エルシィ「私だけが望むセカイ」

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103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/07(土) 00:59:23.38 ID:R0oloIFGo
さすがにおかしいと思い始めたか
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 01:17:55.85 ID:FIPszZtw0
エルシィ「?どうしました?にーさま」

エルシィ「手が止まってますけど」

桂馬「お前、今なんて…」

エルシィ「え、ですから…そのゲームのディスクちょっと落ちた衝撃でデータが破損しちゃったみたいなので」

エルシィ「にーさまがやってた所まで進めて元通りにしました!」エッヘン

桂馬「いや…その、え?」

桂馬「お前、なんでそんな事」

エルシィ「なんでって…」

エルシィ「私はいつもにーさまの側に居るんですよ?」

エルシィ「どのゲームがどの位まで進行してるとか嫌でも目に入っちゃうんですって」ケラケラ…

桂馬「あ、あぁ…そう…か、そうか」

エルシィ「おかしなにーさま」ニコッ

桂馬「なぁ…エルシィ。ところで、歩美と天理、ディアナは…?」

エルシィ「…あ」

エルシィ「駆け魂の方は無事捕まえられたので安心してください」

エルシィ「この勾留ビン、いつも使っているのよりも強力であっさり捕まえられました〜」スッ

桂馬「あ…そうか、良かったな、うん」

桂馬「それでエルシ
ピッ

「次のニュースです」

「昨日、舞島学園で女性の遺体の一部と思われるものが発見されたとの事で警察が事情を調査しております」

「学校関係者によりますと…」

桂馬「…女性…遺体って…」

エルシィ「…」

「なお、現時点で生徒達に被害は確認されておらず、時間との関係性は無いと…」

桂馬「…全員、無事…なのか…」

桂馬「よ、よかった…」ガクッ

桂馬(歩美や天理は…他の奴らも助かったのか)

桂馬(となると女性の遺体は…学校の関係者じゃないとすると…)

桂馬(まさか犯人…ディアナが始末したのかそれとも…)

桂馬「…………え」

桂馬「待った、今…え、おかしく、ないか」

エルシィ「…どうしました?にーさま」

エルシィ「ローフの人は退治されたし、これでめでたしですよね!」ニコッ

桂馬「いや…そんな筈、ない…」

桂馬「犯人が殺されたとして…もう1人遺体が見つかる筈だろ…」

桂馬「ちひろの死体はどうなった……?」

エルシィ「…」


105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 01:32:08.76 ID:FIPszZtw0
桂馬「生徒の無事が確認されたって…おかしいだろ」

桂馬「ちひろはどうした…死体は?…殺される前にあいつがこの前みたく消したのか?」

桂馬「見つからないならなんで家族や教師は躍起になって探してない…?例の錯覚魔法…というか記憶操作か…?」

桂馬「それに僕今バッチリ入院してるだろ」

桂馬「被害無しって…意味分からないぞ」

エルシィ「…………………」

桂馬「おい、エルシィ?」

桂馬「さっきからずっと聞いてるけど、歩美達は…どうした?」

桂馬「無事、なんだよな?」

エルシィ「にーさま、そんな事よりちょっと見てほしい物があるんですよ〜」ゴソゴソ…

桂馬「…おい、何だよそんな事って…こっちは真面目に重要な事〜を」

エルシィ「まぁまぁそう言わずに」ゴソゴソ

桂馬(デカいバッグだな…何入ってるんだ)

エルシィ「あったあった。えへへ…」

エルシィ「にーさま、実はですね」

コンコン

エルシィ「…」

桂馬「…誰だ」
チッ

桂馬「?おいエルシィ、今なんか言ったか?」

エルシィ「え?いえ、私は何にも…」

エルシィ「だ、誰でしょうね、ちょっと開けに行きますね」スタスタ…

桂馬「ちょっ…待て!また報復絡みの奴かも…」

二階堂「誰が誰に報復するって?」ガラッ

エルシィ「わわっ」

桂馬「げっとしま」

二階堂「今すぐここからとしまえんに飛ばしてやろうか?ええ?」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 01:38:10.62 ID:FIPszZtw0
>>102
3、4回→3、4階

>>104
時間との関係性→事件との関係性

またガバり始めてる…
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 02:36:57.86 ID:FIPszZtw0
二階堂「少し様子を見に来たが、思いの外元気そうだな」

桂馬「なんでお前がここに…」

桂馬「…というかあんたは僕の事ちゃんと認識してるのか…?」

二階堂「は?何言ってんのお前…」

桂馬「…」

桂馬「何だ、話がややこしくなってきたぞ」

エルシィ「…」

二階堂「それより、私はお前の見舞いだけを目的に来た訳じゃない」

ガシッ
桂馬「ぉぅ」

二階堂「桂木、貴様昨日学校で何してた?」

桂馬「な、何ってほ、ほくらたら授業受けっれ帰っただけれふよ!?」

二階堂「嘘こけ、じゃあこの写真はなんだ!?」スッ

桂馬「!?!?!?」

二階堂「床という床にカッターが敷き詰められている上に壁にはトンネルまで開通している!」

二階堂「何をどうしたらこんな物理的に学級崩壊するんだ?おお?」ガッ

桂馬「いや。マジで!何も知らないから!マジで!」

桂馬(昨日の夜のアレ、写真撮られてたのかよ…ってかあんたも学校にいたの!?)

桂馬(テレビの映像見る限りどうにか直して誤魔化せてはいたっぽいけどぉぉ!?)ググッ

桂馬「というかなんで真っ先に僕の事疑うんですか!?」

桂馬「こんな物騒な事するような人柄に見えますか!?」

桂馬「僕はギャルゲー主人公顔負けのピュアな男子高校
桂馬「べふ」ドガッ

二階堂「そう見えるからわざわざ病院にカチコミに来てるんだろうがぁぁあ!」ガンガンガン

桂馬「いったいたいだぁ!?」

ビキビキッ

エルシィ「ちょ、ちょっと先生!それ以上は本当に冗談じゃ済まなくなりますよ!」

二階堂「私が冗談を言った事があると?」

桂馬「やばいって窓ガラスヒビ入ってるの割とやばいって」

桂馬「いわゆるゴリラ系ヒロインでもギャク補正無しでここまでしないって!!」

二階堂「周りから見れば単なる茶番にしか見えんだろうがな」

桂馬「窓割って生徒突き落とそうとするのを何処をどう見たら茶番って言えるんだこの現実年増ゴリラ!!」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 02:53:45.61 ID:FIPszZtw0
二階堂「この期に及んで担任に向かってそんな舐め腐った態度を取るか…」

二階堂「いつかは更生するだろうと淡い希望を抱いていたがどうやら甘い考えだったらしい」チラッ

エルシィ「…」

桂馬「いだいいだい!待ってそれ以上強く押し付けないで潰れる!マジで潰れるから!」ギュゥゥゥ

二階堂「…………」

ググッ

桂馬「え、ちょっと?何拳なんか構えて…」

二階堂「っ…!」ブンッ

桂馬「いやああああああああっ!??」







二階堂「…」スッ

桂馬「?」

二階堂「ごめんね」ボソッ

桂馬「へ」




ドガッ
バリィィッ!

桂馬「ぅあっ…」ヒュゥゥ

エルシィ「にーさまっ!」

エルシィ「先生…なんで、なんでこんな事っ!」

ガシッ

バキィッ

エルシィ「……へぁ?」ビチャッ

二階堂「……」

エルシィ「ちょっ…なんぇ…椅子…」

二階堂「っ…」ブオッ

エルシィ「ばっ」ドガッ

エルシィ「びだっ」バキッ

エルシィ「やめっ」ズドッ

ドゴッベキッゴッメキッ
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/08(日) 03:35:34.67 ID:yh+yOfyj0
ドサッ

桂馬「いだぁぁぁあっ………」

桂馬「くないな…それ程」ヒリヒリ

桂馬「……なんであんな高い所から放り投げられたのにあざの1つもできてないんだ…?」

桂馬「というか思い切り殴られたのにあまり痛くない…いやまぁそれはいつものギャグ補正だとして…」

桂馬「さっきからガラスの破片諸踏んでるのに全然痛く無いんだが…」チラッ

桂馬「…浮いてる?刺さってる感触はあるのに…」

桂馬「一体何がどうなって…」ブルルル…

桂馬「は?」ゴオッ

桂馬「おい当た
キキィ…

桂馬「……る…」

ガチャ

「……」

桂馬「‥なんだ、僕に用か?マスクマン」

「…」スッ…

桂馬「ちっ」ダッ
ガシッ

「少々手荒いやり方ですが時間が無い故ご理解を」ググッ

桂馬「っい…放せ…」カチャッ

桂馬「へ」

「…」ズルズル…

桂馬「おま…なんだ、何だよこの手錠!?外せよ!」

「こうでもしないと暴れてでも私から逃げようとするでしょう、貴方は」ガチャ

桂馬「ぉふ」ポフ

「急ぎましょう。さっきも言いましたが」

「とにかく時間がありません」グッ

ブルルルル…

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/08(日) 03:58:44.26 ID:yh+yOfyj0
ガスッバコッドガッ

エルシィ「いだい!もうやめでください!先生!」

二階堂「…」ドガッドゴゥ

ブンッ
バキッ

二階堂「!?」クルクル(

ガンッ

二階堂(椅子の足を…)ゴロ…

二階堂「ちぃっ!」ブンッ

ヒョイッ

二階堂「ぁうっ」ガッ

ドガッ

二階堂「くっ…」ポタポタ…

エルシィ「やめろって言ってるんですけど」ビュビュッ!

二階堂「あ゛っ!?」ギュッ

エルシィ「…っはぁぁぁぁ…」ポリポリ…

エルシィ「せっかくいい雰囲気だったのに台無しになっちゃいました…」

エルシィ「おまけにセンサーも壊れちゃったし…まぁこんなのもう要らないけど」ボロッ

エルシィ「…どうしてくれるんですか?」グイッ

二階堂「…っ…」ググッ

エルシィ「今誰かにーさまを連れてどこかに行きましたよね?」

エルシィ「一体何処の馬の骨でどういう目的でどんな場所に向かっていったんですか?」

二階堂「…」プイッ

エルシィ「ん〜…無視ですか」

エルシィ「じゃあ質問を変えましょう」

エルシィ「あなた、一体何者ですか」

二階堂「…………」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/08(日) 04:17:52.55 ID:yh+yOfyj0
エルシィ「先生、さっき私を椅子で殴る時真っ先に頭を狙いましたよね」

エルシィ「もっと言うと左側」

エルシィ「そう、丁度センサーがある所」トントン…

エルシィ「なーんで最初にセンサーを壊そうとしたんですか〜?」

エルシィ「まだ私に協力者が居る場合を考えて通信手段を断とうとしたんですよね〜?」

エルシィ「…で、なんでこれがそんな重要なものだとただの人間が知ってるんですかね?んん?」

エルシィ「それと…今病院には結界が張られてて、だーれも入れない状態の筈なんですけど」

エルシィ「先生はどうやって入ってきたのかなぁ?」ガシッ

二階堂「…それ位自分で考えろ」

エルシィ「…………あくまでシラを切るつもりですか」

エルシィ「ここまで来て強情というかなんというか、肝が座ってますねぇ…先生」

エルシィ「まぁもっとじっくり時間をかけて尋問をしたい所ですけど」

ザクッ

二階堂「〜っ!!?」ビクッ

エルシィ「早くしないとにーさまに何をされるか分かったもんじゃないですからね」

エルシィ「ちゃんと答えないと10秒に1回グサってやっちゃいますよ〜グサって」

エルシィ「まぁ誰かさんの真似事みたいで気に食わないですけど」

エルシィ「そうこう言ってられないので」グサッ

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/08(日) 22:54:02.43 ID:2v47GlVbO
ヤンデレエルシィ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/09(月) 03:41:59.06 ID:N6p4Rl6Z0
二階堂「…お前は…」

二階堂「お前こそ、なんでこんな事をして
グサッ

二階堂「ぁっ」

エルシィ「質問を質問で返されても困るじゃないですかぁ」グチャグチャ

エルシィ「私があなたの問いに答える義理があるとでも?」

二階堂「…」

エルシィ「……はは〜ん?もしかして元々あなたは私とそういう関係だって遠回しに言ってくれてるんですか?」

二階堂「…当然だ」

二階堂「私はお前の教師だ」

二階堂「生徒の悩みを聞くのは先生の責務だろう」

エルシィ「別に悩みなんて何も無いんですけどねぇ……」

エルシィ「…あー、そうでもないな、結構ある」アセアセ

エルシィ「まぁそうですね…結論から言うと私の目的はアレですよ、アレ」

エルシィ「にーさまの攻略、みたいな」

二階堂「…」

エルシィ「何か巷ではラスボスだの最終兵器だのって騒がれているんですけど」

エルシィ「人間界の支配とか、旧悪魔の復興とか、そんなの興味ないです」ニコッ

エルシィ「どれだけ短くても、悪い人に追われてた時間なんかよりにーさまと楽しく過ごした時間の方が濃密で、素敵で、幸せな時間ですからね」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/09(月) 04:11:57.30 ID:N6p4Rl6Z0
エルシィ「ですので、にーさまには是非とも義妹ルートの攻略をお願いしたいんですけど〜」

エルシィ「にーさまってばゲームに夢中で現実の方はからっきしなんですよ〜」ブーブー

エルシィ「後おおよその行動原理がギャルゲーなので全然私の方に気を引いてくれないんですよ〜」

エルシィ「私からアクションを起こしても素っ気なく返して進展のしようが無いし…」プクー

エルシィ「で、まぁじゃあどうしようかなぁ…ってあれこれ考えたんですけど」

エルシィ「基本的ににーさまはパラメータが高いせいで付け入る隙がないんですよね」

エルシィ「なので私の好感度を上げる方法じゃなくて、上げやすくする方法を考えました」

二階堂「上げやすく?」

エルシィ「ゲームは基本にーさまにおける武器や長所なんですけどそれと同時に弱点でもあるんですよね」

エルシィ「まずゲームができない環境には適応できませんし」

エルシィ「ゲームの内容が酷いと嘆いたり泣いちゃったりします」

エルシィ「例えば、ゲームのヒロインが殺されたりした時とか…」ニコッ

二階堂「……お、前…」

エルシィ「事実、以前精神介入でにーさまが目の前で推しの娘を殺された時…」

エルシィ「目から血を流して発狂してました…滅茶苦茶怖かったんですよぉ…」ガタガタ

エルシィ「それで、にーさまはギャルゲーを基に今まで色んな女の子を助けてきた訳で」

エルシィ「恐らく同じくらいそれはに思い入れがあると思うんですよ」

エルシィ「これは応用できるんじゃないかなぁ……って考えて」

115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/09(月) 04:54:09.15 ID:N6p4Rl6Z0
エルシィ「にーさまが自分の攻略したヒロインばかりが次々に殺されていると知れば」

エルシィ「そもそも目をつけられたり、救えたかもしれないのに見殺しにしたと自身を責めるでしょうし、死んだ事自体にかなりのショックを受けるでしょう」

エルシィ「そんな傷、ちょっとやそっとゲームをやるだけじゃ癒せません」

エルシィ「ならどうするか?」

エルシィ「…私が優しく手を差し伸べてあげればいいんです」

エルシィ「優しい言葉で心を慰めてあげればいいんです」

エルシィ「そうすれば、にーさまは私の方を振り向いてくれる」

エルシィ「私の事を快く受け入れてくれる」

エルシィ「ふふ…なんて素敵な脚本なんでしょう」

二階堂「…」

エルシィ「…あ、でもでも、勿論私が殺したら本末転倒ですからそこは体よく、利用できる雌犬を使って始末しましたよ!?」

エルシィ「私、誰にも手は出してないですから!かみにーさまに誓っていいます!」

エルシィ「いや〜にーさまの好感度は上がるし、周りのゴミ掃除も簡単に済ませられるしまさに一石二鳥ですよね!」

エルシィ「私はいわば旨味を引き立てる隠し味、スパイスのような役割ですし…」

エルシィ「掃除と料理しか取り柄の無い私にうってつけのシナリオだと思いません?」

二階堂「っ」ペッ

ピチャッ

エルシィ「……」ネチョ…

エルシィ「挑発、のつもりですかね?」

二階堂「そのまんまの意味だよ、反吐が出る」

二階堂「心から好きな奴にすすんで不幸になってもらおうなんて馬鹿が何処にいるんだよ」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 04:56:52.25 ID:Q8rX6ddt0
エルシィ「不幸になって欲しいなんて微塵も思ってませんよ?」

エルシィ「もとより私はにーさまに幸せでいて欲しいと思っていますからね」

エルシィ「ただ私は凸凹の地面を整地して、すっきりさせようとしているだけなんですよ?」

エルシィ「荒らしてる訳じゃないんです」

エルシィ「にーさまの心の穴を私の愛情で埋めてあげているんです!」

エルシィ「…………まぁ過剰に与えすぎると盛り上がって結局凸凹のままになっちゃうかもですけど」

エルシィ「プラスマイナスでプラスになるのは確実だし構いませんよね」

エルシィ「それに…それでも不幸になったりその心の穴…スキマが残っても」

エルシィ「私が消してあげます」

二階堂「………」

エルシィ「嫌な思い出、悲しかった事、怖い記憶」

エルシィ「ぜーんぶ、私が無かった事にしてあげます」

エルシィ「そうすれば、にーさまが困る事は何も無くなりますよね?」

二階堂「…聞いた私が馬鹿だった」

二階堂「狂ってるよ、お前」

エルシィ「狂ってたとして何か問題でも?」

二階堂「ああ…困るね」

二階堂「私はお前を正しい方は導く責任がっ!?
グサッ

エルシィ「はーい、静かになるまで3分かかりました〜」グチャグチャ

二階堂「あ゛あっ!?」

エルシィ「あなたは私とにーさまから貴重な時間を3分も奪ってくれました」

エルシィ「そういうことで3×2×6+言う事を聞かなかった罰諸々で4」

エルシィ「だからえーと…」ヒーフーミー

エルシィ「50回刺しまーす!」

二階堂「ごじゃ…っああ゛!?」グサッ

エルシィ「先生は意地でも時間稼ぎしたいみたいですけど〜」グサッグサッ

エルシィ「そんな事した所で意味ないですよねぇ?」グサッグサッグサッ

エルシィ「早く吐いちゃった方が身の為ですよ?あ、吐きはしないでくださいね?」

エルシィ「ほら」グサッ

エルシィ「ほら」グサッ

エルシィ「ほらほらほらっ!」グチャグチャグチャ
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 05:23:10.25 ID:Q8rX6ddt0
二階堂「あ゛……ぁぁっ」ガクッ

エルシィ「ありゃりゃ、まだ10回くらいしか終わってないんですけど?」

エルシィ「気絶したら起こすの面倒くさいので殺っちゃいますよ?」

二階堂「……ぇ……ぅ…ふ」

二階堂「ふ、ふふ…」

二階堂「はははっ…!」

エルシィ「…気が動転しておかしくなったんですかね」

エルシィ「なんで急に笑い始めたんです?」

二階堂「なんでって…ぷぷ、笑うなって方が無理あるだろう!」

二階堂「妹冥利に尽きるってか!?」

二階堂「言ってくれるよ!ははは」ケラケラ

エルシィ「???……何が言いたいんです?」

二階堂「はぁ…いや…可哀想にと感じてな」

二階堂「こんな化け物の面倒を見なきゃならん桂木を思うと」

二階堂「哀れで哀れでしょうがない」

エルシィ「はぁ…だから?」

二階堂「ぶっ…まだ分かんないのかよ」

二階堂「鈍くて固い頭なのは相変わらずだなぁ、お前」

エルシィ「……」

二階堂「さっきも言ったろ、私にはお前を正さなきゃならん義務があるって」

二階堂「教師というか…上司というか…」

二階堂「妹の不出来が兄の責任なら」

二階堂「当然、お兄ちゃんの妹である私もお前を矯正しなきゃだろ?」

二階堂「な?義姉ちゃん」

エルシィ「…」

二階堂「…….あ、でも厳密にはお前は私の姉なのか?でも歳は私の方が上だし時系列的にも私が先だよなぁ」

二階堂「うーん、どうおも
ガシッ

二階堂「ぅ…かあ゛っ!?」ミシミシ…

エルシィ「……うるさいハエなので、そろそろ殺そうかと思いましたが」

エルシィ「気が変わりました」

エルシィ「出来る限り苦しめてあげるので頑張って喘いでくださいね?」グググッ
118 :ちょっとだけ訂正 :2021/08/11(水) 05:25:25.87 ID:Q8rX6ddt0
二階堂「あ゛……ぁぁっ」ガクッ

エルシィ「ありゃりゃ、まだ10回くらいしか終わってないんですけど?」

エルシィ「気絶したら起こすの面倒くさいので殺っちゃいますよ?」

二階堂「……ぇ……ぅ…ふ」

二階堂「ふ、ふふ…」

二階堂「はははっ…!」

エルシィ「…気が動転しておかしくなったんですかね」

エルシィ「なんで急に笑い始めたんです?」

二階堂「なんでって…ぷぷ、笑うなって方が無理あるだろう!」

二階堂「妹冥利に尽きるってか!?」

二階堂「言ってくれるよ!ははは」ケラケラ

エルシィ「???……何が言いたいんです?」

二階堂「はぁ…いや…可哀想にと感じてな」

二階堂「こんな化け物の面倒を見なきゃならん桂木を思うと」

二階堂「哀れで哀れでしょうがない」

エルシィ「はぁ…だから?」

二階堂「ぶっ…まだ分かんないのかよ」

二階堂「鈍くて固い頭なのは相変わらずだなぁ、お前」

エルシィ「……」

二階堂「さっきも言ったろ、私にはお前を正さなきゃならん義務があるって」

二階堂「教師というか…上司というか…」

二階堂「妹の不出来が兄の責任なら」

二階堂「当然、お兄ちゃんの妹である私もお前を矯正しなきゃだろ?」

二階堂「な?義姉ちゃん」

エルシィ「…」

二階堂「…….あ、でも厳密にはお前は私の姉なのか?歳は私の方が上だし時系列的にも妹になったのはsaga私が先だよなぁ」

二階堂「うーん、どうおも
ガシッ

二階堂「ぅ…かあ゛っ!?」ミシミシ…

エルシィ「……うるさいハエなので、そろそろ殺そうかと思いましたが」

エルシィ「気が変わりました」

エルシィ「出来る限り苦しめてあげるので頑張って喘いでくださいね?」グググッ
119 :泣くわ、もっと酷い事になった [saga]:2021/08/11(水) 05:26:27.44 ID:Q8rX6ddt0
二階堂「あ゛……ぁぁっ」ガクッ

エルシィ「ありゃりゃ、まだ10回くらいしか終わってないんですけど?」

エルシィ「気絶したら起こすの面倒くさいので殺っちゃいますよ?」

二階堂「……ぇ……ぅ…ふ」

二階堂「ふ、ふふ…」

二階堂「はははっ…!」

エルシィ「…気が動転しておかしくなったんですかね」

エルシィ「なんで急に笑い始めたんです?」

二階堂「なんでって…ぷぷ、笑うなって方が無理あるだろう!」

二階堂「妹冥利に尽きるってか!?」

二階堂「言ってくれるよ!ははは」ケラケラ

エルシィ「???……何が言いたいんです?」

二階堂「はぁ…いや…可哀想にと感じてな」

二階堂「こんな化け物の面倒を見なきゃならん桂木を思うと」

二階堂「哀れで哀れでしょうがない」

エルシィ「はぁ…だから?」

二階堂「ぶっ…まだ分かんないのかよ」

二階堂「鈍くて固い頭なのは相変わらずだなぁ、お前」

エルシィ「……」

二階堂「さっきも言ったろ、私にはお前を正さなきゃならん義務があるって」

二階堂「教師というか…上司というか…」

二階堂「妹の不出来が兄の責任なら」

二階堂「当然、お兄ちゃんの妹である私もお前を矯正しなきゃだろ?」

二階堂「な?義姉ちゃん」

エルシィ「…」

二階堂「…….あ、でも厳密にはお前は私の姉なのか?歳は私の方が上だし時系列的にも妹になったのは私が先だよなぁ」

二階堂「うーん、どうおも
ガシッ

二階堂「ぅ…かあ゛っ!?」ミシミシ…

エルシィ「……うるさいハエなので、そろそろ殺そうかと思いましたが」

エルシィ「気が変わりました」

エルシィ「出来る限り苦しめてあげるので頑張って喘いでくださいね?」グググッ
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/11(水) 08:55:15.62 ID:rF4O6hSRo
修正で50ノルマこなしたように見えて笑っちゃった
121 :昨日休んじゃったし多く投下して誤魔化そう() [saga]:2021/08/11(水) 13:10:57.77 ID:Q8rX6ddt0
二階堂「ぐぁっ、ぅ……あ゛っ!?」ミシミシ…

エルシィ「…おっと、危ない危ない」

ズドッ

二階堂「ぉ゛あはっ!?」メキメキ…

エルシィ「ふふ…」スポッ

二階堂「げほっぇほっ…ぅぇ…」ビチャ…

エルシィ「つい力を入れすぎて首の骨折る所でしたー」

二階堂「…おっぇ…ぐ…」

エルシィ「…へ〜、ふーん、なるほど、そうですかそうですかそういう事ですか」

エルシィ「つまり室長は私が居ない間ににーさまをつけ狙っていたと」

エルシィ「一時的にとはいえ私から妹という立場を奪った分際で」

エルシィ「よくそんな事を平然とやってくれますねっ」ガッ

二階堂「がっ…ぁぁ…」ミシミシ…

エルシィ「ああ…胸がとても苦しいです」ググッま

エルシィ「苦しくて苦しくてはち切れそうです」グググッ

エルシィ「心臓が破裂して死んじゃいそうです」ググググ

エルシィ「…こんな感じにねっ!」ドガッ

二階堂「ぶあ゛っ!?…」

グチュ

二階堂「ぅ…ぼぉえ!……おぁっ」ドバッ

エルシィ「ふふふ、いっぱい吐いちゃって」

エルシィ「良かったですね、室長」

エルシィ「これでダイエット商品使わなくても体重かなり減りますよ?」

エルシィ「これでにーさまもイチコロです」

エルシィ「まぁ……この後無事に会えたら、の話だけど」

エルシィ「ねっ!?」ガシッ!

二階堂「ぇあ゛!?……ぃ…お」ミチミチ…

エルシィ「ふふふ…安心してください」

エルシィ「もっと吐き出させて、もっと痩せさせて」

エルシィ「貴方の内臓すっからかんにしてあげます」ググッ

エルシィ「お医者様に頼んでこの部屋……というか病院自体貸し切らせてもらってるので」

エルシィ「いくらでも泣き叫んで構いませんし、いくら吐いても誰も気にしないので…思う存分嬲られてください」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/11(水) 13:11:53.54 ID:KPE/kv9Fo
そろそろしっぺ返しあるかな
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 13:52:53.24 ID:Q8rX6ddt0
ブルルル

「…」

桂馬「おい、いい加減話せよ」

桂馬「ていうか放せ」

桂馬「誘拐だか拉致だか知らんがこんな事してただで済むと思ってないだろうな?」

桂馬「僕なんかじゃなくてそこら辺に居る現実女でも攫っておけ」

「…すみませんね、何せ私もみじマークですから」

「頭が会話の方に向いて事故でも起こしようものなら色んな意味で私破滅してしまいますので」

桂馬「えぇ…」

「もうすぐ運転しながらでもゆっくり話せる所は行けるのでそれまで我慢してください、桂馬君」

桂馬「…あんた、僕の名前…いや僕の事自体知ってるのか?」

「当然です、忘れられる訳がありません」

「あなたにはしても返し切れない恩がありますからね」

「まだ混乱してるでしょうし詳しく話す時間も無いですが…」

「今は2つだけ言うので、それだけは信じて下さい」

桂馬「…?」

「まず第一に私…いや、私達は貴方の味方です」

「次にエルシィさん」

「あなたの妹さんはあなたの味方です」

桂馬「……はぁ」

桂馬「それなら何1つ困る事は無い気がするが」

「正確に言えば…」

「エルシィさんはあなただけの味方です」クルッ

桂馬「…何が言いたい?」

「…」

桂馬「……なんだよ、それ」

桂馬「それはアレだよな?自分の言葉を信じろっていうのが最初のお願いで最後のはジョークかなんかのとんちって解釈でいいよな?はは…」

「恐らく、桂馬君なら何かそれを決定づけるものを掴んでいる筈です」

桂馬「いや…確かに」

桂馬「さっきはちょっと様子がおかしかったが…」

桂馬「でも……そんな」

「…焦る必要はありません」

「まだ君には考える余地がある」

「今すぐ受け入れろとは言いませんが頭の片隅のゴミ箱の中にでも入れておいてください」

桂馬「入れたら消えちゃうだろ」

「ゴミ箱に入れてもゴミは消えませんよ」

「貴方は重度の潔癖症だ」

「嫌な汚れはすぐに消したがっている」

桂馬「……」
124 :へがはに変換されがち [saga]:2021/08/11(水) 14:30:08.73 ID:Q8rX6ddt0
二階堂「がはっ!ごぼぉっ!?」ズドッドガッ

エルシィ「えい」ドゴォッ

ミシッ

二階堂「っおばっ」ビチャビチャ…

二階堂「ぁぁっ……あ゛っ…」ビクビクッ

エルシィ「あー…お腹蹴られすぎて痙攣しちゃってますねこれ」

エルシィ「うーん、もっと楽しみたいし…」

エルシィ「面倒くさいけど再生してあげますか」フッ

二階堂「…っげぼっ!げほっ!おえっ…」

エルシィ「ふふふ、楽には殺さないってさっきも言いましたよね」

エルシィ「あなたは放置すると何をしでかすか分からなくて怖いですからね」

エルシィ「私にとっては最重要危険人物なんですよ、室長は」

エルシィ「なので自分の立場を弁えられるように私が調教してあげます」

エルシィ「それが私とにーさまを繋ぎ合わせてくれたあなたへのせめてもの…いえいえ精一杯の恩返しですから」

二階堂「心にも……ぅぇ…い事言うな…」

エルシィ「え、そんな事ないですよ!」

エルシィ「私をかみにーさまの所へ導いてくれたのは紛れもない室長ですから」

エルシィ「こればかりは貴方の功績ですよ、これだけですけど」

エルシィ「まぁでも、私よりも長くにーさまの傍にいて…ましてやたぶらかそうとしていたとなると」

エルシィ「結局チャラになるどころか、お釣りが来るレベルですけどね」

二階堂「……」

エルシィ「言いたい事は終わりですか?」

エルシィ「そろそろ再開したいんですけど」

エルシィ「早くサンドバッグに戻ってください」スッ…

二階堂「……」




二階堂「こっちの台詞だバーカ」ニヤッ

カッッ

エルシィ「眩っ…」ゴオッ

エルシィ(しまった…けっか
ビュビュビュッ

エルシィ「うあっ!?」ガガッ

エルシィ「羽衣…!?」

二階堂「ぉぇふ……へへ」

二階堂「結界を張るのと、お前が周りから気を逸らすのに随分時間がかかった」

二階堂「こっちは鼻から時間稼ぎをするつもりなんて無ぇんだよ!」

リューネ「いやまぁ、時間稼ぎには違いなかったっしょ…あんた」

エルシィ「…!ヴィンテージ…っ」


125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 14:52:07.85 ID:Q8rX6ddt0
エルシィ「くっ…こんかもの、すぐに…」グッ

エルシィ「…ぁ…力が、入ら…」プルプル…

二階堂「そいつはついさっき作った旧地獄と新地獄の魔術を組み合わせた即席の結界だ」

二階堂「羽衣にも同じものを張っている。外せない前提で複雑というかグチャグチャな構造だから普通にやっても解除できないぞ」

二階堂「まぁお前ならすぐに壊せるだろうけど」

二階堂「その様子を見ると大丈夫みたいだな」

リューネ「ふへへ〜」

二階堂「こほっ……何だよ」

リューネ「隣の部屋から覗いてたけどさぁ」

リューネ「色っぽかったよ〜あんた」

リューネ「この後私にもヤらせてくれよっ」

二階堂「馬鹿かよ…もう懲り懲りだっての」

リューネ「ちぇ〜なら実力行使にするか…」

二階堂「お前なぁ…」

エルシィ「室長、あなた…こんな事して後でどうなるか…」

エルシィ「テロ組織に加担するなんて許される事じゃありません!」

二階堂「おーおー、今更私の心配かい、嬉しいね」

二階堂「安心しなよ、ヴィンテージの元締めは冥界のお偉いさんだ、いやでも私を捕まえられない」

エルシィ「!?」

二階堂「お前が暴走したせいで、計画は台無し」

二階堂「利害の一致って事でこっそり一時的ではあるけど手を結んだ訳だ」

二階堂「それに…アレだぞ?私はドクロウじゃなくて記憶と力をある程度引き継いだだけの二階堂先生だ」

二階堂「ただの人間が悪魔に逮捕される訳ないじゃん」

エルシィ「っ…お前……」



126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 15:17:02.23 ID:Q8rX6ddt0
ズバッ

ドサッ

二階堂「ふぅ…ようやく解放された」

エルシィ「くっ…」

二階堂「…何度も言ってるだろ」

二階堂「家族のケツ拭きを家族が請け負うなんて、万国共通の常識だろ」

二階堂「それに、お前が言った通り、私がお前に間違った就職先を選んでしまったのは事実だからな」

二階堂「教師とか上司とか、桂木家としてもそうだが」

二階堂「何より親としての責務がある」

二階堂「何がなんでも止めたかったし、止めれなくてもお前を正気に戻したかった」

二階堂「でも、甘い考えだったって…言ったよな、私」

エルシィ「ふ、ふざけるな!私がにーさまと愛し合うのがおかしいって言いたいの!?貴方達の価値観で勝手に私達を否定しないでっ!」

二階堂「違うよ、人に対しての愛情が芽生えたなら万々歳だ」

二階堂「ただ…惜しむらくは向く方向が間違っていたというか、やり方が間違っていたというか…」ポリポリ…

二階堂「まぁ…そういう事が大部分だったが当然私の思いはそれだけじゃない」

エルシィ「はぁ?」

二階堂「忘れたのか?」

二階堂「お前は私怨で私の数少ない親友に手をかけた」

二階堂「そんなの黙って見過ごす訳無ぇだろうが」パシッ

エルシィ「……ぁぅ」

二階堂「…っ」ポタポタ…

二階堂「怒りを通り越して、悲しくなったよ」

二階堂「私はお前をどうすればいいって本気で悩んだ」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 15:36:53.52 ID:Q8rX6ddt0
二階堂「だがさっきまでのお前の言い分を聞いて吹っ切れたよ」

二階堂「覚悟もできた」

二階堂「お前はこの場で、完全に、確実に、息の根を止めるべきだ」

エルシィ「ひっ…」

リューネ「あの〜…そろそろ殺りたいんすけど…」クルクルッ

リューネ「お喋りもういい?」パシッ

二階堂「ああ」

二階堂「言いたい事は終わりだ」

二階堂「どうぞ遠慮なく」

エルシィ「ちょ、ちょっと待ってくださいよ室長!私が死んだらにーさまが泣いて思わず自殺しちゃうかもですよ!ね!?」ググッ

二階堂「心配するな、私や白鳥で説得してみせる」

二階堂「あいつは馬鹿だが理解力と適応力はあるからな」

二階堂「できなくても何とかするさ」

エルシィ「そ、そうだ!私室長の為に色々ダイエットに使える物探してたんですよ!ちょっと見せたいのでちょっとだけ放してくださいよ!ね!?」

二階堂「問題ない。ここ最近働き詰めだったからな」

二階堂「もうくたくたのガリガリだ」

二階堂「ダイエットも何もしばらく何も喉を通らないだろ」

エルシィ「ねぇ、ちょっと…嘘ですよね?冗談ですよね!?室
二階堂「もういい殺れ、リューネ」

リューネ「了かーい」カチカチ…

ブンッ

エルシィ「いやっ…」









「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/11(水) 18:10:10.62 ID:QCUjmORqO
そういやタイトルからして黒幕は予想できたことだったんだな
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 20:37:43.77 ID:Q8rX6ddt0
ブルルル…

ビッピッ

「私です。ええ、後1分で着くので」ピッ

「はい、よろしくお願いします」

ピッ

桂馬「……もみじが運転中に電話なんかするなよ」

「仕方がないんです。私の指示無しには開けられませんから」

桂馬「開ける…?」

「ほら、あそこです」

桂馬「…こんな森の中の草原に噴水…?」

ギギィ…

桂馬「う、動いた…」

桂馬「穴から少し明かりが見えるぞ」

「隠し通路です。直通ですしこれなら安全に移動できます」

「他にもダミーも兼ねていくつか作っていますけどね」

桂馬「……あんたマジで一体なんなんだ…?」

「ふふ…あなたを助ける為とさっきから言っているでしょう」

「でなければなけなしの金を払ってまでこんな事はしません。というかできません」

桂馬「…」

「急ぎましょう。私有地ですし見つかる心配は無いと思いますが」

「一刻も早く私の屋敷へ行って詳細も話したいので」

ブルルル…
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 23:37:57.83 ID:Q8rX6ddt0
桂馬「……思ったより長いな」

「念の為少し遠い所に設置しましたからね」

「例え遠回りでも発見されにくい事を最優先にしているので」

「でも、もうすぐですよ。この調子なら後5分ちょっと

「っ!?」キキーッ

桂馬「うおあっ!?」ドッ

ドガアッ

桂馬「なんだ!?なんで止めた!?何の音だ!?」

「よく分かりませんがトンネルの上に何かやってきました」

「人間ではあり得ないスピードでこちらに近づいていた…」

桂馬「飛行機でも落ちてきたのか?」

「私もそう思いたいですけどね…」

カツ…カツ…

「どうやら違うみたいですよ」スッ

桂馬「おい…あんたそれ」

「ふふ、まぁ襲われたら使う余裕も無く殺されるとは思いましたが念の為」

桂馬「こんな所で手榴弾なんか使うなよ…」

「そういう時の為のトンネルでもあります」

桂馬「嘘だろ…」

カツ…カツ…

「……」

桂馬「…」




二階堂「くっ…」ヨロ…

「二階堂さん…」

桂馬「誰か抱えてるぞ…」

桂馬(頭にあるドクロ…エルシィとかハクアと同じ駆け魂隊か…?)

「うぅ…」ボロボロ…
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/11(水) 23:58:52.44 ID:Q8rX6ddt0
「彼女は確か…エルシィさんの友人のフィオーレさん、でしたか」

桂馬「2人共酷い怪我だぞ…」

「…」

ウィィ…

「どうされました!?二階堂さん!」

「エルシィさんの方は!?」

二階堂「…すまない、あと一歩の所でしくじった」

二階堂「あいつ、予め病室に爆弾を仕掛けていた…!」

桂馬「爆…え?」

「……」

二階堂「取り逃した上反撃にも遭った」

二階堂「悪いが私達を屋敷に連れて行ってくれ」

二階堂「無理ならこいつだけでもいいからそっちに乗せて治療してやってくれ!」

フィオーレ「ぅっ……」

「………」

桂馬「おい…ちょっと」

「…」

「仕方ありませんね」

二階堂「悪いな、助かる…それで
ガッ

キキーッ

桂馬「!?」

「逃げますよ桂馬君」グルッ

桂馬「逃げるって何言って…」

「いいから掴まって!」ググッ

ブルルル…

二階堂「あっおい!待ってくれ!おい!!」

二階堂「………」

ドサッ

フィオーレ「」ピクピク

ムクッ

フィオーレ「ハァ〜〜〜」パンパンッ

フィオーレ「なんでこう…皆、私とにーさまの邪魔をするんですかなぁ」

二階堂「私はただお兄ちゃんと仲良くなりたいだけなんだぞ」キリッ

二階堂「なんちゃって」

二階堂「……乗せろって言ったんですけど」

フィオーレ「戻る気なさそうですねぇ…」ポリポリ…
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/12(木) 00:29:39.01 ID:sovW88jI0
桂馬「どういう事だよ!なんで2人を置いてった!?」

「………」

「彼女、いや彼女達には数分おきに私の方に連絡をするように伝えてあります」

「最後に通知が来たのは20分前でした」

桂馬「じゃあ…あいつらは偽物だって事なのか?」

桂馬「忘れたか手が空かなかっただけかもしれないだろ!?」

「私も…信じたくはありませんでしたが」

「…さっき彼女、爆弾が仕掛けられているというような事言っていましたよね」

桂馬「あ…ああ、本当なのか、アレ」

「嘘に決まっているでしょう」

「さっきも言いましたが彼女はあなたの味方です」

「仮にも入院している病院にそんな危ない物を持ち出す訳ないでしょう」

「それに…二階堂さんの話ではそういう危険物から守る為に建物の内外に結界が張り巡らされていたと言っていました」

「そもそも意味が無い筈なんですよ…」ググッ

桂馬「それ……って」

「……そういう事です」

桂馬「いやどういう事だよ!さっぱりだよ!」

「そんな筈ないでしょう!?あなたは都合の悪い現実から目を逸らしているだけだ!!」

桂馬「……」

「…とにかくここから出ます」

桂馬「出て…屋敷に向かうのか?」

「いえ、多分…先回りされてますね。あれだと」

「さっき電話に出てくれた者も本物かどうか…」

桂馬「どうするんだ、それじゃ…」

「………」

ズドォッ!!

「!?」ガッ

桂馬「だっ!」ガッ

「くっ…」キキーッ…

ドガッ!

「がっ」ガッ
桂馬「うあ」ドッ

シュゥゥ…

桂馬「っ…今度は…なんだ………」チラッ


オオオオオ…

桂馬「………何…ぁ、れ…」

「……あれがいわゆる魔獣というやつですか…」

「レーダーには映ってませんね…」

「…それにしてもそこそこ深い所まで掘ったつもりですが」

「たった一撃で…」


133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/12(木) 17:52:16.86 ID:sovW88jI0
桂馬「冷静に解説してる場合か!」

桂馬「とにかくここから逃げ…」

カチャカチャ…

桂馬「…おい、どういう意味だコレ」パチンッ

「今の衝撃でエンストを起こしました」

「もう車は動かせません」

「君は今すぐ逃げなさい」

桂馬「あんたはどうするんだ」

「…ただ2人で闇雲に逃げてもすぐに追いつかれるだけでしょう」

「手榴弾1、2個じゃ心もとないですからね」

桂馬「待てよ、自分で何言ってるのか分かってるのか?」

「安心してください」

「たかが人間のおもちゃで悪魔が倒せるとは到底思えませんが…」

「これだけ大きな爆発でここを崩せば君を外へ逃がす位の時間は稼げる筈です」

桂馬「そ、外に逃げるって…何処に逃げれば外に出れるんだよ!?」

桂馬「万一出れたとしてその後どうすればいいんだ!?」

「……」

「このままさっきの入り口に戻るように道なりを進んでいけば、途中で隠している非常口に辿り着く筈です」

「このカードを持っていって下さい。それを読み込むと開くように設定されています」スッ…

「しばらく歩けば街に出ます…」

「私にできるのはここまでです」

ドガァッ

桂馬「…そんな…」

「…申し訳ありません」

「私が不甲斐ないばかりに…」

「10年前の借りを…ようやく返せると、そう思っていたのに…」ググッ

桂馬「10年前10年前って…なんで全員何かにつけて小学生の僕と因縁つけてるんだよ…」

桂馬「厄年か何かか?」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/12(木) 17:58:07.23 ID:sovW88jI0
ズオッ

「……桂馬君」

「いきなり無関係のおじさんが君に突っかかった上に面倒事を押し付けるのは筋違いだと承知の上でお願いしたい」

「もしあなたが生き延びて、余裕ができたらでいい」

「結さんと美生さんを是非護っていただきたい…」

桂馬「…何であんたはその2人を知ってるんだ」

「私の孫の友人…幼馴染なのでね」

「今や学校は違えど交流は未だに続いています」

「彼女達が亡くなれば…うららも悲しんでしまう」

桂馬「……あんたがいなくなればもっと悲しむぞ」

「ふふ…そうですね…」

「…そうかも、しれませんね」

ズシン

「行きなさい、桂馬くん」

「タイムリミットですよ」ズシン

桂馬「…っ…」ズシン…ズシン…

桂馬「くそ、くそっ、くそぉっ!!」ガンッ

桂馬「何がどうしてこんな事に…!」ガチャ

ダダッ

「…ありがとう、桂馬君」

「………」ズシンズシン…

「すまないうらら…」

「だが君はもう1人で生きていける」スッ…

「頼れるお友達を大事に、仲良くしなさい…」

ピンッ




135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 02:18:04.45 ID:fQS5XOhw0
桂馬「…一体僕は何を…」ダダッ

桂馬「エルシィは…何をしてるんだ…」

カッッ

桂馬「っ!?」

ゴオオッ

桂馬「うおあっ!?」ブオッ

ドッ
ガッ

ゴロゴロ…

桂馬「っ……てぇ……」ズキズキ…

桂馬「あいつ…本当に……」

ピシッ

桂馬「嘘だろ…」

桂馬「ヒビが入ってきた!」ダダッ

ズドォッ

桂馬「はっ…はっ…」

ガラァッ

ドド…

桂馬「待て待て待て」

桂馬「出口に着く前にここ崩壊しないか!?」

桂馬「瓦礫に埋もれて出れなくなりましたなんてクソみたいなイベント起こすんじゃないぞ…」ダダッ…

ズズンッ…
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 02:33:26.45 ID:fQS5XOhw0
桂馬「…はぁ…はぁ…はぁ…」フラフラ…

ドサッ

桂馬「駄目だ…少しだけ、休憩」

桂馬(崩壊が収まったのはよかったが…)

桂馬(全然着く気配が無い)

桂馬(車で数分走っただけの距離だが…)

桂馬(いくら歩いても同じ景色…)

桂馬「本当に非常口なんてあるのか…?」

桂馬「ここから入口まで後どの位なんだ…?」

桂馬「……」

桂馬「歩美…天理……」

桂馬「早く帰って、あいつらを助けないと…」ググッ

桂馬「それに…エルシィの奴、はっきりさせないと…」スタスタ…

ドガァッ!

桂馬「うがぁっ!?」ドサゥ

桂馬「ま、またトンネルが崩れ…」チラッ

桂馬「………う、そ…な…」

オオオオッ

桂馬「…後ろから足音なんか…」

ズシン…

桂馬「!?」クルッ

ズシン…ズシン…

桂馬「ぁ…か……」

桂馬(そんな…)

桂馬(こいつ…1体だけじゃないのかよ……!?)

桂馬「いつの間に先回り…」

桂馬「いや予めここに来るって分かってて…」

桂馬「挟まれ…」

ゴオッ

桂馬「っ!?」

ブオオッ…

桂馬(あ、おわた…)ガクッ






ズバァッ

桂馬「…………へ」

ゴオオッ

桂馬「うああおち、落ちる!?」ダダッ

ズドォッ

桂馬「ぐっ…」ズサァッ

桂馬「…腕が…斬り落とされた…?」

オオオオッ…
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 02:41:33.07 ID:l0EoecuGO
オオオオオッ!

ゴオッ

桂馬「またっ…!?」

「じっとしてなさい!」ゴオオッ

桂馬「え…」

ガッ

ズドォォッ!!

桂馬「……ほへ?」ゴオッ

「間一髪だったわね」

「後少し遅れてたらぺしゃんこになってたわよ、お前」

桂馬「ハ、ハクア…」

ハクア「……」

ハクア「来るの遅くなって、ごめんね」

桂馬「…いや、助かった」

ハクア「室長の命令で迂闊に動けなかったのよ」

ハクア「とりあえず安全な場所に移動するわよ、桂木」

ハクア「話はそれから」ゴオッ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/14(土) 09:17:04.88 ID:+CzdiRGZO
ハクア・ド・ロット・ヘルミニウムたんキター(゚∀゚ 三 ゚∀゚)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 16:20:11.23 ID:fQS5XOhw0
ハクア「ここはとりあえず大丈夫そうね」ゴオッ

フッ

ハクア「ふぅ」トッ

ハクア「ほら」ドッ

桂馬「ぶっ」

桂馬「くっ…隣町にまでやってきたのか…」ムクッ

ハクア「まぁちょっと歩けばさっきの化け物の1体2体が見えてくるし…」

ハクア「ここら一帯はもう敵の巣窟になってると言っても過言じゃないわね」

桂馬「…こんな所まで」

桂馬「その割にはさっきみたいに建物が破壊されたりしてないが…」

桂馬「…というか皆普通に外出てるよな…」

ハクア「この付近の人間全員に錯覚魔法を使ってるのよ」

ハクア「街が特に異常無いのは…なんでかしらね」

ハクア「少なくとも単に街を壊すのが目的に動いてる訳じゃなさそう」

桂馬「…」

ハクア「…こんな滅茶苦茶な事、私はおろか悪魔や天使の中で出来る奴が居るかどうか…」

ハクア「複数犯ならまだ考えられない事もないけど」

ハクア「桂木、何があったのか私に詳しく教えなさい」

桂馬「そりゃこっちの台詞だ」

桂馬「なんで僕の居る位置が分かった」

桂馬「お前…この数週間何してた」

ハクア「………」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 19:05:05.25 ID:fQS5XOhw0
ドクロウ『お前には今後一切の外出を禁ずる』

ハクア『はぁ!?ちょ…何いきなり言い出してるんですか室長!?』

ドクロウ『駆け魂狩りは中断だ。どうせお前達のやり方は時間かかるしお前はほとんど関わらないから問題無いだろう』

ドクロウ『買い物も禁止。なるべく雪枝さんに頼んで済ませろ』

ドクロウ『とにかく外に出るな』

ハクア『ちょちょちょ…ちょっと待ってください!』

ハクア『なんでいきなりそういう話になるんですか!?』

ハクア『私何かやりました!?』

ドクロウ『別に』

ドクロウ『ほら、あれじゃ、巷で噂の感染症』

ドクロウ『かかるといかんから外出禁止令発令したの』

ハクア『は、はぁ…よく分からないですけど』


ドクロウ『それと…』

ドクロウ『この通話が終わり次第連絡網は全て絶て』

ハクア『!?』

ドクロウ『誰にも連絡を取るな、誰からの電話にも応答するな』

ドクロウ『当然ノーラやエルシィにもだ』

ドクロウ『言っとくが私に再度連絡するのも無しだ』

ドクロウ『今言った事忘れちゃいました〜なんて抜かしてきたら即懲戒処分なんでそのつもりで』

ハクア『ひへぇ!?』

ハクア『いや…それじゃ私はいつ動けるようになるんですか』

ハクア『誰とも通信できないんじゃいつ動き始めていいのか知りようが無いじゃないですか』

ピッ

ハクア『っ…これは……座標?』

ドクロウ『そいつに目を光らせておけ』

ドクロウ『詳しくは言えんが…ある車に付けている発信機だ』

ハクア『はぁ…あ、消えた』スッ…

ドクロウ『センサーにそれが表示されたら、とにかくその動きを観察しろ』

ドクロウ『表示が消えて、私からの通知が来れば良し』

ドクロウ『1分経っても何の反応が無い場合は…』
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 19:51:34.18 ID:fQS5XOhw0
ドクロウ『すぐにその反応が消えた所へ向かえ』

ドクロウ『多分探すまでもないとは思うが…異変があるはずだ』

ドクロウ『その周辺に眼鏡をかけた馬鹿が居るようなら悪いが回収しておくれ』

ハクア『は、はぁ…眼鏡…』

ハクア『………それって…』

ドクロウ『本当はあいつに直接発信機をつけてやりたい所だがそういう訳にもいかないしな』

ハクア『……室長…あなた一体何を…』

ドクロウ『無事捕まえられたらすぐにこっちに戻ってこい』

ドクロウ『すぐにだ、寄り道もするな』

ドクロウ『私からはここまでだ。これ以上長話する時間も余裕もないなでな』

ハクア『待ってくださいよ室長!あなた…何か
隠してるでしょ!?』

ハクア『ノーラやエルシィに…桂木に何かあったんですよね!?』

ハクア『ちゃんと説明してください!!』

ドクロウ『断る。お前はこの件について詮索するな』

ドクロウ『いいな』

ハクア『いい訳ないでしょ!?確かに色々ムカつく所はあるけどあいつらは私の…』プツッ

ツー…ツー

ハクア『くそっ!』ガンッ

ハクア『どういう事よ…』




ハクア「そんな感じの会話をしたのが、2週間くらい前」

ハクア「私は言われた通り、家から出ず雪枝以外の誰とも接触をしなかった」

ハクア「……本当はエルシィから電話あったから出たかったんだけどね」

桂馬「っ……あいつ、連絡するなって言ったのに…!」

ハクア「それでついさっき位置情報がまた表示されてきて、しばらくしたら消えて…」

ハクア「何も連絡が来ないから…まさかとは思ったけど」

ハクア「外に出たらさっきの化け物が徘徊してて…」

桂馬「…そいつらを躱しながら僕の所にやってきたと」

桂馬(ついさっきって…ちょっと前まで車は走ってたんだぞ?)

桂馬(走行中に発信機を付けられた…?いやいや…そんな事……)

桂馬(……まさか病院に来た時既に…)

桂馬「あいつら…こうなる事を見越して…」

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 21:41:52.54 ID:fQS5XOhw0
ハクア「…桂木、お前の身に….エルシィに一体何が起こったの?」

桂馬「………ハクア、お前」

桂馬「僕とエルシィ、どっちが信用できる?」

ハクア「はぁ?それがどうして…」

桂馬「いいから答えろ」

ハクア「…」

桂馬「…」

ハクア「………っはぁぁ…」ポリポリ…

ハクア「そんなの、エルシィに決まってるじゃない」

ハクア「…って本人を目の前にして言える程私が無神経な女に見える?」

桂馬「おう」

ハクア「」

桂馬「まぁ悪魔だし」

ハクア「」

桂馬「がさつだし」

ハクア「」サラァ…

桂馬「それでもお前を信用してなきゃ今みたいな質問すらお前なんかに投げかけないだろ」

ハクア「……」ムクッ

桂馬「僕はお前を信じる」

桂馬「だからせめて、今だけはお前も僕を信じろ」

ハクア「……でもお前を信用して、エルシィを信じないって意味分からないわよ」

ハクア「どういう事なの」

桂馬「…っ…」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/14(土) 23:47:56.19 ID:fQS5XOhw0
ハクア「えっと…話をまとめるわよ」

ハクア「数日前からお前が手玉に取った人間達が殺され始めて」
桂馬「手玉」

ハクア「残っている女の子を守ろうと身体を張って死守していたら」

ハクア「なんやかんやあって黒幕はエルシィだったと判明したと」

ハクア「合ってる?」

桂馬「うん」コクリ

ハクア「うんじゃねーよこのすけこまし!!」バキッ

桂馬「すけっ!」ドサッ

ハクア「別に!今までそう思ってなかった訳じゃないけど!どうやらお前の目は本当に究極的に節穴だったようね!」ガッ

ハクア「そんなやばい事をエルシィが平然とやってるとお前は本当にそう思っているの!?」ブンブン

桂馬「い、いや…だって今の話とお前の話すり合わせたらそうとしか考え…」

ハクア「だってクソもあるかぁ!」ブンブンッ

桂馬「うおうあうい」

ハクア「考えてもみなさい!」

ハクア「あののほほんと馬鹿面下げてるあの人畜無害の頭お花畑のどこに殺しのこの字でもいろはでも見あたるの!?えぇ!?」

桂馬「フォローにしてもけなしすぎだろ…」

ハクア「とにかく私にはエルシィがそんな事するとは到底思えないわ!」

桂馬「お前って本当無神経な女」

ハクア「……けど…」

ハクア「室長は誰とも連絡を取るなって…」

ハクア「エルシィとも接触するなって言ってたし…」

桂馬「もうその時点で分かってたんだろうな」

ハクア「…本当に、エルシィが…」

ハクア「でも…なんで」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/08/15(日) 00:13:04.01 ID:HChTNror0
桂馬「まぁ、よく分からないよな」

桂馬「僕が狙いじゃないならなんであいつらをエルシィが殺したんだ?」

桂馬「女神狩り…ならどうせここまで派手にやらかすなら最初から僕を脅すなりして奴らを誘き寄せる方法もあったのに…」

桂馬「そもそも僕は何故生かされてるんだ…」

ハクア「……」ジィィ

桂馬「な、なんだよ」

ハクア「…お前、本当に分からないの?」

桂馬「そ、そりゃ…よく分からないだろ」

桂馬「情報も少ないし」

ハクア「ふん」ゲシッ

桂馬「いだぁっ!?」

ハクア「ふんふんふん」ゲシゲシッ

桂馬「いたいいだなんで!?」

ハクア「べっつに〜?」

ハクア「落とし神(笑)の癖にそんな事も察せないのか〜って馬鹿にしただけー」

桂馬「なに…を、分かったような口を…」グググッ

ハクア「……なんで真っ先に私を狙いに来ないのよ…」チッ

桂馬「あ?」

ハクア「何でも無いわよ!!」

ハクア「でもまぁ…腑に落ちたというか、何というか」

ハクア「すっきりはした…気がする」

桂馬「待て待て僕にも分かるように説明しろ」

ハクア「それ位自分で考えなさい鈍感神」

桂馬「えぇ…」

桂馬「お前さっきから言ってる事滅茶苦茶だぞ」

ハクア「お前にだけは言われたくないわ」

ハクア「まぁ…そうね。お前の身はある意味絶対安心だとは思うけど」

ハクア「面倒くさい事になってるのは間違いないわね」

ハクア「とにかくここで道草なんか食ってる場合じゃないわ」

ハクア「早く冥界に逃げるわよ」

桂馬「冥界…地獄か」

桂馬「死んでないのに人間が地獄に行けるのか?」

ハクア「普通はいけないわ。法的にも本来存在を認知されてはいけないとされてるから連れて行ったりなんかしたらただじゃ済まないわ」

桂馬「それじゃどうやって…」

ハクア「どうも何も裏のルートを使うしかないじゃない」

145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/15(日) 00:28:37.61 ID:6yvW0Vwvo
神にーさま振り回されっぱなしだけど、ヤンデレやサスペンス系のギャルゲやってないんだな
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/15(日) 01:30:11.84 ID:DMxgPdoYO
リアルには慣れてないんだろうきっと
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 01:55:46.13 ID:HChTNror0
undefined
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 02:18:23.67 ID:HChTNror0
桂馬「裏ルート…そんなのあるのか?」

ハクア「詳しくは言えないけど、冥界のゴミ捨て場から侵入するのよ」

ハクア「出る場合そこから落ちてそのまま進めばいいだけだから楽なんだけどね」

ハクア「今回は上に上がらないといけないから誰かに引き上げてもらう必要があるわ」

桂馬「引き上げる…?飛べばいいんじゃないのか?」

ハクア「…ゴミはね、地獄の下に落とせば勝手に消えちゃうの」

ハクア「新地獄は元々、アルマゲマキナで崩壊した旧地獄の上に作られたの」

桂馬「!…あの、ディアナ姉妹が封印したとかいうアレか」

ハクア「当時程の影響力は残ってないけど今もその名残りは残っていて」

ハクア「物や植物は勿論、私達悪魔でも10分以上居て生きていられるかどうか…そんな空間よ」

ハクア「人間界に例えるなら核兵器の被爆地跡とでも言えば分かるかしら」

桂馬「そんな放射線まみれの危ないルート、尚更通れるのか?」

ハクア「ある程度残留魔法を遮断してくれる防護服があるらしいから私がそれを着て小舟を漕いで合流ポイントまで行くわ」

ハクア「それでも数分間しか効かないみたいだけど」

ハクア「お前は多分私達より耐性が無いと思うから舟に積んであるシェルターに身を潜めてなさい」

桂馬「皆、そこまで…」

ハクア「礼を言うなら室長にしなさい」

ハクア「今言った道具の用意も、私達を引き上げてくれる人も、その後の身寄りも全部室長が手配したって話なんだから」

ハクア「部下や知り合いに法を破るような協力者を募るなんて正気の沙汰じゃないわよ」

ハクア「説得にせよ買収にせよ相当手間がかかったでしょうね」

桂馬「…」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 02:36:09.19 ID:HChTNror0
桂馬「おい待て」

ハクア「?」

桂馬「今身寄りがどうとか言っていたが…」

ハクア「そりゃそうでしょ。お前は本来地獄に存在してはならない種族」

ハクア「隠れて生活する他無いわよ」

桂馬「その場合、僕は流れに身を任せるだけでいい」

桂馬「お前は…どうするんだ」

ハクア「…どうするも何も」

ハクア「駆け魂隊には残ってられないし、私も抜けて隠居するしか無いわよね〜」

桂馬「え」

ハクア「すぐには密入国の事についてバレないだろうけど、足がつく可能性が0じゃない以上長居するのは私にとってもお前にとっても危険じゃない」

ハクア「どうせいつか追われる羽目になるなら早めに逃げるに越した事は無いし?」

ハクア「それにその後も私が駆け魂隊と繋がっていたら、すぐにエルシィが嗅ぎついてくるわよ」

桂馬「…確かに」

ハクア「…まぁ、とどのつまり」

ハクア「お前と駆け落ちする…って事になるのかしらね」

桂馬「……いいのかよ、それで」

ハクア「今更そんな質問するの?」

ハクア「確かにエルシィを裏切るようでやるせないし…」

ハクア「職もなくなるし」

ハクア「肝心の駆け落ちの相手がこんな冴えない男じゃ萎えちゃうし?」

桂馬「おい」

ハクア「…それでも、私にとって分相応な選択だと思う」

桂馬「…そんな事、無いだろ」

桂馬「お前は僕なんかで人生を滅茶苦茶にされる必要なんか…」

ハクア「……だから言ってんでしょ」

ハクア「お前には私の人生滅茶苦茶にする権利があるって」

桂馬「………」

ハクア「………はぁ…」

ハクア「とにかく!時間が無いって言ってるでしょ!」

ハクア「さっさと地獄…
桂馬「駄目だ」

ハクア「へ…?」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 14:47:15.52 ID:HChTNror0
桂馬「今のお前の言葉を聞いて決心がついた」

桂馬「僕はここに残る」

ハクア「はぁ!?お前、この期に及んで一体何を…」

桂馬「エルシィの狙いは僕なんだろ?」

桂馬「それじゃ僕が地獄に逃げたら、今度はお前やそっちの奴らが危険にさらされるかもしれないだろ」

ハクア「それは…そうかもしれないけど!」

ハクア「私達悪魔は戦える!ちょっとやそっとじゃ倒れない」

ハクア「何なら天使と協力して第二第三のアルマゲマキナを起こす事だってできる!」

ハクア「あいつをどうにかして止める方法なんていくらでもあるのよ!」

ハクア「でもここに居座らせたら手が出せない!」

ハクア「それこそお前の友達や家族の身が…」

桂馬「でも逃げたら真っ先に狙われるのもお前らじゃなくてそいつらだろ!」

ハクア「…」

桂馬「僕を誘き寄せるか、腹いせか…」

桂馬「いずれにせよ今まで躊躇なく僕の攻略対象を殺してきた奴がいいカモぶら下げてるのを手を出さずにこっちに来てくれると思うか?」

桂馬「僕は家に戻る」

桂馬「それからできる限りまだ生きている皆を連れて逃げる」

ハクア「家に戻るって…ふざけるのも大概にしなさいよ!?」

ハクア「次にエルシィが1番狙ってきそうな場所じゃない!?」

ハクア「他の女の子の家だってそう!」

ハクア「お前はただでさえ友達が少ないんだから次に来る場所なんて馬鹿なエルシィでもお前をよく知らない私でも目星がすぐつくわよ!」

ハクア「あいつが待ち伏せしてるに決まってる!!」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 15:08:16.19 ID:HChTNror0
桂馬「…だからって母さんやあいつらを見殺しにはできない」

桂馬「母さんは急にいなくなって心配するだけならいいが」

桂馬「昔のツテを使って変な行動を取りかねないから怖いし」

桂馬「美生や結…他の奴らも、残ってる女神達がこの惨状に黙ってる訳が無い」

桂馬「放っていたら絶対に対立が起こる…そして確実に殺される」

桂馬「そうなる前にあいつらに説得して一緒に逃げてもらわないと」

ハクア「…お前、さっきからまだ皆が生きている前提で話しているけど」

ハクア「そう言える根拠とか道理でもあるわけ?」

桂馬「っ…」

ハクア「昨日まで全員普通に登校してたっていってたけど」

ハクア「お前が寝てる間襲われなかったって確証はあるの?」

ハクア「それにそいつらが本物だってどうして確信できるの?」

ハクア「昨日一緒にご飯を食べた家族が偽物かもしれないのよ?」

桂馬「…それは……」

ハクア「ありもしない可能性に縋って、自分の身を滅ぼすなんて…」

ハクア「そんな勝手、私が許さない」

ハクア「嫌でも私が無理やり…
桂馬「嫌だ」

ハクア「…桂木……いい加減に…」

桂馬「もうこのタイミングを逃したら、その縋れる可能性すら失っちゃうんだよ!」

桂馬「2度とあいつらを助けられなくなる」

桂馬「2度とエルシィを元に戻せなくなるんだよ!」

ハクア「お前…そんな事…」

桂馬「…その上お前の人生を壊して…」

桂馬「今後ここで出たであろうゲームにも拝めないまま…」

桂馬「僕はそこまでして何を理由に生きていけばいいんだ?」

ハクア「……ゲームなんてあっちでいくらでも買えるわよ」

桂馬「もう、やり直しはできない」

桂馬「このゲームはセーブデータが作れないクソゲーだ」

桂馬「何人も見殺しにした癖に今更こんな虫がいい事言う資格なんて無いけどな」

桂馬「僕が目指してるのは、皆が幸せなハッピーエンドだけなんだよ」

桂馬「そんな後味の悪いなぁなぁバッドエンディングなんか、死んでもごめんだね」

桂馬「皆助けるし、エルシィも止めるし、お前だって犠牲にはさせない」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 15:30:03.46 ID:HChTNror0
ハクア「……」

桂馬「だからいい。ここまでしてもらって本当に悪いと思うけど」

桂馬「僕はあいつらを置いていけない」

桂馬「安心しろ。前やったクソゲーでもこういう鬱展開やシリアスはいくらでもあった」

桂馬「いつもと同じ要領でやれば…」

ギュッ

ハクア「……」

桂馬「…離せよ、動けないだろ」

ハクア「死んじゃうかもしれないんだよ?」

ハクア「いや…桂木の言う通り死んだ方がマシだったなんて事になる場合だって…」

ハクア「それでも…行くの?」

桂馬「…ああ、行かなきゃ」

桂馬「皆や……エルシィが待ってる」

ハクア「………」

桂馬「もういいだろ、とにかく僕は早く…」

ハクア「3分…いや5分、5分よ!?」ズイッ

桂馬「!?」

ハクア「家なりどことなり連れていくから勝手に探せばいいわ!」

ハクア「見つけたらそいつも地獄へ逃してあげる!」

ハクア「それで文句ない!?」

桂馬「…ハクア…」

ハクア「ただし、シェルターに入れる人も、時間も、余裕も限られてる!私だってそんな危険な場所行きたくないし行かせたくない!」

ハクア「助けるなら1人までよ」

ハクア「それが私が許せる最低の妥協ライン」

ハクア「これ以上は譲れないわよ」

桂馬「…でも僕は」

ハクア「はいか!いいえか!どっちかで答えなさいよ!!」

ハクア「最後のチャンスよ、次答えないようならお前を見捨てて私だけ逃げるから」

桂馬「…」

ハクア「…っ…」グスッ

ハクア「私は…ただ……桂木が心配で…」

桂馬「……」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/15(日) 18:39:29.94 ID:HChTNror0
桂馬「ごめん」

桂馬「ハクアがそこまで本気で僕を助けようって思ってもみなかったから」

桂馬「お前の気持ちを汲んでやれてなかった」

ハクア「…」ゴシゴシ…

桂馬「頼む…僕を母さんの所へ連れてってくれ」

桂馬「他の奴らの事はお前らに任せる」

桂馬「だから…」

ハクア「……ちっ、分かったわよ」

ハクア「契約成立ね…なんて」

桂馬「………あ!」

桂馬「そういえば僕、エルシィと契約したままだけど、どうなるんだ!?」アセアセ…

桂馬「首飛ぶのか!?」

ハクア「ぷっ…また今頃そんな要らん心配を…」スッ

フッ

桂馬「あっ…消えた」

ハクア「室長の仕業ね。まぁ当然と言えば当然だけど」

ハクア「これでお前はエルシィとの契約を完全に破棄された訳」

ハクア「半ば強制的にだけど」

桂馬「…」

ハクア「なぁに?何か不満?」

桂馬「……いや」

桂馬「何なら契約結んだまま逃げておけば自爆して道連れにできたんじゃ…」

ハクア「おい」バキッ

桂馬「おろ」ドサッ

ハクア「さっきまでの話をまた蒸し返す気か」

桂馬「悪い…」

ハクア「第一あいつのやってる事考えると首吹っ飛ばした位でくたばりそうにないけど」

桂馬「…それもそうだ」

ハクア「ほら、行くわよ」ギュッ

ハクア「お前の家に行って、お義母…もといお母様を連れてとっととトンズラよ!」

桂馬「ああ」グッ

ゴオッ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/15(日) 21:28:51.97 ID:Oh8yaBcHO
最後ハクア本音が漏れとるw
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/16(月) 16:33:13.99 ID:bNqcRX0h0
ゴオッ…

桂馬「曇ってきたな…」

ハクア「今にも降ってきそうな感じね」

ハクア「さっきから全然あの化け物達とも遭遇してないし…妙に静かだし」

ハクア「完全に、嵐の前の静けさってやつだわ」

桂馬「……なぁハクア」

ハクア「なぁに、桂馬」

桂馬「…いやお前桂馬て…」

ハクア「べ、別にいいじゃない!呼び方なんてどうでも…私の勝手でしょ!?」

ハクア「成り行きとはいえお前とバディになった訳だし?実感を湧かせる為というか、ケジメをつける為というか…」

桂馬「………いや」

桂馬「お前二股はやばいだろ…厳密には僕とお前はパートな
桂馬「へぶ!?」バキッ

ハクア「っさいわね馬鹿桂馬!!黙ってろ!」

桂馬「酷ひ」

ハクア「…で、何よ。さっさと本題に入りなさい」

桂馬「……ノーラは…他の駆け魂隊はどうした」

桂馬「お前と同じように待機していた奴らとか居ないのか?」

ハクア「さぁ…」

ハクア「お前の所に行くまで試しに何人か電話を掛けてみたけど、誰も反応無かったわ」

桂馬「………」

桂馬(…つまり、二階堂とあのおっさんはこいつらの上司と結託して)

桂馬(駆け魂隊と協力してエルシィを押さえ込もうとしたって事か…)

桂馬(なんで二階堂やおっさんが地獄の事情に詳しいのか)

桂馬(逆になんでたかが2人の人間の話をすんなり聞き入れて冥界の上層部は手を貸しているのか…)

桂馬(…それにハクアだけ手伝わせなかったのはなんでだ?)

桂馬(万が一失敗した時の為の保険?)

桂馬(ハクアは強い…こんな面倒事の後片付けなんかに回す位なら最前線に立たせた方が上手く行く可能性も高かった…)

桂馬(くっ…やっと繋がったと思ったらまた謎が増えた…)

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 03:19:23.32 ID:7jHPKYe80
トタッ

ハクア「着いたわよ」

桂馬「…周りには誰も居ないな…」キョロキョロ

ハクア「見えなくても近くにいるつもりで行きなさいよ」

ハクア「今のあいつなら何しでかしてもおかしくないんだから」

桂馬「ああ…」

スタスタ…

桂馬「鍵は…開いてるな」

ハクア「くれぐれも音立てないようにね」ボソボソ…

桂馬「分かってる」ボソッ

カチャ

ギ…ィィ…ィ…

桂馬「…母さん、居るか…?」

シーン

桂馬「………電気は消えてるな」

ハクア「…とりあえず居間に行ってみましょ、居間に」

桂馬「……」スタスタ

ハクア「……」スタスタ

カチャ

桂馬「………」チラッ

桂馬(カーテン閉まってるせいでほとんど何も見えないぞ…)

スタスタ

ハクア(結界は…パッと見た感じ張られて無さそうだけど)

桂馬「母さん…何処いった…」キョロキョロ

トントン

桂馬「?何だハクア」

ハクア「え?私は何も…」

桂馬「は?だって今…」クルッ


カッッ
麻里「クビキルゾ…」ギロリ

ハクア「ギャァァァァイアイアウアァアッ!?」ダキッ

桂馬「か、母さん!」


157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 03:45:14.24 ID:7jHPKYe80
麻里「いやーごめんごめん。てっきり今噂の殺人魔でも侵入したのかと思って」

麻里「まさかハクアちゃんが来てるとは…」

ハクア「あぁ…ぃえ…その…はぃ…」ガクガク

桂馬「いい加減こっちに寄りかかんのやめろよ…」

麻里「長い事点検する所かロクに掃除もしてなかったもんだからさ〜」

麻里「蛍光灯が全滅しちゃったぽいのよ」

桂馬「それで電気がついてなかったんだな…」

麻里「急いで代え探したんだけど流石に全部取り替えられる位の予備無くて家の中大捜索したの」

麻里「まぁ出る暇は無かったと思うけどインターホン鳴らさずにこっそり入ってくる桂馬とハクアちゃんだって悪いんだからねぇ?」

ハクア「は、はひぃ!」

桂馬「…でも良かった」

桂馬「とりあえず無事そうで、何よりだ」

麻里「…?」

桂馬「急で悪いけど母さん、連れて行きたい所があるんだ」

桂馬「すぐに出かける準備はできるか?」

麻里「えやだ…何々、今日母の日でも私の誕生日でも無い筈だけど」

桂馬「そういうのいいから、出れるの?出れないの?」

麻里「え〜出れるけどまだ蛍光灯直せてないし…折角お友達が来てくれたならお茶の一杯や二杯位…」

麻里「ハッ…まさかあんた…ハクアちゃんを孕ませ
ハクア「」ブゥゥゥ

桂馬「出れるか出れねーか聞いてんだろーが!」

ハクア「げほっ…げほっげほっ!」

桂馬「第一現実女なんかに大事な僕の純潔を汚させてたまるか!!」

ハクア「」ガーン

桂馬「そういう話をしに来たんじゃないんだよ!」

桂馬「蛍光灯だって帰ってからいくらでも直せるし直してやるから!」

桂馬「とにかく最低限出掛けられる格好にしてくれ!頼むから!」グイグイ

麻里「えー…何コレドッキリ?やだすっごい気になるんだけど」

桂馬「だーくそくどい!早く着替えてくれ!」グイグイ



158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 04:17:54.36 ID:7jHPKYe80
undefined
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 04:18:43.58 ID:7jHPKYe80
麻里<ふんふふんふーん♪

桂馬「…ふぅ…どうにか連れ出す段階までは漕ぎ着けたな」

桂馬「後は何事も無く逃げられればいいんだが」

ハクア「どうかしらね」

ハクア「今の時点でまだ何も仕掛けてこないのが逆に怖いんだけど」

ハクア「正直お前の話を聞いてるとそこに居るお義母様も本物か怪しい所だわ」

桂馬「お前なぁ…」

ハクア「蛍光灯云々の話も少しきな臭いわ」

ハクア「安心するにはまだ早いわよ」

桂馬「…」

桂馬「…とりあえず、僕は部屋整理して使える物とか探してくるから」

ハクア「待ちなさい、私も行くわよ」

桂馬「いや、いいって…そこまでして欲しくないし」

ハクア「この状況で単独行動を取るのがどれだけ危険か分かってるの?」

ハクア「何?それとも私にお前の部屋に入って欲しくない訳?うん?」

桂馬「別にそういう事じゃなくてだな…」

ハクア「…ま…まさかお前、部屋からえ、ええええっちな本とかビデオとかゲームを持ち込むんじゃないでしょうね!?」

桂馬「だからなんでそうなるんだよ!?お前こそ緊張感持てよ!時間無いんだってば!」

ハクア「るっさい!お前の所持品なんてどうせ9割方ゲーム関連でしょ!?」

ハクア「どうせロクなもんなんて部屋に置いてる訳ないわ」

桂馬「ろ、ロクなもんって…お前まるで僕が持ってるギャルゲーコレクションがロクでもない物だとでも…?」

ハクア「まさかも何もいつも言ってんでしょうが!このたらし神!」

桂馬「お前…マジで……」

桂馬「さっきからテンションが不安定過ぎなのマジ何なの?」

ハクア「こっちはさっきから何度も何度もちびりそうな怖い思いしてる上にお前に心無い言葉を幾度となくかけられてとっくに精神ボロボロなのよ!」

桂馬「とりあえず落ち着けよ…なんで怒ってるのかよく分からんが」

ハクア「どうせ私みたいなまな板には興味出したくても出ないんでしょう!?」プイッ

ハクア「はいはい発育が良くなくて悪うございましたね」ベロベロベー

桂馬「もうやだこのバディ」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 04:27:53.90 ID:7jHPKYe80
ピンポーン

ハクア「!」

桂馬「…誰だ」

麻里「あ、ごめーん!多分それ昨日通販で頼んだやつだわ」

麻里「桂馬ー!ちょっと代わりに出て!」

桂馬「え〜」

桂馬「…このタイミングってあからさま…」

ハクア「多分そうでしょうね…」

桂馬「どうする?」

ハクア「…行くしかないでしょ、無視したら多分殺される」

桂馬「無視しなくても殺されそうだがなぁ」

ハクア「2人で玄関に出るわよ」

ハクア「さっきも言ったけど今バラバラに動いたら危険よ」

ハクア「私に掴まってなさい」ギュッ

桂馬「…色んな意味で恥ずかしいんだが」

ハクア「っ…が、我慢しなさい」

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 17:58:34.35 ID:7jHPKYe80
ピンポーン

桂馬「…」スタスタ…

ピンポーン

ハクア「……」スタスタ

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

桂馬「っ…今出るっての」ガチャ

ヒュウウ

桂馬「…居ない」

ハクア「ご丁寧に荷物だけ置いていってくれてるわ」

桂馬「どうする、とりあえず中に入って中身確認するか」

ハクア「開けた途端爆発したりしたらどうするのよ」

桂馬「そんな危ないモノここに届けられた時点でアウトだろ」

桂馬「放置するのも危険かもしれないし…」

ハクア「……ここで一度見てみるわ、外だし」

ハクア「何かあれば最悪お義母様を放ってでもすぐに逃げるわよ」

桂馬「……分かった」

ハクア「お前は周囲を警戒して」

桂馬「……」クルッ

ハクア「…開けるわよ」ゴクリ…

ビリビリッ

ハクア「……?」スッ
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 18:01:23.94 ID:7jHPKYe80
桂馬「何だった」キョロキョロ

ハクア「……よく分からないけど、変な柄の箱」

ハクア「ただ、何処かで見た事があるようなないような…」

桂馬「はぁ…そう」キョロキョロ

桂馬「そいつも開けてみるしかないな」

ハクア「う、うん」ドクドク…

ハクア「…」パカッ

ハクア「………」チラッ

ハクア「っ!」ビクッ

桂馬「おい、中身はな」
ドンッ

桂馬「ぃっ?」ドサッ
ハクア「早く離れ
ドガァアッ…

桂馬「…っ」

ズドオオッ

桂馬「…」ズキズキ…

バキィ…

桂馬「ぅ」ボーッ

ドガッ
「け…ま……て」ズッ
ミキッ

桂馬「…クァ…」

ガクッ



163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/17(火) 20:33:04.94 ID:7jHPKYe80
「…ぎ……つ ぎ、かつらぎ…」

桂馬「……ぅ…ん」

ハクア「桂木!!」

桂馬「っ!」ガバッ

桂馬「はぁ…はぁ……」

ハクア「良かった…気がついた…」

桂馬「ここは…家の中……」

ハクア「お前、さっき襲われて危うく死にかけたのよ?」

ハクア「まぁ私が追い払ってやったけどね」エッヘン

桂馬「?そ…そうか、ありがとう」

桂馬「…家は、何ともないのか?」

ハクア「外に出てたのが幸いしてね、ちょっと屋根壊れちゃったけど…」

桂馬「そうか…そう、だったっけ」

桂馬(さっきもの凄い轟音が出てたと思うんだが…)

桂馬(気のせいかな…)

桂馬「そういえばハクア、結局あの箱何だったんだ…」

ハクア「あー…いや…」ポリポリ

ハクア「さっき慌てていて、多分壊れちゃった」

桂馬「壊れたって…」

ハクア「踏まれてぺしゃんこになってると思う」

桂馬「えぇ…」

ハクア「まぁでも特に何か入ってた訳じゃないし別にいいかなって…」

桂馬「…そ、そう…か?」

桂馬(え…?)

桂馬(さっき開けた途端血相変えて叫んでたよな…?)

桂馬(箱の中にヤバい物が入ってて焦ったんじゃ…)

桂馬「……???」

ハクア「頭でも打ってきっと気が動転してるのよ」

ハクア「ここじゃ休めないし、部屋で少し横になったら」ギュッ

桂馬「いやでも早く行かないと…時間押してるし母さんももう準備終わってるだろ?」

ハクア「いいからいいから」グイッ

桂馬「ちょっと待てって…」

桂馬「……お前、なんか…その」

桂馬「さっきまでと手の握り方違くないか?」

ハクア「えぇ?」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/18(水) 00:57:51.99 ID:yeB7/adN0
ハクア「何言ってんのよいきなり…お前、女の子に握られる度に感触を楽しんでるなんて本当にいやらしい奴ね」

桂馬「いや…冗談じゃなくて…」

桂馬「さっきよりも優しいというかなんというか…」

ハクア「何?握りつぶすつもりでやれば良かったの?」

桂馬「そうは言ってないわ」

ハクア「はぁ…やっぱりお前おかしいわよ、ちょっと頭冷やした方がいいわ」ズルズル

桂馬「待てっておい!」ググッ

ハクア「うるさいわね桂木!こっちはお前の心配をして…」

桂馬「……お前今なんて呼んだ」

ハクア「え?いや…桂木って…」

桂馬「なんで…名字で…」

ハクア「え?いやいやいやいつもこの呼び方でしょ?私」

ハクア「???」

桂馬「…お前、誰だよ…」ググッ

ハクア「誰って…ハクアよ!知ってるでしょ!?」

ハクア「お前の友達で…」

ハクア「でもってエルシィの大親友っ」ニコッ

桂馬「………っ……」

ハクア「どうしたの?桂木…顔色悪いわよ?」

ハクア「もしかして急に動いたから気持ち悪くなっちゃったのかな」

ハクア「ご、ごめんね…そこまで気を遣ってあげられなくて」

桂馬「別にそんな…それよ…

ビュッ

桂馬「ぅおっ」キュッ

ハクア「ふふ…」

ハクア「これで…動く必要は無くなりましたよね?お兄さん」

桂馬「っ!?」

ハクア「なーんて、にーさまがこの間やっていたギャルゲーでハクアと物凄く声が似ているヒロインが居たので」

ハクア「つい真似しちゃいました」テヘッ

桂馬「お…ま、ぇ…」

ハクア「さ、にーさま」

ハクア「部屋でエルシィが待ってるわよ」

ハクア「早く行ってあげましょう?」ニコッ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/18(水) 12:56:14.25 ID:lAXGnzK8O
ガチャ

桂馬「…」

エルシィ「おかえりなさい、にーさま」

桂馬「エルシィ…お前……」

エルシィ「怪我はありませんでしたか?私心配で心配で…」

桂馬「そんな事どうでもいい!」

桂馬「ハクアは…母さんはどうした!?」

エルシィ「……また別の女の話、ですか…」ハァ

エルシィ「にーさまはもう少しデリカシーを持ってお話しして下さいよ〜」

エルシィ「いくら私でも妬いちゃいますよ〜」プクー

桂馬「うるさい!僕は現実女なんかと馴れ合うつもりなんか無い!」

桂馬「デリカシーもクソもあるか!」

エルシィ「…そう、ですかね」

エルシィ「その割には私を放ったらかしにしてあの女達とフラフラ遊んでますよね…?」

エルシィ「どういう事ですか…?」

桂馬「だから違うって言ってるだろ!」

桂馬「お前はまず僕の質問に…」

エルシィ「……まぁでも、にーさまは妹思いのツンデレさんですからね」

エルシィ「優しいにーさまが私の事見捨てる訳ありません」

エルシィ「きっと、周りの害虫に唆されただけですもんね」

エルシィ「かわいそうに…」

桂馬「…っいい加減に、話を合わせろよ!!」

エルシィ「…あ、そうだ」

エルシィ「にーさまに見せないといけない物がありましたね」スッ

桂馬「……お前、それ…」

エルシィ「さっきハクアも言ってたじゃないですか」

エルシィ「変な柄の箱、ですよ」

桂馬「ぁ……あ゛……」

エルシィ「天理さんの持っている箱と似てますけど」

エルシィ「別に遺品とかそういう訳じゃないから安心して下さい」ニコッ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/18(水) 15:31:30.69 ID:yeB7/adN0
桂馬「いつ天理から、それを…」

エルシィ「ふふふ、驚くにはまだ早いですよにーさま」

エルシィ「本番はここからですから」パカッ

桂馬「!!!?」

エルシィ「じゃじゃーん」

エルシィ「久方ぶりのお母様との対面でーす!」グチャ

桂馬「っ……〜っ!!?」

エルシィ「ほら、にーさま」

エルシィ「にーさまが会いたがっていたお母様ですよ!」

エルシィ「まぁちょっとお肉が見えたりしてますけど…」

エルシィ「何せ箱が小さいものですから中に入れるには必然的にコンパクトにしなきゃいけない訳で…」

桂馬「う、おぇっ…」ドバッ

エルシィ「え、ちょっとにーさま!?大丈夫ですか!?」

桂馬「げほっ…えおっ!」

エルシィ「どうしました!?また気持ち悪くなりました!?」

エルシィ「お肉の血の匂いとかかなぁ…」

エルシィ「ちゃんと取った筈だけど」クンクン

桂馬「はぁ…はぁ…!」

桂馬「……まぇ!なんで…母…ん…」

エルシィ「いや〜これには地獄の底よりも遥かに深ーい事情がありまして…」

エルシィ「本当は今朝、お母様と2人でにーさまのお見舞いに行こうと思ってたんですよ?」

エルシィ「でも病院に着くなり『ちゃんとお話しして』とか『エルちゃんはそんな悪い子じゃないよね!?』とか」

エルシィ「突然喚き散らし始めて…」

エルシィ「もう全然泣き止まなくて、流石に病院に居るお医者様や患者さん達に迷惑になると思ったので」

エルシィ「少し、静かにしてもらいました」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 00:58:04.09 ID:VzsUyD/n0
桂馬(……今になってようやく理解した…)

桂馬(寄り道はするなって……あいつら、もう手はとっくに回していて…)

桂馬(こうならないように…そういう事、か……!!)

桂馬「僕があいつらの言う事を素直に聞いていれば…」

桂馬「ちゃんと耳を傾けていれば…」ガタガタ…

ドサッ

桂馬「ぁ……ぅぁ…」プルプル…

エルシィ「どうしました?にーさま」

エルシィ「こんなに震えて….やっぱりどこか悪いんじゃ…」

エルシィ「あ、もしかして…何か怖い夢でも見ました?」

エルシィ「今日起きた時もいきなり叫んでましたもんね…」

エルシィ「ふふ…大丈夫ですよ、にーさま」スタスタ…

ダキッ

桂馬「…ぁっ…」

エルシィ「誰が来ても私が守ってあげます」

エルシィ「何があっても私が支えてあげます」

エルシィ「にーさまは私の神にーさまなんですから」ナデナデ

桂馬「ぁ…ぁ゛……ァ゛ァッ…///」ギュッ

桂馬(体が…ボーッとして…き、た……)

エルシィ「もう疲れたでしょう?」

エルシィ「少し寝れば嫌な夢もきっと覚めますよ」

桂馬「そっ……か……夢………ら 、 め」ビクビク

エルシィ「そうです、そのまま…力を抜いて…」

エルシィ「私に全て委ねてください」

桂馬「………」

エルシィ「……ふふ」

エルシィ「 私 が ず っ と そ ば に い ま す 」ボソッ
ガクッ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 01:03:40.07 ID:VzsUyD/n0








チュンチュン…


エルシィ「にーさま、朝ですよ」

エルシィ「起きてください!遅刻しちゃいます〜」ユサユサ

桂馬「〜…勘弁してくれエルシィ」

桂馬「こっちはつい30分前寝始めたばっかなんだぞ」モゾモゾ

エルシィ「なんでそんな時間まで起きてるんですかそれとなんで30分だけ寝ようと思ったんですか」

桂馬「エルシィ、今日の曜日を言ってみろ」

エルシィ「え?…っと、金曜ですね」

桂馬「そう!金曜!木曜の深夜から金曜の朝まではギャルゲーマーにとってのゴールデンタイム!あいや賢者タイム!」

桂馬「駆け魂だの女神だの面倒事に巻き込まれる落とし神にとっては尚の事重要なイベントという訳だ!」

エルシィ「とりあえず元気そうで何よりです」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 01:23:36.27 ID:VzsUyD/n0
桂馬「大量に生産されたギャルゲーを消費しなければならないという重圧がお前に分かるのかエルシィ〜!」

エルシィ「分からなくて今ホッとしてる所です」

桂馬「とにかく起きん!ギリギリまで寝る!」

エルシィ「そんな〜朝ご飯はどうするんですか」

桂馬「部屋に置いとけ。気が向いたら食う」

エルシィ「う〜…今日は久しぶりに張り切ってお母様と一緒に朝食を作ったのに…」

桂馬「…………」

桂馬「なぁエルシィ…」クルッ

エルシィ「?どうしました?にーさま」

桂馬「それって何か…その……何とかトサカの卵の目玉焼きだったりしないか?」

エルシィ「…???違いますよ」

エルシィ「今日のメインディッシュは獄モグラとオホホウレンソウの卵とじです!」ドーン

桂馬「何だその明らかに危なそうでかつ安直なネーミングの食材は…」

エルシィ「モグラってあまり食用には出されないみたいですけど結構美味しいんですよー?」

エルシィ「オホホウレンソウも食べるとたちまち身体がポカポカあったまってどんな悪魔でも天にも昇るんじゃないかって位気持ち悪い笑みを浮かべるって噂です」

桂馬「最早大麻じゃねーか」

桂馬「食わん!そんなUMA飯、食べたら腹壊すに決まってる!」ガバッ

エルシィ「わがまま言わないで早く布団から出てくださーいっ」ズルズル…

桂馬「……うーん…」ズルズル…

桂馬(何か今、思い出せそうな気がしたんだが…)ズルズル…

170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 01:48:38.51 ID:VzsUyD/n0
ヌギヌギ

エルシィ「はいはい早く着替えてください」

桂馬「食べてから部屋戻って着替えるから持って来なくて良いって…」スッ

エルシィ「もう時間ないんですってば〜」

桂馬「あー、手を使わずにプレイできるハードが出ればなぁ…」

エルシィ「こんな時までゲームを…」

エルシィ「あ、そうだ。はいにーさまお弁当です」スッ

桂馬「ん」

桂馬「ゴミ箱ゴミ箱」つ弁当箱

エルシィ「おいちょっと」

桂馬「うるさい、どうせロクなもん入れてないだろ」

エルシィ「そんな事無いですよ!れっきとした人間界の食べ物です!」

桂馬「本当かぁ?」パカッ

桂馬「唐揚げ、生姜焼き、豚?…のカツ、ハムに肉巻きポテトに…」

桂馬「辛うじて存在するこの野菜は…」

エルシィ「ピーマンの肉詰めです!」

桂馬「ほとんど肉じゃん…」

エルシィ「にーさまはちょっと痩せ過ぎです。もっとお肉を食べてモリモリお肉をつけた方がいいです〜」

桂馬「こんな栄養配分もクソも無い弁当を作る妹ヒロインが世界の何処に居るってんだぁぁぁあ!?」

エルシィ「いや…ちょっと最近臨時収入が入りまして…」

エルシィ「これでもまだ大量にお肉が残ってるんですよ」

桂馬「えぇ…」

桂馬「というか人間界の肉って何だよこれ…臨時収入って言ったよな」

エルシィ「秘密ですっ」テヘッ

桂馬「尚のこと怪しいわ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 02:09:09.97 ID:VzsUyD/n0
エルシィ「にーさま、本当にもう時間無いですって〜!」

桂馬「ちょっと待てもう少しで区切りつきそうだから」ピコピコ

エルシィ「も〜」ブクー

桂馬「大体お前だけ先行ってればいいだろ…」ガチャ

エルシィ「それじゃ意味無いんですよ!」プンスカ

桂馬「別に一緒に行くメリットなんて何も無いだろ」ピコピコ

エルシィ「歩きながらゲームは危ないですってば〜」スタスタ…

桂馬「お前はそうなんで…」

ギュッ

桂馬「……」クルッ

エルシィ「…」スッ

エルシィ「大好きですよ、にーさま」ボソッ

桂馬「……はぁ…」

桂馬「知ってる」ナデナデ

エルシィ「えへへ、えへ」


エルシィ「 え へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ へ 」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 02:59:06.95 ID:VzsUyD/n0
ピッ


エルシィ「…って感じのゲームを思いついたんですけどどうですか?」

桂馬「…」モグモグ

エルシィ「今見せたのはただのトゥルーエンドなんですけど」

エルシィ「ハクアとの駆け落ちルートとか歩美さんの身体のまま一生逃げ続けるルートとか」

エルシィ「色んなエンディングをつ
桂馬「却下」

エルシィ「え〜、なんで?」ブーブー

桂馬「お前のゲームのヤンデレは中途半端過ぎる」

桂馬「片っ端から殺しまくる訳でも誰も傷つけない訳でもない」

桂馬「殺しがバレないようにってわざわざ死神代行雇ったのに最後結局バラしてるじゃないか」

桂馬「キャラがブレてる」

エルシィ「そんな事ないですよ〜」

桂馬「それと僕の察しが悪すぎる」

エルシィ「にーさま攻略以外は基本ラブコメと同じ鈍感主人公ですよ〜」

桂馬「後無駄に暴力シーン多い」

エルシィ「これでも削ってマイルドにした方ですよ〜」

桂馬「それにテキストの誤字脱字が多い」

エルシィ「う〜」

桂馬「あとなんかたまにお前のCG素っ裸になるんだけど」

エルシィ「あ、それは仕様です」

桂馬「仕様かよr

エルシィ「私のえっちな写真ですよ、興奮しませんか?」

桂馬「ふーんえっちじゃん」

エルシィ「絶対思ってねぇ」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/19(木) 03:32:23.81 ID:VzsUyD/n0
エルシィ「う〜、にーさまはいつも文句ばっかり」ドババ

エルシィ「退屈そうにしてるにーさまの為に私がゲームを作ってあげてるのに…」

桂馬「僕のゲーム辞書に妥協なんて言葉は存在しない」

桂馬「生半可な覚悟でシナリオを手がけるなプログラムなんか作るな」

桂馬「ゲーム製作に携わる人間全てに謝れ」

エルシィ「いくら何でも辛辣すぎます…うー……」ショボン

桂馬「それと、いい加減登場人物を僕達で固定するのやめろ」

エルシィ「だって〜にーさま以外の男の子と話した事なんてほとんど無いですもん」

桂馬「だってもクソもあるか、立派な人権侵害だぞ」

エルシィ「違います〜表現の自由です〜」ベー

桂馬「おま…訴え……」

エルシィ「ふふふ、訴えられるものなら訴えてみて下さいよ!」

エルシィ「ここにはそんな事聞いてくれる人もそもそもこのゲームをプレイする人も他にいないんですよ〜」ケラケラ

桂馬「……」

エルシィ「…ちょっと寂しくなりました?」

桂馬「なら帰せよ」

桂馬「もうここで飯食ってお前の自己満製作発表会聞いて寝るだけの生活はとっくに飽きたよ」

エルシィ「ふふ、ダメですよ」

エルシィ「私の事、ちゃんと好きになってくれない限り離しません」

桂馬「…」

エルシィ「そうですね」

エルシィ「私が側に居ないと生きていけないって、それ位心の底から愛してくれていると確認できたら」

エルシィ「私と一緒に帰りましょうね?」

桂馬「どっちみち離す気無いじゃないか…」

エルシィ「さっきからそう言ってるじゃないですか」

エルシィ「やっぱりにーさまは、現実だと勘が鈍いですね〜」

エルシィ「……まぁ、そこも愛嬌があって可愛くて…全部ひっくるめて好きなんですけど」

桂馬「もう突っ込む気力も無いよ」

エルシィ「…それともにーさま…」

エルシィ「私と2人っきりで…そんなに楽しくないですか?」

桂馬「………」

桂馬「いや、別に」

エルシィ「えへへ、ならいいんですよ、なら!」

桂馬「……はぁ…」ポリポリ…




エルシィ「これが、私の望んだエンディングです」

終わり
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/19(木) 05:48:33.46 ID:XKgLa3wXO
妄想オチで安心したら現実だった

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/26(木) 13:07:51.60 ID:ygIpm98UO
神のみssやん!!
oh...
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