梓みふゆ「鶴乃さん、鶴乃さん、起きてください」

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1 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:35:08.18 ID:RQR8trEn0

鶴乃「んんっ・・・」

みふゆ「鶴乃さん、起きてください」

鶴乃「んぇ・・・? みふゆ・・・?」

みふゆ「最強の魔法少女を決めるために、鶴乃さんはこれからやっちゃんと決闘するんですよね」

鶴乃「うーん・・・?」

鶴乃「あっ! そうだった! こうしちゃいらんない!」ガバッ

鶴乃「やちよししょー! いざ尋常に勝負!」

やちよ「ついにこの日が来たのね」

やちよ「私は鶴乃の師匠として数々の辛い修業をあなたに課してきたわ。そして鶴乃は見事その全てを乗り越えて強くなった」

やちよ「私に教えられることはもうない。だからこれが最後の修業よ。現最強の称号を持つ私と戦って勝ち、私から最強の称号を奪い取りなさい!」

鶴乃「はいっ! ふんふんっ! お願いしますっ! ふんふんふんふんっ!」

やちよ「いくわよっ!」

鶴乃「ふんっ!」


やちよ「ハァァアアアアッッ!」

鶴乃「しゃぁああああっっ!」


バシュ ズバンッ ドガッ





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2 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:36:51.20 ID:RQR8trEn0


鶴乃「うっ・・・くっ・・・・」フラッ.....

やちよ「鶴乃・・・・・」

鶴乃「ししょー・・・・」

やちよ「強く、なったわね」

鶴乃「はい・・・」

やちよ「あなたの、勝ち・・・よ・・・・」ドタッ......


鶴乃「勝った・・・? わたしが、やちよに・・・?」

みふゆ「やりましたね鶴乃さん! 鶴乃さんが最強ですよ!」

フェリシア「やったな鶴乃!」

いろは「鶴乃ちゃんカッコいい!」

うい「鶴乃さんすてきー!」

さな「抱いてください!」

ももこ「アタシは鶴乃が最強だってずっと前から知ってたよ!」

かえで「私を弟子にしてください!」

レナ「すごっ!」

マミ「なんて強さなのかしら! とてもじゃないけど私でも由比さんには敵わないわ!」

やちよ「そうよ鶴乃! もう誰も鶴乃には敵わないわ! 鶴乃が最強よ! おめでとう!」


 ぱちぱちぱち


鶴乃「そっか・・・。最強なんだ・・・・」

鶴乃「わたしが・・・・最強・・・・」

鶴乃「わたしが・・・・?」

鶴乃「う〜ん・・・・」

鶴乃「・・・・」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



3 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:37:44.15 ID:RQR8trEn0

みふゆ「鶴乃さん、鶴乃さん、起きてください」

鶴乃「んぇ・・・? みふゆ・・・?」

みふゆ「起きましたか?」

鶴乃「あれ・・・? わたし、やちよに勝って最強の魔法少女になったような・・・」

みふゆ「そうなんですか。でも残念ですが、それは夢ですよ」

みふゆ「鶴乃さんはこれから世界一の料理店を決めるコンテストに出場するんですよね」

鶴乃「あっ! そうだった! こうしちゃいらんない!」ガバッ

鶴乃「はいっ! お待ちどう! 万々歳特製チャーハンです!」

やちよ「ありがとう頂くわ」パクッ ムシャ

やちよ「んっ?! おいしい! おいしすぎて死んでしまいそうだわ! これは100点・・・いやっ! 100万点満点よっ!」

やちよ「文句なしに世界一料理店は万々歳に決定!」


鶴乃「世界一の料理・・・? 万々歳が・・・?」

みふゆ「やりましたね鶴乃さん! 万々歳の料理が世界一ですよ!」

フェリシア「やったな鶴乃!」

いろは「鶴乃ちゃんカッコいい!」

うい「鶴乃さんすてきー!」

さな「抱いてください!」

ももこ「アタシは万々歳の料理が世界一だってずっと前から知ってたよ!」

レナ「すごっ!」

かえで「私にも脂っこくてしつこいチャーハンください!」

まなか「なんておいしさなんでしょう! これに比べたらウォールナッツの料理なんて足元にも及びません!」

やちよ「そうよ鶴乃! もう誰も鶴乃の料理には敵わないわ! 万々歳が世界一よ! おめでとう!」


 ぱちぱちぱち


鶴乃「そっか・・・。万々歳が世界一・・・・」

鶴乃「万々歳が・・・・?」

鶴乃「う〜ん・・・・」

鶴乃「・・・・」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



4 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:39:08.38 ID:RQR8trEn0

みふゆ「鶴乃さん、鶴乃さん、起きてください」

鶴乃「んぇ・・・? みふゆ・・・?」

みふゆ「起きましたか?」

鶴乃「あれ・・・? 万々歳が世界一の料理店になったような・・・」

みふゆ「そうなんですか。でも残念ですが、それは夢ですよ」

みふゆ「これから鶴乃さんが出資している軍隊が敵軍と戦うんでしたよね」

鶴乃「あっ! そうだった! こうしちゃいらんない!」ガバッ

鶴乃「みんなー! わたしに続けー! おりゃー!」

フェリシア「はぁっ?! 大将自ら先陣を切るのかよ?!」

いろは「相手の兵力はこちらの100倍以上あるのに?!」

うい「なんて勇敢なの?!」

さな「抱いてください!」

アリナ「ンアッハッハッハッハ〜! ジェネラル自ら突っ込んでくるなんてフールだヨネー!」

アリナ「死ねー!」

鶴乃「なんのー! しゃしゃあああー!」

アリナ「クゥゥゥッ!! くあっ、ふっ・・・! うわっ、参った! 参った! こっちがルーザーなんですケド! アリナ的にマギウス軍を鶴乃様の家来にしてほしいカモ!」

ももこ「マジか!? 勝っちゃった!」

かえで「万々歳のおかげでみんなが救われたよ!」

レナ「すごっ!」

やちよ「よくやったわ鶴乃! 女王として鶴乃の名を未来永劫讃え、万々歳を国営化して学校給食を万々歳の料理にすることを約束するわッッッ!!!」

みふゆ「やりましたね鶴乃さん! 偉業を成して万々歳の再興を見事果たしましたね!」

鶴乃「えっ・・・?」

鶴乃「そっか・・・。わたし偉業を成したんだ・・・・」

鶴乃「偉業・・・・?」

鶴乃「う〜ん・・・・」

鶴乃「・・・・」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



5 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:40:58.32 ID:RQR8trEn0

みふゆ「鶴乃さん、鶴乃さん、起きてください」

鶴乃「んぇ・・・? みふゆ・・・?」

みふゆ「起きましたか?」

鶴乃「あれ・・・? わたしが何か偉業を成したような・・・」

みふゆ「そうなんですか。でも残念ですが、それは夢ですよ」

みふゆ「鶴乃さんはみかづき荘でのんびり過ごすんですよね」

鶴乃「あっ! そうだった! こうしちゃいらんない!」ガバッ

鶴乃「しーしょー! 万々歳の新しい宣伝を一緒に考えて!」

やちよ「そうね。宣伝より味の質を上げることを先に考えたら?」

鶴乃「どうやったら味良くなるかな!」

やちよ「そうね。桜子さんにシェフを代わってもらったらどうかしら」

鶴乃「わたしだって一応プロの料理人なんだよ! それを素人に任せるなんてわたしのプライドが許さない! わたしの料理でたくさんのお客さんに来てほしいの!」

やちよ「そうね。だったらお茶屋に鞍替えしたらいいんじゃないかしら」

鶴乃「こうなったらししょーがわたしの料理のししょーにもなってよ〜!」

やちよ「プロの料理人が素人に師匠を頼んでるんだけど、あなたにはプライドってもんはないのかしら」

鶴乃「しーしょーッ!!」ダキッ

やちよ「うぐっ?! ちょ、苦しいからひっつかないでっ」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



6 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:44:42.43 ID:RQR8trEn0

みふゆ「鶴乃さん、鶴乃さん、起きてください」

鶴乃「んぇ・・・? みふゆ・・・?」

みふゆ「起きましたか?」

鶴乃「あれ・・・? わたし、やちよに正論という名の刃で切りまくられていたような・・・」

みふゆ「そうなんですか。でも残念ですが、それは夢ですよ」

みふゆ「今は、無理矢理引き出した羽根の力に自我を奪われて暴走している灯花を止めるところですよ」


灯花「くふっ♪ すごいねー! このエネルギーは! どんどんわたくしの元に呼び出すよー!」

うい「ううっ・・・んぐっ・・・。や、やめて、灯花ちゃん・・・。圧し潰されそうで苦しいの・・・」

いろは「灯花ちゃんやめて!」

灯花「なんでー? せっかくうまくいってるのにー!」

やちよ「やめなさい灯花! これ以上は本当に何が起こるか分からないんだから!」

灯花「分からないのは凡人のあなたたちだけでしょー? 天才を舐めないでほしーなー!」

灯花「これだけのエネルギーがあればなんだってできるんだよ? キュゥべえなんてもう目じゃないよ!」

灯花「全てがわかる! 宇宙の始まりも、宇宙の外も、宇宙の終わりも、全部、全部わかる!」

灯花「早く知りたい! 宇宙の全てをー!!!」

やちよ「まだ気が付かないの?! さっきからあなたの言っていることはおかしいわよ! もう既に天才が未知にすくわれているの! やめなさい!」

灯花「くふふっ。やめないって言ったらどうなるのかにゃー?」

やちよ「ここにいる全員があなたを力づくで止めることになるわよ!」

ねむ「やちよお姉さんに同意するよ。この羽根の力は未知であまりにも強大すぎる。それをコントロールできないこの状況では、下手を打てば宇宙を壊しかねない」

桜子「 |あまり好き勝手したら私も怒る。灯花、やめて| 」

いろは「ねむちゃんも桜子ちゃんもこう言ってるよ灯花ちゃん! こうしている今ですら羽根の力に締め付けられてみんな苦しいの! お願いやめて!」

フェリシア「フーーーーッ!! やめろお!!」

さな「あわ、あわわ・・・」

令「おやおや。荒事かい? 観鳥さんはこういうのは慣れてるからね。たとえ元上司であろうと容赦しないよ」

郁美「これ以上のおイタはくみが許さないぞっ☆」

ひなの「しっかしなんで灯花は変身できるんだ? 腕輪に制御されて変身できないんじゃなかったのか?」

ねむ「これは推測だけども。暴走した羽根の力が引き金になって、灯花のマギウスとしての悪意ある人格が蘇ってしまった。マギウスの灯花は無理矢理変身しようとしたから、灯花本来の人格が腕輪の制御で意識を失った」

ねむ「マギウスの灯花はそれに構わず、羽根の強大な力を上手く使って腕輪の制御を振り切り変身に成功したんだと思う」

灯花「くふふっ。さすがねむだねー。見ているだけでそこまでわかっちゃうんだー」
7 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:46:24.16 ID:RQR8trEn0

白羽根「おおっ・・・! ということは、今のこの灯花様はまぎれもなくマギウスの灯花様ということか!」

灯花「そーいうことになるねー。このエネルギーを使えばもちろん解放だってできるよ。だから、ちゃーんとわたくしの言うことに従ってねー」

黒羽根「もちろんです灯花様! 我々は灯花様に付きます! さあ、覚悟しなさいあなたたち!」

灯花「くふふっ。ベテランさん。これで数の有利はなくなったかにゃー?」

やちよ「くっ・・・!」

灯花「でーもー。そんなことしなくてもー、ここにいる全員を消すくらい訳ないんだけどねー?」

白羽根「消す・・・? それは一体・・・」

灯花「うるさい! わたくしの言うことに従えって言ったよね!」

白羽根「ぐあっ?!」

黒羽根「な、なに、これ・・・? あ、頭が・・・割れそう・・・!」

やちよ「ちょ、ちょっと?! なにをやっているの?!」

灯花「ビッグクランチからの・・・」ゴゴゴッ....

やちよ「っ?! みんな逃げっ―――」

灯花「ビッグバーーーーーン!!」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



8 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:48:52.50 ID:RQR8trEn0

みふゆ「鶴乃さん、鶴乃さん、起きてください」

鶴乃「んぇ・・・? みふゆ・・・?」

みふゆ「起きましたか?」

鶴乃「あれ・・・? わたしたち、暴走した灯花ちゃんに襲われていたような・・・・。また夢でも見ていたかな?」

みふゆ「そうなんですか。でも残念ですが、それは―――」



   灯花「にゃー! もーしつこいなー! 早く消えてー!」バシュン

   ももこ「ぐうっ?!」

   やちよ「ももこ! お願いまだ耐えて! ここで引いたら後はないんだから!」



みふゆ「―――現実なんです!!」

鶴乃「えっ・・・?」






白羽根「ウガァアアア!!」ドシュ

桜子「 |ねむとういには指一本触れさせない!| 」ガキンッ

白羽根「ウグッ!? ・・・グウゥウ! ヴァァアア!!」

桜子「 |っ・・・。ねむ。私たちも早くここを離れよう。私が負けることはないけれど、こうも繰り返し捨て身で特攻されたら、みんなを守り切れない| 」

ねむ「そうはいかないよ。なんとしても灯花を止める方法を僕が見出さないと・・・。今僕がここを離れたら本当に宇宙が壊れて誰も助からない・・・!」

うい「ああっ・・・うっ・・・く、苦しい・・・・頭が割れそう・・・くっ、ううぅ・・・・」

いろは「うい! 大丈夫、大丈夫だから! 羽根の力に飲まれないで! お姉ちゃんの声だけに耳を傾けて!」



黒羽根「ガァアアア!」グワッ

さな「んにゃ!」ガンッ ドンッ

黒羽根「グウッ?!」

さな「かえでさん! レナさん! 私の側から離れないでくださいね!」

レナ「ご、ごめん、さな・・・・」

かえで「ふゆぅ・・・せっかく助けに来たのに足手まといにしかならないなんて・・・ダメダメだよ私・・・」






9 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:55:09.87 ID:RQR8trEn0

鶴乃「はぇ・・・? な、なにこれ・・・? なにがどうなってるの・・・?」

みふゆ「灯花が羽根の力に飲まれて暴走しているんです!」

鶴乃「えっ・・・? あれ、ちょ、えっ、ま、待って・・・? なんか記憶が曖昧で・・・。頭がフラフラしてて・・・」

みふゆ「落ちついてください。状況を説明します」

みふゆ「暴走した灯花はいきなり大きな一撃を皆さんに浴びせたんです。それで令さんと郁美さんとフェリシアさんが大怪我をしてしまって・・・。鶴乃さんもその時頭を打って気絶したんです・・・」

みふゆ「そこを灯花に自我を奪われた翼の子たちが襲いかかってきました。それはなんとかやっちゃんが防いで、大怪我した三人はひなのさんに担がれてここから逃げました」

みふゆ「その直ぐ後に、ワタシとももこさんたちがここに駆けつけたんですが、それに気が付いた灯花は奇襲をして、レナさんとかえでさんも大怪我をしてしまって、今さなさんに守ってもらっています」

みふゆ「戦う力のないねむもここから離れるべきなんですが、灯花を止める方法を考えると言って聞かないんです・・・」

みふゆ「それとどうやら灯花は回収の能力で羽根の力をより強めたいようで、ういさんの自我を奪おうとしています。それをなんとか阻止しようと、ういさんの自我をいろはさんが必死に繋ぎとめています」

みふゆ「そしてワタシですが、意識を失った鶴乃さんが自我を奪われないよう、失礼ながら自我を保てるような幻覚を鶴乃さんに見せ続けて、意識が戻るまでずっと呼び掛けていました」

みふゆ「ただ、一度や二度の幻覚ではなかなか鶴乃さんの自我に響いてくれなくて焦っていましたが・・・。でも諦めず繰り返し幻覚をかけてようやく鶴乃さんが目を覚ましてくれましたっ。よかった・・・・」

鶴乃「そうなんだ・・・。ありがとうみふゆ! 助かったよ! そして状況も大体わかった! 要は大ピンチってことだよね! それじゃあ」

鶴乃「えっと、それじゃあ、わたしは! えっと・・・・・・わたしはどうすればいいんだろう!?」

みふゆ「今はやっちゃんとももこさんの二人で灯花の相手をしていますが、灯花はかなり力を増していて危険な状態です! 鶴乃さんはやっちゃんの加勢をして灯花の動きを止めてください!」

みふゆ「灯花の動きが止まりさえすれば、ワタシが鶴乃さんを起こしたのと同じ方法で灯花本来の自我を呼び起こします!」

鶴乃「うんわかった! しゃあああああああ!!!」タタタタッ

みふゆ「今ここにいる中では鶴乃さんが一番の実力者です! もう鶴乃さんにしかできません! お願いします!」

鶴乃「アイアイサー!」

みふゆ「ふぅ・・・。本当によかった・・・。鶴乃さんは相変わらず理解と切り替えが早いですね。正義感と確かな実力も備えていて、本当に頼もしい人です」






10 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:57:08.70 ID:RQR8trEn0

灯花「くふふっ。そろそろ限界かにゃー?」

ももこ「はぁっ・・・はぁっ・・・」フラッ....

やちよ「ももこっ・・・!」

灯花「さあ、これでもう諦めてねっ」ゴゴゴッ....

やちよ「くっ・・・! まだっ・・・!」


   < やちよー! ももこー!


灯花「にゃっ?」

やちよ「鶴乃っ!」

ももこ「鶴乃か・・・? 鶴乃が来てくれたのか・・・? はぁっ・・・よかったあ・・・。アタシはもう限界だ・・・ちょいと休憩させてもらうよ・・・」

鶴乃「みんなはわたしが守ーる! ふんふんっ!」

灯花「まだ最強さんが残ってたのっ?! もーーーーっ! メンドクサイにゃー!」

やちよ「助かるわ鶴乃! でも気を付けて! この子的確に人体の急所を狙ってくるから!」

灯花「そうだよー。天才は医学にも詳しいから、急所を突いて苦しまずに死なせてあげるねー」

鶴乃「怖いなあ?! やちよっ、どうやって戦ったらいいっ?」

やちよ「反撃の隙を与えない連携技でいくわよ!」バッ

鶴乃「ほいっ!」バッ

灯花「むうっ?!」


鶴乃「しゃああ!」ズバッ

やちよ「せぁあっ!」シュン

灯花「みゅぅ゙?!」

ももこ「おおっ! さすが一緒に暮らしているだけあるなあ。息ぴったりの師弟コンビだな!」


やちよ「灯花っ! そんなふざけた得物でいつまで私たちの連携技を耐えられるかしらっ!?」シュン ヒュ

鶴乃「そらそらそらそらーっ!」ズババッ

灯花「むむぅっ・・・!」

やちよ「天才だかなんだか知らないけど所詮はお子ちゃまね! いくら大きな力を持ってようと、それを使いこなす技がない!」

鶴乃「そうだー! わたしたちの辛い修業の日々の成果をみよー!」

灯花「むーーーーっ!」


11 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 20:59:31.58 ID:RQR8trEn0

灯花「・・・・・・・くふっ♪」

やちよ「っ!?」ゾクッ

やちよ(な、なに・・・? 灯花に妙な余裕が生まれたような・・・。明らかにこっちが優勢なのに)

やちよ(またさっきのビッグバンとやらを撃つ気? でもあれは予備動作があるから、こうやって鶴乃と張り付いて間髪入れずに攻め続けていれば大丈夫なはずだけど・・・)

やちよ(灯花はまだなにか持ってる。十分に警戒すべきだけど、だからといって恐れすぎていたら何もできない! とにかく今は攻め続ける!)


灯花「使いこなす技がない? それはどうかなー? だんだんこの羽根の力の使い方もわかってきたよ」

やちよ「それはっ、どういう意味・・・?」

鶴乃「ほりゃあああ!」ズバッ

灯花「例えばこうやって変換の力を応用してっと。えいっ」 .....バチッ


 バンッッ!!


鶴乃「あぎゃぁあああああああ?!?!」

やちよ「きゃあああ?!」

ももこ「うわっ?! な、なんだ?! 何が起きた?! 爆発?! 何も無い所で爆発が起きたのか?!」

12 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:00:08.48 ID:RQR8trEn0

灯花「くふっ♪ そうだよー。爆発だよー。羽根の力を高電圧の電気に変換して傘の先で放電させたの。その時発生したスパークは超高温だから、瞬間的に周りの空気が熱せられて、急激な熱膨張が爆発になるんだよー♪」

灯花「でも、わたくしは傘を広げているから爆風を防御できる。どうかにゃー? ベテランさん? そのほっそい槍と最強さんとの連携技とやらで、この爆発をどうやって凌ぐのかにゃー?」

鶴乃「あっ・・・うぐっ・・・」

やちよ「くっ・・・。な、なんて技なの・・・。予備動作なしでこの威力・・・。防ぎようがないじゃない・・・!」

灯花「くふふっ♪ そうなんだー。それじゃ、もう一回♪」 .....バチッ


 バンッッ!!


鶴乃「ぎゃあああああああっっ?!?!」

やちよ「くあっ?!」

灯花「羽根の力はそこら中に充満してるからいくらでも打てるよー! だから、それっ、もういっかーい♪」 .....バチッ


 バンッッ!!


鶴乃「あがああっっ?!?!」

やちよ「くっぅ?!」

灯花「くっふふっ♪ さっきの威勢はどうしたのかにゃー? もっとわたくしを楽しませてよねーっ」

ももこ「なんだよ・・・なんだよこれ・・・。まるで子供が虫をいたぶってるみたいじゃないか・・・! やめてくれ・・・やめてくれよお・・・!」

ももこ「お前の目的は宇宙の全てを知ることだろー! なんで仲間をこんなに傷付けるんだよー!」

灯花「んー・・・? なんでかにゃー? わかんにゃい」

やちよ「はぁっ・・・はぁっ・・・。ももこ。今の灯花に何を言っても無駄よ。コントロールできない羽根の力とマギウスの人格に自我を奪われているんだから」

ももこ「そんなぁ・・・。ただ単に人を傷付るなんて・・・そんなのもう、魔女と変わらないじゃないか・・・!」

やちよ(魔女・・・・。なるほど・・・。確かにそう考えると、灯花や向こうの翼たちが暴れている理由も納得できる)

やちよ(きっとこの羽根の力は希望と絶望が表裏一体なんだわ。私たちを救って希望をもたらしてくれることもあれば、こうして私たちを傷つけ絶望をもたらすこともある)

やちよ(その関係は、魔女と魔法少女の関係にとても似ている。それでいてこれだけ強大な力を有している、ということは・・・・もしかしてこの羽根の力の持ち主は、魔法少女の真理に近い存在・・・? あるいは真理そのもの・・・?)

やちよ(それだけ大きな存在なのは間違いない。だからこそ私たちが安易に触れてはならなかった・・・。柊さんの言う通りだわ。下手を打てば宇宙を壊しかねない・・・)


13 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:01:30.58 ID:RQR8trEn0

やちよ「はぁっ・・・はぁっ・・・」

やちよ「鶴乃、生きてる・・・?」

鶴乃「うっ・・・んくっ・・・。な、なんとか・・・生きてる・・・よ・・・」フラフラ.....

灯花「さすがに頑丈だねー。普通の人間だったらとっくに内臓が破裂して死んでるところなのに」

やちよ「長いこと魔法少女やってればこの程度なんてことない・・・!」

灯花「ふーん。そういうものかにゃー」

やちよ「そろそろっ・・・こっちの反撃よっ。覚悟なさいっ!」

灯花「んー・・・・・」

やちよ(強がっては見せるけど、かなり絶望的な状況ね・・・。特に鶴乃のダメージがかなり深刻だわ・・・。鶴乃にはもう無理させられない・・・)

やちよ(どうにか・・・どうにかして打開策を見つけないと・・・!)


灯花「ねーねー。さっきから思ってたけど、二対一って卑怯だよねー。だから、一人減らしてもいいよね」

ももこ「一人減らすって・・・? お、おい、何言ってんだよ・・・。何をするつもりなんだ・・・?!」

灯花「どーちーらーにーしぃーよぉーおかなー」チラッ チラッ

鶴乃「ふっ、くあっ・・・あ・・・」フラッ....

灯花「きーめたっ! 死にかけの最強さん、さよーならー!」 バチンッ!

やちよ「させないっ!」シュッ

灯花「にゃっ?!」


 バッゴォォンッ!!


ももこ「うわぁっ?!」

やちよ「ぐぅぅうっ!!」

鶴乃「っ?!」 (吹き飛び

ももこ「鶴乃ーっっ!!」

灯花「あーもー! 邪魔しないでよねベテランさん! 原型残っちゃったよーっ! せっかく至近距離でさっきの10倍の電圧で爆発させて最強さんをバラバラにしようと思ったのにー!」

やちよ「そんなこと私がさせるわけないでしょ!」

やちよ「それにその技の弱点がわかったわ! とにかく早業で傘を弾けさえすれば爆風を逸らせる!」

灯花「フンだっ! いいよいいよー! 最強さんはどっかに吹き飛んでどっちみち一人減ったから」

灯花「それじゃベテランさん。楽しくなってきたからチャンバラの続きしてあげるねー!」

やちよ「望むところよっ! やっあああっ!」

14 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:03:33.20 ID:RQR8trEn0






   < バッゴォォンッ!!


桜子「 |えっ・・・?| 」

ねむ「あっ・・・・!」

うい「わっ?!」

いろは(鶴乃ちゃんがこっちに吹き飛ばされてくる! ぶつかるっ?!)


  鶴乃「・・・・・・・・・・」 ヒュルルル.....


ドガシャァアン!!

ねむ「うわあっ?!」

桜子「 |ねむっ!| 」

うい「ねむちゃん! 鶴乃さん?!」

鶴乃「・・・・・・・・・・」

ねむ「うっ、ううぅ・・・・」

いろは「ねむちゃん大丈夫?!」

ねむ「イタタ・・・。う、うん、なんとか・・・・」

桜子「 |ねむっ、よかった・・・| 」

鶴乃「・・・・・・・・」

いろは「鶴乃ちゃんは大丈夫?」

鶴乃「・・・・・・・・」ボロッ....

いろは「きゃあ?! 鶴乃ちゃんっ?! なんてひどいケガ!」

桜子「 |んっ・・・。鶴乃は心肺停止している。恐らく爆発の衝撃で重要な臓器のほとんどが破裂している| 」

いろは「えっ・・・? そ、それって・・・鶴乃ちゃんは・・・」サー....

うい「うそっ・・・。や、やだ・・・」

桜子「 |落ち着いて。まだ死亡しているとは限らない。いろはの治癒魔法なら蘇生できるかも| 」

ねむ「魔法少女ならソウルジェムさえ破壊されなければまだ助かる! お姉さん急いで!」

いろは「あっ、う、うん! 待ってて鶴乃ちゃん! すぐに治癒するから!」

 パァアア

鶴乃「・・・・・・・・」

いろは「鶴乃ちゃん!」

うい「鶴乃さん! お願い生き返って!! 死んじゃやだよお!! あっ―――」

うい「ぐっ?! あっ、うぅ・・・。ま、また頭が割れそう・・・・」クラッ....

桜子「 |ういは自我を奪われないことに集中して!| 」

白羽根「ヴァァアアア!!」グワッ

桜子「 |邪魔させない!| 」ガキンッ


15 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:05:24.67 ID:RQR8trEn0


鶴乃「・・・・・・・・・」

鶴乃「・・・・・・・・・・・・」

鶴乃(・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?)

鶴乃(・・・・・・・?)

鶴乃(体が、動かない・・・。感覚がない・・・・。目も開けられない・・・・)

鶴乃(これはなに? 夢でも見ているのかな・・・?)


白羽根「グゥゥゥッ!!」ザシュ

桜子「 |しつこい!| 」バシンッ

黒羽根「ガァアアア!!」サッ

桜子「 |っ?! 一人すり抜けた! ねむっ逃げてっ!| 」

ねむ「っ?!」

みふゆ「加勢しますっ!」ガキンッ


鶴乃(誰か戦ってる・・・?)

鶴乃(桜子ちゃんと、みふゆかな・・・?)

鶴乃(なんで戦っているんだろう・・・?)

鶴乃(なんでわたしは二人を助けていないんだろう・・・?)

鶴乃(あっ、そうだ・・・。やちよと一緒に灯花と戦ってたんだ、わたしも・・・)

鶴乃(これは夢じゃない・・・。夢じゃない・・・・!)

鶴乃(起きなきゃ・・・! 起きるっ! 今すぐみんなを助けなきゃ!!)グッ

ズキンッ

鶴乃(ん゙ッ?! な、なにこれ・・・頭が・・・割れそう・・・)






16 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:13:35.73 ID:RQR8trEn0






黒羽根「ア゙ア゙ア゙ァッ!」ジャラ

白羽根「ヴァァアアア!!」ドシュ

さな「くぁぅっ?! くぅっ・・・! だ、ダメですっ・・・! これ以上は防ぎきれません!」

レナ「さな?!」

さな「かえでさん! レナさん! 私に捕まってください! 透明になってここから離れます!」

レナ「えっ、ちょ?! そんな事したら そいつら いろは か やちよさんの方に行っちゃうでしょ!」

さな「うっ・・・で、でもこのままじゃあ・・・!」

かえで「私が囮になるから! さなちゃんとレナちゃんだけでも逃げて!」

レナ「ハァッ?! 何言ってんのよ!」

さな「それだけは絶対にできません・・・!」






灯花「くふふっ! 傘を弾けば爆風を逸らせるって言ってたけど、こうしても同じことが言えるかにゃー?」 フワッ...

やちよ「あっ?!」

やちよ(この子、空に飛び上がれるんだった・・・!)

灯花「そしてもちろん、わたくしにできる攻撃はこの爆発だけじゃないよー」

灯花「よっと」シャラーン.....

 ズバンッ!

やちよ「くぅぅ、ぁあっ?!」

灯花「くふっ♪  羽根の力を自分の魔力に変換しているから、無尽蔵に強力な攻撃ができるんだよー。だからどう頑張っても勝ち目なんてないんじゃないかにゃー?」

やちよ(次々と飛んでくる激しい攻撃に対して、私は魔力が衰えている身・・・。あまり魔法に頼った戦い方ができない・・・。空中から一方的に攻撃をされたら圧倒的に不利・・・)

やちよ(・・・・いや。灯花がそう思っているならそれを逆手に利用できるかも。灯花の虚をついて強力な一撃をぶっ放す方法は、なくはない・・・けど・・・)

やちよ(でもきっとそれは奇襲じゃないと成功しないわ。私一人じゃ到底無理・・・)

やちよ(このままじゃ為す術がない・・・)






17 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:17:17.37 ID:RQR8trEn0


鶴乃「・・・・・・・・・・・・」

みふゆ「鶴乃さん起きてください! あなたの力が必要なんです!」

いろは「鶴乃ちゃん目を覚まして!」

白羽根「ヴヴァッ!」ドシュン

桜子「 |ふっ!| 」ガキャン!

桜子「 |本当にしつこい・・・! これ以上私たちに害をなすなら、その命を絶つ・・・!| 」

みふゆ「えっ?! それはダメです! 待ってください! ワタシに任せてください! この子たちの意識を奪います!」

みふゆ「やぁあ!」

白羽根「アッ?! あぁぁ・・・うっ・・・・」 ....パタッ

黒羽根「ぐっ・・・うぅ・・・・」 ....パタッ

みふゆ「このまま幻覚をかけてこの子たち本来の自我を呼び起こしますっ」

ねむ「ありがとうみふゆ。その翼たちに罪はない。僕や灯花の負の遺産に未だ囚われてしまっているだけ。憐憫の情を禁じえない。なんとしても救ってほしい」

みふゆ「わかっています。この子たちがこうなってしまったのも、ワタシに責任があります。正気に戻して、ワタシが説得をしなければなりません―――」

みふゆ「・・・・・えっ? あっ、そ、そんなっ、どうしてっ!?」

ねむ「みふゆ? どうしたの?」

みふゆ「この子たちの自我にまでワタシの魔力が辿り着かないんですっ! 何か大きな力に阻まれて・・・」

ねむ「羽根の力かな・・・。完全に自我を奪われていたからかなり根深く精神を浸食されてしまったのかも・・・」

みふゆ「っ! ですがっ、だからって放って置けません! 集中します! ワタシのありったけの魔力を注いでなんとしても救います!」


いろは「鶴乃ちゃんっ、鶴乃ちゃんっ! なんで・・・っ!」

鶴乃「・・・・・・・・・・・」

ねむ「お姉さん?」

いろは「私の治癒魔法で傷は全部治したはずなのに・・・。鶴乃ちゃん目を覚まさないの! どうして・・・どうして・・・?!」

ねむ「まだ目を覚まさない・・・? 痛覚遮断が間に合わないほどの激痛を受けて精神が耐えられなかったか・・・。あるいは、もう既に羽根の力に自我を犯され始めているのかな・・・。そのまま意識を失っていたら先ほどの翼と同じように僕たちを襲ってくるだろうね・・・」

いろは「ダメっ、そんなの! なんとかしないとっ! 鶴乃ちゃんお願い起きてっ!」

ねむ「みふゆ。鶴乃お姉さんも一緒に幻覚をかけられる?」

いろは「みふゆさんお願いしますっ! 鶴乃ちゃんを助けてください!」

みふゆ「えっ・・・。ちょっと、それは難しいです・・・。この子たちに集中しながらでは・・・」

いろは「あうっ・・・そんなっ・・・」

みふゆ「鶴乃さんを優先すべきなのはわかります。この子たちよりずっとやっちゃんの力になってくれます。でも・・・・・・・・・・」

みふゆ「っ・・・。ご、ごめんなさい・・・。ワタシはこの子たちも見捨てるわけにはいかないんです・・・・」

いろは「そんなっ・・・。で、でも! 今鶴乃ちゃんを助けないとみんな助からないですよっ!」

みふゆ「うっ・・・。わかっています・・・わかってはいますが・・・」

ねむ「・・・・翼たちと鶴乃お姉さん。両方に幻覚はかけられない。放置した方は自我を奪われて僕たちを襲ってくる。そして、襲ってきた方は・・・・・」

桜子「 |これ以上いろはたちが危険な目に遭うのは我慢できない。次に手を出した者は私が迷わず殺す| 」

いろは「やめてよっ!」

桜子「 |こればかりはいろはの言うことでも聞けない。私はあなたたちを守らないといけないから| 」

みふゆ「どちらも失うわけにはいきませんっ・・・絶対に・・・!」

ねむ「・・・・これは難しい選択だね。かといって時間をかけるわけにもいかない。やちよお姉さん一人が今の灯花に勝てるとは到底思えない。やちよお姉さんがやられたらその瞬間に、もう万事休すだよ・・・・」

18 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:19:24.47 ID:RQR8trEn0

いろは「あぁ・・・・・・・・」

いろは「どうすれば・・・どうすればみんな助けられるの・・・?」


桜子「 |・・・・んっ?| 」

桜子「 |ねむ。本が落ちているよ。さっき鶴乃とぶつかったときに落としたのかも| 」

ねむ「本? 今は本なんてどうでもいいよっ!」

いろは「桜子ちゃん! もっと他の仲間のことも気遣いできるようになって! みんな大変なの!」

桜子「 |・・・・ごめんなさい| 」

いろは「・・・・・・。桜子ちゃんがやちよさんを助けにいけないかな・・・?」

桜子「 |それはできない。私は灯花とは戦えない| 」

いろは「そうだよね・・・・」

ねむ「・・・・・・」

いろは「・・・・・・」

桜子「 |・・・・・・・| 」


桜子「 |・・・・この本の中にいる子たちは私にとって大事な仲間だから、本は私が持っておくね| 」 スッ....

桜子「 |・・・・あっ| 」

ねむ「今度はなんだい・・・?」

桜子「 |・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・| 」

ねむ「桜子? 何をしているの?」

桜子「 |ねむ。鶴乃に力を貸したいって言ってる子がいる| 」

みふゆ「力を貸したい子・・・?」

ねむ「また理解に苦しむことを言うね・・・。今どういう状況かわかって―――」

みふゆ「ねむの本の? ・・・・あっ! そうですよ! それです!」

ねむ「みっ、みふゆ? 一体何事・・・?」

みふゆ「ウワサですよっ!」

19 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:22:17.92 ID:RQR8trEn0

ねむ「・・・あっ、そうかっ! うんっ! 確かにそれならこの窮地を打開できる望みがある!」

いろは「えっ? ウワサ? どういうこと?」

ねむ「ウワサを具現化して、鶴乃お姉さんに憑かせるんだ。ウワサで羽根の力から守れると思う」

みふゆ「はいっ! うまくいけば巴さんの時みたいに自我を安定させることができます!」

ねむ「うん。そうすればやちよお姉さんの加勢ができる」

いろは「ちょっ、ちょっと待って。ウワサに憑かれた鶴乃ちゃんて―――」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ウワサの鶴乃『帰りたいと思ってもここに居たいと思ってる』

ウワサの鶴乃『いくらいろはちゃんとやちよの声に心が揺れてもね』

ウワサの鶴乃『いくら悲しくても、ウワサとしての責務があるんだよ・・・』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



いろは「―――・・・・また、あの頃の鶴乃ちゃんになっちゃうの・・・?」

ねむ「お姉さんの言いたいことはわかるよ。僕は変身ができないから、ウワサの書き換えや調整ができない。鶴乃お姉さんの意識が戻ったとしても、ちゃんと戦ってくれないかもしれないし、最悪は敵になるかもしれない」

ねむ「だけど他に方法も思いつかない。今の窮地を覆すには、この博打に賭ける他ないよ」

いろは「そうだけど・・・。ウワサに憑かれたら、また鶴乃ちゃんを苦しめることになっちゃう・・・・」

桜子「 |大丈夫だよ、いろは| 」

いろは「えっ?」

桜子「 |鶴乃を苦しめることにはならないし、敵になることもない| 」

いろは「そう、なの・・・?」

桜子「 |時間がない。詳しくは後で説明する。ねむ、早く本の中にいる子を外に出してあげて| 」

いろは「あっ、待って待って! それってまたねむちゃんの命を削っちゃうよね?!」

ねむ「大丈夫。具現するのは一体だけだし新しく創造するわけでもない。だから命を削ると言っても、それはたった一回のティータイムを失うようなものだよ。そんなのは細事。羽根の力をむやみに扱おうとした宿業だと思えば安いものだ」

ねむ「ただ、今具現化の能力を使ったら腕輪の制御で僕は気を失うかもしれない。もしそうなったら・・・。みふゆ、幻覚をかけられる手が足りなくとも、何かあったらその時は僕を頼むよ。色々とね」

みふゆ「・・・・・・・。はいっ、約束します」

いろは「ねむちゃん・・・・」






20 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:24:23.86 ID:RQR8trEn0


・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・



鶴乃(わたしは・・・・)

鶴乃(爆発に巻き込まれて・・・それで・・・やられちゃったのかな・・・・・)

鶴乃(頭が割れそう・・・)

鶴乃(苦しい・・・。締め付けられるような・・・圧し潰されそうで苦しい・・・・・・)

鶴乃(ダメだよこのままじゃ・・・。わたしは寝ていちゃダメ・・・!)

鶴乃(強く意思を持って起き上がらないと・・・!)

鶴乃(なのにっ・・・体が言うことを聞かない・・・。苦しい・・・締め付けられそう・・・圧し潰されそう・・・。なんなのこれ・・・)


『抗わなくていい』


鶴乃(えっ・・・?)

『怖がらなくていい。その感覚に身を委ねて』

鶴乃(ダメだよ・・・。それじゃみんなを助けられない。わたしががんばらないと)

『何も考えずに身を委ねて』

鶴乃(もうっ、だからダメなの・・・! そんなことを言うあなたは誰?)

『あなたの言葉を借りるなら、わたしは “最強の魔法少女” 』

鶴乃(最強の魔法少女・・・?! なんでっ、最強は、わたしだよっ・・・!)

『わたしは因果の特異点。全ての魔女を消し去る存在』

鶴乃(・・・? どういうこと?)

『このまま身を委ねれば、この力をあなたに分けてあげられる。そうすれば誰もあなたには敵わない』

鶴乃(わたし、強くなれるの?)

鶴乃(・・・・・・・)

鶴乃(・・・・・・いや、いやだっ! なんかいやだ! わたしはやちよししょーの元で努力して最強になるの!)

『それではそれ以上強くなれない』

鶴乃(なんでそんなことが分かるの?!)

『あなたはずっとやちよの元にいるが、一度もやちよに勝ったことがない』

鶴乃(うっ、ま、まあ、そうだけど・・・・)

21 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:26:22.77 ID:RQR8trEn0

『最強とは、誰よりも強いという意味。やちよに勝てない時点で最強とは言えない』

鶴乃(う、うん・・・。で、でも、そんなことよりこうしちゃいられないの・・・! わたしがみんなを助けないと・・・!)

『あなたは弱い。誰も助けられない。現に灯花にも全く歯が立たなかった。今起き上がったところで、何も変わらない』

鶴乃(あっ・・・うぅ・・・)

『少し外の様子を感じ取るといい』

鶴乃(外の様子?)


  さな『くぁぅっ?! くぅっ・・・! だ、ダメですっ・・・! これ以上は防ぎきれません!』


鶴乃(さな? さななの?)

鶴乃(すごく苦しそう・・・。ピンチなんだ・・・)

鶴乃(さなは攻撃が苦手なんだから、私が助けないと・・・)

鶴乃(助けなきゃ。私が助けないといけないのに・・・)


  かえで『私が囮になるから! さなちゃんとレナちゃんだけでも逃げて!』


鶴乃(ダメだよかえで・・・。かえではハムスターなんだからすぐに食べられちゃうよ・・・)

鶴乃(わたしがさなを助けて、そしてかえでの事も守らないと・・・)


  うい『んぐっ?! あっ、うぅ・・・。ま、また頭が割れそう・・・・』クラッ....


鶴乃(ういちゃんも苦しんでる・・・)

鶴乃(ういちゃんはまだ小さいから、わたしはみかづき荘の先輩として、ういちゃんの代わりに苦しまないといけないのに・・・)


  灯花『くふふっ! 傘を弾けば爆風を逸らせるって言ってたけど、こうしても同じことが言えるかにゃー?』

  やちよ『くぅぅ、ぁあっ?!』


鶴乃(やちよが負けそう・・・)

鶴乃(いやだ・・・。やちよが負けるところなんて見たくない・・・)

鶴乃(そして灯花のことも助けないと・・・。わたしががんばって灯花を正気に戻さなきゃいないのに・・・)


鶴乃(うぅ・・・・)

鶴乃(わたしは最強になって、みんなのためにいっぱい動いて・・・そしてそれはいつか偉業になっている・・・はず・・・)

鶴乃(だけど・・・ダメだ・・・。灯花にも勝てなくて・・・わたし、全然最強だなんて言えないよ・・・)

鶴乃(わたしなんかの力じゃ、誰も助けられない・・・・)

鶴乃(今までいっぱい動いて・・・いっぱいいっぱいがんばったけど・・・その結果がこれじゃあ・・・・もう・・・)

鶴乃(ダメだ・・・わたし・・・全然ダメ・・・みんなを幸せにするなんて、できない・・・)

鶴乃(なんかもう・・・全部ダメで・・・はぁ・・・疲れた・・・・)

『大丈夫。わたしに身を委ねて。そうしたら最強の力が手に入る』
22 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:30:50.78 ID:RQR8trEn0

鶴乃(そうなの・・・・?)

『灯花もこの力を使って、強くなった。だからあなたも』

鶴乃(わたしもあんな風に強くなれるんだ)

『強くなってみんなを助けられる』

鶴乃(みんなを助けられる)

『みんなを楽にしてあげられる』

鶴乃(みんなを楽にしてあげられる)

『みんなを苦しみから解放してあげられる』

鶴乃(みんなを苦しみから解放してあげられる)

『身を委ねて』

鶴乃(身を・・・委ねる・・・)

鶴乃(・・・・・・・・・)

鶴乃(・・・・・・・・・・・)

鶴乃(・・・・・・・・・・・・・・・)





\\ 鶴乃! 鶴乃! 起きるパカッ! //





鶴乃「えっ・・・?」

パカ「鶴乃! なにしてるんだ早く起きるパカッ!」

鶴乃「キミは確か、キレートスタッフのちょっとおヒゲがねじれてる子?」

パカ「そうパカッ! よく覚えていたパカな!」

鶴乃「そりゃあもうわたしは管理人だから。それより何しに来たの? あっ! またわたしのことをウワサにするつもり?!」

パカ「そうパカッ! 早くパカと合体するパカッ!」

鶴乃「嫌だよ?! あんなに悲しい思いをしたのに!」

パカ「あの時のパカは本当のパカじゃないパカッ! 本当のパカはみんなを幸せにしたいって思ってるパカッ! 鶴乃と一緒パカッ!」

鶴乃「ほんとぉ・・・?」

パカ「信じるパカッ! この汚れなき純粋なパカの目を見ても信じられないパカッか?!」

鶴乃「う〜ん・・・。確かにつぶらな瞳だねえ・・・。零れ落ちそうだけど」

 .....ズキッ

鶴乃「ぐうっ?! まただ・・・。頭が割れそうなこの感覚・・・」

『それに身を委ねて。あなたが求める最強の力だから』

鶴乃「そうだ・・・。わたし最強に・・・」

パカ「ダメパカッ! そっちに行くなパカッ! そっちに委ねたらもう人の世界には戻れないかもしれないパカッ! パカが鶴乃をやちよたちの所に連れて行ってやるからこっちに来るパカッ!」

鶴乃「ううん・・・。わたしは今のままじゃ最強になれない・・・。やちよししょーのところに居てもわたしはこれ以上強くなれないから・・・」

『こっちに来て。みんなを苦しみから解放してあげられるから』

鶴乃「うん・・・わたしはみんなのために・・・」

パカ「鶴乃はバカパカッ!」

鶴乃「バカぁ・・・??」

23 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:33:23.67 ID:RQR8trEn0

パカ「長い間鶴乃の側にいてくれて、いつも鶴乃を引っ張って、鶴乃がウワサになっときも、誰よりも早く、誰よりも深く、鶴乃のことを理解して鶴乃を救ったのはやちよじゃないのかパカッ?!」

鶴乃「・・・・・・・」

パカ「メルの事、お爺ちゃんが亡くなった事、お母さんやお婆ちゃんの事、一家を守る重責・・・・。鶴乃はいっぱい抱えていて傷ついていたパカ。明るい笑顔の奥に隠れた、そんな本当の鶴乃を一番最初に見つけたのはやちよ。違うパカッ?」

鶴乃「違くない・・・」

パカ「それに、ほら、この声を聞くパカッ」

鶴乃「声?」



  < 鶴乃さんが何かブツブツ言ってます! 意識が戻りかけてます! いろはさんもっと呼びかけて!
  
  < はいっ! 鶴乃ちゃーん!! お願い目を覚ましてー!!



鶴乃「みふゆ・・・いろはちゃん・・・。わたしの事を必死に呼んでる・・・」

パカ「そうパカッ。みんな鶴乃に戻ってほしいって思ってるパカッ」

パカ「いろはだって、やちよだって、みんな鶴乃に頼りたいし、頼って欲しいって思っているパカッ。そうやってみんなで手を取り合い目指す先にこそ、鶴乃が本当に求めている最強があるんじゃないのかパカッ?」

鶴乃「・・・・うんっ!」

パカ「それとも鶴乃は得体の知れない力に頼ってたった一人で最強になりたいパカッ? 仮にそれで最強になれたとして、鶴乃は本当にそれで満足パカッ?」

鶴乃「・・・・・いやだっ。そんなわたしは嫌だっ!」

パカ「だったら一人で無理をするなパカッ! パカにも鶴乃の手を取らせてくれパカッ!」

鶴乃「わかった! パカに手はないから足を借りるね!」

パカ「任せろパカッ!」

鶴乃「・・・・あっ!?」

パカ「どうしたパカッ?」

『身を委ねて。こっちに来て。あなたを最強にしてあげられる』

鶴乃「うっ?! まただっ・・・頭が割れそう・・・でも・・・! もうわたしはっ! 迷わないんだからっ・・・!!」

パカ「そうパカッ! パカなら鶴乃を乗せてみんなの所へ連れ戻してやれるパカッ! こっちに来るパカ!」

鶴乃「・・・うんっ! ありがとうっ! そっちに行くパカよっ!」

パカ「来いパカッ!」

鶴乃「せ〜のぉ〜っ!」

パカ・鶴乃「「フューーージョン!! ハァッ!!」」



24 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:36:01.87 ID:RQR8trEn0

『・・・・・・・・・・・』

『そう・・・・』

『仲間を支え、支えられる力。それがあなたの本当の力』

『今みんなを苦しめているのはね、わたしの元から引き離されて呪いをまき散らすようになってしまった力なの』

『でもあなたは、あなたの力で呪いに打ち勝ってくれたね。ありがとう』

『これからもその力を大切にね』

『さあ、レコードを回し続けて。こんなところで絶望で終わらせたくないから、みんなを助けてあげて』



・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・






灯花「あれれ〜? ベテランさん、もしかして腕が折れちゃった?」

やちよ「はぁっ・・はぁっ・・・。さて・・・どうかしらね・・・」

灯花「そんなんじゃ槍もまともに持てなくて、もうわたくしの傘を弾けないねー」

やちよ(まずい・・・。またあの爆発を向けられたら、どうやっても防げない・・・!)

灯花「くふふっ♪ 安心して。影も形も残らないくらいにその体を粉々に吹き飛ばしてあげるっ!」

やちよ(ここまで・・・っ?!)



   < ししょー! 傘を水で覆って!



やちよ「えっ? 水? あ、え、ええっ! わかったわ! ハァッ」 バシャ

灯花「あっ?!」

やちよ「・・・・・・・?」

やちよ「爆発しない?」

灯花「むうーーーーーっ!」

やちよ「まさか・・・これで爆発を封じられるの?!」

やちよ「助かったわ! やるじゃない鶴乃!」

やちよ「んっ・・・? えっ? 鶴乃・・・? よね?」


25 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:37:45.27 ID:RQR8trEn0

ウワサの鶴乃「傘が水で濡れていれば、電位差を作れないからスパークしない。したがって爆発も起きない。で、あってるかな?」

灯花「そうだよっ! 最強さんって間抜けに見えて妙に鋭いよねー?! 腹が立つー!!」

ウワサの鶴乃「にっひひー。最強の魔法少女は知識も最強!」

やちよ「鶴乃・・・。あなた、その姿、もしかしてウワサに憑かれているの・・・?」

ウワサの鶴乃「うん! すごいよ今のわたしは! なんかエネルギーが満ち溢れてる!」

やちよ「それは・・・大丈夫なの? 色々と・・・」

ウワサの鶴乃「全然大丈夫! ミョウトウがクウシンサイ先生を助けるみたいに、弟子のわたしがししょーを助けるから!」

灯花「んもーーっ! ねむだなー! こんないやらしいことを考えたのはー!」






26 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:42:09.01 ID:RQR8trEn0


ねむ「どうやら・・・・一世一代の大博打は吉と出たみたいだね・・・・むふっ」フラッ...

ねむ「うっ・・・・」パタリッ....

桜子「 |ねむっ| 」 抱きとめ

いろは「ねむちゃん大丈夫?!」

桜子「 |大丈夫。腕輪の制御で眠っているだけ| 」

みふゆ「ええ、今は大丈夫でしょうが・・・。このまま意識が無防備な状態が長く続くと羽根の力に精神を犯されてしまいます。その前に鶴乃さんが勝たないと・・・」

いろは「うん・・・。そうなんですけど・・・。でも、ウワサに憑かれた鶴乃ちゃんて―――」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ウワサの鶴乃『今までで一番安心できる場所を見つけた』

ウワサの鶴乃『ここはわたしにとって楽で幸せな場所だから』

ウワサの鶴乃『気を揉んだり悩んだりしない “安心できる” ユートピアだから』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



いろは「―――・・・・キレーションランドを守る管理人で、それ以外で戦うことは消極的だから私たちのために戦ってくれるかどうか・・・」

桜子「 |ううん。今の鶴乃は消極的でもなければキレーションランドの管理人でもない| 」

いろは「えっ?」

うい「ふぅ・・・ふぅ・・・。そうだよ、お姉ちゃん」

いろは「ういっ。大丈夫?」

うい「さっきね、ねむちゃんの本の中から出てきたウワサの子を見たんだけど」

いろは「うん?」

うい「あの子は、わたしが描いた馬ライオンさんだった。あの子はみんなの心と体を癒してくれるの。そう願いを込めてわたしが描いんだから」

桜子「 |そうだよ。ウワサの子はみんないい子たちなの。いろはが戦ってきたウワサの子は、マギウスのねむによって悪意が強調されていただけ| 」

桜子「 |でも、ねむが元に戻って、その時にウワサの子たちもみんな本来の内容に戻った| 」

いろは「そっか。さっき桜子ちゃんが言っていた、鶴乃ちゃんを苦しめることにはならないし、敵になることもないって、そういうことだったんだ」

桜子「 |うん。鶴乃は私たちの心と体の癒しに反する存在と戦ってくれる。それにね、あの子は鶴乃と相性が特に良いみたい。あの子は本の中に戻された後もずっと鶴乃のことを気に掛けていた。ああやってまた鶴乃と一緒になれて、とても活き活きしている| 」

桜子「 |だから今の鶴乃はあの子の力を借りていつもよりずっと強い力が出せるはず| 」

みふゆ「いつもより強い力・・・。本当にそうならとても頼もしいですが、ワタシはやはりアリナや巴さんの印象が強いので、不安が残りますね・・・。果たして今の鶴乃さんはどう動くでしょう・・・」






27 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:45:54.03 ID:RQR8trEn0


灯花「ウワサは厄介だなあ。もう遊んでいられないみたい」

灯花「じゃあしょうがないよねベテランさん! 今度こそ消してあげるっ! じゃーね!」シャラーン

やちよ「くっ・・・!」


ウワサの鶴乃「させるか〜っ!」

ウワサの鶴乃「パカラッ! パカラッ!」スィー

灯花「えっ? きゃあ?!」ビクッ

ウワサの鶴乃「キレートキック!」バキッ

灯花「ぐぅ゙っ?!」ヨロッ....



桜子「 |あっ・・・| 」

いろは「口でパカパカ言っておきながらスケートみたいに滑って、しかも物凄い速さで灯花ちゃんとの距離を一瞬で詰めちゃった!」

みふゆ「しかもキックと言っておきながらパンチしてます!」

うい「お馬さんだからパンチもキックになっちゃうんだっ・・・!」

桜子「 |・・・・・・・| 」





灯花「くぅ・・・うっ・・・」

灯花「うぅ・・・! 痛いにゃーもー!!」

灯花「天才を殴るなんてどういうつもり!? もう怒った! 許さない! 本気で行くよ!」

ウワサの鶴乃「うむっ来たまへ! 鶴乃お姉さんが胸を貸してあげよう! ふんふんっ!」

灯花「なにその上から目線は! 頭に来る! ムカツク! 手加減なしで羽根の力を見せてあげるんだから!」

灯花「にゃぁあーっ!」ドスッ

 スカッ

灯花「えっ? あ、あれ・・・? いない?」

ウワサの鶴乃「後ろだよ! ほりゃあ!」ズバッ

灯花「みゅぅ゙?!」

ウワサの鶴乃「もういっちょー!」ブンッ

灯花「やっ!」バッ (傘でガード

ウワサの鶴乃「しゃっしゃぁあああ!!」 ズドンッ バンッ

灯花「きゃぅ゙?!」クラッ....



28 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:48:40.21 ID:RQR8trEn0


ももこ「な、なあやちよさん。あの後ろに回り込む技って、やちよさんの技じゃないのか・・・?」

やちよ「ええ、驚いたわ。さすが私の弟子を自称しているだけあるわ」

ももこ「しかも、爆風をも防ぐ傘越しにも関わらずダメージを与えられてる。もともとパワーのある鶴乃が更にパワーが上がってるんだ」

ももこ「そんな圧倒的なパワーがある上に、やちよさんのトリッキーな技も使えるなんて・・・それって、もしかしたら今の鶴乃は・・・」

やちよ「そうよ、はっきりこう言えるわ」

やちよ「今の鶴乃は、正真正銘 “最強の魔法少女” よ・・・!」



桜子「 |・・・・・・・| 」

いろは「鶴乃ちゃんすごい・・・! さっきまでやちよさんですら敵わなかった灯花ちゃん相手に一人で勝てそう!」

みふゆ「はいっ! 力も戦いの立ち回り方も鶴乃さんが上です! このままなら灯花が戦えなくなるまでダメージを与えられます!」

桜子「 |・・・・・・・めて| 」

うい「・・・? 桜子ちゃん?」



ウワサの鶴乃「甘い甘い! そんなんじゃ甘いよー! ほりゃぁぁあ!」

灯花「にゃにおー!」シャラーン

ウワサの鶴乃「ふぅぅぅぅぅ!!」

 ズバッ ズバッ ズバンッ!!

灯花「はっ?! ふぁ?! きゃぁぁ゙?!」

ウワサの鶴乃「うっしー、競り勝った! どんなもんだ!」

灯花「ぁっ・・・くぅ・・・・」ヨロッ....

ウワサの鶴乃「魔力は無尽蔵でも、体力は底を付いたみたいだね!」

灯花「ぃゃ・・・・まだっ・・・・」

ウワサの鶴乃「もう諦めて! これ以上戦っても結果は見えてるよ!」

灯花「くぅ・・・なんで・・・なんで・・・」

ウワサの鶴乃「ほぇ?」

灯花「なんでじゃまするのーッッ!!!」

ウワサの鶴乃「うわっ?!」

灯花「わたくしは宇宙の全てを知りたい!」

灯花「それができれば宇宙にある無限の資源を人類が手に入れられるんだよ?!」

灯花「環境問題だって、世界中で起きている紛争だって、そんなのは全部地球の限られた資源が原因! 宇宙を支配できればそんなのなにもかも全部解決できる! わたくしはそれがしたいの!」

灯花「破壊的なアリナより、わたくしの方がずっとずっと理性的で建設的でしょ!」

灯花「なのになんでじゃまするのー!」

やちよ「今現在感情的で破壊的なあなたに言われても全く説得力がないわよ。本当に言っていることが支離滅裂だわ」

ウワサの鶴乃「うん。それにね、灯花。さっき少しだけ声が聞こえた気がするの」

灯花「声ぇー?」

29 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:52:35.08 ID:RQR8trEn0

ウワサの鶴乃「それはね、とても大きな存在で、そして優しい誰かだったと思う。そんな誰かがわたしにこう語り掛けたの。 “みんなを助けてあげて” って」

ウワサの鶴乃「だからわたしは灯花のことも全力で助けてあげたいの! だからお願いもう抵抗しないで!」

灯花「いーやーだー・・・・!」ググッ....

ウワサの鶴乃「そっか・・・。なら仕方ないね・・・! 悪い子には本気でおしおきしなきゃいけないみたい!」ググッ....

灯花「うるさいうるさいうるさい! みんな大っ嫌い!! バカバカバーーーカッ!!」

灯花「ぁぁああああッッ!!!」



ももこ「扱える魔力の大きさも、残りの体力も、そして戦いの技術も、どれを取ってもその差は歴然だな」

やちよ「ええ。もう勝負あったわね」



ウワサの鶴乃「これ以上は大怪我させちゃうかもだけど我慢してね!」

ウワサの鶴乃「ちゃっらああああああッッ!!!」


  < やめてーッ!!


ウワサの鶴乃「えっ?」チラッ

やちよ「あっ?!」

ももこ「お、おいっ!?」

桜子「 |やぁぁッ!| 」シュン!

ウワサの鶴乃「うわあ?!」ガキンッ

桜子「 |うぅッッ!!| 」グググッ......

ウワサの鶴乃「 |んんんんっ??? これはどういうことかなー桜子ちゃん?| 」ギギギッ.....

桜子「 |やめてっ! やめてっ! 灯花を傷付けないで!!| 」グオッ!

ウワサの鶴乃「うわっとと?!」



いろは「桜子ちゃん?! なんで?!」

みふゆ「あぁ・・・ウワサの内容に逆らえなかったようですね・・・」

いろは「どうしてっ!? 今までは大丈夫だったのに!」

みふゆ「灯花とやっちゃんの戦いでは灯花の方が有利でしたから、その時まではまだ我慢できたんでしょう。だけど鶴乃さんがウワサと融合して形勢逆転してしまったから・・・」

いろは「そんなっ・・・」



ウワサの鶴乃「ふんっ!」ドンッ

桜子「 |ガッ・・・ぐ・・・| 」

ウワサの鶴乃「そっかそっかー。桜子ちゃんはわたしと戦いたいんだあ」

桜子「 |・・・・・・これ以上灯花が傷付くのは見ていられない| 」

ウワサの鶴乃「お姫様を守るナイトってわけだね! かっこいい! なんか燃えてきたなあ! 面白い!」

ウワサの鶴乃「いいよいいよー! ノッてきたから二人まとめて相手してあげる! さあかかってきて!」

桜子「 |やっあアアッ!| 」ジャキン

鶴乃「ほりゃあ!」バシンッ

灯花「・・・くふっ♪」



30 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:54:36.78 ID:RQR8trEn0



やちよ「ももこ。動ける?」

ももこ「ああっ。もう十分休ませてもらった。鶴乃は余裕こいて強がっちゃいるがさすがにあの二人相手に一人じゃ分が悪い。アタシも加勢するよっ」

やちよ「いえっ、待って。灯花はもう後がないから、これを機に間違いなく何か仕掛けてくるわ。私たちはそれを阻止しないと」

ももこ「あ、ああ、そっか。どうすればいい?」

やちよ「私たちがもう死に損ないって灯花が思っている今なら、きっと奇襲が成功する。アレをやるわよ」

ももこ「アレ・・・? アレか?! でも大丈夫かやちよさん。その腕、折れてるだろ?」

やちよ「ええ。だからは道だけは私が作るから、ももこ、その後を頼むわ」

ももこ「わかった! 任せな!」



桜子「 |ああああっ!!| 」シュバ!

ウワサの鶴乃「ほいっと!」バシッ

ウワサの鶴乃「やっぱ強いなー桜子ちゃんは! 桜子ちゃんにししょーはいるのかな?」

桜子「 |・・・戦い方は灯花のサーバーの中で学んだ| 」

ウワサの鶴乃「そっか! わたしもいつか手合わせしたいな! そのサーバーししょーと!」

灯花「桜子、そのまま最強さんを抑えててねー」フワッ

ウワサの鶴乃「あっ! 空飛んだ?! どこ行くんだー! わたしと戦えー!」

灯花「いーやっ!」

ウワサの鶴乃「ならこの扇で撃ち落とす―――」

桜子「 |ダメッ!| 」ザシュ

ウワサの鶴乃「ぬうっ?!」


灯花「くふふっ。さすがにこれだけ高く飛び上がれば誰も近づけないねー♪」


ウワサの鶴乃「なにをする気だー!」


灯花「そこら中のエネルギーを全部使ってみんなを原子レベルまで分解するよー!」

灯花「もうみ−んな消えちゃえ♪」

灯花「ビッグクランチからのー・・・」ゴゴゴッ....



                      < タッ タッ タッ タッ タッ.....



灯花「・・・・?」

灯花(なに、この音? 足音みたいな・・・?)

灯花(こんな上空で音がする物なんてないはずなのに。なにかにゃ?)チラッ

灯花「えっ・・・?」


31 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 21:58:22.12 ID:RQR8trEn0


ももこ「今更気が付いても遅いぞ!」タッタッタッ 

やちよ「私たちに空中戦ができないと思ったら大間違いよ!」タッタッタッ 

灯花「っ?!」

灯花(嘘でしょ?! 槍を階段にしてここまで昇ってきたっ―――)

やちよ「ももこっ!!」

ももこ「よっしゃー!!!」 タッタッタッ ....タンッ!

灯花「待っ! やめっ―――」

ももこ「アタシらに喧嘩売ったこと後悔しな! これで終わらせてやるーッッ!!」グワッ

灯花「んっ!」バッ

 バシーンッ!!  グシャァ....

ももこ「なっ?! ああっ?!」

灯花「くうっ・・・!」

やちよ(咄嗟に傘で塞がれた?! だけどあれだけの強度がある傘は壊れた! もう飛べないしビッグバンも撃てない!)


灯花「落ちながらでもぉ・・・みんな消すんだからぁー・・・!」 ゴゴッ....


やちよ「えっ?! 傘なしで撃つ気?!」

ももこ「マジかよっ?! さすがにこの体勢じゃもう一撃かますのは無理だっ・・・!」

やちよ(かなり大きな魔力! 阻止するのは無理・・・・。あれを撃たれても相殺できるのはっ・・・!)

やちよ「鶴乃―ッッ!!!」


ウワサの鶴乃「わかってる! わたしが止めるっ! 手加減なしで行くよっ!」

桜子「 |やめてッッ!!| 」シャキン!

ウワサの鶴乃「んぐっ?!」

ウワサの鶴乃(さすがに桜子ちゃんを相手にしながら灯花に全力は撃てない・・・! どうするどうするっ・・・?!)


  < わああああああっ!!


ウワサの鶴乃「おわっ?!」

桜子「 |っ?!| 」

 ドサドサッ

いろは「ああ! 鶴乃ちゃんを助けようと思ったら勢い余って転んで桜子ちゃんに覆いかぶさっちゃったあ!」ドサッ

うい「偶然お姉ちゃんに抱きかかえられていたわたしとねむちゃんも一緒に桜子ちゃんに乗っかっちゃったあ!」ドサッ

ねむ「・・・・・・」グテッ.....

桜子「 |えっ、あ、あの・・・?| 」

いろは「ああ困ったなあ! 桜子ちゃんが動いたら私たちケガしちゃうかも!」

うい「わたしたちをケガさせるようなことなんてしないよね桜子ちゃん!?」

桜子「 |う、うん・・・。私は、動けない・・・| 」

いろは「今だよ鶴乃ちゃん!!」

ウワサの鶴乃「ナイス機転!」

灯花「今更なにしたってむだだよーっ!」

32 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:01:42.43 ID:RQR8trEn0






灯花「ビッグクランチからのー・・・」ゴゴゴッ....

ウワサの鶴乃「ウワサの力を纏ったわたしの魔力で・・・!」ボボォ.....



灯花「ビッグバーンッッ!!!」

ウワサの鶴乃「燃えて燃えて燃え盛っちゃってー!!!」


 ビシューン!    ....ジュ






灯花「はいっと」スタッ

いろは「えっ・・・鶴乃・・・ちゃん・・・?」

灯花「くふふっ♪ 今のでいっぺんにみんな消すと思った? 残念ウソでしたー!」

灯花「ここにいる全員を消すほどに拡散したエネルギーじゃ炎で相殺されると思ったから、逆に極限までエネルギーをわたくしの手のひらで収縮させて放ったの。それなら炎を貫けるから、最強さんだけ先に消せたってわけだねー」

うい「あっ・・・あっ・・・」

灯花「ねえねえ、お姉さま、うい。ほらよく見てよ。そこで転がってる黒焦げの炭が最強さんだよ」

いろは「いっ・・・いやあああああああああ!!!」

うい「あああああああああああ!!!」

灯花「くふふっ♪ これでもうわたくしに歯向かえる人はいなくなったねー! 今度こそみんな消してあげる!」


   みふゆ「・・・っ!」 タタタッ


灯花「・・・・んっ? みふゆ?」

灯花(わたくしに向かって全力疾走してくるけど何するつもり? 最強さんが死んだショックで取り乱して捨て身の特攻かにゃ?)

灯花「見苦しいにゃー。しょーがない。みふゆから先に跡形もなくしてあげるっ。そこに落ちてる最強さんみたいにねっ!」






  < それ、ダミーだから


灯花「えっ?」

ウワサの鶴乃「ぐるぐるグル〜!」

灯花「わっ?! な、なに?! ロープが体に巻き付いて動けなっ―――」

ウワサの鶴乃「みふゆ今だよっ!」

みふゆ「はいっ! 眠りなさい灯花!!」

灯花「あっ?! ダメッ! ああっ・・・・あ・・・うっ・・・・」フラッ....

灯花「くぅ・・・・・・・・・」パタリッ.....

いろは「鶴乃ちゃん・・・?」

うい「生きてる・・・?」

やちよ「ふうっ・・・・。これで終わりかしら?」

みふゆ「まだです! ワタシの幻覚で眠ってた翼の子たちが起きて襲ってきます!」

やちよ「えっ?!」バッ
33 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:05:46.23 ID:RQR8trEn0


白羽根「・・・・・いや、そんなことはしない」

黒羽根「・・・・・はい。何かおぞましい力に体を乗っ取られていた感覚が、今はもうありません」


みふゆ「あれ? 羽根の力から解放されています?」

いろは「あ、あのっ! 十七夜さんから連絡が入りました! ゲートを閉じたそうです!」

やちよ「十七夜が?」

いろは「はいっ。ちょっとやそっとじゃ閉じられなかったみたいなんですけど、月夜ちゃんたちが神浜の魔法少女達に呼び掛けて、みんなで協力してなんとか閉じたそうです」

やちよ「そうなのね。あの時みたいにみんなで協力して」

みふゆ「よかった。天音さんたちを十七夜さんの方に行かせて正解でした」


ウワサの鶴乃「さなはーっ?! レナー! かえでー! 無事ーっ!?」


レナ「無事じゃ・・・ないわよっ!」

さな「はっ、はひっ・・・。かえでさんがレナさんを治癒して、レナさんが私に変身して、二つの盾でかえでさんを守って、それでなんとか凌ぎましたぁ・・・」

レナ「こんなの全然治癒になってない! まだちょー痛いんだけど!」

かえで「もーっ! そういうこと言うっ?! 治癒魔法は得意じゃないのにがんばって治してあげたのにー!」


やちよ「無事なようでなによりよ」

いろは「やちよさんは大丈夫ですかっ?」

やちよ「こっちは重症よ。ありがとう」

いろは「治癒しますね」パァァ

いろは「ういは? 大丈夫?」

うい「うんっ! もう全然大丈夫だよ! さっきまで苦しかったのが嘘みたい」

いろは「ほっ・・・。ねむちゃんは・・・?」

桜子「 |腕輪の制御で眠っているだけ。一日くらいで起きると思う。灯花も同じ| 」

いろは「よかったあ・・・」

みふゆ「そうですね。ただ、まだワタシにはやらないといけないことがあります」

いろは「あっ・・・。白羽根と黒羽根の人たちの説得ですよね・・・」

みふゆ「はい。これはワタシの責任ですから」


34 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:09:17.27 ID:RQR8trEn0

白羽根「・・・・・・」

黒羽根「・・・・・・」

みふゆ「あの、皆さん。今更ワタシの言うことに耳を傾ける気にはなれないかもしれませんが、それでもどうかワタシの話を聞いてくれませんか?」

白羽根「・・・・その必要はありません」

みふゆ「うっ・・・。そこをなんとか! ワタシはあなた方とは争いたくないんですっ!」

白羽根「そういうことではないです」

みふゆ「はい・・・?」

白羽根「自分がなにか大きな力に自我を奪われ、暴れる他ない中、みふゆさんは私たちを必死に助けてくれようとしていた。それはおぼろげながら覚えている」

黒羽根「私も・・・。私たちの命を切り捨てないとみんなが危ない状況であっても、みふゆさんは懸命に私たちを救おうとしてくれた」

白羽根「マギウスと共に捨てるつもりだったこの命。だけどみふゆさんが拾ってくれた。自分にそこまでしてくれる人がいると思ったら、急にこの命が惜しくなった。だから私はみふゆさんにこの命を預けたいと思った」

黒羽根「はい。みふゆさんが信じる解放を、私は信じたいです」

白羽根「あなた方に刃を向けてしまった身で手前勝手かもしれませんが、どうか許して頂きたい。そして解放に向けて私たちに協力させてほしい」

みふゆ「命を預けるとか、許すとか、そんなのは大げさですよ。みんなで手を取り合って未来へ進みましょう。歓迎します」

黒羽根「はいっ!」

白羽根「ありがとうございますっ!」



ももこ「だはー・・・。一件落着ってことでいいかなあ? さすがに今回は本当に死ぬかと思ったよ・・・・」

やちよ「お疲れ様ももこ。駆けつけてくれて本当にありがとう」ニコッ

ももこ「おっ・・・んっ・・・。ははっ、なんか照れるな///」

うい「あのねっ! わたしすっごいドキドキしちゃった! 特にねっ、やちよさんとみふゆさんとももこさんと鶴乃さんの連携がすごかった! みんな何も話さなくてもお互いに考えていることがわかってるみたいで! どうしたらあんなことできるのっ?」

みふゆ「ふふっ。ワタシだってチームみかづき荘の一人ですから」

やちよ「ええ、私たち同じチームだもの。そうよねももこ?」

ももこ「んっ? ん〜・・・。いやっ―――」ガバッ

 レナ「うわっ?! ちょ、なによっいきなり?!」

 かえで「ふゆぅっ! ももこちゃん苦しいよ〜・・・・」

ももこ「―――アタシはチーム違うけどなっ」

やちよ「もうっ、強情なんだから」


35 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:12:12.93 ID:RQR8trEn0


うい「でもねっ、やっぱり一番すごかったのは鶴乃さん! あんなに強いなんて!」

ももこ「ああ、本当に強かった。あんな底力があるなんて、今週のビックリドッキリNo1だよ」

やちよ「鶴乃がいなかったら今頃みんなあの世行きだったわ」

いろは「灯花ちゃんに撃たれたときは、鶴乃ちゃん本当に死んじゃったんじゃないかと思って、私もう目の前が真っ暗になっちゃったよ・・・」

ウワサの鶴乃「えっへへ〜・・・さいきょーだから・・・しななにゃぃ・・・・」フラッ

やちよ「鶴乃?」

ウワサの鶴乃「ぅー・・・・」ドサッ.....

やちよ「鶴乃!」

いろは「鶴乃ちゃん?!」

みふゆ「あっ!? いけません! かなり消耗しているのにウワサと融合したままです! このままだとウワサに鶴乃さんのエネルギーを完全に吸いつくされてしまいます!」

やちよ「ええっ!? 大変じゃない! どうすればいいのっ!?」

みふゆ「ウワサを剥がさないと!」

やちよ「ウワサを剥がすって・・・。心が通じていればいいのよね?」

みふゆ「は、はい・・・そうなんですが・・・。今も鶴乃さんがこの姿ということは・・・」

やちよ「私はまだ鶴乃の苦しみを理解していないってこと・・・? このままじゃ鶴乃は・・・」

いろは「そんな! せっかくみんな助かったと思ったのに! 鶴乃ちゃん! 鶴乃ちゃん!」

桜子「 |やちよ。このウワサの子があなたに伝えたいことがあるみたい| 」

やちよ「えっ? なに? 私に?」

桜子「 |これからも鶴乃の側に居てやってくれパカッ| 」

桜子「 |って言ってる| 」

やちよ「あ、え、ええ、私はそのつもりだけど」

  \\パカ〜ッ!//

いろは「あっ、ウワサが剥がれて」

うい「ねむちゃんの本に戻った」

やちよ「えっと、よくわからないけど、今ので心が通じたのかしら」

みふゆ「そうみたいですよ。鶴乃さんからウワサの気配は感じられません」

鶴乃「むにゃ・・・・・」zzz

みふゆ「ただ、疲れて眠ってしまったようですね」

いろは「よかった〜・・・・」

やちよ「もう、人騒がせなんだから」


36 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:31:15.26 ID:RQR8trEn0


みふゆ「・・・ふふっ、なるほど、そういうことですか」

やちよ「んっ? なにが?」

みふゆ「い〜え〜。なんでもなーいでーすよー」

やちよ「?」



みふゆ(ワタシがここに来た時に、気絶した鶴乃さんに、都合のよい幻覚を一度や二度見せてもイマイチ響かなかった理由が分かりました。

鶴乃さんはきっと、何か明確な偉業をただ単に成したいんじゃなくて、やっちゃんに導かれながら、道を誤らずに、いつまでも高みを目指していきたいんでしょう。

鶴乃さんにとってやっちゃんは、強くて、優しくて、それでいていつも厳しい言い方で正論を振りかざし間違ったことはちゃんと叱ってくれる人。そして、初めて心の内を知ってもらった人。

残念ながら鶴乃さんのお父さんは気弱な方ですから、今よりもっと上に行くためには、やっちゃんのような強い人にずっと側に居て欲しいと思っていた。

そんな想いを秘めていた鶴乃さんをウワサは感じ取っていたんでしょう。だからやっちゃんの方から『側に居てあげる』と言わせて、鶴乃さんと心を通じさせた・・・といったところでしょか。

そうしてウワサが鶴乃さんを助けてくれたのは良かった事なんですが・・・。本音を言うと、ワタシも鶴乃さんとのお付き合いは長い方なのに、ワタシ以上にウワサの方が鶴乃さんを理解しているというのはちょっと悔しいですね)



みふゆ「さっ、皆さん今日はもう帰りましょうか。灯花はワタシが家まで運びます」

やちよ「その子をちゃんと教育しておきなさいよ保護者。本当にみんな死にそうだったんだから」

みふゆ「あはは・・・そうですね、きつく言い聞かせておきますよ」

ももこ「車椅子は鶴乃が壊しちゃったんだろ。ねむちゃんはアタシが抱っこして運ぼうか。腕っぷしには自信あるから」

桜子「 |ねむは私が抱っこする| 」ズイッ

ももこ「あっ、そ、そお?」

やちよ「それじゃ、うちの子は私が運ぶわ。よいしょ」

鶴乃「・・・・・・」ズシッ

やちよ「ゔっ?! お、重い・・・・」

いろは「鶴乃ちゃん体大きいですから」

うい「普段からいっぱい食べていっぱい訓練してるからいっぱい筋肉が付いてるんだよきっと」

やちよ「そりゃ重いはずよ。はあ、本当に面倒をかけるんだから」

いろは「でも、面倒をかける子ほどかわいいんですよね」

やちよ「ふふっ、そうなのよ」

鶴乃「すやぁ・・・・」ニコッ






37 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:32:35.50 ID:RQR8trEn0

----------------------------------------
後日



やちよ「ええと・・・。本当にするの? 私と手合わせ」

鶴乃「はいっ! ふんふんっ! お願いしますっ! ふんふんふんふんっ!」


やちよ「・・・・・・・・」

やちよ「代わりにももこが手合わせしたいって」

ももこ「うぇへえっ?! 言ってない! 言ってない!」

鶴乃「ししょー! また逃げようとしないで! わたしと手合わせして!」

やちよ「・・・・はあ、もう・・・わかったわよ。でもね、知っていると思うけど、私はもう魔力が衰えているの。そんな私を相手に手合わせしてもなんの得にもならないわよ」

鶴乃「気持ちの問題だから! わたしが最強になるには越えなければならない壁があるの! それがししょーなの!」

やちよ「はいはい・・・。それじゃ始めるわよ」

鶴乃「ありがとう! 行くよっ!」

やちよ「ええっ!」


やちよ「ハァァアアアアッッ!」

鶴乃「しゃぁああああっっ!」


バシュ ズバンッ ドガッ



38 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:34:28.36 ID:RQR8trEn0

鶴乃「あ、あがっ・・・」ボロッ.....

やちよ「あれ? あっさり勝てちゃった」

鶴乃「な、なぜに・・・」

みふゆ(あらあら。全く歯が立たないと言った感じでしたね。鶴乃さんの技はやっちゃんを真似したものだから、オリジナルのやっちゃんには通じなかったのでしょうか)


フェリシア「ダセーな鶴乃」

いろは「え、えっと・・・鶴乃ちゃんカッコいいよ! 私の中では!」

うい「鶴乃さん・・・。どんまい!」

さな「抱かないでください」

ももこ「アタシはまだまだやちよさんの方が強いって思ってたよ」

かえで「私やちよさんの弟子になろうかな」

レナ「すごくない」

灯花「最強さんって全然最強じゃないんだねー」

ねむ「勝負は時の運、とは言うけれど、そんなもの全く感じさせない程に清々しい負けっぷりだね」


鶴乃「うぅ・・・・夢の中ではししょーに勝てたからその調子でいけると思ったのに・・・」

やちよ「夢と現実を混同してるんじゃないわよ。みっともない」

鶴乃「こうなったらパカと合体して・・・!」

やちよ「なに? またウワサの力に頼るつもりなの? あきれた。それで勝てたとして満足なの? ウワサは柊さんの命を削るのよ。鶴乃の目指す最強は誰かの犠牲で成り立つものなの?」

鶴乃「うっ・・・滅相もありません・・・」

39 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:41:20.33 ID:RQR8trEn0

やちよ「あのねえ。こんなんじゃダメよ鶴乃。いつも訓練だの修業だの喧しくしている割にこの程度なの? 今まで何してたのよ? さっきも言ったけど私はもう魔力が衰えて以前のように戦えないのよ。そんな私に勝てないってどういうこと? こうしているうちにも魔女や異変はそんなのお構いなしにやってくるのに。これからそういうのを対処するのは私じゃなくて、鶴乃みたいに実力がある子なんだからもっとしっかりしてもらわないと困るのよ。なのにはっきり言ってあなたはまだまだよ。私の弟子を名乗るならみんなを守れるくらいの実力を身に着けなさい」

鶴乃「うぅ・・・」

やちよ「実力と言えばこの前のフェリシアの実力テストは散々だったわね。鶴乃が勉強をみているのにどうしてこうなっちゃうのかしら。鶴乃はフェリシアのお姉さんなんでしょ。もっとちゃんと勉強みてあげなさい。まさかとは思うけど、勉強をするふりして遊んでいないでしょうね? 勉強はもっと効率よくやらないとダメよ。予習と復習をして、それから苦手な問題を洗い出して一緒に解いて見せたり―――」

鶴乃「うううぅぅぅ・・・・」

やちよ「鶴乃は荒が目立つのよ。だからいつまでたっても胃もたれするラーメンしか作れないし、うちのお風呂は壊すし、柊さんの車椅子も壊すし、私の忠告を無視してメルの占いを受けてひどい目に遭うし―――」

鶴乃「うわーん!」

レナ「あ、泣いた! 泣いちゃった!」

やちよ「いけない、泣かせちゃった・・・。言い過ぎたかしら・・・」

桜子「 |やちよ。鶴乃をいじめちゃダメ| 」

やちよ「えっ?」

桜子「 |もっと他の仲間のことも気遣いできるようになって、っていろはが私に言った。だから私は鶴乃を気遣う| 」

桜子「 |鶴乃をいじめちゃダメ| 」

ももこ「あー・・・いや、あれは別にいじめてるわけじゃなくてな」

桜子「 |そうなの?| 」

ももこ「昔っからあの二人はああんだよ。なんていうか、愛のムチ? っていうか、暴走する鶴乃をああやって叱ってるんだよ。そうしないと鶴乃は無茶苦茶するからな」

桜子「 |ムチ。叱る。つまりあれはやちよが鶴乃を調教しているのね。わかった。覚えた| 」

ももこ「ちょ、調教?! いやそれは違っ・・・う、っていう程でもない・・・のかな?」


鶴乃「うああああん!」メソメソ

みふゆ「はいはい、おいで、鶴乃さん」

鶴乃「み゙ぶゆ゙ー!」ダキッ

みふゆ「よしよし」ナデナデ

鶴乃「うぇぅ・・・わだし・・・わだじぃ・・・づよくなっでな゙い゙ん゙だ―・・・!」グスグス

みふゆ「そんなことないです。鶴乃さんはたくさんがんばってちゃんと強くなってますから大丈夫ですよ。いい子いい子」 背中ポンポン

鶴乃「ふえーん・・・」

やちよ「あっ、みふゆったら、またそうやって甘やかす」

みふゆ「まあまあ、いいじゃないですか。やっちゃんはムチ役。ワタシはアメ役。昔からそうしていたんですから」

やちよ「もうっ。怒る身からすると良い立場ね」


鶴乃「み゙ぶゆ゙ーっ・・・わだし・・・どーしだらやぢよしじょーに勝てるの゙ぉ―・・・?」グスグス

みふゆ「うーん、そうですねー」


みふゆ(ワタシも色んな魔法少女を見てきましたが、鶴乃さん程の力がある子はいませんでした。それなのに魔力が衰えているやっちゃんにまるで歯が立たないというのもおかしな話ですね)

みふゆ(あっ、もしかしたら、鶴乃さんの方が無意識に負けてしまう動きをしてしまっているのかも)

みふゆ(表面的には、最強を目指す手前やっちゃんには勝ちたい。でもそれ以前に鶴乃さんは、強いやっちゃんに側に居て欲しい。だから、例え鶴乃さん自身が相手でも、やっちゃんには負けて欲しくないって、鶴乃さんは心の奥底で思ってしまっているでは)

みふゆ(だとしたら、鶴乃さんがやっちゃんに勝つのは―――)


みふゆ「無理ですねっ」ニッコリ






おわり

40 : ◆LXjZXGUZxjdx [sage saga]:2019/10/06(日) 22:42:10.93 ID:RQR8trEn0

ありがとうございました。
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