ボーンゴーレム娘「人間の子供拾ったっす」ドラゴン「お前ざっけんなよマジで」

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190 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/25(月) 21:35:00.58 ID:nSxxkBfU0
シュウウ……

ドラゴ娘「……ハァ、ハァ!こ、この威力……!!」

ドラゴ娘(火の高位魔法と同程度のものを、詠唱・溜め無しで、だと……!?)

ドラゴ娘「……名剣・『竜殺し(ドラゴンキラー)』で受けなければ死んでいたな……!」

ザッ!

ドラゴ娘「……面白い。衰えてはいないという事か……!!」
191 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/25(月) 21:43:49.13 ID:nSxxkBfU0
ドラゴン「よーしボンゴレ、ちょっと待ってろよ」

ボンゴレ「はい?」

赤子「う?」

ドラゴン「今日の晩飯はドラゴニュートの丸焼きだ」

ボンゴレ「いやいやいやいや……魔物食べるのはアタシ嫌なんですけど」

ドラゴ娘「……殺る気という訳か。覇者・ドラゴン」ギロリ

ドラゴン「お前が帰らねえなら、そういう事になるな。……っていうか俺はドラゴニュートが気に入らねぇんだ。二本足で歩けりゃエラいのかよ」
192 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/25(月) 21:46:57.14 ID:nSxxkBfU0
ドラゴ娘「良かろう。ただし、私が勝利したなら……私の配下についてもらうぞっ!!」

ダッ!

ドラゴン「寝言は寝て言え」ヒュッ

ガキィン!!
193 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/05/25(月) 21:48:14.36 ID:nSxxkBfU0
今回はここまでです

赤ちゃんの名前はとりあえずつけるつもりはなく、
作中では名前で呼ばれてるみたいな感じで
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/05/26(火) 13:15:41.47 ID:GAasSR6Z0
ボンゴレが子育てにくわしい 経験者なのだろうか

そろそろ数年後……みたいに時間を飛ばすのかと思ったらそんなことはなかった
どのくらい続けるのかな
195 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:06:15.10 ID:UsXsKinB0
ギギギ……!

ドラゴ娘「!?私の剣を尻尾で受け取めるとは……!!」ガギギッ

ドラゴン「痛たたた!『竜殺し(ドラゴンキラー)』じゃねーかこれ!!」ブン!!

ザザッ!

ドラゴ娘「くッ!?(切り落とすつもりだったが……弾かれた!?)」

ドラゴン「なんで竜人がドラゴン特効の武器持ってんだよ……ウロコちょっと切れたぞこの野郎」
196 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:10:59.35 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「一太刀目から予想外だな。……何故効かない?」

ドラゴン「いや効いてる効いてる。見て尻尾から血ィ出てるから」

ドラゴ娘「……この剣は、勇者が祭壇で手に入れた伝説の剣を、ドワーフによって打ち直させ、教会の祝福を重ねた剣だぞ……!」

ドラゴン「マジでなんでそんなヤベー武器持ってんだよ……普通にキくからやめろや」

ドラゴ娘「……効いてる割には余裕だな」

ドラゴン「まあ……真面目に俺を殺したけりゃあ、光の勇者を連れてくるべきだろうよ」
197 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:15:03.31 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「フン!ならばこれならどうだッ!?『火精サラマンダーよ!我の下に集いて奇跡を呼び起こしたまえ!』」ゴウッ!

ドラゴン(火魔法?別にそのくらい……)
198 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:17:49.29 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「『明けの明星・血に濡れた同胞・復讐に燃ゆる魂・刹那』――……」ペラペラペラ

ドラゴン(あ、やべ、あれ高位魔法だ……受けたら痛いし、弾き飛ばしたとして山に燃え移るの怖いな……っつかあいつ詠唱早いなー。あーどうしよ……)

ドラゴ娘「終わりだ!『――燃やし尽くせ!フレイム・ブラスト』!!」

ドゴウッ!
199 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:21:28.84 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「『水精ウンディーネよ――』……『奇跡を――』……」

ペラペラペラペラペラペラ!!

ドラゴン「……『――守れ。ウォーター・ウォール』」

ザバアッ!!

ドラゴ娘「何ッ!?」

ジュオウッ!!
200 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:24:30.54 ID:UsXsKinB0
シュウウ……

ドラゴ娘「……く!」

ザッ!

ドラゴン(危ね、間に合わない所だった)タラリ

ドラゴ娘(……何故間に合うッ!?)ギリリッ
201 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:28:07.54 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「……ビックリするくらいアタシ空気なんですけど……なんか、実況とかした方がいいですかね?」

ドラゴン「隠れてろお前。危ないぞーこいつ結構強いわ」

ドラゴ娘「『結構強い』程度で済ますな!私は現・四天王だぞ!?」

ドラゴン「じゃあ……相当強い」ウン

ドラゴ娘「言い方の問題じゃあない!」
202 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:31:31.49 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘(こいつ……ふざけた態度を取っているが、実力は本物だ……私以上に早い呪文詠唱なんぞ、初めて見た……!!)ギリッ

ドラゴン「?……どうした?終わりかー?」

ドラゴ娘「っざけるな!まだ……」

ドラゴン「次、俺攻撃していいかー?」

ドラゴ娘「……な――……!?」

ドラゴン「すうー……」コオオオ……
203 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:34:54.24 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「おりゃ」ゴオッ!

ドラゴ娘「うわあっ!糞っ!」ガガガッ!

ドラゴン「てーい」ボオッ!

ドラゴ娘「このッ……!!」ガガガッ!
204 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:39:14.06 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「もういっちょ」グオッ!

ドラゴ娘「チッ!受けきれな――……!!」ガガガッ

ドラゴン「そーらよ」グオー

ドラゴ娘「待、待――……!!」プルプル……
205 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:42:41.11 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「待て貴様ぁっ!適当な感じで私の全力の火魔法レベルのを吐き出すな!!」バッ!

ドラゴン「はっはっはー。ドラゴニュートは残念だな。二足歩行で歩ける代わりに火を吐き出す事も出来んとは」

ドラゴ娘「貴様レベルの炎は普通のドラゴンでも吐けないぞ!?」

ドラゴン「元四天王ナメんなよ」

ボンゴレ「ドラゴンさん、それだけチートなのに何でこんな所いるんすか?」
206 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 21:53:00.92 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「……確かに俺は自分でも驚くくらい、ただのドラゴンにしては、まあ強いよ。……つーか普通のドラゴンは喋る事すら出来ないし」

ボンゴレ「え、そこから?」

ドラゴン「けどな……そんな強さ持ってても、人間の勇者にゃあ中々勝てねえ。もしそいつに勝ったとしても、また強い勇者が現れる」

ドラゴ娘「……」

ドラゴン「最後にゃあ光の勇者のお出ましだ。キリが無ぇし、勝てる訳ねえ。……魔王の言う、人間を滅ぼして魔物の王国作るっつーのは、無理なんだよ……100年前によーくわかったんだ」

ドラゴ娘「…………」
207 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:00:29.22 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「だからもう俺は争いたくねえ。ここでのんびり、暇つぶしにガキでも育てるのが性に合ってんだ」

ドラゴ娘「……」

ドラゴン「わかったら帰れ。……悪いけど、お前の強さはだいたい理解した。このまま戦うなら、本当に丸焼きにするぞ」

ドラゴ娘「……だ、黙れ」
208 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:04:35.45 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「私は……現・魔王軍四天王だぞ。尻尾を巻いて逃げ出した貴様とは違う」

ドラゴン「逃げ出したっつーか……まあそうだけどさ」

ドラゴ娘「そんな貴様に……私は負ける訳にはいかないのだっ!!」

ブワッ!

ドラゴ娘「『他者を愛せぬ私の右手で、貴方の心を貫こう!全てを傷つける貴方の牙が、私の左手に食い込もうとも』――……!!」

ゴゴゴゴゴ……
209 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:08:25.31 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「こ、この詠唱……もしかして、黒魔法!?」

ドラゴン「お前は俺を殺す気か」

ドラゴ娘「貴様を超えるためならば……何だってしてやる!!」

ドラゴン「あーもー何なんだよコイツはー」

ゴゴゴゴゴ……

赤子「ふ、ふえ……」
210 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:14:01.13 ID:UsXsKinB0
ドラゴン(避けて赤ん坊に当たりでもしたら最悪だ……けどまともに受けたら死ぬよなぁ。白魔法で相殺出来るか?……やった事ねえ。一か八かになるか)

ゴゴゴゴゴ……

ドラゴン「こっちも全力で止めるぞ。『汚れを知らぬ私のこの手に、貴方の痛みを預けておくれ。傷ついた戦士達の身体に、私の優しさを与えておくれ』――……!!」

ドラゴ娘「遅いッ!終わりだ!『デス・――……」
211 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:16:03.40 ID:UsXsKinB0
赤子「ふ……うえええええーん!!!」

ビエー!

ドラゴン「あ、ちょっとタイム」

ドラゴ娘「――ブレイド・――……』……は?何?」

ドスドスドス……
212 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:19:35.12 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「おーよしよし泣くな泣くな。ほーら風魔法で高いたかーい」ブワッ

赤子「えーん!えーん!!」ビヤー!

ボンゴレ「いないいなーいあぱー!足をすぽーん!」カポッ

ドラゴン「お前はもっと笑わすネタねえのかよ」

ボンゴレ「何をー!?ドラゴンさんだって高いたかーいしかないじゃないすか!」

ドラゴン「花火・水芸・土の揺りかごに火吹きも出来るぞ」

ボンゴレ「あぱー、何気に多様性がすごいー」

ドラゴ娘「……ま、待てドラゴン、貴様……!!」ワナワナ
213 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:22:40.93 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「私を舐めているのか!?勝負の最中に何をしているーっ!?」ジタバタ

ドラゴン「いや、だって子供が泣いたし……」

ドラゴ娘「ふ!ざ!け!る!なっ!!」ジダンダッ

ボンゴレ「ドラゴンさん、泣き止ますの上手くなりましたよねー」

ドラゴン「俺だって毎日成長してる訳だなー」

赤子「あぶ……えへへへへ……きゃっきゃっ!」ニコー

ボンゴレ「あー良かった。やっぱこの子には笑顔があってますね」

ドラゴン「ん……そうだな」
214 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:26:00.24 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「よっしゃ、タイム終了ー。今どんな感じだっけ」

ボンゴレ「ええーと、ドラゴニュートさんが黒魔法唱えてた所だったような」

ドラゴン「ああそうだった。よっしゃもっかい撃ってこい。今度は受けたる。なんとかそらしたらいける気がする」バッチコーイ

ドラゴ娘「……どう考えてもそんな空気じゃあないだろう……!!」ワナワナ
215 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:29:20.97 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「貴様は……貴様という奴は……本当に腑抜けている。どうしようもないくらいに……!!」

ドラゴン「腑抜けてる言われてもなあ……」

ドラゴ娘(……しかし、そんなコイツに、私は……本気で戦ってすらもらえない。……それが今の私の実力、か……!!)
216 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:33:06.18 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「……貴様のような奴は産まれて初めてだ。……本当に腹が立つ」

ドラゴン「……なんかごめんなさい」

ドラゴ娘「貴様のような腑抜けを……腑抜け中の腑抜けで、腑抜けを腑抜けで煮込んだような奴を連れて行った所で、箸にも棒にもかからんわ。この……腑抜けが!!」

ドラゴン「腑抜け言い過ぎだろ。流石に傷付くぞ」

ドラゴ娘「……糞!貴様が腑抜けでなければ……魔王軍はもっと……!!」ギリッ

ボンゴレ「……あのー、ですね。ドラゴニュートさん」

ドラゴ娘「……何だ、骨女」
217 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:35:47.29 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「大丈夫です!あと数年……数十年ほど待ってくれれば」

ドラゴ娘「……何だと?何の話だ」

ボンゴレ「その頃にはこの子、すっごく強くなって……魔王になってますから!」

バン!

赤子「……あぱ?」
218 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:37:33.03 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「……何を言ってるんだこいつは」

ドラゴン「すまん、こいつ脳まで骨なんだ」

ボンゴレ「ちーがーいーまーすー!ドラゴンさんを渡して魔王軍強くするのは無理ですけど、将来この子を強く育てて、魔王にして、魔王軍を強くさせるって話ですよ!」

赤子「あいー」
219 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:40:33.40 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「……冗談にしては笑えんな」

ボンゴレ「冗談じゃないっすもん!」

ドラゴ娘「……本気で言っているのか?貧弱な人間の子供を……私よりも強く、全ての魔物の頂点に立つ……魔王にすると」

ボンゴレ「はいっ!」

赤子「あいっ」

ドラゴ娘「……フフフ……ハハハ……」
220 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:42:45.99 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「ハハハハ!面白い!冗談ではないからこそ、面白いな……」

ボンゴレ「むっかー!結局笑うんじゃないすかー!」プンスカ

ドラゴン「どうどう、落ち着け」

ドラゴ娘「……フフ、人間の子が、魔王に……か」
221 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:44:54.47 ID:UsXsKinB0
ドラゴ娘「その泣き虫の赤ん坊が、どう育つのか……少し、興味がわいた」

ボンゴレ「!」

ドラゴン「……」

ドラゴ娘「……腑抜けた貴様がその子をどう育てるか……期待しているぞ。ドラゴン」

ドラゴン「……ああ。腑抜けが育てたとは思えんくらいにしてやるよ」

ドラゴ娘「……フン」

ザッ!
222 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:46:44.83 ID:UsXsKinB0
飛竜「オオオオオオ……」バサアッ!

ヒュウウウ……

ドラゴン「……行ったか。フウ……誰も怪我しなくて良かった」

ボンゴレ「さーてと!四天王に大見得を切っちゃったんだし!これから忙しくなりますよー!」

ドラゴン「……」
223 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:47:57.37 ID:UsXsKinB0
ボンゴレ「やっぱり魔法はある程度使えるようにしたいでしょ?剣術だって教えないといけないし……あ!魔王だったら頭も良くないとダメですよね……そういうのって小さい時から教えないといけないのかなー……」ウーン

ドラゴン「……なあ、ボーンゴーレム」

ボンゴレ「なんすか?アタシ今この子の育成方針で考え中なんすけどー」

ドラゴン「いや、あのな。これ常識だと思ってたんだど……」
224 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/27(水) 22:48:55.00 ID:UsXsKinB0
ドラゴン「魔王って基本、世襲制だぞ」

ボンゴレ「…………えっ」

ドラゴン「『えっ』ってお前……」

赤子「あぱー……」

…………
225 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/05/27(水) 22:49:43.97 ID:UsXsKinB0
今回はここまでです
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 23:12:26.50 ID:+yCZEKqT0
乙。
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/05/28(木) 01:14:12.08 ID:qIwvOHTh0
つまり魔王の娘だか息子だかと結婚させればいいんだな
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/28(木) 01:37:53.13 ID:rGYtKP4j0
マジで魔王目指す流れになるのか
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/29(金) 08:36:44.77 ID:UBwcMlBuO
基本は世襲なら
世襲出来ないように一族郎党根絶やしにして
魔王になれば良いじゃない
230 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 19:52:46.47 ID:zVCWflUA0
…………

テコテコ……

ボンゴレ「こんにちはーっ、母オークさーん」ヒョコッ

赤子「あーいー」

母オーク「あら、ボーンゴーレムちゃんじゃあないか。おっぱいかい?」

赤子オーク「ぷぎ?」

ボンゴレ「はいー。少し飲ませてあげてもらえますかー?」

母オーク「おーよしよし、さぁおいでー」ギュッ

赤子「んー……」チュウチュウ
231 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 19:59:34.07 ID:zVCWflUA0
母オーク「この子も大きくなったねぇ。もうだいぶ離乳食を食べるようになったんじゃないかい?」

ボンゴレ「そうですねー。おっぱい頂くのも、もうそろそろ終わりになりそうですねぇ」

母オーク「そうかい。それは寂しくなるねぇ……」

赤子「んー……」チュウチュウ

ボンゴレ「いえいえ、今まで無理言って甘えてすみませんです」

母オーク「なんの、子供の一人や二人増えた所で変わんないよ!」
232 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:04:21.31 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「オークの赤ちゃんも大きくなりましたねぇ。いないいなーい、あぱー!」ベー!

赤子オーク「きゃっきゃっ!」ニコニコ

ボンゴレ「うんうん!目鼻立ちとか母オークさんに似てきましたねえ。美人さんになりますよーこの子も」ニコニコ

母オーク「そういやボーンゴーレムちゃん、あんたおんぶ紐持ってるのかい?こうしておんぶしてたら家事とか楽だよ?」

ボンゴレ「あぱー、持ってないですねぇ。こーいうのって下の人間の町で買えますか?それとも革をより合わせて作る感じですかねぇ」

母オーク「いいよいいよ!このくらい何本も余ってるからさ!……おーいアンター!奥におんぶ紐置いてなかったかーい!?」
233 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:09:49.06 ID:zVCWflUA0
ノソノソ……

父オーク「おう、これか?……んん?なんだボーンゴーレムちゃん。来てたのか」ノソッ

ボンゴレ「どうもお邪魔してます、父オークさん」ペコリ

父オーク「おー坊主も一緒かー。いないいなーい、オラー」クワッ!

赤子「きゃっきゃっ!」ケラケラ

ボンゴレ「よく笑えるなぁこの子……鬼のような形相なのに」

母オーク「アンタ!この子は女の子だって何回言わすんだい!坊主じゃないよ!」

父オーク「カタい事言うない……俺ァ男子が好きなんだ」ブスッ
234 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:14:04.92 ID:zVCWflUA0
母オーク「またそんな事言って……ちょいと聞いとくれよボーンゴーレムちゃん。この人ったらウチの上の娘にデレデレでねえ。一人部屋のほら穴掘ってほしいって言われて、ウチのリビングなんかより大きな穴掘っちゃって!」

父オーク「うるせーぞ母ちゃん!ベラベラうちの事喋るない!」

ボンゴレ「あ、あはは……まあ娘さん可愛いですもんねぇ。優しくなっちゃうのもわかりますよー」

父オーク「うん、母ちゃんに似たんだ」ニコニコ

母オーク「恥ずかしい事言うんじゃないよアンタは!」バシッ!
235 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:19:34.50 ID:zVCWflUA0
母オーク「娘が可愛いのはわかるけどねえ、息子の方も可愛がってあげなよ。上のお兄ちゃんはともかく、下の三人はまだ小さいんだから」

父オーク「男はみんな戦士だ。可愛がるなんてバカ言っちゃいけねえよ……お前も男だったらなあ。立派なオークの戦士に育てたっていうのに……」

赤子オーク「ぷいー?」

父オーク「ちくしょう、母ちゃんに似て可愛いなあコイツも」

母オーク「バカな事ばっかり言ってんじゃないよアンタは!」バッシィー!

父オーク「いちち、母ちゃん年々力強くなってるぜ……」
236 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:28:13.20 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「下の男の子達三人は、今何してるんですか?」

父オーク「戦士の特訓だ」

母オーク「向こうの丘で、お兄ちゃん達三人と遊んでもらってるよ。上三人は三つ子でねえ、今15かそこいらなんだけど、下の年子の三人の良い遊び相手だよ」

ボンゴレ「本当、大家族ですね。お兄ちゃん三人に6歳のお姉ちゃん、5歳から3歳までの弟に、今年産まれた妹ちゃん……」

父オーク「たまに誰が誰だかわからんくなるんだ」ガハハ

母オーク「こんだけ産んだんだから、ちょっとは家事の手伝いして母ちゃんに楽させて欲しいもんだよ!」
237 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:33:54.66 ID:zVCWflUA0
父オーク「バカ言うない、女は家庭を守って、男は戦士になるんだ」

母オーク「はいはい古臭い考えだよ。戦士ったって、遊んでるだけじゃないか」

父オーク「ああいう遊びを通じて戦士へ成長していくんだよ」

ボンゴレ「……その遊びって、そのー……強くなるんですか?」

父オーク「うん?」
238 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:41:43.83 ID:zVCWflUA0
父オーク「ああ。上三人には子供の時からみっちり俺が剣術やら斧での戦闘やら教え込んどるからなぁ。……あいつらがやってるのは戦いごっこだが、オークの子供は年上から叩きのめされて成長していくんだ」

母オーク「上三人もお隣さんの子に昔っからよくいじめられてねぇ。よくタンコブ作って帰って来たもんだよ」

父オーク「その痛みがあればこそ、俺のような立派なオークになれるんだよ」ムキッ

母オーク「はいはい、アンタいつまでも家でゴロゴロしてないで、晩御飯何か獲ってきな」

父オーク「……母ちゃんには勝てねえぜ」ノソノソ……
239 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:44:39.10 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「うーん……そういうのって何歳くらいからやるもんなんですかねー?」

母オーク「なんだいボーンゴーレムちゃん、オークの子育てに興味あるのかい?」

ボンゴレ「いや、アタシこの子を強く育てたいんですよ」

赤子「あう?」

母オーク「……女の子だろう?この子。別に強く育てなくったって……」

ボンゴレ「そうはいきません。アタシはこの子を魔王にするんですからっ!」フンスッ
240 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:49:13.71 ID:zVCWflUA0
母オーク「あーあー、前に四天王だか何だかが来た時に約束したんだったか。うーん……けどねぇ、魔王ったって……」

ボンゴレ「……難しいですかね?」

母オーク「オークってのは身体が強くてね。子供ん時から大怪我したって数日経てばケロッとしてるもんさ。だからあたしも安心して無茶な事やらせて、結果として強く育てちゃいるが……人間の、しかも女の子ってのは弱いからねえ……」

ボンゴレ「うーん……」
241 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 20:55:09.59 ID:zVCWflUA0
母オーク「まあ、まだ赤ん坊なんだしそんな先の事考えたってしょうがないさ!いい年になったらウチの子と遊ばせて、色々教えてもらったらいいだろ!」

ボンゴレ「ありがとうございます。色々迷惑かけますねぇー」

母オーク「ご近所付き合いなんて迷惑かけてナンボさアンタ。ああけど、ウチの娘とも遊ばせてもらっていいかい?」

ボンゴレ「え?」
242 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:01:27.40 ID:zVCWflUA0
母オーク「ウチは男だらけだからねぇ。ウチの娘、その子が来た事で妹がもう一人出来たみたいだって喜んでんだよ。強く育てるため息子と遊ばせるのもいいけど、たまには娘とも遊ばせてやっとくれ」

ボンゴレ「ええ、必ず。……ふふっ、まーだちっこい赤ちゃんなのに、将来の予定はぎっしりですねー?」

赤子「あうー?」

母オーク「ははっ、せわしない事だよ!」

アハハハハ……

…………
243 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:15:58.38 ID:zVCWflUA0
…………

テコテコ

ボンゴレ「ただいま帰りましたーっ」

赤子「あーい」

ドラゴン「おかえりー……遅かったな。なんかあったか?」

ボンゴレ「いえいえ。ちょっと母オークさんと話し込んじゃっただけですよー」

ドラゴン「そうか。母オークさんの話は勉強になるからなぁ。……狩り行ってきたぞ。野生化した馬がいたから一匹とってきた」

ボンゴレ「おっと、じゃあ血抜きしないとですねー」
244 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:19:47.05 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「よっこい、しょっ……っと。うひー、でっかいっすねーコイツ」グイッ

ボタボタ……

ドラゴン「母オークさん、何か言ってたかー?」

ボンゴレ「色々お話しましたけどー……あ、この子の子育て方針についてちょっと相談しまして」

ドラゴン「……強く育てるには、か……」

ボンゴレ「そうっすよ。ドラゴンさんあんまり乗り気じゃないっすねー」
245 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:23:25.01 ID:zVCWflUA0
ドラゴン「いや、別にそういう風に育てたいなら協力はするが……うーん……」

ボンゴレ「何すかー?何か言いたいことあるんすかー?」

ドラゴン「えっと、あのな……」

……バタバタバタ!

ドラゴン「……ん?」

ザザッ!

ミノ娘「……はぁ、はぁ!ど、ドラゴンにボーンゴーレム!赤ちゃん!無事なのかよっ!?」
246 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:30:58.00 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「あぱー?ミノタウロスさん、どうしたんすか?息切らして」

ミノ娘「た、旅先で……四天王が南の山のヌシを襲ったって聞いたから、急いで戻って来たんだよ!!」

ドラゴン「お前それ結構前の話だぞ」

ミノ娘「ううう、うるせえっ!これでも全速力で帰って来たんだぞ!赤ちゃんは!?」

ボンゴレ「怪我一つありませんよ。ほーら抱いてもらいまちょうねー」

赤子「あーいっ♪」ヒシッ
247 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:34:33.58 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「おっとっと、よしよし……おっ、結構重くなったな」

ボンゴレ「ミノタウロスさん、旅ってどこまで行ってたんですか?」

ミノ娘「ん?ああー大したもんじゃねえよ。ムックォーの山まで行ってただけだ」

ボンゴレ「遠っ!馬で10日はかかりますよ!?」

ドラゴン「お前、いい加減流浪の旅とかやめたらどうだ?いい歳だろ」

ミノ娘「いや、だから……婿探しに旅してんだよ」ボソッ

ドラゴン「あ、そう……」
248 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:37:35.01 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「あそこに魔物の村があるって聞いたから行ってみたんだが、エルフの隠れ里だったよ……無駄足だ」ハァー

ボンゴレ「今時珍しいですね、隠れ里って」

ドラゴン「そうでもねえよ。人間と共存してるエルフもいるが、自然を好んで森に住むのが大多数だ……迷いの森に住んでる奴らもそうだろ」

ボンゴレ「あ、そういえば確かに……」
249 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:42:32.93 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「って、おれの話はどうでもいいんだよ!四天王はどうだったんだ?戦ったんだろ?」

ドラゴン「いやまあ一応戦ったけど……どういう噂が広がってんだ?」

ミノ娘「四天王とドラゴンの総力戦で、始まりの町が壊滅状態だって聞いたけど……」

ドラゴン「尾ヒレ付きすぎィ!」

ボンゴレ「始まりの町って、下にある人間の町の事ですか?あんな所まで攻撃飛ばないっすよ遠い!!」
250 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:45:08.50 ID:zVCWflUA0
ドラゴン「平和ーにバシバシやりあって、平和ーにお帰りいただいただけだ」

ミノ娘「平和ってなんだよ」

ドラゴン「事実なんだが……」

ボンゴレ「向こうは殺す気で攻撃してたっすけどねえ……あ!そーですよ聞いて下さいよミノタウロスさん!」

ミノ娘「は?」

ボンゴレ「ふっふっふ……実はですねぇ、このドラゴンさん!今まで隠してたそうですが、何と!!……元四天王だったんですよ!ぱんぱかぱーん!!」
251 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:49:31.03 ID:zVCWflUA0
ミノ娘「あー……やっぱそうなんだ」

ドラゴン「うん」

ボンゴレ「反応が薄いっ!」ガビーン
252 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:52:54.27 ID:zVCWflUA0
ボンゴレ「なーんなんですかぁーもうー!もっと驚いて下さいよおっ!」プンスカ

赤子「きゃっきゃっ!」ニコニコ

ミノ娘「いや、旅してたら意外と元四天王ってのに会うんだよな……それにこいつが強いのは知ってるし」

ドラゴン「風の四天王は入れ替わり激しいからなぁ……まあ元四天王っていうの、嘘も多いけど」

ミノ娘「つーかお前、なんで四天王辞めたんだよ。こんな田舎の山ん中で暮らすよりよっぽど良い生活だったろ」

ボンゴレ「そ、そうですそうですそれですよっ!ドラゴンさん敵なしレベルで強かったんでしょ?いくら勇者達と戦うのが嫌だからって……」
253 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 21:58:21.26 ID:zVCWflUA0
ドラゴン「……自信、無くしてな」

ミノ娘「へ?」

赤子「あい?」

ボンゴレ「……『自信』?」

ドラゴン「……大昔の話だ。100年前……俺は魔王軍四天王として、遠征中……北の大地で人間の軍隊に出会い、不覚を取った……」

…………
254 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 22:02:31.80 ID:zVCWflUA0
…………

ワアアアアア……!!

「「「射て――ッ」」」

ヒュンヒュンヒュン!!

ドスドスッ!
255 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 22:06:29.18 ID:zVCWflUA0
オ オ オ オ オ オ

「やった!当たったぞ!!」

「覇者に深手を与えた!もっと弓を射て!!」

「死ね!ドラゴンめ!!」

ヒュンヒュンヒュン!

ドスドスッ!

「!!!……」ガフッ
256 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 22:10:46.80 ID:zVCWflUA0
ゴウッ!!

「「「ぎゃあああああ……」」」

「炎に怯むな、もっと射て!!」

「化物め!!この……悪魔めえっ!!」

ヒュンヒュンヒュン!!

ドスドスドスッ!!

「!……ぐ……」

バサッ!
257 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/05/31(日) 22:14:28.42 ID:zVCWflUA0
バサッバサッ……

「逃げていくぞ!卑怯者め!」

「追え!殺せーっ!」

「見たか、人間の力!」

「万歳、ばんざーい!」

ウオオオオ……

…………
258 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/05/31(日) 22:16:07.17 ID:zVCWflUA0
今回はここまでです
少し中途半端ですが……
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/06/01(月) 19:43:56.53 ID:garWUqKe0
量産型四天王…
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/06/02(火) 00:27:54.78 ID:d+3MRMg10
地位に固執して何でもやる四天王もほしい
261 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 22:47:58.17 ID:5QswfA740
…………

ヒュウウウウ……

ドラゴン「く……ハァハァ、人間め……!祝福された矢を射るとは……!!」

ボタボタ……
262 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 22:50:07.77 ID:5QswfA740
ズルズル……

ドラゴン(糞、傷が塞がらん!白魔法……も、魔力が足りんか……)

ググッ……

ドラゴン「……畜生、こんな、所で……!」

ドサッ
263 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 22:51:56.80 ID:5QswfA740
ヒュウウウウ……

ドラゴン(……寒い……俺の一生は、こんな荒れ果てた氷の大地で終わるのか……)

……ヒュウウウウ……
264 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 22:53:14.36 ID:5QswfA740
ザッ

女「……あの……大丈夫、ですか?」

ドラゴン「……」ピクリ

ヒュウウウウ……
265 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 22:56:13.83 ID:5QswfA740
ドラゴン(……人間……追っ手か?いやしかし、一人だし……女?)

女「うわ、すごい傷……矢が刺さったままですよ。痛そう……」スッ

ドラゴン「さ……わるな!」

女「あ、大丈夫です!私、少し白魔法の心得ありますので!」

ドラゴン「……何を言っているんだ、貴様は……!!」
266 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 22:58:26.23 ID:5QswfA740
女「いや、だから治そうと……」

ドラゴン「俺が誰だか知らないのか?四天王の火、覇者と呼ばれる……」

女「あー……知ってます。噂くらいは」

ドラゴン「……知っているなら、わかるだろう。俺はもう動けん。……四天王を殺す、チャンスだぞ」

女「……いや、えーっと……」
267 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:01:30.62 ID:5QswfA740
ドラゴン「……この傷は、貴様ら人間から受けたものだ」

女「……」

ドラゴン「その事に、恨みは無い。ここまでされるほどには、俺も人間達を襲ったし、殺した。……だから殺されても、文句は無い」

女「……」
268 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:03:48.10 ID:5QswfA740
ドラゴン「しかし、安い同情なんかで命を拾うのは、恥だ。それも、貴様のような小さな人間に……」

女「安い同情なんかじゃありませんっ!」

ドラゴン「!!」

女「私は……本気で貴方を助けたいんです!そのためなら……貴方に殺されたっていい!」

ドラゴン「……何故だ?何故、そこまで……」

女「何故、って……」
269 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:07:00.91 ID:5QswfA740
女「苦しんでいる人がいたら、助けたい。……それが、おかしな事ですか?」

ドラゴン「!……」

女「動かないで下さいね。……『汚れを知らぬ私のこの手に、貴方の痛みを預けておくれ。傷ついた戦士達の身体に、私の優しさを与えておくれ』――……」ブツブツ

シュウウ……
270 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:10:50.08 ID:5QswfA740
女「……ふーっ。どうですか?傷は……」

ドラゴン「……あ、ああ。……問題ない」

女「そうですか?良かったぁ」ニコッ

ドラゴン(……馬鹿な、祝福された武器でつけられた傷だぞ……一回の呪文で治すとは……!)

女「それで……どうします?」

ドラゴン「……何がだ?」

女「私のこと……殺しますか?」

ドラゴン「……」
271 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:15:16.66 ID:5QswfA740
ドラゴン「……治してくれた礼だ。見逃してやる。……しかし、次は無いぞ」

女「はぁー良かった!今ので魔力切れちゃったから、襲われたらどうしようかと思いましたよー」アハハ

ドラゴン「……何故……」

女「え?」

ヒュウウウ……

ドラゴン「……何故、そこまでして助ける?」
272 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:19:08.73 ID:5QswfA740
女「だから、言ったじゃないですか。苦しんでいる人がいたら――……」

ドラゴン「そうじゃない。魔力が切れて、襲われたら殺されていたというのに……何故そこまでして助けるんだ?ただの博愛主義では説明がつかん。人間とは……自分の生命が最も大切なのだろう?」

女「それは――……そういう人もいますけど……」

ドラゴン「それに……俺は魔物で、四天王だぞ。傷付いた俺を助けると、もっと沢山の人が傷付くんだぞ」

女「…………」

ドラゴン「俺を生かすと、もっともっと沢山の人が死ぬんだぞ?……それでも、助けると言うのか?」

女「……」
273 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:21:33.31 ID:5QswfA740
女「……貴方を助ける事で、もっと沢山の人が傷付くのなら……もっともっと沢山の人が、死ぬのなら……」

ドラゴン「……」

女「私はもっともっと、もっともっともーっと沢山の人を、助けます。……貴方が傷つける人も含めて、それ以上も。傷つけませんし、殺させません」

ドラゴン「……」
274 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:23:01.81 ID:5QswfA740
女「そうやって旅してきたんですよ。人や、魔物や、動物だって、苦しんでいたら助けてきました。みんなが苦しんでいたら、私は彼ら以上に、苦しい。……だから、私は目に見える全てを、助けたいんです。……それが原因で、私が殺されたとしても……私は、助けたい」

ドラゴン「……」

女「強いていうなら、それが理由です。……それに、私……貴方が心の底から悪い人だなんて、思えませんから」ニコッ

ドラゴン「…………馬鹿だろ、お前」プイッ

女「えへへ、面と向かって言われると照れますねぇ」テレテレ

ドラゴン「褒めてないんだが」
275 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:24:57.56 ID:5QswfA740
ドラゴン「……助ける、か。……四天王として殺し続けてきた俺とは、真逆だ」

女「良いもんですよ?命を助けるっていうのは」

ドラゴン「……全くわからんな」

女「貴方が今まで、奪い、殺してきたのなら……これから先の人生、少しでいいから、命を助けて、育んでみて下さい。そしたら、きっと……今までの人生とは違うものが見えるはずです」

ドラゴン「……」

女「とりあえず、今はですねー……」
276 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:29:46.56 ID:5QswfA740
ピトッ!

女「風をしのいで、私の命を助けてもらっていいですか?すっごく寒いんですよー」

ドラゴン「おい、くっつくな!」

女「いいじゃないですか。私、命の恩人ですし?……あ、それとも私を殺します?やっちゃいます?」

ドラゴン「こ、この野郎……!!」

女「えへへ……あー、すっごくあったかい……」

ヒュウウウウ……

…………
277 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:35:10.01 ID:5QswfA740
…………

ドラゴン「……っていう事があってな……」

ミノ娘「へぇー……」

赤子「あうー……」

ボンゴレ「なるほど、それで悪い事から足を洗った訳ですねー……良い話です……」グスッ

ドラゴン「あーいや、そうじゃなくて」
278 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/04(木) 23:38:05.36 ID:5QswfA740
ドラゴン「実はそいつ、勇者だったらしくてさー……そのすぐ後に当時の魔王と戦って、三分でノしたそうで……」

ボンゴレ「どういう事ですかそれ」

ドラゴン「当時の魔王泣いて謝ったらしい」

ミノ娘「バケモンじゃねーか」
279 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/06/04(木) 23:39:07.64 ID:5QswfA740
今回はここまでです
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/05(金) 13:54:50.91 ID:EF9rPYT3O
ボンゴレ「生前の私ですね」
281 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:00:50.09 ID:EmehuP9F0
ドラゴン「まあ、そういう事が大昔にあって、四天王っていう立場に自信無くしてな。……引退してそいつの生まれ故郷だっていう町の近くに住む事にした訳だ」

ボンゴレ「ま、まあ細かい事はともかく……良い話ですねぇ。一人の女性に救われた事で人生が変わるっていう……」

ミノ娘「良い話かな、これ……」
282 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:06:30.42 ID:EmehuP9F0
ボンゴレ「あれ?んじゃあ今は魔王誰がやってるんですか?負けちゃったんですよね?」

ドラゴン「お前本当何も知らないんだな……娘だよ。その魔王の娘」

ミノ娘「世襲制だからなぁ魔王は……支配力は下がったが、その時の魔王より数段強いって聞く」

ボンゴレ「ほえー……え、じゃあ今魔王軍すごくないすか?」

ドラゴン「当時の四天王、俺とか他のヤツとかが抜けたから総合的な強さはトントンだろ。昔戦った事あるけど、今の風の四天王とか俺の半分以下の強さだぞ」

ミノ娘「お前ホンット意味わからんくらい強いんだな……」
283 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:12:06.88 ID:EmehuP9F0
ドラゴン「っていうかボンゴレ。さっき言おうとしてた事なんだがな……」

ボンゴレ「はい?」

ドラゴン「魔王っていうのは、基本的に世襲制で……一応、魔王を倒した魔物が次の魔王になれるっていう制度はあるんだか」

ボンゴレ「え!?そうなんですか!?」

ミノ娘「まあ、魔王と戦う前に四天王とかとも戦わないといけないから、正直無理だけどなぁ……そこまでして魔王になりたいとは思わねえよ」

ボンゴレ「けどけど!それならこの子が魔王倒せば、魔王になれるんですよね!?」

ドラゴン「いや問題はそれなんだけど」
284 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:26:00.92 ID:EmehuP9F0
ドラゴン「っていうかボンゴレ。さっき言おうとしてた事なんだがな……」

ボンゴレ「はい?」

ドラゴン「魔王っていうのは、基本的に世襲制で……一応、魔王を倒した魔物が次の魔王になれるっていう制度はあるんだか」

ボンゴレ「え!?そうなんですか!?」

ミノ娘「まあ、魔王と戦う前に四天王とかとも戦わないといけないから、正直無理だけどなぁ……そこまでして魔王になりたいとは思わねえよ」

ボンゴレ「けどけど!それならこの子が魔王倒せば、魔王になれるんですよね!?」

ドラゴン「いや問題はそれなんだけど」
285 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/06/06(土) 19:26:59.77 ID:EmehuP9F0
>>284
すみませんコピペミスです
286 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:27:52.16 ID:EmehuP9F0
ドラゴン「この子……人間だろ?」

ボンゴレ「はい」

ドラゴン「……人間が魔王倒したら……そいつ、何って呼ばれると思う?」

ボンゴレ「…………真の勇者・人類の希望の光……『光の勇者』、ですねぇ……」

ドラゴン「な?」

赤子「……あぱー……」

ミノ娘「やるせねえなぁ……」
287 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:33:47.75 ID:EmehuP9F0
ボンゴレ「むー!じゃあ今から身も心も魔物にするしかないっすね!てーおーがくっすよ、てーおー!」

赤子「えおー?」キョトン

ミノ娘「上手くいくかなぁ……」

ボンゴレ「ドラゴンさん!アタシさらにやる気出てきましたよ!一生懸命育てましょうね!!」

ドラゴン「……ああ……」ジッ
288 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:40:18.37 ID:EmehuP9F0
赤子「あうー?」キョトン

ドラゴン「…………」
289 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/06/06(土) 19:42:54.96 ID:EmehuP9F0
…………

『少しでいいから、命を助けて、育んでみて下さい。そしたら、きっと……今までの人生とは違うものが見えるはずです』

…………
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