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【艦これ】龍田「私とあの人と……愛宕と高雄、とその他」

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440 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:11:53.94 ID:2Y3b44icO

< ただただゆったりと幸せな状況 >








天城「ふぅ……今日は風が強いですね」

雲龍「ええ、でも暖かいしそろそろハンモックを出してもいい頃合かしら」

天城「いいのじゃないですか? 今年は天城も用意してみようかな、なんて」

雲龍「そう……」

天城「ええ」

雲龍「…………」

天城「…………」

雲龍「…………どうしたの? 」

天城「別に、いい風だなって。…………どう切り出せというんですこの状況で」
441 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:12:56.85 ID:2Y3b44icO

< あなたの禍福が私の禍福 >








提督「ふぅ……疲れんな帝都行脚」

高雄「殆ど友人同期の類いでそれ以外も利害の一致する相手ばかりでしょう」

提督「だから疲れないってわけでもないし。……ごめん、ちょっと手握って」

高雄「ん……」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………」

高雄「…………」

提督「…………夜、何食べたい? まぁまぁの可能性で叶えてあげられないけど」

高雄「あなたが好きなものを。……なんならばあなたが要らないなら私も要りませんよ」
442 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:13:25.49 ID:2Y3b44icO

< それでも無理矢理に >








天城「えーと……ハンストって」

雲龍「? ええ」

天城「……」

雲龍「……」

天城「…………」

雲龍「…………? 」

天城「…………ハンストってパンストに聞こえません? 」

雲龍「滑舌が悪ければそうかもね。……何? 飲み過ぎてあなた壊れてしまったの? 」
443 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:14:27.71 ID:2Y3b44icO

< 世間的穴馬が推しに見え始めると終わりだよねって >







雲龍「馬鹿なの? 」

涼月「」

天城「ノーコメントで」

初月「だから言ったじゃないか、もう」

涼風「実に分の悪い賭けだったなー」

Littorio「その辺りの反応を読み切れる男の判断を聞くべきでしたね。……不幸なことにいませんけれど」
444 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:19:22.84 ID:2Y3b44icO

< 変わりたいというわけでもなく >






時雨「ふーん……そうなんだ」

あきつ丸「そうらしい」

時雨「まぁ時間の問題だったかなって気もするけど」

あきつ丸「そうでありますね。あれで変化を恐れない辺りが無能と言えない理由であります」

時雨「そりゃああの人捕まえて無能って言えるような人間はいないさ」

あきつ丸「人間性のマイナスを補って余りある小賢しさ、か」

時雨「うん。…………僕たちの特務にも利益はあるのかいそれ」

あきつ丸「さてな。恩は売ってやったでありますが……」

時雨「ならいいじゃん。あの人可愛いと思った女に売られた恩は言い値で買うよ」

あきつ丸「意図せぬ喧嘩も買われてしまうが。…………ふぅ」

時雨「僕たちにも覚悟を決めて変化を受け入れられる器が必要なのかもねぇ……」
445 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:20:14.47 ID:2Y3b44icO

< 疲れた >







提督「拾いなぁ! この貧乏人がよぉ! みたいな」

高雄「みたいな? 」

提督「そういうこと言われて臆面も無く這いつくばって銅貨を拾う人間になりたい」

高雄「あなたは世間に喧嘩を売らなければいけない病気なんですか、高給取りの将校でしょうあなた」

提督「初期中世で遺跡がまだ遺跡じゃない頃の廃墟で遊んで現実の蛮族に刃向かって幼馴染と恋したいぃ……」

高雄「はぁ……」

大淀「帰っていいですか……女を会話だけで楽しませられるのが数少ない取り柄でしょうに」
446 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:22:45.87 ID:2Y3b44icO

< 或いはそれを見せているのか >







提督「阿賀野と離されたタイミングで禁断症状出たわ、すまん」

大淀「他の女の名前を出すなんて高雄さんに謝るべきでは」

提督「高雄が西洋史の話喜んでしてくれたら女神じゃん? 完璧じゃん? 」

高雄「あなたを独占できるのなら幾らでも詰め込みますが」

提督「それはただ合わせてくれるだけじゃん……駄目じゃん……」

大淀「駄目なのはあなたの品性かと」

提督「ひっでぇこと言うね」

大淀「ひっでぇのはあなたの人間性かと」

提督「確かに」

高雄「はいはい。……ほら、官費でホテル取ってるでしょう。
車内では寝てもいいですからホテルの玄関からはエスコートしてくれますよね? 」

提督「うん」

大淀「はぁ。……あなたがまともな数の護衛も無しに帝都で酔っているなんて周りにどう思われると思ってるんです。
鎮守府ではないにしろどこに陸軍だか政敵だかがいるか分からないんですから」
447 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:23:57.64 ID:2Y3b44icO

< 知りたいかね? >






提督「だってもう用は済ませたし。大淀に渡した資料が今回最後の用だよ」

高雄「だからあとは好きに飲んでいよう、と」

提督「そういうことだね」

大淀「はぁ。これでも一応は接待の体で来ているんですけど私」

提督「じゃあ任務通り接待してくれ。
俺の話適当に聞き流してそれっぽく見える時間いっぱいこの店にいてくれればいいよ」

大淀「はぁ」

高雄「ま、そう面倒なことも無いわけですから好きに飲み食いしなければ損ですよ」

大淀「そうなんでしょうけどね。…………このレベルの資料を対価にあなたは何を欲したんです」
448 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:26:31.05 ID:rOCyS5nDO

< コスパ× >







提督「言うわけ無いでしょ? 今回の君の任務にはそれを聞き出すことも含まれてるわけ? 」

大淀「いいえ、個人的な興味です。この情報って相当ハイリターンが無いと出せないものでしょう」

提督「高雄にもおしえてないことおしえてあげると思う? 」

大淀「股でも開きましょうか? 」

提督「それで大淀に得るものがあるなら考えてやるよ」

大淀「高雄さんとの絆に幾許かの擦り傷くらいは与えられてあなたの弱みを握れますね」

提督「あっそ。…………だそうだけど」

高雄「うぅん……ちなみに私が股を開けばおしえてくれるの? 」

提督「明日の夜か明後日中にはどうせおしえるから今はおしえてあげない」

高雄「なら、いいです。……どうぞ? 大淀さんの純潔、弄んできては? 」

提督「お、いいってさ」

大淀「結構です。……個人的興味で高雄さんに弱みを握られる方が余程酷い話ですし」
449 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:30:03.40 ID:4LF9opr4O

< 面白くないということが面白いものなのです、Z級って >






秋雲「うーん……なんか回線安定しないなぁ」

夕立「風が強いから? 」

秋雲「そんなことで不安定にはならないと思うけど……あのさ」

夕立「なぁに? 」

秋雲「秋雲さんは勝手にサブのモニターでゲームやってるからいいけどそのクソ映画って楽しいの? 」

速吸「? 当然つまらないですが」

夕立「このタイトルで面白いわけ無いじゃん」

秋雲「あ、そう……ならわざわざ大きいモニター使わせてなんて頼まないでほしいなぁ……」
450 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:35:07.73 ID:PKrNXjbEO

< 嫌とは言わないが >






鹿島「あのー……夕立ちゃんに呼ばれたんですけど」

那珂「同じく。……もう既に画面と面子見て嫌んなったけど」

秋雲「他人の部屋に勝手に他人呼びやがって……お菓子食べる?
生憎と秋雲さんの部屋にお酒は無いよ」

鹿島「持ってきましたので」

那珂「お土産のお菓子も結構あるよー」

夕立「わーい」

速吸「嗚呼……なんて、なんて雑な編集なんでしょうこれ、素晴らしいです」

秋雲「はぁ。……もうこれ長時間滞在決定しちゃってるじゃん。
夕立は兎も角速吸さんとか鹿島さんはこういうキャラだったかなぁ……」
451 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:40:14.73 ID:WBrBlZi9O

< 自由人が集まると誰が損をするだろうか >






那珂「んー、じゃあ那珂は? 」

秋雲「那珂ちゃんは何やってても違和感無いかな。便利キャラみたいな」

那珂「は? 」

秋雲「悪い意味じゃなくて大概周りに合わせられるじゃん。
そんなの夕立には不可能だしこの場合たぶん速吸さんも無理だよ」

鹿島「私や秋雲さんも今は怪しいところですしね」

秋雲「そんなわけ」

鹿島「誰かに合わせようというヒトは全くモニターから目を逸らさずにぞんざいな会話をしませんよ」

秋雲「部屋貸して大きいモニター貸してお菓子まで出してるんだけどこっち」

那珂「そりゃそうだけど。……まぁ、カシマールと適当に飲んでお喋りしてるから一息ついたら参加してね」
452 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:45:35.27 ID:dtrCZgVsO

< 抱き枕が無いと寝られない身体に >







提督「ふぅ……疲れた」

高雄「お疲れ様でした。……シャワー? 」

提督「うん。でも高雄先にいいよ」

高雄「そうしたらあなたそのまま寝てしまうでしょう」

提督「別にいいじゃんそれで」

高雄「嫌です。汗臭い酒臭いままのワイシャツの人に抱き締められるよりは綺麗になった人の方がいいから」

提督「それを言われるとどうも。……先に寝るなよ? 」

高雄「あら、汗の匂いのする女好きだったのでは? 」

提督「はいはい大好き。じゃあ裸で寝ててくれたら許すよ。思いっきり嗅いでやるから」

高雄「……ばか」
453 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:49:43.07 ID:85+KlfQuO

< 暇潰しとしては割に優良なのですこれが >







愛宕「んー……」

龍田「……うん? 」

愛宕「? 知らない? 数独」

龍田「知ってるけど」

愛宕「ちょっとこれ難しいのよねぇ……」

龍田「あ、そう。…………あなたのルックスでビール片手に懸賞雑誌って何かの間違いだと思いたいんだけど」
454 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/22(金) 23:54:19.54 ID:9a8VVM2PO

< 女二人で懸賞雑誌というのもね >







愛宕「別に懸賞目当てじゃないのよ? 誰が買ったのかも分からないけど倉庫から出てきたの」

龍田「懸賞目当てだとは最初から思ってないけど……三年以上前のやつなのね」

愛宕「この前高雄と掃除してたときに出てきたの。
前の要港部から出てきたときに要らないものは結構捨てたはずなんだけど」

龍田「ふぅん? 」

愛宕「あの人も高雄もいないし、明石とか加賀さんは部屋に帰っちゃったし、誰かと寝る気分でもないし」

龍田「だとしてあなたがそれっていうのが……そこ、9じゃなくて1だわ。
そこさえ直せば他も全部分かる」

愛宕「あ、そうね確かに。……あげる」

龍田「要らないわよそんなの。…………久々にワインでも飲みましょう? チーズでも持ってくるから」
455 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 00:01:02.85 ID:WzIAUdvrO

< さようなら昨日、こんにちはあなた >






提督「あー……クッソ眠い」

高雄「その割によく起きてましたね」

提督「シャワー浴び立てで良い匂いの高雄を抱き締めさせてくれるって聞いたから」

高雄「はいはい。……ん」

提督「バスローブのタイプで大体ホテルの好き嫌いが分かれる気がする」

高雄「ん、ふぅ……普通はそんなところで好きになったり嫌いになったりしませんよ」

提督「そうかな? 」

高雄「ええ、それに仮に好みのホテルじゃなかったとして」

提督「うん」

高雄「どうせ脱がしてしまえば良いと思ってるでしょう? 」

提督「まぁね。……寝て良い? 」

高雄「どうぞ。子守唄でも歌いましょうか」

提督「抱き締め返してくれればいいかな。…………ふぁ」

高雄「ふふ…………まるで大きな子供ね。そこが良いところ、だけれど」
456 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 00:01:18.81 ID:wshMNnDeO

ありがとうございました
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/23(土) 00:02:51.34 ID:haSgW9qd0
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/23(土) 00:04:32.01 ID:pYDkoAzko
お疲れ様です
459 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/04/23(土) 03:08:59.32 ID:z2b0ibaB0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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460 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:09:12.73 ID:LYZVhEppO

< 誕生日にはつい油断が >







雲龍「あなたが手を付けた女の中で最胸と最高身長は私よね」

提督「まぁそうだけど君に俺の何が分かるんですかね」

雲龍「で、最小で最小なのは海風でしょう? 」

提督「や、海兵のときの彼女の方が最しょ……忘れろ」

雲龍「イヤ。……胸? タッパ? 」

提督「…………胸」

雲龍「ふぅん……? 」

提督「……………………」
461 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:12:42.07 ID:LYZVhEppO

< 気分としては、ですが >







提督「てーか漸くダルい仕事終わらせて帰ってきた誕生日にそんなこと言われる理由」

雲龍「誕生日だから優しくしてもらえると思わないでくれる? 」

提督「なんて言い草。お前は鬼か何かかよ」

雲龍「昨日も一昨日も高雄と二人きりで遊んできているんだからいいじゃない」

提督「遊んでねぇんだけど……な? 」

高雄「あなたと二人きりだったので気分としては遊んでいたようなものですが」

雲龍「ほら」

提督「あのさぁ……」
462 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:14:50.43 ID:0XWMtRwmO

< 詭弁も数多弄せば理屈足り得るだろうか >






高雄「ま、気分としてそうだった、というだけです。あなたといたからですよ」

雲龍「つまり高雄と二人でいてもこの人気分としては楽しくなかったということね」

高雄「ほう……」

提督「……お前ら実は俺のこと嫌いだろう? そういう捻じ曲げ方するの酷くない? 」
463 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:18:04.29 ID:N8jbT54uO

< 感情の強さだけを見れば隔絶している >






高雄「ふふ……それこそ色んな視点から見れば」

提督「あん? 」

高雄「あなたのことなんて嫌いですよ。大っ嫌いです」

雲龍「そうね。ただ殺すだけじゃあ足りないわ」

提督「あ、そう……」

高雄「でも、だからいいんです。あなたは私なんかに相応しい相手だと思わせてくれる」

雲龍「私たち化け物のランクまで落ちてきてくれるわけだものね」

高雄「ええ、得難い人ですよまったく」

雲龍「これだからマゾはやめられないわ」

提督「……はぁ」
464 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:19:33.40 ID:XkIw1sb1O

< 入口まででいいんです、どこかへ一緒に行くって >







阿賀野「ねぇねぇ、コミケ? って歴史ネタとかニッチな分野の実用書がメインのコーナーとかもあるんでしょ? 」

漣「まぁ、漣も行ったこと無いですしコーナーというかブースって感じな気もしますけどあるみたいですね」

阿賀野「ふむふむ……ね」

漣「いいですよ。なんだかんだ漣も行こう行こうと思いつつ行けてないですし」

阿賀野「ありがとー。いやー、持つべきは趣味に理解のある友達だねー」

漣「趣味を持つことには理解を示しますけど阿賀野さんの趣味自体には……いやいや」





叢雲「でもあれ結局二人とも分かれて回るのよね? 」

能代「まぁ……ほら、ようはここを出て回ってもいいですよねっていう言い訳作りで二人なだけだから……」
465 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:25:57.52 ID:XkIw1sb1O

< 抜け忍とかそういう類いになり得る >







能代「というか、えーと……皆さん好き勝手していていいので? 」

叢雲「あいつの誕生日はね、さっきみたいに一瞬だけ馬鹿程騒いで後はそのまま飲んで食べるだけなのよ」

能代「誰かしら懐に潜り込むか高雄さんと愛宕さんに侍られるかしそうなのに。
全員が全員牽制し合って動けないなら分かるけど」

叢雲「ま、そうね。……あいつ、優柔不断極まってるのよ。
誰かの誕生日ならそれを理由にして幾らでも頑張るけど自分の日は受け身なの」

能代「ひっどい話」

叢雲「だからこれは罰ね。誕生日だけは、一人で寝なくちゃならないの」






漣「二人きりで飲んでも牽制すり抜けられる筆頭が無視決め込んでますからなぁ」

海風「そうだね。……いっそ周りに嫌われてもいいなら特攻してもいいんだけど」

Littorio「……今日が特別なだけで明日からはいつもの日に戻りますからね」
466 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:30:49.22 ID:XkIw1sb1O

< あと364日待ってね ☆ >






赤城「少将閣下、ご機嫌麗しゅう」

提督「はいはい麗しい。……絡むなよ」

赤城「あなたが! いない! 所為で! 私の誕生日はグレードダウンしたんですよ! 」

提督「うっせぇよ……ほらこれでも食ってろ」

赤城「いただきます。……いなり寿司ってお酒に合います? 」

提督「合わない。でも別に悪くもない」

赤城「そりゃあお酒に全く合わない食べ物ってアル中からすれば無いかもしれませんけど」

提督「単純に好きだからだよばーか」

赤城「そうですか。……よく、やり切りましたね。正直あなたを侮っていたかもしれません」

提督「是非そのまま侮っていていただきたいね」

赤城「どうでしょうか。……お誕生日、お祝いしてもよかったですか? 」

提督「嬉しいよ。……ほら、どうせ来ると思って今持ってる。昨日は誕生日おめでとうございました」
467 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:34:51.83 ID:XkIw1sb1O

< 指で挟んでこれ見よがしに掲げて >







赤城「あら嬉しい。食べ物ではないプレゼントなんてあなたとあと何人かですよ」

提督「酒だけどな。……加賀でも引き摺っていって飲んでこい」

赤城「あなたの本命はこっちのUSBなんでしょうねぇ……」

提督「当然だろ薄汚い牝狐」

赤城「酷いこと言いますね。……ならあなたは? 」

提督「平凡な人間かな。人間性に溢れてる気もする」

赤城「つまり一等醜いということですよね。……では」

提督「あぁ」

赤城「あぁ、私もあなたからの指輪が欲しいなぁ、なんて」

提督「ばーか。…………本当に欲しいなら靴底でも舐めるだろうよ、お前は」
468 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:39:41.19 ID:XkIw1sb1O

< 良い気分と相殺される分だけ、まだ >






明石「はぁ……つまり? 」

高雄「雲龍さん、天城さん、扶桑さん、山城さんへの指輪が決定した、ってことですね」

明石「明日はクッソ気分悪いことになりそう……」

高雄「ああ、ついでに明石さんにも」

明石「はぁん? 」

高雄「よかったですね。これで夕張さんだとか大淀に自慢できますよ」

明石「あの人があの人じゃなければまぁ或いはってとこです。……マジ? 五人も? 」

高雄「ええ。詳細はあの人しか知りませんが」

明石「そうですか。…………せめて今日以外に知りたかったなぁ。割と良い気分で飲んでたのに」
469 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:43:25.90 ID:XkIw1sb1O

< 悪いニュースは後に残しておく主義 >







涼風「マジか、マジかー……って感じ? 」

赤城「然程驚くことでもないでしょう? 彼とその上の思惑を考えれば」

涼風「どうかな。あたいは正直望んでいるようには見えなかったけど」

赤城「それは私やあなたの結婚観だとか恋愛観によるのでは? 」

涼風「そりゃまぁ経験豊富な女ですとは言えないけどさ」

赤城「私も同じくです。……さて、涼風さん」

涼風「あん? 」

赤城「私とあなたの情報レベルが同じなのか、賭けでもしますか? 」

涼風「大穴狙いの博打はしない主義なんだよ、江風と違って」

赤城「あの子はそれで勝つタイプですけどね。
……あぁ、どうせ明日には結果を知ってしまうでしょうが」
470 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:45:01.29 ID:XkIw1sb1O

< 加速していく今日 >







提督「んー……」

瑞穂「? 体調が悪いのでしたらお休みになられては? 」

提督「や、体調は良いよ。気分もいつに無く大分良い方」

瑞穂「では飲み過ぎですね。やはりお休みになられては? 」

提督「そうだね……瑞穂さ」

瑞穂「? 」

提督「背の……あぁ、いや、ごめん、忘れてくれ。いつもの戯言を宣うところだった」

瑞穂「はぁ。別にいつものならそのまま言いっ放しにしてしまえば良いのに。……愛宕さんで良いですか? 」

提督「あぁ……頼むわ。はい、お駄賃」

瑞穂「えーと、ご丁寧にどうも? 」





天城「瑞穂さん、瑞穂さん、瑞穂さん? ちょっと待ってください」

瑞穂「はい? 」

天城「あの、えっと、何故に春秀の壺なんてものを無造作に抱えていらっしゃるので? 」

瑞穂「口調がちょっとおかしいですよ。……お駄賃? 」

天城「???? 」
471 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:46:13.75 ID:XkIw1sb1O

< 思考を読めないから、人間は幸せなのです >







愛宕「はぁい、お呼ばれしましたぁ」

提督「ん? あぁ……うん」

愛宕「うん? 」

提督「…………」

愛宕「…………? 」

提督「…………」

愛宕「…………?? 」

提督「…………瑞穂にさ」

愛宕「ええ」

提督「必死に背伸びして蕩けた女の顔してる明石なんて絶対見れないだろうね、なんて言ったら性格悪過ぎるよな」

愛宕「酔ってたとしても最悪ね。言ったの? 」

提督「や、愛と気分の良さ故に踏み留まった。褒めて? 」

愛宕「思った時点で割と……あー、はいはい、よしよーし? 」
472 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:51:10.90 ID:XkIw1sb1O

< コスプレでは終わらせないという意地がある >







江風「つーか本気で様になってンな。ふっつーに江風より様になる」

初月「僕もちょっと勝てないね。別に悔しくはないけど」

叢雲「ハン……私のタキシードなんてどこに需要があるんだか」

Roma「嗚呼……良いわ、素晴らしいものね。ガッツリ採寸してしっかり補正した甲斐があった」

叢雲「……あなたは涼月のメンタルをケアしてくれば? これはもう諦めて寝るまでは着てるから」

Roma「もう飲ませて潰したから今日はフリーなの」

叢雲「…………」

江風「えぇ……」

初月「……最低かお前」
473 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:55:48.86 ID:XkIw1sb1O

< 不覚にも突き刺さるということ >







漣「まぁ、でも? 実際最高に似合ってる気はするよ。
ご主人様も花束渡されたとき泣きそうだったし」

叢雲「こっちの方が泣きそうよ。何が悲しくておっさんに花束渡すためにコスプレさせられた挙句ね、
ツーショット大会なんてやらされるのよ」

漣「そこは自分のルックスとキャラを恨むべきですなぁ。
叢雲ちゃんの正装とかホント可愛いから」

叢雲「あっそ。……でもあなただけは」

漣「うん? 」

叢雲「あなただけはツーショット欲しがらなかったわね、そういえば」

漣「漣様は頭悪いネタコスなら兎も角むーちゃんは素のむーちゃんだけでいい派なんで」

叢雲「…………」
474 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 21:57:08.97 ID:XkIw1sb1O

< 無理矢理吉兆と思い込む努力が必要 >







提督「んあー……」

愛宕「一番キスが好きなのは? 」

提督「ん……高雄と山城のどっちかかな。
どちらかというと高雄は求めてほしい方で山城は自分から求めたい方」

愛宕「なるほど。じゃあ、しゃぶるのが好きなのは? 」

提督「…………天城? なんか気付くとしゃぶられてるかもしれない」

愛宕「なるほどなるほど。色んな意味で飲むの好きそうだものね」

提督「いや、最近まで天城は飲み込めなかったよ」

愛宕「あ、そう……じゃあ

龍田「ちょっとあなた何面白愉快なこと独り占めしてるのよ」

愛宕「ん? なんだか久々に一人で変な酔い方してるから遊んでたの。たぶん大概のことは答えてくれるわよ? 」

龍田「へぇ……じゃあ

明石「やめときましょうよもう……そういう酔い方した次の日ってほぼほぼ酷いことになるんだから」
475 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 22:01:03.98 ID:XkIw1sb1O

< 憎まれっ子が望まれて憚ってもいいじゃない >






伊14「これ程新参者感に苛まれる日はありませんなー」

能代「まぁ……そうかな」

阿賀野「旧要港部組と横須賀の仲良し組は全員ツーカーみたいなものだから」

旗風「それでもこう、辛いものは辛いですよね」

松風「うん? あんな男どうでもいいんじゃなかったのかい」

旗風「苦しんで死んでしまえとは思ってるけど幸せな時間は共有させてほしいの」

伊13「最低……と言い切れない、というか……男として、じゃなくて、ボスとして……? 」
476 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 22:05:02.44 ID:XkIw1sb1O

< 別に落ちても実害は無いとは思うものの >







松風「というか他にも新参はいる気がするけどそこはどうなんだい」

阿賀野「Romaさんは凶悪な酔い方して涼月ちゃん潰した挙句むーちゃんに付き纏ってるね」

伊14「涼風はイヨたちと別ルートの異動だったしなんかこう別枠のあれだし」

能代「赤城さんを新参って言える無能はさすがにいないから」

伊13「全員、元々クズか、ここに毒された、ヒトたち」

旗風「ここが最後の砦、と。…………我ながら本当に最終ラインな気がする」
477 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 22:07:29.80 ID:ekRpjRb8O

< 大体生命の値段くらいのもの(適当) >







提督「うーん……たったちゃん」

龍田「ん、なぁに? 」

提督「あれ持ってきて、あれ」

龍田「さすがにこの状況からあれで伝わる程熟年夫婦染みてはないと思うんだけど私たち」

愛宕「私でもちょっと分からないわねぇ〜」

明石「どうせお酒でしょ。完全に場所把握してるの龍田さんと天城さんくらいだし」

愛宕「そうね」

龍田「それは分かるんだけどぉ〜……」

提督「あれって言ったらあれだよ。マッカランの25年。鍵三重にかけてるやつの手前の方の」

龍田「」

愛宕「うーん……高いやつなのね? 」

明石「たぶん。…………龍田のその顔だけで悪酔いできそうなんだけどやめてくれる? 」
478 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 22:09:36.52 ID:iBFzAQjsO

< 良いことだと、いいねって >







龍田「えーと……別に持ってくるのはいいし飲ませてくれるなら喜んで靴でも舐めるけど」

明石「うそぉ……」

龍田「値段もそうだけどそもそも数が減り続けてるわけよ? こんな反応もしちゃうわ」

提督「よすよす。なんならほら、鍵束貸してやるから好きなの持ってこい」

愛宕「久々に見たわその趣味悪い鍵束。南京錠とか多種多様な鍵ジャラジャラしてるやつ」

明石「まぁ、一応これでも大湊を預かる身として金庫とか書庫とかの数は……それ工廠奥に前から鎮座してる金庫の鍵? 」

提督「え? あぁ、そうそう。貸そうか? 」

明石「い、いいいいやいやいやいや結構です。
あなたそれ中身見た瞬間封印決めてたやつじゃないですか要りませんよそんな呪物」

愛宕「えぇ……」

龍田「…………本格的にぶっ壊れてるじゃないこれ。明日は何が起こるっていうのよ」
479 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 22:10:41.64 ID:VgAKtv3rO

< 面倒なことは全て投げ捨てて >






提督「まぁまぁ。悪いことじゃないさ。少なくとも俺にとっては」

愛宕「俺にとっては、っていうのが非常に重要なポイントね」

明石「龍田は全部諦めてお酒取りに行ったし……私も全部忘れようかな? 」

愛宕「一人くらい仲間でいてよぅ。……私にとっては? 」

提督「さぁね」

愛宕「んん……? 」

明石「うーん……ただの疲れと泥酔、そういうことにしたいポーカフェイスですねぇ……」
480 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/23(土) 22:12:16.29 ID:VgAKtv3rO

ありがとうございました
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/23(土) 22:14:41.19 ID:haSgW9qd0
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/24(日) 05:59:18.35 ID:Rs6vSg3Lo
おつ
483 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 22:57:12.14 ID:qfWSsQp60

< 大丈夫ではないのでお願いします、と言いたいところ >







提督「…………………………………………飲み過ぎたしなんかヤベーくらい頭痛い」

愛宕「えーと……そうねぇ…………あ」

提督「……うん? 」

愛宕「大丈夫? おっぱい揉む? 」

提督「……………………」

愛宕「……………………」

提督「……………………」

愛宕「……………………」

提督「……………………はぁ、もうそれでもいいや。
なんか流行とかキャラとかから離れてる気がするけど疲れて判断できない」

愛宕「……………………忘れて」
484 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 22:58:34.86 ID:qfWSsQp60

< 何にも分からなくても取り敢えず目の前にあれば >







提督「ん、いや、なんだ、普段ならノってた」

愛宕「あ、そう……」

提督「…………む」

愛宕「む? 」

提督「…………」

愛宕「…………? 」

提督「……ふへぇ……あったかい…………ふほぉ……」

愛宕「…………谷間に指突っ込むだけって斬新ね。
ねぇ、ホントに疲れてると思うの、もう一回寝たら? 」
485 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 22:59:37.29 ID:qfWSsQp60

< 朝日が眩しいのかあなたの笑顔が眩しいのか >








提督「あぁ……ずっと指遊ばせてられそう」

愛宕「んっ……ぁ、はっ……やめてよ、焦らすの」

提督「そういうわけじゃ……あーちゃん」

愛宕「んー……? 」

提督「結婚しよ? 」

愛宕「ん、いいけど……もうしてない? 」

提督「俺はしてないと思うよ」

愛宕「そ、じゃあ、する」

提督「そっか、ありがとう」

愛宕「いえいえ。……よろしくお願い致します、旦那様? 」
486 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:00:53.56 ID:qfWSsQp60

< 最悪っていうのはまぁ願望混じりの言葉だよねって >







山城「何よあなた、そんな青褪めた顔して」

扶桑「酒臭、いのはまぁ時々あるけどどうしたの? 」

龍田「……………………なんとなく全部分かった気がする。まぁ、推測の域だけど」

山城「はぁ……? 」

龍田「最悪……あぁ、この瞬間も最悪の底更新し続けてる気がする」

扶桑「???? 」
487 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:01:41.13 ID:qfWSsQp60

< 頭ぱんぱかぱーんレベルの混乱 >







愛宕「指輪……? 」

高雄「首輪ではなくて……? 」

提督「ちげぇよそんな趣味無い。
……悪いけど同じものにするつもりだから二人で話し合ってくれ」

愛宕「……」

高雄「……」

愛宕「…………マジ? 」

提督「マジ」

高雄「……………………」

愛宕「ちょっとフリーズしないでよお姉ちゃん……私だけ取り残されたみたいじゃないこれ」
488 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:02:14.19 ID:qfWSsQp60

< さすがにそこまで衝撃を受けるとまでは >







提督「なんならドレスも考えてほしかったんだけど」

愛宕「」

高雄「……………………ごめんなさい、ちょっと言っていることが分かりませんでした、少将閣下」

提督「だから指輪とドレス考えて、って。
申し訳無いが参列者は俺の親二人だけだし牧師の類いもいないぞ」

高雄「」

愛宕「」

高雄「」

愛宕「」

提督「…………………………………………酷い」
489 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:04:18.93 ID:qfWSsQp60

< 終わりの始まりには良い酒を >







明石「あぁ……そういう、ね……」

龍田「そうとしか考えられないでしょう?
昨日はなんだか状況に飲まれた上に楽しく酔わされて考えられなかったけど」

明石「確かに。……そっかぁ……うん、そういうことならまぁ、分かるかな」

龍田「別に今すぐこの状況が変わるわけではないと思うけど……」

明石「明確に何某かを終わらせようとはしてるんでしょうね、あの人」

龍田「遂に捨てられる準備が整った、ってことかしら」

明石「嫌な言い方」

龍田「でも一番的確でしょう? 」

明石「まぁ……」

山城「…………私も酔いたくなってきたから鍵貸しなさい」

龍田「はいどーぞ」

扶桑「そんな簡単に渡していいものじゃ……あぁ、私も要らないとは言ってないわ山城、私も行く」
490 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:05:39.68 ID:qfWSsQp60

< 逃避するには場所が足りません >







愛宕「いひゃい……ちゅねりゃないへ」

提督「気絶したような顔で黙るお前が悪い」

高雄「」

愛宕「いえ、いえ、いえいえ……私たちが悪いわけじゃないと思うんだけど」

提督「そうかな? 」

愛宕「そうかな? じゃないし……えーと、まぁ、指輪もドレスもどうにかはするわよ。
精々目玉が落ちない程度のお高いやつ用意して見た瞬間発情しない程度に綺麗なやつ用意するけど」

提督「そっか。どんとこい」

高雄「」

愛宕「あのね……や、でもお姉ちゃんはもう少しお姉さんらしくしなさい。たかおー? 」

高雄「いひゃい……ちゅねら…………夢の中でも顔の痛みはあるわよね。勿論それも含めて夢だもの」

愛宕「無理無いけどそうじゃないみたいなのよねぇ〜……」

提督「そうじゃないんですよお姉さん」

高雄「そんな他人事みたいね……嗚呼、他人事だった方がどれだけ楽か……」
491 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:08:25.66 ID:qfWSsQp60

< パンドラの底には云々() >







龍田「…………」

山城「…………」

扶桑「…………」

明石「…………」

龍田「…………」

山城「…………」

扶桑「…………」

江風「おは、よ……う? 遂にテートクが死ンだりしたのかこれ」

明石「おはようございます。そうじゃないですので安心して怖がっててください」

江風「はぁ……? 」

明石「…………我ながらこう、場違いな気がしますね。
まだここまでの瘴気を纏っていないって後ろ向きな理由だけど」
492 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:10:41.67 ID:qfWSsQp60

< 世迷言も現実にしてしまえば愛の言葉に >







高雄「ふぅ……落ち着きました、取り敢えず」

提督「そうか」

愛宕「冷たい水飲んで落ち着くって本当に有効なのね〜」

高雄「そうね。……あなたは後で暫くほっぺつねらせなさいね」

愛宕「嫌でーす。あれは高雄が悪いと思いまーす」

提督「俺もそう思う」

高雄「あなたの所為じゃない。いきなり考え得る限りでも最大級を優に越す世迷言を宣うんですから」

提督「いや、そんなこと言うなよ……割と頑張ったんですよ僕」

高雄「それはそうでしょうけどね……」

愛宕「一言ぐらいあってしかるべきよねぇ〜……や、あったとしてもしかしたら必死で止めたりしたかもしれないけど」
493 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:13:27.17 ID:qfWSsQp60

< 特に酔う必要も無いという幸せ >







赤城「実に鮮やかな手並でしたねぇ……全ての配下に指輪を与えたいと思っていると思わせるところから始めて」

涼風「佐世保の本体にも、呉や舞鶴の隷下にもシンパを増やして」

赤城「決して自分が音頭を取っているようには思われないようにしながら、
決して自分が失敗したのだと思われないように立ち回って」

涼風「ここまで妥協したのだ、と言わんばかりに指輪四つと他人から見れば何の意味も無さそうな重婚もぎ取っていきやがった」

赤城「軍事力強化を目論む現場としては実にいつも通りの妥協でしたからね。
各地に数十個の指輪が与えられて終わったわけですから」

涼風「重婚、というかその紙切れだけが欲しかったのにな。
あたいには見えるよ、あと何年だか十何年で軍から消える三人が」

赤城「何年も保つかすら怪しいですよ。……ふぅ、涼風さん? 」

涼風「あん? あたいは何も協力してないよ。妨害もしてないけど」

赤城「信じられるものじゃあ……いえ、涼風さんの方こそ私のことなんて信頼はしてくれないでしょうけどねぇ……」
494 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:15:41.99 ID:qfWSsQp60

< 合法的に冷静になれるクスリって売ってないのかな? >






愛宕「で、えーと、なんだったかしら……親、二人、呼ぶ? サンレツ? 」

高雄「惨い烈士と書いて惨烈という熟語があるわね。
極めて惨たらしいというそのままの意味だけれど」

提督「参加して列するの参列のつもりなんだけど。いない方がよかった? 」

高雄「そうではなくてですね……」

愛宕「正気? 遂にあなたヤリ過ぎて狂ったの?
それともご両親二人とも世の中に反発する狂人の類いだったの? 」

提督「失礼な。……俺がしたいって思ったときにたまたま親が側にいたから話してみただけだよ」

愛宕「嘘吐き」

高雄「誰が信じるっていうんですそんなの」

提督「まぁ、そうか。……オーケー、分かったもう一回冷たい水飲もうか。
なんでこんな冗談だけで親の仇見るような目で見られるんだよ俺」
495 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:18:20.02 ID:qfWSsQp60

< クールタイムにはあと何年必要だろうか >







提督「全部話してきたんだ」

愛宕「……は? 」

提督「軍の広報が出してる強化外骨格だか義体だか分かんねぇのじゃなくてな、
” 艦娘 ”ってのがどんな存在でどういう運用をされているのかも」

高雄「それは海軍どころか世界にとって秘中の秘では」

提督「知らねぇよそんなもの。身寄りは自分の姉妹しかいない、倫理なんてものは自分たちがつくる。
そういうやつらに絆されて共に生きようと思ってしまったって伝えてきた」

愛宕「…………」

高雄「…………」

愛宕「…………帰省してきた一人息子が唐突にそんなことほざき始めるのを聞かされたご両親に同情すればいいの? 」

高雄「そんなものを一応は飲み込んで全て認めた狂気に恐怖した方がいいのでは? 」

提督「はいはい。…………煙草吸ってくるけど、二人で頬つねりあったりするなよ? 」
496 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/24(日) 23:18:48.32 ID:qfWSsQp60

ありがとうございました
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/24(日) 23:21:58.48 ID:u7wcUxPi0
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/25(月) 03:33:42.73 ID:EICy0vToO
499 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:27:17.06 ID:bObQwfC90

< 大体いつも通り一夜明けて >








雲龍「どうせ勝ちようがなかったじゃない。
別に今すぐ捨てられるわけでもないみたいだし」

天城「……」

雲龍「これはこれで女としては責任も感じずに楽しめるでしょう?
ただやりたいことだけして時々愛情分けてもらって」

天城「…………」

雲龍「えーと、ほら……おっぱいがただ大きいだけの女には到底勝ち得なかったってことね」

天城「…………」

雲龍「…………助けて葛城」

葛城「私にどうせえと……寧ろ雲龍姉ぇがいつも通りを演じられることに驚いてるよあなたの妹は」
500 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:28:16.69 ID:bObQwfC90

< おかしいとかおかしくないとかどうでもいいよね >







雲龍「ん……演じているわけでもないというかなんというか」

葛城「事実をそのまま飲み込めてるとでも言うわけ? 頭ピンクなおねーさまは」

雲龍「飲み込めてるというかいつこうなるかって話だったでしょう?
今更こんなことで取り乱す程浅い覚悟で好きになったわけじゃないもの」

天城「…………」

葛城「はい追い討ち入りましたー。……それマジで言ってる? 」

雲龍「別にショックを受けてすらいないとかどうでもいいと思ってるわけではないけれど、そうね」

葛城「それマジで言ってんなら……いやいや」

雲龍「うん? 」

葛城「マジモンの化け物みたいな精神してんね、って」

雲龍「そうかも。……なんならこの足でベッドに誘ってきてもいいくらいなんだけど、おかしい? 」
501 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:29:30.98 ID:bObQwfC90

< そうやって出直してくる人ならばこんなことには >







能代「あのですね……割とこう、ストレートに大惨事なんですけど」

提督「ん? ってもまぁいつかしらはこうなるんだから早い方が良かっただろうたぶん」

能代「随分な自意識過剰……って言いたいところですが」

提督「現にこうなってるもんな。別に何にも思ってないわけでも考えてないわけでもないよ、俺」

能代「そんな男を好きになったとは皆さんも思いたくないでしょうね」

提督「あぁ。…………そんなドライな目で正論吐かれたら好きになっちゃいそう」

能代「馬鹿。…………せめてもう少し、好色で最低で自分本位な、
本気っぽい顔を演じられるようになってから出直してきてくれます? 」
502 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:30:45.51 ID:bObQwfC90

< ただこの時を >







雲龍「百年を超えて寄り添うよりもただ一瞬の時を分かち合う方が良いことだってあるのよ。
負け惜しみだと思われても良い、実際にそうなのかもしれない、でも信じさせられてしまったの」

天城「……………………」

雲龍「別にいいのよ? あなたが脱落してくれればそれだけ一人分の時間が浮くわ」

葛城「まぁ、確かに」

雲龍「私は変わらずあの人を求めるし、捨てられても簡単には諦めない。
あなたがそこで死んでしまうならあなたの感情もその程度の強さだったってことね」

天城「……………………そうですね」

雲龍「はぁ。…………葛城」

葛城「だから無理だって……私に何ができるっていうのさ」

雲龍「私が煽ったんだから、鎮火? 」

葛城「鎮めちゃ駄目じゃない? …………でも頭おかしいハメ撮り送信してきたときより真っ当な理由で沈んでる気がしないでもない」
503 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:32:29.67 ID:bObQwfC90

< 欲しいものに拒まれても望むことをやめない >







龍田「ふぅ……」

山城「……」

扶桑「……」

龍田「…………」

山城「…………」

扶桑「…………」

龍田「…………これほど籠の鳥でよかったと思うことは永遠に無いでしょうね」

山城「ええ。……どうせ最初から一番にはなれなかったってすぐ諦められたもの」

扶桑「或いはそれが悲劇な気もするけれど。……お酒でも飲みに行きましょうか、あの人たちと」
504 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:38:52.62 ID:bObQwfC90

< それでも距離でいえば短い >






Littorio「うーん……意外といえば意外、そうではないといえばそうではないですね」

海風「? 」

Littorio「雲龍の正真正銘化け物染みたメンタルだとか、
龍田が最初から全部諦めてなお唯一人を欲しているだとか、
扶桑姉妹のように追い縋って哀願することに甘美を感じているだとか、
そういった極端なタイプを除外してみて」

海風「一番ダメージを受けていそうなのが天城さんだということが? 」

Littorio「ええ、Littorioは雲龍や龍田を混ぜたようなメンタルに近いですし、
最初から異国人として情欲に振り回される役も楽しんでいますけれど」

海風「残ったのが加賀さん天城さん明石さん、と考えるとまぁ確かに」

Littorio「実は普通の女の子というやつに一番近かったのは天城だったというオチ? 」

海風「かもしれませんね。……ここからなら月でも太陽でもどちらもひたすら遠い、みたいな差ですけど」
505 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:43:59.52 ID:bObQwfC90

< 舞い上がっているのか追い詰められているのか >






高雄「ふぅ……どうやらまだ私は夢を見ているようね」

愛宕「随分長いおねむねぇ〜」

高雄「……本気で指輪もドレスも決めるの? 」

愛宕「決めないの? 高雄がそれでいいなら私は喜んで一人で行くけど」

高雄「そうじゃなくて……あの人本当に正気だと思う? 」

愛宕「種明かしをされればまぁ理屈はついたかなって。
色々長い間、それこそ要港部にいたときから根回しし続けて、
そのときの材料まで恐喝に使って漸くここまでやれたって言われれば、ね? 」

高雄「…………」

愛宕「そこまでして手に入れたかった、って言われちゃったら私にはもう選択肢が無いもの」

高雄「そう、ね。…………強いあなたが羨ましい」

愛宕「馬鹿ね。高雄程冷静じゃいられないだけよ。……これを逃したらもう永遠に手に入らない、みたいな」
506 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:47:07.42 ID:bObQwfC90

< 未知なるものへの恐怖 >






愛宕「でもまぁ……それこそ冷静になったつもりになって考えてみると」

高雄「ええ」

愛宕「諸々のファンタジー要素だとか軍どころか世界の大嘘はまだ一応想像くらいできそうじゃない。
小説でも映画でもなんでもいいんだけど」

高雄「陰謀論の類いとしてはかなり人気にはなりそうよね」

愛宕「ええ。……サラッと姉妹二人娶る重婚飲み込んでるご両親って何者? 」

高雄「え、えー…………えー、と……」
507 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/25(月) 23:48:25.01 ID:bObQwfC90

ありがとうございました
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/25(月) 23:54:15.48 ID:/rM3FWyZ0
乙 連載が7周年目だが今が最高に面白い
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/26(火) 13:53:12.06 ID:I++J3AUnO
とうとうか……
510 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 22:54:09.67 ID:8Pj8QK230

< 鯖の味噌煮ランチとかだと魅力が半減する気もする >







雲龍「ようは全部言い換えでしかないと思うのよね、そういうのって」

葛城「うーん……」

雲龍「何とかランチセットって結局のところ何とか定食みたいなものでしょう?
正直なところオムライス定食でもラザニア定食でも中身は変わらないわ」

葛城「まぁ、そう言われると確かに? 」

雲龍「お洒落に言えば良くなると思ってるのよ皆」

葛城「まぁ……実だけを見ればそういう見方もできるかな」

雲龍「だからね? 逆説的に重いマゾ女というのも愛情の深くて懐の広い女に

葛城「、はなりません。……そんなこと宣うためにわざわざ割と沢山の企業とか女に喧嘩売ったの? 」
511 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 22:56:41.66 ID:8Pj8QK230

< 他人の庭が汚く見える >







雲龍「ま、別に私重いマゾ女でいいんだけど」

葛城「そんなんでもいいとかいう女にならなくてよかったよ私」

雲龍「本当そうね。私じゃない女がそんなこと言ってたら見下げ果てるわ」

葛城「あ、そう……そういうよく分からない精神構造怖くなってきたよ最近。
もうちょっと妹の精神衛生とか気にしてくれない? いや、割と本気で」
512 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:00:20.10 ID:8Pj8QK230

< 手に入らないからといってそれを壊してしまうなんてあり得ない >







高雄「横須賀を筆頭として各地の鎮守府や隷下の要港部に詰める戦力を底上げするみたいですね」

明石「ふぅん……」

高雄「勿論、その妥協に次ぐ妥協の始発に一人の男のくだらない目的が介在していたなんて誰も知りませんけれど」

明石「くだらないってことは無いでしょ。曲がりなりにもたった一つの理想叶える為に何年もかけて成し遂げたんだから」

高雄「塵も積もれば、というかなんというか」

明石「幸せ積み重ねてく過程経て成就させたんでしょうが。……本気で殺してやりたいくらいですよ、私」

高雄「あの人を? 」

明石「高雄さんたちを。……私、相手の女に向かうタイプだったみたいです。これ、つい先日気付いたんですけど」
513 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:05:56.49 ID:8Pj8QK230

< 平素と何も変わらない微笑みでせめてもの毒を >







愛宕「んふ……どうしたの? 」

天城「いえ……なんというか、思ったよりも普通ですね、と」

愛宕「鼻歌歌って相好崩しながら何も手に付かなかったりしていてほしかった? 」

天城「余計天城が惨めに……いえ、そうかもしれません。
それなら億が一ですけれど愛宕さんを殺して終わらせたかもしれません。
友人の生命を奪った罪に耐えかねて自死する、そんな理由も付け加えられますし」

愛宕「天城はそんなことしないわ」

天城「できなかった、だけなんですよ」

愛宕「いいじゃないそれで。……どうする? あの人、今なら罪悪感で大概のことはしてくれそうじゃない? 」

天城「いいえ、祝って差し上げますよ、心から。
それがせめて背中を預けられる数少ない友人への義理ですし、それに」

愛宕「ええ」

天城「それが、あなたたちを一番苦しめられるから。
……あの人はそんなもの最初から背負っていて、
高雄さんが孤高を貫けるヒトだから愛宕さんが一番辛いでしょう? 」

愛宕「…………ええ」
514 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:09:24.09 ID:8Pj8QK230

< それこそ最高の褒め言葉です >







加賀「ま、これでも祝う気持ちは本当にあるわ。よく、ここまで耐えたわねって」

愛宕「それはそれは。ありがとうございます? 」

加賀「どういたしまして。……どう? 」

愛宕「はい? 」

加賀「気分はどうなの、って。赤城さんや涼風は一応少し前から動きを把握していたみたいだけど、
あなたたちには気取られないように隠していたんでしょう? 」

愛宕「最高に幸せですね。全て一人でやり遂げる覚悟と成功って素晴らしいと思います」

加賀「……そう」

愛宕「ええ。そんなに想われているなんてそれだけで達してしまいそうなくらい幸せ」

加賀「そう。…………煽った私が言うのもなんだけど、いい性格してるわね」
515 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:10:23.43 ID:8Pj8QK230

< 根底からこの場を覆し得る >








雲龍「あら、私にも呉れるのねその紛い物」

天城「……まぁ、これが問題無く作動すればあなたの気持ちは信じられますか」

扶桑「高次にある精神感応をより高める為に両者の想いを糧に相互補助を生み出す触媒、だったかしら」

明石「持ち運びを簡易にするためでもありますけど一応絆の証として指輪の形になってるわけですよ」

雲龍「笑っちゃうわねさすがに」

天城「それでも……これはある種天城たちのような存在だからこそ欲する形です。
二人きり信頼し合えるのなら寧ろ形が指輪である必要すらありません」

山城「そこはもう問題にするべきところじゃないわ。……ね? 」

提督「そうだな。いよいよ殿下が自分の終わりを考え始めたってことだ」

扶桑「なるほど。…………確かに、今更気持ちの持って行き場なんて考えている場合ではありませんね」
516 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:15:57.81 ID:8Pj8QK230

< 妹の立場で妹として以上に慕う、というプレイ >







鈴谷「ねぇ、妹、要らない? 今なら鈴谷のを一人あげるよ」

GZ「要らん。……しかしやはり妹とは特別な存在だと思うのだが」

時雨「やれやれ、これだからまともに妹のいないヒトは」

金剛「本当そうネー」

鈴谷「そうそう。実際に妹なんていてもあぁそうか、って思うだけだよ」

浜風「いえ……金剛さんと鈴谷さんはちょっと特殊だと思いますけど。妹さんそのものが」
517 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:19:56.78 ID:8Pj8QK230

< 身内になればまた一味違った >







鈴谷「まぁ、姉は姉で時々どうかなって思うときもあるけど」

時雨「まったくだね」

金剛「そこは私には分からないネー」

GZ「榛名や霧島に訊けば深く頷いてくれそうではあるな」

金剛「もうっ、比叡の悪口は許さないデース? 」

GZ「違うそうじゃない」

鈴谷「それはさっきの妹トーク編の内容だね」

時雨「まぁ……姉としてなら金剛の方が穏当な気は……いやいや」
518 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:26:26.91 ID:8Pj8QK230

< 導火線に精一杯息でも吹き掛けるかな? >







時雨「つまりさ、春雨が好きな提督っていうのは自分がいないときの提督なんだよね」

春雨「……そうだね」

時雨「ロリータ趣味でもなくて、ちょっとだけ薄い壁つくってなくて、対等に見てくれる」

春雨「……うん」

時雨「だけどもし仮にだよ? 春雨が人間でいう大体二十代後半くらいの見た目だとして」

春雨「? うん」

時雨「それでも提督のこと好きになったと思う? 」

春雨「当然でしょ? 精神年齢では別に幼いつもり無いんだけど」

時雨「そうだね。…………こういう潜在的な爆弾はあの女衒どうするつもりなんだろう」

春雨「?? 」
519 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:33:03.85 ID:8Pj8QK230

< 薄味とか濃い味とかそういう話ですらなくて >






愛宕「本日のメインはチーズカルビ煮込みでーす」

提督「おおう、また何か変化球できたな」

高雄「ですね」

江風「えぇ……」

Roma「なんでこんな専用っぽい鍋何個もあるの……」

愛宕「? 買ったからよ? 」

明石「設備は私が用意しましたよー」

Roma「それはそうでしょうけれどね……」

松風「……辛い」

旗風「? 甘くない? 」

松風「は? 」

旗風「?? 」

山城「辛味の旨みに敏感だということにしておくけれど……。
さすがに甘いと本気で思ってるならなんとかした方がいいと思うわ、本気で」
520 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:38:40.56 ID:8Pj8QK230

< 自分の感情に素直と言えないこともない >







天城「そういえば姉様と他愛無い話をしていたときに」

伊14「はい? 」

天城「イーゼルで殴り飛ばすわよ、なんて言われたんです」

伊14「あー、絵が趣味でしたっけ」

天城「絵“ も ”趣味なんです。……そういう冗談が言えるところに一瞬だけ変な憧憬を抱いたんですよ」

伊14「うーん……分からなくは、ない? 自分に縁の無いないもの持ってるヒトって凄く感じるもんね」

伊13「まぁ……そう、かも。普通、イーゼルなんて言葉、出ません」

天城「ええ。……それでよくよく考えるとあの為体の女相手に変な意味だとしても憧憬を抱く回数の方が多い自分に軽く眩暈を覚えまして」

伊14「……まぁ、才能は物凄くあるヒトだから」

伊13「……侮蔑したくなる、回数が多い、よりは……まぁ……? 」
521 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:43:04.24 ID:8Pj8QK230

< 施設ではなくて城だと思えばまぁ >







伊14「んふふふふ……でもそっか、絵筆とか沢山持ってるんだよね? 」

天城「そうですね。部屋にもありますけれど殆どの画材は専用の別室に」

伊13「お絵描き、部屋? 」

天城「ええ、汚しても良いお絵描き部屋と防音の楽器部屋を持ってますからね」

伊14「えぇ……」

天城「それからまぁ、逢瀬用の別荘みたいな部屋も。
共用の厨房よりも余程気合いを入れているであろう場所が」

伊13「えぇ……」

伊14「まぁ、必要は必要なんだろうけど……今更ながらに軍事施設ってなんだっけ……? 」
522 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:46:50.56 ID:8Pj8QK230

< 秘密の部屋 >







伊14「でもそっか、皆さん大体自分と姉妹だとかの部屋とは別にあの人呼べる部屋も維持してるんだ」

天城「ええ、お互い他人のそこには入らないのが不文律なのでどんな場所かは天城も知りませんが」

伊13「なる、ほど? 」

天城「時々通販だとかでものを頼んでいるのを見掛けたのに厨房に無いときだとかは間違い無くそのお部屋用ですよ」

伊14「なるほどねぇ……」

伊13「そっか……じゃあ、海風ちゃんが、頼んでた、あれは……そう……」

伊14「姉貴ぃ……? 」

天城「…………何を頼んでいたんです。そんな青褪める部分無かったでしょうこの流れに」
523 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:51:20.79 ID:8Pj8QK230

< いつかは通らなければならない道 >







雲龍「はーい、一人? 」

提督「ん? あぁ、なんか皆自分の部屋帰っちゃった」

雲龍「新婚予定の奥様お二人は? 」

提督「自分たちの部屋。俺はお呼びじゃないみたいだ」

雲龍「指輪と……本物の指輪とドレスでも選んでいるのかしらね」

提督「ッ……そう、かもな」

雲龍「この程度で後ろめたいような顔なんてしないで。余計惨めになる」

提督「悪い。…………ふぅ、何飲む? 今なら何でも、出すけど」
524 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:53:24.07 ID:8Pj8QK230

< 抑え付けたものの清算を >







雲龍「はぁ。…………抱いて、犯して」

提督「いいけどなんかあった? 」

雲龍「無いと思っているんなら……」

提督「うん」

雲龍「…………いえ、そんなのどうでもいいから、抱いて。
殺してくれてもいい、気持ち良く最中に逝かせてくれるのなら」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「……っ…………き、分じゃないなら、い

提督「莫迦。……くっさいキッモいサイテーな札、使っていいかな」

雲龍「こば、っめるわけ……ヤ、見ないでよ馬鹿。泣きた、っく、なんて無いのに、馬鹿っ」

提督「ごめん。…………二人きりになれるところ、行こっか」
525 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/27(水) 23:56:58.34 ID:8Pj8QK230

< 似ているようで全く違うものを貰った、貰ってしまった >







山城「ふぅ……なんだかんだいって譲ってしまったわね、雲龍に」

明石「まぁ、想いの深さと抑圧していたモノの量がちょっとね。
想いで劣っているとは思いませんけど」

天城「ふふ、この紛い物の指輪、握り潰してやりたくなります」

扶桑「そのうち高雄たちが正真正銘本物のこれを嵌めているのを見なくてはならないものね」

山城「……ええ」

明石「……そう、ですね」

天城「…………ボディに、入りましたよ今の」

扶桑「…………あの、さすがに空気を読めていないとかそういうことを言われても困るのだけれど」
526 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 00:02:04.15 ID:4kco3VUp0

< 泣いていないとは露程も思えない >







明石「それにしても……ふふ、指輪を貰ってこんなに沈む女って他にいます? 」

山城「いないわね。勿論問題無く作動したことには嫌でも喜ばされたけど」

天城「これだけ想い合っていてなお自分がナンバーワンでは無いことに打ちのめされますけれどね」

扶桑「人間の精神って深いというか強いというか、怖いと思ったわ」

明石「ただの重婚とかならクズの権力者が……とか思うところですけどねぇ……」

山城「これで合計八人? 少なくとも八人の女を一定以上は同時に愛するってドン引きよね」

扶桑「そんな男を愛してしまえる私たちもある意味では恐怖の対象かしら」

天城「真っ当な人間から見ればきっと。…………今頃姉様はどんな涙を流しているのでしょうね」
527 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 00:02:33.54 ID:4kco3VUp0

ありがとうございました
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/28(木) 00:05:48.57 ID:8O9wygtr0
529 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/04/28(木) 02:43:21.35 ID:xhThQAmo0
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530 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:29:14.30 ID:w7hoRbF20

< 寝起きに、ふと >






雲龍「……………………Zzz」

提督「ん……」

雲龍「…………ん……………………Zzz」

提督「…………」

雲龍「……………………」

提督「…………」

雲龍「……………………」

提督「…………」

雲龍「……………………」

提督「…………」

雲龍「……………………」

提督「…………痛い、雲龍。頸筋なんて噛んでも、楽しくはなれないよ」
531 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:32:37.41 ID:w7hoRbF20

< 朝日が眩しいから、背けているのです >






雲龍「もしかすると化け物具合が進行してヴァンパイアになってるかも、って思って」

提督「そんなわけ」

雲龍「それか、あなたの血を啜れば支配できるかと思って」

提督「そんな、わけ。……支配、したいの? 」

雲龍「されたいの。本音を言えば、あなたの唯一無二になれるなら立場は何でもいい」

提督「…………」

雲龍「ふふ……最低な顔」

提督「…………」

雲龍「嗚呼……最低、本当に、最低。あなたの苦しそうな顔見て安心するなんて、最高に最低ね」
532 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:36:22.42 ID:w7hoRbF20

< 一夜明け、団居は果てる >







雲龍「ん……ごめんなさいね、面倒な女で」

提督「別に。女の子は皆面倒なものだから」

雲龍「それはそれは……さすが女衒様ね」

提督「でも、それを面倒だと思わないのがいい男の条件だよ」

雲龍「よくそんな巫山戯たことノータイムで言えるわね」

提督「本音だからね。……気分、どう? 」

雲龍「いつも通り、ってところ。良くも悪くもないわ」

提督「そ……ありがとう」

雲龍「何が? 」

提督「俺なんかと一緒にいてくれて。……何、食べたい? 」

雲龍「助手席で風を受けたい気分」

提督「風食べたいとか霞食ってる仙人かな。……ん、シャワー浴びて、着替えてきて」
533 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:37:21.52 ID:w7hoRbF20

< “ くらい ” >







山城「あぁ……なんだか今日も気分が悪いわ」

龍田「何故でしょうねぇ〜」

扶桑「分かり切ったことって案外と頭の隅にしか居場所無いものね」

山城「ええ。……本当に気分、悪いわ。朝から愛車にもたれ掛かって女待つ男見た所為で」

龍田「あら〜」

扶桑「それはそれは」

山城「ふぅ…………最悪、もう何もかも失ったくらいに、悪いわ」
534 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:38:30.89 ID:w7hoRbF20

< 帰らなければいけない場所があるから >








提督「こんな適当に流して帰ってくるのでいいの? 」

雲龍「あら、このままどこまでも逃げてくれるっていうの? 」

提督「悪いな。……悪い」

雲龍「ふふ……いいの、これで。気分悪いからそれを拭いたくて抱かれて、
その朝に自分の身の程整理してるだけだから」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………」

提督「…………」

雲龍「…………佳い、風ね。ええ、このまま終われるなら、何も要らないくらいには」
535 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:39:12.88 ID:w7hoRbF20

< たまには真面目な話をしろとか言われたので >







Pola「実はベジタリアンになろうと思ったことあるんですよ〜。
ヴィーガンとかいうお笑いじゃなくてブレッサリアンくらいの」

時雨「はぁ? 」

Pola「Polaたちって人理から乖離した化け物じゃないですか〜。
だからそもそもこの世の何かを消費するのが罪を重ねることなんじゃないかって」

時雨「全く同意はできないけど、そうかい」

Pola「酸素だとかはまぁ仕方無いとして、
何にも食べなくても一応は生きていけるじゃないですか」

時雨「戦闘はかなり厳しいし精神的に死にそうだけどね」

Pola「そうそう〜。……何でやめたと思います? 」

時雨「不毛さに気付いたんだろう? 」

Pola「ベジタリアンの発祥ってね、大英帝国なんです」

時雨「HAHAHA! そりゃあ続けてられないね! …………とでも言えばいいのかい? 馬鹿なの? 」
536 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:41:00.59 ID:w7hoRbF20

< いや、真面目にやってる人を否定したいとは想いませんけれど >







WS「でもあなたワインだけでどうにかなりそうだしリキッダリアンくらいならできるのじゃなくて? 」

Pola「こう見えてPolaそれなりにお料理好きなんですけど〜……」

時雨「そもそも僕はそのブレッサリアンだとかリキッダリアンがよく分からないけどね」

WS「どうでもいいことですよ」

Pola「ですよ〜」

あきつ丸「ハンッ、身体に悪いから食べないなら兎も角動物が可哀想で食べない?
いっそお前が死ねば全て終わるだろうが間抜け」

鈴谷「そもそも感謝して食べる、が一番まともだと思うけどねー。まぁ、鈴谷野菜カレーも結構食べるけど」

GZ「まったくだな。……全てカレーに結び付けるのはどうかとは思うが」
537 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:42:14.87 ID:w7hoRbF20

< それはどんな出逢いになるのだろうか >







海風「星座別ラッキーコスメってなんなんだろうね」

江風「や、知らないけど」

海風「一応十一月二十七日って星座的には射手座なんだけどさ」

江風「うン」

海風「ラッキーアイテムがゴールドのアイシャドウって何の冗談なんだろうね、って」

江風「それ使うとどうなるわけ? その占い的な何かに従うと」

海風「“ 突然の友人からの紹介やお誘いで素晴らしい出逢いがあるでしょう ”だって」

江風「うーン……」

龍田「ん……おはよ」

海風「…………」

江風「…………」

龍田「? なぁに、私が何かした……? 」
538 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:43:08.37 ID:w7hoRbF20

< 愛してくれるならwin-win? >







海風「えーと……私と龍田さんって、友人ですか? 」

龍田「そんなこと訊かれたら普通傷付くと思うんだけど……まぁ、友人でいいんじゃない? 」

海風「私に誰かを紹介するってなったらどんな人選んでくれます? 」

龍田「ごめんなさいね、本当に意味が分からないんだけど……」

江風「占い擬きネタで喋ってるだけだからテキトーに返してくれればいいよ」

龍田「ふぅん? ……そうねぇ〜」

海風「ええ」

龍田「…………ふふ、あの人を優に超えるガタイのサディストと一途なロリコンどっちがいい? 」

江風「ンなのどっちも願い下

海風「サディストさんで。どうせ私壊れませんし」

江風「あ、姉貴ィ……? 」
539 : ◆5z7C0EoTrg [saga]:2022/04/28(木) 21:43:51.72 ID:w7hoRbF20

< 続ける意味は特にありませんが >







江風「あのさぁ……」

海風「だって占いネタに被せてノってくれたんだからこっちもノらないと」

龍田「ふふ……本当に紹介してあげましょうか? 」

海風「構いませんよ? 私にメリットがあるなら」

江風「メリットって姉貴さ」

龍田「うーん……あの人の先輩に当たる筈だけどそれなりに実家はお金持ちみたいだし財界方面には強いわねぇ」

海風「なるほど。つまりその人を釣ればあの人には役立つんですね? 」

龍田「そうかも」

江風「だから、あのさ……」
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