おいしいせっくす 〜僕のために料理(つく)る妹〜

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7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 20:16:06.00 ID:2W/Q1J5DO
モワンモワン



唯「〜〜〜〜〜〜っ!(//////////)」

過去の兄との情事から想像してしまい、友人の前だというのに耳まで赤くしてしまう

瑠海「うわぁ、顔が真っ赤になっちゃって」

景香「一体何を妄想したんだか」

そう、呆れながらも二人は唯を気遣う

唯「……う、うん……ま、また機会があったら……うん」

唯はまだ赤みを残したまま、辛うじてそのように答えた

瑠海「うん、唯ちゃんファイトだよ」

景香「がんばれー」



オーイ

瑠海「あ、いけない。もうそんな時間なの?」

景香「じゃあね、唯ちゃん」



唯「あ……うん……バイバイ」

誘いに返事しながら去っていく友人らを、何でもないように別れの挨拶をかけた



唯(料理か……)

唯(お兄ちゃん……私が料理したら喜んでくれるかなぁ……?)

唯(少しぐらいなら、調理実習とかでやってるしできない…………ってことはないよね?)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 20:32:06.89 ID:2W/Q1J5DO
その時の会話を思い出し、ふと棚にあった料理の本を出してみた

(これ……ちょっと埃かぶってるけど……)

(懐かしいな……お兄ちゃんと一緒に小さい頃に読んでたなぁ)

(あれ食べたいとかよく見てたなぁ)

ふと、そんな小さい頃の思い出に浸る……つい最近、中学の入学を映したビデオを見る機会があっただけに鮮明に思い出していた

(お兄ちゃん……あの時、何が食べたいって言ってたっけ?)

(ハンバーグ?スパゲティ?グラタンやフルーツサラダでもないし……あ、フレンチトースト美味しそう)

と、自分の好きな料理ばかり眺めていたその時だった





(えっと、「おふくろの味、ライスカレー」?)

(「男の人は幼年期に食べたものを懐かしむ傾向にあります」……お兄ちゃんもなのかな?)

(「元々、じゃが芋料理等は戦後の食料難の時代に代用食として重宝されました」……よくわかんないや)

そう思いながら理解できる所まで少しページを飛ばす

(えっと、「男性は伝統的という言葉に弱いので、こういった料理はきっと喜んでくれます」……そうなんだ)



(よしっ)

そう言いながらスマホを取り出し

(カレー……カレーの作り方は……)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:07:22.13 ID:2W/Q1J5DO
台にスマホを置き、画面をスライドさせ色々なページを見てみる

ふと、気になったある文字が出てきた為、唯はスライドを止め紹介文を読む

(「唯の料理帖」?唯って同じ名前だけど……有名な料理を作る人なのかな?)

無性に気になり、そのページに飛んでみると動画が自動的に始まった

『ゆいの「ぽてとまっしゃー料理帖」!始まるよー☆』



「え?こ、これってアイドルの??」

思わず一人で呟いてしまうぐらい驚いた。仮にスマホを手に持っていた落としてしまっているぐらいには驚愕していたであろう

どう見ても金髪ギャルのアイドルが、そのような料理番組をやっているのが不自然に感じてしまったからだ
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:20:11.52 ID:2W/Q1J5DO
それでも、唯は画面を見続けた

『で、千枝ちゃんは今日は熱中症でおやすみです!代わりにゲストを呼んでるから最後まで見ていってね☆』

『どうも、「あなたにタニタ」。五十嵐響子です』



(あ、お料理アイドルの五十嵐響子ちゃんだ……だったら最後まで見ないとね)

唯でも知っている、いわゆる「お嫁さんにしたいbPアイドル」の参上で俄然興味が出て来る

知らず知らず、唯は番組にのめり込んでいた



『じゃあ、夏最後というわけで、とびっきりのカレーを作るよー♪』

『今日は「だんなさまの好きなおふくろの味風ビーフカレー」ですっ!』

『えっと材料は……』



(……へぇ、カレーにこんな具材を使うんだ)

(え?イチゴジャムなんか使うの??……コーヒーとかデミグラスソースは聞くけど)

(えぇ〜ご飯も銀シャリだけじゃないんだ……でもドライカレーにカレーっておいしいのかな?)

次々に出されるレシピ情報に喜怒哀楽の表情を見せる

……もし母と兄がこの場にいたら間違いなく録画していたであろう

(そっか……お兄ちゃんのは辛めにして、唯のは甘口にできるんだ)

(……材料はあるかな?)

そう思いながら台所へ駆け込む
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:30:15.43 ID:2W/Q1J5DO
約一時間後、唯はスーパーから買物袋をかかえ家に帰ろうとしていた

「あはは……フンパツしていっぱい買っちゃった……」

(予算もオーバーしたし、これだけの荷物だとお兄ちゃんがいたら手伝ってくれたかな?)

そう思いながら帰ろうとした時



『ゆいちゃんのかれーにするぅ!』



「っ!?」



思わず自分の名前が呼ぶ声がした気がして、辺りを見回した



『うん。さっき唯ちゃんが出てたもんね』

『うん!ゆいもかれーがいい!』



それは小さな女の子と、やや年老いた女性……母親であろう家族の会話だった

唯と同じく、アイドルの動画を見たと思われる母娘の会話にほっとため息を漏らす

「あの子も……『ゆい』って言うのかな?」

アイドルだけでなく、小さなその子まで自分と同じ名前なのかと思い、一人樮笑む

「うん……唯も早く帰ろう」

「で、お兄ちゃんにおいしいって言ってもらうんだ!」

「あ、お兄ちゃん、コーヒーライスで出そっと!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:34:31.90 ID:2W/Q1J5DO




ガチャ

ギィィ

「ただいま」

バタン

「……唯はもう寝ちゃったかな?」



バタバタバタ

「お兄ちゃん、おかえり!」

「唯?こんな時間まで?!」

「うん。あのね、今日は唯がご飯作ったんだよ」

「え?……あぁ、カレーの匂いがするな」

「えへへへ。自信作だよっ!」

「そっか」



バタン

「ただいまぁ〜」

「あ、お母さんお帰り!」

「母さんお帰り。僕も今帰ったとこだよ」

「あらあら、じゃあ夕御飯のしたくをしないとね」

「あのね、あのね。今日は唯が作ったんだよ!」

「え?唯が?」

「うんっ!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:35:02.49 ID:2W/Q1J5DO








「それじゃあ」


『いただきます!』



おしまい
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/30(月) 21:38:03.38 ID:2W/Q1J5DO
以上になります



なお、途中で出てきたアイドルの名前は、「アイドルマスターシンデレラガールズ」から借りておりますのをご了承くださいませ

ではHTML依頼してきまつ
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