男「僕の生徒は亜人だらけ」ミレイア「ろっ、六回目だからって嬉しくないんだからっ」

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69 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/02/26(水) 20:17:36.72 ID:fIoxpg6O0
ヤツカ「ではこちらに署名を」

男「はい」カキカキ

ヤツカ「………はい、ありがとうございます。ではヒヅキさんの捜索を開始します」

少年「本当に俺なんですか」

ヤツカ「マユさんの協力もありますし、セルリアもいます。大丈夫ですよ」

男「無理そうなら、別にいいのですが」

ヤツカ「生徒会に無理の二文字はありません」

男(結構大変そうだな…)

ヤツカ「一週間ほどあれば発見できますよ。安心して授業なさってください」

男「わかりました。ありがとうございます」
70 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/02/26(水) 20:24:44.88 ID:fIoxpg6O0
〜31週 日曜日〜

男(生徒会に任せてみたけれど、ヒヅキさん大丈夫かな)

男(目も腕もない僕になにもできることはないだろうけど)

男「………さて、今日は」

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>71
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 20:25:46.52 ID:eyBk4WFE0
2ルーティ
72 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/02/26(水) 20:52:49.75 ID:fIoxpg6O0
男「昨日はありがとう。ルーティさん」

ルーティ「そんな。私は先生の助けになれただけで十分です」

男「いつもルーティさんにはお世話になっているけど」

男「なにか恩返しはできないかな」

ルーティ「え、恩返しですか。そんな恩返しだなんて」

男「ないなら「ありますっ」おぉ、食い気味に来たね」

ルーティ「その先生さえよければなんですけど」

ルーティ「えっと、その私、行ってみたいところがあって。でも怖くて」

ルーティ「先生が背中を押してくれたら、私も頑張れるかなって」

男「行ってみたいところ? どこだって連れて行ってあげるよ」

ルーティ「だったら、行きましょう」

ルーティ「アイドル部へ!」
73 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/02/26(水) 21:08:08.07 ID:fIoxpg6O0
〜アイドル部〜

ルーティ「ここがアイドル部です」

男「中から歌声が聞こえてくるね」

ルーティ「私は歌えないですけど、歌を聴くのは好きなんです」

ルーティ「それに、アイドルも」

「うわわ〜 遅刻だよぉ!」ドンッ

男「わぁっ」ドテッ

「いった〜い。って私だれかにぶつかっちゃったぁ!?」

ルーティ「先生!?」

ルーティ「って」

「ごめんなさいっ。えっと、あぁっ手がない!」

男「あ、ごめん、僕の手は」

「あったあった! 腕を落とすなんてアイドルとして失態だよぉ♪」

男「………僕見えないからわかんないけど、何が起きてるの」

ルーティ「………さんです」

男「え?」

ルーティ「ホッピングハートさんです」

「私を知ってるの? ときめくハートのリズムで踊れ! ホッピングハートだよ!」ピョンッ

男「あ、アイホワイトさんっ!? ライブ見に行ったよね!?」

ルーティ「そのアイホワイトさんですっ!」

アイ「いえーい!」
74 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/02/26(水) 21:20:06.20 ID:fIoxpg6O0
アイ「もしかして新入部員かな?」

ルーティ「い、いえ、その私は、ただアイドルが好きで」

アイ「新入部員なら一緒に行こ! 今日はライブバトルがあるから!」グイッ

ルーティ「アイホワイトさんに手をつながれてる」ドキドキ

アイ「レッツゴー」

男「おいていかないでっ! どこ!? どこいったの!?」

「大丈夫ですか」

男「あ、どうも」

「アイホワイトが迷惑をかけて申し訳ございません」

男「いえ、こちらも入り口で突っ立っていたので」

「………失礼でなければお聞きしたいのですが。もしかして目が見えないのでしょうか」

男「あぁ、はい。なので今ルーティさんと一緒に来ていたのですが」

「ではご迷惑でなければライブバトルをお聞きなされてはいかがでしょうか」

「関係者席を提供しますので」

男「いいんですか?」

「はい」

男「ところで、あなたは」

「申し遅れました。種族はキョンシー。名はユーシェン、姓はファン」

「マオシェン・ファン。アイホワイトのマネージャーをしております」
75 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/02/26(水) 21:20:31.85 ID:fIoxpg6O0
今日はここまで

おやすみなさい
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 21:25:44.31 ID:eyBk4WFE0
乙です
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 21:35:20.16 ID:igGstQtdo
乙乙アイドル部も一大勢力なんかな
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 22:06:23.86 ID:nvIAJSwf0
79 :亜人好き ◆HQmKQahCZs :2020/02/26(水) 22:09:07.37 ID:fIoxpg6Oo
質問等募集しておりますので、何かあったらご自由にどうぞ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 22:22:04.91 ID:nvIAJSwf0
もう特定ヒロインのルートに入ってる?
81 :亜人好き ◆HQmKQahCZs :2020/02/26(水) 22:37:49.93 ID:fIoxpg6Oo
あるキャラはあと一回でルート入ります
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/02(月) 03:09:21.01 ID:2ouX4dT70
今の話と関係無いのですが風紀委員に関する質問です。
少年「俺のクラスは亜人だらけ」で言っていたことだけどヒョウカが1課、クロが2課、ナタリーが4課、少年が5課になっていたけど他の風紀委員所属のキャラは何課になりますか?

※一応他の風紀委員所属のキャラをまとめてみました(キャラ紹介で何課って書いてあったキャラは名前の横に「〇課」でいれてます)
カルラ、ワルフ、ビクト、ティファ、パトリシア(3課)、ベルデ(2課)
83 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 17:33:48.87 ID:rGjnhKth0
男「アイドル部の現トップ」

ユー「えぇ。私の妹はそう呼ばれています」

男「目が見えないのが残念だ。こんなに近くでみることはないのに」

男「あれだけ大規模の部活に教職権限は通用しないし、一介の教師風情じゃ、チケットを取ることすら困難」

男「それをまさか舞台袖で聞くことになるとは」

ユー「アイホワイトがルーティ様を連れていってしまったので」

ユー「それだけではなく、まさか―――舞台にまで引っ張り上げてしまうとは。我が妹ながら」

男「……まって、今ルーティさんはどこにいる?」

ユー「舞台上でアイホワイトと一緒に踊っています。初舞台にしては随分と肝の据わった方だ」

男「駄目だ!」

ユー「もう止められません。幕が上がればそこは聖域。干渉することなんて」

男「ルーティさんに、ルーティさんに歌わせてはいけない」

男(あのルーティさんが舞台に上がってしまうほど浮かれている。それに押しが弱いルーティさんと押しが強いアイホワイトさん)

男「舞台がめちゃくちゃになるぞ!」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 17:36:25.59 ID:8m1RQR5no
来たか
85 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 17:39:49.81 ID:rGjnhKth0
マオ「ほらほら〜。いいから歌ってよっ!。今日の幸運なゲストの歌声、皆も聞きたいって思うよね!?」

ワァー ワァー

ルーティ「えっと、あの、その、それじゃあ。ラ〜♪」

ドクンッ

男(まだ一節、なのにこれだけ)

ユー「うっ、こ、これは一体」

マオ「おぉ〜。歌声が綺麗! ねぇ! みんなもそう思う、よ、ね?」

ザワザワ

男「マイクを切って! 今すぐに!!」

ユー「マイクを切ってくださいっ」

「は、はいっ。わかりましたっ」

プツン

ルーティ「あ、あはは、やっぱりだめ、なんですね」

マオ「どうしたのルーティちゃん。それにみんな」

マオ「元気出していこーっ!」

バタンッ

バタンッ バタンッ

マオ「なに、なにこれっ」

ルーティ「ごめんなさい、ごめんなさいっ」
86 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:01:20.34 ID:rGjnhKth0
男(ステージの熱狂で盛り上がっていたところを、ルーティさんの歌でさらに無理やり引き上げられた)

男(その結果失神者が十数名。一節でこれなのだからマイクが止まってなければもっと被害者がでただろう)

ルーティ「ごめんなさいっ。ごめんなさいっ」

マオ「んーん。今回のは私の責任だよ。無理やり連れまわして無理やり歌わせた」

マオ「だから君はなんにも悪くないんだよん。ほらスマイルスマーイル」

ルーティ「でも私、わかってたのに。アイホワイトさんの舞台を台無しにしちゃって」

マオ「大丈夫、また歌えるから。今日がダメでも、明日も明後日も私は歌えるから」

ユー「………アイホワイト」

マオ「グァグァ」

マオ「今日の参加者をリストアップして。臨時ライブを行うから」

ユー「今日みたいな大きな箱は、取れない」

マオ「なんだっていいよ。教室でも、中庭でも、どこだって」

マオ「どうしてもだめな人には個別で歌いに行ってあげる」

ルーティ「そんなことしたら、大変なことに」

ユー「弾丸ライブ、突発ライブ、上等じゃん」

ユー「翻天覆地。いつだって私たちはそうしてきた。でしょ?」
87 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:07:52.22 ID:rGjnhKth0
ユー「マオ。厳しいスケジュールになる」

マオ「オッケーオッケー♪ 原点回帰だよっ」

ルーティ「アイホワイトさんっ。私、なんて謝ればいいか」

マオ「謝らなくていいよ。君の歌声は透き通ってて綺麗だった」

マオ「だから、自分の歌を嫌いにならないで。ね♪」ナデナデ

ボキッ

マオ「あっー! また腕が外れたぁっ!!」

ルーティ「ひっ」

マオ「大丈夫! アクシデント上等だからっ! それに私のリズムは死んでも止まらないよ!」

マオ「だからルーティちゃんっ。もし歌と向き合うつもりだったらアイドル部に来てよっ!」

マオ「今度は君のリズムで私を躍らせて!!」
88 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:17:06.78 ID:rGjnhKth0
〜32週〜

男「さすがに僕からはなにもいえないな」

ベール「でしょうね。いくら目と腕がないからって不用心すぎよ」

ベール「何も言えないじゃなくて、何も言う資格がない」

男「はは、手厳しいな」ズーン

ベール「あっ。別に、あんたは………5割くらいしか悪くない、し」

男「ルーティさんの声についての研究は進んでる?」

ベール「今それどころじゃないのよ。いろいろとね」

ベール「あんたとルーティが直々に来てくれるっていうんなら実験できるけど」

男「そっか」

ベール「そういえばそんな成りでまだ授業とか教えてるの?」

男「僕にはこれしかできないから。みんなの足を引っ張ってるかもしれないけど」

ベール「別にあんたにはほかにできることがあるわよ」

男「ある、のかな」

ベール「私を手伝うとか」

男「足手まといになるだけだよ」

ベール「………あっそ」

ベール「じゃあ好きにしなさい。べ、別にあんたが頼むっていうなら授業を手伝うことも、やぶさかではモニョモニョ」

男「ありがとうベールさん。それじゃあ失礼するね」

ベール「………………あーもっ!!」
89 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:18:33.75 ID:rGjnhKth0
男「ヒヅキさんがいないのか………」

男「それじゃあ今週は」

亜人【ベルスタシア・ジェラルド・サレム・ルーティ・プライヤ・ロウェナ・ミレイア・リリから一人】

教科【文系・理系・魔術・魔導・運動から一教科】

>>90
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 18:28:19.48 ID:8m1RQR5no
ミレイア魔導
91 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:43:32.12 ID:rGjnhKth0
ベルスタシア 【文系 447】

ジェラルド【魔導 280】

サレム【文系 527】

ルーティ【文系 389】

プライヤ【魔導 1153】

ロウェナ【運動 227】

ミレイア【魔導 377】

リリ【魔術 548】
92 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:58:21.10 ID:rGjnhKth0
〜32週 土曜日〜

男「まだヒヅキさんは見つからず、か」

ロウェナ「大変だにー」

男「うわっ。ロウェナさん!?」

ロウェナ「うへへ、神出鬼没の癖が幽霊のころから抜けなくて」

ロウェナ「落ち込んでたら見えるものも見えなくなるよ、ボーイ」

男「………正直何が正しいのかわかんなくなってきて。こんな体になって、まだ僕にできることがあるんだろうかって」

男「誰も助けれない、救えない、こんな体で」

ロウェナ「君は、君はいつだってお姉さんを救ってくれたよ。独りぼっちの嫌われ者を」

ロウェナ「受け入れてくれたじゃない。数百年生きてて、ナーグル達以来だったんだよ。ずっとずっと寂しかった私の心をあっためてくれたのはほかでもない君なんだよ」

ロウェナ「力が強いとか魔術が得意とか。そんな人はいっぱいいるのに、私に恋を教えてくれたのは君だけ」

ロウェナ「胸を張って。君は数千万人のうち、たった一人の。ロウェナが惚れた相手なんだから」

男「………ありがとうございます。ロウェナさん」

ロウェナ「どーいたしまして」
93 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 18:59:28.96 ID:rGjnhKth0
男(僕にも、きっとできることがある)

男(そうだ、絶対に)

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>94
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 19:02:17.44 ID:68P5VD94O
2ロウェナ
95 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 19:30:06.55 ID:rGjnhKth0
男「そういえばロウェナさん」

ロウェナ「なぁに?」

男「ロウェナさんが人間になった理由。まだ判明してないんですよね」

ロウェナ「そうだけど。でもそれってそんな大事なことじゃないなって」

男「自分の体のことですよ? なにかあったら」

ロウェナ「そう、自分の体のことだよ」トンッ

男「うわっ」ドサッ

ロウェナ「自分の体のこと、自分の体のこと」

ロウェナ「なんで君は自分の体のことをもっと気遣わないの? 多分、いろいろ危ないことやってるんでしょ」

ロウェナ「目も、腕も、なんで」

男「―――僕にできることがあるならやります。だって僕は」

ロウェナ「弱い! 雑魚の! ふにゃちんの男の子じゃんかっ」

ロウェナ「死んだらどうするの!」

男「………それでも、守りたいものがあるんです」

ロウェナ「君じゃなくて、いいじゃんか。もっと強い人で」

男「でも、僕ができるなら、僕がやりたい」

ロウェナ「なんで、バカ、バカバカ、バカっ。君のことを守りたい人だっているんだよっ」

ロウェナ「ここにっ」
96 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 19:40:13.61 ID:rGjnhKth0
ロウェナ「好きなんだよ。君のことが」

ロウェナ「人間になってやっと君と同じ目線に立てた。なのに君は私を見てくれない。いつもどこかを見て」

ロウェナ「傷ついて帰ってくる。ヒヅキちゃんもみんな、なんで逃げないの」

ロウェナ「死んじゃうんだよ。死ななくても、いっぱい失っちゃうのに。なんで逃げないの」

ロウェナ「みんなは幽霊になんてなれやしないんだからっ」

男「僕ができるなら僕がやります。僕以外に適した人は何人もいるのかもしれません」

男「でも、その人と変わったからと言って僕は他の誰かを助けに行くだけです」

ロウェナ「………馬鹿だなぁ。君は本当に」

ロウェナ「女の子が我儘を言ってるんだよ。わかってるよ君のことなんて。ずっと見てきたんだから」

ロウェナ「君は本当のバカで、ただの人間なのにクソ真面目で。それでも能力が足りなくて困ってて」

ロウェナ「でも助けての声ひとつあげず、無理を押し通す、本当にバカな男の子」

男「ロウェナさんには、本当迷惑をかけて」

ロウェナ「でもそれでも私は我儘を言うから。黙らせたいなら、私の唇を塞いで」

ロウェナ「その気がないなら、私はこの唇であなたをつなぎとめて見せるから」
97 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 19:43:58.25 ID:rGjnhKth0
スッ

男「ろ、ロウェナさん」

ロウェナ「勝負だよ。先生」

ロウェナ「男と女の勝負なんだよ」

男「まって誤解じゃなければ今君は僕にキスをしようとしてないかい?」

ロウェナ「んー♪」

男「拒否しろって言っても腕も、目も、何も」

ロウェナ「んんーっ♪」

ロウェナ「ちゅー♪」

男「ロウェナさ―――」

ロウェナ「きゃっ」スカッ

男「あれ、眩しい。それに体がなんかすごい軽い」

ロウェナ「………ね、ねぇ」

男「一体僕に何が起きてるんですかっ?」

ロウェナ「…君、もしかして」

ロウェナ「死んじゃったの?」
98 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 19:55:44.28 ID:rGjnhKth0
ロウェナの好感度【89】

ロウェナへの好感度【40】
99 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 20:04:45.13 ID:rGjnhKth0
〜32週 日曜日〜

男(目が見えるようになった。腕もある。触れないけれど)

男(なぜか僕は幽霊になってしまっていた)

男「いったいこれはどういうことなんだろう」

男「目が見えるようになったけれど、寝れない、食べれない、触れない。ずっとロウェナさんはこんな感覚を味わっていたのか」

男「正直辛い。でもこうなった今、人間だったころの僕にできないこともあるんじゃないだろうか」

男「もしそうなら、この姿は好都合かもしれない」

ロウェナ「だから自分のこともっと気にしてよ!」スカッ

ロウェナ「んもぉっ!」

男「ごめんねロウェナさん。心配かけて」

ロウェナ「だって心配するよ。だってそうなったの多分私のせいだもん。おかしいもん。私が人間になって、君が幽霊になるって」

ロウェナ「入れ替わりとしか思えない」

男「でもロウェナさんが悪いわけじゃないよ」

ロウェナ「わかんないけど…でも、ごめんなさいって、謝りたいよ」

男「………」

ロウェナ「自己犠牲が過ぎるよ。君ってば」
100 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 20:05:24.16 ID:rGjnhKth0
男(この姿になったのが良いことか悪いことかは今はわからない)

男(でも)

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>102
101 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/01(水) 20:05:51.09 ID:rGjnhKth0
今日はここまで

おやすみなさい
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 20:06:13.14 ID:AdZkqhWu0
3ルーティとベールの所に行く
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 20:07:15.52 ID:AdZkqhWu0
乙でした
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 20:07:44.04 ID:68P5VD94O

おかえり
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 20:09:33.66 ID:FMtq+Io60
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/01(水) 20:44:07.00 ID:Yh9ZxZyZo
乙乙
男どんどん人間じゃなくなってくるの
107 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/03(金) 18:58:06.35 ID:6HK8TXc/0
男「ルーティさんを連れてきましたよー」フヨフヨ

ルーティ「先生が大変なんですっ」

ベール「………」ポカーン

ベール「………」メガネハズシ

ベール「………」メゴシゴシ

ベール「………」メガネスチャ

ベール「………」ジーッ

ベール「………ふぅ」

ベール「………はぁ?」
108 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/03(金) 19:07:19.19 ID:6HK8TXc/0
ベール「まって、ちょっと待ってちょうだい」

ベール「なんで幽霊になってるの」

男「なんででしょうね」

ルーティ「だだだ、大丈夫なんでしょうか!」

ベール「さすがの私もこんなことは見たことも聞いたこともないわ」

ベール「生者が段階すっ飛ばしてそのまま死者になるだなんてこと」

ベール「コンタミもない完璧な状態の幽霊なんてそもそも幽霊として定義できるのか、そんな学術的な議論は置いといて」

ベール「………とりあえず、あんたってバカ?」
109 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/03(金) 19:32:10.55 ID:6HK8TXc/0
男「って言われても、なんでこうなったかわからないし」

ベール「心当たりは………なんてロウェナ以外にあり得ないじゃない」

男「でもロウェナさんもわからないって」

ベール「幽霊ってそういうもんなのよ。詳しく解明されてないからなんとも言えないけど」

ベール「悪意があろうがなかろうが存在自体が毒なら害であることは自明の理」

ルーティ「ベールクレアさんでも、やっぱり先生を助けることは」

ベール「私だけじゃ無理。それこそ学内の四賢人を集めても解明にどれだけ時間がかかるか」

ベール「それにおそらく世界で最初の症例。研究の価値はあるけど、固有現象であればすべてを解明する必要なんてない」

ベール「感染はしない。それで終わり。あとは興味の範疇で調べるくらい」

ルーティ「そんな。じゃあ先生は………」

ベール「助けることはできない」

ベール「私たちは人類の中でもトップクラスの知能を持ってしまったの。申し訳ないけど私の能力はすでに私の腕を離れてしまったわ」

ベール「人類の幸福のため。そんな共産的思想の元でしか私たちは活躍を許されない。それが天才の宿命だから」

男「ベールさんは立派だね。自分の力をどう扱うかまでしっかり覚悟を決めてる」

ベール「何が立派なのよ。100万人を救うためには1人を犠牲にするのが正義であるなんて狂った世界に身を置いてるのよ」

ベール「今ですらすべて計算にかけてあんたを切り捨てるのが最善なんて結論をはじき出したわ」

男「僕だってそうでありたい。ベールさんのようでありたいって思うよ。ただ犠牲者は僕一人だけでいい」

ベール「それを妥協出来たら精神的超人の領域よ。あんたは自分を社会に溶かし込もうとしてるの?」

ルーティ「ル! ルーティさんは、わ、私を助けようとしてくれた」

ベール「ルーティ。あなたの声は研究価値があるわ」

ルーティ「っ!」ビクッ

ベール「だから研究してるだけ、それ以上でもそれ以下でもない」

ベール「利益が見込めなきゃ研究なんて金がかかることできないわ。あなたの場合、その声にスポンサーがついてくれると思ったから」

ベール「私、優しい人じゃ、ないのよ」
110 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/03(金) 19:58:57.76 ID:6HK8TXc/0
ルーティ「利益が、利益がでれば。お金が保証できれば先生の研究は進むんですか?」

ベール「そうね」

男「でも、僕よりルーティさんのほうが」

ルーティ「お金があればいいんですねっ」バンッ

ベール「四賢人をすべて引き抜いてだなんて、どれだけのお金と権力がいると思う?」

ベール「理論上可能ってことはね、不可能と同義語なのよ」

ルーティ「お金も、権力も………っ!」

ルーティ「ありますっ! 私なら!」

ベール「………ふーん」

男「ルーティさん!?」

ルーティ「利用できるものは利用する。それが私の宿命なんだと思います。結局私に綺麗な血なんて流れてなかった」

ルーティ「だから私は世界を敵に回してでも、100万人を不幸にしてでも1人を助けたいと思います」

ルーティ「それが、私の恋の、戦争です!」

ルーティ「だから、失礼します!!」

男「まってルーティさん、それはぜったいだ―――」

バタンッ

ベール「私も素直になれたら、あれだけ眩しかったら」

ベール「恋をすることができたのかしら」

ベール「金も、権力も、私ならあるのに」
111 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/03(金) 20:00:17.11 ID:6HK8TXc/0
ルーティの好感度【74】

ルーティへの好感度【30】
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/06(月) 06:45:05.24 ID:S5z7Y0Fz0
乙乙
113 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:09:23.56 ID:FZLWU9uK0
〜33週〜

メイド「ご主人様」

男「どうしたの?」

メイド「ルーティ様とエグゾセ様が朝早くに出ていかれました」

男「学校でなにかあるのかな」

メイド「学生服は着てませんでした」

男「………?」

メイド「あと大きめのカバンを持ってました」

男「旅?」
114 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:12:20.61 ID:FZLWU9uK0
男(ルーティさんがいないなぁ)スゥ

ミレイア「うわっ、幽霊!?」

男「いろいろあって…」

サレム「病院に行かれたほうがいいのでは」

プライヤ「いや、葬儀場だと思うぞぉ」

男「まぁ、僕が幽霊になったことはどうでもいいから勉強始めるよ」

ミレイア「いや、よくないでしょ………」

亜人【ベルスタシア・ジェラルド・サレム・プライヤ・ロウェナ・ミレイア・リリから一人】

教科【文系・理系・魔術・魔導・運動から一教科】

>>115
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/10(金) 19:16:35.93 ID:cbSGHs5Do
リリ理系
116 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:20:48.50 ID:FZLWU9uK0
ベルスタシア 【魔導 398】

ジェラルド【運動 368】

サレム【理系 537】

プライヤ【魔導 1168】

ロウェナ【文系 375】

ミレイア【理系 376】

リリ【理系 169】
117 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:23:03.09 ID:FZLWU9uK0
〜33週 土曜日〜

コンコン

メイド「はい」

少年「よぉ。俺だ」

メイド「少年、様」

少年「様はつけないでくれって。あの先生いるか?」

メイド「はい。どうぞ中でおかけになってください」

少年「失礼するぜ」
118 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:30:17.12 ID:FZLWU9uK0
少年「ヒヅキさんの居場所を見つけてきました」

男「もう? 早いね」

少年「いろいろと伝手があるので」

少年「今は東国の中にある霊山にいるそうですよ」

男「東の国!?」

少年「歩いて行ったそうで、痕跡を追うのに苦労しましたよ」

男「歩いて………。さすが鬼だね」

少年「地図はお渡ししておきます。それでは」

男「ありがとう。少年君」

少年「いえ。ではまた依頼をお待ちしてます」

少年「我ら生徒会は相互扶助の名のもとに」
119 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:31:14.38 ID:FZLWU9uK0
男(東国か。さすがに電車で行っても数日はかかるなぁ)

男(さて、どうしようか)

1.誰かに勉強を教える

2.誰かに会いに行く

3.自由選択

>>120
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/10(金) 19:31:46.80 ID:Yzs+XSN5O
3ヒヅキの元へ
121 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 19:39:59.47 ID:FZLWU9uK0
男「メイドちゃん。ちょっと東国に行ってくるよ」

メイド「! はい。では留守の間はお任せください」

男「多分一週間くらいかかるから」

メイド「わかりました。その間の来客はいかがしましょうか」

男「出なくていいよ。もしルーティさんたちが戻ってきたらよろしく」

メイド「承知いたしました」
122 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 20:02:09.20 ID:FZLWU9uK0
〜32週 土曜日〜

リーゼ「………なんの冗談だ」

ルーティ「冗談、とは?」

リーゼ「総番長になる? いきなり何を言い出すかと思えば」

リーゼ「イメージチェンジのつもりか? 服装まで変えて」

ルーティ「これはアイドルの服装なので」

リーゼ「………」

リーゼ「正気か?」

エグゾセ「次代ボスに失礼だぞ、リーゼ・オルカ」

リーゼ「………次代はお前ではないのか」

エグゾセ「先週、親父に掛け合ってな」

リーゼ「待て、聞いてない」

エグゾセ「来週には通達されるだろう」

リーゼ「おい、待て。俺だって継承者だ」

ルーティ「順列1位と2位がそろって決めたことになにか不服が?」

リーゼ「あるに決まってるだろ! 今まで逃げてきて」

ルーティ「ユークリッド」

ユーク「はい」スチャッ

リーゼ「……裏切るのか。ユークリッド」

ユーク「裏切るも何も。オルカの名を襲名したときからこの命は海洋マフィアのためにあります」

リーゼ「………納得がいかん」

ルーティ「………納得がいかないのならばわからせてあげましょう」

ルーティ「ユークリッド、リーゼの腕を押さえなさい」

ユーク「はい」ガシッ

リーゼ「ぐっ、お、おい、やめろっ、離せユークリッド!」

ルーティ「お父様は1時間で堕ちましたが、あなたはどれくらい耐えますか?」

123 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 23:00:22.70 ID:FZLWU9uK0
リーゼ「はぁ、はぁ、はぁ、わかった。ルーティ、様に、従う」

エグゾセ「40分か。思ったより耐えたな」

リーゼ「それで、俺は何をすればいい」

ルーティ「やってほしいことは二つ」

ルーティ「私は女性には無力ですので、身辺警護を」

ルーティ「それともう一つは………マネージャー部に入ってもらえませんか?」

リーゼ「………マネージャー、だと?」

ルーティ「私たちはアイドルとして、この学園に君臨します」

ルーティ「まずは手始めに三歌人のライブに乱入して、軒並みファンを奪い取ります」

ルーティ「アイホワイトのファンは男性中心、ヨーム達は男。簡単に勝てるとは思いますが問題はセラス」

ルーティ「効果的な倒し方を考えてください。私たちは歌い、あなたはそれを補佐する」

ルーティ「総番長と歌人の名を手に入れればこの学園の半分は私のものになるでしょう」

リーゼ「………わかった。俺からも一ついいか」

ルーティ「なんでしょうか」

リーゼ「その冷たい瞳。俺が知っているルーティはそんな奴じゃなかったはずだ」

リーゼ「一体、なにが」

ルーティ「………この身を燃やせど、あなたを照らすことができないのなら。もう世界を燃やし尽くしかない」

ルーティ「そうして燃え盛って、あの人に降りかかる不幸をすべて、私が灰にしたいと願った。それだけです」

リーゼ「………破滅しても?」

ルーティ「この身燃え尽きても、ほんの一抱きでもあの人に触れられればそれで」

リーゼ「…そうか。わかった。俺以下の番長全てルーティ様に従わせて見せる」

ルーティ「ありがとう。リーゼ」
124 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 23:04:42.29 ID:FZLWU9uK0
〜33週 日曜日〜

マナ「ふんふふんふふふんふふ〜ん。あ、ママぁ、今日のご飯はなにぃ?」

ナタリー「ごめんなさい。今から風紀委員に行かないといけなくて」

マナ「えぇ〜、そんなぁ」

ナタリー「新しく総番長が生まれたとかで、あ、これ秘密よ?」

マナ「そうだ! なら私がご飯」

ナタリー「だぁめ。火を使うのは危ないわ」

マナ「ぶーぶー。これでも高校生! なんですけど!」

ナタリー「すぐ帰ってくるから。ね?」

マナ「わかったよぉ。待ってるね」

ナタリー「いい子いい子」ナデナデ

マナ「みゃはは〜」
125 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 23:13:46.64 ID:FZLWU9uK0
マナ「って言ってたけど火を使わない料理ならいいよね?」

マナ「それじゃあキッチンから材料を〜」

コンコン

マナ「? 誰だろ。でもここママの部屋だしな」

「………マナ」

マナ「いっ!?

「私。ルーティよ。それともあなたにはノゥティって名乗ったほうがいい?」

マナ「な、なにをしに来たのさ。先生を譲る気はないよ」

「………いいから開けて」

マナ「ここ、私の部屋じゃないから人をあげちゃいけないの」

「カフカ。こじ開けて」

「了解、しました」

ガチャッ ガチャガチャガチャガチャッ

マナ「ひぃっ」

バキッ

マナ「―――っ」

キィッ

ルーティ「ごきげんよう。久しぶりね。マナ」

マナ「な、なんなのその恰好。その雰囲気。まるで『別人』みたい」

ルーティ「あなたにそう言われるとはね。座ってもいいかしら」

マナ「…どうぞ」

ルーティ「貴方とはいろいろあったわね」

マナ「そーですね。あのまま消えちゃうかと思った」

ルーティ「でも先生はあなたを見つけ出してくれた。でしょ」

マナ「私が『ルーティ』だったほうがうまくいってたと思うけど」

ルーティ「ふふ。別に今日は言い争いに来たわけじゃないわ」

マナ「………?」

ルーティ「私と一緒にアイドルにならない?」

マナ「アイドル? 私が?」

ルーティ「そうすれば先生を救える。あの人を守ることができる」

マナ「………どういうこと?」

ルーティ「この学園の頂点に立ちましょう。生徒会も風紀委員も逆らえないほどに」

ルーティ「ゆくゆくはこの街を、世界を。私たちの愛で沈めましょう」

ルーティ「世界からおざなりにされた私たちが世界を支配する。それってとっても」

ルーティ「素敵じゃない?」

マナ「………」ゴクリ
126 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 23:24:07.39 ID:FZLWU9uK0
マナ「でも、怪しい人のいうことは信じるなってママが」

ルーティ「私と契約すればナタリーさんにもいいことがあるわよ」

マナ「ママに?」

ルーティ「総番長が風紀委員との会合に立ち会ってあげる。そして不良を取り締まることにも協力してあげると誓うわ」

ルーティ「そうしたら、ナタリーさんも肩の荷が下りるでしょうね。でもそれはあなた次第」

ルーティ「きっと褒めてくれるでしょうね。学園を平和にしたって」

マナ「………ママが、私を褒めてくれる?」

ルーティ「ナタリーさんだけじゃないわ。アイドルになればみんながあなたに夢中になる」

マナ「んふふ。ってでもそんな甘い話って」

ルーティ「アイドルとして利用するのだから、それなりの保証をするのは当然よ」

マナ「でもなんで私が。アイドルだったらもっと他に良い人が」

ルーティ「貴方も『ルーティ』でしょう」

マナ「………また、私に居場所をくれるの」

ルーティ「今度は奪わないって約束する」

マナ「………うん」

マナ「わかったよ。私、アイドルになる」

ルーティ「ふふ。ありがとう、マナ。そしてようこそ」

ルーティ「Witch's Bruwへ」
127 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/04/10(金) 23:24:33.95 ID:FZLWU9uK0
今日はここまで

ルーティ 覇道編開幕
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/10(金) 23:25:58.93 ID:ZrqLuvmXO

愛が…愛が重い…!
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/10(金) 23:26:13.16 ID:cbSGHs5Do
乙乙なんか面白いことになってる
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/10(金) 23:56:09.33 ID:0/a9+cb20

これ男がヒヅキ連れて帰ってきたらさらにこじれるパターンだ
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/29(水) 20:22:01.29 ID:PBoPKGbjO
待ってる
132 :亜人好き ◆HQmKQahCZs :2020/05/13(水) 21:20:07.47 ID:fYN7LOYho
長い間更新できず申し訳ありませんでした。

明日から更新再開いたしますのでお付き合いいただけると幸いです
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/13(水) 21:25:57.88 ID:lzMv65aXo
おかえり
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/13(水) 21:26:40.40 ID:MlthknH4o
おかえり楽しみ
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/13(水) 21:36:14.81 ID:IB5nqs2v0
報告乙
ルーティルート入ったっぽいけどヒヅキの行方も気になるところだな
136 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 20:25:22.47 ID:76NfIGS30
長い列車に揺られて僕は大陸を渡っていた。

汽車の中で過ごすこと二日。やっとこの大陸の果てへとたどり着く。僕はこの地平線の果てにある東国に思いを馳せた。

男「あとは船で揺られてって半日か。本当に遠いんだな」

学園にも東国出身はいるけど、よくもまぁこんな遠いところから来たものだ。

さて船に乗ろうと港町を歩いている僕だったが周りの人が僕を怪訝な目で見ていることに気付いた。

そっか、今の僕は幽霊だもんな。気を抜くと体が透ける。気を抜かないようにしないとな。

あの学園じゃロウェナさんがいるから忘れてたけど幽霊は珍しく、人に害をなすものもいる。

受け入れられないのも当然か………。

第二種の人たちの言われない差別もこんな感じなのだろうか。

いやこんなもんじゃないか。

「そこのあんちゃん!」

このまま差別を味わっていれば少女ちゃんも僕を認めてくれるかな。どうだろう。

「冴えない顔したあんちゃん!」

こんなことを考えてる程度ってことは理解できないってことかもしれない。

「おいそこの幽霊っ!」

さっきから叫んでいる人がいるなと思ったら僕を呼んでいたのか。冴えないでうすうすとは思ってたが幽霊となると確実に僕だ。

「はぁ。なんでしょう」

「その身形は東国への旅人やな? しゃあないウチが案内したる!」

ハンチング帽を被った人間の少年だった。へへと笑いながら右手をこっちに向けている。

「………はぁ」

「だからその間の生活費はいただくよ」

目的はそれか。だろうと思ったけど。

僕は自分の財布に思いを巡らした。

余裕はあるといえばあるけど。確かに土地勘を持っている人がいた方がなにかと便利ではあるだろうけど。

僕は東国に関して知識がないわけだから。

「わかった。あまり贅沢はできないけど」

「へっ。その冴えない顔に期待はしてないって」

口が減らない子だなぁ
137 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 20:46:56.13 ID:76NfIGS30
「うはは、美味い美味い」

少年は焼き魚を頬張って美味しそうに笑った。お腹すかないとは言えその様子を見ているとお腹がすく気がする。

食欲も睡眠欲もないというのはとても心細く、ロウェナさんはこんなことに耐えていたのか。何百年も。

「ごちそーさん。それじゃあウチに任せな」

食べ終えた少年は串をぽいと放り投げるとぴゅんと走り去っていった。

あれ、もしかして僕騙された?と不安になっているとすぐに少年は戻ってきた。

「船を安く手配しておいたで。ほれ、これ」

少年から手渡された紙には相場よりも安い値段が記されていた。二人分なので結局は相場よりも高くなるけども少年の口が立つことが分かった。

どうやらいい子のようだと安心する。

「ほんであんちゃんは東国になんの用なん?」

「人探しだよ。鬼の子なんだけど」

「鬼なら、珍しいから聞きゃあ探せるかもしれへんなぁ」

「霊山にいるらしいんだけど。場所は知ってる?」

「げっ、北のほうかいな。だったら結構時間かかるで? あと寒いから防寒具かってぇな」

どうやら霊山も知ってるらしい。この子って結構顔が広いのかな。

防寒具か。いいものは買えないけど買ってあげないとな。移動費しかかからないからあんまりお金は持ってきてないんだよな。

こんなことならもうちょっと持ってくればよかった。

「ま、長旅になるやろうけどあんじょうよろしゅうな。あんちゃん」
138 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 21:12:05.51 ID:76NfIGS30
〜34週 月曜日〜

「ところで君の名前はなんていうの?」

船に揺られながら僕は今更名前を尋ねる。

「ひらg、やない。シライシ、シライシゆうねん」

「そっか。それじゃあよろしくね。シライシ君」

「へへんっ。大船に乗ったもんとおもってもらって構わんで」

大船? 今乗ってるのはあまり大きな船ではないけど。

「いつもこうやって案内人やってるの?」

「せやで。西の人がよう来るから話聞きとうてな。ウチめっちゃ興味あんねん。ほんでいつかお金貯めて西のほうに行くねん」

西の方といえば学園の話をすれば喜んでくれるのかな。

「なんでそんな興味あるの?」

「ウチの先祖がそっちの方で活躍してたらしゅうて。いつかウチもビッグになってやるんや。目指せ打倒レディライト!」

それは夢が大きいなぁ。しかし元気でいいことだ。

「実は僕も西の方から来たんだけど」

「んなもん見りゃわかるで。だから声かけたんやし」

「そっか。あの学園の教師…を一応やってて」

「ほんまかいな、そんな冴えん面して」

なんでみんな揃って僕を冴えないっていうのだろうか。いけてるつもりはないんだけど、口をそろえて言われるから気になる。

「ほんなら魔導とか詳しいんか?」

「僕の担当は遺伝子学だから、ある程度のことしかわかんないよ」

「ほーん。まぁならセンセとでも呼んだるわい」

疑いの視線が抜けてない。確かに幽霊が教師ってのは信じられないかもしれないけど。

っていうかこないだまで人間だったんだけどそれも信用してもらえないんだろうなぁ。

あまり不用意に怪しい発言をすべきでないから黙ってるけど。

「まー、どうでもええわ。ウチは寝るからあとは好きにしぃやセンセ。幽霊やし寝ぇへんのやろ?」

「そうだね。海でも眺めてることにするよ」

「ほなお休み。さぁて明日から大忙しやで」.

シライシ君を見送り甲板へと上がる。

すっかり夜も更け甲板に人は全然いない。

静かだ。海を進む船の音しかいない。

寂しいな。みんなに置いて行かれた気がする。

そういえばシライシくんと話すまで全然人と話していなかった。学園だとみんながいてくれるけど。

そっか。独りぼっちってこんな寂しかったんだ。忘れてたよ。

忘れたままでいれたらよかったのに。

寂しいなぁ。
139 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 21:32:14.96 ID:76NfIGS30
〜34週 火曜日〜

シライシ「でーん! これが東国やで! は〜るばる来たで東国〜!!」

男「本当に木で家が建ってる」

シライシ「そうやけど技術が劣ってるわけやないで。魔導・工業は世界一や」

男「想像だったらもっとハイテクだったんだけど」

シライシ「ハイテクだけだと息が詰まるってのを知ってるんやウチらは。所詮亜人も人間も自然のもんやからな」

僕も自然の生き物なのかな? いや、この自虐笑えないや。

シライシ「こっからグーっと上がって北の方までいくで」

男「どれくらいかかるのかな」

シライシ「東国は山が多いから電車が通ってないところも多いんや。ま、1週間もあればつくで」

男「結構かかるなぁ」

シライシ「センセは幽霊やから疲れ知らずやん。うらやましいわぁ」

男「心は疲れるんだよ」

シライシ「そうなん? 幽霊珍しいから全然知らんわ」

男「シライシ君は幽霊見ても変な目で見ないんだね」

シライシ「そんなん当然やろ。いい人悪い人、そんなんそれぞれや。生まれや種族やない」

シライシ「ウチの先祖も亜人にはようしてもらったらしいしな。まだ人間の世界だったころに」

男「随分古い家系なんだね」

シライシ「この国の奴らは割と歴史を持ってるで。10代さかのぼれるのなんて普通や」

僕の家は平凡だから歴史なんて全然ないな。

そんな風にシライシ君から歴史なりを教えてもらっているとその違いに驚く。

僕らの方は亜人は虐げられていたけど、こっちはそうでもなかったらしい。共存も十分してたと。

話では政治に関わった亜人もいるとか。

こっちじゃありえないな。もしかしてここだったら第二種だって幸せに生きていけるのだろうか。

尋ねてみるとシライシ君は苦虫をかみつぶしたような表情をした。

シライシ「第二種は第二種や。数は少ないけどな」

シライシ「この国にも亜人をもののように扱って食いつぶしてた極悪人はいたんよ。歴史の汚点や。気にせんといて」

やはりどこの国も同じか………。

でも生まれた子供に罪はないだろうに。
140 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 21:40:16.51 ID:76NfIGS30
シライシ「もう限界! 休憩を要求するで!!」

山道を歩いているとシライシ君が座り込んで抗議した。

男「わかったよ、ちょっと休もうか」

シライシ「西の方は汽車があって羨ましいなぁ。便利やろ」

男「便利ではあるけど、この国の自然は本当に豊かで素晴らしいじゃないか」

シライシ「まぁな! なんといっても東国には四季があるんやで!」

シライシ「やけどおかげで魔導車も普及してないし、物流は船か空がメインやからなぁ」

シライシ「空船なんてド金持ちしか乗れへんけどな」

男「空船かぁ」

名前は聞いたことある。気球の大きい奴だとかなんとか。

もっとお金持ってきていればわざわざ歩かなくても船で行けたみたいだ。シライシ君には悪いことをした。

シライシ「さて! 回復回復ぅ! それじゃあじゃんじゃん行くで!」

シライシ君はぴょんと元気に立ち上がりずんずんと進み始めた。

シライシ「ここを超えたら宿あるからそこ泊まろか」

男「了解です」
141 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 21:53:38.47 ID:76NfIGS30
〜34週 水曜日〜

シライシ「いやぁ、らくちんらくちん」

山を越えるとしばらくは平野が続くらしく僕たちは魔導車に乗って移動していた。

こっちで魔導車は個人で使用するものではないらしく、大型のものに何人かで乗り合わせるスタイル。

いつかは汽車よりも普及するのだろうか。なんて未来に思いを馳せる。

シライシ「なぁ、センセ」

男「なに?」

シライシ「この先に知り合いがおるんやけど、泊まらせてくれんかって頼んでみるわ」

男「それは助かるよ」

宿泊費もタダではないのだから安い方がいい。慰安旅行じゃないんだから寝床にこだわる必要はないし。

シライシ「そういえばセンセが探してるのって恋人とか? 逃げられたん?」

なんてことを目をキラキラさせながら聞いてくるシライシ君。

滅相もないと事情を話すが

シライシ「わざわざこんなところまで女の子探しにくるってそれ愛やん?」

と余計に目を輝かせる。

やっぱ子供はこういう話好きなのかな。

僕に色恋沙汰に目を輝かせる時代なんてなかったけど。

う、薄暗い青春の思い出が………

シライシ「隅におけんやーん、うりうり」

なんとなくいたたまれなかったため、僕は気配を消して透明になった。

シライシ「あれセンセ? センセ? そんな照れんでもええやん」

男「だからそういうのじゃないんだって」

シライシ「しかし幽霊って面白いなぁ。こんなに透明になれるんやね」

シライシ「はっ。悪いことし放題やん。センセ実はあかん人?」

うっ。周りの人の視線を感じる。僕は体を元に戻してシライシ君がこれ以上喋らないようにと飴玉を差し出した。
142 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 22:08:46.55 ID:76NfIGS30
シライシ「ここやここ」

シライシ君が案内してくれたのは大きな料亭だった。その堂々とした構えに面食らう。

看板にはウロコ亭? と書かれてあった。

シライシ「オイラのおっちゃん〜 おる〜?」

そんなお店に怖気づきもしないシライシ君は常連のような口ぶりで中へと入っていった。

待つこと10分

中から笑い声が聞こえる。

さらに10分

中から爆笑が聞こえる。

さらにさらに10分

息も絶え絶えな笑い声が聞こえる。

なにやら楽しそうだなぁ。

店の前で立っているのは目立つし見られるから早くしてほしいのだけれど。

と思っていると中からシライシ君が満面の笑みで出てきた。

シライシ「宿とれたで! 中に入り!」

男「ありがとうシライシ君」

入り口にある布を潜り抜けると中は調味料の匂いで溢れていた。あまりこっちの調味料に慣れてないから過敏になっているのだろうか。

そして玄関には紺色の服を着たリザードマンの男性がいた。

シライシ「おっちゃんおっちゃん。これが西からきたセンセや。ほいでセンセ、このおっちゃんがオイラのおっちゃん」

オイラ「どうも、オイラと言います。先生をやってると聞きましたが」

男「あ、学園で教師をやってます。男です」

オイラ「学園? もしかして息子が通ってる学校かもしれんなぁ」

男「かもしれませんね。かなり大きな学校ですし。リザードマンの子も何人もいますし」

オイラ「だったらそうでしょうな。これも何かの縁。今日はどうぞごゆるりとしていってください」

シライシ「おっちゃん、ご飯!」

オイラ「あいよ。先生はいかがします?」

男「あ、僕は結構です」

シライシ「センセは幽霊やからご飯食べれへんねん」

オイラ「幽霊。なるほどですなぁ」

驚いて目を細めるものの怯えたりはないようだ。どうやらいいひとらしい。

オイラ「うちに自慢できるもんは料理しかなくて申し訳ないが、どうぞゆっくりしてください」

男「どうもありがとうございます」
143 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 22:19:23.81 ID:76NfIGS30
案内された部屋は二階にあり旅館と違い布団が敷いてあるだけの部屋だったがこれで十分だ。

窓から見下ろすと竹林が実に涼やかで風情があり、空気が良い。

人の善意は実に心地よいもので、何かお返しはできないかと思案していると

竹林に吹く風と違う、細い声のようなものが聞こえた。

………誰かを呼んでいる?

僕はその声に集中し、聞こえる方向を探った。

声は近い。竹林の中?

僕は窓から飛び降りると竹林の中を進んだ。

「かひゅぅ―――」

間違えない。こっちから聞こえる。

そのまま進んでいくと竹林の中に小さな家があった。

入っていいものかと思ったが中から苦しそうな声がする。

駄目なら謝ればいいと僕はその家の中に飛び込んだ。

「ひゅぅ、ひゅぅ」

中ではコボルトの女の子が苦しそうに息をしていた。布団に横たわり苦しそうに胸を押さえている。

大丈夫、とは思えないな。いきなり入ってきた僕に気付けないほど苦しいらしい。

なにかあるかと見回すと水差しと皿に乗った丸薬があった。

病人か。急いで薬を飲ませないと。

僕は彼女の背中に手を当て、上半身を起こさせると丸薬と水差しを口元に運んだ。

震える手でそれを飲み込むと彼女は数度咳をした。

荒かった呼吸は次第に落ち着き、彼女は大きく息を吐くとそこでようやく僕に気付いた。

「貴方、は?」

男「僕は男。今日ここにお世話になっているんだ」

「ありがとうございます。あ、わっちの名前はユナと申します」

ユナ「どうぞよしなに」
144 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/14(木) 22:19:49.54 ID:76NfIGS30
今日はここまで

一度も学園のキャラクターが出ない更新でした…
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/14(木) 22:22:54.51 ID:/C91DkW0o
乙乙
鬼って皆東国出身なのかな
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/14(木) 22:26:32.69 ID:IRow3A0jO
更新乙
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/14(木) 22:31:30.52 ID:+sNDyGSQ0
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/14(木) 22:38:14.70 ID:M83HI0cDO
乙です
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/14(木) 22:40:01.55 ID:ULFZmiCjO

シライシくん喋り方的に発明家の血筋かなんかなのかな…
150 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 19:42:20.97 ID:Szqf4dx90
〜34週 木曜日〜

ユナ「また、お立ち寄りくださいませ。男様」

オイラ「ユナがお世話になりました。先生」

男「いえ、そんな大したことしてませんので」

シライシ「おっちゃん、弁当ありがとうな。ユナちゃんは養生しいや」

次の日、オイラさんに世話になった礼を言ったところユナちゃんに薬を飲ませたことを逆に感謝された。

そのおかげで宿泊費もかからず懐に少し余裕ができる。

ユナ「その、お姉様は西の学び舎で働いていると手紙に書いてありました。もし男さんの学び舎に、ヨダカというコボルトがいればよろしくお願いいたします」

男「わかったよ。それじゃあそろそろ失礼します」

シライシ「またなおっちゃん!」

二人に見送られながらまた二人で道中を歩く。

ヨダカという名前のコボルト、聞いたことがあるような気がする。

返ったら探してみることにしよう。でもそれより今はヒヅキさんだ。

でも………ユナちゃんの体、大丈夫だろうか。

心配で上の空で進んでいるとシライシ君に脇を小突かれた。

シライシ「ユナちゃんに手を出す気?」

男「いや、そんなことないよ。純粋に心配なだけ」

シライシ「ほんと、お人よしやなぁ。センセは。悪い人に騙されるで?」

男「シライシ君がまもってくれるんでしょ?」

シライシ「まぁね」ヘヘン

お人よしは治らないし、治すつもりもない。

そうだ、サレム君が教えてくれた薬屋に行けばいい薬が手に入るかもしれないな。
151 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 19:57:31.52 ID:Szqf4dx90
シライシ「うわ」

男「どうしたの………っ」

そこにあったのは人間の少女の死体だった。

咄嗟にシライシ君の目を塞ぐも、シライシ君はそれをすり抜け死体に近づいた。

シライシ「………なんや第二種かいな」

男「警察呼ばないと」

シライシ「第二種やから、どうでもええわ。先に行こ」

男「そんな。人が死んでるのに」

シライシ「第二種が死んだところでなにも問題なんてあらへんで、ほれ見てみ。他の奴らも無視してるやろ」

確かに顔をしかめるものの誰も死体で騒いだりしない。ただ嫌なものをみたという感じで通り過ぎるだけだ。

そうか、やはりここも………

男「君も第二種は嫌いなのかい?」

シライシ「嫌いもなにも、第二種は第二種やんけ。死んで当然や…」

シライシ君はそう吐き捨ててさっさと進んでいく。

僕は短く少女の次の生が豊かなものであるようにと祈り、シライシ君に置いて行かれないようにと続いた。
152 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 20:43:19.96 ID:Szqf4dx90
〜34週 金曜日〜

シライシ「うひうぃ。寒いなぁ」

シライシ君のおかげで浮いたお金でシライシ君の防寒具を買った。それでも寒いらしく手袋をはめた両手をこすり合わせている。

男「あとどれくらいかな」

シライシ「夕方には麓につくと思うで。夜は流石入山はやめといたほうがええけどな」

男「そうか。やっと」

「やいっ!」

男「!?」

いきなり目の前に三人の子供が現れた。その手に握られているのは鉄の棒。

「か、金を出せ! 金をだせヴぁっ」」パァンッ

パン

パンッ

シライシ「ふぅ。無事かいなセンセ」

………三つの死体が並んでいた。さっきまで喋っていたのにもう何も言わない。

男「撃ったの」

シライシ「大丈夫、第二種や。ほれ見てみ」

シライシ君が子供の頭を蹴って横に向ける。そこには第二種の印である焼き印があった。

第二種だとこうも躊躇なく命を奪えるのか。

確かにこの子たちは強盗をしようとしていたけど、きっとそれは生きるためで。

シライシ「センセは優しいんやなぁ」

しかしその言葉はどこか呆れたもののように聞こえた。

153 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 20:54:22.21 ID:Szqf4dx90
死んだ三人の顔が頭の中から消えない。躊躇せず撃ち殺したシライシ君の姿も。

シライシ君が撃ったのは正当防衛だ。罪なき人を見つけ出してまで撃ち殺したわけでもない。

間違ってないはずなのに。

シライシ「センセがどんな環境で生きてきたかは知らんけど、この国ではこんなもんや」

シライシ「ただでさえ立場が低い第二種が犯罪に手を染めたら殺さへん理由はないで。治安のためにも、他の第二種のためにもな」

シライシ君が言ってることは正しいのかもしれない。

だけどそれを受け入れることは僕には無理そうだ。

シライシ「グロいもん見せて堪忍な。忘れるためにもはよ宿屋行ってすっきりしようや」」

男「うん…」
154 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 21:13:28.11 ID:Szqf4dx90
〜34週 土曜日〜

男「ここらへんに赤い髪で角の生えた女の子いませんか? 鬼人の子なんですけど」

「さぁ、知らないねぇ」

次の日。通りかかる人に聞き込みをするものの手掛かりなし。そもそも幽霊だからか話しかけても反応してくれない人も多かった。

目立つだろうになんで誰も見てないのだろうか。

途方にくれていると

シライシ「センセ。居場所わかったで」

男「…シライシ君すごいね」

シライシ「ここは霊山やからなぁ。たぶんその鬼っこは霊媒師に用があったんやないかと思うてババどもに話聞きに行ったらビンゴや」

シライシ「穢れを落とすために禊の修行をしてるらしいで」

そうか…。霊山はそういう場所なのか。

むやみやたらと聞き込みをした僕はどうやら無駄だったらしい。

しかし霊媒師に用があるとはいったい。

男「それじゃあヒヅキさんのところへ」

シライシ「あー、無理や無理。霊山に入るためにはババから許可貰わんといけんし、禊を済ませないとあかん。それだけで何日かかるか」

シライシ「ウチもこないだ第二種やったから禊長いやろうし、センセは幽霊やからなぁ」

男「ここまで来たのに………困ったな」

シライシ「…しゃあないなセンセ。忍び込むで」

男「え?」

シライシ「ここまで来たら乗りかかった船や。協力したる」

男「でも大丈夫なの?」

シライシ「ウチを誰やと思っとるんや。ナニワの悪童と呼ばれたヒラガ・シイやで?」

そういってシライシ君はにやりと笑って懐から四角い箱を取り出した。
155 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 21:13:54.74 ID:Szqf4dx90
今日はここまで

次回、やっとヒヅキが出せる…
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 21:18:40.21 ID:cos1FyNwo
乙乙
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 21:18:58.76 ID:ThimCoDn0
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 21:22:57.44 ID:nt2Q/AeT0
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 21:47:31.30 ID:VBiTwSnkO

さらっと第二種だったとカミングアウトしてるな
160 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 21:59:23.84 ID:Szqf4dx90
>>159
第二種殺ったからな
です。

シライシはれっきとした第一種です
161 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/15(金) 22:00:05.63 ID:Szqf4dx90
質問箱 更新しました。

返信できますのでよろしければどしどし質問お待ちしております
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/15(金) 22:44:51.47 ID:VBiTwSnkO
ごめんそっちかww
163 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/18(月) 19:46:55.36 ID:NLMA0r0A0
シライシ君がその箱を開けるといくつかのボタンがそこにはあった。

シライシ「カモン! うちの最強マシ―ンっ!!」

そう高らかに宣言し、シライシ君は勢いよくスイッチを押した

………しかし、何も起きない。

男「あの、シライシ君?」

シライシ「待って。今呼び出し中やから」

男「どれくらいでくるの、そもそも何が」

シライシ「ウチの作った機械天使。7時間くらいで来ると思うから、夜中までまちぃや」

男「………」

作った? 機械天使を?

もしかしてシライシ君って結構凄いのだろうか。いや、すごく無ければ機械天使なんて関わることもできない。

もちろんシライシ君が嘘をついてなければだけど、嘘をつく必要はないと思うんだけど。

男「………じゃあ、宿に戻ろうか」

シライシ「せやな!」
164 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/18(月) 20:41:21.91 ID:NLMA0r0A0
シライシ「あー食った食った」

男「いい食べっぷりだね」

シライシ「こんなん食うことあんまないから」

宿で出されたスープ料理にはお米の練り物を焼いたやつが入っていた。僕は食べてないからわかんないけど、香ばしい匂いは確かに食欲をそそる。

ビービービー

そんな食後の休憩を満喫しているとシライシ君の懐から警戒音が鳴り始めた。

何事、と思っているとシライシ君が窓を開く。

「ょ〜〜〜〜さまぁ〜〜〜〜〜」

と何やら叫びながら部屋に飛び込んでくる一つの影。一体何事かと目をぱちくりさせながらその転がり込んできた人に警戒する。

シライシ「ウチが呼んだ機械天使や」

「わたくし、シイ様の丁稚をしております。い-68と申します。以後お見知りおきを」

すたっと立ち上がるとその男性は?雪まみれの服をはたき、胸に手を当て深々とお辞儀をした。

法衣?を着た男性の背中には一対の無機質な羽根。どうやら機械天使とは嘘ではないらしい。

シライシ「呼び出して悪いなぁ、いろは」

い68「滅相もありません。わたくしはひr「シライシ」家に仕える丁稚でございますので」

男「彼が、手助けをしてくれる?」

シライシ「ちょうど日も暮れて、忍び込みやすくなったやろ。うちといろはが注意はひいとくから忍び込み。幽霊やからできるやろ」

男「得意ってほど経験はないけど、でも姿を消せるんだからそんな大ごとにしないでも」

シライシ「ババども、幽霊とかに鋭いから、消えとっても見抜いてくると思うで」

何者なんだ、そのおばあさんたちは」

い68「潜入、工作。このわたくしにお任せでございます。えぇ」

かくして僕はシライシ君とい-68さんの手助けを得て、忍び込むことになったのだった。
165 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2020/05/18(月) 20:59:53.82 ID:NLMA0r0A0
案内された場所は朱塗りの柱に白壁といったいかにも東洋じみた建物だった。

このどこかにヒヅキさんがいるのかもしれないと思い、夜の闇に眼を凝らす。

約束のタイミングはもうそろそろ………

ドンッ

夜の闇に赤い火花が咲いた。その音と光に建物の中が騒然となる。

慌てて飛び出してきた人の中にヒヅキさんはいない。警備の人たちなのだろうか。

僕は姿を透明にするとその騒ぎに乗じて中へと侵入した。

思ったより人が多いな………

中では外の騒音に怯える女性達が身を寄せ合っていた。その服装はいずれも白装束であり月の光を反射させている。

幽霊といっても夜目がべつにきくわけでもないので一人ひとり確認していくと

ヒヅキ「………」

動じもしないヒヅキさんが一人柱に背を預けて佇んでいた。

………やっと、見つけた。

男「聞こえる? ヒヅキさん」

そっと声をかけてみる。。ヒヅキさんは今の僕を知らないからびっくりするだろうなぁ

と考えてはいたのだが、ヒヅキさんは僕の声に反応もしない。

男「ヒヅキさん?」

再度声をかけてみるもののやはり反応は…いや、小声で何かつぶやいている?」

ヒヅキ「…マレ……キエロ………ウルサイ……ヤメテ…」

上手く聞き取れたわけではないけど、あまり良いことは言ってない。

どうするべきか。

1.ヒヅキに触れる

2.日を改める

>>167
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/18(月) 21:02:38.50 ID:gjzjh0xso
2
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/18(月) 21:09:09.29 ID:+g5d9mzKO
2
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/18(月) 21:09:48.98 ID:F0pgWHoz0
2
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