勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/16(月) 12:39:00.66 ID:CUQQsgj40
勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編のつづきです

続編なので前作読まないと分からない事が多々あるかと思いますのでご注意ください

非常に長いですごめんなさい

前スレ
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1600089742/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1605497940
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/16(月) 19:45:46.79 ID:rERPfN1V0
長い長くない以前に立て逃げとか最低
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:03:02.78 ID:JWnAWCKm0
『宿屋』


”やはりお前が持って帰って来た宝石の中に例の壺は無い様だ”

”お姉ぇはこれからどうすんの?”

”キ・カイに難民が押し寄せていてな…少し様子を見ようと思う”

”未来は元気にしてる?”

”フフ次に会ったときは見違えるぞ?”

”うん!楽しみにしてる”

”では…何か在ったら又連絡をする”



商人「壺は見つからないかぁ…」

女海賊「これ歴史の塗り替えで奪い返された可能性があるね…」

商人「そうだね…とすると行先は黒の同胞団だ」

女海賊「ハイエルフが関わってるって言うけどさぁ…どう思う?」

商人「城に行ってる魔女と情報屋がどんな情報を持って帰って来るかだよね」


盗賊「よう!戻って来たぜ?」

商人「どう?狩りの調子は」

盗賊「剣士と2人で弓じゃさすがにきついが練習にはなってるな」

商人「イエティの数が増えて来てるって聞いたよ」

盗賊「うむ…ちと数減らさんと危なくて外に出られん」

剣士「女海賊?もう少し弓の調整がしたいんだ」

女海賊「ん?どうすんの?」

盗賊「刀の持ち替えで邪魔になるんだとよ…もっと小さく硬い弓が良いらしい」

女海賊「おっけ!!ショートボウのサイズね?今より硬くても良い?」

剣士「うん」

女海賊「もう弦を金属にしないと耐えらんないから金属糸寄っといて」

盗賊「うは…強化クロスボウみたいなのを手で引くんか…化け物だな」



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4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:03:41.65 ID:JWnAWCKm0
女海賊「ほい!出来たよ…ホルダーは腰に引っかけるタイプ…付けて見て」

剣士「こう?」ゴソゴソ

盗賊「弓を背負うより良さそうだな…もっかい狩りに行くか!」

女海賊「いってら〜怪我しないようにね」ノシ

ホムンクルス「…」ニコニコ

女海賊「ホムちゃん機嫌が良さそうだね?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「何かあった?」

ホムンクルス「剣士さんに頂いた記憶で脳内ドーパミンが放出されています」

商人「あぁ…そういえばどんな記憶だったのか詳しく聞いて居ないね」

ホムンクルス「商人が私を最後まで生かそうとした記憶です」

女海賊「へぇ…教えて?」

ホムンクルス「生体を大きく損傷した私にご自身の血液を輸血して約5分間生存が伸びました」

商人「ハハ5分か」

ホムンクルス「そのお陰で剣士さんへ外部メモリをお渡しする事で出来たのです」



私は商人に逃げて下さいとお伝えしましたが

最後まで諦めずご自身の命と引き換えに私に5分間の命を下さいました

これは私が理解できなかった人間の愛なのです

商人は最後に「僕を忘れないで」とおっしゃいました

そしてこうして外部メモリが剣士さんの手によって紡がれて

私の記憶の中に残って居ます

商人の下さった5分間の命でこの愛の記憶は紡がれました



商人「なんか照れくさいなぁ…」

女海賊「へぇ…あんた達愛し合ってんの?」

ホムンクルス「はい…わたしは愛を理解しました」

商人「君は愛は永遠じゃないって言ってたけど…」

ホムンクルス「訂正します…生体の欲求は直に尽きますが愛の記憶は永遠です」

女海賊「ちょ…生体の欲求って…あんた達ヤッてんの?」

商人「ハハ…」

女海賊「ハハじゃ無ぇ!!どういう事さ!!」

商人「まぁ良いじゃないか」

ホムンクルス「私はこの愛の記憶で商人を心から信じる事が出来ます」

女海賊「心…」

ホムンクルス「はい…超高度AIの思考以外に私には心が有ると確信しました…生体が反応しています」

女海賊「おぉぉぉ!!ホムちゃん人間になったね?」

ホムンクルス「言い直します…私は皆さんの住まう環境を良くするための人間です…ロボットではありません」

商人「そうだよ!それで良い!!」

ホムンクルス「ウフフ」ニコ



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5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:07:28.18 ID:JWnAWCKm0
女海賊「ふ〜ん…あんたのこの細っそい体がホムちゃんの5分の命か」

商人「5分でも良いじゃない役に立ったみたいだし」

ホムンクルス「もう一つ次元の繋がりについて発見があります…この発見は今までの私のシミュレーションを覆す可能性があります」

商人「どういう事?」

ホムンクルス「過去の精霊は魔王と戦うために受動的ではなく能動的に戦っていた可能性があります」

商人「ちょ…それじゃ分かんないな…詳しく話して」



精霊は過去の記憶の改ざんを勇者を通じて何度も行っていた可能性です

アドミニストレータ権限を付与された者が勇者でしたら記憶の改ざんが可能と言えます

勇者に少しづつ変化を加え記憶の中でシミュレーションを実施し

現実の次元と入れ替えるという手法を行っていたと仮定すると

女海賊さんの様にドワーフの血を持つ勇者が誕生したのは

精霊が導いた結果と言い換える事ができます



商人「歴史の塗り替えを精霊がやっていたと…」

ホムンクルス「思い返してみてください…ドワーフの血を持つ女海賊さんが少しづつ魔王の影を退けて居ますね?」

商人「そういえばそうだね…」

ホムンクルス「魔王化ウイルスの抗体はすでにこの世界で効果が出て居るのです」

女海賊「ウイルスって…そういう意味?」

商人「精霊の記憶を侵しているウイルス…それを退治するのがドワーフの血を持つ勇者」

女海賊「ちょ…私が精霊の記憶に入って行くって事?」

ホムンクルス「これは可能性のお話です…次元の繋がりを加味するとそのような戦い方も考えられるというお話です」

商人「ちょっと待てちょっと待って…考え直したい…」


---勇者は必ず精霊に導かれてる---

---そうかそれは権限を付与されてるのか---

---じゃぁ今の剣士は誰に権限を付与されたんだ?---

---どうやって?生まれ付いた訳じゃ無いのか?---


女海賊「ホムちゃん私難しい話分かんないからさぁ…一緒に水浴び行かない?」

ホムンクルス「はい…よろこんで」ニコ

女海賊「ちょっとホムちゃんの体チェックする」

ホムンクルス「はい…」



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6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:07:54.60 ID:JWnAWCKm0
商人「あーでもない…こうでもない…」ブツブツ

魔女「主は壁に向かって何の念仏を唱えて居るのじゃ?わらわが帰って来たのじゃが無視か?」

情報屋「商人?みんなは何処?」トントン

商人「うわ!!びっくりした…」

魔女「びっくりはこちらの台詞じゃ…他の者は何処じゃ?」

商人「あぁ…何処だっけな」

魔女「ヤレヤレ…もう良い!折角お土産にオリハルコン原石を持ってきたのじゃがな」ドスン

商人「すごいじゃない!女海賊がよろこ…」

女海賊「あ!!魔女帰って来た!!どうだった?」

魔女「主にオリハルコン原石の土産じゃ…好きに使って良いぞ」

女海賊「ええええええ!?マジ?うわ!!でか!!」

情報屋「古代遺跡の奥に採掘場が有るらしいわ」

女海賊「マジマジ?ちょ…パパ連れて来て良い?」

魔女「ほう?そりゃ良いのぅ…母上に言うておくでいつでも来い」

商人「オリハルコンとミスリル銀の交易が始まるね」

魔女「剣士らは又狩りに行っとるんか?」

女海賊「うん!弓の訓練だってさ…盗賊と二人でイエティ狩りだよ」

魔女「むぅ剣士が居らぬではちと話せぬのぅ」

情報屋「酒場にでも行きましょうか…どうせ盗賊なら酒場にくるわ?」

魔女「そうじゃな…ちと食事じゃな」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:08:24.22 ID:JWnAWCKm0
『ルイーダの酒場』


ドゥルルルン♪


ワイワイ ガヤガヤ

イエティを乱獲してる2人組が居てよぉ…

あの緑の髪の子可愛くない?

エルフの女3人組が豚追いかけまわしてんだよ

黒い騎士がエルフと話してるの見たんだってよ

ワイワイ ガヤガヤ


魔女「相変わらずじゃな此処は」

情報屋「あのリュートのお陰で悪い人は居なさそうよ?」

魔女「うむ…良い事じゃ」

女海賊「ホムちゃんこっちこっち…」

情報屋「あら?髪型変えたのね…口紅も?」

女海賊「私がイメチェンしたんだ!可愛いっしょ?」

盗賊「お!居た居た…やっぱここか」

女海賊「それこっちの台詞…やっぱ来たね」

盗賊「ヌハハ…見ろ!今日の収穫だ」ジャラリ ドスン

情報屋「袋一杯の銀貨?すごいわね」

盗賊「金貨も入ってんぞ…今日はじゃんじゃん食え!俺のおごりだ」

女海賊「どうせ剣士がほとんど狩ったんでしょ?だったら私の物だよ」

盗賊「何言ってんだ!俺はしっかり皮剥いだぞ…なぁ?剣士!!」

剣士「ハハそうだね」

女海賊「新しい弓どうだった?」

剣士「うん!すごく良いよ!気に入った」

女海賊「おっし!ほんじゃちょっと装飾したげる…貸して」



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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:09:11.18 ID:JWnAWCKm0
魔女「…それでじゃ…父上の書斎から出て来た手記に寄るとのぅ勇者の出生に関わって居った様なのじゃ」


30年も前の記録なのじゃが

シン・リーンの祭事で精霊の魂を呼び覚ますのに各国の代表やハイエルフそして時の王まで参列して居ったのじゃ

その中で父上はハイエルフと約束事を交わして居る

ハイエルフは精霊樹の魂が無うなって存続の危機にあったのじゃが

それよりも心配して居ったのが精霊樹によって導かれる勇者が居らんくなる事だった様じゃ

どうやらハイエルフは精霊から勇者の導き方を聞いて居ったんじゃな

エルフの森の御所にある精霊のオーブ

この記憶の中に古代の管理者が記録されておって

その魂を複製して勇者に与えて居ったらしい

これが途絶える事で勇者が生まれんくなるのをハイエルフは危惧しておったのじゃ

じゃからハイエルフは魔術院長より時空の魔術を学び

精霊のオーブに記録されて居る古代の管理者の魂を量子転移したのじゃ

その魂はハイエルフの子宮に宿り…生まれたのが剣士じゃ


剣士「…マザーエルフ」

魔女「うむ…その者こそ父上と約束を交わした者じゃな」

女海賊「今の話からすると魔女の父上は悪い人じゃ無いね」

魔女「そうじゃ…昔はやさしい父だったのじゃ」

女海賊「じゃなんで黒の同胞団になってんのさ」

魔女「これじゃな…」スッ

女海賊「幻惑の杖…」

魔女「当時この杖を持って居ったのは時の王じゃ…杖を使って命じたのじゃろう…精霊の目的を果たせとな」

女海賊「それ時の王が間違った解釈してる目的じゃん」

魔女「悪い者なぞ始めから居らんのじゃ…歯車が噛み合って居らん…その結果が今じゃ」

商人「なるほど…噛み合わない結果争いが生じて憎悪を生んで行った訳だ…そして魔王を膨らませる」

魔女「父上の目を覚まさせなければならぬ…幻惑されて今もなお眠って居る」

盗賊「前に女海賊を幻惑させた時はくすぐったら目を覚ましたな?」

女海賊「なぬ?あんた私に杖使ったの?」

盗賊「ヌハハ覚えて無いか!死ぬほどくすぐったら正気に戻った」

魔女「盗賊や…主の言う事は真やもしれぬ…杖の幻惑を目覚めさせる方法はわらわでは分からん」

盗賊「俺のスリ技術なら脇の下なんざ楽勝だぜ?」

女海賊「あんたマジで言ってんの?」

盗賊「冗談に決まってんだろアホが」



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9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:09:46.88 ID:JWnAWCKm0
ドゥルルルン♪


吟遊詩人「我らは求め歌う♪救世の英雄を〜♪メデューサに挑む猛き勇者を〜♪」


女海賊「剣士?あんたさぁ…さっきマザーエルフって言ったじゃん?」

剣士「うん…」

女海賊「もしかして記憶戻ってる?」

剣士「うん…」

女海賊「いつから?何で言ってくんないのさ」

剣士「君はもう分かってると思ってたよ」

女海賊「あ…そっか…だから愛してくれたんだ」

剣士「体を重ねると分かるよね…魂が繋がる」

女海賊「私鈍感だからさ…ちゃんと言われないと自信無いんだよね」

剣士「信頼してるよ…君とはずっと一緒だよ」

女海賊「ムフ…なんで急にそんな事言うの?」

剣士「僕の目を見て?」

女海賊「んん?青い目」

剣士「君も目が青い」

女海賊「だから何?」

剣士「この意味わかる?」

女海賊「何よ…ちゃんと言ってよ」

剣士「運命が一緒なんだよ…何処に行っても一緒」

女海賊「ムフフもっと言って」

剣士「勇者としての運命が一緒…どこにでも2人で行く」

女海賊「ムフフフフフ」

剣士「分かった?」

女海賊「そう言われると何も怖くないね」

剣士「僕はね…自分が何者なのかやっと分かったよ」

女海賊「勇者?」

剣士「そう…僕たち二人は勇者なんだ…精霊が最後に導いた勇者」

女海賊「最後に…」


---思い出した---

---シン・リーン古代遺跡の壁画---

---上から順に連なって読めるけど---

---下から逆にも読み取れる---

---最後の勇者はすべてを救う---

---それを今からやるんだ---



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10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:10:17.03 ID:JWnAWCKm0
盗賊「お前等いつまで見つめ合ってんだ?気持ち悪りぃな…おら剣士!お前も飲め!!」

女海賊「うっさいな爺ぃ!!折角の良い気分が台無しじゃん!!」

魔女「これこれ邪魔をしてはイカンぞ盗賊…」

情報屋「盗賊は相手してもらえる人が居なくて暇なのよ…」


”聞こえるか…”


魔女「ん?女海賊や…貝殻から声がしておるぞ?」

女海賊「え?あぁ…荷物入れに…」アセアセ


”聞こえたら返事をするのだ”

”アサシン?”

”あぁ通じたな”

”どう?そっちの調子は?”

”セントラルの軍船が寄港して来だして状況が変わったのだ…これ以上貧民街に留まるのは無理だ”

”どうなっちゃってんの?”


セントラル城の陥落後に貴族院が王権に反発をしていてな

貴族院による主権国家の維持を要求しているのだ

寄港してきている軍船は貴族院側に属している

数的に不利な状況になってしまったから

衝突を避ける為にセントラル国王を一時的にフィン・イッシュへ亡命させざるを得ない状況なのだ


”一旦フィン・イッシュに戻るって事?”

”そうだ…王権派を一部貧民街に残して大多数はフィン・イッシュに戻る”

”おけおけ状況分かったよ”

”事態はそれだけでは無いのだ”


貴族院にはフィン・イッシュが王権復興を扇動している様に見えていてな

既に武力衝突が起きて居るのだ

シャ・バクダのオアシス領がセントラルに占領された

特殊生物兵器部隊が率いる魔物達によってな


魔女「キマイラを動員して居るのか…」


”フィン・イッシュは軍をほとんど持って居ない…王都に進軍されれば直ぐに陥落する”

”私らに応援に来てほしいって事ね”

”そうだ…急で済まないが王都が危ない”

”おっけ!キマイラ相手なら任せて”

”頼む…又連絡する”



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11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:10:48.99 ID:JWnAWCKm0
魔女「嫌な話じゃのぅ…元老院の次はセントラルの貴族院の解体か…」

商人「次は軍を沢山持って居るのが厄介だ」

盗賊「砂漠は今雪原になってんだろ?そんな所を行軍するとは思えんが?」

商人「軍じゃなくてキマイラなら可能なのかもね」

盗賊「…あぁそういう事か」

商人「もともとシャ・バクダにはそんなに沢山軍は駐留して居なかった」

魔女「サキュバスの様な飛行型のキマイラなら楽に行軍出来るのぅ」

女海賊「ええ!?あんなのが一杯来たらどうにもなんないじゃん」

魔女「歌じゃな…キマイラを使役して使えばよい」

女海賊「おぉ!!魔女賢い!!」

商人「なるほど…使役して貴族を始末しろと命令しても良い」

女海賊「それだと無関係な貴族にも被害出ちゃうよね?」

商人「無関係な貴族はセントラルに残ってると思うんだよね…わざわざ雪原超えてシャ・バクダに行くのは悪い貴族だよ」

女海賊「なんか引っかかるけど…まぁそっか」

商人「良い貴族がまだ残って居るとして主権国家の維持を要求するのは悪い事じゃ無いと思うんだ」

魔女「そうじゃな…内政がきちんとして居らんのじゃったら出来る者にやらせた方が良いのぅ」

商人「今のセントラル国王が軍属だったから反発してるんだよね…きちんと話した方が良いんだよ」

魔女「ここでも歯車が噛み合って居らんのじゃな」

商人「こういうのを収めるのが魔王と戦うって事さ」

魔女「商人の言う通りじゃ」

女海賊「ふ〜んあんた割とマシな事言うね…おっけ!従ったげる」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/18(水) 00:11:18.59 ID:JWnAWCKm0
『宿屋』


女海賊「…やると決めたら即行動!!早く荷物まとめて準備して」

情報屋「魔女は女王様に挨拶して行かなくて良いの?」

魔女「母上には貝殻を渡してあるで構わぬ…それより主は古文書の写本だけで良かったのか?」

情報屋「本当はもう少し調査したかったけれど古文書もまだ解読されて無いししばらくは解読の努力ね」

商人「新しい古文書?」

情報屋「そう…1700年前より以前の記録だと思うの…使われている文字も違うのよ」

商人「へぇ…それスゴイ発見じゃない」

情報屋「解読出来ればドリアード伝説とかいろいろ分かるかも知れない」

女海賊「あのさぁ…早く荷物まとめてって言ってんの分かってる?」

盗賊「外にソリ出してっから荷物載せろぉ!!」

魔女「では行くとするかのぅ」ノソリ

女海賊「ハイハイ早く行った行った!!」

情報屋「ウフフ夜逃げみたい」

女海賊「ホムちゃん私から離れないでね…行くよ」

ホムンクルス「はい…」


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13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/02/14(日) 23:53:51.16 ID:+liz/stv0
続きが読みたい!
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/03/11(木) 19:00:18.41 ID:BHJWdb3D0
『古都キ・カイ近郊』


ノソノソ ノソノソ


女戦士「…このヤクと言う牛はもう少し早く走れんのか」

ローグ「そら無理ってもんす…歩かないで済んだだけ良かったと思って下せぇ」

女戦士「未来!しっかり付いて来いよ」

子供「うん!」

ローグ「未来くんもうヤクに乗るのは慣れたでやんすか?」

子供「大丈夫!一人で出来るよ」

女戦士「しかし…何処を見ても火山灰と雪で植物は死滅だな」

ローグ「そーっすね…地獄の様でやんす…かしらももう真っ黒でやんすねぇ」

女戦士「フン!」

ローグ「この調子だと日暮れまでにキ・カイには着かんでやんすね」

女戦士「凌ぐ場所を探さんとな」

ローグ「向こうの崖際で雪凌げる洞穴でも探しましょう」

女戦士「早くこの不格好なマスクを外したいものだ」

ローグ「そーっすね…ヤクもこんなマスク付けさせられて可哀そうっすね」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:01:32.28 ID:BHJWdb3D0
『崖際』


ローグ「あそこに凌げそうな洞穴あるっすね」

女戦士「キャンプ跡と木材もあるな…誰かが使ったか…」

ローグ「丁度良かったじゃないっすか…あそこで一晩休みやしょう」

子供「待って…」クンクン

女戦士「む…臭うか?」

子供「うん…何か居る…人間の匂いじゃ無いよ」

女戦士「こんな所にオークが来て居るのか?」

ローグ「あっしがハイディングで見て来やす…ちっとここで待ってて下せぇ」

女戦士「頼む…」

ローグ「へい…」スタタタ


--------------


ローグ「リリース」スゥ

女戦士「何が居た?」

ローグ「オークじゃなくてオーガっすね…人食い鬼でやんす」

女戦士「なるほどキャンプを襲った訳だな?何匹居るのだ?」

ローグ「1匹っす…やりやすか?」

女戦士「未来!実践訓練だ…私がオーガの注意を引く…ハイディングからオーガの首を切れ…出来るな?」

ローグ「あっしもサポートしやす」

女戦士「ローグは反撃に備えろ…倒しきれなかった場合はお前がオーガを処理しろ」

ローグ「へい!」

女戦士「行くぞ…ハイディングで一気に寄る…ハイディング!」スゥ

子供「ハイディング!」スゥ

ローグ「ハイディング!」スゥ

女戦士「迷ってないな?付いて来い」スタタ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:02:36.01 ID:BHJWdb3D0
『洞窟』


女戦士「リリース!」ブン ザクリ

オーガ「ガウ…ウオォォォォ」ドスドス

女戦士「シールドバッシュ!」ドン

オーガ「ウガ…」ヨロ

女戦士「今だ!!」

子供「リリース!」スパン

オーガ「ギャオ…」ボタボタ

女戦士「もっと深く切り抜け!!もう一度!!」

子供「このぉ!!」スパン

オーガ「ウオォォォォォ!!」ドドド ガツン!

女戦士「盾で防いでいる間に首を落とせ!!」グググ

子供「ふぅぅ」シュタタ スパ ボトン

オーガ「…」パクパク

女戦士「そうだ…最後の切り込みの感じだ…覚えておくのだ」

ローグ「あっしの出番無かったっすねぇ」

女戦士「オーガの角と牙を採れ…死体は私が外に捨てて来る」

ローグ「アイサー…未来くん解体の仕方を見ておくでやんす…こうやって戦利品を回収するんすよ?」ゴリゴリ



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ローグ「ヤクを入り口に繋いでおきやした…これで何かあっても先にヤクがやられるっす」

女海賊「未来!火炎魔法を使ってみろ…この薪に火を付けるのだ」

子供「うん!火炎魔法!」ポ チリチリ

女戦士「ふむ…自己流ではそんな物か…まぁ火が付けば良い」

子供「どうやってやるんだろう?」

女戦士「今度剣士に教えて貰うのだ」

子供「パパあんまりお話してくれなくってさぁ…」

女戦士「フフ未来の話し方は妹にそっくりだな」

子供「ママはいっぱい教えてくれるよ…ほら硫黄と石で…」ゴツン ボウ


メラメラ パチ
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/03/11(木) 19:03:02.66 ID:BHJWdb3D0
女戦士「それでも良いが魔法の方が硫黄を少し使うだけで済む様だぞ?」

子供「うん…わかった…勉強する」

ローグ「綺麗な雪を持って来やした…これで水にしやしょう」

女戦士「ヤクの分も持って来てやってくれ」



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女戦士「気球を買い付けるだけのつもりだったのだがえらく苦労をするものだ」

子供「ビッグママ?顔が汚れてる…拭いてあげるよ」」

女戦士「その呼び方はヤメロと言っただろう…ママで良い」

子供「ごめん…ママ?顔…」フキフキ

女戦士「マスクの跡が付いていたか?」

子供「うん…マスクの所だけ白いから変だよ…顔を全部隠すマスクを買わないとね」

ローグ「キ・カイに到着したらもちっと良いマスクを買い揃えやしょう」

女戦士「しかし…火山灰でこれほど不自由になるとはな…」

ローグ「馬が弱ってるのが痛いでやんす…牧草もあんまり無いっすからねぇ…」

子供「ヤクって強いんだね」

女戦士「馬よりマシなだけだな…このままでは直に弱る」

ローグ「気球仕入れたら早い所売った方が良いでやんす」

女戦士「これは先行きが心配だ…」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:03:41.12 ID:BHJWdb3D0
『翌朝』


女戦士「未来…起きるんだ…もう行くぞ」

子供「うーん…ふぁ〜あ」ノビー

ローグ「雪止んでるっす…今の内に移動した方が良いっすね」

子供「おっけ!じゃぁ今日はこのヤクに乗る!」ピョン


ブモモーーー


女戦士「フフ…やはりそっくりか」

ローグ「あっしに着いて来て下せぇ…いきやすよ?」



----------------


ノソノソ ノソノソ


女戦士「左前方に狼煙か?灰が舞っているのか?」

ローグ「何でやんすかね?」

子供「…」クンクン

女戦士「分かるか?」

子供「多分オーガの匂い…他の匂いもする」

女戦士「他の…」

ローグ「オーガに何か襲われてるんじゃ無いっすかね?」

女戦士「ふむ…捨て置けんか」

ローグ「どうしやす?」

女戦士「まぁ実践訓練だと思って行こう」

ローグ「手順は昨日と同じっすね?」

女戦士「そうだ…ローグはサポートに回れ」

子供「今度こそ一発で!!」

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:04:20.13 ID:BHJWdb3D0
『荷馬車』


ガウガウ ギャオ ガブガブ


ローグ「ちぃと遅かったでやんす…馭者ともう一人も食われてるでやんす」

女戦士「オーガ3匹か…作戦を変える…ローグはバックスタブで確実に仕留めろ」

ローグ「あいあい…」

女戦士「未来はローグのバックスタブを真似て見ろ」

子供「うん…見たことあるから大丈夫」

女戦士「ハイディングを上手く使うのだぞ?」

子供「わかってるって」

女戦士「行くぞ?ハイディング!」スゥ


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女戦士「リリース!」スゥ ブン! ザクリ

ローグ「リリース!バックスタブ!」ジャキン ボトン

子供「リリース!バックスタブ!」スパ


オーガ「ガウ?…ウオォォォォ!!」ドスドス


女戦士「あと2匹!!シールドバッシュ!」ドン

オーガ「ウゴ…」ドタリ

子供「このぉ!!」シュタタ スパ

ローグ「未来君!こうやるんす…バックスタブ!」ジャキン ボトン

子供「すごい…」

女戦士「あと1匹!!シールドスタン!!」ゴン

オーガ「ガァァ…」ピヨピヨ

子供「僕も!!バックスタブ!」ジャキン ゴロン

ローグ「良いーっすねぇ!今のっすよ」

女戦士「ふぅ…上手く奇襲が成功した…ローグ!戦利品を頼む」

ローグ「アイサー」



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20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:04:52.69 ID:BHJWdb3D0
女戦士「今のは小型のオーガだ…慢心するな?一発で仕留められん場合は反撃がくると思え」

子供「うん…」

ローグ「未来君はあっしのダガーよりも刀身が長いのを意識して使うと良いっすね」

子供「切り方が悪い?」

ローグ「あっしは刀の使い方は分からんでやんすが多分コツがあると思うでやんす」

女戦士「叩くのではなく切り抜け…刀身の長さを上手く使えばよい」

子供「うん…工夫してみる」

ローグ「かしらぁ!!この荷馬車頂きやしょう」

女戦士「積み荷は何だ?」

ローグ「なんかいろいろありやすが…うぉ!!!」

女戦士「どうした!!」ダダ

ローグ「檻の中に子供が居るっす」

女戦士「何ぃ?…ハーフオークの子供か?」


オークの子「うぅぅぅぅ…」ギロ


子供「ハーフオーク?…怯えてる…」

ローグ「檻の中に居たんで助かったでやんすね…どうしやす?」

女戦士「この荷馬車は奴隷商が運んで居たのだな…死体に何か残って居ないか?」

ローグ「ちと見て来るでやんす」タッタッタ

女戦士「未来!荷馬車にヤクを繋げ」

子供「うん…分かった」



------------------
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:05:29.86 ID:BHJWdb3D0
ローグ「かしらぁ!!やっぱり奴隷商の身分証を持っていやした…2人分っす」

女戦士「見せて見ろ…」

ローグ「これっす」

女戦士「ふむ…男と女か」

ローグ「これ使えやすよ?キ・カイで行動しやすくなるっす」

女戦士「使える物は使おう」

子供「ママ!?死んでるヤクはどうしよう?置いて行くの勿体ないよ」

女戦士「ローグ!ヤクを最小限で解体出来るか?」

ローグ「30分欲しいでやんす」

女戦士「私が周囲を警戒しておく…急いでやるのだ」

ローグ「アイサー!!」

女戦士「未来!…急いで火を起こして肉を焼け…朝飯だ」

子供「うん!!」



-------------------


メラメラ パチ


子供「肉焼けたよ!!はい…」

女戦士「私は見張っているから後で良い…先に食べろ」

子供「檻の中の子にもあげて良い?」

女戦士「…オークか」

子供「可哀そうだよ」

女戦士「フフそうだな…ヤクから剥ぎ取った毛皮も与えておけ…あの恰好では寒い筈だ」

子供「うん!!あげて来る」シュタタ

ローグ「未来君は思いやりがあるでやんすねぇ」

女戦士「オークは言葉が通じないだけでドワーフと似たような種族だしな…しかし…」

ローグ「ハーフオークならすこし通じるかもっすよ?」

女戦士「だと良いが…さすがにオークを連れては歩けんな」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:06:29.05 ID:BHJWdb3D0
子供「肉焼いて来たよ?お腹空いてない?」

オークの子「うぅぅぅぅ…」ギロリ

子供「ほら?食べて?」スッ

オークの子「うがぁぁぁぁ!!」バタバタ ブン

子供「そんなに怖がらなくて大丈夫だよ…」タジ

オークの子「ハムハム…」ムシャムシャ ガブ

子供「お腹空いてたんだね?この毛皮もあげるよ…ちょっとまだ生臭いけど」バサ

オークの子「がぁぁぁ!!」ドタバタ

子供「檻が邪魔だなぁ…ほら?この隙間から…」グイ

オークの子「ぅぅぅぅ…」モグモグ

子供「あれ?君…おっぱいが…」

オークの子「ハムハム…」ガブ モグ ムシャムシャ

子供「水もあるよ?…この皮袋の中」

オークの子「むぐっ…んぐっ」ゴグゴク

子供「そっか…何も貰えて無かったんだね」

オークの子「ふごふご…」ガブムシャ

子供「良く見たら顔とか頭とか傷だらけだ…回復魔法!」ボワー

オークの子「んむ?…」

子供「どう?良くなった?」


タッタッタ


女戦士「何の光かと思えば…未来の回復魔法か」

子供「この子…女の子だよ」

女戦士「そうか…未来!お前が面倒を見ろ…そろそろ出発する」

子供「僕は馬車に乗ってて良いの?」

女戦士「キ・カイに到着したら荷の中に隠れるのだ…奴隷商という事で街まで行く」

子供「うん…わかった」

ローグ「かしらぁ!!解体した肉は馬車の中に吊っときやすぜ?未来君!!手伝ってくだせぇ!!」

子供「あ…うん」

ローグ「あっしが肉押さえとくんでロープを掛けて結んで下せぇ!!…よっこら!!」

子供「ここだね?」グイグイ ギュ

ローグ「まだあるっすよ…よっこら!!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:07:14.29 ID:BHJWdb3D0
『荒野』


ガラゴロ ガラゴロ


子供「…虫の羽…これキノコ?…何かの心臓…これは脂肪かな?…変な物ばっかりだよ」

ローグ「多分全部錬金術の材料でやんすね」

女戦士「この身分証も少し妙だな…なんだこの印は?」

ローグ「見た事無い印でやんす…偽物では無さそうですがねぇ」

女戦士「他に何か持って居なかったのか?」

ローグ「有ったかもしれやせんが食い散らかされてて良く分からんかったっす」

子供「ママ?樽にあるのは小麦かな?…なんか匂いが違うんだけど…」

女戦士「ローグ見て来い…私が馭者をやる」

ローグ「あいあい…あらよっと!!」ピョン

子供「この樽だよ…匂いが違う粉だよ」

ローグ「んんんん!!かしらぁ…スゴイ物乗ってますぜ…樽一杯の麻薬っすよ」

女戦士「なんだと!?…マズイな」

ローグ「これ入国出来やせんぜ」

女戦士「この身分証の印は密輸用なのか?」

ローグ「奴隷商を装って密輸は有りっすね…どうしやす?このまんま行っちまいやすか?」

女戦士「ふむ…いざとなればハイディング…行って見るか」

ローグ「なぁ〜んか怪しい匂いがプンプンしやすね?」

女戦士「うむ…大量の麻薬と言えば黒の同胞団…手掛かりを掴める可能性がある」

ローグ「もしかするとキ・カイでも同じ事やらかすつもりだったかもしれやせんね」



-----------------



女戦士「やっと見えて来た…昼前には到着出来そうだ」

ローグ「ヤクは乗るよりも荷を引いていた方が早いっすね」

女戦士「未来!隠れる場所は良いか?」

子供「うん!大丈夫…見つかりそうだったらハイディングするから心配しないで」

女戦士「フフ余計な心配だったか…オークの子は落ち着いたか?」

子供「一言も話してくれないよ…ずっと睨まれてる」

女戦士「檻の中では仕方がない」

子供「ママはこの子どうする気?売っちゃうの?」

女戦士「私は金なぞ要らん…ただキ・カイの中でオークを連れまわすのは出来んな」

子供「着るものとマスク付けたら分からなくなるよ」

女戦士「未来はその子を助けたいのだな?」

子供「うん…」

女戦士「では未来が責任を持って面倒を見ろ」

子供「わかった…僕が何とかする」

女戦士「フフ…」---本当に妹にそっくりだ---
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:07:50.65 ID:BHJWdb3D0
『外門』


ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ


キラーマシン「…」シャキーン

門番「止まれ止まれ…身分証を出せ」

ローグ「へいへい…」ポイ

女戦士「…」ポイ

門番「…ふむ奴隷商か…通れ」

ローグ「え?あ…」

門番「今積み込みをしているのが2番船だ…わかるな?」

ローグ「へいへい…じゃ通るでやんす」

門番「奴隷だけ確認する」

ローグ「後ろっす」

門番「ふむ…オークの子か…早く行け」バサ

ローグ「あいー…」グイ


ブモモモーー ガラゴロガラゴロ


女戦士「やはりおかしいな…何も確認せず入れるとは」

ローグ「結果オーライすよ…ほんで何処行きやす?」

女戦士「まずは外の街の商人ギルドだ…奴隷商の身分証があれば宿泊に困らんし気球の買い付けも話が出来る」

ローグ「分かりやした…」グイ


ブモモモーー ガラゴロガラゴロ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:08:25.82 ID:BHJWdb3D0
『外の街』


ガヤガヤ ガヤガヤ


ローグ「避難民でごった返してるっすね…なんか人が多すぎでやんす」

女戦士「何故灰の降る外の街に居るのか…地下に行けば良いだろうに」

ローグ「そーっすよね?」

女戦士「海賊たちが噂をしていたが…地下からオークに襲撃されているのかも知れんな」

ローグ「チカテツ街道の向こう側っすね?」

女戦士「そうだ…何処に繋がっているのかは知らんが度々襲撃があるとは聞いて居る」

ローグ「南のオークが住んでる場所もこの灰で住む所無くなってるっすか…」

女戦士「後で少し情報を集めて見よう」



『商人ギルド』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女戦士「荷馬車は裏手に泊める場所があるそうだ…ヤクも預かって貰える」

ローグ「移動させておくっす」

女戦士「宿泊できる場所は今は無いらしいから荷馬車で休む事になる」

ローグ「あっしは構わんすよ?」

女戦士「私は気球の買い付けに行くからお前は未来の面倒を見てやってくれ」

ローグ「分かりやした」

子供「ママ!!少しお金が欲しい」

女戦士「自分で何とかするのでは無かったか?馬車に乗っている物は好きにして良い…売って稼いで来い」

子供「あ…うん…ありがとう」

女戦士「ローグ!未来から目を離すな」

ローグ「へい!!分かってるっす」

子供「どれが高く売れるのかな?ローグ分かる?」

ローグ「オーガの角とか牙が売れるでやんす…全部売っちまいやしょう」

子供「おっけ!!僕がやってみる」

ローグ「あっしは見てるだけでやんす…未来君の好きにして良いっすよ?」

子供「そうだ!?ママのマスクも買って来るね」

女戦士「フフ任せる」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:11:20.50 ID:BHJWdb3D0
『道具屋』


店主「…坊や…どっから盗んで来たんだい?」

子供「盗んだんじゃ無いよ…ちゃんとオーガを倒したんだよ」

店主「いやいやそんな訳無いよなぁ?」

子供「買い取ってくれないの?」

店主「いやまぁ…買い取らん訳じゃ無いんだがね?うーむ…」

子供「いくらになるの?」

店主「子供相手に商売し難いが…これでどうだい?」ジャラリ

子供「ローグ!!どう思う?」

ローグ「あっしは見てるだけでやんすよ?」スラリ

店主「あわわわ…お客さんのお子さんでしたか…冗談ですよ」ジャラジャラ

子供「へぇ〜おじさん僕を騙そうとしてたんだ」

店主「冗談ですって…ハイおまけも付けるんで」コトリ

子供「おっけ!ありがとね…あ!そうだ…マスクある?」

店主「なんでも揃ってるが買っていくかね?」

子供「うん!!見せて」

店主「じゃぁ奥の部屋に…」

子供「うわぁ…服もある…ローグもマスク変えよう!これどう?」

ローグ「ゴーグル付きっすね?あねさんみたいでやんすね?」

子供「これなら顔も隠れるし丁度良いと思う」

ローグ「あっしに似合うでやんすか?」

子供「ママとお揃いにしよう!僕もゴーグル付きが良いな…コレにしよっと」

ローグ「未来君の好みはあねさんと同じなんすね」

子供「あとこの服と…この当て物…それから履物はこれが良いかな」

店主「いやいや今日は良い客が来たもんだ」

子供「いっぱい買うから負けてよ」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:12:35.25 ID:BHJWdb3D0
『荷馬車』


ジャブジャブ


子供「はいコレ…水と布…これで体拭いて?」

オークの子「うぅぅぅがう!!」ズザザ

子供「逃げないで?」

ローグ「未来君…自分の顔を拭いてみたらどうっすかね?」

子供「そっか…」フキフキ

オークの子「…」ジロリ

子供「ほら?拭いてみて?」スッ

オークの子「…」グイ

子供「あぁぁ…手枷が邪魔だ…ローグ!鍵持って無い?」

ローグ「あるっす…これが檻でこっちが手枷っすね」

子供「僕が檻の中に入って拭く…貸して」

ローグ「噛まれない様に気を付けるでやんすよ?」ポイ

子供「ありがとう」パス


ガチャン ギー
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:13:14.64 ID:BHJWdb3D0
オークの子「…」ギロ タジタジ

子供「大丈夫!大人しくしてて?」フキフキ

オークの子「むぐっ…」タジ

子供「ちょっと待って…髪の毛の汚れも落とすから」ジャブジャブ

オークの子「…」ゴシゴシ

子供「うわっ…真っ黒だ」ジャブジャブ ゴシゴシ

子供「そう!大人しくしておいて?手枷外すよ?」カチャリ

子供「次は着替えよう…ほら?自分でできる?」

子供「うわ…君力強いな…分かった分かった…自分で着替えて見て?」

ローグ「言う事聞きそうでやんすね?」

子供「うん…落ち着いて来たよ」

ローグ「買ってきた食べ物居るでやんすか?」ポイ

子供「うん!一緒に食べてみる…ほら?パンとチーズだよ…食べて?」モグ

オークの子「はむっはむっ…」ムシャムシャ

ローグ「ふむ…逆らう気は無さそうでやんすね…檻から出しやしょう」

子供「そうだね…この檻寝るのに邪魔だし」

ローグ「檻はあっしが外に出しやす…出て下せぇ」

子供「檻から出るよ?おいで…」グイ

オークの子「ふむっ…」グググ

子供「抵抗しないでよ…」グイグイ

ローグ「未来君が先に出れば良いでやんす」

子供「うん…ほら?出ておいで?」

オークの子「…」ソロリ スック

ローグ「その子は未来君より少し大きそうでやんすね?」

子供「ちょっとだけね」

ローグ「じゃぁ檻を引っ張りだすんで未来君は反対から押して下せぇ」

子供「うん…」

ローグ「えいさーほー!!」グイ ズズズ ガチャーン

子供「これで広くなった」

ローグ「積んである干し草で寝床作りやしょう…これで快適っす」ガッサ ガッサ

子供「これ君が付けるマスクとローブだよ?」ファサ

オークの子「…」ジー

子供「こんな風に付けるんだよ…」ギュゥ グイ

オークの子「…」ギュゥ グイ

子供「そうそう!!それでフードを被るんだ」ファサ

オークの子「…」ファサ

ローグ「ふむ…この子は賢いかも分からんすね…状況を理解してるでやんす」

子供「うん…」

ローグ「その格好なら少し歩いても良さそうっすね」

子供「おいで…」グイ

オークの子「…」

子供「手を離さないで…」ピョン

オークの子「…」ピョン
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:13:54.19 ID:BHJWdb3D0
『露店』


店主「買ってくかーい?」

子供「うん…このカバンと薬草…それから火打石」

店主「金はあんのかい?」

子供「これで足りる?」ジャラ

店主「ほーう?どこの坊ちゃん?こんなに要らねぇよ」ジャラ

子供「よし!これは君のだよ?腰に付けるんだ」グイグイ

オークの子「…」ジー

ローグ「食べ物は後で干し肉を作りやしょう…ヤクの肉がいっぱいあるっすからねぇ」

子供「塩が必要だね」

店主「塩も有るよ!!干し肉作るのにぴったりな岩塩だ…買ってくかい?」

子供「それも頂戴…いくら?」

店主「一塊2銀貨」

子供「おっけ!」チャリン

店主「毎度ぉ!!」

子供「後は武器か…」

ローグ「武器は要らんすね…荷馬車の中に入ってたっすよ」

子供「気が付かなかった…」

ローグ「奴隷商が持ってた剣っす…装飾付いてたんで後で売ろうと思ってたでやんすがね?」

子供「それで良いっか…じゃぁ帰ろう…おいで?」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:14:36.19 ID:BHJWdb3D0
『焚火』


メラメラ パチ


ローグ「薄く切った肉を煙で燻すんすよ…ここに入れて下せぇ」モクモク

子供「これ全部作る?」

ローグ「半分は山賊焼き用に残しておきやしょう…もう作っても良いでやんすよ?」

子供「今はお腹減って無いかな」

ローグ「じゃぁどんどん干し肉作って下せぇ…出来上がった奴からあっしが片づけやす」

子供「沢山あるなぁ…」スパ スパ

ローグ「直ぐ出来るんでどんどん切って下せぇ」



女戦士「戻った…もうオークの子を檻から出して居るのか」

ローグ「かしらぁ!!多分大丈夫そうっすね…言う事聞いてるでやんす」

女戦士「まぁ良い…オークの子は未来に任せる」

ローグ「気球の方はどうでやんすか?」

女戦士「貨物用の気球を買い付けた…少し高かったのだが行動の制限を受けるよりは良い」

ローグ「じゃぁもう荷物を気球に載せ替えやすか?」

女戦士「手に入るのが2日後だ…それまでここで足止めだな…ところでオークの子は話せるのか?」

ローグ「一言もしゃべらんすね…只頭は賢い様に見えるっす」

女戦士「ふむ…さすがオークと言った所か…恐怖で動けんという事は無さそうだな」

ローグ「あっしらに従った方が良いと判断してる様でやんす…状況判断が子供の割に良いっすね」



子供「あ!!ママ!!マスク買って来たよ…ゴーグル付き」

女戦士「丁度目に灰が入って気になって居た所だ…顔を洗って来る」ツカツカ

ローグ「未来君…後2日ここに泊る事になりそうっす」

子供「僕は平気だよ」

ローグ「その子が心配でやんすね…2日間人間の街に居るのは苦痛かも知れんでやんすよ?」

子供「この恰好ならバレやしないよ」

ローグ「一人で逃げなければ良いんすがねぇ…」

子供「もう少し話してみるよ」



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31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:15:29.03 ID:BHJWdb3D0
子供「この皮袋に雪を詰めておけばそのうち水になるよ」ツメツメ

オークの子「…」ジー

ローグ「かしらぁ!この剣は何で出来てるでやんすかねぇ…やたら重いでやんす」

女戦士「貸してみろ…」

ローグ「刀身が白銀色…なんか珍しい金属でやんす」

女戦士「ほう?これはコバルトの合金だな…腐食しない様に作られた剣だ」

ローグ「ロングソードにしちゃ重いっすよね?…2キログラムは超えてるっす」

女戦士「鈍器に近いが私には丁度良い重さだな…預かる」

ローグ「重戦士用っすか?」

女戦士「そうだ…これほど重いと素人では使いこなせん」

子供「ママ!その剣をこの子にあげたらダメ?」

女戦士「子供が使える剣では無いぞ?」

ローグ「かしらぁ…あっしが使って良いって言っちゃったんすよ」

女戦士「ううむ武器を預けて何も起こさねば良いのだが…」

ローグ「背負わせて荷物持ちって事でどうでやんすか?どうせ振り回せんでやんす」

女戦士「まぁ良い…どうせ拾い物だ…未来が責任を持て」

ローグ「未来君良かったっすねぇ」

子供「ママありがとう!!」

ローグ「あっしが背負える様に細工してあげるっすよ?」

子供「大丈夫!細工は得意なんだ!!ママに教えてもらったから」



------------------



女戦士「私は未来と地下の様子を見て来る…ローグは船着き場まで行って情報を集めて来い」

ローグ「日暮れまでに戻って来る感じで良いでやんすか?」

女戦士「任せる…夜はこの馬車で休む」

ローグ「時間余りそうなんで補給物資も馬車まで運んでおきやすね?」

子供「ママ?この子も連れて行って良いよね?」

女戦士「未来が面倒を見るのだろう?邪魔にならない様にしろ」

子供「うん…」

女戦士「マスクは外さない様にな…付いて来い」スタスタ

子供「いくよ!」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:16:10.72 ID:BHJWdb3D0
『地下』


衛兵「止まれ!身分証を見せろ」

女戦士「…」パサ

衛兵「む…フリーパスの奴隷商」

女戦士「通って良いか?」

衛兵「子連れとは…チカテツ街道はフリーパスでも立ち入りが制限されているから行かない様に」

女戦士「何故そのような事になって居る?」

衛兵「奴隷移送用のトロッコが動いて居るからだ…見に行くならシェルタ砦で許可を取ってくれ」

女戦士「そうか…ご苦労!通るぞ?」スタスタ


--------------

--------------

--------------


子供「ママ?今の話って…」

女戦士「未来も気付いたか…どうやらチカテツ街道を使って奴隷のオークを移送しているのだな」

子供「そんなのこの子に見せられない」

女戦士「そんなつもりは無いから安心しろ」

子供「どうしてオークを掴まえたりするの?」

女戦士「さぁな?私の方が知りたい…行くぞ?迷子にならない様に気を付けろ」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:16:48.28 ID:BHJWdb3D0
『中央ホーム』


ガヤガヤ ガヤガヤ


子供「露店がいっぱい…」

女戦士「何か欲しい物はあるか?」

子供「僕は何も…」

女戦士「ここにはな…色んな機械で出来た物が売って居るのだ」

子供「ママは何か買う気?」

女戦士「望遠鏡が欲しくて見に来た…興味は無いか?」

子供「欲しい!!」

女戦士「私が選んでやる…しっかり付いて来い」

子供「うん!!」


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子供「ママそんな大きな望遠鏡買ったの?」

女戦士「フフ未来の望遠鏡はコレだ」

子供「おぉ!!カバンに入る!!」

女戦士「未来は何か買ったのか?」

子供「虫メガネさ!!この子の分も買ったよ」

女戦士「ふむ…それがあれば魔法を使わないで火を起こせるぞ?」

子供「うん!知ってる」

女戦士「良い買い物をしたな?」

子供「他にもホラ!!バネとかネジとか…こんなのもあるよ帯眼鏡!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:17:20.81 ID:BHJWdb3D0
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子供「手足が機械になってる人が多いね」

女戦士「黒死病で動かなくなった手足を機械に変えて居るのだな」

子供「エリクサー飲めば良いのに…」

女戦士「南の大陸には恐らく材料が無いのだ」

子供「あの手はちゃんと動くのかなぁ?」

女戦士「機械に変えた方が良いと言う話も聞いた事がある」

子供「ふ〜ん…」


オークの子「がうるるる…」グイ


子供「おっとっと…どうしたの?」

オークの子「ぅぅぅ」ギロリ

子供「んん?あ…ママ!!あの人…」

女戦士「どうしたのだ?」

子供「あの人から変な匂いがする…なんだろう?ゾンビ?」

女戦士「近寄るな…」

子供「何か話してる…」

女戦士「聞こえるのか?」

子供「うん…悪い話」


ヒソヒソ ヒソヒソ


子供「麻薬が届かないから追加で送れって…誰と話してるんだろう」

女戦士「他には何と?」

子供「う〜ん…奴隷を海上で積み替える?何の事か分からない…」

女戦士「貝殻に向かって話しているな…マズイなこんな所にもリッチが居るのか…」

子供「悪い人だよね?」

女戦士「未来…良く聞け…今来た道を2人で帰れるな?」

子供「大丈夫だよ」

女戦士「お前は爆弾をいくつか持って居たな?」

子供「うん」

女戦士「私によこせ…」

子供「これだよ…」コロコロ

女戦士「3つか…よし…私はこの爆弾でリッチを始末してから戻る」

子供「気を付けてね」

女戦士「初めての冒険だ…2人でとにかく上手く帰るのだ…良いな?」

子供「わかったよ…大丈夫だから心配しないで」

女戦士「よし!行け…」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:18:00.13 ID:BHJWdb3D0
『地下入り口』


タッタッタ タッタッタ


子供「こっちだよ…手を離さないで」

オークの子「…」グイ

子供「止まらないでよ…」



ドーン ドーン ドーン



子供「爆発音…」

衛兵「なんだぁ!!襲撃か!?」ダダダ



ザワザワ ザワザワ

何!?今の音…

オークの襲撃が来たのかも知れん

まずいぞ…外に逃げろ!!

嫌ぁぁぁ!!

ザワザワ ザワザワ



衛兵「君たち邪魔だ!どくんだ!!」ダダダ

子供「まずい…人に撒かれる…行くよ!!」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:18:39.04 ID:BHJWdb3D0
『裏路地』


メラメラ パチ


子供「はい…山賊焼きだよ…今度のは塩で味が付いてるからおいしいよ」

オークの子「…」プイ

子供「食べて良いよ?」

ローグ「あらら?未来君帰ってたでやんすね?かしらは何処行きやした?」

子供「まだ地下の方から帰って来て無い」

ローグ「えええ!?未来君は2人で帰ってきたでやんすか?」

子供「うん…」

ローグ「マジっすか…何も無くて良かったでやんす」

子供「ママ大丈夫かなぁ…」

ローグ「心配する様な事があったでやんすね?」

子供「リッチ?っていうゾンビみたいな人が居たんだ…始末するって一人で…」

ローグ「ええええええええ!!?そらマズイっすね…かなりマズイっす」

子供「僕たちは馬車で待ってるから様子見て来てよ」

ローグ「ここから動いたらダメでやんすよ?あっしはちっと行って来るでやんす」

子供「気を付けて!!」


タッタッタッタ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:19:30.32 ID:BHJWdb3D0
『夕暮れ』


リリース スゥ


ローグ「未来君!!回復魔法が必要っす」

女戦士「はぁはぁ…金属片を抜いてから回復してくれ…はぁはぁ」

子供「ママ!!」

ローグ「抜きやすぜ?痛いっすよ?」

女戦士「早く抜け…」

ローグ「ふんむ!」ズボ ズボォ

女戦士「はうぅ…うぐっ」ドクドク

ローグ「未来君!回復魔法を!!」

子供「回復魔法!」ボワー

女戦士「もっとだ…はぁはぁ」

子供「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女戦士「ふぅぅぅ…」

子供「血が止まった…ママ大丈夫?」

女戦士「後は薬草を当てておけば良い…処置してくれるか?」

子供「うん…」

女戦士「しかし…侮った…」

ローグ「かしらは無茶し過ぎっすよ」

女戦士「自爆するとは思って居なかったのだ」

子供「倒せたの?」

女戦士「未来の爆弾で跡形も無く吹き飛んだ…一般の人の被害は無い」

ローグ「こんな所までリッチが来てるんすね」

女戦士「船着き場の方はどうだったのだ?」

ローグ「奴隷船が2隻入ってるっす…行先はセントラル沖でやんす」

女戦士「いつ出港するのだ?」

ローグ「2隻目に奴隷を積んだら出港とか言ってやした…どんくらい掛かるかはわからんす」

女戦士「1隻あたりどのくらいの奴隷を積んで居るのだ?」

ローグ「船の大きさからして500ぐらいっすね」

女戦士「海賊で拿捕出来そうか?」

ローグ「キラーマシンを何とかすれば行けそうっすね…やるんすか?」

女戦士「奴らは間違いなく黒の同胞団だ…見過ごすわけにいくまい」

ローグ「拿捕して海賊にでもするんでやんすか?」

女戦士「まだそこまで考えては居ないが…さて…」



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38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:20:08.42 ID:BHJWdb3D0
子供「ママ?穴の開いた金属糸のインナー直したよ」

女戦士「未来は器用だな…助かる」

子供「ママの装備でも貫通するんだね…あの金属」

女戦士「油断したのだ…至近距離から直撃だった」

ローグ「かしらがあんな大怪我したの見た事無いでやんす」

女戦士「フフ私は少し血を流したぐらいが丁度良い…今はスッキリしている」

子供「山賊焼き食べる?塩で味付けしたからおいしいよ?」

女戦士「頂く…」モグ

ローグ「あっしも頂くっす」モグ

女戦士「お前も食べておけ」

子供「僕はあんまりお腹が空かないんだよ」

女戦士「エルフの血か…」

ローグ「それなら馬車にキノコがあったっすね」

子供「あ!!欲しいかも」ゴソゴソ

オークの子「…」ダダ

子供「ん?君もキノコ欲しいの?」

女戦士「そういえばオークもエルフと似たような種族と聞いたな」

子供「キノコいっぱいあるよ…はい」

オークの子「はむはむ…」モグ

ローグ「言葉が通じれば良いでやんすがねぇ…」



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ローグ「壺を拾ってきたでやんす…こん中に炭を入れて下せぇ」

子供「馬車の中に入れるの?」ガッサ ガッサ

ローグ「そーっす…雪が降りそうなんで炭で暖を取るんす」

子供「干し草と毛皮があって良かったね」

ローグ「あぁもう雪がチラついてるっすね…積もらなきゃ良いでやんすが…」

女戦士「未来!馬車に入れ…寒くなるから固まって休むぞ」

子供「うん…」

女戦士「その子も連れて来い」

子供「おいで…」グイ

オークの子「…」

ローグ「壺を置いとくでやんす…あっしは後で休むんで先に寝て下せぇ」

女戦士「フフ固まると中々暖かい」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:20:47.65 ID:BHJWdb3D0
『翌朝』



ローグ「あぁぁぁさぶ…」

子供「雪積もっちゃったね」

女戦士「商人ギルドの建屋の中は暖かい…行って来ても良いぞ」

子供「あ!!屋上から望遠鏡使おうかな?」

女戦士「ほう?私も行って見るか」

ローグ「あっしは火を起こしとくんで行って来て良いっすよ?」

女戦士「よし付いて来い…」




『商人ギルドの屋上』


子供「何か見える?」

女戦士「私の望遠鏡は倍率が高くてな…見えにくい」

子供「僕のは船が見えるよ」

女戦士「未来の望遠鏡の方が使い勝手が良いな…貸してくれないか?」

子供「うん…」

女戦士「ふむ…奴隷船は一応大砲を乗せているな」

子供「ママは助けるつもりなんだよね?」

女戦士「助ける事になるのかは分からんが黒の同胞団は放置出来ない」

子供「オークを奴隷にしてどうするんだろう…」

女戦士「行先はセントラルなのだろうな…どうする気なのか」

子供「オークとエルフは似た種族だって言ってたでしょ?」

女戦士「そう聞いた事があるだけだ」

子供「エルフってどうして掴まえられるのかな?」

女戦士「む…エルフの代わりに捕らえられて居ると言うのか?」

子供「掴まえられたエルフってどうなってるんだろう…」

女戦士「エルフの心臓は錬金術の材料…まさかオークの心臓を使うつもりか?」

子供「…」

女戦士「まてよ?ドワーフの国に攻めようとして居たのも同じ理由なのか?」

子供「心臓無くなったら死んじゃうよね…」

女戦士「ざわざわこんな遠方まで心臓の為に来るとは思えんのだが…」

子供「遠方ってどのくらい?」

女戦士「…」


---シャ・バクダまでの移送は考えられない---

---セントラルに送ったところで何も無い筈---

---他に拠点を持っているという事か?---



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40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:21:28.89 ID:BHJWdb3D0
ローグ「かしらぁ!朝食出来やした…未来君と一緒に降りて来てくだせぇ」

女戦士「ローグ!!」

ローグ「へい?」

女戦士「あの奴隷船に忍び込んで火薬を盗んでは来れないか?」

ローグ「無茶言わんで下せぇ…火薬の入った樽背負って逃げる自信なんか無いっす」

女戦士「海に捨てるのは出来んか?」

ローグ「あの船の荷室は船底なんすよ…樽背負って甲板に出る前に見つかるっす」

子供「ママ?火薬に海水掛けると爆発しなくなるよ」

女戦士「む!!砂鉄を酸化させるのだな?良い案だ」

ローグ「未来君は賢いっすねぇ…海水掛けるぐらいなら出来るっす」

女戦士「大砲さえ使わせなければ拿捕が楽になる…行って来てくれ」

ローグ「わかりやした」



『焚火』


メラメラ パチ


ローグ「今日は豪華っすよ?芋と卵に肉!!」

子供「肉はもういいや…卵と芋はカバンに入れとく」

ローグ「あらら?お腹空いてなかったんすねぇ…」

女戦士「私が頂く」モグ

ローグ「じゃぁあっしは奴隷船の方に行ってきやすね?」

女戦士「頼む…私は錬金術師を探して素材について聞いて来るから未来は商人ギルドから出るな」

子供「うん…」

女戦士「建屋の中に居る商人達から買い物をするのは自由にやって良い」

子供「本当!?」

女戦士「馬車に積んである錬金術の材料は好きにして良い…取引の練習もしておけ」

ローグ「未来君良かったっすねぇ?」

女戦士「建屋からは出るな?」

子供「分かってるよ!!何があるかなぁ…」ワクワク
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:22:21.57 ID:BHJWdb3D0
『馬車』


ガサゴソ ガサゴソ


子供「あぁぁ!!それも食べられるの?」

オークの子「ガリガリ…」バキ ガツガツ

子供「錬金術の材料にはオークの食べ物も多いんだ…骨も食べるのか」

オークの子「ふんっ!」ポイ

子供「それはダメ…角とかは後で細工に使うから売らない」

オークの子「…」ジー

子供「これくらいで良いっか?袋のそっち側持って?売りに行くよ…よいしょ!!」

オークの子「…」グイ

子供「おっけ!!じゃ行こう」スタタ

オークの子「…」スタタ



『商人ギルド』



ガヤガヤ ガヤガヤ

昨日の爆発騒ぎで地下に行くのに制限が…

こりゃ商売できんすなぁ…ハハハ

はい商船に乗る方はこちらに並んで…

個別トレードはあっち行ってね

ガヤガヤ ガヤガヤ


娘1「あんたお使い?」

子供「え…あ…うん…おばさんは?」

娘1「おばさんじゃないよ?お姉さんて呼んでくれる?」

子供「ごめん…お姉さんは誰?」

娘1「商人ギルドの店番」

子供「へぇ…偉い人なんだ」

娘1「個別トレードはこっちだけど…大人の人は?」

子供「今は出かけてるんだ」

娘1「その袋は?」

子供「売り物だよ…買ってくれる?」

娘1「見ていいかな?」

子供「うん…」



----------------
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/03/11(木) 19:23:05.65 ID:BHJWdb3D0
娘1「ちょ…娘2!!見て…」

娘2「なに〜?忙しいんだけど」

娘1「子供がこんなの持ってるんだけど…」

娘2「どれどれ…うは!!宝の山…」

娘1「君きみ…この袋の中身の価値分かってる?」

子供「錬金術の材料でしょ?」

娘1「う…君は何者?」

子供「買う気無いなら他の人探すから良いよ」

娘1「子供がトレードする物じゃ無いんだけど…」

子供「そうなんだ…困ったなぁ」

娘2「見積もってみようか?」

娘1「そうだね…何かあったら商人ギルドの信用問題になるね」

子供「良く分からないけど…待ってれば良い?

娘2「直ぐに終わるから」



-----------------



娘2「…全部で7金貨と60銀貨…水銀がメチャメチャ高い」

娘1「んんん…君きみ?この荷物を競売に掛けて良い?」

子供「僕その意味わからない」

娘1「んぁぁぁ…お姉さんがちゃんと売ってあげるから待っててくれるかな?」

子供「良いよ」

娘1「大人の人はどこ?」

子供「しばらく帰って来ないよ」

娘1「本当に売っちゃって良いのかなぁ?」

子供「うん!大丈夫!」

娘2「お姉ぇ…これちゃんと適正以上で売らないと後で問題になるんじゃない?」

娘1「う〜ん…7金貨なんか家に合ったっけ?」

娘2「あるある!後で返品できるようにしておいた方が良い」

娘1「おけおけ!君きみぃ…この袋をお姉さんが7金貨と60銀貨で買い取るで良い?」

子供「良いよ」

娘1「ぶっ…あっさりだね」

娘2「お姉ぇ!じゃぁ金貨持ってくる」

子供「お姉さんありがとう」

娘1「大人の人によろしくねぇ〜」
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