絶対に笑ってはいけない勇者一行

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70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:16:32.32 ID:3fHmNG6P0

〜数日後〜

勇者「魔法使い、ちゃんと姫様からもらった推薦状持ってるか?」

魔法使い「持ってるわよ。あんたが失くすのが不安だからって私に預けたんじゃない」

戦士「景色がすっかり変わってきたな。ここが学園都市か?」

僧侶「まだ郊外ですね」

魔法使い「僧侶、よかったの?違うアカデミーとはいえ、行くことに対して抵抗とか……」

僧侶「もう過去のことですから。それに、皆さんと一緒に学生時代を過ごしていたら楽しかっただろうなって、時々想像するんです。その夢が叶いそうなのが嬉しくって」

勇者「僧侶は純粋だな」

僧侶「えへへ、それほどでも」

魔法使い「(……えげつない下ネタを連発した子と同一人物には思えない。あれは戒律に抑圧され生み出された二重人格だったのか)」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:18:06.66 ID:3fHmNG6P0

戦士「地面が気色の悪い色になってきたな」

僧侶「ここらの道路は舗装されているんです。馬車の代わりに、動力による乗り物も通っているんですよ。資材を運ぶのに重宝されていて」

魔法使い「なにそれ?」

僧侶「『トラック』って言うんです。ご存知ないですかね?」




ブロロロロロ!!!!!!

「キャー!!!」

勇者「あそこ!!騒ぎが起きてる!!」

「酒気帯び運転か!?」「みんな逃げろー!!」

僧侶「トラックが暴走しているみたいです!!」

戦士「こっちに向かっている!!凄まじいスピードだ!!」

魔法使い「キャッ!」

魔法使い「(まずい、つまづいて……)」

勇者「魔法使い、危ない!!」

ドン!

魔法使い「えっ……」




バーーーーーーン!!!!!!!!!



魔法使い「う、うそでしょ……」

魔法使い「勇者ぁあああああああ!!!」


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:19:11.13 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「勇者!!どこ!?どこなの!!?どこにいったのよ!!!」

戦士「魔法使い、落ち着け!!錯乱していては解決できる問題も解決できんぞ!!」

魔法使い「だ、だって私のせいで!!私を救うために、あのでかい乗り物に吹き飛ばされて……」

僧侶「……おかしいです。勇者様の姿が見えないこともそうですが。さきほどのトラックもみつかりません」

魔法使い「もしかして、勇者はまた王様のところに転送されているんじゃ……」

僧侶「パーティーメンバーがひとりで転送されることはまずあり得ません」

魔法使い「勇者……わたしのせいで……」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:21:45.61 ID:3fHmNG6P0

戦士「駄目だ。いくら探しても肉片の一つも見つからない」

僧侶「見つからなくていいんですよ」

魔法使い「……徹夜で探そうよ。見つかるまでずっと……」

戦士「しかし、現場は散々見たぞ」

僧侶「手がかりが全くない今、勇者様を探そうとする行動は無意味です。勇者様と再会した時にそなえて、当初の予定通りに行動すべきです」

魔法使い「あんた、勇者のことは放っておいて、アカデミーに行けとでも言うの!?」

僧侶「そうです」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:23:47.20 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「ふざけないで!!そんなの納得できるわけないでしょ!!私はここで勇者を探し続けるわ!!」

戦士「いや、僧侶の言う通りだ。それに、この学園都市に何か秘密があるのなら、学区内で活動しているうちに勇者が消えた手がかりが見つかるかもしれない」

魔法使い「推薦状は私が預かってる!どうしてもアカデミーに行くというなら、私を置いてあなたたちだけで入学してちょうだい!!」

僧侶「嫌です。3人で行きます」

魔法使い「だったら招待状を力づくで奪うことね!!私も手加減しないから!!」

僧侶「……戦士さん、ちょっと来てください。作戦を練りましょう」

戦士「うむ」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:25:44.06 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「……あいつら何やってるのかしら」

魔法使い「放っておけばいいわ。それより私は勇者を……」

僧侶「おまたせしました」

魔法使い「……何?戦うっていうの?」

戦士「すれ違いコント」

僧侶「お花を摘みに行くという表現の意味を知らないパーティーメンバーとの会話」

魔法使い「…………」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:26:25.69 ID:3fHmNG6P0

僧侶「うう、冷えてきましたね。ちょっとお花を摘みに行ってきます」

戦士「おう、俺も手伝うぞ」

僧侶「何言ってるんですか!!」

戦士「カップに浮かべるといい感じなんだよな」

僧侶「注ごうとしないでください!」

戦士「俺はまっ黄色いのが好きだな」

僧侶「好きとか言われても困ります!!」

戦士「僧侶は女の子だし赤が好きそうだな」

僧侶「それ一番嫌です!!」

戦士「青いのも良いよな」

僧侶「それ病気です!!」

戦士「風情を感じるよな」

僧侶「どこに!?」

戦士「ひらひらしてるところに」

僧侶「ビラビラしてますから!!」

デデーン 魔法使い アウトー
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:27:29.79 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「最後のツッコミはないわ……痛っ!!!!」

僧侶「戦士、今よ!!」

シュパ!

戦士「推薦状は預かった。三人分アカデミーへの入学手続きをさせてもらう」

僧侶「頭を冷やしてからまた会いましょう」

魔法使い「ちょっと待ちなさいよ!!力づくで止め……」

戦士「因みに茶色いのも好きだ」

魔法使い「wwwww」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「こ、こんな低俗なネタで……痛っ!!!」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:28:14.86 ID:3fHmNG6P0

〜アカデミー〜

僧侶「戦士さん、おはようございます」

戦士「おお、僧侶。俺らは隣の席みたいだぞ」

僧侶「それはよかったです。あっ、魔法使いさん。おはようございます」

魔法使い「……おはよ」

僧侶「おはようございます。みなさんとクラスメートになる夢が叶いそうです」

魔法使い「……叶いそう?」

僧侶「勇者さんが揃ったら叶います。私だって、見つけるのを諦めてなんてないですよ」

魔法使い「……昨日はごめんなさい」

僧侶「ふふ、お互い様です」

バタバタ! ドタドタ!

戦士「なんだか廊下が騒がしいな」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:28:53.06 ID:3fHmNG6P0

「あー!!もう!!最悪!!」

生徒A「げっ、アクアのやつ、朝から不機嫌だぜ!」

生徒B「何があったかは知らんが、巻き込まれないようにしとこうぜ」

アクア「……あんたたち、何か言った?」

生徒A・B「い、いえ!!何も!!」

アクア「私に喧嘩売るつもりなら、いつでも買ってあげ……」

コツ コツ

先生「どうされましたか。ミス・アクア・デ・ルシャルイローズ・シャンメリゼ」

アクア「……何でもないわ」

先生「そうですか。では、朝礼を始めるので席についてください」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:29:40.11 ID:3fHmNG6P0

戦士「あの女子生徒、なんだか異彩を放っているな」

僧侶「なんでしょう……表現するなら……」

魔法使い「澄み渡るようなブルーに染まった髪。西洋のお人形さんの様な顔立ちで、唇はほんのりとした桃色。くっきりとした目鼻立ちて気の強さを感じさせながらも、そっと伏せた目からは切なく脆い印象を受けるような……」

僧侶「今のは何ですか?」

魔法使い「な、何でもない!!」

魔法使い「(あまりにもヒロインらしさを感じて、つい本みたいな描写を口にしてしまった……)」

魔法使い「(こんなこと今までなかったのに……嫌な予感がする……)」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:30:28.04 ID:3fHmNG6P0

先生「みなさん、はじめまして。私がこのクラスの担任です。よろしくお願いします」

生徒A「先生!!毎日顔をあわせてんだから知ってるよ!!」

先生「長期コースのみなさんはいつも顔をあわせていますが、短期コースの生徒さんが新しくお仲間になります。短い期間の参加とはなりますが、既に働かれている社会人の方もいらっしゃるので、ぜひ交流を深めてくださいね」

戦士「俺たちのことだな」

僧侶「し、しばらくよろしくお願いします……」

魔法使い「ふんっ」

生徒A「へー、あの二人の女、ツラは極上じゃん」

生徒B「短期コースだし能力はしれてるな。どうせコネだよ。お遊び相手なら最高だけどな」

戦士「……こやつら」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:31:27.91 ID:3fHmNG6P0

先生「さて、もうひとりご紹介です、本日から長期コースのお仲間になる、転校生の方がいらっしゃいます」

ガヤガヤ……

生徒A「こんな時期に長期コースに編入なんて珍しいよな」

生徒B「噂で聞いたんだけど、入学前テストでレベル1だったって噂だぜ」

生徒C「はぁ!?レベル1!?こりゃあ、初日で逃げ出すな」

生徒A「ギルドにも入ってたけど、すぐ追い出されたらしいぞ」

生徒B「落ちこぼれ決定だな。まぁ、アクアみたいな乱暴者じゃなければ誰でもいいけど」

アクア「…………」ギロ…

生徒B「ひっ!!」

先生「それでは、教室に入ってきてください」

ガラガラ……

魔法使い「……えっ」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 04:31:58.52 ID:3fHmNG6P0

「はじめまして。今日からこのアカデミーで一緒に学ばせていただく」

勇者「勇者と申します」

魔法使い「っ!?」


アクア「あー!!あんたは今朝の!!!」

勇者「げっ!!!お前はビチャビチャ!!!」

アクア「ビチャビチャって言うな!!」


僧侶「ど、どうなっているのでしょう……」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:30:24.49 ID:3fHmNG6P0

先生「1時間目はガイダンスですが、2時間目からは魔法訓練を行います。みなさん、新入生にわからないことがあったらお手伝いを……」

生徒A「しつもんしつもーん!勇者くんのスキルって何なんですかー?」

先生「えーと……」

勇者「スキルは『地面に落ちているゴミが気になる』です。よろしくお願いします」

生徒A「くくっ……ありがとうございまーす!」

生徒B「聞いたか今の!?外れスキルもいいところだぜ!!」

生徒C「しかもレベル1!こりゃ終わりだな」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:31:24.66 ID:3fHmNG6P0

僧侶「まさかの勇者様との再会ですね。ただ、私達のことをまったく気にかけてくれませんが」

戦士「瓜二つの別人じゃないか?」

魔法使い「……そんなことないよ。戦士があげたミサンガも、私があげた道具袋も持ってる。間違いないよ」

僧侶「事故のショックで記憶を失っているのかもしれません。無意識のルーティンで物を身に着けることもありますし」

戦士「しばらく様子を見たほうがよさそうだ」

僧侶「そうですね。装備を整えるのも勇者様の記憶が戻ってからにしましょうか」

魔法使い「記憶喪失……そんなの認めないわ……」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:32:05.47 ID:3fHmNG6P0

〜2時間目 魔法訓練〜

魔法使い「ガイダンス後はいきなり魔法訓練なんて、なかなか厳しいアカデミーね」

僧侶「新学期が始まる前に、基本的な座学は自習していることが前提となっているんです。これは訓練という名の、生徒の実力を測るテストのようなものですね」

戦士「俺は魔法はからきしなんだが……」

僧侶「魔術を使える生徒しか基本いないので、仮病で休むのが一番です」

戦士「…………」

魔法使い「勇者ったら、長期コースの若い生徒たちに囲まれてるわね」

僧侶「それに、なんだかあの水色の髪の女の子と口論になっているようです」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:32:53.24 ID:3fHmNG6P0

勇者「あれは不可抗力で!!」

アクア「初めて会ったのにあんなことまでして!!あんたのせいでお嫁に行けなくなったらどうすんのよ!!」

勇者「だから事故だって!!それに、あんたなら貰い手なんてたくさんいるだろ!!」

アクア「はっ///へっ///ばか、何言ってんのよ!!!そ、それじゃあ……あんたが私のこと……」

勇者「その暴力癖さえなおしたらな」

アクア「こんのぉ〜!!!!」

勇者「や、やめろビチャビチャ!!あんな水責めは二度とごめんだ!!」

アクア「だからビチャビチャって言うなぁ〜!!!」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:34:03.49 ID:3fHmNG6P0

戦士「仲がよさそうだ。俺たちがいなくても成立するような寂しさを感じる」

僧侶「なんだかあの子、魔法使いさんに似てますね……ってあれ、魔法使いさんは?」

戦士「向かって行ったようだぞ」

僧侶「様子を見ましょうと行ったのに……」



魔法使い「ちょっと、馬鹿勇者!!今まで何やってたのよ!!」

勇者「ぼ、僕?」

魔法使い「本当に心配したんだから……さっきから私たちのこと無視するし。何かあったなら、ちゃんと言ってよ!!」

アクア「どういうこと?あんた他の女の子にもちょっかい出してるわけ!?」

勇者「誤解だよ!!」

魔法使い「何が誤解なのよ!!」

勇者「君たちのこと、知らないよ!!!」

魔法使い「…………そう。わかった」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:34:50.74 ID:3fHmNG6P0

先生「はい、それじゃあ次の生徒。魔法使いさん、こちらに来てください」

魔法使い「……はい」

先生「あの人形に向かって、得意な攻撃呪文をぶつけてください。大砲でも撃ち抜けないほど頑丈な素材でできているので、遠慮なく攻撃してください」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:35:42.00 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「どういうことよ……私たちのこと、忘れちゃったっていうの?」

魔法使い「……なんでそんなことになったのよ。なんでこんな目に遭うのよ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

魔法使い「『爆炎弾!!!!!』」



先生「……ほぉ」

生徒A「すげぇ!!人形が遥かまで吹き飛んだぞ!!」

生徒B「なんて威力だ!!もしかして、レベル5の実力があるんじゃないか?」

先生「それでは次の生徒。アクアさ……」

アクア「『清冽なる水龍の涙(デ・セ・ポルネルーゼ・クアンテット)』!!!!!」



――――――――――――――――――


91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:36:31.12 ID:3fHmNG6P0

アクア「ふん、こんなもんよ」

生徒A「おわ〜すげー!!!」

生徒B「相変わらず恐ろしい水流だな!!さすが学園都市最強のレベル5!!」

先生「今年は面白い生徒が多そうですね……。では、次。勇者さん、前へ」

勇者「はい、今いきます……あれ、なんか地面に埋まってるぞ」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:37:26.47 ID:3fHmNG6P0

先生「どうされましたか?」

勇者「いや、地面に何かゴミが埋まってて。つまづいたら危ないので取ってもいいですか?」

生徒A「あいつ、洗練された一角獣の伝説を知らないのか?」

生徒B「学園創立以来、訓練場の地中に埋まっているという謎の武器。周りの土を爆発させようが絶対に掘り出せない」

生徒C「もしそんなの掘り出せるとしたら、あの偉大なる伝説の偉人、ガオガー・D・バネットの子孫ってことに……」

ひょい

勇者「あれ、抜けたぞ?」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:38:09.16 ID:3fHmNG6P0

「う、うそだろ!?」

「あれが洗練された一角獣!!手のひらに収まるくらいのサイズだ!!」

「シルバーの輝きだな。しかも四角い形」

先生「これは……勇者さん。その武器を使って、あの的を攻撃してみてください」

勇者「攻撃つったって、一体どうしたら」

『起動してください』

勇者「だれだ、今の声」

『私の名はヒップ。側面についているボタンを長押ししてください』

勇者「ええと、これか。押してみるか」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:38:50.02 ID:3fHmNG6P0

――――ピカン!

僧侶「光り出した!!」

戦士「りんごのマークが見えるぞ!!」


勇者「は、羽のように軽い……いや、羽よりは重い」

勇者「初めて握るはずなのに、ずっと使ってたみたいに……スマートに操作できる……」

勇者「いくぞ」

勇者「『フラッシュライト!!!』」

ピカーーーーーーーーーーーーーーーン!!



「人形が……消滅した」

先生「伝説のオーパーツ、洗練された一角獣『スマートホーン』を手にしましたね」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:39:23.20 ID:3fHmNG6P0

生徒A「今年の新人はやばいぞ!!」

生徒B「俺たちとは桁違いだ!!」

先生「次は戦士さん。よろしくお願いします」

生徒C「次は、一体どんな力が……」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:40:05.70 ID:3fHmNG6P0

戦士「やぁーーーー!!!!!!」

ダダダダ!!!!

戦士「ていていてい!!!!」

ザシュザシュ!!!

戦士「せいせいせい!!!!」

ズバズバズバ!!!


………… ………… …………

………… ………… …………

………… ………… …………

先生「…………」

魔法使い「…………」

僧侶「…………」

アクア「…………」



戦士「……あれ?」

戦士「またオレ何かやっちゃいました?」

デデーン 魔法使い アウトー

魔法使い「本当にやらかしてる……イタッ!」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:43:15.94 ID:3fHmNG6P0

〜昼休み〜

魔法使い「勇者に何が起きたかわかったわ」

僧侶「一体何が?」

魔法使い「あいつは今、ナロウ系主人公になっているの」

僧侶「?????」

魔法使い「narrow(ナロウ)って異国語知ってる?」

僧侶「ええと、狭い、という意味だったかと」

戦士「ナロウ系主人公とはなんなのだ?」

魔法使い「私は冒険譚とかよく読んでたからわかるんだけど。ファンタジー世界に転生した無双系主人公をそう呼ぶの。趣味を同じくする者同士の距離感を縮めることから、ナロウって言葉で表現しているんだけど」

僧侶「なるほど。勇者さんはどういうわけか記憶を失い、ナロウ系主人公としてこの世界に再登場しているわけですね。ところで、そういう冒険譚は面白いのでしょうか」

魔法使い「私も昔はよく読んでたわ。主人公が最初から最強な状態で冒険を進めていくから、無敵な自分の理想像を重ねてしまえるのよね」

戦士「けしからん!!鍛錬や努力あってこその強さであろう!!」

魔法使い「それじゃあ魔法も覚えてくださいな」

戦士「俺は剣術で生きるのだ!!勇者が使ったあのインチキ光線など言語道断!!」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:45:10.57 ID:3fHmNG6P0

僧侶「まぁまぁ、本題に戻りましょ。勇者様の記憶はどうすれば戻せるのでしょうか?」

魔法使い「そんなの簡単よ。ナロウ系主人公の座から引きずり下ろすのよ」

僧侶「どうやって?」

魔法使い「徹底的に笑わせて、尻を叩かせまくる」

魔法使い「気取ったナロウ系主人公のプライドを破壊し、主人公の座から引きずり下ろすのよ!!」

僧侶「それじゃあ私たちが悪役みたいでは……」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:47:39.33 ID:3fHmNG6P0

〜入学1週間後〜

勇者「おいおい、ドラゴったら。学校なんだから大人しくしてろよなー」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」

アクア「ちょっとあんた!!今朝もまた逃げたわね!!しかもそんな派手な銀髪にして!!」

勇者「げっ!ビチャビチャ!!これは薬瓶をうっかり被っただけで……」

巫女「勇者様、おはようございます。先日は一夜を共にしていただきありがとうございました。それにしてもドラゴったら、すっかり懐いちゃって」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」

アクア「一夜を共にって……あんたねぇー!!!!」

勇者「誤解だっつーの!!」

眼鏡っ娘「あっ、勇者くん!!昨日は私が一人で帰っている時に暴漢から守ってくれて本当にありがとう。古代に失われたはずの伝説のスキル『地表看破』により罠を全て見破った姿、とてもかっこよかったです。ちなみに私は男の子とまともに話したことのない処女です」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:48:21.55 ID:3fHmNG6P0

僧侶「数日様子を見ている間に勇者様がドラゴンみたいな魔物に懐かれています。髪の毛も銀髪になっていますし、ヒロインらしき人物も一気に増えています」

戦士「くそ、勇者の奴。常に女に囲まれているか、トラブルとの遭遇続きで話しかける隙さえない。登場人物も増えすぎて覚えきれん……。女子に囲まれても全然うれしくなさそうなのは格好つけてるだけなのか?」

魔法使い「それが主人公属性なのよ」

僧侶「地表看破だなんて初めて聞きましたけど。勇者様にそんな力が?」

魔法使い「それは多分……」

僧侶「あっ、勇者様が頭を抱えながら溜め息をついています!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:49:01.02 ID:3fHmNG6P0

勇者「目立ちたくないのに余計なことしちまった。これから異界の十字架(エルシュアレンス・サウザンドクロス)を手に入れて聖騎士の魔窟(ホーリートワイライト・カーズ)を攻略した後、腐海の大時計(クロノ・デュ・マザー)を巨神の大振り(ギガンティック・ウォー・オブ・ウォー)しないといけないってのに……」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「ダメです、一語も解読できませんwwwキャッ!」

戦士「魔王討伐より凄そうなのは気のせいか?」

魔法使い「ナロウ系主人公としての適正が高すぎる……。このままじゃ、ヒロインと一夫多妻制のハーレムエンドに……」

魔法使い「なんとかしないと……」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:50:13.76 ID:3fHmNG6P0

〜昼休み〜

魔法使い「あのさ、勇者……くん」

勇者「ええと、魔法使いさんだっけ?」

魔法使い「うん。珍しく一人だね」

勇者「そうだね。あれ、いつも一緒にいる友だちは?」

魔法使い「ヒロイン払い……えっと、他の女の子たちと話してるみたい」

勇者「そうなんだ」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:51:08.57 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「記憶を失ってるって、本当?」

勇者「そうなんだよね。幼い頃の記憶とか、冒険してた記憶とかあるんだけどさ」

魔法使い「…………」

勇者「何のために頑張っていたのか。誰と一緒に頑張っていたのか。肝心なピースが欠けている気がしてさ。剣術も魔術も、今の俺は何も使えないんだけど、体にその痕跡は残っているような」

魔法使い「……そうなんだ」

勇者「君は僕のことを何か知っているのか?」

魔法使い「どうかな……。知っているつもりになってただけってこと、たくさんあるから」

勇者「例えばどんな?」

魔法使い「1番と2番って、全然違うよね」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:53:11.64 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「いつも1番前で歩く人はさ。罠を警戒して地面を見る癖が刷り込まれているから、猫背になりがちになっちゃうよね。それを知らない2番目に歩いている人は、シャキっと歩きなさいよなんて偉そうに注意するんだ。なのに笑顔で、気をつけるなんて返事されてさ」

勇者「それは君のお仲間の話かな。戦士くんとか?」

魔法使い「さあ、どうだろ」

勇者「僕は僕のことをちっともわからないよ」

魔法使い「それは、記憶のある私だってそうだよ。自分自身のことなんてちっともわからない」

魔法使い「でもさ。誰かを想うとき、その人が自分にとってどんな存在かは、はっきりとわかるんだ。その人が記憶を失ったとしても、私にとってのその人は変わらないんだ」

勇者「……魔法使いさん?」

魔法使い「あれだけきれいな女の子たちに囲まれて。私みたいなガサツな女はきっと1番になれないかもしれないけど」

魔法使い「一夫多妻制のこの設定の中なら、私でも第4夫人くらいには……」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「1番と2番は違うという良さげな話をした直後に、なに一夫多妻制を受け入れようとしてるんですかwwwwwキャッ!!」

魔法使い「僧侶!!?いたの!?」

僧侶「ちょっと来てください!!お説教です!!懺悔なさい!!」

勇者「あれ、行っちゃった」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:54:47.58 ID:3fHmNG6P0

僧侶「戦士さんはどこか行ってるし、私ひとりで死にものぐるいでヒロインを遠ざけてたのに!なに第4夫人になろうとしているんですか!!笑わせるチャンスだったのに!!」

魔法使い「なによ!!私の人生だから、私の幸せは私が決めるわよ!!」

僧侶「一番を遠くに感じてしまう不幸は確かにあるかもしれません!!でも、二番目を一番だと思い込もうとするのも不幸だと思います!!」

魔法使い「何を偉そうに!!」

僧侶「私だって失恋の経験くらいあります!!あなたたちと会う前の話ですが!!」

魔法使い「失恋したんならやっぱり偉くないじゃない!」

僧侶「恋愛においては成就した人よりも失恋した人の方が偉いんです!!」

魔法使い「初めて聞いたわよ!!」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:56:46.87 ID:3fHmNG6P0

僧侶「余計なことは考えず、勇者さんの目を覚ましましょう!!魔王討伐の旅を再開させましょう!!」

魔法使い「でも、勇者って入学してから一度も笑ってないのよ。普通の人なら喜ぶようなことがあっても、ヤレヤレ、って肩をすくめるだけだし」

僧侶「勇者さんのツボに特化した、絶対に笑うジョークを数日かけて開発しました。これさえ仕掛ければ確実に笑います」

魔法使い「本当に?」

僧侶「王様の前で復活した後、勇者さんが笑った時を思い返したんです。トイレの大に関係するネタに弱いようでした」

僧侶「明日、食材調合の授業があります。その時に、クッキーをつくったふりをして、固めたウ○コを渡すんです。それを食べた勇者さんが『ウ○コじゃねーか!』とツッコミを入れながらゲラゲラ笑うはずなので、罰が執行されてお尻を叩かれます。みんなの前でお尻を叩かれてナロウ系主人公のプライドもズタズタ、女の子も幻滅するって戦法です」

デデーン 魔法使い アウトー
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 20:57:35.24 ID:3fHmNG6P0

魔法使い「いやもうブツを食べさせられた時点でプライドズタズタだからwww痛っ!!」

僧侶「自分だけブツって上品な言い方するなんてずるいです!」

魔法使い「僧侶のあなたこそ慎みなさいよ!というか絶対成功しない!!異臭騒ぎが起きた時点で通報されておしまいなクソ作戦よ!!」

僧侶「ウ○コだけに?」

魔法使い「うまくない!!」

僧侶「そりゃあまずいでしょうよ。さ、女子トイレまでご案内します」

魔法使い「私に何させるつもりよ!!却下却下!!!作戦は私が考えるからあんたは控えてて!!」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/27(月) 21:00:35.48 ID:3fHmNG6P0

僧侶「魔法使いさん、ジョークというものが通じないんですから。私の発想が天才過ぎるのでしょうか」

僧侶「それにしても戦士さんは一体どこに……」

シュバ!  シュバ!

僧侶「おや、先ほどの訓練場から空を切るような音が聞こえます」

シュバ!  シュバ!

僧侶「戦士さんの姿が見えます!素振りをしている様子ですね。剣術の腕が鈍らぬよう、鍛錬をされていたんですね」

……ト ……ト

僧侶「ん?」

戦士「フラッシュライト!!フラッシュライト!!」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「絶対出ませんからwwwwキャッ!!」

戦士「僧侶!!聞いてたのか!?」

僧侶「どうして私のお仲間は自分の世界に入りがちなのでしょうか」

戦士「こ、これは違う!!光線なぞに憧れなどない!!違うんだぁー!!!!」

僧侶「あっ……走ってどこかへ行ってしまった」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:14:52.47 ID:a+I1EmaE0

僧侶「戦果は今のところ皆無ですね。もう昼休みも終わってしまいますし、教室でゆっくりするとしましょう」

眼鏡っ娘「…………」

ペラ…

僧侶「(読書してますね。この人は大人しいんですよね)」

僧侶「あの」

眼鏡っ娘「は、はい!」ビクッ!

僧侶「いつも凄いですよね。授業中、誰も答えられないような地学や植物学の問題に回答されていて。文芸や歴史にも詳しいみたいですし」

眼鏡っ娘「はわわ……え、えっと。たまたま本で読んだ知識が出ることが多くて……」

僧侶「昔からずっと学術のエリートだったんですか?」

眼鏡っ娘「エリートだなんてとんでもない!!昔の話ですけど、初等部のお受験で失敗したこともあります。武芸が特に全然だめで……。ただ、両親が学者だったので、勉強を続けることでなんとか綱渡りしてきた感じで……」

僧侶「学問に強いだけで羨ましいですよ。私はそっちの知識はけっこう穴があって」

眼鏡っ娘「いえいえ、ただのガリ勉です」

僧侶「そんな謙遜なさらずに。ところで、何の本を読まれているんですか?」

眼鏡っ娘「はわわ…これは…」

【天才のあなたへ 〜職場の軋轢を避ける極意 『挫折を告白せよ』〜】

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「やられたwwwww」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:15:35.69 ID:a+I1EmaE0

僧侶「イタタタ……」

眼鏡っ娘「こ、これは、えーと、その……」

僧侶「大丈夫ですよ。実は、私も同じ本を持っているんです。ほら」

眼鏡っ娘「ふぇぇ!奇遇ですね!」

僧侶「天才は何かと嫉妬されがちで苦労しますよね」

眼鏡っ娘「は、はい!!」コクコク!

僧侶「凡人には天才のジョークが通じなくて困っちゃいますよね」

眼鏡っ娘「そうですよね!!きっと“お通じ”も悪くて笑う余裕がないんですよ」

デデーン 僧侶 アウトー

僧侶「(えっ、この子超天才……)イタッ!!」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:16:33.51 ID:a+I1EmaE0

アクア「何二人して楽しそうな話してんの?」

眼鏡っ娘「アクアさん!!い、いえ、何でも……」

巫女「私も混ぜてくださいよ。あと僧侶さん、さきほどは誰かが仕掛けたスケベな魔術から助けてくれてありがとうございました」

ドラゴ「ドラドラー♪」

僧侶「アー……イエイエ、オカマイナク」

アクア「私なんて男子に攻撃魔法仕掛けた疑いで先生に怒られてたわ!!あんなやさしい水温で私が攻撃するわけないっての!!」

僧侶「ソレハ……災難デシタネ……」



僧侶「(どうしましょう。この調子では、あっという間にタイムリミットが来てしまいそうです……)」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:17:32.55 ID:a+I1EmaE0

〜アカデミー最終日〜

戦士「とうとうこの日が来てしまったか」

僧侶「勇者様は長期コースの生徒として編入しています。今日中に記憶を呼び覚ませられないと、短期コースの私たちはそのまま卒業で離れ離れです」

戦士「しかし勇者の取り巻きが多すぎて、笑わせる隙なぞなかったぞ。上級生に8人、下級生に14人も勇者の追っかけが増えた。えーと名前はリリィにキュレンヌ、艶波音葉、マリアンヌ、風白麗香、ジョン、シュクランゼルにサマーセットに……もう覚えきれんわ!!!」

僧侶「このまま勇者様が戻らなかったらどうしましょう」

魔法使い「その時は、私たちだけで魔王討伐に行きましょう」

僧侶「無理ですよ!!相手は四天王に魔王、強敵が5体もいるんですよ!」

魔法使い「笑いの決闘なら勝てるかもしれないわ。人数が不安なら他に仲間でも加えればいいじゃない。それも無理なら故郷に帰りましょう」

僧侶「思ってもないことを口にしないでください!!」

戦士「喧嘩はやめだ。とにかく、今日1日、今まで以上に勇者に接近するのみだ」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:18:40.04 ID:a+I1EmaE0

先生「本日は短期コースの生徒さんにとって、最後の授業の日となりますね。そこで、特別に校外訓練を行います」

先生「『迷いの森』にて、月のキノコを採ってきてください。昼間に生えているものは珍しいですから、一本でも見つけたら成績に大幅に加点しますよ」

先生「チーム編成は1チーム4人までとします。ルール違反者はその場で退学としますからね。それでは、各自スタートしてください」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:25:29.48 ID:a+I1EmaE0

僧侶「チームは四人まで!はやく勇者様とチームを……」



巫女「勇者様、お供させてください。回復は私にお任せを」

眼鏡っ娘「わ、わたしもいきます!魔法植物の知識があるので、探索に力を貸せるかと……」

アクア「え、えっと私は……別にあんたと行きたいってわけじゃないけどさ。ほ、他の二人の女の子にあんたが変なことしないか監視するからついてく!!」

勇者「それはよかった。みんな、やっぱりお優しいんだね。心まで暖かくなりそうだ」

巫女「/////」眼鏡っ娘「////」アクア「ち、違うっての////」

ドラゴ「ドラドラァ……」

勇者「人数制限が四人ってだけで、ペットは人数に含まれないみたいだぞ。ドラゴも一緒に行こうな」

ドラゴ「ドララ〜♪」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:27:34.65 ID:a+I1EmaE0

僧侶「あっ……チームが組まれてしまいました」

戦士「おい、もうあいつら違和感ないぞ。成立している雰囲気を出しているぞ。アクアだのドラゴだの、よくわからん名前の世界観が定着してきているぞ」

魔法使い「いいわよ。私達3人で行きましょう」

僧侶「こっそり後をつけるのですか?」

魔法使い「はたから見たら7人編成になっちゃうわ。監視員もいるだろうし、そしたら即刻退学よ」

戦士「それなら勇者も退学させられて結果オーライなのでは?」

魔法使い「他の女の子3人も退学になっちゃうわ。僧侶もそれは望まないわよね」

僧侶「……ええ。いきなり学校の世界から放り出されるほど、大変な思いをさせたくありません」

魔法使い「運命に委ねるしかないのよ。ここで勇者であることの自覚に目覚めないようなら、きっと魔王を倒すことなんてできないわ」

魔法使い「だから私たちも、生徒らしく月のキノコを探しに行きましょう」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:29:28.46 ID:a+I1EmaE0

アクア「はぁ…はぁ…。ねえ、まだなの?」

眼鏡っ娘「……おかしいです。方位の魔法が正しく機能していません。以前何度か訪れたのですが、こんなことは初めてで」

巫女「最初の方は他のチームの気配も遠くに感じたのに、今は感じないです」

勇者「不穏だな。何かあったんだろうか」

ドラゴ「……ドラドラ!?」

勇者「ドラゴ、どうした?」

ドラゴ「ドラララララ…!!」

アクア「気配を感じる……!巨大な魔物!!」

巫女「邪悪なオーラがします!!!!!」



バサァアアアア!!!


117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:34:28.95 ID:a+I1EmaE0

ヤマタノオロチ「ヒヒヒヒ。この男か。魔王様が言っていた勇者っつー奴は」

アクア「な、何この怪物……」

ヤマタノオロチ「こいつをぶっ殺せば、人間の娘をたんまり貰えるんだな……ジュルリ……」

眼鏡っ娘「や、やまたのおろち……」

巫女「伝説の魔物が、なぜこんなところに!?」

ヤマタノオロチ「おおっと、極上の女もいるじゃねえか!持って帰れねえのが残念だ!!代わりにここでたっぷりかわいがってやるよ!!」

アクア「むかつく野郎ね。勇者下がってて、こいつは私がぶっ飛ばすから!!」

勇者「アクア!!」


―――――――――――

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:36:55.44 ID:a+I1EmaE0

戦士「ふうー、もう日が暮れそうだ。それにしても地形の隆起が激しい森だな。俺でも体力を持っていかれる」

僧侶「アカデミーにしてはハードな課題ですよね。月のキノコも全然見当たりませんし」

魔法使い「勇者のチームはもう見つけたのかしら」

僧侶「さて、どうでしょう……」

――ドラドラ!ドラドラ!

魔法使い「今の鳴き声!!勇者と一緒にいた幼獣の鳴き声!!」

僧侶「様子が変です。何か切迫しているような……」

魔法使い「合流しに行くわよ!!」

戦士「で、でもそしたら退学になってしまうのでは……先生に怒られてしまう……」

魔法使い「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!さっさと行くわよ!!」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:38:44.69 ID:a+I1EmaE0

ドラゴ「ドラドラ!!ドラドラ!!」

魔法使い「森が破壊されてる!!!この巨大な跡は何!!」

アクア「にげ……て……」

眼鏡っ娘「う、うう……」

魔法使い「一体何があったの!?」

巫女「ヤマタノオロチが出現したんです……勇者様を捕まえてあちらの方角に……」

戦士「お前たちが束になっても勝てないのか?」

巫女「いずれかの頭部を破壊しても、たちまち再生するんです。いくら攻撃してもキリがなくて……」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:40:11.64 ID:a+I1EmaE0

僧侶「弱点はないの?」

眼鏡っ娘「再生するのは頭部だけで、それ以外の部分は再生しません。でも、背後にまわる隙もなくて……」

戦士「勇者のスマートホーンの必殺技、フラッシュライトはどうした。あの最強技なら粉微塵にできるのでは?」

アクア「充電が切れたから使えなくなったって……」

魔法使い「(充電が切れた?ナロウアイテムならそんなことありえない…)」

僧侶「状況は大旨把握しました。これからみなさんに回復呪文と保護呪文を施しますので、じっとしていてください。あとは私たちに任せてください」

アクア「無茶よ!!あんな化け物、どうやって……」

僧侶「困った時こそ、笑い事で済ませるんです。それでは、また」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:43:51.79 ID:a+I1EmaE0

勇者「うぅ……ここは……」

ヤマタノオロチ「目覚めたか。だがもう遅い。わしの仲間も迎えに来た」

ブロロロロ……

勇者「あれは、トラック……」

ガチャ…

先生「どうも、お待たせしました。ヤマタノオロチくん、そいつごと一緒に、荷台の中に乗り込んでください」

勇者「先生!?」

ヤマタノオロチ「魔王様の命令とはいえ、またあんなところに押し込められるのか。しかも勇者の奴なんかと」

先生「ご安心を。そいつは勇者であるときの記憶を失っています。偽チート武器のスマートホーンを与えていたので、この期間ろくに武術も魔術も磨いていない。戦闘力はほぼ皆無です」

先生「異世界を渡り歩いては、何度もトラックで才気を秘めた若者を吹き飛ばしてきたこの私ですが。まさか同じ世界に転生する者がいようとは。よほどこの世界への執着が強いらしい。まぁ運良く記憶を消せたのでよしとしましょう」

勇者「嘘だ……何かの間違いだ……」

先生「魔王様も心配性だ。アカデミーの推薦状をこいつの故郷の王国に送り、私の縄張りであるこの学園都市に誘い込むとは。迷いの森の深部から魔王城へのルートを繋げる作業も今朝やっと終わりましたよ。さて、勇者の身柄を魔王様へ献上しに……」

魔法使い「話は全て聞かせてもらったわ」

先生「……おや。悪い生徒が隠れていたようですね。退学にしますよ?」

戦士「退学は嫌だぁああああ!!!!!」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:44:57.29 ID:a+I1EmaE0

魔法使い「僧侶!!貸して!!」

僧侶「どうぞ!!」

先生「黄金に輝くトロフィー……まさか!!」

魔法使い「ポチッとね!!」

ピカン!

ヤマタノオロチ「なんだ?変な光を浴びたぞ?」

先生「ヤマタノオロチ、“絶対に”笑ってはいけませんよ!!笑いの決闘モードに入ったんです!!」

ヤマタノオロチ「はぁー、何言ってんだ?」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:51:52.22 ID:a+I1EmaE0

魔法使い「ねえねえ、ヤマタノオロチさん。あなたに良いニュースと悪いニュースがあるの」

ヤマタノオロチ「ああ?」

魔法使い「まずは良いニュースから。あなたが痛ぶった女の子3人について……」

魔法使い「死んでいるのを確認したわ」

ヤマタノオロチ「ゲハハハwwwww死に様をみたかったぜwwwwwwww」


デデーン ヤマタノオロチ タイキック


ぷわわわ〜ん

ヤマタノオロチ「なんだこの音は?」

先生「まずい!!逃げろ!!」

ヤマタノオロチ「おい、なんだ貴様!!まわりこむんじゃねえ!!」

ヤマタノオロチ「な、なんて速さだ!!やめ!!やめろ―――――」




――――――――――パァアアアアアンン――――――――――



124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:53:51.64 ID:a+I1EmaE0

ヤマタノオロチ「…………ニッ…………ミ…………」ピクピク…

魔法使い「悪いニュースは、あんたに良いニュースなんかなかったってことよ」

戦士「凄まじい破壊力……」

僧侶「避けようとするのも虚しく、お尻が消し飛びましたね。胴体を失いバラバラになった頭部が痙攣しているのはグロテスクですね」

魔法使い「これが、“絶対に”笑ってはいけないボタンの力」

僧侶「対象はヤマタノオロチに絞っていたから、これで一旦解除されましたね。先生は戦闘で仕留めましょう」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 01:55:16.59 ID:a+I1EmaE0

勇者「うぐ……」

僧侶「勇者様、今治癒呪文をかけますね」

勇者「すまない……」

魔法使い「さて。そろそろあんたの正体を明かしてもらえるかしら。魔王の手下の魔物さん」

先生「クククク……半分不正解だ。私は魔物ではなく人間だ」

先生「そして、半分は正解だ。私は『四天王』の一人」

先生「暴走のトラック使いだ!!」

先生「お前ら全員、異世界に飛ばしてやるよ!!!!」

ブロロロロロロ!!!!
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:11:03.81 ID:a+I1EmaE0

僧侶「まずい!!トラックに乗ったまま突っ込んできます!!」

魔法使い「これでもくらいなさい!!」

魔法使い「『爆炎弾!!!!!』」

先生「ふん、バカが」

シュン! ! !

魔法使い「呪文が消えた!?」

先生「このトラックの正面に触れたものは、人であろうが呪文であろうが異世界に飛ばせるんだよ!!!!」

勇者「うわ…く、くる…!」

魔法使い「勇者、危ない!!」

ドン!
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:11:53.63 ID:a+I1EmaE0

先生「くっそ、避けられたか」

魔法使い「痛っ……」

勇者「ど、どうして俺なんかのことを守って!」

魔法使い「……正直、迷ってた。魔王討伐のために苦難に満ちた冒険を続けるより、ここで楽しい学園生活を過ごした方があなたは幸せなんじゃないかって」

魔法使い「でも同じ様な選択肢は、記憶を失う前のあなたにだってあったはず。それでも尚、私達と命がけの冒険をすることをあなたは続けた」

魔法使い「私だったらどう思うか考えたの。あなたの幸せを願っているから別れるなんて言われるよりも。あなたが必要だから一緒に来てほしいって言われる方が幸せだって思った」

魔法使い「だから勇者!!これからも、私達と一緒に冒険を……」

先生「遺言は済んだか!今度こそくらえ!!」

ブロロロロロ!!!!

魔法使い「勇者!!避けて!!!」

勇者「……違う!!狙いは僕じゃない!!」

先生「気づくのがおせーよ!!!」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:12:48.36 ID:a+I1EmaE0

魔法使い「っっ!!」

バン!

魔法使い「…………うぐ……」

勇者「魔法使いさん!!」

僧侶「ドリフト運転で車体の後部をぶつけた!!」

先生「正面からの突撃でしか異世界に転生させられないのは残念だが、不意をつく必要があったからな。攻撃魔法の使い手が一番やっかいなんだよ」

先生「おい勇者、俺はそこに倒れている女めがけてまた突っ込む!!かわいそうだったら守ってやることだな!!」

ブロロロロロロ!!!!
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:14:51.26 ID:a+I1EmaE0

僧侶「(まずい、魔法使いさんは深手を負ってる!!この距離から回復呪文をかけに行っても間に合わない!!)」

僧侶「(勇者様が前に轢かれた時は、現世への執着が強かったからこの世に再転生させられたと聞きました。もし記憶を失っている今の勇者様が轢かれたら、今度こそ異世界に転生してしまう……)」

戦士「くそ……剣技では歯が立たぬ!!飛び道具さえあれば……」

先生「くたばれええ!!!!」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:15:35.65 ID:a+I1EmaE0

魔法使い「勇者……逃げて……」

勇者「なんで最後まで、僕を救おうとするんだ……」

魔法使い「それはね……あなたが、私を救ってくれたから。ずっと前、二人で冒険を始めようって声をかけてくれたあの時から」

魔法使い「だから、世界を救いたいというあなたの願いを、私も手伝ってあげたかったんだ」



『ほら、シャキっと胸を張って!勇者なんだから!』



131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:55:29.99 ID:a+I1EmaE0

勇者「…………」

魔法使い「……勇者?」

勇者「……トラックが走ることで、雑草が宙に飛んでるな。蟻も這いずり回ってる。小石も転がってる。砂も舞ってる」

勇者「小さいものが色々な動き方をする……フッ……まるで将棋だな」

――――!!?

勇者「そうか……『駒』を投げれば!!!」



ダダダダダ!!!!!

戦士「どうした勇者!!こっちなんかに来て!!!」

先生「ふははは!!女を見捨てて逃げ出したか!!!!」

勇者「戦士、身体借りるぞ!!!」

戦士「ちょ、ちょ、ちょ?」

僧侶「勇者様、戦士さんを抱えて何を!?」

勇者「飛べぇええええぇえええええええええ!!!!!!」




バリイイイインン!!!!!



132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:57:13.06 ID:a+I1EmaE0

僧侶「ドア側の窓から戦士さんを投げ入れた!!」

僧侶「なるほど!!飛び道具がないなら、飛び道具をつくればいい!!!おかげでトラックの軌道も魔法使いさんから逸れました!!飛車に駒をぶつけるなんて、お上手ですね!」

魔法使い「勇者、記憶を戻したのね……」

勇者「ああ、待たせたな」

魔法使い「遅いわよ、バカ」

僧侶「魔法使いさんも、今治癒呪文をかけますね」

魔法使い「ありがとう。僧侶も怪我はない?」

僧侶「ドラドラ〜♪」

デデーン 勇者 魔法使い アウトー

勇者「なんで急にドラゴの真似www痛っ!!」

魔法使い「怪我してるのにwwwwイッタアア!!!」

僧侶「私に苦労させた罰です。さて、これで一件落着ですね」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 02:59:08.81 ID:a+I1EmaE0

先生「あが…………がぁ……」戦士「うぐぉ………ぬぉ……」



〜アカデミー〜

校長「今回の件はお見事じゃった。奴は巧妙に正体を隠しておった。見破れなかったのはわしの責任じゃて……」

勇者「魔物が化けているならともかく、奴は人間でした。正体を見破るのは困難だったでしょう」

アクア「まさか、あんたが魔王討伐の旅に出ている勇者だったなんて。ごめんなさい。無礼を働いてしまったわ」

眼鏡っ娘「魔王城の付近まで到達したという噂を聞いていたので。まさかこのアカデミーに入学しているとは夢にも思いませんでした……」

勇者「気にしなくていいって」

巫女「本当に、ここでお別れなのですか?」

ドラゴ「ドラドラ……」

校長「そうじゃ。せめて今夜一晩くらいは皆でゆっくりしてはどうか」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:02:03.15 ID:a+I1EmaE0

僧侶「先生が魔王城に直通する通路を開通させていたんです。いつ閉じるかわかりません。準備を整えたら今すぐにでも森に戻って、魔王城へ乗り込むつもりです」

アクア「今から!?本気!?_」

魔法使い「魔王城って到達するまでの道のりこそが大変で、道具も魔力も大幅に消費してしまうの。それらの過程を飛ばして魔王城に直接乗り込めるチャンスなんてきっともう訪れない」

戦士「残念だが、ここでお別れだ」

校長「しかたあるまい。道具と装備は、この学園にある限りで最上級のものをわたそう。ちょうど4名分あるはずだ。今すぐ手配してくるから待っておれ」

僧侶「50万Gを使わずに済んじゃいましたね」

勇者「紆余曲折あったけど、目的達成だな」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:05:27.99 ID:a+I1EmaE0

アクア「あとさ、ええと……」

戦士「アクア殿、どうした?」

巫女「実は、みなさんに向けて色紙を書いたんです。数日前からこっそりと長期コースのメンバーで用意していて」

魔法使い「私達ひとりひとりに?」

眼鏡っ娘「もちろんです。冒険に持ち運びやすいように小さいサイズにしたので、皆さんと直接お話したメンバー分だけなのですが」

僧侶「ありがとうございます!!ずっと宝物にします!!」

勇者「今見てもいいのか?」

アクア「駄目!!絶対ダメ!!!」

魔法使い「ふーん……」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:08:03.96 ID:a+I1EmaE0

勇者「最新の装備、けっこう着心地いいな。これでバッチシだ」

眼鏡っ娘「残念ですが、お別れですね。短い間ですが、一緒のクラスで学ぶことができて楽しかったです」

僧侶「私こそ。大変なこともあったけど、楽しい学園生活でした」

巫女「皆様、お気をつけて。無事魔王を倒したら、今度は教師としてぜひこの学校にいらしてください」

戦士「剣術でよければ俺が授けよう」

アクア「……ちょっと、あんた!!」

勇者「は、はい」

アクア「この子泣かしたらぶっとばすからね!!」

魔法使い「えっ、私!?」

勇者「もちろんみんなのこと守るけど?」

アクア「はぁー……鈍感なんだから。あなたも大変ね」

魔法使い「何のことよ!」

アクア「みんな、気をつけてね。無理しないでね」

勇者「ああ。ドラゴも、元気でな!」

ドラゴ「ドラドラ〜♪」

勇者「俺たちが魔王を、ぶっ倒して……」



――――ドクン

勇者「(また……意識が遠のいて……)」

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:11:33.05 ID:a+I1EmaE0

魔法使い「勇者!?しっかり!?」

勇者「……思い出した。孵化するんだ」

僧侶「孵化?」

勇者「魔王の間には卵がある。それが魔王の前で孵化してしまうと、取り返しがつかないことになる。そして孵化するのは、今夜だ」

戦士「時間がないということか」

勇者「だから前回も、一人ずつ四天王と戦ったんだ。俺が卵にはやく到達できるようにするために。そして俺が魔王と一対一で対峙したんだ」

勇者「でも、勝てなかった。戦力差が開きすぎていた」

勇者「“笑いの決闘”で、戦いを挑むんだ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:53:04.91 ID:a+I1EmaE0

〜魔王城〜

魔王「……先生の帰りが遅い。勇者はまだ捕らえられぬのか。運命を狂わすあいつこそ、俺の目の前で確実に仕留めておきたい」

「予定では既に到着しているはずなのですが……。ヤマタノオロチも送り込んだので間違いはないはずです……」

魔王「油断するな。あやつは未知の可能性を秘めている。だから我輩も、一度では殺しきれなかった」




ブロロロロ…

魔王「……何か、外から聞こえぬか?」

「様子がおかしいですね」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:55:48.29 ID:a+I1EmaE0

ガチャ!

「大変です!!勇者が攻めてきました!!」

魔王「どういうことだ!!」

「先生が開いた通路をわたって、直接魔王城に入り込んできたようです!!」

魔王「魔物を警護に配備しているだろう。囲い込んで倒してしまえ」

「それが……」



ブロロロロロロロ!!!!!!!

勇者「覇王色の覇気!!!」

ドガガガガ!!!! ギャアアアアアア!!!!!!!

僧侶「勇者様が運転するトラックが、魔物の群れを蹴散らしていく!!」

勇者「このまま最上階まで一気に階段をのぼるぞ!!!」

魔法使い「敵が蜘蛛の子を散らすように逃げていくわね……」

戦士「大扉の前にたどり着いたぞ。強敵の気配が中からする」

魔法使い「トラックから降りるわよ。あとは大ボスさんをとっちめるだけね」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:57:52.69 ID:a+I1EmaE0

「……よくぞここまで来た」

戦士「貴様は、四天王だな!先生という奴は倒した!」

「ふん!奴は四天王の中でも最弱!」

武道家「俺とは格が違うんだよ!!」

僧侶「また人間!!魔王側に寝返ったというの!?」

武道家「難しい話は好きじゃねぇ。ごちゃごちゃ言ってねえで、どこからでもかかってきやがれ!!」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 03:59:39.45 ID:a+I1EmaE0

戦士「……勇者、一刻を争うのであろう。こいつは俺が食い止める。だから他の者は先に進んでくれ」

勇者「戦士……」

戦士「肉体派同士が一番単純だからいいのだ」

僧侶「でも、勇者様の夢によると、戦闘でわたしたちに勝ち目は……」

戦士「ああ、だからこれを使わせてもらう」

――ポチッ

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:00:45.48 ID:a+I1EmaE0

武道家「てめぇ!!それは魔王様が警告していた『“絶対に”笑ってはいけないボタン』!!俺と決闘モードにしやがったな!!」

僧侶「戦士さん無茶です!!あなたのギャグセンスはたかが知れています!!」

魔法使い「あなた笑い死にするわよ!!今のは笑いながら死ぬという意味ではなくて、一つの笑いも生み出せずに自己嫌悪で死ぬっていう意味で……」

戦士「お前らはどっちの味方だ!!邪魔だからさっさと卵のあるフロアへと進め!!」

勇者「……戦士」

戦士「勇者。言葉にせずとも漢同士だ。わかっておる」

勇者「リーダーなのに事前に確認していなかった俺が悪いんだけど、火葬と、土葬と……」

戦士「埋葬方法を聞くな!!ちなみに火葬だ!!とっとといけ!!!」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:03:47.46 ID:a+I1EmaE0

戦士「ふぅ……邪魔者は消えたか」

武道家「それ、俺のセリフじゃないのか」


ひぃっ…ひぃっ…

下級魔物「あのトラック怖かったぁ……逃げてるうちによくわからん部屋に来ちまった……。今度彼女の親父さんに会いに行くってのに、こんなところで怪我しちゃいらんねーっつーの」

武道家「おい、そこのお前」

下級魔物「ひぃ!!四天王様!!」

武道家「俺らは今から笑いで勝負を決する。だから大喜利のお題を出せ」

下級魔物「今人間界でも魔界でも流行のやつですかね」

武道家「何でもよい」

下級魔物「それじゃあ……」


『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。どうして?


武道家「……だいぶひねったお題だな」

戦士「イレギュラーという奴か」

下級魔物「(かなり王道だと思うのでげすが……)」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:04:56.82 ID:a+I1EmaE0

下級魔物「それでは、両者準備は整って?」

戦士「…………」

武道家「…………」

下級魔物「(腕を組んで目を閉じてる……まあいいや)」

下級魔物「回答は挙手制でお願いしやす。試合開始!!」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:12:34.06 ID:a+I1EmaE0

『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。どうして?

下級魔物「(このお題は、父親が手のひらを返すところがポイント)」

下級魔物「(無難な回答例としては)」

『石油王、と書かれた名刺を渡した』

『御社の株式を過半数保有していると告げた』

下級魔物「(でもこれだとありきたりだから、意外性の要素を強めるのがコツ)」

『私も女なんです、と言ったところ百合好きの父親が認めてくれた』

『お父さん。実は私、あなたの本当の娘じゃないのと彼女が衝撃のカミングアウトをした』

『お父さんを僕にください!と言ったところ、僕との結婚を認めてくれた』

下級魔物「(お題が王道だからこそ、着地点を意外なところに持ってくると面白い回答になるのでげす)」

下級魔物「(さて、二人は一体どんな回答を……)」

戦士「はい」

武道家「ちっ……」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:13:31.01 ID:a+I1EmaE0

下級魔物「あなたが先ですか。では、回答をどうぞ」

『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。どうして?


戦士「彼氏の、一生懸命で熱い思いに心を打たれたから」



下級魔物「…………」

下級魔物「(最悪です。ひねりも何もない。糞オブ糞回答で……)」

武道家「ぶほほほほほほwwww心打たれたんかーいwwwwwwww」

デデーン 武道家 タイキック

下級魔物「(え、なんで笑った?)」

武道家「しまった…………来る!!!!」

バチーーーーン!!!!

武道家「ぐおおおおおっ!!!!!!?」

戦士「さすがは四天王。ヤマタノオロチを吹き飛ばしたケリに耐えるとは」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:16:42.24 ID:a+I1EmaE0

武道家「……次は、こちらの番だ。はい」

下級魔物「武道家様!どうぞ!」

『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。どうして?


武道家「父殿は、本当に娘をやらない気などなかったのだろう。ただ、男の思いの強さを測るために、あえて厳しい父親を演じてみせていただけだったのだ」

下級魔物「(……えっ、そのまま?国語の授業のお時間ですか?)」

下級魔物「(この人、筋肉だけで四天王になったんだな……こんな回答じゃ……)」

戦士「不器用な父親だwwwwwしかしそれでこそ娘思いというものだwwwwwww」

デデーン 戦士 タイキックー

下級魔物「(もう嫌になってきた)」

戦士「俺は耐えるぞぉおお!!」

バチーーーーン!!!!

戦士「ぬおおおおおおおおっ!!!!!!」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:19:34.70 ID:a+I1EmaE0

戦士「……はぁ、はぁ。学園都市で身につけた最新装備がなければ、消し飛んでいるところだった。立っているのがやっとだ……」

戦士「次はこちらからいくぞ!!」

武道家「俺だって!!」





『彼氏が絶対に結婚したいと、懇願し続けたから』

デデーン…

『恋のキューピッドの妖精の力で、まず父親が彼氏に恋をして、彼氏が娘と結婚したいという要求に対して彼氏を想うあまりに承諾したから』

デデーン…

『宇宙人がやってきて、結婚を認めたくなるビームをかけたから。ビームの速度はトビウオと同じくらい』

デデーン…

『実は娘が地底人であることに気づいた父親は、怒りを買ってはいけないと渋々結婚を認めることになった。地底は意外にも涼しく、累進課税制度が整っている』

デデーン…

『彼氏がひいおばあちゃんちの実家にある暖炉をもってきたところ、和やかムードになったから』

デデーン…

『逃走中の銀行強盗が部屋に入ってきて、それをやっつけた彼氏に漢としての強さを見出したから。でもその銀行強盗が実は恋のキューピッドで、地底人と結ばれて……』

デデーン…
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:22:09.50 ID:a+I1EmaE0

戦士「がはっ……ごぼっ……」

武道家「ぶはぁ……ぜはぁ……」

戦士「……はい」

武道家「ま、まだ強力なネタがあるのか……」

下級魔物「戦士、回答どうぞ」

『お前に娘はやらん!!』と怒鳴っていた彼女の父親が結婚を認めてくれた。どうして?


戦士「…………彼氏が……紅白饅頭を……手土産に持ってきてたから……」

武道家「……めでたいwww」

デデーン 武道家 タイキック

武道家「はあ……俺、ここで死ぬな」

戦士「楽しかったぞ……お前は、真の武道家だ」

武道家「おまえこそ……戦士だったよ……」


バチーーーーン!!!!


―――――――――――――――




武道家「…………」

戦士「気絶している……」

戦士「勇者……今から……俺も加勢に……」

バタリ…



下級魔物「やっと……この苦痛から解放され……」

バタリ…

150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:25:57.48 ID:a+I1EmaE0

魔法使い「なんて長い階段なの。呪文で近道できないかしら」

僧侶「魔王城内では移動に関する呪文は全部かき消されてしまいます」

勇者「……今なんか、後方から凄い音がしなかったか」

僧侶「戦士さんが戦っているのでしょう。魔王の企てを止めたあとに、急いで戦士さんを助けに行きましょう」

勇者「ああ……。あれ、扉が見えてきたぞ」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:27:55.32 ID:a+I1EmaE0

「まぁ……よくここまで来たわね」

魔法使い「あんたも四天王ね!武道家は戦士が戦ってるわ!」

「ふん!奴は三天王の中でも最弱!脳筋のお粗末な奴よ!!」

賢者「この賢者様と一緒にしないでほしいわね」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:34:10.56 ID:a+I1EmaE0

僧侶「……賢者」

賢者「あら、よく見たら知ってる顔がいるじゃないの」

魔法使い「知り合いなの?」

僧侶「ええ……アカデミーで一緒のクラスで……」

賢者「あーら!!中退してたって言ってたけど、元気にしてたー!?あの頃は大変だったわね〜」

僧侶「……思い出したくもありません」

賢者「失恋したもんねぇ!!!私に大好きな人を取られちゃってさぁ!!学校中に知れ渡って悲しかったわねー!!!それで成績もみるみる下がって私に抜かれちゃってさ!!」

僧侶「…………」

賢者「でも安心して!!あの男、真面目でつまらないから、すぐ浮気して乗り換えちゃったから。あいつも落ちぶれて、今じゃ田舎の片隅で暮らしてるって噂よ」

僧侶「あなたという人は……」

賢者「燃えるじゃないの!!恋敵にリベンジする絶好の機会よ!!私があなたの相手になって……」

魔法使い「てい」

ポチッ

賢者「『“絶対に”笑ってはいけないボタン』!!」

僧侶「魔法使いさん!?」

魔法使い「こいつは、私がしばく」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:37:54.02 ID:a+I1EmaE0

僧侶「どうして」

魔法使い「感情に流されたんじゃないよ。戦略的に考えたの。魔王城の入り口から弱い順番で敵が配置されているでしょ。きっとこの次の広間で待つ四天王の方が強い」

魔法使い「私よりも天才なあなたこそ強敵に充てがうべきよ。切り札を雑魚相手に使うことほどもったいないことはない。カードゲームでいう、大富豪と同じ理屈よ」

賢者「舐めた口をきいてくれるじゃないの……」

魔法使い「さあ、はやく行って!!!」

勇者「魔法使い、どうか無事で!!」

僧侶「また後で必ず!!」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 04:47:09.72 ID:a+I1EmaE0

賢者「お題を決めたいところね」

フゥ…

中級魔物「あのトラック怖かったぁ……逃げてるうちによくわからん部屋に来ちまった……。家に帰ってドラゴンRPGやりたいのに、こんなところで怪我しちゃいらんねーっつーの」

賢者「おい、そこのお前」

中級魔物「ひぃ!!四天王様!!」

賢者「私らは今から笑いで勝負を決する。だから大喜利のお題を出せ」

中級魔物「それじゃあ、今RPGにはまってることだし……」

中級魔物「私がみなさんに『新しい仲間が加わったんだって?』と尋ねるので、誰が加わったか答えてください。次に私が『それはよかったねぇ』と言うので、そこでまた一言答えてください」

賢者「通なお題が出た」

魔法使い「座布団が出てきそうな雰囲気ね……」

賢者「どんなルールでもあなたに勝つわよ。すぐに潰して、あの勇者を追いかけに行く」

中級魔物「それでは、お考えください」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:22:06.97 ID:a+I1EmaE0

賢者「…………」

魔法使い「…………」

賢者「はい」

魔法使い「(もう!?)」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:25:41.26 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「賢者さん。新しい仲間が加わったんだって?」

賢者「恋人のいない僧侶が加わったんです」

中級魔物「それはよかったねぇ」

賢者「クリスマスは他宗派のやることだって言ってました」

魔法使い「……ふん、仲間の悪口で笑うほど性悪じゃないわ。次は私が行くわ」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:27:28.54 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「魔法使いさん。新しい仲間が加わったんだって?」

賢者「僧侶が加わったんです」

中級魔物「それはよかったねぇ」

魔法使い「はい。本当に、心の底からよかったです」

中級魔物「……?」

賢者「はぁ?全く笑いどころがないんだけど」

魔法使い「あんたの汚い言葉で汚れた、お耳直しよ」

賢者「遊んでる暇なんてないと思うけど。次は私」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:29:00.03 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「賢者さん。新しい仲間が加わったんだって?」

賢者「魔法使いが加わったんです」

中級魔物「それはよかったねぇ」

賢者「30過ぎの童貞でした」

デデーン 魔法使い タイキックー

魔法使い「私の悪口で来るかと思ったら……」

バチーーーーン!!!!

魔法使い「きゃああああああっ!!?」

魔法使い「な、なにこの痛み……今までの比じゃない……。……次は私よ」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:30:01.90 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「魔法使いさん。新しい仲間が加わったんだって?」

魔法使い「賢者が加わったんですよ」

中級魔物「それはよかったねぇ」

賢者「風俗帰りの素人童貞でした」

デデーン 賢者 アウトー

賢者「賢者タイムネタについ……」

バチーーーーン!!!!

賢者「イギっっっっっっ!!!!!!?」

魔法使い「下ネタでも何でも使って勝ってやるわよ」

賢者「同じボケを再利用する“天丼”テクニック……やるわね。次は私の番」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:30:51.53 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「賢者さん。新しい仲間が加わったんだって?」

賢者「女メンバーと話せない、勇者が仲間に加わりました」

中級魔物「それはよかったねぇ」

賢者「30過ぎて魔法使いに転職しました」

魔法使い「wwwww」

デデーン 魔法使い タイキックー

魔法使い「勇者の姿を重ねてしまった……」

バチーーーーン!!!!

魔法使い「イぃいいいいいいっ!!」

魔法使い「つ、次は私……」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:32:03.00 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「魔法使いさん。新しい仲間が加わったんだって?」

魔法使い「僧侶が仲間に加わりました」

中級魔物「それはよかったねぇ」

魔法使い「失恋でくたばりました」

賢者「wwwwwww」

デデーン 賢者 タイキックー

賢者「突然のディスリ……予測できるわけない!!」

バチーーーーン!!!!

賢者「ウグっっっっっっ!!!!!!?」

魔法使い「僧侶、私あなたのために戦うわ!」

賢者「その口が言うな……」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:34:26.87 ID:a+I1EmaE0

賢者「……はい」

デデーン…

魔法使い「……はい」

デデーン…

デデーン…

デデーン…

デデーン…
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:35:15.62 ID:a+I1EmaE0

賢者「はぁ……はぁ……」

賢者「(痛みで…頭が回転しない…)」

魔法使い「……あの子は……天才なのよ……あなたが足元にも及ばないほど」

賢者「……はぁ?」

魔法使い「思いやりの天才なのよ……」

賢者「それがなんだっていうのよ……」

魔法使い「……私の回答いいかしら」

賢者「!?」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 05:36:31.86 ID:a+I1EmaE0

中級魔物「魔法使いさん。新しい仲間が加わったんだって?」

魔法使い「思いやりのある、心やさしい僧侶が仲間に加わりました」

中級魔物「それはよかったねぇ」

魔法使い「それでも失恋でくたばりました」

賢者「wwwwwww」

デデーン 賢者 タイキックー

賢者「同じネタでの最悪のディスリ……前フリからの見事なオチだったわ……」


バチーーーーン!!!!


―――――――――――――――


賢者「…………」

魔法使い「気絶している……」

魔法使い「ふたりとも……今から……加勢に……」

バタリ…



中級魔物「女同士の争い……怖かった……」

バタリ…

165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 06:59:49.99 ID:a+I1EmaE0

僧侶「雰囲気が変わって来ましたね。魔王の座までもうすぐでしょうか」

勇者「……ふたりとも無事かな。魔法使いの相手も強そうだったし」

僧侶「きっと大丈夫です。仲間想いのあの子なら、誰もが笑顔になるようなやさしい冗談を思いついてくれます」

勇者「そうだな……。あそこ、また扉が見えてきた」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 07:01:36.29 ID:a+I1EmaE0

「ようこそ!よくここまで来たね!」

僧侶「あなたも賢者と同じ、四天王ですね!!」

「ふん!奴は二天王の中でも最弱!頭でっかちでユーモアのない奴さ!!」

勇者「お前、まさか……」

笑わせ師「この笑わせ師様と一緒にしないでほしいね。戦闘でも笑いの決闘でも、好きな方でかかってきなよ」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 07:02:49.45 ID:a+I1EmaE0

僧侶「勇者様、この人は」

勇者「そう。朧月夜の開闢トーナメント2020で、俺を敗北させた相手だ。僧侶と決勝戦で戦うはずだった」

勇者「こいつは危険だ!!こいつのリズムネタは……」

僧侶「ここで誰が戦うべきか、考えるまでもありません」

ポチッ

笑わせ師「君が僕の相手か。あの時の決勝戦を、ここで行おうじゃないか」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 07:03:31.04 ID:a+I1EmaE0

勇者「僧侶……」

僧侶「魔王を倒せるのはきっと勇者様だけです」

勇者「笑わせ師が四天王最強の敵だとしたら、それを上回る魔王を、笑わせ師に負けた俺が果たして……」

僧侶「勇者さん、私には笑いにおいて致命的な弱点があるのです。人を笑わせる点に関してはそれなりに自信があるのですが……。だからあなたが上に行かなければいけないのです」

勇者「弱点ってなんだ?ええと、自爆が多いとか?」

僧侶「それも時々ありますが、内緒です。決闘に集中したいので、はやく上に行ってください。卵が孵化してしまいますよ」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/04/28(火) 07:04:22.30 ID:a+I1EmaE0

僧侶「あっ、最後にひとつだけ!!これを!!」

勇者「……魔法瓶」

僧侶「決闘モードでは回復アイテムは使えませんが、あくまでお守りとして。私のお手製ですから」

勇者「……いつもありがとな。俺からも、ひとついいか」

僧侶「なんでしょう?」

勇者「ご笑運を祈る」

僧侶「……はい!」
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