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【CLANNAD】椋「もうすぐチャイム鳴りますよ。教室に戻らないと」
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196 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:33:53.64 ID:MNz/KIKl0
椋「………っ……」
朋也「え、あ、え?椋、なんで泣くんだよっ?」
椋は肩を震わせ、静かに涙を流し始めていた。
椋「いえ、これは……違うんです、朋也くっ……うれしいはずなのにっ……なんで、泣いてるんでしょうか、わたしっ……」
口元を押さえ、声を必死に押し殺しながら、しかし涙は止まる様子がなかった。
朋也「と、とりあえず泣き止め!泣き止んでくれっ!俺がなんか変なことを言ったんなら、謝るから!」
もしこんな場面をあいつに……。
杏「おまたせー、椋!かえ……ろ……」
杏に……見られでもしたら……。
197 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:34:37.34 ID:MNz/KIKl0
杏「―――……朋也?」
朋也「き、杏……い、いや、違うぞっ?これは、あの……」
杏「なーに人の妹を泣かせちゃってくれてんのかしら……?あたし、言ったわよね?もう二度と椋を泣かせないでよねって……」
朋也「り、椋っ!お前からもなんか言ってやってくれよ!?」
椋「っ……お、お姉ちゃん……」
杏「大丈夫、椋?この馬鹿になに言われたの?」
杏に宥めすかされ、ようやく泣き止んだ椋に、杏は詰め寄る。
椋「………うん。朋也くんと、これからも友達でいられるんだって思ったら、うれしくて……」
198 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:36:10.13 ID:MNz/KIKl0
杏「……………はぁ。あのねぇ、朋也」
朋也「な、なんだよ?好きにしたらいいって、杏も言ってただろ?」
杏「好きにしたらいいとは言ったけどね!振った女の子に対して『これからも友達で』なんて言う、普通!?」
朋也「お前だって、告白して振られたら友達としても一緒にいられなくなるって言ってただろうが!だから、俺は俺なりに気遣ったつもりなんだぞ!?」
杏「あたしと椋を一緒にするんじゃないわよ!この子はデリケートなの!」
朋也「デリケートってなんだよ!前に杏が言ってただろ、椋は俺や杏よりも強い子だって!」
杏「強い子であることとデリケートであることは両立するに決まってるじゃない!第一、椋がそれを望んだとでも言うの!?」
朋也「ちゃんと了承は得たし、うれしいって本人も言ってただろうが!まさかそれで泣かれるなんて思わなかったんだよ!」
杏「そもそもね、これからも友達でってのは、振られた方が言う言葉であって、振った方が言う言葉じゃないわよ!」
朋也「いーやそんなことないね!お前の持ってる漫画でも振る時のセリフでそういうのがあったのを見たことあるぞ!」
杏「あんなの方便に決まってんじゃないのよ!」
椋「ちょ、ちょっと二人とも……」
杏・朋也「椋は黙ってて(くれ)!」
椋「あ、あう……」
おろおろしている椋をしり目に、杏と言い合いを続ける。
俺たち、恋人同士になったんだよな?なんだか、前とやっていることは変わっていない気がした。
まあでも、これが一番俺たちらしいのかもしれなかった。
199 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:37:29.03 ID:MNz/KIKl0
杏「とにかく!椋を泣かせたんだから、謝りなさいよ!」
朋也「わかった、わかったよ!悪かったな、椋!デリカシーがなかった。いやだったら、もう俺のこと無視してくれて構わない」
杏「なによその謝り方!ほんとに反省してんの、あんた!?」
朋也「他にどう言えってんだよ!」
椋「………ふふっ」
相変わらず杏との言い合いが続いているのを見ていた椋が、不意に笑った。
杏「り、椋?ごめんね、ほんとこの馬鹿は人の気持ちも理解できないもんだから」
朋也「悪い、椋。人前でするようなことじゃなかったな」
200 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:38:37.86 ID:MNz/KIKl0
椋「いえ、いいんです。それじゃ、朋也くんとわたしは、これからも友達ってことで、よろしくお願いします」
朋也「お、おう……本当に、無理すんなよ?」
椋「はい、もう大丈夫です。あれから、随分と日も経ちましたし、わたしも自分なりに、心の整理はついているので」
朋也「……遅くなったのは、悪かったよ。俺自身、本当に言っていいもんなのか、わからなかったからな」
杏「ほんとねぇ、随分と遅くなっちゃったわよ」
朋也「お前には言われたくねえけどな」
杏「なに言ってんのよ。あたしはもうちゃーんとけじめ付け終わってるんだから。ね、椋?」
椋「うん、お姉ちゃん」
朋也「仲のよろしいこって。んじゃ、俺は久々に春原の部屋にでも行くから、今日は姉妹仲良く帰れよ」
201 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:39:34.92 ID:MNz/KIKl0
椋「あ、ごめん、わたし、先に校門前まで行ってるね!」
杏「え?あ、椋!……行っちゃった」
多分……だけど、気を遣ってくれたんだろう、椋は。
杏「まあいいわ。それじゃ、悪いわね朋也。ま、こんな時間まで朋也が残ってるとは思ってなかったんだけど」
朋也「………俺とお前、付き合ってるんだよな?」
杏「え?付き合ってるわよ?」
朋也「なんか、冷たくねえ?」
杏「なにがよ。悪いわねって言ってるじゃないの」
朋也「彼女が学校に残ってんだから、彼氏なら待つのが普通じゃねえの?」
杏「っ、そ、それは……って、朋也が待ってたのは椋じゃないの?話したいことがあるって、今朝言ってたじゃないのよ!」
朋也「そりゃ、目的の半分はそうだけどさ……ったく、いいよもう」
また不毛な言い争いになりそうだったから、話を切り上げて教室を出ようとする。
202 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:41:05.94 ID:MNz/KIKl0
杏「あっ、待ちなさいよ朋也!」
そんな俺のあとを、杏が追ってくる。
杏「わかった、わかったわよ。付き合ってる証があればいいんでしょ?」
朋也「付き合ってる証?って、なん―――」
言葉の途中で、唇が塞がれる。
杏「―――……これで、いいでしょ、もう」
朋也「………」
杏「な、なによ?なんか言いなさいよ」
朋也「え、ああ……いや、うん……。そうだな、付き合ってるんだよな、俺たち」
杏「だから、何度もそう言ってるじゃないの……」
照れたような、拗ねたような表情をしながら、杏はもう一度俺の唇に自身の唇を重ねてくる。
杏「ン……」
朋也「…………」
彼女の息遣いが、何よりも近くに感じられる瞬間。
そして、確かに俺たちの関係が変わったことを実感できる瞬間だった。
203 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:42:23.00 ID:MNz/KIKl0
杏「………はい、おしまい。それじゃ、椋が待ってるから、あたし行くわね。また明日ね、朋也!」
かすかに赤く染まる表情を俺に向けてそう言うと、杏は玄関へ向けて歩き始める。
朋也「ああ、また明日な、杏」
その後ろ姿を見送る。
曲がり角まで行ったかと思うと、杏はこちらを振り返った。
杏「朋也!好きだからねっ!」
人目も憚らず、そう、高らかに宣言する杏。
朋也「おまっ……」
杏「じゃあねー!」
そうして今度こそ、彼女の姿が見えなくなる。
朋也「………ったく」
姿の見えなくなった彼女へ向けて、俺も言ってやる。
朋也「俺だって、好きだからな……杏」
END
204 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:43:07.54 ID:MNz/KIKl0
智代「別に、人の恋路についてとやかく言うつもりはない。ただな、放課後とはいえ、学校内で人目も憚らず『好きだからね』なんてのは、どうかと思うぞ」
朋也「………生徒会長様、だっけか、智代」
智代「ああ、そうだ、お前も知っているだろう。友人だと言っても、いや友人だからこそ、そういう行為は見過ごせないぞ、岡崎」
朋也「それは、俺じゃなくて杏に言ってやってくれよ……」
智代「無論、今度藤林さんに会ったら注意するつもりだ。全く……」
朋也「悪かったよ、生徒会長様。俺からも言っておくから」
智代「当然だ」
205 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:44:16.99 ID:MNz/KIKl0
朋也「え、お前、オチ担当なの?」
智代「どうやらそのようだ。そうでなければ、唐突に出てくる必要もないだろう」
朋也「……………まあなんつーか、お疲れさん」
ホントに終わり
206 :
◆/ZP6hGuc9o
[saga]:2026/03/11(水) 23:46:49.07 ID:MNz/KIKl0
完全な蛇足失礼しました
過去に自身で書いたSSを掘り起こしていて、あーそういやこんなの書いたなぁと思い出し、杏ルートの構想もあったんだっけなーと思い起こして、不意に書きたくなったので投下しました
では、HTML化依頼に投げてきます
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