【モバマス×ポケモン】凛・藍子「ガールズ・イン・ザ・フロンティア!!」

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116 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:19:27.42 ID:/ZCZaUFt0
投下します。今日は安価もコンマもやります
117 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:20:06.16 ID:/ZCZaUFt0

翌朝

笑美「ふぁ……おはよー、藍子はん……」

藍子「おはようございます、笑美ちゃん!」

笑美「なんや、朝から元気やなあ……」

藍子「ふふっ、早起きは得意なんです」

亜季「二人とも、おはようございます」
118 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:21:00.97 ID:/ZCZaUFt0

笑美「おふぁよーございます……」

藍子「亜季さん、おはようございます!」

亜季「うむ、いい返事ですな。朝食を並べております、いただきましょう!」

…………………………

藍子「ところで亜季さん。この道場って、笑美さんしか門下生の方はいらっしゃらないんですか?」

亜季「いえ、笑美殿以外の者は今、鍋底砂漠という場所にて合同合宿を行っておりましてな。普段はもう少し賑やかなのですが」
119 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:21:41.50 ID:/ZCZaUFt0

笑美「みんなそれぞれ、ジムリーダーになるとかの夢を持って特訓してるんよ。ウチは将来的にこの道場を継ぐ予定やから、ししょーに付き添って行動してんねんけどな」

藍子「へえ、そうだったんですね」

亜季「さて、藍子殿はこれから大切なトーナメントを控える身。こちらとしても長く道場に留める気はありません」

亜季「というわけで、私の方から手短に3つのミッションをご用意いたしました」

藍子「3つのミッション?」

亜季「ええ。それらをこなすことで、藍子殿はこの道場を卒業という形にいたします」
120 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:22:23.23 ID:/ZCZaUFt0

亜季「もちろんこのミッションの中には、藍子殿が気になっているダイマックスの謎についても組み込まれておりますよ」

亜季「目安は1日1ミッション……つまり今日から3日間ですな」

藍子「3日間……!」

笑美「すごいな、キャタピーがトランセルになるぐらいの早さや」

亜季「その分ハードな3日間になると思われます。藍子殿、覚悟はよろしいですかな?」

藍子「……はい。よろしくお願いします」

笑美「ほんまにええんか、藍子はん? ししょーのいうハードってただのハードやないで。ベリーハード、いや最早デビル級――」

亜季「笑美殿〜?」
121 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:23:09.89 ID:/ZCZaUFt0

笑美「ウ、ウソやって!」

亜季「笑美殿にもやっていただきたいことがあります。後で指示いたしますね」

笑美「ヤバい、これめっちゃしごかれるやつや……」

亜季「では藍子殿。さっそく1つ目のミッションに取り掛かっていただきます」

亜季「その前に、こちらをプレゼントしましょう」

デデン

藍子「これは……自転車、ですか?」

亜季「ロトム自転車という代物です。モーターの部分にロトムが内蔵されており、ターボをかけることで素早く移動することが可能です」

亜季「水陸両用モデルですので、ヨロイ島の海も渡ることができますよ」
122 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:23:59.05 ID:/ZCZaUFt0

亜季「今から藍子殿にはこちらに乗って、ガラナツの枝を30本、集めていただきます!」

藍子「ガラナツの枝、ですか?」

亜季「ヨロイ島に群生している植物のことです。こちらの写真と地図を頼りに、島を隅から隅まで巡って収集してきてください」

亜季「細かいルールは特にありません。期限は今日の日没まで。質問はありますか?」

藍子「いえ、大丈夫です!」

亜季「よろしい。では、始め!」

ガタッ

藍子「では、行ってきます!」

亜季「行ってらっしゃーい!」

ダーーッ
123 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:24:24.28 ID:/ZCZaUFt0


清涼湿原

藍子「……わあ。ここは湿原なんだ」

ガマガル「ガマーッ」

ニョロゾ「ニョロ?」

藍子「沼地に気をつけて……よいしょ、っと」

藍子「うーん、この辺りにはなさそうだなあ」
124 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 20:25:13.08 ID:/ZCZaUFt0

チャレンジビーチ

藍子「きれいな砂浜……写真、撮っておこうかな♪」パシャリ

藍子「うーん、でも……植物は見当たらないかなあ」

藍子「……ん?」

藍子「あれは、塔……? しかもすごく高い……」

藍子「どうしてあんな所に――」

藍子「――!?」


>>125 コンマ(ゾロ目でイベント発生)

125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/14(金) 21:27:12.55 ID:OIZqPCA1o
ゆるふわぁ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/14(金) 21:40:53.96 ID:3YFCbulg0
>>125
流石ゆるふわ乙女
127 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:41:35.87 ID:/ZCZaUFt0

??「!!」

藍子「ポ、ポケモン? どうして私を見て――」

??「――べあ!」ダッ

藍子「あ、ちょっと……!」

藍子「……いったいなんだったんだろう」
128 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:42:20.53 ID:/ZCZaUFt0

並ぶ島の海

バシャバシャバシャ

藍子(ふふ、自転車で海の上を進むのって、なんだか新鮮……♪)

……ギロッ

藍子「あっちの島、木が生えてる。行ってみようかな――」

バシャアッ

藍子「……え?」
129 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:42:54.61 ID:/ZCZaUFt0

サメハダー「サメー!!」ズドドドド

藍子「サ、サメハダーが追ってくる!?」

藍子「早く逃げないと――」

サメハダー「サメッ!!」ズドドドド

藍子「ま、前からも来たっ!?」

藍子「わあああっ!」
130 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:43:49.70 ID:/ZCZaUFt0



藍子「……」ガラッ

笑美「藍子はんお帰りー!」

亜季「ご苦労様でした。おや、ずいぶんとお疲れの様子」

藍子「はい……海でサメハダーの群れに襲われて、戦っている最中に海に落ちちゃって」

藍子「サニーゴやドロンチのおかげでなんとか陸に上がれたんですけど……」

笑美「わかるわ……あいつらめんどくさいよなあ」

亜季「それは災難でしたな。先にシャワーを浴びてこられますか?」

藍子「はい、そうします」
131 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:44:27.74 ID:/ZCZaUFt0

…………………………

亜季「さて、ガラナツの枝30本は無事、集められましたかな?」

藍子「ええと、その」

藍子「……実は、30本集めることはできませんでした」

亜季「ほう。たしかに手元には15本しかありませんな」

藍子「すみません。頑張って探し回ったんですが、なかなか見つからなくて」

藍子「私、どうも鈍間みたいで……」

亜季「……ふむ」
132 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:45:17.67 ID:/ZCZaUFt0

亜季「いいでしょう。今日のミッションは合格です、藍子殿」

藍子「えっ? でも、半分しか集められなかったのに――」

亜季「いいのです。実を言うと、30本も集めるのは難しいと最初から踏んでいましたから」

藍子「……え?」

笑美「ガラナツの枝って案外見かけへんねんなー。ウチも一日でその数はよう集めへんわ」

亜季「ましてやヨロイ島は非常に入り組んでおり、野生ポケモンも好戦的です。散策にはとても向いていません」

亜季「これだけ集められれば、大健闘でありますよ」

藍子「じゃあ、どうして最初に30本って……?」
133 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:45:58.17 ID:/ZCZaUFt0

亜季「……先にネタばらしをさせていただくと、今日のミッションでは藍子殿の『ペース』を分析し、明確にしたかったのです」

藍子「ぺ、ペース?」

亜季「人にはそれぞれ、自分だけが持ちうるペースがあります。歩調、といってもよいでしょうね」

亜季「おっとりした人が急いで物事を片付けようとすると、たいてい焦ってドジを踏みます。逆にせっかちな人が丁寧に物事に取り掛かると、かえって集中力が続かなかったりします」

亜季「藍子殿にも同じようなことが言えています。普段はのんびり屋であるはずなのに、バトルになると突然早とちりな性格になる。つまり本来の性分とバトルスタイルに乖離があるんですね」
134 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:46:47.87 ID:/ZCZaUFt0

藍子「それって、どういう……?」

亜季「昨日、笑美殿と戦われた時のことを思い出してくだされ。オトスパスのたこがためを受けてから、藍子殿はどう行動されましたかな?」

藍子「え? ええと、いやなおとでそれを振り切りました。それから二度目を受けないよう、ドラムを使ってオトスパスと距離を取りました」

亜季「そうでしたね。ですが私としては、あれは最善手だったとは思えない」

亜季「不利な状況からすぐに脱したい気持ちはわかります。が、藍子殿ほどのトレーナーであれば、もっと上手な打開策があったのでは、と思わざるをえなかったのです」
135 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:50:07.73 ID:/ZCZaUFt0

亜季「私にはどうも、決断を急ぎすぎている風にしか見えなかった。それでもしかしたら、藍子殿は自身のペースを掴み切れていないのでは、と感じたのです」

藍子「自分の、ペース……」

藍子「……そんなこと、考えもしませんでした」

亜季「そうでしょうね。それを踏まえての今日のミッションの成果、及び藍子殿自身の自己評価を聞いて、確信に至りました」

亜季「藍子殿は迷われている。自分なりの戦い方を、未だ会得できておりません」

藍子「……!」

亜季「これまでのバトルで起こった閃きが閃きのままなら、まだまだ半人前ということです」

亜季「藍子殿だけが持つペース、それこそが自身でも気づかれていないポテンシャルであり、さらに強くなるためのカギになると思うのです」
136 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:50:41.78 ID:/ZCZaUFt0

亜季「……課題は見つかりました。今日はもう充分です。30本集められなかった自分を貶めるのではなく、15本も集められた自分を褒めてやってください」

笑美「うんうん。マイペースなんがイチバンや」

笑美「藍子はんは、知らんうちに肩に力が入りすぎてたんちゃうかなあ?」

藍子「そう、なんでしょうか……」

亜季「まあ、直ぐに改善せよと言われても無理があるでしょう。ですがこれは、藍子殿が強くなるための大事な布石です」

亜季「ゆっくり身体に沁み込ませてゆきましょう。というわけで、今日のところはゆっくり休んでください」
137 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:51:12.72 ID:/ZCZaUFt0


その後 砂浜

ザッパーン

藍子(自分の、ペース……)

藍子(……今までは、凛さんから教えてもらったことが全てだった。凛さんの戦い方が、そのまま私の戦い方になっていた)

藍子(でも……)

ザッザッ

亜季「眠れないのですかな?」

藍子「亜季さん。それと……隣の方は?」
138 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:52:01.13 ID:/ZCZaUFt0

穂乃香「初めまして。亜季さんの道場でお手伝いをしている、穂乃香です」

亜季「穂乃香殿は手先が器用でしてな。ガラナツの枝を加工して本土に輸出することで、道場の資金を工面していただいているのです」

穂乃香「はい。日中は島にいなかったので、挨拶をしておこうと思いまして」

藍子「そうだったんですか。あ、私は藍子です。よろしくお願いします!」

藍子「ガラナツの枝って、そんなに需要があったんですね」

穂乃香「本土には生息していない植物ですから、それなりの価値を与えてもらっているんですよ」

穂乃香「そうそう。実は藍子さんに渡したいものがあるんです。藍子さん、今日は頑張ってたくさんのガラナツの枝を集められたんですよね」
139 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:53:02.16 ID:/ZCZaUFt0

藍子「……?」

穂乃香「あの枝を編んで、アクセサリーにしてみたんです。それをぜひ受け取ってほしくて」

藍子はガラナツリースを手に入れた!

藍子「わあ、きれいなリース……!」

穂乃香「ふふ、ありがとうございます」

穂乃香「でもこれはただのアクセサリーじゃなくて、リージョンフォームのヤドンを、ヤドキングへ進化させるための道具でもあるんですよ」

藍子「……!」

藍子「亜季さん、それを知っていて……?」
140 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:53:35.21 ID:/ZCZaUFt0

亜季「さあ、どうでしょう」

亜季「ま、これは私たちからの労いだと思って受け取ってくだされ」

藍子「……ありがとうございます。大事にしますね」

穂乃香「ふふ。では私は明日も朝が早いので、これで」

ザッザッザッ

藍子「亜季さんも、眠れないんですか?」

亜季「ええ。浜辺で一人佇んでいる藍子殿を見ていたら、いてもたってもいれず」

藍子「わ、その、私のことはどうかお気になさらず……!」
141 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:54:22.67 ID:/ZCZaUFt0

亜季「藍子殿は、どなたにポケモンバトルを教わられたのですか?」

藍子「……え?」

亜季「おそらく藍子殿は、自分とは真逆の性分を持つトレーナーに影響を受けてきたのかもしれない。それだけでなく、その者から直々の指導も受けていた」

亜季「私はそのように推測したのですが」

藍子「……すごい。亜季さん、そんなことまでわかっちゃうんですね」

藍子「亜季さんの言う通りです。私にはコーチがいて、その方と一緒にジムチャレンジを巡ってきました。バトルも、その方から教わって」

亜季「……」
142 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:55:53.99 ID:/ZCZaUFt0

藍子「すっごく強い人なんです。常に冷静で、センスがあって、カッコよくて」

藍子「ポケモンのことが誰よりも大好きな……私の、憧れのトレーナーなんです」

亜季「そうでしたか。素敵な関係ですね」

藍子「今までは、その人の戦い方が私の当たり前でした。私はこれからもこのやり方でやっていくんだろう、とも思っていました」

藍子「……でも、私にはそれは合っていかったんでしょうか」

藍子「だとしたら、私はこれからどうすればいいんでしょうか」

亜季「それでお悩みになられていたのですね。すみません、私も配慮が足りていませんでした」

亜季「私は決して、今までの藍子殿を否定するつもりはありませんよ」
143 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:56:35.93 ID:/ZCZaUFt0

亜季「……守破離、という言葉をご存知ですかな?」

藍子「しゅは……? いえ、初めて聞きました」

亜季「武芸の道に伝わる考え方のことです。何かを極めていく際には三つの過程がある、という教えですね」

亜季「まずは「守」。師の教えを忠実に守り、基本の型を身につける段階です。ここで身につけた型が、その後の土台となってゆきます」

亜季「その後、徐々に「破」の段階に移ります。身につけた型を参考にして、様々な型を取り入れつつ、自らのスタイルを形成していくのです」

亜季「やがて両方に精通した者は、既存の型を越え、自らの型を形成するようになる。これが「離」の段階です」
144 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:57:04.41 ID:/ZCZaUFt0

藍子「な、なるほど」

亜季「今の藍子殿は「破」の段階にあります。既に頑なな型があるのですから、そこに新たな型を取り込むべき時期なのです」

藍子「新たな型……それが私だけが持つペースのこと、でしょうか」

亜季「ええ。想像してみてください。今まで他人から教わってきたやり方と、自分なりのやり方。それが合わさった姿のことを」

藍子「……!」

藍子「そっか……そういうことだったんですね」

藍子(どちらか一つにしなくていい。凛さんの教えも、私なりの答えも一緒にすれば……!)
145 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 21:58:04.08 ID:/ZCZaUFt0

亜季「……どうやら少しは吹っ切れたようですな」

藍子「はい。私は私だけのやり方で……凛さんに教わったことも大切にしながら」

藍子「そうすれば、きっと……」

藍子「おいで、ヤドン!」ポンッ

ヤドン「やどーん」

藍子(さっき穂乃香さんにもらったガラナツリースを使えば、ヤドキングに進化させられる)

藍子(でも手元にはガラナツブレスもある。これを使えばヤドランに……)

藍子(どっちを使おう?)


>>146 安価
ガラナツブレス(ヤドラン) or ガラナツリース(ヤドキング)

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/14(金) 22:03:02.66 ID:3YFCbulg0
ガラナツリース(ヤドキング)
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/14(金) 22:04:59.39 ID:3YFCbulg0
無駄なところでぞろ目出るのなwwまあ>>125で既に出てるからいいけどさ
148 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:09:30.86 ID:/ZCZaUFt0

藍子「ヤドン、これをつけてみて!」

ヤドンにガラナツリースを持たせた

………………

藍子「あ、あれ?」

シェルダー「シェェルダァァー!!」ザッパーン

藍子「わあっ、海からシェルダーが!?」

ガブーッ

ヤドン「……!!」
149 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:10:11.66 ID:/ZCZaUFt0

カッ

ヤドキング「ヤドキン?」

ヤドキング じゅじゅつしポケモン どく・エスパータイプ
ガラルのすがた
毒素によって知能が上昇したシェルダーがブレインになった
妖しげな呪文を唱えながら会話をしたり技を繰り出したりする

藍子「……!」
150 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:10:58.19 ID:/ZCZaUFt0

藍子「ヤドキング、これからよろしくね!」

ヤドキング「……コマッタナー」

藍子「え!?」

ヤドキング「……ヤドキン」

藍子「い、いま、なにか言ったような……??」
151 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:11:38.34 ID:/ZCZaUFt0

亜季「おめでとうございます、藍子殿。では私からもう一つ、これを授けましょう」

スッ

藍子「これは……技マシン?」

亜季「ええ。藍子殿が各地を駆け回っている間、笑美殿がポケモンの巣から収集してきたものです」

亜季「藍子殿だけのペースで戦うこと、それは唯一無二の武器になりえます。その技マシンを使いこなすことで、そのことが理解いただけるでしょう」

亜季「ぜひ、使ってみてくだされ」

藍子「亜季さん……なにからなにまで、ありがとうございます」

亜季「どういたしまして。明日も朝が早いです。今日はもう戻りましょうか」
152 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:12:17.36 ID:/ZCZaUFt0

藍子「あっ、そうだ。あの、亜季さん」

亜季「なんでしょう?」

藍子「実は今日、不思議なことがあって――」

カクカクシカジカ

亜季「ふむ」

亜季「藍子殿が遭遇したポケモン……おそらく、ダクマというポケモンでしょうな」
153 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:13:35.79 ID:/ZCZaUFt0

藍子「ダクマ、ですか?」

亜季「本来はガラルから遠く離れた山岳地帯に生息するポケモンなのですが、ごくまれにヨロイ島でも発見例があるようです」

亜季「鍛錬を積み、己を鍛えることを身上とする性格なのですが、そんなポケモンが藍子殿を見つめていたこと……なにか親和性を感じますね」

亜季「どうでしょう。次に会うことができれば、対話を試みては?」

藍子「対話……そうですね。また会えたら、の話ですけど」

亜季「きっとダクマは藍子殿のことが気になっているのでしょう。近いうちに必ずまた会えますよ」
154 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/14(金) 22:16:02.57 ID:/ZCZaUFt0

今回はここまで
コンマ及び安価にご協力感謝です

盛りだくさんのDAY1が終了しましたね
コンマ成功したのでこれ以降のコンマイベントは割愛になります
いつどのタイミングでパーティー入りするのか、お楽しみに

ヤドンの進化先も決まったし急いで続きを書かないと
ではまた来週
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/14(金) 22:18:15.75 ID:3YFCbulg0
乙 ハマちゃんのヤドキング懐かしいな
156 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:48:23.04 ID:EGhXWbks0


翌朝

藍子「おはようございます、亜季さん!」

亜季「藍子殿、おはようございます。体調はいかがですかな?」

藍子「ぐっすり眠れたので、元気いっぱいです!」

亜季「けっこうけっこう。穂乃香殿が朝食を用意してくれていますぞ。早速いただきましょう!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

亜季「それでは本日のミッションです。今回は藍子殿に、ある場所へ赴いていただきます」

藍子「ある場所、ですか?」
157 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:49:05.01 ID:EGhXWbks0

亜季「ええ。この道場の北部には、集中の森と呼ばれる森林地帯が広がっています」

亜季「そしてその奥地には、非常に珍しいキノコが生息しているのです」

藍子「キノコ、ですか」

亜季「ええ。赤い渦巻き模様が特徴で、ダイキノコと呼ばれています」

藍子「ダイキノコ……」

藍子「ということは、もしかしてダイマックスと関連が?」

亜季「ふっふっふ、それはまだ明言できませんなあ」
158 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:50:12.03 ID:EGhXWbks0

亜季「藍子殿にはこのダイキノコを採取してきていただきます。ちなみにガラナツの枝と違って一箇所にしか群生していませんので、昨日のようにあちこち探す必要はありませんぞ」

藍子「わかりました、それが今日のミッションですね!」

笑美「ふぁ〜、おはよー藍子はん……」

亜季「おお笑美殿、ようやく起きてこられましたか」

笑美「いやーよう寝たわ……んで藍子はん、今日は何させられるんや?」

藍子「ダイキノコの採取です。そのために今から集中の森に向かいます」

笑美「しゅ、集中の森やてえ!?」
159 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:51:07.20 ID:EGhXWbks0

藍子「わっ、ど、どうしたんですか?」

笑美「いやいや、ししょー、ホンマにあそこに行かせるんか!?」

笑美「だってあの森、バケモンみたいに強いポケモンがおるんやろ!? 門下生にも近づいたらあかんって警告しとったやん!」

藍子「つ、強いポケモン……!? 本当ですか、亜季さん?」

亜季「……ええ」

亜季「森の奥地にはダイキノコを守っているポケモンがいます。周囲のポケモンとは比較にならないほどの強さを誇ることから、森の王者と呼ばれているとか」

藍子「森の王者……」

亜季「彼の者を倒さなければ、キノコは手に入れられないでしょう。おそらく戦いは避けられません」
160 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:51:35.41 ID:EGhXWbks0

亜季「ですが、全く敵わないわけではないはずです。昨日の私の言葉、覚えていますよね?」

藍子「はい。……自分のペース、ですよね」

亜季「ええ。焦らず冷静に戦況を見極め、不利な状況すら味方につけて活路を見出すのです」

亜季「森の王者とのバトルは、それを実践するよい機会だと思って臨んでください」

亜季「健闘をお祈りしておりますぞ。では……始め!」
161 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:52:17.59 ID:EGhXWbks0

集中の森

藍子「ここが集中の森……」

チュリネ「チュチュッ」ピョンピョン

エモンガ「エモ?」フワフワ

ウッウ「うーうー」バシャバシャ

藍子「キノコがあるのは森の最奥部……」

藍子「とにかく、地図通りに進んでみようかな」

…………………………
162 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:53:29.94 ID:EGhXWbks0

藍子(けっこう奥の方まで来ているのかな)

藍子(だんだんと周りが暗くなっていて……森というより、ジャングルみたい)

ザザッザッ

藍子「? なんの音……?」

ザッ

藍子「あっ」

ダクマ「……!!」

藍子「あなたは……ダクマ?」

ダクマ「……べあ」

ダクマ「べあ! べあ! べああ!」
163 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:54:09.21 ID:EGhXWbks0

藍子「えっ、えっ?」

藍子(ダクマが、なにかを必死に訴えかけている……?)

ザッザッザッザッ

藍子「……?」

藍子「いま、大きな影が横切ったような……?」

ダクマ「……!!」ゾゾッ

ダクマ「べあ! べああ! べあ……」

ダクマ「……べぁ」スタスタ

藍子「あ、行っちゃった……」

藍子(ダクマ、すごくおびえた様子だった。この先に、なにがあるの……?)
164 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:55:48.01 ID:EGhXWbks0

…………………………

奥地

藍子「ここをくぐり抜けたら、奥地に着くはず……」ザッザッ

藍子「……! あった!」

藍子「赤い渦巻き模様……亜季さんが言っていた通り。これを持ち帰れば――」

ザッザッザッザッ

ザザザザッ

藍子「……!」

藍子(何か……来る!?)

ザザッ!!
165 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:56:56.19 ID:EGhXWbks0

「ザルゥゥゥ!!」

藍子「!? ポケモン……!」

ザルード「ザルゥ!!」バッ

藍子「わわっ、マホイップ!」ポンッ

マホイップ「マホ〜!」

バシィ

藍子「あのポケモンが……もしかして森の王者?」サッ


データ不明


藍子「そんな……図鑑に載っていないポケモン……!」


謎のポケモンが勝負をしかけてきた!
166 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 22:57:52.65 ID:EGhXWbks0

藍子 手持ちポケモン

ゴリランダー (しんりょく) Lv61
ドラムアタック/ウッドハンマー/アクロバット/いやなおと

マホイップ (スイートベール) Lv59
マジカルシャイン/てんしのキッス/デコレーション/あまいかおり

サニーゴ (はりきり) Lv57
アクアブレイク/パワージェム/じたばた/ミラーコート

ドロンチ (すりぬけ) Lv53
りゅうのはどう/ゴーストダイブ/りゅうのまい/みがわり

ヤドキング (きみょうなくすり) Lv56
ぶきみなじゅもん/なみのり/わるだくみ/かなしばり
167 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/21(金) 23:00:05.35 ID:EGhXWbks0
短いですが今回はここまで
去年のポケモン映画はよかった…今年はどうなるんでしょうね

ではまた来週
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/21(金) 23:02:06.60 ID:dspf/Oww0
乙 まさかのザルード登場ww
169 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:38:44.09 ID:MghVyy2f0

ザルード「ザルッ!!」ブゥン

マホイップ「マ、マホ〜!」バシィ

藍子「今の技は……パワーウィップ?」

藍子(タイプも使ってくる技もわからない、けど)

藍子(すごく強いポケモンだというのはわかる……!)

藍子「マホイップ、マジカルシャイン!」

マホイップ「マホ〜!」ピッカァ

ザルード「!」バシィッ
170 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:40:00.36 ID:MghVyy2f0

ザルード「ザルッ!!」ブゥン

マホイップ「マ、マホ〜!」バシィ

藍子「今の技は……パワーウィップ?」

藍子(タイプも使ってくる技もわからない、けど)

藍子(すごく強いポケモンだというのはわかる……!)

藍子「マホイップ、マジカルシャイン!」

マホイップ「マホ〜!」ピッカァ

ザルード「!」バシィッ
171 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:40:46.64 ID:MghVyy2f0

藍子「よし、効いてる……!」

ザルード「ザルッ!」ブゥン

藍子「躱してデコレーション!」

マホイップ「マホッ」ヒョイ

マホイップ「マホ〜ッ」シャキーン

藍子「よし、もう一度マジカルシャインを――」
172 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:41:25.84 ID:MghVyy2f0

『藍子殿だけが持つペース、それこそが自身でも気づかれていないポテンシャルであり、さらに強くなるためのカギになると思うのです』

藍子(! そうだ、自分のペース……!)

藍子(このままじゃ今までの私の戦い方と同じだ。自分のペースで……)

藍子(……でも、自分のペースってなんなの?)

バチィッ

マホイップ「マホッ……!」ズザァ

藍子「! マホイップ!」

ザルード「ザルゥ!!」ブゥン

藍子「マ、マジカルシャインっ!」

マホイップ「マホ――」
173 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:42:03.80 ID:MghVyy2f0

ズドンッ

マホイップ「マホ〜」バタンキュー

藍子「ご、ごめんね、マホイップ……!」

藍子「お願い、ドロンチ!」ポンッ

ドロンチ「ドロン!」

ザルード「ザルゥ!」ブゥン

ドロンチ「ドローン」

フッ

ザルード「ザル……!?」
174 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:42:59.12 ID:MghVyy2f0

藍子「これがドロンチの新しい技……」

藍子「いくよ、ゴーストダイブ!」

ドロンチ「ドロン!」

ズガッ

ザルード「ザ、ザル……!」

藍子「決まった……でもダメージはあまり受けていない」

藍子「ゴーストタイプに強くて、フェアリータイプに弱い……ということは、あのポケモンはあくタイプ?」
175 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:43:27.45 ID:MghVyy2f0

ザルード「ザルッ!!」

ムキムキムキ

藍子(!? 腕だけが太くなってる……!?)

ザルード「ザル!!」ブゥンッ

藍子「ドロンチ、危ない!」

ドロンチ「ドロン!」

バシィッ

身代わり人形「」コテッ

ザルード「ザルゥ!!」ォォォン
176 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:43:56.87 ID:MghVyy2f0

藍子「もう一度来るよ、みがわり!」

ドロンチ「ドロン――」

バババババ

ドロンチ「ド、ドロンッ!?」

藍子「そんな、みがわりが効かなかった……!?」

ザルード「ザル!!」

ズドォォン

藍子「ドロンチ!」

ドロンチ「ドロン……」バタンキュー
177 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:44:50.21 ID:MghVyy2f0

藍子(さっきの技、みがわりは間に合っていたはずなのに……)

藍子(あくタイプで、みがわりの効果を受けない技……)

藍子(! 『バークアウト』……!)

ザルード「ザルゥゥ!!」

藍子「亜季さんから聞いていた通り……すごく強い」

藍子「……でも、このまま負けるわけにはいかないんです」

藍子「ゴリランダー、お願い!」ポンッ
178 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:45:24.12 ID:MghVyy2f0

ゴリランダー「ゴリ!」

ザルード「ザルゥゥ!!」

ゴリランダー「ゴリ!!」

ガキィィィン


………………………


藍子「ドラムアタック!」

ゴリランダー「ゴリ!」ドンドコドンッ

ザルード「ザル」ヒョイヒョイッ

ザルード「ザル!」ヒュンッ
179 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:46:04.07 ID:MghVyy2f0

藍子「木の上に逃げた……ゴリランダー、追いかけて!」

ゴリランダー「ゴリ!」

ダンッ

ザルード「ザル!」ブンッブンッ

ゴリランダー「ゴ、ゴリ……!」

藍子「さっきよりも相手の動きが軽い……」

藍子「得意な場所にうまく誘い込まれちゃったってこと……!?」

ゴリランダー「ゴリ……!」ジリジリ
180 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:46:44.78 ID:MghVyy2f0

藍子(早く……早くなんとかしないと。なにか考えなきゃ……!)

『遅い。トレーナーが焦ってちゃ元も子もないよ』

『たった一手のミスが勝敗を分けるかもしれない……だからこそトレーナーは常に冷静でいないとね』

藍子(そうだ、焦っちゃだめ……冷静に、冷静に――)

藍子(あそこで戦われたら不利なままだ。なんとかして地面に降りないと)

ザルード「ザルゥゥ!!」ブゥン

藍子「ゴリランダー、躱して――」

『藍子殿ほどのトレーナーであれば、もっと上手な打開策があったのでは、と――』
181 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:47:13.51 ID:MghVyy2f0

藍子「……!」

ズドンッ

ゴリランダー「ゴリ……!」

藍子「し、しっかりして、ゴリランダー!」

ゴリランダー「……!!」ミシッミシッ

藍子「木の枝が絡まって――」

ザルード「ザル!」ムキムキムキ

ゴリランダー「……!」

ザルード「ザルゥゥ!!」ブゥン

ズドォォン
182 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:47:42.25 ID:MghVyy2f0

ゴリランダー「ゴリ……ッ!」ドスン

藍子「そん、な……」

藍子「ゴリランダー……」

ゴリランダー「……ゴリ」

藍子「……ごめんね」

藍子「私、どうすればあのポケモンに勝てるのか、わからないの」

藍子「私、今まで、どうやって戦っていたんだっけ……?」
183 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/05/30(日) 01:48:12.39 ID:MghVyy2f0
短いですが今回はここまで
ありがとうございました
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/30(日) 19:23:17.64 ID:L8vFiKbk0
乙 今回は負けイベかな?
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/01(火) 11:25:16.97 ID:DfshmZi90
ポケモンM@STERS
186 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:43:00.49 ID:045TuTwH0

ザルード「ザルゥ!!」

藍子「攻撃は強力だし、身のこなしも素早くて隙がない」

藍子「わからないよ。私……どうしたらいいの……?」

ゴリランダー「…………」

ゴリランダー「ゴリッ!!」ダッ

藍子「あっ……!」

ザルード「ザルゥゥ!!」ブゥン

ズドォォン
187 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:43:43.26 ID:045TuTwH0

藍子「ゴ、ゴリランダー……」

『冷静に戦況を見極め、不利な状況すら味方につけて活路を見出すのです』

藍子(……そうだ。ゴリランダーは、まだ諦めていない)

藍子(それなのに、トレーナーの私が弱気じゃダメだ)

藍子(私にできることは……)

ザルード「ザルゥ!!」ムキムキムキ

藍子(あの技……腕だけを太くしている。『ビルドアップ』?)

藍子(ううん、攻撃が終わったら腕が太さは戻ってる。ビルドアップじゃなかったら……『せいちょう』、とか?)
188 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:44:37.86 ID:045TuTwH0

ザルード「ザルゥゥ!!」ブゥンッ

藍子「ドラムで防いで!」

ゴリランダー「ゴリ!」ガキィィィン

ザルード「ザルゥ……」

藍子(体勢が崩れてる!)

藍子(大技だけど、その分隙が大きいんだ……!)

藍子「ウッドハンマー!」

ゴリランダー「ゴリ!!」

ドゴオッ
189 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:45:28.51 ID:045TuTwH0

藍子「よしっ……!」

藍子(私も……諦めない!)

ザルード「……ザルルァァ!!」ムキムキムキ

藍子「両腕を太くしてきた……! またパワーウィップが来る!」

バッ

藍子「あそこ……ゴリランダー、木陰に隠れて!」

ゴリランダー「ゴリ!」

ズドォォン
190 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:46:00.35 ID:045TuTwH0

藍子「そこからドラムアタック!」

藍子「相手を攻撃するんじゃなくて……足元をすくって!」

ゴリランダー「ゴリッ!」ドンドコドンッ

ザルード「!?」フラッ

藍子「決まったっ!」

藍子「よし、懐に向けて……!」

ゴリランダー「ゴリッ!!」
191 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:46:28.93 ID:045TuTwH0

ヒュンッ

藍子「――!?」

ズドンッ

ザルード「ザル……!」

ドサッ

藍子(いま……ゴリランダーがものすごい速さで動いていたような……?)

藍子「か……勝ったの……?」
192 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:46:58.15 ID:045TuTwH0

ザルード「ザ、ザル、ゥゥ……!」グググ

藍子「そんな、倒しきれなかった……」

ゴリランダー「ッ……」ガクッ

藍子「ゴリランダー!」

ザルード「ザルゥゥゥ!!」

藍子「っ!」
193 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:47:53.93 ID:045TuTwH0

「そこまで!」

藍子「……え?」

ザッザッ

亜季「はっはっは。こっそり観戦させてもらっていましたよ」

藍子「……亜季さん」

亜季「ザルード、ご苦労様でした。ゆっくり傷を癒してくだされ」

ザルード「……ザル」

コォォォォォ

ザルード「ザル」ザッザッザッ
194 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:48:29.24 ID:045TuTwH0

藍子「回復技……使えたんですね」

亜季「ええ。『ジャングルヒール』という技です。が、あえてバトル中は封印してもらっていました」

藍子「封印……? それってどういうことですか?」

亜季「そのままの意味です。昨日のうちに、ザルードと話をつけていたのですよ」

亜季「明日、ダイキノコを取りにトレーナーがやって来る。決して悪意のある者ではないが、全力で相手をしてやってほしい、と」

亜季「藍子殿の実力を鑑みて、ジャングルヒールは使わないでほしいともお願いしておきました」
195 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:49:37.33 ID:045TuTwH0

藍子「ちょ、ちょっと待ってください。それじゃ、あのザルードってポケモンは、亜季さんのポケモンだったんですか?」

亜季「いえ。ザルードは誰の所有物でもありませんよ」

藍子「じゃあ、いったい……?」

亜季「それは道すがら話しましょう。第二のミッションは合格です。ダイキノコをいただきましょうか」

藍子はダイキノコを手に入れた!

…………………………
196 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:50:13.23 ID:045TuTwH0

ザッザッ

亜季「さて、藍子殿はダイキノコがダイマックスと関係があるのかと推測されておりましたよね」

亜季「結論から言えば、たしかに関連があります」

亜季「どうやらこのキノコには、キョダイマックスの素養を後天的に付与する、という特殊な効果があるようなのです」

藍子「!」

亜季「かつてヨロイ島に住んでいた人々が、偶然そのことを発見しました。それ以来、ヨロイ島はダイマックス発祥の地と呼ばれるようになったのです」
197 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:50:51.31 ID:045TuTwH0

亜季「同時に、島の人々はあることを危惧しました。キノコの存在を狙って、乱獲などの環境破壊を企む者が現れるのではないか、と」

亜季「それを防ぐため、森に住むあるポケモンと契りを交わすことにしたのです」

藍子「そのポケモンが、ザルード……」

亜季「ええ。人々はザルードたちの生きる森や周辺の環境をみだりに荒らさないことを、ザルードに誓いました。礼としてザルードは、人間たちの代わりにダイキノコを管理し続けることを誓いました」

亜季「これは『森の同盟』と呼ばれ、人間とポケモンの絆の象徴として語り継がれています」
198 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:51:57.23 ID:045TuTwH0

藍子「この島が豊かな自然にあふれているのは、その同盟のおかげだったんですね」

亜季「……結果として、ヨロイ島は一向に開発が進まず、多くの島民が去ってしまいました」

亜季「それでも人々とザルードとの約束は、今なお連綿と続いているのです」

藍子「……素敵なお話ですね」

亜季「今回は私が特別に、ザルードに直談判をしに行きました」

亜季「こうしてキノコを採取できたのも、森の王者の許可があってこそ。感謝を忘れないでくださいね」

藍子「はい。……ザルード、ありがとう」
199 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:52:28.89 ID:045TuTwH0

ザザザッ

藍子「……!」

亜季「どうかしましたか?」

藍子「……いえ、後ろから視線を感じて」

藍子「たぶん、ダクマです。さっきも私を追ってきていたみたいで」

亜季「……ふむ。藍子殿のことが心配だったんでしょうか」
200 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:53:09.70 ID:045TuTwH0

サルノリ「サルサルー!」ピョンピョン

藍子「あれ、あそこにいるのは……」

亜季「ん? ああ、野生のサルノリですね」

亜季「そういえば藍子殿のゴリランダーは、元からキョダイマックスの素質を持たれていたようですな」

藍子「はい、それがなにか――」

藍子「――!」

亜季「はっはっは。これで当初の疑問は解決しましたか?」

藍子「……はい!」チャキッ

藍子「ゴリランダー……帰って来れてよかったね……!」
201 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/05(土) 19:53:55.45 ID:045TuTwH0
今回はここまでです。また来週
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/05(土) 20:01:16.48 ID:r/4qPLi80
乙 しかしそのヨロイ島産のサルノリを譲ってくれた藍子の親戚って何者だろう?
203 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:06:13.47 ID:TSkqocUZ0


道場

笑美「これがダイキノコ……藍子はん、よう頑張ったなあ!」

藍子「ふふ、ありがとうございます♪」

亜季「では穂乃香殿、よろしく頼みますぞ!」

穂乃香「わかりました! 腕を振るっちゃいますね!」

グツグツグツグツ

藍子「これがダイスープ……?」

亜季「ええ。煮込んでキノコの成分を抽出することで、より効果を高めているのです」
204 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:07:01.20 ID:TSkqocUZ0

笑美「しっかしまたビビッドな色しとるなあ……ほんまに食べれんの、これ?」

亜季「もちろん。私たちが食しても何も起きませんが、味はそこそこのようですよ」

藍子「これを飲めば、マホイップがキョダイマックスできるようになるんですよね……!」

藍子「そういえば、さっき亜季さんはヨロイ島の昔話をされていましたよね。ということはこの島の出身なんですか?」

亜季「いえ、違います。出身はラテラルタウンの方になりますね」

笑美「あ、ちょうどええやん! スープが出来上がるまで、ししょーの昔話、聞かせてーや!」

亜季「わ、私のですか? 己の過去を語るというのはやや気恥ずかしいのですが……」
205 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:07:35.79 ID:TSkqocUZ0

藍子「ぜひ聞いてみたいです! 亜季さんさえよければ、話してくれませんか?」

キラキラ

亜季(う、そのような眩しい目をされたら話すしかなくなるのであります……)

亜季(とはいえ自慢話は柄ではありませんし……)

亜季「そうだ、藍子殿は楓殿とも顔見知りなのですよね。でしたら彼女のお話はいかがでしょう?」

笑美「ん−まあそれでもええけどな。ししょーとチャンピオンの馴れ初め、ウチも気になるし」

亜季「馴れ初めは恋仲の関係にしか使わない言葉ですぞ、笑美殿。藍子殿もそれでよろしいですか?」

藍子「はい、私もすごく興味があります!」
206 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:08:07.82 ID:TSkqocUZ0

笑美「でもししょーも、元はジムチャレンジャーやったんやろ?」

藍子「え、そうなんですか?」

亜季「ええ。数年前の私も、藍子殿と同じく、ジムチャレンジャーとしてガラル中を冒険していました」

亜季「どうやら私の実力はその年でもトップクラスだったようで。様々なメディアから注目され、もしかしたら楓殿も倒してしまうのでないか……という噂も立てられておりました」

笑美「へー、なんかそれはそれで大変そうやなあ」

亜季「世間の期待通り、私は難なくトーナメントを制覇しました。そして楓殿と戦うチャンスを得たのです」

藍子「亜季さん、そんなに強かったんですね。それで、結果は?」
207 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:08:33.90 ID:TSkqocUZ0

亜季「……私は愚かでした。周りの期待と、それに応えてきた自分。両方に煽られ、うぬぼれていたのです」

亜季「その自信を、見事に打ち砕かれました」

藍子「……」

亜季「試合後、私は縁あって楓殿と食事をする機会をいただけました。そこで彼女と親しくなれたのです」

亜季「話を聞いていくうちに、楓殿がいかにチャンピオンたる存在なのかよくわかりましたよ」

亜季「彼女は決して自身のことを『チャンピオンの』楓、とは言わないのですよ」

藍子「そういえば……そうですね」
208 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:09:03.83 ID:TSkqocUZ0

亜季「彼女はあくまでも、自分は一介のポケモントレーナーだと称した。その奢らない、気取らない、謙虚な姿勢こそ、私に足りないものだったのです」

亜季「それ以来、私は目に見える実力だけでなく、精神の強さも探求するようになりました。両方を備えることで初めて、楓殿を超えられるはずだと信じていましたから」

笑美「ははー、ししょーにそんな過去があったんやなあ」

笑美「ん? じゃあ何で今は道場なんかやってるん?」

亜季「……実を言うと、つい先日、その理由を笑美殿に言い当てられてしまったんですよね。はっはっは」

笑美「へ?」
209 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:09:30.29 ID:TSkqocUZ0

亜季「楓殿を超えるのは私じゃなくてもいい。意志を継いでくれた誰かが、代わりに夢を叶えてくれる――それもまた、一つの夢の形であるかもしれないと、いつしかそう思うようになったのです」

亜季「その誰かは門下生の誰かかもしれませんし、笑美殿かもしれません。もちろん、藍子殿であるかも」

藍子「!」

亜季「ああ、重く受け取っていただく必要はありませんよ。藍子殿には藍子殿の意志があってジムチャレンジに臨まれたはずですから!」

笑美「……なんや、冗談のつもりで言うたのに、まさか当たるとは思わんやん」
210 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:10:24.98 ID:TSkqocUZ0

笑美「ま、でもおかげ様で毎日楽しく過ごさせてもろてるわ。ししょー、ありがとな!」

藍子「笑美さんは、どういった経緯でこの道場に?」

笑美「ふっふっふ……それにはふかーいワケがあるんよ」

笑美「あれはそう、暑い夏の出来事やった……」



笑美『やめてーや! ウチのテッポウオやで、返してや!』

チンピラA『るっせえ! ツレの持ってるタマンタを進化させるだけだよ。用事が済んだら返してやらぁ!』
211 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:11:09.54 ID:TSkqocUZ0

笑美『絶対ウソや! 知ってるで。最近この辺で、ポケモンを理不尽に取り上げるトレーナーがおるって――』

チンピラB『ああん!? テメェ、命が惜しくねえみてえだな……』

チンピラC『野郎ども、とりあえず路地裏に連れ込むぞ!』

笑美『ひっ、ひいい……!』

ズドォォン

チンピラD『ギャアア!!??』

??『か弱き女性を寄ってたかって弄ぶなど、言語道断……』

笑美『……!』

亜季『カメックス、地平の彼方までぶっ飛ばしてやるであります!!』
212 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:11:44.41 ID:TSkqocUZ0

笑美「それ以来、ウチはししょーに一生ついていくって決めたんや」

笑美「ウチもししょーのように、誰かを助けられる強いトレーナーになりたい。ううん、ならなあかん。そう思ってな」

藍子「そんなことが……」

笑美「ししょーはウチの人生を変えてくれた、大切な人なんや」

亜季「はて、そんなこともありましたっけ」

笑美「って反応薄っ! いや薄いどころか記憶が曖昧やん!?」
213 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:12:27.67 ID:TSkqocUZ0

亜季「藍子殿、気をつけてくだされ」

笑美「うんうんせやな、不審者には十分注意を――」

亜季「彼女、やたらと話を脚色したがる一面があるので」

笑美「なんでやねん!?」バシィ

藍子「……ふふ、ふふふっ」

藍子「す、すみません、つい面白くて……笑美さん、亜季さんのことが大好きなんですね」

笑美「……藍子はんが笑ってくれとるし、まあええわ。でもこれは事実やからな?」

亜季「話を誇張しがちなところが、ですか?」

笑美「ちゃうわ! てかもうええわ!」
214 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:13:02.38 ID:TSkqocUZ0

笑美「ってウチの話はもうええねん。藍子はんは、なんでジムチャレンジをやろうと思ったんや?」

藍子「わ、私ですか!?」

藍子「私は……そうですね。ポケモンと一緒に旅をすることで、弱気な自分を変えたかったから、というのが、最初の理由でした」

藍子「でも、今は違います。新しい目標ができました」

笑美「目標?」

藍子「昨日亜季さんにも話したんですけど。私には、尊敬するトレーナーがいるんです」
215 : ◆7P/ioTJZG. [saga]:2021/06/13(日) 21:13:32.47 ID:TSkqocUZ0

藍子「その人は右も左もわからなかった私を優しく見守ってくれて、いつも一緒にいてくれました。一緒にジムチャレンジに挑んで、バッジを集めてきました」

藍子「でも、お互いにバッジを集めきってしまった。次に会うときは、ライバルになってしまうんです」

藍子「だからこそ、勝ちたいんです。勝って、私は変われたって、胸を張りたい」

藍子「それが、あの人……凛さんにできる、一番の恩返しだと思うから」

亜季「……美しい絆ですな」

笑美「うんうん。その話聞いて、めっっっちゃ藍子はんのこと、応援したくなったわ」

笑美「藍子はん、頑張ってな! ウチにできることがあったらなんでもするで!」

藍子「笑美さん……ありがとうございます」
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