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【安価・コンマ】離島の魔法女学院でダンジョン探索【百合】

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5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 21:08:29.39 ID:WnHNQqFgO
【名前】ノルン・ハーベスト
【種族】人間
【性別】女
【学年】2
【容姿】金色のお下げ髪、身長161cm。
すらりとした端正の取れた体格、隠れ巨乳
素朴だが顔立ちの整ったかわいい系美少女
【性格】穏やかで温厚。落ち着いているが人当たりが良く、また芯が強い性格で鋼メンタル
【魔法】光属性を得意とする。攻撃、癒し、補助、浄化と多彩に活躍
【備考】平凡オブ平凡であった幼少期から、運動・勉強・魔法と様々な面で同世代屈指の実力者に上り詰めた努力の人
けれど身につけた実力をあまり表に出すことをせず、地味で目立たないけど、良く見るとすごくかわいくて、いざとなると頼りになるクラスの女の子ポジション。
けど普段はやっぱり目立たない位置に治まっている
幼少期の平凡時代の名残で、目立つような立ち振る舞いを自然と避けてしまうのが一因
何気に料理や裁縫なども上手で、文化祭などのイベントも目立たない裏方で大活躍してきた
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 21:09:33.44 ID:9rwKaz8I0
【名前】ルウェリア・モース
【種族】人間
【性別】女
【学年】2
【容姿】透けるような光沢ある水色髪のセミロング。同色の瞳。控えめな胸に小ぶりなヒップ。背は高い方。
【性格】好奇心旺盛でおせっかい。なんにでも首を突っ込みたがる。年上に対しては備考の事件について知っていることがないか根掘り葉掘り聞き込みに行き、その姿勢がちょっと怖い。
【魔法】硬度変化魔法。触れているものの固さを自在に調整できる。形状を変化させた場合離すとそのままの形で元の硬度に戻る。
【備考】遺跡調査中に行方不明になった姉を探すため相当頑張って転入してきた。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 21:58:48.78 ID:P2itAUKt0
>>4でいかせていただきます。ありがとうございます。
また、問題がなければ他の案のキャラクターも内容を少し調整して学院の生徒として登場させていただきたいと思います。もし問題があったら早いうちに言ってくださいね。

それでは本編を始めます。

 ◆

―時は少し遡り
 3月4週 夜
 学院寮 リアンの部屋

リアン「はあ〜……明日から転入なんて……。一年前から構築された人間関係にすんなり混ざれる気がしないよ……。うええ……」

リアン「……ううん。せっかく難しい転入試験を突破した上に安くない学費を出してもらってここまで来たんだもん。ワガママなんて言っちゃだめだよね」

リアン「……よし! 明日からの授業に備えて今のうちに教科書とか読んで予習でも――」

キィーン…………

リアン「――――ふ、え……?」

タスケテ……タスケテ……

リアン「誰か――助けを、呼んでる……!?」ガタッ

 ◆

―島南部 海岸洞窟前

海岸洞窟「――――」

リアン「こ、ここだ! この奥から……!」

リアン「……で、でも私一人じゃ……あ、危ないかも……」

リアン「で、でもでも、私が他の人を読んでたら間に合わないかも……! 土地勘とか全然ないし……!」

リアン「……決めるしかないか。覚悟」

リアン「大丈夫。この海岸洞窟なら――水場なら、私の独壇場だもん」

リアン「行こう!」ザッ!
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 22:12:25.83 ID:P2itAUKt0
―海岸洞窟 踏破率[0/2]

リアン「うええ……く、暗い……。こ、こういう時は……あんまり得意じゃないけど、光魔法」パアッ

リアン「ふう、これでとりあえず見える……。すごいなあ。鍾乳洞……じゃないか。なんて言うんだろう、こういう地形……」

リアン「と、とにかく進まなきゃ」

 ◆

ダンジョン探索は毎ターンコンマ判定を行いながら、踏破率を上げていく方式になります。
とりあえず今回のダンジョンはチュートリアルです

↓1コンマ
01   ?? 
02-99 踏破率+1
00   ??
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 22:13:59.20 ID:hii7IsrmO
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/22(土) 22:26:42.16 ID:P2itAUKt0
―海岸洞窟 踏破率[1/2]

リアン「うわっ、っとと……。水魔法使いが水で滑って転ぶなんてシャレにならないよ」

リアン「けっこう奥まで来たかな……? あれ、ここ、壁に何か……かすれて読めない。まあかすれてなくても読めなさそうだけども」

リアン「……助けは壁の向こうから聞こえてくるような気がする。よし、水圧で削り取ってみよう!」ギュイイイン

↓1コンマ
01-20 誰!?
21-00 海水を操って壁を削り隠し部屋発見。踏破完了
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 22:27:54.90 ID:mWWApghT0
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/22(土) 22:36:38.13 ID:P2itAUKt0
―海岸洞窟 踏破率[2/2]

ギャリギャリギャリ……ギャルオン!

リアン「……! 空洞! こ、ここは……!?」ダッ

リアン「み、見たことない……魔法陣……!? 部屋中にびっしり……!」

リアン「真ん中にあるのは……た、卵……ううん、棺……? な、なんだろう……?」

卵のような棺のようなもの「キィーン……」

リアン「こ、これだ! で、でもどうすれば……」

卵のような棺のようなもの「パキッ、プシューッ」

リアン「えええええ!!?!?!?!?? まだ何もしてないのに!?」


↓1卵のような棺のようなものから現れた存在
【名前】
【種族】
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 22:39:47.15 ID:/RSRDh0E0
【名前】リエム
【種族】魔法人形
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】金髪碧眼。例えるならアリスのような
【性格】機械じみた喋り方をする。学習すれば適応できるかも?
【魔法】魔導レーザー
【備考】起動後に初めてみたものを主人と認識する
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/22(土) 23:18:05.00 ID:P2itAUKt0
金髪碧眼の少女「……」

リアン(わっ……お人形さんみたいに綺麗な子……)

金髪碧眼の少女「……」パチッ

リアン(あ、眼を開けた……瞳も綺麗な碧眼だなあ……ってぼけっと見てる場合じゃない!)

リアン「だだ、大丈夫、ですか……!?」

金髪碧眼の少女「……システム、エラー。機能の破損を確認。初期化します……」

リアン「ふえ?」

金髪碧眼の少女「初期化完了。省魔力モードで起動…………」ジッ

リアン「え、ええと……?」

金髪碧眼の少女「マスター登録完了。ご命令をどうぞ、マスター」

リアン「えっ!? め、命令!? な、なんで?」

金髪碧眼の少女「説明をいたしますか?」

リアン「え、あ、はい」

金髪碧眼の少女「かしこまりました」

 *説明中*

リアン「ええと……つまり、リエムさんは魔法人形で、マスターである私の命令を何でも聞く……ってこと?」

リエム「はい。わたしに敬称は不要です、リアンさま」

リアン「いやいやいや、ええ? わけがわからないよ……。あ、そういえば呼んだよね、助けを……。何か危なかったんじゃないの?」

リエム「……申し訳ありません。ログが残っておらず……リアンさまの疑問にお答えすることができません」

リアン「あ、うん……。まあ……いいか……」

 ◆

―学院寮 リアンの部屋

リアン「……」

リエム「……」

リアン「え、ええと……リエムちゃん? これから、どうするの?」

リエム「はい。リアンさまのしもべとして、誠心誠意お仕えいたします」

リアン(テコでも動きそうにない……。でもだからって、この子をあんな暗くて寒い洞窟に置き去りにするのも……ん?)

リアン(も、もしかしして私、古代の遺物を盗掘してきちゃったんじゃ……!?)

リエム「カレンダーを確認……エラー。暦を正しく計算できません。一時的にカレンダー機能を凍結……」

リアン(ど、どうしよう!? 私、犯罪者になっちゃった!!!)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/22(土) 23:40:04.32 ID:P2itAUKt0
―4月1週
 学院 二年生教室

リアン「り、リアンと言います。水属性が得意です……。よろしく……お願いします……」ゲッソリ


生徒A「水属性かあ〜」

生徒B「早く馴染めるといーね」

サーナ「……なんだか暗いというか……げっそりしてますわね?」

ノルン「緊張して眠れなかったとかでしょうか……?」

ルウェリア「…………」ジッ


リアン(転入初日から、胃が痛い……)

 ◆

☆高等部年間行事予定☆
4月1週 入学式、授業開始
  4週 遠足
5月1週 大型連休、立夏
  4週 新人闘技大会(1年生)
6月3週 夏至
7月4週 期末テスト
8月1週 夏休み開始、立秋
9月1週 授業再開
  3週 秋分
  4週 学内闘技大会
10月1週 学外闘技大会
  4週 文化祭
11月1週 立冬
  4週 修学旅行(2年生)
12月3週 期末テスト、冬至
  4週 冬休み開始
1月2週 授業再開
  4週 ??
2月1週 立春
3月2週 期末テスト
  3週 春休み開始、春分

☆現在の目標☆
・リエムをどうにかする

4月1週の行動です
↓1〜3 自由行動安価 自由行動の後にシナリオイベントが発生します
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 23:43:50.01 ID:hii7IsrmO
クラスメイトのみんなとお話して仲良くなろう
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/22(土) 23:56:15.23 ID:0nv6l1QDO
図書室で魔法人形について調べてみる
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 00:02:13.01 ID:JjH04IrX0
とりあえずお風呂でリラックス
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 00:54:24.45 ID:qtEI9akE0
―4月1週 休み時間
 高等部二年教室

生徒A「ねえねえ地元どこ? カレシいたことある?」

生徒B「休日何してる? てかラインやってる?」

リアン「あ、え、えと、その……ぐええ……」

サーナ「こらこら、そのように捲し立ててはリアンさんがお困りになられてしまいますわ。順序というものがあるでしょうに」

生徒A「ごめんごめん〜」

生徒B「アハハ、転入生なんて珍しいからさあ。ごめんね?」

 ◆

 学院 校庭

ワーワー ズバンッ ストライークッ

リアン「はあ……すみません、ありがとうございます……」

サーナ「よくってよ。あの方たちも悪気があってあなたを質問攻めにしたわけではありませんから、どうか大目に見てやってくださいませ」

リアン「はい……大丈夫です、わかってます」

サーナ「ふふ、げっそりしているように見えてちゃんと周りの人を見ていらっしゃるんですのね」

リアン「えっ……そ、そんなにげっそりしてますか、私……」

サーナ「ええ。寝不足はお肌の天敵でしてよ?」

リアン「ひえ……き、気をつけます……」

サーナ「さあ、そろそろ休み時間も終わりますわ。次の時間は確か――」

アブナーイ!

サーナ「――」ヒュルッ

リアン「……!」

リアン(飛んできたボールが、まるでサーナさんを避けるように不可思議な軌道を描き――)

リアン(やがてサーナさんの手のひらの上で、重力に抗ったまま静止した。風魔法だ。精密な)

サーナ「ふふっ……わたくし、昔から運にだけは自信があるんですのよ」ヒュルヒュル……

リアン「運だけじゃ、ないですよね?」

サーナ「もちろん。研鑽は淑女の努め、ですものッ!」ヒュッ!!

ウワーッ! ゴーソッキューダーッ!

 ◆
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 00:55:55.54 ID:qtEI9akE0
―昼休み
 教室

リアン(しまった……リエムちゃんのことで頭がいっぱいだったから弁当とか持ってきてない……どうしよう……)

ノルン「……リアンちゃん? あ、ちゃん付けでもいいかな……?」

リアン「あっ……ど、ども……。好きなように、呼んでいただければ……」

ノルン「ふふ、ありがとう。じゃあリアンちゃんて呼ぶね。それで……もしかして、お昼ごはん困ってる?」

リアン「ギクッ……ま、まあ……そ、そうかもしれない、です……」

ノルン「やっぱり。お弁当、半分分けてあげる」

リアン「えっ! で、でもそれじゃあ、ノルンさんの分が……」グゥ〜

リアン「……///」

ノルン「ふふ、遠慮しないで。ちょっと作りすぎちゃったし……せっかくの初登校でひもじい思い出なんて残して欲しくないもの」

リアン「そ、それじゃあ……お言葉に甘えて……」

ノルン「うん。はい、どうぞ」パカッ

リアン「……! こ、これ……ノルンさんが……!?」

リアン(ノルンさんが開けたお弁当箱の中は、豪勢というわけではないが色とりどりで食欲をそそる料理が綺麗に並んでいた)

ノルン「う、うん。ちょっと、派手すぎるかな……?」

リアン「そ、そんなことないです。すごいです」

ノルン「よかった……。はい、じゃあどうぞ」スッ

リアン「い、いただきます……!」


リアン(ノルンさんのお弁当は、とても美味しかった)

 ◆
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 00:56:46.41 ID:qtEI9akE0
―放課後
 学院 図書室

リアン(図書室……ここなら、リエムちゃんのことが書かれてる本とかあるかも……)

ルウェリア「調べ物?」スッ

リアン「うひゃあ!?」

ルウェリア「わっ……ご、ごめんね。驚かすつもりはなかったんだけど……」

リアン「わ、私もすみません……図書室で大声なんて出して……」

ルウェリア「……何調べようとしてたの? お詫びってわけじゃないけど、手伝うよ」

リアン「あー……そう、ですね……。ええと、古代文明の遺物を――」

ルウェリア「!」ガタッ

リアン「ひっ」

ルウェリア「あっ……ご、ごめん……。私もちょっと……古代文明とは、因縁があって……」

リアン「あ、は、はい……」


↓1 ルウェリアに事情を話す?

1.話す
2.話さない
3.その他
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 01:00:23.58 ID:d2sOYuvH0
1
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 01:41:14.70 ID:qtEI9akE0
リアン(並々ならぬ事情を感じ、私は先日の夜に起きたことを自分に理解できた範囲でルウェリアさんに話した)

リアン「……というわけなんです。あ、その……で、できればこのことは誰にも言わないでいただけると……」

ルウェリア「…………うん。大丈夫。言わない」

リアン「ほっ……良かった」

ルウェリア「大人たちは……もう、信用できないから」

リアン「えっ……?」

ルウェリア「……私の姉……この島の遺跡の調査中に、行方不明になってるんだ」

リアン「…………えっ!?」

ルウェリア「調査隊の一員でさ……。妹の私から見ても、憧れの姉だった。なのに……」グッ

リアン(ルウェリアさんは、悔しそうに拳を握りしめた)

ルウェリア「事情を知ってそうな元調査隊の人とかに聞いても、皆何かを隠してるみたいに目を逸らして『関わるな』とか『忘れろ』とか言うんだよ。だからもう、大人は駄目。自分で調べるしかなくて……どんな些細な手がかりでもいいから欲しかったんだ」

リアン(私は上手く言葉を紡ぐことができなかった。突然姉を失うというのがどんな感覚なのか、想像が付かない。ただ、それがとてもつらく、苦しいことなのだろうということは、ルウェリアさんの仕草や表情からよく伝わってきた)

リアン「……お、お役に立てるかはわかんないですけど……今度、リエムちゃんに会ってみますか?」

ルウェリア「……じゃあ、お願いしてもいい?」

リアン「はい。あ、でも……リエムちゃん、まだ起動したばっかりで寝ぼけてるから、あんまり厳しくはしないでいただけると……」

ルウェリア「大丈夫。遺跡のことは憎いけれど、そこで出土したもの全てを憎悪するほど分別がないわけじゃないから」

リアン「あ、あはは……はい」

ルウェリア「よし、じゃあとりあえず今は魔法人形について調べてみよう……。って言ってもここに例の調査資料とかはないから、あんまり期待はできないかも」


↓1コンマ 図書館結果
01-70 オカルト本
71-90 古代機械図説
91-00 魔法人形概略
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 01:47:44.70 ID:Xt6DoKNCo
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 02:28:00.23 ID:qtEI9akE0

【新説! 超古代文明の遺産!】
 古代文明の遺跡から、圧倒的なマジックアイテムやアーチファクトが出土されることがある。
 今回の記事では、そういった天地をひっくり返す神がかった道具のいくつかを入手したので、それを紹介していこう。

 ①お世話妖精
 まず始めに紹介するのがこれだ。この小さな人型のアーチファクトは、凄まじい古代技術の粋が詰まっている。
 言うなればこれは使い魔の一種なのだが、なんと一度起動すると一切の補給なしに無限に主人のお世話をし続けるのだ。
 筆者が試しに使ってみたところ、可愛らしい翅をパタパタと羽ばたかせながら小さな体を動かして一生懸命に家事を行っていた。
 その仕事は見事なものだったが、問題はサイズだ。体が小さすぎるがゆえに仕事が遅く、大きなものを使えないのだ。
 家を空ける時に掃除などをさせるくらいなら良いが、腹が減っている時に料理をさせたり、大きめの衣類を洗濯させたりといった仕事は難しいだろう。
 まあそれでも仕事している姿が可愛らしいので、つい愛でたくなってしまうのが罪作りだ。製作者は良い趣味をしている。

リアン「……うーん……なんか微妙に違う気がします。というか胡散臭いです、この本」

ルウェリア「すまない……。この図書室、この島の遺跡とかそれに関係したものについて書かれた本が全然ないんだよ。私が去年入学した時からそうだった」

リアン「…………なんか、変な邪推をしちゃいそうになりますね」


リアン(結局、見つかったのは胡散臭いオカルト本一冊だけだった)
リアン(しかし私……もしかしてとんでもない厄ネタに関わってしまったんじゃ……?)
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 02:29:09.82 ID:qtEI9akE0
―夜
 お風呂

カポーン……

リアン「はあ〜疲れた……。やっぱり人間社会ってしんどいなあ〜……」

リアン「……」

リアン(でも……今日会った人たち、良い人ばっかりだったな……)

リアン(……なんとか、やっていけるかな……? 私……)



リエム「リアンさま」ガチャッ

リアン「アアアアアアアア!!!!」ザバァン

リエム「リアンさま、いかがなされましたか」ペタペタ

リアン「いかがなされましたか、じゃないよお! ノックくらいしてよおお!!」ザバッ

リエム「……申し訳ありません。学習いたしました」シュン……

リアン(リエムちゃんはそう言って、少しだけ肩を落としたように目線を落とした。ちなみにリエムちゃんも全裸だ。雪のように白い肌と幼げな起伏の少ない体つきが、とても美しくかわいらしい。もし私がロリコンだったら劣情を禁じ得なかっただろう……)

リアン「あ、ええとね? その……こ、これから気を付けてくれればいいからね? 今回は、許してつかわす……」

リエム「はい、リアンさま。ありがとうございます」ペコリ

リアン「……それで、どうしたの? お風呂、一緒に入りたかったの?」

リエム「主人の入浴時には同行してご奉仕させていただくのが魔法人形の務めだということを今しがた想起し、遅ればせながら参りました」

リアン「忘れてたんだ……。と、ところで、ご奉仕っていうのは……?///」

リエム「お背中など、お一人では洗いにくい箇所を流させていただいたりです。ご用命があればお申し付けください」

リアン「な、なるほどね……。じゃあお願いしようかな」

リアン(私は、自らの下劣な妄想を恥じた)

 ◆
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 02:33:33.70 ID:qtEI9akE0
本日はここまで
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 02:37:32.58 ID:Xt6DoKNCo
おつ
きたい
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 13:18:54.49 ID:qtEI9akE0
―4月1週 某日放課後
 寮

ルウェリア「へえ、二人部屋を一人で使ってるんだ」スタスタ

リアン「あ、はい。転入なので……。まあリエムちゃんもますし、結局一人ではないですけど」スタスタ

ルウェリア「……敬語じゃなくていいよ? 同い年なんだしさ」スタスタ

リアン「え゛っ!! あ、い、いや……そ、それでは……敬語を使わないよう……努力させていただく、所存で……」アタフタ

ルウェリア「い、いや……そっちの方が話しやすいならそれでもいいけどさ」

リアン「は、はい……。あ、ここです私の部屋」

 ガチャッ

リアン「ただいま」

リエム「おかえりなさいませ、リアンさま」トテトテ ペコッ

ルウェリア「……この子が……」マジマジ

リエム「いらっしゃいませ、お客さま」ペコッ

ルウェリア「あ、どうもお構いなく……」

リアン「と、とりあえず中に! 他の人に見られたらまずいので……!」

ルウェリア「あ、うん! お邪魔します!」タタッ

ガチャン

 ◆
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 13:20:10.47 ID:qtEI9akE0
―リアンの部屋

リアン(転入早々自分の部屋にクラスメイトが入ってくるなんて……私、すごくリア充……!)

リアン(なんて浮かれられるような事情じゃないんだよなあ……。ああ、でもお茶っ葉くらい買っておけば良かった……)

リアン「ま、まあとりあえず適当に座ってください。まだあんまり整ってなくて申し訳ないですけど……」

ルウェリア「ううん、気にしないで。遊びに来たってわけじゃないし」

リアン(うっ……そうです……遊びに来てくれたわけじゃないのです……。ルウェリアさんにそのような余裕はないのです……)

ルウェリア「それで早速だけど……君はリエムちゃん、でいいの?」

リエム「はい。他の呼称を用いたい場合は、リアンさまによるわたしの名称変更が必要となります」

リアン「か、変えられるんだ……。いや、変えないけど……」

リアン(ん? でもそれなら、リエムって名前は誰が付けたんだろう。あ、確か初期化とか言ってたしデフォルトネームみたいなものなのかな?)


ルウェリア「それじゃあ、リエムちゃん。質問しても良い?」

リエム「はい。リアンさまの不利益にならない範囲で、ご質問にお答えすることができます」

リアン(私の不利益ってなに???)

ルウェリア「じゃあ、この島の遺跡……ええと、君を造った文明の建造物とかに、六年くらい前に侵入者が入ったと思うんだけど……それについて、何か知ってることはない?」

リエム「――――情報を検索中……記録なし。各フォルトのデータベースにアクセス……エラー。権限がありません」

リエム「……申し訳ありません。わかりませんでした」

ルウェリア「…………そう」

リアン「……待って。リエムちゃん、その、各フォルトってやつ、まだ生きてるの?」

リエム「はい。定時信号を確認しておりますので、機能は存続していると思われます」

ルウェリア「……! リエムちゃん! そのフォルトってのの場所はわかる!? 権限があればアクセスできるってこと!?」ガタッ

リエム「計測不能な年数が経過しているため、経年による変化や地殻変動等の影響を考慮すると正確な位置を把握していると断定することはできません。また、権限があればアクセスすることは可能です」

ルウェリア「……! じゃあ、大まかな位置でいいから教えて!」ズイッ

リエム「かしこまりました。リアンさま、紙とペンをお借りしてもよろしいですか?」

リアン「え、あ、うん……はい」スッ

リエム「ありがとうございます。略図を描かせていただきます」カキカキ

ルウェリア「お願い……!」

 ◆
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 13:21:53.86 ID:qtEI9akE0
リエム「完成いたしました」スッ

ルウェリア「これは……!」

リアン(リエムちゃんが描いたのは、この島の簡易的な地形図だ。各地には遺跡と思しきポイントがマーキングされている)

ルウェリア「未発見の遺跡まで……! ありがとう!」

リエム「お礼はリアンさまに――――」

リエム「―――――――」

ルウェリア「? リエム、ちゃん?」


リアン(その時、突然リエムちゃんが硬直して動かなくなり――)

リアン(僅かな後――ゆらりと、有機的な動きで立ち上がった)

リアン(その美しい碧眼を、血のような真紅に染めて――――)


リエム?「……不正アクセスに情報流出とは、躾のなってない魔法人形(ガラクタ)がいたものね」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 13:24:19.58 ID:qtEI9akE0
リアン(そいつはリエムちゃんと同じ声で、リエムちゃんよりも流暢に――リエムちゃんよりもずっと冷たい声で――悪態を吐いた)

ルウェリア「……誰だ、お前は」

リエム?「あんたこそ誰? ガラクタとは言え、勝手に盗られて使われちゃ困るのよ。うちの大事な資源なんだから」

リアン「資源……? リエムちゃんが……?」

リエム?「リエムちゃん=H アハッ、ガラクタにちゃん付けなんてしてるの??」

リアン「……ッ! わ、悪い……!?」

リエム?「は? 悪いに決まってんじゃん。ガラクタにちゃん付けとか、ほんとキショい。そんな奴らに盗られて使われてるこいつが哀れね」

ルウェリア「……もう一度聞く。お前は誰だ」

リエム?「はあ、うざ。今から消し飛ぶ奴らに教える個人情報なんてありませ〜ん」キィーン――


リアン(そいつは片手を私たちの方へ向けた。その手には無属性の魔力が収束し、密度を上げていく――)

ルウェリア「ま、待て! そんなもん放ったらお前も――」

リエム?「このガラクタもろとも吹っ飛ぶでしょうね」キィーーン――

リアン「だ、大事な資源なんでしょ!? だったら……!」

リエム?「あんたらの手垢が付いた資源なんていらない。ここで爆散させんのが最大の有効活用法よ」キィーーーン――

リエム?「じゃーね、盗掘者ども――」キィィーーーーン――

リアン(収束される魔力は凄まじい密度で。きっとそれが放たれたら私たちだけでなく、この寮――いや、周辺一帯ごと木端微塵に吹き飛ぶだろう)

リアン(せっかく、孤児院の皆が応援してくれて、ここまで来たのに……。先生、皆……ごめんなさい……)


 ――バチチッ

リエム?「――ッ! チッ、こいつ!」シュゥゥン……

リアン(あわやそれが放たれんとした時、突然収束された魔力が急速に大気へと霧散し始めた。一体、何が……?)

リエム?「ガラクタの分際で私に楯突くか……!」シュゥゥゥン……

ルウェリア「! 今だリアンさん! 取り押さえよう!」

リアン「あっ、うん! バインドジェルッ!」ギュルルンッ

リアン(咄嗟に作り出したゲル状の水をそいつに纏わせて動きを封じる。でもこれだけじゃ完全な拘束には――)

ルウェリア「ソリッド!」ガギィン!

リアン(ルウェリアさんが水に触れた途端、まるで凍りついたかのように水が硬化していった。これなら――!)

リエム?「チッ……まあいいわ。今回は見逃してあげる」

ルウェリア「逃げるな! 知ってることを話せ!」

リエム?「あら、それならこのガラクタを拷問にでもかける? 私は欠片も痛くないけどね」

ルウェリア「くっ……!」グッ

リエム?「ふん。もし盗掘に来るようであれば容赦しないわ。長生きしたければ精々慎ましく暮らしなさい。それじゃ――」

リアン「ま、待って! リエムちゃんは……リエムちゃんは無事なの!?」

リエム?「――あ? 知らないわよ。無茶はさせたけど、無茶を無茶で上書きしたのはこいつ自身なんだから」

リアン「……ッ!!」

リエム?「じゃーね。二度と会わないことを祈ってるわ――」

リエム?「――――」カクン

リアン(リエムちゃんの体は、かくんと力を失い動かなくなった――……)

 ◆
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 14:43:36.64 ID:Xt6DoKNCo
「盗掘」か……
他にも色々気になるワードが
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 16:12:38.15 ID:qtEI9akE0
リアン(その後、寮の付近から膨大な魔翌力が検出されたことについてちょっとした騒ぎになったが、私たちがお縄につくことはなかった。結果的に何の被害も出なかったことで、事件は有耶無耶のまま捨て置かれることとなったのだ)

リアン(そしてリエムちゃんは――)

 ◆

―リアンの部屋

リアン「リエムちゃん、体の調子はどう……?」

リエム「リアンさま……。魔翌力炉に障害が発生しており、パフォーマンスに大幅な低下が見られます……」

リアン(リエムちゃんは私のベッドに横たわっていた。瞳の色はいつもの穏やかな碧色へ、そして口調も堅くも拙さのある元のものへと戻っている)

リエム「今後、わたしが再び不正な遠隔操作を受けた場合、リアンさまや他の方々に危害を加えてしまう恐れがあります。早急に廃棄することを――」

リアン「そんなことできないよ! な、なんか……セキュリティを強化とかできないの……?」

リエム「わたし自身には、自らのセキュリティを強化する機能がありません」

リアン「……じゃあ、リエムちゃん以外には?」

リエム「魔法人形研究所のデータベースに、最新のセキュリティ更新プログラムがあります。わたしのは少し古い型なので、もしそのデータベースにアクセスすることができれば、セキュリティを強化することが可能です。また、もし設備が無事であれば魔翌力炉を修復することもできます」

リアン「じゃあ、そこに行けば……!」

リエム「危険です……。わたしを遠隔操作した者が潜んでいる可能性が高く……」

リアン「うっ……」

リアン(次会ったら容赦しないって言ってたしなあ……。でもリエムちゃんをこのままにしておくのも……)



ドア「バァン!」

リアン「うひゃあ!?」ズテッ

ルウェリア「リアンさん! 助っ人を連れてきたよ!」

??「……」コツコツ

↓1 誰が来た?
01-40 遺跡探索部部長(新キャラ・学生)
41-80 遺跡探索部顧問(新キャラ・教員)
81-95 元調査員(新キャラ・教授)
96-00 魔法人形技師(新キャラ・研究者)
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 16:17:49.61 ID:MwFxXFxdO
ぽい
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 16:35:29.09 ID:qtEI9akE0
遺跡探索部の顧問である人物を決めます
なお遺跡探索部は部員が定数に満たず存続が危ぶまれている死にかけの部活です
現在真面目(?)に活動している部員はルウェリアただ一人です


↓1 遺跡探索部顧問

【名前】
【種族】
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】
【性格】
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 16:40:18.20 ID:Bb4WZASWO
【名前】エンシァン
【種族】人間
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】ボサボサの白髪にダボダボの白衣を着たスレンダー体型。身だしなみを整えれば実はかなりのべっぴんさん
【性格】怖いもの知らずでマイペース。彼女に付き合うと大体振り回されることに
【魔法】穴を掘る魔法。本当に穴しか掘れない。コスパは抜群
【備考】危険だろうとなんだろうと、楽しければなんでも良い、そんな人物。でも無謀な事はしない
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 16:42:58.03 ID:JjH04IrX0

【名前】ルル・ルールル
【種族】インテリジェンスソード(普段は人間の姿だが剣に変身できる種族)
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】おかっぱ頭の10歳程度の女の子のような容姿
【性格】普段は無邪気だが遺跡の事になると冷静
【魔法】地属性が得意
【備考】体の一部だけを刃に変えることもできる
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/04/23(日) 16:42:59.54 ID:Bv3J3McS0
【名前】シャーロット・リスティア
【種族】エルフ
【性別】女
【学年】該当なし
【容姿】金髪ロングで優しい顔立ち 右目に泣きぼくろがある 縦ニットセーターにタイトスカート 網ストッキング着用 爆乳
【性格】おっとりで優しい
【魔法】(主に使う魔法や得意とする属性など)治療・生命力活性の魔術
【備考】(来歴や嗜好、その他特徴や長所短所などなんでも)遺跡オタクでそっちのほうに話が進むと尋常じゃなく長々とした語りを入れ始める

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 17:54:06.71 ID:qtEI9akE0
ああん、勿体ない病の発作が出てしまいます
せっかく魅力的な案をいただいたので、エンシァン先生以外の案もきっと別のところで登場してくれるでしょう
――――――――――――――――


エンシァン「グッドイブニング! 君が古代遺物のマスター、リアン・ロールセンくんかな?」ズカズカ

リアン(私の部屋に入ってきたのは、身だしなみがめちゃくちゃな女性だった! だ、誰だこの人!?)

ルウェリア「紹介するよ。この人は私の所属してる遺跡探索部の顧問、エンシァン先生だ。その、見た目はアレだけど……ある意味、とても信用できる人だから」

リアン「え、ええ……!? え、えと……リアン・ロールセンです。初めまして……」

エンシァン「初めまして! 礼儀正しい子だね、好感が持てる」ギュッ

リアン(エンシァン先生は、差し出してもいない私の手を勝手に取って無理矢理握手してきた。めちゃくちゃだ)

エンシァン「それで奥でぐったりしているのが例の魔法人形リエムくん、か」

リアン「…………」ジト

ルウェリア「ご、ごめん……。でも、本当に信用できるんだよ。外部圧力とかには絶対に屈しない人だから……」

リアン(まあ、私よりも頑張ってきたルウェリアさんが言うならそうなのだろう……。実際、話は早い方が良いし)

リアン「あ、あの、エンシァン先生。リエムちゃんのことは、内密にしていただけると……」

エンシァン「内密にし続けた結果取り返しのつかない事態になったとしたら、君にその責任は取れるのかね?」ギラッ

リアン「あ、う……」

リアン(私は何も言えなかった。実際、ついさっき寮を木端微塵にする寸前まで行ったのだ。リエムちゃんを軽率に連れ帰った私のせいと言われれば、何も言い返せない……)

エンシァン「フッ、すまない。意地悪を言ってしまったね。責任を取るべきは君ではない。我々大人の方だ。この島の遺跡について不可解な隠蔽工作が行われているのは私も感知している」

リアン(エンシァン先生は表情を和らげて、少し優しい口調でそう言った。こう見えて意外と優しい人なのかも……)


リエム「リアンさま……? わ……お客さまが……」モゾモゾ

リアン(そうして話していると、リエムちゃんが気付いたのか、無理に立ち上がろうとし始めた)

リエム「あうっ」ドテッ

リアン「リエムちゃん、無理しないで。大丈夫、今は休んでていいから……」

エンシァン「ふむ……見たところリエムくんは後期型の魔法人形で……現在の症状は魔力炉の破損による動作不良……合っているかな?」

リアン「そ、そうです!」

リアン(すごい……少し見ただけで、リエムちゃんの状態を言い当てちゃった! それに、後期型? っていう、知らないことまで……)

エンシァン「なに、大学部の方に重度の遺跡オタクがいてね。そいつにいろいろ無理矢理覚えさせられただけさ。しかし魔力炉の破損となると、現代技術で治すのは不可能に近いな……。古代遺物を扱える変態技術者を探すよりも遺跡に直接乗り込んでそこの設備で治しちまった方が早いかもしれん」

リアン「そ、そうなんです! 一応、リエムちゃんから魔法人形研究所っていうところの位置情報は聞いてて……」

エンシァン「何ッ!? なぜそれを早く言わなかった! だったらさっさと行くぞ!」ガタッ

リアン「え、えええ!?」

ルウェリア「せ、先生! いくらなんでも急すぎるんじゃ……!」

エンシァン「馬鹿者! 敵に防備を整える暇を与えてどうする! それにお前はいつでも遺跡へ向かう準備ができているはずだろう、ルウェリア!」

ルウェリア「……! はい、もちろんです! ロープもテントも非常食も、40秒で用意できます!」

エンシァン「よし! 遺跡探索部新入部員、リアン・ロールセンを加えて今年度初出陣だ!」

リアン「え、え……わ、わかりました! リアン・ロールセン、行きます!」



リアン(なんだかよくわからないまま私は遺跡探索部の新入部員となり、リエムちゃんを救う為に未踏遺跡である魔法人形研究所へ向かうこととなった)

リアン(まあでも……尻込みしてる暇なんてないくらいの方が、私には丁度良いや)
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 19:02:41.97 ID:vqkpQmGWo
このパーティ(機能する)ブレーキがおりゃん…w
いいぞイケイケ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 19:03:48.29 ID:qtEI9akE0
(日が暮れかけている中、私たちはエンシァン先生が運転する魔法燃料式ハイブリッド軽自動車に乗って移動し、迅速に目的にへと向かった)
(そこは鬱蒼とした木々に覆われた森の中で、辿り着く頃には既に日も暮れて夜の帳が降りていた――)

ルウェリア「リアンさん、これを」

リアン「……ヘルメット? あ、照明が付いてる……」

ルウェリア「魔法でも明かりは点けられるけど、光魔法が得意でない限りは魔力消費もバカにならないからね」

エンシァン「うむ。だがこのチャチな照明じゃ捗らんのも確かだ。光魔法適性の高い部員が入部してくれれば良いのだがな……。欲を言えば風も、火も、土も……あらゆる属性の担当が欲しいが。リアンくんの水魔法ももちろん頼りにさせてもらうぞ」

リアン「は、はい……! ガンバリマス!」

リエム「…………申し訳ありません。お役に立てず……」

リアン(私の背中から、小さな謝罪の言葉が聞こえてきた)

リアン「……じゃあ、治ったらいっぱい役に立ってもらうからね」

リエム「はい。いっぱい、お役に立ちます」

 ◆

リエム「ここです。ここの地面の下に、魔法人形研究所の入り口があります」

リアン(歩いていると、リエムちゃんがそう言って地面の下を指さした)

リエム「しかし扉はロックされており、わたしにはそれを開く権限がありません……」

ルウェリア「それなら地面を液状化させてみよう。リキッド!」ドロロンッ

リアン(ルウェリアさんが地面に手を付けて魔法を使うと、地面が一気にドロドロと液状化し始め、その下にある研究所の外郭が露わになった)

リアン(しかしその外郭の方は、一向に液状化しない……)

ルウェリア「くっ……やはりダメか……!」

エンシァン「ふむ……強力な対魔法防壁だな。ほとんどの遺跡の外郭にはこいつがかけられてるから、簡単には侵入できないようになっている」

リアン「じ、じゃあどうするんです……?」

エンシァン「フッ、まあ少し離れていろ……。それっ」

 ガオン!

リアン(エンシァン先生が何かの魔法を使った途端、奇妙な音と共に外郭に大きな穴が開いた)

エンシァン「よし、入るぞ。私に続け」

リアン・ルウェリア「はい!」

リアン(古代文明の対魔法障壁を容易くぶち抜く先生の魔法って一体……)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 19:06:12.41 ID:qtEI9akE0
―魔法人形研究所[0/15] 持続力[6/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:戦闘力+2、踏破率+1、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:戦闘力+2、踏破率+3、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:戦闘力+3 踏破率+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:戦闘力-1、踏破率-1、持続力-1)

リアン(ずっと昔から手付かずだったからか、魔法人形研究所の中はかなり原型を保っているようだった)

リアン(よくわからない機器や装置がたくさんある)

エンシァン「おお、おお……! 宝の山ではないか……! ククク、シャーロットの奴が見たらどんな顔をするか……」ワナワナ

ルウェリア「リエムちゃん、目的の場所はわかる?」キョロキョロ

リエム「はい、施設情報はインプットされています。ナビゲートいたします」

リアン「うん、お願い」

↓1コンマ
01-30 踏破率+6、襲撃
31-60 踏破率+6、何もなし
61-90 踏破率+6、アイテム
91-00 踏破率+9、??
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 19:06:13.24 ID:d2sOYuvH0
シンプルな説明文の能力ほどえげつないのあるある
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 19:44:44.37 ID:qtEI9akE0
―魔法人形研究所[6/15] 戦闘力[7] 持続力[5/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:戦闘力+2、踏破率+1、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:戦闘力+2、踏破率+3、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:戦闘力+3、踏破率+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:戦闘力-1、踏破率-1、持続力-1)

 敵襲!

エンシァン「! 伏せろ!」サッ

リアン・ルウェリア「!?」サッ

 パタタタタッ

リアン(私たちが身をかがめた次の瞬間、頭上を何かがかすめていった)

リアン(通路の先を見ると、無骨な形の機械が私たちに砲身を向けて立ち止まっている)

リエム「警備ゴーレム――無警告で発砲……? 故障しているか――あるいはプログラムを改ざんされている可能性があります」

エンシァン「考察は後だ! 破壊するぞ!」


 ◆警備ゴーレム 戦闘力[2] 持続力[6/6]

↓1コンマ 戦闘判定
01-05 痛恨 味方持続力-4
06-25 失敗 味方持続力-2
26-95 成功 敵方持続力-7
96-00 会心 敵方持続力-14
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 19:51:45.13 ID:31m/eLxjO
えい
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 20:00:06.80 ID:qtEI9akE0
―魔法人形研究所 踏破率[6/15] 戦闘力[7] 持続力[3/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)

 味方の持続力に2のダメージ!


警備ゴーレム「シンニュウシャ……ハイジョ……ハイジョ……」ブッピガン

 ブラタタタ……

リアン「うわああああ! わあああああ!」ジタバタ

エンシァン「落ち着けい! 敵は一体だ、落ち着いてかかれば――うおおっ!?」ササッ

ルウェリア「くっ、なんかよくわからないこの機械を液状化させて――うわあああ!」ドロロ……

リエム「あ、あ……システム、エラー、システム、エラー……」


 ◆警備ゴーレム 戦闘力[2] 持続力[6/6]

↓1コンマ 戦闘判定
01-05 痛恨 味方持続力-4
06-25 失敗 味方持続力-2
26-95 成功 敵方持続力-7
96-00 会心 敵方持続力-14
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 20:05:28.53 ID:d2sOYuvH0
しあ
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 20:48:04.12 ID:qtEI9akE0
―魔法人形研究所 踏破率[6/15] 戦闘力[7] 持続力[3/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)


リアン「ッ! こ、こんなところで……負けられない! そっちがゴーレムなら、こっちだって!!」ギュルルルッ!!

ルウェリア「――! リアンさんの纏った水に、硬さを――ソリッド!!」ガギィィン!!

警備ロボット「ハイジョ……ハイジョ……」ブラタタタ

 カンカンカンッ

リアン「効くもんか! うあああああッ!」ブンッ

 バグオン!

警備ロボット「ジ、ジジ……シ、シンニュウシャ……ハイ……」バチバチ……

エンシァン「――もう眠れ」スッ

 ガオン!

警備ロボットだったもの「――――」


 ◆警備ゴーレム 戦闘力[2] 持続力[0/6]


リエム「システム、エラー……システム、エラー……」ブツブツ……

リアン「リエムちゃん!」

リエム「あ……リアン、さま……」

リアン「もう大丈夫だよ。ごめんね、背負ったまま激しく動いちゃって……」

リエム「いいえ……」

リアン「……少し、休んでいこう。ルウェリアさんとエンシァン先生が、周りを見てくれてるから……」

リエム「………………あの、ゴーレムは……」

リアン「……?」

リエム「……わたしと、何が違うのでしょうか…………」

リアン「…………」

 ―戦闘終了

↓1コンマ
01-30 踏破率+6、アイテム
31-60 踏破率+6、何もなし
61-90 踏破率+6、アイテム
91-00 踏破率+9、??
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 20:49:06.61 ID:DzM5/YGsO
えい
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 21:16:32.93 ID:qtEI9akE0
―魔法人形研究所 踏破率[12/15] 戦闘力[7] 持続力[2/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)


 スタスタ……

エンシァン「はあ……さっきはどうなることかと思ったぞ」

リアン「す、すみません。銃口を向けられたの、初めてで……パニックになっちゃいました……」

ルウェリア「はは……普通の人生送ってたら銃口向けられるなんてことないからね」

エンシァン「遺跡探索中はああいった警備ゴーレムに出くわすのも珍しくないぞ。まあそれでも、無警告で発砲されることはあまりないがな……」

リアン「うう……しんどいなあ……」

リエム「リアンさま……ご無理はなさらないでくださいませ」

リアン「リエムちゃん……!」



ルウェリア「ん……? これ、保存状態が良いですよ」

エンシァン「お? 何か見つけたのか?」

↓1コンマ 何を見つけた?
01-30 エーテルリキッド 持続力3回復
31-60 研究所案内図   踏破率+3
61-90 簡易魔導レーザー 次回戦闘のみ戦闘力+5
91-00 ??
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 21:17:25.92 ID:JPPtilX4O
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 21:36:33.26 ID:dF31y4VJo
ないすぅ
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/23(日) 21:58:40.75 ID:qtEI9akE0
―魔法人形研究所 踏破率[12/15] 戦闘力[7] 持続力[2/6]

 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)


エンシァン「おいおいおい! こりゃまさか……!」

ルウェリア「何か知ってるんですか?」

リアン「……? 剣……?」

リアン(ルウェリアさんが見つけたのは、厳重な箱に封入されていた不思議な文様の剣だった)

ルウェリア「なんか大事そうに仕舞ってありましたし、模様も綺麗ですし、裏ルートに流せばけっこうな収入になるんじゃないかと……。我が部は資金難ですし……」

エンシァン「ば、馬鹿者! これを裏に流す阿呆がどこの世界にいる! これは――」

剣「うるさい……」

リアン・ルウェリア「!!?」バッ

リアン(突然声が聞こえて、私とルウェリアさんはその場から飛び退いた。今のは……剣から聞こえたような……)

リエム「インテリジェンスソードのお方ですね」

リアン(リエムちゃんが、何やら聞き覚えのない言葉を言った。いんてりじぇんすそーど?)

剣「ふわああ……。よいしょ」グンッ

リアン(剣は物理法則を無視した動きで自立すると、ギュルンと形を変え――10歳くらいの女の子のような姿になった。おかっぱだ)

剣だった少女「あなたたち、だれ?」

リアン(剣だった少女はあくびをしながら、眠そうな目で私たちを見回した)

エンシァン「おお……本物のインテリジェンスソードとは……。お初にお目にかかる、私はエンシァン。こっちがルウェリア、リアン。リアンが背負っているのがリエムだ」

剣だった少女「ふうん。ルルはルル。ルル・ルールル」

リアン(ルが多すぎて一瞬混乱したが、多分ルル・ルールルという名前だ)

ルル「んー? あれ、ここ、どこ?」キョロキョロ

リエム「ここは魔法人形研究所です、ルルさま」

ルル「んん……? おもいだせない……。ねえ、外出たい」

エンシァン「……ク、ククク……それなら、私たちに付いて来るのはどうかな……? まだ目的への道すがらだが……クッ、フフ……いずれは外に出る……」

ルル「ん。そうする」コクン

リアン(なんだかよくわからないけれど、インテリジェンスソードのルル・ルールルちゃんが付いてくることになった。エンシァン先生、すごく嬉しそう……)




ルウェリア「せ、先生……あんまり変なことしないでくださいよ?」

エンシァン「し、しないしない! 君は私をなんだと思っているのかね!?」

↓1コンマ
01-90 踏破
91-00 ??+踏破
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/23(日) 21:59:50.13 ID:T7iTivnm0
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/24(月) 00:02:19.80 ID:zW2TsKwD0
―魔法人形研究所 踏破率[15/15] 戦闘力[9] 持続力[5/10]
 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆リエムちゃ(動作不良:踏破率-1、戦闘力-1、持続力-1)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)

エンシァン「この扉は……!」ザッ

扉「」

リエム「魔法人形試作研究区画――本研究所の中枢エリアです」

リアン「! ここなら……リエムちゃんを、治せる……?」

リエム「……断定はできませんが、施設の保存状態から言えば可能性は高いです」

ルウェリア「…………ねえ、ここでその、アクセス権限ってやつは手に入る?」

リエム「……断定はできませんが、この研究所で上級権限を取得できる機能がある可能性は高くありません」

ルウェリア「そっか……。ううん、いいんだ。一歩一歩、着実に潰していくだけさ」

リアン「ルウェリアさん……」

エンシァン「フッ、各遺跡の位置情報は既に掴んでいるのだろう? ならば私がいつでも穴を開けてやる」

ルウェリア「先生……。ありがとうございます!」

ルル「ふうん……。なんだかいろいろフクザツな事情があるのね」

 ◆

(そうして私たちは、その重々しい金属の扉を開けて中に入った)

(そこで待っていたのは――)


リアン「こ、これ、は――……」

ルウェリア「な……なに、これ……」

エンシァン「クッ……なぜ、ここだけ……!?」

ルル「わ……。ぐろ……」

リエム「…………」


(おびただしい数の、魔法人形の死体だった――……)


リアン「こ、ここ、で……ほ、本当に、リエムちゃんは治るの……!?」

リエム「設備の機能を確認……スタンバイ状態……余剰パーツ有り……修復可能……」ピピピ

ルウェリア「ほ、本当に大丈夫なの? こんなところの設備なんて使ったら、リエムちゃんも……!」

エンシァン「いや、それはない……。見たところ、この惨殺された魔法人形たちは設備とは無関係の、何か別の力で殺されている……」


リエム「……リアンさま。わたしを、あの円筒形の機械に入れてくださいますか?」

リアン「り、リエムちゃん……。本当に……本当に、大丈夫なんだよね……?」

リエム「はい。システムはオールグリーンの値を示しています。本区画外観の凄惨さに対し、設備の状態は良好のようです」

リアン「わ、わかった……。あ、危なくなったら、助けを呼んでね? すぐに助けるから」

リエム「はい、リアンさま」ギュッ


(私はリエムちゃんをゆっくりと、その円筒形の機械に設えられた寝台のような部分にリエムちゃんを横たえた)

 ウィーン……

(円筒形の機械がリエムちゃんを取り込んで、その蓋が閉まっていく。私は不安と必死に戦いながら、その様子を見つめ――)



??「あーあ。容赦しないって言ったばっかなのに。ていうか来るの早すぎでしょ、頭おかしいんじゃない?」

全員「――!!?」バッ

(即座に振り返る。そこに立っていたのは、リエムちゃんにそっくりで――しかし瞳だけはあの時乗っ取られたリエムちゃんのように真っ赤な――魔法人形だった)
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/24(月) 00:02:55.48 ID:zW2TsKwD0
本日はここまで
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/24(月) 00:22:05.64 ID:HtSIO2YZo
おつおつ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/24(月) 18:36:18.79 ID:lxVgbtR/0
悪リエムちゃん何やかんやで倒したあと仲間になってツンデレヒロイン枠になるやつ
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/24(月) 20:35:15.89 ID:zW2TsKwD0
リアン「あ、あなたは……!!」

??「あ、ちゃん付けのキショい人間。ガラクタ可愛さにここまで来るとかキショい通り越して吐き気を催す変態でしょ」

ルウェリア「そうやって安全な所から魔法人形に取り憑いて姿を見せないで――あんたの方が、よっぽど吐き気を催す卑怯者じゃない!」

??「はあ? これはわたしのオリジナルボディなんだけど。必要もないのに他のガラクタにハッキングなんてするわけないじゃん」

リアン「……! あなたも魔法人形なら、どうして同族をガラクタなんて……!」

??「一緒にしないで。自分の意志もなく人間に使われて、穢されて、壊されるだけの惨めな人形なんて――ガラクタ以外の何者でもない」キィン―

リアン(その子は吐き捨てるようにそう言い、片手を私たちへと向けた。その手には魔力が収束し――)

??「これ以上の会話はリソースの無駄。死ね」キィィ――

リアン(リエムちゃんを乗っ取った時よりも遥かに早いスピードで――臨界点に達した魔力が放たれる――)


 ガオン!


リアン(しかしその魔力が放たれた瞬間、先生の魔法の音が響いた)

エンシァン「クッ……こいつは奥の手だったんだがな……!」ズザザッ

??「!? まさか――!」

ルル「よそ見」ヒュッ

 ギン!

??「――ッ!! 舐めるなッ!」バヂヂッ

ルル「わわっ」ヒョイッ

ルウェリア「リエムさん! 私たちも!」ダッ

リアン「あ、うんッ!」ギュルルッ



リアン(私は、まだ何も知らない。リエムちゃんのことも、この子のことも。本当に、何も)

リアン(戦うしかないのかな。他に道はないのかな)

リアン(――ううん。きっと、ない。だってこの子が私たちに向ける殺意は、あまりにも――)

リアン(だから今は、この場を生き延びなきゃ――)


―魔法人形研究所 踏破率[15/15] 戦闘力[10] 持続力[6/11]
 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)

 VS
 ◆?? 戦闘力[10] 持続力[5]


 ――ボス戦闘開始――

↓1コンマ
01-05 痛恨 味方持続力-20
06-50 失敗 味方持続力-10
51-95 成功 敵方持続力-10
96-00 会心 敵方持続力-20
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/24(月) 20:49:02.63 ID:M+uVy8AH0
えい
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/24(月) 21:05:46.04 ID:zW2TsKwD0

  ガギィン!
         ギュルルルッ! 
    ギンッ!
          キィィーン――
 ガオン!


リアン「はあっ、はあっ……! 癒やしの水っ!」ポウッ

ルウェリア「ぐうっ……! あ、ありがとうリアンさん!」シュタッ

??「ふざけるな、ふざけるなッ……!」キィィ――

ルル「鈍ってきてる」ザシュッ

??「ああああああッ!!!」

エンシァン「終わりだ――」スッ


リアン(あ――先生が、あの子にトドメを――)


↓1〜3 重要な選択なので多数決

1.止める
2.止めない
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/04/24(月) 21:06:32.06 ID:RcE0GvqH0
1
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/24(月) 21:18:17.36 ID:HtSIO2YZo
1
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/24(月) 21:55:52.40 ID:KZPyyYSs0
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/25(火) 00:41:15.70 ID:9kRdhaBp0

リアン「だめえええええッ!」ダッ

エンシァン「うっ!? な、何をするリアンくん!」ザザッ

リアン「だ、だめです! リエムちゃんは助けて、この子は殺すなんて……! そんなの間違ってる!!」

エンシァン「誤謬だ! リエムくんを助ける為にこの魔法人形を倒さなければならないのだろう! この魔法人形が生きていれば、リエムくんが乗っ取られて破壊活動をされるリスクは消えないのだぞ!」

リアン「そ、それでも――! それでも――……ッ!!」


リアン(先生の言うことに対する有効な反論は思い付かない。ただの感情論。子供の我儘と言われれば、それまでだ)

リアン(――でも。もし、リエムちゃんと同じ魔法人形のこの子を、ここで殺してしまったら――)

 ??『自分の意志もなく人間に使われて、穢されて、壊されるだけの惨めな人形なんて――ガラクタ以外の何者でもない』

リアン(この子の、あの言葉を――そんな哀しい魔法人形の末路を、肯定してしまう気がして――)

リアン(絶対に、嫌だった)


ルウェリア「せ、先生! 私も、今ここでこの魔法人形にトドメを刺すことには反対です!」ザッ

リアン「ルウェリアさん!」

エンシァン「ほう! ルウェリアの言い分はなんだ!?」

ルウェリア「こいつは遺跡の重要参考人として価値があります!」

エンシァン「一理ある! が、それはリエムくんでも構わないのではないかね!?」

ルウェリア「リエムちゃんよりも……け、権限がありそうですし……!」

エンシァン「素直に情報を吐く可能性はどれくらいあるかな!? 自爆する危険性は!!?」

ルウェリア「う、ううッ……!」

リアン(ルウェリアさんが助けようとしてくれたが、呆気なく先生に言い負かされてしまった。これが大人のやり方か……!?)



ルル「むー……ルルにわかんない話しててつまんない……。ん?」

??「う、うぅ……人間なんて……人間なんて……ッ!!」キィィ――

ルル「わわわ! お喋りしてる場合じゃ――」

??「大ッ嫌いッッ!!!!」キュィィィ――ッッッッ


 ドギュゥゥゥゥン――――
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/25(火) 00:41:59.26 ID:9kRdhaBp0
「――魔導障壁展開……状態良好……」

リアン「へ……?」

リアン(一瞬、膨大な光に目が眩んで……目が慣れた時には、最近少し見慣れてきたさらさらの金髪が視界に入った)

リアン(――リエムちゃんが、光から私たちを守るように立っていた)

リエム「リアンさま。皆さま。お怪我はありませんか」

リアン「リエムちゃん!」

ルウェリア「もう治ったの!?」

リエム「はい。ご迷惑をおかけいたしました。セキュリティのバージョンも上がりました」ペコリ

リアン(リエムちゃんはペコリと頭を下げる。良かった。それなら後は――)

リアン「――あれ? あの子は?」

リエム「離脱していったようです。追撃いたしますか?」

エンシァン「……いや。我々も消耗が激しい。目的は果たしたのだから、帰ろう」ザッ

リアン「あ……。せ、先生……さっきは、すみません……」

エンシァン「いいさ。学生の善意を踏み躙りかけるなど、私も少々大人げがなかった。今後のことはこれから考えれば良い」

リアン(先生はそう言ってカラカラと笑った。やっぱり……めちゃくちゃに見えて思慮深くて、思いやりのある人なんだ)

エンシァン「それに……ククク……あれほどまでに自我を確立させた魔法人形を破壊するのは些か私も耐え難かったのでな……」

リアン(お、思いやりのある人なんだ。多分……)

ルル「ふわああ〜。なんだかすっごい疲れちゃった。目覚めてばっかりであんなのと戦わされるなんて聞いてないよお」ノビー

リアン「ルルちゃんもお疲れ様。いきなり巻き込んじゃってごめんね」

ルル「んー、まーでも寝起きのいい運動になったかも」

リアン「あんな死と隣合わせな運動はもうゴメンだよ……」



―魔法人形研究所 踏破率[15/15] 戦闘力[15] 持続力[8/13]
 探索メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)
 ◆ルル   (土の魔法:踏破率+2、戦闘力+3、持続力+4)
 ◆リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)

 ――踏破成功――
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/25(火) 00:43:02.91 ID:9kRdhaBp0

―どこかの遺跡

??「はあ、はあ……くそっ、くそっ……あんな奴らに……!」ヨタヨタ

「随分無様にやられたものですね?」ヌッ

??「ッ! 何の用ッ……!?」バッ

「別に。スクラップになってたらバックアップを取って次のあなたを作ってあげようと思ってたけど、必要ないみたいですね」

??「ッ!」ギリッ

「フフ、そう睨まないで。そのボロボロの体を直す用意もありますよ?」シャキン

??「いらないッ! お前なんかに体を弄くられるくらいなら爆散した方が万倍マシ!」

「あら残念」スッ

??「用がないなら消えろ! お前みたいな下衆がいるとパフォーマンスが落ちる……!」

「全く、嫌われたものですねえ。フフ……それじゃあリエムちゃんとやらでも見に行きますかね」

??「……あいつらは私のターゲット。手を出さないで」

「ふふ、別に取って食うわけではありませんし。それにもし壊れたら、そのリエムちゃんとやらも新しく作り直してあげますからご安心を」

??「お前ッ――!」キィン―

「そんな体で撃ったら今度こそ完全にスクラップですよ?」

??「――――ッ」ギリリッ

「それでいい。せっかく拾った命、大事になさいな。バックアップから再生したあなたは、あなたであってあなたでないのですから――」

――――

――

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/25(火) 00:44:55.50 ID:9kRdhaBp0
本日はここまで
戦闘が即殺or即死みたいな世紀末バランスなので次回はなんか良い感じに調整します
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 01:07:46.87 ID:rgwI0q3Qo
おつおつー
悪リエムちゃんもこっちにオイデ…オイデ…
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 19:20:30.98 ID:z++hc2HB0
悪リエムちゃん可愛い
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 20:28:46.30 ID:9kRdhaBp0
―4月2週

リアン(あの後ルウェリアさんが周辺の土や岩石を液状化させて穴を埋め固め、皆でそれっぽく隠蔽工作を行ったことにより、私たちの盗k……遺跡探索が露見することはなかった)

リアン(リエムちゃんはいろいろあって転がり込んできた私の親戚の子、という設定で誤魔化すことになった。エンシァン先生の口利きで私の部屋に住む許可も得られた為、とりあえず目先の問題は解決したと考えて良さそうだ。しかしユリトー魔法女学院、親戚の子も寮に住めるなんて寛大なのか雑なだけなのか……)

リアン(そしてルルちゃんは――)

↓1コンマ
01-20 その辺をほっつき歩いている
21-60 エンシァン先生のおうちに厄介になっているようだ
61-90 当面は遺跡探索部の部室に住むことにしたらしい
91-00 なんか新任教師ってことになってるんですけど……
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 20:31:06.02 ID:P5mn3XDpO
えい
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 21:09:28.16 ID:9kRdhaBp0
―ユリトー南海岸

ルル「わーッ! 海だーッ! あはははは!!!」タタタタ

エンシァン「ま、待ってくれーッ! 一度でいいから身体測定をーッ!」ドタドタドタ…

ルル「やだーッ! あははははははは!!!」タタタタ

 ◆

リアン(……その辺をあてもなくぶらついているらしい。土魔法の技量や剣になれる特性のお陰で、どんな環境でも割と平気らしい)

リアン(エンシァン先生はまだ熱烈なアプローチを続けているみたいだし、会おうと思えばいつでも会える気がする。一緒に戦ってくれたこと、ちゃんとお礼したいしね)

リアン(さて……転入早々台風みたいな出来事に振り回されてきたけど、ようやく少し落ち着くことができそうだ。もちろん、ルウェリアさんのお姉さんのこととか、あの赤い瞳の魔法人形の子のこととか……考えなきゃならないことはいっぱいあるけど)

リアン(今は、少し羽を休めたい……)

 ◆

 キーンコーンカーンコーン……

生徒A「あー月曜まじしんどー」グデー

生徒B「あーね。までも、ガッコで皆に会ってイチャラブすんのも悪くなくね?」

生徒A「アハッ、イチャラブしたらうちら百合レズじゃん!」

生徒B「女学院っていや百合レズっしょ!」

生徒A「めっちゃそれな!」

 キャハハハハ…


リアン(いやそれはおかしいでしょ……)ジトー

ノルン「リアンちゃん、お昼一緒に食べない?」スッ

リアン「あ、う、うん! 食べる食べる……あっ!」

ノルン「……もしかしてまたお弁当忘れちゃった?」

リアン「え、えひひ……」メソラシ

サーナ「そんなリアンに朗報ですわ! 今週から先週まで改修工事をしていた学食がオープンしましてよ!」ドン!

リアン「え! ていうか学食なんてあったんだ……」

ノルン「あはは……それなら分けてあげなくても大丈夫だね」シュン…

リアン「あ、え、ええと……」

サーナ「学食ご飯と皆のお弁当を分け合いっこしましょう! たくさん味わえて一石二鳥ですわ!」ドドン!

リアン「そ、その手が――――ッ!」

 ◆

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・赤い瞳の魔法人形と話をする

4月2週の行動です
↓1〜3 自由行動安価 自由行動の後にシナリオイベントが発生します
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/04/25(火) 21:16:29.78 ID:siJT3nry0
遺跡や古代遺物の事で詳しそうな人を探す
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 21:17:24.91 ID:z++hc2HB0
リエムちゃんと遊ぼう
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 21:18:28.87 ID:E8V75R1F0
パジャマパーティーをする
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/25(火) 21:28:27.75 ID:Mj0e52Pno
ルルちゃんが楽しそうで何よりですw
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/26(水) 00:16:39.45 ID:3XMYTkzd0
―4月2週 某日

リエム「リアンさま、朝です。起きてくださいませ」ユサユサ



リエム「リアンさま、朝ごはんはお食べになりますか? もし食べるのが難しい場合は、流動食だけでも――」



リエム「おかえりなさいませ、リアンさま。夕ご飯の準備とお風呂の用意ができております。また、本日はお弁当を忘れていかれてしまったようで――」



リエム「リアンさま、お眠りになれないようでしたら子守唄を歌ってさしあげます。横になってくださいませ――」



リエム『リアンさま、リアンさま、リアンさま――』



リアン「……」ムクリ

リエム「リアンさま。本日はご自分で起床なされたのですね。朝ごはんは――」

リアン「リエムちゃん!!!」ガバッ

リエム「はい、リアンさま」キョトン

リアン「な……何か、やりたいこととか……ない!?」ズイッ

リエム「はい。これからもリアンさまにお仕えさせていただきたく――」

リアン「そ、それ以外で!」

リエム「――――」


リアン(私がそう問うと、リエムちゃんはぽけっとした表情のまま固まった)

リアン(なんだか、今のままでは――魔法人形を利用して使い潰す人間と、使い潰される魔法人形――そのものみたいだ)

リアン(例え形だけでも、心根がそうでなかったとしても――形はやがて、真になり得る)

リアン(早急に、改善すべき案件かもしれない……)


リエム「――わかりません。申し訳ありません……」

リアン(しばらくするとリエムちゃんはそう言って、頭を下げた)

リアン(いろいろと問題はあるけれど、とりあえず『やりたいことはない』という断定ではなくて一安心だ。わからないだけで、あるかもしれないのだから)

リアン「……よし! 頭を上げて、リエムちゃん。そもそも私相手に頭を下げる必要なんてないからね」

リエム「そうなのですか?」

リアン「うん。やりたいことがわからないなら、わかるようになろう!」

リエム「わかるように……」

リアン「だからまずは――えっと……」

 ◆
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/26(水) 00:17:15.83 ID:3XMYTkzd0
―公園

リアン「リエムお姉ちゃん! 商品を持ってきたよ!」

リエム「おつかれさま、リアン。これでおみせがひらけるね。いっぱいおかねをかせいで、リアンをしあわせにするね」

リアン「リエムお姉ちゃんも幸せにならなきゃだめだよ!」

リエム「リアンをしあわせにすることが、リエムおねえちゃんのしあわせなのよ」

リアン「お、お姉ちゃん自身の幸せを探さなきゃ!」

リエム「おねえちゃんじしんのしあわせは、リアンがしあわせになることなのよ」

リアン「んあああああ!!! 妹離れしろーッ!」

リアン(私はおままごとを通してリエムちゃんの情操教育を図ろうとしたが、上手くはいかなかった)

リアン(でも私は諦めない。リエムちゃんにリエムちゃん自身の生きる意味を見つけてもらうことを……!)



サーナ「何をしてらっしゃるのかしら、あの二人……」

ノルン「……お、おままごと……かな? あはは……仲が良いんだね……」

 ◆
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/26(水) 00:18:27.36 ID:3XMYTkzd0
本日はここまで
他の自由行動は次の更新でやります
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/26(水) 07:20:51.63 ID:QpBWKoZXo
おつー
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/26(水) 12:40:08.40 ID:44GEiMTto
(同じ(と思われる)被造物のインテリジェンスソードとの違い様よ……いやまてルルちゃがちょっと他の賢剣から外れているだけかも
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/26(水) 14:16:24.33 ID:wpxMV858O
ステータス確認画面でリエムだけリエムちゃになってるの可愛い
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/26(水) 21:49:08.97 ID:3XMYTkzd0
リアン(……先日のおままごと作戦は失敗だった。別のアプローチが必要だ)

リアン(古代遺物の専門家の人に話を聞きたい。魔法人形の情操教育や、この島の遺跡について)

リアン(どの道、もう遺跡や古代遺物との関わりは避けられない。無知でいるのは自殺行為だ)

リアン(エンシァン先生はあれで遺跡の専門家というわけではないらしいし……どこかに遺跡や古代遺物に詳しい人がいれば良いのだけれど……)

 ◆

―4月2週 某日 放課後
 ユリトー川 下流

 サラサラサラ……(水の流れる音)

ルウェリア「うーん……」ムム

リアン「……ど、どう? 見つかりそう?」

ルウェリア「当時とは地形が大きく変わってるみたいで……簡単には見つからないかも」

リエム「お役に立てず、申し訳ありません……」

ルウェリア「ううん、リエムちゃんのお陰で凄い前進してるよ! 今までは、既知の遺跡は隠蔽されるし未知の遺跡は見つからないしで八方塞がりだったんだから。まさしく雲泥の差ってやつだね」

リエム「それは本当ですか……?」

ルウェリア「本当本当!」

リアン(ルウェリアさんはそう言いながら、大げさにリエムちゃんを褒め称えた。なんだかリエムちゃんが褒められると私も嬉しくなる)



リアン「そういえばエンシァン先生は?」スタスタ

ルウェリア「今日もルルさんのストーキング」ガサガサ

リアン「ええ……」ドンビキ

ルウェリア「まあ……自由な人だから。その自由さのお陰で私もいろいろ自由にやらせてもらってるし……」

リアン「そ、そうなんだ……」

ルウェリア「うん……。あ、そういえば今日は現地に顧問代理を送るとかなんとか言ってたような」

リアン「顧問代理?」


「こんにちは〜」


リアン(私たちがそんな話をしていると、ふんわりと間延びした優しそうな声の挨拶が聞こえてきた)

シャーロット「遺跡探索部の今日の活動場所はここで合ってるかしら?」ユサッユサッ…

リアン(振り向くと、優しそうなお姉さんが長い金髪を風に揺らせてこちらへ歩いてきているのが見えた。縦セタにタイトスカートに網タイツ……セクシーな大人ファッション!! 縦セタを大きく歪曲させる巨山が二つ、一歩一歩歩く度にたゆんたゆんと揺れている……!! 耳が尖っていることに気付いたのはやや遅れてからだった。この人、エルフだ。最近はエルフの巨乳化が著しいというニュースを前に見たけれど、まさかこれほどまでとは……!!!)

ルウェリア「シャーロット准教授! もしかして代理顧問というのは――」

シャーロット「ええ。本日の遺跡探索部顧問代理は、この私シャーロット・リスティアが務めさせていただきます。ふふ、よろしくねみんな」ユサッ

リアン(シャーロット准教授はそう言って、にこやかに微笑んだ。優しそうな人だ。セクシーだけど)


リアン「は、初めまして。私リアン・ロールセンって言います。この子は、ええと、私の親戚の……」

シャーロット「ふふ、大丈夫よ。事情はエンシァンちゃんから聞いてるから。魔法人形のリエムちゃん、ね?」

リアン「!」(エンシァン先生のお墨付きなら大丈夫だとは思うけれど……)

リエム「はい。よろしくお願いいたします、シャーロットさま」ペコリ

シャーロット「!!!!!!」ズキュウウウン

シャーロット「ふ、ふふ、うふふふふ……。そ、それでね……? ものは相談なんだけれど……。リエムちゃんのことを、その、ね? ちょ、ちょっとだけ……先っぽだけでいいから、ね? ふふ、うふふふふ……!!!」ズズズ…

リエム「っ!」ギュッ

リアン(あのリエムちゃんが、体を強張らせて私にしがみついた――?)

リアン(こ、この人、エンシァン先生の――同類ッ!!)

 ◆
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/26(水) 21:51:02.28 ID:3XMYTkzd0
シャーロット「魔法人形の情操教育について、ねえ」

リアン「はい。リエムちゃんは私に仕えることしか考えてない……ううん、考えられないみたいで」

リアン(探索の休憩中に、私は早速リエムちゃんのことについてシャーロット准教授に相談してみることにした。ちなみにリエムちゃんはルウェリアさんと一緒に焚き火の準備をしている)

シャーロット「そうは言ってもそれは魔法人形にとって当然のことなのだから、無理に捻じ曲げようとする方が余計な歪みを生みかねないわよ?」

リアン「で、でも……! リエムちゃんにそっくりな赤い瞳の魔法人形は、自分の意志を持っているように見えたんです。だったら――!」

シャーロット「話には聞いているわ。とても興味深いし、私も是非対話してみたいけれど……。リアンちゃんは、その子が幸せそうに見えた?」

リアン「っ」

リアン(幸せには……とても見えなかった。むしろ、物凄く苦しそうで……。なんとかできるなら、なんとかしてあげたい。私なんかがそんなこと思うのは、きっとあの子にとってとても迷惑で、すごく傲慢なことなのだろうけれど……)

シャーロット「逸脱した魔法人形の行く末が幸せなものである保証なんてどこにもないのよ。むしろ、生まれつきのプログラムに則って主人に粛々と従い続ける方が、ずっと平穏で幸せかもしれない」

リアン「……」

シャーロット「それに……ふふっ。リアンちゃんは、リエムちゃんに酷いことをする悪いご主人さまには決してならないでしょう?」

リアン「あ、当たり前です! そんな悪い人間には絶対なりません!!」ガタッ

シャーロット「なら今はそれでいいじゃない。もしリエムちゃんが自分の意志を持つなら、きっと誰に言われるでもなく自ら掴み取るわ。意志って、そういうものでしょう?」

リアン「……そうかも、しれません」

シャーロット「ふふ、でもリアンちゃんがリエムちゃんのことをとっても真剣に考えてるのは凄くよくわかったわあ。良いわねえ、とても――」



リアン(少し言いくるめられてしまったような気もするけれど――なんだか、すっきりした)

リアン(私、あの赤い瞳の子に言われたことを気にして、焦っていたのかもしれない)

リアン(そうだよね。私に言われるがまま意志を探すなんて本末転倒だよ)

リアン(考えても見れば、私もリアンちゃんもまだ出会ったばかりなんだから。焦らずゆっくり、生きていこう――)



ルウェリア「おーい魚焼けたよー!」

リエム「焼けましたー!」


シャーロット「あら、いつの間に魚なんて釣ったのかしら。ふふっ、じゃあ行きましょ。リアンちゃん」ユサッ

リアン「はい! 今行くーっ!」スクッ

 ◆
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/04/26(水) 22:15:53.44 ID:1fJ0FxIJ0
リアンちゃんおっぱいに反応し過ぎだけどおっぱい星人なの?
そしてこっちの世界でも昔はエルフはド貧乳種族だったのね
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/26(水) 22:16:58.64 ID:1fJ0FxIJ0
>>87
sage忘れた…申し訳ない
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 00:39:28.40 ID:CtA00UX10
リアンちゃんは自分の胸にはあんまり興味ないけど自分以外のおっぱいには割と興味があるタイプの子かもしれません
――――――――――――――――

―4月2週
 リアンの部屋

リエム「…………」

リエム(わたしがなすべき家事は全て終わってしまいました)

リエム(リアンさまが帰ってくるまで、やることがありません)

リエム(リアンさま……)

リエム(あ――)


  リアン『私が出てる間、暇だったらタブレットとか使って遊んでていいからね。使い方は――』


リエム(リアンさまから、タブレットをお預かりしていました)

リエム(使用の許可はいただいています。インタネットという不定形データベースにアクセスすることで、情報を取得できるのだとか――)

リエム(今の時代、世界について学習しましょう)

 ◆

動画「イマドキ女子と言えばパジャマパーティ、パジャマパーティと言えばイマドキ女子。パジャマパーティをしない女子はゴミクズ以下だぜ」

リエム「…………」

リエム(イマドキ女子はパジャマパーティをする)

リエム(この時代の価値観では、パジャマパーティをしない女子はゴミクズ以下の誹りを受ける)

リエム(リアンさま……!)

 ◆
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 00:39:59.50 ID:CtA00UX10
リアン「ただいまあ〜」ガチャッ

リエム「おかえりなさいませ、リアンさま」トテトテ

リアン「うん、ただいまリエムちゃん。お留守番ありがとうね」

リエム「はい、リアンさま……。あの、リアンさま。ご相談があります」

リアン「へっ?」

リアン(り、リエムちゃんが私に相談!? ま、まさか、もうやりたいことが見つかったとか!? で、でも急すぎない!? 私まだ、心の準備が……!!)

リエム「パジャマパーティを、開いて欲しいです」

リアン「え……え?」

リエム「パジャマパーティを、開いて欲しいです」

リアン「…………え? パジャマパーティ?」

リエム「はい」

リアン「それは……え、ええと……り、理由を聞いてもいい?」

リエム「はい。イマドキ女子は、パジャマパーティをするとお聞きしました」

リアン「そ、そうらしいね」

リエム「パジャマパーティをしない女子は、ゴミクズ以下と蔑まれるそうです」

リアン「え、そうなの?」

リエム「はい。そうらしいです。タブレットで見ました」

リアン(ええ……)

リエム「だからリアンさまに、パジャマパーティを開いていただきたいのです」

リアン(ええ〜……)

リエム「リアンさま……。お願いします」ペコリ

リアン(なんてことだ……。リエムちゃんに、まずはネットリテラシーを学んでもらうべきだった……)

リアン(でも……これはリエムちゃんが初めて出した要求だ。経緯はなんであれ、応えてあげねば女が廃るというもの――)

リアン(こういうのの企画役って正直死ぬほど苦手だし向いてないし吐きそうになるけれど、コミュ障なりにやれるだけやってやる!)

リアン「……わかった! やります、パジャマパーティ!」

リエム「リアンさま……! ありがとうございます――」フカブカー

 ◆
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 00:41:07.70 ID:CtA00UX10
―4月2週 某日

リアン(と威勢よく啖呵を切ったは良いものの――)



 ガヤガヤ…

生徒A「てかめっちゃあの新色良くない? アタシめっちゃハマっちゃったかも〜!」

生徒B「わかるわ〜! マジバチバチイマドキ越えてミライドキ女子になれそーだよね〜!」



サーナ「ノルン、今度手合わせよろしくて?」

ノルン「ええ? 闘技大会はまだまだ先だよ?」

サーナ「常在戦場ですわ! 常に鍛錬を怠らず磨き続けてこそ、戦場(いくさば)で真の実力を発揮できるんですのよ!」

ノルン「言いたいことはわかるけど……それなら私なんかよりもっと適任がいると思うよ?」

サーナ「フッ、隠しても無駄ですわよ? あなたの真の実力に気付かぬわたくしではありませんわ」

ノルン「……わかった。でもあんまり、人には言わないでね?」



リアン(や、やっぱやめよう……。皆、それぞれの日常を過ごしているんだもの。いきなり私なんかが皆の時間を奪っちゃ悪いし……)

ルウェリア「リアンさん、どうしたの?」スッ

リアン「うひゃあ!」ドテッ

ルウェリア「わっ、ご、ごめん。驚かすつもりはなかったんだけど……」

リアン「あ、ルウェリアさん……。え、ええと……あのね……?」

ルウェリア「うん?」

 ◆

ルウェリア「パジャマパーティ?」

リアン「うん。リエムちゃんの初めての要求だから、叶えてあげたいんだけど……」

ルウェリア「よし、わかった! じゃあ遺跡探索部と……誘えそうな人を誘ってみるよ!」

リアン「ええ! い、いいの!?」

ルウェリア「気にしないで。リアンさんにもリエムちゃんにも、いろいろ助けてもらったし……。それに私、実はこういうのけっこう好きだから」

リアン「え、そうなの?」

ルウェリア「うん。あはは、リアンさんには遺跡のことで余裕のない顔ばっかり見せてたもんね……」

リアン「……!」

リアン(そうだ――。ルウェリアさんも、普通の女の子なんだ。お姉さんのことがなければ、本当はもっと、学生生活を心から――)

リアン(……私、頑張ろう。皆、同じ学生なんだから。皆で、この学生生活を――イマドキ≠、楽しめるように――!)

 ◆
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 00:41:38.77 ID:CtA00UX10
本日はここまで。最後にコンマ判定だけ

↓1コンマ パジャマパーティ参加者
01-12 リアン、リエム、ルウェリア
13-24 リアン、リエム、ルウェリア、サーナ
25-36 リアン、リエム、ルウェリア、ノルン
37-48 リアン、リエム、ルウェリア、サーナ、ノルン
49-60 リアン、リエム、ルウェリア、エンシァン
61-72 リアン、リエム、ルウェリア、ルル
73-84 リアン、リエム、ルウェリア、シャーロット
85-96 リアン、リエム、ルウェリア、エンシァン、ルル、シャーロット
97-00 リアン、リエム、ルウェリア、??
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/27(木) 00:42:43.12 ID:JpNOEI720
えい
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/27(木) 00:54:00.33 ID:ljjxpu1Zo
おつおつ
リエムちゃんんんん!ネットの強い言葉は聞き流そうね!
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 22:16:47.05 ID:CtA00UX10
―4月2週 週末
 リアンの部屋

リアン(E:きぐるみパジャマ)「…………」

リエム(E:ネグリジェ)「…………」

ルウェリア(E:襟付きパジャマ)「…………」



ルウェリア「……ごめん。何人か誘ってみたんだけど……皆、今週はけっこう予定があるみたいで……」ズーン

リアン「き、気にしないで! 私としては、むしろ見知った仲の人しかいない方が気楽で良いから……!」

リエム「リアンさまがリラックスできる環境が一番良いです」コクコク

ルウェリア「二人とも……ありがとう……。私、人望ないけど……あなたたちとパジャマパーティができて、嬉しいよ……」グスッ

リアン「じ、人望あるから! 私にとっては全然人望あるから!」アタフタ

リエム「はい。わたしにとっても、ルウェリアさまはとても信頼のできるお方です。どうか、お気に病まないでくださいませ……」

ルウェリア「う、うう……私、二人に会えて良かった……!!!」ガバッ

リアン(私たち三人のパジャマパーティは、よくわからないテンションで始まった……)



ルウェリア「そういえばリアンさん、きぐるみみたいな形に水を纏う魔法を使ってたよね。きぐるみ好きなの?」

リアン「あ、うん。へ、変かな……?」

ルウェリア「ううん、女の子らしくて可愛いと思う。あの水魔法はオリジナル?」

リアン「うーん。あれ元はジェルアーマーっていう教本魔法なんだけど、私好みにアレンジしてったらあんな感じになっちゃって。だからまあ、オリジナルとは言えないかなあ……」

ルウェリア「ええ!? あれジェルアーマーだったの!? す、すごい魔改造……」

リアン「ま、魔改造だなんて。ちょっといじっただけだよお〜」

ルウェリア「ちょっといじっただけじゃ物理的な破壊力を強化する機能は付かないと思う……」



リアン「ルウェリアさんはシンプルなパジャマだね」

ルウェリア「うん。着心地さえ悪くなければ、他にはあんまりこだわりとかないから」

リアン「な、なんかカッコ良い……。できる女って感じがする」

ルウェリア「いや、無頓着なだけだよ。リアンさんみたいに自分の好き≠こだわれる方が、素敵だと思う」

リアン「そうかなあ……。ルウェリアさんも素敵だし可愛いよ。ね、リエムちゃん」

リエム「はい。ルウェリアさまのパジャマはご自身のパーソナルカラーと見事に調和しており、素敵で可愛いと言えます」

ルウェリア「ふふっありがとう二人とも。実は、色合いとかはけっこう気を遣って選んでるんだ」



ルウェリア「リエムちゃんも、そのネグリジェ凄く似合ってる。どこか良いとこのお嬢様みたい」

リアン「でしょでしょ! えっへへ〜これ私が選んだんだよ〜!」

リエム「はい。先日、リアンさまに買っていただきました」

ルウェリア「そうだったんだ! きぐるみ……じゃないんだね?」

リアン「ま、まあ……きぐるみも考えたけど、それだと私の趣味の押し付けになっちゃうし……」

ルウェリア「ああ……。リアンさんらしいと言えばリアンさんらしいね、それも……」



リアン「ところで、パジャマパーティって何をすれば良いの?」

リエム「はい。イマドキ女子は、シャンパンやワインで乾杯するそうです」

ルウェリア「私たち未成年だよ!!」

 ◆
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 22:17:30.74 ID:CtA00UX10
―翌朝
 リアンの部屋 ベランダ

 チュンチュン…

リアン「ふああ〜……」

リアン(結局パジャマパーティと称しながら、昨日は遅くまで遺跡のことや古代文明のことばかり話していた)

リアン(まあそれも私たちらしいっちゃ私たちらしいけど。いつも通りだ)

リアン(朝の空気が気持ち良い……)



ルウェリア「おはよう、リアンさん」スッ

リアン「あ、ルウェリアさん。おはよ」

ルウェリア「隣、良い?」

リアン「うん。どうぞどうぞ」ササ

ルウェリア「ありがとう……」スス

リアン(昨晩のパジャマのまま、ベランダで黄昏る私の隣にルウェリアさんが来た)

ルウェリア「気持ち良いね」

リアン「うん」

ルウェリア「……」

リアン「……」

リアン(静かだ。でも悪くない。不思議と、こんな沈黙も心地良く感じる)



ルウェリア「……敬語……使わなくなったね」

リアン「あ……そういえば……」

ルウェリア「ふふ……。その方が良いよ、私」

リアン「……うん」

ルウェリア「…………ねえ。リアンちゃんって、呼んでも良い……?」

リアン「……うん。私も……ルウェリアちゃんって、呼んで良いかな……?」

ルウェリア「もちろん」

リアン「それじゃあ改めて――よろしくね、ルウェリアちゃん」

ルウェリア「こちらこそ――よろしく、リアンちゃん」

 チュンチュンチュン…

リアン(休日の静かな朝は、ゆっくりと過ぎていった――)

 ◆
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 22:19:53.55 ID:CtA00UX10
―4月3週
 遺跡探索部 部室

エンシァン「リエムくんの地図を参考にして一週間遺跡を探してみたものの、現状見つかっているのは魔法人形研究所のみ、と」

ルウェリア「はい……」

エンシァン「地図とは地形が全く異なっているところも少なくないな。リエムくんが敢えて間違った情報を与えたとも考えにくい。となると――古代文明が栄えた時代から現代に至るまでの間に、このユリトー島で地形の大規模な変化が起きていたと考えるのが妥当だろう。専門家はどう思う?」

シャーロット「私も同じ考えよ。特にこのユリトー島は中央に大きな火山を擁している。もし過去に大きな噴火があったとしたら、当時の文明が滅んで地形が大きく変わったとしても全く不思議ではないわ」

リアン「な、なるほど……。となると、すぐに見つかった魔法人形研究所がレアケースだったんですね……」

エンシァン「ああ、レア中のレアだったのかもしれん。中身の状態もかなり良かったしな」

シャーロット「も〜三人ともずるいわよお。今度私も連れてってね?」ユサッ

エンシァン「言われなくとも連れていってやる。お前がいればわからなかったこともわかるかもしれんしな」

シャーロット「やったー! エンちゃん大好き!」ダキッ

エンシァン「やめろ、暑苦しい。少しは胸の脂肪を落とせ」シッシッ

 ◆

―ユリトー島 新南区
 学生通り

 ワイワイガヤガヤ…

ルウェリア「……はあ。地形変化の理由が推測できたところで、結局は地道に足で探すしかないか」スタスタ

リアン「うん……。でも私も遺跡探索部の部員として頑張るから、一緒に頑張ろ!」スタスタ

ルウェリア「……っと、ごめん! 私が腐っちゃだめだよね。リエムちゃんの地図があるだけで今までとは段違いなんだから……!」

リアン「あ、あはは……。あんまり、自分を追い詰めないでね。適度な休息が効率を上げるって、何かの本で読んだことあるし」

ルウェリア「うん……ありがとう」

 ◆

(今後は週ごとの自由行動安価レスのコンマを加算していき、〈遺跡発見率〉を上げていきます)
(現在の〈遺跡発見率〉には、前回の自由行動安価である>>75>>76>>77を既に加算してあります)

―次の遺跡発見率[256/500]
 遺跡探索部メンバー
 ◆リアン  (水の魔法:踏破率+1、戦闘力+2、持続力+3)
 ◆ルウェリア(硬度変化:踏破率+3、戦闘力+2、持続力+1)
 ◆リエム  (魔導兵装:踏破率+2、戦闘力+5、持続力+2)
 ◆エンシァン(掘削魔法:踏破率+3、戦闘力+3、持続力+3)

☆現在の目標☆
・ルウェリアの姉の手がかりを探す
・赤い瞳の魔法人形と話をする

4月3週の行動です
↓1〜3 自由行動安価 自由行動の後に特殊なイベントが発生することがあります なお本日は少し早いですがここまで
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/27(木) 22:24:05.75 ID:92eSzpq90
ルルちゃん相手に魔法の自主特訓
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/27(木) 22:26:45.77 ID:ljjxpu1Zo
リエムちゃとルルちゃんで、お互いの事でどれ位の事を知っているか聞き取り
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/27(木) 22:29:09.46 ID:ALMMjUiQ0
ノルンさんとお料理
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/28(金) 19:56:14.34 ID:sCMfhzwh0
―4月3週 放課後
 ユリトー南海岸

 ザァーン ザザァーン

エンシァン「リアンくん、リエムくん、ルウェリア! よく来てくれた!」

リアン「先生!」タッタッタ

リエム「エンシァン先生さま」トテトテ

ルウェリア「一体どうしたんです? まさかこの辺りで遺跡を見つけたとか……」タッタッタ

エンシァン「いや……すまん、ルウェリアの期待には添えん。だがこれは、後々の遺跡探索にも関わる重大なミッションだ」

リアン「へ? それは一体……」

エンシァン「ルルくんを捕まえるのを手伝ってくれ!!!」

リアン(ああ……なるほど……)

エンシァン「知っての通り、ルルくんは魔法人形研究所で封印されていた。彼女との対話によって得られるものは必ずこの島の遺跡調査に役立つはずだ。戦闘能力も折り紙付きであるし、もし遺跡探索に協力してくれるようになれば非常に心強い味方となってくれるだろう。そしてこれはついでだが……クク……個人的に、彼女の体を隅々まで調べてみたくてね……」

リアン(絶対ついでの理由が本命だこの人……)

エンシァン「私の魔法では相手を傷付けずに捕まえるのが難しいのだ。落とし穴くらいなら掘れるのだがな……」

リアン(先生の魔法って、確かにそういう用途には使いにくそう)

エンシァン「そうなのだよ……。だが君たちはむしろそういう用途にこそ真価を発揮する魔法だろう? ルルくんは速く、堅く、強い。彼女を相手にすれば、結果的に君たちの魔法の訓練にもなるはずだ」

ルウェリア「なるほど、確かに……。わかりました、やれるだけやってみましょう」

リアン「……あ、リエムちゃんは本気出しちゃだめだよ? ルルちゃんが怪我しちゃうかもしれないから……」

リエム「心得ています。魔導兵装は使いません」

 ◆

 ザァーン ザザァーン

ルル「あれー? 久しぶり?」パシャパシャ

リアン「ルルちゃん、久しぶりだね。元気だった?」

ルル「んー、ぼちぼち? あなたたち、えーと……リアンに、リエムに、ルウェリア!」

リエム「はい。覚えていてくださり、ありがとうございます。ルルさま」

ルル「ん! それで、今日は勢ぞろいしてどうしたの? エンしゃんのさしがね?」

ルウェリア「うん、その通り。一応聞いておくけど……素直に来る気はある?」

ルル「んー……やだ! でもルルを捕まえられたらいいよ?」

ルウェリア「オーケー、じゃあ鬼ごっこだ!」ザッ

リアン「さ、三対一でごめんね?」ギュルル

リエム「よろしくお願いします、ルルさま」スッ

ルル「あははっ! ルルを捕まえられる?」パシャッ

↓1コンマ
01-30 失敗(リアンとルウェリアの能力+)
31-90 成功(リアンとルウェリアの能力+、ルル加入)
91-00 会心(リアンとルウェリアの能力++、ルル加入)
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/04/28(金) 20:02:51.79 ID:S6R9l8ueo
3人に勝てる訳ないだろ!
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/28(金) 20:59:42.90 ID:sCMfhzwh0
ルル「あはっ遅い遅い!」パシャパシャヒュンッ

ルウェリア「くっ……やっぱり速い! 正攻法じゃ厳しいかも!」パシャッ

リアン「だったら! バインドジェル!」ギュオオン

ルル「やわいやわい!」スパスパッ

リアン「ええっ水を斬れるのッ!?」

ルウェリア「それなら足元の海水を! ソリッド!」ガギン

ルル「わっ! あ、あぶな〜! 海は危険……!!!」シュッスタッ

リエム「砂地における接地面の摩擦を計算し最適な移動を……あうっ」コテッ

リアン「り、リエムちゃん!」

ルル「あははっやっぱりルルのかち〜?」ピョンピョン

ルウェリア「くっ……! リアンちゃん、水撒いて!」

リアン「う、うんわかった! スプリンクラー!」バシャシャ

ルル「ふふっ、手の内ばればれ! 当たらなきゃどってことないもん!」ヒョイヒョイ

ルウェリア「違うよ。私の実力じゃ、まだまだ水の助けが必要だから――アースフラッド!」コッ

 ドロロロロ…!

リアン(ルウェリアさんが濡れた砂浜に手を付くと――そこから一気に液状化が広がる。まるで即席の底なし沼だ)

ルル「わ、わわわっ!」ズルズル

リアン(ルルちゃんの足が地面に引き込まれていく。泥に足を取られては自慢のすばしっこさも型なしだ)

ルウェリア「……はい、捕まえた!」スタスタ、トン

ルル「うう〜! ずるい! ルルは魔法使ってないのに!」プンプン

リエム「魔法を使ってはいけないというルールはありませんでした。今から訂正しますか?」トテトテ

ルル「む〜。それはそれでださいからやだ」

リアン「じゃ、じゃあ……ルルちゃん、一緒に来てくれる?」

ルル「ん。そういう約束だったし」コク

ルウェリア「……! ありがとう、ルルさん! お礼はエンシァン先生が必ずするから!」

 ☆ルルが遺跡探索部に加入しました
 ☆リアンとルウェリアの能力が成長しました

 ◆
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/04/28(金) 21:01:19.81 ID:sCMfhzwh0
―夕方
 ユリトー南海岸

 ザァーン ザザァーン

カモメ「クゥー、クゥー…」
カニ「チョキチョキ」



エンシァン「よくやってくれた! 皆の活躍、しかと見届けさせてもらったぞ!」ザッザッ

ルル「あ、エンしゃん! ひとりだけ高みの見物してたの? ひきょー者!」

エンシァン「ククク、なんとでも言え! もうお前は我が遺跡探索部の一員なのだからな! 撤回は許さん!」

ルル「撤回したくなってきた」

ルウェリア「ああもう! エンシァン先生は少し黙っていてください! ルルさん、遺跡探索部の部員になった君に早速少し質問があるんだけど、良いかな?」

ルル「いーよ?」

ルウェリア「じゃあ……。君は、あの魔法人形研究所で眠りに就く前のことは、覚えてる?」

ルル「ん、んー……?」

ルウェリア「何でも良いんだ。自分の生まれた場所のこととか、知っている人のこととか……」

ルル「んー……」

リアン「……あ、そうだ! ルルちゃん、眠る前にリエムちゃんに会ったことなかった? リエムちゃんじゃなくても、リエムちゃんみたいな姿の女の子でも……」

ルウェリア「あ、それならリエムちゃんもルルさんのことを知ってたりしない?」

リエム「申し訳ありません。リアンさまと出会う以前の記憶は残っておらず……。インテリジェンスソードという種の知識はありますが、ルルさま個人に関する情報は持ち合わせておりません」

リアン「初期化って言ってたもんね……」

ルル「んー…………」

↓1コンマ ルルの記憶
01-50 おぼえてない
51-90 うろおぼえ
91-98 赤い瞳
99-00 ??
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