勇者「ダウトだ」

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131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/22(金) 18:35:32.49 ID:fM4Why510
>>127
>>130
憲兵の方が良かったですね…ありがとうございます。

>>128
ありがとうございます! 頑張ります!

>>129
ありがとうございます! 導入以外も面白くできるよう頑張ります…。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:36:45.34 ID:fM4Why510
――――――
――――
――

勇者(街を出て暫く経ち)

剣士「はあああああ!!」ズバッ

魔獣「ギャァアアアア!!」

勇者「たあっ!」スパッ

魔獣「ギャオオオオオ!!」

少女「………頑張れー」

勇者(国から大分離れた辺りから魔物が現れ始めた)

剣士「オラよっ!!」ズバッ

魔獣「ギャアアアオオオ!!」

剣士「ふぅ。やっと片付いたな」

勇者「…そうだね」

少女「………お疲れ」

勇者(最初、魔物を見た時は戸惑ったがようやく慣れ始めてきた)
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:37:15.86 ID:fM4Why510
――――――
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勇者(街を出て暫く経ち)

剣士「はあああああ!!」ズバッ

魔獣「ギャァアアアア!!」

勇者「たあっ!」スパッ

魔獣「ギャオオオオオ!!」

少女「………頑張れー」

勇者(国から大分離れた辺りから魔物が現れ始めた)

剣士「オラよっ!!」ズバッ

魔獣「ギャアアアオオオ!!」

剣士「ふぅ。やっと片付いたな」

勇者「…そうだね」

少女「………お疲れ」

勇者(最初、魔物を見た時は戸惑ったがようやく慣れ始めてきた)
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:37:57.21 ID:fM4Why510
――――――
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勇者(街を出て暫く経ち)

剣士「はあああああ!!」ズバッ

魔獣「ギャァアアアア!!」

勇者「たあっ!」スパッ

魔獣「ギャオオオオオ!!」

少女「………頑張れー」

勇者(国から大分離れた辺りから魔物が現れ始めた)

剣士「オラよっ!!」ズバッ

魔獣「ギャアアアオオオ!!」

剣士「ふぅ。やっと片付いたな」

勇者「…そうだね」

少女「………お疲れ」

勇者(最初、魔物を見た時は戸惑ったがようやく慣れ始めてきた)
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:40:05.58 ID:fM4Why510
剣士「はぁ…。なんだかんだ大分傷ついたな」

少女「……大丈夫?」

剣士「ん? ああ、こんくらいなんともねえよ」

勇者「本当だ、結構傷ついてるね」

剣士「こんなの唾でもつけときゃ治るよ」

勇者「そんなわけないでしょ。今治してあげるよ、回復魔法」キュィン

剣士「おお、みるみる治っていくぜ。ありがとうな、勇者」

勇者「どういたしまして」

剣士「しかし、魔法って不思議だよな」

勇者「え、何が?」

少女「……?」

剣士「いや、俺は魔法使えないからよ。仕組みがよくわかんなくてよ」

少女「……がってやって、ぎゅってやって、ばんって感じ」

剣士「いや、一切わかんねえよ」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:42:15.92 ID:fM4Why510
勇者「少女ちゃんは感覚派だねえ」

剣士「少女じゃ当てになんねえな」

少女「………むぅ」プクー

剣士「勇者の回復魔法はどんな感じなんだ?」

勇者「うーん、回復魔法は時間操作してる感じなんだよね」

剣士「時間操作?」

勇者「うん。自然治癒で治りそうな傷はその部分だけ時間を進めて治す感じかな」

剣士「へえ。でも傷が深い場合、自然治癒じゃ無理なんじゃねえのか?」

勇者「その場合は、傷を受ける前の状態に時間を戻す感じかな」

剣士「そうなのか。でもよ、だったら両方時間戻せばいいじゃねえのか?」

少女「……魔力」

剣士「あん? 魔力がどうしたんだ?」

勇者「少女ちゃんの言う通りだよ。時間を戻す方が魔力消費が多いんだよね」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:44:04.07 ID:fM4Why510
剣士「なるほどな。だったら回復魔法を少女にかけてやればすぐ大人になれんのか?」

少女「………!!」キラキラ

勇者「…流石に対象が全身になるし、そんな年単位進めるのは魔力的に無理だよ。一部分だけならまだしも」

少女「………」ズーン

剣士「そんなに凹まなくても」

勇者「…どうせ歳なんてすぐとるんだから必要ないよ」

剣士「お前何歳だよ。というかお前、もしかして自分に時間を戻す方を…」

勇者「使ってないよ!」

少女「……早く大人になりたい」

勇者「……そのうち子供の頃は良かったなって思う時が来るよ」

剣士「悟ってんな。だから何歳だよ、お前」

少女「……子供ではない」ムスッ

剣士「拗ねるな、お前も何歳だよ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:46:09.03 ID:fM4Why510
剣士「とりあえず回復魔法はそんな感じなんだな」

勇者「そうだね、ちなみに火術は空気中の熱を凝縮、水術は空気中の水分を凝縮して、雷術は静電気を凝縮してって感じかな」

剣士「へー、そうなのか。知識はあるのに使えはしねえんだな」

勇者「適正があるからね。何種類も魔法を使えるのはすごい才能だよ」

少女「……えっへん」フンスッ

剣士「そうなんだな。何だかんだ少女ってすげえんだな」

少女「……もっと褒めて」

剣士「全然そうは見えないけどな」

少女「………」プクー

剣士「ふくれるな、膨らむな」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:48:09.82 ID:fM4Why510
勇者「…さて、そろそろ先に行こうか。その凄い魔法を早く見せてほしいしね」

剣士「だな。教会に行って呪いの装備外してもらわないとな」

少女「……うん、行こう」ギュッ

剣士「…何でお前は毎回俺の手を握るんだよ」

少女「……はぐれたら危ない」

剣士「…はぁ。まだまだ子供だな、やっぱり」

少女「……早く大人になりたい」ギュッ

勇者(……少女ちゃん随分剣士に懐いてるな)

勇者(…………)

勇者(べ、別に羨ましいなんて思ってないからね)

勇者(………)ブルルッ

勇者(…なんかトイレ行きたくなってきたな。ちょっと行って来よう)スタスタ

剣士「大体、お前ははぐれたりしないだろうが。迷子になるなら…」

少女「………勇者?」

剣士「そうそう、なぁ勇者? ……って、なんであいつは既にいねえんだよ!!」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:50:32.52 ID:fM4Why510
剣士「……おい」

勇者「……はい」

剣士「何でちょっと目を離しただけでいなくなるんだよ」

勇者「……ちょっとお花を摘みに」

剣士「ひと言言ってから行けよ!」

勇者「いやぁ、恥ずかしかったんじゃないですかね…」

剣士「他人事みたいに言うな!」

少女「……勇者も手、繋ぐ?」

勇者「……ありがとう、気持ちだけ受け取っておくよ」

剣士「……お前、もしかして手を洗ってないからか?」

勇者「ちゃんと洗ったよ!!」

剣士「それならいいけどよ。少女のお陰で見つかったんだからな、感謝しろよ」

勇者「お手数おかけしました……」

少女「……お陰様で」

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:52:06.88 ID:fM4Why510
――――――
――――
――

剣士「大分暗くなってきたな」

勇者「そうだね、今日はこの辺で寝ようか」

剣士「そうだな。この辺りは魔物もいるから暗い中進むのは危険だしな」

勇者「だね。本当に魔物増えてきたね」

剣士「俺らの国の近くは全然魔物いなかったからな。最初の勇者の驚き方ったらなかったもんな」

勇者「だって普段見ることないから…」

剣士「まあな。少女はあんまり驚いてる感じじゃなかったけど見慣れてんのか?」

少女「……孤児院に居た頃よく見た」コクッ

剣士「………」

勇者「……そうなんだ。孤児院はこの近くだったんだ」

少女「……今、目指してる街」

勇者「え、そうなの?」

少女「……そう。……丁度教会がそう」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:54:07.88 ID:fM4Why510
勇者「そっか、教会と孤児院が併設されてる場所なんだね」

少女「……懐かしい」

勇者「覚えてくれてる人いるといいね」

少女「……大分昔だから居ないかも」

勇者「……そうなんだね」

少女「……うん、10年前」コクッ

剣士「…そんな昔からか。いつから孤児院にいるんだよ」

少女「……生まれた時から」

勇者「…………」

剣士「……最初から捨てたっていうのかよ。酷い親だな」

少女「……剣士の親は?」

剣士「……俺の親もろくでもないやつだったけどな」

少女「……そうなの?」

剣士「あぁ。親父は嘘つきだし酒を飲んでは暴れるやつでな。お袋はそれに我慢できなくなって出て行っちまったよ」

少女「…………」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:56:05.01 ID:fM4Why510
勇者「…そっか。剣士も大変だったんだね」

剣士「いや、俺は大したことねえよ」

少女「……剣士のお父さんはどうしたの」

剣士「捕まったよ」

勇者「え?」

少女「…………」

剣士「親父は詐欺をして金を稼いでてな。それがバレて捕まったよ。最近だけどな」

勇者(…そっか。そういうことがあったから嘘が嫌いなのかな)

勇者「そうなんだ…。それで兵士になったの?」

剣士「ああ、そうだな」

少女「……大変だったね」

剣士「お前ほどじゃねえよ」

勇者「…………」

剣士「勇者も…聞いて大丈夫なのか?」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 18:58:05.11 ID:fM4Why510
勇者「…うん、大丈夫だよ。二人のを聞いてるだけなのは悪いしね」

剣士「勇者の親父は前勇者なんだよな?」

勇者「…そうだね。15年前に勇者に選ばれて冒険に行ったっきり…だね」

剣士「…そうか。その後はずっとお袋が育ててくれたのか?」

勇者「………」

勇者(……母さんは旅立つその日まで育ててくれた)

勇者(母さん、一人で15年も大分頑張ってくれたんだな)

勇者(…それは自分も幸せになりたくなるよね)

少女「……勇者?」

勇者「…ううん、何でもないよ。そうだね、ずっと母さんが育ててくれたよ」

剣士「そうなんだな。いいお袋さんなんだな」

少女「………だね」

勇者「……うん。そうだね」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 19:00:19.23 ID:fM4Why510
剣士「…さて、もう遅いし寝るか」

勇者「そうだね。…暗くなっちゃったしね」

剣士「…だな。じゃあ俺はこっちのテントで寝るな。おやすみ」

勇者「…うん。おやすみ」

少女「……おやすみ」

剣士「……おい、少女。なんでこっちに入ろうとしている」

少女「……魔物出てきたらこわーい」

剣士「真顔で何言ってやがる」

少女「……全力で守ってくれるって言った」

剣士「俺の魔物が暴れるかもしれないぞ?」

少女「……剣士なら」

勇者「……ケダモノ」

剣士「やめろ。そんな目で見るな勇者。俺は子供に興味はねえ」

少女「……私は立派なれでぃ」

剣士「立派な大人なら一人で寝れるだろ」

少女「……子供を一人にするのは危険」

剣士「大人と子供を都合よく使い分けるんじゃねえ」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 19:02:04.73 ID:fM4Why510
勇者「まぁ、でも確かに魔法の使えない少女ちゃんを一人にするのは危ないよ」

剣士「俺の貞操の方が危ねえよ。だったらお前が一緒に寝てやれよ」

勇者「……それは」

少女「……剣士は私を男と寝させるの?」

剣士「俺も男だろうが」

勇者「ま、まぁ、少女ちゃんも僕より剣士の方が安心みたいだし一緒に寝てあげなよ」

剣士「……はぁ、わかったよ」

少女「……優しくして」

剣士「大人しくしてて」

少女「…………」

剣士「今じゃねえ!」

勇者「……と、とりあえず僕は寝るからね」

剣士「……何かあったら助けてくれよ」

勇者「…魔物が出たらね」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 19:04:11.84 ID:fM4Why510
――
――――
――――――

「うわああああん!! うわあああああん!!」

「……なんだ、兵長のとこの子供か。また迷子になったのか?」

「ち、ちがうもん!! パ、パパがまいごになったんだもん!!」

「嘘こけ。んなわけねえだろ」

「うわあああああああん!! うわああああああああん!!」

「ワンワンなくなよ。犬か」

「ここにいたのか! 心配したぞ!」

「パパ!!」

「あー、良かったな。じゃあ俺は行くぞ」

「すまんな、ありがとう、副兵長」

「良いってことよ。王との話は終わったのか?」

「……ああ。頼むぞ、次期兵長」

「……ああ。達者でな、勇者様」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 19:06:05.18 ID:fM4Why510
…じゃあ家に帰るか」

「うんっ! パパ!」

「………なあ」

「どうしたの、パパ?」

「……パパ、これから暫く遠いところに行かなきゃいけなくなったんだ」

「え! なんで!」

「…世界を平和にするために旅に出なくちゃいけなくなったんだ」

「そんなのいやだよ! パパといっしょにいたいよ!」

「…ごめんな」

「うわあああああん!! いやだよおおおおお!!」

「……絶対帰ってくるから」

「……ホント?」グスッ

「………」

「パパ?」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 19:08:07.71 ID:fM4Why510

「……あぁ、信じてくれ」

「ホントにホント?」

「……あぁ。約束だ」

「うそついたらはりせんぼんのますよ?」

「……あぁ。だからパパが帰ってくるまでママを守ってくれるか?」

「……うん、わかった。絶対だよ」

「……そして、パパが困ったことになったら助けに来てくれるか?」

「うん! まかせてよ!」

「…いい子だ。流石、パパとママのむす

――――――
――――
――
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/22(金) 19:10:04.05 ID:fM4Why510
ガバッ

勇者「…………」

勇者(…懐かしい夢を見た)

勇者(昨日あんな話をしたからかな……)

勇者(………)

勇者(絶対に帰ってくるから…か)

勇者(……この世は嘘まみれだ)

勇者(騙される方が馬鹿だと言うがそれは違うと思う)

勇者(騙されている方が幸せなのだ)

勇者(知らない方が良かった事なんてこの世には山程ある)

勇者(気づいたとしても黙っていた方が良い事なんて山程ある)

勇者(……だから自分を騙し、気づいていない振りを続ける)

勇者(騙している者も、騙されている者も幸せになれるから)

勇者(だから……)

勇者(ダウト……なんて言わないよ、父さん)
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/22(金) 19:11:52.09 ID:fM4Why510
>>132-134
連投ミスしてすみません…。
短いですが今日はここまでにします!
また書き溜め出来たら投下します!
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/23(土) 05:29:58.14 ID:vsCYQDU5o
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/24(日) 02:12:55.69 ID:HkeNpQnMo
おつ!
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 19:42:26.82 ID:Pr/Rm+aH0
>>152-153
おつありです!
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:44:06.76 ID:Pr/Rm+aH0
――――――
――――
――

勇者「やっと着いたね…」

剣士「遅くなったのはお前のせいだけどな」

少女「……勇者迷いすぎ」

勇者「ま、魔物に混乱魔法かけられてたみたいだねー」

剣士「そんなの覚えてなかったぞ」

少女「……ぞ」

勇者「……そんなことより早く少女ちゃんの呪いを解きに行こうよ!」

少女「……誤魔化した」

勇者「さぁ! 時は金なりだよ!」ダッ

剣士「はぁ…、形振り構わず手繋いで来るべきだったか」

少女「……良いの、剣士?」

剣士「は? 何がだよ?」

少女「……勇者、かなり先に行ってるけど」

剣士「…そういうのは早く言え!!」ダッ
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:46:07.40 ID:Pr/Rm+aH0

-教会-

勇者「ここが少女ちゃんが昔住んでた教会?」

少女「……そう」コクッ

剣士「そうなのか。昔と変わんねえのか?」

少女「……小さい頃だったからあんまり覚えてない」

剣士「今でも小さいだろ」

少女「……」ゲシッ

剣士「痛っ! 何すんだよ!」

少女「……剣士はもっと私を大切にするべき」

剣士「ちいせえこと気にすんなよ。ストレスでさらに縮むぞ」

少女「……っ」ゲシッゲシッ

剣士「痛い痛い! 寿命が縮むわ!」

勇者「…仲が良さそうで何よりだよ」

剣士「これが仲良く見えるなら目が悪いだろ」

少女「……剣士は口が悪い」

剣士「お前は足癖が悪いぞ」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:48:07.24 ID:Pr/Rm+aH0
勇者「…少女ちゃん、大丈夫?」

少女「……何が?」

勇者「いや、久々に実家に帰るような感覚でしょ? 緊張とか不安とかないのかなって」

少女「……もう10年も前。……私も相手も多分覚えてない」

剣士「…そういうもんか」

少女「……嘘。……やっぱり不安」

剣士「…そうか」

少女「……だから、剣士」

剣士「ん? なんだ?」

少女「……手を繋いで欲しい」

剣士「…お前がそれで勇気を持てるならお安い御用だ」ギュッ

少女「……ありがとう、剣士」ギュッ

勇者「………」

剣士「よし、それじゃあ中に入るか」

少女「……うん。……今度から、この手を使おう」

剣士「おい、聞こえたぞ。やっぱり手離せ」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:50:04.75 ID:Pr/Rm+aH0
バーン

剣士「たのもー!」

勇者「いや、そういうところじゃないから」

神父「…ようこそ、迷える子羊よ。本日はどのようなご用件で」

剣士「迷うのは勇者だけだぞ?」

勇者「そういう意味じゃないから」

少女「……神父さん?」

勇者「え?」

神父「はて? ……申し訳ございませんが、どこかでお会いしたことがございますか?」

少女「……少女…です」

神父「少女……、おお! お久しぶりです、少女」

少女「……お久し…ぶりです」

神父「大きくなりましたね。元気にしていましたか?」

少女「……はい」

神父「それは良かった。安心しましたよ」

勇者「…………」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:52:07.82 ID:Pr/Rm+aH0
神父「ところでどうしたのですか? 何かご用件ですか?」

勇者「…はい、実は呪いを解いて頂きたくて」

神父「呪い…ですか?」

少女「……はい。……これを」

神父「……ふむ。なるほどなるほど」

剣士「どうなんだ? 呪い、解けそうなのか?」

神父「出来ないことはなさそうですが……少々お時間がかかりそうですね」

勇者「そうなんですか?」

神父「ええ。相当強い呪いがかけられています」

剣士「へー。こんなちっせえ腕輪にそんな大きな呪いがあんのか」

神父「はい。ですので、少女と二人で解呪の儀を行うつもりですがよろしいでしょうか?」

勇者「ええ。それで呪いが解けるんでしたら。少女ちゃんもそれでいいかな?」

少女「……」コクッ

神父「かしこまりました。それでは、儀式の準備をして参ります」

勇者「はい、お願いします」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:54:05.34 ID:Pr/Rm+aH0
神父「ところでお二方はどうします? 大分時間がかかると思いますが」

勇者「うーん、そうですね……」

剣士「この街の探索でもするか?」

勇者「それもいいかもね。ただ少女ちゃんを1人にするのも…」

剣士「まあ確かにな」

勇者(ん? この教会、聖書の他にも結構本が置いてあるんだね)

勇者(随分大きな本棚だし色んな種類の本が置いてありそう)

勇者(旅に出てから本も読めてないし…)

勇者「ぼ、僕は本でも読んで待っていようかな」

剣士「そうか。じゃあ俺も待ってるわ」

勇者「え、街を探索しなくていいの?」

剣士「勇者と離れると永遠に合流できる気がしないからな」

勇者「……人をなんだと思ってるのさ」

剣士「大分わかってきただろ?」

勇者「……どうだろうね」

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:56:04.08 ID:Pr/Rm+aH0
神父「では、ここで待つということでよろしいのですね?」

勇者「はい、それでお願いします」

神父「かしこまりました。それでは、少女。行きますよ」

少女「……はい」コクッ

剣士「じゃあ俺は寝て待ってるかな…ふあああぁぁ」

勇者「随分大きな欠伸だね。そんなに眠いの?」

剣士「……誰かさんのせいで全然寝れなかったからな」

少女「……神父さん、早く行こう」

神父「え? はい、もちろんです」

剣士「……逃げやがった」

勇者「あはは…でも、あそこまで好かれて、悪い気しないんじゃないの?」

剣士「まあ、それはな」

勇者「……そのうち結婚したりするの?」

剣士「はあ? そんなんじゃねえだろ。まだまだ子供だろ?」

勇者「どうだろうね。思った以上に大人だよ、16歳って」

剣士「俺は自分で思った以上にガキだったけどな、大人って」

162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 19:58:31.57 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「まあいいや、俺は寝るからな」

勇者「わかったよ。おやすみ、剣士」

剣士「……ちょっとでも離れる時は起こせよ」

勇者「……ぼ、僕は剣士が思ってる以上に大人だよ」

剣士「……どうだか。おやすみ」

勇者「……もうっ」

勇者(さて……)

勇者(何を読もうかな)

勇者(……しかし、本当に色々揃ってるな)

勇者(ジャンルも何もかもバラバラだし)

勇者(とりあえず本棚に詰め込みましたみたいな)

勇者(聖書、童話、小説、料理のレシピまであるよ…)

勇者(…ん? これは…『勇者・魔王の歴史』か)

勇者(これにしようかな)

勇者(敵を知り己を知れば百戦危うからずっていうしね)
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:00:10.57 ID:Pr/Rm+aH0
――――――
――――
――

勇者(……ふぅ、読み終わった)

勇者(結構ボリュームあったな)

勇者(要約すると…)

勇者(魔王と勇者の歴史を綴った手記は約1,000年前からある)

勇者(人間側は様々な魔法を、魔物側は闇魔法を駆使し長年戦ってきた)

勇者(勇者が負ける、消息不明になる、もしくは新たな魔王が誕生する度、勇者が新たに選任される)

勇者(…そして毎回、勇者の紋章に付与される『女神のご加護』の恩恵が受けられる男性が選ばれてきた)

勇者(勇者の血筋の人もいれば、全く関係ない人も勇者に選ばれる可能性がある)

勇者(そして200年前に全ての魔物、そして魔王を倒し人間に平和が訪れた…はずだった)

勇者(しかし、今から15年前、突如魔物が現れた)

勇者(それから約1年後に魔王も現れ今に至る…か)

勇者(う〜ん、長かった割に大体知っている内容だったな…)

勇者(もっと魔物の弱点とか書いててくれれば良かったのに…)

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:02:12.93 ID:Pr/Rm+aH0
勇者(しかし…)

勇者(…トイレ行きたくなってきたな)

勇者(ちょっとでも離れる時は起こせって言ってたけど…)

剣士「…………」スピー

勇者(…流石にトイレだけで起こすの悪いしね)

勇者(それに建物内だし迷うわけないよね)

165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:04:12.38 ID:Pr/Rm+aH0
――――――
――――
――

勇者(さて……)

勇者「……うん、どこだろう、ここ」

166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:06:11.36 ID:Pr/Rm+aH0
勇者(おかしいな…そんなに広い建物じゃない筈なんだけどな…)

勇者(トイレくらいすぐ着くと思ったんだけど……)

勇者(……今からでも戻って剣士にお願いする?)

勇者(……うん、それだけは絶対に無理)

勇者(……そもそも戻る道もよくわかんないし)

勇者(まずい、でもそろそろ我慢の限界かも…)

勇者(この歳でやらかすのは本当にまずい…)

勇者(どうにか辿り着かないと……)

勇者(ってあれは?)

???「………」

勇者(…綺麗な人だな)

勇者(……スタイルもすごくいいし)

勇者(ローブも着てるしこの教会の人かな?)

勇者「あの……」

???「はい?」

167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:08:14.28 ID:Pr/Rm+aH0
勇者「すみません、この教会の僧侶さんですか?」

僧侶「……はい、そうですよ。どうかなさいました?」

勇者「良かった。実はトイレに行きたかったんですが場所がわからなくて…」

僧侶「そうだったのですか。でしたらご案内しますよ」

勇者「ありがとうございます!」

勇者(……なんとか粗相をしなくて済みそうだ)

僧侶「では、こちらです」

勇者「本当に困っていたので助かります。こうやって出会えたのも神様のお導きってやつなんですかね」

僧侶「…………」

勇者「僧侶さん?」

勇者(……あれ、もしかしてなんか変なこと言った?)

僧侶「…どうですかね。神様は不平等ですからね」

勇者「え?」

僧侶「……何でもありません。僧侶がこんなこと言っちゃいけませんよね」

勇者「……」

168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:10:08.49 ID:Pr/Rm+aH0
勇者「……でも、気持ちはわかりますよ」

僧侶「…はい?」

勇者「神様は不平等だった話です」

僧侶「……」

勇者「…いくら祈ったところで叶わない、救われない、加護を受けることができない人もいますからね」

僧侶「……」

勇者「…な、なんて、僕が言うことじゃないですよね」

僧侶「…いえ、その通りだと思いますよ」

勇者「え?」

僧侶「…私は神に見放された。神は気に入った人だけ、選ばれた人だけを助ける気まぐれものですからね」

勇者「……」

僧侶「その点、死神は…」

勇者「…死神?」

僧侶「死神だけは平等なんですよ。皆に平等に死を与える。早い遅いはありますけどね」

勇者「そう…かもしれないですね」

僧侶「…死は救済だと私は思ってます。辛くても死が待ってるから耐えられる、どうせ死ぬならって生きてる間も頑張れるんだと思います」

勇者「……」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:12:11.64 ID:Pr/Rm+aH0
僧侶「特に、勇者様は死に物狂いで魔王に立ち向かわなければいけませんしね」

勇者「…たとえ死んでも英雄扱いだしね」

僧侶「……さて、目的地に到着しましたよ」

勇者「…ありがとうございます」

僧侶「とんでもございません。ところで今の話は…」

勇者「ええ。もちろん神父さんには内緒にしておきますよ」

僧侶「……ありがとうございます」

勇者「いえ、こちらこそ。…とても救われる話でしたよ、個人的には」

僧侶「……そうですか。それなら良かったです」

勇者「ええ。それでは」

僧侶「はい。それでは」

スタスタスタ

僧侶「……勇者様…ですか」

僧侶「……私は神に見放された身なので神に願うことはできません」

僧侶「ですので、勇者様の今後のご活躍をこう祈らせていただきますね」

僧侶「死神のご加護がありますように」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:14:08.04 ID:Pr/Rm+aH0
――――
――

バタンッ

勇者(ふぅ……、なんとか間に合った)

勇者(僧侶さんには本当に感謝だね)

勇者(………)

勇者(……神は気に入った人、選ばれた人だけ…か)

勇者(………)

勇者(さて……)

勇者「どうやったら戻れるかな……」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:16:17.96 ID:Pr/Rm+aH0
――――――
――――
――

剣士「……おい」

勇者「……はい」

少女「………」

剣士「ちょっとでも離れる時声をかけろって言ったよな」

勇者「……はい」

剣士「見つけれたから良かったものの…。言ったことも守れないのか」

勇者「………」

剣士「大人なんじゃなかったのか。子供でも言いつけくらい守れるぞ」

勇者「……はい」

少女「……つまり私は大人」

剣士「それは違う」

少女「……むぅ」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:18:08.26 ID:Pr/Rm+aH0
勇者「……ところで少女ちゃん! 呪いは解けたの?」

剣士「誤魔化しやがった」

少女「……まだ」

勇者「そうなの?」

少女「……難しい、らしい」

勇者「そうなんだ……、って何それ?」

少女「……聖水。…呪いを解くのに寝る前に飲めって」

勇者「え?」

剣士「なんか他のとこの聖水と違うんだってよ」

勇者「………」

少女「……勇者?」

勇者「……いや、なんでもないよ。他には神父さんなんか言ってた?」

剣士「とりあえず明日も来いってよ。今日分の代金は払っといたぞ」

勇者「…そっか。ありがとう、剣士」

僧侶「……おや、あなたは」

勇者「……あ、僧侶さん」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:20:05.58 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「なんだ、知り合いか?」

勇者「うん。さっきちょっと…ね」

剣士「…うちの勇者が迷惑をかけたみたいで」

僧侶「いえいえ、とんでもないですよ」

勇者「…ちょっと剣士。何も言ってないのになんで迷惑かけたこと前提なのさ」

剣士「どうせ迷子になっているところを助けてもらったんだろうが」

勇者「……そうだけどさ」

少女「……僧侶?」

僧侶「……え?」

勇者「少女ちゃん知り合いなの?」

少女「……」コクッ

僧侶「少女……って、少女?」

少女「……おひさ」フリフリ

僧侶「わあ、お久しぶりです、少女」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:22:11.34 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「なんだ、結構知り合いいるじゃねえか。お前の姉さんみたいなもんか?」

少女「……同い年」

勇者「………え?」

剣士「は?」

僧侶「はい。少女とは同い年です」バーン!

剣士「…おいおい、嘘だろ」

少女「……剣士、どういう意味?」ストーン

剣士「いや、主に体の発育的な意味で…」

少女「……っ!!!」ゲシゲシッ

剣士「いってえ!! 何しやがる!!」

勇者「……今のは剣士が悪い。謝れ」

剣士「本当のことを言っただけだろうが!!」

少女「……ふんっ!」ゲシッ

剣士「いってえええ!!」

僧侶「……??」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:24:09.58 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「しっかし神は不平等だな。こんなに格差をつけやがって」

少女「……もう一発いっとく?」

剣士「遠慮しておきます」

僧侶「………」

勇者「……すみません、教会の中で騒いじゃって」

僧侶「いえいえ、とんでもありませんよ。…って、少女? 一体何を持っているんですか?」

少女「……これ? ……聖水」

僧侶「……何で少女が持ってるんですか?」

少女「……呪いを解くのに」

僧侶「…呪い?」

少女「……これ」チャリ

僧侶「魔封じの腕輪……そう…ですか」

少女「……僧侶?」

勇者「………」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:26:08.59 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「再会を懐かしんでる所悪いがそろそろ行かねえか? 買い物とか飯とかそろそろ行かないとまずいんじゃねえか?」

勇者「…そうだね。それにまた明日も会えるしね」

少女「……わかった」コクッ

僧侶「……あ」

少女「……僧侶、また明日」

勇者「じゃあね、僧侶ちゃん」

剣士「じゃあな」

僧侶「………」

僧侶「…ま、待ってください!!」

少女「……僧侶?」

勇者「…どうしたんだい、僧侶ちゃん?」

僧侶「……その呪い…私、解けるかもしれません」

剣士「何? 本当か!」

少女「……本当?」キラキラ

僧侶「も、もしかしたら、ですけど…ね」

勇者「………」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:28:14.53 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「なら折角だし試してもらおうぜ」

少女「……」コクコクッ

勇者「…そうだね。もしそれで解けるなら御の字だもんね。僧侶さん、お願いしてもいいですか?」

僧侶「……はい。わかりました」

少女「……お願い」

僧侶「…はい、わかりましたよ、少女。ではこちらへ」

少女「……」コクッ

僧侶「…………」

勇者(そういうと僧侶ちゃんは魔力を溜め始めた)

少女「……っ!?」

勇者「……これはっ!?」

剣士「? どうしたんだ、二人して不思議な顔して?」

勇者(…なんだ、この禍々しい魔力は?)

勇者(これは……)

僧侶「……闇魔法」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:30:07.46 ID:Pr/Rm+aH0
パリンッ

少女「……壊れ…た」

剣士「おお!! よかったじゃねえか…ってどうしたんだよ二人とも。さっきから変な顔して?」

勇者「……僧侶ちゃん。君は一体…」

僧侶「…だから先ほど言ったじゃないですか」

勇者「え?」

僧侶「…私は神に見放された。そういうことです」

勇者「………」

少女「……僧侶」

僧侶「…驚かせて申し訳ありません、少女」

少女「……そんな…ことは」

僧侶「……大丈夫ですよ、慣れています」

少女「………」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:32:08.54 ID:Pr/Rm+aH0
僧侶「…もう呪いが解けたので聖水は必要ないですよね。これは回収しますね」パッ

少女「……あ」

僧侶「…それと明日ここを訪ねる必要はありません。お元気で」バッ

少女「……僧侶!」

勇者「僧侶ちゃん!」

剣士「……なんだ? 一体なんだってんだ?」

勇者「……闇魔法」

剣士「闇魔法がどうしたんだよ? そんな珍しいのか?」

少女「……ありえない」

剣士「は? 何があり得ないんだ?」

勇者「…人間が闇魔法を使えるはずがないんだよ」

剣士「…何?」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:34:07.52 ID:Pr/Rm+aH0
勇者「闇魔法を使えるのは魔物だけのはずなんだよ」

剣士「なんだって? でもさっき僧侶は使ってたぞ?」

勇者「……うん、そうなんだよね」

剣士「だったら例外だってあるんじゃねえのか?」

勇者「……そうなのかな」

少女「……おかしい」

剣士「あん?」

少女「……僧侶は昔、光魔法を使えた」

勇者「え?」

剣士「だったら両方使えるんじゃねえのか? お前みたいに何種類も」

少女「……だったら普通、呪い解除に光魔法を使う。……わざわざ闇魔法を使う必要はない」

剣士「そうなのか?」

勇者「……うん。もし仮に、何かしら特例で闇魔法が使えたとしても隠すのが普通じゃないかな」

少女「……私もそう思う」コクッ

剣士「…そういうもんなのか」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/26(火) 20:36:13.09 ID:Pr/Rm+aH0
剣士「でもまぁ、なんだっていいじゃねえか」

勇者「え?」

剣士「だってそうだろ? そういう反応されるのわかってて少女の呪いを解いてくれたんだろ?」

少女「……っ!」

剣士「だったらあいつは、僧侶は良い奴じゃねえか。昔の友達を助けるためにその闇魔法を使ってくれたんだろ?」

勇者「…そうだね。間違いないね」

少女「……うん」コクッ

剣士「ならそれでいいじゃねえか。あいつが何もんだろうと大事な友達なんだろ?」

少女「……うん。……そう」コクッ

剣士「うっし、じゃあ何も問題ねえな。さあ、買い物とか行こうぜ」

少女「……うんっ」コクッ

勇者(……流石、剣士だね)

勇者(少女ちゃんの不安をうまく払拭した。流れを上手く変えた)

勇者(……流石、真の勇者だね)

勇者(……だけど)

勇者(僧侶ちゃん。君は一体何者なんだ?)
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 20:37:24.20 ID:Pr/Rm+aH0
今回はここまでです!
また書き溜め出来たら更新します!
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/26(火) 21:08:57.61 ID:EzFtvHpL0
神父、てめーはダウトだ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 01:23:55.10 ID:c9m6HdJt0
RPG見てると思ったら古畑だった
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 04:59:53.85 ID:M9p+Qkfvo

神父怪し過ぎんよぉ
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 06:41:36.82 ID:jndbG/4yO
おつ
続き気になるね
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/27(水) 12:34:55.69 ID:xljQPfzSo

神父が黒そうだ…
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/27(月) 22:29:59.54 ID:qALvDyMc0
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