【かぐや様は告らせたい】小野寺麗の日常

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:44:17.82 ID:A7D5HKzzO
@石上優は気付かない


体育祭の数日前
1ーB教室

ガヤガヤ
アハハハハハ


石上「…」

小野寺「石上」


石上「あ…小野寺さん?」

小野寺「今日の放課後は応援団で練習あるからちゃんと来なよ」

石上「う…うん、わかってるけど」

小野寺「そ、じゃまた放課後ね」

ザッザッザッ…



女子A「ねえ小野寺さん。あいつまだ応援団に居るの?」ヒソヒソ

小野寺「うん。そだけど」

女子B「大丈夫?応援団の女子に手ぇだしたりしてない?小野寺さんも気を付けなよ」

小野寺「…」

女子A「てかあいつ女子の制服誰から借りたんだろ?」

女子B「もしかして盗んだんじゃないの?」

女子A「うわ、キッモイ。でもあいつならやりそー」

小野寺「いや、普通に生徒会の先輩から借りたって言ってたけど」

女子A「えー、本当に?」

女子B「まずあいつが生徒会に居るのがマジイミフだよね」

女子A「絶対女子狙いで入ったんだよ、キッモイ」

小野寺「…やめなよ」

女子A「え?」

小野寺「あいつはそういう奴じゃないよ」

女子B「ちょっと小野寺さん?何か最近やけにあいつに甘くない?」

小野寺「…」

石上は1年の間では「嫉妬から暴行事件を起こしカップルを別れさせたストーカー」と噂されていた。
小野寺麗もずっとそれを信じ彼を毛嫌いしていた…が、応援団で一緒に過ごすうちに分かったのだ。
石上優は根暗でオタクで何で応援団入ったのか分からないような男であるが、そんな悪行をやるような人間ではない。
応援団で石上なりに真面目に取り組む姿を見て、彼女は噂に疑問を抱くようになったのだ。



(僕は今でも小野寺さん達が怖いよ)

(怖くても戦えるやつに、僕もなりたい)


小野寺(…ただの悪人があんな台詞を吐くだろうか、私にはとてもそうは思えない)

小野寺(あれは真剣に頑張ろうとする人間の言葉だった)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1588938257
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:45:15.61 ID:A7D5HKzzO
放課後


風野「今日は男女入れ替わった服装で練習するぞー!!」

つばめ「ちゃんとみんな着ててきたかな〜?」

部員「キャー、団長も副団長も可愛いーっ!」

小野寺「二人とも写真撮っていいですか?」

つばめ「うん、いいよー」

風野「俺も可愛く撮ってくれよ!」

ワイワイ


石上「…」ポツン


つばめ「わー、優くんその格好可愛いね!」

石上「え!?」

風野「だな、俺より可愛いぞ石上!」アハハッ

石上「ど…どもっす」


小野寺「…」

小野寺(団長も副団長も石上の事を気に掛けてくれている…けど、石上はまだ応援団の皆と接することに怯えている感じだ)


小野寺(少なくとも、ここにいる皆はもうあんたのこと認めてるんだよ)


ザッザッザッ…


小野寺「石上」

石上「え、なに?」

小野寺「石上の写真も撮らせてよ」

石上「い、いいけど…」


パシャッ!


小野寺「見て見て撮った写真、石上の格好も結構いいんじゃない?」

石上「あ…そ、そうかな…」


つばめ「小野寺さーん、ちょっと来てー」

小野寺「あ、はーい」


タッタッタ…



石上「…」


小野寺麗はまだ周りに遠慮し距離を置く石上を気遣い絡んだ


…しかし……




石上(え、なに!?まさかさっきの写真SNSに晒されて笑い者にされたりすんの!?)ビクビク


この時の石上はまだ真意に気付けていなかった。


@おしまい
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:46:56.05 ID:A7D5HKzzO
A石上優は歌いたい


体育祭終了後、打ち上げとして応援団メンバーはカラオケに来ていた


部員「団長超歌うまかったーっ!」

部員「マジアガるーっ☆」

風野「ふう…よし次だ!」

つばめ「は〜い、次は私が歌っちゃうよー♪」


石上「…」

風野「お、石上。歌う曲は決まったか?」

石上「あ、すみません、まだっす…」

風野「そうか、まあ焦らず決めればいいからな!」ポンッ

石上「は、はい」

小野寺「…」

石上「…」ウーン

小野寺「そんな難しい顔しなくても好きなの歌えばいいよ」

石上「わかってるけどさ…」

この時、石上はオタク特有の壁にぶち当たっていた。そう…

流行りの曲が歌えないのである!!


4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:47:52.08 ID:A7D5HKzzO
石上(最初はカラオケに呼ばれて嬉しかった…だがここにきて冷静になったら、俺、アニソンしかろくに歌えなかった!!)ゴーンッ

石上とて流行りの曲を知らないわけでも嫌いな訳でもない。むしろいい曲なら聴くことは好きである。
しかし、『歌う』となれば話は別!!!

サビだけなら歌えるけど全体を完璧に歌うとなれば一気に自信はなくなる!!

石上(どうする、普通に流行の歌を選んで分からないとこは素直に聞くか?でもそんなことしたら空気を悪くしないだろうか…)

石上(…!)ハッ

石上(前前前世!!!)


石上(そうだ、これならこのリア充集団の中で歌っても恥ずかしくないし違和感もない!!)


小野寺「…」

小野寺(石上、見るからにオタクっぽいしアニメの曲しか歌えないとかなのかな…)

小野寺「…あの、歌う曲変えたいんすけど」

風野「おう、全然構わんぞ!」



小野寺「やっぱ私、前前前世歌います」

石上に気を使ってアニソンを選んだ結果


石上(あ……取られた………)


このあと、石上は流行の歌を選んだ。
素直に分からないところは聞いたら普通にノリノリで教えてくれた。

Aおしまい
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:49:57.86 ID:A7D5HKzzO
B小野寺麗は確かめたい


TG部部室

藤原「ふう…今日はマッキーちゃんもメガ子先輩も居ないし、一人で作業は大変ですね」


コンコンッ

藤原「はい、どうぞー」

ガララ

小野寺「おじゃまします…藤原先輩」


藤原「あら、貴女は石上くんと同じクラスの…どうしましたか?」

小野寺「実は…気になってて聞きたいことがあって」



小野寺「石上の噂って…やっぱり嘘なんですか?」

藤原「…」

藤原「…何故それを私に聞くんですか?」

小野寺「いえ、生徒会の方なら…真実を知っているんじゃないかと」

藤原「……座ってください、小野寺さん」

小野寺「あ、はい。座らせてもらいます」ガタッ


藤原「つまり貴女は…石上くんの噂に疑問を持っていると」

小野寺「はい…私も最初は噂を信じて、酷く当たってた時もあったんです」

小野寺「けど…実際接してみた彼は、大人しいけど意外と真面目で、根は真っ直ぐな奴だと思ったんです」

小野寺「とても噂通りの事をやる人間には思えなくて…何故こんな噂が広まったのか気になって」

藤原「…小野寺さんは、ちゃんと人を見て素直に考えを改められるいい子なんですね」

藤原「こうして誰もいないときに来るのも小野寺さんなりの気遣いを感じますよ」

小野寺「いえ、そんな…」

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:50:38.17 ID:A7D5HKzzO
藤原「…小野寺さんになら真実を聞かせても良さそうですが…」

藤原「ごめんね。こればっかりは私だけの判断で勝手に話すわけにはいかないから…まだ話せません」

小野寺「そう…ですか」

藤原「けど、もう貴女は分かっているでしょう。噂が本当なのか嘘なのかは」

小野寺「はい」

藤原「…」フッ


藤原「きっといずれは石上君も再びこの問題と向き合うときが来るでしょう…その時は小野寺さんもあの子の味方で居てあげてください」

小野寺「もちろん、そのつもりです」

小野寺「どう考えたっておかしいですよ、あんな噂…石上は他人を平気で傷つけるような奴じゃないのに…」

藤原「そうですね、石上くんはそんなことやりません。他人を傷つけるような事は………」


藤原「…」



藤原「なのにですよ!?」ガタッ

小野寺「わっ!?」ビクッ


藤原「私には、私には酷いんですよあの子!私には容赦なく殴ってきてDVかますんですよ!!」

小野寺「え、な、殴るんですか!?」

藤原「正論という名の言葉のボディーブローで!!」

小野寺「あ、ああ…そういう意味っすか」

藤原「ゲームで勝つためにちょっとズルしたりするだけで!」ブワッ

小野寺「え、それ先輩が悪くないっすか?」

藤原「会長やかぐやさんには礼儀正しいのに何で私にはあんな生意気なんでしょう!!」

小野寺「えっと……それだけ藤原先輩が素直に話しやすいって事じゃないですか?」

藤原「なんて優しい解釈!!」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:51:11.95 ID:A7D5HKzzO
藤原「例えばですよ!今私が作ってるのも石上くんからダメだしされて作り直してる奴なんですが…」

小野寺「はあ」

藤原「特に作り直すべきって言われたイベント関係を手直しして昨日みせたんです。なのにまたダメだししたんですよあの子は!鬼ですか!自信あったのに!」

小野寺「そうなんですか…」

藤原「そうだ、小野寺さんにも見てもらいましょう。これ私の考えたゲーム内でのイベント案のリストなんですけど…」ピラッ

小野寺「へえ…見せてもらいますね」ピラッ



イベント案
@美容師に行くも失敗し全てのカットに失敗し毛がなくなる。五千円支払う。ゲーム中プレイヤーはハゲカツラを頭に被る。
A自宅にUFOが直撃し家が無くなるもUFOの破片を売り1億円入手。
B隣のプレイヤーから怪しい商品を売り付けられる。一千万円を隣のプレイヤーに支払う。


藤原「どうですか!?」ニコニコ

小野寺「…あの、藤原先輩…」

藤原「はい♪」

小野寺「さすがにこれは意味不明だしプレイヤーに喧嘩を売ってるようにしか思えないんですけど…何ですか?これ」

藤原「この子も結構切れ味鋭い発言する!!」

Bおしまい
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:54:08.03 ID:A7D5HKzzO
C伊井野ミコは断れない

それはキャンプファイヤーの許可を得るため周辺の住宅を回っていた日のこと


小野寺「ふー、やっとこれで終わりだね」

伊井野「うん………小野寺さん、ありがとう」

小野寺「いいよ、私もキャンプファイヤーやりたいし」ニッ

ギュルルルルル…

伊井野「…っ!!//」

小野寺「はは、伊井野お腹へったの?」

伊井野「う、うん…」

小野寺「…帰る前に二人でマックでも行かない?」

伊井野「え…うん」



そして、二人でマックへ


ガヤガヤ

小野寺「伊井野それ頼みすぎじゃない?」

伊井野「え、そ、そうかな!?」

小野寺「ハンバーガー3つとか」

伊井野「お、お腹空いてたから…」

小野寺「まあ、いいけどね。ほら食べよ」

伊井野「うん」



男1「お、君達可愛いね〜」

男2「ねえ暇なら一緒に遊ぼうよ」


伊井野「!?」ビクッ

小野寺(げ…ナンパかウザいなぁ。こんな店の中で平気でやってくる時点でろくなのじゃ無さそうだな)

小野寺「すみません、今友達と食ってるんで」プイッ

伊井野(と、友達っ!?)ドキーンッ


9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:54:49.01 ID:A7D5HKzzO
男2「えー、いいじゃんいいじゃん」

男1「君みたいな大人しくて可愛い子好みなんだよなぁ」

伊井野「あ、あの…やめてください、迷惑ですっ」

男2「いやでも本当に可愛いよ」

男1「そうそう、化粧なしでその可愛いさはヤバイよ」

伊井野「い、今、と…友達と食べているのでっ!」

小野寺(大人しい伊井野にターゲット絞ったか…)

小野寺(まあ伊井野は真面目ちゃんだしあんなナンパには引っ掛からないでしょ。私よりキツいこと言い返すだろうし心配しなくても大丈夫…)


男1「じゃあさ、ラインだけでも、ね?本当一目惚れレベルで可愛いから」

男2「そうそう、ラインだけでいいから。本当見逃したら損するレベルの美少女」

伊井野「………」



伊井野「ライン………だけなら//」

小野寺「チョッッッロ!!?」ガタッ


これ以降、小野寺さんは伊井野の友達兼保護者になることになる。

Cおしまい
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/08(金) 20:55:22.01 ID:A7D5HKzzO
思い付いたらまた投下します
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/09(土) 00:45:40.91 ID:6W6Qo5qPo
待ってるで
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/09(土) 19:33:48.02 ID:WnXqHQEQO
D小野寺麗は聞いてみたい

日曜日

小野寺と伊井野はCDを買い向かっていた。


小野寺「欲しいCDが今日発売日なんだよね。伊井野って結構CD聞いてるっしょ?あんたもああいうとこ好きそうだから呼んだの」

伊井野「うん、ありがとう」

小野寺「いつも何聞いてんの?」

伊井野「え、えーと!」

伊井野「…ジャニーズ系とか…」

イケメンから褒められる癒し音声を聞いていることはさすがに言えなかった


小野寺「へー。確かに伊井野そういうの好きそう」

伊井野「うん。麗ちゃんはどういうのが好きなの?」

小野寺「私はねー…」


二人は雑談しながらCDを物色していた。

小野寺麗はもう伊井野を一人の友人として見てくれている。
彼女と居ることに安心感を覚え、伊井野の緊張の糸が少しずつほぐれていき……その時

小野寺「私はとりあえずこの欲しかったやつ買お。伊井野はほしいのあった?」

伊井野「うーん、欲しいのはだいたい買っちゃってるから…」チラッ

伊井野「!!」


伊井野の目にあるものが飛び込んできた。


「癒しの大きな動物鳴き声集」


伊井野(大きな動物!?ほ、ほしい!!)

伊井野は大きな動物が好きだった

小野寺「ん?どした?何見てんの?」

伊井野「あ…えっと…」チラッ


伊井野(だ、大丈夫だよね……イケメン音声なら恥ずかしいけど、動物の鳴き声だし!!)

自分を受け入れてくれる小野寺の優しさに緊張がほぐれてきた伊井野はだいぶガードが甘くなっていた


伊井野「こ、これが…欲しいなって」スッ


小野寺「…」

伊井野「…」



小野寺「え、動物?鳴き声?」

伊井野「う、うん…」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/09(土) 19:35:02.19 ID:WnXqHQEQO
小野寺「え、音楽とかじゃなくて?これ聞くの?」

伊井野「動物好きだから…」

小野寺「…へ、へえ…」

小野寺(癒し音声て……まあ伊井野、成績トップのプレッシャーとか風紀委員と生徒会の掛け持ちとかでストレス溜まってそうだし…動物の鳴き声で癒されるってなら、まあ…個人の趣味だしね……)

小野寺「あー、犬とか猫とか可愛いし癒されるよね」

伊井野「え?いや、ゾウとかキリンとか…」

小野寺「ゾウ!?キリン!?」

伊井野「ロバの鳴き声のやつも私持っててね…」

小野寺「ロバっ!?」

伊井野「え、変…?」

小野寺「いや、まあ…いいんだけどさ。それが好きなら別に…」

小野寺「でも、ロバの鳴き声とかどんななのか逆にちょっと興味あるな」

伊井野「え!興味あるの!?」キラキラ

小野寺「いや、そんな目え輝かせないでよ、ただのちょっとした好奇心だから…」

伊井野「き、聞いてみる?」スッ
(スマホに繋がれたイヤホン渡し)

小野寺「ん、ちょっとだけね」スッ


小野寺「…」


『大丈夫…怖くないよ。君は一人じゃない』

『君はよく頑張ってるね』


小野寺「…」



小野寺「え?」

伊井野「ん?」



伊井野「…!!!」ハッ


「イケメンが優しく褒めてくれる音声」



伊井野(しまった、再生するやつ間違えたあぁっ!!)

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/09(土) 19:35:34.40 ID:WnXqHQEQO
『あぁ可愛い…君は本当にキュートだ……』

『皆君にメロメロだよ……』



小野寺「………」(正気かよという顔)



伊井野「うわあああ!わあああぁぁ!///」バッ

伊井野はとっさにイヤホンを取り上げる
しかしもう時は既に遅し


伊井野「はあ…はあ……っ///」うるうる

小野寺「…」


小野寺「伊井野、さすがにこれだけはない」(真顔)


伊井野「うわあああぁぁん!///」

ダッダッダッ


小野寺「あっ!ちょっと、待って伊井野!!」

ウイーンッ

アリガトーゴザイマシター


小野寺「……逃げちゃった…」

小野寺(良かった、人に聞かれたら恥ずかしいって考えはあったんだ…)

小野寺さんは変なところに安心感を覚えていた

小野寺「…」チラッ

小野寺「この動物のCD買ってってあげよ」スッ
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/09(土) 19:36:55.13 ID:WnXqHQEQO
ーーーーーー

伊井野「…ごめん、麗ちゃん…取り乱して、つい…」

小野寺「いいよ、まあ逃げるくらい恥ずかしいのが普通っしょ」

小野寺「はい、伊井野が欲しいって言ってたやつ。買わずに出ていっちゃったからさ…代わりに買っといた」スッ

伊井野「…!」

伊井野「ありがとう!麗ちゃん!ごめん、ごめんね!」

小野寺「はいはい、いいって。まあ私も対応がちょっとキツかったかもね…」

伊井野「私……嫌われるかもって怖かった…」

小野寺「あれくらいで嫌いはしないよ。一人で楽しんでるだけならただの趣味だし」

伊井野「ありがとう…」ウルッ

小野寺「…」


小野寺「けどこれだけは言わせて。あの音声だけは絶対簡単に人にバラしちゃだめだからね。マジで聞かれたらヤバイからそれ」

伊井野「あ、はい」

Dおしまい
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/12(火) 09:44:15.13 ID:sJIbksG7O
E藤原千花は遊びたい


その日、1年B組は作業の進んでいない「お化け屋敷」を文化祭当日までに完成させようとしていた…


コンコンッ

石上「おーい、作業の調子はどうだ…」ガチャ



チョキッ……チョキッ………


伊井野「いやあああ!怖い、怖い!キャアアアッ!!」ギシッギシッ

小野寺「頑張れ伊井野、声抑えて」

槇原「そうやって怖がるフリしちゃってさ…本当は身体縛られて色々されて嬉しいんでしょう?」ニヤニヤ

伊井野「ち、ちが……っ、私…そんな子じゃ……」

藤原「あははー☆」コチョコチョ

伊井野「ひゃあっ!くすぐったぁいっ!!」

大仏「うーん……またリテイクかなこりゃ」



石上「え、何これ。イジメの現場?」

藤原「どうしたんですか石上くん。女子の秘密の集りに混ざりたいんですか?」

石上「悪魔の集りの間違いでは?」


小野寺「ほら、教室で話し合ってるときに出た案のやつを進めてるんだけどさ…」

石上「うん、まあそれは分かるんだけどな」


伊井野「うわあああん、麗ちゃん!怖いよー!」ギュッ

小野寺「うん、そうだね。でももうちょいだから頑張ろうね」ポンポン

石上「お前も結構鬼だよな」


槇原「でもこのままじゃ伊井野ちゃんが叫んでまたリテイクの繰り返しだね」

藤原「そうですねえ、ミコちゃんにはもう少し静かにしてもらわないと…このままじゃ完成できません」

石上「何しれっと1年の中に混ざってるんですか藤原先輩」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/12(火) 09:44:46.22 ID:sJIbksG7O
小野寺「何回もやってちゃ伊井野が可哀想だしもう終わらせなきゃ」

伊井野「私の声だけ消すとかは無理なの…?」

大仏「無理だよ。ミコちゃんだって分かってるでしょ」

槇原「もう声も出せなくなるレベルに本気で怖がらせるしかないのかな?」

伊井野「えっ!?」ビクッ

小野寺「トラウマでも植え付ける気なの?」

石上「趣旨を間違えんなよ」

藤原「じゃあ声を出したらお昼ご飯禁止とかは?」

伊井野「それだけは!!それだけはやだっ!!!」

小野寺「リテイク食らったときと同じレベルの絶望顔だね」

石上「うーん………」



石上「じゃあもう物理的に声出せなくしたらいいんじゃない?」スッ←ガムテープ

小野寺「石上も人のこと言えないね…」

藤原「あはは、石上くんは鬼ですねー」ニコニコ

石上「なに笑ってんすか、あんたももっと先輩らしくしてくださいよ」

大仏「でも小野寺さんの言う通りあまら繰り返してもミコちゃんが可哀想だし…石上くんの案が一番だと思うよ」

伊井野「え…やだ……」ビクビク

槇原「声を聞けなくなるのは残念だけど…」

石上「よし、伊井野…ガムテープ付けるからじっとしてろよ」ペリペリ

小野寺「今更だけどなんか絵面がヤバイね」

伊井野「ふーっ!ふーっ!!」ギロリッ

石上「って、なんだその狂暴な小型犬みたいな目つき!!」

伊井野「やだ!石上最低っ!!この変態っ!!」ギャンギャン

石上「ちょっとの間だから我慢しろよ、ほらガムテープ付けれないだろ!!」

伊井野「がぶっ!」

石上「痛いっ!!」


小野寺「伊井野、おちついてほら」ポンポン

伊井野「ふー、ふー!」ギラッ

石上「だ、だめだ…俺じゃ伊井野は手に負えない」

藤原「まったくもう石上くんは…私にガムテープ貸してください」

藤原「ほーら、ミコちゃん。怖くないですよ〜」ペリペリ

伊井野「ひえっ」ビクッ

藤原「大丈夫ですよ〜、すぐ終わりますからね?怖くない怖くなーい」ナデナデ

伊井野「こ…怖いですよ…」

藤原「大丈夫、ミコちゃんならやれますよ。だから少しだけいいこにしてましょうね?」ナデナデ

伊井野「でも…」

藤原「文化祭で色んな屋台の食べ物奢ってあげますから!」ニパァッ

伊井野「えっ!!」パァッ

藤原「私は可愛いミコちゃんをここから解放させてあげたいんです。だから、ね?ガムテープ付けて早く終わらせちゃいましょ?」ニコニコ

伊井野「はい、わかりました…もう少しだけ、頑張ります」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/12(火) 09:45:20.29 ID:sJIbksG7O
大仏「それではアイマスクも付けて、次こそ成功させよミコちゃん」

伊井野「…」コクッ

槇原「さて、と…じゃあ私と楽しもっか」チョキッ、チョキッ

藤原「ミコちゃんファイトっ☆」アハハー



小野寺「槇原さんは遊びながらも完成を目指してるのは伝わるんだけど……藤原先輩からは遊びたいという目的しか伝わってこないのは気のせいかな」

石上「ああ、たぶん気のせいではないな」


このあと、伊井野に身体を動かせず目の前は真っ暗…そして声を出すことのできない恐怖が襲いかかることになることは皆が容易に想像できていた。



大仏「…うん、OK。これならいけるよ。お疲れ様ミコちゃん」ナデナデ

伊井野「はあ、はあ………」ガタガタ

石上「これは酷い…」

伊井野「ねえ、大丈夫だよね?またやり直ししないよね?」ガタガタ

小野寺「もう大丈夫だよ、 頑張ったね伊井野」ポン

伊井野「うぅぅ…」ギュッ

槇原「伊井野ちゃん」

伊井野「ひっ!?」ビクッ

槇原「頑張ったご褒美のイチゴミルクだよ☆」スッ

伊井野(えっ、槇原さん実はいい人!?)キューンッ



藤原「あはは、ミコちゃんはすぐ御機嫌になりますね〜♪あー面白かった」

石上「あんたは何しに来たんですか…」

小野寺「そのうち伊井野からの信頼失っちゃいますよ?」


Eおしまい
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/12(火) 12:47:02.85 ID:O8CuDfbYo
おつおつ
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