反応を考えると」

兵頭「……」

御影「私はそれどころじゃなかったからよくわかんないけど、相当荒れてたんでしょ?」

六山「荒れてたというか、認めたくないって感じだったかな」

御影「認めたくない……」

それって如月が、兄さんを見殺しにしたって話だよね……

兵頭「しかし如月さんが赤穂さんを見殺しにしたというのは、モノクマが勝手に言った事です」

道掛「そりゃ、そうなんだけどさ……」

兵頭「内通者に関しても嘘をついた相手です。信用するに値しないのでは?」

津浦「そう言われると……」

御影「……」

如月の事はいくら話しても堂々巡り……本人が見つからないとやっぱりどうしようもないね。
35 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:05:22.03 ID:eyRwX/yA0






如月「それは違いますよ……」






36 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:13:35.35 ID:eyRwX/yA0
御影「っ!?」

それはまるで幽霊のように。

如月がいつの間にかそこにいた。

佐場木「如月……貴様、今までどこにいた」

如月「モノクマと、少し交渉を」

道掛「こ、交渉?」

兵頭「それより如月さん、今の違うとはいったい」

如月「赤穂さんの事です」

津浦「えっ……」

如月「モノクマの言う通り、僕は妹が生きて仲睦まじくしている赤穂さんに嫉妬していました」

六山「……認めるの?赤穂くんを見殺しにしたって」

如月「…………」

御影「何とか、言いなよ……」

如月「……はい。僕は赤穂さんを、見殺しにしました」

御影「っ!!」

頭に血が上るのがはっきりわかった。

この男は兄さんを見殺しにしたと認めた……ううん、実質兄さんを殺したんだ。

……許さない。

許せるわけがない!

御影「如――」
37 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:14:35.58 ID:eyRwX/yA0






パンッ……!






38 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:23:29.41 ID:eyRwX/yA0
御影「……えっ?」

私が立ち上がるよりも早く。

私が何かを叫ぶよりも早く。

六山「……」

六山が如月の頬にビンタをしていた。

……なんで?

六山「な、なんで、そんな……!」ポロポロ

なんで、六山泣いてるの?

如月「六山さん……?」

六山「それだけは、その口からそんな言葉だけは聞きたくなかったよ……!」

津浦「Ms.六山!?」

道掛「百夏ちゃん!?」

その場を走り去る六山……勢いが削がれて、叫ぼうとしていた事が口の中に消えていく。

兵頭「……追いかけ、ます」

佐場木「……任せる」

兵頭「如月さん……」

如月「……」

兵頭「私も、聞きたくなかった……否定して、ほしかったです」

千も俯いたまま、六山を追いかけていって。

後に残された私達は何も言えなかった。

佐場木「……如月、モノクマとの交渉とはなんだ」

如月「……」

佐場木「それを言いに来たんだろう……さっさと話せ」

如月「……数日内に」
39 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:24:46.91 ID:eyRwX/yA0






如月「僕は、このコロシアイ研修旅行の黒幕を殺します」






40 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/17(火) 21:26:09.16 ID:eyRwX/yA0
今回はここまで。
続けて洋館を更新します。
41 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/18(水) 21:34:54.86 ID:Jl38eauA0
佐場木「……貴様、自分が何を言っているのかわかっているのか?」

如月の黒幕を殺すという宣言……モノクマと交渉したって言ってたけど、それがこれなの?

如月「あの学級裁判から2日……僕はずっとモノクマと話していました」

如月「そしてそれはようやく実を結んだ」

如月「モノクマを操る黒幕……それを探しだして殺せるかというゲームを行うと宣言させたんです」

御影「モノクマがそんな……」

モノクマ「うぷぷ、呼んだ?」

道掛「うおっ、出やがった!?」

モノクマ「いやー、如月クンたら本当にしつこくてね!この2日間全く眠れなかったよ!」

津浦「し、しかし黒幕を殺すゲームなんて……あなたは本当にそれを受け入れたんですか?」

そうだ、自分が殺される事を受け入れるなんて普通はあり得ない。

モノクマ「如月クンがしっかり特定出来るならそれはそれでありかなって思ってさ!」

だけどモノクマは普通じゃない。

だからこんな話さえも受け入れちゃうの……?
42 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/18(水) 21:44:26.09 ID:Jl38eauA0
佐場木「……誰が黒幕かはっきりさせられるというのか」

如月「はい。ヒントはあったので」

道掛「ヒントって黒幕のか!?なんだよそれは!」

如月「すみません、それは話せないんです」

モノクマ「これはあくまでボクと如月クンのゲームだからね!」

御影「何よそれ……!」

勝手にそんな事決めて、どこまで……!

モノクマ「うぷぷ、じゃあ如月クン頑張ってね!」

如月「……皆さん、安心してください。僕はこのコロシアイを必ず終わらせます」

如月「それが僕の、最後の仕事ですから」

佐場木「待て如月!」

言うだけ言ってモノクマも如月もいなくなった。

道掛「どうなってんだよ……」

津浦「黒幕のヒントとは、いったい……」

佐場木「……兵頭と六山が戻り次第対策を話し合うぞ」

御影「対策……」

佐場木「モノクマは俺達の中に黒幕がいると言っていた。そして如月は黒幕を殺すと宣言した」

御影「あっ……」

佐場木「あの殺人鬼は俺達の中の誰かを殺すと、コロシアイを行うと言ったも同然だ」

佐場木「誰よりも警戒すべき危険人物になったんだあの男は……!」
43 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/18(水) 21:56:00.69 ID:Jl38eauA0
如月は殺人鬼で、でもそれには歪んでいても正義があったからコロシアイに関しては安全だって言われてた。

佐場木「ちっ、これ以上……!」

だけど今の如月にその枷はない……如月は私達の中にいるっていう黒幕を殺すため、正義のために動いてると思ってるから。

道掛「くそっ、あんな事があったのに、まだこんな……!」

だけど如月の考える黒幕が本当に正しいか私達にはわからない。

ヒントだって本当に黒幕を示すものかわからない。

津浦「Mr.如月……あなたは」

それについて話し合えない以上、如月が勘違いして違う人を殺す可能性は十二分にあって。

六山「うわぁぁぁぁんっ!うっ、ぐすっ」

そして狙われたら、私達は絶対に抵抗もできずに殺される。

兵頭「私はどうしたら……」

止められた鞍馬もいない今、私達は……

御影「……兄さん」

誰を殺すかわからない殺人鬼のいるこの島という檻に、閉じ込められたんだ。
44 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/18(水) 21:58:11.95 ID:Jl38eauA0






――そして3日後。

私達は目の当たりにする事になる。

この島の……最後の殺人を。

だけど今の私達にそんな事はまだ、わからなかった。






45 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/18(水) 21:58:39.23 ID:Jl38eauA0
今回はここまで。
46 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/21(土) 21:19:09.77 ID:SF37kjYA0
【22日目】

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

御影「……」

如月の黒幕殺害宣言から1日経った。

あの後千が連れてきた六山はずっと泣いてて、まるで話にならなくて。

なんであんなに泣いたのか理由を聞いても全然答えない六山を宥めるのに必死で、結局如月対策の話し合いなんてまともに出来なかった。

御影「今日こそ、話し合わないと」

これ以上人が死ぬなんて、ごめんだよ。

【ホテルミライ・レストラン】

佐場木「集まったか」

御影「……六山は?」

津浦「あそこに」


六山「なんで、急がないと、早く早く早く」カチカチカチカチカチ


御影「……」

もう、まともに話すのも無理かもしれない……ゲームを鬼気迫る表情で操作する六山に私はそう感じざるを得なかった。

兵頭「あれでは、話し合いには参加出来ないでしょうね」

道掛「でもどうして百夏ちゃんはああなっちまったんだ?」

津浦「やはり、その……見殺しの件が大きいのでは?」

六山にとって如月は、モノクマから助けてくれた文字通りヒーローだったもんね。
47 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/21(土) 21:36:22.40 ID:SF37kjYA0
兵頭「……牡丹さんは、大丈夫ですか?」

御影「六山があんなに取り乱すの見たら逆に冷静になれたよ……あいつを許すつもりはないけど」

如月が兄さんを見殺しにした事は絶対に許さない。

だけど今はまずあいつがしようとしてる殺人をどうにかしないと。

御影「そういう千はどうなの?」

兵頭「……正直ショックでした。ですが、今はそれどころではありませんから」

佐場木「仕方がない、六山は抜きで話し合うぞ。昨日如月が黒幕の殺害を宣言したというのは話したと思うが」

兵頭「まさかそんな事になっていたとは思いませんでした……」

道掛「ヒントがあるって言ってたよな……俺達には何の事だかわかんねえけど」

津浦「ワタシ達がモノクマの言う黒幕探しゲームに参加出来ない以上、Mr.如月が正解を導き出すのかもわかりません」

御影「だから無実の人をあいつが殺すかもしれない……それが今の状況だよね」
48 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/21(土) 21:52:51.83 ID:SF37kjYA0
佐場木「まずは俺と道掛が見回りと護衛だ。いいな?」

道掛「おう!狙われてもいざとなりゃ、俺は自転車で逃げられるしな!」

佐場木「その脚力、頼りにさせてもらう。津浦、お前と他の3人は図書館で手がかりを探せ。モノポイズンの事もある、黒幕が何か隠している可能性があるからな」

津浦「わかりました。しかしMs.六山は……」

佐場木「かといって1人にはさせられん。だから六山は図書館に引きずっておけ」

兵頭「わかりました……いざというときは私達の中の誰かが狙われた時、他の3人が盾になれば如月さんの動きは止められるはずです」

御影「そうだね。自分が黒幕と決めた人間以外を殺すわけにはいかないだろうし」

佐場木「……あくまでもそれは最終手段だ、いいな?」
49 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/21(土) 22:00:21.03 ID:SF37kjYA0
道掛「そういえば、佐場木はどうすんだよ?1人で動くつもりなんだろ?」

佐場木「俺にはこれがある」

そう言って佐場木が出したのは一粒の錠剤。

これってもしかして……

兵頭「鞍馬さんの身体強化薬ですか?」

佐場木「かき集めてなんとか一粒分を確保しておいた。鞍馬のコテージに入れれば瓶ごと確保して全員に配れたが……」

津浦「無い物ねだりをしても仕方ありません……とにかくすぐ動きましょう。Mr.如月がいつ動くかわからない以上時間は大切です」

津浦の言葉に頷いて、私達は動き出す。

もう誰1人欠けさせないために、神社での願いを叶えるために……
50 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/09/21(土) 22:00:51.97 ID:SF37kjYA0
今回はここまで。
51 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/03(木) 23:06:15.49 ID:gTu9NrYA0
【図書館】

……そうは言っても千にすら読めない言語の本に関しては完全に津浦に頼りきりで。

それに体力もそんなにあるわけじゃない私ははっきり言ってお荷物だった。

御影「……」

六山「……」カチカチカチカチカチカチカチカチ

そんなわけで、今私は黙ってゲームをやり続ける六山と過ごすっていう気まずい時間を過ごしていた。

御影「……」

図書館に行く時六山は素直についてきた……というよりは、まるで他の事は何も眼中にないって感じで抵抗しなかった。

御影「……」

でも本当にどうしちゃったんだろう……如月の事がショックだったにしても六山のこれは明らかに常軌を逸してる。

御影「……どうして、ゲームなんてやってんの」

答えなんて来るはずもない、そんなの承知で呟いた私の疑問に。


六山「みんなを助けるためだよ」


六山は、はっきりそう答えた。

御影「えっ?」

あまりにはっきりとした答えに思わず六山を見る。

だけどその姿はさっきまでのと変わらなくて。

空耳?それにしては、今のは……

六山「……」カチカチカチカチカチカチカチカチ
52 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/03(木) 23:27:26.99 ID:gTu9NrYA0
津浦「……」

御影「どう?」

津浦「ダメですね、言語の違いはあれど中身に関しては特筆したものはありません」

読み終わった本の山に新しく1冊加えて津浦は大きく伸びをする。

その目には隠しきれない疲労感が漂っていた。

御影「休憩した方がいいんじゃない?今お茶持ってくるよ」

津浦「ありがとうございます。Ms.御影」

御影「これぐらいしか出来ないし」

持ち込んだペットボトルのお茶を津浦に渡す。

それを飲みながら津浦はそんな事ありませんよなんて私に笑いかけてきた。

津浦「こうしていてくださるだけでワタシには励みになりますから。元々ワタシは怖がりでしたから、1人ではやはり押し潰されてしまうので」

御影「怖がりなのはよく知ってるよ」

銃を持ち出した時とか、本当に焦ったし。

津浦「……前にMr.赤穂にも話したのですが、そんなワタシがここまで生きていられたのは奇跡だと思うんです」

御影「奇跡……」

津浦「はい。だからワタシは……」

御影「それはきっと、全員そうだよ」

津浦「えっ」

御影「私や千は殺されかけたし、六山も処刑されかけた。佐場木や道掛だって何があってもおかしくなかった……如月は、よくわかんないけど」

御影「今生きていられるのが奇跡なのはみんな同じ。だから津浦だけが気負わなくていいよ」

津浦「……」

御影「……なんて、私は思うんだけど」

津浦「……ふふっ、ありがとうございます。Ms.御影」

御影「特にたいしたこと言ってないし」

津浦「いえ、少し焦ってたので……本当にありがとうございます」

津浦は笑ってまた本を読み始めた。

まあ、役に立てたなら……よかったかな。
53 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/03(木) 23:46:33.04 ID:gTu9NrYA0
道掛「よっ、様子見に来たぜ!」

御影「特に構えないけど、それでもいいならゆっくりしなよ。はいタオルとスポーツドリンク」

道掛「サンキュー牡丹ちゃん!」

自転車で走り回ってたのか道掛はたくさん汗をかいていた。

この島、無駄に広いから疲れるよねやっぱり。

道掛「ぷはー、生き返った!」

御影「なにか変わった事あった?」

道掛「特にはねえかなぁ……つうか、如月を全然見ないんだよな」

御影「如月……」

道掛「あっ、悪い……牡丹ちゃんからしたら如月はあれだもんな」

御影「ううん、気にしないで」

今は、それどころじゃない……そう言い聞かせてるのは、否めないけど。

道掛「と、とにかく!俺もやれる事をしっかりやるからさ!牡丹ちゃん達も無理しないで頑張ってくれよな!」

如月の名前を出して気まずかったのか、道掛は図書館から飛び出していく。

……そういえば前に兄さんが道掛と如月が2人乗りしてたとか言ってたっけ。

御影「……」

道掛も、色々複雑なのかもね……
54 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/03(木) 23:47:10.44 ID:gTu9NrYA0
今回はここまでで。
55 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 16:56:41.76 ID:AMfQqXxA0
御影「千、そっちはどう?」

兵頭「芳しくありませんね……やはり情報があるとしたら津浦さんにしか読めないものにありそうです」

千は自分でも読める本から情報を探していた。

津浦の負担は減るし、少なくともいいアイデアだとは思ったんだけど……

御影「少し休みなよ。日本語の本なら、私だって出来るからさ」

兵頭「……すみません、お言葉に甘えます」

千は椅子に座ると脱力したように机に突っ伏す。

大丈夫なのかな……

兵頭「……牡丹さん」

御影「えっ、なに?」

兵頭「私は、何が出来るんでしょう」

御影「千……?」

兵頭「……ごめんなさい、忘れてください」

それから千は何も言わなくなっちゃった……

何が出来るか、なんて私にもわからない。

でもやるしかないんだ……私達に他に道はないんだから。
56 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 18:08:24.16 ID:AMfQqXxA0
佐場木「様子はどうだ?」

御影「全然。そっちは?」

佐場木「如月は見つけたが、逃げられた」

あいつの脚で逃げに徹されたら……追い付けるわけないよね。

佐場木「黒幕に関しても調査はしているが……奴の言うヒントがわからない以上取っ掛かりがない」

御影「ヒントか……」

如月はいったいどこでヒントを見つけたんだろう。

モノクマが渡した……って事はなさそうだけど。

佐場木「何にしても無理はするな。適度に休息は取るようにしろ」

御影「そうする……でも佐場木も変わったね」

佐場木「何がだ」

御影「もっと近寄りがたい印象があったから」

佐場木「……」

御影「まあ、こっちも無理はしないようにするから。そっちも無理しないようにね?」

佐場木「……ああ」

佐場木が変わったのはきっと遠見の影響、なんだろうね……
57 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 19:06:43.86 ID:AMfQqXxA0
キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

御影「もうこんな時間なんだ……津浦、千。そろそろ終わりにしたら?」

津浦「そう、ですね。睡眠はどうしましょう」

兵頭「コテージに戻って1人になるのも……とはいえ、ここは暑いですね」

御影「じゃあ私のコテージ来なよ。全員泊まる形にしよう」

兵頭「いいんですか?」

御影「むしろこんな形でしか役に立てないし……ほら、六山行くよ」

六山「……」カチカチカチカチカチカチ

【サマーアイランド・歩道】

津浦「明日も朝から手がかり探しですね」

兵頭「そうですね……」

御影「……」

今日は結局手がかりは見つからなかった。

このまま何も見つからなかったらどうしようなんて考えがどうしても頭に過って。

だから私は前を歩く2人が足を止めた事に気付かなかった。

御影「えっ、どうしたの」

津浦「……」

兵頭「如月さん……」

六山「……!」

私達が歩く道の先、そこに……如月が立っていた。
58 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 19:22:36.26 ID:AMfQqXxA0
如月「お疲れ様です」

兵頭「……どうして、ここに?」

如月「具体的には話せませんが、報告ぐらいはしておくべきかと思いまして」

津浦「報告……?」


如月「黒幕を3人にまで絞り込みました」


御影「……!」

もう半分、絞り込んだの……!?

如月「佐場木さんと道掛さんにも伝えておいていただけますか?」

御影「待ちなよ!いったいどうやってそんな!」

如月「それは言えないんです。モノクマとの契約なので」

兵頭「またそんな……!」

六山「……させない」

御影「えっ、六山?」

六山「絶対にさせないよ。もう人なんて殺させない」

如月「……相手は黒幕ですよ?」

六山「それでも!わたしは絶対許さないから……!」

如月「……そうですか」

如月は背中を向けてその場から走り去る。

六山「……戻ろうみんな」

御影「えっ」

六山「もう半分にまで絞られたんだよ。急いで何とかしないと」

御影「ま、待ちなよ!千も津浦も1日中……」

津浦「そう、ですね」

兵頭「わかりました」

御影「ちょ、ちょっと!」

兵頭「急がないといけないのは、六山さんの言う通りですから」

津浦「徹夜ぐらい、誰かが死ぬ事に比べたら……」

そう言って来た道を戻っていく3人……私はどうする事も出来なくて後を追いかけるしかなかった……
59 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 19:57:29.86 ID:AMfQqXxA0
【23日目】

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

御影「……」

兵頭「すぅ、すぅ」

津浦「……くぅ」

結局明け方まで手がかり探しをやり続けた千と津浦は倒れるように寝ちゃって。

六山「違う、違う……」カチカチカチカチカチカチ

そんな中でも、六山は相変わらずゲームばっかり。

2人を作業に戻らせたのに本人はこれ……正直腹が立った。

御影「ちょっと六山」

六山「……」カチカチカチカチカチカチ

御影「っ、こっち向きなよ!」

六山「……なにかな」

御影「2人にこうさせて自分はゲーム!?いい加減にして!如月を何とかしないといけないのは正しいけど、だったらそっちも何かしてよ!」

六山「これは」

御影「みんなを助けるためって?ゲームしてどうやってみんなを助けるの?教えなよ!」

六山は確かに普段からゲームばっかりで、それがいつもの彼女だけど。

こんな時までゲームされたら、さすがに言いたくもなってくる。

六山「……そうだね」

六山がゲームをしたまま立ち上がる。

そして図書館の奥、佐場木が前に言っていた危険な本がある黒いカーテンの一角に歩いていった。

御影「ちょっと六山!」

慌てて追いかけると六山はまだゲームをしてて。

取り上げようかと迷った私に、六山は画面を見せてくる。

御影「…………えっ?」

それは、文字を入力する画面。

カーテンに囲まれて少し暗い中を照らすそこに……短く一文が書かれていた。
60 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 20:00:05.24 ID:AMfQqXxA0






【わたしの本当の名前は、六山百夏じゃありません】

そんな……理解出来ない、一文が。






61 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/12(土) 20:00:49.69 ID:AMfQqXxA0
今回はここまで。
62 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 07:24:26.31 ID:YHIou58A0
御影「どういう、事……?」

六山がいきなり打ち明けてきた【自分の名前は六山百夏じゃない】という事実。

私はそれを飲み込めないでいた。

六山「……」カチカチカチカチ

【とりあえず聞かれてたらまずいから画面で話すね?御影さんもあまり声に出さないでくれると助かる、かな】

【わたしは未来機関から送り込まれた工作員。才能も本当はデバッガーじゃなくて工作員なんだ】

御影「……」

【これね、ゲームに偽装した本部との連絡ツールなの。いつもゲームしてるだけの子って思わせれば相手を油断させられるし、デバッガーって表向きの才能にはピッタリだったんだ】

御影「……!?」

じゃあ六山は外に助けを呼べるって事!?

【でもこの島プロテクトとジャミングがすごいから、本部と連絡が取れなくて……だからプロテクトとジャミングを少しずつ突破してたんだ】

じゃあ助けを呼ぶために六山はいつもあんなに……
63 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 07:41:12.35 ID:YHIou58A0
【ずっと、ずっと助けを呼ぼうとした。人が殺される度に、学級裁判で処刑される度に、何度も何度も……】

【でも赤穂くんが、モノクマに殺されて……わたし一度諦めたの。もう無理だって、何も出来ないって】

御影「……」

【でも立ち直った御影さんを見て、わたしが諦めたらダメだって思って……だから】

六山は、ずっと戦ってたんだ。

この状況を打破するために、1人で。

御影「……でもなんで?」

なんで工作員なんて必要だったの?

そこまでは口にしなかったけど、六山には伝わったのか彼女はその理由を教えてくれた。

【未来機関第20支部のメンバーの中に、超高校級の絶望の残党がいるって情報を掴んだんだよ】

そんな、また衝撃的な事実を。

絶望の残党が、私達の中に……!?

【それもかなり昔から絶望に染まってたらしくて、江ノ島盾子にも従ってたみたい】

【その人の調査、出来れば捕縛がわたしに与えられた任務】

【実はわたしの六山百夏って名前は、相手を誘い出す側面もあるの】

御影「……?」

【御影さんは、七海千秋って知ってるかな?】
64 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 07:57:02.19 ID:YHIou58A0
七海千秋……?

御影「ごめん、わかんない」

【元77期生の超高校級のゲーマー。人類史上最大最悪の絶望的事件の直前に行方不明になった人】

【でも本当は……遺体が見つかってるの。希望ヶ峰学園の地下から】

御影「……!」

【なぜか遺体は綺麗にされてたけど、少なくとも殺されたって事はわかった】

【その七海千秋さん殺害に、その残党は関与しているみたいなんだ】

御影「……あっ」

そこで私は気付いた。

六山百夏……その名前は七海千秋をいじったものだって。

【この名前に反応してくれる人がいれば、わかりやすかったんだけど……さすがにそう簡単に尻尾は出さなかった】

【だから支部で仕事しながら見つけようと思ったんだけど……こうしてコロシアイが始まって】

【多分苗木くんに協力してたもう1人の黒幕は、その残党だよ】

もう1人の黒幕は絶望の残党……

そんな人間が、私達の中にいる……

【だからお願い、わたしにこのまま連絡を取るのを続けさせて。後少し、後少しで全部突破出来るの】

連絡さえ取れれば未来機関が動く。

もう誰も死なずに済むかもしれない。

それを理解した私は……六山の言葉に頷くしかなかった。

【ありがとう……この後も今まで通り六山百夏として接してくれると、嬉しいな】

そうして微笑んだ六山の瞳に浮かぶ並々ならぬ決意。

私は、この子はどれだけ辛かったのかな、なんてふと思った。
65 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 10:52:21.12 ID:YHIou58A0
自分の事は内緒にしてほしいと頼む六山に、私は頷いて答えた。

まだ何もわからない以上、六山については黙っていた方がいいのはきっと間違いないからね。

兵頭「おはようございます……」

御影「おはよう千。すごい汗だよ、ちょっと着替えたら」

兵頭「ありがとうございます」

千に着替えと飲み物を渡して、カーテンのかかった一角に連れていく。

兵頭「今日も手がかり探しですね。津浦さんはまだ?」

御影「うん、起こしてない。多分一番疲れてるだろうから」

兵頭「それがいいですね……六山さんは?」

御影「えーと、いつも通り、かな」

兵頭「そうですか……早く立ち直ってくださればいいんですけど」

ごめんね千。

本当はもうすぐ助けが来るかもしれないって伝えたいけど……約束したから。

兵頭「さて、そろそろ始めましょうか……」

御影「食べる物用意してあるから」

兵頭「はい」

……如月があんな事始めなければただ待つだけでよかったかもしれないのに。

千の背中を見つめながら、私はそんな風に感じた。
66 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 11:05:09.01 ID:YHIou58A0
佐場木「半分に絞った、か」

昨日如月が言っていた事を様子を見に来た佐場木に伝える。

聞いた佐場木は顔をしかめて考え込んでいるみたいだった。

佐場木「奴はいったい何を調べ、どうしてその結論に至ったか……残りの候補については何も言ってなかったんだな?」

御影「うん、それはモノクマに口止めされてるんだと思う」

それがわかれば、まだ対策もたてられるかもしれないのに。

佐場木「……」

御影「とにかく急がないとまずいかもしれない。まあ、私は何も出来てないんだけど……」

佐場木「そんな事もないだろう」

御影「そうかな」

佐場木「お前が塞ぎ込んでいた時、俺達もまた停滞していた。その空気が変わったのは、やはりお前が戻ってきてからだ」

御影「……」

佐場木「卑下する事はない。お前も立派な助けになっている」

それだったら、いいんだけど……
67 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 11:25:16.42 ID:YHIou58A0
御影「んしょ、よいしょ……」

ショッピングモールで足りなくなった物を補充した私は1人図書館に向かって歩いていた。

本当は1人で行かない方がいいんだけど、みんな頑張ってるから邪魔はしたくない。

御影「ふぅ、ふぅ」

でもこの島の暑さはやっぱりキツい……元々体力のない私は何回も休憩しながら少しずつ進んでる状態だった。

道掛「牡丹ちゃん!」

御影「あっ、道掛……」

道掛「そんな大量の荷物1人で運んでたのか!?無茶は駄目だって!ほら、貸してくれ!」

御影「あっ」

道掛「よっと……よし、牡丹ちゃん乗ってくれ。図書館まで送るからさ」

御影「でも」

道掛「遠慮すんなって!」

道掛の言葉に甘える事にして、私は自転車に乗る。

道掛はしっかり掴まっててななんて言いながら自転車をこぎ出した。

御影「ありがとう」

道掛「いやいや、牡丹ちゃんと二人乗り出来て嬉しいから礼なんかいいって!」

御影「こういう時は素直に受け取った方がモテるよ?」

道掛「マジか!じゃあ今のなし!」

御影「あははっ」

私、わかってるよ。

道掛が私に気遣ってスピード抑えてるの。

……本当、私もっと早く素直になってたらよかったな。

そうすればきっと兄さんも安心して……
68 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 11:42:14.85 ID:YHIou58A0
津浦「これは……」

御影「何かあったの?」

津浦「いえ、Mr.グレゴリーの事が書かれた本があったもので……」

御影「グレゴリーの?どんな本なの?」

津浦「あの人は謎の多い人でしたから。やれ実は2人いるだの過去から来ただの宇宙人だの……色々好き勝手書いてあります」

御影「それはまた……」

実際は、グレゴリーもただの人だった。

津浦に過去がばれるのが怖くて、四方院を殺してしまった普通の人。

津浦「……」

御影「大丈夫?」

津浦「はい、大丈夫です。ワタシはやっぱり死ねないという思いがますます強くなりました!」

気合いが入ったみたいでまた作業を始める津浦。

私が兄さんの事があって死ねないように、津浦も死ねない理由がある。

……うん、私も頑張ろう。
69 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 13:10:04.91 ID:YHIou58A0
キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

御影「……」

また1日が過ぎた。

本はだいぶ減ったけど……

兵頭「はぁ……今日も徹夜になりそうですね」

津浦「はい……」

六山「……」カチカチカチカチ

御影「ちょっと待った」

また徹夜しようとする2人を止める。

こんな事続けてたら2人共倒れちゃう……ここは止めとかないと。

御影「明け方になって眠るなら今寝て明日に備えた方がいいんじゃない?」

兵頭「……それもそうですね」

津浦「休息は、とった方がいいかもしれませんね」

納得してくれたのか千と津浦は本を閉じて寝る準備に入る。

そしてそんなにしない内に、寝息が聞こえてきた。

御影「六山も……無理はしないでよ」

六山「……うん、ありがとう」

3人を置いて外に出る。

夜風に当たりながら電子手帳を開いて、モノクマファイルって書いてある項目を操作する。

2つの隠されてた項目……モノクマファイルと証拠記録。

事件が起きなきゃずっと???のままだったはずの項目。

それを見ると、悲しさと黒幕への怒りが強くなる。

それでも如月を私達は止めないといけない。

御影「……どうせいるんでしょ。出てきたら?」

如月「……」

だから、私は。

御影「如月」
70 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 13:11:03.17 ID:YHIou58A0






御影「黒幕は私だよ」

私に、出来る事をやるんだ。






71 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 13:39:35.38 ID:YHIou58A0
如月「……」

もちろん私が黒幕だなんて嘘。

それでも妹に似てるらしい私がこう言えば、如月だって少しは戸惑うはず。

そうして六山が救助を呼ぶ時間を稼げれば……!

如月「あなたは優しい人ですね」

御影「……意味、わかんない」

なのに。

如月「あなたは誰も死なせたくない。だから僕の動揺を誘うためにそんな嘘をついた」

御影「……」

そんな私の悪あがきは、あっさり見破られて。

如月「御影さん、あなたは黒幕を騙るには優しすぎますよ」

御影「っ、そこまでわかるなら、今すぐやめてよ!」

如月「……」

御影「きっともうすぐ、助けは来るから!だから、あんたがそんな事しなくても……!」

如月「なぜ助けが来ると?」

御影「それ、は……」

如月「……2人まで絞りました」

御影「っ!」

そう言って如月は姿を消した。

私は……何も、出来なかった。

御影「うっ、ううっ」

兄さんなら、こんな時どうしたの?

教えてよ、兄さん……
72 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 14:26:55.04 ID:YHIou58A0
【24日目】

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

御影「……」

私はその後、図書館で膝を抱えていた。

如月は2人まで絞ったって言ってた……つまりもうすぐ如月は誰かを殺す。

それなのに私達は何も出来てない……それでもみんなは頑張ってて。

御影「私は……」

トントン

御影「……?」

六山「ちょっといいかな?」

六山は黒いカーテンを指差してる……何か、秘密の話って事だね。

御影「わかった……」

※※※※

【ジャミング、9割ぐらい突破したよ】

御影「本当!?」

【うん。明日には未来機関に連絡出来ると思う】

御影「よかった……!」

【ありがとう御影さん。御影さんがいてくれたから、わたし頑張れたよ】

御影「そんな、私は何も……」

【ううん、やっぱりね……1人でずっと秘密の作業するのはキツいんだ】

【誰かが自分のしてる事を理解してくれている……それだけで力が湧いてくるの】

【だから御影さん、本当にありがとう】

御影「六山……」

私こそ、お礼を言いたいよ。

自己嫌悪入ってた私を……まだ踏みとどまらせてくれて。

御影「ありがとう、百夏」

【どういたしまして】
73 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 14:50:08.30 ID:YHIou58A0
津浦「っ、Ms.兵頭!Ms.御影!来てください!」

兵頭「どうしました?」

御影「もしかして何か見つかったの!?」

津浦「はい!絶望教についての本を見つけました!」

兵頭「絶望教といえば、あのパソコンに入っていた……!」

御影「新興宗教、だったよね?」

津浦「この本によると、絶望教は超高校級の才能を持つ1人の開祖と2人の協力者が産み出したようです」

兵頭「なるほど……つまりこのコロシアイにもその3人が?」

津浦「いえ、開祖は動かないらしく実務は協力者の2人が行っていると」

御影「名前とかは!?」

津浦「そこまでは……しかし協力者は男女2人組のようです」

兵頭「1人が苗木さんだとすれば……もう1人は」

御影「女……」

思わず顔を見合わせる。

私達の中に、黒幕がいるの……?

津浦「とにかく、これは大きな前進である事に間違いはありません」

兵頭「そうです、ね……」

御影「……」

黒幕は私達の中の誰か……

でもなんだろう……この、妙な違和感。

私、何か重大な事を見逃してる……?
74 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 15:24:30.85 ID:YHIou58A0
ドォン!

御影「!?」

な、何今の音!?

※※※※

【中央の島】

佐場木「ぐっ、っ……!」

道掛「佐場木!!」

音の方へ来た私が見たもの、それは膝をつく佐場木とそれに駆け寄る道掛。

そして……

如月「だから無駄だと言ったんです……」

如月の姿だった。

御影「な、何があったの!」

佐場木「下がっていろ……!」

如月「佐場木さんが僕を拘束するとおっしゃるので……抵抗させていただきました」

道掛「くそ、佐場木薬飲んでんのに手も足も出ねえんだ!」

御影「嘘……」

じゃあ鞍馬は、いったいどれだけの薬をいつも飲んでたの……

佐場木「ぐっ、そうだとしても俺は貴様を止めるぞ如月怜輝……!」

如月「佐場木さん……僕はあなたを殺したくありません。退いてください」

佐場木「貴様が黒幕を殺さないというなら聞いてやる……!」

如月「そうですか」

佐場木「っ!」

それは一瞬の出来事だった……如月が、佐場木のお腹を打ち抜いて。

佐場木はその場に崩れ落ちた。

道掛「佐場木ぃ!!」

如月「気絶させただけです……目覚めたら謝罪を」

御影「待って!私達も黒幕のヒントを見つけたよ!」

如月「……」

御影「絶望教の協力者!それが男女2人って事!だからもう少し、もう少しだけ待って」

如月「――まだそこまで、ですか」

御影「えっ……」

如月「……」

御影「待って!ねぇ、待ってよ如月!」

如月はいなくなった……
まだそこまでって、どういう意味なの?

如月はどこまで、わかってるの……?
75 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:00:30.65 ID:YHIou58A0
キーン、コーン、カーンコーン

モノクマ「夜10時になりました!」

モノクマ「そろそろお休みした方がいいよ!」

モノクマ「うぷぷ、また明日……」

御影「……」

あれから道掛が佐場木を病院に連れていって。

もう図書館には何もないから、千と津浦もそっちに行ってもらって。

六山「……そっか」

御影「……」

私は、百夏と図書館にいた。

百夏は気遣ったのかお茶を淹れてくれたけど、飲んでも美味しいかどうかもわからなかった。

六山「如月くんは、いったいどこまでわかってるんだろう」

御影「わかんない、もうわかんないよ……」

六山「……」

御影「ごめんね、百夏も頑張ってるのに愚痴なんて」

六山「ううん、いいんだよ。わたしだって如月くんは止めたいし」

御影「……」

もう後は百夏が未来機関と連絡取るのを待つしか……

六山「大丈夫、きっと最後は丸く収まるよ」

御影「そうだと、いいんだけど……」

六山「とりあえず明日だよ!明日が勝負!だから今日は休んで、明日頑張ろう?」

御影「うん……」

なんだろう、百夏が励ましてくれて安心したのか眠くなってきた……

御影「ごめん、ちょっと寝る……」

六山「うん、おやすみ」

明日……明日……頑張――
76 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:01:10.42 ID:YHIou58A0






六山「…………」

六山「――ごめんね」






77 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:05:24.48 ID:YHIou58A0
【25日目】

モノクマ「7時です!さあ、起きた起きた!」

モノクマ「今日も張り切っていきましょー!」

御影「んっ……あっ、朝……?」

ぐっすり眠っちゃったんだって慌てて飛び起きる。

その拍子にいつも百夏が着てるパーカーがパサッと落ちた。

御影「あっ、かけてくれたんだ……百夏、ありが――」

お礼を言おうと周りを見渡す……だけど、百夏はいない。

御影「……………………はっ?」

その代わりに、図書館の壁に……大きな文字が書いてあった。




【正義の裁きを執行する】って赤い文字が。
78 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:12:06.97 ID:YHIou58A0
御影「嘘……嘘、嘘嘘嘘嘘!!」

まさか、如月が百夏を!?

違う、違うよ!百夏は黒幕なんかじゃない!

兵頭「牡丹さん、まだこちらに……っ、これは!?」

御影「千!百夏が、百夏が如月に連れていかれたんだ!急いで捜さないと!」

兵頭「っ、まずは病院に!そこに皆さんいます!」

※※※※

道掛「如月が百夏ちゃんを!?」

津浦「そんな……!」

佐場木「ちっ、とにかく捜すぞ!手分けして、ぐっ」

兵頭「その怪我では無理です佐場木さん!」

御影「と、とりあえず1つずつ島を捜そう!佐場木はこの島を任せれば」

津浦「ならワタシはウインターアイランドに!」

道掛「俺はサマーアイランドに行く!」

兵頭「では私は、第1の島を……!」

御影「じゃあ私はスプリングアイランドに行ってくる!」

急げ、急げ急げ!

まだ、間に合う……ううん、間に合わせるんだ!
79 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:15:28.42 ID:YHIou58A0
【スプリングアイランド・桜の大樹】

御影「はぁ、はぁ……」

とりあえず死体置き場以外を探し回って、最後にたどり着いたのはあの桜の樹……ここに百夏と如月はいるの?

御影「桜吹雪で、前見にくい……」

舞い散る花びらの吹雪を進んで……

御影「……あ」

そして私は、見つけた。




最悪の、結果を。
80 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:16:41.95 ID:YHIou58A0






【幹にもたれかかったその身体は、半分が桜の花びらに埋もれていた】

【それはまるで眠ってるみたいに安らかな顔】

【だけど左胸に空いた穴から流れる血が、もう生きていないって示していた】






81 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:17:33.92 ID:YHIou58A0






【どうしようもなく、言い訳のしようもなく、死んでいた】

【六山百夏を名乗っていた彼女は、死んでいた】






82 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:21:18.37 ID:YHIou58A0
御影「もも、か……」

頬を触っても冷たい……まるで兄さんみたいに。

百夏は、殺されたんだ。

御影「如、月……!」

間に合わなかった。

私達のために人知れず戦っていた彼女を黒幕と勘違いして如月は殺した。

また、私からあいつは……奪ったんだ……!

御影「とにかく、みんなに……あれ?」

その場から離れようとした私はふと気付く。

百夏の後ろ……幹の反対側……


桜の花びらが、不自然に盛り上がっていた。


御影「……」

歩み寄ってその花びらを払う。

そして私は知るんだ。
83 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:21:48.49 ID:YHIou58A0






――これは、長い長い1日の始まりにしか過ぎなかったって。






84 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:22:49.29 ID:YHIou58A0






【左腕はあらぬ方向に】

【右腕は折れたのか腫れ上がって】

【右足は捻れて】

【左足は膝から逆に曲がって】

【首も折れてるのかダランとしたその口元は、なぜか笑ってて】

【そして左胸には、お揃いのように空いた穴……】






85 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:23:44.74 ID:YHIou58A0






【そんな状態で死んでいた】

【如月怜輝も、死んでいた】






86 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:26:48.25 ID:YHIou58A0






CHAPT.5【哀れなる罪人に裁きを】(非)日常編 END

生き残りメンバー7→5人

NEXT→非日常編






87 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/10/16(水) 17:28:03.60 ID:YHIou58A0
今回はここまで。

次回は捜査編から。

また夜に洋館を更新したいと思います。

それでは。
88 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 21:59:14.82 ID:mabBC/lA0






CHAPT.5【哀れなる罪人に裁きを】非日常編






89 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 22:08:28.15 ID:mabBC/lA0
御影「……」

どう、なってるの……

なんで百夏だけじゃなくて、如月まで死んでるの……!?

道掛「牡丹ちゃん、ここにいたのか!」

佐場木「これは……!?」

津浦「Ms.六山……」

兵頭「如月さんまで、どうして……」

呆然としているとみんなが集まってきて、そして……

ピンポンパンポーン!!

モノクマ「死体発見!死体発見!」

モノクマ「捜査タイムの後学級裁判を始めまーす!」

ピンポンパンポーン!!

モノクマ「死体発見!死体発見!」

モノクマ「捜査タイムの後学級裁判を始めまーす!」

2回鳴るアナウンス……それがはっきりと百夏と如月、2人が死んだって証明した。
90 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 22:20:31.85 ID:mabBC/lA0
モノクマ「いやー、とうとう恐ろしい殺人鬼が死んでくれたね!これでボクも枕を高くして眠れるよ!」

御影「モノクマ……」

こいつが出てきたって事は、百夏はやっぱり黒幕なんかじゃなかったって事で。

それは如月が結局間違えて死んだっていう事実を、私達に突きつけていた。

モノクマ「うぷぷ、それじゃあお祝いにテンション上げていこうかな!」

モノクマ「ザ・モノクマファイルー!」

モノクマ「頑張ってね、もう議論を引っ張っていた赤穂クンはいないけど!」

御影「っ!」

兵頭「牡丹さん……!」

千が私の腕を掴む。

その腕から伝わる震えが……私の頭を冷静にさせてくれた。

御影「……大丈夫。何もしないから」

兵頭「……」

私の腕を掴んだままの千の手を握る。

私は冷静だって、それが一番の証明になる気がしたから。

兵頭「……わかりました」

御影「うん」

そしてようやく千が納得してくれた頃には、モノクマは消えていて。

捜査……兄さんがいない今、私にどれだけ出来るかわからないけど……

やれるだけ、やってみせるよ……!

    【捜査開始】
91 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 22:36:19.29 ID:mabBC/lA0
御影「えっと、まずはモノクマファイル……」

兄さんはいつもこれを読むところから始めてたよね……

【被害者は如月怜輝。
両名の死亡推定時刻は午前4時から5時の間。
両名の死体発見現場はスプリングアイランド桜の大樹。
両名の死因は心臓を一突きされた事によるショック死。
如月怜輝の両腕、両脚、首の骨は折れている】


御影「何このファイル……」

百夏の名前が、書かれてない……?

確かに百夏の本当の名前は六山百夏じゃないみたいだけど……

だけどそれをわざわざ隠す意味って……

コトダマ【モノクマファイル5】を手に入れました。
〔被害者は如月怜輝。
両名の死亡推定時刻は午前4時から5時の間。
両名の死体発見現場はスプリングアイランド桜の大樹。
両名の死因は心臓を一突きされた事によるショック死。
如月怜輝の両腕、両脚、首の骨は折れている〕

コトダマ【モノクマファイルの記述】を手に入れました。
〔モノクマファイルに六山の名前が書かれていなかった〕

コトダマ【六山百夏の正体】を手に入れました。
〔六山百夏は未来機関から送り込まれた超高校級の工作員。
名前も偽名であり、本当の名前は別にあった〕
92 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 23:00:23.17 ID:mabBC/lA0
御影「……」

私はまず百夏の死体の方に歩み寄る。

百夏は私が見つけた時みたいに身体が半分桜の花びらに埋もれていた。

兵頭「目立つのはやはり、左胸の傷でしょうか……貫通しています」

御影「っ」

兵頭「どうやら、他に目立つ外傷はないようです」

心臓を一撃……それはどうやら正しいみたいだね。

兵頭「そういえば六山さん、パーカーを着ていませんが」

御影「あっ、それなら私が持ってるよ。昨日寝ちゃった私にかけてくれたみたい」

兵頭「ああ、なるほど……ならリュックもそちらに?」

御影「えっ」

そういえば……リュックがない。

百夏がいつも背負ってたあのリュック、図書館にあるのか後で確かめよう……

コトダマ【六山の死体】を手に入れました。
〔六山の死体は半分ほど桜の花びらに埋もれていた〕

コトダマ【左胸の傷】を手に入れました。
〔死因だろう六山の左胸の傷は身体を貫通している状態だった〕

コトダマ【六山のリュック】を手に入れました。
〔六山がいつも背負ってたリュックが消えていた〕
93 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 23:01:37.65 ID:mabBC/lA0
兵頭「……これは」

御影「どうしたの?」

兵頭「六山さんのスカートのポケットに、こんな瓶が」

【身体強化薬】……ってこれもしかして!?

兵頭「赤白の錠剤……おそらく、鞍馬さんが服用していた物ですね」

だけどなんでそれを百夏が……

コトダマ【身体強化薬】を手に入れました。
〔六山のスカートのポケットに入っていた薬。
鞍馬の使用していた物だと思われる〕
94 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/02(土) 23:24:41.62 ID:mabBC/lA0
今回はここまで。
次回捜査終了です。
95 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 19:05:37.19 ID:Zue4se3A0
御影「他に何か……あれ?」

百夏の右手……ここだけ血塗れになってる。

兵頭「怪我をした、というわけではなさそうですね」

御影「じゃあこの血はどこから……」

なんだろう……なんか気持ち悪い。

死体がどうとかじゃなくて、今のこの状況が、なんだか……

御影「……」

コトダマ【六山の右手】を手に入れました。
〔六山の右手は手首まで血塗れになっていた〕
96 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 19:17:29.72 ID:Zue4se3A0
御影「百夏はこんなところ、かな……」

次は如月を調べよう。

佐場木「……」

埋もれていた桜の花びらから出されたのか寝かされてる如月の死体の方には佐場木がいた。

今、佐場木はどんな気持ちで調べてるんだろう……

佐場木「御影か」

御影「何かわかった?」

佐場木「いくつかある。まず如月のこの両手両足、そして首の骨折だが……これは生前のものだ」

御影「嘘……」

つまり如月は……

佐場木「両手両足と首を潰し、心臓を一撃……このような殺し方をする奴を俺は1人知っている」

御影「えっ、誰!?」

佐場木「ジャスティスジャッジ……この男如月怜輝の殺人鬼としての名だ」

御影「……!」

そういえば……最初の学級裁判で如月は素手で薄井の手を潰してた。

だけどなんで如月本人がその殺し方で……

コトダマ【如月の死体】を手に入れました。
〔如月は両手両足首の骨が折れていたが、それは生前のものらしい。
死体発見時に死体は桜の花びらに完全に埋もれていた〕

コトダマ【ジャスティスジャッジ】を手に入れました。
〔如月怜輝の殺人鬼としての名前。
犯罪者をターゲットに両手両足首を潰した後、心臓を素手で貫いて殺す殺人鬼〕
97 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 19:31:12.16 ID:Zue4se3A0
御影「他には、何かわかる?」

佐場木「どうやら如月は誰かと争ったようだ。いくつか殴られたような痕があった」

御影「……如月に?」

佐場木「そうだ」

如月が殴られた?

戦車相手にしても無傷だったあの如月が?

確か前如月は……

※※

如月『なるほど……脳のリミッターを外している僕と渡り合えた理由はそれですか』

※※

そう言ってたよね……

御影「……」

もし出来るとしたら、それは……

御影「……っ」

まただ、また気持ち悪さが……

いったいなんなのこれ……

コトダマ【争いの痕跡】を手に入れました。
〔如月の身体にはいくつか殴られたような痕があった〕

コトダマ【如月怜輝】を手に入れました。
〔如月は脳のリミッターを外し、戦車を相手にしても無傷なほど身体能力が異常に高い。
そんな彼と渡り合う手段は限られているが……〕
98 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 20:22:14.52 ID:Zue4se3A0
道掛「くそ、どうなってんだよ!百夏ちゃんと如月が揃って死んでるって!」

御影「ちょっと落ち着きなよ……私達は今それを調べてるんだから」

道掛「わかってるけどさ……」

バキッ

道掛「はっ?」

御影「ちょっと道掛、今何か踏んだ?」

道掛「いや……」

道掛が花びらを払うと……電子手帳が真っ二つになっていた。

道掛「うおわあっ!?ま、マジかよおい!」

道掛が慌てて拾うけど、もうどうしようもないのが見てすぐにわかる。

道掛「だ、誰のなんだ?牡丹ちゃんか!?」

御影「いや、私のはあるけど……」

その後みんなにも確かめていくけど千、津浦、佐場木も電子手帳は持っていた。

そして如月も持ってるのを佐場木が確かめた。

つまりこれは……百夏の電子手帳?

道掛「百夏ちゃんのやつだったのか……」

御影「……」

百夏の電子手帳が、偶然真っ二つになった?

なんだろう……すごく、引っ掛かる。

コトダマ【壊れた電子手帳】を手に入れました。
〔桜の花びらに埋もれていた電子手帳。
六山の物で道掛が踏んで壊したと思われるが……〕
99 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 20:45:24.43 ID:Zue4se3A0
御影「図書館に戻ってみようかな」

あそこにリュックがあるか確かめないと……

【図書館】

津浦「Ms.御影」

御影「津浦もここに来てたんだ?」

津浦「えぇ、Mr.如月がここからMs.六山を連れ出したなら何か手がかりがあるかと思いまして……しかしあれは」

津浦が見ているのは壁に書かれた【正義の裁きを執行する】って赤い文字。

津浦「ペンキで書かれているようですが……」

御影「これも如月が書いたのかな」

津浦「……」

御影「津浦?」

津浦「少し待っていてください」

そう言って津浦が入っていったのはあの黒いカーテンの一角。

そして戻ってきた津浦は一冊のファイルを持っていた。

御影「なにそれ?」

津浦「ジャスティスジャッジ……Mr.如月の犯行について書かれた資料です」

津浦が開いた中には読めないどこかの文字と何枚かの写真……

御影「っ……」

気分悪くなりそう……だけどきっと手がかりになるはず。

津浦「……変ですね」

御影「何が?」

津浦「Mr.如月の犯行には3つの特徴があります」

津浦「殺害した死体は必ず四肢と首の骨が砕かれ、心臓を貫かれている事」

津浦「絶対に犯罪者以外は殺害しない事」

津浦「そして現場に必ずその犯罪者の犯罪歴が克明に記された紙が貼られている事」

御影「……あれ?でもあそこにそんなのあった?」

津浦「それに、ジャスティスジャッジがこのような見せつける文を書いたという事例はありません」

津浦「これは……本当にMr.如月の書いたものなんでしょうか?」

この文字は……如月が書いたものじゃない?

コトダマ【壁の文字】を手に入れました。
〔図書館の壁に赤いペンキで書かれた【正義の裁きを執行する】という文字〕

コトダマ【ジャスティスジャッジの犯行の特徴】を手に入れました。
〔ジャスティスジャッジの犯行には殺害方法以外に2つの特徴がある。
絶対に犯罪者以外は殺害しない事。
現場に必ずその犯罪者の犯罪歴が克明に記された紙が貼られている事。
しかし紙はなく、赤いペンキで文字を残したという事例はない〕
100 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 21:18:25.76 ID:Zue4se3A0
御影「そうだリュック……」

百夏のリュックを探さないと。

※※

御影「ない……」

いったいどこにいっちゃったんだろう……

コトダマ【六山のリュック】をアップデートしました。
〔六山がいつも背負ってたリュックが消えており、図書館にも存在しなかった〕
101 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 21:34:08.77 ID:Zue4se3A0
御影「後は……そうだ、コテージ」

何か手がかり、あるかもしれないよね。

※※

【如月のコテージ】

御影「これ……」

赤いペンキの缶……これが如月のコテージにあるって事は……

御影「いや、ちょっと待って」

なんかおかしい……

御影「他にも、何か……あっ」

机の上に大切そうに置いてあるバッジが目に入る。

これヒーロー物だよね……如月なら不自然じゃないだろうけど。

御影「でもこれ……多分3回目の学級裁判で」

※※

赤穂『じゃあ……教えてください』

如月『なんでしょう?』

赤穂『如月さんの妹さんのバッジがなんで発電所にあったんですか』

如月『……!』

御影『妹の、バッジ?』

※※

御影「兄さんが、言ってたやつだよね?」

如月の妹のバッジ……確か死んでるってモノクマが言ってたけどなんでそれがあるんだろう。

コトダマ【赤いペンキ】を手に入れました。
〔如月のコテージにあった赤いペンキの缶〕

コトダマ【ヒーローのバッジ】を手に入れました。
〔死んだ如月の妹が持っていたらしいバッジ。
学級裁判の様子を見るに本来はないもののはずだが……〕
102 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 22:02:16.66 ID:Zue4se3A0
御影「次は百夏のコテージ……」

ガチャガチャ

御影「えっ」

コテージが、開かない?

御影「ちょっとモノクマ!」

モノクマ「はいはい、なんでしょう!」

御影「百夏のコテージが開かないんだけど」

モノクマ「……」

御影「百夏は被害者だから調べていいはずでしょ?早く開けてよ」

モノクマ「それは無理です!だって壊れたから!」

御影「は!?」

モノクマ「いやー、修理するにしてもその間に学級裁判始まっちゃうし、今回は諦めて!」

御影「待ちなよ!ちょっと!」

壊れたって……

コトダマ【六山のコテージ】を手に入れました。
〔捜査中六山のコテージに入る事が出来なかった。
モノクマいわく鍵が壊れたらしい……〕
103 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 22:20:53.06 ID:Zue4se3A0
御影「……」

入れないものは、仕方ないよね。

そう思って踵を返した私の前に……

モノクマ「……」

またモノクマが現れた。

御影「モノクマ……今度は何?」

モノクマ「……」

モノクマは何も言わずに封筒を私に差し出す。

それを受け取ると、モノクマはそのまま姿を消した。

御影「なんなのもう……」

不満を漏らしながら私は封筒を開ける。

そこには1枚の紙と……電子手帳が入っていた。

御影「これ……」

【経過は順調みたいで何よりだ。
まあ、今回の手術は初歩も初歩だからミスする心配はなかったけどな。
これからお前がどんな人生を歩むか、楽しみにしてるよ。
全く、馬鹿な親を持つと苦労するよな?】

御影「……」

手紙を読んだ私は電子手帳を起動する。

そこに出た名前……

それを見て、私は。
104 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 22:32:58.32 ID:Zue4se3A0
キーンコーン、カーンコーン…

モノクマ「タイムアップー!」

モノクマ「そろそろ学級裁判を始めましょう!」

モノクマ「オマエラ中央の島に集合してくださーい!」

ブツン!

御影「……」

行こう。

【中央の島・未来機関第20支部】

佐場木「来たか」

道掛「牡丹ちゃん、遅いぜ!」

御影「うん、ごめん」

津浦「……もうこれしか、いないんですね」

兵頭「そして、さらに減る事になるんでしょうか……」

御影「千、それ……」

千の首に巻かれているのは、如月のマフラー。

あいつが最期まで着けていた……遺品。

兵頭「思った以上に、彼を失った事が堪えているみたいです……牡丹さんにはあんな風に言ったのに」

御影「……」

今、千は戦ってる……だったら私は1つしか言えない。

御影「千、私達もいるからね」

兵頭「……はい」

千の頷きと同時に、鍵の開く音。

佐場木「行くぞ」

佐場木を先頭に私達はエスカレーターを降りていく。

御影「佐場木、百夏の死体は調べた?」

その道中。

佐場木「ああ、当然調べた」

私は確認する。

御影「百夏の頭に、手術の痕なかった?」

最後のピースを。

佐場木「……年月が経つのか微かにだが、あったな」

御影「……ありがとう」

コトダマ【六山の手術痕】を手に入れました。
〔六山の頭にあった年月の経つ手術の痕〕
105 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 22:41:05.70 ID:Zue4se3A0
【学級裁判場】

モノクマ「……うーん」

佐場木「何を唸っている」

モノクマ「いやさぁ、オマエラさっきボクと会わなかった?」

津浦「何を言っているんですか?」

モノクマ「なんか記憶が飛んでるというか……」

道掛「意味わかんねえ」

モノクマ「まっ、いっか!じゃあオマエラ席についてください!」

モノクマに促されるまま私達は席につく。

……六山百夏、如月怜輝。

また2人の仲間を私達は失った。

そしてその犯人は……

佐場木「今回の手口……」

津浦「……疑問が多いですね」

道掛「犯人は絶対見つけてやるからな!」

兵頭「……」ギュッ

必ずいるんだ。

御影「……」

そして始まる学級裁判。

だけど私だけは知っている。

この学級裁判は普通じゃない。

それはあの手紙と。

御影「力を貸して……兄さん」
106 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 22:42:21.21 ID:Zue4se3A0






【如月怜那】

――この電子手帳が、証明してる……!






107 : ◆DXWxLR/SkYo1 [saga]:2019/11/03(日) 22:44:05.78 ID:Zue4se3A0






コトダマ【謎の手紙】を手に入れました。
〔モノクマに渡された謎の手紙。
内容は>>103

コトダマ【電子手帳】を手に入れました。
〔モノクマに渡された電子手帳。
起動すると【如月怜那】という名前が表示された〕






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