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渋谷凛「ゴースト レイト」
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◆TOYOUsnVr.
[saga]:2020/07/04(土) 22:56:23.78 ID:4if+2Hlr0
「凛!」
ずしんと脳天に響くような母の声で以て覚醒を果たした私は布団を蹴り上げ、跳び起きる。
自室の壁にある時計を見やれば、時刻は七時半を回っていた。
まだ四月になって間もない時期であるというのに、パジャマは上下の区別なく寝汗でぐっしょりとしていた。
加えて、全身を疲労が漂っている。
何か、悪い夢でも見ていたのだろうか。
今となっては何も思い出せないが、思い出せなくてよかったとも思う。
怖い夢は覚えていない方がいい。
ともあれ、学校へ急がなくてはいけない。
高校に入学して早々遅刻は避けたいところだった。
ばたばたと階下へ降り、朝食を摂らずに出ることとハナコの散歩を代わって欲しい旨を伝え、母に詫びた。
パジャマを洗濯機へ突っ込んだのちに簡単に汗を流し、自室へ戻っては制服を身に着けて、タイムアタックのような勢いで準備を整える。あれこれと忘れものがあるかもしれないが、今は何よりも登校時間に間に合わせることが最優先だろう。
私は再びばたばたと階段を降り廊下を駆け抜けて、両親が営む花屋の店先のシャッターを半分だけ開けると、くぐるようにして自宅を出た。
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