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タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7

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327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/29(木) 22:36:49.57 ID:aL0UdRTX0
>>156「最果ての村」

 TOKYO、という文字列が、いまだに頭にこびりついている。もう、そんなところはとっくに捨てたはずだ。しかし、なぜ離れていかないのだろう。

 そんなことを考えているくらいだから、彼は都会から抜け出してどこかの辺境へ旅立っているのだった。だが若くて凡庸な彼には金がない。飛行機や船を使うことはできないので、電車やバス、貸自転車、あるいは徒歩などを駆使して国内を放蕩しているのだった。

 だいぶ遠くまで来た。地名を示す看板ももはや見かけることはなく、森閑とした畑に広漠な雑木林に包まれひび割れたアスファルトがかろうじて道路の体裁を保っていた。
 ……ここはどこだ……朽ちていく風景に襲われ、不安な気持ちで立ち竦んでいた。西の角には草が絡み泥と錆が定着したトラクターが、穴だらけの幌屋根の下に置き去りである。小屋はその2、30メートル先にあるがそれもまたボロボロで、とても誰かいそうになかった。目が潤み始めた。歩き続けて疲れていた。座ることもほとんどできていなかった。

 
 礫が取り囲む寂寥な駅にたどり着いて、興味本位で降りて散歩していたら、彼はそこに着いてしまったのだった。彼は都会に嫌気がさして出てきたが、東京で生まれ東京で育ちかつ東京一円から出たことのない彼にとって、日本のほとんどは異邦だったのだ。ましてこの辺境である、何をかいわんや……。

 
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