隣に住んでる女大生「あの……魚醤作りすぎたんですけど」社会人男「魚醤!?」

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179 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/08/09(日) 21:26:56.86 ID:+SeqaBz+0
>>178
三行目ミスです
?以降無視してください
180 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/09(日) 21:30:07.59 ID:+SeqaBz+0
チュドーン!

女「……」

男「……」

GAME OVER ・ ・ ・

男「えー、あー……女、さん……?」オソルオソル
181 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/09(日) 21:32:42.40 ID:+SeqaBz+0
女「あはははは!げーむってたーのしー!!」バタバタ

男「あっ割と喜んでる」

女「おーし!おとこさぁん。きょーはですねー!」

男「え、あ、はい?」
182 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/09(日) 21:34:42.13 ID:+SeqaBz+0
女「あさまでげーむ、やりますよー!!」

男「勘弁してください」

…………
183 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/08/09(日) 21:36:32.57 ID:+SeqaBz+0
今回はここまでです
作中ゲームの主人公の名字ネタわかる人はたぶんすごいひと
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 22:13:24.82 ID:FLTeDGYSo
おつおつ
チュートリアル負けイベかい!
185 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/09(日) 22:20:14.20 ID:+SeqaBz+0
>>178
この後一つ話抜けてました
今回ミスひどい





女「あはははは……はは……(声にならない笑い)……ッッッ……げろ……げろて……!!」バシバシ

男「あー女さん女さん、敵にめっちゃ囲まれてる」

女「びーむ!びーむ!」ポチポチ

男「出ねえって」

女「うわーすごいかこまれてる……」

男「言ったじゃん俺」

女「こーなったら……主人公もろともばくはつ!」

男「あ!そこ爆弾置いたら――……」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/09(日) 23:16:30.65 ID:4KQekQGGO

このゲームめっちゃやりたい
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/10(月) 10:53:47.36 ID:asJ4o16xO
乙です。
実はうちの実家ではポテトサラダに桃が入ります。
美味しいですよ。
188 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:26:47.07 ID:TaqzA3QJ0
…………

ミーンミンミンミン……

男「……あつい……」グッタリ
189 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:30:02.95 ID:TaqzA3QJ0
男「冷房かけても暑いもんは暑いな……今年の夏異常だろ……ビール、ビール……」

ガパッ

男「……あー、ビールなくなったか。つまみもないしな……なんか買いに行くかぁ……暑いけど」

スタスタ

男「何食おうかな……何気にこの前食った生ハム、美味かったなあ……またああいう、店で食べたらちょっとお高めのを食ってみたいが……今月ピンチだしなあ……」ウーン

ガチャッ
190 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:33:36.37 ID:TaqzA3QJ0
女「あれ、男さん」

バッタリ

男「あー女さん。おはよう」

女「もうお昼ですよー」

男「昨日暑くてあんま眠れなくてさ……今起きたんだよ」

女「ほー、それでこれからお出かけですか?」

男「いや、ビール買ってきて飲みながらゲームでもしようかな、と」

女「……ダメ人間ですねぇ」

男「休みの日くらいダメでもいいじゃん」
191 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:37:44.67 ID:TaqzA3QJ0
男「女さんは――……」ジーッ

女「はい?」

男(……麦わら帽子に、バケツに、クーラーボックス……?釣りにでも行く気か?)

女「なんですかー?じっと見たりして」

男「いや……またなんか珍しいモンでもとって食うつもりなのかな、と」

女「おー、よくわかりましたね」

男「わからいでか」
192 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:42:20.12 ID:TaqzA3QJ0
女「ふふふ……実はですねぇ、今回は……高級食材をハンティングしようかと思いまして!」

男「高級食材……」

女「その名も『エクルビス』……おフランスではジュテームにボーノでボンジュールだそうです」

男「よく意味はわからんが、高級食材ってのは気になるな……(酒のつまみとして)」
193 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:44:00.20 ID:TaqzA3QJ0
女「お、では行きます?男さんもいっちゃいます?」

男「……うん、休みで暇だし、ご一緒しようかな」
194 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:46:35.02 ID:TaqzA3QJ0
男(女さんの格好的に魚介類は確定だろ……バケツ持ってるし。それで高級食材なら、タイとかアワビに似たものと見る。……ヘンなもんは来ないだろ……)

女「ではでは、狩り場までれっつらごーです」テクテク

男「海にでも行くのか?電車乗るならピタパ(※Suicaみたいなもん)持ってこないとな……」
195 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:49:01.98 ID:TaqzA3QJ0
女「いえいえ、歩いて十五分くらいですよ」

男「……ん?……そんなとこに海どころか、川もなんもないだろ」

女「田んぼはありますよ」

男「…………んん?」

…………
196 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:52:18.00 ID:TaqzA3QJ0
…………

ミーンミンミンミン

ジーワジーワ……

男「……田んぼまで来ましたが、暑いね」

女「よーし、ではビシバシ取っていきましょうかねー」

男「……もしかして、タニシでも食おうとしてる?」

女「そんなの食べるワケないじゃないですかー」アハハー

男「だよなあ!?まさかタニシなんか食わないよなぁ!?」
197 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:54:57.61 ID:TaqzA3QJ0
男(ぶっちゃけ少し怖かった)ドキドキ

女「はいこれ、男さんの釣り道具」ハイ

男「釣り?……ここに魚いんのか?」

女「魚ではないですねー」

男「……てか、釣り道具て……」

女「はい?」
198 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 18:57:24.05 ID:TaqzA3QJ0
男「……割り箸の先っぽにタコ糸つけて、そこに……ニボシくくりつけてるだけだが」

女「はい」

男「……なんかこれ、子供の頃に見た気がするなあ……」

女「おー男の子ですねー。あたしは初めてなんで本当に釣れるのかちょっとドキドキです」

男「……なあ、あのさあ……」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/18(火) 18:58:01.80 ID:nwYoHka1o
200 :ヒトラーのテンションで ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:00:27.51 ID:TaqzA3QJ0
男「なに釣ろうとしてんの?」

女「ザリガニですけど?」

男「チクショウめ!!!!!」
201 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:06:33.57 ID:TaqzA3QJ0
男「お前ホンット……マジでさあ……食うモンないからってザリガニ食うヤツがどこにいんだよ!?」

女「食うものが無いわけじゃあないですよー。知的好奇心です」

男「ザリガニのどこが知的じゃい」
202 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:09:30.70 ID:TaqzA3QJ0
女「フランスでは高級食材なんですよ?それが田んぼの用水路にいるとか、もうこりゃあ取るしかないじゃないですかー」

男「アメリカザリガニじゃん!『アメリカ』!!よく知らんけど別の種類じゃねえの!?」

女「ザリガニはザリガニです」

男「おおーう、言い切りよった……」
203 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:12:14.25 ID:TaqzA3QJ0
女「ザリガニが生息している地域でザリガニ食わないのは日本くらいなもんらしいですよー。なんか変じゃないですか?それって」

男「いや普通だろ……」

女「オマール海老だってあれザリガニの仲間なんですよ?伊勢海老も結構近い仲間らしいですし」

男「……それ言ったら、甲殻類って節足動物だし……節足動物って虫と一緒じゃん?」

女「は?虫とエビは全く違うでしょ。男さんあんぽんたんなんですか?二度と虫の話しないでくれます?気持ち悪いです」

男「あれっ色々食うのに虫はアウトなの!?」
204 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:15:24.14 ID:TaqzA3QJ0
女「虫は違うでしょー虫はっ!あんなの地球外生命体ですっ!」バンバンッ

男「ザリガニとどう違うのかイマイチわからん」

女「何言ってんですか正気ですか!?ザリガニはエビでしょ!?」

男「まあエビってのはそこまで否定はせんけどさあ……けどザリガニだもん……」

女「……あくまで認めませんか」

男「認めないねー。こんなもん食わなくてもいいだろ。エビ食えばいいじゃん」
205 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:17:34.37 ID:TaqzA3QJ0
女「……簡単に言いますけど、スーパーで売ってるブラックタイガーエビって、インドネシアのマングローブ林を潰してエビの養殖池にして作ってるんですよ?9割日本の需要のためだけに」

男「む……」
206 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:20:31.23 ID:TaqzA3QJ0
女「地球環境のために〜とか、産まれた星を守ろう〜とか言いながら、世の中クーラーガンガンで、日本の文化で絶滅危惧種のウナギ食って、エビ好きだからインドネシアの自然を壊す……それって本当に、正しい世の中なんでしょうか?」

男「いや、まあ……そう言われるとつらいけど」

女「だからあたしは、声を大にして言いたい!」

男「はい」

女「地球環境を守りたいなら――……みんな、ザリガニ食おう!!」

男「それは話が違ってくる」
207 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:23:48.47 ID:TaqzA3QJ0
女「まーそういう難しいことは置いといて……釣りますか。ザリガニ」

男「……社会人にもなってザリガニ釣りかあ……てか、マジで食う気かあ……」

女「なんか乗り気じゃあないですねえ」

男「今までは一応、スーパーで買ったのを加工してたけど……野生のドブから取るわけじゃん」

女「野生のドブて……田んぼの用水路は結構綺麗ですよ」
208 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:26:53.89 ID:TaqzA3QJ0
男「なんかなあ……寄生虫とか大丈夫なん?」

女「大丈夫ですってー……あー、ですけどー」

男「ん?」

女「……ザリガニ触った手で目や口を触らないでくださいね?マジで」

男「それは大丈夫じゃあないやつだ」
209 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:31:08.49 ID:TaqzA3QJ0
男「マジか。マジで……マジにヤバいか」

女「問題ないです。あたしを信じて」

男「イマイチ信用ならんのだよキミは」

女「万が一のためにお薬は常備してますし」

男「ほお」

女「スマホは一瞬で救急車呼べるように設定しております」

男「無駄な設定であることを切に願うわ」
210 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:34:36.86 ID:TaqzA3QJ0
男(とはいえザリガニは子供の頃によく釣って遊んだしなー……そんなにヤバいものとは知らんかったが……)

女「ではではでは……目の前にニボシぶら下げたらハサミで掴むはずなんで、それをついーっと」

男「久々だなあこういうの……ていうか、いるの?ここ。ザリガニ」

女「そこの藻の下にウヨウヨいますよ」

男「どれどれ……うわホントだ。……こんなにいるもんなのか……」
211 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:37:17.85 ID:TaqzA3QJ0
男(……昔は当たり前のように見てたはずなのになあ……大人になってから、こうやって田んぼの用水路見るなんて初めてだ)

女「ふふふ、ではさっそく釣っちゃいますかー」チャポン

男「……」

ミーンミンミン……
212 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:42:31.89 ID:TaqzA3QJ0
女「お!掴んだ……掴みましたよ!」グイッ!

ポチャーン!

女「ああっ!……なんてアームの弱さだ」

男「UFOキャッチャーじゃないんだから」

女「どうすればいいんですか?男さぁーん……」

男「もっとゆっくり引き上げるんだよ。見てろよ……」

チャポン
213 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:45:44.70 ID:TaqzA3QJ0
グググッ

男「……よっし!釣れた!!」

女「おー大物ですよ!男さん!」

男「子供の頃は結構遊んだもんだからな……今日初めての女さんには負けないね」

女「むむ、じゃあ勝負しましょうか!?あたしが釣り勝負に負けたら……非常に残念ですが、釣ったザリガニ全部男さんに差し上げましょう」

男「クッソいらねえ」
214 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:48:36.09 ID:TaqzA3QJ0
シーオーシーオー……

女「……やった!釣れた!釣れましたよー!」

男「イテテ、挟まれた……こんにゃろう」

女「よし!もう一匹!……結構釣れるもんですねー」

男「警戒心ゼロだな。根こそぎいってやる」

ミーンミンミン……
215 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:50:36.33 ID:TaqzA3QJ0
男(なんか……夏休みに戻ったみたいだなあ……)

…………
216 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/18(火) 19:54:25.04 ID:TaqzA3QJ0
…………

カナカナカナカナ……

男「……」

女「……」

クーラーボックス『ガサガサガサガサ……』

男「……ちょっと取りすぎたな」

女「正直キモいですね……」
217 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/08/18(火) 19:55:36.51 ID:TaqzA3QJ0
今回はここまでです
交通系ICはピタパ
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/18(火) 20:32:20.00 ID:nwYoHka1o
おつおつ
泥抜きするよね…?
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/18(火) 21:43:38.44 ID:/Hp3Au+KO

なんでほぼ海老なのに食うのは抵抗あるんだろうな
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/18(火) 21:45:38.24 ID:C4cleU1do
野生はイヤだな。田んぼの近くだとどんな農薬使ってるかわからないし
食用に育てられたやつなら抵抗ない。ウサギや雀の方が抵抗ある
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/18(火) 22:47:42.64 ID:4tjdiji5O
あー懐かしい夏休み
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/20(木) 22:20:18.43 ID:Q8BcoYb30
虫はやらないのか…
期待してたんだけど…
あとはカエルとか
223 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:46:37.77 ID:1RJc5Kdc0
クーラーボックス『ガザガサガサ……』

男「……流石にこんなに食いきれないだろ。何匹か逃がすか?」

女「あ、それはダメです」

男「え?」

女「アメリカザリガニは要注意外来生物なんで……今はまた違う名前ですけど」

男「ああ、ブラックバスが小魚食うから生態系壊すみたいな、そういうやつか」

女「YES」

男「なんで英語……アメリカザリガニだからか?」
224 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:48:34.76 ID:1RJc5Kdc0
女「特定外来生物ではないので、飼育や運搬に罰則はありませんが……釣ったものをリリースするのは避けたほうがいいですね」

男「なるほどねえ……じゃあ食うしかないのか」

女「それかここで殺して埋めるかですねぇ」

男「それは……ちょっと可哀想だな」

女「何言ってんですか。ザリガニ一匹逃したら何百匹の生物が死ぬのやら」  
225 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:50:20.64 ID:1RJc5Kdc0
女「アメリカザリガニはまだマシな方ですけど、『ミステリークレイフィッシュ』っていうザリガニなんてマジでヤバいですからね」

男「なんじゃそら。『ミステリー』?」

女「『ミステリークレイフィッシュ』……SCPで言うと『Keter』クラスです」

男「人類終わるレベルじゃんそれ」
226 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:52:36.42 ID:1RJc5Kdc0
女「生態がマジでミステリーなんですよ。……このザリガニ、単為生殖します」

男「……つまり?」

女「メス一匹で卵を……『クローンの卵』を産んで、アッホみたいに増えるんですよ」

男「なにそれすげえ」
227 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:54:38.73 ID:1RJc5Kdc0
女「しかもコイツ身体が強いので、他のザリガニが死ぬ病原菌宿してもピンピンしてます」

男「……けど病原菌は撒き散らす、と」

女「コイツ一匹逃しただけで生態系は完全破壊されるでしょうね……とにかく、アメリカザリガニはまだそれに比べたらマシですが、一回捕まえたのなら安易に逃さないこと」

男「ううむ、言いたいことはわかるが……」
228 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:55:58.96 ID:1RJc5Kdc0
女「これから食べる訳ですし小さな情などいりません。……アメリカザリガニは食べられる部分少ないらしいですし、こんだけ取りすぎてもいけるでしょ」

男「まあ、余ったら冷凍とかもあるか」

女「ですねー」

男「……冷凍庫でアメリカザリガニ凍らしてる所、会社の同僚には見られたくねえなあ……」

女「あ、じゃあ余らないように、会社の同僚さんも呼んで、一緒にザリパします?」

男「する訳ねえだろ。あとザリガニパーティー略すな」

…………
229 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:57:14.35 ID:1RJc5Kdc0
…………

女「……さーて、お家帰ってきた所で、さっそく調理しますかぁ」

男「……なにか蠢く音がするクーラーボックスを持ち運んでる所、近所の人に見られなくて良かったわ」

女「そんな心配しなくて大丈夫ですよー」

男「俺は世間体気にするんだよ」

女「大家さんには許可取ってますし」

男「大家さんに許可取ってんの!?」
230 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 20:58:47.35 ID:1RJc5Kdc0
女「とりあえず、軽く流水で洗って鍋に入れますか」ジャーッ

男「あれ、泥抜きとかは?」

女「そんなのしなくっても死にはしないでしょ」

男「いやいやいや……ドロくさいの食いたくねえぞ」

女「比較的綺麗な所でとりましたし、頭や背ワタ取ればそういうクサさも大丈夫……な、ハズ」

男「自信持って言えよ、そこは」
231 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:02:34.45 ID:1RJc5Kdc0
女「ていうかですねえ……やりたくても出来ないっていうか……」

男「は?」

女「……ザリガニって結構センサイで、攻撃的なんですよねえ……」

男「うん……それが?」

女「こんだけ大量のんを泥抜きしようとして置いとくと……100%共食いして死骸だらけになるんですよ」

男「それは……見たくねえな……」

(※共食いをするのは若い個体だけだそうですが、大量に捕まえると起こり得る可能性はあります)
232 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:04:20.34 ID:1RJc5Kdc0
男「けど少し心配っていうか……」

女「一応、臭い消すために料理酒入れてみますか」

ジャッ

鍋『ガッシャンガッシャンガシャガシャガシャガシャ!!!!』

女「ウヒイ!!!!」ビクウッ!!

男「うおおおお……すげえ暴れっぷり……」
233 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:06:59.42 ID:1RJc5Kdc0
女「う、うおおおおお……今ので少し勢い削がれた……」ガクブル

男「大丈夫かよ……」

女「至近距離で暴れるザリガニの大群って、本気でSAN値削れる」

男「SCPなのかクトゥルフ神話なのかどっちなんだよ」

女「と、とにかく……水を塩を入れて、強火でグッツグツ茹でちゃいましょう」カチッ
234 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:09:43.59 ID:1RJc5Kdc0
ボォォォオオ……

鍋『ビチャン!ビチャン!ビチャ……』

男「……かなり猟奇的」

女「蓋を考えた人にノーベル賞あげたい」

男「……ていうか、沸騰してる所にブチこんだら良かったのでは?」

女「それでも跳ねると思うんですよねえ。捕り立てで生きがいいし」

男「……やはり泥抜き……絶食させるべきだったか」

女「共食いしないように見るのめんどいですし……まあいけますでしょ」

(※実際は3時間くらいでもいいので泥抜きする方が良いそうです)
235 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:13:50.55 ID:1RJc5Kdc0
女「とにかく!沸騰したら吹きこぼれないように10分置きます」

男「わりかし長いな」

女「寄生虫対策です。アメリカの基準でこのくらい茹でたら良いらしいですよ」

男「やっぱりヤバいの持ってんのかあ……」

女「中国はそういうの気にしないで、脱皮したてのザリガニを軽く加熱してパリパリした食感楽しむらしいですけど……イヤでしょ、寄生虫は」

男「あ、女さんってなんかそういうの気にせずバクバクいくと思ってたけど……イヤなんだ」

女「ヤバイと安全の紙一重は好きですが、安全には全力で考慮しますよ」

男「はあ」
236 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:15:35.77 ID:1RJc5Kdc0
女「……完全に安全に対して対抗策を取った上での、野生を食べるというアクションに対する、拭いきれないドキドキ感……うぇひ、うぇへへへへひひひ……♡」ガクガク

男(性癖が理解できない)
237 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:17:18.27 ID:1RJc5Kdc0
女「おっとっと……結構アクが出るな……」ヨソイヨソイ

男「なあ、俺なんかすることある?」

女「じゃあコップとお箸と、大きなお皿出してください。そっちの棚にありますので……大きなお皿は下です」

男「ほいほい」カパッ

女「その間にサラダでも作っておきますかねー。あとディップソースと、ザリガニ料理するための準備と……」テキパキ

男「俺3人分くらいの仕事を一人でしないでほしいなあ」
238 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:21:17.95 ID:1RJc5Kdc0
女「……よし!茹で上がったものをザルにあけて、お皿に盛れば……」

バァーン

女「『ザリガニの塩ゆで盛り』!完成です!」

ザリッ……

男「おおう……想像以上にすげえ見た目だ……!」ゴクリ……
239 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:22:36.47 ID:1RJc5Kdc0
男「赤くなってんのはエビとかカニとかと一緒だな……一匹で見ると割とイケそうな感じするが、大量で見るとなあ……目が多いよ、目が」

女「エビの調理前だってこんなもんですよ」

男「しかしなあ……ハサミがダメなのかな。これがエビとは違うってのを全力で出してる感じする……」

女「オマール海老はもっと立派なハサミありますって」

男「いや、ハンパなハサミがすげえ虫感あるのよ……サソリみたいな」

女「次虫の話したら、ハナからハサミ突っ込みますからね?」

男「ゴメンナサイ」
240 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:24:29.31 ID:1RJc5Kdc0
女「むー、いいですよ。あたしから食べます。ええっと、確かネットで見たカラの剥き方は……」

男「あーいやいや悪かった。俺も付き合うって……で、どうすりゃあいいの?これ」

女「……まず、頭をヒネるようにして、スポッと抜き取ります」グリグリ

男「ふむふむ……さっきまで生きてたのをこうしてイジるの、なんか新鮮だな……」グリグリ
241 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:29:11.24 ID:1RJc5Kdc0
男「……お!抜けた……ああ、これならエビっぽいな」

女「次に、背中とお腹の部分のカラを剥ぎ取ります」

男「ふむふむ……カラ硬っ」

女「エビとは全然違いますね。ヨロイみたい……イタタタタ」

男「これ尻尾の先は引きちぎっていいの?」

女「大丈夫です。FallGuysみたいにすぽーんと」

男「そのたとえはよくわからない」

女「あたしも動画見ただけなんで……」
242 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:33:40.08 ID:1RJc5Kdc0
男「……おお、カラ剥いたら完全にエビみたいな――……エビみたいな……」

ち ま ー ん

女「……」

男「……食える所すっくな!!?」

女「うおお、普通のエビの3倍はありそうな大きさなのに、食べられる所は普通のエビより少し小さいくらい……!」

男「スーパーで売ってるブラックタイガー、これより大きいの普通にあるぞ……」

女「あ、最後に背中をほじくって、背ワタを取ってください。ベリンとめくるようにやったら取れるはずです」

男「……さらに小さくなるなあ……」ホジホジ
243 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:35:45.52 ID:1RJc5Kdc0
男「……流石にここまで加工したら、紛うことなきエビだな……」

女「とりあえずディップソースとして、ケチャップ・レモン・わさびを混ぜたレッドソース、マヨネーズ・醤油・七味を混ぜたイエローソース、マスタード・はちみつを混ぜたハニーマスタードソースを用意しました」

男「……とにかく、食ってみるか……」

女「はい……」ドキドキ
244 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:36:49.66 ID:1RJc5Kdc0
「「いっただっきまーす」」

パクッ

男「……」モグモグ

女「……」グニグニ

ゴクン
245 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:37:38.33 ID:1RJc5Kdc0
男「……エビだ」

女「……カニかな?」

男「いや、エビ……カニ?」

女「いやエビですけど……カニっぽさも……」

男「……」

女「……エビですね」

男「……いや、カニかも」

女「やっぱカニ?」

男「いや、エビ……ううん?」
246 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:39:15.26 ID:1RJc5Kdc0
男「なんだろ、この独特の旨味……8割エビなんだけど、カニっぽさが2割見え隠れしてる」モグモグ

女「そして弾力がすごいですね……プリプリじゃあなくって、グニングニンみたいな……エビでもカニでもない食感」パクパク

男「意外と泥臭さがないのはビックリだ。普通にうまい……ちょっとクセあるけどな」

女「!!……男さん、試しに……背ワタつけたままかじってください」

男「ええ?……まあ、やるけど……」

パクッ……
247 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:41:40.74 ID:1RJc5Kdc0
男「……オオウ……ほのかにドロくせえ……!」オエエ

女「でしょー?でしょー??」

男「なんでそんなことやらすんだよお」

女「いや、背ワタ取る作業なかったらもっと楽に食べられるのになーと思って……やっぱり下処理は大切ですねえ」
248 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:46:30.98 ID:1RJc5Kdc0
男「うええ……ソースつけて口直し、と……」パクッ

女「取り急ぎ作ってみたソースはどうですかね?エビならいけるかと思いましたが……合いますかね?」

男「うーん……ケチャップベースは無難に合う感じだね。ビールにピッタリだし。……けどやっぱ日本人だとマヨネーズ・醤油・七味の合せ技がなーっ。本能に刷り込まれてるっていうか……定番だけど、これこれ、この味!ってなるな。……ハニーマスタードはちょっと、合わない」

女「あー確かに……長時間の塩茹でだと少し水っぽい感じするので、ハニーマスタードの甘みが薄まって気持ち悪い感じになりますね……」

男「そうそう」
249 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:48:52.10 ID:1RJc5Kdc0
女「……逆に言うと、油っこいものなら合う味……ってこと、ですかね?」

男「まあ、そんな感じかな」

女「ふむふむ、なるほど……」
250 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:50:31.67 ID:1RJc5Kdc0
女「ちょっと待ってくださいねーっ」

テキパキテキパキ

男「え、何――……殻剥くの早ッ!!」

女「定番の料理を試してみたいってのと……ディップソースに合うのを簡単にやってみますか」

男「ええ?」
251 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:52:30.83 ID:1RJc5Kdc0
女「まず、殻を剥いたザリガニを軽く洗った後、水気を切ってから片栗粉にまぶしてー」ポンポンッ

男「片栗粉?」

女「じゃっと熱した油で揚げます!!」

ジャアアーッ!

男「!!……そうか……油っこさが足りないなら、足せばいいだけのこと!」

女「簡単ですが、これで塩茹でザリガニの弱さを克服出来るはずです!」
252 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:54:28.94 ID:1RJc5Kdc0
女「完成!『ザリガニの唐揚げ〜三色のディップソースを添えて〜』」

男「なんかぐるナイのゴチで出てきそうな名前になった」

女「これで三色ディップソースと合うはずです」

男「マヨネーズとハニーマスタードがほとんど同系色なんだけど」
253 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:56:38.05 ID:1RJc5Kdc0
パクッ

男「……おお、合う合う!カラッと仕上がった身にハニーマスタード合うわ。もちろん他のソースもすげえ良い。揚げるとさらに身がしっかりしてる感じするし……いけるな、これ」

女「ふふふ……そうでしょうそうでしょう」

男「これは全部完璧ビールに合うし……いやあ、最初ザリガニ食わされる時はどーかと思ったけど、タダでこんなの食えるって良いもんだな。ありがとう女さん」

女「ふふふふふふ……男さあん……」

男「……え、何?怖いんだけど」
254 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 21:59:25.56 ID:1RJc5Kdc0
女「あたしのバトルフェイズは――まだ終わっていませんよ!!」

ドン☆

男「何ぃーッ!?」
255 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:02:03.52 ID:1RJc5Kdc0
女「今のザリガニを食べて、こうは思いませんでしたか?……『スナック感覚でおつまみみたいだなあ』『やっぱメインにはなれないかあ』『メインの一品になるには塩茹でと唐揚げじゃあキツいわなあ』……と!」

男「……いやまあ、ちょっと思ったけど……え、どうすんの?」

女「まあ、ザリガニ使って普通にエビ料理作るだけですけど」

男「独創性低いな」

女「ザリガニ使ってるだけで独創性はマックスですよ」

男「それはそうだけどさあ」
256 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:03:58.38 ID:1RJc5Kdc0
女「とりあえずー、すり下ろしたしょうがとにんにくをたっぷりごま油で炒めまして」ジャオーッ

男「ほう」

女「そこに、スライスした玉ねぎとみじん切りした長ネギを中火でざっくり炒めます」ジャッジャッ

男「……ん?これは……」
257 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:05:46.99 ID:1RJc5Kdc0
女「チリソース・スイートチリ・ケチャップ・酒・水で溶かした鶏ガラスープを入れて……一回火を止めて、そこに水溶き片栗粉を少し投入」トペーッ

男「……なるほど」

女「さっき揚げておいたザリガニの唐揚げを入れて、強火でざっくりかき混ぜて……最後に酢をちょっぴり入れて、塩で味を整えたら……」
258 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:07:29.64 ID:1RJc5Kdc0
女「完成!『ザリチリ〜ザリガニのチリソース和え〜』」

ドバァ~ン

男「やっぱりエビチリか……『ザリチリ』って名前なんか食欲無くすな」

女「まあエビ料理といえば定番でしょう」

男「……味は?」

女「ド定番ですよ。どうぞ」

男「……まあ、もう普通に塩茹でとか唐揚げ食ってるしな……」

パクッ
259 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:09:45.18 ID:1RJc5Kdc0
男「お!うまっ……ああこれ、一番合ってるかも」モグモグ

女「うーん、白ごはん欲しくなりますねーっ!」パクパク
260 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:12:05.83 ID:1RJc5Kdc0
男「ザリガニの塩茹でだと少し感じてたクセもないし、この身の歯ごたえが食べごたえあるっ!あえてシャキシャキの食感残した玉ねぎもいいね……様々な食感のハーモニーは、エビだと表せられないんじゃないか……」

ガシッ!

ゴクゴクゴクゴク……!!

男「……っかーっ!!ビール、うまっ!!……こんなにうまかったか、ビール……マジで今、生きてて最高だわ……」グビグビ

女「……ふふふ……」
261 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:14:33.18 ID:1RJc5Kdc0
男「?……どうかした?女さん」

女「いえ……ちょっとね」

男「?」

女「『生命の最後』――『暴れる身体』――『赤いボディ』――『たくさんの目』!!そんな彼らを食べて……そして!『生きてて最高と思える』――……!!」
262 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:19:29.66 ID:1RJc5Kdc0
女「そう!!これらは――導いていたのですッ!!ザリガニを、一つの『答え』に!!――人類全てをッ!!」

ド ド ド ド ド ド ド

男「なッ――!?一体、『それ』」はッ!?

女「ふふふふふ……つまり――……ザリガニとは……『ザリガニを食べるということは』――!!」
263 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/08/26(水) 22:21:47.77 ID:1RJc5Kdc0
女(『いのちの輝き』だということ――……!!)ホッコリ

ペカーン!

男「……なんか引っ張ったワリにタイムリーなネタで納得しちゃった――ッ!!」ガビーン!!

…………
264 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/08/26(水) 22:23:03.65 ID:1RJc5Kdc0
今回はここまでです

毎回オチに困るのですが、今回は桐谷さんが強かったと自分でも思う。反省
オチの展開もう少し考えます
265 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/08/26(水) 22:23:31.28 ID:1RJc5Kdc0
もう一つのスレの方は来週更新、できたらいいなあと思います
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 23:05:34.78 ID:CrA2tI0hO
ザリパとかいうパワーワード
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/26(水) 23:41:51.99 ID:QAzw9uxTo
おつおつ
……エビチリつーくろ
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/27(木) 01:48:57.15 ID:itaJRhb4o


エビチリかなと思ったらやはりエビチリ
美味しそう。食べてみたいな
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/29(土) 14:25:05.21 ID:GEc5YGHZO
やはり桐谷さん読んでたか
かわいいですよね
270 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:18:54.36 ID:6DEMWf/t0
…………

男の仕事場――……

男「……」カタカタカタ

後輩「先輩ー。セーンパーイ」

男「んー?」カタカタ 

後輩「会社の打ち込みのヤツ、最初入る時のパスワード……なんでしたっけ?」

男「お前のID下4ケタ2回だ。……昨日言ったろ、それ」

後輩「あ、そうでしたそうでしたねー」ポチポチ
271 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:22:41.60 ID:6DEMWf/t0
男「……あれ、くそ……計算合わん……」ポリポリ

後輩「えー、なんか計算ミスってるんじゃないっスかー?」

男「んー……どこだ?……」

後輩「もー、先輩けっこーオッチョコチョイな所あるんスからーっ」

男「……あ。ここか。…………おい後輩」

後輩「なんスか?」

男「……お前が昨日打ち込んだ所……計算ミスっとる」

後輩「……てへぺろ」

男「いい加減怒るよ、俺も」
272 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:25:53.30 ID:6DEMWf/t0
男「あーもー忙しいのに……」カタカタカタ

後輩「……あれえ?ねーねー先輩せんぱーい」

男「今度はなんだよ」

後輩「あのですねー……」

同僚男「なあ男ーっ、この前の資料あれどうなったー?」

男「え?ああ、会社のフォルダ入れてるよー。パスいつものー」

同僚男「サンキュー」
273 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:29:00.53 ID:6DEMWf/t0
上司「なー男君ー。○○社での見積もりなんだけど……」

男「はいはい?……これ高すぎでしょ。どっか間違えてますって」

上司「だよなあ」

男「あとで見ときますよ。書類借りときますね」

上司「おう。ありがとうなーいつも」
274 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:32:10.39 ID:6DEMWf/t0
同僚女「ねえ男くんー、これどうやって作ったらいいの?」

男「ん、あー……これはちょっとややこしいけど、俺この本で勉強してやったら出来たわ。マーカーで印入れてるから、読みながらゆっくりやったらいいよ」

同僚女「ありがとう。助かるーっ」

男「んー。……で、後輩。なんか言ったっけ?」
275 :ていうか右クリック ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:34:38.60 ID:6DEMWf/t0
後輩「あのー……画像のコピーってどうやるんですか?」

男「コントロールキーと――お前だけ質問のレベル低いんだよ!」

…………
276 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:36:47.38 ID:6DEMWf/t0
…………

男「はあ……やっと昼休みか……今の案件しんどいなー」フゥ

後輩「それにしても先輩って、仕事バリバリできて凄いっスよねー!いやー尊敬しますよー!」

男「別に……そんなんじゃないって」

後輩「いやいや、同期や上司からも頼られて、ソツなくこなす感じ!いやーあたしも先輩みたいになりたいっスねー!」

男「あのなあ……俺みたいになんか、絶対なったらダメだからな?」

後輩「へ?」
277 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:38:52.21 ID:6DEMWf/t0
男「俺はなあ……与えられた仕事だけきちーんとやって、それ以外は絶対しない。しんどいことはしたくない。出世とかもヤダ」

後輩「……ええ?」

男「ただ、のーんびり仕事やって給料もらって、刺激のない普通の生活できたらそれでいいんだよ……」

後輩「い、いやいや……全然違うじゃないっスか。言ってることとやってること」

男「……それがなあ……」
278 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 19:43:44.41 ID:6DEMWf/t0
男「俺が初めて就いた時、仕事教えてくれた師匠がなあ……俺がなーんも知らないことをいい事に、普通新入社員がやらん仕事まで全部丸投げしてきてなあ……」

後輩「……うええ……」

男「しかも親切丁寧にきちーんと教えてくれるんだ」

後輩「あ、それは良いじゃないっスか」

男「そう。それはいいんだよ。すげえわかりやすかったし。……だから俺は知らず知らずのうちに師匠の仕事ほとんど全部覚えていって――……」
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