【まどマギ】小巻「見滝原中に転入したわ」【安価あり】

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532 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 22:38:49.95 ID:Q6sH27gI0


 というわけで、あたしは最初から魔女狙いだ。


小巻「アンタさえ倒せば、終わりよっ!」


 力強く斧を握り振りかぶる。――すると、魔女は楽しそうに笑いながら走り出しどこかへ隠れてしまった。

 使い魔だけじゃなくて魔女もこうなのか。


小巻「もー!!」

キリカ「ありゃ……まー落ち着いて。牛になるよ?」



*魔女はどこだ。
1片っ端から隠れられそうなものを壊す
2出てくるまで使い魔の一掃に加わる
3キリカにも魔女を狙うのに協力してもらう

 下2レス
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/29(水) 22:44:09.96 ID:B9gNg2IgO
1
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/29(水) 22:45:20.59 ID:lGKTDBB+0
3で。
535 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 23:26:13.16 ID:Q6sH27gI0


 どこかの地面から使い魔が増える。

 隠れながらも魔女が描いていたようで、その姿が見つかると魔女は『バレちゃった』とばかりにまた走り出した。


小巻「そこか!」


 咄嗟に斧を構えて追うが、すぐに隠れてしまう。残るのは地面の亀裂だけ。

 向かってくる使い魔はキリカが切り捨てた。


小巻「アンタもちょっと協力してよ。出てくるタイミングはあるんだから……」

キリカ「……なるほど、そうだね」


 速度を遅くする魔法。鬼ごっこには役立つんじゃないか。

 それは正解だった。


 キリカが集中して魔法をかけ、その隙を狙ってあたしが攻撃する。


小巻「――勝ってやったわね! 魔女にもかくれんぼにも」

キリカ「魔法使ったから正々堂々かはわかんないけどね」

小巻「そんなことはいいのよ! 相手は魔女なんだから」


 力を合わせれば相性の悪そうな魔女も思ったより簡単に倒すことができた。



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
536 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 23:43:36.81 ID:Q6sH27gI0


 そろそろ待ち合わせの時間も近い。あたしたちは駅へと向かって歩いていた。


キリカ「駅前ついたらちょっとエネルギー補給していい?」

小巻「別にいいけど、アンタのそれは本当に補給なの? エネルギーすでに溢れてない?」

キリカ「なんでそういうこと言うんだ! もうシェアしてあげないぞ!」

小巻「はいはい、悪かったわよ。……まあ一戦したんだしあたしも少しくらい良いわよね」


 そんなこんなで、駅前で買い食い。

 前だったらこんなふうに適当な場所で食べるってなかっただけど……行儀悪いかしら。


小糸「お姉ちゃん!」


 待っていると、小糸があたしを見つけて駆け寄ってきた。


小糸「何か食べてる」

キリカ「小糸もエネルギー補給する?」

小巻「小糸は動く前でしょ。大丈夫?」

小糸「これから動くから!」



 ――腹ごしらえが終わると、いよいよ三人で歩き始めた。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 00:19:44.24 ID:mbykjm/jO
538 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/30(木) 00:36:30.73 ID:9+t9TvZf0
---------------------
今回更新はここまで
次回は2日(土)20時くらいからの予定
539 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 19:00:47.34 ID:sHYRF9G10


―委員長の魔女結界



小巻「うわああっ、なにこの結界! もうヤダ! もう本当ヤダ!」

キリカ「同感!」

小糸「こんな結界もあるんだ……!」


 小さい路地の隅から気づけば青空の中へ放り出される。

 結界に足を踏み入れた途端、眼前には不安定な糸の足場とそこを器用に渡り歩く使い魔たちが広がっていた。


キリカ「むやみに斧振り回して足場切っちゃわないでよ? 落ちたらどうなるかわかんないんだから!」

小巻「それはこっちのセリフよ」


 こんな結界ではあたしも重く重心の崩れやすい斧は安易に持てない。

 いつもと同じ戦い方はできない。魔女の姿を遠くに捉えつつ、どう責めるか思案する。


小巻「魔女はアレ……か」

小糸「その前に使い魔きてるっ!」



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常
小糸 状態:正常

敵:魔女Patricia
  使い魔Mathieu ×5
  使い魔teacher ×3



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3一か八か遠距離から武器を投げる
4指示を出す(自由安価)

 下2レス
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 20:34:39.57 ID:r9q6wVYr0
4
小糸に何が出来るか聞いてまずは使い魔から小糸を守る。
大丈夫そうなら2人にガードを頼んで3
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 20:57:44.41 ID:y91JJv7AO

追加で戦いのあと小糸の能力について本人から詳しく聞いて戦いかたを考える
もしきゅうべぇがいたらきゅうべぇにも感想を聞く
542 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 21:41:17.21 ID:sHYRF9G10


小巻「小糸、戦える?」

小糸「迫ってくる使い魔だけなら……!」

小巻「わかった、あたしもサポートはするから無理はすんな!」


 戦いづらいが、協力すれば防戦だけならなんとかなる。

 とはいえ追い詰められたままの状況は勘弁だ。


小巻「……どうにかこっから攻撃を届かせられないかしら」

キリカ「え? どうやって?」

小巻「そりゃもちろん、投げるのよ。外したらどっか変なとこが切れるかもしれないけど……そん時はそん時よっ!」

キリカ「ええええっ」



 武器を手にして足元を踏ん張ろうとすると、さらに足場がたわんだ。

 地面にいる時と違ってうまく力が入らず、狙いがつけづらい。


小巻「ええい、ままよッ!」



 下1レスコンマ1桁
0or1 成功
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 21:47:38.85 ID:ZInXQHwt0
あたれ
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 21:53:54.97 ID:r9q6wVYr0
さすがに5/1はキツいか・・・
545 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 22:48:54.99 ID:sHYRF9G10


 投げた斧は魔女の近くに張られた足場までを使い魔ごとぶち破りながら飛んでいった。

 それと同時に、こっちも足元にぐらつきが伝わる。しかし魔女は蜘蛛のような腕を器用に動かし、まだ足場の上を渡っていた。


小糸「うわわっ」

小巻「くっ、ダメか!」

キリカ「もーどーすんのー!」


 今ので魔女に近づくための足場をいくつか失った。

 まともに伝っていくのがますます難しくなった……かも。


キリカ「普段勉強教えてもらってるんだけどなぁ。クラスの優等生とは思えない脳筋っぷりだよ」

小巻「じゃあ他に考えがあるわけ?」

キリカ「ないけど……」

小巻「下がどうなってるかなんて知らないけど、あたしのバリアがあるんだから、最悪落ちて地面に激突したって怪我はさせないわよ」

小巻「その時には魔女も引きずり落としてやるし」

小糸「ちょっ、本当にこの下に落ちるの? 魔女と一緒に?」

小巻「最終手段よ! この下がどうなってるかはわからないんだから!」



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3届くまで投げてやる!
4指示を出す(自由安価)

※このスレにおける小糸の設定はあとで安価で決めますが、
使える魔法が回復なのでこの戦況に大きく優位に立てる力は持ち合わせてません

 下2レス
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/03(日) 00:25:14.48 ID:Rjqbyoah0
2+3
斧投げでサポートしながらキリカに前へ出てもらう
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/03(日) 05:52:26.60 ID:+q67oc3YO
1
548 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/05(火) 23:22:11.24 ID:EbvabYZl0
---------------------------
今週は忙しいので更新はお休みさせてください。
日曜は夜なら顔出せるかも。
549 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/16(土) 21:51:18.62 ID:nWDpmfLl0


 ……ただでさえ武器が扱いづらいのにここからってのは無謀だ。

 ひとまずは限られた足場を渡ってなんとか近づいていくしかない。最終手段とは言ったけど、できるだけ心臓に悪いことはしたくないし。


 しかし、青空の結界に残っているのはあたしたちを囲むかのように張り巡らされた足場ばかり。

 考えてるうちにも、糸の上をスケートを滑るようにして自由に走る使い魔たちが迫ってきていた。


小糸「わあああっ、また来てるよ」

キリカ「ちょっと伏せて!」


 キリカが袖から魔力の刃を出して軽く腕を振るうと、手元を離れて飛んでいき、使い魔のいる糸を切り落とした。

 あたしの武器は手斧のような投げやすい形状のものとは違う。そういう使い方ならキリカのほうが向いてるんだろう。


小糸「あ、こうやって敵の足場も落としていけば……!」

小巻「あたしたちが使える足場も限られるけど、魔女や使い魔の移動手段も限られるわね」


 周りを囲む糸を落とし、手分けして使い魔を倒しながら進んでいく。

 そうして少しずつ近づくと魔女は新しく足場の糸を吐いた。けど、それもその傍から落としてやった。

 魔女へとつながる糸はもう一本のみとなった。


キリカ「今だよ!」

小糸「はい!」


 小糸が魔女に向かって飛びつく。

 ……この戦いではあたしもサポートしてたけど、結局二人がよく頑張ってた。

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/16(土) 22:13:23.76 ID:ckw3UxDH0
お、ほぼ2週間ぶりの更新来た!
お待ちしておりました!
551 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/16(土) 23:04:06.47 ID:nWDpmfLl0


 「わあああああああああっ!!」


 感心したのも束の間。絶叫マシンにでも乗った時みたいな声が響く。

 魔女が消えれば今度はなにもない場所へと投げ出されたわけだ。底の見えない場所に落ちるよりはマシか。

 すかさずバリアで包み込んだ。


小巻「言ったでしょ? 落ちても激突はさせないって」

小糸「倒したあとも気が抜けないんだね……」

キリカ「お疲れさま。ちょっと休む?」

小巻「それアンタが休みたいだけでしょ?」

キリカ「まあね。あんな変な結界いたら疲れるって」

小糸「私も疲れたなぁ」

小巻「あたしは休むよりとっとと終わらせたいけど……ちょっとだけね」


 近くの公園で少しだけ休んでからパトロールを再開した。


小巻(てかまた食べてるし……)


 キリカの鞄にはいつでもお菓子が入ってるらしい。



小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/16(土) 23:09:43.07 ID:ckw3UxDH0
ほいさ!
553 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:01:55.22 ID:HOvXbFWi0


小巻「――――とりゃっ!」


 魔力を感じて立ち寄った駐車場の片隅、回転するマネキンのようなものを薙ぎ払う。

 ちらつくように中途半端に侵食する結界は使い魔のものだ。


小糸「これでおしまい?」

キリカ「もういないみたいだよ」

小巻「じゃあこれくらいにしときますか」



 逃げることも立ち向かうこともしなかったそれを三人で壊し尽くすと、元来た表通りに戻っていった。

 パトロールを終えてからも帰りはまだ少し一緒だ。

 帰り道を歩く途中、小糸がキリカに問いかける。



小糸「ところで、お姉ちゃんって優等生なんですか? さっき、空中の結界の時に言ってた……!」


 まるで信じられないみたいな顔だった。


キリカ「それはもう、転入初日から小巻は優等生で通ってるよ。何の教科やらせても完璧にこなすし」

小糸「ええぇー」

小巻「何よその反応は」

小糸「だってお姉ちゃんって見ての通り脳筋でしょ? そんなキャラじゃないし、今まで一度もそんな話聞いたことない……」

小巻「失礼な。まあでも、小糸が聞いたことないのは当然でしょうね。白女じゃたいして優れてたわけでもなかったから」

小巻「優等生といえば……白女だと美国がまさにそのイメージだったわ。何やらせても完璧にこなして、誰からも一目置かれて。ムカつくわよね!」

小糸「だからなんでそうなるのっ!?」


 別に僻んでるわけじゃない。ただ、何かが気に入らない。

 どんな時にもあの涼しい顔を崩さず、優等生で、絵に書いたような完璧であり続ける。そんな姿が。

554 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:29:49.59 ID:HOvXbFWi0


 けど同時に、昨日見た美国の表情も脳裏に浮かんだ。怒ってた、ような気がした。何にかはわからない。


小巻「……今は周りの評価は変わってしまったけれど、それで美国のなにかが下がるわけじゃないわ」

小巻「今でもあいつには敵わないのよ。別にあたしは競う気もないけど」

小糸「競ったところでお姉ちゃんじゃ勝てないでしょ……」

小巻「一言余計よっ」

小糸「あいたっ」


 げんこつを落とすと、小糸はマンガじみた大げさなリアクションをとる。

 キリカは不思議そうな顔をしていた。


キリカ「……そうなんだ」

小巻「ようするに『優等生』なんて相対評価なのよ! アンタは幼稚園児の中に混じって一番になって嬉しいの!?」

キリカ「え、それ私たち幼稚園児扱い?」

小巻「あーもう、なんでこんなとこでまで美国の話してんだ! この話はおしまいよ!」

キリカ「話し始めたのはそっちじゃん。ふーん、あの人ってそんなにすごいんだね」


 そんな雑談を交わしながら三人で歩いていたが、キリカは急に何かが足を止めた。


キリカ「……あれ、転校初日? 初日って私、小巻となんか話したっけ?」

小巻「何、どうしたわけ?」

キリカ「いや、なんでもない」

小巻「……?」


 何を気にしたというんだろう。

 ――――そうしているうちに岐路が見えて、キリカとは別れる。小糸と二人の帰り道になった。


 そう思ったのだが、すぐにもう一人、いや、『もう一匹』の声がした。


QB「今日は仲間と一緒だったけど、小糸もよく戦えていたね」

小巻「キュゥべえ、着いてきてたの?」

QB「戦いを見させてもらっていたよ。僕のアドバイスなんていらなかったみたいだけど」

小糸「そうだったかな」

555 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:45:46.97 ID:HOvXbFWi0
---------------------------
ここまで
次回は17日(日)20時くらいからの予定、多分安価からはじまります
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 14:35:48.36 ID:K7uUsKfTO
あ、復活してる
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:47:19.18 ID:w1QRIpnR0
なんかキリカが不穏なフラグ立ててるような……
558 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 20:38:59.93 ID:HOvXbFWi0


小巻「ラクショーだったとは言わないけど、できるだけ自分たちのことは自分たちでなんとかするわよ」

小巻「……けどまあ、自分の力について小糸も気づいてないことがあるなら聞かせてあげてほしいわね」

QB「小糸の願いから考えれば、癒やしの魔法の効果は人一倍に発揮できるはずだよ。ゆまとも同系統だね」

小巻「ゆま……か。なるほどね」


 佐倉と一緒にいた女の子。

 たしか、『キョーコを助けた』とか言ってたっけ。



・小糸の魔法少女としての武器/ギミックみたいなものとか

 下4レス中多数決
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/17(日) 21:24:22.86 ID:n8ETmE8c0
ヴァイオリンのような弦楽器を模した攻守一体の武装。
渦巻きやベグの部位を引き抜くと、弓のような形の片刃の剣が現れ残りの部分はそのまま盾となる。
盾のまま突撃したり不意打ちにも使える、引き抜くのと逆の方(チェロで言うとエンドピンのある方)からパイルバンカーのごとく杭も出せる。
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 21:35:03.18 ID:Pm/OxGEzO
本当は銃とか弓みたいなのが良かったけど委員長の魔女戦でそういう描写なかったから安価↑
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 23:16:05.14 ID:Pm/OxGEzO
なんか安価来ないからもう一度↑↑
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:50:50.11 ID:GNANNwJHO
559で
563 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/22(金) 23:04:29.15 ID:GLHlngAW0


QB「とはいっても、小糸ならではの戦い方は武器の応用でいくらでも編み出せるだろう。思いついたことは色々試してみるといいよ」

小糸「うん……頑張ってみる!」

小巻「あれバイオリンでしょ? なんか使いづらそうだなって思ってたけど。憧れでもあったの?」

小糸「ま、まあ、少しね?」


 小糸はちょっと照れくさそうに言った。

 習い事は小さい頃から色々やってたけど、音楽にそんな思い入れがあったなんて知らなかった。


小巻「そっかそっか。いいんじゃない? 悪くないと思うわよ。将来は音楽家でも目指す?」

小糸「さすがにそこまで考えてないよ。もーいいでしょ? その話は」


 契約してなかった時は他人事のように言ってたけど、今はあたしの気持ちも少しはわかっただろうか。

 あの恥ずかしい衣装も武器も内面から出たものって言うんだから、自分を見透かされるような恥ずかしさがある。


小巻「とにかく、契約しちゃったものはしょうがないものね。これからはあたしもついてられるときは一緒に戦うわよ」


 不安はあるけど、やることは今までと変わらない。小糸のこともあたしが守る。……前は助けられたけど、今度こそ。

 こうして同じ目線でものが見えるようになったのは悪くない気分だった。


 その後も会話を交わしながら小糸との帰り道を歩いていった。



―25日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
564 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/23(土) 00:05:49.09 ID:VdH6uQW10
――――――
――――――
美国邸



マミ「――――なるほどね。でも、暁美さんは学校でも厳重に見守ってるわ」

マミ「強力な魔法を持っているんでしょう? 不用意に近付こうものなら警戒されるし、それこそ殺されかねない勢いよ」

織莉子「標的に近づけないなら、守護者の魔法のことだけでも探れないかしら」

マミ「……」



――――


――――――
――――――
26日目



 登校して教室に向かおうとする途中、階段の途中で立ち尽くしているマミの姿が見えた。


小巻「おはよう、マミ。どうしたの? 遅刻するわよ」

マミ「……え、ええ。そうね」


 マミの態度はやっぱりおかしい。キリカにも同じことを思われてたんだから、相当に重症だ。

 今日はマミと話し合おうと思っていたしいい機会だ。


小巻「ねえ、最近なんかあったんでしょ? その前にさ、何に悩んでるのか聞かせてよ」

マミ「別になんでもないわよ。話し込んでたら遅刻してしまうわ。行きましょう」

小巻「時間がかかるなら後でもいいから。なんでもないって態度じゃないでしょ」

マミ「……本当になにもないわよ」

小巻「もう、くどい! いいから話しなさいよ! 話したら楽になるって言うでしょ!」


 逃げ腰なマミにイラッときて、人前だが大声を出した。すれ違う生徒の視線がこっちを向く。


マミ「ちょ、ちょっと、浅古さん」

小巻「キリカも気づいてあたしに話してたのよ。ぜんっぜん何もなかったようには見えてないから!」

マミ「……ごめんなさい。私にだって言いたくないことくらいあるの」


 それでもマミはあたしを拒んで逃げていった。

 ――――逃げるようにして、階段を早足で駆けていった。

565 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/23(土) 19:31:25.16 ID:VdH6uQW10


小巻(なんなのよまったく……)


 マミは意地でも話したくないようだった。

 ああなったのはあたしが怪我で倒れてた時かららしいけど、その間に何があったっていうの?

 ハッキリしないことがあるともやもやする。こうなればこっちも意地を張ってやろうか。


小巻(とはいっても、それなりに込み入った話になるなら朝はあんまり時間がないわね)


 放課後じゃまた逃げられるかもしれないから、昼になったらまた声をかけに行ってみよう。

 教室に行けばいつものようにクラスメイトが出迎えて、授業を受けて、午前が過ぎていく。



 それから、決めてた通り休み時間になると早速マミのクラスに直行した。



マミ「……浅古さん」


 マミはあたしを見るとぎょっとしたような顔をする。会いたくなかったみたいな態度。


小巻「マミ、ちょっと来てよ。いつもの場所で話しましょう」

マミ「朝のことなら本当に気にしないでいいから。それとも……他のこと?」


 適当に嘘でもつけば乗ってくれるのかもしれない。

 でも、小細工なんて性に合わない。変にごまかすようなことはしたくない。


小巻「ええ、朝のことよ」

マミ「……話したくないって言ったでしょう。どうしてわかってくれないの?」



 マミとの間には今までになかったようなギクシャクとした空気が漂っている。



1あたしたち友達よね?
2仲間として心配なのよ
3自由安価

 下2レス
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/23(土) 21:48:47.79 ID:iM2ikcIR0
2+3
マミの態度に怒りと苛立ちを持つが逆に冷静な口調になる。
最後にマミの態度が織莉子の態度と重なりカマをかける様な事を言う。

話したくない?
ならもう良いわ、仲間なのに話さないというならこっちも考えがあるから。

今のあんた、美国みたいね。会わせるんじゃなかったわ。
せいぜいそうやって自分を取り繕っていなさいよ。
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 22:18:23.42 ID:Ne03xlF6O

追加で昼休みにほむらに会いに行く。
マミが変になったけど何か心辺りある?

568 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:06:25.92 ID:hJia5anP0


小巻「仲間として心配なのよ。同じ街のね。マミだって立場とか大事にしてるんでしょ」

マミ「そう…… 縄張りのことね」

小巻「プライベートな悩みだとしても、そんな状態でもし何かあったらこっちだって関係大アリよ! だからほっとけないし、話を聞いてやろうって言ってるの!」

小巻「ねえ、あたしの言ってることなんか間違ってる? 間違ってるっていうなら教えてくれない?」


 相変わらずマミの態度には苛立ってる。けど、朝とは違って少しだけ冷静な口調で詰め寄った。

 今度こそ逃げるなんて許さないっていうように。

 こんな風に思うのはマミが嫌いだからってわけじゃない。そんなことくらいは、マミだってわかってくれてると思ってた。


マミ「浅古さんは間違ってはいないわよ」

マミ「だから嫌になるの。そうやって正しさを盾にして押し付けられると」

マミ「私が間違ってるって言いたいの? あなたは何も知らないくせに……!」


 でもマミから返ってきた言葉は、予想もしてなかったことだった。


小巻「は……? だ、だから何をよ!」

マミ「浅古さんは正しいけど、みんながそんなに強いわけじゃない」


 マミは少しの間、どこか言いづらそうに視線をそらして落とした。

 まるでここじゃない、今じゃないどこかを見つめたように。


マミ「……戦いのことならあなたに心配してもらうようなことじゃないわよ。たとえ万全じゃないとしても、あなたより慣れてるもの。悪いけど今はほっといて」

小巻「そ…… そう! どうしても話したくないってんなら、こっちも考えがあるから!」

小巻「今のアンタ、美国みたいね。マミまでそんなんじゃ、アイツもどう思うのかしら。会わせるんじゃなかったかもね」

マミ「……あなたは随分美国さんのこと信頼してるのね」

小巻「はあ? そんなんじゃないから!」


 結局喧嘩腰に吐き捨てて、自分の教室へと戻っていった。

 周りはざわめいてた。何か揉めてたってのは気にされてるみたい。

569 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:35:40.91 ID:hJia5anP0


*「なんかあったの? 巴さんとなんか言い合ってたって聞いたよ?」

小巻「……少しね。わかんないわよ。あたしだって何があったか知らないもの」

*「??」


 様子を見てた生徒が駆け寄ってくる。こっちはこっちで、あたしも心配されてるってことなんだろう。

 ……けど、どうしてだろう。こうして詰め寄られる側になるといい気はしなかった。マミに言われたことは理解できないし受け止めきれてもいない。

 わかることといったら、あたしはこのくらいのことしか言えないし。


キリカ「いったいどうしたのさ? 過去最高の不機嫌記録更新してるよ?」

小巻「マミに何かあったのかって聞いてきた」

キリカ「聞けたの?」

小巻「いーえ。何が何でも言いたくないってさ」


 マミのことは、キリカもあたしも知らないところで何か起きたんだろう。

 マミには家族はいない。あとあたしの当たれる範囲でいくと、ダメ元ではあるけど一人が頭に浮かんで立ち上がった。なにより今はじっとしてたくない気分だった。


小巻「二年のほうにも聞きに行ってくる」

キリカ「え、それってあの暁美とかいう?」


 久しぶりに直接会いに行く。

 教室の外から目が合うと、暁美は変わらずの剣幕で鋭い視線を向けてきた。


ほむら「用件があるならメールでと言ったでしょう」

小巻「……アンタはマミに何があったかって、知らないのよね?」

ほむら「巴マミのこと? 私の知ったことじゃないわ。関わってもいない」

小巻「あっそう!」


 こいつと話すのはやっぱりイライラしてくる。相手も同じ気持ちみたいだし、今のところ長いこと話してても良いことはなさそうだ。

 ……そうしているうちにチャイムが鳴って、もう一度自分の教室へと戻っていった。

570 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:38:44.16 ID:hJia5anP0
-----------------
ここまで
次回は24日(日)18時くらいからの予定
571 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 19:58:03.46 ID:hJia5anP0



 午後の授業もこなせば学校での一日も終わり。放課後だ。

 マミとは拗れたままだし、こっちまで暗い気持ちになる。


小巻(元はと言えばマミの相談に乗ろうとしてたのに、どうしてあたしまでこんなこと考えてるのよ……)

小巻(いや。今日はまだプライベートのこともやらなきゃいけないことがあるんだから!)


 鞄の中身を整理して、嫌な気持ちを振り切るように立ち上がった。

 このあとは習い事だ。それに明日からは休日。

 せっかく優木のことも気にしなくてよくなったんだし、この土日は小糸とパトロールもかねて外出しに行こう。


 これからの予定に思考を巡らせる。

 美国のことも頭に浮かんだ。アイツもいつから契約してたのかは知らないけど、抱えてる問題はそのままだし、状態はいいとは言えない。

 アイツは一体、何のために願ったんだ。契約すれば何でも叶うってのにあんな状況で。


小巻(……アイツにも、声をかけてみようかしら)


 美国には後で連絡を入れよう。学校を出て、校舎から離れて目的地に歩いていく。


 ――でも、マミのことは本当にこのままにしといてもいいの?

 このままじゃ、仲間としても友達としても離れていってしまうかもしれない。



―26日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
572 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 23:06:02.49 ID:hJia5anP0
――――――
27日目



小糸「あっ、この映画もう公開してたんだ。今度見にいこうよ!」

小巻「そうね。今度はパトロールじゃなくてまた遊びに行ってもいいかもね」


 昼過ぎになって家を出て、まずは二人だけの道中。小糸は街に大きく貼られたポスターを見て言った。

 魔女が出てないときはただの散歩と変わらない。とくにずっと一緒にいた家族だからだろうか。

 今は魔法少女としての義務感よりも妹と出かけてるって感覚のが大きかった。


小糸「今日は美国さんも一緒なんでしょ? ついに仲直りしたの?」

小巻「仲直りもなにもアイツとは一度もケンカなんかしてないわよ。ケンカ売ったって勝ってもくれない腰抜けなんだから」

小糸「それって腰抜けじゃなくて、『大人』って言うんじゃない?」

小巻「何が『大人』よ! 痩せ我慢のことでしょ? そんな言葉だいっきらいだわ!」


 そう言って、昨日のマミとのことを思い出す。……マミとのことは、あれこそケンカだ。

 待ち合わせの場所につくと、美国はひと足早くそこに来て待っていた。


織莉子「ごきげんよう」

小巻「……ごきげんよー。なんだ、もう来てたの」

織莉子「ええ」


 白女にいる時にも飽きるほど聞いたお上品な挨拶を真似してみる。

 美国は気に留めた様子もなくいつもの調子だ。


小巻「さっそく行きましょ! グズグズしてたら置いてくからね」

小糸「もう、誘っておいてその態度はないでしょー? 美国さん、今日はよろしくおねがいしますねっ。私も契約したてなので心強いですっ!」



 下1レスコンマ判定 1/2
0~20 使い魔
21~40 魔女
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/24(日) 23:18:20.90 ID:4lLG/BiO0
ほい!
574 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 23:41:51.75 ID:hJia5anP0


小巻「小糸はそりゃ契約したてだけど、そもそもアンタはどのくらいなのよ? 頼りにできるほど強いわけ?」


 美国を誘ったのは、パトロールが目的っていうよりも色々と話しておきたいことがあるからだった。

 どんな戦い方をするのかも、どれだけ強いのかも、魔法少女としてことはあたしはほとんど知らない。


織莉子「私もあまり長くはないわよ。小巻さんから聞くよりも少し前だったから……」

小巻「ふーん、あたしの忠告はちょっとだけ遅かったのか」

織莉子「ま、まあ、そう言うこともできるかしら……?」

小巻「ってことは、あの事件があった後なのね」


 そう言うと、美国は言いづらそうに黙ってしまった。それを見た小糸が慌て出す。

 心が不安定な方が付け入られやすいのは、魔女や使い魔だけじゃなくきっと契約を迫られる時も一緒。そのほうが願いがあるってことだから。

 でもそれを知ると、ますます美国が何を叶えたのか疑問だった。


小糸「もう、お姉ちゃんったらデリカシーなさすぎるよ……! なんか本当ごめんなさい!」

織莉子「いいの。でも、せっかくのご忠告なのだけど、私は契約して後悔はしてないわ。貴女たちも、そうなのでしょう?」

小巻「……まあ、あたしはそうね」

小糸「あ、はい。私も……」



 歩き始めて、どんどんと街の中心からは離れていく。

 休日で賑わう人混みから遠ざかり、周囲の空気が静かになるのを感じた。



 下1レスコンマ判定 2/2
0~20 使い魔
21~40 魔女
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/24(日) 23:47:27.84 ID:4lLG/BiO0
今度こそ!
576 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:08:37.67 ID:xbqX96XQ0


小巻「魔力の反応、ないわね……」

小糸「この前はわりとすぐに見つけられたけど、なかなか会えない時もあるんだね」


 魔女にも使い魔にも会えないまま足を進める。

 小糸の言うとおり、狙った場所に魔女がいるかは運頼みだ。もう結構歩いた気がしていた。


「あっ、おねえちゃんたち!」


 人気がないと思っていた景色の中、あたしたちに声がかけられる。聞き覚えのある女の子の声だ。


小巻「アンタはたしか、ゆま。 ……と、佐倉」

ゆま「こんにちは!」

小糸「こんにちは」


 ゆまは可愛げがあるが、ゆまの隣にはもれなく嫌なものまでついてる。

 絶対小さい子の教育にはよくないヤツだけど、少しは絆されて改心してたりするのだろうか?


小巻「そういえばこのあたりはもう街外れね。一旦引き返すかー。言っとくけど、別に縄張り越えようとか思ったわけじゃないから」

杏子「……あっそ。それならいいけど」

ゆま「ねえ、ゆまたちはもう見滝原にはいかないの?」

杏子「行く必要がないだろ。優木ももうぶっ倒したんだし……あっちにはムカつくもんしかない」

577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/25(月) 00:16:17.86 ID:lvr2zq570
ここで杏子にマミが最近おかしいことを伝えたいけど、今織莉子も一緒なんだよなぁ・・・
578 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:40:33.03 ID:xbqX96XQ0


ゆま「コマキやマミとけんかしてるから? だったら仲直りしよーよ! みんな仲いいほうがいいよ!」

ゆま「ね! おねえちゃんたちも……――――」

杏子「……そんなの簡単に言うな! 何も知らないくせに」

ゆま「ご、ごめんなさいっ」


 ゆまはこっちにも話をふろうとしたが、あたしが何か言う暇もないうちに佐倉が言葉を遮った。


 自分の発言で怒らせてしまったと思ったからか、ゆまは素直に謝っていた。

 幼いながらに人一倍敏感に怒気に反応してて、そんなところを見ると代わりに口を挟んでやりたくもなる。そもそも何に怒ってんの?

 ……でも、そんな時浮かんだのも昨日言われたことだった。あたしはともかく、マミも今は仲直りとか考えられるような余裕はないだろう。


杏子「あたしだってもうゆまを置いてまで誰彼構わずにケンカ売りにいったりはしないさ。でも今更仲良くなんてのはできっこないんだよ」

杏子「だからこれでいいんだ。魔法少女には縄張りってもんがあんの」

杏子「結局優木からは何も聞けなかったのは心残りだけどさ。アンタはあれから何か思い出してない?」


 佐倉の目が美国のほうに向けられる。すると、今まで口数の少なかった美国が口を開いた。


織莉子「いえ、何も」

杏子「そうか。期待はしてなかったよ」

579 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:44:31.12 ID:xbqX96XQ0
-------------------
今回更新はここまで
次回は25日(月)20時くらいからの予定
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/25(月) 00:48:31.49 ID:lvr2zq570
乙です。

うーん、ギクシャクしてますねぇ・・・
マミは織莉子の口車に乗せらてるし、ほむらは相変わらずだしこのままだと原作通りになりそうだけど・・・
581 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 23:43:31.98 ID:xbqX96XQ0


杏子「ゆま、もう行くぞ」


 佐倉が去っていって、ゆまもそれについていく。

 初対面よりは少しだけ落ち着いたのはゆまの影響なんだろうけど、変わったというにはまだまだだ。


小糸「巴さんとなにかあったのかな……?」

小巻「あたしも何があったのかは詳しく知らないけど、マミと佐倉って昔組んでたらしいのよ」

小糸「そうなの? あの人が? そういえばそれっぽいことは言ってたけど」

小巻「多分、アイツも昔はあんな感じじゃなかったんでしょ」

小糸「私、あの人のこと苦手だって思ってた。口は悪いし、願いのこともバカにされたし」

小糸「でも元はそうじゃなかったなら、どうにかできればいいのにね」

小巻「……」

小糸「お姉ちゃん?」


 たしかに、なにを意地張ってんのかは知らないけど、さっさとどうにかしてくりゃいいって思う。

 でも今はあたしもマミと拗れてる。人のこと言えたもんじゃない。


小巻「どうにかするにしても今はどうでしょうね」

小糸「どういうこと?」

小巻「佐倉のほうがあんな態度だってのもあるけど、マミだって今は」

582 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/26(火) 00:38:42.43 ID:OgOZvxFY0

小糸「お姉ちゃん……巴さんとケンカでもしたの?」


 そういえばあの時美国のことも引き合いに出したっけ。

 うじうじ悩んでるヤツ同士が一緒にいたらろくでもないほうに悪化するに決まってる。


織莉子「……マミさんに何か?」

小巻「アンタは知らないでいいのよ! 人のこと心配する暇があるなら自分のことをなんとかしなさいよね!」

織莉子「……」

小巻「アンタは最近どうなのよ? まだ前と変わらずなの?」

織莉子「周りの状況は変わってないけれど、前に比べたらそう辛いわけでもないわよ。『味方』も増えたもの」

小巻「それってマミのこと?」

織莉子「えぇ、そうね」


 結局美国の支えはマミしかいないんだ。そう思うと、マミに対してもじれったさが募った。


小巻「味方増やすのもいいけど、まずは元凶をどうにかしたほうがいいんじゃないの」

小巻「ていうか気になってたんだけど……どうして契約の力でどうしてそうしなかったのよ」


 美国にとって、核心を突く問いではあったようだ。表情が変わったのが見て取れた。


織莉子「……どうしてそう言えるの」

小巻「そんなの考えなくてもわかるわ。だってアンタはまだ悩んでるし、理不尽なヤツも周りにわんさかいるんだから。何にも変わってないじゃない」

織莉子「そんなことはないわ。私は――そうね、この力を手に入れたことで『生きる意味』を手に入れられたもの」

織莉子「この力で人を救えるんだものね。その使命を持てたのは、私にとっては大きな違いよ。きっと私を見て喜んでいるはずよ……お父様だって」

小巻「なんか大層なこと言ってるけど、本当にそんなことで満足できてるって? そう思ってんの?」

織莉子「私の話はもういいでしょう?」

小糸「お、お姉ちゃんっ、だからデリカシーないって! 行こう!」



 逃げるように話を切り上げようとしている。……まるで昨日みたいに。



1全然そう思えない
2本当は後悔してるんじゃないの?
3自由安価

 下2レス
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/26(火) 21:33:37.65 ID:wu5EGq3g0
1+3織莉子の露骨な態度に昨日のマミの事もあって不満が爆発する。

生きる意味を見つけた?その割には何も変わってないわよね。
あんたって前からそう、見栄かプライドだかしらないけどそうやって『美国』って家に縛られてる。
契約で何を願ったか知らないけど、どうせ本心からの願いでなくて自分取りつくろうような願いだったんでしょ?
だから前と何も変わってないのよ!いい加減『美国織莉子』じゃなくて『織莉子』としての本心を出しなさいよ!
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/26(火) 21:47:57.36 ID:c5X3r2v+O
ケンカ売ってるなぁ
織莉子がぶちギレないか心配だけど↑
585 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/27(水) 21:04:18.84 ID:7NQbM8Da0


小巻「アンタを見てたら全然そうは思えないわ。ごまかしてるだけじゃないの?」

織莉子「……」

小巻「……何よ。言い返したいなら言い返せばいいじゃない」


 周囲の空気も、聞こえていたはずの木々のざわめきも、シンと静まり返っていた。

 美国の口から言葉が返ってくる気配はない。ただいつもと違って、表情の消えた碧の瞳はいくらも冷たい色に映った。


小巻「そう思わないとやってられないだけでしょ」

小巻「何がお父様よ。ソイツは美国を裏切るようなことしたのよ。アンタと親は別でしょ? もう居もしないソイツのためにいい子ぶって何になるってわけ」


 さすがにあたしも、今回ばかりは珍しく美国が怒ってるのはわかる。

 それでもあたしの口は止まることはなかった。


 ……美国はずっと怒ってた。

 あんなふうに澄ました顔で、なんともないかのようにふわふわと躱しておきながらも、中身のほうではずっと恨みが蓄積されてたんだろう。

 そう考えたらふと、この前から抱いていた違和感にも納得がいった。


小糸「お姉ちゃん! いい加減にしなよ! 人には触れられたくないものってのがあるんだよ!」

小糸「悪気がなくても、正しいと思っていても、土足で踏み込んだら相手を傷つけちゃうこともあるの!」

小糸「巴さんともそうやってケンカしちゃったんじゃないの?」

小巻「え……?」


 見かねたように小糸が慌てた口調で割り込んだ。

 心当たりがズキリと鼓動を揺らした。さすがにまずいことを言ったと思った。


 それでも美国はこう言った。


織莉子「…………いいの。いいから」

586 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/27(水) 22:33:19.61 ID:7NQbM8Da0

小巻「……い、今のはさすがに悪かったわよ」

織莉子「そんなことより、パトロールを続けるんじゃないの?」


 怒ったのなんかわかってる。だからあたしも悪いと思って謝ったし、簡単には許されなくても仕方ないとも思う。

 なのにここまでしても言い返すこともしなかった。

 今までは苛立ってたけど、今は無理やり鎮めたみたいな態度がひどく不気味に感じられた。


小糸「で、でも……」

小巻「アンタは本当にそれでいいの?」

織莉子「貴女は私に何と言って欲しかったの? それで貴女が満たされるならそうしてあげてもいいけれど、無駄な時間になると思うわよ」

小巻「……ふーん、言うじゃない。それって結局、許す気がないってことでしょ?」

織莉子「……」


 なんてねちっこいヤツだ。あたしには真似できそうにない。あたしならたとえ許す気でも一発ぶん殴らせろって言ってるとこ。

 それからも美国から言葉はなく、いよいよパトロールを再開して歩き出す。


 そんな時、後ろから魔力が沸き起こった。


小糸「えっ……、お姉ちゃん!?」


 小糸の呼びかけが聞こえてから“その攻撃”に気づく。

 これは、前の時と同じだ。ただ、今は小糸がそばにいるから助かった。


小糸「ちょっ、そんな!? どうして……こんなところで仲間割れなんか」

織莉子「私の邪魔をするな!」

小糸「ひっ……?」

小巻「なによ……やっぱ怒ってるんじゃない。でも、背後から殴るのはやることが卑怯よ。やり返すならさっきにしておきなさいよね!」

織莉子「もう何を言われたところで許す気は無いと、解ってもらえてたんじゃなかったの?」


 美国から感じるのは純粋な『怒り』。それが剥き出しになって見えると、その圧はさっきとは比べ物にならないくらいだった。

 ……でも、少しだけ安心した。美国もあたしと遠い存在ではなかったんだって。

587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 22:38:05.83 ID:06LJMs0nO
織莉子ぶちギレ、とうとう化けの皮が剥がれたか
588 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/27(水) 23:24:33.24 ID:7NQbM8Da0


 立ち上がると同時に、瞬時に変身する。

 飛んできた水晶のような珠を斧の刃で受け止めた。


小巻「やっとまともに喧嘩買う気になったんなら受けて立ってやろうじゃない……!」

小糸「お、お姉ちゃんもやめてよ!? 危ないって!」

小巻「大丈夫よ小糸、こんなチンケな玉なんか全部弾いてやるんだから。あたしだってアンタのこと見てるとイライラしてたのよ!」

織莉子「ええ……私もよ。貴女のおせっかい、そろそろ鬱陶しいと思っていたところだった」




小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:怯み(行動は回復のみ)

敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 23:27:05.23 ID:06LJMs0nO
4+1
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/27(水) 23:36:22.28 ID:eNjiHPNE0
↑+織莉子を罵倒。

あんたのそのすまし顔、前から気に入らなかったのよ!
バカにされてるの気にしながら、外面だけで『私は気にしてません』ってお高くとまって取り繕って内心気に病んでたんじゃない!
図星を差されたから逆ギレで殺人未遂とか、親が親ならこも子も子ね!まぁ、あんたの方が子供染みててタチが悪いけどね!

591 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 00:02:49.64 ID:8OfLE10l0


 斧を構え、水晶を砕きながら突っ切っていく。


小巻「はぁっ!」


 振り下ろした斧を美国はひらりと躱していった。

 外したとわかっていても勢いが止められない。死角から来た攻撃をなんとか盾で防ぐが、全ては捌けなかった。

 当たった分には大した威力はなかったのが救いか。


小巻「全然痛くないし! やっぱりこんな玉チンケよ……!」


 相手を捉え直し、再び斧を振るいに向かう。



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 02:03:12.71 ID:5u8Aq4Qe0
593 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 21:51:58.92 ID:8OfLE10l0
77


 いつもまっすぐに敵を裂く刃は、服についた装飾一つ傷つけずに空を斬り続ける。

 今度こそ近づいたと思ったらまた離れていってしまう。バリアでの拘束もこいつには意味がない。

 決して相手に押し負けてるわけじゃないはずなのに、こっちは近づくこともできなくて負けてる気分。


 段々腹が立ってきた。


小巻「〜〜っ、ホント逃げてばっか! 戦い方までこうだとは思わなかったけど、お似合いよね!」

織莉子「貴女の言う事はいつも的外れよ。私が何から逃げてると言ってるの?」


 避けきれない数の水晶が襲う。

 一発一発は大したことないと思っていた水晶の打撃も当たれば体勢が崩れる。

 どこまで狙ってたのか、その拍子に重心が安定を失って武器が手から離れた。


小巻「くっ……!」

小糸「きゃあ!」


 しかし、ヘタ打ったと思った瞬間に代わりに上がったのは駆け寄ろうとした小糸の悲鳴だった。

 頭から一筋血を流してぐったりと力が抜けている。それを見たら背筋が凍った。


小巻「なにやってるのよ! 小糸は関係ないでしょ!」

織莉子「無関係だと言うのなら手助けなどせずに見捨てればいいだけよ。といっても、どちらももう許す気はないわ」

小巻「アンタ……っ! マジで痛い目見させるわよ! 大体さっきもアンタはやりすぎなのよ! 小糸の回復魔法がなかったらどうなってたと思ってんの!」

織莉子「さあ。考えてみたらいいんじゃないかしら?」


 美国は黒の溜まった胸元の宝石をグリーフシードで浄化する。

 ゾッとするような怒りとも笑みともつかない表情を浮かべていた。

594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 22:04:22.85 ID:C/4au+DgO
あれ?状況不利?
595 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 22:50:59.31 ID:8OfLE10l0


小巻「何を、言ってるのよ……?」

織莉子「貴女、これをただの喧嘩だとでもまだ思っているの?」

織莉子「私は最初から貴女たちを殺す気だったのよ。私は“今回も”ちゃんと心臓を貫いた」

織莉子「……何故まだ生きていられるのか不思議ではない?」


 何を言ってるのか理解できない。

 心臓を? 言われてとっさに自分の胸のあたりを掴む。今はなんともないけど、さっき痛んだ箇所を思い出す。


 たしか、そういえば優木もそんなことを言っていた。 


小巻「……今回もですって?」


 気になることはまだあるけど、一番に耳に引っかかって無視できないのはそこだった。


織莉子「ええ。貴女が生きてたと知った時には驚いたけど、この期に及んで私を信じてたのは別の意味で驚いたわよ」

織莉子「どこまで愚かなのだろう、とね」

小巻「アンタ……優木なんかとつながってたの?」

織莉子「あんなクズとは一緒にしないで欲しいわね。あれは駒。私は利用しただけ。でも少々、出来損ないだったわ」


 優木は自分さえ良ければって考えで、散々好き放題してたようなヤツだ。

 美国はそんな嫌なヤツとは違うって思ってたのに。

596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:10:53.23 ID:T+pynNeIO
まだ目的を果たしてないのに自分からばらしたか
あすみが見たらバカじゃねーの、こいつって酷評するな
597 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 23:24:44.13 ID:8OfLE10l0


小巻「なんであんなヤツなんかと! アンタはそんな……っ!」

織莉子「だから、勝手に決めつけないで。貴女の考えは的外れだと言ったはずよ」

織莉子「頼んでもいないのに見当違いな心配を押し付けて、勝手なことをして、それが受け入れられなければ『ムカつく』ですって?」

織莉子「いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”。生きていれば確実に邪魔するであろう貴女の妹も含めてね」


 美国が手をかざす。

 怒りと冷たさに満ちた目の前の姿は、あたしの知っている美国織莉子ではなかった。


 ……知った気になってた。ある程度わかってるつもりだった。でも違った。――どうしてこんなことになった?


 あたしのやってたことはまるで意味がなかった。


織莉子「……私は周りで陰口を叩く人たちなんてどうでも良かったのよ。私とはもう立場が違うのだから」

織莉子「私のためというのなら死になさい。私の正義のために。この世界の為に!」

小巻「っ……!」


 飛んできた水晶をとっさに盾で防ぐ。美国は本気で殺しにかかっている。

 ひとまず小糸のことは守らないといけない。小糸をバリアで包んで、走り出すと斧の柄を掴んだ。


 頭の中がぐるぐるしてる。


 ……斧を両手で構えた。



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-20
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:29:40.72 ID:T+pynNeIO
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/28(木) 23:30:23.00 ID:YCoSacvV0
どうだ?
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/28(木) 23:31:50.71 ID:YCoSacvV0
うわっ、00だった・・・当たらなくて良かった・・・
もし自分のレスだったら即死してたかも・・・(汗
601 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/29(金) 00:22:37.01 ID:owg+F9HS0
58



 あたしの一撃は重い。刃が入ればほとんどの魔女は引き裂ける。

 きっと、だからこそ――。


 半端な覚悟では攻撃を当てることすら出来ないんだ。迷ったらむしろそこが隙になる。

 かたや、相手は殺す気で来てる。


 直感的に悟った。この戦い、このまま続けていても勝てない。実力が足りないんじゃなくて、心の問題だ。……それに加えて。


織莉子「一度死んだとき、貴女が持っていたグリーフシードも私が回収したわ。今の私は惜しむことなく魔法を使える」

織莉子「諦めなさい。魔力も少ない貴女じゃ私には勝てないわよ」



小巻(それでも小糸だけは守らなくちゃ。……小糸は本当になにも悪くないんだから!)



 そう思うと、ピンときた。あたしの願い。自分の魔法で何が出来るかは自分がわかっている。


 『守る』ことに特化したあたしの魔法なら、守りに徹していれば逃げることくらいはできそうだ。

 らしくないのはわかってる。さっきは逃げてばっかだってバカにしたけど。


 ここは街外れといっても外。走り続ければ人通りのある道には出られる。



 もう一度小糸を掴んで、走り出した。



織莉子「待ちなさい! まさか逃げる気じゃないでしょうね! おとなしく私に殺されていろッ!」



 声に聞こえないフリして走り続ける。もうこうなったらプライドなんて気にしてる場合じゃない。仮面を取っ払った美国がこんなのだなんて知りたくもなかった。

 いつも恥ずかしいって思ってた衣装のことも気にせずに駆け抜けて、道の真ん中でへたりこんだ。


 ……今は逃げた。でも、あたしはいつになったら向き合えるだろうか。



―27日目終了―



小巻 魔力[44/100]  状態:傷心
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
602 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/29(金) 00:34:27.97 ID:owg+F9HS0
----------------
今回更新はここまで
>>596 ???「余裕こいてベラベラ話した挙げ句逃げられるとか、ホント三流悪役だよねー」

ブチ切れて台無しにしなかったらもう主人公関われないまま計画完遂になりそうなとこでしたけどね。
まあ今まで溜め込んだ分、一発大きく爆発したということで…。
あとは原作で描かれなかった小巻の葛藤とかを描きたいってのもあります

次回は30日(土)18時くらいからの予定
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/29(金) 02:29:40.66 ID:EuStPG2u0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/29(金) 19:52:35.82 ID:x8Jg6WBS0

やっぱりあすみに酷評されてるなw
605 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/30(土) 21:03:02.28 ID:8sw4wMDF0
――――――


小糸「お姉ちゃん! ごはんできたってさ! 呼ばれてるよ」

小糸「今日は私も一緒に作ったの。自信作なんだからね!」

小巻「本当に? また塩と砂糖間違えてたりしない?」

小糸「そんな初歩的な間違えそうそう何度もしないよっ! ……たぶん。ちゃんと味見もしたもん」

小巻「冗談よ。今いくから」


 怪我は負ったけど、魔法のおかげで私達はこうして変わりない日々を遅れている。

 ……でもやっぱ、お姉ちゃんはいつもより元気がないように見えた。


小糸(……あれから美国さんのことも話さないし、珍しく凹んでる)

小糸(これを機に少しは丸くなってくれるならいいけど、調子狂うなぁ)


 でも、あの美国さんに命を狙われてたって、私も今でも信じられない。


――――――
――――――
606 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/30(土) 22:05:47.76 ID:8sw4wMDF0
29日目



 放っときゃいい、関わらないほうがいいってのはさんざん言われた。

 好きかって言われたらむしろ逆。気に食わなくて仕方がなかった。

 ……でも、なんだかんだで信じてたんだ。


 『いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”』

 『おとなしく私に殺されていろッ!」』


 あたしのやってきたことだって、あたしはそれが正しいって信じてきたから――――。


 でもその結果がこれじゃあ、今までのあたしの行動はなんだったの。

 これじゃバカみたいだ。


 ――――チャイムが鳴る。家も学校も何か起きたとこ以外は普段と変わらないし、いつもどおりはやってくる。

 忘れたふりをしてそこに浸かっていれば楽なんだろう。嫌なことを隠そうとするマミや美国みたいに。



 いつのまにか時刻は昼になっていた。あたしは一人教室を抜け出して廊下に出ていた。



小巻「……ねえ、あんたならわかるんでしょ」

小巻「“心臓を貫かれたのにも関わらず死ななかった意味”……って、なんなのよ」


QB「ソウルジェムの身体の関係だね」



 無感情な声が響く。

607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/30(土) 22:27:56.02 ID:7025/mCT0
出たなきゅうべぇ。
ここでようやく小巻が魔法少女の真実を知るのか・・・
608 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/30(土) 23:35:03.51 ID:8sw4wMDF0

QB「魔法少女の契約って、どういうものだと思う?」

小巻「は……? それはだから、魔法を使えるように?」

QB「そう。“君たちの身体の中から魂を特殊な力として活動できる形に取り出してあげているんだよ”。それが魔力と呼ばれるものだ」

QB「普段戦う時も、今こうして息をしたり喋ったりして動いているのだって、魂が身体に命令を出して動かしてる」

QB「君たちの場合は魂は身体から切り離されているんだから、もちろん身体が致命傷を負っても魔力を使えば生きられるよね」


 わけわかんないと思ったけど、結局最後まで聞いても意味がわからなかった。


小巻「何がもちろんよ……! わけわかんないわよ! そんなの一度もアンタから聞いてない!」

QB「難しい話はしてないはずだよ。僕からしたら君の反応のほうがわからないよ」

小巻「なにを言ってんだって、言ってるのよっ!」


 キュゥべえを力任せにつかもうとして、やめる。

 こんなことしたってなんにもならない。


QB「……いたた、君は力が強いんだから。頭が引き裂けるかと思った」

小巻「聞いておくけど、アンタはちゃんと死んだら死ぬの?」

QB「それも君たちにとっての身体のことかい? もちろん僕は死ぬよ。代わりはあるけど、あまり無意味に傷つけられたくはないんだ」

小巻「代わりですって……」

QB「聞きたいことがそれだけなら僕はもう行かせてもらうよ」


 キュゥべえは猫のような仕草で身軽に高所へと飛び乗った。


小巻「待ちなさい! 本当にそれだけ……?」

QB「……そう言われてもわからないな。まあ聞かれたことには答えるつもりだよ。またわからないことがあったら呼ぶといいさ」



 なんなのよ、これは。

 とりあえずわかるのは、キュゥべえまであたしの知らないことを黙ってたってこと。



「ねえ、ちょっといい?」



 ……屋上まで行くと、鞄片手に声をかけられた。

609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/30(土) 23:47:33.36 ID:7025/mCT0
む、誰だろ?口調からしてほむらかな?
610 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/31(日) 23:31:20.81 ID:hSwhX+M00


キリカ「昼、一緒に食べようと思ってさ」

小巻「別にいいけど」



 どうしてこんなとこまで。そう思ったけど、ついてきたわけではないらしい。あたしがここに来たのも思いつきだ。

 キュゥべえとの会話も……聞こえてたならこんなテンションじゃないだろう。


キリカ「小巻もどっかいっちゃったし、私もたまには違うとこで食べてみようかなあって思ってたら行き先にキミがいてびっくりだよ」

キリカ「たまには屋上でってのもいいよね! なんか開放感があってさ」


 そう言ってキリカがフェンスのほうに近づいていく。


キリカ「人は少ないし、景色も見下ろせるし、高いとこにいると特別な存在になった気になる。気がする!」

小巻「はあ…… そうかしら?」


 ……のうてんきだ。正直あまり理解できないけど。


 すぐに見飽きたのかそれから適当に腰を下ろして、鞄の中から弁当を取り出す。

 出てくるのは弁当だけじゃない。お菓子まで並べている。

 あたしも同じように腰を下ろした。


キリカ「たしか前も行き先に迷ったらここにきてたと思う。一人でなにかを考えたいとか」

611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/31(日) 23:36:06.74 ID:z8u8iY190
キリカだったか。
612 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/01(月) 01:12:47.50 ID:fb34IcqE0


小巻「それって、思い出せたの?」

キリカ「全部じゃないけど、どんなこと考えてたかくらいは。契約したときも屋上にいたっていうのは聞いてたし」


 ああ、そういえばキリカを最初に見かけたのは屋上だった。

 もうそれもずいぶんと前のことに思えた。あの頃のキリカは何かに悩んでいたんだ。


 あたしもなんとなくここにきたけど、無意識でもそういう思いがあったのかもしれない。


小巻「アンタはさ、あたしは普通じゃない、自分とは違うって言ったわよね」

小巻「もし、自分がよかれと思ってやってきたことが逆効果だったらどうする?」

小巻「全然受け入れてもらえなくて、本当は迷惑だって思われてて、相手は裏で予想もしなかったようなことやってて」


 ……屋上は考えるのにいい場所だなんていうからあたしもこんなことを話し始めたんだろう。

 キリカがお菓子を漁る手を止めた。


キリカ「どうするかって言われたら、落ち込むかなあ。もう無理って思ったら離れちゃうかも」

キリカ「……でも、もしその人とまだ仲良くしたいって思うならとりあえず謝ってみるかな」

小巻「自分は間違ったことはしてないのに?」

キリカ「そうだとしても、正論って弱ってる時には耳に痛かったりするし。そういうときは何かあるんだろうから、正しいだけじゃ簡単に受け入れられないこともあると思う」

小巻「そもそも迷惑ならそうと言えばいいでしょ。どうしてそんなことまで隠すのよ」

キリカ「……なんていうのかな、誰かとぶつかるのって疲れるでしょ。傷つけないようにとか考えたらなかなか言えないんじゃないかな」

キリカ「だから、まずは傷つけちゃったのはゴメンって。……相手の気持ちをわかってあげたら、いつかは受け入れてくれることもあるんじゃないかな?」

小巻「そういうものかしら……」

キリカ「か、考えてみただけだから私だって実際にちゃんと謝れるかはわかんないけどさ。うん、まあそうだと思う」


 マミにも小糸にも、似たようなことは言われてた。でもあのときは聞こうともしてなかった。

 ……相手の気持ち、か。 今までのあたしが理解しようとしてなかった? ただ押し付けようとしていた?

613 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/01(月) 22:22:50.28 ID:fb34IcqE0


キリカ「もちろん相手だって悪いよ。もし謝ってもダメでひどいことしてくるようなら怒っていいと思うし」

小巻「そ、それは当然よ!」


 美国はあたしだけじゃなく小糸まで殺す気だ。一度は……殺されたも同然。

 それに優木とつるんで悪事を働いてたんだ。あれはもう許していい範疇じゃない。


 でも、おかげで少しは気持ちの整理ができた。まずはマミとのことをなんとかしないと。


キリカ「でもやっぱ、そういうことがあって落ち込んでる時でもふさぎこまないでられるのが小巻の強いところだよ」

小巻「……なんでそうなるのよ。こんな話、ただのものの例えじゃない」

キリカ「いや…… 妙に具体的だし、そんなことホントになかったら絶対言ってないじゃん」

小巻「……もう、あたしってそんなにごまかすのが下手?」


 やっぱり慣れないことはするものじゃない。


 キリカはもうひとつお菓子を取り出すと、封をあけて中身をひとつつまむ。

 それを指でもてあそびながら、話し始めた。


キリカ「ちょっと、私の話もしてもいい?」

小巻「……聞くわよ」

キリカ「契約する前のことなんだけど、私が小巻に最初に抱いた印象はただの優等生ってだけだったんだ。正直たいして気に留めてもいなかったと思う」

キリカ「でも、それからほんの小さなきっかけがあって見方が変わって…… 私は小巻を恨むようになった」

小巻「え」


 思わず声を上げた。なにそれ。逆恨みにもほどがある。

 小さなきっかけって。


キリカ「私もそのきっかけまではよく覚えてないんだけど」

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/01(月) 22:46:22.40 ID:RkoOvamY0
キリカの悩みを「くだらないこと」って言ったことかな?
615 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/01(月) 23:05:21.00 ID:fb34IcqE0

キリカ「嫉妬してたんだ。小巻は強くて堂々としてて、なんでも言えて、おまけに勉強や運動まで出来るクラスの人気者」

キリカ「どうでもいいって思ってたくせに、目を向けてみたら私には眩しすぎて、こういう人には絶対に私の気持ちなんてわかんないんだろうなあって。考える資格もないのに比べてはさらに落ち込んで」

キリカ「そんな醜い自分が嫌になって契約した……んだと思う」

小巻「……なによそれ。私のせいでそんなくっだらない理由で契約したってこと?」

小巻「あたしは覚えてるわよ。転入してからあの日までのアンタとたいして接点もないんだから。たかが小銭拾ったくらいで……」

キリカ「たぶんそれだけじゃなくて、小さなきっかけからそんなこと考えるようになった私にも元から問題はあったんだろうけど」


 卑屈さとか、そもそもの自己評価の低さとか、たしかに端々から伝わってくるものはある。

 あたしがきっかけになったひと押しがなかったとしても、遅かれ早かれ…… だったのかもしれない。


キリカ「契約してからは小巻に対しての印象も『ただの優等生』に戻ってたんだ。ヘンな意味じゃなくて単純にすごいなぁって感じ」

キリカ「でも、仲間とか友達として接するうちにまた同じようなことを思いはじめて、そうしてるうちに思い出したんだ」

小巻「嫉妬…… ってやつ? 今も?」

キリカ「……そうだね。羨ましいと思う。私は契約してからイライラして周りに当たっちゃったし、今でもなかなか前向きになんてなれないからさ」

キリカ「結局、本当はそこまで変わってなかったんだよ。喜んでいいのかわかんないけど、ちょっと安心した気分っていうのかな?」

小巻「あのね、みんなあたしのこと強い強いって言うし確かにそうなのかもしれないけど、とりあえずあたしはちょっと今傷ついたわよ! そんな風に思われてたなんて」


 なんでどいつもこいつも思ってることを隠すのか。面倒くさいったらありゃしない。

 溜め込むからどんどん膨らんでそのうち大変なことになるんだ。


キリカ「ご、ゴメンって。ほらいっこあげるから! 今ならお弁当のおかずもひとつつけちゃう!」

小巻「じゃあ許してあげるから、好きなの選ばせなさいよ?」


 お話をそこそこに、弁当を広げて食べ始める。昼休みもあまりゆったりしてると時間がなくなってしまう。


キリカ「今は少し前向きになれたよ。キミが言ったとおり、残りの記憶もなんかきっかけがあればそのうち思い出せそうだよね」

小巻「……それならよかったわね」



 あたしだって落ち込んでるわけにもいかない、か。


616 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/02(火) 00:02:18.78 ID:P5tv3Xsx0


 ――――屋上から戻ると、マミにテレパシーを送った。放課後になったら話そうって。

 案の定返事はかえってこなかった。会っても無視して逃げようとするかもしれない。

 それでも、テレパシーだったら一方的にでも送ることは出来る。


 今度こそちゃんとマミとも話す。まずは謝るだけでも、聞いてさえいてくれれば。

 ……この前は意地を張ったけど、あたしはマミとの関係はこれで終わりにしたくないから。


 ガラス張りの壁越し、教室の外に鞄を持ったマミの姿が見えた。

 もうチャイムも鳴ってしばらく経つ教室は静かだ。こっちに来るわけではない。

 それどころか教室の前を横切って遠ざかっていく。帰る気だ。早退までして逃げる気だろう。


 もともとろくに聞いてなかった授業をすっぽかしてあたしも追った。


 あたしはやっぱり優等生なんかじゃない。美国じゃないんだから、そんな称号は似合わないみたい。


小巻「待ちなさいよ!」

小巻「あたしは違うけど、アンタは優等生なんでしょ」

マミ「……」

617 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/02(火) 00:13:20.85 ID:P5tv3Xsx0


小巻「テレパシーじゃ言った気がしないからもう一度言うわ。この前は悪かったわよ。あたし、マミの気持ちを考えてなかった」

マミ「どうしてあなたが謝るのよ」

小巻「あたしだって素直じゃなかったからよ。自分は間違ってないからって、考えを押し付けることしかしてなかった」

小巻「今思えば、それだって正しいとはいえないわよね。それで傷つけてるんだから」

マミ「……もういいわ。私だって今までは似たようなことしてきたもの」

マミ「自分が間違ってないからって、それを盾にして人に押し付けてきた」

マミ「それなのに、いざ自分が困ったらこれだものね。気づいたのはこの前、浅古さんと話した時よ。……私も佐倉さんに言われたのと同じ言葉を言ってたの」


 佐倉との間にあったこと。この前もその片鱗には触れた。

 ……あたしは詳しくは知らないけど。


マミ「気づいたら私は一人になっていた。同じ考えを持って友達になれたのは浅古さんだけだったのに」

小巻「……それならどうしてまだ逃げようとするのよ」


 マミはまだこっちに顔を合わせようとはしない。このまま一人で去ろうとするつもりだ。


小巻「ねえ、もう問い詰めないけどさ。マミが知ってることって、身体とソウルジェムのことなの?」

618 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/02(火) 00:16:06.94 ID:P5tv3Xsx0
-----------------------
今回更新はここまで
次回は3日(水)20時くらいからの予定
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/02(火) 00:19:26.58 ID:TlPfvRNB0
乙です。

とうとうその話が来ますか・・・
マミは織莉子から聞いて魔女化のことは知ってそうだけど。
620 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/03(水) 21:19:15.31 ID:xw+75fck0

マミ「なんで、どこでそれを知って……――」


 やっとあたしのほうを向いた。マミこそこんなのどこで知ったんだろう。


小巻「このまえ美国と揉めちゃってね。その時に知ることになったのよ」

マミ「そう…… 美国さんと」

小巻「アイツもこのこと知ってたみたいだった。アイツはあたしと小糸を殺そうとしたの。まだ、狙ってると思う」

マミ「……!」



 マミの顔はまだ思いつめた顔のまま。でも、予想もしなかったものに驚くって反応ではなかった。

 ――――……今日はこのまま学校を早退して、久しぶりにマミの家に行くことになった。


 ……そこであたしは、さらに知らなかった話を聞くことになった。



小巻「……まさか、キュゥべえはそんなことまで隠してたの」

マミ「……ええ」

小巻「確かにあたしもまだ何かあるんじゃないかとは思ってたけど……!」

小巻「それって、つまり、ソウルジェムが濁りきればあたしたちは魔女になるってことでしょう?」


 マミは静かに頷く。

 あたしは激情を隠せない。そんなこと簡単に受け入れられない。マミはもう受け入れちゃったってこと?


 そこからは、今まで貯めてたものを吐き出すように淡々とした話が続けられた。

621 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/03(水) 22:00:51.01 ID:xw+75fck0


マミ「魔法少女は危険を産む。美国さんは最悪の事態を防ぐために行動しているの」

マミ「これから先の未来に世界を滅ぼす魔女となる少女がいるんですって。美国さんの魔法は未来を視ることができるのよ」

マミ「その少女と、その子を護る存在を消すことが美国さんの計画……キュゥべえに気づかせないために、『目を引く』事件も利用したわ」

小巻「……優木のこと?」

マミ「ええ。それが優木さんと組んだ理由ですって。魔法を使うのにグリーフシードが不足しがちだというのもあったようだけどね」


 確かに美国は『計画』だとか『世界のため』とか言っていた。

 あのときは余裕もなくて気にしてなかったけど。


 ……ひととおり吐き出すと、マミは力なく沈黙してしまった。


小巻「マミはそれに協力してんの?」

マミ「ええ。だって、世界の危機ですもの」

小巻「そのために人を殺すの? 魔女になるって人だけじゃなく、なんの関係もない人たちまで大勢巻き込んだのよ」

小巻「アンタは街の平和を守るために魔法少女やってたんじゃなかったの?」

マミ「そんなのまやかしよ」

マミ「私は何も知らなかった。でも、魔法少女が魔女になるなら。……それに、街よりも世界の平和のほうが大きいじゃない」

小巻「だから仕方なかったって言いたいわけ……?」



1目を覚ましなさいよ
2そんなこと考えて苦しんでるの?
3自由安価

 下2レス
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/03(水) 22:40:40.24 ID:aW4FpeAo0
1+3
まずは魔法少女の真実を話してくれた事に礼を言う。
そのあと怒るがマミに落ち着いてもらおうとこれからの事を話す。

真実を話してくれた事には礼を言うわ、キュウベェを許す気はないし魔法少女の真実にしても色々とショックなのは事実よ。
でもね、だからと言って人殺しをするなんて同意は出来ない。
私たちはまだ人間なのよ!?なのに自分から呪いを振りまいてどうするのよ!それこそ魔女そのものじゃない!

だいたい美国の言う未来予知だなんて不確定なものでしょ!
私と小糸を殺そうとしたくせに失敗して今こうして私とマミが話してる事自体おかしいし!
また正論でだとか言うつもりはないけど、魔法少女の使命だとか魔法に振り回されて自分を見失ってどうするのよ!

正直私だって不安よ。考えなきゃいけないことがありすぎて頭がパンクしそうよ。
だから一緒に考えていきましょうよ、悩んで泣きそうになったら私やみんなを頼ってよ、友達なんだから。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 22:52:16.64 ID:SuNZXvJ8O

追加でマミが賛同してくれたらキリカや杏子達も呼んで事情を話して強力を要請する
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 23:42:18.27 ID:SuNZXvJ8O
あ、強力じゃなくて協力だった
625 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/03(水) 23:55:10.63 ID:xw+75fck0


 ソウルジェムのことにも驚いたけど、マミから聞いた話は予想の斜め上をいっていた。

 美国もマミもそんなことで悩んでたんだ。


 もう自分の考えを押し付けることはやめる。

 それでも、あたしはこれからも自分が正しいと思ったことは大事にしたい。自分をごまかして納得させたくはない。


小巻「目を覚ましなさいよ! 本当に本心からそう思ってるの? あたしは仕方ないって言葉が一番キライなの」

マミ「正しいとは思わないわ。最低よ。でも優木さんのことはもう過ぎたことよ」

小巻「それだけじゃない。魔女になる少女のことだって。ソイツもあたしたちもまだ人間なのよ」

小巻「話してくれたことはありがとう。でもあたしは協力する気はないわ。人殺しなんて賛同できない」

マミ「……それなら、世界が滅んでもいいというの?」


 マミの目は暗く、しかし覚悟を決めた目をしていた。


マミ「綺麗事でどうにかなることじゃない。もう時間もあまりないの」

小巻「でも……あたしはやりたくない」

マミ「……わかったわ。それがあなたの考えね。それならもう何も言わないわ。私が話したのは、ただ、吐き出したかっただけだから」


 マミの考えが変わることはなかった。

 最悪美国みたいに敵対するのかもしれない。ショックだけど、今はこれしか道はないのだろう。

626 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 21:13:34.69 ID:AH3Zwdu+0


 予知が使えるとはいえ、美国が予想してなかったことはいくらでもある。


 何もしなくても世界が滅ぶって決まったわけじゃないが、その素質があることは確定事項だ。

 逆に早まることだってありえるんだから、殺すよりも確実な方法を考えなきゃきっと納得はさせられない。


マミ「……今日はありがとう。少しだけ、話せたおかげで吹っ切れたわ」

小巻「それはお互い様よ」

マミ「私、佐倉さんにも今までのこと謝ってくる。今ならできる気がするの」


 そう言うマミの顔は、まだ影があるものの少しだけ晴れやかな表情をしていた。

 でも、それが良い意味なのかがわからない。今のうちに未練をなくして、どこかへ行こうとしているようにも見えて。


小巻「……ねえ、私は美国と戦うわ。もしあたしが勝って、マミがまだ悩んでるならあたしにも協力してよ」

マミ「え?」

小巻「一人じゃ頭がパンクしそうだし、一緒に考えてほしいのよ。殺さなくて世界も救える他の方法、ってやつを」

マミ「そんな方法……」

小巻「やっぱり綺麗事、だと思う? でもそれって、美国から聞いてその覚悟を決めたからでしょ?」

小巻「もしマミが一人で考えたとしたら、他のことも考えたんじゃない?」

マミ「……」


 マミは答えなかった。ただ、思いもしなかったことを聞いたような顔をしていた。

 殺せば確実に世界は救える。それはそうなのかもしれない。



 でも、その考えを突き進んで暴走した結果があの美国だとしたら。成功してもやっぱり悪い方向にしかいかないような気がして。



 ――――帰宅すると、自分のソウルジェムを確認する。

 ……あんなこと聞いて、あたしだって動揺してる。それに美国とのことも覚悟を固めなきゃいけない。



 すでに魔力の残りは少なくなっていた。さほど気にしていなかったが、この宝石が濁り切れば今度こそ本当に死ぬ。魔女になる……。

 そう思うとゾッとした感覚が沸き起こった。


 グリーフシードを手に取り、浄化して指に戻した。



―29日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
627 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 22:17:50.94 ID:AH3Zwdu+0
――――――
30日目



小巻「行ってくるわね」


 朝、小糸に見送られながら家を出る。


 一人の時に狙われたら困るから、小糸には昨日から学校を休ませてた。

 でも、こんな状態を長く続けるわけにはいかない。……向こうはまだ相変わらずいつもどおりの生活を送ってるんだろうか。



 登校してみると、いつもより少し廊下が騒がしいことに気づいた。

 その中心に目を向けてみる。すると、そこにはずっと考えてた姿があった。


 周りの生徒からは浮いた赤い制服。まるで転入したての頃のあたしみたいに。



美国「おはよう、小巻さん」


 美国はあたしに気づくとなんでもなさそうに挨拶をしてきた。


小巻「アンタ、なんでここに!」

美国「もう向こうへ行く必要が無くなったから、貴女のお勧めどおりにしてみたのだけど」



 次会う時はまたこの前みたいな殺し合いになるもんだと思ってたから、こんなところで普通に話しかけられるなんて思ってなかった。

 あたしが勧めた時はあんなに渋ってたのに。


 ……『必要がなくなった』? それってどういう意味なのか。

628 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 22:20:58.83 ID:AH3Zwdu+0
---------------------------------------------------
どうでもいいけどなぜかここだけ名字表記になっとる…
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/05(金) 22:31:09.11 ID:jnITK1w+0
まさか織莉子は2人いたとか?
メガほむ編の時みたいに盾の中に入れてきたとかw
630 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 22:40:47.05 ID:AH3Zwdu+0


小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/05(金) 22:51:54.66 ID:jnITK1w+0
4あえて織莉子を無視してマミが言ってた『世界を滅ぼす魔女となる少女』と『その子を護る存在』について考える。

あれだけの事をしていながら何よあの余裕ぶった態度・・・
今見滝原に転校してきたって事は例の少女とその守護者ってのがここに居るってことかしら?
マミとキリカ以外の魔法少女といったら暁美しかいないじゃない・・・
すぐに暁美に警告のメールして連絡が来たらキリカと情報を共有しないと。
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/05(金) 22:57:47.68 ID:7ww2EuXVO

追加でマミが登校してるかどうかを確認
ほむらと連絡が取れたらその時GSに余裕がないかどうか聞く
633 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 23:21:52.04 ID:AH3Zwdu+0


小巻「仕方ないから今はそうするわよ」


 納得はいかないが、ここで戦うわけにはいかないのは事実だ。

 コイツのことは見なかったことにして教室に向かおうとする。そこで、すれ違いざまに美国が言った。


織莉子「……それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 いったんは視界から消すことに決めた美国を一瞬見やると、鋭い眼光がこちらを睨んでいた。

 どっちのセリフだ。

 ムッとしたものの、今はそれも無視することにした。決着をつけるなら後。


 教室の自分の席につくと、そこでも美国は話題になっていた。


*「ねえ今朝さ、前の小巻と同じ制服着てる人いたよ。同じ学校から来たんだよね? 見た?」

*「小巻と知り合い?」

小巻「ええ。……会いたくなかったわ」

*「え? 仲悪いの?」

小巻「悪いけど、この話はここまでにしてくれる?」


 そう言うと、質問攻めにしてた子たちも何かを感じ取ったのかあっさり引いてった。


 ……いつのまにかあたしにも踏み込まれたくない領域ができてることに気づく。

 争いに関わらせたくないからってのもあるけど、知らない人にあたしたちの問題について触れられたくない。

634 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 23:45:06.10 ID:AH3Zwdu+0


 考え事の世界に没頭していく。


 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。


 教室を見回すとキリカの姿は見えた。ちょうど今来たとこみたいだった。それとマミは?


キリカ「おはよー」

小巻「おはよう。マミってもう来てるかしら?」

キリカ「え? わかんないけど、見に行く?」

小巻「ええ」


 もう一度席を立ち上がる。

 事情を知らないキリカは少し不思議そうな顔をしてるものの付き合ってくれた。


 二人でマミの教室の前まで行くが、そこに姿はなかった。

 ……何かまずい予感がする。どうして美国が今になって渋ってた行動を起こしたのか。

 それってつまり、渋る要因がなくなったってことだ。


 暁美にも連絡しないと。

635 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 23:56:37.17 ID:AH3Zwdu+0


キリカ「どうかしたの?」


 マミが来てないことを確かめて、暁美にメールを送ったところでキリカが聞いてきた。

 キリカにも少しは事情を話したほうがいいかもしれない。でも、どこまで。



1美国がおそらくこの学校の生徒を狙ってる、ということだけ
2ソウルジェムの真実から全部話す
3自由安価

 下2レス
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 00:17:57.95 ID:CNTxFS980
うーん、難しい選択ですねぇ・・・
どっちにしろ戦闘になったら織莉子がバラしそうだし2かな?
話す時マミに話した時のように話す。
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 00:24:06.32 ID:CNTxFS980
あ、途中送信・・・

キリカ、今は混乱すると思うけど私も昨日から同じよ。
だからよく聞いて。とにかく生きる事を考えましょう、一緒にね。
魔女になっててしぬのも交通事故で死ぬのも一緒よ、人間どうせいつかは死ぬんだから。
ならせいぜい足掻いていきましょう!あんたもまだ沢山甘いもの食べたいでしょ?

安価↓
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 00:29:29.82 ID:L7I6Z1v1O
せめてヒントが欲しかったけど安価↑
追加で小糸にも連絡して応援に来てもらう
639 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 00:47:07.35 ID:aH3pf+d90


 ……ソウルジェムの真実から今の状況を全部話した。

 かなり時間が経ったようだ。話し終えたところでチャイムが鳴る。


小巻「……いきなりこんなこと言われても困るわよね。混乱するわよね」

小巻「でもそれはあたしも同じよ。今は生きることを考えればいいの。やりたいことだってまだあるんだし……キリカも甘い物食べるとかさ」

キリカ「う、うん…… でもなんかまだ突然すぎてちょっと」

小巻「戻りましょうか……」


 二人で教室に戻った。

 いつものようにホームルームで担任の話を聞く。小糸も今は家にいるだろうし、後で連絡をしておこうか――。


 ホームルームの途中で、先生の声を遮るようにスピーカーから緊急の放送が流れた。


 『全校集会』を開くそうだ。至急体育館に集まって欲しいらしい。



小巻(嘘、これってまさか…………)



 遅かった。今まで何にどうやって阻まれてて、どう解決したのかは知らないけど、こうして行動に起こしたってことはもう準備は整っていたんだ。


 みんなと一緒に場所を移動すると、学校には警察の人まで来ていた。

 そしてついに校内で生徒の死体が発見されたと校長の口から聞かされることになる。


 体育館を見回してみれば、ひときわ目立つ違う色の制服――美国が何食わぬ顔をして生徒の中に混じっていた。


640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 00:55:47.76 ID:CNTxFS980
あれま
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 00:59:37.84 ID:L7I6Z1v1O
預かり知らぬところで状況が動いてしまったか
642 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 01:04:37.88 ID:aH3pf+d90
-------------------------------
今回更新はここまで  …はい、多分もう終盤ですがルート分岐しました。
今回QBにもばれてなく協力者は万全なうえ戦力も高いので、騒ぎ起こしたり捨て身のようなことをせずともこっそり暗殺できちゃうんですね

次回は6日(土)19時くらいからの予定
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 01:08:41.16 ID:L7I6Z1v1O

これはBADだなぁ
644 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 21:04:05.04 ID:aH3pf+d90
――――――



 リボンで括られた手の先に掴む銃は弾切れ。その身体にはいくつも糸とリボンがつなげられていた。

 暁美ほむらは、それでもその瞳に湛える鋭さだけは衰えなかった。


 しかしそれを聞いた瞬間、その光もついに失われる。


マミ「私の仲間が鹿目まどかを殺したそうよ」

ほむら「……嘘。どうせ嘘よ!」

マミ「私の役目は足止めだけ。あいにくと、すぐにバレる嘘をつく必要もないの」

マミ「あなたはキュゥべえからも鹿目さんを守っていた。でも貴女を放っておくことは世界を滅ぼすことにつながる」

マミ「そうしたら、私のせいだもの。やっぱり私にはそんなことはできないわ」

ほむら「さっきから何を言っているの。私はそんなことをしたいわけじゃない! 私はただ……」

マミ「したくなくても、そうなっているの。鹿目さんの素質は世界を滅ぼすのだから」

マミ「いったいどうしてこうなったの? 貴女はこれからどうするつもりなの?」

ほむら「――――……」




マミ「これからも同じことをまだ続けるのだとしたら、それを許しておくことはできない」




――――――
645 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 21:18:57.39 ID:aH3pf+d90


 全校生徒がざわめく中、この日はすぐに下校となった。

 捜査のために一般生徒は校内も立入禁止だ。今のところは死因について、詳しいことは何ひとつ話されることはなかった。

 発見されたのは監視カメラもない廊下の隅。証拠らしい証拠も残っていないのかもしれない。


 でも、あたしにはもうわかっていた。


小巻「……あんたがやったんでしょ?」


 美国の背中に言葉を投げかける。

 すると足を止めて振り返った。


織莉子「ええ、そうよ」


 そして、あっさりと認めた。


織莉子「これで世界は救われたの。今ここにいる人たちみんなが助かったわ。それでも貴女は私のことを責めたいの?」

小巻「アンタのやったことが正しいとは思わないけど、そのことはもういいわよ。結局まだアンタと違う方法ってのも思いつけてなかったしね」

小巻「でも責めたいことならたくさんあるわ! あたしももうアンタから逃げるなんてしない!」

織莉子「そう」

小巻「来なさい! 今度こそ決着をつけてやる……!」



 “少女”のことは世界まで関わるような壮大な話だ。

 でもここからのことは、あたしとコイツだけの問題だ。誰も巻き込まなくていい。

646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 21:30:37.01 ID:CNTxFS980
うーん、状況的にほむらはマミにやられちゃったくさいなぁ・・・
どうなるんだこれ?
647 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 21:39:49.22 ID:aH3pf+d90


 ――――場所を移す。人気のあるところを離れて、二人きり。


小巻「もう遠慮なんてしなくていいのよ。今日は本気でくるアンタをぶっ倒してやるんだから。じゃないと面白くないしね」

小巻「アンタの本性なんてもう知ってるんだから」

織莉子「いいでしょう。この間の続きをしてあげる……!」



 今度こそ汚い不意打ちもなし。どちらも戦闘態勢に入った。



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 21:53:30.47 ID:CNTxFS980
なんか勝ち目はなさそうだが1
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 22:05:02.38 ID:59raNYigO
怒っているときこそ慎重に
守りを固める感じで1
650 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 22:34:48.59 ID:aH3pf+d90


織莉子「後悔してももう遅い!」

小巻「そっちこそ!」


 叫び声。それと同時に迸る魔力、攻撃。


小巻「っ……!」


 この前よりも魔力の込められた水晶は半端なガードでは破られかねない。

 前方から広範囲に打ち付けられる攻撃に、大きな盾を構えた。


 出し惜しみなしの全力だ。確かに魔力をふんだんに使えるってのはでかい。


小巻「そうやって、最初から怒ってればよかったのよ」

小巻「ずっと澄ましてたけどアンタも内心はずっと怒ってたんでしょ?」

小巻「当然よね? ムカつくようなこと散々言われてるんだもの。それでムカつかないわけないものね」

織莉子「何が言いたいの?」


 力強く斧を振り上げる。


小巻「アンタだってあたしと同じで大人なんかじゃなかったってことよ!」

織莉子「一緒にしないで! 誰が貴女なんかと!」

小巻「そうね、じゃあまともな怒り方も知らないで育った厄介な子供ね!」



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 22:41:15.54 ID:GMgYDGylO

652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 22:50:17.67 ID:CNTxFS980


55、ほぼ互角ってことかな?
膠着したらGSないからキツいなぁ・・・
653 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/06(土) 23:24:07.97 ID:aH3pf+d90
55


 刃が力強く地面を削った。

 今度こそ、刃はちゃんとその姿を捉えていた。でも躱される。


 たとえこっちの準備が万全だったとしても、相手には魔法がある。攻撃が予測されてるんだから。


小巻(長引かせちゃいけない!)


 力を緩めずに斧を振るって水晶を砕き、食らいつくように近付こうとする。

 しかし一定の距離を保ったまま攻防が続き、届くことはなかった。


 呼吸が乱れはじめている。盾を構えて守りの体勢を取り、いったん息を整える。


織莉子「無茶な動きをするじゃない。重いもの振り回して。諦めてしまえば楽になれるわよ?」


 まだ余裕綽々の様子だ。武器や魔法の違いもせいもあるが、あたしとは対照的に最小限の動きしかしてない。

 もっとも、軟弱そうなコイツに心配されることなんてないけど。


小巻「アンタはこれからどうする気? 人を殺して、世界を救って。で、その救世主様は今はこんなところで怒りを撒き散らしてる」

小巻「全然満足そうに見えない。それとも、あたしと小糸を殺せば満足するのかしら?」

織莉子「そうよ。私の目標は達成できた。あとは貴女達を殺せれば満足だわ」


 どこまで本当なんだか。あたしの心配はたしかに見当違いだった。

 でも、理由は違っても、あの日上の空になるほど悩んでたことは変えようもない事実だった。



小巻 魔力[90/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/06(土) 23:40:30.85 ID:GMgYDGylO
無駄に攻撃をしないように>>649をもう一度
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/06(土) 23:44:19.63 ID:CNTxFS980


焦ったら駄目な感じだからなぁ・・・勝ち目がみつからないけど。
656 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 00:10:48.38 ID:w0XzH/SZ0
守りの姿勢(50固定)


 隙を作らないように攻撃を耐える。

 動いたらそのぶん隙ができる。あたしはまだ守りの体勢をとけないでいた。


 でもこれじゃ、相手の隙もできない。

 このままの状態が続けば魔力の差でこっちが押し負ける。

 向こうの動き方がどうでも、あたしとコイツじゃ戦い方が違う。あたしが読み合いで勝てることなんてないのだから。



小巻 魔力[85/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 00:18:21.44 ID:pzO9TK7m0
前回の戦いの際に気づいた自分の『守る力』を攻撃に使えないかと考えて1
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 00:24:39.87 ID:kXx0/db2O
659 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 00:47:48.57 ID:w0XzH/SZ0
あまり良い案が思いつかなかったので安価
--------------------------------------


1盾を構えたまま突撃
2他になんか戦術(自由安価)
3普通にコンマ判定する

 下2レス
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 00:58:42.84 ID:pzO9TK7m0
2
まどマギは想いが魔法の力になるみたいだから、

『ここで負けると小糸が殺される、小糸は絶対に守る!』

みたいな決意して盾を構えて突撃+小糸の武器みたいに盾の影から短くしたハルバードでブッ刺すとかどうでしょう?
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 01:02:14.54 ID:kXx0/db2O

お姉ちゃんパワー?
もう織莉子のことで悩むより小糸の事考えた方が小巻らしいかな?
662 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 01:31:33.15 ID:w0XzH/SZ0


 準備万端かって言われたら完璧じゃない。でももう覚悟は決めた。こんなところで二の足踏んでるわけにはいかない。


 いちかばちか、盾を構えたまま突撃してみた。

 ……ダメだ。斧を振るうよりもリーチがないんじゃ届かない。

 ただでさえ手の内は丸見えなんだから、小手先の工夫じゃ通用しないんだろう。



 結局のところ、あたしはあたしの戦い方を活かすしかないわけだ。



 盾もあるけどちょっとくらいの怪我は気合で耐える。

 あたしはもう、この身体に命がないことを知ってる。美国のほうは既にその覚悟をしているはずだ。



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

・そろそろ拮抗以下だとまずいかも…

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 01:36:57.20 ID:OnEZTd1Q0
とつげき!
664 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 01:48:38.48 ID:w0XzH/SZ0
-------------------------------------------------------
あ、相手クリット…今回は運が悪かったということでまた次に戦闘やり直しですね(白目)
次回は7日(日)19時くらいからの予定
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 09:26:39.58 ID:kXx0/db2O
オワタ
666 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 21:00:05.39 ID:w0XzH/SZ0
21(劣勢:相手クリティカル)


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。

667 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 21:22:59.64 ID:w0XzH/SZ0


 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。



小巻「ッ……――――!!」



 ――――あたしの刃が届くことはなかった。奇妙に力が抜ける感覚がして、倒れ込んだ。

 まだ言ってやりたいことがあったのに。



*どこからコンティニューする?*

>>637(戦闘開始)
>>653(戦況:拮抗)
>>656(戦況:拮抗、最後の安価)

 下2レス
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 21:36:39.31 ID:pzO9TK7m0
あああ・・・ゲ−ムオーバーか・・・
とりあえず2で。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 21:42:37.74 ID:cs/NQvGjO
3
670 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 22:04:43.09 ID:w0XzH/SZ0
------------------------
 やり直し >>656
------------------------
守りの姿勢(50固定)


 隙を作らないように攻撃を耐える。

 動いたらそのぶん隙ができる。あたしはまだ守りの体勢をとけないでいた。


 でもこれじゃ、相手の隙もできない。

 このままの状態が続けば魔力の差でこっちが押し負ける。

 向こうの動き方がどうでも、あたしとコイツじゃ戦い方が違う。あたしが読み合いで勝てることなんてないのだから。



小巻 魔力[85/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:12:47.96 ID:RVwhSFsfO
安価↓
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 22:14:25.40 ID:pzO9TK7m0
もう一度>>660な感じで1
673 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 22:24:25.46 ID:w0XzH/SZ0


 準備万端かって言われたら完璧じゃない。でももう覚悟は決めた。こんなところで二の足踏んでるわけにはいかない。


 いちかばちか、盾を構えたまま突撃してみた。

 ……ダメだ。斧を振るうよりもリーチがないんじゃ届かない。

 ただでさえ手の内は丸見えなんだから、小手先の工夫じゃ通用しないんだろう。



 結局のところ、あたしはあたしの戦い方を活かすしかないわけだ。



 盾もあるけどちょっとくらいの怪我は気合で耐える。

 あたしはもう、この身体に命がないことを知ってる。美国のほうは既にその覚悟をしているはずだ。



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

・そろそろ拮抗以下だとまずいかも…

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:25:04.67 ID:0DQAA6gXO

675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 22:25:14.95 ID:pzO9TK7m0
こんどこそ!
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:26:55.77 ID:0DQAA6gXO
ありゃ、>>675なら勝ってたな
677 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 22:36:20.76 ID:w0XzH/SZ0
68


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



小巻 魔力[80/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 22:43:53.50 ID:pzO9TK7m0
思い切って2で勝負。
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 22:49:03.62 ID:u2OiGOD3O
まだ1
680 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 22:57:27.00 ID:w0XzH/SZ0





 下1レスコンマ判定 戦況
勝敗結果決定:75

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 23:00:39.71 ID:pzO9TK7m0
お願い!
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 23:01:42.93 ID:pzO9TK7m0
あああ、3足りない・・・
683 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 23:24:59.72 ID:w0XzH/SZ0
73(拮抗継続→粘り負け)



 ……。


 もう迷わない。あたしは最後まで全力で振り抜いていた。でも攻める隙が見つからなかった。

 きっと相手だってそうだった。……結構やれてたと思ってたのに、魔力がなくなってくると身体までうまく動かなくなってくる。


 これ以上は続けられない。


小巻「……残念だわ。こんなことになるなんてね」

織莉子「もう負けを認めるの?」

小巻「もう魔力ないし」

織莉子「そのようね」

小巻「あたしは魔女にはならないから。まあでも、言いたいことは言えたわ。どのみちどっちかは死ぬんだものね。その前に」

織莉子「……」



 せっかく勝てたというのに、あたしの言葉を聞いた織莉子はとても不満足そうな顔をしていた。



*どこからコンティニューする?*

>>637(戦闘開始)
>>653(戦況:拮抗)
>>656(戦況:拮抗2)
>>677(戦況:決め手不足)

 下2レス
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 23:36:48.44 ID:Hy7mwwmnO
いい加減疲れてきたから4
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 23:37:50.12 ID:pzO9TK7m0
4かな?でも決め手かぁ・・・
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 23:41:35.41 ID:Hy7mwwmnO
ヒントが欲しいな
687 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/07(日) 23:44:16.82 ID:w0XzH/SZ0
------------------------------
 やり直し>>677
------------------------------
68


 力を込めて勢いをつけて、叩き込みに行く。

 相手のペースに飲まれてちゃいけない。どうせここで踏ん張らなければ疲弊する一方だ。


 向こうも本気なら、こっちも全力をぶつけよう。大事なものを守るために。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだった」

織莉子「やっと理解したの?」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? ――そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。



小巻 魔力[80/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/07(日) 23:48:50.64 ID:Hy7mwwmnO
2
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/07(日) 23:50:02.52 ID:pzO9TK7m0
>>678でやった2で。
690 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/08(月) 00:14:41.19 ID:EcOlwUUA0
勝利の秘訣はコンマとかいう見も蓋もない答えになりますね
短期決戦なので戦い始めのほうで良いコンマ出すのと、手数二倍は補正良くなりますが、戦力は大差ないので結局は運です
もう敗北パターン書ききってネタもないのでコンマ結果はダメでも通しますが、多少描写に関わるので一応判定やります
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 下1レスコンマ判定 戦況
勝敗結果決定:75

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3*2
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-5
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 00:18:58.77 ID:py0IbnlQO
結局はコンマ運か、やりきれねー
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/08(月) 00:20:32.97 ID:bKjrdn9q0
やったか!
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/08(月) 00:27:43.55 ID:bKjrdn9q0
久しぶりに長丁場になったな・・・ほむプルギスの時みたいで懐かしいw
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 00:30:45.77 ID:py0IbnlQO
ほむプルギスって何だ?
695 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/08(月) 00:45:57.53 ID:EcOlwUUA0
87


 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。


小巻「……今になって思うのよ」

小巻「マミじゃなくてあたしがアンタと友達になってやるって言ってれば、こうはならなかったんじゃないかって」


 ――――血が滴り落ちていく。両手に持った斧の先から。『斬りつけたもの』から。

 今まで魔女を両断してきた斧が、はじめて違うものを裂いた。

 それでもあたしたちはまだ死なない。だからまだ握りしめて、もう一度振るう。


 あたしがつけたかった決着ってのは、殺すことだけじゃない。ごまかしてばっかだったコイツと今度こそちゃんと話すため。

 最後に言っておきたかった、あたしの後悔の言葉とともに。


織莉子「そんなの……」

小巻「変わらないかしら? 案外友達になれたかもしれないわよ」

小巻「どうせアンタのことだから、誰かにこんなに全力で怒りをぶつけたのだって、あたしがはじめてなんでしょ?」


小巻「織莉子」


 今度こそ、胸についた宝石を砕いてやった。

696 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/08(月) 00:53:11.74 ID:EcOlwUUA0
--------------------------------------
今回更新はここまで
ストーリー的には勝利確定なんですが、主人公補正すら砕くのがコンマということで…

次回は9日(火)20時くらいからの予定
697 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/09(火) 22:05:05.31 ID:0/VLAM3k0



 死闘の末、すべてが終わった。あれだけ必死に戦っていたけど最後はあっけなく思えた。

 織莉子との決着はついた。そして、“少女”はすでに死んでいる。


小巻「……覚悟はしてたつもりだったけど、まだ動揺してるわね」


 疲労感が押し寄せてきて帰宅しようとする。

 小糸にも無事勝ってきたって、顔みせてあげないと。


 今日だけでも色々あったけど、やり残したことはもうないだろうか?



1マミに連絡を取る
2キリカに連絡を取る
3キュゥべえと話す
4まっすぐ帰ろう
5自由安価

 下2レス
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/09(火) 22:23:23.43 ID:A7geXVPB0
まぁ、共犯者のマミに連絡取るのは怖いけど1、あと事情話したキリカも心配なので2も追加。
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/09(火) 22:28:16.30 ID:qKLU9oiGO

追加で3
きゅうべぇに織莉子が確実に死んだか確認をとる
SGから偽物ってことはないわよね?あとこの遺体、どうすればいいと思う?
700 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/09(火) 23:09:16.44 ID:0/VLAM3k0


 結局マミとは会ってない。今、何してるのかな。

 携帯に手を伸ばす。こっちからの報告も兼ねて。


マミ『……浅古さん。どうしたの?』


 マミは電話には出た。まずは声を聞けて安心した。


小巻「織莉子を倒してきたわ」

マミ『……』

小巻「マミのほうこそ今どうしてるのよ。朝は学校にいなかったじゃない」

マミ『今? 今は何もしてないわよ。学校、今日はお休みになったそうね』

小巻「へえ……後で知ったのね、それ」


 言い方からしてそうだ。マミはあのとき学校には来ていなかった。

 “少女”の死が公にわかって学校内の閉鎖が決まった時にも。


 暁美からの反応も何もない。

 “守る存在”――暁美を押さえて対処したのはマミだろう。


小巻「これからどうすんの?」

マミ『これからも別に何もしないわよ。せっかくの休みだけど、今は何をする気分でもないの』

小巻「消えてなくなろうとか考えてんじゃないわよね?」

701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/09(火) 23:24:54.31 ID:A7geXVPB0
マミのSGにごってそうだなぁ・・・
702 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/10(水) 00:26:57.47 ID:l8dVIfC50



 待ってみてもマミからの返事はなかった。……代わりに沈黙が答えていた。



小巻「言っておくけどね、アンタが死んだところで何も解決しないわよ。それにあたしはまだ友達だと思ってるから」

マミ「……そんなことを言わないで。もう疲れちゃったわ。希望を持って生きていけるわけがないの」

小巻「あたしも疲れたわ。小糸は守れたけど色々ありすぎたし、誰か死ぬとか殺すとかもうたくさんよ」

小巻「あたしをさらに疲れさせる気?」


 本心からの言葉だった。でもこれもあたしのエゴなのかもしれない。

 キリカにも中途半端に事情を話しちゃったままだから連絡をしたけれど、そっちも元気がなさそうな声してた。



 今は疲れたって、時間が経てば少しずつでも回復する。きっと。それまで生きていれば。



小糸「お姉ちゃんおかえり!」


 家に帰ると小糸が迎えてくれた。明日からはパトロールも再開しないといけない。

 今日はもうゆっくり休もう。



―30日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[10/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
703 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/10(水) 00:29:41.29 ID:l8dVIfC50
-------------------------
今回更新はここまで
次回は12日(金)20時くらいからの予定
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/10(水) 00:32:21.59 ID:8/8FT2DVO

きゅうべぇが来なかったのが気になるな
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/10(水) 01:51:33.01 ID:RGR6SVt40
織莉子からGS回収したことにしてもいいんじゃない?
706 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/12(金) 22:22:38.53 ID:rK8RnnsJ0
----------------------------------------------------------
あすみとかだったら間違いなく回収してますが、
小巻には自分の殺した死体漁るのは心理的ハードルが高いかな…
707 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/12(金) 22:44:30.42 ID:rK8RnnsJ0
――――――
31日目



 もう小糸も学校に行けない理由はなくなって、昨日までとは逆に見送る朝が戻ってきた。

 それでも日常は完全に戻ったわけじゃない。

 受け入れるしかないあたしたちの真実。覆ることのない出来事。身近に起きた死と事件の匂いのせいか、学校内の空気も心なしか重い。



 マミは今日も学校には来なかった。



小巻「あれって……」


 学校を出てから少し歩いたところで、見覚えのある姿があった。

 佐倉。ついこの間街外れのほうで見たばっかりだけど、あれからこんなに早くこっちで会うとは思わなかった。


小巻「何しにきたのよ。この前はあんなこと言ってたくせに」


 そう言いつつも、心当たりはあった。

 もうこっちに来ないと決めてた佐倉が考えを曲げる理由があるとしたら一つだけだ。


杏子「キュゥべえのやつが妙な伝言よこしてきやがったんだよ。……いや、正確にはマミだけど」


 苛立ったような困惑したような、納得いかない様相をしている。

 そんな佐倉を小さな姿が見上げている。


ゆま「マミは『なかなおりしたい』ってゆってたんだよね?」

杏子「それが意味わかんないんだよ! 今になっていきなり。アンタなんか知らない?」

小巻「……」


 少し、言い淀んだ。

708 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/12(金) 23:43:07.82 ID:rK8RnnsJ0


 言いづらい話だ。長くもなる。それに知った後の仲間のあんな反応を見たら。

 そもそも考えてみれば、今あたしの口から話す必要なんてない。……あたしだってマミのこと気になってたんだから。


 もしかしたら、その『仲直り』がマミを立ち直らせてくれるかもしれない。


小巻「本人と話してみればいいじゃない。そのためにここまできたんでしょ」

杏子「そりゃそうだけど」

小巻「じゃあウジウジしてないで会いに行けば?」

ゆま「キョーコ、がんばって!」

杏子「そもそも『仲直り』とは一言も――」


 佐倉が言いかけた時、小さな影がふわりとその場に表れた。


QB「やあ。今日はこっちに来てるんだね。杏子、ゆま」


 無機質な声がいつもの調子で響く。

 こいつに隠されてたことを知ってからは、なんでもない挨拶さえ癇に障るようになった。


小巻「……アンタはなんなの」

QB「少し聞きたいことがあるんだ。織莉子を殺したのは君ではないよね?」


 その言葉に動揺を突かれる。昨日の今日だ。思い出したくない感覚まで蘇る。


小巻「だったらどうするの」

QB「キミはなにかと彼女を気にかけてたから、なにか喧嘩でもあったのか不思議に思うね」


 でも同時に、最後まで事情はバレずに済んだのだと思った。
709 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/13(土) 00:14:50.38 ID:hwr5tM2U0


QB「それで、その返答は小巻がそうしたと捉えてもいいのかな」

小巻「……そうよ。アイツとはもう本当に最悪な、すっごい拗らせた喧嘩をしたのよ」

QB「そうなんだね。それは……」


 まだ何かあるのか。そう思っていると、キュゥべえは少しだけ核心に迫るような事件についても言及する。


QB「昨日君の学校で、『まどか』が死んだことと関係はあるのかい?」

小巻「誰、それ」

QB「知らないならいいんだ」


 知らない名前。その反応に嘘はない。けど、誰の名前かはわかる。

 でも、どのみちもうそのことについてあたしは何もできないんだから。


小巻「ねえ、織莉子は――……死んだのよね。もう、目を覚ますなんてないくらい確実に」

QB「それは確認かい? それとも後悔ってやつかな」

QB「君が殺したのなら、確実に死んでいることもわかるはずだよ。それこそ誰かが奇跡でも祈らない限りね」


 気づいたら尋ねてた。

 そりゃ生きてても困るけど、なんとなくふとした瞬間にその実感がなくなって。


小巻「アンタに言われなくたって、アイツのことで後悔ならずっとしてるのよ!」
710 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/13(土) 00:36:34.18 ID:hwr5tM2U0



 ――――キュゥべえは聞きたいことは聞けたとばかりに去っていった。



杏子「おい、殺したって、あたしの知らない間に何が起きてるんだよ!?」

ゆま「そうだよ。どうして……っ」


 蚊帳の外だった二人があたしに迫る。

 そういえばこの二人も織莉子とは因縁があったんだ。


小巻「……そのこともマミとちゃんと話すなら話してあげるわよ。ここで話すわけにはいかないから」


 どこまで話したほうがいいのかはわからない。全部話すことになるかもしれない。

 何も知らないままで終わっても納得なんてできないだろうから。

 あたしには具体的に織莉子が何やってきたのかまでは知らないけど、目的がわかれば推測することはできる。マミならもう少し知ってるかもしれない。


 三人でマミの家に向かう。


 しかし、そこで知ったのは――――。


 いつのまにか、マミが自ら死を選んでいたことだった。

711 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/13(土) 00:39:52.56 ID:hwr5tM2U0
------------------------
今回更新はここまで
次回は13日(土)18時くらいからの予定
712 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/13(土) 19:59:35.94 ID:hwr5tM2U0


 ――生きていれば。生きてさえいれば、いつかは解決できるはずだと思ってたのに。

 マミはそこまで耐えられなかった。あたしが思うよりも早くに、マミは自分の未来に決断を下してしまった。



 呼んでも返事はなかったが、代わりに扉の鍵もかかってなかった。

 マミはテーブルに頭を乗せてうたた寝でもするように目を閉じていた。

 死んだとわかったのは、傍らに手紙があることと、それと、ソウルジェムの割れた欠片が散らばっていたこと。


杏子「……おい、なんだよこれ! なんなんだよ!!」


 佐倉が手紙を拾い上げて怒鳴る。

 そこにはあたしたちへの謝罪と、魔女になることへの恐怖が綴られていた。だから、その前に――と。


 あたしたちの心と命はソウルジェムという形になって目に見える。

 この宿命が、あたしたちが平穏を取り戻すことすらどこまでも阻んでくる。怒りが沸いた。キュゥべえはこの結末もすでに知っていたのだろうか。



 結局、あたしの口から全てを話した。



 佐倉とゆま、キリカ。真実を知った人はみんな、いつかはこうなってしまうんだろうか。

 そう思うと、言い知れぬ恐怖が纏わりついて離れない。


 まるでマミが幽霊になってここにいるかのように。あたしにとって死は身近な存在になってしまった。


 みんな、強くないから。あたしが思ってるよりも簡単に傷ついて、間違って、耐えられなくなってしまうから。


 あたしはみんなとは違う? あたしだけは強いっていうの? 本当に?

713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/13(土) 20:03:29.59 ID:BiQ41eWOO
マミ、はやまったか
714 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/13(土) 22:37:35.06 ID:hwr5tM2U0



小巻「……ただいま」


 マミの家を出る頃にはもうすっかり時間が経っていた。

 結局、今日決めてた予定も中止だ。やらなくちゃいけないのはわかるけど今日もそんな気分じゃない。


小糸「どうかしたの?」

小巻「何が?」

小糸「なんか元気なさそうにしてるな、って」


 小糸にも感づかれてたらしい。隠し事がうまいほうじゃないのはわかってたけど。


小糸「大丈夫! パトロールは私一人でもできるし!」

小巻「小糸……」



 みんなが穏やかに過ごせる日が戻るのはまだ遠そうだった。それに、一人はすでに失ってしまった。



小巻「心配しすぎよ。その時はあたしもついてくわよ」


 それでも、せめてこれ以上失いたくなかった。

715 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/13(土) 23:01:26.39 ID:hwr5tM2U0


 ――――その夜、世界に小さな異変が起きた。

 覆るはずのないものを何かが無理やり変えたかのような、そんな異変。違和。


 それは小さいけれど、世界を変えるほどの『奇跡』。

 どこかの場所で、獣と少女が向かい合っていた。



QB「君の願いは確かに叶ったよ」

「よかった……っ! ホントよかったよ……!」


 泣き崩れた少女の頬を伝う水滴を、“もう一人の少女”が指でやさしく拭った。



 『それこそ誰かが奇跡でも祈らない限りね』――言い換えれば、奇跡があれば人は蘇る。


 皮肉にも彼女を殺した人にはそれを願い叶えられる人は居なくて、彼女に殺された少女には居た。

 それだけの話だった。



―END@―

716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/13(土) 23:06:21.77 ID:IOwZREv0O
さやかがまどかを蘇らせたのか?
さやかの素質でまどかを蘇らせたっけ?
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/21(日) 19:40:54.19 ID:+VlOldPf0
続きこないなぁ・・・
718 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/26(金) 23:49:52.40 ID:xIVMLgOV0
-------------------------------------------------------------
一区切りついたのでちょっと間空けてましたが、休日には次回やると思います
次は「30日目」からやりなおして別ルートになりますね

ちなみに、このルートはここで終わりなのでその後の結果は割愛してますが、
すでにまどかの死が公に知られすぎてるので、蘇生というよりは死んだことをなかったことにしたみたいな願いを想定してたりします
願いにリソースを取られてほむらのように攻撃手段もなくなってるかもしれません
とはいえ、シリーズ見てもわかるように、完全に死者を復活させるのはどれほど強い力をもってしても難しい…とだけ
まあ蘇生と一口に言っても色々手段もありますし、QBに知られた時点であの手この手を考えないわけがないんですよね
719 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/28(日) 20:03:58.43 ID:oKmfZ5NY0
--------------------------
30日目からやりなおし
--------------------------


――――
――――


小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 21:02:43.14 ID:UpcB9wIn0
お!スレ主さん、お久しぶり!

30日から再スタートですか。
ここは違う結末を目指して4、急いで暁美の教室に行って暁美が登校してるかどうかを確認する。
来てなかったら暁美が親しくしていたのは誰かを確認して、彼女たちを屋上に連れ出してキュウベェを呼んで素質持ちがいるか確認する。
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 21:09:38.60 ID:8qqcDi9X0
↑で
722 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/28(日) 22:25:21.02 ID:oKmfZ5NY0
行動指定するのはいいんですが、一応会話中なのでセリフとして使えるものがないと無視したことになります。
あと小巻自身が認識してないことは目的を考えるのに時間がかかります。これも会話の後の行動になるので…。
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小巻(意味わかんない)


 キッと睨む。美国もそんなことじゃ怯まない。何考えてるのか。

 いつもだったら嫌味の一つくらい返してるとこだけど、あたしが何も言わないのを見ると美国は立ち去ろうとする。


織莉子「無視するつもりならそれでも構わないわよ。いつまでもそこにいなさい」


 去り際、すれ違いざまに鋭い視線を感じた。


織莉子「それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 怯むどころか睨み返してきていた。本当、思ったより図太いっていうかひねくれてるっていうか。

 ……どっちのセリフだ。


小巻「アンタはどこへ行くのよ」

織莉子「貴女に関係があるの?」

小巻「……そうね。転入初日にやることならあたしももう知ってるわよ」


 モヤモヤとした気持ちのまま美国の姿を見送る。

 何してるんだろう。朝から調子を狂わされる。

723 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/28(日) 22:41:12.73 ID:oKmfZ5NY0


 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。



 急いで暁美の教室に向かった。



小巻(いない!)


 そこには暁美の姿はなかった。

 たしか、前にここに来た時、暁美はクラスメイトとだけは楽しそうにしていた。

 あの時一緒にいたのはどんなヤツだったかを思い出そうとしながら、教室の中を見ていると、空色の髪の女子生徒がこっちに来た。


 ……見覚えがある気がする。


「何か用ですか?」

小巻「このクラスの暁美ほむらって知ってるわよね。アンタ、そいつと仲いい?」

「まあ、あたしはよく一緒にいますけど」


 コイツが暁美の守りたかった人?


小巻「他には? 仲いい人っていないの?」

「……失礼かもしれませんけど、なんでそんなことを?」


 少し怪訝に思われてるのが伝わってくる。どうしよう。

 コイツだけでもなんとかしようか?



1この女性生徒をつれて屋上に行く
2暁美と仲の良い人が危ないかもしれない、と話す
3自由安価
4一つ前の選択肢に戻る

 下2レス
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 22:59:19.15 ID:UpcB9wIn0
おや、選択肢に戻るは珍しいですね。
せっかくなので4に>>720の選択肢に1を追加で。
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/28(日) 23:00:43.70 ID:EaW+0SQ1O

追加でキリカも連れて行く
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/28(日) 23:12:08.23 ID:UpcB9wIn0
あ、そうか。
キリカは手芸部のことでキリカの事を知ってるから、キリカがいれば自分から話に加わってきてくれるかも?
小巻編でも手芸部の先輩後輩ならですけど。
727 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/28(日) 23:59:18.64 ID:oKmfZ5NY0
【一つ前の選択肢に戻る】
一度エンドは見てるので、快適性重視でいきたいと思ってます
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――――
――――



織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?


小巻「逃げる気なの?」

織莉子「どうしても私の前に立ちふさがりたいの?」

小巻「……」


 相手の思惑がわからないから、睨みだけを向ける。それで怯むようなヤツでもないことはもうわかってる。

 すると、美国はイラついたようにため息を吐き捨てる。まだ静かではあるが美国の語調が怒気を孕んでいくのを感じた。


織莉子「そうやって、いつも貴女は私の邪魔をする……」


 美国が漏らした言葉の意味を考える。ろくでもないことを実行しようとしてたのはわかった。

 尚更ここでコイツを逃しちゃいけない。今、あたしの前に居る間に押さえなきゃ手遅れになる。


小巻「何か企んでるんでしょ? いえ、目的はもうわかるわ。“世界を滅ぼす存在”ってやつがこの学校にいるの?」

小巻「そこに行く気なら、行かせるわけにはいかない」

織莉子「貴女は何故全てをわかっておきながら“魔女”の味方をするの。それに、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」

小巻「どっちのセリフよ!」


 カッときて、人目も憚らず怒鳴った。

 何が正しいかじゃない。美国のやったことのせいでマミは苦しんでる。やりたくもないことをやらなきゃいけないって思いつめて、そのせいで他の選択肢すら考えられなくなってる。

 魔女のことも世界滅亡のことも何も知らなければあんなふうに苦しむことはなかったのに。


 誰かは全部を知って考えなくちゃいけない。でも美国だけがそれを背負うべきとも思わないから、余計にこうなったのが悔しくなった。

728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/29(月) 00:23:50.61 ID:3za6TfKz0
あ、織莉子が「マミは私の友達よ」ってセリフがあったのだから、ここで>>695の小巻のセリフを入れてみたかったかも・・・
729 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 00:39:44.38 ID:6UhIlK0g0


小巻「場所を変えましょう。嫌だと言ってもついてきてもらうわ」

小巻「どのみちアンタとは戦わなきゃいけないって決まってたもの。アンタと決着をつけられて“殺人”も防げるなら一石二鳥だわ」

織莉子「でも本当にいいの? 今私を逃さないと後悔することになるでしょうね」

小巻「……いまさら命乞いでもする気?」

織莉子「まさか」


 美国はあたしの言葉を一笑に付す。

 それから、関係なさそうな調子で話し始めた。


織莉子「ところで、魔女の素体がこの学校にいるって推測は正解よ。当然近くに居るほうが狙いやすいわ。でも私がこの学校への転校を渋っていた理由は、守護者の事だけじゃないの」

織莉子「この学校にはすでに魔法少女がいる。守護者を排除できる目処が立つまでは、ギリギリまでインキュベーターの注目を集めるのは避けたかったから」

小巻「……そんなことあの時は考えもしなかったわ」

織莉子「そして、守護者は今いないわ。マミに足止めをしてもらっているの。この意味がわかる?」

織莉子「守護者は私からだけじゃなく契約からも守ってくれる存在だった。そのガードが外れている今、放っていればじきに契約してしまう」

織莉子「だからその前に今すぐ、私が除かなければならないの」

小巻「自分たちでやっといて、随分勝手な理由じゃない」

織莉子「ええ、そうだとしてもね。変わらないわ。戦ってあげる時間など無いの。わかったら、大人しく私に道を開けなさい」




1じゃあその前にとっとと決着をつけるしかないわね!
2契約されたら何かまずいわけ?
3自由安価

 下2レス
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/29(月) 01:06:16.45 ID:3za6TfKz0
1+いないけどあすみみたいに織莉子を煽る。
あと最後に>>695の友達、怒りを見せる云々のせりふも。

ふん、世界を救うためとか言って余裕ぶってベラベラ喋ってるけど、焦って余裕がなさそうに見えるわね。
自分の計画が上手く行きそうだから口が軽くなってるみたいだけどそれって小悪党そのものよね?
あれね、選挙の結果が出る前に当選確実とか確信して実際は落選するってやつかしら?
そんなところまで政治家染みてて『美国』って家に囚われてるのね・・・ここまでくるともう道化ね。
ま、あんたの場合は道化になろうとしていても、端から見たら必死すぎて道化になりきれていない三流だけどね。
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/29(月) 01:14:07.89 ID:IHKTIO6P0
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 01:15:56.64 ID:QluEkn/3O

一応2も追加
733 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 01:27:43.52 ID:6UhIlK0g0
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今回更新はここまで
次回は29日(月)20時くらいからの予定
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 01:37:19.76 ID:QluEkn/3O

735 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 21:28:16.68 ID:6UhIlK0g0


 ここまで言われて引き下がれるか!


小巻「じゃあその前にとっとと決着をつければいい話よ!」

織莉子「貴女、正気なの? それとも世界を滅ぼしたいの?」

小巻「アンタとは考え方が違うってだけ」

織莉子「ここまで言ってもわかってくれないなんて。やはり私達は何処まで行こうとも相容れない定めのようね」

小巻「……そうよ。アンタがそうする限り、相容れないわ」

織莉子「それなら、先に排除するしか無いわ。この世界の為に」


 ようやく場所を移す。最低限人目のつかない場所に。

 時間がないってのはあたしだってわかってる。



 長引かせずに倒す。――――いや、『殺す』。

 光が散る。ほぼ同時に衣装を身に纏った。そして、両手でしっかりと斧を構えて踏み込んだ。


小巻「覚悟しなさいッ!」


 前方からは珠が飛んでくる。今更互いに遠慮なんて必要ない。全力がぶつかり合った。

736 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 22:17:08.59 ID:6UhIlK0g0


織莉子「私の邪魔をして貴女には何が出来るというの? どうせ何も出来ないのなら、安い正義を振りかざすな!」

小巻「『安い正義』?」


 この前からコイツが言ってることは一つだ。世界のため。正義のため。


小巻「それってアンタのことでしょ? 世界のためとか言って正当化してるけど、アンタのやってることは小悪党そのものよ」

織莉子「何とでも言えばいい。悪逆の道に居る事なんて理解ってる。それで世を救えるのなら安いものでしょう?」

小巻「それも例の父親に誇りたいからやってるの?」


 『父親』――その言葉を出した瞬間に、美国は更に怒りの形相を鋭くした。


小巻「この前も言ったけどね、ソイツはもう居ないのよ! 死んだヤツのこと勝手に決めつけて、生きてる人殺していい理由になんてなるか!」

織莉子「お前がお父様のことを口に出すなぁッ!!!」

小巻「っ!」


 ひときわに殺意と威力の籠もった珠が飛んでくる。そこからさらに、レーザーが四方八方に弾けて展開された。

 盾で受けるにもキツい猛攻だ。一歩引き下がらせられ、防御の間に合わなかった手足にレーザーに焼き切られた傷がつく。


 そうでなくともさっきから、相手は魔力を出し惜しみなしに使ってる。


小巻「やっぱずっと、内心じゃ怒ってたんじゃない。本当は人助けなんてしたくないんでしょ?」

小巻「そうやって、最初から怒ってればよかったのよ」

織莉子「何が言いたい!」


 なんとか体勢を直して、力強く斧を振り上げる。


小巻「ムカつくこと散々言われてたんだから、怒るのは当然よ。そこで発散してりゃよかったの!」

小巻「アンタだってあたしと同じで大人なんかじゃなかったってことよ!」

織莉子「一緒にしないで! 誰が貴女なんかと!」

小巻「そうね、じゃあまともな怒り方も知らないで育った厄介な子供ね! それで無関係な人殺すのまで正当化するんだから、本当に厄介よ!」

737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/29(月) 22:45:19.78 ID:3za6TfKz0
派手な喧嘩どころか殺し合いをやってるなぁ
人気がないとこってまさか学校の敷地内、屋上とかじゃないよね・・・?
738 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 23:06:33.84 ID:6UhIlK0g0


 美国は弾かれたように叫んだ。

 目的の根幹だ。美国からすれば過剰に反応してでも認めるわけにはいかないんだろう。認めたらここまでやってきた全てが崩れてしまう。


織莉子「黙りなさいッ! ……黙れッ! 撤回しろ!」

小巻「怒り慣れてないからかしらね? そういうの図星突かれた反応って言うのよ」


 美国は今まで抱いてきた怒りすら正当化して消してきたんだ。あたしの心配はたしかに見当違いだった。

 でも、あの日上の空になるほど悩んでたことは変えようもない事実だった。


 その根本的な理由は他にあって、完璧に理解することはあたしにはできない。どうしてこうなったかも、コイツのこと全部は知らないから。


小巻「……さぞ迷惑だったんでしょうね。あたしのやってきたことはアンタからすれば邪魔なことばかりだったでしょうね」

織莉子「わかったのなら退いて。こうしている時間なんて無いの」

小巻「これがアンタのやりたかったことなのよね? そのためにずっと悩んで、殺して……!」


 避けられては、すかさず踏み込む。飛んでくる水晶は見極めて防ぐ。

 魔力と魔力がぶつかり合って火花を散らす。


 でも、コイツがこうまでして守りたいものって、ただの意地? プライド? そう思うと、悔しさがこみ上げた。


 その悔しさは、自分に対してもだった。

 美国のこと気にしておきながら、あたしも意地を張っていた。


 理由を理解できていたのなら、『何か』は変わったかもしれない。


小巻「アンタの気持ちなんかあたしが知るはずもなかったけど!」

織莉子「どうせわからないわよ。貴女には。私達は相容れないのだから」


 冷たく、諦めたような口調で突き放される。

 少し前までのあたしじゃ聞いたところで理解しようとすることもできなかったかもしれない。


 それでも。

739 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 23:11:42.75 ID:6UhIlK0g0


 感情のせいか、水晶の威力は変わらないものの次第に狙いは単調なものになっている。

 あたしのほうもそろそろ万全の動きじゃない。



 決着は近づいている。



 知ってたって避け続けられるわけじゃないし、逃げ続けられる場所も無限にあるわけじゃない。

 迫り続け、少しずつ後退していった先のその背には壁が近づいている。


 もう迷わない。最後まで全力で斧を振り抜いた。


小巻「『アンタがそうする限り』って、言ったでしょ?」

織莉子「は……」

小巻「……今になって思うのよ」

小巻「マミじゃなくてあたしがアンタと友達になってやるって言ってれば、こうはならなかったんじゃないかって」


 ――――血が滴り落ちていく。両手に持った斧の先から。『斬りつけたもの』から。

 今まで魔女を両断してきた斧が、はじめて違うものを裂いた。

 それでもあたしたちはまだ死なない。だからまだ握りしめて、もう一度振るう。


 あたしがつけたかった決着ってのは、殺すことだけじゃない。ごまかしてばっかだったコイツと今度こそちゃんと話すため。

 最後に言っておきたかった、あたしの後悔の言葉とともに。


織莉子「そんなの……」

小巻「変わらないかしら? 案外友達になれたかもしれないわよ」

小巻「どうせアンタのことだから、誰かにこんなに全力で怒りをぶつけたのだって、あたしがはじめてなんでしょ?」


小巻「織莉子」


 今度こそ、胸についた宝石を砕いてやった。
740 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 23:29:57.44 ID:6UhIlK0g0


小巻「はぁ……っ」


 思わず気が抜けてその場にへたりこんだ。今まで気にならなかった疲労や痛みが一気に押し寄せてくる。

 戻ったときに心配されるだろうから治療だけはしておこう。


 ここは学校からそう離れてもない場所だ。今は人気がないけど、覗こうと思えばすぐに覗ける。


小巻「違う、まだ気を抜いてる場合じゃない……!」


 傷を直し終えると、もう一度気合を入れて立ち上がる。

 一人この場所を抜けていく。

 織莉子に最後に別れを告げて、もう見ないようにした。ここならきっと、誰かは見つけてくれるはず。



1暁美のクラスに行こう
2マミが暁美を足止めしてるって言ってたな
3自由安価

 下2レス
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/29(月) 23:37:43.79 ID:3za6TfKz0
織莉子戦、安価がないのって良いですねぇ・・・

1+2
暁美のクラスに急いで向かいながら2の事でマミに電話する。

マミ、今あんたが何をしてるのかわかってるから!
今すぐ馬鹿な事はやめて暁美を解放しなさい、そうすればあんたはまだ手遅れにならない!
名前をだすのは尺だけど、佐倉が誇れるマミ先輩でいるべきなのよ、あんたは!
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 23:41:11.30 ID:i/GpZkMUO

追加でキリカにも連絡して暁美のクラスに先に行くように頼む。
きゅうべぇがいたら契約させないように頼む
743 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/29(月) 23:49:40.59 ID:6UhIlK0g0
------------------------------
今回更新はここまで
次回は1日(水)20時くらいからの予定
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/29(月) 23:54:22.81 ID:3za6TfKz0
乙です。

とりあえず1回目とは違う展開になりそうですね。
マミがクーほむを倒してなければ良いんですけどねぇ・・・
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/29(月) 23:54:56.61 ID:i/GpZkMUO

746 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/01(水) 21:46:44.28 ID:2xHtwyZa0


 携帯を取り出してキリカにコールする。

 あたしがここから学校に戻るまでには少し時間がかかる。事情を話してる暇はないけど、見てもらうだけでも。


キリカ『どこにいるの! もうホームルーム始まるよ? 今日休み?』

小巻「今はそれどころじゃないのよ! それより、すぐに今から言う教室を見てきてくれない!?」

キリカ『えー、なんでそんな……』

小巻「あたしも向かってるし、事情は後で話すから! 悪いんだけど今は何も聞かずに頼まれて!」


 ここまで言うと、キリカも腑に落ちない様子ではあったものの了承してくれた。


 これまで暁美に会いにいったときはあたしとマミだけだった。キリカはまだ暁美とも会ったことがないかもしれないし、教室も知らないはず。

 学年と組を伝えて、ひとまず電話を切る。


 ……気にしなきゃいけないのはそっちだけじゃない。マミが暁美を足止めしてるって言ってた。次はマミだ。


小巻(お願い、出て……!)


 学校に来る前に足止めしてるんだから暁美の通学路にいるんだろうけど、見当もつけられなきゃそんなの闇雲に探すなんてできない。

747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/01(水) 22:05:30.32 ID:f2pzoUuk0
さて、どうなるか……間に合ってほしいけど。
748 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/01(水) 23:08:49.14 ID:2xHtwyZa0
――――――
――――――



 リボンで括られた手の先に掴む銃は弾切れ。その身体にはいくつも糸とリボンがつなげられていた。

 マミが空中に浮かばせられたそれを無感情に眺める。


マミ「……」

ほむら「……」


 戦いの終わったこの場からは戦いの音も消え、沈黙が流れていた。

 それでも、暁美ほむらのその瞳に湛える鋭さだけは衰えることはなかった。


マミ(私には……やっぱりこうするしかない)

マミ(これが私にできることだから。協力すると言ったもの。美国さんが行動を起こすというのなら、今更断るのは世界を滅ぼすことにつながる)


マミ(そうしたら、私のせいだもの)


 のしかかる重さを感じながら、与えられた役割をこなす。責任感の強い性格もそれを手伝っていた。

 しかし捕らえられたままのほむらは、それ以上がないことを訝しみはじめる。


ほむら「……一体いつまでこうしているの」


 ほむらも元々口数が少ないほうではあるが、不自然な沈黙に痺れを切らしようやく口を開いた。

 しかし、マミのほうがまだ頑なに口を閉ざしていた。


 織莉子からの連絡を待つ。そして、携帯をとった。



マミ「……!」



――――――
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/01(水) 23:19:57.37 ID:3tzGj5OeO
縛りプレイに放置プレイとかマミってなかなかマニアックな嗜好してるのな
750 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/02(木) 00:00:04.00 ID:D2o4LAJ70


小巻「マミ、今暁美のとこにいるんでしょ!? アンタが何をしてるかわかってるから!」

マミ『浅古さん……!? どうしてあなたが』

小巻「織莉子を倒したの」


 電話越しに短く息をのんだのが伝わってきた。


小巻「殺したのよ。あたしが」


 あたしのやったことについて、自分にも誰にもごまかすことはしない。

 アイツは魔女とは違う。


小巻「だからアンタも今すぐ学校にきなさい! 暁美も解放してやって」

マミ『そんなこと、今更……! きっとただで許してはくれないわ』

小巻「今更も何も、アンタとアイツの考えてた計画はもう潰えたのよ。あたしは殺しはしない」

小巻「そしたらこれから守ってくれる暁美がいないと困るのはあたしたちでしょ? そうする以外の選択肢があるっていうの?」

マミ『そうじゃなくて、私のことよ』


 電話の向こうから戦いの音は聞こえない。

 もう戦いは終わっているんだろう。


 何を迷ってるんだと思ったらそんなこと。そりゃ暁美が許すかどうかは知らないけど。


小巻「暁美がどうするかは知らないわ。でも、アンタはまだ戻れるわよ。きっと」

小巻「今は疲れてるだろうけど、生きてる限りはいつかは回復するんだから」


 マミをなんとか元気づけるために言葉を選ぶ。

 言おうかどうか迷ったけど、これも言うことにした。マミの中じゃその存在も大きいみたいだから。


小巻「名前を出すのは癪だけど、佐倉が誇れるマミ先輩でいるべきなのよ。アンタは」


 マミからの返事はまだなかったけど、こっちはこっちでやることがある。

 校舎には入った。織莉子のやり方を否定したんだから、アイツとは違うやり方で、今は暁美の代わりにあたしが守りきってみせる。


小巻「こっちも時間ないんだからこれで切るわよ? 言いたいことは全部言ったからね!」

マミ『……ええ。わかったわ』


 やっと返事が聞けたことに安心して通話を切った。

 教室が見えてくる。


小巻(今はキリカが来てくれてるはず……! 間に合ってるわよね?)



 踏み込む前に、まずは外から目で探す。しかしそこには、探していた姿はなかった。



――――――
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/02(木) 00:05:00.64 ID:9ACUR6Rt0
ほむらの方はなんとかなったけど、キリカがいないだと?
752 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/02(木) 00:05:50.42 ID:D2o4LAJ70
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今回更新はここまで
次回は3日(金)20時くらいからの予定
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/02(木) 00:10:43.49 ID:9ACUR6Rt0
乙です。

とりあえずマミとほむらの方は何とかなったけど、まどかの方はどうなるか微妙だなぁ……


754 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/03(金) 22:05:00.26 ID:NClVhbmG0
――――――



 ほとんどの人が教室内に揃っている。

 もうホームルームもはじまるという時になってから、キリカは教室を抜け出していた。



 ――正直、何やってんだって気はする。何がしたいのかもわからない。



 他の人の頼みだったら聞いてない。けど、小巻から頼みなんて珍しいことだった。

 自分で出来ることは自分でなんとかする。いつもそういう人だから。


キリカ(ていうか、見てきてとしか言われてないけど)


 見たらどうにかなるのか。行ったら何かがわかるのかもしれない。

 言われたとおりのクラスを見てみると、知らない人しかいないと思ってた教室には、たしかに知ってる姿があった。


 知ってる姿と知らない姿。


キリカ「……キュゥべえ?」


 そこにはキュゥべえがいて、その視線の先には誰かがいた。

755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/03(金) 22:47:05.67 ID:w4TLv7JV0
やはり来てたか営業マン。
一応>>742の安価があるから契約させない事は出来るのかな?
756 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/03(金) 23:37:53.55 ID:NClVhbmG0


QB「やあ、キリカじゃないか。どうしてキミがここに?」

キリカ「……さあ。なんとなくかな?」


 そう答えたのは直感だった。素直に言ったらまずい気がした。

 少なくともコイツのこと信用はしてない。


「この人は?」

QB「魔法少女だよ」


 キュゥべえが誰かを見てると思ったのは偶然じゃなかった。

 やっぱりなにか話してたんだ。


キリカ「また新しい人なんて増えてたの? それとも候補?」

QB「二人はこれから魔法少女になってくれるかもしれないんだ。前向きに考えてくれているみたいだよ」

キリカ「あぁ、そーですか……」


 呆れたような声を出す。実際呆れてた。

 席についてって先生の声が響き渡る。そろそろ出なくちゃまずいかもしれない。


 わざわざ来させたとこにキュゥべえがいたんだから、契約されるのは快く思ってないんだろう。

 それはわかる。私からできるのは忠告くらいだ。


キリカ「ねぇ、きみたち本当に後悔しない? 何も知らずに契約して」

QB「何も知らないわけじゃないよ。僕からも話してるし」

キリカ「どうせ詳しいことなんてろくに話さないでしょ! 契約した人がそのあとどうなるか、とか……!」

757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/03(金) 23:41:43.97 ID:7m0wV3ZUO
キリカは真実は知らないけど不信感はあるからな
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/03(金) 23:48:00.48 ID:w4TLv7JV0
2人ということはまどかとさやかか、早まらないでほしいなぁ……
759 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 00:13:35.87 ID:9Q6rQirQ0


 一瞬だけど、空気が凍りついた気がした。


 自分のことを考えれば不満はいくらでもでてくる。

 私は契約した時のことは覚えてない。でも、聞いてたらさすがにやめてると思った。


「……キリカさんは後悔してるんですか?」

キリカ「うん。今は全部じゃないけど、後悔してることはあるよ。……まあ、契約するならよく考えてよ」

「でも早くしないと…………」


 一人の子は何かに焦っているようだった。

 せめてもっと話す時間があればよかった。教室で契約はしないだろうけど、キュゥべえならずっとここにいても怪しく思われないし。


 すると、もう一人の子が叫び始めた。


「あああぁっ! いたいいたいいたい、お腹がいたーい! まどか、保健室につれてって!」


 視線を送られた子は少しの間ぽかんとしてたけど、すぐに意図を汲み取って言った。


「先生、さやかちゃんが具合悪いみたいなので保健室につれていきます」


760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/04(土) 00:16:37.56 ID:mvtnRZ7U0
そう来たか、さやかナイスw
とにかく時間が稼げればキリカの話は聞いてくれそうだけど。
761 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 00:45:36.59 ID:9Q6rQirQ0
――――
――――


さやか「ここなら契約も会話の続きもできるって思ってさ。どうなるかって話は現役の人に聞くのが一番でしょ?」

まどか「巻き込んじゃってごめんなさい……」

キリカ「べつに私ならいいよ。サボりっていうのは、まぁいまさらだし」


 最近はなかったんだけど。


QB「キリカの場合はレアなケースだよ。君たちの場合には当てはまることはないんじゃないかな」

さやか「レアってことは、たまにはあるってこと?」

QB「願い事の結果だよ。キリカの場合は『違う自分になりたい』って願ったんだ」

キリカ「なんであんたが先に言うわけ? ほんっとにデリカシーがないな!」

QB「どうせこれから話そうとしてたなら誰が話してもいいじゃないか」


 そう言われたら同じなのかもしれないけど、気持ちとしては何か違う。

 やっぱこいつはそういうとこを察しない。


まどか「それでどうなったかっていうのも気になるけど、わたしのことから聞いてもらってもいいですか」

キリカ「……どーぞ? ムカつくことになったのはわかったと思うけど、個人的な話にはなるからね」

まどか「わたしの友達が今日学校に来てないんです」

まどか「最初はお休みかなって思ってたけど……キュゥべえからその子が魔法少女だって教えてもらって、よくないことがあったのかもって……」

キリカ「まどかはその子を助けたいの?」

まどか「わたしがそう願えば助けられるから」

762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 00:47:28.80 ID:RRoEUz7ZO
保健室に行ったから入れ違いなのか
763 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 00:49:02.89 ID:9Q6rQirQ0
------------------------
今回更新はここまで
次回は4日(土)18時くらいからの予定
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 00:50:19.26 ID:RRoEUz7ZO

このまま小巻達が来るまで契約なしでいきたいな
765 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 19:03:59.03 ID:9Q6rQirQ0


キリカ「……ふーん」


 上の空な相槌を返すさまは、真剣に悩むまどかにとっては失礼に映ったかもしれない。

 でもなんかしっくりこない。


キリカ「たぶん聞いたことあるんだよね、その子のこと」

まどか「ほむらちゃんのこと知ってるんですか?」

キリカ「会ったことないけど。……なんか、私達には『助けなんていらない』とでも言いそうなイメージ?」


 聞いた条件で浮かぶ人は一人しかいない。

 べつに、だから気にしなくていいとか、助けなくていいとか言いたいわけじゃなくて。

 大した意味もない素直な感想として。


 言ってから、こんなこと言ってる場合じゃないと思う。


キリカ「どうしようか考えようか! もうちょっと何があったのか手がかりとかわかれば、何かできるかも――――」


 慌てて言葉を考え直す。


 すると、扉が開け放たれた。



――――――
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/04(土) 19:09:45.50 ID:mvtnRZ7U0
小巻かな?間に合った?
767 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 20:42:50.14 ID:9Q6rQirQ0
――――――


小巻「ホームルームまでには間に合わなかったわね」


 後ろ手で扉を閉める。

 一瞬焦ったけど、この時間なら教室にいなくて当然だった。


キリカ「ここのことまだ伝えてなかったと思うけど……」

小巻「うちのクラスに戻ってもいなかったし、今更意味もなくサボったりはしないと思ってね。どこにいるかはしらみつぶしよ」


 でも、わからないのはキリカと一緒に知らないのが『二人』いることだった。



小巻「で? 今どんな状況よ?」



――――
――――


 ……――――互いの簡単な自己紹介と状況の確認が終わる。

 そうしてる間に、しばらくして暁美とマミもこの場に揃った。


 暁美は一番にこの光景を見て驚愕していた。

 契約はまだしていなかった。でも、暁美は知ってしまうこと自体防ごうとしてた。だからあんなにあたしたちのことまで遠ざけてまで。



小巻「契約すれば世界を滅ぼすほどの素質を持つ存在がいるんですって」


 みんなの視線が向いた。

 あたしから切り出す。さっきまでは暁美の無事を喜んで一見落着って雰囲気が流れてただけに、突然こんな話をされるなんて予想できてた人は限られていた。


小巻「だからあたしの知り合いはその人を殺そうとして、マミは暁美に邪魔されないように足止めしてた」

小巻「……そうよね? マミ」

マミ「……ええ。そうよ」


 マミはここに来たときから、居心地悪そうにうつむいている。

768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/04(土) 20:57:51.82 ID:mvtnRZ7U0
よかった、何とか間に合ったか。
でもここからが本番なんだよなぁ…
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/04(土) 21:11:30.45 ID:leJzMYD3O
ここで魔女化のこと話さないとどうにもならないか
キリカは知らなかったよな
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/04(土) 23:38:28.57 ID:mvtnRZ7U0
スレ主、根落ちかな?
771 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 23:41:22.53 ID:9Q6rQirQ0

小巻「こっちでも戦ってたのよ。その知り合いのやろうとしてること知っちゃったし、どうしても許せないことがあって」

小巻「アンタたちも危ないとこだったんだからね!? そのせいでよりによって自分のために契約されるなんて、暁美だって嬉しくないだろうし!」

ほむら「……その通りね」

さやか「は? マジ!?」

まどか「ま、まだちょっと話が大きすぎてついていけてないけど……」

小巻「ねえ、キュゥべえ。もうアンタはわかってるんじゃないの? ここにもう一人いると思ってなかったけど、どっちかが契約したらヤバいって」


 知らんぷりしてるキュゥべえに話をふってみる。

 あたしたちのことなんて、どうせどうでもいいとでも思ってるんだろう。でもわからないことがあった。


 そう思ってたのは、マミも同じようだった。


QB「たしかに大きい素質は感じるよ。ほむらのことは杞憂だったけど、まどかなら他にもどんな願い事でも叶えられるだろうね」

マミ「よくまだそんなことが言えるわね。世界が滅んだらあなただって生きてはいられないのよ」

QB「でも、それは誤解を招く言い方だと思うよ」

マミ「……どういう意味?」

QB「君たちにとっては今いる場所が『世界』の全てかもしれないけど、宇宙は広いってことさ。広い視野で見れば世界滅亡と言えるような問題にはならないだろう」

小巻「そんなの屁理屈じゃない! じゃあなに? 自分は地球外にでも逃げるから大丈夫だって言いたいの!?」


 キュゥべえの落ち着きようを見れば、そんな冗談みたいなことも本当なんじゃないかと思えてしまった。

 だって、じゃなきゃ自分の寿命まで縮めるようなことを進んでやるか。


小巻「でもまあ、ここまで言われればまどかは契約なんかしないでしょ」


 まどかは何も言わないで頷いた。

 ……二人の様子は混乱から怯えに変わってた。そりゃ、多少は信用しようとしてた相手からいきなりこんなことを言われれば。

772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/04(土) 23:45:01.91 ID:mvtnRZ7U0
これで絶対に契約しないと思えないのがまどかなんだよなぁ……
773 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/04(土) 23:58:06.17 ID:9Q6rQirQ0
-----------------------
今回更新はここまで
次回は5日(日)18時くらいからの予定
774 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/05(日) 18:00:30.15 ID:tK9zflXK0


 やっぱり話してよかったと思う。

 あたしたちもまどかもみんな無事。でも、マミはまだ不安そうな顔をしていた。


マミ「……本当にこれで大丈夫なの? 世界は救えたの?」


 今はまどかを信じるしかない。でも、『信頼』という言葉に世界の命運すら託せと言うのはひどく不安定な響きに思えた。

 織莉子のやろうとしてたこと以上に確実な状況にはまだなっていない。

 やっぱり、これからもそんな時はこないのかもしれない。生きてる限り絶対はないんだから。


小巻(違う。まだだ)


 でも、考えてみればどうだろう?

 この世界には奇跡だって魔法だってあるんだから、死んだからって絶対にもならない。


 一度死んだと思われたあたしだってこうして生き返ったように。


 これからもずっと、守り続けなくちゃならない。


 今までそうしてきた暁美みたいに。


マミ「一つ聞くわ。暁美さん、あなたは鹿目さんの友達なのよね」

ほむら「ええ、もちろんそうよ」

マミ「あなたは鹿目さんの素質にも気づいていたんでしょう?」

ほむら「……」

マミ「キュゥべえからも私たちからも徹底的に遠ざけて、鹿目さんを護っていた理由は本当にそれだけ?」

マミ「……一体どうしてこうなったの」

ほむら「私は…… それだけよ!」

775 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/05(日) 19:14:17.18 ID:tK9zflXK0


 問い詰められた暁美は言葉を強める。

 それから、観念したように静かに話し始めた。


ほむら「……もう隠し通せないでしょうね。私はまどかを助けるために魔法少女になったのよ」

まどか「え?」

ほむら「私、未来からきたの」

ほむら「今となってはもう誰も覚えていないけれど、まどかは魔法少女で、私を助けてくれたのよ。それから友達になったの」

ほむら「でも、死んでしまった。『ワルプルギスの夜』にやられて」

マミ「ワルプルギスの夜……!?」


 暁美が語ったのは思いもよらなかったような話だった。みんな驚いてる。けど、マミだけは別の“特定のもの”に反応していた。

 ――“ワルプルギスの夜”。


 キュゥべえは見定めるような赤い目を光らせて、ただそこにいる。


ほむら「こんなことになるとは思ってなかった」

ほむら「はじめは魔女に負けて、でも次からは…… 私は今度こそまどかを守りたいの。人のまま、魔法少女にもせずに」

ほむら「巴マミ、私は貴女のことを許したわけじゃない。ただあの時はそうするしかなかっただけ」

ほむら「お願いだから私の邪魔をしないで!」


 これまで見たこともない必死な様子。……マミは何とも答えなかった。

 その代わりに、キュゥべえだけが平坦な声で納得したようにつぶやいていた。


QB「なるほどね。そういうことだったのか」

776 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/05(日) 20:07:09.87 ID:tK9zflXK0

 『そういうこと』って。

 暁美がどこからきたかとか、最初は気になってたけどもう今となってはどうでもよくなってた。

 危害を加えないってことはわかったし。突き放したような態度は気に食わなかったけど、こんな理由があったら尚更簡単には言えない。


小巻「とりあえず、まどかは契約したらダメってことはわかったと思うけど、さやかのほうは願い事とか考えてたの?」

さやか「あたしは……」

ほむら「やめておきなさい」

さやか「まだなにも言ってないんだけど……」

ほむら「もし貴女に何かあればまどかが悲しむ。それに、私は貴女の未来も知っている」


 未来からきたっていう暁美の忠告。

 さやかもその意味は理解したらしく、自嘲気味に笑った。


さやか「……あはは、んー。ろくなことにならない感じかー……」

まどか「そういえば、どうなったんですか?」

さやか「え?」

まどか「キリカさんのこと。よかったらですけど、後でもいいのであの話の続きが気になったので」

キリカ「あぁー、うん。もう相談も終わったしね。個人的になら」


 もうこの場で話したいことは話せたかな。


小巻「……じゃあ、いつまでもここに集まってても怪しまれそうだし」


 ……本当は言ってないことがあった。暁美も知ってるだろうにそこには触れなかった。

 魔女の事。本当は契約しただけじゃ世界は滅ばない。



1言わないほうが契約する気がなくなる
2後であの子だちだけには言おう
3ここで打ち明ける
4自由安価

 下2レス
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/05(日) 20:37:26.03 ID:lji0SCHf0
とりあえずほむらに協力を要請+放課後に今ここにいるメンバーで集まる事を提案。
あと杏子も呼んでマミと腹を割って話し合うように提案。

暁美、こうなった以上もう以前みたいな非協力的な態度は止めてもらうわよ。
今回の件であたしも背負ったものがあるけど、最初から協力してくれてれば別の可能性もあったかもしれないんだから。
私は『魔法少女』である以上後悔はしてないけど、あなたたちに背負わせるものを減らしていくためにもね。
まどかとさやかも話しに加わってもらうわ。
巻き込まれたとはいえもう当事者であるし、中途半端な知識のままだとそいつの詐欺同然の勧誘で契約させられるかもしれないから。

まぁ、詳しくは放課後まどかとさやかも含めて集まって話し合いましょう。
私も小糸に連絡するけどきゅうべぇ、佐倉とゆまちゃんにそういうことだと伝言をお願い。
マミ、今回の件で佐倉に怒られたり失望されるかもしれないけど仲直りしたいなら隠さずにしっかり話し合いなさい。
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/05(日) 20:44:53.83 ID:p9bTjFpFO

追加でキリカに自分が来るまでに何があったかを詳しく聞く
頼みを聞いてくれた礼を言ってお昼に好きなものを奢る
779 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/05(日) 22:15:27.95 ID:tK9zflXK0

小巻「とりあえず、アンタもこれからは協力してくれるってことでいいのよね? 暁美」

ほむら「物事によるわ。私は常にまどかのことを優先させてもらう」

小巻「……まあ、アンタはそれでもいいわ。そこが崩れたらみんなが困るんだし、任せるわ。ただ任せきりにはしない」

小巻「アンタだけの問題じゃないんだからね。あたしだって、最初からわかってたらもっと別の可能性があったかもしれないのに」


 あたしの後悔。暁美を責めるべきか、織莉子を責めるべきか。

 いや、考えたってどうにもならない。


 暁美はそれきり黙っていたが、解散の雰囲気になってから小さく言った。


ほむら「……放課後、少しいいかしら」

小巻「いいけど、何?」

ほむら「『ワルプルギスの夜』という魔女のことについて」


 さっきの暁美の話にも出てきた魔女。

 たぶんこれが暁美にとっての最大にあたしたちを『頼ろう』とした結果だったんろう。


マミ「この街に来るのね……?」

ほむら「ええ」

小巻「ちょっと待ってみんな! それってみんなを集めたほうがいいでしょ?」


 呼びかけると、聞こえずに戻ろうとしてた人たちも振り向いた。


小巻「……それに、あたしもまどかたちにホントは言うべきこと、足りてなかったから」
780 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/05(日) 23:22:41.05 ID:tK9zflXK0


小巻「暁美が放課後にあたしたちに話があるんだって。アンタたちも来られる?」

まどか「は、はい、予定空けておきます。……さやかちゃんも、大丈夫だよね?」

さやか「うん。あたしも平気」

小巻「あたしのほうでも知ってる魔法少女は誘っておくからさ。ていうか、身内にいるし」

小巻「あとキュゥべえ、一応佐倉たちも呼んどいてくれない?」


 小糸には後で連絡するとして、佐倉はこの前あんなこと言ってたのを聞いたばっかりだ。

 呼んだところで来てくれるかはわからない。


 暁美はまた小声で言った。


ほむら「……二人にはあまり魔法少女に関わってほしくはないのだけど。それに何を話す気?」

小巻「魔女のこと。中途半端にしか知らなかったら、キュゥべえにそこを突かれるかもしれないでしょ」

ほむら「そのこと、あなたたちも全員は知らないんじゃないの?」

小巻「……そうね。だから言い渋ったの。でもいつかはちゃんと知らなきゃいけないことだと思うわよ。自分のことなんだから」


 知らないほうがよかった、と思うか、知ってよかったと思うかはわからない。

 マミは今でも『知らないほうがよかった』と思っているんだろう。


 それから、あたしもキリカたちと一緒に教室に向かった。

781 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/05(日) 23:25:48.64 ID:tK9zflXK0
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今回更新はここまで
8日(水)20時くらいからの予定
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/05(日) 23:33:36.09 ID:lji0SCHf0
乙です。

さて、織莉子はなんとかなったけど次はワルプル戦か……
杏子が仲間に加わってくれるかどうかはマミ次第かな?
783 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/08(水) 22:52:44.35 ID:+Z1r8W210


 授業中の教室を脇目に廊下を歩いていく。

 もう一段落ついたんだから、あたしたちも早く戻らないと。


小巻「ありがとうね」

キリカ「え?」

小巻「朝は焦ってたし、あれだけしか言わなかったのによく頼み聞いてくれたじゃない。じゃなかったら今頃……」

キリカ「逆に、焦ってたからだよ。珍しいし変な理由じゃないんだろうなって思った」

小巻「あたしって信頼されてるのね。よし、気分良くなったし昼は何かおごってあげようか?」

キリカ「えっホント? そういえばキミってお金持ちだったんだっけ。……あ、関係ないよ! いやホントに!」


 ……一瞬だけ現金さが見えた気がしたけど、スルーしておこう。

 購買で一番高いのくらいなら全然大丈夫だけど。


小巻「信頼、まどかたちともいつかはお互いにできるようになるといいわね。まだ出会ったばかりだけど」

キリカ「そうだね。まだお互い信じられてないよね。問題が大きすぎるってのもあるけど……」

小巻「キリカは少しは仲良くなれたの? あたしたちよりも早く会って相談乗ってたんだし、そのときは世界がどうとかも知らずに話してたでしょ」

キリカ「そうだけど、まだこれからじゃないかな?」

小巻「まあそうか。ちょっと見方変わるのかなって思ってさ。……暁美は本当に友達を助けたいだけなんでしょうね、きっと」



 あたしたちの前じゃあんなだったけど、前に見た友達といる時の顔も嘘ではないはずだから。



――――――
784 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/08(水) 23:34:04.73 ID:+Z1r8W210
――――――
昼休み



 後でって言ってた話。

 一度しか人に話したことのないすべての顛末を聞かせて、その反応を待つ。

 この場にはまどかだけ。興味を持ったのもまどかだけだった。



キリカ「……でも、なんで今更こんなことに興味持ったの? もう関係ない話でしょ」

まどか「キリカさんの願い、わたしの考えてたことと同じだと思って」

キリカ「同じ?」

まどか「あのときはほむらちゃんを助けることが最優先だったけど、『その先』で叶えたかったことが」

まどか「魔法少女になったら……街のために戦える。ほむらちゃんや他の人を助けることができる。それって今のわたしにはできないし、すごく誇らしいことじゃないですか」

まどか「そしたら、どんくさくて平凡でぱっとしない自分も、自信が持てるように変われるんじゃないかと思って」

キリカ「……そんな風に私は思えないよ」

まどか「結局わたしにはできないけど、キリカさんはもっと誇らしく思ってください。わたしから見たらすごい人なんだから!」


 そのあまりにも純粋な視線に、思わずたじろぐ。


キリカ「きっと今のままでもできないってことはないよ。魔女と戦えなくてもできることはあるさ」

キリカ「探して自分を好きになろうよ。あんなヤツに頼る必要ないって!」


 過去の自分ができなかった――しなかったことを託してみる。

 今の私からは自分でも驚くくらい前向きな言葉が出てきた。


まどか「そうですね。むずかしいけど、がんばってみます!」



――――――


――――
――――
785 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/08(水) 23:55:18.00 ID:+Z1r8W210
――――――
放課後



 まずは校内で集まれる人たちだけで合流すると暁美が先導していった。


 向かった先は暁美の家だ。ずいぶんと小さな家だと思ったけど、入ってみればそうでもなかった。

 異常に物がないせいでそう思えるのかもしれないが、内装はよくわからない。



 小糸は駅まで来たら連絡をくれるらしい。複雑な道でもないから案内はできるだろう。遅れて来る人たちを待ちつつ、本題について触れる。



小巻「……で? そのナントカとかいう魔女?」

ほむら「『ワルプルギスの夜』」

小巻「覚えにくいからもう『ワルい奴』でいい? 間違ってないでしょ」

キリカ「間違ってはいないだろーけど…… ダジャレじゃん」

さやか「まあセンスはあると思いますよ? で、なんだっけ?」

マミ「『ワルプルギスの夜』……」



 元から知ってた二人が訂正した。

 これからあたしも嫌でも忘れられない名前になるのかもしれないけど。



待ち時間
1マミはなんで知ってるの?
2さやかは余裕そうね?
3自由安価

 下2レス
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/08(水) 23:59:48.75 ID:ZucbfPJTO
1
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/09(木) 00:08:08.15 ID:BxCdJxP00
1+キリカとまどかに2人は顔見知りだったのかと質問。

2人とも今日が初対面にしては打ち解けてるように見えるけど顔見知りだったの?
それとも契約の際の願いが似ててシンパシーとか感じてるの?
788 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/09(木) 00:18:02.84 ID:Br0fYCun0
-------------------------
今回更新はここまで
師走が師走しててちょっと間が空くのですが、次回は14日(火)の予定です
789 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/14(火) 23:17:03.28 ID:CEgHErto0


小巻「マミはなんで知ってるの?」

マミ「古くから魔法少女の間に言い伝えられているらしいのよ。長くやってる人ならみんな聞いたことくらいはあると思うわ」

マミ「結界に隠れることすらなく突然表れては街ごと滅ぼし、一般人には災害と認識されるような超弩級の魔女だって」


 少なくともあたしは聞いたことなかった。

 魔女が結界に隠れ潜むのを卑怯だと罵ってやったこともあった。もちろん言葉なんてわかってなかっただろうけど。

 けど、閉じこもってるからあたしたちも思う存分暴れられるし、魔女の被害も抑えられてる。それがなければ…… あたしたちも人前で戦わなきゃいけなくなる?


小巻「マジ? そんなのが?」

ほむら「……ええ。そうよ」

マミ「そう。やっぱり、その伝説のままなのね」


 暁美のほうに視線を投げれば、あっさりと肯定される。

 知っていたマミですら、簡単には信じられないというように驚いたような反応をしていた。


小巻「マジかぁ……」

さやか「へぇー! そんなのがいるんだ。っていっても、あたしたちはまだ普通の魔女も見たことないんだけど」

まどか「そうだね……」

キリカ「どうしたの、小巻。キミにしては珍しく弱気な反応じゃん。そりゃあ楽に勝てはしないんだろうけどさ」

小巻「いや、それもそうだけど! ……結界を持たないってことは人前で戦うことになるのよね? 当日はどうすればいいわけ? もうくる日もわかってんでしょ」

ほむら「それはこれから話すわ。もう少し待ってからね」


 そういえば今は小糸たちを待ってるんだった。

 佐倉は来るかどうかわかんないけど。


 ちょうど、携帯の着信が鳴った。


小巻「小糸から。ちょっと案内に出てくるわね」


 駅まで迎えに席を立った。

790 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/15(水) 00:00:12.41 ID:BsWAKs790




小糸「みんなよろしく」

ほむら「……ええ」

まどか「よろしくね、小糸ちゃん」

さやか「よろしくー、どこの学校だっけ?」

小糸「白羽女学院ってところ」

さやか「あ、たぶん私立だよね? 頭いいんだ!」

キリカ「頭もそうだけど、多分おカネもちしか通えないとこだよ。小巻も前はそこにいたって」


 小糸もみんなと軽く自己紹介を済ませる。

 これで一応は揃った。来るかわからない人はこれ以上待ってても時間のムダか。


さやか「前は?」

小巻「それは今はいいでしょ? 隠しはしないけど、だからって本題とは何も関係ないんだし」

小巻「暁美、すごいつまらなそうにしてるけどそろそろ主導権返してやってもいいわよ。あたしも気になってるもの」

ほむら「ええ」


 話が逸れて膨らみすぎないうちに切り出した。

 暁美はあたしや小糸に注意が向いてる間中、とにかく退屈そうにしていた。

791 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/15(水) 00:32:36.90 ID:BsWAKs790


ほむら「ワルプルギスの夜が来るのは五日後。この日は朝から警報が出て、街の人は避難所に集まるわ」

ほむら「ワルプルギスの夜が姿を現す前からその周囲には暴風が吹き荒れているから、よほど無謀な人でない限り近寄ろうとは思えないでしょうね」

小巻「……なんだ、そういうわけね」

ほむら「ただ、敵は大きいし、移動する速度もシャレにならないから広範囲を駆け回ることになるのは覚悟しておいたほうがいいわ」


 結界を持たなくてもそこまで“人前”で戦うってわけではないらしい。

 みんな避難していて、守りながら戦うってこともしなくていいなら考えたよりはマシで安心した。


キリカ「大きくて速い魔女かー。みんなで囲めばなんとかなるかな」

マミ「私の拘束は効くかしら?」

ほむら「拘束もあまり持たないでしょう。ワルプルギスの夜の攻撃は凄まじく、そして気まぐれ」

ほむら「大空に浮かびながら炎や風を起こし、私達を煙に巻く。時間が経つにつれて街並みも見る影もないほどに破壊されていくわ」


 人はいなくても街は壊れる。さすがにそこまでは守りようもない。

 さっきまで直接関係はないからかそこそこ余裕そうにしてたさやかたちも、さすがにそろそろ緊迫した面持ちで聞いていた。


ほむら「……これは本当は誰にも相談するつもりはなかったのだけど」

小巻「話を聞く限りなんだかすごそうなんだけど、頑張ればアンタ一人で勝てるくらいの相手と考えてもいいわけ?」

ほむら「わからない。あなた達も生きていれば一緒に戦うことになるだろうとは思っていた」

小巻「生きてればって、アンタね」


 大げさだって考えて、本当に今ここにいる生きてること自体あたりまえじゃないことに気づいた。

 今日だって命を懸けて戦った。命のやりとりをして、なんとか自分と大切なものを守りきった。


 これまでだって、これからだって。まだまだ全然安心なんてできなかった。

792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/24(金) 01:14:36.16 ID:n47gzjn4O
途切れた?
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/25(土) 19:50:48.28 ID:AWQnXXZ40
スレ主さん、お忙しいみたいだから気長に待ちます。
794 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/31(金) 22:58:31.37 ID:mmv2kB/x0


まどか「みんな、大丈夫なんだよね? ワルプルギスの夜と戦って……」


 まどかが心配そうにおずおずとあたしたちに問いかけてきた。

 すると、ほむらは安心させるようにまどかに向かい合う。


ほむら「大丈夫」


、そして、手を握って言った。


ほむら「私がまどかを守るわ。……他の人の事も」


 まどかがゆっくりと頷く。

 これだけで心から安心できたのかはわからないけど、少なくとも暁美は本気で言ってるように見えた。


キリカ「他はともかく、私も守られるだけじゃないから! 心配なら、そのぶんまどかの分まで戦ってきてあげるよ」

小巻「ええ、あたしもよ」

マミ「私も、出来る限りのことはするわ」


 続いて、他のみんなも励ましの言葉をかけていった。

 でもそのきっかけを作ったのがキリカなのはちょっと意外だった。


小巻「にしても、キリカがそこまで言うなんて。暁美が仲いいのはわかるけど、そっちも結構打ち解けてそうね?」

キリカ「えっそうかな?」

小巻「なんかあったわけ?」

まどか「え、えっと……」

キリカ「……さあ、どうだろうね」

まどか「はい、秘密ですっ」


 キリカがすっとぼけると、まどかも合わせたようにそう言った。

 あのあと本当に何かあったのか。それとも失われた記憶に関わることで、実は最初から顔見知りかなにかだったのか。

 これまでそんな話は聞いてないけど。

795 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/12/31(金) 23:59:35.11 ID:mmv2kB/x0


ほむら「……他に質問がないなら、私からの話は終わりにするわ」


 暁美が少し居心地悪そうにしながら言った。

 ……仲いい人と他の人が話し始めると入っていけなくなるタイプ。


 この雰囲気で切り出すのは少し勇気がいるけど、話をするなら今だ。


小巻「じゃあ、あたしからは、朝話せなかったことをこれから話すから」

キリカ「え?」


 キリカや小糸は予想もつかないようだった。

 今更あたしがみんなに話したいことなんて。


マミ「待って!」


 あたしが何を言おうとしてるか気づいたのか、マミが制止に入る。


マミ「言う必要があるの? ……知らないほうが幸せよ。せめてワルプルギスの夜を倒すまでは」

小巻「まだ契約してないまどかたちには全部知ってもらってたほうがいいと思う。それにそんなこと聞いたら何か隠されてることなんてもうバレバレでしょ!」

マミ「……」


 とはいえ、そう言われると迷った。

 ワルプルギスの夜がくるまであと5日。それを間近に控えた今、無用に悩み事を増やす必要はないのかもしれない。


 そんな時、小糸が言う。


小糸「甘く見ないでよ」

796 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/01(土) 00:59:50.51 ID:tysoX0Ka0


小糸「私は最初、お姉ちゃんがなにしてるか何も知らなかった。魔法少女なんてやってることも、魔女や魔法少女と戦ってることも」

小糸「結局教えてもらったけど、お姉ちゃんずっと隠そうとしてたよね?」


 何もなければずっと隠してたままだっただろう。

 そしたらどうなってたかはわからない。契約しなかったかもしれない。でも、そしたらあたしは。


小糸「もし何も知らないまま何かあったりしたらすごい後悔してた! たとえ良くないことでももう隠されたくないよ!」

小糸「とにかく私には教えて。お姉ちゃんと巴さんがもう知ってて何かを抱えてるなら私も背負うから」

小巻「……小糸、アンタにそうまで言われるとはね」


 ちょっとだけじんときた。

 さすが、我が妹ながらこう見えて気が強いというか。生意気なこと言うものだと思った。


キリカ「なんかわかんないけど、みんなが知ってるなら仲間はずれにはされたくないかな?」

小巻「言っとくけど、そんな軽い気持ちだったら後悔するかもしれないわね」

キリカ「えー……?」


 キリカはいつもどおりへらへらとしてる。そんな様子を見ると不安になった。

 けど、結局遠くないうちには話すつもりだ。今にするかワルプルギスの後にするか――。


小巻「アンタがそんな調子だから迷ってるのよ! せっかく悩んでることが解決してちょっと前向きになれたんでしょ。そんなときにさ」


 とはいえまあ、仲間はずれにされるのもそれはそれで確かに悩みになるのかもしれない。

 なにかあった時、一人だけ話が通じなくて困るかもしれないし。


さやか「そ、そんな深刻な隠し事がまだあるんですか? キュゥべえが話してなかったことで?」

まどか「ほむらちゃんは知ってるの?」

ほむら「ええ、私はもう知っているわ。けど、一部の魔法少女しか知らないことよ」

小巻「……ええ、そうね。困ったことに、あたしやマミが知ったのもついこの前だったんだもの」

797 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/01(土) 01:02:24.24 ID:tysoX0Ka0
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今回更新はここまで。…あけましておめでとうございます。
なんか図ってたわけじゃないけど書きながら年越ししてしまった。
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/01(土) 10:35:55.48 ID:VWyThNry0
お、年越しの投稿でしたか!
全然気づいてませんでしたが、明けましておめでとうございます!
799 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/02(日) 23:19:43.16 ID:wzTJ43Y00


 ――――ソウルジェムのことはあたしの口から話した。


さやか「そんなことが……」


 まどかたちは一歩間違えたら自分の身に訪れていたかもしれない変化に、純粋な驚きの反応を。

 すでに知っていたマミと暁美は視線を落としてどこか重苦しい表情をしているように見えた。


 暁美も朝にした説明を補足する。


ほむら「つまり、まどかが契約したら世界を滅ぼすっていうのは、魔女になった時のことだと思うの」

ほむら「魔法少女は魔女になる。私が見たあなたたちも……。そんな運命を背負うことなんて望まないはずよ」

さやか「あ、あたしも? 魔女になった!?」

ほむら「ええ、そうね」


 暁美は涼しく言ってのけたが、それを聞いたさやかは露骨に顔を青ざめさせた。

 うげーって感じだ。


まどか「……ほむらちゃんたちも、みんないつかはそうなるの?」

ほむら「……」


 暁美は返事をためらった。

 たった今知った二人までさっきに増してその重さを実感したのか、重苦しい表情をした。

 たしかに真実なら曲げようがないし、暁美の話し方じゃ変えられない運命だって言い方に聞こえたけど、本当はそうじゃない。


 思わず立ち上がる。


小巻「絶対なんかじゃないわ! 話聞いてた? 魔女になるのは『魔力がなくなるか絶望しきった時』なのよ」

小巻「その魔力を回復するのも“成れの果て”を倒さなくちゃならないなんてサイッアクに悪趣味だけど、だからって死にたくもないし野放しにしとくわけにもいかないでしょ?」

小巻「あたしは魔女になんてなってやるもんか! やることだって変わらない! 決めつけんな! 自分の運命くらい自分で切り開くっての!」

800 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/03(月) 00:30:37.93 ID:siov/QX40


 それを聞いたみんなは少しの間唖然としてて、張り切って言い切ったのが一人だけカッコつけたみたいで少し後悔しはじめた。

 正直、自分に言い聞かせるためって意味もあったから。

 でも、少しずつ口を開く人もあらわれた。


小糸「……うん、そうだよ! もう同じような人は増えてほしくないけど、私達は今までと変わらないから」

キリカ「そ、そうだよね。正直、聞かないほうがよかったかもとは思ったけどさ」

キリカ「聞かなかったらそうならないってわけじゃないし、契約したこと後悔してるのは今更」

キリカ「……きっと、マミがずっと上の空だった原因や自分のことすら一人だけ知らなかったら、それはそれできっと後悔してるよ」


 他のあたしに賛同した人も、同じように自分に言い聞かせてたのもあるんだろう。でも、みんなで覚悟したら勇気が沸いてきた。

 マミも考え込んだように沈黙してるけど、さっきよりはその表情から重苦しさは消えていた。


マミ「…………」


 あたしたちは今生きてる。それが当たり前の結果じゃなくとも、それだけは事実なんだから。

 どんなに難しくてもこれからも生きてくってだけだ。


 まどかも少し安心したようだった。


801 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/09(日) 23:31:24.87 ID:/AALJHOQ0


小巻「とりあえず、あと5日をどう過ごすかってのは考えといたほうがいいわよね」

ほむら「出来るだけグリーフシードは蓄えておきましょう。そのために争われても困るけど、あればあるだけ嬉しいわ」

ほむら「戦闘中に魔力が尽きてしまえば……さっき話した通り、なのだし」


 とにかく今はグリーフシードが少ない。その現状を重く受け止めた。

 自分すら生きる余裕がないようじゃ、みんなを守るなんて言ったところで説得力がない。


小巻「そうね。まずあたしたちは、これから魔女を探しにいくわ」

小糸「うん!」


 小糸に視線を送ると、元気よく頷いてくれた。


キリカ「私はどうしようかなぁ。そんなに少ないってわけじゃないけど」

ほむら「余裕があるなら自己鍛錬でもしていたら?」

キリカ「えぇ……」


 時刻は夕方。これから夜がやってくる時間帯だ。

 帰る前に活動する暇は作れる。


 この時間になっても結局、佐倉は来なかった。


小巻「じゃあもう行くけど。マミはこれからどうする?」

マミ「私は…… 今日は休ませてもらうわ」

マミ「まさかそんな大きな敵が待ってるなんて思わなくて、少し疲れたの。もちろんワルプルギスの夜は倒さなくちゃいけないし協力はするから」

ほむら「……そう。私としては邪魔さえしなければ構わないから」


 暁美は冷たく言い放った。朝のことだけじゃなく、暁美だけが知る過去にもまだ何かあったのだろうか。

 昔からこの街で活動してるマミとはこれまでにも関わったことくらいあるかもしれない。


小巻「休むのだって立派な準備よ! 無理してこんなところで死んだら元も子もないわ」

小巻「今は疲れてたって生きてさえいればいつかは回復するんだから、まずは生きることを目標にしましょう」

小巻「まどかたちもね。今日はいきなり変なこといっぱい聞かされて混乱したと思うけど、もう帰ったらゆっくり休みなさい。そんで精一杯、今までもこれからもいつも通りの生活を送んなさい!」

まどか「は……はい」

さやか「わかりました。じゃ帰ろ? まどか」



 小糸と二人で暁美の家を後にする。他の人たちも各々の行く場所へと帰っていったようだ。




 家の中に残ったのはその主である一人と、もうひとつ。

 ――――物陰からはいつもの赤い目が覗いていた。


802 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/10(月) 22:29:06.43 ID:dEytkm0P0
---------------------------------------------------
毎度ちまっちまの投稿になってるのは本当反省してる!
次回12日(水)20時くらいの予定で少しまとまってやります

…ちょっと休んでた間に書き方の感覚飛んでるわ、結局書かないと戻らないんだよね
803 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/12(水) 20:23:24.39 ID:8yjF9Cq90


小糸「ついに私も夜道を出歩く側になるのかぁ……」

小巻「今日は放課後にも予定が出来て忙しかったし。そんなに遅くならないようにはするつもりだけど」


 並んで街を歩き出す。

 グリーフシードは手に入れなきゃとは思ってたけど、こんな切羽詰まって備える必要があるとはあたしだって予想してなかった。


小糸「……学校のことだけどさ、明日からは行っていいんだよね? 美国さんとはもう」


 小糸はそこで言葉を区切る。朝のことは小糸にもメールでざっくりとだけ伝えていた。

 もう会うことはない。小糸にはもう隠したりごまかしたりするのはやめようと思った。


小巻「ええ。アイツはもういないわ。あたしたちもまどかももう命を狙われることはなくなった」

小巻「だからこそ、織莉子のやろうとしてたことは必要なかったって鼻で笑って証明してやるのよ。あたしが殺したんだもの」


 守るためでも、自分のしたことからは目はそらせない。実感してなきゃいけない。

 後ろめたいほど間違ったことをしてないんだから尚更だ。

 小糸は何も言わなかったが、しばらくしてこれだけ言った。


小糸「そのためにもこれから来る魔女には絶対勝たなくちゃいけないね」


 本当にいろんなことがありすぎて、イヤなことも知って、正直今も動揺してないといえば嘘になるけど新しい目標ができた。

 またみんなで力を合わせて倒さなくちゃいけない目標が。それがなければ今頃燃え尽きて感傷に浸ってたかもしれない。


小巻「そうね」


 でもそんなのは後でいい。もう一踏ん張りしようと決めて、力強く頷いた。


――――――
――――――
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/12(水) 21:05:05.82 ID:bBybgMaj0
小巻はタフですねぇ・・・
杏子結局来なかったけど、マミのマンションの方に直接来るかな?
805 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/12(水) 21:26:05.42 ID:8yjF9Cq90



 『休む』と言ったとおり、マミはこの日はもうどこにも寄らないことに決めて早々に帰路についていた。

 そして、自宅のあるマンションも見えたところで、その足を止める。


マミ「……!」


 いつもの帰路の片隅に、二つの姿を見つけてしまった。

 一見したらたむろする不良のように態度悪そうに片手をポケットに入れて気まぐれにその中身を食い漁る杏子と、その傍に寄り添うゆまの姿。


杏子「よう。……久しぶりだな」


 二人だけで会うのはどのくらいぶりだろう。単なる挨拶だがどこかぎこちない空気を感じていた。

 杏子はまだ目線を合わせようともしていない。


マミ「どうしてここに……。こっちに来るなら、集まりのほうに顔を出せばよかったのに。呼ばれてたのは知ってたでしょう?」

杏子「それより前に、なんか変なコト言ったろ。キュゥべえづてに」

杏子「ホントはもうこねーって決めてたんだよ。アンタたちが何してようがどうでもいいし」


 杏子は『なのに』というように続ける。


杏子「……あれはなんなんだよ。あんなこと。今更」


 ゆまが前に出て、その小さい身体で精一杯に呼びかけた。


ゆま「キョーコずっと迷ってたんだよ! きになるなら会いにいこうよってゆまがゆったの!」

ゆま「ここにきてからもどうしようかってうろうろしててね、ちょうどマミがきたところなの」

ゆま「だって、マミはキョーコと『なかなおり』したいんでしょ?」

マミ「あれは……」


 あれはそういうつもりじゃなかった。

 むしろ、その先のことなんて考えてない。言うだけ言って、最後の『別れ』を告げるつもりの言葉だった。

806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/12(水) 21:35:13.02 ID:bBybgMaj0
予想が当たったか。
BADの時は先に小巻の方に着たけど今度は直接マミの方に来たか。
これが吉と出れば良いんだけど・・・
807 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/12(水) 22:47:05.51 ID:8yjF9Cq90


 しかし、マミは言いよどむ。ゆまの純粋な目を見てそんなことは言えない。

 実際にこうして会ってしまったから。『別れ』をするならせめてワルプルギスの夜までは先延ばしだ。それまでは死ねない。


 考えていなかった展開にマミは動けなくなった。ようやく杏子はマミを見据えて睨んだ。


杏子「なんで今になっていきなり! あたしに謝るって!」

杏子「アンタは今も正義だなんだってヒーロー気取ってんだろ? 使い魔見逃すのも許さないし、こうして“ズル”するのも許さないんだろ?」


 杏子は空になったスナック菓子の袋を傾けて呷ると、地面に捨てて足で踏みつけた。

 見せつけるためだ。盗んだものを貪って、その残骸すら身勝手に捨てていくさまを。


杏子「変わったってのか? あたしのが正しかったって認めんの?」

マミ「変わらないわよ。……変わりたくなんてないの。でもね、あなたの気持ちはわかったから」

杏子「気持ちがわかるとかハンパな同情が一番ムカつ……――」


 杏子は怒りにまかせて吐き出そうとした言葉を一旦止めた。

 マミの纏う空気が思っていたよりもあまりに重かったからだった。


杏子「……」


 その分はすぐに気まずい沈黙へと変わった。


マミ「確かに私は今までわかってあげてると思っていながら何もわかっていなかったの。それでずっと傷つけてしまった」

マミ「私はただ何も知らずに威張ってただけ。あなたを正しいとは言えないけれど、私も正しいとはいえなかった」

杏子「……別にあたしはそんなこと言ってほしいわけじゃないけど」

マミ「そうね。これも私が言いたいから言ってるだけよ」

杏子「もうわかったよそれは。それより何があったわけ? まさか本当に……」


 杏子の攻撃的な雰囲気もすっかりとしぼんでしまった。

 マミは床に落ちたゴミを拾い上げて、マンションの中へと歩いていく。


 これ以上なんて考える気はなかった。謝って、それで終わりにするつもりだったのに。


杏子「おい!」

ゆま「マミ! なかなおりできたんだよね? なんでまだ悲しそうなの?」

マミ「……ついてきて。あなたが知りたがっていることについて、知っていることは話すから」



――――――
――――――
808 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/12(水) 23:19:18.39 ID:8yjF9Cq90



小糸「すっかり遅くなっちゃったね。魔女を探すのって本当に大変……」

小巻「そうなのよ。でも戦い自体はそんなに長引かなかったわね。結界も変なトコだったし疲れたし、早く帰ってシャワーを浴びたいとこ」

小糸「そのとーりー……」


 パトロールが終わると、もうすぐに帰路につこうとする。

 しかしそこで、気にかかった場所があって一旦思いとどまった。


小巻「……やっぱりちょっと先に帰っててくれる? 最後にひとつ寄りたい場所があるの」

小糸「え?」

小巻「野暮用! お風呂はすぐ入れるように沸かして待っててよ! そんなに時間かかんないから」

小糸「なにそれ!? やっぱり妹使いが荒いんだから!」



 帰路に着く前に寄り道して、一人で足を進めていった。学校へ向かう道の近く。



 立ち寄った先、立入禁止のテープが貼られていた。その奥、朝に『あたしたち』が居た場所にはブルーシートが見える。

 ――……あぁ、見つけてもらえたんだ。心にひやりとしたものが通った感覚がしながらも、安堵した気持ちも覚える。

 汚職議員の娘の不審死なんてまたどんな風に報道されるかわかったもんじゃないけど。

 それでも、最後まで、醜くなって孤独に放置されることはなかった。……それだけを思った。


小巻(今度こそ本当に帰りましょう。……お風呂が冷めちゃうわ。温め直しはできるけど)



 今日確保できたグリーフシードは、まずはあたしと小糸と一つずつ。

 決して余裕があるとはいえない。でも手に入っただけマシだ。


 戦いに向けて残りの日々をどう過ごそうか……。



―30日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・落書き[10/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
809 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/12(水) 23:22:51.14 ID:8yjF9Cq90
------------------------------
今回更新はここまで
次回は17日(月)20時くらいからの予定
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/12(水) 23:28:57.18 ID:bBybgMaj0
乙です。

小巻、やはり織莉子のことがどうなったのかは気になってたのか・・・
マミの方はどうなるかな?
811 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/17(月) 20:50:06.82 ID:jp3QNqNR0
――――――
31日目



 朝、家族を見送ってあたしも家を出る。


 織莉子のことはニュースになっていた。校内でもみんなの目を引く話題になっているようだった。

 多くの媒体で見知った場所の名前が、景色が掲載され、さらには同じ学校に転入して関わっていたかもしれないんだから。


 そんな話が耳に入ると落ち着かない心地だった。

 それでも、あたしの周りにいる人たちは以前と変わらない。他愛のない話をして、授業を受ける。


小巻(そういえば、昨日は塾サボっちゃったわね……ま、いいか。そんな場合でもなかったし)


 学校生活の中にいれば何事もない日常に戻ったかのようだった。これが突然壊されるなんて嘘なんじゃないかって思えてくる。

 ――もちろん放課後になればそんな気じゃいられない。

 実感がわかなくとも、残り少ない日にちは迫っている。



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと4日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3マミち一緒に行動
4キリカと一緒に行動
5ほむらと一緒に行動
6一人で行動

 下2レス
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/17(月) 20:58:58.97 ID:rXnTr9Ip0
>>3マミち一緒に行動

マミち…マミっち?
何か可愛いぞw

ここは5で。
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 21:09:47.26 ID:Vsh8AHFpO
1+4
ダメなら4
814 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/17(月) 22:21:59.50 ID:jp3QNqNR0
マミっち!
1以外の行動は相手が主体になります
--------------------------------



 学校が終わって、外に繰り出す。

 今日は教室を出るときから隣にはキリカがいる。このまま帰るわけにはいかないけど、何をするとも言っていない。

 ……とりあえず、このままならパトロールって流れになるかしら。


小巻「昨日は結局、自主鍛錬したの?」

キリカ「いや。……鍛錬のやり方とかしらないし。今になってからちょっとやそっと鍛えたところでどうにもならないでしょ」

キリカ「そう思ったらパトロールしてたほうがマシだなって」

小巻「それはそうね。焼け石に水?」


 あたしもマミの隣で素振りしたことはあったけど、その程度で実感できるほどは変わらない。

 継続したら力になるとしても、あたしたちにはそれだけの日数は残されていない。

 余裕がある時だとしてもそれより魔女を倒しにいったほうがいいんじゃないかって思う。


キリカ「……はっきり言いすぎじゃない?」

小巻「そもそも大したことするには変身しなきゃだし、あの格好を外でするのも絶対にお断りよ!」

キリカ「たしかにね」


 キリカは軽く笑ってこの話題を流そうとした。


 でも、あのときのことを思い出して少し考えてみる。

 あたしたちが適当に素振りとかしたところで大した訓練にはならないかもしれないけど、教われる人がいたらどうだろう。

 今のマミは頼るにはまだ負担になりすぎるか。



 下1レスコンマ判定 1/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/17(月) 22:29:07.55 ID:rXnTr9Ip0
ほいさ!
816 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/17(月) 23:02:36.35 ID:jp3QNqNR0


小巻「……鍛錬のやり方ってさ、それがわかったらやってみてもいいかもとは思う?」


 キリカにとっては唐突な質問に感じたかもしれない。

 答えが返ってくるまでに少し時間が空いた。


キリカ「うーん、誰かに弟子入りするかってこと?」


 誰かの下につくって考えたら面倒臭くも思えてきた。マミが話してた、昔のマミと佐倉の関係みたいな。

 あたしはこれまで完全に我流だったし、それで困ったこともなかったから習おうと思ったこともなかった。


キリカ「それだったらどうだろ。まあ、やってみてもいいかもね」

小巻「そう?」

キリカ「前はそう言われてもどうでもよかったけどさ、強くなるってのは悪い気がしないし」


 意外な答えが返ってきた。

 なんだかんだ、あれからキリカは変わっている。それはもちろん願い事のせいじゃない。

 むしろ多分、ちゃんと願い【悩み】と向き合って先に進んだから。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 23:06:37.67 ID:Vsh8AHFpO
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/17(月) 23:07:25.52 ID:rXnTr9Ip0
今度こそ。
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/17(月) 23:08:27.39 ID:rXnTr9Ip0
うーん、駄目かぁ・・・
せめてGSは欲しいとこなんだけど。
820 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/17(月) 23:23:58.00 ID:jp3QNqNR0


 せっかくキリカはこう言ってるんだし、今すぐじゃないにしても機会があれば話してみよう。

 その時はあたしも一緒にやってやってもいいかな。……置いてかれるのは勘弁だから。



 途中で話しながらも魔力には気を配っていた。暗くなるまで街を一通り回る。




 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/17(月) 23:29:09.75 ID:rXnTr9Ip0
これで駄目なら1日無駄になっちゃうなぁ・・・
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/17(月) 23:30:00.67 ID:Vsh8AHFpO
ダメだこりゃ
823 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/18(火) 00:16:39.33 ID:tKv52bcg0



 ――――パトロールを終えた。粘ってはみたものの、今日は二人分のグリーフシードは手に入らなかった。



小巻「まあ、こういう日もあるわ」

キリカ「そうだね……」


 いや、むしろ、今回怪我も苦戦もしなかったことを喜ぶべきだ。

 戦って毎回無事で済むとも限ったわけじゃない。



―31日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:3個
・落書き[10/100]
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
824 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/18(火) 00:24:45.34 ID:tKv52bcg0
----------------------------------------------------------------------------------------------
今回更新はここまで
基本ここからワル夜までは大体二人で組むので、2つないと確定でもらえないのきつすぎってことで自動で粘って1個は見つけてきます
ただし判定引けないと1つが誰に渡るかは人と好感度によります…
今一番に手持ちが少ないのは小巻と小糸なのでキリカはくれたってことですね…

次回は19日(水)20時くらいからの予定
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/18(火) 00:28:56.82 ID:PtEZjrw20
乙です。

うーん、自動で1個ゲット出来るのは良いのですが最後はコンマ運頼みなのか・・・
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/18(火) 00:31:54.95 ID:TWdzjANZO

最強の敵はコンマ運だからな
827 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/19(水) 20:44:51.23 ID:cNFBvCM/0
――――――
32日目



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと3日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3マミと一緒に行動
4ほむらと一緒に行動
5一人で行動

 下2レス
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/19(水) 20:50:43.34 ID:9hc/ERzM0
3のマミっちと。
メンタル的に回復してるかどうかわからないけど。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/19(水) 20:58:31.34 ID:IE7zhMaTO
杏子たちとどうなったか知りたいから↑
830 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/19(水) 22:51:58.56 ID:cNFBvCM/0


 チャイムが鳴る。

 放課後になってから廊下に出ると、マミの姿が目にとまった。マミはまだ教室の中だ。


マミ「浅古……さん」


 そこに近づいていくとマミがあたしのほうに気づいた。鞄を整理していた手が止まる。


小巻「おつかれ。調子はどう?」


 よくある挨拶だけど、今は心配の意味も含んでいた。

 そんなに簡単に調子なんて良くなるわけないってことはわかってるつもりだ。あたしだって動揺した。本気で悩む経験だってした。

 もう弱さがわからないあたしじゃない。所詮言わなきゃわからないから、その気持ちは素直に伝えたほうがいいことも知った。


小巻「……心配だったのよ。一緒に戦う仲間ってのもあるけど、友達がヘコんだままじゃあたしも気が気じゃないの。少しは休めた?」

マミ「え、ええ。少し」


 気になって聞いてはみたものの、ここでは詳しいことを話すのには向かない。

 こんなとこで気軽に聞けるほど軽くはない。



 そのまま横でマミの支度が終わるのを待つと、自然と一緒に廊下に出て、校舎を出ていった。

 それから、その行き先はなんとなくだろうか。前にも一緒に来たことのある土手の片隅に腰掛けた。



マミ「私、迷っていたの」


 水の流れる音以外には、通りから聞こえる音も少ない。静かで、どことなく寂しさを感じさせるこの場所でマミは口を開く。


小巻「……、何を?」

マミ「全部」


 あたしは今でも、隠された細かな感情の機微や遠回しな表現を汲み取るのは苦手だ。

 そう思って聞いてみれば、返ってきたのはそんな身も蓋もないような一言だった。

831 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/19(水) 23:55:44.11 ID:cNFBvCM/0


 マミは語り始める。


マミ「なにをするか、どう生きるのか、生きてていいのか、全部よ」

マミ「ワルプルギスの夜を倒すのは決まってる。でもそれが終わったら、その先は。……私は全然わからなかった。もう“何もない”ように思えた」

マミ「どうせ魔女になるのなら死ねばいいのかもとも思った。今もふと気づいたら迷ってしまうことがあるわ」

小巻「そんなこと言わないでよ! この前言ったでしょ? 生きてればいつかきっとなんとかなるって――」

マミ「聞いて。……あなたの言葉は嬉しい。勇気づけられた。でも、いくらそう言われても、私は心からそうは思えなかったの」


 そう言われて一旦心を落ち着ける。

 心から思えなければ、希望を持った言葉ですら押し付けでしかなくなるのだろうか。


マミ「私はもう話すつもりなんてなかったけど、みんなで集まって話した日、本当は佐倉さんはこっちには来てたのよ」

マミ「あの子は今の浅古さんほども素直じゃないからそんなにはっきりとは言ってなかったけど、きっと心配されてたの」


 ……あの日、来てたんだ。暁美の家にいたときから今日まで、一切連絡よこしてないし気づかなかった。


マミ「全部打ち明けて…… そうしたら、『今まで強がってばかりでわかろうとしなくてごめんなさい』って伝えた私に対して、『自分も強がってた』って」

マミ「正義とか、悪とか、魔法少女とか、これからはそういうのに縛られないで本当にやりたいようにやろうって。……“だから”、お互いを許して一緒に生きようって」

小巻「……ホントにそんなこと言ったの、アイツが?」

マミ「もちろんすぐにそう言ったわけじゃないし照れ隠しはあったけど、重要なところはこのとおりよ」


 正直驚いてた。

 どう頑張っても、マミの心に響かせられるのはあたしじゃなかったってわけだ。


マミ「先のことは相変わらずわからないけど、私もそっちのほうがいいって……やっとそう思えたの」

小巻「わかるわけないでしょ。未来のことなんて。……織莉子だってこんな未来はわかってなかったわよ」

マミ「……そうね」


 まあでも、あたしの言ったことは間違ってなかったんだろう。

 死んでたらそんな話もできなかったんだから。


小巻「ところで、佐倉の昔の話もっと聞かせてよ。マミしか知らない面白い話あるんでしょ?」

マミ「ええ」


 こうしてやっと、重苦しかった空気が明るいものへと変わった。

 久しぶりにマミと会話を楽しむことができていると、その最中に、いつからかとても気まずそうな顔をした人影が覗いていることに気づいた。


 話題の中心人物だ。

832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/20(木) 00:11:46.52 ID:LMDQogo20
良かった、杏子と和解できてたのか・・・
833 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/20(木) 00:39:54.08 ID:mvqT1p/l0


ゆま「かくれんぼー?」


 続いてゆまも顔を出す。


杏子「んなわけあるか! ああもうほらっ、見つかっただろ!」


 二人揃って前に出た。


マミ「別にゆまちゃんのせいではないわよ」

杏子「なんであたしの話なんてしてるんだよ」

小巻「それより、全部打ち明けたってことはワルい夜のことも知ってるの?」

杏子「あー? ……ワルプルギスの夜がこれから来るってことはマミから聞いた」

小巻「アンタたちも戦うの?」

杏子「戦ってやってもいいけど別にアンタのためじゃないからな。ただマミにああ言った後で自分だけしっぽ巻くとかダサすぎるじゃん」


 何を言ったかはマミから聞いた。

 こうして内心を知っていれば、思わず引くほど素直じゃなさそうだった。……場合によっては損をしそうな性格だ。


小巻「……ああそう。それで今日は何しにきたわけ?」

杏子「なんとなく寄っただけだけど?」

マミ「せっかくだから、今日は久しぶりに訓練でもしていく? 浅古さんもどうかしら?」

小巻「いいけど、余裕があったらこれからは他にも見てあげたらどうかしら。キリカがやってもいいって言ってたわよ」


 しかしあたしがやるのにどこか抵抗があるのは、あの問題があるからだ。


小巻「……ところで、ここで変身するの?」

杏子「しないとろくなことできないだろ。舐めプできると思ってんの?」

マミ「制服が汚れてしまったら困るわ」

小巻「……ソウヨネ」



 二人はあたしが何を気にしてるかピンときてないようだった。……腹を括った。



 二人に見てもらって過ごした。いつのまにかここは寂しい場所じゃなくなってた。

 きっと、二人がよく訓練してた頃も賑やかな場所だったんだろう。それを今日垣間見られた。



―32日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
834 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/20(木) 00:46:56.14 ID:mvqT1p/l0
-----------------------------------
今回更新はここまで
訓練が解禁されたことで、小巻だけ見ると大した恩恵はありませんが全体的に実力が向上していきます

次回は22日(土)19時くらいからの予定
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/20(木) 07:55:33.91 ID:LMDQogo20
乙です。

訓練解禁ならマミさんとは最初に会ってたほうが良かったかな?
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/20(木) 17:55:04.74 ID:g8RiqJRq0
日本保守右派系の大嘘

「太平洋戦争は白人に対するアジア解放の戦いだった」
↓大嘘です
https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20200815-00193356
すべての侵略戦争にあった「大義名分」
「アメリカの経済制裁が気にくわないから」という理由だけでは対米開戦としての大義は弱いので、
日本は対米開戦にあたり「アジア解放(大東亜戦争)」をスローガンに掲げたのである。
当時アメリカの自治国であったフィリピン(フィリピン・コモンウェルス=フィリピン独立準備政府)は
アメリカ議会からすでに1945年の独立(フィリピン・コモンウェルス成立から十年後)を約束されており、
日本軍の侵攻による「アジア解放」というスローガンは全く無意味として映った。
よって南方作戦で日本軍に占領されたフィリピンでは、そもそも日本の戦争大義が受け入れられず、
またアメリカの庇護下のもと自由と民主主義、そして部分的には日本より高い国民所得を謳歌していたフィリピン人は、
日本の占領統治に懐疑的で、すぐさまゲリラ的抵抗や抗日活動が起こった。

日本は、アメリカとの戦争の際「アジア解放」を掲げていたが、それよりさらに前の段階で、
同じアジア人に対し攻撃を加えていたのであった。よって多くのアジア地域では日本の戦争大義「アジア解放」は、美辞麗句で空疎なものと映った。
「アジア解放」を謳いながら、片方で同じアジア人である中国を侵略するのは完全な矛盾である。

「日本のおかげでアジア諸国は戦後独立した」
大嘘です。大日本帝国と関わりない中東やアフリカも独立してます。

「人種的差別撤廃提案で日本は唯一差別と戦った。白人は人種差別を支持した」
大嘘です。フランスやイタリアも日本に賛成してます。
https://w.wiki/4i4Q
日本国民自らが中国人を差別していることを思い起こすべきと主張し、吉野作造も日本が中国人移民を認めるだろうかという問いかけを行った。
事実、賛成しているのはどちらかと言うと移民を送り出す側の国であり、反対しているのが移民を受け入れる側の国である(イギリスも本国としては賛成だったが、オーストラリアの意向をくんで反対に回っている)。

「アメリカはドイツは人間として扱い、日本人を人種差別で化け物扱いした」
大嘘です。ドイツはアメリカに騙し討ちをしてませんから当然です。
開戦前に真珠湾奇襲で多くのアメリカ人を無差別攻撃した日本のイメージが最悪だっただけです。
https://w.wiki/4i4Z
原爆投下前に日本の風船爆弾でアメリカの民間人妊婦が殺害されています。ドイツより日本を恨むのは当然です。
「1945年5月5日、オレゴン州ブライで木に引っかかっていた風船爆弾の不発弾に触れたピクニック中の民間人6人(妊娠中の女性教師1人と生徒5人)が爆死した」
そもそも日本側も、アメリカとイギリスだけを鬼のように扱っていました。日本と開戦した連合国国家は他にもあります。(棚上げ)

日本の戦争犯罪は戦場経験者でもある水木しげるさんが証言して漫画にしてます。
詳しくは「水木しげる 姑娘」「水木しげる 慰安婦」で検索してください。
他には「スマラン慰安所事件」「バンカ島事件」で検索。
837 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/22(土) 19:33:26.87 ID:jT88lv+H0
――――――
33日目



 ワルプルギスの夜との戦いまで、あと2日。



*今日の予定
1小糸とパトロール
2まどかたちの様子を気にかけにいく
3ほむらと一緒に行動
4一人で行動

 下2レス
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 19:40:27.10 ID:Z7yJHH0h0
3
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/22(土) 20:24:09.68 ID:jB0F+WXV0
まどかたちも気になるけどここは3で。
840 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/22(土) 21:44:49.49 ID:jT88lv+H0


 学校が終わると、二年のフロアのほうに行った。

 向かう先はもちろんあの朝と放課後に話した人たちがいる教室だ。


まどか「おつかれさまです」

さやか「お疲れさま…… っす」


 ずっと同じ学校にはいるものの、あれ以降顔を合わせたのはこれがはじめて。

 まどかとさやかは二人と知らないクラスメイトを交えて話していて、その途中であたしに気づいて挨拶だけしてくれた。

 暁美は少しだけ離れたところにいる。しばらく二人のほうに目を向けていたものの、一足先に帰るようだった。


ほむら「……何の用」

小巻「べつに? 様子見?」


 暁美についていくと、廊下に出てからやっと口を開いた。


小巻「前みたいにべったりついて回ることはしないんだ」


 暁美の行動でそれが少し意外だった。

 マミから“守護者”のことを聞かされたときはそれが暁美だとは知らなかったけど、狙う隙がないくらいだったからここまで持ったんだ。


ほむら「まどかはもうキュゥべえのことも契約のことも知ってしまった。それがどんな結果を生むかということも」

ほむら「そして、まさか命を狙う魔法少女が現れるなんて思ってなかったけど、それももう死んでいる。……今のままの状況なら、契約することはないでしょう」

小巻「まあ、そうね」

ほむら「今はやることがあるの」



 暁美は校舎を出た後も言葉少なに歩き続ける。ついて来いとも来るなとも言われなかった。

 横顔を見れば、その表情はどこまでも冷たく硬く、少し思いつめたような顔に見えた。


 クールぶったこいつの、いつもの顔。協力するようになっても、やっぱりいけ好かないのは変わらなかった。



1この前話した以上に何か作戦でもあるの?
2ワルプルギスの夜を倒した後はどうする?
3自由安価

 下2レス
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/22(土) 22:29:03.35 ID:jB0F+WXV0
1+逆にまどかに魔女化させない願いで叶えさせるのはどうかと提案。(かずみ編の願いみたいな)
あとそうやって自分はなんでもない、独りでもやり通すみたいな態度が織莉子みたいで危ういからほっとけないと話す。

ねぇ、まどかの素質が魔女化したら世界を滅ぼすくらい強いのなら、それを逆手に取れないのかしら?
願いを叶えた時点でそのエネルギーとやらを魔女化させずにキュウベェに吸い込ませるとか、キュウベェの浄化の能力を魔女化させずに無尽蔵にまでにするとか。

あとあんたのその態度、まるで織莉子みたいよ。
そうやって周りを自分から遠ざけて、自分は大丈夫ですなんて態度見ていてイライラするし何より危なっかしいのよ。
あんたが何を恐れてるのか知らないけど少しはこちらを頼りなさい。

842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 22:58:01.09 ID:GHB4ORBLO

あんたまさかワルプルギスを倒してまどかが無事だったらここからいなくなる気?
843 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/22(土) 23:40:21.12 ID:jT88lv+H0


小巻「それってグリーフシード集め?」

ほむら「それもやってはいるわ」

小巻「じゃあこの前話した以上に何か作戦でもあるの?」

ほむら「……作戦というほどでもない。これは私の準備だから」


 暁美はどこかへと向かって歩いていく。

 足を止めた先の建物がどこなのかを見てみると、何がしたいのかわからなくてに困惑した。


小巻「これって……」


 基地、なんだろう。そう書かれている。軍隊が使ってるところだ。


小巻「こんなとこにつれてきてどうすんのよ?」

ほむら「あなたがついてきただけでしょう」

小巻「……まさかねぇ!?」

ほむら「私がここに用事があるの。あなたはどうせ一緒には来られないのだから好きにしていたら?」

小巻「マジで言ってんの!? マジでここから武器を!?」

ほむら「……仕方がないでしょう。私はこうでもしないと戦えないんだから」

小巻「……」


 言わんとしてることを察する。

 そんなの知らなかった。これから一緒に戦うってのに。

 なんとなく強力な魔法少女なんだろうとは思ってたけど、そんなデメリットを抱えてたなんて。


小巻「ああそう。こいつらの代わりに戦ってあげるんだから少しくらいは見逃してくれるでしょ。言われたとおりあたしはもう行くわね?」

ほむら「ええ、さようなら」

小巻「……待って」


 放課後こいつの教室を出る時からそうだ。

 露骨なまでに居ても居なくてもいいって思いが透けて見えてムカつく。

844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/22(土) 23:51:32.44 ID:jB0F+WXV0
いやいやいや、アニメの頃から思ってたけどあんだけ武器盗んだら自○隊の何人かは確実に首飛んで人生終わるんだが…
845 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/23(日) 00:30:42.88 ID:Gu3wHs8Y0


小巻「アンタのその仏頂面って、ワルプルギスの夜を倒した後はなくなるの?」

ほむら「……どういう意味」

小巻「そのままの意味以外ある!? あたしは初めて会ったときからアンタのその顔が嫌いだわ!」


 暁美はまだ『どうでもいい』というように特段の反応を示さない。

 これだけでも十分癪に障るしイライラするけど。


小巻「中身を知れば、周りを遠ざけて自分は大丈夫ですなんて強情張ってて。余計にムカついたわ。……あたしの知り合いと同じ。表面の態度だけ見れば全然違うけどね」

ほむら「あなたの知り合いのことなんて私には関係ない」

小巻「そりゃそうね。でもそいつって、美国織莉子、まどかを殺そうとしてたヤツよ」


 『まどか』が絡まないことについてはまるで心を動かそうとしないようだ。

 その名前を出して、やっと暁美はわずかに嫌悪したように表情を変えた。


小巻「あたしも似たような失敗は二度とゴメンだから。何を恐れてるのか知らないけど…… 少しは誰かを頼ったらどうなの」


 なんでこいつにここまで言ってやらなきゃいけないんだ、って気もする。

 一度目の失敗の代わりじゃないけど、嫌いなコイツにしてやれる最大限のアドバイスだった。

 もちろん、素直に聞いてくれるもんじゃないのはわかってる。


ほむら「私が何を恐れてるかって、ワルプルギスの夜以外にあるの?」

ほむら「まどかはこのままの状況なら契約することはないでしょう。でも、負ければすべて台無しになる。あなたたちの戦力を加味しても」

小巻「……あたしたちじゃ頼りがいがないって?」


 思わず何か言い返してやろうと思ったけど、ふと気づく。

 暁美にしては珍しいくらいの弱音だった。特にまどかの前ではこんな弱音は吐けない。


ほむら「私はこれからもずっとまどかを守らなくちゃいけない。でも本当はそんな、一緒にいる資格なんてなかったのよ」

小巻「何よ、どうしたのよ急に……」

ほむら「まどかが世界を滅ぼせるほど素質が高くなったのは私が時間を繰り返したせいなんですって」


 あたしからすればいつもの顔、だと思ったけど――――。

 こんなことを聞くとしたらキュゥべえ、アイツだ。いつのまに。

846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/23(日) 00:50:00.91 ID:aqjiCHnR0
ああ、キュウベェがバラした後なのか。
ほむらも織莉子も目的のためには手段を選ばず、視野が狭くなって狭量で周りを省みないって似たもの同士だよね・・・
847 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/23(日) 01:04:26.66 ID:Gu3wHs8Y0


ほむら「だからきっと、私はこれからもこのままよ。このまままどかの素質がなくなるまで守ることだけを考えて、そして死ぬの」

小巻「それが償いだとでも?」

ほむら「それでも私はこの世界でも友達になってしまったから、私はきっと十分に喜んでしまうけれど……」

ほむら「まずはワルプルギスの夜。コイツを倒せなくちゃ意味がない」


 また“次”を求めてしまったら、まどかは今以上になる。

 もう後がないというように焦っているんだろう。暁美の覚悟を改めて感じた。


小巻「……じゃあ、さ。まどかにも頼ってみるのはどう? 友達なのに守られるだけは望まないわよ、きっと」


 藤色の視線が射抜く。暁美はまっすぐに睨んでいた。


ほむら「気安く口出ししないで。私が決めた事よ」

ほむら「まどかは頼ったら最大限に応えようとしてしまう、優しい子だから。尚更あの子にだけは頼るわけにはいかない」



 暁美はそう言い残した後、忽然と姿を消した。

 ……周りを見てみたがどこにもいない。唐突に一人取り残されたようだった。


 暁美は用事を果たしに行ったんだろう。


 強制的に会話を切られたようで不本意だが、あたしもこの場から離れることにした。



―33日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[100/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
848 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/23(日) 01:07:22.51 ID:Gu3wHs8Y0
--------------------
今回更新はここまで
次回は24日(月)20時くらいからの予定
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/23(日) 01:11:06.85 ID:aqjiCHnR0
乙です。

ほむらもまどかも変なところで強情なのがなぁ・・・
なぎさ編やあすみ編みたいに良い方向で支えないとすぐ暴走するのがなんとも。
850 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/24(月) 21:33:02.61 ID:H8CwR7F/0
――――――
34日目


 差し込む朝日の中、ベッドから起き上がる。今日は休日だ。

 このところは出来るだけ用事は入れないようにしてきたものの、一日使える日って貴重だ。

 いつもみたいに慌てて身支度する必要はないけど有意義に使わなくちゃ。


 ワルプルギスの夜との戦いはもう前日まで迫っている。


*今日の予定

※以下から2つまで行動を選ぶことが出来ます。1つの行動をめいっぱいやることもできます。

1小糸とパトロール
2マミと連絡をとる
3キリカと連絡をとる
4ほむらと連絡をとる
5キュゥべえを呼ぶ

 下2レス
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/24(月) 21:42:13.59 ID:Hr2cc3UL0
まずマミに連絡して訓練みたいのをするのなら小糸とキリカを誘ってみる。
2回目は保留。
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/24(月) 21:53:49.53 ID:5jNLBvofO

訓練とかしないなら4
853 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/24(月) 23:03:57.45 ID:H8CwR7F/0


 マミに連絡して今日のことを聞いてみる。


 佐倉とは和解したみたいだし、あれからあの土手にいることもあったらしい。

 基本的に入り浸って何かやってるのは二人だろうけど、昨日はキリカも混ざって見てもらってきたらしい。

 ……まあ、『何か』といえばほとんどは鍛錬だろう。余裕があるならやって損はないとは思うし。


小巻(送るだけ送ったし、まずはご飯ね)


 いったん朝食をとりにリビングに行って、あとで携帯を見てみると着信がきてた。

 今日も例の場所にいるって。


小巻「小糸! 今日……あれ、さ」

小糸「え? お姉ちゃんなに?」

小巻「……アレよ!」


 小糸も誘ってみようかと思ったけど言葉が出てこない。


小糸「なにそれ! わかるわけないよ!?」

小巻「その、魔法少女の…… 訓練」

小糸「あぁ、わかったけど、訓練? 二人でするの?」

小巻「マミが見てくれるんですって。小糸が行くならあたしも行こうかなって」


 そう言うと小糸が笑った。呆れたような笑いだった。


小糸「もう、ついてってあげるよ。にしても、普段うるさいほどハキハキなのに魔法少女のことだけいきなり曖昧になるんだもんなぁ」

小巻「誰が普段うるさいって?」


 二人で土手に向かうことにした。

854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/24(月) 23:46:57.05 ID:Hr2cc3UL0
訓練はもっと早めにやりたかったけど時間がなさ過ぎましたね・・・
それにしても小巻、どんだけ魔法少女名乗るの嫌がってるんだかw
855 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/24(月) 23:50:01.75 ID:H8CwR7F/0
>>853 【訂正】入り浸ってるの二人じゃなくて三人、ネ。二人にスポット当たりがちだけど省いたらだめなの。
------------------------------------------------------------------------------------------------------

マミ「いらっしゃい、こっちよ」

小巻「ああ、もうやってるのね」

小糸「こんにちは!」

マミ「ええ。こんにちは」

ゆま「こんにちは! 今すっごかったんだよ! マミのリボンはキレイで強いの」


 マミと佐倉は今日も通りからはすぐ見えないとこにいたみたいだ。

 近づいたところでこっちに気づいて呼びかけてくれた。


小巻「少しは顔色が良くなったんじゃない?」

マミ「ええ…… おかげさまで。心配かけたわね」

杏子「ここでこうやってると昔みたいだよな。あの頃はゆまもアンタらもいなかったし、絶対同じにはなれないけど」

マミ「佐倉さんが私に勝てないのも昔と同じ?」

杏子「遠くないうちに負かしてやるよ! せっかく『続き』が出来るんだから。でももう今日は教える側に回ろうかな。そのほうが楽だしな」


 キリカも面倒見てもらったって言ってた。

 あたしやキリカにとっては、武器が多少近い分1対1でやりあうにはマミよりもやりやすいとこあるし。


 ちなみにキリカも誘ってみたけど、今日はいいって返ってきた。まあそれぞれやりたいことがあるんだろう。


 ……コイツのこと、最初はヤな奴ってとこしか知らなくて、

 ほかの内面はマミからの話でしか聞いてなかったけどこうして接するとちょっと印象は変わった。


小巻「じゃあお願いするわよ」


 戦いの先輩として認めてやらなくもない。

856 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/24(月) 23:56:48.27 ID:H8CwR7F/0


――――


 小糸は契約したてだ。まだ数えるほどしか戦ってないし、それもほとんどはあたしか誰かが一緒だった。

 だからか、こうして一度出来る人にちゃんと見てもらうと……――こう、未発達で散らかってたものが一気に整うような。


 小糸はある程度までコツが掴めたようだ。

 マミもこうしているときは、少しは前みたいにいきいきした表情をしてる気がした。



*半日経過
1一日中訓練
2小糸とパトロール
3キリカと連絡をとる
4ほむらと連絡をとる
5キュゥべえを呼ぶ

 下2レス
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/25(火) 00:13:41.48 ID:RKbdQzpkO
4
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/25(火) 00:17:42.05 ID:uV3rOE3B0
うーん、確かにほむらともっと話したいけど、肝心のほむらの方が話しをしてくれるかなぁ?
とえいあえず4で話ができなさそうなら3で。
859 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/25(火) 00:28:36.48 ID:LR7Qg8eL0
-----------------------
今回更新はここまで
次回は26日(水)20時くらいからの予定
860 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/26(水) 23:01:27.53 ID:MYycYawI0


 今日も残すところ半日を過ぎた。もう昼の時間だ。


 携帯をいじって、暁美に連絡をとって近況を聞いてみる。

 暁美は今日もパトロール、まどかとさやかは駅前のほうに遊びに行ってるらしい。


小巻(駅前か……)


 二人とはこの前向こうのクラスに行ったときに挨拶だけはしたけど、ちゃんと関わったのはみんなで集まった時くらいだった。

 ちょうど昼食もまだだし、少し寄ってみようか。まどかたちとは会えなくても普通に店とか見て回ろう。


小巻「それじゃ、あたしたちはもう行くわね。今日はお疲れ」

マミ「ええ、もうお昼だものね。私もそろそろ一旦帰ろうかと思っていたところよ」

杏子「そうだな。溜め込んでたお菓子もなくなっちまったし。あたしたちもテキトーに……」

ゆま「ごはん!」


 マミたちもここからはもう離れるらしい。

 みんなと別れて向かった。


 ……すると、ついたはいいが今は休日の昼過ぎ。街はちょうど混み合っていた。


小巻「どこも混んでるし、こうも人が多いとあんまり落ち着いて食事できる店がなさそうね」

小糸「そうだね。デパートのほう見てく? あ、鹿目さんたちもこのあたりにいるんだよね」


 そんな話をしている途中で、見覚えのある色の頭を見た気がしてウィンドウの奥を覗いた。

 安っぽそうなチェーン店のハンバーガー屋。そこにいたのは確かにあの二人だった。

 このあたりの店の中でもかなり混んでいて、入った覚えはほぼないようなとこ。


小巻「いたわよ」

小糸「えっ! あ、ホントだ。……入る?」

小巻「……まあ、ものは試しよ」


 意を決して入店する。近づいてくとまどかたちもあたしたちのほうに気づいた。

861 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/27(木) 00:06:45.89 ID:uNOpKaRJ0


さやか「まどか、あれ小巻さんと小糸じゃん? こんなとこで会うなんて」

まどか「ほ、本当だ。おつかれさまですっ」

小巻「お疲れ。あたしたちも同席いい? 他に空いてないし」

さやか「どうぞどうぞ!」


 一応他の席も見てきたけど本当に見事に埋まっていた。

 それに、せっかく見つけたんだからちょっと腰を落ち着けて話してみたい気分になった。


小巻「こういうとこよく来るの?」

さやか「よく来ます。なんたって安いから!」

まどか「財布に優しいのうれしいよね」


 こういうとこは本当庶民って感じ。


小巻「あれから何も起きてない? キュゥべえが来たとか」

まどか「わたしのほうは来てないです。さやかちゃんは?」

さやか「あたしのほうも特には」

小糸「よかった」

小巻「そうね、よかったわ」


 腰を落ち着けて、と思っても、やっぱり深い話をするよりまずは契約のことが浮かんで気にかかってしまう。

 それも大事だ。でも疑われてるとか思ったらそれ以上に踏み込んだことなんて話したくなくなるだろうし。

 早くも話に一区切りがついてしまった。


小巻「二人はこの後もこのあたりにいるの?」

さやか「いや、あたしはもう行こうかなって思ってます」

小巻「行くって?」

さやか「……病院に。お見舞いです、友達の」

まどか「わたしはもう少しいるんですけどね。帰りにお使い頼まれてるからそれを終わらせないと」


 二人とも食べ終わったらそれぞれの用事を済ませるらしい。

 戦うための準備はしないといけないけど…… 今更ながら、二人がどんな人間なのかまったく知らないってことに気づいた。


1まどかと一緒に行動する
2さやかと一緒に行動する

 下2レス
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/27(木) 07:40:32.32 ID:8FWH7tSN0
2で。
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/27(木) 12:33:27.95 ID:8Kzz1R7tO
2
864 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/29(土) 22:48:57.16 ID:WuHILeUI0


小巻「それ、途中まで一緒についていってもいい?」

さやか「……べつにいいですけど、どうして?」

小巻「あんたたちのことなんも知らないって思ったから、普段どんなこと考えててどんなことしてるか。少し話してみようと思ったのよ」


 それに、 明日になる前に少しあたしからも話しておきたいこともあるし。

 当日になってからじゃ話してるヒマなんてきっとなくなる。


小糸「じゃあわたしは鹿目さんのほうについていこうかな」

まどか「わたしは本当にただ言われたとおり買い物するだけなんだけどね…… えへへ、一緒に見に行く?」



 店を出ると小糸たちとは別れて歩き出していく。小糸とまどかはスーパーのほうへ向かったようだ。

 あたしたちが向かうのはさっき言ってたとおり、病院だ。あたしも少し前に入院してたことを思い出す。

 といっても、あたしの場合は一晩で帰れたし、そもそも実際には怪我なんてなくなってたんだから大したことはなかった。



小巻「その友達って、入院して長いの?」

さやか「長い、ですね。退院にはまだかかると思います」

小巻「そう。……大変ね」


 怪我なのか病気なのかはわからないけど、所詮は関わったこともない人のことだから、あたしには他人事の返事しかできない。

 でも、そう答えたさやかの声はさっきよりも少し暗いトーンに聞こえた。


 そういえば、さやかは契約してもろくな結果にならないとは言われてたし、それを聞いて本人も諦めてたようだった。

 でも現時点でさやかに願いになりそうなことがあるのかははっきりとは言わなかった。


小巻「ねえ、あたしが言うのもなんだけどお見舞い品とか持っていかなくていいの? まだなら行く前にそこらで見てったら?」

さやか「あー…… そうですね。でも喜んでくれるかな」


 さやかはあまり乗り気ではなさそうだった。


*お見舞い品といえば?
1果物
2お菓子
3花
4アクセサリーやぬいぐるみなど
5CD・DVD

 下2レス
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/30(日) 14:48:10.33 ID:nfUn/Nem0
4で
でもできればエロ本がいい
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/30(日) 20:55:28.29 ID:PA6JC5kC0
小巻は一般的なものを選びそうだから1
867 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/31(月) 14:04:44.62 ID:3aIwLhOT0
-------------------------------
(本日20時くらいからやるよ)
868 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/31(月) 21:16:22.21 ID:3aIwLhOT0


小巻「こういうのはね、そんなすごいものじゃなくても嬉しいのよ」

小巻「恥ずかしいなら今日のはあたしからってことにしておきなさい。出してやるから」

さやか「……。べつに恥ずかしいってわけじゃ」


 さやかが小声で何か言ったような気がしたが、あたしはちょうど手土産に良さそうな果物を売っている店が目に入って見にいっていた。

 果物なら無難な感じがするし。


小巻「念の為聞いておくけど、嫌いなものはないわよね?」


 適当に選んだものを手にとって、さやかのほうを振り返る。


さやか「あっ、はい。ないです。ていうかいいんですかこれ。出してやるって」

小巻「言い出したのはあたしでしょ。強制させたいわけじゃないし。そういうことだから決まりね、ちゃんと渡すのよ」

さやか「はい。ありがとうございます……」


 さやかは少し戸惑った様子で受け取った。

 お見舞い品を手にして病院へと進んでいく。


さやか「小巻さんってしっかりした人なのかなとは思ってたんですけど、めっちゃマイペースな人なんですね?」

小巻「マイペース? 人に合わせるのが面倒なだけよ。所詮他人なんだから、言って聞かせるよりやれることは自分でやったほうが早いでしょ?」

さやか「そういうのをマイペースって言うんじゃ?」


 だからこそ、自分じゃどうにもならないことが嫌いだ。

 このままじゃダメになるとわかっているのに、何もしない人。ダメな道に進む人。結局自分には何もできなかったこと。

 所詮他人だから。……自分の言ったことだが、その響きに不快感を覚えた。


小巻「お見舞い行くくらいだから、相手とは仲良いのよね」

さやか「まあ、そうですね」

小巻「なーによさっきから! さやか、この話になってから曖昧よ。アンタが行きたいから行くんじゃないの?」

869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/31(月) 21:26:11.00 ID:GG+WSt4g0
ここは以前杏子編でやった募金活動とかさやかにやらせたいですね。
恭介の容態、知りたいとこですねぇ・・・
870 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/31(月) 22:47:04.88 ID:3aIwLhOT0


 煮えきらない態度も嫌い。

 問い詰めると、さやかは真剣な表情で話し始めた。


さやか「……それはもちろんそうです。行きたいから行ってるんです。それがあたしのやれることだと思うから」


 こうして話してると、昼話してた時までのような明るいだけの印象はもうなくなってた。

 誰だって表面だけじゃ一番大事なとこなんてわからない。裏表とか取り繕ったりするの嫌いだって思ってたけど、あたしにも少しはそういうところもあるんだろう。


小巻「アンタ、叶えたいことがあるんでしょ。もしかしてそのことと関係あんの?」

小巻「隠そうとしないでいいわよ。むしろこんな時じゃないと言い出せないでしょ。疑いの目で見られてる時になんて本音言えるわけないものね」

さやか「……関係はあります。キュゥべえに会った時は、もしかして、やっとチャンスが来たのかもって思ったんです」

さやか「あたしのやれることってなんなんですかね? 契約してもうまくいかないって言うし」


 さやかは思いとどまっている。

 とはいえ、その問いかけに対してあたしはなんて答えてやればいいんだろうか。


小巻「あたしのほうも本音を言うと、やりたいことやればいいって思う。お見舞いでも、契約して戦うことでもね。その覚悟があるんだったら」


 あたしだって、やりたいことをやった結果だ。

 魔法少女なんて恥ずかしいしキツいし、そのうえ一歩間違えれば悲惨な末路まで用意されてるんだからやめられるならとっくにやめてる。

 でもやっぱり願った結果を後悔したことはないから。


小巻「でも、真実を知った今は別だわ。これ以上魔女は増やしちゃいけない」

小巻「……もちろん、あたしは魔女になる気はないけどね。契約したからといって絶対になるわけじゃないし、あたしのことズルいって思うかもしんないけど」

小巻「元はキュゥべえが悪いとはいえ、魔女が生まれるのがあたしたちの問題なら少しでも契約する人を少なくしてくしかないわけでしょ?」


 やりたいことをやって破滅するのは自業自得でも、魔女になって周りを巻き込むのはそれじゃ収まらない。

 やりたいことやっていいのは自分が責任を取れる時だけだ。


さやか「そうですね……」


 さやかも理解しているようだった。

 結局、契約のことも奇跡のことも元々無かったんだと思うしかない。

871 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/31(月) 23:08:47.63 ID:3aIwLhOT0


 病院に着くと、受付に行く前にさやかに話した。


小巻「明日のことを言うわね。わかってると思うけど、危ないことはなしよ。避難指示にはちゃんと従って、安全に過ごしていてちょうだい」

さやか「はい」

小巻「あたしたちは外で戦ってるから。もし…… 万が一そっちまで被害が及びそうになった時にはテレパシーでも使って絶対に伝える」

小巻「その時は頼むわね? 魔女のこと知ってる人しか出来ないことがあるはずだから」


 今日話して、さやかのことを少し知ることが出来た。

 あたしも真剣にさやかに託す。


小巻「ま、もちろんそんなことないようにはするけど!」

さやか「はい。こんなことしか言えないけど、頑張ってください!」



 面会の受付を済ませ、廊下に行く姿を見送って、さやかと別れた。

 ――小糸のほうはまどかと何か話せたかな。



―34日目終了―


小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[90/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
872 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/01/31(月) 23:16:51.76 ID:3aIwLhOT0
-------------------------------------
今回更新はここまで
次回は2日(水)20時くらいからの予定
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/31(月) 23:28:14.28 ID:GG+WSt4g0
乙です。
次から遂にワルプル戦ですか・・・
人間関係はだいぶマシですけど結界とか合体技の訓練もしてないから不安がありますね。
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/31(月) 23:58:40.58 ID:14FlgjCP0
>>869みたいなクレクレ乞食マジで不快だわ
思い付いたんなら自分で勝手に書いてりゃいいのに
875 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/02(水) 21:25:58.60 ID:CXgxF1AD0
――――――
35日目



 朝、黒い雲が渦巻く空の下。あたしたちは家を出た。


小巻「……行きましょ!」

小糸「うん」


 例の魔女との戦いまであとどのくらいだろう。暁美から聞いた話じゃ大体の時間しかわからなかった。

 すでに何かが起こりそうな予兆は感じる。その元凶が姿を現すまで、もう数時間とない。

 親には今日は朝から用事があるって伝えといた。避難指示が出始めたらちゃんと逃げてくれるはずだ。


小糸「きっと、大丈夫だよね……」


 少ない準備期間。こんな過ごし方でよかったのかって、今になって不安は押し寄せてくる。

 手持ちのグリーフシードは二つ。それも、一つは少し濁った状態だ。

 使える魔力は少ない。もっとパトロールを優先させておくべきだったのかもしれない。



 ……いや、後悔しても仕方ない。今持っている力で挑むしかないんだから。



小巻「出たらわかるのよね? 魔力は感じるんだけど……」

ほむら「ええ。相手は大型の魔女。嫌でもわかるわ」

小糸「じゃあ待つしかないんだね」


 向かった先は暁美から聞いた場所だ。

 といってもかなりあやふやな指定だったけど、周辺に着いたら仲間の姿はちらほらと見えた。

 全員で合流したのはそれから少ししてからだった。


キリカ「ところでこの使い魔みたいのは? 倒さなくていいの?」

杏子「こいつら襲ってこないだろ。ムダな労力使える余裕なんてあるかって」

マミ「使い魔はいくらでも沸いてくる存在よ。それは『ワルプルギスの夜』が相手でも変わらないのだし……」

マミ「手下もこれだけではないかもしれない。温存できるうちはなるべく温存しておいたほうが良いわよね」


 魔力の気配が濃くなるのを感じる。それに比例して、風も強くなる。

 さらにはあたしたちの周りをただ通り過ぎていく使い魔まで現れはじめていた。

876 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/02(水) 22:42:21.15 ID:CXgxF1AD0


キリカ「うーん、そういうならわかった」


 この状況で、落ち着かない気持ちはあたしもわかる。

 絶対“いる”気配を感じるのに何もできない。待つしかない時間。


 合流してから、暁美は杏子のことを見ていた。


杏子「……戦力多いほうがいいんだろ? 飛び入りだけど、話はマミから聞いてるし」

ゆま「キョーコはつよいんだよ! ゆまもがんばるね!」

ほむら「ええ、わかってる。それはありがたいけど」


 何があったのか、とまでは暁美は深堀りしない。単にそこまで興味がないんだろうけど。


ほむら「あなたが来てくれると思ってなかったから」


 この反応からして、暁美は杏子のことも知っている、正しくは――過去のループで関わったことがあったんじゃないかと思った。

 そういえば、前に優木の事件のことを話した時、暁美は無関心を貫いていたが唯一犯人の『名前』だけは気にしていた。

 もし自分の知っている名前だったらと思ったのかも。


 異変があったのは、そんな、少し関係のない話をしているときだった。


「!」


 全員が息を呑む。

 本当に突如として、黒い雲の覆う空に禍々しい気配を持った“巨体”が浮かび上がった。


小巻「思ったよりも……でかいわね」

キリカ「わぁ、やっと出た。うう、デカいくらいでビビんないし! 早くやろう!」

マミ「相手の出方にも気を配って。十分に気をつけて近づくのよ」


 銃すらここからじゃ届かない距離だ。みんな魔女のほうを目指していく。まずは近づかなくちゃ話にならない。


ほむら「私が最初に仕掛けるわ」

877 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/02(水) 23:28:16.65 ID:CXgxF1AD0


 そう聞こえたと思うと、上空に居る魔女の周りに“細い粒”のようなものが囲んで浮かび上がる。

 それがなんなのか考える前に爆発が包んだ。


小巻(……なるほど、この前基地から持ってきたやつってあれか)


 暁美はすでに離れたところにいる。

 一瞬にしてあの物量の攻撃だ。『魔法』を使ったんだろう。しかし、魔女には効いている素振りもない。


小巻「風も本格的に強くなってうざったいわね」


 向かい風自体も鬱陶しいが、風に乗って砂や障害物まで飛来してくる。


小巻「もう、一人だけそんなとこに行って! あたしだってすぐに追いついてやるから待ってなさい!」



小巻 魔力[100/100]  状態:正常
GS:2個
・[90/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:正常
マミ 状態:正常
キリカ 状態:正常
ほむら 状態:正常
杏子 状態:正常
ゆま 状態:正常

敵:ワルプルギスの夜


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-40) :敵をバリアに閉じ込める。…頑張れば足止めできなくもない?
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/02(水) 23:33:07.43 ID:1KPbjbsQO
3
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/02(水) 23:35:26.84 ID:An3v6YrY0
3かな?
880 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/03(木) 00:20:48.02 ID:xAJ9iG4t0


 次々と、追いついた仲間から攻撃を仕掛けていく。

 その間にも魔女は衝撃を受けるままにあたしたちから離れ、またふわふわとどこかへ漂いだす。

 さっきからまるで、あたしたちの攻撃なんか気にするほどでもないみたいに。……あたしたちのこと、見えてるのかしら?

 これは、追いつくだけでも大変そう。


小巻「強いくせに厄介に逃げ回ってんじゃないわよッ!」


 あたしもビルの屋上の端からヤツの姿を捉えて足を止めた。

 これ以上距離を引き離されないうちに全力で斧を振りかぶって、投げつける。


 また追いかけなきゃ。


 魔女は今も街のあちこちに火を吹いて燃やしている。

 かと思えば、凄まじい突風で倒壊させたビルを根こそぎ持ち上げ、さらに瓦礫を増やしている。


 出来る限り守るつもりだった。でも、これだけの攻撃から街並みまで守り切ることはさすがにできない。

 被害を抑えるにはさっさと倒すしかないんだ。あたしは改めて覚悟を決めた。


小巻「こっちを見ろ! アンタの相手はあたしたちだ!!」


 無関係なものばかり破壊して。悔しさのままに叫ぶ。

 すると――――きっと、その言葉が通じたわけじゃない。



 こっちに向かって思わず顔を覆いたくなる風が吹きつけて、そして。

 いまさっき地面からもがれたばかりのビルだったもの、コンクリートの塊が迫ってきていた。

881 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/03(木) 00:25:49.12 ID:xAJ9iG4t0
---------------------
今回更新はここまで
次回は5日(土)18時くらいからの予定
882 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/05(土) 22:03:26.31 ID:2NzE8kp+0


 あたしたちにぶつからないうちに、すかさず強力なバリアを張る。それから周りを見やった。

 杏子やゆまなど、もう先に行った仲間もいる。でもまだあたしと同じくここにいる仲間はいた。


小巻(これだけじゃ防げない! 逃げなきゃ潰れる!)


 あたしが勢いを最大限に殺し、さらに……これはキリカの魔法だ。周囲を遅くする魔法。おかげで余裕ができた。

 あたしたちの魔法を行使して全員なんとか逃げ切ることができた。

 しかし、『守りきることを諦めた部分』――さっきまでいた『足場』の惨状を見ればゾッとする。塊が衝突したビル本体は、屋上から大きく抉れ半ばから醜く折れ曲がっていた。

 もしも防げなければ、逃げられなければ、あの中にいた。


 ふと、一人みんなと離れた場所にいる暁美と目が合った。


小巻「……」


 それからすぐ、あたしたちが無事だとわかったからか、再び目を逸らして魔女を追いに走り去ってしまった。

 助けてくれるつもりはあったんだろうか? 離れている上考えが読めなくてどうにも連携が取りづらい。


小糸「みんな、怪我はない!?」

キリカ「へーきへーき、私は先にちがうとこ移ってたし。あのビルはあの有様だけど……」

小糸「あのビルからは逃げることはできたけど、みんな無傷じゃないでしょ。この暴風に混じって飛んできたもののせいで少なからず怪我してる。一旦体勢を建て直さないと」

小巻「そうね。この戦い……長引けば長引くほど不利になるわ」


 随分と遠くにいってしまった魔女を睨みつける。長く戦えばきっと、防御や回復のほうが重要になるんだろう。

 ワルプルギスの攻撃は生半可なものじゃないのはわかったし、なにより環境まで味方しすぎてる。

 できるだけ早くに決着に持ち込みたい。けど、そのための魔力がなくなったらそれこそ終わる。


 ここは回復の得意な小糸に甘えることにした。体勢を整えてから再び戦うことにした。



小巻 魔力[80/100]  状態:正常
GS:2個
・[90/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:正常
マミ 状態:正常
キリカ 状態:正常
ほむら 状態:正常
杏子 状態:正常
ゆま 状態:正常

敵:ワルプルギスの夜


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-40) :敵をバリアに閉じ込める。…頑張れば足止めできなくもない?
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
6仲間にテレパシー【安価内容】

 下2レス
883 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/05(土) 22:17:03.04 ID:8FOu+dwK0
5+6
自分がバリアで閉じ込めてみるけど魔力消費が大きい、一度試すから有効だったらGS少し余裕がある人は都合してと頼む。
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 22:33:43.13 ID:4Ge03jXAO

GSがないのがつらいな
885 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/05(土) 23:44:59.36 ID:2NzE8kp+0


杏子(引き剥がされないように追ってはいるけど、それが精一杯だ。ぜんっぜん攻撃を浴びせてやれてねぇ)


 ――――小巻よりも先を行っていた仲間たちはまだ地道に攻撃を続けていた。

 とはいえちょっとやそっとでは動きを止めさせることすらできない。一度足を止めて技を繰り出せばむしろこちらの隙を生む。

 足を止めずに攻撃できるマミの銃撃も効果が出ているとは思いづらかった。


 走り続けているだけでも体力は消耗してしまう。


マミ「闇雲に攻撃を続けていても持たないわ。私もそれほど余裕があるわけじゃない…… 大きい攻撃を確実に当てていきましょう」

マミ「相手は宙にいる。浮いているということはどこにも支えがないということよ。その衝撃は間違いなく受けているのだから」


 マミは上空に大砲を作ると、魔女の脚部にあたる部位――上を向いた歯車目掛けて魔力を放つ。

 ワルプルギスを空から地面へと墜とす攻撃だ。この判断は、その巨体の叩きつけられる先にあった街並みがすでに魔女によって荒れ果てさせられていたからできた判断でもあった。


マミ「攻撃の隙を生むことくらいは出来たはずよ」


 そう言って、杏子に目配せをした。


杏子「そうだな。じゃあいくぞっ!」

ゆま「うん!」


 杏子は多節に分けて伸ばしていた槍の柄をもとに戻すと、飛び上がって勢いをつけ、狙った一点目掛けて魔力をほとばしらせた刃を打ち込んだ。

 続いて、別の角度からはゆまも追撃をし掛ける。


 ゆまの武器はハンマー――打撃でありながら、離れた場所にもその威力を及ばせることができる。

 だが、その威力を十分に活かすなら相手に直接打ち込むのが一番だ。


ほむら「……」


 その後に響いた爆発のような音。魔女を追っている時も他とペースを合わせることはなかったが、暁美ほむらは神出鬼没にどこからか現れて目にも止まらぬ攻撃をしていた。

 戦ったことのあるマミにはその絡繰はわかっていた。時間を止めて爆弾か兵器でも撃ち込んだのだろう。

886 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 00:29:33.72 ID:Ga/W2aP30


 全員が全員、非の打ち所のないほどの必殺技を放ったはずだった。

 しかし、魔女はただのひとかけすら傷ついてはいない。動きは止められても、ダメージを負うほどの有効打にはなっていなかったのだ。

 であれば、このままやられ続けているわけもなかった。


マミ「せめてもうちょっとくらい……足止めできていればいいのだけど」


 そもそも、まだ全員が追いつけていない。


小巻「そうね」



 あたしも、やっと追いつけた。マミたちが足止めしてくれてたからだ。

 このチャンスを逃すわけにはいかない。



小巻「あたしがやる! 何をするつもりか知らないけどまだ大人しくしててもらうわ!」


 ワルプルギスの周囲にバリアを張る。さすがにこの質量を覆い尽くすのは、今までのどの魔女とも比べ物にならない。

 それよりも恐ろしいのは、奴が大きいだけじゃなくどの魔女よりも絶大な威力を持った災害を生み出すところだ。


 魔女の口から吹き付けられた炎は誰にも届かず遮られた。にも関わらず魔女は笑ってる。

 次の瞬間には多方面に放射された闇色のエネルギーがバリアに罅を作っていて、そこから無数に生み出された使い魔たちの攻撃で自然と砕け散らされようとしていた。


 でも、そんなのはいい。こっちから攻撃するにはどうせ壊さなくちゃいけないんだから。


小巻「悪いけど誰か使い魔相手してっ! あたしはコイツに一発入れてやらないと気が済まないから!」


 バリアが破られると同時に、斧を両手で構えて突進する。

 使い魔はマミが対処してくれているようだ。それと暁美も。飛び出して出てきたそばから見事に迎撃してくれている。

 これだけ戦力が集まっていれば、本当にやれそうだ。


 一発、重い一撃を叩き込んだ後にもう一度斧を振るおうとして、また不気味な笑い声を聞いた。何か仕掛けてくるつもりなのか。


キリカ「今ここで逃しちゃいけない! なんとかしてみんなで隙を作るんだ!」

マミ「ええ!」
887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 00:32:50.17 ID:+YraBRzCO
一応足止めにはなったのか?
888 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 00:36:13.44 ID:Ga/W2aP30
--------------------------
今回更新はここまで。
次回は6日(日)18時くらいからの予定
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 00:41:23.22 ID:+YraBRzCO
890 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 19:09:30.52 ID:Ga/W2aP30


 そう言ったキリカを筆頭に、あたし以外にも足止めや防御に使える手段は持っている人はいくらかいた。

 上空を無軌道に移動するワルプルギスを追っていた時には発揮できなかったキリカの魔法も、すでに追いついて地面に磔にした今なら使える。


 そして、感じたのは風圧。あの捥ぎ取られたビルが迫ってきた時に似た、それよりも“直接的”に肌に感じる暴力的なまでの気流の動き。

 それがワルプルギスの夜から湧き起ころうとしている。


小巻(コイツ、あたしたちを吹き飛ばして無理にでも距離を取る気……!)


 一点だけを狙ってくる炎とは違う。わかっている『だけ』じゃ対処はできない。


小巻(いや、さっきまでの態度見てればそれは思い上がりか。コイツもやりたいようにしてるだけ)


 しかしその動作に災害級の威力が伴う。

 強力な浮力を纏って再び宙へ浮かび上がろうとする魔女を、今度は細かく編み込むように張られたリボンが障壁となって押さえ込んだ。


 こっちも極めて強引な方法で、魔女から生み出される浮力を無に留めた。

 それならやることはひとつ。今のうちにまた地面に押しつける。今度こそ迷いなく全力で斧を振るった。


 ……あたしじゃ今回はこうはできなかった。攻撃の後、一旦グリーフシードを取り出して魔力を補充する。

 この規模のバリアとなると、一人じゃ連続して張るには消耗が激しすぎるから。


杏子「そうだ、お前はまだ寝てろっ!」


 みんなの猛攻はまだ続いた。文字通り袋叩きってやつだ。ただし、魔女のほうもこれで起き上がることを諦めたってわけじゃなかった。


 鎖状に連ねて作られた赤い障壁が風を防ぐ。

 杏子が生み出したものだった。


ゆま「えいっ!」


 それからゆまが武器を振りかぶって叩きつける。

 上から下へ、再び地面まで押し付ける衝撃波が響く。


 この一方的な状態を実現できたのは、絶対に逃さないというみんなの執念の結果といってもよかった。

 しかし――いくらみんなの力を集めたとしても、どうしようもできない『切れ目』はきてしまう。

891 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 20:44:01.89 ID:Ga/W2aP30


 風や炎からの防御、沸いてくる使い魔の対処、そして攻撃。こんだけ全力で動くんだから、合間に肉体の疲労も治さなきゃやってられない。

 一人じゃ出来ないけど、みんなで力を出し合って出来た。

 そして、その全てに必要なのは魔力。



 ――――その底が見え始めたときに、自然と執念も崩れ始めた。



マミ「!」

キリカ「わぁっ」

小巻「っ……!」


 ワルプルギスの夜を逃した。あれだけ続けていた猛攻でも、相手はまだ傷一つついてない。あたしたちの魔力がなくなるほうが早かった。


 瞬間、滲むのは後悔。結局グリーフシードが必要だった。

 いや、そんなこと今は考えてる場合じゃない。身体が浮く感覚に、咄嗟に自分を包むだけのバリアを張る。


小巻(痛……くはないけど、かなり離された)


 後ろは瓦礫。バリアのおかげで叩きつけられた衝撃はない。

 見上げると、ワルプルギスは再び宙にいた。


 最初は不気味に笑いながら、あたしたちの攻撃なんてじゃれてるくらいあしらってたワルプルギスの夜も、

 これだけ長いこと意に反して押さえつけられれば当然――怒っていたんだろう。あたしにはそう見えた。


小巻「小糸…… みんなはっ!」


 周囲を見回す。あの時、バリアを張れたのは自分一人だった。

 他を守ることはできなかった。そんな思いを感じ取ったのか、返ってきたのは誰かの悪態だった。


杏子「別にアンタに守ってもらわなくても、自分でなんとかするっての」


 生意気な声だ。目を向ければ、やっぱり杏子がいた。

892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/06(日) 20:54:43.48 ID:Z0JO8u1I0
うーん、やっぱりキツいみたいですね・・・
893 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 21:44:53.37 ID:Ga/W2aP30


小巻「まあ、そうね。みんなあたしが思ってたより強かった。杏子もゆまもキリカも、魔法であそこまでできるって知らなかったし」

杏子「つーか、アンタ……」

小巻「何よ?」

杏子「別に? 名前のほうがあたしもしっくりくるし、いいんじゃない?」


 最初は絶対気に入らないタイプの人だって思ってたけど、

 コイツのことよく知ってみたら、いつまでも線引きして他人行儀に呼ぶのもバカバカしくなってた。

 そんな理由をひっくるめて、“なんとなく”呼び方を変えたってとこだった。


小巻「これでも、認めた相手しか名前で呼ばないのよ」

小糸「お姉ちゃんよく言えた! 言わなかったら私から解説しようと思ってたもん」


 後ろのほうから小糸の声が聞こえてきた。

 ひとまず小糸も無事らしい。そう思うと安堵した。


小巻「何様よ、アンタは」


 そんなやりとりを見て、杏子は一瞬、穏やかな笑みを浮かべる。

 しかし、のんきにしている場合でもなかった。敵はまだ宙にいる。それにまだみんな見つかってない。


杏子「それより、おい! あれ」

小糸「え?」

小巻「暁美……?」


 ……まるで瓦礫の一部。埋もれてたから気づかなかった。

 思えば、こいつの魔法って正確にはなんだったんだろう? こいつこそ誰に守られなくとも自分でなんとかしそうなもんなのに。

894 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 22:15:53.80 ID:cs+Kr2j3O
砂が落ちきったのか?
895 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 23:33:51.88 ID:Ga/W2aP30

小巻「……冗談じゃないわよ。笑い話にもならないのよ」

小糸「今出すよ! それに怪我を……!」


 小糸が駆け寄ろうとする。すると暁美は、すでに死んでるみたいな青白い顔色でそれを止める。


ほむら「私のことはほっといて」

小巻「この期に及んで! そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

ほむら「見て。そんな暇ない」


 それは焦ったような声色だった。再び上を見上げる。いや、周囲の様子からしても異変があった。

 暁美が見たものは――今まで見てきたものとは比べ物にならない速度でワルプルギスの夜が駆け抜けていくところだった。

 一帯に吹く風が強さを増し、離れているにも関わらず、思わず身構えるほどの余波に吹き付けられた。


 ただの余波でこの威力。ワルプルギスが通った後の地上は一瞬で破壊しつくされ、数え切れない数の使い魔が生まれていった。


小巻「嘘でしょ? まだあんな力を!」

杏子「いや、そうじゃねえ」


 今までが手加減しすぎてた。怒らせて、遊ぶことをやめた。『少しだけ』本気を出した。

 そういうことだって、言いたいんだろう。


ほむら「私はもう魔法が使えない。あなたたちだってそんなに残りはないんでしょう?」

小巻「魔法が、使えない?」


 単純に魔力が足りないのか、それ以外に意味があるのか。

896 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/06(日) 23:47:15.24 ID:Ga/W2aP30


 長く語っている時間はない。


小糸「ど、どうするの!?」

杏子「あたしもマミから聞いてる。今にも死にそーなツラしてるけど…… 簡単には死なないんだろ。ほっとくしかない」

小巻「とりあえず、こいつらを片付けないことには安心もできないものね」


 迫ってくる使い魔の群れに向けて武器を構える。

 杏子だってここにいない人のことは気にしてるだろう。いつも一緒にいるゆまがいないんだから。


 けれど今仲間を探してる場合でもない。使い魔を倒すと同時に、上空の魔女の動きまで気にかけないといけない。

 あんな攻撃がもし直撃したら、ソウルジェムのことがあるから死なないまでも、一瞬で戦える状態じゃなくなる。


 いつのまにかあたしたちは、ワルプルギスの夜を追う側でなく、追われる側になっていた。



小巻 魔力[80/100]  状態:正常
GS:1個
・[0/100]
・[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:正常
マミ 状態:-
キリカ 状態:-
ほむら 状態:行動不能
杏子 状態:正常
ゆま 状態:-

敵:ワルプルギスの夜
  ワルプルギスの夜の使い魔 <- 攻撃対象


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める。
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/06(日) 23:53:05.84 ID:Z0JO8u1I0
魔力消費を抑えたいから1。
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 23:55:30.42 ID:cs+Kr2j3O

まどかが契約しそうだな、こりゃ
899 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/07(月) 00:25:30.72 ID:b9yVWL5C0
-------------------------
今回更新はここまで
次回は9日(水)20時くらいからの予定
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/07(月) 00:31:07.96 ID:BIMTqQe90
乙です。

ここからどう巻き返すのか、はたまたBADに近いラストになるのか・・・
901 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/09(水) 21:56:39.74 ID:s2cbsi3n0


 1対多の戦いはあたしのスタイルではどうしてもやりづらい。

 結局のところ、あたしの場合小細工のいらない攻撃が一番強くて他は補助だ。

 そのスタイルは魔女を相手してたさっきまでだったら合ってた。


 これがいつもの魔女との戦いだったら無視して魔女のほうを倒す選択肢もとれた。けど、ワルプルギスが相手じゃそうもいかない。


小巻(どれだけいるの……! こいつら……!)


 使い魔は影が人のような形をしているかのような姿だが、その攻撃手段も多かった。

 素早く飛び込んで打撃をかましてくる個体、遠くから攻撃を飛ばしてくる個体。それが何より厄介だ。

 こっちの遠くへの攻撃手段といえば投げることくらいだけど、そんな隙がないのはわかりきってる。思い切って踏み込みにいけば、守りきれず傷がつくこともあった。


小糸「お姉ちゃん!」


 そんなときは、妹だけは守り切ると決めて。


小糸「……もうっ、無茶するんだから!」

小巻「ありがと、楽になった。でも、ちょっとくらい無茶でもしなきゃ倒せないわよこんなの」


 使い魔を引き裂いた後に、優しい感触が身体を包んだ。

 小糸の魔法だ。思えばこの魔法にはもう何度も救ってもらってる。無茶できたのは小糸がいるからってのもあった。



 多方向から押し寄せてくる使い魔に小糸と二人でなんとか対抗する。

 その一方で、杏子のほうは複数の使い魔に囲まれようと怯まない。



 守り、薙ぎ払い、行動を封じ、貫く。それらを一つの武器で、あたしたちが二人でやっていることを一人でこなした。

 その戦いぶりを見ればやっぱりベテランなのだと、普段偉そうにしてるのも少しは納得できる気になった。

 でもまるで、あたしたちに守られることも拒むかのようにも映った。

902 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/09(水) 23:46:40.25 ID:s2cbsi3n0



 都市の跡地で影が踊る。

 建物は瓦礫となり、塵となり、吹き飛ばされてやがて『無』になっていく。その上では魔女が踊っている。

 あたしたちの街はすっかり魔女たちの舞踏会場にされていた。



小巻(全然減らない……倒すペースと増えるペースがさすがに合ってない)


 それでも戦わなきゃ増える一方だ。だが、いつまで経ってもこいつらに阻まれて魔女にたどり着ける気がしなかった。


小巻(ただでさえ追いつくだけでも一苦労だったのに)


 背の高い建物がなくなったせいで、私達のいる地面とワルプルギスは更に大きく離されている。

 このままじゃジリ貧になる。


 ――――きっとたどり着いたところで勝てない。魔女に本気であれだけ攻撃してもこの余裕を見せているんだ。


 弱音が心の中で漏れそうになった。きっと、疲れてるせいだ。


小巻「こいつらもさ、元は人間だったってわけ?」

小糸「……わかんない。誰かが魔女になったところは見たわけじゃない。でも、無関係じゃ、ない気がする」


 このやけに個性のある使い魔といい、魔女から見て取れる感情といい。


杏子「そんなこと言ってる場合じゃないだろ。たとえそうだったとして同情なんてできるか」

小巻「そりゃ、そんなの決まってるわよ」


 同情するってわけじゃない。

 人が変化した魔女ですらあんだけ話が通じないんだ。


 その時、背後から絞り出すような声が聞こえて、現実に引き戻された。


ほむら「もういい。私のことは置いていっていいから」

ほむら「私じゃなくて避難所を……まどかたちを守ってあげて」

ほむら「あっちにはまどかたちがいるの。これ以上進ませてしまったら、私の知り合いだけじゃない――――大勢の命が失われることになる」

903 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/09(水) 23:56:21.82 ID:s2cbsi3n0
--------------------------
今回の更新はここまで
次回は12日(土)20時くらいからの予定
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 17:25:31.68 ID:nJVV8/LDO
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
905 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/12(土) 21:42:54.69 ID:UomkQyPn0

小巻「なっ、何言って……」


 そう言われてやっと魔女の進行方向にあるもののことに考えた至った。このままじゃどうなるのかということも。

 正直、迫ってくる使い魔だけでも精一杯だった。


小巻「あっち? みんなはあっちにいるのよね!?」


 あっちに避難した市民たちがいる。まどかとさやかがいる。ということは、あたしの家族や友達もいるだろう。

 みんな身を守る手段すら持たなければ、そのほとんどは魔女のことすら知らない。あたしたち【魔法少女】が守るべきもの。


 それだけはなんとしてでも守らなければいけない、と思って居ても立ってもいられなくなる。


小糸「お姉ちゃん!?」


 走り出したあたしに小糸は驚きの声を上げた。杏子は無言でついてきてる。


小巻「行くわよ!」

小糸「えっ、でもっ」

小巻「あたしたちは『魔法少女』だから!」


 初めて今、その名をはっきりと口にできた。

 自分に無理を強いても。たとえ、仲間に無理を強いることになっても。



 使い魔の群れの中を無理矢理に突き進んでいく。出来るだけ早く。傷ついてももう気にしなかった。今だけは。



 そうしてその先にあったのは、絶望感溢れる光景だった。

 魔女の姿はまだこの地上からは遠い。それでもこの身に感じる威圧感はこれまでの何倍もあった。

906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/12(土) 21:49:48.33 ID:K1tZKABK0
うーん、結界も合体技もまど神様の援護どれもない状態だとやっぱりキツいか・・・
907 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/12(土) 23:13:13.59 ID:UomkQyPn0


杏子「ゆま……」


 瓦礫に倒れているゆまの元に杏子がふらりと身を寄せる。


キリカ「ごめん、そうするしかなかったんだよ」

キリカ「私達が傷つくたびに必死に治してくれて、誰よりも魔力を使ってるのに無茶をするから」


 杏子が慌てて手持ちのグリーフシードをゆまのソウルジェムにあてがう。あたしたちのほうはまだ余裕があった。

 三人はあたしたちよりも先に追いついていた。

 遠目で見ても食らったらひとたまりもない攻撃に見えた。それを間近で受けて、やりあって。


 そう考えたらこの状況になるのも納得がいった。


マミ「正直、私はみんなに『逃げて』って言いたい。でも……」


 この場にいる中でゆまだけが意識がなかったが、身体の損傷だけでみれば二人はそれ以上だった。二人だって相当な無茶をしていた。

 たしかに、本来ソウルジェムが壊れない限り死ぬことはないし戦い続けられる。でも、それを知ってるせいで、本当に動けなくなるまで足を止められなかったんだから。


小巻「わかってるわよ。みんなを守る。あたしはそのために来たの。……暁美からも託されてきたし、ね」

マミ「暁美さんは……」


 マミも察しはついたみたいだった。置いてきたこと。

 今アイツがどうしてるかはわからない。気にかけてる余裕もない。そんなことはやるべきことが終わってからでいい。

908 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 00:09:39.33 ID://+wdQQU0



 もうここまでくれば、勝ち目のない戦いだってわかってた。


 三人で歯が立たなかった相手に、もう三人を加えたからって勝ち目が見えるわけでもない。

 それなのに戦いを止めないのは馬鹿みたいだって思われるのかもしれない。


 でもきっと、ここがあたしたちの『運命』なのだと思った。もしそれで、守りたいものが破滅を辿ってしまう運命を少しでも変えられたのなら。


 ――――……なんて、大げさすぎるかしら。


小巻「こっちに気づいたわね魔女! アンタを許すわけにはいかないから!」


 ワルプルギスの夜はあたしたちのことを敵として見てる。視界に入る限りは潰す気だろう。


 武器を手に駆け回り、憎き姿にただ必死で食らいつこうとする。

 回復は最低限に。ここに残っている街並みがなくなったら終わりだ。小細工するほどの余裕だってない。


 焦る気持ちはあった。落ち着いていられるわけがない。

 たとえ自分が助かっても他のみんなが死んでしまったらそのほうが嫌だって、思ってしまったから。



 勝てないと思ってた相手。響かないと思ってた攻撃。



 それでもある時、空は晴れていった。

 分厚い雲に覆われた景色も見慣れてしまっていたが、明けない夜なんてないのだと、そう言わんばかりに。



小巻「ワルプルギスが……!」

小糸「う、うん! 今のは効いてた! それに崩れてった!」

杏子「倒せた、のか……? 倒せたんだ! やった、あたしたちやっと倒したんだよ!」


 ここまで諦めなかったから倒せた。あたしたちの希望が勝った。

 でも今のは、『誰の』攻撃で。


 そんなことを考えたら、そう単純な話ではなかったことを悟った。あたしたちの背後に立っていたのは――――。

909 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 00:43:00.99 ID://+wdQQU0


まどか「……ごめんね。約束は破っちゃった」



 守らなければいけない一人だったはずの、まどかだった。



――――――



 身体が軋んでいる。瓦礫の重さがのしかかる。

 避難所の方角へと向かった仲間の背を眺め、それから周囲に視線を移した。


 依然として使い魔は多い。こちらに目が向くのも時間の問題だ。身動きも取れず、負傷して一人残った私は恰好の標的にされるだろう。


ほむら(……みんなのことは信じたい。でも、私が死んだらもう過去にも戻れなくなる)


 まどかのことをみんなに任せる思いで行かせた。それなのに矛盾する思いだ。

 自分がどれだけもつかということを考えて、いつでも廻せるようにそっと盾に手をかけた。しかし、頭に浮かんだ。


 キュゥべえ――インキュベーターに言い当てられたことだ。

 繰り返したからまどかの素質は増えた。

 魔女になれば世界を滅ぼすほどに力を増し、キュゥべえからもまどかの存在を脅威に思う魔法少女からも狙われやすくなった。


 だから自分がこれからのまどかの人生も守りきり、責任を果たさなくてはいけないと決意していた。


ほむら(これ以上繰り返したらまどかはどうなってしまうの……?)


 この状況はどうだ。自分のことすら手一杯。

 まどかを守るどころじゃなく、ワルプルギスの夜の使い魔に殺されそうになっている。

 そんな自分がどうしようもなく情けなくて、心底憎らしいと思った。


 憎しみ。諦め。後悔。…………無力。

 感情がぐるぐると己の中を駆け巡り手が動かない。使い魔は目の前に迫っているのに。


 そんなとき、使い魔が消えて空の光が差し込んだ。沸き起こったのは期待と、『また』やってしまったのではないかという不安だった。



――――――
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/13(日) 00:45:18.53 ID:QUWUBcL70
まどか、やっぱり契約しちゃったか。
911 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 00:49:35.54 ID://+wdQQU0
-----------------------------------------------------------
今回更新はここまで
ワルプルは相性いい仲間+αが何かないと倒すのはきついですね…
次回13日(日)18時くらいからの予定
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/13(日) 01:15:11.08 ID:QUWUBcL70
乙です。
まどか、まどポみたいにいきなり魔女化しないといいんだけど・・・
913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 04:38:09.92 ID:3oJVuZ2fo
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
914 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 19:06:05.53 ID://+wdQQU0


杏子「お、おい……アンタは契約しちゃダメだろ!? いくらあたしたちが手こずってたにしたって――」

小糸「待って。話を聞いてあげて」

小巻「……小糸?」


 あれだけまどかが契約すればどうなるかって聞かされて、みんな焦ってる中で小糸は落ち着いてた。

 まるで予測してたみたいに。


 まどかが小さくうなずいて話はじめる。


まどか「わたしね、自分にも出来ることがあるんじゃないかって考えてみたんだ。魔法少女のことを聞いて、わたし自身のことも聞いて」

まどか「魔法少女は魔女になる。でも、それは絶対じゃないでしょ?」

まどか「みんながまだこうして生きて、普通の人と変わらずに笑ったり怒ったりして……そして、わたしたちのために戦ってくれてたみたいに」


 口を挟みたくなる気持ちを今だけは抑えて耳を傾けた。

 魔法少女が魔女になるのは『絶対』じゃない。暁美の家に集まって話した時、そう言ったのは確かにあたしだった。


まどか「やっぱりみんなを見捨てられないの。わたしが助かっても、そのせいでみんなが死ぬのは絶対にいや」

まどか「本当は、わたしの知ってる人だけじゃなくて、キュゥべえと契約した魔法少女全員。今いる魔法少女も、過去に契約した人も、これから契約する人も」

まどか「全員を助けてあげたい。希望を願った魔法少女が裏切られることが運命なんて、そんなことあっちゃいけないことでしょ?」


 まどかは真剣な表情であたしたちに問いかける。

 あたしもそう思っていた。


まどか「……でも、わたしにはそこまでの素質はないんだって。昨日のうちにキュゥべえと話したの」

まどか「決まりきったことを変えたいと願うことは傲慢なことだって、キュゥべえが言ってた」

まどか「だから、本当にごめん。こんなことしかできなくて」

915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 19:49:45.29 ID:FJpN7IBg0
この話のまどかはアニメ本編ほど素質がないのか
916 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 20:16:28.41 ID://+wdQQU0


 その時、地面を踏みしめて誰かが走ってくる音が聞こえた。

 暁美だ。ずっと全力で走ってきていたからか息を切らしていたが、まどかの姿を見ると大きく息を呑んで、呼吸するのも忘れたかのように崩れ落ちた。


まどか「わたしの願いは、『魔女になっても誰も傷つけないこと』『“わたし”のままでみんなと話せること』」

まどか「みんなが教えてくれたからこうやって願えたんだよ」


 見てみれば、あの攻撃で限界だったのだろうか。胸元の宝石はすでに黒に染まりきっていた。

 表面には罅が刻み込まれ、次第にその数は増えていく。それでもまどかは穏やかに話し続ける。


まどか「約束をしてくれる? ほむらちゃん。“次”に行って……もう一度、ううん。ほむらちゃんが本当に納得できる結末になるまではやりなおして」

まどか「とても残酷な頼み事だと思う。重たすぎる枷で縛ることになると思う」

ほむら「何を言って…… 今の自分はどうでもいいっていうの?」

まどか「わたしの思いは次につなぐ。わたしが願ったことは、いつかのわたしがきっと叶える。……繰り返したら、わたしの素質は増えるんだよね?」


 暁美は図星を突かれたという顔をした。それもキュゥべえと話す中で確認をしたんだろう。


まどか「人間が願うことが傲慢なら、神様にでもなんでもなる。いつか……そのときは…………」


 罅から中のものが溢れ出して、砕け散った。

 溢れ出したものが黒い形を描いていく。世界を滅ぼせる力を持った魔女。

 ワルプルギスよりも更に凶悪な巨体なのに、不思議とあの時感じた威圧感のようなものは感じなかった。


 ――――『ほむらちゃんのこともみんなのことも助けてあげるから。だから絶望しないで。これから先わたしがどうなっても、ほむらちゃんのせいじゃない』


 傍には意識のない身体が転がっていた。


ほむら「うあぁぁぁぁぁぁぁあああ!」


 絶叫するような泣き声が響き渡る。


小巻「何をするか、知ってたの?」

小糸「……うん。昨日一緒に話した時に。最終手段だってことだったけど」


 まどかがこうなったことについて、何かを言う気にはなれなかった。

 あたしだってワルプルギスと戦ってる時、自分よりも他の人が助かるならいいって思ってた。


 同じことを考えていたから。

917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/13(日) 20:29:53.56 ID:QUWUBcL70
まどか、結局魔女化か・・・

>>「人間が願うことが傲慢なら、神様にでもなんでもなる。いつか……そのときは…………」

この考えがそもそも傲慢なんだけどね。
なぎさ編で神様自身が後悔してたからなぁ・・・
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 20:43:22.97 ID:jHFOIH/EO
これ小巻がまどかと腹割って話してたら安価次第で避けられたんじゃね?
安価あったかどうかはわからんけど
919 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 20:53:00.25 ID://+wdQQU0



 ワルプルギスの夜を倒してから数日が経った。



 あまりに街が破壊されすぎてどこにも戻れない人が多い。道がないし、家もない。

 幸いあたしは親戚の家のほうに行くことが決まったけど、今はまだ避難所にいた。


 ほむらは“まどか”のところに入り浸っているらしい。

 他の人には邪魔できない雰囲気があって、あたしたちはあまり寄ることはなかった。久しぶりに顔を出すと、やっぱりほむらがいた。


ほむら「…………決心がつかなかったの」

ほむら「魔女にはなったけど“まどか”はまだ生きてる。意思を通わせられる。今まで誰にも話せなかったようなことすら話せる」

ほむら「そんな相手が出来たのは契約してからはじめてよ。しかも、その相手がよりによってまどかになるなんて」


 ほむらの顔色は元にも増して白く、隈が目立ち、まるで幽鬼のようだった。

 でもどこか憑き物が落ちたみたいに、さっぱりしたようにも見えていた。


ほむら「でもいつまでもこうしてちゃいけないわよね。まどかだってあんな姿になりたかったわけじゃない。もっと幸せな未来がある……」


 そう言うと、ほむらは少しの間考え込んだ。


小巻「まどかの言ってた、神様になってみんなを救うのが幸せな未来?」

ほむら「いいえ、私はそうは思わない。……思いたくない。私はそんな未来にさせないためにこれからも挑み続けることにする」


 ほむらはほむらで決心を固めたらしい。まどかの意思とは相反することになるけれど。

 ……あたしのほうは、やっぱりどちらとも言えずにいた。

 まどかのことを思うなら契約もせず人のまま幸せになったほうがいいんだろう。ほむらの気持ちもわかる。


 でもあたしは……――――。



――――――
――――――
920 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 21:34:24.38 ID://+wdQQU0
――――――



 これは、いつ、どこのことかわからない。

 自分が何をしていて、何をしてきてここにいるのか。時系列が曖昧だった。



 ただ、たくさん同じような日々を過ごして、とても長い“時間”が経った後のような気がした。


 あたしは見知ったマンションの一室――――マミの家にいた。

 テーブルの上にはケーキがあって、紅茶がある。小糸やマミ、キリカ、杏子、ゆま、さやか、まどかもいて、みんなでお茶会をしていた。



小巻「ま、いいんじゃないの」


 紅茶を一口飲んで、カップを置いた。


キリカ「え? 意外。小巻のことだから、またいつもの調子で『馬鹿じゃない!?』って言うかと思ってた」

小巻「魔女のことはどうにかしなきゃいけないと思ってた。その責任をすべてまどかに取らせるのは違うけど、まどかが『やる』って決めたことならとやかく言うつもりはないわ」

小糸「私はわかってたよ。だから話を聞いた時も黙って受け入れることにしたんだ」

キリカ「それもそうか。小巻自身そういう人だもんね。全然似てるとこないと思ってたけど、『出来ること』を探してあんなことになったくらいだし」

マミ「でもきっと、想像よりもずっと重いものを背負うことになるわよ。救ってもらう立場で言えたことじゃないけど……それは大丈夫?」

まどか「はい。覚悟はしてます」


 まどかはきっぱりと答える。前に見た時の自信がなさそうな姿とは違った。

921 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 21:57:00.82 ID://+wdQQU0



杏子「ずっと前から決めてたんだもんな」

さやか「まどかってこう見えて芯あるからねぇー。……あたしなんかよりも」

小巻「でもさ、あたしはアンタにやりたいことやればいいって言ったことあるじゃない。その時は結局魔女のことがあるから否定せざるを得なかったんだけど」

小巻「これまでは全部を自分で背負うことはできなかったから最後の最後まで後悔した。これからは変わるんじゃない?」

さやか「そうですね! すごいぞ、まどか」


 まどかが笑う。


ゆま「こっちのケーキも食べていい?」

杏子「好きに食べな。全部うまいぞ」

マミ「もう、佐倉さんったら。まあでも、随分やりたいことも言えるようになったわよね。いいことだわ。好きに食べていいのよ」


 みんな笑っていた。

 でも一人、まどかの近くにいたはずなのに姿がない人がいる。


 部屋の外を見てみると、その人は離れた場所で俯いてた。

922 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 22:00:39.48 ID://+wdQQU0


小巻「……アンタの希望通りにはならなかったのね」

ほむら「私が力不足だったのよ。何回繰り返しても『私が』本当に納得のいく結末にはならなかった」

小巻「あー、まあそうなんでしょうけど」


 何と言ったものか、少し悩む。

 慰めるっていうのもなんか違う。


小巻「まどかの意思も少しくらい認めてやれば?」


 結果、反発されるかもしれないけど思ったことが口から出た。やっぱりあたしには言葉を繕うことはできない。

 というかもう、何を思ったって認めるしか道はないんだ。願いは叶っちゃったんだから。


 それでもなぜか、ほむらが諦めているようには見えなかった。

923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/13(日) 22:05:49.85 ID:QUWUBcL70
これは・・・原作ラスト辺りなのか、叛逆の場面なのかどっちだろ?
924 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 22:20:36.02 ID://+wdQQU0


 この場所ももう夢のように消えていく。

 消えた後にどうなるのかわからないけど、予測はついた。


 みんないたはずの場所に戻るだけだ。

 まどか一人をここに残して。


 ここにいたことも忘れてしまう。戻った場所はすべてが同じではない。



 少し名残惜しく思いながら、あたしたちはこの場所を後にした。




―ENDA―
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/13(日) 22:23:45.50 ID:QUWUBcL70
うーん・・・BADに近いノーマルENNDかな、これは?
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 22:30:59.85 ID:ZN8Hyt+cO
なんかアニメの結末に巻き込まれた感じで終わったな
927 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 22:56:19.70 ID://+wdQQU0
-----------------------------------------------
小巻の考え方的にまどかの願いには肯定的なのと、ほぼ勝つことができない状況なのでこんな感じになってますかね
他の話でやってるみたいにやり過ごすのもなまじ前半戦で善戦してて怒らせてるからできず
他に分岐があるとすれば、魔女化をみんなに話さない展開だとまどかは契約しなかったっていうのはあります
その結果どうなるかは詳細決めてませんが…

ちなみに>>841みたいに願いを変えようとしても、まどかの性格上かずみのようにはならないですね
まどかは自分が神様になってでも助けたいものは全て助ける
かずみは自分は神様じゃないから大事な人でも死んだ命は蘇らせない って感じです
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 23:05:57.71 ID:ZN8Hyt+cO
つまりどうにもならないってことかー
織莉子は倒さず仲間にするとかしたら何とかなるか?
頭がガタガタになってなきゃ有能だからな、織莉子
929 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/02/13(日) 23:08:30.65 ID://+wdQQU0
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今回更新はここまで
ちょっとこれから忙しくなりそうなのでお休みいただいて、次回は5月くらいを目安にします

前スレもちょっと残してるので、次回まずはそっちのおまけの続きを書くかなぁ
900付近でちょい残ししたスレを量産するのはよろしくないね
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/13(日) 23:15:40.73 ID:QUWUBcL70
乙でした。

今回の結末から見るとどうすればいいのかちょっと難しいですね。
せめてまどかを原作の願いを翻意させる理由が見つかれば良いんだけど・・・

スレ主さんもお忙しいみたいですのでお仕事(?)頑張って下さいね。
5月ということはGWに再開ですかね?再開を楽しみにしてます。
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/13(日) 23:24:36.29 ID:ZN8Hyt+cO

次は5月か、間空くけど待ってますよ
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/15(火) 00:06:01.28 ID:7L0HGD+lo
SS速報避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/15(水) 21:11:50.28 ID:3tczg7aM0
来ないなぁ・・・・・・スレ主さん、せめて生存報告をお願いします。
934 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2022/06/26(日) 20:49:58.23 ID:SiQ90L/v0
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5月目安とか言いながらもうすぐ7月になるということで月日の経過の早さにビビっています…
モチベーションは死にかけてましたが実は生きてます(?)
前スレのほうのおまけに加筆してるのでそちらよければ見てってくださいー
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/06/27(月) 22:19:26.68 ID:U1dkoyNk0
スレ主さん、お久しぶりです。
続きは楽しみですがモチベーヨンの低下はどうしようもありませんので、負担にならないペースで頑張って下さい。
それではこれからおまけの方を読んできます^^
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/07/02(土) 13:50:11.14 ID:dKVr5q2kO
こっちの続きも待ってるよー
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