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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」

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178 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 02:14:18.02 ID:AvZcA1Yz0

今回はここまでー

前の選択肢のもう一個の方っす
明らかに前にやってたら違うなーって話の展開もあったりー

そういえばティガが円谷イマジネーションに来たり
丁度タイムリーな展開だったなーとかー

次は金曜にーそんじゃまたー
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 02:53:28.19 ID:W4H7bd470

キャプテンがティガだったけど、どうなってくんだ
次の敵がわからんがゆみが楽しみだ
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 12:39:00.59 ID:/xmXYvO1O
そういや今更ながらベムラーとアーストロンのメダルがあるんだよな
ベリアル融合獣にもいつか変身するのだろうか
181 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 21:46:38.99 ID:wl09N0oz0
よーしやってくー

>>180
ベリアル融合獣に関しては、まぁお楽しみってことで!
182 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:05:35.64 ID:w1o+XgEm0


―――【特異課施設:休憩所】


あれから一日

美穂子は未だに眠っているようで、さらに吉留末春

そして付近で深堀純代、文堂星夏も発見された


京太郎「……」


まだ風越の面々が起きた様子はない

だが……


智美「ワハハ、暇か」

桃子「あ、京さんじゃないっすか」

佳織「今日はお仕事ないんだねぇ」


やってきたのは蒲原智美を筆頭に桃子と佳織

ティガが蘇ったあの日の夜、智美が起きたのだがやはり記憶は曖昧なようだった

津山睦月を見た、とのことは聞いていたのだが……


京太郎「ふむ……」

智美「むっきー、見つかりそーか?」

京太郎「全然」ハァ


息をつく京太郎、その視線の先にはテレビ

映っているのはベリアルこと自分と、ウルトラマンティガだった
183 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:21:48.55 ID:jRxxruUV0


京太郎「……」

智美「おーウルトラマン、私の恩人だなーワハハ」

佳織「私も、なんだよね……」

桃子「私はそうじゃないらしいっすけど」


確かに佳織と智美を止めたのはベリアルだ

だが、それも京太郎にとってはやらなくてはならないことだった

人々を守る。それが今の京太郎のやるべきことだ


ベリアル『どぉーせ使命だとか、なんとか思ってんだろ?』

京太郎『うおっ!? なんでわかるんっすか!』

ベリアル『やめとけ、そういうタマじゃねぇよ』

京太郎『……え、どういうことっすか?』

ベリアル『さてな』


それだけ言うとベリアルは返事をしなくなった

小首をかしげる京太郎


佳織「京太郎くん、そういえば瑞原さんは?」

京太郎「ああ、今日も鶴賀だと思うんですけど……」

ピピピピ

京太郎「あれ、通信」


そう言うと、携帯端末を取り出した


京太郎「はいどうも」

裕子『京太郎くん、ちょっと第三医務室までお願いしていい?』

京太郎「っ! はい……」

桃子「仕事っすか?」

京太郎「おう、行ってくる!」

桃子「行ってらっしゃいっす」ニコッ タユン

京太郎(おもち!)

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/10(金) 22:29:59.55 ID:rqcbBLDg0
きてたのか
ちゃっかりモモたちと距離感近くなってるな
185 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:40:50.77 ID:jRxxruUV0


休憩所から離れて、京太郎は佐藤裕子に指定された部屋へとやってくる

インターホンを押すと、ドアが開いて裕子が顔を出す


京太郎「え、ど、どうも?」

裕子「……ん、どうぞ」

京太郎「どうも」


軽く会釈をして中に入ると、そこにはベッドに座っている少女

そうは言っても京太郎よりも年上なのだが……福路美穂子は相変わらず右目を閉じたまま、京太郎を見た

少しも驚いた表情を見せないのは裕子からある程度聞いていたのか……


京太郎「えっと……おはようございます?」

美穂子「えっと、おはよう?」


二人でぎこちなく挨拶をして、笑う

入院服のようなものを着ている美穂子

だが! その胸は豊満であった!


京太郎(いかん、俺としたことが……)ブンブンブン

裕子「あ〜」ジト

京太郎「な、なんっすか」

裕子「さてね、まぁそのぐらいの方が健全か」

京太郎「ちょ!」カァッ

美穂子「?」
186 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:54:08.82 ID:jRxxruUV0

座っている美穂子の正面に、椅子を出して座る京太郎

裕子はと言うと、頷いて外に出てしまった

知り合い同士でと、気を使ってくれたのだろう


京太郎「……その、福路美穂子さん」

美穂子「あ、その……気絶した私を背負って連れてきてくれたんだよ、ね?」


話を明らかに切ったのだが、理由は予想がつく

美穂子は、ベリアルが京太郎だと気づいていないのだろう


京太郎「……」

美穂子「うっ……む、無理?」

京太郎「はい、俺はわかってますから……」


その言葉に、美穂子がため息をつきつつ頷く


美穂子「光を掴んだの……それで、戦わなくちゃって、あの……べ、ベリアル、さんと」

京太郎「そっか、ティガとして、ウルトラマンとして、か……」

美穂子「……」

京太郎「その……」スッ


服の内側から取り出したのは“スパークレンス”

ベリアル曰く、ティガに変身するためのアイテム
187 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:12:48.57 ID:dZGeKDBJ0

美穂子「あ、これ……」


すぐに理解したのか京太郎の手から受け取って両手でそっと持つ

使い方も心得ているのは文字通り“光を受け継いだ”からか……


京太郎(俺ともまた違うか……)


ベリアルと自分のように同居しているような感じでもない


京太郎「美穂子さんが、その……これを手にすると、また戦うことになります」

美穂子「……」


じっと、美穂子の眼を見つめた

京太郎と美穂子、二人の赤い目が交差する


京太郎「義務感で戦うもんじゃないですよ」

ベリアル『良く言う』

京太郎『え?』

ベリアル『……ていうか、それじゃお前がオレだってバレちまうんじゃねぇか?』

京太郎『う、そこはなんとか……』


目の前の美穂子が、フッと息をついて笑みを浮かべた


美穂子「ううん、戦うわ……私はね、光を継いだ。きっと守るために」

京太郎「……」

美穂子「私自身も守りたいと思う、人が好きだし……なによりも、華菜と久のために」ニコッ

ベリアル『こいつ本心から言ってやがる』

京太郎『えー嫌そうに言いますね』

ベリアル『嫌だからな』

京太郎「……美穂子さん」
188 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:24:05.66 ID:dZGeKDBJ0

美穂子「どうしたの?」

京太郎「お願いします」


そう言って笑うと、美穂子も笑顔を浮かべて頷いた

その後は簡単な話だ

彼女の正体は言わないだとか

自分と同じ立場の方が戦いやすいと、トシには口利きしておくだとかだ


京太郎(まぁ、一緒に麻雀で戦うことはできないだろうけどなぁ)

美穂子「えっと、それじゃあ熊倉さんに話を?」

京太郎「はい、あの人ならなんとかしてくれると……思い、ます」コクリ

美穂子「京太郎くんがそこまで信用してるなら、大丈夫ね」クスッ


笑う美穂子に、京太郎も笑って返す

だがしかし、トシを信用しているのは確かだが謎が多いのも確か

彼女は一体何者なのだろうとも思う


京太郎『しばらく顔出してないけど、あの人……美穂子さんのこと知ってると思います?』

ベリアル『たぶんな、あの感じ……普通じゃねぇだろ』

京太郎『ベリアルさんが言うなら間違いないんでしょうけど』


頭の中でベリアルと会話をしていると、扉が開いた

美穂子は慌てながら入院服の中にスパークレンスを隠す


京太郎(おー……正直、その、いい……)

裕子「さ、福路さん、着替え持ってきたから」

京太郎「それじゃ俺はこれで!」

美穂子「あ、うん」コクリ

京太郎「……それじゃ、また」フッ

美穂子「ええ」ニコリ

裕子「ふ〜ん」

京太郎「え、な、なんっすか」

裕子「すーぐ女の子と仲良くなるんだから」

京太郎「えー、別に良いじゃないっすかぁ」

裕子「……別に良いけど」ジト

京太郎「?」
189 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:39:17.15 ID:dZGeKDBJ0


美穂子の部屋から出て、京太郎はすぐに呼び出された作戦室へと向かう

ティガの一件から増えたスタッフたちに軽く会釈しながらトシの待つ部屋へと入った

そこにいたのは、トシの一人


京太郎「来てたんですね」

トシ「まぁね……とりあえず瑞原から連絡もあったし」

京太郎「いつ?」

トシ「さっき」

京太郎「……え、すぐ来たんっすか? ターボババァ?」

ゴッ

トシ「ぶつよ」

京太郎「ぶってるぅ」ヒリヒリ


頭を押さえながら、京太郎がトシの方を見る

ともかく、とドッシリと椅子に座する熊倉トシが端末を叩く

そこに映っているのはウルトラマンティガ


京太郎「……美穂子さんは、戦うって」

トシ「そ、なにより……」

京太郎「あっけからんとしてますね」

トシ「あの子がティガに、光に選ばれた時点でわかってたことさ」

京太郎「……?」

トシ「あの子はシンプルに、人々を愛するタイプだからね。ウルトラマンに向いてる」


その言葉に、京太郎は自分の手を見る

一瞬だけベリアルの手が重なって見えて、その直後黒い手が重なって見えた


京太郎「ッ!」

トシ「悩んで戦って答えを出す。それが人間でありティガ」

京太郎「え?」

トシ「なにはともあれ、京ちゃんとは違うってことさ」

京太郎「なんっすかそれぇ」

トシ「まぁ人それぞれ、あるってことさ」
190 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:56:29.13 ID:dZGeKDBJ0

トシ「とりあえず福路に話は通しておくよ」

京太郎「あの、美穂子さんの正体については」

トシ「わかってるよ。知らないふりする」


そう言って端末を操作して、ティガの画像を小さく

そして鶴賀学園の画像が大きく映し出された

おそらくだがはやりが撮った写真なのだが、そこに映っていたのは


京太郎「……加治木さん?」

トシ「そう、加治木……ただし、こいつ」

京太郎「……メダルを、握ってる?」

トシ「そ、ちなみにこの後、麻雀やったらしい」

京太郎「ッ!」


つまり、そういうことだろう

しかしメダルを入れられた人間がそこまで狡猾に動くのを見たことが無い

そのはずなのだが……


トシ「ちなみにそっから瑞原から連絡がない」

京太郎「一大事じゃないっすか!」

トシ「だから呼んだ。頼んだ……はい、特異課手帳」

京太郎「なんっすかこれ」

トシ「警察手帳みたいなもんさ、見せりゃなんとかなる」

京太郎「えー眉唾」

トシ「いいから行っといで、瑞原があんなことやこんなことになる前に」

京太郎「行ってきます!」ダッ
191 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:58:04.94 ID:dZGeKDBJ0


     第5話【闇の力】

192 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:17:51.30 ID:8f7FJ2Wy0

―――【鶴賀学園:一階】


スーツ姿、サングラスをかけた京太郎が歩く

顔を隠せと言うことでもらったがいかんせん、ガラが悪い気もする

手帳を見せたら当然のように入れたがそれも意味が分からない


京太郎(世の中、知らないことばっかだなぁ……案外宇宙人とかも珍しくなかったり?)


そんなことを思いながら歩く京太郎の隣を歩く女子生徒二人

なんだかコソコソと話をしながら去って行った


京太郎(絶対、恐がられてる)


「今の人こわぁ」

「え、カッコ良くない?」

「まぁどっちかってーと?」


歩いていく京太郎のつけているサングラス

その内側、右方向がピコピコと光る


京太郎(こっちか、はやりさんの反応……)


はやりの端末を示しているらしい、とトシから聞いた

内ポケットのガッツハイパーはいつでも手に取れるようにはしている

だが、実際に出てきたとして“加治木ゆみ”を打てる気がしない


京太郎「……いや、なにかあってからじゃ遅いからな」
193 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:37:28.17 ID:8f7FJ2Wy0


一階の反応がある教室を覗く

だが、そこにはなにもなかった

サングラスの内側の反応は、上を示していた


京太郎「……もっと上? いや、三年の教室があるのは二階、だよな」


ということは、と京太郎は小走りで上階へと向かっていく

すぐに反応を追って行き京太郎は部屋の前へとたどり着いた

明らかに異常な気配を感じる


京太郎「……っ」

ベリアル『上等じゃねぇか、やっちまえ!』

京太郎「はやりさん!」


扉を勢いよく開けて中へと入る

カーテンが引かれた暗い教室

その中に、少女が1人で立っていた


京太郎「加治木、ゆみ……!」


ガッツハイパーを構えるその手に、震えは無い

彼自身も驚くほどだった


京太郎「……人でなしか、俺は」

ゆみ「そうだな。貴様は人でなしだ……ベリアルの器」フフフ

京太郎「ハッ、まさかこんな風に会話できる敵がいるとは」


負けじと笑ってみせるが、内心では気が気でない

銃口はまっすぐゆみの方を向いている


「京ちゃん!」

京太郎「はやりさん!?」
194 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:53:18.51 ID:8f7FJ2Wy0

そこには立てられた十字架にはりつけられているはやり

京太郎がガッツハイパーをそちらに向けた


ゆみ「甘いなベリアルの器!」ガッ

京太郎「っ!」


蹴りでガッツハイパーが弾き飛ばされる

だが、京太郎は体勢を低くして足払いをかけた

跳んで回避したゆみが京太郎と距離を取る


ゆみ「ゼットン星人もこんなものに遅れを取るとは」

京太郎「チィ!」

ベリアル『おい、こいつは一味違うみたいだぞ』

ゆみ「……どうした? ベリアルの器」

京太郎「パンの袋とめるアレみたいに言うんじゃねぇよ」


構える京太郎、次の行動を待ち構えるも―――


ゆみ「それじゃ、これは?」パチンッ


その音共に、カーテンが開かれる

明るい陽射しが教室内に差し込む


ゆみ「さぁ、十分に育ったろう……!」


その向こう、街に現れる影

光りと共に―――巨大なアリジゴクのような怪獣が現れる


京太郎「ッ!」

ベリアル『アリブンタか!』

ゆみ「さぁ、どうする?」

はやり「行って京ちゃん!」

ゆみ「黙れ!」


その瞬間、十字かに電撃が奔る


はやり「がっ、あああっ!!?」

京太郎「はやりさん!」

はやり「っ……アァァッ!」
195 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:03:24.01 ID:8f7FJ2Wy0


京太郎「お、お前ッ!!」

ゆみ「フハハハハ!」


外のアリブンタが徐々に迫ってくる

まだ小さく見えるほどの距離ではあるものの、それは確実だ

十字架からの電撃は収まっている


はやり「っぁ……はぁ、はぁ……」

京太郎「っ」

ゆみ「変身しようとすれば」


だが次の瞬間、アリブンタに銃撃が奔った

驚愕に眼を見開くゆみ

京太郎はその顔に笑みを浮かべる


京太郎「頼んだ、美穂子さん!」

196 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:13:21.08 ID:8f7FJ2Wy0


―――【街中】


トシの運転で、スーツを着た美穂子は街中へとやってきていた

タイミングよく現れたアリブンタ

二人は避難誘導を始めるも……


美穂子「あっちの避難誘導にいきます!」

トシ「……任せた!」


頷いた美穂子がアリブンタを相手にガッツハイパーを撃ちながら走る

アリブンタが美穂子の方に顔を向けた


美穂子「ちゃんと囮はやれてるわね……」


走って裏路地に入る

やることはただ一つ、決めたことだ


美穂子「人々を守る。そのために私は光を……!」


スーツの内側から、スパークレンスを取り出す

強い瞳で、両目を開き……腕を回す


美穂子「……!」


そして、光が溢れる

197 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:21:35.41 ID:8f7FJ2Wy0


―――【鶴賀学園:二階教室】


街中に現れた光の巨人―――ウルトラマンティガ

アリブンタの行く手を遮り、素早く蹴りをみまう

怯み、倒れるアリブンタ


ゆみ「なっ!?」

京太郎「そこだぁっ!」


素早く跳びだした京太郎が、ゆみへと接近して脚を振るう


京太郎「ごめん加治木さんっ!」


ゆみは素早く腕を横に出して凌ぐも、勢いを殺し切れず床を転がる

はやりの拘束を解こうとするが、起き上がったゆみの方が早かった

その瞳がエメラルド色に輝く


ゆみ「ならばァ!」

京太郎「!!」


瞬間、光と共に、校舎が吹き飛ぶ
198 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:34:49.70 ID:8f7FJ2Wy0

校舎を拭き飛ばし、現れるのは巨大な影

金色の鎧のようなものを纏った人型ロボット

右手にナイフ、左手に鋭利なカギ爪


『潰れろベリアル!』


だが次の瞬間、光りと共に現れる白銀の巨人―――ベリアル

体を丸めた状態で現れると、手をそっと下げる

その手から、眠っているはやりが地に降ろされた


『らしくないことを!』

ベリアル『オレもそう思うが、やったのは小僧だ』

京太郎『お前ェ!』


立ち上がると、そのまま敵へと掴みかかる

はやりに被害が及ばぬようそのまま転がって離れると、すぐに距離を取った

もちろん、はやりがいる方を背にだ


ベリアル『エースキラーか』

京太郎『エース殺し、加治木さんにはあってる、のか?』

ベリアル『そういうエースじゃねぇけどな』

京太郎『え?』

ベリアル『だが……あれは中身、いやもっと前提、ヤプールの意思か』

京太郎『誰っすか』

ベリアル『雑魚だ、気にすることじゃねぇよ』

エースキラー『ベリアルゥ!』


両腕を開いて怒りを表すと、エースキラーはベリアルへと走り出す
199 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:42:08.63 ID:8f7FJ2Wy0
ってことで今回はここまでー

次回はようやっと戦い
五話にしちゃ展開早い気もするけどまぁ最近のウルトラマンなら普通普通
とりあえずエースキラー戦

もしかしたら明日かも?
そんじゃまたー
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 02:08:12.82 ID:Y/sluaEd0
乙です
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 06:22:48.20 ID:ioGBX/IL0

エースキラーがエースキラーしてるな
二人のウルトラマンがちゃんと分担できてていい
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 18:13:35.71 ID:vnOIpt/EO
まあどっかの最後の勇者よりはマシかと
なんせアイツはこの辺りで合体魔王獣やラストジャッジメンターと戦ってるからな
203 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 21:32:09.51 ID:aL/RcTEu0
ようし、やってくー
今日までに五話終わるかなー

>>202
魔王獣はジャグジャグの手加減あったんだろけど……ギルバリスはヤベーイ
204 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 21:46:44.89 ID:8cKaUmd20

叫び、吠えたエースキラーがベリアルに向かって走る

振るわれたナイフを左手の爪撃で凌ぎ、右手の爪撃で攻撃

だがその攻撃は右手の鉤爪に止められる


ベリアル「!」

エースキラー『半端な力で復活した貴様が、勝てると思うかァ!』

ベリアル『くっ、テメェだってそうじゃねぇのか?』

エースキラー『侮るな、こちらはメダルの力をこの女の力を使い増幅させ……さらにエースキラーの執念、そして私の執念をも取り込んだ超獣ロボット!』

京太郎『ベリアルさん!? 超獣って!?』

ベリアル『怪獣を超えた怪獣、とかヤプールが勝手に言ってるだけだけどなぁ!』


エースキラーの左腕が振るわれるが、ベリアルはその手首を掴む

さらにナイフが振るわれるがそちらの手首を掴んだ


エースキラー『防戦一方のようだなベリアル!』

ベリアル『チッ! 気合入れろ小僧!』

京太郎『入れてますよさっきからぁっ!』


徐々に、力負けしてベリアルが膝をつく

エースキラーのエメラルド色の眼がジッとベリアルを見下ろす


ベリアル『ヤプールっ、テメェ……メダルに取りついた残留思念風情がっ!』

エースキラー『それは貴様も一緒だろうベリアル! フッハハハハ!』

京太郎『っのぉ!』


頭を振りかぶり、そのままエースキラーの頭部にぶつける

ふらつくエースキラーを相手に、ベリアルは素早く後ろに下がろうとするも、エースキラーは素早くナイフを振るった


ベリアル「グアァッ!」

京太郎『ぐぅっ!』

エースキラー『そらぁっ!』


さらに鉤爪での攻撃で、ベリアルはふらつく
205 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:03:19.71 ID:8cKaUmd20

エースキラーが追撃とばかりに蹴りをみまう

ふらついたベリアルが転がるも、すぐに起き上がり手から光弾を放つ


ベリアル「ハァ!」

エースキラー『効くか! そんな情けない攻撃が!』


その光弾を軽く弾くと、エースキラーが額からビームを放つ

素早く転がり、ベリアルは攻撃を回避しさらに左手から雷を放った


京太郎『こいつで!』

エースキラー『そのような半人前の人間と同化した貴様のなにが最凶か!』


雷が当たるかと思われたその瞬間、右腕が前に出されエースキラーが光線を放つ

その光線が、押し負けてベリアルに直撃


ベリアル「ガァッ!」

京太郎『俺が足を引っ張って……またっ』


歯がゆさに顔をしかめて、京太郎は力を込めた


京太郎『俺は、人々を守るために!』

エースキラー『そんな力でウルトラマンのようなことを言う!』

京太郎『今の俺はウルトラマンだ!』

エースキラー『笑わせる! 貴様はウルトラマンではない! その器でもな!』

京太郎『なっ、言わせておけば!』

ベリアル『小僧! さっさと決めるぞ!』

京太郎『はい!』


起き上がるベリアルが、右腕に雷を纏う
206 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:11:58.57 ID:8cKaUmd20


ベリアル『チッ! こんな奴に!』

京太郎『負けるかァ! デスシウム光線!』


放たれるデスシウム光線だが、エースキラーは両腕をクロスにする

左手を水平に前、右手を垂直に後ろ―――それはベリアルと同じ構え


エースキラー『スペシウム光線!』

京太郎『同じ!!?』

エースキラー『ハァ!』


ぶつかった光線、だがそれは呆気なく結果が決まる

そのままエースキラーの光線がベリアルの方へと迫った


京太郎『ッ!!?』

ベリアル『クソがァ!』

エースキラー『貴様らのようなウルトラマンのなりそこないが、消えろ!』


真っ直ぐと、ベリアルへとぶつかる光線

そのまま吹き飛んだベリアルは校舎を押しつぶして倒れた

はやりは踏んでいないはずだし、避難は済んでいると思いたいところだが……


京太郎(ベリアルさんは悪くない、でもっ! 俺がッ!)


ベリアルの中にいる京太郎は拳を握りしめる

噛みしめた唇から血が流れる感覚がした


京太郎(俺はっ、人々を救う。救わなきゃなんだよ!)

207 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:27:00.94 ID:8cKaUmd20


一方、ティガはアリブンタとの戦いで苦戦していた

ティガである美穂子は知らないだろうが、そのアリブンタもまた“ヤプールの執念の力”で強化されている

スカイタイプとなったティガが素早く連続打撃をするが、効いている様子はない


ティガ「!」

アリブンタ「―――!」


振るわれるアリブンタの腕

ティガが素早く回避するも、そのまま回転したアリブンタの尻尾攻撃を受ける

ひるむティガに、アリブンタは近距離でハサミから炎を撃つ


ティガ「ウアッ!」

アリブンタ「―――!」


炎に包まれるティガだが、素早くパワータイプにチェンジ

その火炎攻撃に耐えながら拳を振るってアリブンタをひるませた


美穂子『このアリさん、強い!』

ティガ「ハアァ!」」

アリブンタ「―――!!」


拳を打ち込まれて、アリブンタが怯んだ

だがそれで少しばかり距離を取ったアリブンタは口から蟻酸を放つ

ティガは両手を前にしてバリアを発生させる


アリブンタ「―――!」

ティガ「―――!」


バリアを解いたティガが、手から光弾を放ってアリブンタを攻撃する
208 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:33:27.76 ID:8cKaUmd20

倒れているベリアルへと近づいたエースキラー

ベリアルの胸のカラータイマーが、点滅を始めていた

圧倒的な劣勢―――


京太郎『それでも、それでも俺はっ! 守らなきゃっ!』

ベリアル『おい小僧!』

京太郎『ベリアルさん、俺はッ!』


立ち上がるベリアル

エースキラーは鉤爪でそんなベリアルの首を掴み上げる

両手でその腕を掴むが、ベリアルの体はそのまま徐々に持ち上げられていく


エースキラー『仲間割れとは、ベリアル、貴様らしい!』

ベリアル『黙りやがれっ!』

京太郎『このっ!』


エースキラーがナイフをベリアルへと向ける
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 22:36:19.96 ID:ioGBX/IL0
京太郎がキャップに注意してたのにめちゃくちゃ義務感だ
強迫観念っぽくもあるな
210 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:50:30.51 ID:af5i3PFv0

ベリアルが倒れている鶴賀学園

その近くのマンションの屋上に、誰かがいた

ローブをまとった真っ黒な人物


「ベリアル様……貴方の力はそんなものじゃない」


そう言うと、ローブに隠れた腕を振るう

それはメダルであり、真っ直ぐに倒れているベリアルへと向かって行った


「だが、その“異物”が余計だ」


足元から消えるローブの人物


「それが早々に消え去ることを期待しています。または、ベリアル様の糧となることを……」
211 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:03:07.54 ID:kpx7DOA+0

ベリアルの中、インナースペースで首を押さえている京太郎


京太郎「ぐっ!」


浮遊感と首を絞められている感覚

呼吸困難になりながらも、突如目の前に現れたそれを見て顔をしかめる


京太郎「こ、れはっ……」

ベリアル『小僧、気合入れろォ!』

京太郎「こ、こいつ、でっ……!」


目の前に現れたメダルを、右手で掴む


ベリアル『なにやってるっ、小僧!』

京太郎「べ、ベリアルさん! メダルがっ……うわっ!」


右手に持ったメダルが、左手に持ったゼットライザーに引き寄せられていく

それに異様な感覚―――“深い闇”を感じる


京太郎「闇がっ……こ、こんなっ!」

ベリアル『なにしてるっ! 小僧ォ!』

京太郎「や、闇の、力っ……」


京太郎の右手ごと引き寄せるようにメダルがゼットライザーへとハメられた

体が操られるように、ゼットライザーのブレードを動かす

そして、メダルが読み込まれる


『Alien Rayblood』


―――レイブラッド星人
212 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:12:01.51 ID:kpx7DOA+0

今にもナイフを突き刺されようとしているベリアル

だが次の瞬間、その身体からあふれ出る大量の―――闇


ベリアル「ウオォォォ!」

エースキラー『なっ、なにィ!!?』


勢いよくあふれ出た闇に、吹き飛ばされるエースキラー

その場に、着地するのはベリアル


ベリアル『小僧! この力!』

京太郎『闇っ、この力ッ……!!』

ベリアル「ウオォォォッ!」


そしてその闇はベリアルへと吸収されていく

纏うは闇、全てを飲み込む力

光の相対―――そしてベリアルが“変身”する


エースキラー『そ、その姿は!』

ベリアル『ハッ! よーやく盛り上がってきたじゃねぇか、なぁ小僧?』

京太郎『こ、この力はッ!?』


その身体には黒と赤、先の形態とは正反対の姿

荒々しい表情、そして荒々しい姿、鋭い爪

ベリアルは構えを取ると、狼狽するエースキラーへと走り出す
213 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:23:53.16 ID:kpx7DOA+0

エースキラーへと接近すると即座に爪を振るう

その一撃は先ほどよりも強力


エースキラー「―――!!?」

ベリアル『戻ってきたじゃねぇか、力がァ!』

京太郎『こんな凄い力!』


高揚する感情

さらに連続で爪撃を放っていけば、エースキラーはなんとか防ごうと両腕の武器を使う

ベリアルの爪をナイフで凌ぐが、即座にもう片手で弾かれる


ベリアル『今のオレに!』

京太郎『勝てるかよォ!』


エースキラーが左手の鉤爪でベリアルの次の攻撃を凌ごうとする

だが、今のベリアルの攻撃はそれでは凌げない

鉤爪ごと、ヅタヅタになるエースキラーの左手


ベリアル『気にくわねぇ類の奴の力だが、力に良いも悪いもねぇ、やるぞ!』

京太郎『でも、これは……』

ベリアル『小僧!』

京太郎『は、はい!』
214 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:33:01.28 ID:kpx7DOA+0

ティガが、アリブンタの右腕を光弾で吹き飛ばす

さらに左手のハサミをパワータイプの怪力で破壊した


アリブンタ「―――!!」

美穂子『強かった、けど……私は守りたいから、みんなを!』


力強い拳が、アリブンタの胴体を突く

後ろへと仰け反るアリブンタを掴まえると、そのまま回転

凄まじい回転力のまま、アリブンタを上空へと吹き飛ばす


ティガ「ハッ!」


きりもみ回転しながら空へ飛び上がるアリブンタへ、ティガは両手を構える

赤い光が、ティガの両手に集まっていく


ティガ「……ハァ!」


赤い光弾、デラシウム光流が真っ直ぐに伸びていく


アリブンタ「―――!!?」


上空のアリブンタに直撃すると同時に、爆発

爆風と共に、小さな光が地上へと落ちていくのが見えた

それに頷いたティガは、すぐにベリアルの方を見る


美穂子『あれは!!?』
215 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:40:45.96 ID:kpx7DOA+0


振るわれる腕、爪撃を止める術もなく食らっていくエースキラー

中身、であると思われるヤプールの戸惑う声が聞こえる


エースキラー『なんだ、なぜ闇の力が! レイブラッド星人の力が!』

ベリアル『誰かは知らねェが、力自体はお前らと似たようなもんだろォ!』


上からの爪撃、その勢いのまま回転したベリアルが蹴りを放つ

直撃してエースキラーが倒れる

走って接近したベリアルが倒れたエースキラーに爪を突き立て、上へと振るう


エースキラー「―――!!?」

ベリアル『こいつで決めるぞ小僧!』

京太郎『は、はいっ!』


両腕をいつも通りに構えるベリアル

左手を水平、右手を垂直、そして右手の手の平を目標に向けて


ベリアル『デスシウム光線!』

京太郎『で、デスシウム光線っ』


放たれた光線が、上空のエースキラーを貫き―――爆散


ベリアル『ハッ!』


右手を振るい、左手を顎にそえて首の音を鳴らす
216 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:50:07.67 ID:kpx7DOA+0


黒きウルトラマン

最凶と言われたベリアルの姿がそこにはあった

京太郎の知らないもう一つの姿


ベリアル『これならしばらくは困らねぇな……相手が対策してこなきゃだが』

京太郎『ッ!」

ベリアル『あ? なんだ小僧、ぐっ!』


瞬間、ふらついて膝をつくベリアル

駆け寄ってくるティガが、ベリアルの傍に寄る


美穂子『京太郎くん!?』



―――【インナースペース】


立っている京太郎は狼狽していた

周囲を見渡すその瞳に映る動揺


京太郎「なんだよっ、これ!」


いつもの白銀の空間とは違う

周囲には闇


京太郎「ま、纏わりつくな! くるな!」

ベリアル『闇を受け入れろ……!』

京太郎「そ、そんなふざけたことっ!」


腕を振るう京太郎が闇を遠ざけようとする

だが迫る闇は―――止まらない
217 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:57:35.26 ID:wRkqQIB50
>>216
ミス
×美穂子『京太郎くん!?』
〇美穂子『ベリアルさん!』
218 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:02:57.51 ID:WzyYGAuN0

インナースペースでの京太郎

そんな彼を知らない美穂子ことティガはベリアルの傍にいた

だが突如、ベリアルの腕が振るわれる


ベリアル「ガァッ!」

ティガ「グァ!」


その腕の直撃を受けて、ティガが倒れる


美穂子『な、なに!? ベリアルさん!?』

ベリアル「ガアァ!」


暴れるベリアルの手から光弾が放たれた

それが瓦礫を吹き飛ばす


美穂子『て、敵なの!? 闇の力に、操られてるとか!?』

ティガ「テァ!」


パワータイプの力で抑えつけようとするが、ベリアルの爪撃をもらう

ティガのカラータイマーが赤く点滅を開始する


ベリアル「ウオォォ!」

美穂子『ベリアルさん! 届かないの!?』


まだまだだと、近づくティガ

爪での攻撃を回避して胴体にタックルをする

そのままベリアルを地面に倒すも、身体を回転させられてマウントポジションを取られた


ベリアル「ウゴアァァ!」


そのまま両手は、ティガの首へと伸びた

グググ、とティガの首がしめられていく
219 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:08:24.28 ID:WzyYGAuN0

―――【インナースペース】


京太郎「闇がっ!」


紅に輝く瞳の京太郎が、暴れていた

体を振りまわす京太郎は闇から逃れようとしている


京太郎「っ……!」

美穂子『ぐっ……べりある、さんっ』

京太郎「!」

美穂子『あなたはっ、うるとら、まん、人々を守るっ……』


瞬間、京太郎がハッと前を見る

そこに立つのは黒いウルトラマン


ベリアル『……小僧!』

京太郎「ベリアルさん!」
220 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:17:16.26 ID:WzyYGAuN0


ティガに馬乗りになっていたベリアルの姿が消えていく

そして、立ち上がったティガが上空へと跳び上がった

空へ消えていくティガ


京太郎「……」


そんなティガを見ながら、京太郎は瓦礫の中で倒れている

全身ボロボロで、口の端には血がにじんでいた


京太郎「俺はっ……」


左手にはゼットライザー、そして右手に握られているのはレイブラッド星人メダル

その顔には、悔しさが滲んでいた

なにに対してのものかはわからない。京太郎自身にも……


京太郎「俺はっ……なにをしたって、弱いっ」


勢いよく上げた右手を、地面に叩きつけた

221 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:22:56.89 ID:WzyYGAuN0


     第5話【闇の力】 END

222 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:35:47.18 ID:WzyYGAuN0


倒れている京太郎を、高い場所から見下ろすのは熊倉トシ

静かに息を吐きつつ周囲を見渡す


トシ「……誰がレイブラッド星人メダルなんか、って予想はつくけど」


右手でメダルを弾き、右手で撮る


トシ「メダルと執念、厄介だね……」


持っているメダルからあふれ出るのは―――闇


トシ「京ちゃんは弱いんじゃない、不器用なだけだよ」


憂鬱とした表情で別方向を見るトシ

そこには周囲を見回している美穂子、そしてはやり

おそらく京太郎を探しているのだろう


トシ「ベリアル、京ちゃんを……」グッ

223 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:46:28.25 ID:WzyYGAuN0


―――次回予告


ベリアル:闇を受け入れろ

京太郎:闇!?

ベリアル:オレと、闇と共に!

京太郎:これは、この力はッ!

ベリアル:己の欲望を受け入れろ!


次回【欲望-EGO-】


ベリアル:テメェはウルトラマンになんてなれねェ!

京太郎:俺は、俺はァ!!

224 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:54:04.96 ID:WzyYGAuN0
今回はここまでー

どっかで見たことあるようなないようなな感じで
ウルトラ特有の主人公迷走回ー
ちょっと早いけど、この手のは早めにね!

ちなみに次回予定の安価
1、妹尾佳織
2、東横桃子
3、蒲原智美
4、福路美穂子
5、瑞原はやり
6、佐藤裕子
7、白築慕

って感じですー
まぁ純粋に迷走イベントがそのキャラメインになるって感じっす

それじゃまた明日ー
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 01:27:57.67 ID:J/b8SUfD0

レイブラッド星人メダルで強化はおもいしろい
それと展開的にはサンダーブレスターの話思いだすな
安価は好きなキャラでいいならはやりんいってみるかな
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 18:11:58.52 ID:T56QkXDS0
考えてみればすごい図だな
京太郎が美穂子に馬乗りになってたんだから
227 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:03:55.85 ID:Gz/xyvFa0
おっし再開してこうかなー
安価は案外すぐにくるはず

>>225
オーブ意識してました
ベリアル回だったしね!

>>226
それはイッチも思った
228 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:13:55.79 ID:Gz/xyvFa0


―――【特異課施設:休憩所】


座って、コーヒーを飲んでいる京太郎

その視線の先には、暴れる黒いベリアル


『このベリアルと呼ばれる巨人はやはり敵なのでしょうか?』

『やっぱり黒くなったってことは今まで正体を隠してたんですかね?』

『最初から信用するべきじゃなかったんだよ! 荒々しいし、悪い宇宙人っぽいと思ってたね俺は!』


ワイドショーのコメンテーターたちが好き勝手を言うが、映っている映像では確かにベリアルが、否自分が暴れている

コーヒーを一口飲むと、深く息をつく

そしてティガに襲い掛かる自分が映った


『あのどこからかティガと呼ばれだした巨人も、襲われたようですね』

『あれもベリアルの仲間で自作自演なんじゃないの?』

『次に現れた時は軍が出撃してアイツらまとめて倒すべきだね!』

京太郎(俺が美穂子さんを……)


自分の手を見ていると、黒い手を幻視する


京太郎「ッ!」

『あれから三日が経ちました。復興はどうなってるのでしょう!』

京太郎「あれから……三日」

229 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:17:34.09 ID:Gz/xyvFa0


     第6話【欲望-EGO-】

230 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:18:52.84 ID:Gz/xyvFa0


     第6話【欲望-EGO-】

231 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:28:02.48 ID:Gz/xyvFa0
(ミスった連投



―――三日前【鶴賀学園跡】


破壊された校舎、破壊された建造物

抉れた大地、瓦礫の中で発見された京太郎は車に乗っていた

特異課の息のかかった救助隊や、事後処理部隊なども集まっている


京太郎「……」

慕「お疲れさま……大丈夫?」

京太郎「ちょっと、疲れました……」

慕「そう、だよね……でも無事で良かった」

京太郎「ありがとう、ございます……」


そう応えながら、外を見る

救急隊に連れて行かれる加治木ゆみ

それを見送る福路美穂子


京太郎「あの人は……ちゃんとウルトラマンなんだな」ボソッ

慕「ん?」

京太郎「ああ、いえ……独り言です」


あはは、と笑って慕にそう返すと再び外を見る

瓦礫撤去や、爆散したエースキラーの破片を拾う事後処理部隊

その中に、指揮している熊倉トシもいた


京太郎『ベリアルさん……』

ベリアル『なんだ?』

京太郎『すみません、足引っ張っちゃって』

ベリアル『あれがオレの本来の姿と言っていい』

京太郎『え?』

ベリアル『闇の力を使い世界を手に入れるために暴れ、最後は殺された。それがオレだ』

京太郎『ッ!』

ベリアル『闇を受け入れろ、そうすれば力が手に入る』

京太郎『そんな、ことは……』

ベリアル『……』

京太郎『……ベリアルさん』

ベリアル『なら良い、今はな』

京太郎「……闇の、力」ググッ

232 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:35:56.69 ID:Gz/xyvFa0


あれから、夢を見る

起きればほとんど憶えていない

だが―――追放と思考誘引、そして復讐心と破滅


ウルトラマンであろうとする京太郎自身と相容れない思想

幾度の復活を経ての……


―――疲れたよね? もう、終わりにしよう……!

―――さよなら……◆◆◆◆


虫食いのような記憶、記録

ただわかるのは、どこか釈然とした感覚


ベリアルの―――追憶

233 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:50:38.85 ID:Gz/xyvFa0


京太郎「……はぁ」


テレビのワイドショーから聞こえる声

だがわざわざ消しに、テレビに近づくのも面倒だった

加治木ゆみは未だに起きない、アリブンタこと―――津山睦月も同じく


京太郎「……」


鶴賀学園の面々が帰ってきたことに喜んでいた桃子たちを思い出す

美穂子の方も風越の生徒たちも起きたようで喜んでいた

清澄の生徒の情報はまだない

それに、エースキラーのメダルは『ゴルザ・メルバ・超コッヴ』のメダルのように、どこかに持ち去られたようだった


『ティガはその翌日、昨日には子供を庇う姿が目撃されてますね』

『まさに自愛の巨人、ですか』


美穂子は昨日、現れた怪獣と戦いがあったそうだ……


京太郎「……」

『ベリアルはやはり敵だとすべきと思う声が多いようですね』


瞬間―――テレビが消された
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 22:54:13.47 ID:J/b8SUfD0
ベリアルと一体化したからこの手の問題が早々に出てくるな
ジードも苦労してたけどベリアル本人とだから余計に悩みそうだ
235 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:56:18.52 ID:Gz/xyvFa0

◆誰かがテレビを消した!

1、妹尾佳織
2、東横桃子
3、蒲原智美
4、福路美穂子
5、瑞原はやり
6、佐藤裕子
7、白築慕

◇5分間でコンマが一番高いキャラクター↓
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 22:57:15.44 ID:xSiLUWOn0
5
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:00:32.78 ID:Q6VE32le0
4
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:00:33.31 ID:J/b8SUfD0
5はやりんで
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:05:00.52 ID:J/b8SUfD0
キャップかこれはこれで楽しみ
240 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:16:46.72 ID:4z7Chdqg0
4、福路美穂子



テレビを消したのは福路美穂子だった

ハッとする京太郎に、美穂子が苦笑を浮かべる


美穂子「そのね、あまり……見てた?」

京太郎「いえ、俺も消そうと」


その言葉に、美穂子はホッと息をついて京太郎の傍に座る


美穂子「……ベリアルさんはね」

京太郎「っ……はい」


次の言葉を待つ


美穂子「きっと、なにかおかしかったの、あんなことするわけない」

京太郎「わかりませんよ、そんなの」

美穂子「私と一緒に戦ってくれたベリアルさんがそんなことするはずない。瑞原さんを助けたあの人なら」

京太郎「気まぐれかもしれない」

美穂子「いえ、一緒に戦った私だから……わかるの」


その言葉に、京太郎は自嘲するような笑みを浮かべる
241 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:34:21.44 ID:eqaBN+JO0

京太郎「攻撃、されたのに?」

美穂子「ええ、された……闇の力に、飲まれてしまって」


そんな言葉に、京太郎は美穂子に気づかれないようにしながらも拳を握りしめる

相対している美穂子は、持っていたアイスティーを一口


美穂子「私は……それでも、信じたい。人々を助けるという私と同じ願いを持ったウルトラマンを」

京太郎「……」

美穂子「それに最近、夢を見るの」

京太郎「え?」

美穂子「ティガのかつての記憶、別のティガの……闇の巨人の」

京太郎「それって」

美穂子「っ、ごめんね。私のことばかりで」


ごまかすように笑う美穂子を前に、京太郎は小首をかしげた


美穂子「でも京太郎くんも信じてあげて欲しいな、ベリアルさんのこと」

京太郎「俺は……」


信じられないのは、ベリアルではなく自分自身だ


美穂子「信じたい、んだよねきっと」

京太郎「っ」

美穂子「……だから、悩んでる」

京太郎「なんでもわかるんですね」

美穂子「なんでもは、わからないわ」


そう言うと、そっと京太郎の頬に触れる


京太郎「……光の、ウルトラマンですね」

美穂子「いいえ、私は人間よ」


その輝きが、優しさが、今の京太郎には眩しい
242 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:51:32.03 ID:eqaBN+JO0

そっと、京太郎の手に添えていた手を降ろす美穂子

ふふっ、とほほ笑むその顔をみて京太郎もなんとか笑みを浮かべた


美穂子「……あとこれ、熊倉さんから」

京太郎「え?」

美穂子「昨日、倒した怪獣のメダル」


スッとテーブルの上に置かれたメダルは、昨日ティガが戦った怪獣のもの


京太郎「これは……」

美穂子「熊倉さんに管理は京太郎君だからって」

京太郎「はい、ありがとうございます」コクリ


頷いて、それを受け取る

昨日の戦いはトシから『待機しているように』と言われた

理由はわかっているつもりだ


美穂子「危うく松本城を壊されちゃうところで大変だったのよ……ベリアルさんもいてくれたら良かったんだけど」

京太郎「破壊するかもしれませんよ、むしろ」


ついつい、悪態をついてしまう

良くないなと思いつつ、片手で頭を押さえる


京太郎「こんなんだから待機命令なんて出るんだ」ハァ

美穂子「熊倉さん、京太郎くんが悩んでたから心配してたのよ?」

京太郎「……すみません」

美穂子「ううん、謝らなくて、良いから……その、なにか悩みがあるならしっかりと話して?」

京太郎「……」

美穂子「今じゃなくて、気が向いた時で良いから」

京太郎「……はい」コクリ


そう返事をして、立ち上がる

紙コップの中のコーヒーを飲み干すと、ゴミ箱に入れてそこから立ち去った

残った美穂子が背もたれに体を預ける


美穂子「結構、京太郎くんに助けられてたのかも……」


その表情は僅かに暗かった
243 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:04:43.95 ID:T3HrJP+W0

―――【作戦室】


トシからの呼び出しで部屋に入る

そこにいたのは熊倉トシ一人だった

はやりもいないが、まだ怪我が完治していない可能性もある


京太郎「えっと、なんですか?」

トシ「……レギュラン星人から挑戦状だ」

京太郎「部長……」

トシ「ほい」


モニターが変わる

映し出されるのは、データなのだが知らない文字

そうしていると聞きなれた声が頭に響く


ベリアル『なるほどな、決闘か』

京太郎「決闘?」

トシ「そういうこと」

京太郎「はぁ? 宇宙人が?」

トシ「エースキラー、ヤプールの尖兵を倒したからこういうこともあるだろうね」

京太郎「一体どうすれば?」


黙って頷く


トシ「悪質宇宙人レギュラン星人……間違いなく罠を張ってくる」

京太郎「……」

トシ「しかも生身で来いとのことだ」

京太郎「……間違いなく罠じゃないですか」

トシ「だからそう言ってる」
244 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:11:04.92 ID:T3HrJP+W0


深い息を吐くトシを見る京太郎

その瞳には不信感、トシに対するかそれとも―――自分か


トシ「目的はティガだそうだ」

京太郎「……美穂子さん」

トシ「まぁ仲間を連れて来ても良いそうだけど」

京太郎「舐めやがって……」

ベリアル『ハッ! あれを見られりゃな』

京太郎「っ」


顔をしかめた京太郎のことを察したのか、トシは頷く


トシ「……ともかく、待ち合わせは今夜21時」

京太郎「夜ですね」

トシ「福路と一緒に待ち合わせ場所に……三時間前には着いとこう、周囲を調べる」

京太郎「大丈夫なんですか?」

トシ「そんなわかりやすいことするとも思えないけど、一応ね」


そう言って、トシはしっかりと京太郎の瞳を見つめる


トシ「頼んだ……京ちゃん」

京太郎「……はい」

245 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:27:36.62 ID:T3HrJP+W0

―――そこから数時間後【鶴賀学園跡】


周囲に車両

京太郎は簡易椅子に腰を下ろしてコーヒーを飲んでいた

すると、遠くにスタッフと話している少女を見つける


京太郎「……美穂子さん」

ベリアル『小僧、今回は戦いになるが』

京太郎『俺に、やれますかね』

ベリアル『受け入れろ』

京太郎『なにがですか』

ベリアル『闇を受け入れろ』

京太郎『闇!?』


立ち上がりそうになるも、グッと堪える

思い出すのは這いよって来る黒き闇


京太郎『光の巨人が、闇ですか……過去と関係が?』

ベリアル『過去も未来も関係ねぇよ。ただ今必要なのは、闇だろ?』

京太郎『それで、また暴走して人々を守らなきゃいけない俺がっ』

ベリアル『おいテメェ』

京太郎『ウルトラマンは人々を守らなきゃいけないんですよ!?』

ベリアル『お前はウルトラマンにはなれない』

京太郎「ッ!」

ベリアル『少なからず、お前が考えるようなウルトラマンにはな』

京太郎『才能、ですか?』

ベリアル『ああ』


拳を強く握りしめる

今年、数ヶ月前に既にそれは味わっているのだ

自分は取るに足らぬ存在、外部の人間―――努力はした。ここ最近だってそうだ

だが、どうしたって追い付けない

それに自分より麻雀歴が浅い怪物たちが沢山いることも知った


京太郎「っ……俺は」

美穂子「京太郎くん」

京太郎「美穂子さん……」

246 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:39:50.90 ID:T3HrJP+W0

隣に座る美穂子

京太郎の視線の先には破壊された鶴賀学園―――瓦礫の山

周囲に人がいないのを確認してから、口を開く


京太郎「美穂子さんは、どうして戦えるんですか?」

美穂子「え?」

京太郎「人間のため、ですか?」

美穂子「ええ、戦えないすべての人々のため……」

京太郎「……」

美穂子「私はその願いのために、ウルトラマンとなって戦える」


遠くの星を見る美穂子

京太郎はそれに習って空を見た

街灯がない故に目に映るのは満点の星々


美穂子「できるなら、この星々すべてを守りたいとさえ思う」

京太郎「……光の巨人、ウルトラマンにふさわしいですね」

美穂子「こんなに欲張りなのに?」

京太郎「欲張り?」

美穂子「うん、欲張りだと思う……私」クスッ

京太郎「……でも、その願いは」

京太郎(俺が思う。俺がなりたいウルトラマンだ)
247 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:49:16.12 ID:T3HrJP+W0


美穂子「でも、京太郎くんは凄いと思う」


ふと、美穂子が発した言葉に京太郎は小首をかしげる


京太郎「え?」

美穂子「……誰かを守るために、戦ってるでしょ?」


それはそうだ。そうありたいと思っている

ウルトラマンであるならば、そうでなければいけないと思っている


京太郎「でも、美穂子さんみたいな」

美穂子「京太郎くんは、私に言ったよね」

京太郎「え?」

美穂子「義務感で戦うものじゃないって」

京太郎「俺は義務感なんかじゃ!」

美穂子「本当にそう?」


閉じられていた青い目が京太郎を見つめる

硝子のように綺麗な瞳、それが真っ直ぐと京太郎の赤い目を見つめた

交差する視線、そして―――


ピピピピ


京太郎「ッ!」

美穂子「時間よ……行きましょう」

京太郎「……はい」
248 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2021/09/13(月) 00:55:10.12 ID:lCIlMwEA0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


都内 某駅前



京太郎「…日陰でこの暑さなのはヤバいっすね」パタパタ

菫「…ああ。十日連続で真夏日だとかなんとか」

京太郎「温暖化の影響ですか」

菫「どうだろうな…ん?」ブー

菫「…亦野からだ、席が取れたらしい」

京太郎「こっちも…着いたみたいですよ」

249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/13(月) 00:56:02.23 ID:lCIlMwEA0
誤爆すみません!やらかした
250 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:13:14.40 ID:cmUhPCtn0


二人が瓦礫の中を歩く

目的地地点まで数メートル

ガッツハイパーを持つ京太郎と美穂子


京太郎(俺が、義務感で……)

ベリアル『小僧、くるぞ』

京太郎「っ!」

美穂子「久っ!?」


そこに立っているのは竹井久

素早く、京太郎はガッツハイパーのカートリッジをスタン性のものに変える

美穂子は銃口を震えさせていた


久「フフフフ」


竹井久の姿をしたレギュラン星人が手を向ける

敵意を察した瞬間、京太郎は迷わずトリガーを引く

だがその


京太郎「ッ!」

美穂子「京太郎くんっ!?」

ベリアル『ハッ! 悪くねぇ!』

京太郎「実体じゃない……」

美穂子「なんで、あんな迷いなく……」

京太郎「スタンのものですし……」


銃を降ろす京太郎

その隣で、美穂子も同じく銃を降ろした

目の前の幻影に攻撃手段はないだろうと、それ以外の周囲を警戒する


京太郎「それに、美穂子さんが危なかったし」

ベリアル『……』

京太郎「俺が、守るから」


そんな言葉に、美穂子が少しばかり頬を染める
251 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:15:47.21 ID:cmUhPCtn0
>>248-249
ええんやで(ニッコリ)
252 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:28:06.84 ID:cmUhPCtn0


美穂子「そ、そのっ……」

久『戯れるな!』

美穂子「え、きゃあっ!?」


瞬間、美穂子を囲むように金色の輪が現れる

京太郎が素早くガッツハイパーを輪に向けるが、なにかをする間もなく消えた

顔をしかめる京太郎が幻影の方を向く


京太郎「美穂子さんをどこにっ!」

久「消えろ雑魚が!」


幻影から、光弾が放たれた


京太郎「ッ!!?」


直撃は回避するが、地面に当たった爆風で吹き飛ぶ

そのまま瓦礫の中に突っ込む京太郎

レギュラン星人の幻影はそのまま消える


京太郎「ぐっ、美穂子さん……!」

ベリアル『よく避けた。いくぞ』

京太郎「……はい」

ベリアル『フッ! この礼はきっちりしてやる』

253 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:41:21.85 ID:vAfj5Apj0


―――【???】


そこにいるのは、福路美穂子

立ち上がって目の前の竹井久を見る

笑みを浮かべる竹井久が、美穂子の構える銃、その銃口へと近づいていく


久「どうした? 撃ってみろ」

美穂子「っ……」


震える手、銃口の向きは定まらない


久「……ふんっ!」


手から放たれた光弾の直撃を受けて、美穂子は吹き飛び壁にぶつかる


美穂子「っ……あ、カハッ……」


腹を押さえてうずくまる美穂子は、そのまま久を見上げる

ガッツハイパーも離れた場所に落ちていた


久「フフフフ、力は十分溜まった、もう実体を保てるだけのなぁ!」


突如、久が前のめりに倒れる

そして元立っていた場所にいるのは宇宙人―――レギュラン星人

歪なその姿を晒して、高笑いをする


レギュラン星人「フハハハハ! ようやく元の姿へと戻れたぞ!」

美穂子「っ……」

レギュラン星人「この姿なら、撃てたかぁ?」

美穂子「……っ」


スーツの内側からスパークレンスを取り出すが、すぐに手を蹴られる


美穂子「うあっ!」


吹き飛ばされるスパークレンス

レギュラン星人はそれを見てまた身体を揺らして笑った

倒れている久が、僅かに目を開く


久「み、ほこっ……」

美穂子「久っ!?

久「わ、たしっ……」

美穂子「っ!」

レギュラン星人「二人仲良く地獄に行け! 二度とバルタン星人などと間違えさせんぞ!」
254 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:53:24.92 ID:vAfj5Apj0


久を蹴って転がすレギュラン星人

美穂子が久の体を労りながらも、レギュラン星人を睨む

珍しく、怒りの表情を浮かべている美穂子

だがそれも―――無駄


レギュラン星人「死ねェ!」

久「ご、めんね……みほ、こ……」

美穂子「京太郎くんっ」グッ


瞬間、銃撃がレギュラン星人の背中へと直撃する


レギュラン星人「ぐおっ!?」

「オラァッ!」


さらに、走ってきた“京太郎”はレギュラン星人の背中に蹴りを打ち込む

横に転がるレギュラン星人に、さらに京太郎は片手でガッツハイパーを構えて連射

バタバタと転がるレギュラン星人だが、ほぼ全ての銃弾が直撃


京太郎「!」


素早くカートリッジを排出して別のものを差し込み、連射

立ち上がって走り出すと、京太郎が入ってきた扉から外へと飛びだした


レギュラン星人「うおぉぉぉぉ!?」

ベリアル『クハハハハハ! 無様に逃げてやがる!』

京太郎「……」


静かに、ガッツハイパーを降ろすとすぐに振り返る

美穂子と久の元へと膝を降ろした

久は京太郎の顔を見上げる


久「す、が……く、ん?」

京太郎「はい、助けるのが遅れました……」

久「ん……あり、がとう」

美穂子「っ……!」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/13(月) 01:54:16.17 ID:2Lf0khIg0
バルタン星人に間違われるってグリッドマンかww
256 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 02:03:28.38 ID:vAfj5Apj0


急いでスパークレンスを拾いにいく美穂子

京太郎はスーツの上を脱ぎ丸めると、久の頭の裏に枕のように置く

瞬間―――京太郎たちがいたその部屋が幻のように消えた


京太郎「これは、なんつー技術!」

美穂子「あれ!」

京太郎「!」


指差す方に視線を向けると、そこにはレギュラン星人―――しかも、大きい


美穂子「っ!」

京太郎「……」

美穂子「みんなは私が、守るから!」


そして、美穂子がスパークレンスを掲げる

眩い光と共に、光の巨人―――ウルトラマンティガが現れた

それを見ている久が、手を伸ばす


久「ひ、かり……」

京太郎「……」


レギュラン星人へと駆けだすティガ

素早い格闘でどんどんと離れた場所へと行く

入れ替わるように、車が走ってきた


京太郎「トシさん!」

トシ「京ちゃん……竹井か、こっちで保護する」

京太郎「……お願いします!」
257 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 02:06:50.73 ID:vAfj5Apj0
今回はここまでー
次回は戦いからっすー

この美穂子のとこほとんど別キャラかもしれなかったって思うと結構話変わるなぁ

とりあえず次回はひと山超える感じで
そっからまたなんやかんやあって
そして全国編もあるよ!

そんじゃまた今夜ー
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/13(月) 02:58:56.08 ID:2Lf0khIg0

地味にキャップのフラグ建ってね?
他キャラのパターンも気になるなどうやって京太郎の悩み解決するかとか
259 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 21:31:02.50 ID:HYsWPipr0
はっじまっるよー!
迷走イベントはあまり引きずらないスタイルでいかせたい

そして全国編はどこ行くか順番は安価よー
260 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 21:47:54.69 ID:HYsWPipr0


鶴賀の廃墟近く、瓦礫の中をレギュランと星人が走る


レギュラン星人『死ねェ!』

ティガ「フゥッ……ハッ!」


ティガがスカイタイプへと変わると、連続で打撃を打ち込んでいく

連続回し蹴りでひるむレギュラン星人

怒りに震えるレギュラン星人が、素早く光弾を放つ


ティガ「テァ!」

レギュラン星人『将軍さえいれば貴様などォ!』


光弾を弾いたティガを目の前に、地団駄を踏む

そんな戦いを、瓦礫の中で見つめる影

スーツを着た宇宙人……ゼットン星人が、そこにはいた


ゼットン星人「ならば、こういうのはどうだ」


そう言うと、メダルを取り出してゼットライザーへと差し込む

ブレードがスライドする


『Erekingu』


そして、光と共に現れるのは黒い斑点模様のイエローの怪獣

黒い角を回転させながら、その怪獣はティガへと迫る


ティガ「!?」

エレキング「―――!」

レギュラン星人『ゼットン星人か!』


不意を突かれたティガが、エレキングのパンチの直撃を受けて転がる

膝をついて起き上がったその瞬間、エレキングの尻尾が首に巻きつく


美穂子『ぐっ!』

エレキング「―――!」
261 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:01:24.88 ID:Du3dRABn0


エレキングが咆哮を上げると、その尻尾に電撃が流れていく

その電撃は、もちろんティガにもだ


ティガ「ウアッ!」

美穂子『ガッ、アアアァッ!!?』

エレキング「―――!」

レギュラン星人『いいぞぉ! 私はここで見ている!』


高笑いするレギュラン星人に銃撃

大したダメージでないものの、痛みはあるのか少しばかり跳ねる

銃撃があった方向を見れば、そこには一人の青年


レギュラン星人『またお前か!』


京太郎「……俺は、戦う」

ベリアル『覚悟は決まってんのか?』

京太郎「決まってませんよそんなもん、とりあえずやります!」

ベリアル『ハッ、まぁ良い……やってみせろ!』


ゼットライザーのトリガーを引き、ゲートへと飛び込む

白銀の空間に、京太郎は闇を幻視するが頭を振るい意識を戻す

ウルトラアクセスカードを差し込んだ


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』

ベリアル『おもしろい、やれるのか?』

京太郎「やれるだけは!」


そして、トリガーを引く


京太郎「ベリアァルッ!」

262 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:15:53.92 ID:Du3dRABn0


光と共に現れるベリアルが、エレキングへと爪撃を放つ

ベリアルクローによりエレキングがひるみ、背後へと下がる

それにより、エレキングの尻尾がティガの首から外れた


京太郎『美穂子さん……ベリアルさん、お願いします』

ベリアル『ハッ、しょうがねぇな』

京太郎『ありがとう』コクリ


黙ってティガの方を見るベリアル

ティガは首を押さえながら立ち上がると、ベリアルの方を向いて頷く

それに対して、ベリアルは一瞥するとエレキングの方へと向き、首を鳴らした


ベリアル『いくぞォ!』

美穂子『っ、はい!』


初めて聞いたベリアルの声に、強く返事を返して立ち上がるティガ

ベリアルはエレキングへ、ティガはレギュラン星人へと走った

エレキングが尻尾を振るうも、ベリアルはベリアルクローでその尻尾を弾く


京太郎『ベリアルさん、こいつは!』

ベリアル『こいつの攻撃パターンはよーく知ってるぜ! ピット星人のペット!』


口らしき部分から光線が放たれるが、体を逸らして回避

素早く体勢を戻すと光弾を放ってエレキングをひるませる

さらに接近すると左手で爪撃を放ち、右拳をぶつけた


エレキング「―――!」

京太郎『これなら!』

263 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:24:42.62 ID:Du3dRABn0


瓦礫の中、ベリアルとエレキングの戦いを見ているゼットン星人

肩を落とすような動作を見せたゼットン星人が、メダルを取り出した

さらに、ゼットライザーへとメダルを差し込む


ゼットン星人「サービスだ。ベリアル相手には使いたくはないのだが……潰せば問題はない」


ブレードをスライドさせる


『Redking』


そして、暗い光と共に新たな怪獣が現れた

髑髏怪獣レッドキングは、エレキングと戦うベリアルへと拳を打ち込んだ

不意打ちにより、ベリアルが吹き飛んで転がる

264 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:42:09.65 ID:Du3dRABn0


転がったベリアルが膝立ちで起き上がり、即座に光弾を放つ

だがそれはエレキングが光線を放ち相殺

ベリアルの前方に並ぶ二体の怪獣


ベリアル『チッ、昔なら一撃だったがなァ……!』

京太郎『くっ、こいつらっ!』


エレキングからの光線を、転がって回避するベリアル

だが次の瞬間に走ってきたレッドキングの蹴りを受けて、後ろに大きく吹き飛ぶ


ベリアル「ウガァッ!」


地上に体が叩きつけられるが、どうにか立ち上がる

レッドキングが投擲した岩を爪撃で粉々にした

だが次にエレキングからの光線、それを両腕で凌ぐ


京太郎『ぐっ……!』

ベリアル『レイブラッド星人メダルを、闇の力を纏え!』

京太郎『あ、あれを使ったらまた!』


光線を凌いでいたも、押し負けて倒れる


ベリアル『ぐっ、オレは同じ話をするのが好きじゃねぇ……だが言ってやる』

京太郎『ッ!』

ベリアル『闇を受け入れろ!』


その言葉に、京太郎は頭を横に振る


京太郎『俺は、人々を守らなきゃいけないんです!』

ベリアル『小僧ォ!』

京太郎『じゃなきゃ……俺は、ウルトラマンにっ!』

ベリアル『何度も言わすんじゃねェ!』

京太郎『!!』

ベリアル『テメェはウルトラマンになんてなれねェ!』

京太郎『ッ!』
265 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:59:22.08 ID:Du3dRABn0


迫るレッドキングを、どうにか受け流す

エレキングからの光弾を、レギュラン星人と戦っていたティガが光弾を放ち凌ぐ

ベリアルは爪撃でエレキングを退けた


ベリアル『テメェの本来の望みは、欲望はなんだ!』

京太郎『俺の、欲望……?』


思い出されるのは、美穂子との会話


美穂子(こんなに欲張りなのに?)

京太郎(欲張り?)

美穂子(うん、欲張りだと思う……私)


京太郎『欲と望み、欲望……俺の』

ベリアル『借りものの望みじゃねぇ、テメェがテメェで、望んでるものは!』


美穂子(でも、京太郎くんは凄いと思う)

美穂子(……誰かを守るために、戦ってるでしょ?)


反芻される美穂子の言葉

自分自身がやるべきこと、自分自身がやりたいこと

そしてやってきたことと、自分が見えなくても他人には見えていたもの


ベリアル『なぜ闇を否定する。テメェが否定する理由なんてねぇはずだ』


その通りだ。自分は“ウルトラマン”ではないしなれない

そして“光の巨人”ではない

右手に握ったレイブラッド星人のメダルからあふれ出す闇


京太郎『そうか……これは、この力はッ!』


流れる水に逆らうからこそ、力は行き場を失い暴走する

ベリアルは最初から答えを言っていた


京太郎『俺の、願い、欲望は―――!』
266 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 23:21:07.93 ID:Du3dRABn0

須賀京太郎はただの普通な思考を持った人間だ

そうだったのに、ウルトラマンという力を手にした結果がこれだった

ただ人が良いだけの京太郎は、美穂子のような思考を持てはしない


故に―――


ベリアル『己の欲望を受け入れろ!』


―――人々の、知らない他人を守るなど、心底から思うことなどできるわけがない


京太郎『そうか、そうだったのか!』


右手のレイブラッド星人メダルを弾く

溢れ出る闇、それが京太郎の周囲へと溢れだす

その赤い瞳が、輝きを増した


京太郎『他人なんてどうでもいい! 俺が守りたいのは、俺の守りたいものだけだ!』


落ちてくるメダルを掴むと、ゼットライザーへと差し込んだ


ベリアル『さぁ、戦るぞ小僧!』

京太郎「俺は、俺はァ!!」

ベリアル『オレと、闇と共に!』

京太郎『ウルトラマンにはなれない! 今は!』


勢いよく、ブレードをスライドさせる


京太郎『それでも!』

『Alien Rayblood』

京太郎「たたかぁう!」


暗黒満ちるインナースペースで、京太郎は勢いよくゼットライザーを振り上げた


ベリアル『叫べ!』

京太郎『ベェェリアァァァァルッ!!!』


そして―――トリガーが引かれる
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/13(月) 23:24:08.80 ID:2Lf0khIg0
ウルトラマンっぽい解決策じゃないのが最高にベリアルだ
ダークネスヒールズって感じでもないし
268 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 23:36:43.49 ID:Du3dRABn0


溢れ出るのは、闇の光


エレキング「―――!?」

レッドキング「―――!?」


美穂子『あれは!』

レギュラン星人『べべべ、ベリアル!?』


そこに存在するのは―――暗黒の皇帝

黒いボディに赤いライン

そして、その両手にあるのは鋭い爪


ベリアル「ハアァァ……」


深く、息をするようにそこに立つ姿


ベリアル『いくぞ、小僧ォ!』

京太郎『この力、いけます!』


受け入れた闇の力をその身に纏い、ベリアルが跳びだす

地を蹴り、レッドキングとエレキングへと跳ぶ

放たれるエレキングの光線と、レッドキングが岩を投擲する


ベリアル「ハアァ!」」


岩を爪撃で破壊し、両腕でエレキングの光線を凌ぐ


ベリアル『無駄だァ!』

京太郎『こいつでェ!』


レッドキングとエレキングの間に着地すると同時に、二体に爪撃を与える
269 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 23:54:21.80 ID:Du3dRABn0

エレキング「―――!」

レッドキング「――−!」


さらにベリアルは爪を振るって二体を攻撃しながら、後ろに下がる

手から雷を放ち、レッドキングを攻撃

苦しみ、怯むレッドキングへと接近して膝蹴りを放って倒す


京太郎『闇の力も、良いもんっすね!』

ベリアル『闇だとか光だとか関係ねぇよ! 今回はたまたま闇を受け入れれば強い力が手に入ったにすぎねェ!』

京太郎『え?』

ベリアル『テメェの望みを達成するためならなんだって良い。利用してやれ』


その言葉に、笑みを浮かべながら京太郎は頷く

エレキングの尻尾が伸びてくるがベリアルはそれを左腕で受け止める

その尻尾から、電撃が奔る


ベリアル「グッ……!」

京太郎『がっ、んなもん!』


右腕を振り上げると、勢いよく振り下ろす

赤い斬撃と共に、エレキングの尻尾が勢いよく切断される


エレキング「―――!」

京太郎『まず一ぉつ!』

ベリアル『バラバラにしてやる!』


起き上がってくるレッドキングを音波攻撃で吹き飛ばす

両腕を開いて接近しようとするエレキングにベリアルが腕を振るう


ベリアル「ウォラァ!」

京太郎『斬り刻む!』


何度も腕を振るって斬撃を生み出す

エレキングはその攻撃を受け続ける

トドメと言わんばかりに、ベリアルが両手を水平に振るう


ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』


最後に放たれた斬撃がエレキングの首を落とす

それを機に、エレキングの体はクローで攻撃された部分からバラバラと崩れていく


レッドキング「―――!」

ベリアル『見えてんだよ!』

京太郎『そこォ!』


背後から襲いかかるレッドキングに、振り返ると同時に斬撃を放つ
270 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:13:27.40 ID:edgxsDz+0


レギュラン星人と戦っていたティガ

なぜか風力発電機、鉄製の風車を持って襲い掛かる


ティガ「フッ……ハァ!」


紫色のティガが、赤へと変わる

振るわれたその風車を、左腕で凌ぐと右腕を突きだす


レギュラン星人「ぐおぉ!?」


後ろへと下がるレギュラン星人に接近すると、さらに拳を打ち込む

連続で何十発もの拳を打ちつけられて打ち上げられるレギュラン星人

地面へと激突すると、身体を押さえながら起き上がる


レギュラン星人『おのれ、ティガァ!』

美穂子『許せない。あなたみたいな!』

レギュラン星人『許せないのは私のほっ、のわぁっ!?』


突如とした衝撃に、レギュラン星人が振り返る

そこにはレッドキング

そちらも追いつめられているようで背中合わせて自らの敵を見やる


ベリアル「ハアァァァッ!」

美穂子『ベリアルさん、やりましょう!』


ティガが、両腕を脇にやり手を真っ直ぐに伸ばすと紫色の光が溢れる

ベリアルは右腕に黒い光と紅の雷を纏う

美穂子からの声に、頷く京太郎


京太郎『俺が守りたいもののために―――』

ベリアル『ハッ……守るもの、ねぇ』

京太郎『―――闇の力、お借りします!』


二人の巨人が、同時に腕を組む


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!!』

ティガ「ハァッ!」


レッドキングとレギュラン星人に、光線が直撃


レギュラン星人『光と闇よォ!』


髑髏怪獣と悪質宇宙人が―――爆散する

271 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:22:46.63 ID:edgxsDz+0


爆煙が晴れると共に、炎の中にお互いを見やる

二体のウルトラマン

黒きベリアルが、ティガを見据えた


美穂子『ベリアルさん……』

ベリアル『……小娘、貴様はウルトラマンだ』

美穂子『え』


それに、なにを返すわけでもない


ベリアル「ハァッ!」


真上を向いて、飛び上がる


美穂子『ベリアルさん……』

ティガ「ハッ!」


それを見送り、ティガもまた両手を上に上げて飛び去っていく

272 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:43:01.07 ID:edgxsDz+0

地上に立つのは須賀京太郎

静かに、息をついて右手にあるレイブラッド星人メダルを見る

そこから僅かに感じる闇の力に、口を綻ばせた


京太郎「闇も光もない、か……ウルトラマンじゃないからこそ」


きっと自分にしかできないことがある

そのメダルをホルダーに入れると、今度は左手のメダルを見た

そこにはレギュラン星人とレッドキング、そしてエレキングのメダル


京太郎「今回は全部頂戴できたな……」

ベリアル『ハッ、おもしろい』

京太郎「そうっすか?」

ベリアル『オレはな』


そんな言葉に苦笑を浮かべながら歩き出す

すぐに熊倉トシと車を見つけて近づいていく


トシ「……おかえり」

京太郎「ただいま、戻りました」

トシ「どうだった?」

京太郎「……わかってるでしょ?」

トシ「ああ、目的のためなら過程と手段をある程度は妥協して戦う。そういうことができる京ちゃんだから、良いんだ」

京太郎「褒めてます?」

トシ「まぁ闇の力を使い戦う。そういうアンタだから……」


そう言って言葉を止める

京太郎が口を出そうとするが、トシが微笑むのでそちらに視線を向けた

そこには金髪を揺らす少女


京太郎「……美穂子さん」フッ

美穂子「京太郎く〜ん、熊倉さ〜ん!」


駆けてくる元気そうな美穂子

普段であれば“揺れてる”とか思うとこだが、そういう思考でもない

トシが車へと乗り込む


美穂子「はぁっ、はぁっ……」

京太郎「お疲れ様です」

美穂子「うん、京太郎くんも……銃で撃ってくれたでしょ?」

京太郎「あ……はい」フッ

美穂子「ありがとう!」ニコッ
273 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:49:29.45 ID:edgxsDz+0


そんな美穂子の頬に、京太郎はそっと手を添える


今朝そんなことがあった気がした

だが美穂子は、顔を真っ赤に染める


京太郎「こちらこそ、ありがとう……」

美穂子「え、あっ……う、うんっ!」ニコッ


その輝く笑顔―――京太郎が守りたかったものの一つ


自分の守りたいものだけを、ただ守りたい


それが須賀京太郎の―――欲望

274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/14(火) 00:51:38.15 ID:kl7emGr/0
キャップめっちゃヒロインだ
275 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:57:35.71 ID:edgxsDz+0


     第6話【欲望-EGO-】 END


276 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 01:07:57.38 ID:edgxsDz+0


―――次回予告


順子:ウルトラマンを追うわよ!

トシ:特異課に取材だって

京太郎:断ってよ

大介:待ってくださっ

順子:ウルトラマンー!

はやり:婚期、お見合い、ぐふっ

京太郎:はやりさーん!

順子:ウルトラマーン!


次回【THE・パパラッチ】


はやり:ザをジって呼んでいいのはアルフィーだけだって!

京太郎:特異課やめていい?

トシ:ダメ

277 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 01:16:51.21 ID:edgxsDz+0

今回はここまでー
次回は明後日水曜になると思いますー

さらっと終わった迷走パートだけどこんなもんで良い
ちょっとずつ展開も進んできてー

美穂子含めて長野組の出番もあとわずか(小声)

そんじゃまたー
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