【シャニマス】摩美々「事務所対抗サッカー大会?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:37:39.61 ID:+TIzlW0iO
事務所対抗サッカー大会。少し前までは運動会だったらしいけれど、どこぞの事務所が他の事務所に勝ちを譲れと八百長を持ちかけていたことが発覚し、サッカー大会に変更されたらしい。
「まー、どうでもいいですけどー」
「そんなこと言って!さっきも大活躍だったじゃねぇか!」
そうやってMFの摩美々の肩を叩くのはFWの樹里。今大会のアシスト女王と得点女王だ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1651718259
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:38:34.25 ID:+TIzlW0iO
「私動くの嫌いですしー」
「そうだね、摩美々の動きはまさしくファンタジスタだよ」
最小限の動き、ワンタッチでゴールへの道を切り開く。摩美々がパスを出し、咲耶のポストプレイから樹里が決める。これが283プロの黄金パターンになっていた。
「…私以外にもいるでしょー」
ワントップの咲耶、右サイドの樹里に並ぶもう一人のFWは左サイドの霧子。まさしくシャドーストライカーと言える活躍で、チーム内2位の得点率。ダブルボランチは大崎姉妹。甜花のスタミナの無さを息の合ったコンビネーションでカバーしている。センターバックは高さの千雪と頭脳の三峰。オフサイドトラップ成功率はこの二人によって支えられている。両サイドバックを務めるのは果穂とあさひ。無尽蔵のスタミナでピッチを駆けずり回り、攻守に活躍する。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:39:00.88 ID:+TIzlW0iO
「さあ!決勝に向けて今から筋トレよ!」
「いや、夏葉ちゃん!疲れ残したらダメだから!」
GKの夏葉にツッコミを入れるマネージャーの智代子。夏葉は年長者らしく試合中は抜群のコーチングを見せるのだが…
「ったく、浮かれてんじゃねぇよ」
「でもでも!決勝なんて凄いです!!!」
「…まぁそうかもな」
283プロは順調に勝ち上がり、決勝戦にまで駒を進めた。
「…」
「どうしたの?まみみん?」
「んーん…何もないといいけどー」
何か得体の知れない不安がその時摩美々の胸の中を駆け巡る。その不安は残念なことに実現してしまう…
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:40:41.52 ID:+TIzlW0iO
「樹里!樹里!大丈夫なの!?」
「樹里ちゃん!樹里ちゃん!」
「いや、騒がしいな!ちょっと階段でこけただけだっての!」
樹里の怪我が発覚したのは決勝戦の始まる20分前だった。
「これくらい大丈…っつ…」
「そんな…無理だよ!樹里ちゃん!」
「…」
無理を押して出ようとする樹里。エースストライカーとしての自覚が彼女をそうさせるのだろうか。しかし、樹里の足は赤く腫れ上がりとても試合なんてできる状態ではない。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:41:11.14 ID:+TIzlW0iO
「そもそもアイドル活動に支障が出るわよ。次の試合は休みなさい」
「でも…」
「…」
そんな樹里の様子を摩美々はじっと見ていた。何かがおかしい。樹里は熱い性格ではあれど現実が見えないほどバカじゃない。ここで引かなければ今後の仕事に差し支えるのは明確だ。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:42:12.06 ID:+TIzlW0iO
「…わかった、夏葉の言う通りにするよ」
「ええ、大丈夫、樹里の分まで頑張ってくるから、ねえ、果穂?」
「はい!!!絶っ対!樹里ちゃんに優勝カップを持っていきます!!!」
「ははは、楽しみにしてるよ」
そう答えた樹里の目はしかし笑ってはいなかった。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:42:43.65 ID:+TIzlW0iO
「…なあ、摩美々」
「んー?なんですかー?」
みんなが出て行った後、なんとなくロッカールームに残っていた摩美々に樹里が声をかける。何となく、樹里の言動が引っかかり、部屋を出るのが遅くなった摩美々に樹里は秘密を告げる。
「…すまん、やられた」
「…やっぱりねー」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:43:21.17 ID:+TIzlW0iO
樹里の口から出た『やられた』という言葉。そもそもどこぞの愛すべきリーダーならばともかくとして、彼女ほどの運動神経の持ち主が何もない階段で転ぶなんて考えにくい。
「顔は見たのー?」
「いや、見えなかった…でも逃げる時のユニフォームは…決勝で当たるこだまプロだった」
「…でしょうねー」
決勝戦を控えたタイミングでこんなことをしてくるだなんて相手は決まっているようなものだ。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:43:58.89 ID:+TIzlW0iO
しかし、こちらも顔は見ていない。事務所の力を使えば知らぬ存ぜぬを通せるということだろう。
「そもそも、あの事務所前もおんなじようなことしたんじゃなかったけー?」
「あぁ、あくまで噂だけどな…」
以前この大会が運動会だった時もこだまプロはプロデューサーが裏で八百長を図っていたという噂がある。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:45:39.60 ID:+TIzlW0iO
「そういうところは出られないようにしないと意味ないじゃーん」
「まあ、噂は噂だからな…」
決定的な証拠は残さなかったあたり、相当なやり手だったのか、相手がよっぽど優しかったかのどちらかだろう。
「やっぱりアタシ試合に…ってぇ!?」
「無理じゃなーい?」
悪戯っぽく樹里の足をつつく摩美々は、けれど無理をしがちな樹里への戒めを込めて忠告をする。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:46:18.76 ID:+TIzlW0iO
「どうせ、他の子の心配してるんでしょー?」
「…果穂がやられるくらいならアタシがいく」
放クラのこの熱さが摩美々は苦手だった。けれど、この甘さは嫌いじゃない。どことなくアンティーカを思い出すから。
「まーまー、任せてよー」
「お前なぁ…大丈夫なのかよ…?」
「うーん、大丈ー夫ー」
だから摩美々は絶対に
「私、結構怒ってるんでー」
負けないと心に誓った。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:48:24.96 ID:+TIzlW0iO
「ね、ねえ、摩美々ちゃん…?」
「んー?どうしたのー?」
「…大丈夫かな?」
「大丈夫ってー?」
「その…恋鐘ちゃん」
「だだだだだだだだだだだ大丈夫ばばい!」
「こがたん、噛みまくりじゃん!?」
樹里に代わって試合に出ることになったのは恋鐘。これまでの試合では交代で出ていたこともあるのだが、スタメンになるのは初めてであり、緊張が伝わってくる。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:48:52.60 ID:+TIzlW0iO
「大丈夫ー、恋鐘はうちのリーダーだからー、ね?リーダー?」
「うぐっ!?も、もちろんばい!大船にのったつもりでおりんひゃい!」
「いやいや、めっちゃ緊張してるじゃん!?まみみんもワザとそんなプレッシャーかけるようなこと言わないの!」
「恋鐘、君を信じているよ」
「ひゃい!?」
「さくやんも!逆効果だからそれ!」
わざと揶揄っている摩美々と大真面目な咲耶。けれどそこにあるのは確かな信頼なのだ。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:49:20.32 ID:+TIzlW0iO
「ねーねー、果穂ちゃん」
「はい!あさひさん!何でしょうか!!」
「ちょっと面白いこと考えたんだけど…」
少し離れたところではあさひが果穂に話しかけている。
「えぇ!?そ、そんなことやったら…」
「絶対こっちの方が面白いよ!」
「でも…」
「怒られたら私に言われたって言えばいいからさ!ね!」
「う、うーん…」
側から見れば何か良からぬことを企んでいるようなあさひと、それに難色を示す果穂。けれど、あさひの口車にどんどんのせられていく。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:49:51.70 ID:+TIzlW0iO
「ね!やろうよ!こういう作戦ってヒーローっぽいでしょ?」
「はっ!た、確かに…先週ジャスティスブラックとホワイトが同じようなことを…」
こうして果穂はあさひの悪巧みに巻き込まれる。実は仲の良い二人だが、果穂があさひに流されるのはこれが初めてのことだった。いつもならばこの辺りで冬優子が止めにくるからだ。今回に限って止めに来なかったのは何故なのだろうか。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:53:36.51 ID:+TIzlW0iO
「「「よろしくお願いします」」」
選手が整列し、いよいよ決勝戦の試合が始まる。
「悔いのない試合をしましょう!」
「ふん…」
夏葉が差し出した手は対戦相手のアイドルには受け取られずに空を切る。
「よろしくお願いするわ!」
「…しつこ」
なおも握手を求める夏葉を鬱陶しそうに返す。予想外なのだ。同じユニットの仲間がやられたのだからもっとしおらしくしていればいいのに。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:54:21.95 ID:+TIzlW0iO
「ここにいるよりお見舞いに行った方がいいんじゃないの?」
「あら?どうしてあなたが樹里が怪我をしたことを知っているのかしら?」
「あっ…」
ニコニコと笑みを絶やさない夏葉の目にはしっかりとした敵意と闘志が燃えている。
「樹里が何もない階段から落ちるはずがないもの」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:54:51.08 ID:+TIzlW0iO
「くっ…なんだよ、うちらがやったていいたいのか?」
「いいえ、そんなことはどうでもいいの。だってもう決まってるもの」
相手に背を向け、グローブをはめ、自陣のペナルティエリアに向かいながら夏葉はこう続ける。
「この大会の得点女王は樹里よ。だって私が一点も入れないもの」
「…」
背筋が凍えるような視線を相手に送る。
「一つ教えておいてあげるわ。赤く猛る炎より、静かな青い炎の方が熱いのよ」
静かに静かに、夏葉は怒っていた。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:55:55.68 ID:+TIzlW0iO
「よろしくばい!」
「よろしくお願いしまーす?」
恋鐘があいさつしたのは、相手チームで一番売れているアイドルだった。
「あの〜恋鐘さん、大丈夫ですかぁ?」
「え?何が…」
「だってぇ、西城さん準決勝まで凄かったじゃないですかぁ、代わりができるのかなーって」
「うぐ…」
人畜無害のふりをして言葉で恋鐘を追い詰める。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 11:58:36.67 ID:+TIzlW0iO
「う、うちは…はぐっ」
「あー、大丈夫ですかー?」
緊張で脚が震える。こけた姿を嘲笑うかのような笑みを浮かべる相手が怖くて仕方がない。
「ほら、立てるかい恋鐘」
「しっかりしてよー」
「あ、ありがとう」
咲耶と摩美々が恋鐘を引き起こす。まだ脚は静かに震えていた。
「恋鐘さん、大丈夫ですかぁ?心配ですー」
「本当に心配なら助けてあげればいいのにー」
「まあまあ、落ち着こうよ」
そう言いながらも咲耶は「怒る気持ちもわかるけどね」、と小さく耳元で囁いた。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:00:33.15 ID:+TIzlW0iO
「ふひひひ、よろしくお願いします」
「…あぁ、よろしく」
咲耶にマッチアップしたのはオカルト系で売り出されているアイドルだった。
「はぁ、はぁ…」
「大丈夫かい?息が切れているようだけれど…」
まだ試合前にも関わらず呼吸が乱れている。しかし、咲耶の心配は悪い意味で覆ることになる。
「大丈夫です?はぁ?咲耶様ぁ?」
「そ、そうかい、それは良かったよ」
業界にもファンが多い咲耶。元々この手のファンが多いタイプだったけれど、ここまで心酔しているタイプは今まで事務所で遠ざけてきた。咲耶が実際に出会ってしまうのは中々ないことだった。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:01:18.27 ID:+TIzlW0iO
「ピィィィイ」
試合開始のホイッスルが鳴り響く。
「さてと…」
摩美々はボールを持ってあたりを見回す。
「言っとくけど、パスコースはないわよ」
「…そうみたいですねー」
曲がりなりにも決勝まで進んできたチームだけあって、パスコースは限定されている。しかし…
「まあ、関係ないんだよねー」
「!?」
「ありがとう摩美々、君からのメッセージ、受け取るよ」
真っ直ぐにフワリと浮いたパスを前にあげる。それだけで背の高い咲耶には充分なのだ。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:01:49.02 ID:+TIzlW0iO
「…やめて」
「え?」
「あ?」
パスは通ったはずだった。しかし、気づかないほど自然に咲耶はボールを奪われた。
「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて…」
「か、彼女は…一体…」
うわごとのように呟きながら虚な目を向ける。さっきとは違うヤバさがピッチを包み込む。
「あの娘は昔からあんたんところの白瀬のファンなの」
代わりとばかりに摩美々をマークしているアイドルが説明をする。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:02:20.54 ID:+TIzlW0iO
「だから許せないんだって、アンティーカになってからの…可愛くなっちゃった白瀬咲耶が」
「ふーん…」
「許せない…許せない…許せない…私は咲耶様を取り戻す」
「だから、ずーっと私のこと睨んでるんだー」
「特にアンタのことは許せないみたいよ、アンタ、特に白瀬と仲いいもんね」
「…別にー」
狂気を孕んだ目を隠そうともしない、あの手の輩は厄介だと摩美々の本能が告げている。
「あの娘は白瀬咲耶のことなら何でも知ってる。どこでボールを取りたいか、どこに欲しいか、全部わかってる」
だから簡単に取れるということなのだろう。
「もうそのホットライン使えないから」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:23:26.68 ID:+TIzlW0iO
「い、いけん、はよ取り返さんと…」
奪われたボールを取り返そうと恋鐘が詰める。
「は?近寄らないで?」
「ぶべ!?」
まだ緊張が解けていないのだろうか、簡単なフェイントに引っかかってこけさせられる。
「ふっ…ダッサ…」
「283って他にアイドルいないの?」
「流石にアレよりマシなのいるでしょ」
「うぅ…」
悪意しかない嘲笑が恋鐘を襲う。もちろんこれも相手の作戦だ。咲耶を分断し、恋鐘の心を折る。そうすることで点を取るFWを機能させないことが目的なのだ。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:25:39.81 ID:+TIzlW0iO
「流石にアレよりマシなのいるでしょ」
「うぅ…」
悪意しかない嘲笑が恋鐘を襲う。もちろんこれも相手の作戦だ。咲耶を分断し、恋鐘の心を折る。そうすることで点を取るFWを機能させないことが目的なのだ。
「私はアンタも嫌いなの」
「ふぇ?」
パスを出し終わったにも関わらず、わざわざ恋鐘の元に戻ってきて悪態を続ける。
「あんたみたいなぬるいリーダーが、咲耶様の足を引っ張ってるってわかってる?」
「あっ…あっ…あぁぁ…」
トドメだった。ガラガラと恋鐘の中で何かが崩れていく。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:29:17.54 ID:+TIzlW0iO
(恋鐘…)
何か言われているのはわかっている。それが良くないことであることも、けれど摩美々には聞こえない。
「行かせないわよ」
「…しつこい人は嫌われますよー」
ボールを取りに行こうにも、恋鐘に声をかけようにもこの女のマークが邪魔で思うように動けない。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:29:58.14 ID:+TIzlW0iO
「経験者ですかー?」
「…それがどうかした?」
別に経験者を採用することは珍しいことではない。たまたま283プロにはいなかっただけだ。しかし…
「いや、あなたみたいな人見たことないなーってー」
「…昨日デビューしたの」
つまりこの大会のためだけに、いや、この娘もデビューするための条件としてこんなことをしているというわけだ。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:30:34.25 ID:+TIzlW0iO
「とにかく、私はあなたに何もさせないから」
摩美々にセンスがあると言えど経験者には及ばない。一瞬の駆け引きやセオリーの引き出しが違う。
「ま、私以外で勝てばいいだけですしー」
「そんなこと言ってて大丈夫なの?」
「んー?」
「あんまりうちを舐めない方がいいと思いますけどー?」
バチバチとボールを持たない戦いが始まっていた。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:36:11.01 ID:+TIzlW0iO
「あぅ…ボール…取らないと…」
ボールは中央からやや左寄りに展開されている。ダブルボランチである甜花の守備範囲だ。
「え、えい…」
「邪魔」
「あう!?」
「甜花ちゃん!?」
フィジカルの弱い甜花だが、それよりも相手のフィジカルが強すぎる。明らかにこのミスマッチを狙った作戦だ。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:42:53.84 ID:+TIzlW0iO
「う、うぅ…」
「甜花ちゃん!甜花ちゃん!大丈夫?」
「引きこもりはゲームだけしてればいいんだよ」
心配して駆け寄る甘奈を尻目に更に言葉で甜花を貶める。
「ほら、走れ!」
そのままボールはDFにパスされて左サイドを駆け上がる。
(よし、守備に来い、壊してやる)
甜花と同じように、次はサイドバックの果穂を壊す。そうすることで守備を壊滅させるのが狙いだ。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:43:34.57 ID:+TIzlW0iO
「よしっ…って…え?」
「なんすか?どうかしたんすか?」
しかし、そこにいたのは果穂ではなく、あさひだった。
「ど、どうしてあんたが…こっちに…」
「そっちこそどうしたんすか?まるで『果穂ちゃんじゃないとマズい』って顔してるっすよ?」
「ぐっ…」
「冬優子ちゃんの言う通りだったっす」
何故あさひと果穂の位置が入れ替わっているのか、話は摩美々と樹里が話をしていたのと同じ時間にまで遡る。
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 12:48:00.53 ID:+TIzlW0iO
「…やられたわね」
「やられたって…何が?」
「あの西城樹里が階段から落ちるなんて不自然でしょ?誰かに落とされたのよ」
「えぇ!?そんな悪いことする!?」
「まあ、みんながみんなあんたみたいなやつじゃないって話よ」
驚く愛依にさも当然というように語る冬優子。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 13:02:43.59 ID:+TIzlW0iO
「流石冬優子ちゃんっすね!悪役みたいっす!」
「はっ倒すわよあんた!!」
あさひとしては褒めているつもりだが伝わらないのはいつものことだ。
「そんなの許せないっしょ!ここはウチらで…」
「…私たちが出ていってどうなるのよ」
「そ、それは…」
「そもそも私たちは今回選手登録してないじゃない」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 13:03:27.82 ID:+TIzlW0iO
「じゃあどうすんの!?黙ってこのままやられるしかない系?」
「そんなの嫌っす!」
「落ち着きなさいよ」
熱くなる二人を鎮めるように、冬優子は続ける。
「向こうがその気なら、こっちも仕掛けてやればいいのよ」
「へ?何を?」
「あさひ、アンタが暴れてくるのよ」
「わたしっすか?」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 13:04:52.45 ID:+TIzlW0iO
「何するんすか?スカイラブハリケーンとかするんすか?」
「何言ってんのよ、あんた小柄なんだから空中戦じゃ分が悪すぎるでしょ」
「そういう問題!?」
愛依のツッコミを聞きながら、冬優子は更に続ける。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 13:06:16.84 ID:+TIzlW0iO
「ポジションを入れ替えればいいのよ、小宮果穂の位置にあさひが入ればいいの」
「でもそれじゃああさひちゃんが削られるんじゃ…」
「はあ?そんじょそこらのアイドル風情がこいつに触れられると思う?」
「あー、なるほど…」
「つまりボール持ったまま全部かわせばいいだけっすよね?簡単っす!」
「いや、あさひちゃん凄くない?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/05/05(木) 13:07:10.68 ID:+TIzlW0iO
「でも逆側にいる人が果穂ちゃん削ったらどうするんすか?」
「だから、相手はそこにあさひがいると思ってるのよ。そんなポジション最初から捨ててるわよ」
あさひよりもあさひのことを正しく理解している冬優子だからこそ、わかる相手の考え。常にあさひに負けないように立ち向かい続けていたからこそわかる思考だ。
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