エンド・オブ・ジャパンのようです

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253 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/07/26(水) 22:04:30.74 ID:1kNqHEos0
強引にこじ開けた一個小隊相当の“穴”。後続がそこを埋めきる前に、こっちからその中に滑り込む。

さっき保安官たちも無線でやり取りしていたけど、【暴徒】の勢いや見える範囲での【寄生体】の密度を見る限り恐らく今回の攻勢は前にこの“防護陣地”へ行われてきたソレよりも激しさが増している。
マジノ要塞にでも籠もっているならいざしらず、昭和の学生運動に毛が生えた程度のバリケードでこの兵力差を埋めきれるかどうかは怪しいところね。

先ずは、陣地の傍から“群れ”の前衛を押し返すことを優先する。

「邪魔っ!!」

『『クキャッ!!?』』

「うぉ………ック゛へ゛ッ゛!?』

早速跳んできた【寄生体】二匹をまとめてブツギリにし、転がった頭部を思い切り蹴る。弾丸の如く飛来した甲殻に膝を砕かれ前のめりに倒れ込みかけた【暴徒】の胸元を、拳で突き上げ心臓を潰しつつ無理やり起こす。

『キョ?───ゥケ゛ッ』

3匹目の【寄生体】は私の喉笛を狙っていたようだけど、目の前で突然屹立した180cm超えの肥満体二台して反応しきれずその背に突き刺さる。前面まで貫通してきてキョトンと鎌首をもたげたソイツに、上からブレイドを叩き込みまた頭を斬り落とす。

『げぐぅっ………」

「この──ヲバッ!?』

『「『いぎゃぁっ!!?」』」

落ちた頭を手に取り無造作に放り投げ、そちらで上がった悲鳴を聞き流し逆側からクワを持って突進してきた女の腹をブレイドで刺し貫く。
同時に小脇に抱えた89式小銃の引き金を押し込み、出し惜しみなしのフルオート射撃。正面で一気に14、5人が血の海に沈む。

∬#メ´_ゝ`)「駆逐艦・叢雲を援護!各位、バリケード中層部まで前進!」

(#*‘ω‘*)「拳銃の弾だって潤沢じゃねえんだ、無駄弾は許さねえっぽ!一発外す度に一食抜きだからな!!」

<ヽ;`∀´>そ「ブラック職場も良いところニダね!?公務員にあるまじきパワハラニダ!!」

「ぶぁっ!?』

『カヒュッ────」

ある程度前線を押し上げたところで、阿音たちが本格的な支援射撃に移る。
全員が拳銃装備のため当然弾幕や火線なんて大層なものは張れないが、“群れ”がとりわけ密集している地点に的確に狙撃を浴びせてくれるため【暴徒】の隊列がこのあたりは大きく乱れて大層やりやすくなってるわ。

(*‘ω‘*#)「間違ってもバリケードから完全に降りるなっぽ、却って叢雲ちゃんの足手まといになる!」

<ヽ;`∀´>「チッ、校門の方から新手が入ってきてるニダ!各位、注意を!!」

特に、さっきの女保安官とその相方、この2人の射撃の正確性は図抜けている。今のところ、見ている限りは正真正銘の「百発百中」だ。

こと狙撃だけなら、結構真面目に“海軍”でも即戦力になれるんじゃないかしら?
254 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/07/26(水) 22:16:34.88 ID:1kNqHEos0
寡勢が大群と相対する際に、重要なのは此方の戦力を如何に“集中”するかだ。

テルモピュライのスパルタ然り、イッソスのアレクサンドロス大王然り、桶狭間の織田信長然り、沖田畷の島津家久然り、硫黄島の栗林忠道閣下然り。歴史を紐解いても、少数兵力側が戦況を覆すか大いに善戦した時は、基本地形や天候を利用して“真っ向勝負”が起きないようにするところから始まっている。
そこに敵の油断や混乱、彼我の練度・兵装差が加わることで、初めて物量差を覆すだけの余地が生まれるってわけ。寡兵が大軍を何の変哲もない真っ向勝負で打ち破るとしたら、それこそタイムスリップした直後で弾薬が潤沢な自衛隊と戦国の侍軍団くらい兵装格差がないと無理でしょうね。

その点で鑑みれば、私達はよくやっている。お粗末とはいえ“防護陣地”に拠って敵勢の大半を引き付けつつ打撃し、その上で艦娘──つまり私という最強ユニットの衝撃力を一点に集中させて一部を突き崩しつつあるのだから。
現に影響は既に出始め、私が“群れ”の中を斬り進む毎にそれの穴埋めと対処に追われてバリケードそれ自体への取り付きが徐々に少なくなっている。

「っふ!」

『ポキョッ⁉』

特に【寄生体】の動きは顕著で、“防護陣地”の方に向かった個体は無線に耳を傾ける限りほぼ皆無だ。アレが陣地への大挙攻勢に出ていたら火力的に押し止めるのは極めて困難だったろうし、効果として特に大きい。

だけど………“勝つ”なら、もうひと踏ん張り必要よね!

「『ヌコパッ!?」』
『「アギヒッ…』」

89式の弾倉を入れ替え、再度出し惜しみなしのフルオート射撃。10人前後の団体様に鉛玉の特盛を御馳走するとそのまま小銃を背中に回し、二本目のブレイドを抜き放ってもう一方の手に構える。

「合わせて!!」

「うごおあっ!?』「ふぐぅっ……』『げぉっ……」

無線に向かって叫び、即座に駆け出す。早速迎撃に来た一人の頭蓋に飛び蹴りを食らわせ、その後ろに居た二人の喉笛に同時にブレイドを突き立てる。

「はぁあっ!!!!!」

更に踏み込み、“群れ”の中へ。奥へ。両手のブレイドを次々と振るい、とにかく当たるを幸いなぎ倒し斬り伏せていく。
太った男の首を飛ばし、眼鏡を掛けた女の胴を両断し、跳んできた【寄生体】の口内に切っ先を捩じ込み引き千切り、ただひたすらに前へ。

(っ……ぷぁっ───)

辛うじて戦闘動作に影響しないギリギリの範囲で深く息を吸うけど、正直大分限界は近い。
艦娘が人間の形を取りながら人間を遥かに凌駕する身体能力・運動性能を発揮できるのは、艤装の補正を受けた上でそれを更に【船体殻】が吸収緩和してくれるから。その出力が大幅に落ちている状態──即ち中破・大破が起きていれば、当然艤装火力だけでなくこうした基礎的な部分にも大きく影響する。
255 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/07/26(水) 22:24:02.70 ID:1kNqHEos0
腕は痺れ始めているし、肺は少ない酸素を必死にやりくりして正に青息吐息、脚だってまるで満杯まで入れた輸送用ドラム缶を鎖で繋いで動かしているかのような重さだ。

現時点での“全力”を振り絞っての戦闘から、せいぜい2分か3分しか経っていない。けれど、あと5分この状態を保てるかも怪しいものわね。
まぁその間に7、80人は斬ったけど、今現在押し寄せてきている全体量からしたらまるで足りない。仮に私がここで力尽きれば、後続に飲み込まれて間違いなく一巻の終わり。

けれど、それでいい。

元より、自分の限界が近いことは承知の上。1時間も2時間も戦おうとか、一騎当千でこの“群れ”を殲滅してやろうとか、そういう高い志は端から持ってない。

(あとは中の連中が、“意図”を汲んでくれてるかどうか………っ、ね!)

『『ギュボァッ!?』』

突貫を開始する直前、無線へ叫んだ一言。主語も指示語もなく、事前の打ち合わせもない。あの中では一番長い阿音と鈴ですらせいぜい付き合いは2時間ほどで、“つうかあ”の意思疎通なんてものが期待できる人員もいない。

それでも、私は賭けた。あの中で誰かしらが、長々語らずとも私の“意図”に気づいてくれることを。

《機動隊並びにドラゴンさんチーム、キリンさんチーム、フェニックスさんチームは北方の“ゲート”前に集結!突撃態勢を取ってください!》

そして、案の定というべきか。

私の“意図”に気づき、行動を起こしたのは。

この場で最もそのことを期待し…………同時に、そうなってしまうことを最も恐れた、【大洗の軍神】だった。

<(' _'#<人ノ《射角調整ヨシ!弾種榴弾、装填ヨシ!!》

《撃て!!》

号令一下、砲声。軽快な風切り音と共に、75mm弾が陣地から飛び出す。

『「『ぐわぁああああっ!!!!?」』」

砲弾は私の到達地点から10M程離れた位置に突き刺さり、火柱が逆巻く。優に30人は軽く超えるであろう【暴徒】が、爆風に煽られ火に焼かれ破片に薙ぎ倒される。

《開けてください!!》

直後、先程W号を収容した“門”が、再びゆっくりと持ち上げられた。
256 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/07/27(木) 23:37:39.52 ID:898rXpAV0
包囲は、この時点で既に大きく綻びつつあった。

防戦を開始した地点から“門”の前付近まで一気に打通した私の突貫は、さながら手練の筋者が扱うドスの如く“群れ”を深く抉っている。
単純な損害の大きさに加えて、艦娘である私が大暴れしながら“群れ”をどんどん食い破っていく有様は当然向こうにとって愉快な状況から程遠く、損害の穴埋めと私への対処に動きざるを得ない。

結果として“防護陣地”への攻勢が全面的に「鈍化」を通り越して「停止」に差し掛かりつつあった中での、W号による砲撃。正しく穴埋めと私への対処に出向いてきた四個小隊相当の戦力が一瞬で壊滅し、深海棲艦側は致命的な混乱状態に陥った。

《門前、全迎撃隊に伝達!攻撃を開始してください!!》

【大洗の軍神】は、機を逃さない。無線越しに号令が飛び、“門”から一気に“軍勢”が打って出る。

「Giraffe Teamは右を!Phoenix Teamは左をやれ!

Dragon各位は中央に火線を集中、てめえらのソレより貴重な“タマ”だがケチるなよ!!ありったけバラまけ!!」

「「「了解!!」」」

仰々しい名前で呼ばれていた3個分隊ほどは、その全員が恐らく陣内においては極めて貴重であろうサブマシンガンや89式小銃──連射ができ、“火線・弾幕展開”を可能とする銃火器で武装していた。

「ぐぁあ……』
『グギッ!?」
「『「ぁあぁあああああああっ!!!?』」』

一斉に放たれるフルオート射撃が、“群れ”を更に大きく激しく突き崩す。雨あられと降り注ぐ銃火に【暴徒】達はドミノの如く薙ぎ倒されていき、“門”の前に形成されていた空白が放射状に伸びる弾幕の軌道に従って外へ外へとどんどん広がっていく。

「敵包囲網、急速に後退!突貫スペースを確保!!」

「よし、機動隊突撃しろ!いけぇ!!」

「「「うぉおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」」」

銃火器部隊が火線を維持しつつ“群れ”の穴を掻き分けるようにして左右に分かれ、その後ろから進み出る目算約一個中隊ほどの人数。

彼らは時代錯誤な“鬨の声”を上げ、隊列を組み、さながら古代ローマの重装歩兵の如く一つの塊となり、とりわけ大きく崩壊した“群れ”の一角へ突撃する。
257 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/07/27(木) 23:41:19.19 ID:898rXpAV0
元々日本の警察組織は、本来ある意味において自衛隊以上に“銃火器”の使用に対する制限が厳しい。ただその分、彼らの多くが対人格闘術に特化している。
逮捕術と呼ばれるこれらの技術は、護身並びに反艦娘的な思想の持ち主に襲撃された際の“最大限穏当な対人制圧術”の一環として艦娘の訓練過程にも組み込まれるほどだ。

まぁ、“あの”鎮守府には当て嵌まらない生ぬるい基準だけど。私が最初に学んだのは、「如何にすれば3人以上の頚椎をいっぺんにへし折れるか」だったわね、確か。

「突っ込めぇ!!」

「「「どりゃああああっ!!!」」」

ともあれ、たった今カチ込んでいった保安官たちもまた、そうした日本警察の伝統をしっかり受け継いでいるみたいね。

或いは、“学園艦の中という物理的にも政治的にもより厳重な制限が敷かれている環境だからこそ、自然とより鍛え上げられたのかしら。
総崩れの様相を呈しているとはいえ今なお膨大な質量を誇る“群れ”に対して、彼らの突撃はまるで力負けしていなかったわ。

「『「ぐぐぁあっ!!?』」』

『ギギィッ!!───ケクッ』

一糸乱れぬ、一部の隙間もないスクラムを組んだ先鋒30人ほどによるシールド・バッシュ。その2〜3倍にはなろうかという人数の【暴徒】が互いを押し合い、互いの脚を掬いながら後ろに跳ね飛ばされ更に大きく隊列を乱す。
隙間をくぐり抜けて飛び掛かった何匹かの【寄生体】も、構え直されたライオットシールドにぶち当たり遮られ直後に車庫から飛来した狙撃に射抜かれ尽く沈黙する。

「もう一発、かませぇ!!!」

「「「どぉおらぁああっ!!!」」」

恐らく指揮官格の、アメリカンフットボールでクォーターバックでもやってそうな身体つきをした男の号令。
雄叫びと共に【機動隊】は前面の【暴徒】たちにもう一撃浴びせ“群れ”の中に踏み込むと、両者が入り乱れての本格的な乱戦が始まった。

「うおっ、ふぅんっ!!」

『ぐぁはっ!?」

「せいやっ!!!」

「ゴフッ………』

多少、動きが素早かったり士気が高かったりはするのかも知れない。けれど、所詮【暴徒】は【暴徒】。元が一般人であり、大半は特別な格闘戦や対人制圧術の訓練を受けたわけでもない。単純な一騎打ちでは、技量的にもスペック的にも差は如実に現れる。

「うらぁああっ!!!!」

『ゴッ────!?」

加えて、この機動隊は“覚悟”が違う。
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/07/28(金) 08:53:37.10 ID:v/s5I2+QO
2日連続更新おつです
マッスル提督ついに大洗到着
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/29(土) 09:47:15.28 ID:fStM5nz20
夏休みで舞い上がってる小学生かな?
部外者が野次飛ばす時はsage進行って覚えといてね
260 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/08/23(水) 23:18:45.55 ID:YMhrknSl0
グシャリ。

重く、鈍く、何かが潰れたような打撃音が響く。視線をやれば、丁度警棒を振り切った体勢の保安官と、その前で地面に勢いよく叩きつけられた【暴徒】1人が目に入る。

「クコッ…………』

斃れた【暴徒】の側頭部は、踏み潰されたアルミ缶のごとく歪に凹んでいた。

「っふ!!」

年齢的には初老に差し掛かっているその保安官は、年齢相応の“手練”らしい。返しの動きで更に2人の【暴徒】に向かって繰り出された打撃は、どちらに対しても無駄がなく正確だ。

『オグォッ……」
「いでっ、あぎっ!?』

片方の喉笛に、突きを。
もう片方の腹に膝を入れ、くの字に体が曲がったところで首筋に全力の打ち下ろしを。

実に迅速かつ的確に、彼の打撃は向かってきた【暴徒】達の“急所”を打ち据える。

「うぉりゃあ!!!」

『ガブッ!?」

「【ヌタウナギ】に気をつけろ、奴ら隙間から突然来るぞ!!」

「ぐぁっ!?』

「っ、どいてよ!!」

「『ウガッ……」』

いや、その保安官だけじゃない。より年季の入ったベテランから今年入ったばかりと思わしき若い隊員まで、男も、女も関係なく。
突入した機動隊の誰もが、容赦も加減もなく全力全速で【暴徒】達の急所目掛けて自らの得物を振るっている。

「面っ!!」

『ぎゃっ…」

そも、警棒を使っている人数自体全員ではない。

例えば、今しがた巨漢の【暴徒】を打ち倒した保安官が構えているのは、日本刀。商業区の土産屋が外国人観光客向けに取り扱ってもいたのだろうか、模造刀らしく逆刃にはなっているため“斬る”ことはできない。
けれど、しっかりと体系的に武道を学んだ人間が取り扱えば、鉄製であるそれは充分な殺傷力を伴う。現に振り下ろされた【暴徒】の頭は縦に深々と割られ、脳漿と血を撒き散らしながら崩れ落ちていく。

他にも、鉄パイプに釘を打ち付けたバット、角材にコンバットナイフ、ステンレス製の杖、どこで拾ってきたのやら青龍刀なんてものまで──無論これも模造刀だけど──見える。総じて、全体の3割程度が警棒以外のものを………より高い“殺傷力”が得られるものを装備し、戦闘に参加していた。
261 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/08/23(水) 23:21:57.80 ID:YMhrknSl0
銃という火器の普及によって、戦争は一時期国家総力戦を前提とするほどに大規模化した。中世頃から現れた“銃”という兵器の存在は、それだけ革新的だった。男女差も年齢差も皆無とは言えないが現れにくく、剣術や槍術と違って身体的欠損でもない限り本当に誰でも兵士に仕立て上げられる魔法の筒。

その“魔力”が最も大きく現れるのは、殺人に対する罪悪感の軽減。

離れて撃つから、殺人そのものに対する現実味が希薄になる。仮に向こうも武装していて銃撃戦になったとしても、直接斬り合い殴り合うより“殺し合い”という行為に対して抵抗感が遥かに緩和される。加えて根本的な必要所作は“引き金を引く”だけだから、“慣れる”までも早い。

「そぉれい!!」

「そっちから二人来たぞ、抑え込め!!」

「【ヌタウナギ】だ!気をつけろ!!」

さっきも述べた通り、ただでさえ日本の警察は殺傷に対するハードルが高い。血眼になって包丁を振り回してるパンイチの狂人に対してすら、実際に銃を抜けば気高き平和の使者の皆さまが「野蛮だ」と口を極めて非難する。
一応は深海棲艦という存在によって武器の使用が良くも悪くも“日常的”になりつつある自衛隊より、ある意味では“武力”の使用制限は重い。況してや学園艦所属の保安官なら尚更でしょうね。

「コアッ!!』

「っ……だらぁっ!!!」

なのに、今まさに【暴徒】や【寄生体】と交戦中の機動隊の面々は、武器を振るう手を止めない。銃撃どころか、よりはっきりと自分たちが“人体”を破壊していると突きつけられる、時代と文明の進歩に逆行した「白兵戦闘」に身を投じる。

無論、お世辞にも淡々と、とは言えない。深海棲艦が最初に東南アジアを襲った折は艦内で連絡船や飛行便発艦所に押し寄せた暴動寸前の住民を何度か鎮圧したというから、練度はそれなりにあるのだろう。ただ、その時の目的はあくまで“制圧”、殺傷じゃなかった。
今この瞬間、艦内住民を守るはずだった自分たちの手でその住民の形をしたモノに武器を振り下ろす時、きっと彼らの感情は身を焼かれ引き裂かれるに等しい苦痛を味わっている。

でなければ、自分たちの得物を叩きつける時に、誰も彼もが殆ど悲鳴に近い雄叫びを上げてはいない筈だ。
262 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/08/23(水) 23:22:56.84 ID:YMhrknSl0
それでも、彼らは武器を振るう手を鈍らせない。どれ程自分たちが信じていた“正義”に反する行為でも、どれ程自分たちの“心”を踏みにじり傷つける行為であっても、機動隊員たちは血反吐を吐くようにして感情を撒き散らしながら【暴徒】を薙ぎ倒し続ける。

後ろにいるであろう避難民を守るために、その身を以て盾になる。永久に魂に刻み込まれるであろう業を、咎を、明確に存在する命のために自ら背負う。
そんな彼らの決意が、“覚悟”が、強烈な熱風となっていくさ場に吹き荒れ、徐々に前線を“陣地”から引き離し始めた。

『『キィアアアアアアッ!!!』』

「くっ……きゃあっ!?」

……まぁ、その、ねえ?機動隊の突入を“誘発”した責任も、あるわけだから。








「───退きなさい!!」

『『キュコォッ!?』』

「!?」

私がその熱に当てられちゃうのは、割りと仕方ないことよね!ええ!!

全っ然!これっぽっちも!大洗女子学園に関わることだから入れ込みすぎてるなんてコトにはならない、自然な流れだもの!!
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/24(木) 09:02:58.36 ID:K4QawAKw0
更新おつです
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 18:55:55.37 ID:wu/6Dwb20
保守
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/03/04(月) 18:51:50.62 ID:W6PYPV1kO
続き待ってます
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/04/23(火) 12:51:13.81 ID:3eXHPaRu0
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