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【安価】オルランドゥ大武術会12【コンマ】

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811 : ◆Try7rHwMFw [saga]:2020/03/18(水) 23:10:23.04 ID:QkEuU7ImO
しばらくして、ガーネットさんが叫んだ。

「サイレス!?」

『……ガーネット、やはり君だったか』

頭の中に低い男性の声が響いた。

「……え?」

『君以外にも、3人いるな。……君がいるなら、声を出してもいいだろう』

アミールさんもブレイズさんの背中に手を当てる。

「サイラスさん、アミール・スナイダです。分かりますか」

『……貴方ですか、上にいた『スマイル』――マイル・デイライトを殺したのは』

「僕とそこにいる少年だ。仕方がなかった」

『……サンタクルスの差し金ですか』

「いや、彼女は処刑予定だ。地上の状況までは知らなかったみたいだね。
ネーロ院長も正気に戻した。全ては元に戻りつつある」

『そして、僕も殺しに来たわけですね。僕はただの『怪物』でしかないですから』

「……率直に言えばその通りだ。君の存在は危険だ……と思っていた。
ただ、正直に言って、ちゃんと話ができる自我が残っているなんて思いもしなかったけど」

「ふふっ」という笑いが僕の頭に響いた。目の前の「コンダクター」は表情一つ変えていないのに。

『それは正しいですよ。ガーネットが来て、僕に対する気持ちが残っているのを知って正気を取り戻した。
多分、これはつかの間のものですけど。別れが終わったら、殺してください。貴方たちなら簡単でしょう』

「……分かった」

アミールさんがガーネットさんに向けて首を振った。

「……ごめんなさい。あなたを止められなくて」

『いや、いいんだ。これは僕が望んだことだ』

「……え?」

『君には叛意ありとサンタクルスは思っていた。そして、そうではないと僕は証明したかった。
もちろん、君があの女を嫌っていたのは知っている。だからこそ、君は実験体に選ばれる予定だった。
そこで僕は君の代わりに身を差し出した。……これが真実だ』

「そんなっ!!じゃあ、教授にしてやるとかそういうのは……」

『嘘だろうね。でも、僕は君に疑いが向けられないよう、それを信じたふりをした。
君にはつらい思いをさせたと思っている。許してくれ』

ガーネットさんの目から涙が一気に溢れた。

「ちょっと待ってよ!!ずるいわよそんなの!!何で……何で自分を犠牲にしたのよぉ……!!
一緒に逃げればよかったじゃないっ!!2人なら、きっと……」

『それができないのは、君も知ってたはずだ。闇ギルドの連中を向こうに回して、勝てるわけがない。……今は、連中は」

「もう壊滅状態だ。ここにいる彼、クラン・オーディナル君を中心に大体事は済んだ」

『……そうか。なら、思い残すことはない』

目の前にいる「コンダクター」の口が、僅かに上がったように見えた。

『ガーネット。君ならいい研究者になれる。とうは立ってしまったけど、いい男も見つかるだろう。幸せになってくれ』

「嫌よっ!!あなたを、私が……殺せるはずなんて」

『やるならすぐやれっ!!!僕の自我は、もうそんなにもたないっ!!!アミールさん、頼みます』

「分かった」

すっと剣が抜かれる。アミールさんは大きく振りかぶった。

「ありがとうございます、サイラスさん」
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