【ミリマス】矢吹可奈「思いを歌に込めて」

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134 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:32:01.91 ID:vxATPOLO0

―可奈ちゃんはなんでもできてすごいねえ。

いつからだろうか。

―矢吹さん、これもできるなんてすごいわね。

歌うことが嫌いになったのは。

―可奈ちゃんこれもできるの!?すごーい!

褒められることは確かに嬉しかった。

―可奈ちゃんは天才だなあ。

でも、別に褒められなくてもよかった。

――だから矢吹さんは歌以外のことに挑戦してみない?

私は、歌うことが好き。

―可奈ちゃん、絶対にこっちのほうがいいって!

彼女みたいに、ただそれだけでよかったのに。
135 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:32:31.47 ID:vxATPOLO0

いつの間にか、嫌いと思い込んで。好きだったものにふたをして。自分の心の底にしまい込んでしまっていた。そのずっと昔にしまい込んでしまっていたものを、引っ張り出される感覚。
一緒に引っ張り出されてきたのか、可奈の頬につうっと一筋が伸びた。聞くのも野暮かとプロデューサーは考え、そっとミュートにした。

『音符と私が出会うよ♪』

可奈が歌い終わると鳴りやまない歓声が、会場中に響き渡った。
136 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:33:05.50 ID:vxATPOLO0



〜〜♪〜〜♪〜〜



『ありがとうございましたー!』

公演が終わった。たくさんの声援を背に、私たちは舞台袖へと戻っていく。

「プロデューサーさん!」

「おつかれさま。はい」

舞台袖にもどった私は真っ先にプロデューサーさんの元に向かった。プロデューサーさんは予想していたのか、私が近づくなり、すぐに携帯を手渡してくれた。
私の手の中に納まった携帯をごくりと見つめ、意を決して耳に当てる。;
137 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:33:31.22 ID:vxATPOLO0

「……もしもし?」

携帯を耳にあて、恐る恐る話しかける。

『……見てたわ』

「あっ!見てくれてたんだ!よかったあ……」

『アンタが見ててくれって言ったんでしょ』

奥のほうで、未来ちゃんが「あれ?可奈、誰と話してるの?」って言ってるのをプロデューサーが「あとでな」ってなだめて控室に連れて行ってるのが見えた。
138 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:35:03.08 ID:vxATPOLO0

『……ごめんなさい。あの時、酷いこと言って』

「い、いいよいいよ!全然気にしてないから」

『まだアンタみたいにはいかないかもしれないけど、私ももう一回頑張ってみる。そう思えた。だから……ありがとう、私』

「……うん!」

その言葉に、少し涙ぐんでしまった。
139 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:37:25.96 ID:vxATPOLO0
そして、お別れは唐突にやってきた。


『……そろそろお別れみたいね』

「えっ?」

『もう、バッテリーがないのよ』

「あっ本当だ」

そういえば、この携帯を拾ってから充電したことがなかったけ、どむしろなんで今まで大丈夫だったんだろう。

『私のおかげで私が立ち直れたから、もう終わりの時間ってことなのかしらね』

「そうなんだ……。じゃあ、これが本当に」

『……ええ。本当にサヨナラよ』

「そっか。なんだか寂しいね……」

本当はもっとお話したかった。まだまだ話せてないことやできてないことがたくさんあった。あれも、これも、ということがいーっぱいある。
まだまだ足りないことだらけで、ここでオシマイって言われてもなかなか理解しきれていないところもある。
140 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:38:00.50 ID:vxATPOLO0

『……そろそろお別れみたいね』

「えっ?」

『もう、バッテリーがないのよ』

「あっ本当だ」

そういえば、この携帯を拾ってから充電したことがなかったけ、どむしろなんで今まで大丈夫だったんだろう。

『私のおかげで私が立ち直れたから、もう終わりの時間ってことなのかしらね』

「そうなんだ……。じゃあ、これが本当に」

『……ええ。本当にサヨナラよ』

「そっか。なんだか寂しいね……」

本当はもっとお話したかった。まだまだ話せてないことやできてないことがたくさんあった。あれも、これも、ということがいーっぱいある。
まだまだ足りないことだらけで、ここでオシマイって言われてもなかなか理解しきれていないところもある。
141 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:38:30.07 ID:vxATPOLO0

「私、もっといっぱいお話とかしたかったな」

『ええ、私も。でも、これで本当にお別れ。ありがとう、私ももう一回、頑張ってみる』

「うん!またいつか!絶対に会おうね!」

『ええ。それじゃあ。……ありがとう』

そこで、通話は完全に終わった。
終わったのと同時に携帯のバッテリーが切れたのか、画面が真っ暗になってそれ以降点くことはなかった。
142 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:39:01.18 ID:vxATPOLO0

「終わったか?」

ちょうどタイミングを見計らったかのようにプロデューサーさんが舞台袖に戻ってきた。

「彼女、なんて言ってた?」

「ありがとう。って言われました。私のおかげで立ち直れたって」

「そうか。よかったな」

「プロデューサーさん。私ちゃんとやれてましたか……?ユキちゃんにしっかり届いてたと思いますか……?」

「ああ。彼女にもしっかりと可奈の思いは伝わってたと思うぞ。がんばったな」

そういうと、プロデューサーさんはまたゴツゴツとした大きな手で、私の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。やっぱり安心する。
143 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:44:02.08 ID:vxATPOLO0

「えへ♪私、もっともーっと頑張ります!もっといっぱい練習して、世界中の人に私の歌を届けたいです!

私が語った大きな夢にプロデューサーさんはニッコリと笑った。

「よし、そのいきだ。ほら、まずは風邪ひくから早く着替えてこい。未来たちも待ってるぞ」

「はい!わかりました!」

そうして、私は控室の方へ駆けて行った。




「……そうだな。俺も片づけが終わったら走りに行ってみるか」
144 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:44:29.45 ID:vxATPOLO0



〜〜♪〜〜♪〜〜



「矢吹さん」

「うん?なあに?」

「この前のことなんだけど……」

「……ごめんなさい。やっぱり私、今はアイドルに専念したいから」
145 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:45:01.42 ID:vxATPOLO0
…そういうと思った」

「ずっと待ってもらってたのに、ごめんね……?」

「ううん。覚悟はしてたから。……ごめんなさい、あの時酷いこと言って」

「ぜ、全然そんな!だって本当のことだから……」

「でも私、あの時初めて可奈ちゃんの歌を聞いて、好きになった。だから、応援してる」

「……!うん、ありがとう!」

そこで、今日はレッスンだからって言って部長さんとパート長さんと別れた。
校舎から出ると、外はあいにくの雨。傘を広げて歩き出す。
146 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:45:27.66 ID:vxATPOLO0

あれから、ユキちゃん……じゃなかった、向こうの世界の私とお話しすることはできなかった。あのライブのあとの通話を切ってからそれ以降、完全にバッテリーが無くなったのか何をしても電源はつかないし、充電もできなかった。そして、気が付くとあの携帯自体が消えていた。まるで、最初から何もなかったかのように。

もしかしたら夢だったのかもしれない。けど、あっちの私と交わしたものは忘れられない思い出になって今も私の中に残り続けている。

あっちの私は今頃どうしているのかな。結局、あっちの私は一緒に歌おうねって約束していたのに、最後まで一緒に歌うことはできなかった。けど、前を向いて歌ってくれているといいな。
147 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:45:55.95 ID:vxATPOLO0

「あ、カタツムリさん!」

帰り道の途中、雨だからかカタツムリさんが道端の草むらに顔を出していた。ちょっと立ち止まってしゃがみ

込んでみる。

「でんでん〜♪むしむし〜♪可奈を無視〜♪って無視してない!?やったあ!」

カタツムリさんありがとう!って言ってその場を後にする。
148 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:48:21.05 ID:vxATPOLO0

『新曲ですか?』

『ああ、それもだな―』

あの公演の後、見に来ていた作曲家さんが私のことを気に入ってくれたって言って曲を作ってくれた。しかも、歌詞は私に書いてほしいって!
「可奈ちゃんの好きなように考えてほしい」って言われてたけど、ちゃんとした歌詞を書くなんて初めてだからうんうんと悩んでたんだけど、今のこの気持ちを歌詞にすればいいんだ!
149 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:49:30.48 ID:vxATPOLO0

あの公演の後、見に来ていた作曲家さんが私のことを気に入ってくれたって言って曲を作ってくれた。しかも、歌詞は私に書いてほしいって!
「可奈ちゃんの好きなように考えてほしい」って言われてたけど、ちゃんとした歌詞を書くなんて初めてだからうんうんと悩んでたんだけど、今のこの気持ちを歌詞にすればいいんだ!

「あめのな〜か〜♪」

頭の中に思い浮かんだ歌詞をさっきのフレーズに合わせて口ずさむ。どんよりとした雨のなかでも一緒に歌ってしまいたくなるような、そして晴れ上がったころには心も晴れ晴れしているような、そんな歌。

ねえ、今そっちはどうしているのかな?合唱コンクールはどうなったのかな?もう、そっちのことを知る方法はないけど、もし今、一緒に歌ってくれていたらいいな。
150 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:49:58.29 ID:vxATPOLO0


「―頑張ってね、ユキちゃん」


次々に湧き上がる歌詞をくちずさみながら、帰り道を進んだ。
151 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/01(木) 23:50:25.44 ID:vxATPOLO0



〜〜♪〜〜♪〜〜



「ふんふんふん〜うたおー♪」

「え?今の歌?わからない、なんとなく頭に浮かんできたの」

「よかった?ふふっ。ありがとう!」
152 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/02(金) 00:20:42.46 ID:HNsRzXV+0
終わりです。
やっぱり可奈ちゃんの歌が好きです
お目汚し失礼しました。
153 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2021/07/02(金) 00:24:50.73 ID:IBWuu2WL0
声聞いたことあるときて誰かな思ったがそういう事か。気づかんかった....
乙です

矢吹可奈(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/NGaX5OL.png
http://i.imgur.com/kB9imcc.png
http://i.imgur.com/b2FNm4V.png
http://i.imgur.com/iQbxTk2.png
http://i.imgur.com/vEwpftW.png
http://i.imgur.com/ak5lrPM.png
http://i.imgur.com/zTIWK0N.png
http://i.imgur.com/h2JBqtG.png
http://i.imgur.com/9sYhmVy.jpg
http://i.imgur.com/LZIBHiX.jpg
http://i.imgur.com/Nv3qYyi.jpg
http://i.imgur.com/DCHPo4q.png
http://i.imgur.com/V2e307c.png
http://i.imgur.com/qwPPZmc.png
http://i.imgur.com/sasbC3I.png

>>5
春日未来(14) Vo/Pr
http://i.imgur.com/vahU53m.jpg
http://i.imgur.com/Muafx9w.jpg

>>6
北沢志保(14) Vi/Fa
http://i.imgur.com/gVLQiiV.png
http://i.imgur.com/4s2FnME.jpg

>>53
高坂海美(16) Da/Pr
https://i.imgur.com/V0WHHVd.png
https://i.imgur.com/rLk3e5O.jpg

高山紗代子(17) Vo/Pr
http://i.imgur.com/LoRteOS.jpg
http://i.imgur.com/BXCpqFF.jpg

>>128
「オリジナル声になって」
http://www.youtube.com/watch?v=XGCS8UBJe8I

>>133
「おまじない」
http://www.youtube.com/watch?v=QtKJ1W3R2Z8

>>149
「あめにうたおう♪」
http://www.youtube.com/watch?v=KabTHBernx8
154 : ◆OtiAGlay2E [sage]:2021/07/02(金) 01:38:01.62 ID:HNsRzXV+0
>>148
いまさらながらミスってたので訂正です


「ふんふんふんふん〜ふん♪」

うん。今日はとっても調子がいい。雨は相変わらず降ってるけど、心はとっても晴れやかで、こんな雨なんかも歌で吹き飛ばしてしまえそうで、思わず今度の新曲のフレーズを口ずさんでしまう。……そうだ!

『新曲ですか?』

『ああ、それもだな―』

あの公演の後、見に来ていた作曲家さんが私のことを気に入ってくれたって言って曲を作ってくれた。しかも、歌詞は私に書いてほしいって!
「可奈ちゃんの好きなように考えてほしい」って言われてたけど、ちゃんとした歌詞を書くなんて初めてだからうんうんと悩んでたんだけど、今のこの気持ちを歌詞にすればいいんだ!
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/08/16(火) 01:12:55.28 ID:DKWDypbu0
スパイクタンパク単体で心臓やその他臓器に悪影響を及ぼすことがわかっています

何故一旦停止しないのですか

何故CDCが接種による若い人の心筋炎を認めているのに情報発信がないのですか
20代はたった1ヶ月で接種後死亡がコロナ死と同等になってます
因果関係の調査は?
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