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【艦これ】龍驤「足りないもの、その後」その10【安価】

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251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 19:48:49.06 ID:YpMuGLkL0
幹部「説明が終わった所で本題に入ろう。彼に何があったんだい?」


多摩『……実は多摩がこの鎮守府の提督になる話は外部の人間にも言ってたんだにゃ』


幹部「普通ならよくないことだが、足りないもの鎮守府は地域と密着している。プラスに働くことが多いだろうから咎めたりしないよ」


多摩『幹部さんの言う通りだにゃ。権力者さんに報告したら多摩が提督になるなら歓迎するし協力も惜しまないとまで言ってくれたんだにゃ』


幹部「素晴らしいね」


多摩『でもその時、多摩の指輪を見られたんだにゃ。菊月提督にも指輪があって二人は夫婦なのかと言われたんだにゃ』


多摩『勿論違うってすぐに言ったにゃ。多摩はお医者さんと結婚してて菊月提督は……って言いかけた時に深海海月姫が現れたんだにゃ』


幹部「……それで?」


多摩『海月姫が菊月提督の嫁で子どもが居て…って話をして、菊月提督がそれを認めたんだにゃ』


幹部「なるほど……それを知った菊月君が菊月提督君を…ということかい」


多摩『超絶喧嘩中でえらいことになってるにゃ。問題は暫く解決しそうに無いかもにゃ〜』


下2 この後の展開やその他起こったことなど
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 19:59:54.22 ID:QAlvm9FDO
夫婦の問題はさすがに僕にもどうにも出来ないね…
早く仲直り出来るといいが…と幹部
そして天鎮守府から報告が上がる
天提督が身心の不調
何かを約束していてそれを破られた怒りと悲しみ
それすらどうでもよくなる程の強い喪失感
何を失ったのか
心に大きな穴が開いているのだけは解る
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 20:00:48.94 ID:WCFZRfrlO
菊月さん、海月姫もお嫁さんだし子供がいることは事実で認めてるし自分を愛してくれてるのも分かってる
でも公言しちゃったら菊月の方が内緒の関係になっちゃう
そこのデリカシーのなさにご立腹
だから今回ばかりは何故か海月姫が愚痴を聞いてる
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 20:09:59.06 ID:YpMuGLkL0
ーー


菊月「海月姫も嫁だ……子どもがいることも事実だが……自分を……愛してくれてるのも……分かってる……」


菊月「だが……権力者の前で司令官が……公言すれば……私との関係が……」


深海海月姫「浮気ってことになるわねぇ」


菊月「……ふぐぅぅぅぅ…!!」


深海海月姫「ちょっとデリカシーが無かったわよねぇ」


菊月「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」


深海海月姫「貴女とはライバルでもあるけど…これは流石に放っておけないわねぇ」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 20:18:20.66 ID:YpMuGLkL0
深海海月姫「大事な人だとか言いようはいくらでもあったわよねぇ。嫁だって言い切る必要はなかったわぁ」


菊月「ひっく……あぁぁぁぁぁぁ……」


深海海月姫「あの人はきっと良い言い訳が思い付かなったのよ。下手なことを言って印象を悪くしたくなかっただけ」


深海海月姫「貴女のことも愛しているはずよ、そんなに泣かなくても…」


菊月「嫌だ…いやぁぁぁぁぁぁ…………」


深海海月姫「こんなになってる菊月なんて初めて見たわね…よっぽとショックだったのねぇ」


深海海月姫「放っておいてもいいんだけど、やっぱり無視はできないわぁ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 20:25:27.05 ID:QAlvm9FDO
しかし菊月提督
平然と嫁が二人居ると公言
なにか問題でも?
批判もどこ吹く風で図太さを見せるイケメン
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 20:49:48.02 ID:3D4bKCYQo
昨日の今日で地元権力者さんの元へ話しに行く菊月提督
記憶を失っていた自分を支え愛してくれた深海海月姫
自分を愛して信じて探し続けてくれた菊月
どちらも大切な妻だとド真面目に伝える

そうすると式は上げたのかって聞かれた後、仲人になるから奥さん達安心させてやれって
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 21:02:24.95 ID:YpMuGLkL0
ーー


権力者「話そびれた事とは何かな?」


菊月提督「俺は提督になる前、記憶を失っていたんだ」


権力者「ふむ」


菊月提督「その時に自分を支え、愛してくれたのが深海海月姫なんだ」


権力者「昨日紹介してくれた奥さんだね」


菊月提督「俺を愛してくれて、愛している女は二人居るんだ」


権力者「浮気か…もしくは深海棲艦は奥さんに含まないという方針なのかな?」


菊月提督「自分を愛して信じて探し続けてくれたのは菊月という駆逐艦で、どちらも大切な妻だ」


権力者「随分と大胆なことを言うんだね」


菊月提督「嘘を言いたくなかった。誤魔化すのも苦手だからこれしか選択肢は無かったんだ」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 21:07:29.94 ID:YpMuGLkL0
権力者「その真っ直ぐさは提督君を思い出す…彼は元気にしているんだよね?」


菊月提督「そのようだ。また後日テレビに出てくるだろう」


権力者「それは嬉しい報せだ。ところで二人の奥さんとは式は挙げたりしたのかい?」


菊月提督「式……考えたことも無かった」


権力者「なら奥さん達を安心させてやりなさい。それがこれからも支援を続ける条件にしましょう」


菊月提督「わかった、近日中に必ず式を開く」


権力者「仲人で困っているならこちらがやろう。式場も抑えることもできる」


菊月提督「なら協力を頼もう。少しでも早い方がこちらとしても良い」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 21:14:10.40 ID:sqo9qWwHo
菊月提督、菊月の元へ
もう一度プロポーズを
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 21:30:18.12 ID:WCFZRfrlO
>>260
権力者さんに説明をした事や結婚式を上げようって事も話す
菊月と一緒にいた海月姫が焼いちゃうけど良かったわねって言ってたら3人の式だって言う菊月提督
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 21:37:41.39 ID:YpMuGLkL0
ーー足りないもの鎮守府


菊月提督「扉を開けてくれないか」


菊月『…』


菊月提督「聞いてくれているならそのままでもいい。まずは初めに謝らせてくれ」


菊月『……謝罪はいらない。あの言動は鎮守府のことを思ってだろう』


菊月提督「確かにそうだ。だがさっき権力者の所に行って来て菊月のことを話してきた」


菊月『どうしてそんなこと……』


菊月提督「お前のことを愛しているからだ」


菊月『そう……か』


菊月提督「菊月への気持ちは片腕が無かった頃から変わらない。あの世界では無くなってしまっても菊月は変わらなかった」


菊月提督「それどころか俺を探してまでくれた。そんな大切な人を蔑ろにはできなかったんだ」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 21:42:30.13 ID:YpMuGLkL0
菊月提督「菊月、結婚式を挙げよう。気持ちは伝えてあるがそれを行動に移していなかったな」


ガチャッ


菊月「…」


深海海月姫「素敵な台詞ね。私とは子どもがいるけどそれでもやっぱり焼いちゃうわ」


菊月提督「海月姫も一緒だったか。言っておくが式は三人でやるからな」


深海海月姫「本当に?」


菊月提督「二人への気持ちに偽りがない事を証明する。式も抑えてくれてるそうだ」


深海海月姫「良かったじゃない…ふふふ、これでちゃんとライバルでいれそうね?」


菊月「…うるさい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 21:49:03.63 ID:3D4bKCYQo
立場も分かってるので内々の式を準備してくれる権力者さん
でもハリボテなんかじゃないしっかりした本物の式
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 22:27:19.19 ID:sqo9qWwHo
>>264
ウェディングドレスの採寸もしっかりと
恥ずかしいやらで落ち着きがない菊月をたしなめる海月姫、こちらはどっしり構えてる
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 22:32:07.91 ID:YpMuGLkL0
ーー


ガングート「おい孫から聞いたぞ、一体何が起こるんだ?」


多摩「菊月提督と菊月と深海海月姫の結婚式だにゃ」


ガングート「馬鹿な」


多摩「残念ながら本当だにゃ。今ちょうどドレスの採寸をしてるらしいにゃ」


ガングート「なぜこのタイミングなんだ、最後の思い出作りということか?」


多摩「結果的にそうなってしまったにゃ。因みに協力者は権力者さんにゃよ」


ガングート「む…権力者絡みなら文句は言えないな」


多摩「おみゃーも世話になってるからにゃあ」


ガングート「また今度子どもの顔を見せに行ってやるか」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 22:35:17.29 ID:YpMuGLkL0
ーー工廠


北上「ほらじっとしてなって〜」


菊月「ん…」


深海海月姫「落ち着きがないわねぇ」


深海夕張「菊月さんも乙女なんですよ。ウェディングドレスの採寸なんて一回切りですから」


深海海月姫「あら?もしかしたら複数回あるかもしれないわよぉ?」


深海夕張「それは笑えませんよ……」


菊月「ドレス…この私が……結婚式で着るドレスを…」


北上「んもぉ〜測りにくいってぇ〜」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 22:38:55.70 ID:2qLlGMHpo
海月姫のも用意しようとすると自前のがあるからと言われる
そういえば伴侶に捧げる姿というのがあるんだっけという話に
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 22:46:35.01 ID:3D4bKCYQo
>>268
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 23:01:50.06 ID:sZRj193lO
深海夕張「さ、海月姫さんも菊月さんを見てばっかりいないで採寸しますよ」


深海海月姫「私は自前のがあるからいいわぁ」


深海夕張「…え?」


北上「あ〜潜水新棲姫が言ってたやつだ。ヴェールがどうこうとか」


深海海月姫「簡単に言えば伴侶に捧げる姿があるのよぉ」


深海夕張「びっくりしました…自分で作ったのかと思ったじゃないですか」


深海海月姫「うふふふふ」


北上「でもさ、あれって相手に食べられるのが前提じゃなかったっけ?」


深海海月姫「その通りねぇ」


深海夕張「菊月提督が海月姫さんを食べる…?」


深海海月姫「表現としてはなにも間違ってないわぁ」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 23:05:53.41 ID:sZRj193lO
北上「あれでしょ?菊月提督に美味しく頂かれちゃう〜とか」


深海夕張「あ……もう!なんなんですか!」


深海海月姫「そっちの意味もあるけどぉ、本当に食べてもらうつもりなのよぉ」


北上「ガチ?」


深海海月姫「食べられると言っても、あの人は深海棲艦じゃないから全身を食べることはできないわぁ」


深海海月姫「でも体の一部分とか…内臓の一部なら大丈夫よねぇ」


北上「うわぁ…でもそれが深海棲艦の普通なんだもんね〜」


深海海月姫「これは私達にとって最も美しく、誇りのある儀式なのよぉ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 23:22:30.20 ID:sqo9qWwHo
深海夕張「と、いった事があったんですが菊月提督さん覚悟完了してます?」
菊月提督「…………髪とかでもいいのだろうか…」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 23:26:42.56 ID:QAlvm9FDO
また対抗心を燃やす菊月
私が司令官に捧げられるものは…
もちろん私自身は既に捧げたが…
深海棲艦とは違う艦娘としての神聖なもの…
という事を考えてる顔ねぇ…と海月姫
その後>>272
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 23:30:33.95 ID:YpMuGLkL0
菊月「私が司令官に捧げられるものはなんだ……」


北上「種族が違うんだから張り合っても仕方ないじゃん」


菊月「もちろん私自身は既に捧げたが…それでも何かあるはずだ…」


北上「ダメだこりゃ」


深海海月姫「菊月は深海棲艦とは違った、艦娘としての神聖なものがないか考えてるのよぉ」


北上「無いでしょ」


深海海月姫「そうよねぇ、艦娘は作られた存在なんだからそんなものは無くて当然なのよぉ」


北上「考えるのは自由なんだし、放っておこっか」


深海夕張「……」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/18(日) 23:35:05.14 ID:YpMuGLkL0
ーー執務室


深海夕張「……ということを海月姫さんが言ってたんですが」


多摩「覚悟はできてるのかにゃ?」


菊月提督「……髪でもいいのか」


多摩「いいと思うのかにゃ?」


菊月提督「……なにも聞いていないぞ」


深海夕張「言わなくても分かってくれるって思ったんじゃないですか?」


多摩「かなりハードなのを想像しとかないといけないにゃ。本来なら死ぬ儀式だから片目くらい平気で差し出すと思うにゃ」


深海夕張「目で済みますか?腎臓とか内臓でくるかもしれませんよ」


菊月提督「…教えてくれて感謝する。当日までに覚悟を決めておこう」


多摩「教えてくれた夕張には特別賞だにゃ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 23:38:22.79 ID:2qLlGMHpo
むしろハードにならなそうなのを先にリクエストしておいて、抑えた方がいいのではと
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 00:08:56.82 ID:MAP7pCB3O
>>276
海月姫も菊月提督の負担にならない様にと考えて出した結論が血液。耳たぶを噛んで受けもらうつもり。
血液は全身を循環しているので僅かな量でも自分を受け取ってもらえる。
張り合ってくるであろう大事なライバル菊月と共に。
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 00:16:32.02 ID:IAvhsDFk0
ーー


菊月提督「儀式の話を聞いた。お前たちの文化ならそれを否定することはしない。だが…食べる部位は選ばせてくれ」


深海海月姫「そう……自分で差し出すつもりだったけど、アナタが選んでくれるならそれでもいいわ」


菊月提督「……何を差し出すつもりだった?」


深海海月姫「子宮よ。今の私にとってこれ以上捧げられるものは無かったのよぉ」


菊月提督「……」


深海海月姫「あら、顔色が……?」


菊月提督「妻の内臓を…子宮を食べろと言われて……取り乱さない奴はいない……」


深海海月姫「あら…ごめんなさい……そんなつもりは無かったのよぉ」
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 00:22:05.81 ID:IAvhsDFk0
菊月提督「できればお前には傷付いて欲しくない。内臓や指、腕なんかも止めてくれ」


深海海月姫「じゃあ…………うーん…」


菊月「血では無理なのか」


深海海月姫「あら菊月……そうね、血液なら問題無いと思うわぁ」


菊月提督「本当か?」


深海海月姫「全身を循環してるから、体の一部分に間違い無い。自分を受け取ってもらえるわねぇ」


菊月提督「わかった、それなら問題ないな」


菊月「司令官、私の血も飲んでくれ」


菊月提督「…菊月はそれでいいんだな」


菊月「私にも何かあるかと探した結果がこれだった。コイツと同じことをするなら納得もできる」


深海海月姫「私達の契りってことになるじゃない、いいと思うわよぉ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 00:30:28.15 ID:2GTvSBRDO
さすがにそのままではという事でワインに注いで飲む
少し考えて菊月提督
お前達も飲め
と指先を切ってグラスに血を注ぐ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 00:38:52.51 ID:IAvhsDFk0
ーー


深海海月姫「なにも今日じゃなくて良かったのよぉ?」


菊月提督「予行演習だ」


菊月「注射器は無いから指を切って血を流すぞ」


菊月提督「丁度もらったワインがある、それに混ぜて飲む」


深海海月姫「……はい」


菊月「これには私達の血が入っている。司令官の中に私達を入れてくれ」


菊月提督「……菊月、もう二つグラスを出してくれないか」


菊月「分かった、少し待っていてくれ」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 00:44:53.43 ID:IAvhsDFk0
深海海月姫「私達も飲むの?」


菊月提督「ああ、俺の血が入ったものを飲んでくれ」


菊月「司令官の……」


菊月提督「…準備はできた。それじゃあ同時に飲むぞ」


深海海月姫「……味は普通ねぇ」


菊月「少しだけだからこんなものだろう」


菊月提督「式の時はもう少し血を多くしてもいい。それを清められた酒に混ぜて飲む」


深海海月姫「どれくらいの血でヴェールが出るか分からないから、それなりの量を飲むかもしれないわよぉ?」


菊月提督「構わない。全て飲み干す」


菊月「私はあらかじめ血を抜いておく必要があるな。コイツとは体型が違い過ぎるから、同じ量の血を抜けない可能性がある」


菊月提督「二人と挙げる式がこの鎮守府での最後の大仕事になりそうだな」


ーー
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 00:45:20.21 ID:IAvhsDFk0
今日はここまでです
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 00:51:56.05 ID:Aqaf5DX1o
おつです
深海棲艦との種族の違いにフォーカス当たる話すきすき
前主人公としてもとてもよいキャラですわ菊月提督
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 01:14:41.58 ID:ugnYv0dSo
おつでした
この三人の関係も好きだなぁ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 19:15:38.54 ID:IAvhsDFk0
ーー


龍驤「霞のときはもうお腹大きくなってきてたんよな」


霞「現代艦娘は成長が早かったからよ。龍驤さんは普通の人間の子どもを妊娠したのかもしれないでしょ」


龍驤「胸が張ったりせぇへんしお乳も出てけぇへんねん」


霞「個人差があるわよ。雲龍なんか妊娠してないのに母乳が出てたじゃない」


龍驤「中で赤ちゃん…死んでるんと違うんかなぁ」


霞「それは龍驤さんの思い込みよ。いきなり赤ちゃんの心音なんて聞こえないわよ」


龍驤「もしそうやとしたら司令官に申し訳ないなぁ…」


霞「龍驤さんは医者でもなんでも無いでしょ?そんなに気になるなら病院に連れて行ってあげるわよ」


龍驤「嫌や……もしほんまに死んどったら…正気じゃいられへん…」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 19:19:03.26 ID:IAvhsDFk0
霞「もう、遅かれ早かれ病院には行くんだから覚悟しときなさいよ!」


龍驤「ほんなら…せめて司令官と……」


霞「あの人は新しい組織と引き継ぎで忙しいから無理なの」


龍驤「司令官……」


霞「下手に暴れると本当に死んじゃうわよ?分かったら大人しくしてて」


龍驤「……」


霞「妊娠中は気分が浮き沈みするってやつね。私は変な方向に振り切ってたけど、龍驤さんみたいなのが本当かもしれないわね」


霞「司令官は忙しいし、病院には私が連れて行くしか無さそうね」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 19:23:34.29 ID:2GTvSBRDO
詳しく検査したところどうやら人間らしいという結果が
艦娘ならもう形にはなっているはずだと
今のところ経過は順調
しかし艦娘よりも更に人間の胎児は弱い
なるべく安静にしてくださいと
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 19:39:25.42 ID:kvpVwKqUO
>>288
経過が順調なのはちゃんと対応できてるから
安定期になるまでもうこの調子でもう少し頑張ってくださいってお墨付き
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 19:44:09.87 ID:IAvhsDFk0
ーー病院


「詳しく検査したところ、お腹の中にいるのはどうやら人間のようです」


龍驤「そうですか…」


「艦娘ならもう形にはなっているはずなんです。それが無いということはほぼ人間で間違いありません」


龍驤「……」


「今のところ経過は順調ですよ。ですが艦娘よりも人間の胎児は弱い存在です。できるだけ安静にしてください」


龍驤「はい……」


「初めての妊娠は難しいことも多いでしょう。しかしちゃんと対応できているようですね」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 19:48:58.77 ID:IAvhsDFk0
「この義足は驚きました。これは市販されているものではありませんよね?」


龍驤「はい……」


「専門家ではありませんが歩いている様子を見ていると殆ど揺れがありません。身体への負担も普通に歩くのと変わらないはずです」


「安定期になるまでこの調子です、もう少し頑張ってください」


龍驤「……」


(子どもは順調なのに艦娘さんの調子が悪そうですね。幹部さんは必要によってはデータも集めていいと言っていましたが、それどころじゃ無さそうですね)


下2 この後の展開やその他起こったことなど
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 19:55:19.20 ID:2GTvSBRDO
何か心配事でもおありですか?
身内には相談しづらい事もあるでしょう
私で良ければ話してみませんか?
もちろん守秘義務があるのでここだけの話ですよ
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 20:12:51.45 ID:ugnYv0dSo
>>292
周囲と経過が違ったから不安になってた龍驤
人間の子供だけというのも初なのでまた不安
そんな龍驤へ心に秘めずどんどん周囲に伝えて相談してくださいとアドバイス
こうやって本当に悩んで苦しんでいるのだから周りは必ず答えてくれます
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 20:20:58.88 ID:IAvhsDFk0
「龍驤さん何か心配事でもおありですか?」


龍驤「いや…」


「身内には相談しづらい事もあるでしょう、私で良ければ話してみませんか?もちろんここだけの話にしますよ」


龍驤「子ども……死んでないんやんな」


「そんなことありませんよ!」


龍驤「霞が……ウチと同じ頃にはもうお腹大きくなってたんよ…」


「人間の子どもならこんなものです、すぐにお腹が大きくなったりなんかしないんです」


「そうですか、貴女は不安になっていたんですね。周りの艦娘さんと経過が違っているとそう思うのは不思議じゃありません」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 20:27:40.93 ID:IAvhsDFk0
龍驤「人間の子どもって……どないしたらええんよ…」


「その気持ちを心に秘めずどんどん周囲に伝えて相談してください」


龍驤「迷惑やんか…」


「そんなことありません。本当に悩んで苦しんでいる時は誰かを頼るのが正解なんです」


龍驤(ウチのことなんも知らんくせに」


「…カウンセリングに通われていましたよね。そちらの方にも行かれた方がいいと思いますよ」


龍驤「……」


「妊娠も出産も一人では出来ません。周りの力を借りることが大切なんですよ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 20:43:19.32 ID:ugnYv0dSo
診察室を出ると早速霞が無事で良かったって安心した顔
迷惑になるなんて考えとは裏腹にお腹の子のこともガンちゃんに相談した方がいいわねって色々考えてくれる
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 21:12:52.13 ID:Aqaf5DX1o
>>296
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 21:33:40.92 ID:IAvhsDFk0
ーー


霞「無事で良かったわ龍驤さん」


龍驤「……」


霞「人間の子どもならガングートに相談した方がいいわね。出産は特殊だったみたいだけど参考にはなるはずよ」


霞「あと司令官には報告済みだから。人間の子どもだって言ってたら喜んでたわよ」


龍驤「…そう」


霞「このまま帰るわよね?すぐにタクシーを呼ぶから待ってて」


龍驤「ううん…ちょっち行くところある」


霞「ならそこに行きましょう、一人で行かせられるわけないのは分かるわよね?」


龍驤「ええよ一人で…カウンセリングやし……」


霞「ならこうしましょう、龍驤さんを病院まで連れて行ったあと私は帰るわ。司令官に連絡しておくから迎えに行ってもらうの」


龍驤「忙しいからええって…」


霞「いいわけないでしょ。いつもの病院でしょ?すぐに向かうわよ!」
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 21:38:00.19 ID:IAvhsDFk0
ーー


「お久しぶりですね。最近は調子が良かったようで安心してたんです」


龍驤「……」


「話は聞かせてもらいました、おめでたなんて良いじゃないですか」


龍驤「……」


「龍驤さん前向きにいきましょう。不安なことばかり考えていると良くないですよ」


龍驤「……」


「龍驤さんが望むならベッドは空いています。ゆっくり寝ることも選択肢に入れて下さい」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 22:03:55.65 ID:Aqaf5DX1o
ベッドに入るもなかなか眠れない
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 22:17:36.42 ID:2GTvSBRDO
カウンセラーと話す霞
妊娠中の不安定だとは思うんだけど龍驤さんの事をお願いしますと霞
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 22:22:35.80 ID:IAvhsDFk0
ーー


「では数日間こちらで様子を見ておきます」


霞「妊娠中だから不安定になってるだけだと思うけど、念を入れて損はないものね」


「一人にすることは望ましく無いんですが、一度鎮守府から離れることが必要じゃないかと考えてのことです」


霞「この病院はヤブじゃないのは知ってるから文句を言ったりなんかしないわ。龍驤さんを任せるから」


「ええ、彼女は必ず良くなります」
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 22:25:30.42 ID:IAvhsDFk0
ーー


龍驤「……」


龍驤「あかん…」


龍驤「覚悟してたはずや…ウチみたいに精神に不安がある艦娘が妊娠なんて…」


龍驤「でも思ってる倍以上辛い……」


龍驤「霞はこれを乗り越えたんか…流石はお母さんになれるだけあるわ…」


龍驤「ウチ……負けそうや…」


龍驤「……」


龍驤「夜……明けへんなぁ……」


龍驤「ずっと夜なんと違うんかな……気のせいやないと思う……」


龍驤「……」


龍驤「この子は産みたい……ウチは頑張らなあかんねん…」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 22:55:12.31 ID:1j/5/K2eO
起きてるのか寝てるのか良くわからない真っ暗な静寂の中、暖かな小さな光が龍驤に射し込む
光は段々増えて束なって眩いばかりになると目が覚めて翌朝
不安でいっぱいだったはずの胸の内は暖かくて安心感が広がってる

あの最初の小さな光、この子やろか?皆がおるって元気づけられてしもたかな
この子もおってみんなもおるのに不安になる事なんてなかったんよ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 22:55:32.56 ID:x18n/TaDo
夜夢を見る龍驤
列車の席に座っている
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 23:10:43.71 ID:IAvhsDFk0
ーーーー


ガタンゴトン


龍驤「……夢か」


龍驤「夢と自覚してるものほど虚しいもんは無いな」


龍驤「……」


龍驤「電車の中にはウチしかおらんのか」


ガタンゴトン


龍驤「それにしても遅いな…各駅停車の電車なんか?」


龍驤「夢やから醒めるのを待つしかないか…」
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/19(月) 23:14:33.56 ID:IAvhsDFk0
ガタンゴトンガタンゴトン


龍驤「お、スピード上がったんか?って言うても快速レベルやね。各駅停車の区間が終わったんか」


龍驤「……何やあれ」


龍驤「よぉ見たら誰かおる……しかも…あれは…」


「……」


龍驤「ウチや……」


龍驤「手足のある頃の……ウチで…足りないもの鎮守府に飛ばされる前の…」


龍驤「ウチは何を見させられてるんや…?夢にしては残酷過ぎる……」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 23:44:27.48 ID:2GTvSBRDO
手足のある龍驤がこちらを見た
吐き気がする濁った目
あんな目をしとったんやな昔のウチは…
餓鬼なんて面倒やろ?
ウチが殺したろか?
そいつはそう言った
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/19(月) 23:49:06.78 ID:ugnYv0dSo
>>308
せやからギュッと握った、隣におる子の手を
絶対にこの子は、ウチの子は守り通す
そして、この夢の中とはいえのあの子も!
艦載機を発艦させ電車を破壊して止める龍驤
母となって深層心理にある牢獄だったこの電車とホームを打ち破った
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 00:01:03.64 ID:aRyXHqxL0
「……」


龍驤「ウチはあんな目をしとったんか……吐き気がするくらい目が濁っとる」


「なんやお前下手しよったな、ガキ孕むとかアホやろ」


龍驤「自分に向かってそう言うんか…ほんまに昔のウチは…」


「ガキなんて面倒やろ?ウチが殺したろか?」


龍驤「ふざけんな…!」


「ウチがそう言うてるんや。赤の他人やなくてウチ自身やからな」


龍驤「ウチは昔と違う!」


「そう簡単に変われるわけないやろ、なぁ?」


「そうやね」


龍驤「お前は…………」


「ウチは足りないものに来た直後の龍驤や。絶賛浮気中やで」


龍驤「そのウチとも違う!ウチにはもう司令官が、夫がおるんや!」


「夫とか頭イカれとんな」


「金ヅルに惚れるとかアホやろ」


龍驤「黙れ……お前らになにがわかるんや!」
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 00:04:43.18 ID:aRyXHqxL0
龍驤「絶対にこの子は、ウチの子は守り通す!お前らには手出しさせへん!」バッ


「やるんかカタワ!」


「残ってる腕と脚も千切ったるからな!」


龍驤「……アホか、お前らなんか相手にするわけ無いやろ」


ガシャーンッ


「はぁっ!?」


「艦載機を電車の外にやって何をするんや!?」


龍驤「夢の中とはいえ……あの子も救うんや!」


ビシュッ
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 00:08:59.72 ID:aRyXHqxL0
「……しゃあないな、そろそろ助けたろか」


「〜〜」


「危ないっ!」


「龍驤…!?」


「よっしゃ、これで感謝状頂き……」


「カンムス、嫌い!」


「な、お前……電車来てんのに……ウチの手…払い除けたら……」


「ざまあみ……」


ズガガッ


「うわっ!!」


「おっ……と…とと……」


「だ…大丈夫か龍驤………」


「何や……なにが起こったんや…電車の中から……ナニかが…」


龍驤「……」


「あ………………」
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 00:16:01.77 ID:aRyXHqxL0
龍驤「……これは夢なんや。現実ではウチは富士を殺した。助けられた命を見逃した」


龍驤「あの駅と電車のことは一生忘れるつもりは無い。けどそれに囚われるのは違う」


龍驤「ウチはこの子のお母さんになるんや。いつまでもこの牢獄に捕らわれとったらあかん」


龍驤「……富士、許して」


龍驤「こんなウチでも幸せを掴もうとしてることを許して欲しい。最低で生きてる価値も無かったウチが言えることや無いのはわかってる」


龍驤「それでも幸せになりたいんや。司令官と家族になって未来を生きたいんよ」


龍驤「富士は優しいから許すって言うと思う、けどそれは今だけの話や。大人になって真実を聞いたら多分意見は変わるやろ」


龍驤「それこそ富士が親になろうとした時に、ウチのしでかしたことの重大さに気付くはずや」


龍驤「なあ…許してくれやんくてもいいからその時まで待ってな。どんな罰でも受けるから今だけは待って」


龍驤「せめてこの子が大きくなって…手がかからへんようになるまで……」


龍驤「親としてウチの役目が終わったら…殺してもいいから。残ってる右腕と右脚もあげるわ」


龍驤「せやから……お願いやで」


下1 この後の展開やその他起こったことなど
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 00:23:15.00 ID:tWRgCkZnO
電車が駅についてホームに降りる龍驤
そこで待ってるのは周囲を取り巻く大切な人達
だんだん目が冷めていく中で親としての役目が終わったらお婆ちゃんとしての役目があるでしょって誰かに知っているけど大人びた声で言われる
そして目が覚めたら朝、胸の内にあった不安はなくなってる
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 00:32:55.31 ID:aRyXHqxL0
プシュー


龍驤「……駅についたんやね」


「龍驤…」


龍驤「司令官の顔が歪んでる……周りも明るくなってきてるってことは…目が醒めかけてんのか」


「親としての役目が終わっても次があるでしょ」


龍驤「あんたは…誰や。見たこと無いけど、知ってるような……」


「お母さんの次はおばあちゃんでしょ」


龍驤「おばあちゃん……」


「例え両腕と両脚が無くたって……」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 00:35:08.70 ID:aRyXHqxL0
ーー


シャッ


「龍驤さん朝ですよ」


龍驤「眩し……」


「いい天気なのでカーテンを開けておきました」


龍驤「……ありがとうな」


「昨日と比べて随分と顔色が良さそうですね」


龍驤「うん…なんかスッキリしたっていうか、怖いとか不安な気持ちがマシになったんよ」


「それは良かったですね。では体温を計りますよ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 00:44:27.98 ID:+w9+K+Cgo
提督が迎えに来て鎮守府へ戻った龍驤
見違えるくらい顔色が良くなったと言われる
霞からもお母さんになる覚悟が本当の意味でできたみたいねって
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 01:00:09.92 ID:aRyXHqxL0
ーー


提督「短期間の入院明けで心配していたが、見違えるくらい顔色が良くなったな」


龍驤「心配かけてごめんな、もう大丈夫やで」


霞「お母さんになる覚悟ができたってとこかしら?」


龍驤「そんな所かな。いつまでも心配かけられへんから頑張るで!」


提督「辛い時は周りを頼るんだぞ」


霞「一人で考え込んじゃいけないわよ」


龍驤「そうやね、ウチはお母さんになるんや。一人じゃ親にはなられへんのや!」


ーー
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 01:00:43.70 ID:aRyXHqxL0
今日はここまでです
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 01:09:10.80 ID:2NBfoVOqo
お疲れ様です
龍驤もさらに一歩前に進めた感、これは…胸に来る
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 01:29:11.70 ID:tWRgCkZnO
おつでした
目指すゴールはハッピーエンドただひとつ
ここまでこれたんだから不安なんてない
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 19:27:53.35 ID:aRyXHqxL0
ーー


漣「安定してるのはフリじゃなかったみたいですね」


龍驤「もう前みたいなことはせぇへんよ」


漣「自分に信用無いって自覚してます?」


龍驤「せやからこうやって漣が見張ってくれてるやんか。ありがたいことやで」


漣「そりゃ目なんか離せませんよ。龍驤さん一人の体じゃないんですからね」


龍驤「うん…ほんまにウチのお腹の中におるんやね。死んでなんかなかったよ」


漣「元々が細いんで少しお腹が膨らめば丸分かりっすね」
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 19:30:58.45 ID:aRyXHqxL0
龍驤「入院中にいつのまにかこうなってたんよ。鏡でお腹見たりできへんかったのはちょっち残念やわ」


漣「メンタルがクソ雑魚の龍驤さんが悪いんで仕方ないですね」


龍驤「そうやんな…迷惑かけたわな」


漣「それなりにかかりましたよ。でもまあ特別に許してあげますよ」


龍驤「おおにきやで」


漣「さて、今日もお仕事は待ってくれませんよ」


龍驤「気合い入れて頑張ろか!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 19:45:06.78 ID:+w9+K+Cgo
提督の異動の準備も進む中、菊月提督から結婚式の連絡が
身近な人達でやる小さい規模だけれど龍驤達くらいは呼ぼうと
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 20:10:02.64 ID:2NBfoVOqo
>>324
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 20:23:06.21 ID:aRyXHqxL0
漣「仕事の前にこんなお知らせが来てるんすよね」


龍驤「結婚式…?菊月提督がやるんか」


漣「菊月と深海海月姫の三人でやるみたいです」


龍驤「会場は……小さい規模でやる感じなんやね」


漣「漣達は呼んでおこうってことだと思いますよ」


龍驤「司令官とウチが行くのが一番やけど、色々と忙しいんよな」


漣「お二人は祝辞だけ出して、横須賀鎮守府代表で誰か行ってもらう手もありますね」


龍驤「せめてウチか司令官は行かなあかんやろ」


漣「自分の体考えて下さいよ。ここから足りないもの鎮守府までそこそこの距離あるんすから」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 20:30:25.99 ID:aRyXHqxL0
龍驤「走って行くわけや無いし、まだお腹も大きくない。行くんやったら今しか無いと思うわ」


漣「付き合いの浅い人なら何がなんでも止めますけど、菊月提督なんすよねぇ」


龍驤「気を付けて行ってくるわ。無理はせぇへんから大丈夫やで」


漣「龍驤さんがそう言うと不安しかねぇんすよ」


龍驤「乗ってる電車が脱線するとかそんなことが起きれへん限り平気やって。万が一体調悪くなったらすぐに帰るから」


漣「護衛で一人は出すとしても…やっぱり不安ですってぇ」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/20(火) 21:02:45.72 ID:+w9+K+Cgo
向こうに連絡取るともちろん妊婦に無理はさせれないとグラーフが迎えに来てくれる
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 21:14:54.97 ID:pABRJFmfO
>>328
川内と結婚式には興味があるって由良がついてく
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 21:25:31.78 ID:aRyXHqxL0
バシュッ


漣「む?」


グラーフ「望月の予知が見えたから来た…」


漣「どんなご用件で?」 


グラーフ「結婚式には私が迎えに来るから…」


龍驤「それは有難いわ、絶対に安心な移動手段やからね」


漣「ではこちらからは、龍驤さんは確定で行くとお伝え下さい」


グラーフ「最大で何人……?」


漣「飛ばせる限界があるんでしたよね。では多くても三人だとも伝えておいてください」


グラーフ「分かった…」
 

バシュッ


龍驤「これで安心やね。不安があったわけや無いけど、絶対に安心な方がええからね」


漣「……」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 21:30:01.70 ID:aRyXHqxL0
ーー式当日


龍驤「川内がついてきてくれるのは嬉しいんよ。でも由良まで来る必要はある?」


川内「私もそう言ったんですけど、師匠も行くって言うんです」


龍驤「式が見たいとかそんな感じ?」


由良「近い」


由良「興味がある」


龍驤「ほぉん…まあ三人までやから由良も行くことはできるよ」   


由良「そう」


バシュッ
  

グラーフ「うわ、来た……」


龍驤「なにをビクついてんねん、そっちが迎えに来てくれたんやろ」


川内「足りないもの鎮守府にいる皆は元気かな〜」 


下2 この後の展開やその他起こったことなど
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 21:54:11.91 ID:2NBfoVOqo
再会を喜ぶ川内
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 22:10:34.81 ID:+w9+K+Cgo
>>332
龍驤も顔つき良くなったねってママ組から言われてる
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 22:13:58.71 ID:aRyXHqxL0
ーー足りないもの鎮守府


川内「久しぶり!!」


北上「ほんとに久しぶりだよね〜」


深海夕張「川内さん、私のこと分かりますか?」


川内「雲龍から聞いてるよ、夕張が痴女になったって」


深海夕張「そうじゃないんですって!」


川内「うんうん、元気そうで良かったよ」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 22:20:55.77 ID:aRyXHqxL0
ガングート「龍驤も良くなったようだな」


北上「顔色が違うもんね。入院したって聞いた時はヒヤッとしたよ〜」


龍驤「心配かけてごめんな。でも母親になるって自覚も出てきたし、腹も出てきたんや!」


ガングート「ほう」


北上「どれどれ失礼して……おっ!」


龍驤「皆んなも良かったら触ってな、ウチと司令官の子どもが入ってるからね」


多摩「どうやら調子の良い芝居じゃなさそうだにゃ」


川内「私もそれを心配したけど大丈夫そうだよ」


多摩「川内とも久しぶり……にゃんだけど由良はどこに行ったにゃ?」


川内「さぁ…師匠のことだから何か目的はあると思うけど」


多摩「本当に式に興味があるだけなのかにゃ…?」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 23:13:57.18 ID:yrxhz+wSO
自分も将来結婚式は挙げたいので興味があった乙女な一面が半分で警備目的が半分
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 23:16:13.84 ID:2NBfoVOqo
由良さんは>>336
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 23:31:45.23 ID:aRyXHqxL0
ーー


望月「そこで何してんの?」


由良「警備」


望月「今日は知らない人は入ってこないよ〜」


由良「そう」


望月「ま、あたしらとしては助かるから勝手にやってて〜」


由良「…」


由良「ここからなら良く見える」


由良「契りを約束する式」


由良「どんなものなのか」


由良「もし意味があるものなら」


由良「…」


由良「今はこれでいい」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/20(火) 23:35:32.98 ID:aRyXHqxL0
ーー


富士「私たちがサプライズゲストだって!」


さみだれ「大きな声を出したらダメなんじゃない?」


富士「はっ!」


さみだれ「指輪を渡す係だって。大仕事だね」


富士「お母さんに指輪を渡す!」


さみだれ「海月姫さんはそれでいいけど菊月さんはどうなるんだろ」


富士「まだ誰か呼んでるって聞いたよ」


さみだれ「そっか、じゃあもう一回練習しよ!」


富士「うん!触手を使って指輪を……」


さみだれ「ねぇやっぱり触手は使わない方がいいと思うよ」


下1 この後の展開やその他起こったことなど
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 00:01:06.38 ID:ws/LQoM7O
菊月側は雲林院さん、菊月とは友人だからね
そんで富士ともあのひと悶着があってからお互い謝って仲直りして友達になってた
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/21(水) 00:17:33.51 ID:o2MvUT/V0
ガチャッ


雲林院「私だ」


さみだれ「なにが!?」


富士「雲林院ちゃんが菊月に指輪を渡すの?」


雲林院「そうなった。付き合いもあるから」


さみだれ「あれ?二人って仲良かったっけ…?」


雲林院「今は友人だ」


富士「あの時はごめんね」


雲林院「全身の骨が砕けただけだ、気にしてない」


さみだれ「気にしないんだ…」


富士「指輪を渡す練習しよ!」


雲林院「そうだな。指輪の入った箱を振りかぶって……」


さみだれ「指輪は投げちゃダメだから!」


ーー
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/21(水) 00:18:01.23 ID:o2MvUT/V0
今日はここまでです
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 00:24:17.62 ID:51I46j13o
おつおつ
あ゛あ〜…ほのぼのが染み渡る
かすみも喋る姿見たいね早く
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 00:48:25.92 ID:ws/LQoM7O
おつでした
いま緩やかな時間の良さが身に沁みてます
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/21(水) 18:25:00.49 ID:oF0gEMf4O
ーー


皐月「挨拶周りとか偉い人と会うのって大切なんだね」


提督「俺の場合は提督を辞めさせられるわけじゃない。だからこそこういうことは大切なんだ」


皐月「僕が横須賀鎮守府の秘書艦だから司令官と一緒に挨拶してるけど…正直僕は必要無いんじゃないかなって思ってたんだ」


皐月「けどこういう時こそちゃんと僕も居ないとダメなんだね」


提督「その通りだ。龍驤や漣の立場はあくまで秘書艦の代理であって正式な役職じゃない」


皐月「僕は秘書艦としてあんまり働けてないから…最後くらい頑張るよ!」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/21(水) 18:30:39.83 ID:oF0gEMf4O
皐月「司令官はちゃんと休まなきゃいけないよ?挨拶回りが終わっても組織の立ち上げで忙しいんだし」


提督「休むべき時はちゃんと休んでいる」


皐月「それなら良かった!」


提督「…この調子だと今日は泊まりだな。横須賀に帰る暇が無い」


皐月「早く終われば菊月提督の結婚式に出れたけど、とてもそんな状況じゃなかったね」


提督「まだこれから役員さんに会うんだ。結婚式は龍驤が参加してくれているから良しとしよう」


皐月「もう今日は帰れないならホテルを予約しとくね」


提督「頼んだ、こっちはアポが取れているか確認の電話をしてくる」


皐月「はぁぁ…大変だけど本来ならこれが秘書艦の正しい姿だもんね。弱音は吐けないよ!」


下2 この後の展開やその他起こったことなど
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 19:30:00.96 ID:3VYWPb2bO
回る先々で期待の声をかけられる提督
やはり深海棲艦の脅威が減ることはいろんな界隈に期待されてる
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 19:31:03.25 ID:hVzkJUiwO
皐月にも苦労をかけたと労う提督
私生活は大丈夫かと
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/21(水) 19:48:34.87 ID:dV2RQJE60
ーーホテル


皐月「ふぁ〜〜疲れたぁ…」ボフッ


提督「ベッドに飛び込みたくなる気持ちは分かる。苦労をかけてしまったな」


皐月「これくらい平気って言いたいけど、今日は特に疲れちゃった」


提督「今日しかアポが取れない人も居てどうしても過密スケジュールになってしまった」


皐月「何人も会って話をしたけど、司令官はそれくらい期待されるんだね」


提督「深海棲艦の脅威が減ることを各方面で期待しているようだな」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/07/21(水) 19:55:28.97 ID:dV2RQJE60
提督「皐月には暫く忙しい思いをしてもらうことになる」


皐月「ハードだけど頑張るよ!」


提督「本当に大丈夫か?私生活に影響は出ていないか?」


皐月「今のところは大丈夫だけど…あ、やっぱり不安あるかも」


提督「なんでも言ってくれ、俺にできることなら…」


皐月「なんでもしてくれるんだよね?」ニヤッ


提督「……なにを考えてる?」


皐月「ふふふ、僕は先にお風呂に入ってくる…いや、やっぱり一緒に入ろうよ!」


提督「…疲れているんじゃないのか?」


皐月「それとこれとは別!今夜はほどほどに楽しませてね!」



下2 この後の展開やその他起こったことなど
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