隣に住んでる女大生「あの……魚醤作りすぎたんですけど」社会人男「魚醤!?」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

304 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 20:46:50.69 ID:6DEMWf/t0
バーテン「?……あら、女さんが連れてきたので、当店の説明は受けているかと」

男「いや、なんかなんとなくわかったよ……なんとなくわかってきたけど……またこういうのか、女さん……!」

女「お洒落でオススメのバーであることは間違いないですよーだ」

男「……ちょっと食事メニュー見せてもらえます?」

バーテン「ええ、どうぞ」スッ
305 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/02(水) 20:47:49.04 ID:6DEMWf/t0
男「……『鹿とイノシシ肉の合い挽きハンバーグ』……『アナグマのミニ鍋』……『鴨のディップソース添え』……『ウサギの唐揚げ』……」

女「ふふふ……このお店は!『ジビエ料理が食べられるバー』なんですよー!」

バァーン!

男「普通のバーが良かったよお……!」
306 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/09/02(水) 20:49:07.65 ID:6DEMWf/t0
今回はここまでです
ジビエネタではなくまたゲテモノ系になるかもしれませんすみません
アナグマとかイノシシとか別に語るような味じゃあないし……
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/02(水) 20:56:57.58 ID:ZeSAUJh70
まあ、安全に料理が食べられそうなだけ良さそうだけどな
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/02(水) 20:57:10.72 ID:QdY+2849o
おつ
>語るような味じゃない
おぉう…
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/02(水) 21:03:26.19 ID:XQ0uQNbh0

ウサギはちょっとくるな…
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/03(木) 03:18:50.22 ID:gtgADXPH0
アナグマはジビエ肉の中ならトップクラスに美味いと思う
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/03(木) 09:59:04.43 ID:SbwYMNgQO
後輩が宇崎ちゃんにしかみえん
312 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:23:19.08 ID:qZrYHKvc0
女「最近流行ってますものね、コンセプトバー」

男「コンセプトが攻めすぎだろ。なんだジビエて」

バーテン「ジビエはフランス語で、狩猟により得られた鳥獣を指します。畜産との対比で――……」

男「語源を聞いた訳じゃあないんだよ」
313 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:25:48.28 ID:qZrYHKvc0
男「店名が『HEART』でお洒落な雰囲気なのになあ……」

バーテン「ああ、この店名もジビエに由来するんですよ」

男「へ?……心臓食べるとか、そういうこと?」

バーテン「いえいえ……いやまあ心臓ありますけど」

男「あるんだ」

女「鴨のハツ串くださーい」

男「食べるんだ」
314 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:27:57.48 ID:qZrYHKvc0
バーテン「実は、ハート模様というのは外国由来ではなく、古来の日本にも同じ模様があるのです」

男「え、同じ模様が……日本に?」

バーテン「ええ。上下は逆さまですけど……この模様の事を『猪(い)の目模様』と言い、魔除けや厄除けとして彫られてきました」

男「『猪の目』……」

バーテン「その名の通り、イノシシの目の形に似せて彫られたものですね。……お寺や古墳をよく見てみると、意外とあるんですよ。猪の目模様」

男「へえ、そうなんですか……」
315 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:30:25.56 ID:qZrYHKvc0
バーテン「たまーにテレビの旅番組とかで、『このお寺の瓦には、なんと!ハート模様が彫られてあるんです!見つけたら相思相愛になれるかも♡』とかいうのありますけど」

男「……ありますね。なんかそーいうの」

バーテン「『いやいや厄除けだよ!?君らがラブラブしながら見てるのイノシシの目を元にした魔除けだよ!?』って声を大にして言いたい」

男「まあ、うん……魔除けと言われるとハート模様の意味合い変わるなあ……」

女「ふむ、お寺だけに……『知らぬが仏』!」

男「…………」シラケーッ
316 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:33:12.77 ID:qZrYHKvc0
バーテン「かなり大爆笑。カクテル一杯サービスしましょう」

女「わーい」

男「えっマジで?……どういうシステムなの?」
317 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:36:33.98 ID:qZrYHKvc0
バーテン「とにかく、猪と言えばジビエの入口みたいなもの。……私共の店ではそれにあやかって、『HEART』という名前にしております」

男「なるほど……勉強になる」

バーテン「そして今日は28日……『ジ(2)』ビ『エ(8)』の日、と勝手に決めておりまして」

男「ふむ?」

バーテン「本日、当店では……あえて普通のジビエではないレアジビエ料理をお出ししています」

男「NA☆ZE☆DA」
318 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:44:41.96 ID:qZrYHKvc0
男「ジビエの日なら普通のジビエ出しゃあいいじゃん!安くするとか!」

女「普通のジビエはいつでも食べられますしい。普段から結構お値打ち価格ですよ、ここ」

バーテン「一ヶ月に一度のお楽しみですよ。本日のお客様は、そういったものを楽しみにしている方ばかり」

男「……よく見ると、テーブル客の人……」チラッ

「ククク……野生の血が騒ぐぜ……」

「ヒヒヒ……今日はどういったものを食えるのかなア〜〜ッ」

「ジビエルーキーは帰ってヤギのオッパイでも飲んでな……」

男(……変な人ばっかだ)
319 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:48:49.90 ID:qZrYHKvc0
女「まあ、男さんはザリガニ食にチャレンジしたばかりですので、ジビエ中級者ですよねえ」

男「いやそれは――……」

「何!?ザリガニ……だと……!」

「ヒヒヒ、やるじゃあねえか。ガキかと思ったのによ〜〜」

「寄生虫がヤバいだろうに、よくやるぜ……負けたぜ。ルーキー……フッ」

男「……なんか認められてる」

バーテン「ほう、ザリガニ食済みならば、ジビエ料理も問題ないですね」

男「イノシシ食ったの今日が初めてなんですけどね……おいしいわこのジャーキー」モグモグ
320 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:51:45.56 ID:qZrYHKvc0
女「では早速ですけど……マスター、あたしは『例のアレ』……『特性カクテル』をいただきましょうか」フフフ……

バーテン「『例のアレ』ですね……しばしお待ち下さい」

ざわっ

「マジか……最初から飛ばすな、あの女……」

「躊躇しねえだと……怖いもの知らずが……!」

「『特製カクテル』……大したものですね」

ザワザワ……
321 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:54:09.55 ID:qZrYHKvc0
男「……なに?スピリタス原液でも頼んだ?」

女「いえいえ。全くもって普通のものですよ」

バーテン「ええ、普通のものですね……」

コトン
322 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 12:57:22.55 ID:qZrYHKvc0
バーテン「『マムシの生き血のワイン割り』です。どうぞ」

ドゲ――ェン

男「普通って何!?」
323 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:00:08.55 ID:qZrYHKvc0
バーテン「今日は活きのいいマムシが入りましたからね」

男「うおおお……赤っ」

女「いやまあワインも赤いですしね」

男「いや違う、なんかドス黒くて重たい色の赤だよこれ」

バーテン「分離する前に、どうぞ」

男「分離て」
324 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:01:53.59 ID:qZrYHKvc0
男「そもそもヘビの生き血て……なんか精力剤とかで名前は聞くけど、効能あんのか?」

バーテン「元々は、ヘビのペニス……つまり、おち○ぽがですね」

男「言い方!」

バーテン「根本から二つに分かれていて、二本あるんですよ。ヘビって」

男「……へえ……」

バーテン「しかもヘビのエッチは一日二日は繋がりっぱなし当たり前の超長期戦。それらを見て昔の人は、ヘビを精力剤に使おうと考えたのかもしれません」
325 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:04:53.39 ID:qZrYHKvc0
男「……それって、科学的な効能は?」

バーテン「ぶっちゃけ血の方はないと思いますよ」

男「ぶっちゃけるね……」

バーテン「肉はアミノ酸たっぷりで効能あるかと思いますが――……」

「悪いな兄ちゃん、マムシの蒲焼きはいただいたぜ」モグモグ

「鳥みたいな感じで美味いぜ……」パクパク

「見た目から生臭そうな感じがするがそんな事は全くない。少し野性味を感じる鳥という感じだ」ガツガツ

男「いつの間にか食べてるし……」
326 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:07:04.40 ID:qZrYHKvc0
女「えいっ」ゴクッ

男「うわ、一気にいったね……」

女「……うーん……」

男「どうなの?味は」

女「……ちょっとしょっぱい?」

男「そ、そうなんだ……」

女「あまり血の感じはしないですかねぇ。意外とスッとイケるというか」

男「そうか。俺はそれ遠慮しとこうかな……」
327 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:10:35.36 ID:qZrYHKvc0
女「むふふふふ、マムシでテンション上がってきましたよー。バーテンさん、今日はどんなメニューが!?」

バーテン「そうですねえ……マムシの他には、カラスにイルカ、ワニ、ミシシッピアカミミガメ――……」

男「ミシシッピアカミミガメ!?」

バーテン「今朝、近所の池にいたのをひっ捕まえてきました」

男「しかもバーテンさんが取ったのかよ」

女「……前食べたんですけど、マズいんですよねぇ……」

男「食べたことあるの!?」
328 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:12:58.34 ID:qZrYHKvc0
女「なんていうか……カメの水槽に溜まってる水の味、みたいな……」

男「……想像するだけで気分悪くなってきた」

バーテン「前回は茹で方と内臓の処理をミスしてたと思うんですよねぇ。そこを改善すれば――……」

「うおえええええ!このスープ不味ッ!!」

「カメの水槽の味がする!!」

バーテン「チッ、怖いから味見してなかったけど、駄目だったか」

男「テーブル客を毒味に使うなよ!!」
329 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:15:55.46 ID:qZrYHKvc0
女「皮を剥いでから調理すると美味しいらしいですけどね」

バーテン「やっぱスープじゃあ駄目なんですかね。甲羅も皮も死ぬほど硬いから他の調理面倒なんですよねえ」

男「面倒て」

女「うーん、今日は普通にクセのなくて美味しいのを食べたい気分かなー」

バーテン「あら珍しい。いつもはガンガン攻めますのに」

女「いやほら……今日はビギナーの男さんがいますし」

バーテン「……ふふ、そうですね」
330 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:18:09.81 ID:qZrYHKvc0
男「女さん的にはザリガニはビギナー食材なの?」

女「アカミミガメよりかは遥かに」

男「……それ言われるとなんとも言えねえな」
331 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:20:03.64 ID:qZrYHKvc0
女「カラスもいいですけど、あれも肉が少し硬いんですよね」

男「いやそれより生ゴミつつく黒い鳥とか食いたくねえ」

バーテン「都市部で生ゴミを荒らすカラスとは別の種類ですよ。あれはハシブトガラスという種類で、食用になるのは田舎に住むハシボソガラスです」

男「……それどう違うの?」

バーテン「鳴き声とか」

男「結局カラスじゃねえか」
332 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:22:34.41 ID:qZrYHKvc0
女「ハシボソの方が植物食傾向なんで、肉に臭みが少ないそうですよ」

男「あ、臭いことには臭いんだ?」

女「そんなイヤな風味はしないですけど、なんていうか……血の味というか、レバーみたいなクセがありますね」

バーテン「ハシブトなんて食えたものじゃあないですよ。マジでくっさいです」

男「なんで食ったことあるんだよ」
333 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:24:38.26 ID:qZrYHKvc0
女「今日はあたしの好きな、アレをいただきましょうかねー」

バーテン「アレですね……少々お待ち下さい」

男「……本当にビギナー食材なの?」

女「当然。あたしはなぜアレが牛・豚・鶏に並ばないのか不思議でなりません」
334 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:26:25.00 ID:qZrYHKvc0
女「高たんぱく・低脂肪で、ビタミンB2、B6、鉄分が豊富。生活習慣病に効き、肉はやわらかくそしてジューシー……」

男「ほう……言葉だけ聞くと魅力的だが」

女「あたしの大好きな食材!その名も――……」
335 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/12(土) 13:28:08.80 ID:qZrYHKvc0
女「カエルです」

ゲコーン

男「どこがビギナーじゃい!!!」
336 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/09/12(土) 13:28:54.53 ID:qZrYHKvc0
今回はここまでです
次でバー編終わりです
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 13:34:22.08 ID:FWtdZI6S0

アカミミガメは下茹でしてからコラーゲン質の皮剥いて調理すると臭み抜けるんでお勧めです
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 15:24:53.72 ID:yHuBuERtO
次は何が出てくるかな楽しみ

何か亀に詳しい人きてる
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 18:09:18.84 ID:gkjmMDrFo
おつおつ
亀食経験者?来てて草
女さん虫はNGだからある意味安心して見れる
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 18:09:24.90 ID:wvRnUe1Bo
食材が某農業アイドルが獲ってくるやつみたいになっとる…
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 18:27:27.66 ID:hThHpsqD0

ふぇぇ有識者まで来て怖いよぅ
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/12(土) 18:34:28.29 ID:TpspWGdDO
亀の水槽の味を知っている人々…
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/13(日) 04:12:54.01 ID:SsaTDOHzO
アカピッピミシミシガメ……
344 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:06:01.98 ID:KaInJGUw0
女「やっぱヘビの後はカエルですよね、カエル」

男「さっぱり意味がわからんが」

女「ヨーロッパではローマ時代からカエルを食べる習慣があったらしいですよ」

男「……日本では?」

女「全くないですね」

バーテン「大昔にはカエルを食べていたという記録残ってるそうですが、日本固有のカエルは小さくて食べるのに向いてないですからね。廃れてしまったようです。嘆かわしい」

男「嘆かわしいかな?これ」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 18:08:09.11 ID:UIru4gs0o
きたわぁ!
346 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:09:16.67 ID:KaInJGUw0
女「『カエルの子はカエル』『カエルの面に水』『ヘビに睨まれたカエル』などなど、様々な言葉があるのに食文化が廃れてしまうなんて……これはもうあたし達で食べるしかないですね!」

男「そうはならんやろ……」

バーテン「ああ、そういえば知ってますか?『ヘビに睨まれたカエル』……あの言葉の真意」

男「はい?……カエルが恐怖で立ちすくむこと、でしょ?」
347 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:11:19.87 ID:KaInJGUw0
バーテン「実は、カエルはヘビが攻撃してきた瞬間に避けようとしていて、ヘビはカエルが逃げた後の着地点を攻撃しようとしている……お互いが『後の先』を狙う動きをしているのです」

女「へー。その結果、動くに動けない状況になるんですねー」

男「なんか熟練の格闘家みたいだな……」

バーテン「どうですこのカエルうんちく。合コンで話せばウケること間違いなし」

男「いや100パーすべると思う」
348 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:14:28.65 ID:KaInJGUw0
男「しかしヘビにカエルと……やっぱ爬虫類系は抵抗が少しあるかな」

女「……男さん、カエルは両生類です」

男「ううう、うっせえ。どっちも似たようなモンじゃん」

バーテン「まあわかりますよ。卵生の変温動物って、何考えてるかわからない目してますよね」

女「ウロコあったりヌメヌメしてたりしますし……まあ確かに抵抗ある人はあるのかもなー」

男「えーっと、女さん抵抗は――……」

女「美味しいから大丈夫ですよ?」

男「だよねー……」
349 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:16:29.82 ID:KaInJGUw0
バーテン「……そういえば男さんは、ニガテな食べ物はないのですか?」

男「え?……うーん……なんだろ……」

女「男さん結構好き嫌い少なそうですよねえ」

男「まあそうかもしれないな……強いて言うなら……おでんのコンニャクがニガテ」

バーテン「……何故?」

女「嫌う要素あります?コンニャク」
350 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:19:50.80 ID:KaInJGUw0
男「ブルンブルンして箸で千切れないから噛み付くしかないけど、熱くて歯の裏ヤケドするじゃん……あの感触も苦手だし……竹串ごと噛んじゃったらもう最悪……生きる気力無くす……」

バーテン「な、なるほど?」

女「よくわからないもんですねえ……」
351 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:22:09.84 ID:KaInJGUw0
バーテン「しかし、そういった苦手な物はあるのに、女さんの食事には付き合うのですね」

男「まあだいたい慣れましたし……結構あれですよ。意外と美味しいの多いっていうか」

女「おおー、わかってくれますか」

男「食べた結果ニガテってなるのはわかりますけど、食べる前から嫌ってたらいけないな、っていう……やっぱ何事もチャレンジですよねー」

バーテン「ほうほう、なるほどなるほど……」
352 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:25:45.12 ID:KaInJGUw0
バーテン「そういう事なら特別に、今回はカエルの姿焼きにしてみました」

ゲロリーン‼

男「なんで?」

バーテン「ゲテモノ愛好家からしたら、食べる前から過剰に嫌われるのも悲しいですが、一切抵抗なくパクパク食べられるとそれはそれで面白くないのですよ」

男「知らんがな」
353 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:28:13.80 ID:KaInJGUw0
女「おお……流石になかなかの迫力あるヴィジュアル……」

男「あれ、好きなんじゃないの?カエル」

女「普段は唐揚げですからねー。こーいうのは新鮮です」

バーテン「皮を剥いで内臓を取り除き、あとは塩コショウしてそのままグリルで焼いただけです」

男「……どこから食べればいいの、これ」

バーテン「頭は食べられないので、それ以外から」

男「選択肢多いなあ」
354 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:30:21.47 ID:KaInJGUw0
女「とりあえずインスタ映えインスタ映え」パシャパシャ

男「君のインスタは魔界にでもあるのかい?」

女「あたし左足からいただきますので、男さん右足どーぞ」

男「……なんかヤダなあ、このシェアの仕方は」

バーテン「ゆず胡椒やホースラディッシュも合いますので、どうぞ」コトン

女「あらお洒落ですねえ」

男「カエルの添え物じゃなければな」
355 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:35:45.35 ID:KaInJGUw0
ブチブチッ

男「……うーん、足だけ見たら鶏肉にも見えなくない、か……?」

女「まあ足なんてどの生物でも見た目そんなに変わらないですからね」

男「……なかなかジューシーで美味しそうなニオイもするけど……」

女「とにかく……」

男「ん」

「「いっただっきまーす」」

女「あーん」パクッ

男「……」パクッ
356 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:40:24.75 ID:KaInJGUw0
モグモグ……

女「ん、おいしーっ」

男「…………」グニグニ

女「どうです?男さん。カエルの味は?」

男「……待ってね、骨が……」

女「ああ、結構ありますからね。骨」

男「……うん、しかしこれは……」
357 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:45:43.73 ID:KaInJGUw0
男「鶏肉だ」ドーン

女「似てますよね、鶏に」

男「鶏のムネやササミみたいなのと……白身魚?みたいなさっぱりした味がする。しかもパサパサしてなくて柔らかく、うまいな……身離れも魚に近い、か?」

女「ゆず胡椒も良いですねぇ。しっくりきますよぉ」モグモグ

バーテン「こちら、お飲み物です」

コトン

女「おおー、ありがとうございます」

男「これは、なんていうカクテルで?」

バーテン「女さんはレッドアイ。男さんにはカミカゼをご用意しました」
358 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:49:15.35 ID:KaInJGUw0
男「カミカゼ……?」

バーテン「ウォッカベースにホワイトキュラソー……オレンジベースの甘いリキュールですね。それとライムを混ぜています。キリッとしていてこういったものに合うかと」

男「ん!そこまで甘くないんだな。結構好きかもしれない……肉に合いますね」

バーテン「男さんは、お酒お強いので?」

男「普通じゃあないですかねえ。楽しむ程度には飲めますよ」

バーテン「それは良かった」
359 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:52:33.81 ID:KaInJGUw0
女「うへへー。お酒もおいしくてカエルもおいしくて、さいこー♡げろげろげろりん!」

バーテン「女さん酒めっちゃ弱いんで、バーテンダーの仕事に張り合いないんですよ」

男「まだ二杯くらいしか飲んでないだろ女さん……」
360 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:56:59.72 ID:KaInJGUw0
バーテン「ミント水出しておきますね。これ飲ませてしばらくしたら落ち着くはずです」

女「うひひー、いつもすみまちぇんねえ。バーテンさーん」

バーテン「いえいえ……私も飲ませすぎてしまいましたね。申し訳ありません」

男「……そういえば、女さんってこの町に最近引っ越してきたけど……バーテンさんとはその頃からの知り合いなんですか?」

バーテン「いえ。昔からのご友人なんですよ」

男「あ、そうなんですか?」
361 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 18:59:29.28 ID:KaInJGUw0
バーテン「というより、女さんのお姉様にお世話になりましてね、昔」

男「へえ……女さんのお姉さん」

バーテン「懐かしいですね……右も左もわからないあの頃、本当にお世話になって――……」

…………
362 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 19:02:09.92 ID:KaInJGUw0
…………


『おいテン子ォ。キタ高の奴らマジナメてっからシメにいくぞ』

『うっすアネさん。ついていくっす』

・ ・ ・

『あ、コーヒーしばきてえけど金ねーわ。ちょっとカンパもらってくっか』

『うっすアネさん。私行ってくるっす』

・ ・ ・

『テン子ォ。腹減ったぞ。誰かパシらせてこいよ』

『うっすアネさん。僭越ながら弁当作ってきたっす』

・ ・ ・

『テン子ォ。オメーはマジに頼りになる舎弟だなあ』

『うっすアネさん。私テレるっす』

…………
363 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 19:04:29.85 ID:KaInJGUw0
…………

バーテン「懐かしいですねえ……あの頃が……」シミジミ

男「いい話っぽく言ってるけど過去に何があったんだアンタに!!」ガビーン!

…………
364 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 19:07:20.10 ID:KaInJGUw0
…………

後日――……

男「はあ……仕事しんどいなあ。今日も……」カタカタ

後輩「先輩、センパーイ」

男「なんだ?まーたなんかミスったか」

後輩「いえ、そうじゃなくってー……お店、どうなりました?いい店見つけたっスかー?」

男「……あー……それなんだけど……」
365 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/20(日) 19:08:22.19 ID:KaInJGUw0
男「カラスにヘビにカエル……食える店って、どう思う……?」オソルオソル

後輩「何故オシャレなバーの話から魔女鍋の材料みたいな話に!!?」

…………
366 : ◆eUwxvhsdPM [sage saga]:2020/09/20(日) 19:10:51.62 ID:KaInJGUw0
今回はここまでです
カエルはマジで美味しい。オススメ。味的には結構ウサギに似てるかもしれない……どっちも鶏に近い
Amazonでも買えるので食ってみようぜカエル

次回からちょっとゲテモノから料理系統に路線戻します
書いてて桐谷さんとか山賊ダイアリーとかと変わらねえなってなってきてたので
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 19:27:54.72 ID:g8ux6bHDO
おつおつ
バーテン女性だったの気付かなかった
読み返してみたらあら、とか言ってた
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 19:38:42.72 ID:UbYJuqC/o
乙乙
ゲテモノなのにそそられる飯テロ
鹿と猪と熊は食べたことあるがカエルは無いなぁ
機会があれば食べてみたい
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 20:12:51.90 ID:UatI/74oo
カエルは鶏肉に似てるって言われるけどだったら鶏肉で良いよねってなっちゃうな多分鶏の方が安いし
最近幅効かせてる大豆ミートも代替元の肉より凄く安いって訳じゃないしね
370 : ◆eUwxvhsdPM [saga sage]:2020/09/20(日) 20:34:17.49 ID:KaInJGUwo
>>369
個人的には鶏肉より好きですよ、カエル
値段高いのはまあそりゃあ流通少ないですしねー。みんな食わないからそりゃあ高くなる

値段言い出したらブラジル鶏肉に勝てるのいませんし、食の多様性って大切だと思います
私の父は昆虫食に未来感じてたりしますしね。私はしませんけど
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 21:43:50.10 ID:9n3+E2vS0
乙です。
セミってね、羽取ってからチリソース炒めにすると美味しいよ。
エビチリならぬセミチリ
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 01:31:58.49 ID:eOtI4zhio

いやうさぎも味知らんのよ…
>>男「君のインスタは魔界にでもあるのかい?」
ここすき

虫も文化というか習慣を超えれば美味いんだろうけどね…じゃないとセミ禁猟区公園なんて事起こらんだろうし
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 02:51:42.10 ID:jYZdqmb6o
カエル高いんだ
そこらへんにウシガエルいっぱいいるのにね
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 04:31:58.13 ID:Nl3F0zaRO
そこら辺にいても誰が採取するんだって話なのだ
投網とかで一網打尽にできるわけじゃないし、鶏肉より安く採算とれる量は確保できないかと
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 16:48:54.57 ID:5LhCrI/Q0

一定の需要あるんならカエルの養殖とか誰かがやってそうだけど聞かないからコストに見合ってないとかなんかな
虫は地球外生命体だから拒否します!
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/21(月) 18:15:10.92 ID:oa+oufPIo
イメージ的にはマイナススタートになるんでやっぱ売りになる要素が欲しいですよね
両生類爬虫類は全然触れるけど虫系はどんなに美味いと言われても無理だなぁ…
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/23(水) 13:14:41.54 ID:Llo2pTATO
カエルは食べるところのわりに食べれる状態にするコストが高そうなイメージ

そういや食用の小さめの動物とかって絞めるのどうやってるんだろ
日本だと魚以外あんまり思い付かないが大変そう
378 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:29:52.75 ID:r9jKN8iq0
…………

男「……よし、今日の晩ごはんできたー……」

・ごはん
・みそしる
・つけもの

男「…………悲しい……」ショボン
379 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:32:49.60 ID:r9jKN8iq0
男「仕方ねえよなあ……『プラスステーション55』発売決定しちゃったし……日本はもうちょい発売遅れるかと思ったけど思いの外早くて……まあそれは嬉しいんだけど」

ズズッ……

男「しかし二ヶ月後は想定してなかったなー……金貯めないとな。うーん……ミソが薄いぜ……」

パリパリ……

男「……漬物は味濃すぎて塩食ってるみたいだし……安物はダメだな……しかし食費削らないとなあ……外食高いし」
380 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:35:26.33 ID:r9jKN8iq0
男「あああ……ここまでくると女さんのメシでも恋しくなるなあ……ザリガニ釣りに行くか?……いやなんかそこまでいくと色々捨てちゃってる気もするしなー……」

モグモグ

男「女さんが普通に美味しいごはん作ってくれたらなあ……なんか俺ヒモの思考みたいになってんな。いかんいかん。自分の欲で食費削ってるんだから、人の好意アテにしたらいかんぞ俺……洋食食いてえ……」

ピンポーン

男「!!……んぇ?」
381 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:39:28.96 ID:r9jKN8iq0
ガチャ

女「おっはろーございます。男さん」

男「あー……こんばんは。女さん」

女「あのですね、晩ご飯食べちゃいました?」

男「今食ってた所だけど――……待った!!女さん待った!!」

女「ほえ?」
382 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:41:17.73 ID:r9jKN8iq0
男「今回ばかりは受け取れねえー……俺にもプライドがある!!」

女「どういう事ですか、それ」

男「つまりだなー……」

カクカクシカジカ

シカクイムーブ

女「……なるほど。つまり自分の買いたいもののために今食費を削っている、と」

男「そう……そこで女さんからのおすそ分け受け取ったら、俺はそれを頼りにするダメ人間になってしまう!仮にも社会人が学生頼ったらダメだろ!」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/24(木) 21:42:31.02 ID:w/SA1BZPo
そんなプライドはよ捨てぇ捨てぇ
384 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:44:15.13 ID:r9jKN8iq0
女「……面倒くさいプライドですねえ」

男「男って生き物はプライドだけで真っ直ぐ立ってんだよ」

女「うーん、伝わらない」

男「右足がプラで左足がイドだ」

女「なおさら伝わらない」
385 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:46:23.87 ID:r9jKN8iq0
男「っていうかそもそも!!女さんのおすそ分けってどーせゲテモンだろ!次はなんだ?タヌキやらパンダやらドラゴンやら食わすつもりか!?」

女「最後のは食べたくても食べられないですねえ」

男「あいッ……にく……今は、そーいうの……いらないから……マジでいらない、からッ!……いやホント……肉食えるならなんでも食いたいとか、思ってない、から!……この前のカエル案外美味かったとか思ってない……ほどこしなんかいらない……!」

女「かなり未練タラタラじゃあないですか」
386 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:49:17.75 ID:r9jKN8iq0
男「いや!マジで今は普通の食いたいからな!?そりゃあカエルくれるんなら食いたいけどさあ!今はマジで、普通の食いたい気分ですから!!女さんのゲテモノ差し入れなんていりません!ごめんなさい!こっちのプライドで無茶苦茶言ってるだろうけど、マジでゲテモノなら断る理由になるからねーッ!!」

女「……まあ、今回作ったの、普通のものではないですけど……」
387 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:50:16.37 ID:r9jKN8iq0
女「カレー作りすぎちゃったんですよぉー」

男「なにそれー☆めっちゃたべた〜〜い♡」ワーイ
388 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:51:51.70 ID:r9jKN8iq0
男「ぅはッ!!!……待て待て待て……女さんがそんなマトモなん作るワケねえ……」

女「すっごい言われよう」

男「食材はなんだ?マンドラゴラか?ケンタウロスか?それともマタンゴとか……」

女「なんで逐一ファンタジー突っ込むんですか」

男「だって!女さんの作るものって普通じゃあないだろ!?」

女「いやまあ、普通ではないですよ?」
389 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:53:32.96 ID:r9jKN8iq0
女「燻製カレーなんですけどー」

男(めっちゃ美味そうな響き――……!!!)トゥンク
390 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:55:10.34 ID:r9jKN8iq0
男「ううう……し、しかしそれを受け取ると俺のプライドは……!!」

女「……あーあー。作りすぎちゃって困ってるんだけどなー。これ受け取ってくれないと捨てちゃう事になるなあ……あーもったいない!誰かもらってくれないと、あたしこまるなー!」

男「……」
391 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:56:20.58 ID:r9jKN8iq0
女「誰か……心優しい人が受け取ってくれないかなー!助けてくれないかなー!」

男「…………」
392 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:57:35.31 ID:r9jKN8iq0
男「……いただき、ます……!」グスッ

女「はい。素直でよろしい。……せっかくですし、温めてあげますよ」

男「……拝啓、お母様。元気ですか?ワタクシはゲーム機を買うために年下のヒモとなりました……」トオイメ

女「なーにぶつぶつ言ってるんですか。おじゃましますよー」スタスタ
393 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 21:59:11.62 ID:r9jKN8iq0
女「わ……なんか昭和の朝ごはんみたいな晩ごはん食べてますね」

男「仕方ないじゃん金貯めないとだし食材もないし」

女「せめて野菜とかですねえ……漬物は野菜カウントには難しいですよ」コトン

男「高いじゃん、野菜……」

女「うーん……豆苗とかどうです?あとは、ネギとか」カチッ

男「は?豆苗?ネギ……?」

女「……知らないんですか?豆苗とネギ」

男「豆苗はともかくネギ知らん人間がおるかいな。……そうじゃなくてさ、なんかぱっとしねーモン勧めるなあ、と……そんな安いイメージないし」
394 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:00:31.93 ID:r9jKN8iq0
女「豆苗やネギは、根の部分を水につけていたら、また生えてくるんですよ」カチャカチャ

男「え、マジ?無限に食えるの?」

女「流石に無限には無理ですけど……今度豆苗の袋よーく読んでみてください。再収穫の仕方書いてますから。豆苗公式のテクニックですよ」グルグル

男「ほおー、それはちょっとお買い得だな……」

女「あたしも新しい本買いたい時、ニンジンのヘタから葉っぱ育てて食べたりしましたねえ……あとは食べられる雑草とってきたり、ナマズ釣ったり……」

男「君はオールウェイズたくましいね」
395 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:01:48.32 ID:r9jKN8iq0
女「よし、温まった。食べかけのご飯、カレー皿に移しますよ」

男「おお、いつの間にかカレーの準備が出来てる……」

女「はい、燻製カレーです」

コトンッ

男「うお……なんか香りが独特……うまそう……」ゴクリ

女「この前ベーコン作る時はヒッコリーのチップ使ったんですけど、今回はさくらのチップ使ってみました」

男「ごめんよくわからない」
396 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:04:52.93 ID:r9jKN8iq0
男「とにかく、ありがたくいただきます女サマ」ペコリ

女「よきにはからえー」

スク……

男「あれ?食材が細かい……?」

女「豚のミンチ使ってますので、それに合わせてニンジンじゃがいも玉ねぎも細かくしています」

男「ほおー……」

女「じゃがいもは一回油で揚げて表面固めて、煮崩れしないようにしてますねー。あとにんじんは鍋に入れる前に――……」

男「えっなんかすごい事してない?」
397 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:07:02.08 ID:r9jKN8iq0
女「普通のことですよ。まあまあとにかくいただいてくださいな」

男「ん……いただきます」

パクリ

男「……うまっ……なんじゃこりゃ。もしかしてスパイスこだわってるとか?」モグモグ

女「いえいえ、市販のカレールーですよ」

男「今まで食べたことない味……というより、香りだな……」ガツガツ
398 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:11:27.93 ID:r9jKN8iq0
男「いやー手間がかかってる味がするわ……すげえうまい」

女「あはは……そこまで手間かかってる訳じゃないですけどねえ」

男「いやいや野菜もそうだけど……燻製するには塩漬けして塩抜きして、ってやるんでしょ?すごい手間かかるじゃん」

女「出来たらそうしたほうがいいですけど、別に必須ではないですよー。少し無理矢理ですが、今回はバットにミンチを入れてガンガンに燻しました。結構香りつくもんですよ、それでも」

男「……しかしまあ、燻製自体が結構手間がかかるんじゃ……」
399 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:14:53.11 ID:r9jKN8iq0
女「個人的には、蒸し料理よりかは楽なイメージですねえ……」

男「……割と五十歩百歩な気もするが、そんなもんなんか」

女「結構、燻製に難しいイメージ持ってる人多いですけど……道具なんてアマゾンで3、4000も出せば揃いますし、簡単ですよ燻製。フタして放っておくだけで出来ますし」

男「うーん……料理出来る人からしたらそうかもしれんけどさあ……」
400 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:17:37.23 ID:r9jKN8iq0
女「難しく考えすぎですよ。料理なんて簡単簡単」

男「そうかねえ……」

女「料理出来たら楽しいですよー?……た・と・え・ば……男さんが今日食べようとしていた晩ごはん」

男「ん……みそ汁に漬物?」 

女「あーんな切り詰めたことしなくても、簡単に美味しいもの食べられるんですよ。……男さん、洋食食べたいとか、思いませんでした?」

男「思った。メチャ思った」
401 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:19:04.95 ID:r9jKN8iq0
女「料理が出来れば、ほとんどなんの食材もなくとも……洋食だって!」

男「な――何い!つまり……それは……ッ!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

男「ほぼ空っぽの冷蔵庫から、ステーキを作り出す技術があるとでも――……!?」

ギャーン!!





女「…………流石にそれは無理です」

男「だよねえ」
402 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:22:01.74 ID:r9jKN8iq0
女「ちょっと冷蔵庫、拝見しますねー」カパ

男「どーぞどーぞ」

女「……ほとんど何もないですけど……あ、たまごありますね。……あとは調味料がいくつか」

男「明日は卵かけご飯にしようとしてたからね」

女「冷蔵庫以外には――……パスタ?」

男「安いんだよな、パスタ。茹でて市販のソースかけたら一食100円切るし、お得」

女「ふむふむなるほど……小麦粉もありますが、これは?」

男「なんだっけ、昔田舎から送られてきたヤツだと思うけど……使い道わからん」

女「ふむふむ、なーるなる……」
403 : ◆eUwxvhsdPM [saga]:2020/09/24(木) 22:23:08.83 ID:r9jKN8iq0
女「ちょっと作ってみますか、洋食」ジャン

男「絶望的に何もないこの状況下で!?」
172.19 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)