【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―7―

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/12(水) 11:39:48.53 ID:KlM1+RHDO


魔法壁は超竜石カムイになりがち
蛇毒+四牙は許されないんだ
198 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 21:56:12.07 ID:ZG7QJwZY0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東部魔道砲台周辺』―

新生暗夜軍ジェネラル「敵部隊、展開しました」

ルーナ「うーん、レオン様たちを追って中央の援護に向かうって動きじゃないわね」

シャーロッテ「まぁ、そうじゃないと私達がここに残った意味がないから助けるけど」

ルーナ「たしかにね。リンカ、敵は動きそう?」

リンカ「いや、向こうから動くつもりはないようだが、サクラはどう見る?」

サクラ「そうですね。砲台を中心に左右へ広がっているようですから、砲台を起点にこちらの前進を拒みつつ迎撃する作戦なのかもしれません」

ルーナ「さすがに陣地を捨てて攻めてくるなんて期待できないか。はぁ、制圧して見せるなんてレオン様に言っちゃったけど中々にきついわよ、これ」

リンカ「戦う前から負けているようでは勝つことなどできないぞ?」

ルーナ「ふん、勘違いしないで。きついって言っただけで勝つことが出来ないなんて言ってないんだから。見てなさい、あんな敵陣、あたし一人でパパっと壊してやるんだから」

サクラ「あまり無茶な事はしないでくださいね」

ルーナ「わ、わかってるわよ。今のは、……そう、景気付けに言ってみただけだから」

シャーロッテ「ルーナが一人でどうにかしてくれるなら私は楽で助かるんだけどね。でも、あんまり無茶なコトすると、サクラ様も無茶なこと始めちゃうだろうから気を付けないとね」

サクラ「私、そんな無茶なことなんてしません」
199 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 22:04:06.45 ID:ZG7QJwZY0
シャーロッテ「そう、それじゃ例えばだけど、敵陣のど真ん中で私が負傷したらサクラ様はすぐに治療しに来るでしょ?」

サクラ「当たり前です。助けに向かいます」

シャーロッテ「即答されるとなんだか照れるわ。だけど、状況を考えたらそれってすごく無茶なことだってわからない?」

サクラ「それはそうかもしれません、でも――」

シャーロッテ「放っておけない、それがサクラ様の考え。だからこそレオン様と一緒に中央戦線に行かないでこっちに残ってくれた。正直、それだけでも十分なのに更に無茶までさせちゃったら、サクラ様ばっかりに働かせているみたいで、その、ちょっと、あれよ」

サクラ「えっと、不公平……ですか?」

シャーロッテ「そう、そういうこと。サクラ様が無茶しないラインで、私たちも行動する。一人しか出来ないことがあるなら、一人で出来る範囲の状況に留めないとね」

サクラ「シャーロッテさん……」

シャーロッテ「だから、安心しなさい、さっき言ったみたいな危険な状態に陥ったりなんてしないからさ」

サクラ「はい、ありがとうございます。でも、怪我をしたらきちんと治療してあげますからね」

ルーナ「それじゃ、そろそろ仕掛けましょう。手筈通りにリンカは空から敵を監視して、攻められそうな場所があったら教えてちょうだい」

リンカ「わかった」

シャーロッテ「魔道砲台があるからジェネラル部隊は私たちが敵と交戦に入るまで待機。戦闘が始まったら各戦列の援護に回って」

新生暗夜軍ジェネラル「はっ、わかりました!」

サクラ「あの、リンカさん……」

リンカ「わかっている。空から見るのがあたしの仕事だが、同時にサクラを望む場所に連れて行くのもあたしの仕事だ。癒すべき相手を見つけたのなら言え、そこに連れて行ってやるさ」

サクラ「はい、よろしくおねがいします」

リンカ「よし、それじゃ行くぞ!」ググッ
 
 バサバサバサッ!

ルーナ「それじゃあたしたちも行くわ、みんな付いてきなさい!」

シャーロッテ「よし、行くぞ!」

新生暗夜軍兵士たち『オオーーーッ!』

 ドドドドドドッ
200 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 22:08:58.84 ID:ZG7QJwZY0
リンカ「そろそろ魔道砲台の射程だ」

サクラ「砲台に動きがありました、攻撃が来ます!」

ルーナ「みんな、攻撃が来るわ。気合で避けなさい」

新生暗夜軍兵士「了解!」

リンカ「来るぞ!」

 ゴオオオオオオッ ドゴオンッ!‼‼‼

ルーナ「うまく避けたわね。それじゃ、このまま距離を詰めるわ。シャ―ロッテ、初撃は譲ってあげるからきちんと決めなさいよ」

シャーロッテ「任せな、一気に吹き飛ばすから、そっちも援護よろしく」ググッ

ルーナ「ええ」タタタッ

旧暗夜軍兵士「来るぞ! 数はそれほど多くないが油断するな!」

 チャキキッ

シャーロッテ「見た目で甘く見てくれればこっちとしては都合がいいのに。それじゃいくわよ、はああああっ!!!」ググッ ブンッ!‼‼

 ドゴンッ‼‼‼

旧暗夜軍兵士「がっ!!!!」ドサササッ

旧暗夜軍兵士「な、何て力だ。だが、その勢いを付けての攻撃直後では、避けられまい。やああっ!!!」ダッ ブンッ

シャーロッテ「ルーナ!」

ルーナ「よっと!」サッ

 ガキィンッ!!

ルーナ「さすがにそれくらい御見通しよ。それっ!!」ブンッ

旧暗夜軍兵士「ちっ!」サッ

シャ―ロッテ「助かったけど、思ったより敵の層が厚いわ」

ルーナ「本当にね。だけど魔道砲台はあたしたちを狙ってないみたいだし、一気に穴をあけるまでよ」チャキッ

旧暗夜軍兵士「ふん、開けられるものなら開けてみせろ!」ダッ

ルーナ「ご要望通りに開けてあげるわ」ダッ

シャーロッテ「はあああああっ」ググッ!‼

 ブンッ!‼‼‼
201 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 22:11:32.24 ID:ZG7QJwZY0
 ドゴンッ‼‼‼‼‼

新生暗夜軍兵士「ぐああああっ……ぐっ、くそ……」ズズッ ズズズッ

旧暗夜軍兵士「止めだ!!!」チャキッ

新生暗夜軍兵士「!!!!」

 バサバサッ

リンカ「させるか!!!」チャキッ ブンッ

 ズビシャアアッ!‼‼

旧暗夜軍兵士「ぐあああっ!!!!」ドササッ

新生暗夜軍兵士「リ、リンカ様。ありがとうございます、助かりました。ううっ……」

リンカ「礼は不要だ、サクラ頼む」

サクラ「はい、今すぐ治療します」シャランッ

 シュオオンッ

新生暗夜軍兵士「あ、ありがとうございます、サクラ様」

サクラ「いいえ、気にしないでください。ご武運を」

新生暗夜軍兵士「はい!」タタタタッ

リンカ「ここ周辺は落ち着いて対処できているようだ」

サクラ「ええ、でも問題は東側ですね」

リンカ「ああ、魔道砲台からの攻撃が激しい。あいつら、東側から崩していくつもりみたいだからな」

サクラ「負傷者も多く出ているはずです。すぐに救援に向かいましょう。」

リンカ「よし、飛ばしていくぞ!」バサバサッ

サクラ(後方で待機していたジェネラル隊の皆さんも前進しています。どうにか、ジェネラルの皆さんが到着するまでに、負傷した方々の治療を終えて態勢を維持しないといけません)

サクラ「待っていてください、今向かいますから」
202 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 22:32:41.37 ID:ZG7QJwZY0
◆◆◆◆◆◆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旧暗夜軍砲台兵「放て!‼‼」シュオンッ!

 ゴオオオオオッ バシュッ!!!
  ドゴンッ……

旧暗夜軍ランサー女「東側は順調って感じかな」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、だが他は拮抗している。現状拮抗しているのであれば、あの後続の敵重装兵団に介入されれば崩されるのは明らかだ」

旧暗夜軍ランサー女「本当にね。それにしてもさっき白夜の王女を倒すチャンスだったのに邪魔をしてきた敵、あれだよね?」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「あれだろう。どうやら東側の援護に向かっているようだな」

旧暗夜軍ランサー女「あれ私に任せてくれる。それに、さっきブレイブは倒すのをしくじったんだから、今度は私でもいいでしょ?」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、わかった。奴らはお前に任せるとしよう」

旧暗夜軍ランサー女「ありがと。ついでに東側も崩して来るから。みんな、行くよ」

旧暗夜軍兵士「わかりました、副隊長」タタタタタッ

旧暗夜軍ランサー女「それじゃ、運が良かったら戦線でね、ブレイブ」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ」

 タタタタタタタッ

旧暗夜軍兵士「隊長、良かったのですか。副隊長に任せて」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、空からの目が厄介なのはこちらも同じだ。それをあいつが潰してくれるのならば、こちらも助かる」

旧暗夜軍兵士「ですが、その副隊長は……」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「大丈夫だ。あそこで誰が死のうとも、あいつは取り乱したりはしない。もう、あいつにとっての仲間はすでにいないのだからな」

旧暗夜軍兵士「隊長……」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「だから心配する必要は無い、ランサーがうまく戦果を挙げることを信じるだけでいい。それだけで十分だ」

旧暗夜軍兵士「わかりました。我々も出ますか、隊長」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、おそらく敵重装兵と戦うことになる。対装備を忍ばせておくように他の者たちにも伝えておけ」

旧暗夜軍兵士「はっ!」タタタタタッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」
203 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 22:51:34.94 ID:ZG7QJwZY0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー(もう、あのようなことは起き得ない。そしてあいつがもう一度壊れることもない。なにせもう起きてしまったことだ……)

旧暗夜軍ランサー女(みんな、死んじゃった……。ブレイブさん、みんな死んじゃった、あははははは、暗夜のためにみんなで頑張ろうって、暗夜のために敵を倒していこうって決めてたのに。隊のみんな私だけ置いて死んじゃった……)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(テンジン砦での戦いで、あいつはすべての仲間を失った。あいつの所属していた部隊はテンジン砦と一緒に吹き飛んだのだから。そして壊れてしまった)

旧暗夜軍ランサー女(あははは、あはははははははっ!‼‼ でも大丈夫、私がみんなの分敵を倒せばいいんだ。暗夜のために敵を倒して、みんなの分戦えばいい。そうだよ、それでいい。だからさ、くよくよしてても仕方ない……よ。そうだ、部隊長が言ってたんだ。くよくよしてても仕方ないって。そうだよ、みんな死んじゃったけど、そんなの気にしてたら戦い続けられないよね。だから、気にしない私はみんなが死んだことなんて気にしない、ただみんなの分も私が暗夜のために戦えばいい。ねぇ、そうだろ……ブレイブ?)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(縋りつくような視線と声でそう聞いてきたから答えた。お前が望むように戦えばいいと。それでよかったのかどうかわからない。分からないからこそ、私は私の道を信じて戦う。あの日の言葉を彼女がどう思っていようとも……)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」

旧暗夜軍兵士「隊長、準備が整いました」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「よし、砲台の防衛部隊だけを残し、俺たちも攻撃に向かう。敵の侵攻を阻止し、砲台をなにがあっても守り抜くぞ」

旧暗夜軍兵士「はっ!」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「よし、ランサーの部隊に後れを取るな!」タタタタッ

「続け!!!」
204 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/08/29(土) 22:52:28.17 ID:ZG7QJwZY0
今日はここまで
205 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 17:54:25.42 ID:MTh/Lwyf0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東部魔道砲台近辺』―

ルーナ「はっ、それ!!!」チャキッ シュババッ!

 ザシュンッ ザシュンッ!

旧暗夜軍兵士「ぐえ……」ドササッ

ルーナ「ふぅ、一段落ね。さて次は――」タタタタッ

 シュオンッ

ルーナ「やば!」サッ

 ゴオオオッ ドゴンッ!!!

ルーナ「ああもう、砲台が鬱陶しい! あたしに何の恨みがあるわけ!?」

シャーロッテ「恨みとか以前に敵なんだから、狙ってくるのが当たり前でしょ」

ルーナ「そうかもしれないけど、もっと集団を狙うとかあるでしょ? ここ、あたしとあんたしかいないじゃん。絶対狙ってるわ」

シャーロッテ「まぁ、たしかにね。よっと!」ブンッ

 キィンッ

旧暗夜軍弓兵「気づかれた!?」

旧暗夜軍弓兵「ちっ、だが当てればいい、あんな軽装、一回当てるだけでも致命傷に――」

シャーロッテ「それはあんたらも同じだよ、おらあああああっ!!!」ブンッ

 ブンブンブンッ ズシャッ!!!!

旧暗夜軍弓兵「ぎゃああっ!!!」ドサリッ…

旧暗夜軍弓兵「あの女、武器を投げてきやがった!?」

シャーロッテ「ルーナ残り任せるわ」

ルーナ「はいはい」タタタタタッ
206 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 18:03:06.69 ID:MTh/Lwyf0
旧暗夜軍弓兵「っ、来るな!!!」チャキッ パシュッ!!!
 
ルーナ「!」サッ

旧暗夜軍弓兵「くそっ」チャキッ

ルーナ「遅い!」チャキッ ブンッ

 ズビシャアアッ!!!

旧暗夜軍弓兵「く、くそぉ……」ドサリッ

ルーナ「これでよしっと!」

シャーロッテ「決まったみたいな言い方しているとこ悪いけど、あれの相手をしないとだめそうね」

ルーナ「あれ?」チラッ

旧暗夜軍兵士たち『……』ドドドドドドドドッ

ルーナ「はぁ、まだ来るの?」

シャーロッテ「本当、嫌になるわ……」

旧暗夜軍兵士『……』ガチャガチャ

ルーナ(うーん、対重装装備を持っているから、本当の目的は到着するジェネラル部隊の殲滅みたいね)

シャーロッテ(ジェネラルが隊列を組むところを一気に狙われると対処し辛くなるだろうから、ジェネラルが来る前にできる限り数減らすしかないか)

ルーナ「ねぇ、ちょっといい?」

シャーロッテ「あのさ、ちょっといい?」

二人『………』

シャーロッテ「それで、ルーナは何をしたいわけ?」

ルーナ「単純よ、打って出るから援護してほしいの。それで、あんたの要望は?」

シャーロッテ「こっちも打って出るから援護よろしくって感じ」

シャーロッテ「……」

ルーナ「……」
207 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 18:05:07.51 ID:MTh/Lwyf0
二人『ふふっ』

ルーナ「それじゃ、方針も決まったし行くわよ」ダッ

シャーロッテ「ええ、一気に決めるわ」ダッ

旧暗夜軍兵士「敵が来ます!」

シャーロッテ「まずは挨拶だ。おらああああっ!」ググッ ブンッ!

旧暗夜軍兵士「ちっ、この程度撃ち落としてしまえば!」ブンッ

 ガキンッ ゴトンッ
  ダッ!

ルーナ「まずは一人!」ブンッ
 
 ズビシャアアッ

旧暗夜軍兵士「ぐああっ」ドサッ

旧暗夜軍兵士「この!」チャキッ

シャーロッテ「当たれ!」チャキッ ブンッ

 ヒュンヒュン ドスリッ!!!

旧暗夜軍兵士「がっ、手斧だと……」ポタタッ

シャーロッテ「邪魔よ!」ググッ ドゴンッ!!!

旧暗夜軍兵士「がはっ」ズサーーッ

旧暗夜軍兵士「っ、せめて一人だけでも! 死ねええ!!!」ダッ ググッ 

 ブンッ!
  カキィンッ!!!

旧暗夜軍兵士「っ!!!」

ルーナ「甘いわね。もう一人いることくらいちゃんと覚えておきなさい」ググッ キィンッ

 カランッ!

旧暗夜軍兵士「しまった、剣が――」

シャーロッテ「それじゃ、おやすみっと」ググッ ブンッ

 ドゴンッ!!!!

旧暗夜軍兵士「ぎゃああああっ」ドタッ……

旧暗夜軍兵士たち『……』
208 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 18:08:16.72 ID:MTh/Lwyf0
シャーロッテ「ふぅ、一丁上がり!」

ルーナ「あんた、せめて武器使いなさいよ」

シャーロッテ「こっちのほうが手早いし、確実な距離だったからいいでしょ。それに、今はルーナしかいないから気にしなくてもいいわけだから」

ルーナ「まったく、でもその馬鹿力が頼りになるのは確かね」

シャーロッテ「馬鹿力っていうんじゃねえよ。これでも、か弱い乙女で通ってんだから」

ルーナ「か弱いって……ここまでの活躍を見てか弱いはないでしょ……ん?」

 タタタタタタッ

新生暗夜軍兵士「ルーナ様、シャーロッテ様。ご無事でしたか」

ルーナ「ええ、何とかね。それより、そっちの様子は?」

新生暗夜軍兵士「残炎ですが、敵の援軍に徐々にですが押されつつあります。砲台への侵攻に向けて準備していた左翼付近に攻撃が集中している状態です」

ルーナ「そう、右翼と左翼を落として、そのまま囲んで潰すつもりかも。早急にどうにかしないと……」

シャーロッテ「どうするの、ルーナ?」

ルーナ「私が援護に向かうから、シャーロッテはここで状況を見て動いてくれる」

シャーロッテ「状況を見てって」

ルーナ「そういうわけだから、援護はあたしと数名で行くから、残りのみんなはここを守って」

新生暗夜軍兵士「わかりました。ここは我々がジェネラル隊到着まで必ずや守り抜きます」

ルーナ「そういうわけだから、向こうはあたしに任せていいから。シャーロッテはあっちの万が一に備えていて。こっちのことは後回しでいいから」

シャーロッテ「わかったわ。気を付けなさいよ」

ルーナ「それじゃ、お願いね。ほら、行くわよ」タタタタタタッ

新生暗夜軍兵士「わかりました、ルーナ様」タタタタタッ

シャーロッテ「さてと、あとは向こうの様子次第ね」

シャーロッテ(まぁ、何事もなくて動かないで済めばいいけど……)

シャーロッテ「ここに私を残していった時点で、そういうわけにもいかなそうね……」チャキッ
209 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 18:13:17.12 ID:MTh/Lwyf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 シュオオオンッ

サクラ「……はぁはぁ、終わりました」

新生暗夜軍兵士「ああ、ありがとうございます。ううっ……」

サクラ「今はできる限り安静にしてください。まだ、持ちこたえられていますから」

サクラ(予想以上に負傷者が多い。下がろうにも何時後方からノスフェラトウの軍勢が来るかわかりません。砲台がこちら以外の場所を狙ってくれているのは不幸中の幸いですが、このままでは……)

リンカ「サクラ、そいつで最後のようだぞ」

サクラ「はい、状況はどうですか?」

リンカ「あまりよくはない。敵の増援が来てから目に見えて押され始めている。いよいよ、後がなくなってきた。あたしも戦闘に出るが、サクラ様はここで指揮を」

サクラ「いいえ、私も出ます。皆さんが戦っているのですから、それに今戦線にいる負傷者は後退できない状態になっているはずですから」

リンカ「わかった。それがサクラの考えなら、それに従うさ」

サクラ「はい、お願いします」

リンカ「よし、一気に前に出る。ここをどうにかしてからじゃなきゃ、いろいろと判断もできないからな」

サクラ「はい、ジェネラル隊の皆さんの到着まではどうにかして持たせましょう」

リンカ「ああ、そうだ――」

 ヒュンッ!!!

リンカ「!!!」ググッ

 ヒヒーンッ バサバサッ
  ヒュンッ!!!

サクラ「わっ、わわっ!!!」グラッ

リンカ「サクラ!」ガシッ

サクラ「あ、ありがとうございます。その、今のは一体……」

リンカ「槍だ。どうやら、あたしたちが来るのを待っていた奴がいるようだ」

サクラ「待っていたって……あ、また来ます!」

 ヒュンッ

リンカ「よっと!」ググッ

 サッ

リンカ「あいつだな……」

サクラ「……あの人は」

サクラ(先ほど戦った槍使いの人……ですよね)

リンカ「さっき、戦っていた奴だな」

サクラ「……はい」
210 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 18:17:34.96 ID:MTh/Lwyf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旧暗夜軍ランサー女「ようやく姿を見せたから一撃で決めたかったけど、うまくいかないね」

旧暗夜軍兵士「副隊長、このまま敵を押し込みましょう。このまま押し切って瓦解させれば残りの敵を側面から攻撃することも可能になります」

旧暗夜軍ランサー女「ええ、後方から向かっているジェネラル隊のこともあるし、このまま一気に敵陣を崩しにかかろう。そのほうが、私にとっても都合がいい」

旧暗夜軍兵士「都合がいい、ですか?」

旧暗夜軍ランサー女「そうそう、都合がいいの」

旧暗夜軍ランサー女(だってそうだろう、救援のためにあいつらは来たんだから、こちらが攻勢に出れば、問答無用で前に出てくるだろうからね)

旧暗夜軍ランサー女「そういうわけだから、早速蹴散らしに行くよ」

旧暗夜軍兵士「はっ、すでに準備は整っています」

旧暗夜軍ランサー女「ふふっ、手際がいいね」

旧暗夜軍ランサー女(あいつらを殺す。殺せばそれが暗夜のためになる。みんなが成しえなかったのなら、私が載せていけばいい。それにあの日、ブレイブは言ってくれた……望むように戦えばいい、そう言ってくれた)

旧暗夜軍ランサー女「大丈夫……私はまだ戦える……」ボソッ

旧暗夜軍ランサー女(そう、国のために戦うことをまだ続けてもいい、こんな状況になって勝利が消え去っていく中であっても、私は戦ってもいいと言ってもらえた……。もっとも、ブレイブはそんなこと思ってもいないだろうけど)

旧暗夜軍ランサー女「あれがこっちに向かってきたら教えて、私が相手をするから」

旧暗夜軍兵士「はっ、わかりました」

旧暗夜軍ランサー女「ありがと。……それじゃ仕掛けるよ。みんなついてきて!」ダッ!

旧暗夜軍ランサー女(どんなに敵を倒しても暗夜の勝利はもう無い、そんなことはわかっている。だとしても私は戦う。それが――)

(あの言葉に救われた、私の唯一出せる答えなのだから……)
211 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/09/22(火) 18:18:17.47 ID:MTh/Lwyf0
今日はこれだけ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/22(火) 19:41:27.68 ID:Q2cY0ar80
213 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:04:57.61 ID:T3ldRj+w0
◆◆◆◆◆◆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東側魔道砲台周辺』―

旧暗夜軍兵士「よし、一気に突き崩せ!」

新生暗夜軍兵士「攻撃が来るぞ、各自迎撃せよ!」

リンカ「あいつら、一気に決めに来たみたいだ。サクラ、攻撃できるか?」

サクラ「はい、この高さを維持してください」チャキッ

新生暗夜軍兵士「この、これで!!!」

旧暗夜軍兵士「そこだ! はああっ!」ググッ ブンッ!!!

 ガキィンッ!!!

新生暗夜軍兵士「あっ……しま――」

旧暗夜軍兵士「死ね!!!」チャキッ

新生暗夜軍兵士「ひっ!!!」グッ

サクラ「させません!!」パッ

 シュパッ!!!
  ドスリッ!!!

旧暗夜軍兵士「が……」ドサッ

新生暗夜軍兵士「え、俺、生きてるのか?」

新生暗夜軍兵士「おい、ぼーっとする暇があったらすぐに武器を拾え。まだまだ、敵は来るぞ!」

新生暗夜軍兵士「あ、ああ! うおおおおっ!」タタタタタッ

リンカ「よし、間に合ったぞ」

サクラ「次を狙います」チャキッ

 パシュッ!
214 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:13:48.34 ID:T3ldRj+w0
旧暗夜軍兵士「副隊長、あそこです!」

旧暗夜軍ランサー女「どこかに逃げられるかと思ったけど、そうじゃないなら好都合だ。この距離なら届く!」グッ

リンカ「もう、追いつかれたか。サクラ、掴まれ!」ググッ

サクラ「は、はい!」ギュッ

 バサバサッ

旧暗夜軍ランサー女「喰らえ!!!」ブンッ
 
 ヒュオンッ!

リンカ「っ、どうにか避けられたか。サクラ大丈夫か」

サクラ「はい、なんとか。リンカさん、次が来ます!」

リンカ「ちっ!」ググッ

 ヒュン! ヒュンッ!

リンカ(ちっ、思ったよりも器用に狙ってくる!これじゃ、援護も偵察もできないぞ)

 バサバサッ

旧暗夜軍ランサー女「次!」ブンッ!

リンカ(回避はだめだ。なら、叩き落す!)

リンカ「はあああっ!!!」チャキッ ブンッ

 ガキィンッ!

サクラ「っ!!! リンカさん、大丈夫ですか?」

リンカ「大丈夫だ、それよりもどうする?」

サクラ「ジェネラル隊の皆さんが到着するまであと少しですから、突破されそうな箇所の援護に向かいたいところですけど……」

リンカ「どうやら、あたしたちを行かせるつもりは無いみたいだね」
215 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:19:40.32 ID:T3ldRj+w0
旧暗夜軍兵士「敵ダークファルコンはこちらの攻撃で思うように動けなくなっているようです」

旧暗夜軍ランサー女「よし、奴がいる真下の敵陣に戦力を集中させる。奴は動けないように抑えつけておくから、存分に暴れてきて」

旧暗夜軍兵士「了解しました!」タタタタッ

旧暗夜軍ランサー女「ふふっ、もう逃がさないから!」チャキッ ブンッ

リンカ「くそっ、あいつの所為で思うように援護に入れない」

サクラ「まずいです、敵の戦力がこちらに向けて集まっています。ここを突き崩す気です」

リンカ「このままじゃ、ジェネラルが来る前にここの瓦解は避けられないぞ。どうするサクラ」

サクラ(見たところ、敵に弓兵はいないみたいです。なら、敵の頭上を通り過ぎることは難しい事じゃありません。だったら――)

サクラ「これくらいしか、ありません」

リンカ「何か思いついたか?」

サクラ「敵の隊列に攻撃を仕掛けて混乱させましょう。今の状況で行える時間稼ぎはこれくらいしかありません」
216 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:38:50.71 ID:T3ldRj+w0
リンカ「わかった、すぐに高度を上げる。サクラは攻撃に――」

サクラ「いいえ、狙うのは正面に見えている隊列じゃありません。その後ろの隊列です」

リンカ「後ろの隊列って、まさか合流しようとしてる隊列のことか?」

サクラ「はい。敵に弓兵はいないので、投擲と魔道砲台の攻撃以外に私たちへ危害を加えることはできません。幸い、今は魔道砲台の攻撃は別の場所に集中していますし、混戦になることを予想してこちらへの攻撃は控えているのだと思います。それに、一騎で敵地に飛び込むなんて自殺行為を行ってくるとは思っていないでしょうし、だからこそ頭上を気を配っている方もいないはずです。そこを狙い打ちます」

リンカ「なるほどな」

サクラ「でも、不意を付けたとしても一瞬です。すぐに敵の多くが私たちに意識を向けて、攻撃してくると思います。ですが、それは同時に敵の隊列が乱れて前進が少し遅れるということにもなるはずです。そうなれば、ジェネラル隊の合流が間に合うかもしれません。だから、その、どうでしょうか?」

リンカ「どうでしょうかって、あたしには違う考えもなければ文句もないよ。考えることは苦手なんだ」

サクラ「でも、とても危険な作戦ですから……」
217 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:41:36.74 ID:T3ldRj+w0
リンカ「はは、こんな危険なことを実行しようとしてるなんて知ったら、シャーロッテが飛んで来そうだ。さっきまで無茶な事はしないとか話してたのに、これだからな」

サクラ「だ、大丈夫です。無茶じゃなくて危険なだけですし、私一人じゃなくてリンカさんも一緒です。それに、これは二人で出来る範囲の行動ですから、問題ありません」

リンカ「ふふっ、確かにそうだな。あたしとサクラ、二人で出来るならシャーロッテの言う不公平じゃないのは確かだ」

サクラ「リンカさん」

リンカ「よし、そうと決まればさっさと仕掛けよう。それに一時とはいえ敵を飛び越すならついでに偵察もするぞ。勿体ないからな」ググッ

サクラ「はい。……よし」

 チャキッ

サクラ「リンカさん、次の攻撃を流したら少しだけ前に進んでください。その次の攻撃に合わせて一気に前進、敵の頭上に入り込んでください。攻撃は私が行いますから、リンカさんは飛ぶことにだけ集中してください」

リンカ「ああ、わかった」

サクラ「……」

リンカ「……」チャキッ

 ビュオオオッ!

リンカ「はああっ!」ブンッ!!!
218 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:48:48.52 ID:T3ldRj+w0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ガキィンッ!!!

旧暗夜軍ランサー女「っ、また落された。だけど攻撃の処理に手一杯で、なにもできないみたいだね。戦列の状況は?」

旧暗夜軍兵士「はい、合流部隊が加わりました。あとはこのまま押し切るだけです」

旧暗夜軍ランサー女「よーし、一気に片を付けるよ。暗夜の敵は一人残らず殺さないといけないからね」

旧暗夜軍兵士「はっ!」タタタタッ

旧暗夜軍ランサー女(ふふ、敵陣を崩して、あいつらを仕留める。ブレイブにいい報告ができそう)

 バサバサッ

旧暗夜軍ランサー女「ん、あいつら動くつもりか? 今になって援護に出るつもりかもしれないけど、そんなことをさせるつもりなんてさらさらないよ!」グッ ブンッ!

 バササッ!

旧暗夜軍ランサー女「避けられた。ならもう一回……。え?」

 バサササッ!

旧暗夜軍ランサー女(私の投げた槍を撃ち落とさないで躱すのはいい。だけどなんで躱しながら、あいつら――)

 バサバサバサッ!

(こっちに向かって来るんだ?)
219 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/10/20(火) 17:49:31.71 ID:T3ldRj+w0
今日はここまで
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/20(火) 19:42:23.85 ID:U4SvQkwX0
221 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 18:57:09.83 ID:nXV5NvVJ0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

リンカ「サクラ、しっかり掴まっていろ!」

サクラ「はい!」

 ヒュオオオオッ
  バサバサッ!

旧暗夜軍ランサー女「突破した!?」

リンカ「よし、奴らの上に出た。サクラ、任せたぞ!」

サクラ「はい!」チャキッ キリリリ……

サクラ(誰でもいいから攻撃を当てて、私たちに意識を向けさせないと!)

 バサバサッ

サクラ「はっ!」パシュンッ!

 ドスリッ!

旧暗夜軍兵士「ぐああああっ」ドササッ

旧暗夜軍兵士「なっ、うおおおあああああ」ドサササッ

旧暗夜軍兵士「どうした!?」

 ザワザワ

リンカ「よし、奴らの足が止まった。だが、まだこっちには気づいていないみたいだな」

サクラ「はい、こちらに気づくまで攻撃を続けます」チャキッ
222 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 18:58:55.65 ID:nXV5NvVJ0
旧暗夜軍兵士「くそ、いったい何が起きて……」

サクラ「……そこ!」シュパッ!

 ザシュリッ

旧暗夜軍兵士「ぎゃっ」ドサッ

旧暗夜軍兵士「あ、あそこだ。頭上だ、頭上にいるぞ!」

旧暗夜軍兵士「何時の間に!? ええい、敵は一騎だけだ、すぐに落とせ!」
 
サクラ「喰いつきました。リンカさん!」

リンカ「ああ、このまま一度敵の最後尾まで抜けるぞ」バサバサッ

サクラ「はい」
 
サクラ(あとは戻る合間に手薄な場所をつかめればいいのですが……)

 バサバサッ

リンカ「よし、最後尾まで抜けたぞ。魔道砲台はこっちを狙うつもりはないみたいだな」

サクラ「はい。砲台付近は少なからず防衛部隊がいるみたいですね」

リンカ「ああ、数はそれほど多くはないみたいだ」

サクラ「手薄というわけではありませんけど、敵陣を部隊規模で突破できれば制圧はできそうです」

サクラ(魔道砲台を制圧できれば中央の援護もできますし、敵も一度体制を立て直すために退いてくれるかもしれません)

リンカ「あとはジェネラルの合流に合わせて突き崩せそうな場所を見つけて戻るだけだ」

サクラ「はい!」
223 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:01:16.71 ID:nXV5NvVJ0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旧暗夜軍ランサー女「まさか、こんな風に動いて来るなんて……」

旧暗夜軍ランサー女(最前列の部隊は攻撃に入ったからまだいいけど、後続はだめか……)

旧暗夜軍兵士「副隊長、後方の部隊が奴らを追っています」

旧暗夜軍ランサー女「見事に乗せられたってわけ。ああもう、ここに来て戦列を乱しにくるなんて考えなかったよ」

旧暗夜軍兵士「どうします、奴らの狙いが砲台の方であったとするなら、彼らにそのまま追わせるのも……」

旧暗夜軍ランサー女「いや、出来る限りでいいから戻して、あんなのを追いかける必要はないし、もし本当に砲台占拠が狙いなら行かせて構わないよ。所詮、敵は一騎、防衛部隊だけでも処理できるはずだから」

旧暗夜軍兵士「わかりました、出来る限りの範囲で兵に戦列へ戻るよう指示を出します」

旧暗夜軍ランサー女「よろしく」

旧暗夜軍ランサー女(もっとも、あいつらはそんな無謀なことはしない。少なくとも、砲台占拠が目的だったら攻撃を加えずに一直線に進むよね。わざわざ自分の居場所を教えるような攻撃なんてしなくてもいいわけだし、追われるメリットなんてどこにもないはずだから)

旧暗夜軍ランサー女「となると、侵攻妨害と強行偵察が目的かな……」

旧暗夜軍ランサー女(危険を犯しても足止めに来たってことはジェネラル隊の到着はもう間近、こっちは隊列を崩されたから面倒な戦いになるのは避けられそうにない。けど、そのまま偵察までしようっていうのはちょっと欲張り過ぎたかな)

旧暗夜軍ランサー女「数人、私と一緒に来て」

旧暗夜軍兵士「はい! 奴らを追いかけて打ちますか?」

旧暗夜軍ランサー女「今さら追いかけるなんて馬鹿なことできないよ」

旧暗夜軍兵士「では、どうするのです?」

旧暗夜軍ランサー女「簡単、逆のことをするだけだよ」タタタタタッ
224 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:05:35.34 ID:nXV5NvVJ0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ドドドドドッ

旧暗夜軍兵士「奴ら、砲台を目指しているみたいだぞ」

旧暗夜軍兵士「なら砲台の奴らと挟み撃ちにするだけだ。無謀な手に出たことを後悔させてやる」タタタタッ

 バサバサッ

リンカ「サクラ、砲台の敵も迎撃態勢に入ったぞ。後ろの連中はどうだ?」

サクラ「はい、私たちを追いかけています。後続の敵を出来る限り戦列から引き剥がせたようですから、もう大丈夫です」

リンカ「よし、反転して自陣に戻るぞ。敵の追撃も避けながら進むからな、かなり揺れるぞ。しっかり掴まっておけ」

サクラ「はい。敵陣の確認は私が行いますから、リンカさんは回避行動に集中してください」

リンカ「わかった」

旧暗夜軍兵士「よし、奴の動きが鈍くなった。これならいける!」チャキッ

旧暗夜軍兵士(その背中に刃を生やしてやる)

旧暗夜軍兵士「くらえ!!!」ググッ ブンッ

リンカ「ここだ!」ググッ!

 グオンッ
  バサバサッ!

旧暗夜軍兵士「なっ、砲台の攻撃に向かうんじゃないのか!?」

旧暗夜軍兵士「ちっ、あいつ戻っていくぞ! 何をしている、逃がすんじゃない!!」ダッ

旧暗夜軍兵士「ですが、この方角で投擲攻撃は出来ません。味方に当りかねません!」

旧暗夜軍兵士「くそ!」

 バサバサッ

リンカ「へっ、さすがにここまで来て戻るとは思ってもみなかったみたいだな。連中、攻撃も出来ずに棒立ち状態だぞ」

サクラ「私たちの進行方向に味方がいますから、投擲攻撃はできないでしょう。何はともあれ助かりました」

リンカ「まったくだ。それで攻められそうな場所は見つけられそうか?」

サクラ「確認してみますね」

サクラ(今なら、敵の後方がもっとも薄い場所が分かるはずです。そこを探し出さないと……)

 バサバサッ

サクラ(ここは駄目、あそこも駄目です。他に突き崩せそうな場所。あ、あそこなら……)

リンカ「サクラ、目星は付きそうか?」

サクラ「はい、反対側の場所。敵の後続が他よりも少ないみたいですし、一気に突き崩せれば砲台までの道を一気に抜けられるかもしれません」スッ

リンカ「よし、確認も出来た、さっさと戻るぞ」

サクラ「はい!」
225 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:08:01.72 ID:nXV5NvVJ0
旧暗夜軍兵士「副隊長の予想通り、こちらにやって来たぞ」

旧暗夜軍兵士「手筈はわかっているな?」

旧暗夜軍兵士「わかっている。よし、仕掛けるぞ」チャキッ

 バサバサッ

旧暗夜軍兵士「くらえっ‼」ブンッ

サクラ「リンカさん!」

リンカ「ちっ!!!」ググッ

 ヒヒーンッ!
  バサバサッ

旧暗夜軍兵士「行かせるか! そらっ!!!」ブンッ
 
リンカ(ちっ、待ち伏せされたか。くそ、見えない毒霧の所為で思った以上に高くは飛べない。どこか抜けられる場所は!)

サクラ「リンカさん、右が手薄です!」

リンカ「右だな、行くぞ!」

 バサバサッ

サクラ「はぁ、危なかったですね」

リンカ「ああ、どうにか無事に抜けられそうだ。ふっ、サクラあれを見ろ」

サクラ「え?」

 ガシャンガシャンッ!

新生暗夜軍ジェネラル「よし、各自敵の迎撃に当れ。我らが新生暗夜の頑強さを奴らに思い知らせてやるのだ」

新生暗夜軍兵士たち『おーーーっ!』

サクラ「あれはジェネラル隊の皆さん。よかった、間に合ったんですね」

リンカ「これでこちらも簡単に落ちることは無くなった。ようやく、攻勢に出られるぞ」

サクラ「ええ」

サクラ(まずは戻ってシャーロッテさんとルーナさんに報告しないといけませんね。それで、攻勢部隊を編成して一気に砲台を占拠することが出来れば、姉様たちの力にもなるはずです)

リンカ「よし、あと少しだ。なんとかなったな」

サクラ「はい、どうにかなりましたね。ふふっ」

 バサバサッ

旧暗夜軍兵士「どうだ?」

旧暗夜軍兵士「ああ、奴らは手筈通りの場所を通る。俺たちの役割はこれ終わりだ、さっさと戦列に戻ろう。あとは、副隊長に任せればいい」
226 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:11:55.40 ID:nXV5NvVJ0
旧暗夜軍ランサー女「ふふ、来た来た」

旧暗夜軍ランサー女(手薄な場所があったらそこに行きたくなる。そうだよね。仲間の下に帰れるっていうのは、とても安心できることだからさ。私も、そうやってみんなの下に帰れれば良かったけど……)

旧暗夜軍ランサー女「この距離なら外さない。特に背中に乗ってる奴は絶対に……」チャキッ

旧暗夜軍ランサー女(あれは白夜の王女だ。暗夜の敵、みんなが倒そうとしていた敵、そしてみんなを奪った国の人間……。容赦する必要はどこにも無い)ググッ

旧暗夜軍ランサー女「みんな、最高のお土産を送ってあげるからね。ふふふっ」

旧暗夜軍ランサー女(さぁ、殺すよ)ダッ
 タタタタッ

リンカ「ん?」

リンカ(後方から、誰かが来ている?)スッ

旧暗夜軍ランサー女「死んでね、白夜の王女!!!! はあああっ!!!!」ブンッ!

リンカ(敵!? ダメだ、手綱を緩め過ぎて、回避が間に合わない!)

リンカ「サクラ!!!」

サクラ「え?」スッ

サクラ(あ、敵が、いつの間に後ろに。ちがう、恐らく待ち伏せされた? 飛んできてる、あれは槍? リンカさんが慌てているのは、どうして? あ、間に合わないから……。そうか)

サクラ(私、無茶しちゃったんですね……)

旧暗夜軍ランサー女「ははっ、貰ったよ」

サクラ(………ごめんなさい)
227 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:13:59.30 ID:nXV5NvVJ0
 タタタタタッ

???「おらああああっ!!!!!!」ブンッ

 ヒュンヒュンヒュンッ
  ガキィンッ!‼‼
   カランカランッ!

旧暗夜軍ランサー女「は?」

旧暗夜軍ランサー女(なんで、私の投げた槍が落ちるの? あの王女の背中を貫くはずの槍が、なんで……)

旧暗夜軍ランサー女「もう一回――」チャキッ

???「やらせるかよ!」ブンッ!

旧暗夜軍ランサー女(トマホーク!?)グッ

 ガキィンッ!
  ズシャッ!

旧暗夜軍ランサー女「っ‼‼‼」ポタタッ

旧暗夜軍兵士「副隊長、ここは退きましょう。敵ジェネラルも迫っています」

旧暗夜軍ランサー女「くっ、ちくしょう!」タタタタタッ

旧暗夜軍ランサー女(あと、あと少しだったのに、くそ、くそぉ!!!)

???「はぁ……はぁ、まったく、無茶してんじゃねえよ、本当に」
228 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:15:37.40 ID:nXV5NvVJ0
 バサバサッ

サクラ「い、生きてる……私、助かったんですか」

リンカ「ああ、そうみたいだ。すまない、あたしがもっと気を配ってればこんなことには……」

サクラ「いいえ、私も注意が足りませんでした。それよりも、一体誰が助けてくれたんでしょうか……」

リンカ「あー、下を見ればわかるよ。どうやら、あたしたちの行動を見てたんだろうな。急いで来たって感じだ」

サクラ「下ですか? えっっと……あ」

シャーロッテ「サクラ様、それとリンカも無事!?」

サクラ「シャーロッテさん……。はい、二人とも大丈夫です!」

シャーロッテ「そう、無事なのね。とりあえずさっさと降りてきなさい。っていうか降りて来い! 今すぐに!」

リンカ「あれは怒ってるな」

サクラ「怒ってますね……」

リンカ「とりあえず降りよう、降りないと守ってくれたみたいにトマホークが飛んできそうだ」

サクラ「は、はい」

シャーロッテ「降りてこないなら、これぶん投げるぞ」

リンカ「わかった、わかったからちょっと待て!」

 バサバサッ 
  ドスンッ
229 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:17:03.75 ID:nXV5NvVJ0
シャーロッテ「……」

サクラ「あ、あの、シャーロッテさん……」

シャーロッテ「サクラ様、無茶しないって言った直後に何してんのよ。あれ、完全に無茶な行動でしょ?」

サクラ「うう、ごめんなさい」

シャーロッテ「まったく、見てたこっちは冷や汗ものよ。いきなり敵陣に突っ込んでいくなんて、無茶にもほどがあるっつーの。もう心配させんじゃないわよ、わかった?」

サクラ「は、はい、シャーロッテさん」

シャーロッテ「よし、それじゃこの話は終わりね。それで、なんであんな無茶なことをしたわけ? さすがに敵陣の中に負傷した味方が取り残されているってわけじゃなさそうだけど」

サクラ「その敵の進軍を遅らせるために攪乱を。そうしないと、ジェネラルの皆さんが到達するまで戦列を維持できないと思って……」

シャーロッテ「なるほどね。自分がやらなきゃって思うのはいいけど、少しは立場を考えてよ。こういうことがあったってレオン様やカムイ様に説明する身にもなってほしんだけど」

サクラ「ご、ごめんなさい」

シャーロッテ「でも、そのおかげでどうにかジェネラル部隊の到着は間に合ったみたいだから、まぁ結果だけは良かったからいいとして。ともかく、戦場に安全な場所はそうそうないんだから、ちゃんと注意すること、わかった?」

サクラ「はい。それと、敵の一番手薄な場所を見つけてきました。ジェネラル隊の方々も合流しましたから、こちらから仕掛ける準備はできたと思います」

シャーロッテ「いいわね。それで、その場所ってのはどこ?」

サクラ「はい、反対側です。こちらが一番圧されている場所です。けど、その所為か敵の数も他に比べると少ないようですから」

シャーロッテ「反対側ね」

サクラ「それで、出来ればこのことをルーナさんにも知らせたいのですけど、ルーナさんはどちらに……」

シャーロッテ「なるほどね。でもルーナに知らせる必要は無いわ。だってその反対側っていうのは、今ルーナが援護に向かってる場所だからね」
230 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:22:15.47 ID:nXV5NvVJ0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東側魔道砲台周辺・左側』―

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はっ、せいやあああっ!!!」ブンッ

 ズシャッ

新生暗夜軍兵士「ぎゃああっ!」ドサッ

新生暗夜軍兵士「くそ、こいつ強い!!」

新生暗夜軍兵士「このままじゃ押し切られちまう、どうすれば!」

 ガシャンガシャンッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「む?」

新生暗夜軍ジェネラル「ようやく合流できたな。全員、交戦準備! 敵を押し返せ!」

新生暗夜軍兵士「よし、援軍だ。これでどうにか持ち堪えられるはずだ」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、ようやくお出ましか」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(敵の数はそれなりに減らせている。複数戦ならば苦戦はするが、今の状況ならば一対一で相手が出来るだろう)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「各員、装備をアーマーキラーに変更。奴らの壁、その全てを剥がし落とせ!」

旧暗夜軍兵士「はっ! よし行くぞ!」

 ドドドドドドッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(ここ一帯の敵を壊滅させ、あとは側面からやつらの戦列を圧迫する。最終的に敵を一角に抑え込めればそれで終わりだ)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふっ、勝ったな」

ルーナ「勝利を確信するにはまだ早すぎると思うけどね」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「!」スッ

ルーナ「はあああっ!!!」ダッ

 ガキィンッ!
  ズササーーッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ほう、まさかもう一度会うことになるとはな」

ルーナ「ええ、本当にね。それじゃ、さっきの続きよ、覚悟しなさい」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、覚悟をするのはお前だ。今回は守ってくれる仲間はいないぞ?」

ルーナ「それはあんたも一緒よ。さっきみたいに逃げるなんてできないと思いなさい。それにあんたがここの指揮官みたいだし、あんたを倒して一気に決めさせてもらうわ」チャキッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「いいだろう。出来るのならばやって見せることだ」チャキッ

ルーナ「ええ、見せてあげる。それじゃ――」

「行くわよ!」ダッ
231 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/11/10(火) 19:23:23.57 ID:nXV5NvVJ0
今日はここまで

 FEHに新しいカザハナが実装されましたね。
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/14(土) 13:00:46.75 ID:GLbKqaeho
乙 
ルーナでは、ルナ暗夜ブレイブヒーローにはかてなーい!!
233 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/08(火) 09:50:48.83 ID:AFh4bbG+0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東側魔道砲台周辺・左側』―

ルーナ「はああああっ!」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふんっ!」

 ガキィンッ

ルーナ「っ!」

ルーナ(剣戟が予想以上に重い。純粋な力比べじゃやられる。なら!)

ルーナ「はっ! やあっ!!!!」ブンッ ブンッ

ルーナ(攻撃を加え続けて、付け入る隙を与えなければいけるはず!)

 キィン! ガキィン!

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、この程度の攻撃でこちらの動きを止められるとは思わないことだ。はあああああっ!」グッ ガキィンッ!‼‼

ルーナ「や、やばっ!」フラッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「」チャキッ ブンッ

ルーナ(この構え、振り下ろしね。なら、距離を取って仕切り直しすれば――)ダッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「逃がすか!」ググッ

ルーナ(振り下ろしじゃない。この構えは、突きだ!)チャキッ

 ガキィンッ!
234 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/08(火) 09:55:15.61 ID:AFh4bbG+0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「防いだだと!?」

ルーナ「っ、やああっ!」ブンッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ちっ」サッ

ルーナ「はぁ……はぁ…」

ルーナ(間一髪。だけど、この次は受け切れるかわからない。少なくとも、受けに回って勝てるほど、優しい相手じゃない。なら、最初に決めた通りに攻め続けるまで)

ルーナ「はあああっ!」チャキッ ダッ

 キィン! カキィンッ!

ルーナ「っ! はああっ!」ブンッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「っ、はあっ!」キィンッ グッ 

 ガキィンッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「そこだ!」グッ ドゴンッ!!!

ルーナ「っ、まだまだっ!」ブンッ ブンッ!

 キィン ガキィンッ!

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「その程度か。はああっ!」ググッ ドゴンッ!‼‼

ルーナ「っと! 」ササッ チャキッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(積極的に攻撃に出てきたが、この程度か。ならば次は容赦なく吹き飛ばし、その命を一撃で絶ってやるとしよう。その剣戟も次で終わりだ)

ルーナ「……」
235 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/08(火) 09:57:01.61 ID:AFh4bbG+0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」チャキッ

ルーナ(なるほどね。こいつの癖、ちょっとだけわかってきた。なら、そこを突くしかないでしょ)ダッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はああっ!」チャキッ

ルーナ「はあああっ!」ブンッ!ブンッ!

 キィン!

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」スッ グッ

ルーナ(待ってたわ、その構え!)スッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「!?」

ルーナ(あんたは癖でタイミングを見計らって受け止めて一気に弾いて間合いを詰めてくる。なら、その瞬間は隙が出来る!)

ルーナ「そこよ、はあああっ!」ググッ ドゴンッ!

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ぐっ!!! 蹴り……だと!?」グラッ

ルーナ(やった、うまく入って姿勢も崩せた! このまま切り倒してあげる!)チャキッ

ルーナ「もらった!」ダッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「くっ」スッ

ルーナ「遅い!」ブンッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「!」バッ

 ガキィィィィンッ!‼‼ ザシュンッ!‼‼ ブシャアアッ!
236 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/08(火) 09:59:13.27 ID:AFh4bbG+0
ルーナ(ん、手ごたえはあったけど、なに今の音。金属に当ったみたいな音だったけど……)スッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はぁ…はぁ…、次はこちらの番だ」チャキッ

ルーナ(嘘、生きてる!? ちゃんと首筋めがけて振り下ろしたはずなのに、なんで――)

 カランッ ガシャンッ!

ルーナ「ショルダーシールド!?」

ルーナ(受け流したんだ。ショルダーシールドを使って、あたしの攻撃を!)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「この距離ならば、外さん!」ググッ

ルーナ「っ!」サッ

ルーナ(回避だけじゃだめ、剣で受け流さないとやられる! 間に合え!!!)スッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はあああああああああああああっ!!!!」ブンッ!‼‼

 ガキィンッ!‼‼
   ザシュッ!‼

ルーナ「っ、痛ぁ……」ズササーーッ

ルーナ(っ、どうにか流せたけど思ったより深くもらっちゃった。だけど、敵も無事ってわけじゃなさそうね)ポタタタッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はぁはぁ……。ちっ、仕留め損ねたか」ポタタタッ

ルーナ(受け流して致命傷は免れたみたいだけど、さっきの攻撃はどうにかあいつの左腕には届いた。相手が無傷でこっちは負傷ってわけじゃない。なら――

(あたしにも、まだ勝機はある!)チャキッ
237 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/08(火) 10:00:10.80 ID:AFh4bbG+0
今日はここまで
238 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 18:48:24.51 ID:01mrACZZ0
 今日はピエリの誕生日なので、ピエリ誕生日SSになります。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 今日はピエリさんの誕生日である。そんな当たり前のことを目覚めてすぐに思い浮かべた。いつも寝起きしている部屋とは違う城下町の小さな宿舎の一室、その部屋の隅には今日渡すプレゼントも入った小物入れが置いてある。
 ラッピングはピエリさんの好きな赤で、リボンの色は彼女のお気に入りであるリボンを思ってストライプ柄で決めている。抜かりはありません。
 今日はみんなでピエリさんにプレゼントを贈ろうという話になっていて、各自がそれぞれ贈る物が出来る限り被らない様にと事前の打ち合わせもこなしていたりと、中々に徹底していると思う。

「よし、早く行かないと」

 目的が決まっていると体はすぐ動くもので、身支度を手短に済ませて受付にあいさつをして宿を出た。
 とても冷え込むことで有名な暗夜の冬は、今日もその通りにとても冷え込んでいた。一ヶ月ほど前の初雪から断続的に降雪は続いていたこともあって、城下町全体がフリージアになってしまったかのように錯覚するほどに、一面が白い化粧で彩られている。
 化粧といえば、ピエリさんの化粧は思ったよりも濃い。そういった化粧道具というのもプレゼントとしてはとても良かった。でも、私には化粧道具の知識なんてこれっぽっちもないので、ニュクスさんとシャーロッテさんが化粧道具をプレゼントとして送ることになっている。
 そんな化粧を施された大通りを進んでいると、とても香ばしい香りが漂ってきた。視線を向けると、すでに幾つかの露店が開業の準備を始めている。パンにスライスしたチーズ、そして鉄板で焼いたブロックミートを挟んだお手軽だけどボリュームのある商品が調理されている。
 やはり、ピエリさんといえば料理で、これは多くの知人の共通見解だった。あのマークス様もピエリさんの誕生日には質のいい料理包丁を一つ送ろうと言っていたし、ラズワルドさんもそうすると言っていた。そのため料理包丁についてはお二人にお任せしたのである。
239 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 18:51:53.23 ID:01mrACZZ0
 続いて鼻を突いてきたのは甘い香りで、視線の先にはたっぷりとはちみつを掛けて、最後にホイップクリームを乗せたパンケーキの準備が行われている。ピエリさんは甘いお菓子が好きだった。最初、そういったスイーツの詰め合わせを模索していたけれど、それを送る役目は私がしたいというカゲロウさんと、ならば私もというスズカゼさんたちに譲ることにした。なんでも、ピエリさんでもおいしくお茶が飲める和菓子を送るつもりらしい。
 そして、洋菓子はブノワさんとハロルドさんが用意することになっている。ハロルドさんはいろいろと運が悪い人だから心配だったけれど、ブノワさんと相談した結果、ブノワくんと同じ甘いお菓子を頼むことにすればきっと私の頼んだ物はしょっぱいお菓子になるはずだ。これで甘いお菓子としょっぱいお菓子、両方をピエリくんに渡すことができるぞ、と言っていた。
 お茶といえば紅茶というのもあったけれど、紅茶に関してはジョーカーさんとフェリシアさんが送ることになっていて、同時に今日一日はピエリさんの専属給仕として仕えることになっている。残念ながら、私には紅茶の葉の見分け方も、給仕としての腕もないから、あきらめるしかなかった。
 大通りをさらに進んでいくと、今度は武器防具店が目に入った。あの戦いが終わりを迎えてからこういったものの出回りは落ち着いたけれど、未だに山賊や盗賊による被害が地方の村で起きている。そういえばフランネルさんはさすがに何を送ればいいかわからないから、後日人狼を狙う狩猟団退治を正式にピエリさんの騎士団にお願いするって言っていた。フランネルさんなりに考えた結果らしい。まぁ、人それぞれですよね。
 で、そういうこともあってまだまだこういった武具に需要があるというのはなんだか複雑なものだった。そして、そんな武具を送ろうと言い出したのはオーディンさんとルーナさん、そしてベルカさんである。ルーナさんはどっちが強いのかをさらに決めるためにはいい武器でやりあわないと意味がないと言っていた。ベルカさんは贈り物がよくわからないからとルーナさんと一緒に選ぶことにするらしい。そして、オーディンさんは蒼き赤き混沌が身に纏う衣は俺が選ばなければならないとよくわからないことを言っていた。どちらにしても、ピエリさんに誕生日プレゼントを贈りたくてたまらないのだ。もちろん私もその一人です。
240 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 18:53:50.65 ID:01mrACZZ0
 また少し進むと書店が目に入る。本というのはとてもいいものだけど、ピエリさんのイメージという点ではあまり繋がりを見出せない。だけど、料理のレシピ本はそれなりに読んでいるらしい。だからこその腕前だと思えることもある。ならと、本を送ることにしたのはエルフィさんだった。正直、エルフィさんは本を読むよりもそれで訓練をしているイメージが強いから、石のような本をプレゼントしそうな予感はあるけど、ピエリさんの作るおいしいごはんのレパートリーが増えることを期待している節もあるのではないかと思う。そういえば、レオン様も本関連で何か送ろうとか考えているらしい。特にレオン様が送る本っていうのがどういうものなのかはとても気になる。少し前に人を殺してはいけないことを他人にどう説明すればいいのかとカミラ様に相談していたようですが、カミラ様も心底悩んでいました。
 次に見えたのは調理道具の店舗。調理というのは思ったより重労働で使用する道具もできる限り重くない方が好ましい。つまり料理は運動といっても差し支えないものなのだ。だからなのか、ピエリさんの殺人衝動を運動に昇華させるなら、料理をさらに進んでできるように質のいい調理器具をプレゼントすればいいのではないかと、サイラスさんが名乗りを上げた。さすがは、ピエリさんの殺人衝動を運動で解消しようと考えた人なだけはあります。
241 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 18:55:23.08 ID:01mrACZZ0
 さらに歩いていくと装飾品を売っている小さなお店が目に入った。いわゆる古今東西の煌びやかな装飾を取り扱っているのが売りみたいで、淡いランプの光が積もった雪と相まって、落ち着いた雰囲気を醸し出している。店先にはきらきらと揺れる花や蝶の飾り、雪にちなんで雪だるまの形をしたアクセサリーなども置かれていた。アクセサリーもプレゼントとしていいですが、それに関してはニシキさんとヒナタさんがすでにプレゼントを考えていた。ニシキさんは、ピエリは変わってるよね、芋虫はだめだけど蝶は平気なんだからさ、とすでに渡すものの形が想像できることを口にしていたし、ヒナタさんもリボンのお返しするにはいい機会だからなと張り切っているようだった。
 そして最後に通るのは衣装を扱うお店だ。ここにはいろいろな種類の服が扱われている。店頭のショーケースに並べられたドレスが目に入った。今日ピエリさんが着るドレスは私の主であるカムイ様がピエリさんと共同で制作したものだ。理由は、ピエリさんが可愛いので、私が思う最高に可愛いピエリさんがかわいいと思うドレスを作って誕生日に着てもらいたいからという欲望に忠実なもので、これにはさすが姉様だと感服してしまう。
 そして、それの完成にはあともう一つ、必要なものがあって、私はそれを届ける役目を担っていて、それが今日の朝から熟すべき私の目的だった。
 そんな時、目的地のシルエットが目に入った。
 ピエリさんのお屋敷は、この雪の中であっても、その明かりから存在を認識できる、こんな朝だけれどさすがに会場ということもあって準備に余念がないということでしょう。そう思いながら駆け足気味にお屋敷へと、私は向かった。
242 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 18:57:15.73 ID:01mrACZZ0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 今日はピエリの誕生日、そう思うとぱっちり目が覚めた。
 起き上がると、数日前に設置された大きな衣装棚が目に入る。カムイ様と一緒に一ヶ月以上前から作った今日のドレス。出来れば今すぐにでも着たいけど、まだ必要なものがそろってないから我慢する。
 部屋の外からは人が行き来する音が絶え間なく聞こえる。ピエリがベッドから降りるとその音に気づいて部屋前に待機していた使用人が入ってきた。

「おはようございます、ピエリお嬢様」
「おはようなの。うー、思ったより寒いの」
「はい、先日までの降雪の影響でかなり冷え込んでいるみたいですから、まだ休まれますか?」
「ううん、もう起きるの。誰かが訪ねてきたらすぐにお出迎えしたいから」
「かしこまりました。すぐにご準備いたしますので、少々お待ちくださいませ」

 そして、着替えを使用人二人に手伝ってもらって着替えを済ませる。専用のドレスになるのは早いけど、誕生日に来てくれる人を持てなす分には問題ない格好だった。
 それに着替え終えて一息吐こうとしたら、ドアをノックして執事が入ってきた。

「ピエリお嬢様、リリス様が到着されました」
「え、もう来たの!?」

 居ても立っても居られなくてすぐさま部屋を飛び出した。
 長い廊下を進んで、ホールの階段を下りていくとそこに黒いコートに身を包んだリリスの姿があった。使用人と談笑しているようで、まだピエリが来たことに気づいてないみたいだから、踵を返して反対側の階段から降りる。
 まだ談笑を続けているその無防備な背中を視界にとらえてじりじりとにじり寄る。リリスと話をしている使用人と目が合うと、使用人は小さく頷いたまま話を続けた。厚意に甘えてそのまま背中ににじり寄る。そして――
243 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 18:59:12.10 ID:01mrACZZ0
「捕まえたの!」
「わっ! ピ、ピエリさん、脅かさないでくださいよ」
「そうなの、ピエリなの。こんなに早く来てくれるなんて、ピエリとっても嬉しいの!」

 ピエリの腕の中に収まったリリスをもっとぎゅうぎゅうすると、だんだんぽかぽかと暖かくなってきた。

「ちょ、ちょっとピエリさん、その、あ、当たってます」
「ぎゅうぎゅうしてるから、体が当たるのは当たり前なのよ」
「いえ、その、体の一部分が問題というか、と、とりあえずもうぎゅうぎゅうは大丈夫ですから」

 しぶしぶ離すとリリスはこちらを向いてくれた。なんだか顔が少し赤くなっていた。寒い外にいたからだと思う。視線をゆっくりと下ろすと手には小物入れがあって、そこからひょっこりとリボンが見えた。ピエリのお気に入りのリボンと同じ柄だからすぐに目に入った。

「リリス、それって」
「はい、例のものですよ」
「これで完成なの。リリス、早くピエリの部屋に行くのよ!」

 リリスの手を握って階段へと駆け出す。握った手は最初冷たかったけど、少ししたら暖かくなっていった。

「ピエリさんの手、暖かいです」
「リリスは外にいたんだから手が冷たくて当然なの。ピエリがいっぱい温めてあげるの。ぎゅーっなの!」
「ふふっ、ありがとうございます、ピエリさん」

 さらに暖かくなった手を強く握って、ピエリは部屋に戻った。
244 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 19:02:52.09 ID:01mrACZZ0
 部屋に戻ると、リリスが来たという言葉を聞いた使用人がすでにドレスの最終チェックの下準備を済ませて待ってくれていた。今日の衣装にはある物が必要で、それを今日のパーティー開始前にリリスが届けてくれる手筈になっていたのだ。

「えへへ、これでドレスが完成なの。リリス、持ってきてくれてありがとうなの」
「いえいえ、出来れば昨日届ける事が出来てば良かったのですけど」
「ううん、今日間に合ったからとっても良かったの。それじゃ、それを貸してほしいの」
「はい」

 リリスは小物入れの中から箱を取り出して、ピエリに差し出して来る。でも、それはリボンが付いた箱じゃなかった。それが予想外で、ちょっとだけ固まった。

「はい、ピエリさん。まずは開けて中身を確認してみてください」
「う、うん」

 受け取った箱を開けると、ドレスに着ける赤と青の宝石をあしらったブローチが入っている。ピエリの青い髪の色とピエリの好きな色が揃ったこれが、特製ドレスの最後の装飾品だからだ。

「これで間違いないの。リリス、ありがとうなの」
「どういたしまして、間に合って良かったです」

 必要な物を受け取った。でも、だからこそ、未だに小物入れに残っている箱が気になって仕方なかった。

「え、えっと、リリス。そっちの箱はなんなの?」
「決まっています、ピエリさんへのプレゼントですよ。皆さんも色々なプレゼントを用意しているみたいですから、中々悩みました」

 その言葉になんだかとてもうれしくなる。

「ありがとうなの」

 そして手を差し出す。だけど、いつまでたっても小物入れから箱が出てこなかった。

「……今くれないの?」
「駄目です。これは他の皆さんが揃った時にお渡しします。私だけ抜け駆けするわけにはいきません」
「いいの。ピエリがいいって言ってるから今すぐ渡すのよ!」
「いいえ、こればっかりは駄目です」
「むー、リリスのケチ!」
「私がケチなのではなくて、ピエリさんが我侭なだけですよ」

 そう言い返して来るリリスを見ながらも、そのきちんと用意された箱の中身がピエリへの贈り物だとわかってとても満足だった。頼まれた荷物を運んでリリスはすぐに帰っちゃうかもしれないと思っていたから。だから、それだけで今は十分だって思えた。
245 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 19:04:56.55 ID:01mrACZZ0
「わかったの。今は我慢するの」
「えらいですよ。ピエリさん」
「子ども扱いしないでなの」
「ふふっ、安心してください。時間が来たらきちんとお渡ししますから」
「もう、リリスは融通が利かないの」
「よく言われます。でも、やっぱりこういうのはみんなで一斉に渡したい物なんですよ」

 そう言ってリリスは柔らかい笑顔を浮かべて、ピエリのことを見つめる。

「誕生日っていうのはみんなで一緒にお祝いしたいじゃないですか。特に一番大好きな友達の誕生日っていうのは」

 そう恥ずかしげもなく伝えてくるリリスになんだか恥ずかしくなる。

「そういうわけですから、プレゼントはその時間までお預けです」
「わかったの。でも、待たせた分だけプレゼントには期待しちゃうから覚悟するのよ」
「うーん、そう言われると中々にプレッシャーが掛かりますね」
「えへへー、どんなものが飛び出すのか楽しみにしてるの」

 そうして、ピエリはリリスを連れて自室を出ることにする。ブローチの取り付けは使用人がやってくれるし、このドレスに身を包むのは、恐らくリリスのいうその時間になるはずだからだ。

「あ、そうでした」

 突然リリスが立ち止まる。なにかあるのかなって振り返るとリリスは嬉しそうに笑みを浮かべた。

「ピエリさん、お誕生日おめでとうございます」

 ピエリだけに向けられたお祝いの言葉、それは確かにピエリの中に届いた。

「うん、ありがとうなの」

 足取り軽く、ピエリはその時間が来るのを楽しみに待つことにする。
 いっぱいいっぱいのプレゼントと、いっぱいいっぱいの言葉が待ってるその時間を。

     ―終わり―
246 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2020/12/24(木) 19:10:24.71 ID:01mrACZZ0
今日はこれだけ
 
 リリスや他の仲間たちと一緒に楽しい誕生日、ピエリお誕生日おめでとう!
247 : ◆OrJMce4ivfbv [sage saga]:2021/01/20(水) 21:54:06.90 ID:XBaJ3Bkz0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東側魔道砲台周辺・左側』―

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はぁはぁ……ぐぅ、うううっ……」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(ちっ、仕留め損ねた上にこの様とはな……)

 ポタタタタッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(左腕はもう使い物にならない。だが、向こうも無事というわけではない。あと一息で殺せるはずだ……)

 チャキッ

ルーナ「はぁはぁ……」ポタタッ

ルーナ(っ、結構深く入ってる。一緒に来てくれたみんなが奮戦してくれてるおかげで、どうにか持ちこたえられてる。でも、ジェネラルが結構やられちゃってるから、そろそろやばいわね)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「どうした観念する気にでもなったか?」

ルーナ「そんな気さらさらないわ。むしろあんたを倒してこの状況、ひっくり返すつもり満々なんだから」チャキッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「そうか。ならば、ひっくり返す暇など与えずこのまま潰してくれる!」ダッ

ルーナ「!」ダッ

 ガキィンッ!

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「っ!」

ルーナ「っ!!!!」

ルーナ(さすがに重い。片腕が使えなくてもこの重量の差は馬鹿にできないか)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「どうした! ひっくり返して見せるという威勢の良さはどこへ行った!」ブンッ

 キィンッ

ルーナ「今から見せてやるんだから!!!」ググッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、そんなものを見る義理はないのでな、このまま死ね!!!」グッ

ルーナ(剣を振り上げた、なら、ここで仕掛ける!)ダッ!
248 : ◆OrJMce4ivfbv [sage saga]:2021/01/20(水) 22:00:26.74 ID:XBaJ3Bkz0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はあああっ!」ブンッ

  ドスッ!

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「なにっ!?」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(くそっ、狙いが逸れて剣が地面に!)ググッ

ルーナ(このチャンス逃さないわよ!)ダッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(側面に回り込むつもりか。こちらの左手が動かないからと攻撃を仕掛けるつもりだろうが、その程度予想していた)

 チャキンッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「捉えたぞ!」グッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(剣が地面に刺さったのは予想外だったが、それでもこちらの方が先だ)

 チャキッ

旧暗夜ブレイブヒーロー(勝った。私はこの先もあいつの戦う意味を見守り続けられる。そうだ、お前を殺し私はあいつを――)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はあああああっ!」ブンッ

ルーナ「!」ダッ!



 ザシュンンッ‼‼‼‼‼
249 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/01/20(水) 22:03:16.61 ID:XBaJ3Bkz0
今日はここまで
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/06(土) 02:12:23.74 ID:jyOmvaICo
乙でした ルーナの力成長率はマジで低かった
251 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/02/16(火) 21:31:11.50 ID:FLGSVjCI0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(自分のために戦うことこそが私の戦う意味だった。何よりもそれ以外にしたいことなど見つかりもしなかったし、望むものもなかった)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(ましてや誰かのために戦うということを理解することなどできなかった。それは対象が祖国になって同じことだ。私にとって暗夜王国は所属している国以外の意味は持っていない、暗夜王国の勝利のために戦うという考えなどなかった。だからこそ、テンジン砦での敗北の一件そのものに私は何も思うことなどなかったのだ)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(テンジン砦で多くの仲間が命を落としたことも、新生暗夜軍が無限渓谷に防衛線を築き始めたという話も、それがどうしたというくらいのものだった。そして、気づいたころには離反する兵士たちも増えた。旗色は確実に悪くなっていたからこそ、多くの兵士は負ける戦いに身を置くことをやめ、静かに消えていった)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(本当なら私もその一人になっていたはずだった。なにせ、この戦いで得られるものなどもう何もないと理解していたからだ)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(なのに、そんな場所でこうして死にかけながらも戦っている。無様に息を切らせて、満身創痍になりながらも戦っているのは、同じ戦場で戦うあいつがいるからだ)
252 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2021/02/16(火) 21:32:51.34 ID:FLGSVjCI0

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(思い返せば、あいつは猫かぶりな女だった)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(初めてテンジン砦でともに行動した時のあいつは馬鹿真面目な兵士だった。それはランサーが共に過ごしてきた隊はとてもまじめな者たちの集まりだったこともあってああいう馬鹿みたいにまじめな兵士であったのだと思うし、それがあいつにとっては仲間と育んだものだったのかもしれない)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(それをテンジン砦の一件は崩していった。真面目な兵士の下にいたのは在り方を無くした一人の女、暗夜のために戦うという仲間との誓いだけがしか残らなかった女だけだ)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(そこで放っておけばよかった。関係ないと何も言わずに立ち去ればよかった。戦場で多くの仲間を失うことなど珍しいことではないのだから)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(だというのに……支えたい、そう思ってしまったのだ……)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(縋るために何かを求める女を支える。そんな何の足しにもならないことを私は選んだ)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(この女の傍にいよう、支えてみよう、そう思っていた)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(……だが、そうではなかったのだな)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
253 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/02/16(火) 21:34:55.97 ID:FLGSVjCI0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」

ルーナ「……」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……っ」ポタッ ポタタタッ

ルーナ「……」チャキッ

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……ああ」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(まったく、もう少し早くに気づけばよかった……)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ランサー……」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(単純なことだというのに、自分のこととなるとわからないものだ。そして、それに気づくのがこんな時だというのも、なんとも愚かなことだ……)

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「は……、はは……」

旧暗夜軍ブレイブヒーロー(本当は、私がお前に傍にいてほしいと……)

 カランッ……
  ドサリッ……

旧暗夜軍ブレイブヒーロー「」
254 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/02/16(火) 21:37:42.59 ID:FLGSVjCI0
今日はここまで

 いろいろと更新が遅くて申し訳ないです
255 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/03/14(日) 10:26:19.11 ID:S4z9fDAI0
ルーナ「……はぁ……はぁ……、なんとか勝てた……」

ルーナ(あそこで踏み込んでなかったらこっちが倒れてた。本当、紙一重ね)

ルーナ「次に行かないと……っ!!!!」ズキンッ

ルーナ(っ、思ってた以上に体中が痛い。なんでもいいから痛みを和らげないとまともに動けないじゃないの)

ルーナ「ん?」

 タタタタタッ

旧暗夜軍兵士「た、隊長! 貴様、よくも隊長を‼‼‼」チャキンッ

ルーナ「ちっ、こんな時に!」スッ

旧暗夜軍兵士「取らせるか!」ブンッ

 ガキィンッ
  カランカランッッ

ルーナ「しまった!」
256 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/03/14(日) 10:29:30.42 ID:S4z9fDAI0
旧暗夜軍兵士「隊長の仇だ、死ね!」グッ

ルーナ「お断りよ!」グッ

 ドゴンッ

旧暗夜軍兵士「がっ!」

ルーナ(ううっ、蹴りするだけでもめちゃくちゃ痛いけどなんとかなった。今のうちに剣を!)ググッ
 
 ズキンッ‼‼‼

ルーナ「っ!」

ルーナ(ううっ、剣まであと少し――)ググッ

旧暗夜軍兵士「させるか!!」ダッ

ルーナ「この、届けぇ……」フルフル

 チャキッ

ルーナ(届いた!)

ルーナ「これで!」スッ

旧暗夜軍兵士「こちらが先だ、死ね!」ブンッ

 ザシュンッ‼‼‼
257 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/03/14(日) 10:35:30.91 ID:S4z9fDAI0
 ポタッ ポタタタッ

旧暗夜軍兵士「……は? なんだこれ……どうして、斧が刺さって……」ポタタタッ

ルーナ(え、なに何が起きて……)

 タタタタタッ

シャーロッテ「おい、何ボケっとしてんだよ! 死にたいわけ!?」

ルーナ「!」

旧暗夜軍兵士「っ、しねえ」グッ

ルーナ「はああああっ!」ブンッ

 ザシュリッ

旧暗夜軍兵士「がっ」ドササッ

ルーナ「はぁはぁ………本当、タイミングばっちりね。狙ってたみたいだわ」

シャーロッテ「おい、こっちはとっさに助けたっていうのにそれはないだろ」

ルーナ「ごめんごめん、助かったわシャーロッテ」

シャーロッテ「最初から素直にそう言えっての。それで大丈夫?」

ルーナ「体中、どこもかしこも痛くて最悪よ」

シャーロッテ「そう、ならこれ使いなさい」ポイッ

ルーナ「ん、これって治療薬?」

シャーロッテ「そう、サクラ様からあんた宛にね。負傷してるかもしれないからってね」

ルーナ「さすがサクラ様ね、助かったわ」ピチャピチャッ
258 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/03/14(日) 10:37:36.33 ID:S4z9fDAI0
ルーナ「それで、あんたがこっちに来てるってことは中央は問題ないってこと?」

シャーロッテ「問題ないわ。重装部隊も追いついたし、敵は右翼の攻撃に集中してるみたいだからね。こっちは、結構やられたみたいだけど」

ルーナ「本当にね、半数はやられたわ」

シャーロッテ「半数ね。まぁ、半分残ってれば何とかなるわ。これからあの魔道砲台を奪いに行くわ」

ルーナ「それが次の作戦ってことね」

シャーロッテ「そういうことだけど、何か思うことはないわけ?」

ルーナ「別に、こうやって敵の指揮官を一人倒して準備は済んでるんだから、その作戦に何の不満も意見もないだけだし、この作戦サクラ様の案でしょう?」

シャーロッテ「そうだけど、なんでわかるのよ」

ルーナ「いや、こんな作戦あんたは考えないでしょ?」

シャーロッテ「そうだけど、なんかむかつくわその言い方。なら話は早いわ、さっさと片付けに行くわよ」

ルーナ「ええ。ところで一応聞いておくけど、サクラ様は?」

シャーロッテ「右翼の敵を限界まで引きつけるって」

ルーナ「そう……。こっちに合流してもいいっていうのに、本当に頑固っていうかあたしたちのこと信じてくれてるっていうか」

シャーロッテ「ふふっ、怒るに怒れないっていうのはこういうことかもしれないわね」

ルーナ「まったく、その通りだわ」

 チャキッ

シャーロッテ「こっちの部隊はもう準備が整ってるから、あとはルーナの準備だけよ」

ルーナ「大丈夫、あたしも準備万端よ」

シャーロッテ「よし、行くわよ」

ルーナ「ええ」

ルーナ(こっちが砲台を抑えるまでなんとか耐えてよね、サクラ様)

 タタタタタタッ
259 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2021/03/14(日) 10:54:08.22 ID:S4z9fDAI0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

サクラ「はい、これでもう大丈夫です」

新生暗夜軍兵士「ありがとうございます、サクラ様」タタタタッ

リンカ「どうにか治療も間に合ったみたいだな」

サクラ「ええ、どうにか間に合ってよかったです」

リンカ「しかし、本当によかったのか? あたしたちも合流してもよかったと思ったが……」

サクラ「いいえ、私たちまで合流したら戦力方ですし、シャーロッテさんとルーナさんのお二人ならきっと成し遂げてくれるって信じてますから」

リンカ「ふっ、そうか」

サクラ「はい、だから私たちは二人が成し遂げてくれるその時まで耐え抜くだけです」チャキッ

リンカ「ああ、その通りだ。サクラ、今度はきちんと周囲に気を配ってお前を守るよ。同じ失態をしてシャーロッテにどやされたくないからな」

サクラ「ふふ、よろしくお願いします」タッ

新生暗夜軍兵士「サクラ様、敵は攻勢をかけてくるつもりのようです」

サクラ「わかりました。このまま、敵を引き付けて機を待ちます。だから、その時まで耐えてください。その時が来れば、私たちの勝ちです!」

新生暗夜軍兵士一同『おーーーっ!』



 ザッザッザッ

旧暗夜軍兵士「敵の士気、衰える気配がありません」

旧暗夜軍ランサー女「構わないよ。叩き潰してしまえばいいだけのことなんだ。どうせ、すぐにブレイブの部隊が側面にやってくる。挟み撃ちにして終わりだよ。それでブレイブの方はどうなってる?」

旧暗夜軍兵士「それが、出した伝令は帰ってきていません。かなり乱戦の様相なので、戻るのに手間取っているのかもしれません」

旧暗夜軍ランサー女「まあいい、あいつが来るよりも先に私があいつを仕留めるだけのことだからね」

旧暗夜軍ランサー女(邪魔が入ったけど、今度はそんな邪魔はさせないし、邪魔ができる隙なんて与えるつもりもない。さっさと殺して、手柄をブレイブに見せつけつけるんだ。そしたら……そしたら?)

旧暗夜軍ランサー女「……」

旧暗夜軍兵士「副隊長?」

旧暗夜軍ランサー女「なんでもない。さぁ、一気にせめて奴らの壁に大きな穴をあけてやるんだ!」

旧暗夜軍兵士一同『おーーーーっ!』

旧暗夜軍ランサー女「これで終わりだ、全員進めぇ‼‼‼」グッ ブンッ!

 ドドドドドドドドッ!
260 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2021/03/14(日) 10:54:42.42 ID:S4z9fDAI0
今日はここまで
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 11:24:40.39 ID:ZjCJnGMVO

次回も期待してます
262 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/04/13(火) 23:37:56.17 ID:eAzDdIPj0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東部』―

旧暗夜軍兵士「はあああっ!!!」ダッ
 
 ザシュンッ???

新生暗夜軍兵士「が、くそぉ……」ドサッ

旧暗夜軍兵士「よし、ここをこのまま切り崩せば!」
 
リンカ「させるか! はあああああっ!!!」バサバサッ

旧暗夜軍兵士「なに!?」チャッ

リンカ「遅い、くらえ!」グッ ブンッ???

 ドゴンッ!

旧暗夜軍兵士「っ、ぐあああぁぁぁ!」ズササーッ

リンカ「はぁはぁ……。何とか間に合ったか」
 
新生暗夜軍重装兵A「助かりましたリンカ様。ここは我々に任せてほかの援護に向かってください。すぐに隊列の穴を塞げ、敵に付け入る隙を与えないようにするんだ!」

新生暗夜軍兵士「はっ!」タタタタタッ

新生暗夜軍重装兵B「敵、側面に展開しています。端の援護に回れ!」

新生暗夜軍兵士「わかりました!」タタタタタッ

リンカ「くそ、敵が勢い付いてやがる」

リンカ(このままじゃ、包囲されて潰されるのも時間の問題だ……)
263 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/05/10(月) 20:50:09.20 ID:hDhY8y3t0
サクラ「リンカさん、大丈夫ですか?」

リンカ「ああ、なんとかな。ただ、敵の攻撃は激しくなっている。次はどうなるかわからないぞ」

サクラ「はい、このままだといずれ崩され分断されかねません。どうにかしないと……」

リンカ「ちっ、一度上に上がって敵の動きを見るしかないか。こっちがあいつらに唯一対抗できる手段ってなるとそれくらいしかないからな」

サクラ「すみません、お願いします」

リンカ「ああ、一度確認したら降りてくるよ」グッ

サクラ「はい、わかりました!」

 ヒヒーンッ
  バサバサッ

リンカ「さてと……」

リンカ(……ちっ、こっちを囲むように展開してやがる。後ろの奴らはどうだ?)

 ドドドドドドッ
 
リンカ(こっちの側面に向かっているのが殆どだが、中央にも少なからず残ってる奴らがいるか。この様子だと同時に攻撃を仕掛けるつもりかもしれない……)

リンカ「ちっ、このまま上空に待機してサクラに伝えるしかないか……」

 ヒュンッ!

リンカ「っと!」チャキッ ブンッ
 
 ガキィンッ!
264 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/06/07(月) 21:19:10.91 ID:kcFLTn3y0
旧暗夜軍ランサー女「ちっ」チャキッ

リンカ「あんたが狙ってくることくらいは、さすがに予想済みだよ」

サクラ「リンカさん、大丈夫ですか!」

リンカ「あたしは大丈夫だ。それよりも迂回して側面から仕掛けようようとしてる一団がいる。まずはそいつらをどうにかするんだ!」

サクラ「わかりました。リンカさんも一度下に降りてきてください、上にいたらずっと狙われ続けてしまいます」

リンカ「いいや、このまま上で奴らの動きを探り続ける。ここで下がったら二度と上がれない気がするし、なにより」ブンッ
 
 ガキィンッ!

リンカ「あいつにサクラを狙わせるわけにはいかないからな」

サクラ「リンカさん……」

リンカ「そういうわけだから、下のことはサクラに任せたよ」

サクラ「はい!」

 バサバサッ

サクラ(よし、敵は側面から迫っているということでしたね。まずは側面を厚くして、それ以外の敵にも対処できるようにする。なら……)

サクラ「あなた方は左翼の援護に向かってください。残りの皆さんは私と待機して、敵の次に備えます」

新生暗夜軍重装兵C「はっ、わかりました。よし、行くぞ!」

新生暗夜軍兵士たち「はっ!」タタタタタッ

サクラ(必ず防ぎきってみせます!)
265 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/07/04(日) 11:53:36.31 ID:FPpWZa2R0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旧暗夜軍兵士A「っ、副隊長。第一波の攻撃が防がれています。第二波の攻撃も対処されつつあります」

旧暗夜軍ランサー女「わかっている。くそ!!!」チャキッ ブンッ

旧暗夜軍ランサー女(なんでだ、なんで当たらない。さっき、一度は届きかけたんだ。なら、次もきっと届くはずだ。届くはずなのに、なんで!)

 ガキィンッ

リンカ「はぁはぁ……まだまだっ!」バサバサッ

旧暗夜軍ランサー女「くそっ!」

旧暗夜軍ランサー女(なんで落ちないんだ。くそ、)

旧暗夜軍兵士B「くそ、砲台の連中は何をしてるんだ。敵の重装兵に対して援護しないばかりか、さっきから沈黙したままで何もしてないぞ」

旧暗夜軍兵士A「まさか砲台はすでに敵の手に落ちているんじゃ……」

旧暗夜軍ランサー女「あるわけない、そんなことあるわけない!」

旧暗夜軍兵士A「副隊長……」
266 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2021/07/04(日) 11:58:56.03 ID:FPpWZa2R0
旧暗夜軍ランサー女(後方の砲台を攻めるにはどこかを突破する必要がある。少数先鋭でというのも考えられなくはない、でもそんな敵の動きに気づかない状況はない。それにこっちの敵は足を止めてるし、ブレイブなら問題なく対処できてるはず。だから、砲台がすでに敵の手に落ちているなんてことあるわけがない!)

旧暗夜軍ランサー女「今は混戦状態で援護ができないだけ、援護できる場所があれば砲台の部隊も動くはず、だから無用な心配はしないでいい」

旧暗夜軍兵士A「は、はい、副隊長。申し訳ありません」

旧暗夜軍ランサー女「それよりも第三波の部隊をに部隊に分けて行動させるわ。上にいるあいつにこっちの動きが筒抜けになってるなら、対処できない攻撃で一気にねじ伏せるだけのこと。あんたたちにそれぞれ指揮を任せるから、左右からそれぞれ奴らの脆そうな場所を強襲しておいて。残りの部隊は私が指揮を執る、それで敵の戦線を崩して終わらせるわ」

旧暗夜軍兵士A「わかりました」タタタッ

旧暗夜軍兵士B「ああ、わかったよ」タタタッ

旧暗夜軍ランサー女(もともとこっちの兵力の方が上なんだから敵全体は包囲できる。敵は第一波の対応に多くの兵力を使って、小出しでこっちの第二波以降に対処しているから、最後の攻撃を突破口にできるこっちに分はある。どんなに向こうがうまく対処しようとしても、最後の最後は兵力差でこっちが勝つのは目に見えているんだからね)

旧暗夜軍ランサー女「ふふっ」

旧暗夜軍ランサー女(そうなればあとは逃げ惑う白夜の王女を殺すだけ、あの小柄な体を切り刻めれば死んだみんなも満足してくれる。そうすればブレイブだって、きっと……)

旧暗夜軍ランサー女(……きっと、安心してくれる……)

  ドドドドドドドッ

旧暗夜軍ランサー女「よし第三波組が動いた。次で最後だよ……白夜の王女」タッ
267 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2021/07/04(日) 12:00:38.43 ID:FPpWZa2R0
今日はこれだけ

 更新滞って申し訳ないです。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 19:37:13.26 ID:uPVPg0T4o
乙 
269 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/08/01(日) 10:55:01.91 ID:e8hxrXd00
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

新生暗夜軍兵士「サクラ様、敵の第三陣は二手に分かれたようです」

サクラ「はい、二か所を同時に攻めるつもりみたいです。こちらも部隊を分けて対処します。防御陣を築いているこちらの方に分はあるから大丈夫なはずです」

新生暗夜軍兵士「わかりました。お前たちは左翼の敵部隊を、お前たちは右翼だ。残りはここに待機せよ」

新生暗夜軍兵士たち『はっ!』

 タタタタタタタッ

新生暗夜軍兵士「左翼の部隊が接敵、続けて右翼にも敵が近づいていますが、この程度ならば持ちこたえられるはずです」

サクラ「はい、後方の敵の動きはどうなっていますか?」

新生暗夜軍兵士「はい、見た限り集団の形成しているものはありません。敵も三度の襲撃で落ちないこちらを見て動くのをためらっているのかもしれません」

サクラ「そうですか……」

サクラ(リンカさんからも敵の動きについて指示はありません。これなら、なんとか――)
270 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/08/01(日) 10:57:20.07 ID:e8hxrXd00
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旧暗夜軍ランサー女「……どう?」

旧暗夜軍兵士「はい、予想通りに敵は部隊を分けて対処するようです」

旧暗夜軍ランサー女「そう。それで、どっちが薄い?」

旧暗夜軍兵士「目測ですが、右です。この距離なら敵が対処に回るより先に到達できるはずです」

旧暗夜軍ランサー女「わかった。それじゃ、右に向かうよう残りの奴らに合図を出して」

旧暗夜軍兵士「はっ!」チャキッ ググッ パシュンッ!

 キィィィンッ‼‼‼‼

旧暗夜軍ランサー女「ここで、一気にたたき崩す、行くよ!」ダッ

旧暗夜軍兵士「はっ、行くぞ!」

旧暗夜軍兵士たち『おーーーーっ!』
 
 ドドドドドドドドッ
271 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/08/27(金) 20:35:52.27 ID:AeJhD3hJ0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

リンカ「なに!?」

リンカ(後方の奴らが動きを変えやがった!)

リンカ「サクラ右だ!!! 奴ら右に向かってるぞ!」

サクラ「え!?」

リンカ「右に残りの敵が雪崩れてやがる。このままだとまずい!」

サクラ「! みなさん、行きましょう!」タッ!

新生暗夜軍兵士「はっ、行くぞ!」

サクラ「はぁ、はぁ!」タタタタッ

サクラ(お願い、間に合って!)

サクラ(あと少し、あと少しで魔道砲台をシャーロッテさんたちが抑えてくれるはず! だから、だから!!!)

 グアアアアアアッ‼‼‼‼

サクラ「!」
272 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/08/27(金) 20:40:25.85 ID:AeJhD3hJ0
旧暗夜軍兵士「これでどうだ!」ブンッ

 ズビシャ‼‼

新生暗夜軍兵士「ぐあああっ」ドササッ

新生暗夜軍兵士「っ、く、くそ!!! 数が多すぎる!!! このままでは――」

 タタタッ

旧暗夜軍ランサー女「邪魔だよ」チャキッ ドスンッ

新生暗夜軍兵士「がっ……」ドサリッ

新生暗夜軍重装兵「軽装のものは下がれ、ここは我々が――」

旧暗夜軍ランサー女「今だ!」

旧暗夜軍兵士「はっ!」チャキッ

新生暗夜軍重装兵「っ! アーマーキラーか!?」グッ

旧暗夜軍兵士「遅い!」ダッ ブンッ

 ガキィィィィィンッ! ズビシャアアアッ

新生暗夜軍重装兵「うぐおおおおっ」フラッ

旧暗夜軍ランサー女「死ね」ドスリッ

新生暗夜軍重装兵「……」ガシャンッ

旧暗夜軍ランサー女「ふふっ、ここは崩した。このまま一気に殲滅するよ!」

旧暗夜軍兵士「おおおおおっ!!!」

 ドドドドッ
273 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/08/27(金) 20:45:49.95 ID:AeJhD3hJ0
サクラ「……っ」

新生暗夜軍兵士「サクラ様」

サクラ「一刻も早く、皆さんの援護に向かいましょう」

新生暗夜軍兵士「はっ。孤立しかけている味方の援護に入れ! どうにかして戦線を立て直すんだ!」タタタタッ

サクラ(まだ戦いは終わっていません。突破されたことよりも、それをどうにかするために動かないと!)

サクラ「よし」タッ

旧暗夜軍ランサー女「はああっ」ブンッ!

サクラ「っ!!!」サッ

 ドスンッ‼‼‼

旧暗夜軍ランサー女「ちっ、外したか。まぁ、あっさり終わるのも味気ないからいいけどさ」グッ チャキッ

サクラ「あなたは……」

旧暗夜軍ランサー女「白夜の王女、あんたは殺せばみんな喜んでくれる。隊のみんなも、ブレイブもね」チャキッ

サクラ「……」

旧暗夜軍ランサー女「二回も見逃したけど、三度目はもうない。そうだね、無様に命乞いでもしたら、ちょっと考え直してあげてもいいけど。どうかな?」

サクラ「……そんなことはしませんし、私はあなたになんて殺されません」チャキッ

旧暗夜軍ランサー女「ははっ、この状況でも怖がらないんだね。見た目と違って強情で、心底むかつくね」ギリッ
274 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/08/27(金) 20:50:28.61 ID:AeJhD3hJ0
サクラ(この人から感じる物。ユキムラさんがカムイ姉様に向けたものと同じもの。きっと、この人も多くのものを失ってしまったのかもしれません)

サクラ(だけど、だとしても私は、そのために命を明け渡すことはできません。多くの人が私に託してくれた思いを無駄にするわけにはいかないから)

旧暗夜軍ランサー女「本当にむかつくよ。これから切り刻まれるのに、震えもしないなんてさ」

サクラ「怯えるわけにはいかないんです」

旧暗夜軍ランサー女「……なに?」

サクラ「この先、私のために命を賭してくれた方々を覚えて生きていくためにも、そしてあなたのその執念にきちんと向き合うためにも。怯えて震えているわけにはいかないんです」

旧暗夜軍ランサー女「……そうかい、なら向き合うついでに死んでよ。そうだけでこっちは満足なんだ。ああ、殺してやるよ、今回は絶対に逃さない」ググッ

サクラ「受けて立ちましょう。白夜王国の人間である私が――」

「あなたのその思いを終わらせてみせます」チャキッ
275 : ◆P2J2qxwRPm2A [saga]:2021/08/27(金) 20:52:05.65 ID:AeJhD3hJ0
 今回はこれだけ
276 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/09/25(土) 13:27:21.20 ID:md9FNWgS0
サクラ「……」

旧暗夜軍ランサー女「……そうかい、終わらせてみせるねぇ。たしかに終わらせられるよ。もちろん――」

 グッ

旧暗夜軍ランサー女「お前が死ぬっていう結果でな!」ダッ

サクラ「!」

旧暗夜軍ランサー女(奴の武器は弓、この距離ならこっちの方が早い!)

旧暗夜軍ランサー女「はあああっ!」ブンッ

サクラ「っ!」サッ

旧暗夜軍ランサー女「逃がすか!」チャキッ ブンッ

 ザシュッ!

サクラ「っ!!!!」タッ
 
旧暗夜軍ランサー女「ほら、どうした白夜の王女、さっきの言葉はどこ行ったんだい?」

サクラ「!」チャキッ

 シュパッ!

旧暗夜軍ランサー女「はっ、その程度!」ブンッ

 カキィンッ!
  カランカランッ

サクラ「はああっ」ググッ

 シュパッ!
  シュパパッ

旧暗夜軍ランサー女「っ」

 キィンカキィンッ

旧暗夜軍ランサー女(次のタイミングで一気に距離を詰めてやる)

サクラ「これで!」チャキッ

旧暗夜軍ランサー女「そこだ!」ダッ!

サクラ「!」パシュッ

 ズビシャッ!

旧暗夜軍ランサー女「っ!」

旧暗夜軍ランサー女(っ、一本もらったけど、この程度なら!)

 ググッ

旧暗夜軍ランサー女(この距離、殺せる)チャキッ ググッ!

旧暗夜軍ランサー女「死ねぇぇぇえええ!」ブンッ‼‼‼‼

サクラ「!」

 ズビシャアアアッ‼‼‼‼


277 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/10/17(日) 10:24:12.68 ID:TqeFzA9b0
サクラ「あああっ!!!!」 フラッ

サクラ(っ、だめここで体勢を崩したら!!!)

旧暗夜軍ランサー女「ふん、しぶといね。だけど――」チャキッ

 ドゴンッ

サクラ「きゃああっ!」ドササッ

旧暗夜軍ランサー女「これで終わりだ」ダッ

旧暗夜軍ランサー女(誰かわからないくらいに、その顔をぐちゃぐちゃにしてやる!)

サクラ(まだ、ここで死ぬわけにはいかないんです。私は見届けないといけない。リョウマ兄様やヒノカ姉様、そしてスズメさん達が繋げてくれた未来を見届けること、それを諦めるわけにはいかない)

 グッ

サクラ(いかないんです!)

旧暗夜軍ランサー女「死ねえええ!」スッ

 ブンッ

サクラ「!」サッ

 ズシャリッ

旧暗夜軍ランサー女「!!!!」

旧暗夜軍ランサー女(こいつ、こっちが顔を狙ってるって読んで――)

 チャキッ

サクラ(この距離、外しません!)ググッ

旧暗夜軍ランサー女「っ、この――」スッ

サクラ「……ごめんなさい」

 パシュンッ!

 ドスッ!
278 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/11/11(木) 19:52:04.76 ID:kb0nTWaU0
◆◆◆◆◆◆

旧暗夜軍ランサー女「ぐっ、あああああああっ!!!!!」ググッ

旧暗夜軍ランサー女(っ、胸が熱い! っ、なんで、なんでだよ、なんでこうなるんだよ!)

旧暗夜軍ランサー女「ぐ、うあああああっ」ブンッ

サクラ「っ!」タッ

旧暗夜軍ランサー女「っ、くそ、くそくそくそ!!!!」

旧暗夜軍ランサー女(どうして殺させてくれない、白夜の人間の一人や二人どうして殺させてくれないんだ。私には、その機会さえも与えてくれないっていうのか?)

旧暗夜軍ランサー女「っ、ううううっ」ググッ

旧暗夜軍ランサー女(大丈夫、まだ立てる。武器だって握れる、まだ、まだやれる……)

 ポタタタッ

旧暗夜軍ランサー女「はあ…、はあ…、っ、この程度でどうにかなると思ってるなら、大間違いだよ」ズズッ ズズッ

サクラ「……」

旧暗夜軍ランサー女(なんだよ、なんでそんな目をするんだよ。なんでそんな、悲しい顔をする? そうか、そうだよな。先の攻撃でこっちを殺すつもりだったからだ。それがこうして動いてるから……敵わない……って……)ズササッ

 ドサリッ

旧暗夜軍ランサー女「……え?」

旧暗夜軍ランサー女(なんでこっちが倒れてるんだ? 目の前に敵がいるのに何で倒れるんだよ。あと少しでみんなの仇も取れて、あいつにもブレイブにだって安心してもらえるのに、なんでこんな……)

旧暗夜軍ランサー女「……ごふっ」ビチャッ
279 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2021/12/05(日) 13:59:29.75 ID:T32zM8N40
旧暗夜軍ランサー女(くそ、こんな矢の一本、この程度で……)

旧暗夜軍ランサー女「こ、こんなもの、ぐううっ……」グッ

旧暗夜軍ランサー女(こんな程度で諦められるわけがない。こんな、こんなもの……)

 ググッ グッ

旧暗夜軍ランサー女「なんで、なんで……抜けないの……」

旧暗夜軍ランサー女(力が入らない、目の前に殺したい奴がいるのに……。なんで、なんで――)

サクラ「ごめんなさい」

旧暗夜軍ランサー女「?」

旧暗夜軍ランサー女(なんだよ、なんで謝るんだよ。謝るくらいなら今すぐ死んでくれてもいいだろ。私が失った分、少しでもいいから……何か……示せるものを、手に入れさせてよ)

旧暗夜軍ランサー女「ブレイブ……が、安心……できる、何か……かはっ……」ビチャチャッ

旧暗夜軍ランサー女(体が寒い、手が震えて矢を握ってられない……。ああ、死ぬんだ、私はここで……何も示せないまま)

旧暗夜軍ランサー女「う、ううううっ……」ポタ……

旧暗夜軍ランサー女(ブレイブ……私、何も得られなかった……。結局、私は救われただけで、何も返せなかった)

旧暗夜軍ランサー女「ご、めん……よ……」

 クタリッ
  カランッ……

旧暗夜軍ランサー女「」
280 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/01/01(土) 12:16:12.59 ID:lkqcOjlS0
サクラ「はぁ……はぁ……、っ」

旧暗夜軍ランサー女「」

サクラ(……)

 バサバサ

リンカ「サクラ!」

サクラ「リンカさん……」

リンカ「くそ、すぐに治療するから一度下がるぞ。誰でもいい援護してくれ!」

新生暗夜王国兵士「はっ、ここは我々に任せてください」

リンカ「ああ、任せた。サクラ歩けるか?」

サクラ「はい、大丈夫です。っ……」

リンカ「すまん、シャーロッテに任されたっていうのに、あたしは肝心な時に……」

サクラ「でもこうして一番に駆けつけてくれたじゃないですか。リンカさんが私のことを助けようとしてくれているのはわかってますから」

リンカ「だが――」

サクラ「ふふっ」

リンカ「な、何で笑うんだ」

サクラ「いいえ、リンカさんは頑固だなーって思って」

リンカ「……サクラも同じくらい頑固だと思うけどな」

サクラ「ふふっ、そうかもしれませんね」

リンカ「急いで駆け付けたっていうのに、まったく」

 ザッ ザッ

リンカ「とりあえずあれだ、無事でよかった」

サクラ「はい、リンカさん」
281 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/01/23(日) 12:28:04.70 ID:NhP3hUch0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東部』―

旧暗夜軍兵A「おい、副隊長はどうした!?」

旧暗夜軍兵B「左翼からの敵陣に入ってから姿を見ていない」

旧暗夜軍兵A「どうするんだ!? このまま押し合いへし合いしてても落とせるわけない!」

旧暗夜軍兵C「くそ、後方の砲台班は何をやってるんだ!? もう敵陣は射程に入ってるのになぜ援護しない!?」

旧暗夜軍兵A「ん、ちょっとまて」

 シュオオオオオオンッ

旧暗夜軍兵A「砲台に動きがあるぞ。敵はさすがにこの逃れるような回避行動はとれないはずだ。魔道砲台の援護射撃に合わせて一気に打ち崩す」

旧暗夜軍兵A(よし、そのまま敵陣をなぎ倒して―――)

 ヒュオオオオオオオオッ ドゴオオオオンッ

旧暗夜軍兵B「はっ?」

旧暗夜軍兵C「馬鹿、目測を誤ってどうるするんだ!? そっちには誰もいないからよかったものの、もしも部隊がいたら――」

旧暗夜軍兵A「………まて、なんだあれは?」

旧暗夜軍兵A(あれは狼煙? 狼煙の合図など聞いていない。あれは一体……)

 シュオオオオオンッ

旧暗夜軍兵C「また発射準備に入ってるが、あの狼煙はなんだ!?」

旧暗夜軍兵B「っ、おい、敵がこちらを圧し始めてるぞ!?」

旧暗夜軍兵A「なに!?」

旧暗夜軍兵C「お、おい。どういうことだ!? 今さっきまで攻勢に出られるような素振りなんてなかったはずだ。砲台のことが見えてないのか?」

旧暗夜軍兵A「……ま、まさか……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・東部』魔道砲台―

ルーナ「威嚇射撃はこれで終わり、次からは直接狙っていいわ」

新生暗夜軍兵A「はっ」

シャーロッテ「これで敵を撤退させればこっちの勝ちね」

ルーナ「ええ、だけどまだ戦いは終わってないから気を抜かないで行くわよ。なにせ、敵本陣はまだ生きてるんだからさ」

シャーロッテ「そうね。でもまずはサクラ様の援護からしないと」

ルーナ「ええ、かなり待たせちゃったからね。まずはサクラ様の救出に向かうわ」

シャーロッテ「わかったわ。数名を防衛に残して。残りはサクラ様を助けに行くわよ」

新生暗夜軍兵たち『はっ!』

 シュオオオオオオッ

新生暗夜軍兵A「準備整いました」

ルーナ「いいわ、始めちゃって!」

新生暗夜軍兵A「了解、砲撃開始します!」シュオンッ

 ゴオオオオオオッ!

ルーナ(東部はこれで抑えられた。あとは敵の心臓部―――)

(中央部の戦いがどう動いていくのか、それ次第ね……)
282 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/02/21(月) 19:56:08.64 ID:7goda/Av0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区』―
 
 パカラパカラッ!

マークス「はああああっ!」チャキッ

 ブンッ

マクベス「ふん、そこです」シュオンッ

 ヒュオオオッ

マークス(この風の流れ、まずい!)

マークス「はああっ!」ググッ‼‼‼

 ヒヒーンッ! ダッ

マクベス「エクスカリバー!!!!!」

 ヒュオオオオオオッ‼‼‼‼

マークス「っ、うおおおおおおっ」

 パカラパカラッ!

マクベス「ふん、逃げ切られましたか。さすがはマークス王子だ」

マークス「……マクベス」

マクベス「ですが、次は避けられますかな?」パラパラパラッ

マークス(っ、マクベスめ、予想以上の攻勢だ。ここまでの力を持っているとはな。だが――)

マークス「避けるか、それは貴様の方だ!」チャキッ シュオンッ

 バシュンッ!

マクベス「!」サッ

 タタタタタッ

マークス「逃がさん!」シュオンッ

 バシュ! バシッ! ヒュオンッ!

マークス(このままジークフリートで追い込めば!)

マクベス「追い込まれるつもりはありませんよ、マークス王子」ググッ

 ダッ‼‼‼

マークス「!?」

マークス(距離を詰めるか、マクベス!)チャキッ ググッ

マクベス「今です!!!」

 ザザッ

旧暗夜軍ソーサラー「いけっ、ここでマークス王子を仕留めろ!」

マークス(敵の援軍!? くっ、これが奴の狙いか)

マクベス(マークス王子、あなたは少し素直すぎます。それはある種人を惹きつけるものかもしれませんが、同時に付け入る隙でもあるのです)

マクベス「さぁ、どう動きます、マークス王子……」シュオンッ
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/21(月) 21:08:20.04 ID:KfenuVEbo
マークスww
284 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/03/20(日) 09:55:30.80 ID:E5c2lRbW0
旧暗夜軍ソーサラー「この機会、絶対に逃すな。この孤立してる今が最大の勝機、マクベス様からの援護もある。行くぞ!」

旧暗夜軍兵士A「うおおおおっ!」タタタタッ

マークス「……」

マークス(マクベスがこうして私の前に現れた時点で、私を孤立させる算段をしていたことを考慮すべきだったな。だが、それが歩みを止める理由になどなりはしない)

マークス「そちらが策を弄するならば、正面からすべて切り捨てるまで。はああああっ!!!」チャキッ

マクベス「ライナロック!」シュオンッ

マークス「!」サッ

 ドゴンッ!

旧暗夜軍兵士A「そこ、もらった!」チャキッ ブンッ!

 ガキィンッ

旧暗夜軍兵士A「っ!」

マークス「狙いはいい、だがその程度で私は倒せんぞ」チャキッ

旧暗夜軍兵士「しまっ――」

マークス「はああっ」ググッ!

旧暗夜軍ソーサラー「させるか。ファイアー!」シュオンッ

マークス「!」キィン ダッ

 ボウッ

旧暗夜軍ソーサラー「未だ、距離を取れ!」

旧暗夜軍兵士A「は、はいっ、すみません」

旧暗夜軍ソーサラー「気にするな、それよりもすぐに仕掛けられるよう息を整えておけ」

マークス「……」

マークス(敵の士気、練度が今までの者たちとは桁違いに高い。……マクベス、これほどまでの者たちを従えているとはな)
285 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/04/17(日) 18:23:17.36 ID:5777HfI00
マークス(いや、この者たちが優れているだけではない。戦う意味、その力量、あらゆるものが異なる者たちをまとめ導く力があるからこそ……)

マークス「……父上はお前を軍師の席に置いていたのだろうな」チャキッ

マークス(……今ここにいるすべての敵は父上が育て上げてきた暗夜王国、その理想なのかもしれん)

マークス「だからこそ、越えねばならん。父上と異なる道を歩む以上」ダッ

旧暗夜軍ソーサラー「ライトニング!」シュオンッ

 バシュンッ! バシュンッ!

マークス(おそらく、奴の攻撃はこちらをキルゾーンに誘い込むためのもの。ならば――)ググッ

旧暗夜軍ソーサラー「今だ!」

旧暗夜軍兵士A「はい、これで!!!」チャキッ

旧暗夜軍兵士A(このまま槍を投擲して足止め、一気に距離を詰めれば!!!)

旧暗夜軍兵士A「くらえ!」ググッ ビュンッ

マークス「そう来るだろうと、思っていたぞ。はああっ!」ググッ
 
 ズササッ ダッ

旧暗夜軍ソーサラー「なに!」

旧暗夜軍ソーサラー(こちらに向かってきた!? 馬鹿な、まだこちらの放ったライトニングは生きているというのに、死ぬ気か!?)

 バチンッ

マークス「っ!!!」グラッ

旧暗夜軍ソーサラー「自棄になったみたいだな、次で終わりだ」シュオンッ

マークス(一発はもらった、だが――)

マークス「この距離はお前だけの攻撃距離ではないぞ」シュオンッ

旧暗夜軍ソーサラ―「ライトニ――」スッ

マークス「ジークフリート!」

 バシュッ! ズビシャ!!!!

旧暗夜軍ソーサラー「がっ、ぐっ、くそぉ……」ドサッ

286 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/05/15(日) 11:26:51.63 ID:EENJIum/0
マークス「はぁ……はぁ……」ポタタタッ

マークス(どうにか凌いだ。だが……)

 タタタタタタッ

旧暗夜軍兵士B「マクベス様!」

旧暗夜軍兵士C「指示をお願いいたします」

マクベス「上出来です。彼らが作ったこのチャンスを逃す手はありません」シュオンッ

旧暗夜軍兵士たち『はい!』

マクベス「あなた方は私の後ろへ、マークス王子の動きは私が止めます。そこを挟撃するのです」

旧暗夜軍兵士B「はっ!」

マクベス「行きますよ」ダッ

 タタタタッ

マクベス(先ほどの我が身を顧みない戦い方には感服いたします。ですが、この状況を覆すにはまだまだ足りませんよ、マークス王子!)

マクベス「ライトニング!」シュオンッ

 バシュンッ! バシュンッ!

マークス「はあっ!」ググッ

 サッ

旧暗夜軍兵士B「そこだ!!!!」チャキッ

 ブンッ

マークス「させん!」チャキッ

 ガキィンッ‼‼‼

旧暗夜軍兵士B「ちっ」サッ

旧暗夜軍兵士C「くらえ!!!」ブンッ

マークス「甘いぞ、はあああっ!」グググッ

 ブンッ ガキィンッ

旧暗夜軍兵士C「うおっ! くそ、届かないか」

マークス「はぁ……はぁ……はぁ……」

マクベス「ここは凌ぎますか、さすがです。ですが……もう長くは持たないようですねぇ、マークス王子」

マークス「……」
287 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/05/15(日) 11:28:53.02 ID:EENJIum/0
今回はこれだけ、更新が鈍足過ぎて申し訳ない。

闇リリスが実装されて、最高でした。
288 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/06/11(土) 10:50:52.53 ID:/LcD5X4D0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
―渓谷入口の村内部『中央西区域・魔道砲台周辺』―

カザハナ「ライブ! はい、これで大丈夫だよね」シュオンッ

カミラ「ええ、ありがとう。西側の魔道砲台周辺は制圧できたみたいね」

アシュラ「ああ、何とかな。ただ、中央にある弓砲台周辺の防護は厚い。ここにたまってる竜騎兵の動きをけん制してやがる」

ニュクス「魔道砲台で援護したいところだけど射程はぎりぎり敵の弓砲台には届かないわ。きちんと計算しているみたい」

カミラ「さすがに抜け目はないということね」

ニュクス「そうね。ん?」

 タタタタタッ

旧暗夜軍兵士「失礼いたします。他戦線の情報が来ました」

カミラ「聞かせて頂戴」

旧暗夜軍兵士「はっ、中央での戦線は現在拮抗、東側魔道砲台の制圧もほぼ完了しているとのことです」

カミラ「そう、順調みたいね」

ニュクス「ええ、あとは中央の弓砲台を抑えることができれば、敵は下がるしかなくなるはずよ。ここは慎重に動いて弓砲台の制圧に向かうのが得策だと思うけれど

カミラ「確かにそうね、だけど……」

アシュラ「ん、どうした?」

カミラ「……中央の戦線は拮抗しているそうね」

旧暗夜軍兵士「は、そのように聞いております。カムイ様にマークス王子がおりますから」

カミラ「でも、同時に敵の狙いが集中する場所でもあるわけね。マクベスが前に出ていたことを士気の高揚を狙ってのことかと思っていたけれど……そういうことね」

 タッ

カミラ「マクベスはこの戦いの狙いを定めているわ。私たちにとっての暗夜王国を導く人を殺すこと、それが今のマクベスたちの狙い。こちらから攻めている状態だから勘違いしていたわ」

ベルカ「カミラ様?」

カミラ「ここの守備は最低限にして、中央の敵を強襲するわ。敵の戦力が中央に纏まりつつある以上、今マクベスはその狙いを遂行するために動いているはずよ」

ニュクス「敵の狙いはマークス王子……ということね」

カミラ「おそらくね。マクベスの狙いはこちらの殲滅でも、ここを守ることでもない。ただ一点――」

「お兄様を討つことよ」
289 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/07/10(日) 12:41:47.85 ID:uOO2z5RW0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―渓谷入口の村内部『中央区域・弓砲台周辺』―

旧暗夜軍アドベンチャラ―「それで状況はどうなってんだ?」

旧暗夜軍兵士「はい、西区域の敵にまだ動きはありません、東区域はだんだんとですが押し込まれつつあります」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「だとしても東のことは東の奴らに任せるしかねえさ。こっちはこっちで、横やりが入らねえよう戦うだけだ」

旧暗夜軍兵士「はい。マクベス様の策、うまく行くといいのですが」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「そのために俺たちがいる。マクベス様の策がうまく行くようにフォローするためにな」チャキッ

旧暗夜軍兵士「アドベンチャラ―殿?」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「至急だ、弓砲台の奴に連絡しろ。西の奴らが動き出しそうだってな」

旧暗夜軍兵士「はっ!」タタタタタタッ

旧暗夜軍アドベンチャラ―「………」

旧暗夜軍アドベンチャラ―(まったく、本当に焼きが回ったっていうのはこういうことを言うんだろうが……)

旧暗夜軍アドベンチャラ―「はぁ、金銀財宝を奪うこと以外にやりがいのあることなんてないって思ってたが、悪くねえもんだな――」

旧暗夜軍アドベンチャラ―(誰かのために、戦うっていうのはさ……)

 チャキッ

旧暗夜軍兵士「弓砲台に伝達完了しました。全員、戦闘準備整っています」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「よし西からくる奴らを迎え撃つ、誰一人もマクベス様の下に行かせるんじゃねえぞ!」

旧暗夜軍兵士たち『おおおおーーーーーーっ!』
290 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/08/07(日) 19:46:52.36 ID:uuRAI2j60
旧暗夜軍アドベンチャラ―「おい、伝令を一人メイドちゃんに出しておけ、こっちの敵が動き出したってな」

旧暗夜軍兵士「了解しました!」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「さてと……」

旧暗夜軍アドベンチャラ―(迂回してくるつもりはないってことは、こっちの狙いがそれなりにわかってるってことか……)

旧暗夜軍アドベンチャラ―「たく、簡単に勝たせてくれねえな……」

旧暗夜軍兵士「敵の竜騎兵隊を確認。こちらに向かって前進してきます」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「よし、弓砲台はまず牽制だ、奴らの隊列を崩せ。残りは当たらなくてもいい、撃ちまくって相手の動きを鈍らせろ。まずはそそれからだ」

旧暗夜軍兵士「はっ!」タタタタッ

旧暗夜軍アドベンチャラ―(奴らの機動性は馬鹿にできねえ。だが、少しでも動きを止められれば勝機はある。マクベス様が敷いた上空の見えない毒霧の所為もあって、あいつらだって好き勝手に動ける状況じゃないはずだからな)

旧暗夜軍兵士「敵先陣、弓砲台射程に入ります!」

旧暗夜ぐアドベンチャラ―「よし、放て!」

 バシュシュッ‼‼‼‼‼
291 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/09/03(土) 10:57:50.98 ID:WrAmG3Cl0
旧暗夜軍兵士「こちらの攻撃に合わせて敵が散会します」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「上々だ、とりあえず無理やり抜けようとする奴がいたら優先的に叩き落してやれ。それと杖が仕える奴は各部隊の後方に付いて敵の妨害、奴らの機動力を奪い取る。だが、あくまでもこっちは迎撃に徹しろ、奴らの誘いに乗って前に出すぎるんじゃないぜ」

旧暗夜軍兵士「はっ!」

旧暗夜軍アドベンチャラ―(頭数は向かってくる敵に仕掛けに行ってどうにかなる数じゃねえ。奴らの誘いには乗らないようにしねえと簡単に突破されちまう)

旧暗夜軍アドベンチャラ―「いいか近くの仲間に意識を配って前に出そうになってる奴がいたら静止させろ。状況はギリギリ、俺たちにとって正念場だからよ」

旧暗夜軍兵士「はい!」

旧暗夜軍兵士アドベンチャラ―「よし、砲台前に展開――」

「行くぞ!」タタタタタッ
292 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/09/30(金) 19:12:21.59 ID:GzISjoTG0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 バサバサッ

新生暗夜軍ドラゴンマスターA「敵部隊、砲台前に展開していきます」

カミラ「こっちの動きはさすがに読んでいるわね。だけど、こちらも退くわけにはいかないわ。ベルカ、ニュクスと一緒に敵をかき乱しなさい。敵に隙が生まれたら一気に畳みかけるわよ」

ベルカ「わかったわ。ニュクス、かなり動きが激しくなるわ、しっかりつかまっていて」

ニュクス「ええ」

アシュラ「俺とツバキも相手の攪乱に徹する。突破は任せるぜ」

カミラ「ええ、お願いするわ」

新生暗夜軍レヴナントナイトA「カミラ様、私が先行します」

カミラ「任せたわ」

新生暗夜軍レヴナントナイトA「はっ! 行くぞ、何としてでも中央部への道を切り開くのだ!」

新生暗夜軍レヴナントナイト部隊『おーーーっ!』

 バサバサササッ!
293 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/10/29(土) 10:42:35.68 ID:WTiTtWIv0
旧暗夜軍兵士「来たか、通れるもんなら通ってみやがれ!」チャキッ パシュッ

ベルカ「ニュクス……」

ニュクス「ええ!」ギュッ

 バサバサバサッ

旧暗夜軍兵士「くそ、ちょこまか動きやがって!」チャキッ パシュ!

ベルカ「ニュクス、今よ」

ニュクス「ええ、攪乱程度ならこれで十分よ。ファイアー!」シュオンッ!

 ゴオオッ! バチンッ!

旧暗夜軍兵士「うぐっ、だがこの程度の攻撃なら!」ギリリッ パシュンッ

ベルカ「……この程度」ブンッ ガキンッ!

ニュクス「はっ」シュオンッ!

 ドゴンッ

旧暗夜軍兵士「ぐっ……この!」チャキッ

ニュクス「敵の意識がこっちに集中し始めたみたい」

ベルカ「……ここからは回避に専念する。さらに動きまわすことになるから気を付けて」

ニュクス「ええ、私は打てる隙があったら打ち込むから、ベルカは好きに動いて」

ベルカ「わかったわ」

ベルカ(ここの敵の意識はこっちに向いてる。これならアシュラたちも距離を詰められるはず。あとは、それが突破の糸口になるまで避け続けるだけ)

 バサバサッ

ベルカ(必ず、カミラ様を中央部に向かわせてみせる!)
294 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/11/28(月) 18:24:10.14 ID:Yj1x6DFi0
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「敵の攻撃がベルカ様たちに集中し始めています。今なら距離を詰めるのも可能かと」

アシュラ「よし、この機を逃さず行くぞ。ツバキ行けるな?」

ツバキ「うん、問題ないよ。援護は任せて」

アシュラ「ああ、任せるぜ。よし、一気に距離を詰めるぞ。相手に選択の余地を与えるな」

新生暗夜軍兵士「はっ!」

 タタタタタッ
295 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2022/12/27(火) 20:11:28.53 ID:lv7iacnO0
旧暗夜軍兵士「敵、地上部隊が動きます」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「きやがったか。弓砲台に標的を変更させろ」

旧暗夜軍兵士「はっ!」

旧暗夜軍アドベンチャラ―(竜騎兵での牽制からの地上部隊での強襲、手慣れた手順だ。だが、こちらもそれくらいは織り込み済みだ)

旧暗夜軍アドベンチャラ―「こっちもわずかなチャンスに賭けてんだ。そう簡単に突破できるなんて思うんじゃねえぞ」

旧暗夜軍アドベンチャラ―「弓部隊構え、次の次の攻撃を接近する敵地上部隊に切り替えろ。奴らの距離が迫った瞬間に一気に畳みかけるぞ」

旧暗夜軍兵士「はっ!」
296 : ◆P2J2qxwRPm2A [sage saga]:2023/01/24(火) 21:05:10.83 ID:vJvbWigm0
新生暗夜軍兵士「敵、弓部隊展開!」

アシュラ「展開してきやがったか。みたところ狙いは竜騎兵、一気にこのまま距離を詰めるぞ」

ツバキ「なるほどねー。だけど、少し注意した方がいいかな」

アシュラ「注意?」

ツバキ「うん、先までよく動いてた弓砲台、静かになったみたいだからね……。こっちの動きに合わせてるようにしか見えないからねー」

アシュラ「……なるほどな、ならそれも織り込んで進むまでだ。ツバキ、お前に頼みがある」

ツバキ「ん、なにかなー?」

アシュラ「何、簡単なことさ。ちょっとだけ間をあけてくれ」

ツバキ「……結構危ないと思うけど、本当にやるのかい?」

アシュラ「このくらい渡れないでどうする。相手の策は少し読めてんだ、あとはその裏を掛ければめっけもんさ」

ツバキ「はは、ぶっきらぼうな考えだねー。あんまりそういうのは好きじゃないんだけど」

ツバキ「ここは乗る以外に手はなさそうだねー」チャキッ
370.73 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)