速水奏「人形の夢」

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1 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/01/24(金) 21:08:57.59 ID:W4W9+UtG0
あらすじ
GW休暇から学園の女子寮に帰って来た速水奏。
ルームメイトの三村かな子に迎えられ、緊張から解放された安心感を覚える。
しかし、その安心感もつかの間、不気味な人形が奏の前に現れるようになる。


そんな映画にアイドル達が出演するようです。
設定は全てドラマ内のものです。

それでは、投下していきます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1579867737
2 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/01/24(金) 21:09:27.77 ID:W4W9+UtG0
キャストリスト

343号室
速水奏・木犀浪学園の2年生。2年生の4月に転校してきた。
三村かな子・木犀浪学園の2年生。奏のルームメイト。

351号室
水本ゆかり・木犀浪学園の1年生。管弦楽部所属。
五十嵐響子・木犀浪学園の1年生。

239号室
小早川紗枝・木犀浪学園の1年生。日本舞踏部所属。
緒方智絵里・木犀浪学園の1年生。

215号室
井村雪菜・木犀浪学園の2年生。奏のクラスメイト。
榊原里美・木犀浪学園の2年生。

125号室
西園寺琴歌・木犀浪学園の2年生。奏のクラスメイト
黒埼ちとせ・木犀浪学園の3年生。療養中のため不在。

214号室
相原雪乃・木犀浪学園の3年生。
白雪千夜・木犀浪学園の2年生。奏のクラスメイト

121号室
佐久間まゆ・木犀浪学園の1年生。

大西由里子
間中美里
原田美世
日下部若葉
クラリス

柳清良
3 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/01/24(金) 21:10:03.50 ID:W4W9+UtG0


Q.
怖い人形の夢をよく見ます。夢占いとしてはどんな意味があるんですか?悪いことが起こる前触れなのでしょうか……。

A.
悪いことが起こるわけじゃないから、安心して。

ずばり結果を言っちゃうと、あなたはもっと愛されたいのね。

夢に出てくる人形は自分。初めて見た人形って何か怖いでしょ?

人形を怖がるってことは、その人形に愛着がないってこと。

怖い人形を夢に見る人へのアドバイスは、自分を、家族を、友人を、まぁ誰でもいいわ、好きになる努力をしてみることね。

思いと言動が繋がれば、きっと相手からも好きが返ってくるから。

そうすれば、自分の愛し方も愛され方も、直ぐにわかるわ。

藤居朋の占い入門・第4章 夢占いって何なの?から抜粋

序 了
4 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/01/24(金) 21:10:39.96 ID:W4W9+UtG0


木犀浪学園駅・改札

改札を抜けると、嫌でも道の先に木犀浪学園の正門が見える。街路樹に囲まれた一本道はここにはそれ以外何もない、そう言いたげに。

「奏さん!」

感傷に浸る間もなく、呼びかけられた。

「かな子、帰ってきてたのね」ルームメイトの三村かな子が手を振っていた。いつも通りの朗らかな笑顔でこちらに向かって来た。わざわざ迎えに来てくれたのかしら、申し訳ないわね。

「はいっ。奏さんが1日早く帰ってくるから私も、って」

「ゴールデンウィーク最終日までゆっくりしていればいいのに。実家、近いのでしょう?」電車で1時間くらいだったかしら。

「奏さんこそ。やっぱり……」

「やっぱり、何かしら?」続く言葉はわかっている。せっかく言い淀んだ先を乞われて、優しいかな子は困惑していた。

「あの!奏さん、家族と上手くいってないんですか……?」

「え?」追及してくるとは思っていなかった。忘れていたわ、三村さんと呼ぶたびに、かな子でいいですよ、と絶対に笑顔で返してくるから私が折れたことを。何千何万回呼んでも、同じ返事が来ることに気づいたら変えるしかなかったわ。

「どうなんですか……?」

「そうね。でも、別に憎んでるとかそういうのじゃないの。ただ、どこかぎこちないだけ」今回は、噓をつかなかった。正直に言ったはずなのに、けむに巻くような言葉になってイヤになる。

「えっと、何でも相談してくださいね。その、話くらいなら聞けると思うから」

「……本当に優しいわね、かな子は」本当に優しいから踏み込むという選択ができる。うわべを取り繕って、私の機嫌を損ねないことを優先しない。どう見ても校風にあわなそうな私に、転校早々にあてつけられたルームメイトだけなことはあるわね。

「そ、そうですか?」

「ええ。ところで、そのバックは何かしら?」かな子は悪くないけれど、私が続きを話す気がないから話題を逸らす。デフォルメされたクマがプリントされたトートバッグ。クマ達はハチミツをなめたり、クッキーを焼いたり、バレーボールをしたり、運動会をしたりしている。

「スーパーにお夕飯の買い物に行こうかと思って。奏さん、今日のお夕飯は準備してますか?」

「いいえ、してないけれど」そう言えば、寮の食堂は明日の夕食からだったわね。実家に帰る理屈の1つにしていたことを思い出したわ。

「それじゃあ、一緒に食べませんか?私、今日は料理しようと思って」

「そうなの?それじゃあ、ご馳走してもらおうかしら」断る方が難しいことを、私はこの1ヶ月で学んだ。それはそれで、心地よいことにも気づいてきた。

「リクエストはありませんか?スーパーにあるものなら、じゃあ、一緒に行った方がいいですね♪」

「そうね、付き合うわ」休暇から帰って来たというのに大荷物も手土産もない私を連れて、かな子は駅前にあるスーパーに向かって歩き出した。
5 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2020/01/24(金) 21:12:26.48 ID:W4W9+UtG0


駅前のスーパー

木犀浪学園は山と畑と閑静な住宅地に囲まれている。お店といえば、スーパーとコンビニが1つだけ。ほとんどの生徒が寮に住んでいて、外から通う場合は自家用車による送迎しか認められていない。そう、駅が近いのに電車通学している生徒がいないのよ。生徒は門から出てこないから、彼女達に向けた商売は成り立たない。

「うーん……どうしようかなぁ?」

小さな鮮魚コーナーで、商品を手に取ったり戻したりしながら、かな子は悩んでいた。私の夕食は魚になりそうね。

「よしっ、決めました。奏さん、鮭のムニエルでいいですか?」

「いいわよ」お菓子以外も作れるのね、と言いかけて止める。小麦粉とバターを使うから同じ要領かしら。

「後は、付け合わせとスープにしようかな。ミネストローネ、とか」

かな子はそそくさと店の奥に行ってしまった。はりきっているから、私の洋食は期待できそうね。さて、追いついておこうかしら。

「おや……」

声がしたので振り返ると、クラスメイトの白雪さんがそこにいた。いつも通りのモノトーンの質素な出で立ちは、誰とも会う気がないように見えた。

「あら、あなたも夕食の買い出しかしら?」寮の食堂もゴールデンウィークはお休み。生徒は実家に帰るのが慣例となっている。女子スポーツを先駆けて強化し、強豪となった部活の生徒も慣例には習う。だけれど、白雪さんは帰っていない。

「はい。速水さんこそ、早いお帰りですね」

「ええ、寮の部屋が恋しくなったの」実家の話は出さない、嫌味にしか聞こえないだろうし。

「そうですか。まぁ、事情は色々ありますから」

「……同部屋の先輩は戻ってきてるかしら」あら、こっちが気遣われちゃった。

「相原先輩ですか。まだ秋田です、明日の夕方には戻るそうですよ」

「そう、早く戻ってくるといいわね」この寡黙で感情の起伏が少ない、ように見えるクラスメイトも上品でお節介な先輩には懐に入り込まれている。

「偶には、1人も良いですよ。失礼します」

「ばいばい、またね」嘘だと見抜かれたくなくて、白雪さんは行ってしまった。

さて、と。かな子はどこかしら。
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