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タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part7

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668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/07(土) 13:07:10.85 ID:EPTL/myQO
>>659
タイトル「死亡フラグ保険」

「呪いの言葉」
そんな名前を日常会話で耳にするようになって久しい。
口にすると必ず命を失う言葉というのがあるようで、「死亡フラグ」とも言われている。

唐突になぜそんな話しをするかといえば、しばらく疎遠にしていた友人、いや、友人の友人というほぼ他人が胡散臭い話を持ちかけてきたからだ。

「死亡フラグ保険?」

「ああ、この度我が社が社運を賭けて発売開始した画期的な保険なんだ」

いやギャンブルに興じる保険会社ってどうよ。

「呪いの言葉なんてものが出回っている時代じゃない? 恐ろしいよね? だっていつ自分が口にしてしまうか解らないんだから。だからこそ、この保険を八田君にお勧めしたいんだよ」

日常生活で『おれ、この戦いが終わったら彼女と結婚するんだ』なんて口にするだろうか?
俺は軍人ではないしこの国は徴兵制でもない。
それに俺には彼女がいない。

「まあ……、内容は解ったけど、今すぐ必要なものでもなさそうだし……な」

「いやいや、いざというときに備えるのが保険だよ? いざは今じゃないかもしれない。でも明日かもしれない」

「起こりうる確率の問題なんだよ」

「あ、『私の計算では99.9%大丈夫だ』メガネクイッ とか言っちゃう系?
そういうときの残り0.1%が実質的に100%になるんだわ」

「そんな大言壮語を吐かないだろ普通は」

「でもさ、戦いで自分が負傷したときとかに『いいから先に行け、ここは俺に任せろ。あとで合流する』とか言うこともあるだろ? そういうときはもう二度と合流できなくなるぞ」

お前と二度と合流しなくても俺の人生になんの問題もないけどな。
いや、突っ込みどころが違うか。

「だから戦うシチュエーションじゃないだろうが。そんな有り得ない状況に保険を掛ける余裕はないんだよ。帰ってくれ」

「はぁ、解ったよ。ま、気が向いたらここに連絡をくれよ」

友人の友人は俺に名刺を差し出しながら席を立ち上がろうとする。
俺も帰ろう。
こんな腐ったタマネギみたいな臭いがする薄暗い喫茶店に長居したくもない。

が、友人の友人の様子がおかしい。
カバンを漁ったりポケットを漁ったりしてなかなか立ち上がらない。

「どうした?」

「財布が見あたらなくて……いや、契約を取れなかった腹いせにコーヒー代を奢ってもらおうとかじゃないんだよ、ホントに」

バカバカしい。
実にバカバカしい。

「ああもう支払いは俺がやっとくからいいよ。いいから先に行け、ここは俺に任せろ」

その瞬間、大きな轟音ともに俺の体は吹き飛んだ。
爆発か?
くっ、腐ったタマネギの臭いはガス漏れだったというのか……?


遠退く意識の中で友人の友人の声が聞こえる。

「今ここで君が死亡フラグ保険を契約してくれたら、俺が君の名前を呼びかけてやるよ。どうする?」

くそ、この期に及んでこいつはなんと言うことを……
俺の名前は八田(やった)。
『八田か?』と問いかけられれば俺は絶対に死なない。
それは生存フラグだから。

ーおわりー
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