エンド・オブ・ジャパンのようです

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259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/07/29(土) 09:47:15.28 ID:fStM5nz20
夏休みで舞い上がってる小学生かな?
部外者が野次飛ばす時はsage進行って覚えといてね
260 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/08/23(水) 23:18:45.55 ID:YMhrknSl0
グシャリ。

重く、鈍く、何かが潰れたような打撃音が響く。視線をやれば、丁度警棒を振り切った体勢の保安官と、その前で地面に勢いよく叩きつけられた【暴徒】1人が目に入る。

「クコッ…………』

斃れた【暴徒】の側頭部は、踏み潰されたアルミ缶のごとく歪に凹んでいた。

「っふ!!」

年齢的には初老に差し掛かっているその保安官は、年齢相応の“手練”らしい。返しの動きで更に2人の【暴徒】に向かって繰り出された打撃は、どちらに対しても無駄がなく正確だ。

『オグォッ……」
「いでっ、あぎっ!?』

片方の喉笛に、突きを。
もう片方の腹に膝を入れ、くの字に体が曲がったところで首筋に全力の打ち下ろしを。

実に迅速かつ的確に、彼の打撃は向かってきた【暴徒】達の“急所”を打ち据える。

「うぉりゃあ!!!」

『ガブッ!?」

「【ヌタウナギ】に気をつけろ、奴ら隙間から突然来るぞ!!」

「ぐぁっ!?』

「っ、どいてよ!!」

「『ウガッ……」』

いや、その保安官だけじゃない。より年季の入ったベテランから今年入ったばかりと思わしき若い隊員まで、男も、女も関係なく。
突入した機動隊の誰もが、容赦も加減もなく全力全速で【暴徒】達の急所目掛けて自らの得物を振るっている。

「面っ!!」

『ぎゃっ…」

そも、警棒を使っている人数自体全員ではない。

例えば、今しがた巨漢の【暴徒】を打ち倒した保安官が構えているのは、日本刀。商業区の土産屋が外国人観光客向けに取り扱ってもいたのだろうか、模造刀らしく逆刃にはなっているため“斬る”ことはできない。
けれど、しっかりと体系的に武道を学んだ人間が取り扱えば、鉄製であるそれは充分な殺傷力を伴う。現に振り下ろされた【暴徒】の頭は縦に深々と割られ、脳漿と血を撒き散らしながら崩れ落ちていく。

他にも、鉄パイプに釘を打ち付けたバット、角材にコンバットナイフ、ステンレス製の杖、どこで拾ってきたのやら青龍刀なんてものまで──無論これも模造刀だけど──見える。総じて、全体の3割程度が警棒以外のものを………より高い“殺傷力”が得られるものを装備し、戦闘に参加していた。
261 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/08/23(水) 23:21:57.80 ID:YMhrknSl0
銃という火器の普及によって、戦争は一時期国家総力戦を前提とするほどに大規模化した。中世頃から現れた“銃”という兵器の存在は、それだけ革新的だった。男女差も年齢差も皆無とは言えないが現れにくく、剣術や槍術と違って身体的欠損でもない限り本当に誰でも兵士に仕立て上げられる魔法の筒。

その“魔力”が最も大きく現れるのは、殺人に対する罪悪感の軽減。

離れて撃つから、殺人そのものに対する現実味が希薄になる。仮に向こうも武装していて銃撃戦になったとしても、直接斬り合い殴り合うより“殺し合い”という行為に対して抵抗感が遥かに緩和される。加えて根本的な必要所作は“引き金を引く”だけだから、“慣れる”までも早い。

「そぉれい!!」

「そっちから二人来たぞ、抑え込め!!」

「【ヌタウナギ】だ!気をつけろ!!」

さっきも述べた通り、ただでさえ日本の警察は殺傷に対するハードルが高い。血眼になって包丁を振り回してるパンイチの狂人に対してすら、実際に銃を抜けば気高き平和の使者の皆さまが「野蛮だ」と口を極めて非難する。
一応は深海棲艦という存在によって武器の使用が良くも悪くも“日常的”になりつつある自衛隊より、ある意味では“武力”の使用制限は重い。況してや学園艦所属の保安官なら尚更でしょうね。

「コアッ!!』

「っ……だらぁっ!!!」

なのに、今まさに【暴徒】や【寄生体】と交戦中の機動隊の面々は、武器を振るう手を止めない。銃撃どころか、よりはっきりと自分たちが“人体”を破壊していると突きつけられる、時代と文明の進歩に逆行した「白兵戦闘」に身を投じる。

無論、お世辞にも淡々と、とは言えない。深海棲艦が最初に東南アジアを襲った折は艦内で連絡船や飛行便発艦所に押し寄せた暴動寸前の住民を何度か鎮圧したというから、練度はそれなりにあるのだろう。ただ、その時の目的はあくまで“制圧”、殺傷じゃなかった。
今この瞬間、艦内住民を守るはずだった自分たちの手でその住民の形をしたモノに武器を振り下ろす時、きっと彼らの感情は身を焼かれ引き裂かれるに等しい苦痛を味わっている。

でなければ、自分たちの得物を叩きつける時に、誰も彼もが殆ど悲鳴に近い雄叫びを上げてはいない筈だ。
262 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/08/23(水) 23:22:56.84 ID:YMhrknSl0
それでも、彼らは武器を振るう手を鈍らせない。どれ程自分たちが信じていた“正義”に反する行為でも、どれ程自分たちの“心”を踏みにじり傷つける行為であっても、機動隊員たちは血反吐を吐くようにして感情を撒き散らしながら【暴徒】を薙ぎ倒し続ける。

後ろにいるであろう避難民を守るために、その身を以て盾になる。永久に魂に刻み込まれるであろう業を、咎を、明確に存在する命のために自ら背負う。
そんな彼らの決意が、“覚悟”が、強烈な熱風となっていくさ場に吹き荒れ、徐々に前線を“陣地”から引き離し始めた。

『『キィアアアアアアッ!!!』』

「くっ……きゃあっ!?」

……まぁ、その、ねえ?機動隊の突入を“誘発”した責任も、あるわけだから。








「───退きなさい!!」

『『キュコォッ!?』』

「!?」

私がその熱に当てられちゃうのは、割りと仕方ないことよね!ええ!!

全っ然!これっぽっちも!大洗女子学園に関わることだから入れ込みすぎてるなんてコトにはならない、自然な流れだもの!!
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/08/24(木) 09:02:58.36 ID:K4QawAKw0
更新おつです
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/10(土) 18:55:55.37 ID:wu/6Dwb20
保守
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/03/04(月) 18:51:50.62 ID:W6PYPV1kO
続き待ってます
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/04/23(火) 12:51:13.81 ID:3eXHPaRu0
私も待ってますよ
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