【安価】ダーウィンズゲーム

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50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 23:04:57.04 ID:HPLKYPevO
家族構成をコンマで決めるあたりがいつものキャラメイクエタ作者感バリバリ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 23:46:16.93 ID:q1hNBp0DO
更新まだかな
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 23:50:57.55 ID:q2VHrqEFO
メタネタって上手く扱えるような代物だとは到底思えない
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 23:58:05.85 ID:J/I8Wlap0
>>41
何が悪しからずだ お前のせいで全て台無しだ
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 00:53:04.55 ID:wsSYbBUx0
俺が見てたスレだと作者がメタキャラと安価を上手く使ってかなり面白い展開になった。安価スレをやれるんだからこれくらい大丈夫かと思ったんたけど…

俺は面白くなればいいと思っただけで邪魔するつもりは無かった
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 06:56:31.70 ID:cu6WZV83o
始まってもいないのにエタるのはキャラ設定以前の問題だから
56 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 08:01:37.98 ID:NFZ8Y600O
1です。

昨晩は更新できず申し訳ありませんでした。
今晩22時に始めます。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 08:03:07.96 ID:I732CPOM0
把握。私生活があるから仕方がない
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 08:10:36.91 ID:ztPSq9NSO
ここから始まらなまでがテンプレ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 08:22:42.76 ID:EE7IzPD20

作者のリアルも考えられない自己中な読者もいるからあまり気に病まない方がいいよ
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 08:28:27.42 ID:077jwz+4O
お前らが始まる前から過度に構うからキャラメイクだけでエタる作者が消えないんだぞ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 08:34:06.26 ID:fFr2qO7U0
自己中ってかこの板でキャラクター作るだけ作って終わりみたいなスレがあまりにも多いからこの反応も仕方ないと思う

その日中に数レス更新するだけでも大分印象変わるのにな
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 08:55:51.96 ID:wjQXpvKTO
本編始まらずに1日以上経過はこの板だとHTML化の依頼対象だぞ、リアルが忙しいならそもそもスレを立てるなとしか言えない
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 10:18:18.78 ID:MweKseLb0
最早あってないようなものだけどな
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 11:34:22.33 ID:K4fUERz3O
>>61
数レス書くか書かないかって言い換えればルールを守るか守らないかの境界線だしそりゃあ印象も変わるよ
65 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:42:05.47 ID:ISWBpPzLO
だいぶ時間オーバーしてしまいましたが、
まずはさわりの部分からです。
遅れてしまい申し訳ありません。
66 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:42:41.01 ID:ISWBpPzLO
「それでね、葛城さん」

「は、はい…なんでしょう……?」

「あぁ、そんな怯えないで。怒るわけじゃないんだから。むしろ教えて欲しいのよ。佐々木さんのこと。ここ一週間、学校にも来てないし、お家の方も帰ってきてないって言っててね? 葛城さんって佐々木さんと仲が良かったじゃない? だから何か知ってるかなって」

饒舌に語り出す担任の先生を前に、葛城冬華は俯き気味に頭を横に振った。

「……いいえ、知りません」

「そう。……困ったわねぇ」

佐々木と呼ばれる少女は一週間前までは無遅刻無欠席を誇る品行方正な優等生だった。そんな優等生が突如として無断で学校を休み、それだけでなく家にも帰っていないというのはただ事ではない。

職員室内だけで隠し通せる事案を超え、四日前には捜索願を出している。また警察だけでなく、生徒にも佐々木の行方について聞いて回ったものの、手がかりは無し。佐々木の友人であった葛城も彼女が失踪してからすぐ同じことを訊かれたが、今と同様に頭を振るだけだった。

「警察もお手上げのようだし。……参ったわね」

事は保護者会にまで影響を及ぼしている。佐々木が居なくなったのは一週間前の平日、放課後のことである。いつも通り学校で過ごしてから、彼女は居なくなった。学校側の責任問題まで追求され、今では多少マシになったものの数日前までは固定電話が鳴り止むことはなかった。
67 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:43:26.52 ID:ISWBpPzLO
「……ごめんなさいね、葛城さん。もういいわよ」

「申し訳ありません、お役に立てず……」

「葛城さんが謝る事じゃないって」

常日頃から俯き気味な彼女を励ますように先生は明るく微笑んでみせる。

「……はい、失礼します」

「うん。引き止めてごめんね。気をつけて────」

冬華が踵を返し、席を離れようとしたところで、

「あ、葛城さん。もうひとつだけ」

「はい?」

「人型アートって知ってる?」

「ひと、がた……?」

人型アート。人体の形をした芸術。パッと思いつく限りでは化学室に飾られた人体模型か。しかしそれなら人体模型と直接名称を出すはずだ。人型アートと言うのだから、芸術的な物体なのだろう。
68 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:43:59.38 ID:ISWBpPzLO
「ええと、チョコレートとか?」

「え、チョコレート? あはは、違う違う。チョコを人型にしたら、まぁ確かにアートなのかもしれないけどさ。人型アートっていうのは、コンクリートとかの上に人型の穴が空いてる現象のこと。知らない?」

「コンクリートの上に?」

「うん。もちろんセメントが固まった後。しかも削られたって感じでも無さそうなのよね。まるで固まる前に人型の置物を置いて、固まった後に置物だけ取り出したような、そんな不思議なやつ」

都市伝説といった噂話には若干の興味が惹かれるところではあるが、にわかには信じ難かった。セメントが固まった後に人型の穴が開くなど、専門の業者が削っても出来るかどうか。

「佐々木さんの件もだけど、なんか嫌な感じがするの。だから葛城さんも気をつけてね」

「はい、わかりました。……気をつけます」

今度こそ冬華は踵を返し、職員室の扉の前で「失礼しました」と頭を下げて廊下に出ようとしたところで、

「っと、悪りぃな。痛くねぇか?」

「う、ううん。大丈夫。こちらこそごめんなさい」

扉を開けて一歩廊下側に踏み出したところで人にぶつかった。この場合、完全に彼が被害者であり、自分が加害者である事実を肯定して謝罪の旨を発す。
69 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:44:34.38 ID:ISWBpPzLO
「えーと、あー。まぁ怪我がなくて良かった」

「……失礼します」

冬華は頭を下げてその場を足早に去る。

向かう先の予定はない。部活動に所属していない冬華の放課後の予定は決まって帰宅のみだったが、少なくとも鞄が置いてある教室へは向かっていない。自然と放課後に限って人気の無い場所へと足が進む。

辿り着いたのは屋上前の踊り場前の階段だった。

お昼休みに屋上が解放されていることもあって、お昼休みに限りこの辺りは人気が多いところだが、放課後はよっぽどな用事が無い限り生徒が訪れることはない。

「どうしてこんなところに…」

「やぁ。待ってたよ、冬華」

屋上へと続く扉の前で佇んでいたのは去年同じクラスだった伊藤という女子生徒。去年度までは冬華と同じく黒髪を腰あたりまで伸ばしていたが、今年度に入ってからは気分を一新してショートにしている。若干吊り目なところも合わさって活発な印象が増したように見える。
70 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:45:02.63 ID:ISWBpPzLO
「伊藤、さん? どうしてここに……」

「どうしてここに居るのかはどうでもいいんだ。あぁ、そう。早速本題だけれど、先生に佐々木さんの行方についてまた訊かれているようだったからね。単刀直入に言うと、私は知ってる。佐々木の行方について」

「ほ、ほんとっ!?」

「嘘じゃないとも」

うんうんと頷く伊藤の近くに寄り、冬華は尋ねる。

「佐々木さんはどこにっ?」

「まぁ慌てるなよ。今さらどうにもならないんだから」

「今さらって……」

「冬華はさ、知ってるかい? Dゲームってやつを」

意地悪そうに微笑む伊藤とは対照的に、冬華は神妙そうな面持ちで伊藤の手元にある『ダーウィンズゲーム』と表示されたスマートフォンの画面を覗く。

名前の通り、ゲームとついているのだから遊び事の類なのだろう。しかしあいにく、ダーウィンズという単語からは何も連想されなかった。
71 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:45:29.00 ID:ISWBpPzLO
「D……ダーウィンズ、ゲーム」

「そう、ダーウィンズゲーム。聞き覚えないかい?」

Dゲーム、ダーウィンズゲーム。何度も何度も頭の中の記憶からその文字に関する記憶を掘り出そうとする。しかしまったく覚えはない。ただし、

『冬華ってゲームとかする人だっけ』

『ゲームはしないかなぁ』

『そっかそっか。……うん、それがいいよ』

二週間ほど前、雨の日の放課後に佐々木と傘を並べて駅まで向かう途中にそういう話をした。共通の趣味が読書ということもあり、普段は本について話す機会が多かったが、ゲームという単語自体が佐々木との付き合い約一年半の歴史の中でたったの一度きりだ。

「聞き覚えあるようだね」

「ダーウィンズゲーム、では無いかもしれないけど」

「佐々木がゲームの話をしていたのなら、それはきっとダーウィンズゲームのことだよ」
72 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:46:00.74 ID:ISWBpPzLO
ふふふ、と意地悪っぽく笑みを浮かべ続ける伊藤の真意が見えず、冬華は若干の苛立ちを感じながら改めて問う。

「それで、ダーウィンズゲームと佐々木さんにはどんな関係があるの?」

「まぁやってみれば分かるさ。ほら、招待するよ」

ダーウィンズゲームと表示された画面ではなく、伊藤はメールアドレス帳を見せた。SNSでのアカウント連携などは取り扱っていないようだ。

「ええと、たしか……」

伊藤のスマートフォンを受け取り、宛先に自分のメールアドレスを打ち込む。セキュリティ意識の薄い簡素なアドレスだが、一度も迷惑メールが届いたことがない優れアドレスであることを思い出しつつスマートフォンを返す。

すると数秒後、ブレザーの内ポケットが小さく振動する。招待メールが届いたのだろう。

「あ、でもわたしってゲームとかしないから……」

「あはは。じゃあすぐ退会すればいいじゃないか。アカウントを消すのは簡単なんだよ? あ、そのスタートってところをタップして」
73 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:46:31.89 ID:ISWBpPzLO
伊藤の呼びかけと同時に冬華は『スタート』と表示された箇所を右手の人差し指でタップする。

「ようこそ葛城冬華。ダーウィンズゲームの世界へ」

「いや、すぐやめるけど────……えっ?」

「ん? どうかした?」

「いや、蛇────」

すぐ目の前に小さな蛇がいた。白い蛇。きめ細やかな鱗に覆われた細身で長い身体は一体どれほどか。

「たすけっ……」

危機を回避しようと咄嗟にスマートフォンを手元から落としたが、既に手遅れだった。手元のスマートフォンの画面から飛び出したソレは、優に冬華の首元まで身体を伸ばして噛みつく。

不思議と痛みは無かった。ただし、それ故に冬華の恐怖心を一層に募らせる。

噛まれた箇所を手で抑えるようにして冬華は虚ろに独言る。

「あれ、蛇は……伊藤さん?」

この校舎唯一の屋上へと続く階段を登った先、踊り場には誰もおらず、何も無かった。
74 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:47:08.25 ID:ISWBpPzLO
ぼんやりと佇む自分と、仰向けに落ちたスマートフォン以外。伊藤と蛇はどこにも見当たらない。

一体何が起きたのかを把握する前に、激しい倦怠感が冬華を襲う。視界が歪み、身体がフラつく。

「うっ……これ、毒……?」

蛇に噛まれた直後の体調不良に毒を疑うも、抗う術が無い。保健室まで赴く体力もなく、冬華はその場で倒れた。
75 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/18(火) 22:48:52.37 ID:ISWBpPzLO
遅れてしまった上に短文で申し訳ありません。
明日、眼を覚ますところから安価を交えた初戦を行います。
22時30分ごろから始めれればと思います。
よろしくお願い致します。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 22:54:55.88 ID:AM7d949DO

楽しみにしてます
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 00:09:46.87 ID:4ZPSpOrD0
荒れてて不安だったが更新来て良かった
78 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/19(水) 22:32:09.51 ID:OuElD4OzO
始めます。
79 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/19(水) 22:32:44.86 ID:OuElD4OzO
目を覚ますと真っ白な天井があった。

仄かに香る消毒液の匂い。お世辞にも寝心地が良いとは言えない硬いベッド。部活動に励む学生の声が窓越しに聞こえてくる。グラウンドからほど近い保健室に運び込まれたようだ。

「わたし、噛まれて…」

ベッドの上で起き上がり、首の右筋あたりを左手で撫でる。不思議と噛まれた傷は無い。身体の倦怠感も嘘のように無くなっている。

一連の流れが夢だったと仮定して、どこからが夢だったのか。佐々木の行方について問われたのは。無意識に屋上手前の踊り場まで向かってしまったのは。まるで来ることをずっと前から知っていて待ち構えていた伊藤とのやり取りは。そして蛇は。

「全部夢だったらいいのに」

佐々木が行方不明になったところから夢であるならば、ただの悪い夢として一言で片付く。

しかしこんなにもはっきりと一週間前の記憶を思い返せる夢があるとは思えない。非現実的な体験をした今日に限っては夢であったとしても不思議ではない。

「だいたい蛇って……。ないない」

馬鹿らしいと独り言ち、帰って試験勉強でもしようと枕元に置かれたスマートフォンと教室から運んで貰ったと思われる教材の入った鞄を手にしてベッドを囲んでいたカーテンを開く。
80 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:33:17.88 ID:OuElD4OzO

「あ、葛城さん。調子はどう?」

「ええと、おそらく大丈夫かと思います」

「屋上前で倒れていたってね。その記憶はある?」

「はい、急に目眩がしてしまって」

「顔色も悪くないし、大丈夫かしらね。帰宅途中に倒れたりしたら大変なんだけど……」

「無理はしないようにします。……ご迷惑をおかけしました」

看病をしてくれた保健室の先生にぺこりと頭を下げて、保健室を出て行こうとする。倒れた後だからか、鞄が重たく感じる。重い足取りを悟られないように真っ直ぐ保健室の扉へと手をかけ、

「あぁ、そうそう。同じクラスの須藤くん。あの子が運んでくれたのよ。たぶんもう帰っているだろうから、また明日にでもお礼を言っておいた方がいいかもね」

「わかりました。ありがとうございます、先生」

再度頭を下げて、保健室を後にする。
81 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:33:45.13 ID:OuElD4OzO

夕暮れの赤い光が校舎の窓から射し込む廊下を抜けて、今度は真っ直ぐ下駄箱へと向かう。文化系の部活動が終わる時間らしく、放課後すぐと大差ないくらい生徒と多くすれ違う。

授業の話。先生の話。同級生の話。先輩後輩の話。

何気ない話題に彼らは花を咲かせているようだった。

保健室から歩くこと五分。文化部の部活動終了時刻を迎えたにも関わらず誰もいない下駄箱で冬華は首を傾げる。

「どうして……」

わたしはすれ違っていたのだろう、と続いて胸の中で呟く。

部活動終わりの彼らが向かうべき場所は下駄箱ではないのか。まだ片付けが残っていたのか。教室に忘れ物でもしたか。それにしても比較的人通りが良さそうな下駄箱近辺に誰も居ないのは────

「あ、冬華。ようやく目覚めたんだね。待ちくたびれたよ。私のシギルもそんなに有能じゃあないからさ。君が真っ先に下駄箱に向かってきてくれて助かった」

「伊藤さん…!」
82 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:34:13.25 ID:OuElD4OzO

その口調が手伝ってどうにも彼女の存在がうざったく感じてしまう。一連の流れは夢だったのなら、この敵意は筋違いであり申し訳ない限りだが、その口ぶりから察するに夢ではなかったらしい。

上履きからローファーに履き替え、スカートの下にジャージを履いた伊藤は冬華の前に立ちはだかる。

「それで、君のシギルはなんだい?」

「シギル? ……なにそれ?」

「いやいや。君だってあの蛇に噛まれたんだろう。だったら使えるはずだよ。超能力。使い方を君自身が知らないなんてことはあり得ない」

「ちょう、のうりょく……?」

「そう、超能力。私たちプレイヤーは異能と書いてシギルと呼んでいる。人それぞれ異なるもので、手から炎を出すようなものから、人一倍遠くが見えるだけとか当たり外れが様々だ。それは呼吸をするのと同じくらい当たり前に使えるものなんだよ、普通はね」

あいにく非科学的な物事に対して否定的である冬華だが、それを戯言だと一蹴することも出来なかった。

彼女の異能についての正体は知り得ない。しかしこの下駄箱の周りに誰も居ないのは確かに非現実的なものだ。一刻も早く帰りたいであろう学生一人ひとりにドッキリを仕掛けたいから近寄らないでくれなど手間がかかり過ぎている。
83 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:34:40.34 ID:OuElD4OzO

異能とはアプリのプレイヤーになったことで発現するものだとしたら、自分には何が出来るのか。手から炎が出るようなヴィジョンはどうしても湧かない。人一倍遠くを見れるような気もしない。せいぜいグラウンド唯一の時計がぼんやりと見えるくらいだ。

「え、ほんとに分からない? 自分のシギルが?」

「わたしはまだ全部を信用したわけじゃ……」

「あーいいよいいよ。そーいうの。バトればいいだけだからね。そうすれば分かるんじゃないかな、自ずと自分のシギルが」

「バトる…?」

「このダーウィンズゲームではどんなことも合法なんだよ。人殺し推奨アプリ。もちろん現実のね。じゃあ早速始めようか、カツラギ トウカ。エンカウントバトルだ」

ブレザーの内ポケットがバイブレーションするのを感じて取り出すと、マナーモードにしていたスマホから急に愉快な音が鳴る。

『イトウ サキ vs カツラギ トウカ』
『バトルスタートまであと』

「ほら、もう始まっちゃうよ? さーん」

「え、げ、ゲームっ……?」

「だから殺し合いだって」

「にーい」と微笑みながらイトウはブレザーの内から黒い塊を取り出した。右の手のひらに随分と馴染み易そうなグリップ。細くしなやかな人差し指のかかるトリガーをカチカチと浅く押し込んで見せる。
84 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:35:17.01 ID:OuElD4OzO

突き付けられた銃口を前に、冬華は足がすくむ。

「うそ……それって……」

「ガチャで引いたんだよ。私ってツいてないタイプの人だからさ。これを引けたときはまぁ嬉しかったんだ。これでたくさん人を殺せるってね。ほら、逃げなよ」

カウントはゼロになり、バトル開始と表示されている。射程距離のある拳銃を片手にイトウは冬華に一歩ずつ踏み寄る。

「……ッ!」

すくむ足を引きずるように、鞄を捨てて冬華は逃げ出した。おぼつかない足取り。駆け出してすぐだというのに何度も転びそうになる。「うそ、こんなの…」と呟きながら斜線を切るように後ろを確認しながら距離を取ろうとする。

ローファーのまま校舎に上がったイトウは悠長に鼻歌を交えながら冬華の姿をゆっくりと追う。

「ほら、シギル使わないと死んじゃうよー? それともガチャしてみるとか? ふふ、それもいいかもね。拳銃を引き当てたら私と撃ち合いっこだ」

異能に覚えのない冬華はガチャという単語を耳にしてダーウィンズゲームのアプリ内を模索する。すると目立つ場所にガチャと表示されているボタンがあった。
85 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:35:51.02 ID:OuElD4OzO

保有ポイントは30ポイント。1ポイントで1回ガチャが引けるようだ。つまり30回。排出確率を見ている余裕なんて無かったが、イトウの口ぶりから察するにガチャからは拳銃などが排出されるのだろう。でも、それはいつ、どうやって届くのか。持つこと自体が罪に問われるのでは。様々な思考を巡らせながら、まずは警察を呼ぼうとホームボタンを押す。

「あれ、これって……」

電話の機能を開く前に、ダーウィンズゲームの隣に見覚えのないアプリを見つけた。最後に招待という形でインストールされていたダーウィンズゲームの他に、もう一つ付随でインストールされていたのだろうか。

アプリ名称は『虚構と現実』。

少なくとも自分で意図的にインストールしたアプリでは無いだろうと首を振り、警察への連絡を優先する。

「警察? 警察って……110番でもいいよね……っ!」

似たようなものだろうと震える指で番号をタップして110番へコールする。しかし一向に繋がる気配はない。五コール、十コール、二十コールとしたところで通報は諦めた。

掛けたことが無かったため憶測だが、こういうのは決まってすぐ繋がるもののはずだと認識している。しかし繋がらないということは、通報という行為を認められていないのだとわかる。
86 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 22:36:47.11 ID:OuElD4OzO

「通報とか出来ないからね。あと、先生とかに頼ろうとしても無駄だよ。校舎からは離れて貰ってるからさ。ははは、この校舎は私たちの貸切だ。存分に鬼ごっこをしようじゃないか」

通報が出来ないのと同じように、周囲の人を退けることもゲームの特性か。それとも────

「逃げ回ってばかりだと、いつまで経っても私には勝てないよ? ふふふ。このまま拍子抜けだけはさせないでよね……!」

威嚇のつもりか、イトウは誰もいない場所に向かって引き金を引いた。ドラマで見るような拳銃からは確かにそれらしい音が鳴った。そしてはっきりと弾は壁にめり込む。

「まずい、まずい……!」

電話機能の画面を閉じて、再度ダーウィンズゲームのアプリを開いて「降参」などのボタンを模索しようと謀ったところで、ホーム画面にある『虚構と現実』が目に留まる。

「これは……関係ない?」

アプリを起動すると、そこは真っ白な画面が広がるばかりだった。一番下に小さく下向きの矢印が書いてあり、そして『長押ししてみてね!』とも書いてある。

ホームボタンを長押ししろということだと解釈して、その意味を見出せないままホームボタンを長押しする。

スマホが小さく震えると、いつもの音声検索画面とは少し異なる画面が表示される。

『マイクに向かって質問してみよう!
きっと君の力になってくれるよ!』

ふざけるな、と一蹴したくなる衝動を抑えて、冬華はマイクに向かって口を開く。

「ど、どうすればいいっ?」
87 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/19(水) 22:37:14.30 ID:OuElD4OzO
【安価です。下2の方の選択に決定です。
1.ダーウィンズゲームのアプリからガチャを引いてみよう。
2.ひとまず逃げ切って身を隠そう。
3.立ち向かってみよう。】
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 22:43:35.99 ID:OP2iNo4y0
1
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 22:45:11.37 ID:ZonfjW/g0
1
90 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/19(水) 23:10:06.30 ID:OuElD4OzO

>>89さん 「1」】

『ダーウィンズゲームのアプリからガチャを引いてみよう』

問いかけに答えるかにように、どうしたらいいかが画面に表示された。信用しているわけではない。しかし現状を打破する唯一の手掛かりがガチャである認識は相違ない。

『虚構と現実』を閉じてダーウィンズゲームのアプリを開く。ガチャのボタンをタップすると、先ほど見たガチャの待機画面へと移行する。

「1回1ポイント……っ!」

1ポイントの価値を知らなまま、『ガチャを引く』ボタンをタップする。すると苦しそうに悶える蛇の画面が映し出された。胃に詰まったカプセルを吐き出す演出の後、1回1ポイントと引き換えに入手したアイテムが表示される。

【安価です。下2のコンマ1桁。
1、5、9:拳銃
2、7、0:日本刀
3、4、6、8:ゴム手袋(はずれ)
比較的当たりばかりです。】
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 23:12:07.32 ID:ZonfjW/g0
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 23:12:11.31 ID:4mrYVE/e0
ゴム手袋



と書けばゴム手袋を引かない法則
93 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 08:59:42.81 ID:kHQWLX9hO
>>92 「1」拳銃
昨晩は区切らず終わってしまい申し訳ありません。】

カプセルが割られて出てきたのは「レアアイテムGET」という文字と拳銃のイラストだった。

チープなガチャ演出に若干の苛立ちを覚えながら、

「……それでっ」

どうすればいいのかを自らに問う。アプリに言われた通りガチャは引いた。拳銃も手に入れた。それじゃあその拳銃をどうやって手元に持ってくるか────

「うそっ……!」

射線を切り続けるために適当に走って向かっている先、三メートルほど前方の上空にダンボールが出現した。何の違和感もなく、突然それは現れる。
94 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 09:01:56.26 ID:kHQWLX9hO

このままのペースで走ってちょうどの位置に現れたことで、自然落下したダンボールはトウカの手元に収まる。

「まさか……」

半信半疑だった。しかし蛇のこともあるし、イトウの言っていたことも加味すると、ダンボールの中に収められたブツにおおよその検討がつく。

「……」

一丁の拳銃と数発の弾とにらめっこしながら、トウカは同梱されていたマニュアルに目を通す。

ダーウィンズゲームのホーム画面やガチャ画面と同じくチープな漫画調で取り扱いが記載されていた。

「あれ、ガチャ引いたんだ。ふふふ。なになに? 大きさ的に刀とかじゃあないと思うんだけどなぁ。もしかして銃? あははっ、それって結構レアなんだよ? 私だってようやくの思いで手に入れたんだからさぁ」

いわく、結構なレアアイテムらしい拳銃の取り扱い説明書に目を通し、トウカは一瞬迷う。

セーフか、アウトか。
95 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 09:02:33.61 ID:kHQWLX9hO

普段なら「いや絶対にアウトでしょ」と即決してダンボールごと捨てるはずだが、今はそうも言ってられない。イトウの持つ拳銃は確かに壁にめり込んでいた。倫理的に考えてセーフとかアウト以前に、殺されるかどうかの狭間の立場である以上四の五の言ってられない。

封を開け、拳銃と弾を取り出してダンボールを捨てる。拳銃は思っていたよりもずっと重く、弾はとても冷たかった。取り扱い説明書通りにおぼつかない手元の中で弾を充填する。多少手間取ったものの、しかし自分でも驚くほどスムーズに準備ができた。

【安価です。射撃センスを決めます。
ですがその前に運動神経がどれほどかを決め、
運動神経次第では射撃センスにも補正がかかるようにもします。まずは運動神経から決めます。
下2のコンマ1桁。
1が最低、数字が上なほど運動神経が良くなります。
9よりも0の方が良いです。また、ゾロ目の場合はコンマ一桁を優先しつつ固定で決めます。固定の値は7です。88か99、00以外のゾロ目が固定で7になります。

コンマ一桁:1(悪い)、5(普通)、7(学年トップクラス)、9(全国大会レベル)、0(世界レベル)
コンマ二桁がゾロ目:11(固定で7、学年トップクラス)、77(固定で7、学年トップクラス)、88(コンマ一桁を優先して8)、99(コンマ一桁を優先して9)
わかりにくかったら申し訳ないです。
また夜に更新します。】
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 09:04:15.14 ID:AtHV5nii0
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 09:04:28.69 ID:1vZvlqsDO
はい
98 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 20:53:09.87 ID:7dWZOs1QO
>>97 「9」全国大会レベル
次に射撃センスを決めます。
運動神経「9」により、射撃センスが+2されます。
ただし補正でカバーできる範囲は9までです。
コンマ一桁が3だった場合、補正後の値は5です。
コンマ一桁が7だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が8だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が9もしくは0の場合は、それぞれその値です。
コンマ二桁がゾロ目だった場合は固定で7です。
このときこれ以上の補正はかかりません。
レインの射撃が9ぐらいのつもりでいます。
下2のコンマでお願い致します。】
99 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 20:55:05.77 ID:7dWZOs1QO
>>97 「9」全国大会レベル
次に射撃センスを決めます。
運動神経「9」により、射撃センスが+2されます。
ただし補正でカバーできる範囲は9までです。
コンマ一桁が3だった場合、補正後の値は5です。
コンマ一桁が7だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が8だった場合、補正後の値は9です。
コンマ一桁が9もしくは0の場合は、それぞれその値です。
コンマ二桁がゾロ目だった場合は固定で7です。
このときこれ以上の補正はかかりません。
レインの射撃が9ぐらいのつもりでいます。
下2のコンマでお願い致します。】
100 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 20:55:52.88 ID:7dWZOs1QO
【謝って2回投稿してしまいました。
下2でお願いします。】
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 21:02:40.93 ID:8G8Azj1eO
コンマは下1でいいよ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 21:03:10.71 ID:M7k/cnfg0
103 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 23:03:20.72 ID:7dWZOs1QO

>>102 「1」 補正がかかって「3になります」】

「っ……ていうか、早すぎッ……!」

運動部にも文化部にも所属していないトウカの足はイトウを撒くには十分すぎるほどだった。

常に五十メートル走をしているかの如く校舎を駆け、そのペースが落ちることはない。それどころか軽々と階段の四段飛ばしを連続でし、イトウは追うのを諦めた。

「くそ……なんだよ、あいつ……」

去年の一年間、彼女とは一緒に体育の授業を受けていたはずだ。普段から目立たないやつだったため、体育の授業中も変わらず目立つことはなかった。しかし思い返してみれば長距離走でのタイムやソフトボール投げの飛距離などの体力テストでは常ぬ華々しい成績を残していた。

ともかく逃げ切られた後を追うのは効率が悪い。待ち伏せをされている可能性を考慮すると、待ち構えるというのが最善であった。

「まぁいいさ。これだけ逃げ回っていても結局、最後には私のもとに来るんだから。せいぜい足掻いてよね、トウカ」

残り四十五分と表示された画面に向かって笑みを浮かべ、イトウはシギルを発動した。




104 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 23:03:49.69 ID:7dWZOs1QO


「ここまで来れば、大丈夫……かなぁ」

だいぶ前の時点でイトウのことを撒いたのは知っていた。しかしそれでも走り続けたのは正体不明の異能を回避するためだった。

手の内は明かされていないが、もしかすると不可避の遠距離攻撃を仕掛けてくるかもしれない、などと念には念を入れて走り回った。さすがに校舎の何階に居るのかを把握されていない限りは安全だろうと、二階の化学室に立て籠もる。

「あと四十五分……」

ダーウィンゲームのアプリを起動するとその画面が表示される。四十五分後に何があるのかは分からない。引き分けとして何もなかったことになるのか、どちらも敗北者として────

「死ぬとか、あるのかな…」

夢にまで思わなかった超常現象の渦中で、思っていたよりも冷静に最悪のケースを想定できている。少し走って気が紛れたか。しかし拳銃を握る手は震えていた。
105 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/20(木) 23:04:29.40 ID:7dWZOs1QO

これからのことを考えると、逃げっぱなしという訳にはいかない。制限時間を迎えたタイミングでどうなるかが分からないからだ。どこかでイトウと決着をつける必要がある。それは何処で。残り何分の時点で。

「……信用は、していないけれど」

常に最善の選択を取りたい願望を自己否定するかのように、自分の計画に自信が持てない。新しくスマホにルーレットやくじ引きといったアプリをインストールして運で決めるというにも考えたが、どうにも信用できない。

しかしそれらと大差のない一つの方法だけは信頼こそ出来なかったものの、疑う余地にまでは信頼を寄せているものがあった。

『虚構と現実』

そのアプリを開くと、ホームボタンを長押しするように推奨されたメッセージが表示される。

二秒ほどホームボタンを長押しすると、専用の音声認識のアプリが立ち上がる。

「これからどうしたらいい?」

必ずしもこの選択を取らなければならない訳ではない。あくまでも一つの選択肢として視野に入れるため、トウカは問う。


【安価です。このあとどうするか。
1.グラウンドへ
2.体育館へ
3.校舎の中に止まる
4.その他(できそうなものに限ります)
下1でお願いします。】
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 23:06:39.22 ID:M7k/cnfg0
2
107 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/21(金) 08:23:24.33 ID:7M/rcccyO

>>106 2.体育館へ】

最悪窓からなら逃げられると踏んでいた二階の化学室を棄てトウカは体育館へと向かう。

体育館に決めた理由は三つある。

一つ目はイトウの姿を常に視界に入れられ、かつ狭すぎず広すぎずの限られた空間であること。

二つ目はこの勝負に勝つ決定打。射撃のセンスに一抹の不安はある。しかし体育館ならば隣接している準備室にイトウを怯ませる道具が無数に眠っているはず。

そして三つ目は────

『体育館へ行ってみよう』

問いかけに対してのリアルタイムな返答。これは疑う余地無くナビの役割を果たしている。困ったらこのアプリを使うよう推奨されているのか。

しかし依然として自分の異能について、またイトウの異能については掴みきれないまま体育館へと繋がる連絡路前へとたどり着く。

もしイトウが待ち伏せをするならこの場所だろう。柱の陰にでも隠れて体育館へと急ぐトウカが通り過ぎたところで後ろから銃で撃てばいい。慎重に通る必要があると息を呑み、トウカは忍び足でおよそ十五メートルの連絡路を渡る。

「………」

壁を背にして歩くこと十数秒で連絡路を渡りきる。拍子抜けするほどあっさりと抜けられたが、勝負が終わっていないのは変わらない。

制限時間は残り三十分を切っていた。このゲームの勝利条件、敗北条件に気絶が戦闘不能としてカウントされることを願いつつ、体育館の扉を開ける。

バスケットボール部やバドミントン部の部活動中真っ只中の時間のはずだが、体育館は無人だった。校舎と同じく一般人は退避させられているのだろう。

【安価です。
2、5、7、0:準備室へ
1、3、8、9:トウカ
4、6:???
下1の方、コンマ一桁でお願い致します。
今晩続きをします。】
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 08:26:19.18 ID:LT92WTOk0
109 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/21(金) 08:39:01.80 ID:7M/rcccyO
>>108 「8」
1、3、8、9:トウカではなくイトウでした。
イトウということでよろしいでしょうか。
改めて安価し直しした方がよろしいでしょうか。】
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 08:51:58.09 ID:C1cB5SMDO
マイナスもしくはプラスイベントのままならそのまま
プラス→マイナスもしくはマイナス→プラスのイベントに変わるなら改めて安価し直しで
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 17:24:19.49 ID:SQ9+y9y00
>>110の書き込みに迷ってる感じ?
安価し直しで
112 : ◆yOpAIxq5hk :2020/02/22(土) 20:48:16.48 ID:y3Y3E7SXO
【昨日は更新できず申し訳ありませんでした。
>>107の安価ですが、再安価させていただきます。
2、5、7、0:準備室へ
1、3、8、9:イトウ
4、6:???
下1の方、コンマ一桁でお願い致します。 】
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 20:49:47.16 ID:LYqYrPRS0
114 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:41:57.58 ID:y3Y3E7SXO
>>113 「6」???】

校舎から繋がる連絡路を抜けた先から入り、真正面に見えるステージ。全校集会などにも使われているそこの垂れ幕は閉じていた。

バスケットボールやバドミントンの羽根がステージに入ってしまうのを避けるために幕を閉じて余計な手間を取らせないようにしているのだろう。

ダーウィンズゲームが始まって部員は強制的に退去させられたのか、そこら中にバスケットボールや羽根が転がっている。羽根はともかく、ボールは銃には及ばないものの凶器になりえる。数も申し分なく、十分に撃退可能な道具の一手として数える。

「準備室には……」

通常、バレーボールは授業も部活動も第二体育館で行われる競技だが、確か予備のためにボールが準備室に眠っていたはずだ。バスケットボールよりは多少威力が落ちそうだな、と思いながら準備室にある道具を記憶から掘り返す。

ただし教室や部室の戸締りにはそこそこ厳粛な学校のため、それは今も例外に漏れず準備室は開けられないかもしれない。
115 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:42:24.02 ID:y3Y3E7SXO

ひとまず非常用にバスケットボールを一つ抱え、内ポケットに入れた拳銃の重さに色々と想いを募らせつつステージから脇の準備室に入る。

ステージ上部のプロジェクタースクリーンに投影する用のプロジェクターや、それを操作するノートパソコンなどが保管されていた。

部活動などの表彰者が待機する場所としても造られており、物が置いてあるとはいえ準備室の空間はかなり広く感じた。何か撃退に使えそうな物は無いかと物色していると、奇妙なモノを部屋の隅の方に見つける。

「……穴?」

まるでその空間が削り取られたかのように大小さまざまな大きさの正方形の数々が床から壁へと伝って不自然に空いていた。

どうしてそのような穴ができたのかは分からない。ただ、それを最初に見たとき人が壁に寄りかかっているように見えてしまったのがトウカにゾッとした印象を与えた。

「人型アートってやつ……なわけない、かな?」

先生が言っていた『人型アート』の存在と酷似していることを頭の隅に追いやり、この準備室に使えそうな物は無いと判断して準備室の内側にかかっていた鍵を施錠して体育館へと出る。
116 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:42:56.84 ID:y3Y3E7SXO

それとほぼ同時に、対戦相手は連絡路から現れる。

「おや、もう来てたのかい? なんだなんだ。シギルを使うまでも無かったってことなのかな」

誰もいない体育館で彼女の声はとてもよく響いた。

「その準備室、何があったか聞かせておくれよ」

「穴があった。不思議な穴が……」

「そう、それがダーウィンズゲームで負けた敗北者の後の姿さ」

「後の姿って…言ってる意味がよく分からない」

「いやいや、簡単な話だよ。とっても不思議だけれどね」

続けてイトウは饒舌に語る。

「ダーウィンズゲームのプレイ中に死ぬ、もしくはタイムアップになって点数の低い方は、ああなるのさ。体の周りに四角い枠が出来てね。足の先から少しずつ消えていくんだ。そうして残ったのがあのカタチだよ」

「そ、……」

そんな超常現象も同然のこと有り得ない、と口しかけるがガチャのこともある。そして今この状況でイトウが嘘をつく理由もない。
117 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 22:43:35.56 ID:y3Y3E7SXO

その事実を知った上で、疑問はただひとつ。

「だれ」

「ん? 何か言った?」

「誰なの。あそこで負けた人は」

「もうここまで言ったんだから、わかるだろう?」

銃を顔の側へと持っていき、イトウは微笑む。

「ちゃんとやったのはソレが初めてだ。なんと表現したらいいか分からないけれど、とにかく善かったよ。普段の彼女の行には全く非は無かったはずなのにね。無遅刻無欠席の優等生の人生を踏みにじった感覚は堪らないの一言に尽きる」

ふふふ、とお腹を抑え、堪えていた笑いが口から溢れ出すイトウを前に、トウカは内ポケットから拳銃を取り出してイトウへと向ける。

「もう喋らなくていい……!」

「ちゃんと狙って撃ちなよ。初心者」

挑発の意味も込めて、より当たりやすいようにイトウは腕を広げる。

「断言しよう。君に銃の才能はない。だって震えているんだもの。そんなんじゃ命中率は二割も無いんじゃないかな。だったらまだ床に転がってるバスケットボールを投げるか、バドミントのラケットと羽根で────流石の君でもそれは届かないか」

たしかに銃の腕が未知数である上に、牽制で良いはずが人に当ててしまうかもしれないという恐怖。また、シギルが不明な相手には分が悪い。

「どう、しよう……」

ブレザーの胸ポケットに音声認識の状態で待機させていた『虚構と現実』の意見を仰ぐ。

【安価です。
1.拳銃を使って攻撃(2割)
2.バスケットボールを使って攻撃(8割)
3.より確実に当てにいくため近づく(1割UP)
この後すぐの安価で命中について取ります。
ひとまずここではどの攻撃をするかお願い致します。
下1の方で決定です。】
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 22:44:57.91 ID:8Ho6O6ut0
119 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 23:07:24.72 ID:hTtAjRxt0
>>118
2.バスケットボールを使って攻撃
下1のコンマ1桁 4と8以外で命中です。】
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 23:09:24.07 ID:91EgRpJDO
はい
121 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/22(土) 23:48:34.65 ID:hTtAjRxt0

>>120 「7」命中】

命中に不安の残る銃を辞め、トウカはバスケットボールを手にする。威力こそ劣るものの、元より殺すつもりはない。殺傷能力の高い武器に頼るより、イトウを生かしたまま降参に導く一手を取る。

投げ方は素人そのものだっただろう。ただ単純に投げて、腕を大きく広げるイトウへと向かわせる。

「はは、さすがに届かないっしょ。……え、まじ?」

コートの端から端以上の距離を渡り、ボールはイトウの腹部に命中する。ただし流石にそこまで届くのに威力が落ちていたのか、少しフラつかせる程度だった。

「いや、まじか。トウカは運動やった方がいいよ、本当に。君の輝かしい才能をダーウィンズゲームに誘ってしまったのは少し後悔している。十年後とかに君がテレビの奥で活躍していたかもしれないのにね?」

いたたた、と脇腹を手で撫でてイトウはもう片方の手で拳銃を構える。銃口の先にはトウカが居て、手は震えていない。このまま引き金を引けば命中は確実だろう。

「私はトウカの才能を買っているんだ。君ならきっと拳銃の弾だって避けられる。まぁ別に無理して避ける必要もない。バスケットボールを盾にすれば弾は止まるかもね。ただし、これから私は本気でトウカのことを撃つ。準備室に隠れようとしても無駄だ。必ず背を撃ち抜こう」

「ッ……!」

動体視力は良い方だと自覚している。避ける自身があるか無いかで言えばある。しかし当たりどころが悪ければ死ぬのは確実だろう。

「さぁ、いくよ」

脇腹を抑える手を拳銃へと持っていき、トウカへと狙いを定めた。たったの人差し指一本で生きるか死ぬか手綱を握られてる感覚がトウカを臆病にさせる。

【安価です。
1.避ける(6割) +避けた場合は1回攻撃
2.バスケットボールを投げて弾に当てる(7割)
下1の方お願い致します。】
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/22(土) 23:49:51.01 ID:LYqYrPRS0
2
123 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 01:06:27.55 ID:IF7jcs2s0
>>122 「2」
2.バスケットボールを投げて弾に当てる(7割)
3、6、9以外なら銃弾回避
下1コンマでお願い致します。 】
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 01:13:50.43 ID:IjqfwiSe0
125 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 01:20:20.41 ID:IF7jcs2s0
>>124 「3」
銃弾回避ならず
当たった場所
1、3、6:右腕
2、7、0:左足
5、8、9:腹部
4:心臓
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 01:41:02.91 ID:D6APpw8kO
4
127 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 22:43:27.32 ID:l/CBfFp0O

>>126 「1」右腕】


「ぐっ……ッッ!」

バスケットボールは銃弾に擦りはしたものの、完全に軌道を逸らすことはできなかった。おそらく胸を一直線に撃ち抜いていたであろう銃弾は逸れて右腕に命中する。

なんとも言えない痛みが右腕から全身へじわじわと伝わる。壁に頭をぶつけたとかタンスの角に足の小指をぶつけたとか、そういった次第に引いていく痛みとは異なり、絶対に引かない痛みがトウカを襲う。

「いやいや、それでもすごいよ。確かに君は擦り当てたんだからね。才能がある。ここで失うのは惜しい才能だ。……だからこそ、ここで仕留める」

左手で右腕を抑えるトウカに突き付けるように、再びイトウは銃口を向ける。右腕を負傷した今、利き手じゃない方であることも含めてバスケットボールによる軌道逸らしはほぼ不可能に近い。

「そろそろ時間も無くなってくる頃だし、言い残すことがあったら聞いておくよ」

「……時間切れになったら、どうなるの?」

「さっきも言ったけれど、あーなんだったかな。たしかダメージと技術、そして芸術だったはずだ。その三つの要素を運営が判定してポイント化する。合計値が低かった方がああなるってことだよ」
128 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 22:44:02.70 ID:l/CBfFp0O

イトウは銃口をトウカからステージ脇の準備室────人型アートへと向ける。

「今のところ、ダメージでは私、技術ではトウカ、芸術でもトウカが優っているんじゃないかな。この距離でバスケットボールを当ててくるんだもん。ただし、ダメージでは圧倒的に私が優っている。トータルでトントンもしくは私の方が有利のはずだよ」

「……」

「無理しなくていい。右腕が痛い、死ぬのが怖い、ササキのことを────存分に断末魔を聞かせてくれ。誰にも言わないと約束しよう。見なかったことにするし、聞かなかったことにする。だから、私の知らないカツラギトウカを見せてくれよ」

ダーウィンズゲームを通して殺人に悦を感じるイトウのことをトウカは心の中で蔑む。口調も相まって憎たらしくてたまらない。

ササキ、自分、そしてまた他の誰か。彼女の殺人衝動は今後とどまることを知らず、さぞかし悪名を轟かせるのだろう。

「……どうして、わたしなの?」

「君と縁のある人物。ササキを最初に選んだのは、彼女の最期の表情を拝みたかったから。次に君を選んだのはササキの友達だったからだよ。私のシギルでここに誘導して、準備室の痕を見せるつもりだった。数少ない友人の見る影もない姿を見て、どんな表情をするか観察したかった。まぁその願望は叶われた」
129 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 22:44:42.39 ID:l/CBfFp0O

「まだ続ける? このゲーム」

「あぁ。続けるとも。続けるしかない。このゲームは退会という機能は無いんだよ。放課後にすぐ退会手続きが出来ると言ったが、つまるところ死ねばそれまでということだ。で、次のターゲットはもう決まっている」

縁のある人物を標的にするとしたら、誰か。最も親交のあったササキは亡くなってしまっている。その他にも少なからず話し相手こそ居るものの、それはイトウの言う縁には不十分だろう。

だとしたら、誰か。

「たしか妹が居るって言ってたよね」

「ッ……!」

「行方不明になったお姉ちゃんを探すために妹さんはどうするだろうねぇ」

「そんなの……」

親友の安否に釣られた実績がある以上、姉の安否に釣られる妹の思考は十分に理解できる。

「これで三人。妹さんのお友達を誘うのは流石に無理があるだろうからね。また一から誰かを探すことにするよ」

「……った」

「ごめん、流石にこの距離だ。もう少し声を出してくれないと────」

「わかったと言っているッ!」

トウカの激昂にイトウは意表を突かれたように一瞬固まり、そして高らかに笑った。

「あははっ。そうそう、私が見たかったのはそれだよ。あー、いいものを見れた。くく、あのトウカがねぇ」

ひとり笑みをこぼすイトウを前に、トウカは



【安価です。
1.拳銃を使用(命中率3割 → 右腕負傷のため2割
交互に銃を打ち合う判定あります。

2.銃弾を避けて直接攻撃(2回判定。
最初は6割で回避、次は5割で回避。
どちらも受けた場合は死亡)
下1でお願い致します。】
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 22:46:18.93 ID:7QvlUMlDO
2
131 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/23(日) 23:15:54.27 ID:l/CBfFp0O
>>130 「2」
2.銃弾を避けて直接攻撃(2回判定。
最初は6割で回避、次は5割で回避。
どちらも受けた場合は死亡)
1、3、7、9以外で回避。
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 23:21:30.40 ID:G8UshtNx0
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 00:02:14.11 ID:Cg+J0IQ00
一応
134 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/24(月) 22:07:39.52 ID:YJkyl0V4O

>>132 「0」回避
>>133 かなり今さらですが、ゾロ目の場合も
回避としたいですね。次以降忘れずに記載します。
ありがとうございます。】

ひとり笑みをこぼすイトウを前に、トウカはイトウへ向かって走り出した。動けば動くほど右腕の痛みが全身へと響くが、もはや気にしている余裕が無い。

「おぉ、来るか」

トウカは腕の痛みに耐えながら、一直線ではなく多少左右にフェイントを入れている。

「これでっ……!」

あのペースで向かってきたとして、二発か三発か打ち込む余裕がイトウにはあった。

それでも後退りしてしまうのは、トウカの気迫に万が一を感じたからだろう。おおよその狙いを定めながら拳銃の引き金を引く。

「────っ!」

「まじか……!」

十メートル程度の距離。トウカは寸前のとこで右に避けることにより銃弾をかわす。しかし右に大きく踏み込んだことが負荷になったのか険しい表情を浮かべ、一瞬立ち止まる。

「……絶対に止めないとッ」

死の連鎖をここで断ち切り、これ以上の被害者を出さないためにトウカは左足、右足と前へ突き出し元凶のもとへと再び駆け出す。

当然、銃を持つ相手に近付けば近付くほど、弾は避けにくくなる。さっきはギリギリ見えて身体が即座に反応が出来たものの、次は避けられないかもしれない。

それでも、イトウのもとへたどり着くだけの体力だけは残っていると見立てている。

人並み外れた運動神経には多少自信があるものの、特別力が強いわけでも格闘技の心得があるわけではない。もしイトウが何かしらの格闘技に精通していた場合、勝ちの目は皆無となるだろう。しかしそういったことに疎かった場合は勝機ありと確信している。

「次が最後だ……! トウカ!」

想像していたより彼女はずっと早い。腕の痛みなんて全く無かったかのように、イトウのもとへと近付いている。

これが最後、という言葉には偽りなく、当たれば勝ち、外れれば負けということは逆の立場であるトウカも理解していた。


【安価です。
2、4、6、8、0以外で回避。
また、コンマ2桁がゾロ目だった場合も回避です。
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 22:08:25.67 ID:/T9Ssast0
回避できるかな
136 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/25(火) 22:10:29.77 ID:xmQk7eQpO

>>135 「7」 回避】

あと一発か二発か。最悪、二発目を当てればいい。

その考えを捨て、次の一発をこのゲームの締めくくりにしようとイトウは慎重に狙いを定めて引き金を引くが、

「ッ────届いたっ!」

わずか五メートルほどの距離でもトウカは銃弾を避けた。そして一歩前へと力強く踏み込み、華奢な左腕をイトウへと伸ばす。

「ああ、すごいよトウカ……!」

拳銃を捨て、ブレザーの内側から柄と刀身を合わせて十センチ程度のナイフを取り出すイトウの姿を視認したトウカは真っ先にそのナイフを持つ手を掴む。

ナイフを取り出したということは格闘技の心得が無いと推測される。咄嗟にナイフを持つ手を掴めたことが功を奏したのか、至近距離でお互いが膠着する。
137 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/25(火) 22:11:05.66 ID:xmQk7eQpO

「やっと、ここまで届いた」

「あの距離で銃弾を避けるだなんて。右腕も右足も痛いだろうに。恐れいった。それに私がナイフを隠し持っていたのを知っていたかのような反応速度だ。一歩間違えればその手が真っ赤に引き裂かれていたかもしれないのにね?」

「ふざけないで。あとその口調やめて。イトウさんはそんな喋り方しないでしょう」

「まぁ確かに、Dゲームプレイヤーの中には他人に偽装するシギルの持ち主も居るだろうさ。しかし知っての通り、私は私だ。君のその言葉は深くない。普段の私と比べて少し違うな、程度だろう。言い方には気をつけたまえよ、トウカ。勘違いを呼ぶぜ」

トウカの知るイトウという人物は、少々悪ふざけが過ぎる程度のムードメーカーであった。どんな時も白線の内側で悪戯を繰り返していたはずだ。

「どうして、Dゲームを?」

「非日常だろうな。それと、ありきたりで申し訳ないが金だ。始めた当初、三十ポイントを保有していただろう。ガチャ一回につき一ポイント。また、一ポイントは日本円に換算して十万円だ。口座登録をすればすぐに三百万おろせるんだよ」
138 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/25(火) 22:11:40.09 ID:xmQk7eQpO

「……」

「間違っても『イトウさんも被害者なんだ』なんて思うなよ。自分の命を賭けているところも含めて私は好きでやっている。お金なんて二の次さ」

悪質なゲーム設計を描いた人間がイトウを変えた。

その思考を読まれ、真っ向から否定されるとトウカは下唇を噛んで、視線を下げる。

依然としてイトウはナイフを手放さない。一瞬の隙をついてナイフを振られる可能性が捨てきれない以上、トウカはイトウの手を掴み続けるしかない。

しかしイトウは左手でナイフを持っていて、右手はフリーだ。対してトウカは左手を使っており、右手は力が入らない。この至近距離でもイトウは有利な状況にも関わらず右手を使わないのは、どうしてか。

「そんな顔するなよ。まだゲームは終わってないんだから」

「降参とか出来ないの?」

「降参? あぁ、まぁ────」



【安価です。
7:「そういう選択肢もある」
7以外:???
下1のコンマ1桁でお願い致します。】
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/25(火) 22:14:23.94 ID:ApV3Kl0A0
140 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/26(水) 22:12:51.93 ID:klDLSs1DO
>>139 「4」 ???】

「降参? あぁ、まぁ────っ! トウカッ!」

イトウはナイフを手にしていない右手で強くトウカを押した。体幹には多少自信があったものの、右足首の痛みと切羽詰まる表情をした彼女へ為す術なく、掴んでいた手を離して二歩下がる。

「ッ……!」

トウカのすぐ背後から二発の狙撃音が響く。一発目で体育館のギャラリー後ろの換気用の窓に穴を開け、二発目で穴を通して容易くイトウの腹を貫いた。

振り返るが、敵の姿は視認できない。

イトウは手にしていたナイフを落とし、その場で膝をついて倒れる。

「シギルだ……。逃げろ、トウカ。奴はシギルで狙っている。次が来る前に逃げるんだ」

「そ、そんなの、勝手すぎるっ! どうしてわたしを……」
141 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/26(水) 22:13:23.56 ID:klDLSs1DO

「いいか。シギルというのはなんでもありだ。一発目で百メートル先の窓ガラスを割って、二発目でその穴を通して人に当てることだって出来る。今みたいにな。……かなり離れているのにも関わらず、トウカにはすぐ後ろから銃の音が聴こえたのだろう? だが、私も後ろから音がした」

お互いが向き合っていたのにも関わらず、どちらも背後からの銃声を耳にしている。そして銃弾はトウカの背後、イトウの正面からやってきた。

「覚えておけよ、トウカ。このゲームはやらなければやられるだけだ。殺さないと殺されるぜ?」

その直後、両者のスマートフォンから「TIME UP」というアラームがマナーモード状態にも関わらず鳴る。

「スマホの画面には、さっき言ったダメージ、技術、芸術の点数が出ているだろうさ。……ほら、私の負けみたいだ」

イトウの身体を幾つかの立方体が包み込む。その立方体は次第に輝きを増していき、左足の先、右足の先、左足、右足、腰と足の先から頭へと向かって床に正方形の穴を開けながらイトウの身体を消滅させていく。

「ま、待って! まだ、たくさん訊きたいことがあるのに!」

「まぁ、せいぜい上手くやんなよ。私はこの殺し合いから一抜けだ。あー、そうだな。強いていうならエイスってクランには気をつけておけな。アイツらは揃って頭のネジが飛んでいる。イケてないトウカに限って寄ることは無いと思うが、渋谷には近寄るなよ」

「エイス……クラン…?」

聞き覚えの無い単語にトウカは首を傾げるが、判定は待ってくれない。早くもイトウの身体は胸あたりまで消失していた。
142 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/26(水) 22:13:49.43 ID:klDLSs1DO

「私のシギルも効果切れだ。そろそろ生徒や教師が戻ってくる。……あぁ、そうだよ。私のシギルは人を誘導する力だ。大したもんじゃないだろう? でも、やる気を出せば放課後の文化部の連中ぐらいは────いや、そうだ。ササキの最後だ。アイツは最後にお前に対して『生きて』って言ってたな」

「ッ……あなたのことを、許したわけじゃないから」

「そりゃあ……そう、だよね」

「……」

「ごめん、トウカ。頑張って」

最後の最後で仮面を被るのを辞めたイトウは、そう言い残して消失した。体育館の床には人型アートだけを残し、遺物を残さない。

床に膝をつきっぱなしだったトウカはイトウのシギル切れで生徒が戻ってくる前に体育館を後にする。

謎のスナイパーからの追撃は無かった。イトウを撃った時点で踵を返したのだろう。

校舎と体育館を繋ぐ連絡路でトウカは振り返り、ササキとイトウの跡を脳裏に焼き付けて下駄箱へ向かう。


「拳銃で撃たれたなんて、正直に保健室で言えないもんね。……病院に行けるはずもないし」


【安価です。コンマ一桁。
奇数、0:狐の仮面を被った女性
偶数:イケてそうな女子高生
ゾロ目判定はなしです。
下1 コンマ一桁でお願い致します。】
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 22:14:37.45 ID:eyBk4WFE0
144 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 00:57:20.91 ID:3jdkCZm50

>>143 「5」
5:狐の仮面を被った女性】

保健室には寄らず、ローファーに履き替えた冬華は校門を抜ける。学校外に出て、真っ先にしたのは連絡だった。

週末の夜、いつもなら家族揃って夕餉の時間にも関わらず、年頃の娘との連絡が途絶えたとなれば心配するだろう。ましてや佐々木の件もある。

ゲーム終了後、外部との連絡が取れるようになったおかげでメッセージだけでなく電話が何十件と一斉に通知が来た。

「……うん、うん。大丈夫。ごめんね、連絡するの遅くなって。明日帰ったら食べるから。……うん、はーい」

言葉とは裏腹に、冬華は痛みに耐えかねていた。未だに右腕に命中した弾は摘出できておらず、とっくの前から力が入らない。

どうしたものか、と左手で操作していたスマートフォンをロックし、ブレザーの内ポケットにしまい、すっかり暗くなった空を仰ぐ。

今夜泊まる場所がない。腕をどうにかしないといけない。Dゲームについて知らなければならない。

目下、するべきことはこの程度か。およそ十六年間生きてきて、どれもが初めてのことばかりだった。
145 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 00:57:50.68 ID:3jdkCZm50

もう少しで満月か、なんて思い耽たところで、月の前を何かが横切る。長身で後ろ一本に結った髪、身体つきから察するに女性か。

「いやいや、見間違いだって…」

件の人影は二階建ての一軒家と一軒家の間を跳躍で駆けているようだった。

人間業ではない。でも、シギルはなんでもありだ。

見間違えでなければ────

「良い眼をしておるな」

背後から声をかけられ、冬華は咄嗟に振り向く。

先には件の女性が佇んでいた。白い服に長い髪を後ろで一本に結っている。顔立ちは狐の面で隠れているが、美人な顔立ちをしているのは想像がつく。

「怪我をしているのか? ……ふむ。右腕が酷いな。右足はまぁ放っといても良かろう」

「あな、たは……」

「名乗るほどのものでもない」

ふっ、と面の奥で女性は笑みを浮かべるが、

「もちろん雑魚に教える名など持たぬというだけよ」

敵意を剥き出しにして、狐の女性は構えを取る。

「また……っ!」

またダーウィンズゲームか。心の中で悪態を吐くが、どうやっても戦闘を避ける手段は思いつかない。

眼前に立ちはだかる女性はいわゆるプロなんだな、と業界に参入して間もない冬華でも分かる。

手負いでなくとも端から逃げ延びる術は無いだろう。少なくとも冬華には二階建ての一軒家の屋根を跳躍で飛び回ることは出来ない。

「まずは小手調べよ」

左足をバネにし、コンクリートを抉ったんじゃないかと錯覚させるほどのスピードで女性は右手の手刀を冬華に振りかざす。


【安価です。
4、7、0以外:回避
ゾロ目の場合も回避です
下1のコンマ一桁でお願い致します。】
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 01:24:02.44 ID:uh74PKjL0
酒羅胃鵡
147 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 08:10:04.29 ID:I1LhlMTjO

>>146 「44」ゾロ目のため回避
本文の人物名ですが、原作(漫画)だとずっと
カタカナのため日本人はカタカナで統一します。】

「っ!」

右足を地に着けたまま左身を後ろに引かせることで、トウカは手刀を避ける。軸にした右足首が鋭い痛みを全身に響かせるが、そうも言ってられない。

正確には軽く当たっていた。腰まで伸ばした黒髪の先がソレによって斬られ、パラパラと空を舞っている。

「ほう、避けるか。まぁこれくらいは避けて貰わねばな。……次は、少しだけ当てに行くぞ」

女性は二歩、三歩と下がり、トウカも合わせて下がる。初撃と同じ距離を取らせてくれるらしい。

しかし「当てに行く」という言葉の通り、鋭い殺気が眼前の女性から放たれる。呼吸さえ忘れてしまいそうな威圧感に、トウカはこれ以上後退ることもなく、ただ良く相手を観察することしかできない。

「手負いじゃ。これを避けたら儂が何とかしてやる」

その言葉が聴こえてきたのは、狐の面をした女性が地を跳ねた後だった。


【安価です。
2、6、8、0:回避
1、3、4、5、7、9:直撃
ゾロ目は回避です。
下1 コンマ1桁】
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/27(木) 08:11:15.69 ID:45i6NbAh0
149 : ◆yOpAIxq5hk [saga]:2020/02/27(木) 21:58:31.04 ID:ZCO1WkVcO

>>148 「9」直撃】

「遅い。これでは避けれぬな」

狐の面をした女性はたった一度だけコンクリートを片足で蹴り、地面と平行に五メートルは移動してトウカの耳元で囁く。

一瞬遅れて、手刀はトウカの腹を突き抜いた。

「ぐ……ッ!」

「当てに行くと言ったであろうに」

女性の声がトウカに届くことはない。意識はある。聴覚がやられたわけでもない。ただ、痛すぎる。

正常な呼吸方法を忘れてしまったかのようにトウカの呼吸は乱れ、額には脂汗が滲む。制服は貫かれた辺りを中心にして血に染まり、コンクリートの上に血溜まりを作る。

「は……ぁ、はっ……ぁっ……!」

「……おい」

呼吸を乱しながらも、トウカが地面の上に伏すことは無かった。自分の腹を貫いた女性の腕を無意識に左手で掴んでいる。

「意識が無いか。……しかし困るぞ、これは」

解こうと思えばすぐに解けるほど力が弱かったが、邪険にも扱えない。女性にとって、トウカの評価は優に『助ける』の価値を超えていた。

「士明よ。シンジュクじゃ。カエデのところへ連れて行く。我ながら、なかなか面白い拾い物をしたの」

「承知致しました、お嬢様」

電柱の裏から現れた燕尾服で身を包んだ老紳士は、恭しく頭を下げて近くに停めてある車を取りに行く。



「さて、シンジュクまで生きられるか。娘よ」



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