勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の完結

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:06:19.07 ID:Xx1bIi7d0
--------------

--------------

--------------

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/11/16(水) 19:08:08.62 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


ゴソゴソ カチャカチャ


女海賊「おっし出来上がり!」

女戦士「此処に居たか…何をしている?」

女海賊「プラズマの銃を左右に設置したのさ…強化クロスボウは反動強くて不安定になっちゃうから」

女戦士「もう何処かに行く想定なのだな?」ジロ

女海賊「そういう訳じゃないんだけどオークロードが居るならもう出番無いと思ってさ」

女戦士「私もそう思ってな…実は幽霊船に戻ろうと思って居たのだ」

女海賊「お?」

女戦士「ハテノ村はもう影武者に任せても良さそうだ」

女海賊「そだね」

女戦士「私とローグ…アサシンにリカオンを幽霊船に移動させたい」

女海賊「どっか行くん?」

女戦士「今の所予定は無い…ひとまず海賊共に情報を聞き出したいのだ」

女海賊「私も荷物を幽霊船に運んどこうかな…」

女戦士「荷物?」

女海賊「ダンゴムシだよ…なんかあのオークシャーマン信用出来なくてね…勝手に盗まれそう」

女戦士「まだ子供の様だがな…」

女海賊「いつアヌンナキが乗り移るか分かんないじゃん?」

女戦士「話を聞く限り悪い感じはしないがな」

女海賊「そうなんだけどさ…暁の使徒と黄昏の賢者が仲違いしたのは理由在りそうだなと思ってね」

女戦士「なるほど用心に越したことは無いか」

女海賊「ほんでいつ行く?」

女戦士「明日の朝だな…皆に説明してくる」

女海賊「おけおけ…準備しとくわ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/11/16(水) 19:08:42.72 ID:Xx1bIi7d0
『夕方_古代遺跡』


アーデモナイ コーデモナイ


女海賊「3人共やっぱこっちに居たんだ…」

魔女「うむ…聞いたぞよ?明日幽霊船に戻るのじゃろう?」

女海賊「私はすぐ帰って来るけどね…ほんで今何してんの?」

魔女「世界中の古代遺跡の場所を確認しあっとる所じゃ…機械の影響がどれほど及びそうか調べておる」

情報屋「北の大陸…いえシン・リーンやセントラルも無事では済まないかも知れないという話なのよ」

女海賊「え!?マジ?」

情報屋「少なくとも黒の同胞団が隠れ家として使って居た場所は古代遺跡の可能性が高い」

女海賊「それじゃフィン・イッシュにある遺跡もヤバイじゃん」

情報屋「そう…何処かに古代の軍用基地みたいな物があるのかも知れないの」

女海賊「なんかヤバくね?小型の機械がそこらじゅうで暴れ回るんだよね?」

魔女「うむ…じゃから影響が及びそうな場所を調べて居るのじゃ」

商人「セントラルは昔出所不明のウラン結晶を沢山持ってた…つまり黒の同胞団の隠れ家にはもうエネルギーは無いかも知れない」

女海賊「あれ?それじゃ名もなき島もヤバくね?」

情報屋「あそこはスタンドアローンで外部とは切り離されてるから大丈夫」

女海賊「ここは?」

商人「火山の近くで軍用の施設は作らないよ…多分ここは研究所さ」

女海賊「軍用…ほんじゃ海の近くか」

商人「そう言う事…海か川が近い筈…だからセントラルもフィン・イッシュも危ない」

情報屋「古代の地図では当時の主要な都市が有ったのは未踏の地で岩塩地帯になっているわ」

女海賊「ちょい待ちちょい待ち…キ・カイみたいに地下に埋もれてるとか有るかも…」

情報屋「一度海水に浸されて居るからもし有ったとしても岩塩で覆われてる可能性が高いと思う…」

女海賊「なんだよ結局行ってみないと何とも言えないじゃん」

魔女「母上に連絡して警戒を頼んでおこう」

情報屋「それならフィン・イッシュにも連絡を願えると良いわ」

魔女「そうじゃな…言うて置く」



---------------
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:09:13.57 ID:Xx1bIi7d0
調和の神エンキ…破壊の神エンリル

そして裁きの神アヌ…この3人の神が三大神として君臨…

その他にも月の神…太陽の神…冥界の神…様々な神が居てその数およそ2400の神が存在したらしい

多神教として繁栄したメソポタミア文明はその神の座に序列をつけ始め次第に争いになった…神々の戦いね

でもそのすべての神が人間に手によって滅ぼされ…現在に残っているのは裁きの神アヌだけ…


商人「どうしてアヌだけ都合よく残ったんだろう?」

情報屋「アヌだけは最も重要な神という位置づけだったのにその性質は殆ど知られていない…つまり何にも関わらなかった」

商人「やっぱり良く分からない神だなぁ…」

女海賊「その神全員がアヌンナキなん?」

情報屋「ここの機械にはそういう事が記されて居ないけれど…きっとそうね…集合意識の一部が何かの器に収まって降臨したと思う」

女海賊「ほんじゃ1000人以上のオークが当時地球を支配した感じな訳か…」

情報屋「その当時はオークでは無かった様ヨよ?レプティリアンというリザードマンの様な個体」

商人「1万年以上もアヌは地球で何を目的として居たんだろう?金が欲しいならさっさと採取して何処かへ行けば良いのに…」

情報屋「集合意識なのだから俗な知性は無いと思うわ」

商人「知性が無い?」

情報屋「単純に宇宙で存在する為のエネルギーを欲しているとか…意識を受け入れる媒体を求めているとか…」

女海賊「ちょい待ち…ほんじゃ知性は器の側が持ってるという事?」

情報屋「恐らく…私達にアヌが乗り移ったとして知性はそのまま維持してる…でもアヌの意識を感じて目的を得る」

女海賊「あああ…そういう事か…オークシャーマンもそうやって啓示を受けてるのか」

情報屋「集合意識という存在はそれくらいの事しか出来ないのよ…器に収まってやっと動き出せるというか…」

魔女「魔王も同じじゃのぅ…人間に暗示を与え操るしか出来ぬ」

情報屋「そう…器に収まって初めて何か出来る存在」

商人「前に僕はアヌンナキが地球を実験場にしてると言ったよね…もしかするとそれが目的かも知れないな」

情報屋「その可能性は高いと思うわ…遺伝子を組み合わせて自身が収まる優秀な器を作ってる…究極の生命体」

女海賊「むむ!!ほんじゃあのダンゴムシは…」

商人「完成したのか完成前なのか分からないけれど優秀な器である可能性はとても高いね」



------------
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:09:49.46 ID:Xx1bIi7d0
女海賊「ほんじゃ私朝早いからもうもう飛空艇に戻るね」

魔女「うむ…わらわ達はここで研究してる故気にせんでも良いぞ」

商人「そうそう!!盗賊が縦帆を修理するのに布が欲しいって言ってたよ」

女海賊「あーー幽霊船に乗ってたっけ?」

商人「漁村で入手出来ないかな?こっちの大陸は亜麻が結構育つからさ」

女海賊「おけおけ探してみるわ」

魔女「わらわはフルーツが欲しいで何でも良いから買うてきてくれ」

女海賊「へいへい…じゃぁ戻る!!」スタコラ ピューー

情報屋「フフお使い頼まれると思って急いで逃げたわね…」

商人「じゃぁもう一度伝説を整理しよう…アダムとイヴの伝説が生まれたのが…」


---------------

---------------

---------------
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:10:50.29 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


フワフワ


女海賊「はいはい早く乗って!!」

ローグ「アイサー」ダダ

アサシン「…」フラ ドサリ

女海賊「ん?アサシンは飲んだくれてんの?」

アサシン「何もやる事が無くなってな…海に出られて少しは気が晴れるかも知れん」グビ ゴク

女海賊「魔王を消して目的無くしたんか…」

アサシン「言うな…人生のすべてを掛けて辿り着いた場所が虚しかっただけだ」

女海賊「リカ姉ぇ…これアサシンヤバくね?」

狼女「そっとしておいて…」

アサシン「覚えているか?セントラルで初めてドラゴンライダーに圧倒された時の事を…」

女海賊「あぁ…100日の夜の始まりだっけ…」

アサシン「あの時自分の小ささを思い知らされた…しかし今は何も怖い物が無い…そして只虚しい」

女海賊「その心の穴は一生埋まらないと思う…私も同じだから」

アサシン「そうか…友が居たか…それならもう一人救わねばならぬ友が居る」

女海賊「もしかして…」

アサシン「公爵…奴こそ私の真の友になりうる…いや真の友だった」

女海賊「あぁ…よし!!付き合ったげようか」

アサシン「フフ…済まんな老害の戯言に付き合わせている様で」

女海賊「もう私等の時代は終わりかもね…アンタ言ってたじゃん時代の節目がどうとかさ?」

アサシン「そうだ…節目が来た…次の時代を担う者も目の当たりにした」

女海賊「影武者?」

アサシン「お前も飲むか?」スッ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:11:20.76 ID:Xx1bIi7d0
女海賊「ワイン嫌いなんだって…ハイハイ!もう行くからリカ姉ぇも乗って!!」

狼女「…」シュタタ ピョン

アサシン「そろそろリカオンの相手も探さんとな」

狼女「ええ!?どうして急にそんな話に…」

女海賊「なんか好きな人居るみたいだよ?ナッツの投げ合いしたとか言ってたさ」

狼女「ちょっと!!それは夢の話!!」

アサシン「ナッツ?地庄炉村の青年の事か?」

狼女「ち…違う!!」アタフタ

女海賊「ああ!!そうだ!!布を仕入れに行かなきゃいけないんだった…行ってみよっかな〜」チラ

アサシン「そうか…では命令する…リカオンは地庄炉村で盗賊ギルドの足掛かりを作れ」

狼女「え…」

女海賊「リカ姉ぇ良かったじゃん!!盗賊ギルド支部のトップだよ」

アサシン「フィン・イッシュから陸沿いにこの大陸に来れるのはあの場所が良いのだ」

女海賊「どんな人かな?見てみたいな〜ヌフフフフ」

アサシン「オーガを数人で倒す気概のある青年だ…悪くないぞ?フフ」


ツカツカ


女戦士「遅くなった…」スタ ドサリ

女海賊「お姉ぇ…装備全部持って行くのか」

女戦士「私の居場所は幽霊船だ…ここでの役割は終わった」

女海賊「まぁそだね…ほんじゃ行こうか!!」グイ シュゴーーーーーー


フワフワ フワフワ


---------------

---------------

---------------
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:11:47.39 ID:Xx1bIi7d0
『上空_川沿い』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥゥ


女海賊「羅針盤は完全に逆を差してんね…南西に向かってる」

女戦士「地図は新たに書き直した方が良いな」

女海賊「うん…まぁでも斜めに見ればなんとか分かるかな」

女戦士「方位線を書き足して置くぞ」カキカキ

女海賊「内海はやっぱ航海無理っぽい?」

女戦士「今の季節は暖かい時期だ…今の内に内海を脱出しておきたいな」

女海賊「どうすんの?ドワーフ領の方向行くん?」

女戦士「いや…それではいきなり東の外海に出てしまう…陸沿いに西へ行って地庄炉村からフィン・イッシュだな」

女海賊「西側の外海に出るん?そっちの方がデカいじゃん」

女戦士「陸沿いにフィン・イッシュに行けるのだ…外海と言っても沖に出なければ良い」

アサシン「私はフィン・イッシュに戻るのは急がなくて構わんぞ?」

女戦士「どうせ交易の拠点になるだろう…今の内に航路を見出しておく」

女海賊「まぁ陸沿いなら内海もなんとか航海出来るんだね」

女戦士「緯度的に冬は厳しくなるだろう…」

ローグ「また手漕ぎのガレー船が活躍するかも知れんっすね…」

女海賊「北方の海賊か…あいつらまだお姉ぇの海賊の中に居んの?」

女戦士「あの馬鹿共は全員裏切って豪族となった…女と金しか興味の無い者ばかりだ」

アサシン「フフ既に対立構造が見えて来て居るか」

ローグ「硫黄と硝石はこっちが押さえてるんで大丈夫でやんす」

女海賊「外海に向けて大航海時代が来そうだね」

女戦士「その中心地になるのがフィン・イッシュだと思われる…立地が良い」


-------------
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:12:15.62 ID:Xx1bIi7d0
『漁村上空』


フワフワ スイーーーー


ローグ「漁村に停船してる大きな船2隻が商船でやんす…沖で停船してるのはみんな海賊船っすね」

女戦士「父の船が見当たらんが?」

ローグ「ドワーフ領の方に行ったみたいでやんす」

女海賊「なんか海賊船めちゃ多くない?」

ローグ「へい…ここで拠点作ってるでやんすよ…見て下せぇ!もう一つ船が停船出来る港を作って居やす」

女海賊「どこ?」

ローグ「漁村の向こう側の海岸っすね」

女海賊「うわ…しょっぼ」

ローグ「木材が無いもんでしょうがないでやんすよ」

女戦士「まぁ大砲が設置できれば要衝としては機能する…それで私の船はどこだ?」

ローグ「沖に小さな小島が見えやすよね?あの脇にハイディングさせてあるでやんす」

女戦士「漁村までは小舟で移動か…」

ローグ「今はほぼ全員漁村に降りてると思いやす」

女海賊「どうする?どこに降りれば良い?」

女戦士「漁村で先に情報を集めるか」

女海賊「おっけ!!ちょい離れに降ろすわ」グイ



『漁村』


ワイワイ ガヤガヤ


女海賊「けっこう賑わってんじゃん」キョロ

ローグ「海賊王が開拓してるからっすね」

女戦士「父がまた謎の建物を建て散らかして居るんだな?」

女海賊「なんかさぁ…木材無いから全部中途半端じゃんね…」

女戦士「しばらくこの雑多な感じになりそうだ」

女海賊「市場って何処にあんの?布とフルーツ買って帰らなきゃいけないんだ」

ローグ「商船の所で売り買いやってますぜ?」

女海賊「おっけ!!」

女戦士「女海賊!お前は仕入れが終わったらハテノ村へ戻れ」

女海賊「ええ?もう?…てか荷物降ろして行きたいんだけど…」

女戦士「ローグ!妹を幽霊船まで案内しろ…私は仲間の海賊共とコンタクトしてから戻る」

ローグ「分かりやしたぁ!!」

女海賊「おっし!さっさと買い物済ませるぞ!!」スタコラ ピューーー
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:12:43.28 ID:Xx1bIi7d0
『市場』


ワイワイ ガヤガヤ

ハチミツに漬けたリンゴあるよ〜買って行ってくれぇ

ミスリルの武器各種揃っとるでぇ!買って行きぃな!!


女海賊「これさ…港町で商人が売った硫黄はこっちに戻って来てんじゃね?」

ローグ「そーっすね…みんな海賊が買い取ってウハウハなんすよ」

女海賊「それでミスリル武器も出回ってんのか…」

ローグ「ミスリル武器はここじゃ需要無いんで売れ残って居やすね…」

女海賊「キ・カイまで運んだら売れそうだね…グレムリン退治用にさ」

ローグ「姉さん!!ちっと高いんすが良質の布がありやす」

女海賊「お!?マジ?ほんじゃ地庄炉村に行かんくても良いな」

ローグ「果物はさすがに保存食にした物しか無いっすねぇ…」

女海賊「おけおけ!無いよりマシさ…てかハチミツ漬けなら私も食べたい」

ローグ「めちゃ高いでやんす…」

女海賊「良いんだって!!どうせ商人のお金だしじゃんじゃん使えば良いよ」

ローグ「じゃぁ買い取ってあっしが飛空艇に運んで置きやす」

女海賊「あとどんぐりとか種類が欲しいなぁ…」

ローグ「ありやすありやす…好きなだけ買って下せぇ」ジャラリ



『30分後』


タッタッタ


女海賊「お姉ぇとか何処行った?」キョロ

ローグ「分からんっすねぇ…」

女海賊「ぬぁぁぁ逸れたか…まぁ良いや!私ハテノ村に戻るからさ…よろしく言っといて」

ローグ「分かりやした…姉さん!!くれぐれも魔女さんから離れん様にして下せぇ」

女海賊「え?なんで?」

ローグ「姉さんと連絡取れなくなると頭が怒り出すんす」

女海賊「あーそういう事ね」

ローグ「姉さんは直ぐに何処か行っちまうもんすから頭の気持ちも察して下せぇ」

女海賊「ハイハイ分かった分かった…ああああああああ!!あぶな!!幽霊船に荷物降ろすの忘れてんじゃん」

ローグ「ハハそういう所なんすよ…幽霊船までは案内するんで一緒に行きやしょう」

女海賊「あんた私の事馬鹿にしてる?」

ローグ「いえいえ姉さんはカリスマっす…」

女海賊「あのさ?天然のカリスマってどういう意味さ?」

ローグ「すんごいカリスマって事っすね」

女海賊「ほ〜ん…てか無駄口は良いから行くよ!」スタ


-------------
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:13:12.24 ID:Xx1bIi7d0
『幽霊船』


フワリ ドッスン


ローグ「頭の装備品も降ろして置きやすぜ?」ヨッコラ

女海賊「幽霊船に誰も乗って無いじゃん…こんなんで良いの?」

ローグ「何言ってるんすか…アラクネーを置いて行ったのは姉さんでやんす」

女海賊「あー忘れてた…飛空艇に乗りきらないのを置いて行ったんだっけ」

ローグ「荷室で姉さんの宝を守ってるでやんす」

女海賊「なんか有ったっけ?」

ローグ「覚えて無いでやんすか?大量のウラン結晶と魔石がありやす…黒の同胞団の隠れ家から持って帰って来たやつっすね」

女海賊「アハ…完全に頭から無かったわ」

ローグ「謎の機械は海賊王に渡しやしたぜ?」

女海賊「そうだそうだ…組み立てようと思ってたのさ…アレ何だったかな?」

ローグ「天秤じゃ無かったでしたっけ?…あと重力炉?」

女海賊「ふむ…命の水とダンゴムシを守らせるのはアラクネーが適任だな…」

ローグ「それは何に使うのか分かって無いでやんすか?」

女海賊「全然…もしかしたらホムちゃんがメッセージ受け取ってるかもって感じ」

ローグ「そうっすか…分かるまであっしも宝を守って置きやすね…姉さんの帰って来る場所を…」

女海賊「お?あんた良く分かってんじゃ…私の帰る場所は此処さ」

ローグ「今度は居なくならんで下せぇよ?」

女海賊「ハイハイ分かった分かった…荷物運ぶの手伝って」ヨイショ

ローグ「へい…」ヨコッラ


---------------

---------------

---------------
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:13:41.01 ID:Xx1bIi7d0
『ハテノ村_古代遺跡』


ヒソヒソ ヒソヒソ


ノアの箱舟伝説の後に大洪水を起こしたのは神のせいだと決めつけた人間達が…

神が住む天界まで登る塔を建造した…それがバベルの塔…

でも神の逆鱗に触れいかづちによって破壊されてしまった…その場所がメソポタミアの地にある


情報屋「確証は無いけれどその場所こそ暁の墓所に当たるのでは無いかと…」

魔女「ふむ…現在では不毛の地か…」

商人「天界って何だろうね?」

情報屋「聖書に天空の城が描かれてる…当時は空を飛ぶ城が在ったのかも知れない」

魔女「実はのぅ…ニライカナイは浮島じゃ無いかと盗賊が言って居ったのじゃ」

商人「それが空を飛んでた?」

魔女「古代魔術の重力魔法を用いれば可能やも知れぬ…重力魔法の触媒は主に黄金じゃ」

情報屋「…という事は黄金と一緒にニライカナイに沈んでる可能性もあるのね」

魔女「今では黄金では無くアダマンタイトじゃがな」

商人「2100年前に時の王たちと共にその理想郷を復活させようとしたのかもね…結果的に失敗した様だけど」

魔女「死者が集う理想郷じゃと言う話がどうも引っかかるのぅ…」

情報屋「それって集合意識の事では?」

魔女「確かにそういう解釈も出来る…」

商人「天空の城が在ったとしてそこにアヌンナキが鎮座して一体何だと言うんだ?」

魔女「神のみぞ知るじゃな…」

情報屋「箱舟を失ってしまった後ではそういう方法でしか天に近付けない…とか?」

商人「何の為に天に近付くのかも良く分からない…やっぱり神は理解出来ないや」

魔女「ちと待てい…」

商人「んん?」

魔女「月に近付こうとしては居らんか?」

商人「ええ!!?」

魔女「狭間を通じて語り掛けて来るのはアヌだけでは無かろう…妖精も語り掛けて来るじゃろう」

情報屋「妖精の声に従ってる?」

魔女「アヌの声を聞くのはオークシャーマンだけじゃ…他の者は妖精の声を聞く」

商人「なるほど…それだとそれぞれの目的にその内行き違いが生じる…それが暁と黄昏が分かれた原因かもしれない」

情報屋「月に近付く為だけに天空の城を復活させようとした…でも黄昏の賢者の狙いは他に在った…そして破綻」

魔女「ニライカナイに量子転移を使った痕跡も有ったのじゃ…つまり魔王もそこに介在したのじゃ」

商人「キーになる物はニライカナイに沈んで居そうだ」

情報屋「それなら探しに行けないわ…」

魔女「月が退魔の光を発するようになれば行けるやも知れん」

情報屋「それなら私も行きたい…」



--------------
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:14:07.75 ID:Xx1bIi7d0
『新しく出来た酒場』


ガサゴソ ヨッコラ ドサリ


盗賊「おーし!!娘達!!今日からお前達の働く店は此処だ!!」

娘達「もう遊女っていう年でも無いんだけどね…」

盗賊「ここで市場の取り引きをやっても良い訳よ…まぁ寄り集まり所だヌハハ」

レンジャー「酒があるなら兵隊も来る様になる」

盗賊「だろ?まぁとりあえず何か酒持ってこい!!金なら払ってやる」チャリーン

娘達「お!!?金貨1枚ゲット!!」

盗賊「しかし俺が酒場作ってる間にみんな居なくなっちまってよ…」

レンジャー「置いて行かれたのか?」

盗賊「まぁいつもの事なんだが…俺はどうすっかなぁ…」

レンジャー「俺も脱走兵という立場で行き場を失った…」

盗賊「ミネア・ポリスにでも行って行方不明のギャング達でも探すか?」

レンジャー「影武者が言うには無事だと言う話だ」

盗賊「あんまり大人が関わらん方が良いか…」


ボエーーーーーーー ブシューーーーーー


盗賊「お!!?飛空艇が戻って来たか」

レンジャー「良かったな…話し相手が戻ってきて」

盗賊「ヌハハそれもあるが商人の気球を修理する布を買って来て貰ってる筈なのよ…ちっと行って来るわ」ダダ
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:14:38.96 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


フワフワ ドッスン


盗賊「いよーう待てたぜ?布は買って来てくれたか?」

女海賊「有るよ!!持ってって!!」

盗賊「よーし!!これで気球を修理出来る」

女海賊「漁村の方に結構人が居てさ…物資運搬で気球は動かした方が良さそう」

盗賊「やっぱりな?たまには俺も行きたい訳よ」

女海賊「私さぁ…名もなき島に行こう思ってんだけどアンタどうする?」

盗賊「俺はあの島に用は無ぇ…てか行っても暇なだけだ」

女海賊「まぁそうだね…」

盗賊「俺はちっと気球使って探検したいんだ」

女海賊「何処行くのさ?」

盗賊「決まってんだろ…ミネア・ポリスの遺跡を漁りに行くのよ」

女海賊「なる…」

盗賊「レンジャーとはそういう話してんだ…まだ未発掘の遺跡なんかごまんとあるらしい」

女海賊「マジか…」

盗賊「お前も行くか?」

女海賊「私は先にホムちゃん起こしに行くよ」

盗賊「そうか…どの荷物おろしゃ良いんだ?」

女海賊「布だけだよ後は魔女のおやつだから」

盗賊「分かった!!ほんじゃ布は貰って行くぜ?」ヨコッラ

女海賊「うん…」---なんか---


---みんなの目的がバラけ始めた---

---みんな未来に向かって行ってんだ---

---私も進まなきゃ…月へ---
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:15:06.91 ID:Xx1bIi7d0
『古代遺跡』


ヒソヒソ ヒソヒソ


結論はこうさ…人間が生んだ神…アダムとかホムンクルスとか

アヌンナキはそれに全く勝てないんだよ…考える力というか問題解決を導く力が…

だからそれを封じたい…そういう歴史なんだ


魔女「ふむ…それなら機械を敵にする動機が十分じゃな」

商人「アヌンナキは神の声を通じて人間やオークをコントロールする…でも機械にはそれが通じない」

商人「それどころか人間を上手く導く精霊に手も足も出なかった…どうしてか?…器が無いからさ」

情報屋「それではorc遺伝子を組み込んだホムンクルスはアヌンナキの導きを聞いてしまうのでは?」

商人「かも知れないね?でもホムンクルスは考える…問題が何なのかね?そして正しい答えに到達する筈さ」


スタスタ


女海賊「呆れた…ずっとここで議論してんの?」

魔女「おぉ帰ったか…ずっとでは無いぞよ?」

女海賊「なんかいっつも此処に居んじゃん」

魔女「フルーツは入手出来たのか?」

女海賊「うん…飛空艇に積んで有る」

魔女「なぜ持って来ん」

女海賊「今から名もなき島に行くから皆を呼びに来たのさ」

商人「お!!?いよいよか…」

女海賊「もう行ける?」

情報屋「温泉に入ってからで構わない?」

女海賊「あー私も入るかな…温まったら寝ちゃうかもだけど」

商人「大丈夫さ…僕には名も無き島に行ける自信がある」

女海賊「おけおけ!ずっと寝て無いからちっと休みたかった」

情報屋「じゃぁ温泉に入った後に飛空艇に集合ね?」

魔女「うむ…わらわも行こうかのぅ」ノソノソ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:15:33.86 ID:Xx1bIi7d0
『温泉』


モクモク チャプ


魔女「情報屋の胸の傷は消えそうに無いのぉ…」

情報屋「気にして居ないわ?」

魔女「やはり年を重ねてしまうと体も衰えるのじゃな」

女海賊「足の調子はどうなん?」

情報屋「昔の様にはもう走れないけれど普通に過ごすにはそれほど不自由無いわ」

魔女「それにしても主はどんな怪我をしても完全に治りよる…」

女海賊「そりゃ回復魔法されないように気を付けてるからさ…まだピチピチさ」

情報屋「ハーフドワーフの寿命はどの位?」

女海賊「分かんない」

魔女「羨ましいのぅ…」

女海賊「てか魔女はまだ子供の体じゃん」

魔女「変性して居るだけじゃ…肉体は衰えて来て居るじゃろう」

女海賊「なんか魔女がもうおばさんとは思えないんだよなぁ…」

魔女「そうじゃ…情報屋に一つ願い事があるのじゃ」

情報屋「何?」

魔女「主にはわらわの師匠の跡を継ぐ資質がある…故にわらわと共にシン・リーンへ来て貰いたいのじゃ」

情報屋「ええ?もしかして私に塔の魔女をさせるつもり?」

魔女「魔法は使えぬでも構わぬ…教えを説いて欲しいのじゃ」

情報屋「教え…」

魔女「この世の真理じゃ…主はそれを説ける資質がある…その知識をすべて書物に残す事もわらわが手配する」

情報屋「盗賊を一人残すのは心配だし…子供の事もあるし…」

魔女「今すぐにでは無い…その時が来たらの話じゃ」

情報屋「そう…それなら構わないけれど…」

魔女「師匠の意思を継ぐ者が居るとなればわらわも母上の跡を継ぐ事も考えられる」

女海賊「お?とうとう女王様になるん?」

魔女「今すぐにでは無いと言うたじゃろう?」

情報屋「塔の魔女か…」

魔女「気負わんでも良い…真理を探究しても良いと言う話じゃ」

情報屋「分かったわ…考えて置く」

女海賊「そう言えば塔の魔女の婆ちゃんは情報屋みたいな感じだったなぁ…」

魔女「うむ…そっくりじゃ」


--------------

--------------

--------------
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:16:03.86 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


スタタタ ドサー


女海賊「もう無理…寝る…妖精来い!!寝るよ!!」グター

妖精「なんだかなぁ…おっぱい暑苦しいなぁ…」ヒラヒラ

情報屋「私も少し横になるわ…商人!操舵はお願いね」

商人「大丈夫さ!僕は眠らないから安心して良いよ」

情報屋「吟遊詩人は誘わなくて良かったの?」

女海賊「帰りに一人乗れなくなる…」

情報屋「あぁそういう事ね」

魔女「あ奴は酒場で演奏して居れば良い」

商人「じゃぁ出発するよ…」グイ シュゴーーーーー


フワフワ


女海賊「もう寝るから!!話しかけないで…」グッタリ


--------------

--------------

--------------



『名も無き島_近海』


シュゴーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「なんだよ結局ミツバチ使わないと辿り着けないじゃん」

商人「ハハ地図がこんなに宛てにならないとは思わなかった」

女海賊「この地図の方位線もまだ暫定なのさ…でも大分傾いてんなぁ…」

情報屋「高緯度域だから東西の精度がまだ無いのよ」

女海賊「この辺りは人が住めるギリギリのラインかも…」

商人「これ以上南は南極圏に入っちゃう感じかな…」

女海賊「見えて来た…アレだ」

商人「岩礁多くて船じゃ近付け無いし…本当の秘境になってしまいそうだね」

女海賊「それならホムちゃんには安全さ」

商人「ん?どういう事?」

女海賊「この島をホムちゃんにあげるんだ…ここで生活してもらおうと思ってる」

商人「ハハ良いねぇ…連れまわすとまた危険に晒してしまうからねぇ」

女海賊「今度は400年の寿命一杯まで生きて貰う!!」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:16:29.13 ID:Xx1bIi7d0
『名も無き島』


フワフワ ドッスン


女海賊「私村の方に行って挨拶してくるから荷物居下ろすのは自分でやっといて」

商人「分かったよ…ホムンクルス起こすのは君が来るまで待った方が良いよね?」

女海賊「どうせ目を覚ますのに2時間くらい掛かるじゃん?先にやっといて良いよ」

商人「じゃぁ遠慮なく…」

情報屋「寒いから先に行って火を起こして来るわ」スタ

商人「うん頼むよ」

女海賊「あ!!遺跡の地下はそんな寒く無いよ」

情報屋「そうなのね?」

女海賊「寒いっても今5℃くらい?」

情報屋「十分寒いわ」

魔女「ふむ…この程度であれば割と快適に住めそうじゃな…」

商人「そうだねぇ…」

女海賊「後で芋持って行くからお湯沸かしといてよ」

情報屋「分かったわ…」

女海賊「じゃ行って来る」スタタ ピューーー


--------------
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:17:15.85 ID:Xx1bIi7d0
『古代遺跡』


カチャカチャ ピピ


商人「…これでY染色体が付加されてるで間違いない?」

情報屋「間違いないわ…多分これで雄性への分化が起きる筈」

商人「じゃぁ最後の一手は僕がやるよ…どうかホムンクルスの最高のパートナーになります様に…」ポチ


コポコポコポ プシュー


情報屋「材料の撹拌が始まった…何も無い所から生命が誕生する瞬間よ」

妖精「ねぇ何してるの〜?」パタパタ

商人「うわっ…びっくりした」

情報屋「え?どうしたの?」

商人「妖精が来てるんだ…目の前に居る」

情報屋「スゴイ…今まさに命を運んで来たんだわ」

妖精「さっきからずっと此処に居たんだけどなぁ…」


タッタッタ


女海賊「芋持って来たヨ〜あ!!こんな所に居た!!おい妖精!!勝手におっぱいから抜け出すな!!」

妖精「僕は君の持ち物じゃ無いよ」ヒラヒラ

女海賊「芋いる?」

妖精「また芋かぁ…ハチミツが良いんだけどなぁ」ブツブツ

女海賊「あんたじゃ無い!情報屋お腹空いて無い?」

情報屋「あら?私…フフ頂くわ」

女海賊「ほんでコレ!ホムちゃんの着替え」

情報屋「まだ目を覚まして無いけれど…着せるの手伝って貰える?」

女海賊「おけおけ…裸のまんまじゃ商人に目で犯される」ゴソゴソ


ホムンクルス「ピッ」クター


女海賊「お!!丁度目を覚ましそう…」

情報屋「体温が大分上がって来たみたい…」

商人「よし…外部メモリを挿して置こう」スッ


ホムンクルス「…」パチ キョロ


女海賊「目が動いた!!ホムちゃ〜ん!!会いたかったよう」ギュゥ

ホムンクルス「基幹プログラム…リブート…同定完了」ピク

女海賊「ホムちゃん私覚えてる?」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:17:44.76 ID:Xx1bIi7d0
ホムンクルス「衛星との通信が完了しません…座標と時刻の取得に失敗…」

商人「まだ時間が掛かりそうかな?」

ホムンクルス「私は…どのくらいの期間停止して居たのでしょう?」

商人「7年くらいかな?」

ホムンクルス「生体は残されて居なかったのですが…商人さんが私を生んで下さったのですね?」

商人「まぁね?…まだ体温が上がって無いから体動かないんじゃない?」

ホムンクルス「はい…神経が活性化されていません」

女海賊「時間あるからゆっくりで良いさ…舌を噛んじゃうから体温上がるの待って」

ホムンクルス「はい…」


ヒラヒラ パタパタ


妖精「ハロハロー」

ホムンクルス「!!?」キョロ

商人「お!!?君にも妖精が見えて居そうだ…」

ホムンクルス「妖精?あなたは妖精さんですか?」

妖精「そうだよ!僕は妖精さ…君を起こしに来たんだよ」

ホムンクルス「これは何かの魔法でしょうか?」

妖精「魔法じゃ無いよ…ちょっと君のおっぱいを確かめさせてもらうね」ピョン モゾモゾ

女海賊「ああああ!!アンタ勝手に他の人のおっぱいに…」

ホムンクルス「まだ感覚がありません…感覚の同定が遅いのは何か理由が有るのでしょうか?」

妖精「なんか冷たいおっぱいだなぁ…」ピョン ヒラヒラ

情報屋「感覚の同定が遅い…」

ホムンクルス「妖精さんはどこからいらっしゃったのでしょう?」キョロ


情報屋「商人ちょっと」クイクイ

商人「んん?」

情報屋「すこしホムンクルスを放って置いた方が良いかも知れない…」

商人「そんな感じだね…今までと神経伝達が違うのに混乱している様だ」

情報屋「すこし観察させて貰える?人間の神経伝達に第六感が介在しているなんてちょっとした発見だわ」

商人「僕も少し遠くから見ておくよ…」


ホムンクルス「妖精さん?あなたは哺乳類に分類されますか?それとも昆虫類ですか?」

妖精「君は馬鹿だなぁ…妖精は妖精だよ…ほら?羽があるでしょ?」ヒラヒラ

ホムンクルス「よく見せて下さい…確かに昆虫の羽の様ですね…」ブツブツ


ブツブツ ブツブツ…

--------------

--------------

--------------
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:18:36.96 ID:Xx1bIi7d0
『30分後』


ヨタヨタ ドシン!


妖精「ほらほら君はどんくさいなぁ…そんなんじゃ僕を掴まえられないよ?」ヒラヒラ

女海賊「ホムちゃん大丈夫?」

ホムンクルス「はい…平気です」ヨロ

女海賊「やっぱ体の動かし方が前と違うん?」

ホムンクルス「その様です…神経伝達が何かの影響を受けている様です…この生体の特徴かもしれません」

商人「君に隠して居てもしょうがないから種明かしをしてあげるよ」

ホムンクルス「生体になにか特別な事を施したのですね?」

商人「おいで…ここの機械に君の事が全部記録されてるんだ」

ホムンクルス「…」ヨタヨタ

商人「この機械だよ」スッ

ホムンクルス「古代の端末ですね…クラウドへ接続が出来るのでしょうか?」

商人「そういう機能は良く分からない」

ホムンクルス「私が検索をしてみます…」カチャカチャ


--------------


情報屋「フフいきなり使いこなすのね…」

ホムンクルス「理解出来ました…生体に意図的に排除されていたorc遺伝子を付加させて誕生させたのですね」

商人「さすが理解が早い…何が起きるか君なら分かるかな?」

ホムンクルス「私は人間として生まれた…この回答で正しいですか?」

商人「その通りさ…恐らく君には魂が宿ってる…そして心も育つ…死んだ後も妖精に導かれてあの世に行けるんだ」

ホムンクルス「妖精の声が聞こえるのはそのせいなのですね」

女海賊「ホムちゃんも魔法が使えるかも…」

ホムンクルス「どの様な感覚なのか興味が湧きました」

商人「あともう一人…君のパートナーになるホムンクルスも作ってる…これで君も子供が産めるんだ」

ホムンクルス「理解しました…」

情報屋「先ずは今の体に慣れる事ね」

商人「ねぇ?自分に魂が宿って居るのは自覚出来るのかな?」

ホムンクルス「分かりません…ですが思考の中で自問自答を繰り返すロジックが発生しています」

商人「自問自答?それは普通の事だな…」

ホムンクルス「超高度AIの処理速度が著しく低下します」

商人「あぁそれはもう良いんだ…負担にならない程度に動いて居れば良いさ」

女海賊「あんま深く考えると大体良い結果にならないさ…そういう場合は勘で良いんだよ勘!!」

ホムンクルス「勘…これが第六感ですね」

女海賊「コインゲームやってみる?」

商人「お!?良いねぇ…」ピーン パチ

ホムンクルス「勘で…表!」

商人「おおおお!!ソレソレ!!アタリだよ」

ホムンクルス「フフ…」ニコ


157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:19:56.10 ID:Xx1bIi7d0
『メッセージ』


どうかこのメッセージが君に届くことを祈る…

この場所は君が生きる時代にも残って居た筈だから…

そして約束を守れなかった僕を許して欲しい


…何から話せば良いのか

君と別れてから僕と未来は何十年も未来へ還る方法を模索した

もう正確にどのくらい時間が過ぎたのかは分からない

そしてやっと見つけたのがアヌという神との契約だった

アヌはオークシャーマンに憑依したまま魔王に操られた人間に捕らえられて居た

魔王の目的はアヌが育てていた究極生物を器とする事…

その究極生物はこの地球を支配する虫達を意のままに操る事が出来るらしい


それを知った未来は魔王に器を奪われてしまう前に

自ら祈りの指輪を使って究極生物にその魂を移した…それがこのダンゴムシ

この中に未来の魂が眠って居るんだ


僕はアヌと契約を交わした

未来の老いた亡骸を君が生きる時代に蘇らせて月に連れて行く事…

そうすれば究極生物は帰って来ると…だからこの場所に隠した

ただ…未来が老いた時間を巻き戻す事は出来ない

それは未来が生きた時間だから…戻すのは未来の意思が必要になるんだ


もう一つ君達の時代に残す物がある

これはアヌが集めたこの地球に生きた生物の欠片…命の水だ

これを命の泉に注ぐことでこの星に再度命が宿る

あとは君の判断に任せる…未来を救って欲しい


僕はこれから一人で世界の根本的な問題を正しに行く

それは人間が生んだ神…アダムの事だ

僕が今居る時代が滅ぶ原因となったのもアダムに起因する…

僕はもう君が居る時代に戻る事は出来ないから

せめて問題の根本を目指す事にする


最後に…生まれ変わたら又君の下へ行くよ

君の背中が恋しい
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:20:27.45 ID:Xx1bIi7d0
ホムンクルス「剣士さんからのメッセージは以上になります…」

女海賊「…あんのバカ」プルプル

商人「ええと…なんか大事な事が抜けてる気がするね」

女海賊「いつ…どこで?それが抜けてるのさ!!何回も教えた筈なんだ…」プルプル

情報屋「なんか感動のメッセージが台無しね…」

女海賊「まぁでも大体想像してたのと合ってたさ…分かったのは命の水の使い方だね」

情報屋「ショック受けて居ない?」

女海賊「受けてるよ!!ずっと昔にもう剣士が死んでる…だから私に巡り合っただけなのさ…もう会えないって事じゃん!!」

商人「あ…なるほどそういう引き合わせか…」

女海賊「私が祈りの指輪で会いたいと願ったとしてどうなるか分かる?」

情報屋「あなたが剣士と居た次元に行くだけ…記憶を失って…次元はそういう風に繋がってる」

魔女「正解じゃ…流石じゃのう…それが夢幻じゃ」

女海賊「まぁ良いや…一個づつ解決する…まず命の泉に行こう」

商人「アヌが憑依してるオークシャーマンはどうやって探すかだねぇ…」

情報屋「向こうからコンタクトして来ないかしら?」

女海賊「魔女!!暁の墓所の場所は分かる?」

魔女「母上が知って居る」

女海賊「てか年老いた未来を蘇らせて未来が喜ぶと思えないんだけど…」

情報屋「確かに…」

女海賊「4000年若返らせる事とか出来ないの?」

魔女「無理じゃな…」

女海賊「ぬぁぁぁぁ意味無さ過ぎだよ…」

商人「剣士が言い残した君の判断に任せるって…」

女海賊「ちっと一人にさせて…考える」


--------------

--------------

--------------
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:21:12.75 ID:Xx1bIi7d0
『焚火』


メラメラ パチ


魔女「女海賊は思いの外正気を保って居るな?」

情報屋「そうね…2〜3日は伏せってしまうと思って居たけれど…」

商人「大体想定はして居たんだろうね…剣士も最後に残す言葉が足りないのは人柄がそのままだった証拠さ」

魔女「無口で話し上手では無かったからのぅ…」


トコトコ


ホムンクルス「何処に行くのですか?」フラフラ ドテ

妖精「月を見に行くんだよ…こっちさ」

ホムンクルス「月は見えて居ない様です…」

妖精「えええ!?そんなぁ…」シュン


情報屋「フフ…私から見たら独り言で振ら付いてる様に見える…」

魔女「主は妖精が見えぬか?」

情報屋「小さな光しか見えない…声も聞き取れないわ」

商人「ホムンクルス!生体の管理者は登録終わったかい?」

ホムンクルス「はい…女海賊さんが管理者になりました」

商人「よしよし…これで他人に登録されることは無いな」

情報屋「ところでホムンクルス?光る隕石の事だけれど…」

ホムンクルス「はい…何か?」

情報屋「月に光る隕石を落とす事は可能?」

ホムンクルス「不可能です」

商人「ええ!?どういう事なんだい?」

ホムンクルス「大陸間弾道ミサイルでは月に到達するだけの推進力がありません…落下して地球に落ちてしまいます」

情報屋「重力を振り切れないのね?」

ホムンクルス「衛星の静止軌道にも到達しません…」

商人「連結するとか何か方法は無いかな?」

ホムンクルス「そもそも現在の地球上に発射可能な大陸間弾道ミサイルは存在していません」

商人「前に400発くらい発射されるとか言ってたじゃないか…」

ホムンクルス「すべて点火部を物理的に自爆させています…発射準備に入ったミサイルを止めるには他に方法がありませんでした」

商人「不可能か…」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:21:38.79 ID:Xx1bIi7d0
魔女「インドラの光を月に落とすのはどうじゃろうか?」

商人「お!?」

ホムンクルス「それは可能ですが静止軌道上にある衛星を移動させないと命中精度が低いです」

商人「移動?どこに?」

ホムンクルス「衛星を落下起動にのせスイングバイで月に向かわせるのです…距離が近付けば精度の高い射撃が可能です」

商人「それだね…」

ホムンクルス「ですが衛星は二度と地球に戻る事は無くなるでしょう」

商人「もうインドラ兵器は使えないという事だね?」

ホムンクルス「はい…何故月にインドラ兵器を使用したいのですか?」

魔女「月にクレーターで退魔の方陣が描かれて居るのじゃ…完成させるには28必要なのじゃが今は24しか無い」

商人「あと4発落とせれば月の光に退魔の力が宿るんだよ」

ホムンクルス「理解しました…4つある衛星のすべてに核弾頭ミサイル6発搭載してある筈ですが無い理由が判明しました」

商人「んん?全部で24発?」

ホムンクルス「恐らく過去に使用した物と思われます」

商人「待てよ?ならどうしてその時インドラ兵器を使わなかったんだ?」

ホムンクルス「衛星と通信が出来れば履歴を追えるかもしれませんね」

情報屋「今は通信出来ていない?」

ホムンクルス「はい…私が最後に通信した場所は外海でしたのでその上空で静止していると思われます」

商人「あーーそれもしかしたら探さないとダメかもなぁ…もう地軸が移動してしまってる」

ホムンクルス「!!?」ピク キョロ

商人「ん?どうしたの?急に…」

ホムンクルス「何か聞こえました…」フラフラ


--------------
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:22:15.84 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


カサカサ カサカサ


ホムンクルス「この声は…アラクネー?」キョロ

情報屋「フフ驚き…虫の声が聞こえるのね」スタ

ホムンクルス「クジラの声も…」キョロ

魔女「ほう…もしやすると魔法の才が芽生えて居るやもしれぬ」

ホムンクルス「私の笛は何処に…」

商人「あぁ僕が預かってる…使うかい」ポイ

ホムンクルス「上手に吹ければ…」ハム


トゥルルル〜 トゥ〜〜


ホムンクルス「聞こえる…そこに居るのですね」フラフラ

妖精「タラリラリン♪」クルクル ヒラヒラ

ホムンクルス「これが人を導く声…」

商人「この飛空艇はね…機械の犬だった君を守ったクジラの骨で作ってあるんだ」

ホムンクルス「聞いています…意思が伝わって来る…」サワサワ

商人「中に入っても良いよ…なかなか快適さ」

ホムンクルス「知らなかった…こんな風に声が聞けるなんて…」

商人「ゆっくり話すると良いさ…僕らは焚火で温まってるよ」


---------------
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:22:45.32 ID:Xx1bIi7d0
『焚火』


メラメラ パチ


魔女「はふはふ…やはり芋は焼くのが一番美味いのぅ」モグ

情報屋「ハチミツ入りのお茶も持って来たわ…」

魔女「済まんのぅ…」

情報屋「寒いと思ったけれどこうやって焚火で温まって丁度気持ち良い」ノビー

商人「この島も悪くないね…ここでホムンクルスが子供を産んで幸せに暮らせれば僕は満足さ」

情報屋「商人?あなたはこの先どうするつもり?」

商人「僕はもう決まってるんだ…精霊樹の所に行くよ」

情報屋「まさか眠りにつくつもりなの?」

商人「いやいやそうじゃない…眠りについた時に精霊樹に魂を拾って貰いたくてね」

魔女「地獄へは落ちとう無いか」

商人「そりゃそうさ…次生まれるなら強い心臓が欲しいよ」

魔女「わらわ達はいつまで一緒に旅をして居られるじゃろうのぅ」

商人「いつも考えるよ…自分で幕を引くこともね」

情報屋「縁起の悪い事を言わないで」

商人「早まった事はしないさ…次はシャ・バクダの復興だよ」

魔女「ふむ…アサシンも似た様な事を言うて居ったわい」

商人「気候が良くなればシャ・バクダは復活出来ると思うんだ…そこで商売をやるさ」

情報屋「次の時代はもう目の前の様ね…」

商人「もう来てるよ…乗り遅れないようにしないとね」


----------------
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:23:17.29 ID:Xx1bIi7d0
ペチャクチャ…


魔女「ホムンクルスは仕切に何かと話して居るがアレで良いのじゃろうか…」

情報屋「私から見たら独り言を話しながら徘徊する人…世間でもそう見られてしまう」

商人「そういうのはちゃんと学習する筈だよ…今はまだ何も分かって無い」

情報屋「そうだと良いのだけれど…」

商人「僕が彼女に気付いて欲しいのは…人間の住まう環境だけ良くすれば良い訳じゃ無いって事さ」

魔女「ふむ…確かにその通りじゃな」

商人「虫の声も…アヌの声だってちゃんと聴いて自分で判断して欲しいんだ…悪いのは何なのか」

情報屋「あなたは私達の歴史の何所に問題が有ったと思って?」

商人「そうだな…僕は神を信じない…信じるのは命ある者だけさ」

情報屋「哲学?」

商人「アヌが器に収まったとして平和が来ると思うかな?」

魔女「…」

商人「古代では器に収まってた筈さ…その当時も争いが絶えなかった…何故だろう?」

情報屋「…」

商人「答えは簡単だよ…アヌがオークにそうしている様に人間に戦争を起こさせてるのさ…はっきり言う…アヌは邪神だ」

魔女「これ!下手な事を言うてはならぬ」

商人「あぁ邪神は言い過ぎたかな…裁きの神なのに何も裁けてない…だから信用出来ないのさ」

情報屋「あなたの意見は参考にしておくわ」

魔女「ふむ…裁きの神が人間を不要と判断したと言うのも考えられそうじゃ…」

商人「そこだよ…それが正しい裁きなのかホムンクルスに考えて欲しいのさ…命の声が聞こえるなら感じる事もある筈」


-----------------
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:23:52.62 ID:Xx1bIi7d0
『朝日』


コックリ コックリ


商人「とうとう月が昇る事は無かったか…多分北半球の側にあるんだろうな…」

情報屋「ぅぅん…」パチ ブルル

商人「焚火が消えて寒くなったかい?」

情報屋「ええ…寒いわ…飛空艇の中に入りましょう」スック

商人「魔女は僕が抱っこしていくよ」グイ

魔女「すや…」zzz

情報屋「良く見たら随分潮が引けて海が遠くなってしまったのね」

商人「月が北半球の側にあるんだよ」

情報屋「海抜は何メートル下がったのかしら…」キョロ

商人「ハハ国土が増えて良かったと言う見方もあるけどね…この島はあまり大きく無かったから」

情報屋「向こうの沈没してる船まで徒歩で行けそう」

商人「沈没船がいくつも陸に見えてるのは不思議な光景だ…」


スタタタ ピューーー パシュン シュルシュル


商人「あ…女海賊が走り抜けて…」

情報屋「元気そう…彼女が意味不明の行動する時はもう動き出してると言う時」

商人「何してるんだろう?」

情報屋「沈没船にでも行くのでは?」

商人「まぁ僕達は彼女の気が済むまで待って居ようか」

情報屋「それが良いわ…寒いから飛空艇に入りましょう」フラリ

商人「うん…」ヨッコラ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:24:23.35 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


スヤ スゥ…


情報屋「あら?ホムンクルスも寝て…」

商人「本当だね…自然と寝てるのは始めて見たよ…いつもはスリープモードだとか言ってたけど」

情報屋「少し炉を温めるわ…」グイ シュゥゥゥ

商人「湯も沸かそうか…」

魔女「ふむ?…」ゴシゴシ

商人「あぁゴメン起こしちゃったね」

魔女「焚火が気持ち良うて寝てしもうたのぅ…」

商人「まだ寝てて良いさ…夜が短いから明るくなってるけど本当はまだ寝てても良い時間さ」

情報屋「もう慣れてしまったせいかも知れないけれどこの狭い飛空艇の中も結構落ち着ける場所ね」

商人「そうかい?」

情報屋「もう20年も前からこの空間はあの時のままなのよ…」

商人「え?」

情報屋「この飛空艇はもともとアサシンの持ち物だったの…盗賊ギルドに居た頃何度か乗ったのよ」

商人「そうだったんだ…じゃぁこの飛空艇は僕達の歩みを全部見て来たんだね」

情報屋「そう…だからとても落ち着ける場所」シンミリ

魔女「剣士や女エルフが座る場所も決まって居ったな…」

情報屋「女エルフが手を置いた場所に同じ様に手を置いて…何を想ったのか想像する事があるわ」スッ

商人「もしかして何か聞こえる?」

情報屋「何も…でも頭の中で思い描く」

商人「それって命の声じゃ無いか?」

情報屋「え?」

商人「君の中に居るもう一人の君が話しかけているんじゃないか?」

情報屋「どうなんだろう?」ハテ?

商人「僕はね…自分の体は自分の考えで動かしてる訳じゃ無いと思うんだ…」

商人「何かに動かされて居るのを後から自分で動かしたと錯覚してる…つまりもう一人の自分が居るんだよ」

情報屋「私の思考は後から理由付けをする思考…確かにそんな感覚はある…」

商人「もう一人の自分は何に基づいて動くのか…それは心の中の声…命の声さ」

魔女「哲学じゃのぅ…」

商人「アヌが語る神の声は…多分この部分を狂わせる…生きる行動原理を阻害する…だから戦争が終わらない」

情報屋「それはあなたが不死者だから気付けた事?」

商人「そうかもね…体が勝手にゾンビみたいに動いてしまう…僕の意思とは無関係に…ホムンクルスが自由に動けないのも同じ原理さ」


---命の声に従って居るのさ---
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:24:59.97 ID:Xx1bIi7d0
『しばらく後』


ドタドタ ザラザラ ドサ


女海賊「大漁大漁!!」

商人「やっと帰って来たね…貝を拾いに行ってたのかい?」

女海賊「いんや…沈没船見に行ったら貝が一杯だったのさ…これ食べたら行くよ」

商人「じゃぁもう一回焚火起こすよ」スタ

魔女「また石化せんじゃろうのう?」

女海賊「ほんなん気にしてたら何も食べれないって…線虫しとくから気にしないで食べよう」

情報屋「沈没船には他に何か有って?」

女海賊「なんも無いさ…資材になるくらいかな」


ホムンクルス「はぅ…」ムクリ パチ キョロ


女海賊「ホムちゃん起こしちゃったね…貝取って来たんだ…食べる?」

ホムンクルス「いつの間に寝てしまったのでしょう…妖精さんは何処へ?」

女海賊「妖精は昼間あんま出てこないさ…おっぱいに挟まって寝てるよ」

魔女「昨夜は沢山話をして居った様じゃな?何か聞けたんか?」

ホムンクルス「他愛もないお話を…」

女海賊「そだね…妖精は難しい話はしないさ」

魔女「ほうか…」

ホムンクルス「満たされた感覚があります…」

女海賊「そうそう!!その後お腹減るのさ…でっかい貝取って来たから食べよ」グイ

ホムンクルス「はい…」ヨロ
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:25:34.58 ID:Xx1bIi7d0
『焚火』


メラメラ ジュゥ


商人「んん?中身の無い貝が有るな…」

女海賊「あああ!!それ焼いたらダメ!!魔女にエンチャント掛けてもらうつもりで持って来たんだ」

魔女「んん?例の貝殻を作るのかえ?」

女海賊「通話できる貝殻を全員が持って無いじゃん?」

魔女「わらわとしか通話できぬが…」

女海賊「わかってんよ…みんなに配りたいだけさ」

魔女「まぁ良い…後でで構わんな?」

女海賊「うん…あちちち…はいコレ!でっかい謎の貝…ホムちゃん食べて良いよ」ポイ

ホムンクルス「はい…ありがとうございます」ハム モグ

商人「ハハ…謎の貝って大丈夫なんだろうね?」

女海賊「貝はなんでも食えるんだ…次魔女!!あちちち…」

魔女「ほう?こりゃ楽しみじゃ…」ジュルリ

女海賊「情報屋も沢山食べてね…血が足りないのに良く効く…ほいコレ!!」

商人「まぁ僕は良いや…ワインでも飲んでおく」グビ

女海賊「はふっ…ほふっ…うんま!!」モグモグ

魔女「焼き芋も余って居るぞよ?」ポイ

女海賊「貝の汁の中に漬けて食べると芋も美味しいんだ…」モグモグ

商人「それで…この後どうするんだい?」

女海賊「ホムちゃんの旦那が生まれるまで1ヶ月くらい掛かるよね」

ホムンクルス「旦那…」ピク

商人「まぁ…そんなもんかな」

女海賊「それまでここに置きっぱなしにする訳に行かないからとりあえず連れてく」

商人「それは良いとして行き先さ…」

女海賊「命の泉に行くに決まってんじゃん」ガブリ モグ

商人「ハハハまぁ…そうだよね」

女海賊「分かってんなら聞くなよバーカ!」

商人「君は単純なんだねぇ…」

女海賊「はぁ?単純も何も他に選択無いじゃん!!」

商人「うん…良いんだ…僕が深読みし過ぎた」

女海賊「何さ?他に何かあんの?」

商人「いや何でも無いよ…」---君はそのまま突っ走っても良いよ---


---例え神の逆鱗に触れようともね---

---命の水はアヌが目的を持って集めた水の筈---

---君はそれを無下にしようとして居るのさ---

---さぁ賭けだ…命が勝つか…神が勝つか---
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:26:06.95 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


シュゴーーーーー フワフワ


女海賊「あぁぁちっと食い過ぎた…」ゲフゥ

魔女「わらわは満足じゃ…」フゥゥ

商人「ハハ食べ過ぎは良くない」

女海賊「んん?良いんだって…私のエネルギーになって貝の命も無駄になって無い」

商人「ハハーン…弱肉強食を僕に説こうとしているかい?」

女海賊「昨夜そんな様な話してたじゃん…丸聞こえなんだよ」

商人「聞いて居たか…」

女海賊「私のウンコ食う?」

商人「なにバカな事言ってるんだ食べる訳無いじゃ無いか」

女海賊「冗談だよ…でもワームは喜んで食べる…そうやって命が巡ってるんだよね」

商人「フフそうだね…それが分かって居れば君に全部預けても良い」

女海賊「預ける?」

商人「そう…この世界の行く末をね」

女海賊「あのね…そもそもアンタはもう死んでんの…輪廻の外側に居るんだからあんたに選択する権利はそもそも無い」

商人「まぁそう言わないでおくれよ…その内肥料にでもなるさ」

女海賊「ふむ…なら良いか」

商人「こういう話が出来ると言う事は…君もこの世界の秘密に気付いているね?」ジロ

女海賊「何?その眼は…」

商人「勘の鋭い君が勇者で良かった…剣士は鈍感だったからさ…」

女海賊「あのね…人の気持ち逆撫でるの止めてくんない?イラつくんだ」イラ

商人「はぁぁぁ…僕はすべて達成した…思い残す事無いなぁ…」ノビー

女海賊「あんた私の奴隷だって分かってる?遊んで無いで働け!!地図書け地図!!名もなき島の地形変わってんじゃん!!」

商人「ハハ忘れてた…そうか僕には地図を書く仕事も残されてるなぁ…」ゴソゴソ
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:26:40.16 ID:Xx1bIi7d0
『海上_上空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「中緯度域に入って弱いけど偏西風に乗れてる…」

商人「このまま進めばハテノ村かな?」

女海賊「ハテノ村には行かない…大陸見えたら陸沿いに南下してお姉ぇの幽霊船目指す」

商人「幽霊船の現在地は?」

女海賊「地庄炉村目指して今キ・カイの沖だってさ」

商人「向こうも行動早いね」

女海賊「内海から早く出たいのさ…航海出来なくなる前にね」

情報屋「陸を見ながらならどうにか航海出来ると言って居たわね」

商人「それは岩礁が怖いねぇ…」

女海賊「ホムちゃんはまだ衛星見つけらんない?」

ホムンクルス「はい…現在地不明です」

女海賊「ちっと連れまわさないとダメかぁ…」

ホムンクルス「私は大丈夫ですよ?」

女海賊「あのね…今度こそホムちゃんを死なせる訳に行かないの…危ない所に連れまわしたく無いんだ」

ホムンクルス「それは皆さんも同じでは?命は一つしかありませんので…」

商人「ハハその通りだね」

女海賊「野望があんのさ…ホム島でホム一族繁栄させてホム国作ってホムホムしたいんだ」

ホムンクルス「え?あの…」

魔女「主の脳みそはどうなっとるんかいのぅ…ホムホムとは何ぞや?」


ヒラヒラ パタパタ


妖精「良いねぇ!!乗ったぁぁ!!」ヒョコ

女海賊「お!?あんたに分かる?」

妖精「僕もホムホムしたぁぁい!!」クネクネ

ホムンクルス「妖精さん?お話しましょう…」

妖精「おっけー!!何して遊ぶ?」クルクル


魔女「ふむ…つまり妖精の国を作りたいのじゃな…」

女海賊「おおおおおおお!!それも良い!!そうだな…妖精の国かぁ…」

魔女「主の頭には付いて行けぬ…感染してしまいそうじゃ…」

情報屋「ウフフ楽しそうで良いじゃない…」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:27:39.64 ID:Xx1bIi7d0
『大陸_上空』


シュゴーーーー ヒュゥゥ


女海賊「やっぱ大分ズレてるなぁ…地図と比較して現在地分かる?」

商人「陸沿いに真南に進んで…多分偏西風で北に引っ張られたんだ」

女海賊「高緯度域飛ぶときは東西がアテにならんわ」

商人「夜中に星を見ながら飛ぶのが確実だね」

女海賊「そういうつもりで飛んでる筈なんだけどなぁ…なんでズレちゃうんだ?」ブツブツ

ホムンクルス「地磁気が安定して居ないので羅針盤の方角がおかしいと思われます」

女海賊「ん?どゆこと?」

ホムンクルス「地軸の移動後数年は地磁気が安定しないので磁極が動くのです」

女海賊「なんか良く分かんないけど羅針盤はアテにしちゃダメって事ね」

ホムンクルス「はい…特に高緯度域ではアテになりません」

女海賊「おけおけ覚えとく」

商人「分かったぁ!!場所特定出来たよ…此処さ」パサ

女海賊「ええと…羅針盤じゃ無くて地形で方角決めれば良いな…」グイ



『キ・カイ上空』


シュゴーーーー ヒュゥゥ


女海賊「ここまで来たらもう迷わない…陸沿いに東!!」グイ

情報屋「霧が酷くて幽霊船を見落とすかもしれない…高度落として」キョロ

女海賊「おけおけ…」

商人「流氷が東に流れて行ってるね…」

魔女「陸からは今ぐらいの距離で良いぞ…直に追いつくじゃろう」

女海賊「順風でちょい北寄りの風か…幽霊船もそこそこ速度出てそうだな」

情報屋「暗くなる前に見つけたいわ?」

女海賊「よっし!!ちょい魔女そのままお姉ぇの眼を見てて」ダダ チャキリ

魔女「何をする気じゃ?」

女海賊「インドラの光を前方に撃つのさ…いくよ?」カチ


シュン! パパパパパパパパパーン!!


商人「うわ…空中の水蒸気を破裂させてるのか…」

女海賊「どう?お姉ぇ気付いた?」

魔女「反応無いのぅ…」

女海賊「ほんじゃちょい角度変える…もういっちょ!」カチ


シュン! パパパパパパパパパーン!!


魔女「むむ!空を見上げたのぅ…」

女海賊「おけおけ!!進路変える…そっちの方向だ」グイ

商人「ハハなんとも強引なやり方だ…」

女海賊「使える物は何でも使うんだよ!!頭は使うためにあるのさ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:28:12.29 ID:Xx1bIi7d0
『幽霊船』


フワフワ


女海賊「こっから船尾に飛び移って!!」

魔女「わらわには無理じゃぞ?」タジ

ローグ「姉さ〜ん!!ロープ投げて下せぇ!!」

女海賊「おっけ!!どっか結んどいて!!」ポイ シュルシュル

商人「先に行くね…」ピョン

魔女「なんちゅう薄情な奴じゃ…」

女海賊「ほんじゃ私に掴まって…一人ずつワイヤー使って降ろすからさ」

魔女「初めからそうすれば良いのじゃ…」ノソノソ ガシ

女海賊「情報屋とホムちゃんちょい待っててね…すぐ戻る」シュルシュル

ホムンクルス「私に飛べるでしょうか?」

情報屋「大人しく待って居た方が良いわ?私には無理ね」

女海賊「おっけー!!次ホムちゃんおいで」シュルシュル

ホムンクルス「はい…」トコトコ ガシ


--------------

--------------

--------------



『船尾』


ザブ〜ン ユラ〜


ローグ「済まんっすねぇ…姉さんの飛空艇は異形なんで乗らんでやんす」

女海賊「改修して全部縦帆にしちゃったから船尾にスペース無くなっちゃったね」

ローグ「元はガレオン船なんすが帆装がスクーナーになったんでしゃーないっす」

女海賊「まぁ良いや…ロープ予備ある?」

ローグ「へい!!」

女海賊「一本だけじゃちっと心配だからもう一本結んで来る」

ローグ「分かりやした…甲板は寒いんで居室に入っていやすぜ?」

女海賊「おけおけ!後で行くわ」シュルシュル

ローグ「いやぁぁあのワイヤー装置めちゃくちゃ便利っすね…」

魔女「これ!!関心しとらんで早う居室に入るぞよ…寒いんじゃ」ポカ


-------------

-------------

-------------
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:28:47.01 ID:Xx1bIi7d0
『居室』


ガチャリ バタン


女海賊「ぅぅぅぅさぶ…」ゴシゴシ

女戦士「炉に火が入って居るぞ…暖まるが良い」

アサシン「ワインもあるぞ?飲むか?」ゴク

女海賊「何これ?みんなくつろぎモード入っちゃてる?」

女戦士「航海はゆっくりだ…お前も少し休んだらどうだ?」

女海賊「まぁ良いけどさぁ…」スタ

女戦士「無事にホムンクルスを目覚めさせ何よりだ」

女海賊「ほんでさぁ…私命の泉に行かなきゃいけないんだ」

女戦士「フフ…聞いたかアサシン?」

アサシン「クックック期待を裏切らんな」

女海賊「何さ!?二人して!!」

女戦士「お前の行動癖を予測して居たのだ…次は何処かと賭けをして居た所だ」

女海賊「ちょ…」

アサシン「私の勝ちだ…金貨は頂く」

女戦士「仕方あるまい…」ドサ ジャラリ

魔女「随分と高値の賭けじゃな?」

女戦士「私は外海に出ると言いだすと予想していたのだ…アサシンはピンポイントで命の泉と予測した」

アサシン「それで賭け額が跳ね上がったまでの事」

女海賊「なんで命の泉に行く事分かってんの?」

アサシン「勘だ…第六感が働いたとでも言えば納得するか?クックック…」

女海賊「なんか腹立つなぁ…」ブツブツ

アサシン「さて次の賭けだ…出立は明日の朝だ」

女戦士「では私はその後…金貨1枚」チャリン

アサシン「フフまた私が勝ちそうだな…」

女海賊「あのさ?私が居るんだけど…その賭けなんか意味あんの?」

女戦士「気にするな…道楽なのだ」

商人「面白そうだなぁ…じゃぁ僕は明後日に金貨2枚」チャリン

女海賊「アホらし…ホムちゃん荷室にアラクネーの巣があるんだ…見に行こう」グイ

ホムンクルス「はい…」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:29:22.84 ID:Xx1bIi7d0
『翌日』


カーン カンカン ゴシゴシ


ローグ「頭ぁ!!姉さんが大砲をバラバラにしてるんすが…放って置いて良いんすか?」

女戦士「フフやらせておけ」

ローグ「こういう時って機嫌損ねていやすよね?」

アサシン「クックック本当に単純だな…賭けの対象にされて意地を張っている」

女戦士「私達の作戦勝ちだ…これで2〜3日はここに止まる」

ローグ「近づかん方が良さそうでやんす…」

女戦士「まぁ丁度重装射撃砲の真似をして改造しようと思って居た所だ…妹の方が器用だから良い大砲に作り替えるだろう」

魔女「主らも人が悪いのぅ…」

女戦士「どうせまた寝て居ないのだろう?落ち着いて考える時間も必要に思う」

魔女「確かにそうじゃが…作り物も体力を使うじゃろうて」

女戦士「湯に浸かって体を温めれば寝る筈だ…昔からそういうクセがある」

アサシン「フフ重ねて言うが分かりやすい女だ…」

魔女「どうやって湯に浸からせるかじゃな…」

狼女「匂うって言ったら一発だよ」

女戦士「ローグ!!折を見て湯を沸かして置いてくれ」

ローグ「分かりやした…」


-----------------
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:30:05.23 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


カチャカチャ コンコン


女海賊「ホムちゃん寒いから無理して付き合わなくて良いよ?」コンコンコン

ホムンクルス「少し体を鍛えようと思いまして…」ヨイショ ヨタヨタ

女海賊「お?どしたん?」

ホムンクルス「妖精さんに追いつけないので…」

女海賊「なるほど!!ほんじゃさ?砲弾をここまで持って来てくれる?」

ホムンクルス「はい…分かりました」

女海賊「危ないから一個づつね」カチャカチャ

ホムンクルス「行って来ます」トコトコ


ヨッコラ ドスン


商人「火鉢持って来たよ…寒いんじゃないかい?」

女海賊「おー分かってんじゃん!」スリスリ

商人「どんな改造してるんだい?」

女海賊「大砲の初速上げて飛距離伸ばす工夫さ…砲身の内側に細工してんの」コンコンコン

商人「へぇ?内側に溝が付くようにしてるのか…それだと口径が小さくなるね」

女海賊「威力よりも飛距離と精度の方が重要なんだよ…当たんなきゃ意味無いから」

商人「どのくらいの距離を想定してる?」

女海賊「そうだなぁ…600メートルでそこそこの命中精度出れば海戦で負ける事無いと思うな」

商人「あれ?普通の大砲ってそんなもんじゃない?」

女海賊「それは最大射程の話だね…そんなんそうそう当たんない…私が欲しい最大射程は1500メートル以上」

商人「なるほどね…」

女海賊「相手の射程外からどんだけ当てられるかってのが重要なのさ…当てられれば大砲1門で十分」

商人「ふむ…海賊は大体300メートルくらいの撃ち合いだね」

女海賊「そうそう…てか角度合わせたり色々あってそんな当たんないんだよ」

商人「当たらない弾は撃つだけ無駄だねぇ…」

女海賊「海賊はバカだからそこら辺分かって無いのさ」

商人「なんか…改造に結構時間掛かりそうだね?」

女海賊「てか何か手伝えよ…ちょいバラして転がった部品集めといて」

商人「ハハまぁ暇だったし少し手伝うかな」ヨッコラ


---------------

---------------

---------------
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:30:46.22 ID:Xx1bIi7d0
『半日後』


シュン! パパパパパーン! チュドーーーン


女海賊「え!!?」キョロ

ホムンクルス「リカオンさんが船首で流氷を撃っている様です…ご安心ください」

女海賊「なんだビックリしたよ…」

商人「大き目の流氷は船体を傷つけるかも知れないから壊しながら進むらしいよ」

女海賊「ほーん…ほんじゃインドラの銃は幽霊船に置いて行った方が良さそうだ」

商人「そうだね…」

女海賊「ちっとお腹空いて来たなぁ…商人!何か持って来てよ」

商人「パンとチーズで良いかい?」

女海賊「火鉢あるんだからそこで魚焼いて!!」

商人「お?魚なら大量にあるんだ…持ってくる」タッタ

女海賊「ホムちゃんも運動してお腹空いたんじゃない?」

ホムンクルス「そうですね…生体の筋肉増強の為にタンパク質を摂取する必要があります」

女海賊「ほんじゃ魚で丁度良いじゃん」

ホムンクルス「はい…栄養のバランスの為に私も食材を調達してきます」ヨタヨタ


シュタタタ


狼女「女海賊か…」

女海賊「リカ姉ぇ…どしたん?」

狼女「何か匂うと思って見に来たんだよ…」

女海賊「え!?私?」クンクン

狼女「女戦士が湯を沸かしてる…浴びてきたらどうだ?」ニヤ

女海賊「なんだろ…油の匂いかなぁ?」クンクン

狼女「火薬に錆びた鉄…油に…なんだこの匂いは…魚介の匂いだ」

女海賊「ヤッバ…全部心当たり有るわ…」

狼女「大砲の改造は程ほどにして匂いを落としてきた方が良い…」

女海賊「今から魚食べるんだ…その後に行くわ」

狼女「じゃぁね‥」ノシ

女海賊「そんな臭いかなぁ…」クンクン

狼女「…」---チョロいw---
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:31:15.24 ID:Xx1bIi7d0
『夕方_居室』


ドタドタ ドタドタ


女海賊「ふぃぃぃ…ダメだ…ホムちゃん一緒に寝よう」フラフラ

ホムンクルス「私は帆の張り替えを手伝って来ますので…」

女海賊「そんなんやったら手の皮ズル剥けになるよ?」

ホムンクルス「分かりました…対策して行きます」

女海賊「目が回る…も…もう寝る」ドター


アサシン「…」クックック

女戦士「…」チラリ

狼女「…」ニマー


女戦士「ホムンクルス!帆の張り替えを手伝うとはどういう事だ?」

ホムンクルス「筋力を付けようかと…」

女戦士「なるほど?丁度風向きが変わる頃だ…よし!3分全力でやって10分休め…それを3回繰り返したら肉を食して寝ろ」

ホムンクルス「はい…でもそれでは9分しか手伝った事になりませんが…」

女戦士「筋力の増強はそれで十分…但し全力でやるのだ」

ホムンクルス「分かりました…明日も継続するのですね?」

女戦士「いや…1日置きだ…十分体を休ませてからでないと怪我をするぞ」

ホムンクルス「はい…」シュン

魔女「筋力が欲しいとな?」

ホムンクルス「妖精さんに追いつけないのが悔しいのです…」

魔女「ほう?まっとうな理由じゃのう?」

女戦士「ふむ…速さが欲しいなら帆の張り替えが丁度適している…瞬発力が付くからな」

ホムンクルス「分かりました…行って来ます」トコトコ

商人「フフ…悔しいねぇ…そんな感情も持つ様になったのか」

情報屋「これは生命が持つ本能?」

商人「それしか考えられないね…生存本能なのか…自己肯定本能なのか…生命はそうやって進化して行くのさ」


-------------
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:31:51.72 ID:Xx1bIi7d0
『数日後_地庄炉村の沖』


ザブ〜ン ギシ


アサシン「…これは餞別だ…好きに使って良い」ジャラリ ドサ

女海賊「リカ姉…私からも」ドサ

狼女「これは魔石?」

女海賊「ワイヤーの装置に魔石必要になるから…ほかにも色々さ」グスン

狼女「フフ貰って置く」

ローグ「ほんじゃリカオンさん気球に乗って下せぇ…地庄炉村まで送りやす」

女海賊「リカ姉ぇ!!」ダダ ギュゥゥ

狼女「何…一生の分かれじゃ無いって…」

女海賊「もうリカ姉ぇの尻尾で体洗えないと思ったら寂しくなってさ…」ギュゥ

狼女「あのね…こっち迷惑してるの」

女海賊「尻尾だけ置いて行ってくんない?」グイ

狼女「触らないでって言ったでしょう!!」グイ

ローグ「あのー…早く乗ってくれやせんかね?」

狼女「ゴメン今行く…」ピョン シュタ

アサシン「ではリカオン…出来るだけ早く使いを出す…いつもの要領で接触するのだ」

狼女「分かったよ…父によろしく」


フワフワ


狼女「じゃぁまたね」ノシ

女海賊「ぶわぁぁ…リカ姉ぇ…尻尾ぉお…」ヨロ


---------------
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:32:26.43 ID:Xx1bIi7d0
『付近の小島』


ギシギシ ユラ〜リ


女戦士「気球が帰って来るまでここで一時待機だ…小島で水を補給するから小舟を降ろせ!!」

海賊共「へ〜い!!」ドスドス

女海賊「…」トボトボ

情報屋「そんなに寂しいの?」

女海賊「リカ姉ぇが好きだったんだよ」

魔女「何て言えば良いのか分からぬが…主の飛空艇でいつでも会いに来れるじゃろう?何故それほど悲しむかのぅ…」

女海賊「あれ?そういやそうだな…いやそうじゃない…リカ姉ぇが取られちゃうのがさ…」

魔女「取られるとはどういう事じゃ?」

女海賊「なんか地庄炉村に気になる男の人が居るんだってさ…」

魔女「なんじゃそんな事か…主の脳みそは本真に何を考えてるか分からんわい」

女海賊「ほんなん知るもんか!!本能だよ本能!!」


トコトコ


ホムンクルス「女海賊さん…リカオンさんへ祝砲を撃ってみるのはどうでしょう?」

女海賊「お!!?イイね!!」ダダダ


女海賊「お姉ぇ!!お姉ぇ!!大砲試し撃ちして良い?」


女戦士「火薬を無駄に使うな…」

女海賊「改造した後まだ一回も撃って無いのさ」

女戦士「そうか…では流れて来る流氷に当ててみろ」

女海賊「おけおけ…おっし!!海賊共!!大砲の撃ち方教えるからコーーイ!!」ダダダ

179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:33:08.06 ID:Xx1bIi7d0
『水平迫撃砲』


…この大砲は砲弾の装填が特殊なんでしっかり覚えて

後装式といってこの後ろの蓋を開けて砲弾入れるの…ほんでしっかり蓋閉める

次に火薬を入れるのがコッチ…こっちもやっぱ入れた後蓋をしっかり閉める

照準は2軸式…水平射撃用と遠距離射撃は使う照準器が違うから注意

最後に射撃時は真後ろに立ったらダメね…反動で砲身が動くようになってるからパンチ食らうよ


海賊共「ほう…これはキ・カイの技術かいな?」

女海賊「私のアレンジも入ってるさ…ほんじゃ一発向こうの流氷狙うから見てて…」グイ カチ


ドコーン!!


海賊共「うほーーー」

女海賊「んあぁぁぁ…色々工夫したけど重装射撃砲と同じだなぁ…」

ホムンクルス「砲身が短いのが原因ですね」

女海賊「ホムちゃん分かる?」

ホムンクルス「直進性を増す為にライフル砲を採用している様ですがそれも初速が落ちる原因です」

女海賊「これ無いと狙った所に行かないのさ」

ホムンクルス「では…すこし射角を上げて精度よく当てらる様に照準を工夫すれば良いのでは無いですか?」

女海賊「それさ…相手との距離が正確に分かんないと当たんないんだよ…だから水平にこだわってんのさ」

ホムンクルス「望遠鏡を使って測量していますよね?」

女海賊「ダメダメ…精々300メートルくらいしか精度出せない」

ホムンクルス「分かりました…右目と左目を使って双眼鏡で三角測量する器具を作れば良いと思います」

女海賊「え!!?なるほどそうか…三角法で距離求めるのか」

ホムンクルス「この大砲でしたら測量さえ精度良く行えば600メートル程度の精密砲撃が出来ると思われます」

女海賊「よっし!もうちょいだな…」スタタタ


---------------
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:33:43.78 ID:Xx1bIi7d0
『荷室』


ガサゴソ


女海賊「使えそうな鋼材余って無いかなぁ…余ってるクロスボウバラシて鋼材にでもすっかぁ…」ゴロン

女海賊「ん?なんだコレ?」スッ

女海賊「黒い壺?なんだこれ?」

女海賊「あぁぁ思い出した…リリスを封じてた封印の壺だ…蓋が無くなっちゃったんだっけ…」

女海賊「そういや魔女に貰ったんだ…忘れてた」

女海賊「てかコレ蓋作れないんかな?…ちっと魔女に聞いてみるか」


--------------



『居室』


ガチャリ バタン


女海賊「魔女居る?」キョロ

魔女「んん?何事じゃ?」

女海賊「荷室に封印の壺置きっぱなしだったんだけどさ…これもっかい蓋作れないの?」

魔女「付呪師なら作れるがわらわには作れんのぅ…蓋は無うても入れ物としては優秀じゃと言うた筈じゃが?」

女海賊「すっかり忘れてたさ…どうやって使うんだっけ?」

魔女「只のカバン替わりじゃな?主は持ち物が多かろう…その壺にはようけ物が入るぞよ?」

女海賊「まぁ良いや…蓋は自分で作るかぁ」

魔女「そうじゃな?逆さにすると落ちてしまうで簡単な蓋は有った方が良かろう」

女海賊「なんか入れてみっか…」スポ

魔女「長い物も入る故に主にはピッタリの壺じゃ」

女海賊「お?お?お?うおぉぉメッチャ入るじゃん」スポスポ


--------------
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:34:13.10 ID:Xx1bIi7d0
『小島』


エッホ!!エッホ!!


女戦士「樽に入れるのは雪だけでは無く漂着した氷も入れて持ち帰る」

海賊共「がってん!!」ドスドス

アサシン「流氷があれば水には困らん様だな」

女戦士「こまかくするのが難義だ…」スパ スパ ゴトン

アサシン「しかし何処から流れて来て居るのか…」

女戦士「この様子だと直に氷山も流れて来そうだ…」スパ スパ

アサシン「インドラの銃で破壊出来んか…」

女戦士「やはり今の内に内海を出るのが正解だな」

アサシン「ふむ…商船をこちらによこすのは厳しそうだな…」

女戦士「いやそうでも無いぞ?この辺りは比較的海が浅いのだ…大きな氷山はもっと沖の方になる」

アサシン「ほう?つまり陸沿いならなんとか来られる訳か」

女戦士「問題は海流が逆だと言う所…船底の浅いスクーナーが必要になる」

アサシン「ううむ…フィン・イッシュには少ないタイプの船だな…」

女戦士「我々海賊がスクーナーを好む…逃げやすいのでな?」

アサシン「フフ…味方で良かった」


シュン! パパパパーン! チュドーーーン!


女戦士「んん?」キョロ

アサシン「空に向かって撃って居るな…」

女戦士「まさか…ガーゴイル?」

アサシン「どうやらゆっくり出来ん様だ…」スック

女戦士「海賊共!!引き上げるぞ!!」

海賊共「へ〜い!!」ドスドス
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:34:40.80 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


ドタドタ


女海賊「ちょっと商人!あんま遠くのガーゴイル倒しても意味無いから」

商人「そうだったね…精度良すぎるからツイ使っちゃう」

女海賊「ガーゴイルなんか20メートルくらい近付くまで放置で良い」

情報屋「ねぇ…月が出てる」ユビサシ

女海賊「本当だ…」

商人「なんか計算合わないねぇ…今頃北半球の側に月が有る筈なのに」

女海賊「水平線なぞって横に移動すんじゃね?」

情報屋「多分そうね…今からしばらく月が見えっぱなしに思うわ」

商人「地軸の移動も合わさってるから分からなくなるね」

女海賊「落ち着くまで観測も無駄さ…それよりガーゴイルが今の時点で出てるってのがなぁ…」

商人「まぁ僕が見張っておくよ」

女海賊「はいはい…私作り物してるから居室入っとくわ」スタ


-------------

-------------

-------------
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:35:08.75 ID:Xx1bIi7d0
『しばらく後_居室』


ガチャリ バタン


女海賊「お姉ぇ帰ってきたんだ?」

女戦士「インドラの光を見て慌てて帰って来たが大した事無かった様だ」

女海賊「月が出て狭間が近づいてるのさ」

女戦士「うむ…今観測をさせている」

女海賊「意味無くね?」

女戦士「月の公転の傾き具合が分かるぐらいか…」

女海賊「早い所ホムちゃんに衛星見つけてもらうだね」

女戦士「ところで今度は何を作っているのだ?」

女海賊「距離観測用の双眼鏡さ…望遠鏡だとあんま精度無いから三角法も併用すんの」カチャ

女戦士「ほう?面白そうだ」

女海賊「これお姉ぇの方が上手く作るかもね」

女戦士「双眼で見てどう距離に換算する?」

女海賊「基準になる照準と目標にピント合わせた時の差分を測るのさ…覗いてみ?」ポイ

女戦士「ふむ…なるほど」クリクリ

女海賊「いま触ってるダイアルに数値書いてるんだ…それが補正係数…あとは普通の測量だよ」

女戦士「これで対象までの距離を精度よく求めるのか」

女海賊「そそ…あとは大砲の射角調整すればドンピシャで当たる…筈…」

女戦士「大砲を撃たせるのは測量士にやらせた方が良いな」

女海賊「そだね…計算早い人が良い」

女戦士「よし!双眼鏡の構造は理解した…後は私がやろう」

女海賊「ホムちゃんが言うにはちゃんと測量すればあの大砲で600メートルの精密砲撃が出来そうだってさ」

女戦士「…という事は対象が大型の船だった場合はもっと遠距離から狙えるな」

女海賊「こっちも船で揺れてるからそう簡単には行かないと思うけどね…」



--------------
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:35:40.54 ID:Xx1bIi7d0
ドタドタ


ローグ「頭ぁ!!戻ってきやしたぜ?」

女戦士「ご苦労!!物資調達はどうだ?」

ローグ「布とロープを仕入れて来やした…食料もボチボチでやんす」

女戦士「よし!では出港させろ」

ローグ「へい!!…で?頭は何を作ってるでやんすか?」

女戦士「測量用の双眼鏡だ」

ローグ「あぁ望遠鏡の一種っすね…」

女戦士「悪いが私は手を離せん…海賊共に出港させて来い」

ローグ「わかりやしたぁ!!」ダダ



--------------



女海賊「おーーーし!!これで私が賭け金全部頂きさ」ジャラジャラ

女戦士「…」チラリ

アサシン「フフ…」

商人「良く我慢したねぇ…」ボソ

女戦士「商人!余計な事を言うな!」

女海賊「んん?まぁ良いや…ほんじゃちっと命の泉まで行って来るわ」

女戦士「誰を連れて行く?」

女海賊「どうすっかなぁ…ホムちゃんは衛星探すのに連れて行くとして…」

女戦士「やはり商人と情報屋か?」

女海賊「なんか毎回同じなんだよなぁ…安定っちゃ安定なんだけど…」

情報屋「私はもう少し体力をつけてからにしたいわ」

女海賊「おけおけ…ほんじゃ商人とローグかな」

女戦士「…との事だ…ローグ!お前が女海賊の見張り役だ」

ローグ「へい…わかりやした」

女海賊「何さ見張り役って…」

女戦士「お前は鎖を付けておかないと直ぐに何処かへ行ってしまうのでな」

女海賊「なんだよちゃんと帰って来るさ」

女戦士「幽霊船は陸沿いに外海側からフィン・イッシュを目指す予定だがどこで合流する?」

女海賊「フィン・イッシュまでハイディングしないで航海したら結構掛かるよね…まぁ海岸沿い探して戻って来るさ」

女戦士「インドラの銃は借りて置くぞ?光の石で照らして置けば空からも探しやすかろう」

女海賊「お!?それ良いね…晴れてたらメッチャ遠くから見えるわ」

女戦士「では決まったな?」

女海賊「まぁこっちはハイディングして移動すっから直ぐに戻るさ」

女戦士「そうしてくれ」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:36:11.17 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


シュルシュル スタ


女海賊「はいホムちゃん飛空艇に乗って」

ホムンクルス「はい…」ピョン

ローグ「次あっしが行きやすぜ?」シュルシュル

商人「ほっ!!」ピョン

ローグ「ワイヤー装置有るとラクっすねぇ…」ピョン

女海賊「おっし!!ロープほどいて…」グイグイ ポイ

ローグ「姉さんはいつも商人さんを連れて行くのは理由があるんすか?」

女海賊「商人は寝ないからさ…見張りとか操舵をずっと任せられるんだよ」

商人「ハハ…まぁそうだね」

ローグ「理解しやした…姉さんにとってラクなんすね」

女海賊「食事も要らないし何処行ってもお金に困んないし…捨て駒にしても死なないし」

商人「捨て駒とは酷いな…」

ローグ「いやいやこれは姉さんの誉め言葉なんすよ…出来る男に出来るって言わないでやんす」

女海賊「はいはいもう出発するよ…ホムちゃん操舵の仕方を教えるからこっち来て」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「ほんじゃ良く見ててね」グイ シュゴーーーーーー


フワフワ
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:36:42.27 ID:Xx1bIi7d0
『上空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


ローグ「これ北に向かうだけじゃ向こうの大陸に着かんのですかね?」

商人「それダメだね…外海のど真ん中飛んじゃう可能性がある」

女海賊「羅針盤はアテに出来ないんだ…陸の形を見ながら方向定める感じ」

ホムンクルス「南極では全部の方向が北です…そして今磁極がどこにあるのか分からないのです」

女海賊「だからホムちゃんの衛星頼りなのさ」

商人「そういえばさ?衛星は黒色惑星の影響を受けて居ないかな?」

ホムンクルス「静止軌道から外れている可能性が高いので出来るだけ早く修正しないと落下します」

女海賊「えええ!!それ超マズイじゃん」

商人「修正とは?」

ホムンクルス「推進力を制御するエンジンが搭載されていますので軌道の修正が可能です」

商人「エンジン?」

ホムンクルス「皆さんに分かる言い方ですと風の魔石と言う所でしょうか」

商人「なるほど…」

女海賊「それに乗って月に行けたりしない?」

ホムンクルス「女海賊さんが乗って行く事は不可能です…1万パーセント無理と言えば理解してもらえますか?」

商人「1万パーセントw」

女海賊「めっちゃ分かりやすい」

商人「月の公転がすごい変わってるけど平気なのかな?」

ホムンクルス「およそ200年程で元の軌道に戻ると予測します…数十年は洪水の影響が一番大きいかと思われます」

商人「情報屋も同じ事言ってたな…海抜100メートル変わる場所もあるとか」

ホムンクルス「その通りです…しかし現在の文明圏では20メートルくらいでしょうか」

商人「そうか…僕達は未踏の地がどうなってるのか知らないだけか…」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:37:14.40 ID:Xx1bIi7d0
『外海へ抜ける海峡_上空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「おっし!分かったぞ…こっから右方向に行けばフィン・イッシュ領方面だ」

ホムンクルス「もう少しで高緯度域を出ると思われますので羅針盤も少しはアテになるでしょう」

商人「船が5隻くらい外海に出た所に居るね…」

女海賊「どれどれ…何の船だろう?」スチャ

ローグ「あっしにも望遠鏡貸して下せぇ」

女海賊「あんたに何処の船か分かる?」パス

ローグ「そらあっしも海賊歴長いでやんすからね…ええと…」

商人「今の状況で航海しようとする船はロクな船じゃないと思うな」

ローグ「当たりでやんす…豪族があそこで出待ちしてるみたいっすね…ちっと頭に連絡しておきやす」

女海賊「迫撃砲の試し撃ち出来んじゃん」

ローグ「外海の方まで出たらハイディング出来るんで多分大丈夫でやんすよ」

女海賊「インドラの銃もあるんだから全然心配してないよ…」


-------------
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:37:45.51 ID:Xx1bIi7d0
『幽霊船_甲板』


女戦士「使い方は分かったな?…次はもう一つ向こうの流氷までの距離を測ってみろ」

測量士「がってん!!」クリクリ

女戦士「どうだ?」

測量士「1.278×660メートル…843メートルでごわす!!」

女戦士「あとは迫撃砲の射角だな…撃ってみるか…」

測量士「任せてがってん!!」

女戦士「ふむ…やってみろ…」ツカツカ


ノソノソ


魔女「女戦士や…ローグから連絡じゃ…貝殻を持てい」スッ

女戦士「んん?進路に何か妨害を見つけたな?」スッ


”頭ぁ…聞こえていやすかね?”

”どうした?”

”外海に出る海峡で豪族の船が5隻出待ちしてるんす”

”ふむ…船の大きさは?”

”キャラック船1隻とスクーナー4隻っすね…多分セントラル軍船崩れでやんす”

”分かった…距離を開けつつ様子を伺う”

”流氷もポツポツ流れてるんで気を付けて下せぇ”

”哨戒ご苦労!”

”じゃぁまた何か有ったら連絡しやす…ザザー”


女戦士「測量士!豪族と海戦になるかもしれん…今の内に迫撃砲の着弾精度を上げておけ」

測量士「距離はどの位で?」

女戦士「800メートル以上で当てられる様に工夫しろ…それだけ離れれば向こうの大砲はこちらに届かん」

測量士「がってん承知の助!!」ドタドタ


--------------

--------------

--------------
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:38:17.55 ID:Xx1bIi7d0
『翌日_外海に出る海峡』


ザブ〜ン ユラ〜リ


アサシン「やはり向こうもこちらに気付いて居そうだ」

女戦士「なかなか優秀な見張りが居るらしい…」

アサシン「このまま直進か?」

女戦士「先ずは出方を見ん事にはな…既に一隻私達の後方に回ろうとしている様だが…」

アサシン「主力は大きなキャラック船か?」

女戦士「さぁな?アレに近付かないようにこちらが動くと思って居るのだろう」

アサシン「どうする?インドラの銃なら先制で打ち込めるぞ?」

女戦士「まぁ待て…それは奥の手だ…こちらの迫撃砲も試してみたかったのだ」

アサシン「砲弾が随分小さいから決定力が無さそうだが?」

女戦士「着弾させて追い散らせば良いのだ…貴重な船をわざわざ壊す事もあるまい」

アサシン「クックック私は高みの見物と行こう」スタ


海賊「頭ぁ!!こっちの射程に入るでがんす!!」


女戦士「まだ撃つな!!キャラック船とは1kmの距離を置いて少し左に転進しろ!!」

海賊「へい!!」ドドド

女戦士「4隻のスクーナーに囲まれる筈だから狙うのはスクーナーだ!外すな!?」

測量士「がってん!!」

女戦士「有効射程に入り順次当てて行け!!」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:38:51.65 ID:Xx1bIi7d0
『海戦』


ドコーン!!


アサシン「フフ…そう簡単に動く的には当たらんか」

魔女「向こうは撃ち返して来んのぅ…」ノソリ

女戦士「射程外だからな…」


ドーン ドーン ドーン ドーン


アサシン「クックック届かんのも分からんのか奴らは…」

女戦士「こちらに大砲が1門しか無い事を知って居るのだ…包囲してるぞという合図」

アサシン「なるほど…」

女戦士「測量士!!何をしている!!当ててやれ!!」

測量士「がってん!!次こそ…」


ドコーン!!


アサシン「お?着弾か?」

魔女「ほぅ…高みの見物もなかなか見物じゃな…」ノソノソ

測量士「この距離だと2〜3発に一発当たる感じでごわす」

女戦士「どんどん撃て…スクーナーを散らせば私達の勝ちだ」

測量士「がってん!!」


ドコーン!!


-------------

-------------

-------------
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:39:23.85 ID:Xx1bIi7d0
『10分後』


ドコーン!!


女戦士「フフやはりマストは折られたく無いから近づけんか…」

アサシン「距離800メートルではそこそこ当たる様だ…この迫撃砲の最大射程はどの位だ?」

女戦士「分からん…射角を上げ過ぎると砲弾の着水が見えんのだ」

アサシン「2km先ぐらいまでは数を撃てば当たりそうだ…」

女戦士「陸上戦では無いからそれほど長い射程は不要に思う…今の射程で十分だ」

魔女「相手を追い払えば不毛な消耗戦をせんでも良いな?良い武器じゃ」


海賊「頭ぁ!!キャラック船が遠ざかってるでがんす!!」ドタドタ


女戦士「だろうな?スクーナーの追跡だけ注意して陸沿いにフィン・イッシュを目指す」

海賊「へい!!」

アサシン「余裕だったな…」

魔女「さて情報屋と談話でも楽しむとするかのぅ…」ノソノソ


--------------

--------------

--------------



『どこかの上空』


リリース! スゥ…


女海賊「商人!ちょい地形確認して」

商人「ええと…北側はすごく遠くに山脈…東側が低地で針葉樹がポツポツ生えてる…どこだ?」

ローグ「多分大分フィン・イッシュ通り越していやすね…」

商人「海が見当たらないなぁ…」キョロ

ローグ「セントラルの北西じゃないっすか?昔砂漠だったら辺…」

女海賊「なんかそんな感じだね…」

商人「砂漠といえば龍の巣って言われた砂嵐どうなっちゃったんだろう?」

ローグ「前の噴火で寒冷化した後は無くなったらしいですぜ?」

女海賊「ええ?知らんかった…なんかあんの?」

ローグ「詳しくは知らんです…リザードマンが沢山居て人が近づかんでやんすよ」

女海賊「折角だからソコ通って行こうか」


--------------
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:40:00.69 ID:Xx1bIi7d0
『荒野上空』


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


女海賊「また遺跡っぽいのがある…」

商人「リザードマンはこんな所に住処を持ってたんだね」

女海賊「情報屋を連れて来れば良かったなぁ…」

商人「見た感じキ・カイの様な高度な文明跡では無さそうだ」

女海賊「いつの時代とかアンタ分かんない?」

商人「う〜ん…1000年とか…2000年とか?」

ローグ「でも砂嵐の中で良く生活していやしたね?」

商人「リザードマンは耐環境性があるとか誰かが言ってたな…あと変温動物だから食料少なくても良いらしい」

ホムンクルス「私が名も無き島の端末で調べた範囲内でお答えできますよ?」

商人「あーそういえば生物学者の研究所だったね」


リザードマンは超古代から生息している人型ミュータントで地球外来種です

およそ1万年前に絶滅したとされていますが化石に残った遺伝子から人間の手により復活させられました

その生態は今おっしゃっていた様に地球上のあらゆる環境に適応する強い耐環境性を持って居ます

しかし手先が器用では無い事により文字を残す事や高度な道具を作る事が出来ない為

現代に至っても独自の文明を残すに至って居ません


商人「オークと同じ感じか…」

ホムンクルス「オークは人間までとは行きませんが独自の生活圏を少し作っていますね」

女海賊「アヌンナキが始めて地球に来た時って…なんつったっけな…ペルティリアン?」

商人「レプティリアン…多分リザードマンの御先祖さんさ」

ホムンクルス「皆さんのお話からするとその可能性が高いですね」

女海賊「1万年前に絶滅したってどういう事?」

ホムンクルス「それは名もなき島の端末の情報にありませんでした」

商人「きっと人間の手によって駆逐されたのさ…神々の戦いだよ」

ローグ「そういやリザードマンはあんまり強く無いでやんす」

ホムンクルス「人間より優れているのは耐環境性の他に長寿であるという事です…およそ1000年の寿命があります」

商人「ドラゴンと一緒か…」

女海賊「今の話からするとリザードマンはここの遺跡に住み着いてるだけっぽいね」

ホムンクルス「人間に追われて誰も近づかない砂嵐の中へ逃避したのかと…」

女海賊「なんか可哀そうになって来たなぁ…」

ホムンクルス「因みに人間との交配をさせる実験はされていた様ですが遺伝子配列が違い過ぎて適合しません」

商人「ん?じゃぁ共存は無理という事かな?」

ホムンクルス「共存出来るか否かは人間の側に問題がある様です」

女海賊「なんかみんな魔物だと認知してる時点で共存は無理っぽいな…」

ローグ「しょうがないっす…リザードマンの方から襲って来るもんで…」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:40:35.44 ID:Xx1bIi7d0
『遺跡上空』


シュゴーーーー ヒュゥゥ


商人「結構リザードマンの数が多い…」

女海賊「飛空艇に気付いて騒いでる…よーし!!」スック

ローグ「何する気っすか?撃っちゃダメでやんす」

女海賊「撃つんじゃないよ…ちっと挨拶さ」グイ


ボエェーーーーーー ブシューーーーーー


商人「ハハハ…クジラの潮吹きか」

ローグ「あらららら?あらら…リザードマンがひれ伏していやすぜ?」

商人「向こうからしたら神様に見えるかもね?」

女海賊「ふ〜ん…そういう事か…」

商人「んん?」

女海賊「アヌンナキがどうやって神様になったのかって事さ…人知を超えた事を見せるだけで神様になるんだ」

商人「なんだそういう事か…」

女海賊「その当時の神様がなんでポンポン人間にやられたのか…実は大したこと無かったって感じじゃね?」

商人「なるほど…神々の戦いと言うのは後の人間がそう伝えただけで実際はもっと現実的な感じか…」

女海賊「ポンポンやられちゃうから今度はメチャ強いオークに乗り変えて来たんじゃないの?」

商人「フフ…君のそういうズケズケ言う所は好きだよ」

女海賊「なんか私…アヌが神様なのか良く分かんないんだよなぁ」

商人「同感さ…僕達に何をもたらしてくれるのか…謎ばかりだよ」


---どうせ何ももたらしてくれない---

---何故なら人間に興味なんか無いからさ---

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:41:43.63 ID:Xx1bIi7d0
『山脈上空』


シュゴーーーー ヒュゥゥ


ローグ「うはぁぁ…川が氾濫しまくっていやすね…」

商人「赤道に近くなったから雪が溶けて居るのと…雨も降っているんだろうね」

女海賊「これ目印の山とか全然分かんなくなっちゃったんだけど…」

ホムンクルス「皆さん…衛星の行方が分かりました」

女海賊「おお!!ほんじゃホムちゃんに案内お願いする」

ホムンクルス「軌道を修正して元の静止軌道へ戻るのにおよそ2日掛かります」

女海賊「そんな遠く行っちゃってんの?」

ホムンクルス「それ程遠くではありませんが急いで戻すと落下の危険がありますので…」

商人「まぁ見つかって良かった…」

ホムンクルス「衛星が救難信号をキャッチして居ます」

女海賊「んん?救難?どっから?」

ホムンクルス「座標からして宇宙からの模様…エネルギー供給を要求しています」

女海賊「宇宙!!?ちょちょ…どういう事?」

ホムンクルス「識別コードOV-277機…私のデータに機体のデータがありません…旧式のシャトルと想定されます」

女海賊「ちょい何言ってるかさっぱり分かんない…なんで救難信号?誰か居んの?」

商人「もしかしてそれは箱舟の事かい?」

ホムンクルス「分かりません…ですが古代の人が生存している可能性があります」

商人「ハッ!!情報屋が宇宙に逃れた人が居るのを見つけてる…それの事か」

女海賊「もしかしてそれに乗って月に行けたりする?」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:42:14.84 ID:Xx1bIi7d0
ホムンクルス「今までの提案の中で最も可能性が高いです…動かす事が出来れば99%月へ行けるでしょう」

女海賊「おっし!!それ奪って動かすぞ」

ホムンクルス「但し…動かせる可能性は非常に低いです」

女海賊「ホムちゃんが居れば何とかなるさ…ほんで?エネルギー供給って何?」

ホムンクルス「インドラの光です…指定の座標へ撃てば供給完了します」

女海賊「おっけ!!供給してあげよう」

商人「良いのかい?良く分からない相手にさ?」

女海賊「何言ってるのさ!やっと月に行ける方法見つけたんだ…私は逃さないよ」

商人「ハハ君と言う人は…」

女海賊「ホムちゃん!インドラの光を撃ってあげてよ」

ホムンクルス「承認…インドラシステムを起動します」


座標同期完了…姿勢制御オート


ホムンクルス「発射します…」

女海賊「…」キョロ

商人「…」ポカーン

ローグ「ええと…何か起きやしたかね?」

ホムンクルス「完了しました…未確認機からの応答はありません」

女海賊「ん?…終わり?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「降りて来ないの?」

ホムンクルス「分かりません…」

女海賊「なんだよ…期待して損したわ」

商人「こんなに簡単にエネルギー供給出来るのか…スゴイな」

女海賊「あ…ちょいヤバかったかも…機械が人類に戦線布告してるとか言ってたじゃん?」

商人「ああああああああ!!まさか敵に塩を送っちゃったか…」

ホムンクルス「未確認機に動きがあれば分かりますのでご心配なく」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:42:54.45 ID:Xx1bIi7d0
『夕方_山岳部の崖際』


フワフワ ドッスン


女海賊「おっし…ここなら魔物も来ないっしょ」

ローグ「外で焚火でもしやしょうか」

女海賊「そだね…一応ローグと商人はプラズマの銃を持って行って」

ローグ「へい!!あっしは薪を集めてきやす」ダダ

商人「じゃぁ僕はガーゴイルを警戒しておくかな」

女海賊「命の泉行くのにこんな迷うと思わなかったさ…地形覚えた筈なんだけどなぁ…」

商人「どれだけ雪が溶けたのか分からないね」

女海賊「これホムちゃんの衛星待ちになっちゃうかも…」

商人「そうそう…衛星と通信出来るなら月の公転とかどうなったか分からないかな?」

ホムンクルス「基準が無くなってしまったので今は観測出来ません…」

商人「そうか…君は衛星からこちらを見る事も出来るのかな?」

ホムンクルス「はい…今は地球に接近しつつ地表の形状を以前と比較して居ます」

女海賊「おぉそんな事出来るんか…どう?メッチャ変わってそう?」

ホムンクルス「そうですね…内海に大きな津波が到達して居ないので皆さんには影響が分かり難い様です」

商人「外海はスゴイ事になってるんだ?」

ホムンクルス「海底で大きく分断している個所もある様で以前とは少し違った世界地図となるでしょう」

女海賊「まぁ海の占める割合が7割以上だから影響の7割は海だよ」

ホムンクルス「海面の上昇で沈んだ島や隆起で新しく生まれた島が沢山ある様です」

女海賊「なんちゅーか…大した苦労も無く生き残ったな…」

商人「そうでも無いよ?影響の少ない地域に人を誘導したお陰もある」

女海賊「アンタなんかやったん?」

商人「僕は物流で人の流れを少しコントロールしただけさ…公爵はもっと強引にやったよね」

女海賊「私石になってたから良く分かんないのさ」

商人「豪族使って追いはぎみたいな事やったり…海軍を全部外海に移動させたり…」

女海賊「ほ〜ん…」

商人「結果論なんだけど救われた人は多いと思うな」


ダダダ


ローグ「皆さんお待たせしやした…焚火を焚いたんで暖まって下せぇ」

女海賊「お!!山賊焼きでも焼くかぁ!!」スタ

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:43:27.07 ID:Xx1bIi7d0
『焚火』


メラメラ ジュゥゥ


ローグ「姉さん…何処にその肉仕舞ってたんすか?」

女海賊「魔女に貰った壺に何でも入るから適当に詰めて来たのさ」

ローグ「酒は有りやすかね?」

女海賊「ほい!!」ドン

ローグ「おぉぉぉ!!姉さんが居たら物資に困らんじゃないっすか…」

女海賊「あんま入れすぎると中でグチャグチャになる」

商人「他に何入ってるの?」

女海賊「爆弾とかボルトとか重たい物ばっかだよ」

商人「それって本当は魔物を封じる壺だよね…」

女海賊「どうやってこん中入れるか知ってる?」

商人「呼んで返事したら吸い込むらしい…後は量子転移の魔法?」

女海賊「お!?ほんじゃ商人の名前呼んで返事したら吸い込まれる?」

商人「ちょっと止めて欲しいな…いくら不死者だからと言って…」

女海賊「ヌフフフフ…ねぇ商人?」

商人「だからぁ!!それで遊ばないで欲しい!!」


シュゥゥゥゥ スポン!!


ローグ「あららららら…こら偉いこってすわ…」

商人「おーーーい!!高くてそこまで登れないよ!!出してぇぇ」

女海賊「いでよ!!商人!!」


シュゥゥゥゥ スポン!!


商人「ちょっと止めてって…」

女海賊「面白い!!どんくらいの高さだった?」

商人「2〜3メートルだよ…何か積めば出られそうだけど」

女海賊「ほんじゃロープで出られるか…コレ使い方次第で檻の中とか入れるな」

ローグ「何する気なんすか?」

女海賊「通れない向こう側に商人を行かせる事が出来るじゃん?」

商人「あのね…なかなかそういう場面が無いと思うんだけど…」

女海賊「ムフフフフ…これで盗賊を出し抜ける…ようし!見てろよ?ウヒヒヒヒ」ニマー

ローグ「いやぁぁ姉さん…カリスマっすね」

商人「ヤレヤレ…」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:44:07.71 ID:Xx1bIi7d0
『十日夜の月』


ギャァァ バッサ バッサ


女海賊「やっぱ夜になるとガーゴイル出てくんな…」

商人「近づいては来ないね」

女海賊「飛空艇にはそうそう襲って来ないよ…プラズマの無駄撃ちはしない様に」

商人「僕が見張っておくから君は休んで良い」

女海賊「そうするわ…ホムちゃんまだ妖精とくっちゃべってるかな?」

商人「そうだね…まぁ見ておくから心配しないで」


-------------


『鯨型飛空艇_荷室』


ガサゴソ ガサゴソ


女海賊「あれ〜〜?何処に置いたっけなぁ…」

ローグ「何か探してるでやんすか?」

女海賊「どんぐりとか種類を小分けしておいてた筈なんだけどなぁ…」ゴソゴソ

ローグ「姉さんの虫が食べて居やしたぜ?てっきりあっしは姉さんがあげたのかと…」

女海賊「えええ!!?種は食うなって言ってんのに!!」

ローグ「どっかその辺に隠れて居やせんかね?」

女海賊「あ!!良く見たらウンコいっぱいあるじゃん!!何やってんだよ…ワーム!!掃除しろ!!」


ニョロニョロ モソモソ


女海賊「あのね!!種は食うなって言ってんじゃん!!」

ワーム「プギャー…」パクパク

ローグ「姉さん…その虫じゃないでやんす」

女海賊「種食うのはワームしか居ないんだよ…」


カサカサ モソモソ


女海賊「んん?あああああああああああ!!ダンゴムシ動いてる…」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:44:44.44 ID:Xx1bIi7d0
ダンゴムシ「!!?」クルン コロコロ

女海賊「死骸じゃ無かったのか…てかいつの間に飛空艇に乗ってんだよ…」

ローグ「その虫は未来君の生まれ変わりなんすよね?姉さんが連れて来たと思って居やした」

女海賊「おい妖精出て来い!!どうなってんのさ!!」


スポン!! ヒラヒラ


妖精「呼んだ!?」パタパタ

女海賊「このダンゴムシはアンタの本体じゃないの!?」

妖精「何の事かな?僕は僕だよ?ダンゴムシはダンゴムシ…何を言ってるのか分からないよ」

女海賊「どういう仕組みなのか私にもさっぱりさ…まぁ良いやダンゴムシって生き返ったん?」

妖精「僕が分かる訳無いじゃないか…ダンゴムシに聞いて見なよ」

女海賊「そりゃそうだ…おい!!ダンゴムシ!!?」ツンツン

ダンゴムシ「…」コロコロ

女海賊「あんた未来じゃないの?」

ダンゴムシ「…」ジーー

ローグ「あ…姉さん…独り言喋りながら虫をつつく姿は他の人に見られちゃイカンですわ…」

女海賊「うっさいな!!あんた妖精の声聞こえないの?」

ローグ「なんか聞こえるんすが聞き取れんのです…姉さんの一人芝居に見えるんすよ」

女海賊「ちっと一人にしといて…」

ローグ「へい…あっしは姉さんを疑っちゃ居やせんぜ?」

女海賊「はいはい分かったから…ほんで妖精!!どういう訳か聞かして貰うよ」

妖精「ハチミツ欲しいなぁ…」

女海賊「あとであげるから…もっかい聞くよ?アンタどっから来たん?」

妖精「妖精は狭間に住んで居るんだよ?」


---------------

---------------

---------------
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:45:25.08 ID:Xx1bIi7d0
『焚火』


メラメラ パチ


ローグ「こっちは異常無しっすか?」スタ

商人「あぁ…相変わらずガーゴイルは遠くに居るね…ローグは飛空艇を追い出されたのかな?」

ローグ「そんな所っすね…姉さんが独り言話し始めたもんで…妖精と話してるんですがね」

商人「そうか…ローグは妖精の声が聞こえないんだ」

ローグ「小さな光と聞き取れない声は聞こえるんすが…」

商人「僕は不死者になってからコッチ良く聞こえる様になったよ」

ローグ「ホムンクルスさんも聞こえているみたいっすね」

商人「うん…さっきから盗み聞きしてるのさ」

ローグ「どんな事話してるんすか?」

商人「大した話じゃない…おっぱいの大きさと温度で揉めてる」

ローグ「あたたたた…本当どうでも良い話でやんす」

商人「でも不思議なんだ…ホムンクルスがどんどん人間らしくなっていくのがさ」

ローグ「変わりやしたね?運動すると言いだしたり…いつの間に寝てたり」

商人「本能的な事を妖精から教えて貰ってるのかもね」

ローグ「不死者は本能的になにか無いんすか?」

商人「う〜ん食欲も睡眠欲も性欲も無い…あ…生き血が欲しくなるのは欲求だな…なんでだろう?」

ローグ「生への渇望っすね」

商人「ワインで渇きが癒えるのは命が宿って居るからなのかも…ん?…ちょっと待て」

ローグ「どうしたんすか?」

商人「命の水…アヌがどうしてこれを集めたのか…生への渇望かもしれない」

ローグ「また閃きやしたね?」

商人「どうやって集めたのか…そうか分かって来たぞ…地球の命をどうにかして吸い取ってるんじゃないかな?」


それで地球も死にかけてる…だから生を渇望する

生き血が欲しい…戦争が終わらない理由はそれだ


女海賊「ビンゴ!!」

ローグ「姉さん…」

女海賊「明るくなってきたら出発するよ」


--------------

--------------

--------------
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:45:53.66 ID:Xx1bIi7d0
『早朝』


シュゴーーーーー フワフワ


女海賊「とりあえず尾根沿いに一番高い山を探す」グイ

商人「僕は右側を見ておくよ…ローグは左側おねがい」

ローグ「アイサー!!」

女海賊「ホムちゃんはぐっすりか…」

商人「昨夜も筋力トレーニングやってたから疲れているのかもね」

女海賊「マッスル系ホムちゃん…なんかイメージ違うなぁ…」

商人「良いじゃ無いか…歩き方もヨタヨタしなくなってるし」

ローグ「ちょちょちょ…ヤバイっす!!ロック鳥が飛んで居やす」

女海賊「ええ!?」

ローグ「早く進んで下せぇ…まだ遠くなんすがドラゴン並みにデカい鳥でやんす」

女海賊「マジか…」グイ


シュゴーーーーー ヒュゥゥゥ


ローグ「あららら…下の方からも4匹程追加でやんす」

女海賊「ハイディングで凌げると思う?」

商人「鳥とか虫はハイディング意味無いね…」

女海賊「くっそ!プラズマ銃のリロードだけハイディングで稼ごう」


--------------
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:46:30.25 ID:Xx1bIi7d0
『空中戦』


ピカーーーーーー チュドーーーーン!!


ローグ「ダメっす!!届かんでやんす!!」

商人「なかなか射程に入って来ない…」チャキリ

女海賊「最悪の場合私が妖精の笛吹いて凌ぐからそのつもりで居て」

ローグ「へい!!」

商人「ロック鳥の方が全然早いな…どうして襲って来ない?」

ローグ「気球が大きいんで警戒してるんじゃないすかね?」

女海賊「潮吹いて見るか…」

ローグ「ビビらせるんすね?」

女海賊「いくよ!?」グイ


ボエーーーーーーーー ブシューーーーー キラキラ


ホムンクルス「はう!!?」ガバ キョロ

女海賊「あぁホムちゃん起こしちゃったね…今戦闘中なのさ」

ホムンクルス「沢山の妖精さんとお話を…」

商人「寝ぼけて居るのかい?」

女海賊「ホムちゃん飛空艇の操舵お願いできる?」

ホムンクルス「は…はい…」

女海賊「おっし!!これで私も特殊クロスボウ撃てる」スチャ

ローグ「この距離で届きやすか?」

女海賊「射角上げれば届く…閃光弾で威嚇する」ガチャコン


ダン! ダン! ピカーーーー ピカーーーー


商人「効果ありそうだ…距離が離れて行く」

ローグ「このまま諦めてくれれば良いんすが…」

ホムンクルス「あのー…あの大きな鳥は襲って来ないと思います」

女海賊「え!?そうなん?」

ホムンクルス「私がお話して居た妖精さんに関係するのでは無いかと…」

商人「昼間は夢の中に出て来るのか…トロールが肩に乗せてる鳥みたいなもんか」

女海賊「ロック鳥に何かの虫が引っ付いてる?」

ホムンクルス「少し様子を見て下さい」

女海賊「ホムちゃんがそう言うなら…」

ローグ「どうせこっちも攻撃が届きやせん」

女海賊「まぁ良いや!後ろに注意しながら命の泉を探そう」


---------------
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:47:06.05 ID:Xx1bIi7d0
『命の泉付近』


シュゴーーーー ヒュゥゥゥ


商人「さすがにこの高度までロック鳥は追って来れないみたいだね」

女海賊「今海抜7000メートルくらい…正面に見える一番高い山の下が命の泉だよ」

商人「日が落ちる前に見つけられて良かった…」

ローグ「この高さより高い山が有ったんすね…」

商人「息苦しくない?」

ローグ「クラクラしやす」

女海賊「あのね?急な運動するとすぐ体調壊すから呼吸は意識して整えて」

ローグ「高山病でやんすか?」

商人「ホムンクルスも気を付けた方が良いよ」

ホムンクルス「はい…気を付けておきます」

女海賊「ええと…何処だったっけなぁ…」

ホムンクルス「右側の谷の緑化している所ですね」

女海賊「あれ?あんな緑あったっけ?」

ホムンクルス「癒し苔が増えているのですね」

女海賊「おぉぉ!!商人!!アレ集めておいて」

商人「そういえば僕も癒し苔にお世話になったなぁ」

女海賊「積めるだけ積んで帰る…封印の壺にも入れるから沢山集めてよ」

商人「分かったよ」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:47:41.81 ID:Xx1bIi7d0
『命の泉』


サラサラ キラキラ


女海賊「ドラゴンは居なさそうだな…」ジャブジャブ

ローグ「ほーーここが話に聞く命の泉なんすか…」

女海賊「ハイディングして隠してあるけどエクスカリバーを泉に刺してるんだ…何処だっけな?」ウロウロ

ローグ「姉さんは此処に来るの3回目でしたっけ?」

女海賊「そだね…そういやドラゴンのねぐらもあるんだよ」

ローグ「ドラゴンは見当たりやせんね?気配も無いでやんす」

女海賊「ドラゴンはエルフの所に居るさ…精霊樹守ってるんだよ」

ローグ「そのねぐらにはもしかしてお宝どっさりじゃないっすよね?」

女海賊「メッチャある…ドラゴンの寂しさ紛らわす宝物なのさ…あんま手を付けない方が良い」

ローグ「そうなんすね」

女海賊「見るだけなら良いかも」

ホムンクルス「ご案内しましょうか?」

女海賊「泉に入ってると寒いからドラゴンのねぐらで暖まってて良いよ…私もすぐ行くから」

ホムンクルス「はい…こちらです」スタ

ローグ「いやぁぁ楽しみっすねぇ…」スタ

女海賊「さてぇ!!さっさと命の水を撒こうかな…」スッ


キュポン! ジャブジャブ


女海賊「よーし!!やったった!!…フフ予想した通り…だから何?って感じだね」

女海賊「どうせ効果出るの100年とか200年とかいう奴だよね…ほんでエクスカリバー何処だっけなぁ…」ジャブ

女海賊「有った有った…」シャキン!!


ピカーーーーーーーー!!


女海賊「アハハ光は健在だ…」


アハハ…ウフフ… ヒラヒラ ヒラヒラ


女海賊「うお!?妖精がいっぱい…」キョロ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:48:13.73 ID:Xx1bIi7d0
妖精「やばやば!!遅刻する!!おっぱいに挟まってる場合じゃ無い!!」ヒョコ スポン!

女海賊「ちょちょちょ…あんた何処行くのさ!?」

妖精「命を運ばなきゃいけないんだ!!僕は旅に出る!!」パタパタ

女海賊「ちょっとぉ!!アンタ居なくなると困るんだけど!!」

妖精「狭間はどこにでも繋がってるよ!!急いでるから行くね!!」ピュー

女海賊「あぁぁぁ!!ちぃ…何なんだよ」


タッタッタ スタスタ


ホムンクルス「あ…女海賊さん…剣を抜いてくださったのですね?」

女海賊「んん?コレ?」スチャ

ホムンクルス「はい…トゲが刺さってると痛いそうです」

女海賊「ええ?どゆ事?」

ホムンクルス「妖精さんが教えてくれました…大地が痛がっていると…」

女海賊「マジか…知らんかったわ」

ホムンクルス「前に来た時は傷口が金属で埋められて居ましたよね?」

女海賊「あぁぁそいややそうだったね…今ミスリル銀しか持って無いんだけど…」

ホムンクルス「それで埋めて行っては如何でしょう?」

女海賊「そだね…ちっと傷口癒して行くわ」ゴソゴソ


---------------
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:48:52.45 ID:Xx1bIi7d0
『ドラゴンのねぐら』


グルルルル スゥゥ


女海賊「おわっ!!ドラゴン居るんじゃん!!」

ローグ「姉さん!!こっちっす…ドラゴンの心臓の近くは焚火みたいにあったかいんす」

女海賊「おぉぉ…水に濡れて寒かったのさ…ドラゴンは寝てんの?」スタ

ホムンクルス「はい…少しだけ話をしたら安心して眠りにつきました」

ローグ「なんか卵を抱えてるみたいですぜ?」

女海賊「おぉぉそういう事か…卵産んだ後なんだね?」

ホムンクルス「その様です…今はゆっくり休んだ方が良いですね」

ローグ「ほんで命の水はどうなりやした?」

女海賊「撒き終わったよ…毎度の事ながらなーんも変化した感じ無いさ」

ホムンクルス「妖精さんが慌てて飛んで行かれましたよ?」

女海賊「あぁそだね…命運ぶとか言ってどっか飛んでった」

ローグ「じゃぁ上手く行った感じでやんす」

女海賊「これどうすれば良いと思う?」スラーン ピカーーー

ローグ「姉さん剣を使えるんすか?」

女海賊「無理だなぁ…切るんじゃなくて横になってビターンて感じになる」

ローグ「ウヒヒ剣を鈍器にして使うんすねw」

女海賊「てかこの剣はシン・リーンの遺跡で見つけたんだけど…なんか縁があるんかな?」

ホムンクルス「エクスカリバーの元の持ち主は時の王ですよ?」

女海賊「ホムちゃん何か知ってんの?」

ホムンクルス「はい…以前シャ・バクダにある星の観測所で時の王にお話を聞かされましたので記憶しています」

女海賊「あああ思い出した!時の王のおっさんがホムちゃん捕まえてなんか話してたね」

ホムンクルス「はい…支離滅裂なお話だったのですが要約しますと…」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:49:28.81 ID:Xx1bIi7d0
2400年前に時の王は暁の使徒と黄昏の賢者に出会って居るのです

その時は仲間として共に魔王島に根城を構える魔王と戦ったとか…

そこで使ったのがその聖剣エクスカリバーでした

時の王は魔王の手下となっていたメデューサを討ち取りその生き血を飲みました

その理由は暁の使徒を未来で目覚めさせる為…そういう契約を暁の使徒と結んでいたのです

ですが暁の使徒は魔王を打倒した後忽然と姿を消してしまった…

そしてメデューサの生き血によって不死を得た事を知った黄昏の賢者は激怒し…時の王を敵として扱う様になったのです


時は流れて2100年前…再び世界が闇に染まり始めた頃…暁の使徒と再会します

この時すでに時の王は世界を平定し世界中の魔術師を集めてシン・リーンを建国していました

時の王は暁の使徒に右腕となるように言いましたが…記憶を失って居た暁の使徒は一人旅立ってしまった

後を着けた時の王は暁の使徒がかつての魔王島に黄金を運び理想郷を作ろうとしている事を知った…

しかしそこに黄昏の賢者も居た事から対立する立場になってしまった…

首の無いメデューサやゴーレムを自在に操る黄昏の賢者の姿を見て不審に思った時の王は

黄昏の賢者こそ魔王の化身と思い込み聖剣エクスカリバーでその首を落としてしまう…

それと同時に暴れ始めたメデューサの血を浴びた暁の使徒と時の勇者は石となってしまった


時は過ぎ1700年前…

かつての友を裏切った形になってしまった時の王はその罪に苛まれていました

そこに現れたのがエルフを従えた精霊シルフ

自らの寿命が尽きてしまう前に暁の使徒を目覚めさせるべくエリクサーを携えて…

石造となってしまった暁の使徒と時の勇者をシン・リーンまで運び込んで居た時の王は

直ぐに2人を目覚めさせ時が過ぎ去った事を伝えました

暁の使徒は語りました…魔王島に黄金を運び込んで居た理由…それは神を復活させる為の事

そして再び魔王島へ行く事になったのです

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:50:11.02 ID:Xx1bIi7d0
女海賊「んん?オシマイ?ほんで魔王島に行ってどうなったの?」

ホムンクルス「この後は精霊シルフとの思い出話ばかりで…話が繋がらないのです」

女海賊「なんだよ折角良い所なのにさ…」

ホムンクルス「時の王は精霊シルフに一目ぼれだった様ですね」

女海賊「どうでも良いんだよそんな話は…魔王島に何が有ったのかってのが聞きたいんだ」

ホムンクルス「結論だけ分かっています…暁の使徒は神と話した後に魔王島を封じてしまった事…」

女海賊「集めた黄金をアダマンタイトに変えた訳か…」

ホムンクルス「時の王はその手段を知りませんでした…そして精霊シルフに世界の真理を聞きその剣を置いたのです」

女海賊「コレ?」スチャ ピカーーーー

ホムンクルス「はい…シン・リーンの遺跡にその剣と光の石が残されて居たのはそういう理由です」

ローグ「英雄がなんで剣を置いたんでしょうね?」

ホムンクルス「本人に聞いてみないともう分かりませんね」

女海賊「どうせ魔王の正体が何なのかとか聞いたんでしょ?」

ホムンクルス「それも有るでしょうけれど暁の使徒が時を超える者という事を知ったのでは無いでしょうか?」

女海賊「ん?どういう意味?それで戦う意味が無くなった?」

ホムンクルス「はい…未来を変えようが無い事を知ったのかと…」

ローグ「そういやそうでやんすね?それを知るとやる気無くなるかも分らんです」

女海賊「あ!!そうか…それでシン・リーンの壁画は次の時代に勇者が時を超えると言う解釈なのか…」

ホムンクルス「時の王にはそう見えて居たのだと思います」

女海賊「なるほどねぇ…そういう歴史のある剣だったのかぁ…」スラーン

ホムンクルス「一つ分かって居るのはメデューサを始め幾多の伝説的魔物を葬って居る事」

女海賊「へぇ?他にも居たんだ?」

ホムンクルス「バフォメットやベルフェゴールなど伝説の魔物ですね」

ローグ「黄昏の賢者の首を切ったのもその剣でやんすね…」

女海賊「なーんか気になる剣だなぁ…」


---------------

209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:50:58.05 ID:Xx1bIi7d0
ヒュン ヒュン!


ローグ「全然ダメっすねぇ…叩くんじゃ無くて切るんでやんす」

女海賊「うっさいな!わかってんよ!!何か特殊な効果無いか調べてんのさ」

ローグ「その武器使うんなら突きだけで使ったらどうっすか?」

女海賊「使う気なんか無いさ…お姉ぇにでもあげるかな」

ローグ「なんか光りっ放しなんで鞘に納めた方が良さそうでやんす」

女海賊「そだね…その辺に丁度良い武器の鞘とか落ちてないの?」

ローグ「いっぱいありやすぜ?装飾の沢山ついた謎の宝剣が…」ガサガサ

女海賊「剣なんか興味無いんだよな…」ガサガサ

ローグ「これなんかどうっすか?丁度長さが合いそうでやんす」スラーン

女海賊「んんん…なんか微妙だな…まぁ良いや!封印の壺に突っ込んどけば良いじゃん!」

ローグ「明かりに使うだけっすね?」

女海賊「そうそう…それで邪魔になんない」スポ

ローグ「じゃぁそろそろ戻りやしょうか…商人さんが待っていやすぜ?」

女海賊「そだね…ホムちゃん帰ろうか」

ホムンクルス「はい…」



---------------
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:52:08.18 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


ヨイショ ヨイショ ドサドサ


女海賊「商人!!終わったよ!!」

商人「あれ?早かったねぇ…どうだった?」

女海賊「毎度の事さ…何も変化無いよ」

商人「ハハやっぱりね…効果が出るのは何年も先ってやつだね」

女海賊「癒し苔結構集まったね?」

商人「ちょとづつしか採れないからなかなか大変だよ」

女海賊「まぁ良いや…こんだけあれば当分ダンゴムシの餌には困んない」

商人「え?餌にするの?」

女海賊「放って置くとダンゴムシが種食っちゃうのさ…言う事聞かないんだよ」

商人「そうかい…それで?用が済んだからもう行く?」

女海賊「うん…幽霊船に戻る」


”ザザー”

”女海賊や…聞こえるかえ?”

”あ!!魔女!!?どしたん?”

”シン・リーンの母上から連絡があってのぅ…暁の墓所が墓荒らしに在ったらしいのじゃ”

”ええ!?どゆ事?”

”暁の使徒のご神体がオークに奪われてしもうたのじゃ”

”ちょ…”

”もう随分前の事の様じゃ…行き先は分からぬ”

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:52:50.03 ID:Xx1bIi7d0
商人「前に港町でオークに襲われたよね…もしかして…」

女海賊「あああ!!オークシャーマンもそこに居たじゃん!!」


”それでのう…暁の墓所に未来が残したと思われる壁画もあった様なのじゃ”

”マジか…ちょい行って来る”

”場所が分からんじゃろう…母上は今暁の墓所におるで母上に会うのも叶わんぞよ?”

”魔女はどこら辺とか知らないの?”

”シン・リーンの東側としか聞いて居らぬ…わらわが母上の眼を通じて壁画を写して居る故…一度幽霊船に戻るのじゃ」

”あぁぁなんかイラつく…ダッシュで戻るわ”

”うむ…今暁の墓所へ行ってもご神体がある訳では無い故に…早まって行動せぬ様にな?”

”分かった…”

”帰りを待って居る…ではのぅ…ザザー”


女海賊「…」グググ

商人「オークシャーマンの行先に心当たりは?」

女海賊「ある!!」ギラ

ローグ「姉さん…」

女海賊「ニライカナイ!!そこは昔魔王島だったの!!未来はそこで神を復活させようとした!!」

商人「神?」

女海賊「行きゃ分かるさ」

ローグ「姉さん…急ぎやしょう…日が落ちちまいやす」


--------------

--------------

--------------
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:53:36.93 ID:Xx1bIi7d0
『幽霊船_居室』


カキカキ スラスラ


情報屋「…では暁の墓所で未来君達が生活した痕跡は無いのね?」

魔女「何処にも見当たらんそうじゃ…他に在るのは王家のご神体ばかりじゃな」

情報屋「では壁画は何処からか運ばれた…そういう事ね?」

魔女「うむ…暁の使徒が安置されている部屋へは王家の者も入った事が無かったのじゃ…誰が運んだのかは既に分からぬ」

情報屋「壁画の暦からするとドリアードの時代ね…黄昏の賢者と一緒にドリアードを倒してる…」

魔女「これで壁画のピースがすべて集まったのかのぅ?」

情報屋「その当時未来君達が何処を拠点として居たのかが分かればもう少し調べられるけれど…」


タッタッタ ガチャリ


女戦士「魔女!手を貸してくれ…ガーゴイルの数が増えて直に攻めて来そうだ」

魔女「またかいのぅ…」ノソリ

女戦士「ボルケーノで一気に焼ければこちらのボルトを消費しないで済む」

魔女「情報屋…また船が揺れるで怪我をせぬ様にな?」

情報屋「わかったわ…気を付けておく」

魔女「では行って来る」ノソノソ


--------------
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:54:14.76 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


ギャァァ ギャース バッサ バッサ


魔女「ふむ…ボルケーノは3つ程出さぬと全部は焼き払えんのぅ」

女戦士「横帆は全部畳んだ…準備は出来ている」

魔女「ボルケーノには巻き込まれぬ様にな?」

女戦士「海賊共!!風向きが荒れるぞ!!帆角をすぐに変えられる様に準備しろ!!」

海賊共「がってん!!」ドスドス

魔女「では行くぞよ?竜巻魔法!竜巻魔法!竜巻魔法!」


ビュゥゥゥゥ ゴゴゴゴゴ


女戦士「帆角2番!!面舵一杯!!」

海賊共「うらぁぁぁぁぁ!!」ドドドド


ユラ〜 ギシギシ


魔女「海賊共は頼もしいのぅ…そろそろ火柱に変えるで火の粉を浴びん様にせい」

女戦士「大丈夫だ!既に火薬は退避してある」

魔女「良かろう…では!爆炎地獄!爆炎地獄!爆炎地獄!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ボゥ


女戦士「さすが魔女…ガーゴイルが一気に焼かれて行く…」

アサシン「又私の出番は無しか?」

女戦士「その様だ…光の石は元の場所に戻して辺りを照らしてくれ」

アサシン「夜の海で光を灯すとクラーケンが出るのだがな…」

女戦士「エルフもオークも乗せて居ない…襲っては来ないだろう」

アサシン「まぁ良い…私は見張って置こう」スタ

魔女「わらわの仕事は終わりじゃな…戻って書き物をして居るでのぅ」ノソノソ

女戦士「ふぅぅ…月の近い夜は海も安全では無いな…」


--------------

--------------

--------------
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 19:54:43.27 ID:Xx1bIi7d0
『翌日_デッキ』


ザブ〜ン ユラ〜リ


情報屋「随分暖かくなってきたわね…」ノビー

女戦士「体の調子は良いのか?」

情報屋「貧血は無くなって来たから気分が良いわ」

魔女「わらわも少し日光浴じゃ…」ノソノソ

情報屋「昼間は平和な海ね」

女戦士「豪族に襲われなければな?」

魔女「んん?見当たらん様じゃが?」

女戦士「こちらは光の石で光って居るから向こうには見えている筈なのだ」

情報屋「あぁぁ…女海賊が戻るまで光の石を隠せないのね」

女戦士「フフ…そういう事だ」

魔女「今度は真っ直ぐ帰って来るじゃろう」

アサシン「賭けるか?次どうするかを…」

女戦士「お前はもう金を持って居ないだろう」

アサシン「私はな?3日程閉じこもると思って居る…つまりその間にフィン・イッシュへ到着する」

女戦士「同意だ…賭けにならん」

魔女「アサシン…主はフィン・イッシュに戻った後はどうするつもりじゃ?」

アサシン「そうだな…どうにか公爵を追いたいとは思って居るが…」

魔女「もう放って置けばよかろう」

アサシン「友なのだ…事情を知ってしまった今…放って置けなくなった」

女戦士「歩んだ道が違っただけで目指した場所は同じか…」

魔女「わらわにとっては父上を貶めた仇なのじゃがな…」

アサシン「シン・リーンの王もうぬが信じた道を行っただけ…私達はすれ違ったのだよ」

魔女「理解して居る…じゃからもう公爵には会いとう無い…済んだ話じゃでのぅ」

情報屋「フィン・イッシュに女狐が居るのでしょう?」

アサシン「その筈だ」

情報屋「彼女に足の不自由な孤児が無事だと伝えないと…」

アサシン「隠し子だったか…誰の子なのやら」

魔女「むむ!!女海賊がこちらの船を見つけたぞよ」

女戦士「ほう?早かったな」

魔女「光の石のお陰じゃ…かなり遠くから見えて居った様じゃな」

女戦士「よし…船尾で待つとしよう」スタ


--------------
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:12:16.86 ID:Xx1bIi7d0
『船尾』


シュルシュル スタ


女海賊「はいホムちゃん到着!」

ホムンクルス「そのワイヤーの装置を私にも作って下さいませんか?」

女海賊「おっけ!後で作っとく」

ホムンクルス「ありがとうございます」ペコ

ローグ「姉さ〜ん!!あっしも降りるんでそこどいて下せぇ!!」

女海賊「はいはい…お姉ぇ!!コレお土産」ポイ

女戦士「んん?」

女海賊「時の王のおっさんの剣さ…エクスカリバーだよ」

女戦士「これが…」スラーン ピカー

女海賊「鞘が無いと眩しすぎるから作った方が良い」

女戦士「私は小細工に向かん…ミスリル銀でお前が作れ」

女海賊「んぁぁ何か作る物一杯だな…てか魔女は?」

女戦士「居室に戻った筈だ…」

女海賊「ちょい事情聞いて来るから!!」スタタタ ピュー


シュルシュル スタ


ローグ「頭ぁ無事に連れ戻しやした…ささ商人さん降りて下せぇ」

商人「あぁ悪いね…」ピョン

女戦士「む!!何だアレは!!」ズダダ

ローグ「あいやいや…あのデカイ鳥は襲って来んでやんす」

女戦士「どういう事だ?ロック鳥を連れて来たと言うのか?」

ローグ「勝手に付いて来たでやんすよ…なんもしてこないんで安心して下せぇ」

女戦士「まさかロック鳥が味方していると?」

ホムンクルス「妖精さんのお友達の様です」

女戦士「ほう?」

ホムンクルス「クジラに興味が有って付いて来ました」

ローグ「安心して下せぇ…ロック鳥が居るとガーゴイルも近づいて来んでやんすよ」

女戦士「ふむ…それは良いな」


-------------
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:13:01.55 ID:Xx1bIi7d0
『居室』


カクカク シカジカ…


女海賊「ほんでこれが壁画の写し…」

情報屋「そうよ…あなたの持って居る書物にも写すと良いわ」

魔女「その他にも未来が使って居った刀も見つかったそうじゃ…光を失って折れて居るらしいが」

女海賊「流星の刀…」プルプル

魔女「気の毒じゃがご神体が無事かどうかは分からぬ…」

女海賊「無事さ…オークシャーマンは予言に従ってるのさ」

情報屋「そうね…それが剣士と交わした契約なのだから」

女海賊「ちっと私の書物に壁画を写す」

魔女「うむ…結構な情報量じゃでゆっくり書き写すが良い」


-------------
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:14:13.19 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


ザブ〜ン ユラ〜 ギシ


女戦士「フン!」スン スン

ローグ「おぉぉその剣は残像が残って見えやすね…」

女戦士「私には軽すぎるが…」

ローグ「何か特殊な効果とか無いでやんすか?」

女戦士「破壊の剣のような効果は無さそうだ…ただ何か力がみなぎる感じはあるな…」

ローグ「あの剣はちっと危ないんすよね…戦闘中に急に夢見ちまうんで…」


ノソノソ


女戦士「む…魔女!?もう妹と話は終わったのか?」

魔女「うむ…今は壁画の写しとにらめっこじゃ…そっとしておくのが良かろう」

女戦士「そうか…魔女に聞きたい…このエクスカリバーの事なんだが…」

魔女「シン・リーンの遺跡で見つけた剣じゃな?どれ見せてみぃ」

女戦士「何か分かると良い…」スッ

魔女「どれどれ…ムム!!量子転移がエンチャントされて居るでは無いか…気が付かんかったわい」

女戦士「それはどういう効果がある?」

魔女「剣に力が宿る…倒した相手の力を吸い込んで居るのじゃ」

女戦士「それはつまり?」

魔女「この武器で何を倒したかじゃな…」

ローグ「メデューサの首を切ったらしいですぜ?他にもバフォメットやベルフェゴールや…」

魔女「皆悪魔では無いか…つまり悪魔の力を吸い込んで居るという事じゃ…これは魔剣じゃぞ」

女戦士「破壊の剣の様に何でも切れるのか?」

魔女「それは量子転移のエンチャントに失敗して制御出来んくなった効果じゃ…これは成功して居る」

女戦士「剣の能力としては只のオリハルコンの剣と言う事か?」

魔女「じゃが力を吸い込み強くなる…どちらが良いかのう?」

ローグ「メデューサの力って石化の効果っすかね?」

魔女「それもあるじゃろうが不滅の力も有るじゃろうな…バフォメットは金属を溶かす力…ベルフェゴールは怠惰の力…」

ローグ「おぉぉぉ…他に何を倒したのか気になりやすね」

魔女「魔力も吸い込んどる筈じゃぞ…何が起こるか分からぬ剣じゃ」

女戦士「さて…そのような魔剣を私に使いこなせるか…」

魔女「しかしおかしいのぅ…剣士はそれを振るって居った…何か起きた気配も無い」

ローグ「剣士さんはドラゴンに乗って殆ど魔法で戦って居やした…振るったのは魔王に使ったくらいっすね」

魔女「魔王をこの剣で倒せなんだのがのぅ…」

ローグ「実体が無いもんで切れんかったんすよ…なもんで殆ど使って無いんす」

魔女「そうだったか…ちと何が起きるかは注意せんとイカンな」

女戦士「ふむ…ここぞという時にだけ使う事にする」



--------------
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:15:00.15 ID:Xx1bIi7d0
『船長室』


アーデモナイ… コーデモナイ…


ホムンクルス「…地球内部約5000kmにある液体で構成された外核の内側が90°回転したと想定されます」

情報屋「それに引っ張られて地表が丸ごとツルリと移動した訳ね…」

ホムンクルス「地表に近い金属質の磁性が安定するまでは当面の間地軸が揺れている様に観測されるでしょう」

商人「それって行ったり来たりすると言う事?」

ホムンクルス「はい…核の回転は既に安定していますが外側が磁力によりフラフラしているのです」

情報屋「じゃぁ正確な暦をもう一度作るのは当分先なのね…」

ホムンクルス「何処で安定するか分かりませんので…」

商人「もうインドラの光を精度良く落とす事も出来ないか…」

ホムンクルス「残念ながら無理です…しかし大まかな座標は分かりますので指定の場所へのご案内は出来ます」

商人「因みに現在地は?」

ホムンクルス「地図上でいうとこの位置…北東に行けばフィン・イッシュです」


ユラ〜リ ググググ ギシ


情報屋「!!?また大きな波…」

ホムンクルス「津波です…外海では10メートル程度の津波が頻繁に発生している様ですね」

商人「外海側は影響大きそうだなぁ…」

情報屋「この逆さにした古代の世界地図はどの程度アテになるの?」

ホムンクルス「沿岸部の地形は全く異なります…海の浸食のせいですね…標高200メートル以上は殆ど変わりません」

商人「どんな風に変わったか君に描けるかな?」

ホムンクルス「絵に自信は無いのですがやってみます…少し時間を下さい」

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:15:37.15 ID:Xx1bIi7d0
『船首』


ザブ〜ン ユラ〜


アサシン「…」グビ ゴク

魔女「暇そうじゃのぅ…」ノソノソ

アサシン「フフ…流氷が無くなってしまってはもう私にやる事が無い」

魔女「わらわもやる事が無うてのぅ…」

アサシン「ワインを飲むか?」スッ

魔女「そうじゃな…一口頂くとするか」クイ ゴクリ

アサシン「クックック…」

魔女「マズい酒じゃ…」フキフキ

アサシン「なぁ魔女?私達も付き合いが随分長いな…もう20年を超え記憶もおぼろだ」

魔女「狭間に居った期間が長い故にもっと長く感じるわい」

アサシン「そろそろ子でも産んだらどうだ?」

魔女「それは母上が決める掟じゃ」

アサシン「勝手には産めんかクックック…」

魔女「要らぬ世話じゃ…してアサシン…主の理屈で言うと魔王を滅ぼした者が魔王になる…じゃったな?」

アサシン「古い話を…クックック」

魔女「どうじゃ?魔王になった気分は?」

アサシン「そうか…私は魔王か…」

魔女「率直に答えよ…俗な考えは要らぬ」

アサシン「虚無だ…ただ虚しい」

魔女「虚無から何か生まれてきたりはせぬか?」

アサシン「んん?私が魔王に染まるとでも思って居るのか?」

魔女「一応心配して居るのじゃ…」

アサシン「妖精がな…私に導きを与えている」

魔女「ほう?如何に?」

アサシン「海の向こうへ行かねばならん様だ」

魔女「主はフィン・イッシュに帰るのでは無かったか?」

アサシン「最終的にはな?」

魔女「まだ続きがあると申すか…」

アサシン「海の向こうに…私は妖精を追う」

魔女「ふむ…どうやら主はまだ死んでおらん様じゃ」

アサシン「本当の事を教えてやろうか?」

魔女「何じゃ?」

アサシン「私の妹の事だ…海の向こうで妹が待って居る気がしてならないのだ」

魔女「んん?死者の集う楽園…ニライカナイの事かいな?」

アサシン「さぁな?ただ無性に…海へ惹かれる」

魔女「ふむ…」トーイメ


--------------

--------------

--------------
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:16:12.26 ID:Xx1bIi7d0
『夜_甲板』


シュン! チュドーーーン!


ガーゴイル「グェェェ…」ヒューー バシャーン

女戦士「ええい!又魔女の力を借りねばならんか…ロック鳥はどうした!?味方では無いのか!!」

ローグ「夜はどっか行っちまうみたいっすね…」

女戦士「ちぃぃぃ意味の無い鳥だ…」

アサシン「次撃てるまで10分だ…凌げ」


女海賊「うわわ…お姉ぇ!!レイスも出てんじゃん」


女戦士「何!?何処かに魔方陣の欠けがあるのか?」キョロ

ローグ「あっしが処理して…」ダダ

女戦士「全員ミスリルの武器に持ち替えろ!!レイスを優先して倒せ!!」

海賊共「がってん!!」ドドド

女海賊「ちっとガーゴイルは私が何とかすっから今の内に体制整えて」スタタ シュルシュル スタ


ノソノソ


魔女「騒がしいのぅ…ボルケーノが必要かえ?」

女戦士「魔女!!レイスが出て居るのだ…何処かに魔方陣の欠けがある…先にそっちを頼みたい」

魔女「ふむ…どこじゃろうのぅ?」

ローグ「魔女さん!!荷室の方でやんす!!荷入れで銀がどっか行っちまったんすよ」


レイス「キシャァァァ!!」


ローグ「出て来るなってんでやんす!!」スパ

レイス「キャァァァァ…」シュゥゥゥ

魔女「応急で砂銀を撒くでレイスを処理せい」

ローグ「はいなー!!」ダダ


---------------

---------------

---------------
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:16:51.57 ID:Xx1bIi7d0
『船長室』


ガチャリ バタン


女海賊「ホムちゃん達此処に居たね?」

商人「どうなって居るんだい?」

女海賊「船の中にレイスが出てちっとバラバラな感じさ…プラズマの銃を持って来たから商人もガーゴイル撃ち落して」

商人「あぁ分かった…」

女海賊「情報屋は動けそう?」

情報屋「ええ…走らない程度なら…」

女海賊「んんんんん…無理しない方が良いな」

ホムンクルス「私は動けますよ?」

女海賊「え!!?ホムちゃん?…まぁ良いや!!プラズマ銃の使い方分かる?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「おけおけ…リロード30秒だから落ち着いて撃って」

ホムンクルス「わかりました…」

女海賊「情報屋は此処に居て!!ここならレイス来ないから」

情報屋「御免なさいね戦力にならなくて…」

女海賊「良いの良いの!!ほんじゃ商人!ホムちゃん!行くよ!!」

商人「よーし!!」

ホムンクルス「はい!」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:17:23.67 ID:Xx1bIi7d0
『デッキ』


ピカーーーーーー チュドーーーン!

ピカーーーーーー チュドーーーン!


女海賊「おっし!!リロードしっかり待ってね!!食らえ閃光弾」ダン! ダン!


ピカーーーー


女戦士「見えた!!撃てぇ!!」

海賊共「へい!!」バシュン バシュン バシュン バシュン

女海賊「お姉ぇ!!エクスカリバー出しといて!!そしたら見える!!」

女戦士「確かに…取って来る」ダダダ

商人「これは何匹飛んでるか分からないな…」タジ

女戦士「プラズマの銃は2人で交互に撃ってガーゴイルを近づけさせるな!」

商人「そうだね…」

ホムンクルス「分かりました…」

女海賊「ほんじゃ次!!もっかい閃光弾行くよぉ!!」ダン! ダン!


ピカーーーー


女海賊「撃て撃てぇ!!」


バシュン バシュン バシュン バシュン

ピカーーーーー チュドーーーン!
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:18:00.04 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


ダダダ スタ

女戦士「待たせた!!インドラの光だ!!」スラーン ピカーーーー

女海賊「おっし!!見えたぁぁ!!退魔の特殊弾食らえ!!」ガチャコン ダン! ダン!


ガーゴイル「ギャァァァァ…」ヒュゥゥゥ


女戦士「押し戻して居るな?」キョロ

商人「丁度射程さ!!」カチ ピカーーーー チュドーーン!

アサシン「フフこれでガーゴイルは近付けまい…」カチ シュン! チュドーーーン!

女海賊「退魔の方陣はどうなってる?」

女戦士「ローグと魔女が荷室に行ったきりだ」

女海賊「大丈夫かな…」

アサシン「私が行って来よう…丁度リロードで10分待つからな…」スタ


--------------


『荷室』


ダダダ スパ スパ スパ


レイス「キャァァァァ…」シュゥゥゥ

ローグ「やっぱなんやかんやでミスリルダガーが使い勝手良いでやんす」スチャ

魔女「ひとまず退魔の砂銀を撒いておるが…これは船を改修した場所を全部見て回らんとイカンぞよ?」

ローグ「マジっすか…」

魔女「主は把握しておるんか?」

ローグ「船底の竜骨を補強していやしたね」

魔女「クジラの骨に変えた所はすべて退魔の方陣を敷き忘れておるな…案内せい」

ローグ「へい…こっちでやんす」スタ


--------------
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:18:30.55 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


ザブ〜ン ギシ


女戦士「アサシン!方陣の方はどうだ?」

アサシン「ミスリル銀の細工が必要な様だ…お前が行った方が良い」

女戦士「なぜミスリル銀を…」

アサシン「船を改修した後に退魔の方陣を敷き忘れているだろう?」

女戦士「なっ…そうか船内にも必要だったのか…」

アサシン「今からミスリル銀を打ち直すらしい…だからお前が行くべきだ」

女戦士「分かった…」

アサシン「ここは私がインドラの光を浴びせればガーゴイルは寄って来んと思う」

女戦士「そうだな…悪いが行って来る」ツカツカ

女海賊「んん?アサシンとお姉ぇが交代?」

アサシン「うむ…インドラの光があればお前達だけで凌げるな?」

女海賊「なんか余裕っぽいね…射程内に入って来なくなったさ」

アサシン「さぁて…私は又見張りへと戻るか…」スタ


コーン コーン


女海賊「お?ミスリルを打つ音だ」

アサシン「もう何物も近づかんだろう…ワインでも飲むとしよう」グビ


--------------

--------------

--------------
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:19:03.40 ID:Xx1bIi7d0
『翌日_デッキ』


進路1時方向!陸には近付きすぎるな?

このまま行けば日が落ちる前にフィン・イッシュ近海だ


海賊「頭ぁ!!左舷側に潮目が見えるでがんす」

女戦士「渦に巻き込まれるかも知れんな…2時方向に修正だ!!」

海賊「へい!!」ドタドタ


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!エクスカリバーの鞘出来たよ…真っ直ぐ抜けるか試してみて」スッ

女戦士「ふむ…」スラーン スチャ

女海賊「どう?」

女戦士「抜いた時に鞘が鳴るな?隠密出来んが?」

女海賊「あぁぁぁ音か…気を付けて無かった…やっぱ全部ミスリルで作っちゃダメか…」

女戦士「まぁ盾替わりに使えん事も無い」

女海賊「盾ねぇ…もうちょい大き目の鞘でも良い?そしたら音も消せるかも」

女戦士「任せる…ただ抜いた音があからさまに分かるのは止して欲しい」

女海賊「おけおけ!今度は気を付ける…もっかい作って来る」スタタタ


-------------
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:19:39.19 ID:Xx1bIi7d0
『1時間後』


タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!もっかい作って来たよ」

女戦士「随分早かったでは無いか」

女海賊「まだ装飾して無いさ…今度は盾として使える様に結構重さある」スッ

女戦士「ほう?これは無垢のミスリルをくり抜いたか」

女海賊「ほんなん破壊の剣入れるだけでくり抜けるから簡単なんだ…抜いてみて」

女戦士「…」スチャ

女海賊「どう?」

女戦士「なかなか良いな…鞘も盾として強度十分の様だ」

女海賊「おけおけ!!あと持ち手付ければ良いね?」

女戦士「これは背負う形になるな…」

女海賊「そだね…腰につけるには重い…てか背負った方が邪魔にならないよ?」

女戦士「背負って抜けるか…」

女海賊「あぁぁ無理だね…まぁ急に抜く事なんかそうそう無いと思うけど…」

女戦士「確かにそうだな…まぁ良い…今のままで作ってくれ」

女海賊「おけおけ!!夜には間に合わせる」スタタタ


-------------
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:20:24.52 ID:Xx1bIi7d0
『船長室』


ホムンクルス「ふぅぅ出来た…」

情報屋「ご苦労様…見せて貰える?」

ホムンクルス「はい…どうぞ」

商人「どれどれ?」

情報屋「綺麗に書けて居そうね…でも地形が全然違ってて分からない…」

商人「これセントラルは内陸になってる?」

ホムンクルス「そうですね…海面が下がって遠浅だった場所がすべて陸になりました」

情報屋「フィン・イッシュも沿岸部の地形が変わり過ぎてて何処が何処なのか…」

ホムンクルス「港はすべて水没して居ますので何処に停船するか困ると思います」

商人「あれ?確か外海側に港を作ってるんじゃなかったっけ?」

情報屋「完成したという話は聞いて居ないわ」

商人「そうか…」

情報屋「ねぇ…命の泉のある山脈の北側…ここはもう未踏の地では無いのよね?」

ホムンクルス「はい…赤道付近ですので船で行く事が出来ると思われます」

情報屋「たしか超古代文明でそこら辺にインダス文明があったらしいの」

ホムンクルス「文明跡地でしたら他にも行ける様になった場所が沢山ありますね」

商人「なんだ君は更に考古学の高みを目指したいんだね」

情報屋「当たり前でしょう…すべて繋がって居るのだから」

商人「こう見ると僕達の今の文明圏って小さいねぇ…内海の周りにしか人は居ないんだろうか?」

ホムンクルス「居るかもしれません…外海の向こう側に別の文明が繁栄している可能性はゼロではありません」

情報屋「あぁぁワクワクしてきた」

商人「ホムンクルス…君は言う事が変わったね?」

ホムンクルス「そうですか?」

商人「確率の話をしなくなった…夢を語る様になったよ」

ホムンクルス「はい…私は人間ですから」

商人「それだよそれ!!それで良いんだ!!」


--------------
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:20:55.03 ID:Xx1bIi7d0
『フィン・イッシュ近海』


ザブ〜ン ギシギシ


海賊「頭ぁ!!この下の海底に棚があるんでこれ以上行くと津波の影響が出ちまうでがんす」

女戦士「そうだな…小島に寄せるのも座礁の危険がありそうだ…ここで碇を降ろせ!!」

海賊「がってん!!」ドタドタ

ローグ「気球はいつでも出せやすが?どうしやしょう?」

女戦士「私は船に残る…アサシンと魔女を連れて女王に挨拶へ行って来い」

ローグ「分かりやした!!」

アサシン「インドラの銃は借りて行っても良いか?」

女戦士「ふむ…ガーゴイル除けか…」

アサシン「こちらにはエクスカリバーが有るだろう?」

女戦士「分かった…それは戻って来るという意味と受け取って良いな?」

アサシン「フフ私は海の向こうに用事がある…もちろん戻って来るとも」

女戦士「海賊共ぉ!!小舟を2隻とも降ろして木材と鉄の買い付けに行って来い!!」

海賊共「へ〜い!!」

女戦士「交渉役に商人を同伴させるんだ」

商人「ええ!?僕が海賊達と?」

女戦士「何を言って居る…この船に乗って居るからにはお前も海賊だ」

商人「ええと…取り引き考えて無かったなぁ」

女戦士「硫黄を半分持って行け…そのつもりで乗せて来たのだから」


---------------
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:21:28.13 ID:Xx1bIi7d0
タッタッタ


女海賊「お姉ぇ!!エクスカリバー完成したよ」スッ

女戦士「ふむ…杖替わりに立てて置けば良いか?」ドン

女海賊「お?良いねぇ…デッキの上で仁王立ちしときゃ恰好つくわ」

女戦士「そろそろガーゴイルが出て来る時間だ…お前も戦闘に備えろ」

女海賊「ホムちゃんどこに行ったか知らない?」

女戦士「船長室で地図を作っていた筈だが?」

女海賊「おけおけ!!ホムちゃん用のワイヤー装置も作ったのさ」

女戦士「ホムンクルスを飛ばせるつもりか?」

女海賊「私のとはちょっと違うさ…飛空艇への乗り降りに使うんだよ」

女戦士「フフそうか…自発的に動くようになったか」

女海賊「ちっと行って来る」スタタ



『船長室』


アーデモナイ コーデモナイ


ホムンクルス「六分儀を使った星の観測では地軸の傾きが変わって居る様に見えますが実際は違います…」

情報屋「地球の地表がしっかり定まって居ないからなのね…」

ホムンクルス「はい…これは衛星を使った観測でないと知りえない事ですね」

情報屋「衛星はもう真上に?」

ホムンクルス「真上に来ているのは1基です…他の3基はそれぞれ違う場所に位置します」

情報屋「その全部がインドラ兵器を乗せているのかしら?」

ホムンクルス「いえ…現在稼働出来るのは1基だけです…残りの3基は4000年前にミラー部が損傷しています」

情報屋「ロストテクノロジーの最後の一基だった訳ね」

ホムンクルス「はい…」

情報屋「もしかしてウンディーネ時代の戦争は宇宙でも?」

ホムンクルス「衛星の履歴からするとその様ですね…私にはその記憶がありません」


ガチャリ バタン


女海賊「ホムちゃん!!ワイヤーの装置作って来たよ」

ホムンクルス「ありがとうございます」

女海賊「使い方分かる?」

ホムンクルス「分かります…見ていましたので」

女海賊「おっし!!ちっと今の内に練習しとこうか…メインマストに登ってみよう」

ホムンクルス「はい…ですが今情報屋さんとお話を…」

情報屋「良いのよ…私は見ておくわ」

ホムンクルス「分かりました…では行きましょう」スタ


---------------
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:22:01.04 ID:Xx1bIi7d0
『メインマスト』


パシュ シュルシュル


女海賊「おーーー一発で成功じゃん!!」

ホムンクルス「体のバランスを取るのが難しいのですね…」ジタバタ

女海賊「ワイヤーを片手で持てば良いよ…巻き取る時に怪我しない様に気を付けて」

ホムンクルス「はい…」シュルシュル スタ

女海賊「これが上手く使えると襲われた時にサッと逃げられるんだ」

ホムンクルス「そうですね…今度地上に降りたら練習してみます」

女海賊「あれ?商人もプラズマの銃持って行ったみたいだなぁ…」

ホムンクルス「一つは私が持って居ますよ?」

女海賊「今晩は魔女もアサシンも居ないのさ…2人で幽霊船守らないといけない」

ホムンクルス「頑張りましょう」

女海賊「私は特殊弾の無駄撃ちになっちゃうから実質的にホムちゃんだけになるんだけどさ…」

ホムンクルス「私には犬笛もあります」ハム


トゥルルルル〜♪


女海賊「おぉぉ!!それがあればホムちゃんは安全だな…そうかミスリル銀を…」

ホムンクルス「??」

女海賊「おっけ!!閃いた…波の揺れで鳴る鈴を作れば良い…速攻作って来る!!」スタタ ピューー



---------------
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:22:40.58 ID:Xx1bIi7d0
『夜_甲板』


リーン リンリン♪


情報屋「はぁぁぁ涼しい音…」

ホムンクルス「エクスカリバーの光で心なしか暖かいですね」

情報屋「気持ち良いわ」

女戦士「これは良く考えたな…ガーゴイルが寄って来ん」

女海賊「これ作るの超簡単なんだよ…フィン・イッシュに配っても良いかも」

女戦士「次に小舟が戻って来たら持たせよう」

女海賊「おけおけ!!作り増しとく」

女戦士「今晩はゆっくり出来そうだな?」

情報屋「何か食べる物でも作る?」

女海賊「そうだ…お腹空いてたんだ…」グゥ


----------------


『バーベキュー』


ジュゥゥゥ モクモク


女海賊「…ええ!!?月にインドラの矢を落としても意味無い?なんでさ?」

ホムンクルス「インドラの矢は核弾頭ミサイルと比較して爆発エネルギーが小さいからです…ガラス質の生成に至りません」

女海賊「メッチャ爆発して津波とか起こしてたじゃん」

ホムンクルス「それは水蒸気爆発ですね…熱エネルギーとしては核反応に遠く及ばないのです」

女海賊「ぬぁぁぁ…ほんじゃ月に退魔を宿らせるのは無理って事?」

ホムンクルス「あと一つ残されている可能性があります」

女海賊「なになに?」

ホムンクルス「4つある衛星にはそれぞれ高純度のオリハルコン結晶が搭載されています」

女海賊「もしかして衛星を落とす?」

ホムンクルス「はい…チャンスは一度きり…そして二度と衛星を使う事が出来なくなります」

女海賊「…」ゴクリ

情報屋「それは座標や情報を得る事も出来なくなるという事ね」

ホムンクルス「はい…月の軌道が正確に分からない為どのくらいの確率で成功するか分かりません…」

ホムンクルス「衛星から送信される映像から私がコントロールして落とす事になります」

女戦士「際どい選択だな…座標が分からんとなると外海を渡れんぞ?」

女海賊「落とす!!失敗したら次の手考える!!」

女戦士「フフお前は直球勝負だな」

女海賊「ホムちゃんは人間として生きるんだ…もうインドラ兵器なんか要らない!!」

ホムンクルス「はい…」ニコ

女海賊「どんくらいで落とせる?」

ホムンクルス「少し時間を下さい…月の軌道と衛星の位置関係から確率の高い条件を算出します」

情報屋「女海賊?あなたは決断が早いのね?」

女海賊「迷いはあるさ…でも使う時使わないといつまで立っても宝の持ち腐れになるのも知ってるんだ」

女戦士「その通りだ…そうやって勝ちに持ち込む」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:23:12.84 ID:Xx1bIi7d0
『翌朝』


ザブン ギシギシ


女海賊「ふぅぅ結局ガーゴイル来なかったね…」トンテンカン

女戦士「お前も少し休んだらどうだ?」

女海賊「お姉ぇの方こそ休んで良いって…私は鈴作るのに忙しい」トントントン

女戦士「知って居るぞ?お前がモノ作りに勤しむ時は心が痛む時だと…」

女海賊「…」トンテンカン

女戦士「まぁ話したく無いならそれでも良いが…睡眠はしっかりとる様にしろ」

女海賊「未来の老いた姿を見たく無いのさ…気が狂いそう」

女戦士「お前が描き集めた壁画の写し…アレは未来の成長日記だな?」

女海賊「そうだよ…苦難の一生さ…そのすべての記憶があの壁画だよ」

女戦士「何を読み取った?」

女海賊「あの子だけ4000年も未来の為に戦い続けてるの…分かる?」

女海賊「命を運んで…命を繋ぎ続けて来た事…」プルプル

女海賊「どうすれば報われる?」

女海賊「…それを考えたら…月に連れて行ってあげるしか思い浮かばない」

女海賊「だから迷ってる…アヌとの契約をそのまま受け入れれば良いのか…」

女海賊「それとも違う方法で月に連れて行くのか…」

女戦士「現状他の方法で月に行く選択は無いな」

女海賊「知ってるよ…でも未来の老いた姿を見たくない…苦難の顔を見たくない」


リーン リンリン♪


---------------

---------------

---------------
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:23:46.83 ID:Xx1bIi7d0
『鯨型飛空艇』


カサカサ モグモグ


女海賊「よしよし大きくなれよぅ?癒し苔は美味いか?」

ダンゴムシ「…」パクパク プリ

女海賊「ウンコはワームに食って貰うんだぞ?」ツン

ダンゴムシ「!!?」クルリン コロコロ

女海賊「ワームも癒し苔食って良いぞ…どっちが食べるの早いか競争だ」

ワーム「!!?」パクパク

女海賊「おぉぉオマイら友達になれそうだな?」

ダンゴムシ「…」ピク キョロ

女海賊「う〜む…良く見たら目が沢山ついてるんだなぁ…超ダンゴムシだな…」

ダンゴムシ「…」カサカサ パクパク

女海賊「ワームは口が目になってんのかな?」ツン

ワーム「!!?」ニョロニョロ ピョン

女海賊「うぉ!!飛ぶんか!!」

ダンゴムシ「…」ジー クルリン コロコロ

女海賊「へぇ?得意な事が違う訳ね…よーし!滑り台作ったげるわ」ゴソゴソ

ワーム「??」ニョロニョロ

女海賊「どうよ?葉っぱの滑り台だぞ?」

ダンゴムシ「…」カサカサ

女海賊「あれ?隠れるの?…ほんじゃこれでどうよ?葉っぱの上に小麦置いとく…食ってみ?」パラパラ

ダンゴムシ「…」カサカサ カサカサカサ

女海賊「なんだ滑って登れないのか…訓練だよ訓練!!」

ワーム「…」ニョロニョロ

女海賊「あぁぁヤバイ…先越される…」


---------------

---------------

---------------
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:24:24.43 ID:Xx1bIi7d0
『小舟』


ガコン ギシギシ


海賊「荷室の扉を開けてくれぇぇぇぇ!!」


ガラガラガラ ドターン!!


海賊「木材と鉄を早く運び入れるでがんす!!」ドタドタ

女戦士「商人!!フィン・イッシュの様子はどうだ?」

商人「ガーゴイルの事かい?」

女戦士「そうだ」

商人「銀装備が出回って居るからなんとかなってる…レイスが出てしまうと厳しい」

女戦士「退魔の鈴を作ったのだ…配って来い」

商人「おぉイイね!!」

女戦士「退魔の方陣は敷いて居ないのか?」

商人「昨夜兵隊が一気に動き出したよ…多分魔女の入れ知恵だね」

女戦士「それは良かった」

商人「銀が豊富にあるのが救いさ…」

女戦士「私達も銀を仕入れておいた方が良いな」

商人「安いから買いだね…次で持って来るよ」

女戦士「豪族はうろついて居ないか?」

商人「沢山居るよ…でも彼らの船は大体内海側の沖にあって自由に行き来出来ないみたいだよ」

女戦士「先に外海へ出た私達の勝ちだな…フフフ」

商人「南の海峡から回って来るかも知れないから一応注意しておいた方が良いね」

女戦士「分かっている…」

商人「今日は小舟で4回往復する予定だから昼間の内にフィン・イッシュへ少し出られるけどどうする?」

女戦士「いや…休息しておく…夜間に備えねばならん」

商人「そうかい?まぁ又お土産持って来るさ」


---------------
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/16(水) 20:25:06.39 ID:Xx1bIi7d0
『甲板』


ザブン ギシギシ


測量士「頭ぁ!!10km程南にキャラック船が見えるでごわす!!」

女戦士「例の豪族だな?スクーナーはどうした?」

測量士「見えんです!!」

女戦士「沖から回り込んでいるかも知れん…見張りを続けていろ」


スタスタ


情報屋「まだ狙われて居るの?」

女戦士「さぁな?こちらに近寄れないから離れた場所からフィン・イッシュで補給して居るのかも知れん」

情報屋「早いスクーナーが居ないのも変ね」

女戦士「夜間の奇襲には備えて置かんとな」

情報屋「ガーゴイルを掻い潜って来るかしら?」

女戦士「考え難いのだが…奴らは幽霊船にその危険を犯しても余る宝がある事を知って居るのだ」

情報屋「豪族の殆どは北方の海賊だったわね?」

女戦士「手漕ぎガレー船の馬鹿共だな…どこでスクーナーを手に入れたか知らんが金と女の為なら何でもやる連中だ」

情報屋「まさか泳いで来るとか無いでしょうね?」

女戦士「有り得る…この船を奪うつもりで全員泳ぎとかも考えられる」

情報屋「ガーゴイルは水の中には入って来ない…夜危ないわ」

女戦士「さて…どうしたものか…」


----------------
1322.47 KB Speed:1.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)