【安価・コンマ】目が覚めるとそこは…

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118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 20:16:32.94 ID:Me/gvQj3o
>>117
できれば上げていきたいですけど、なかなか難しそうです…


「まずは今起きたことを説明しましょう。僕が持ってきたあの杖は不動くんのものと同じ、シェイプシフターを使用して作られた杖です」

「他にも杖があったんですか?」

不動の問いに高木は首肯する。

「君たちを襲った連中は、シェイプシフターを使用した杖を複数製造していたようで、そのうちの一つを先日確保したのです。そして私達の研究班の調査によって、いくつかの仮説が立てられました」

すると高木は指を三本立てた。

「一つ、シェイプシフターの細胞は互いに反応し合うこと。二つ、それらは融合することで元に戻ろうとしていること。三つ、反応と融合を行うためにはシェイプシフターの細胞が活性化する必要があるが、そのためにはその近くに杖の持ち主が居なければならない、ということです。そして今起きたことは、それらが全て事実であることを証明しました」

高木は続けて口を開こうとしたが、椎名の鋭い視線に気づいた。彼女は次に高木が何を言うか、おおよその検討がついていたのだ。

その視線に居た堪れない心地を覚えながらも、高木はため息をつきながら話を続ける。

「そこで、魔法自治局として不動くんに協力をお願いしたいのです」

「…何をすれば良いんですか?」

「我々の捜査チームと行動をともにして、他の杖を探し当ててほしいのです。簡単に言えばコンパスの役割を果たしてほしいのですよ」

「でもそれって、危ないですよね。魔法自治局ともあろう人達が、魔法使いでもない不動くんを危険に晒すなんて…!」

「僕もこんな提案はしたくないんです。ですが……これも仕事ですので」

そう言った高木の顔は苦悩の表情で満ちていた。生来の優しさと真面目さの間で板挟みになっているのだ。

「…場合によっては証人保護プログラムの打ち切りもある、と上司は示唆していました。脅迫紛いのことをしているのは分かります。ですが、あの杖を危険な人間の手に渡らせることはあってはならないのです。ですから、どうか協力してください。それがお二人のためでもあります」

高木は深く頭を下げる。不動はその様子を黙って見つめていた。

「不動くん…?」

↓1
1 協力する
2 協力しない
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 20:18:01.86 ID:HuQ78OrhO
1
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 20:45:30.27 ID:Me/gvQj3o
「…分かりました」

すると高木が顔を上げるよりも先に、椎名が不動の肩をつかんだ。

「そんなの駄目だよ!」

彼女は目に涙をためながら続ける。

「捜査員の人達がいたって、不動くんが……酷い目に遭う可能性はあるんだよ!?もしそんな事になったら…!」

実際、椎名が自分と同じ選択をしたら止めるだろうと不動は思った。それでも、今回は譲れない。

「もし保護が打ち切られたら…俺だけじゃなく、椎名やご両親だって危ない」

「だからって…!」

不動は椎名の手に優しく触れる。

「それに…いつまでもこんな生活は続けられない。椎名ともっと…普通に、幸せに過ごしたい。その為なら俺は、どんなこともしてみせる」

椎名はまだ何かを言おうとしたが、それをぐっと呑み込んだ。不動とは長い付き合いだからこそ、分かったのだ。こうなった彼は譲らない、と。

「…分かった。でも!私も絶対付いて行くから!」

「椎名……」

本当は彼女にはずっと安全な場所に居てほしかったが、同時にその言葉が不動には嬉しくもあった。自分の決意と同じく、彼女もまた譲らないであろうことも彼には分かっていた。

「わかった。絶対に守ってみせるから」

「…うん!」

二人の話が一通り終わったのを確認して、高木が頭を上げる。

「本当に、ありがとうございます。そして巻き込んでしまって申し訳ありません。ですが、その引き換えに必ずお二人をお守りし、元の生活に戻れるよう全力で取り組みます!」

再び頭を下げる高木に向かって、二人もまた頭を下げた。

その後、二人は家族を何とか説得し、本格的に捜査に協力することが決まった。早速、高木から全体についての説明が行われた。そこでの話によると、いくつかの手掛りがあるらしい。

↓3まで
杖の居所または密猟組織についての手掛り
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 20:53:44.96 ID:SFikTBULo
杖の実験を行うと言う情報が
ただし全く同じ時間に行われるという情報のある場所が2ヵ所ある
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 20:59:54.77 ID:0LFms8Cj0
自衛隊の保有する銃火器の中に変形した杖が潜り込んでる
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 21:02:53.97 ID:DJub1mt50
警察組織に潜入してる敵の構成員がいる
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 21:21:15.71 ID:Me/gvQj3o
高木によれば手掛りは全てで3つある。1つ目はシェイプシフターの細胞を利用した杖の実験を行うという情報だ。ただし厄介なことに同時刻に異なる2つの場所で実験が行われるらしい。どちらの情報が正しいかまでは分からないとのことだ。

2つ目に、自衛隊が保有している銃火器の中に不審な様子のものがあるとの情報が入っている。捜査チームはこれを銃火器に扮した杖だと睨んでいるそうだ。

3つ目は杖ではなく、密猟組織についてのものだ。組織と警察の間に何らかの繋がりがあるのではないかという疑惑が出ているのだ。というのも組織絡みと思われる事件が発生した際には、やけに警察の到着が早い上に、それが簡単な事故として処理されたり、中には半ば揉み消されたような事件もある。魔法で操っているのか、それとも組織の一員が潜入しているのかは分からないが、何らかの形で警察を操作している可能性が高いとのことだ。

これら3つの手がかりのうち、捜査チームが最初に手を付けたのは──

↓1
1杖の実験について
2自衛隊の銃火器について
3警察と組織について
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 21:22:42.02 ID:SFikTBULo
2
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/09(土) 21:56:19.37 ID:Me/gvQj3o
捜査チームが最初に手を付けたのは自衛隊の件だった。杖の実験はその日時までまだ幾ばくかの余裕があった。警察と組織については決して看過できないが、自衛隊の件のほうが重要性が高いと判断したのだ。

「それにしても、自衛隊、ですか」

「意外だよね、銃器と魔法の組み合わせなんて。うーん…そもそも自衛隊と魔法の杖が一体どう繋がったんだろう?」

件の自衛隊基地に向かう車列の中で不動と椎名が疑問を口にする。

「正直言って僕も想像が及びません。とにかくまずはその火器を確認するのが先決です。杖を見つければ自ずとそれを自衛隊に持ち込んだ人物についても分かるはずです。繋がりはその人に聞けば分かります」

助手席に居る高木が後部座席を振り返って二人に話しかける。

「確かにそうですね!」

「…所で、1つ質問なんですが」

「何ですか、不動くん?」

「…どうやって自衛隊の基地の中に入るんですか?普通に入れてくれるんですか?」

「残念ながら、普通には入れません。僕たち魔法自治局は表の世界では存在しないことになっている機関なんです。だから、ただ行くだけなら門前払いです」

「それじゃあどうやって入るんですか?魔法、ですか?」

「安心してください。作戦ならあります。それは──」

↓1 作戦とは?


今日はここまで。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/09(土) 22:04:24.18 ID:94F21eXuo
学校の社会科見学ってことにして基地に入り込む
先生役大勢の生徒役は自治局の人員から手配
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 20:18:58.45 ID:eVdrJoq9o
「偽装作戦です。これから私達はとある高校の生徒と教師に扮し、社会科見学を装って内部に入ります。その後は案内に従いつつ、不動くんの杖の様子をうかがいながらおおよその場所を探し当てていきます」

「なるほど。その後はどうするんですか?」

「見当をつけたら、魔法を使って案内の目から逃れて杖を探します。ただし、魔法の効果時間やその他諸々も考慮すると、そこからは時間との勝負になります。素早く杖を見つけて何事もなく基地から立ち去ることができれば上出来です」

「質問があるんですけど、組織の人が居る可能性はあるんですか?」

椎名の疑問に高木は神妙な顔をして答える。

「何とも言えません。もしかすると彼らが何らかの目的のために持ち込んだのかもしれませんし、あるいは単に取引の結果かもしれません。何にせよ警戒だけは怠らないでください」

高木の言葉を受けて二人はしっかりと頷く。

「どうやら着いたみたいですね。それじゃあ基地に行く前にこちらに着替えてください」

そう言って高木が取り出したのは制服だった。

「着替えのスペースはあちらに用意してあります」

言われるがままに制服に着替えた二人は高木のもとへと合流する。彼はカラスと何かを話し合っていた。

「あれは?」

不動は横にいる椎名に尋ねる。

「使い魔だね。魔法を行使する際の補助をしてもらったり、雑用をこなしてもらったり、色々してくれるよ」

「…へえ。人によって違う…みたいだな」

「うん。私はうさぎの使い魔だよ」

「特に制限とかはないのか?」

「ないよ。よく魔女と黒猫とかがセットで想像されるけど、実際にはどんな生き物も魔力を持ってるからね」

そんな話をしている間に、捜査員達は自分たちの使い魔を学生の姿に変化させていた。

「凄いですね…」

目を見張りながら不動が呟く。使い魔達は姿形だけを見れば、どこからどう見てもただの学生だ。

「とはいえ、簡単な会話くらいしかできないのでサポートは必須ですけどね。では準備も整いましたので中に入りましょう」

そうして不動たちは高木の先導に従って自衛隊基地の入口まで移動した。守衛に要件を伝えてしばらくすると、今日の応接係と思われる隊員が出てきた。

「本日はよくお越しくださいました」

「こちらこそ貴重な見学の機会を頂くことができて感謝しております。ではまずは予定通り、簡単な講義からですかね?」

「はい。ではこちらへどうぞ。それと本日はこちらの一時立ち入り許可証をご携帯ください」

その後不動達は自衛隊の仕事や役割等の簡単な講義を受けたあと、基地内の見学を行うことになった。

「それでは施設内の見学を始めます。これからまわるのは兵舎、食堂、運動場、射撃演習場です。今日は折角なので皆さんの興味のある場所から回りましょう。どこか行きたいところはありますか?」

その言葉を受けて高木が不動に耳打ちする。

「調べたい場所はありますか?」

↓1
調べたい場所をどうぞ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 20:22:58.58 ID:uTt/IOIGo
射撃演習場
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 20:34:10.53 ID:eVdrJoq9o
「やっぱり射撃演習場が良いんじゃないですか?」

その言葉を聞いて高木は頷くと、案内係に射撃演習場を見学したい旨を伝えた。

「では射撃演習場に参りましょう」

射撃演習場まで移動する間に椎名が不動に耳打ちする。

「どう?杖の反応はなさそう?」

椎名の問いに、首を横に振って不動は答える。杖は基地に入ってから反応してはいるが、それが強まりはしていない。

「ここが射撃演習場です。実際の射撃も見学していただきます」

案内に続いて射撃演習場の中に入ると、不動の杖の反応が強まった。すぐに不動は隣に居た高木に耳打ちする。

「…とりあえず様子を見ましょう」

そうこうしているうちに、隊員たちが準備を終え、射撃の見学が始まった。

↓1コンマ
偶数:異変に気づいた
奇数:異変に気づかなかった
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 20:34:52.95 ID:JdDID3ea0
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 21:16:46.49 ID:eVdrJoq9o
隊員たちが射撃を実演する中、異変がないか探したものの、特に何も見つけることはできなかった。そうこうしているうちに見学が終わろうとしている。

「どうしますか、高木さん?」

「…こっちに来てください」

すると捜査員たちが3人を取り囲む。自衛隊員たちから見えないようにした状態で高木が杖を取り出す。

「イルズィオン」

薄紫色の光が3人を包む。

「この魔法は?」

「幻惑の魔法だよ」

「はい。これで周りからは僕たちの姿が自衛隊に見えます。ただ、効果時間は長くありません。ですので素早く捜索しましょう」

すると捜査員たちが取り囲むのをやめて案内係の方へ移動した。案内係は3人を一瞥すると、そのまま他の捜査員たちを連れて射撃演習場から出ていった。

「…本当に自衛隊に見えてるみたいですね」

「はい。それではこのまま片付けをしている隊員に混じって杖を探しましょう」

↓1 コンマ
01〜65 見つけられなかった
66〜 見つけた
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 21:18:10.60 ID:uTt/IOIGo
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/14(木) 21:55:47.96 ID:eVdrJoq9o
「見つけましたか?」

「高木さん、見つかりませんよ〜。不動くんは?」

不動は自分の杖に視線を移す。杖はまだ光り続けている。

「いや。でもここにあるはずなんだ」

気づけば片付けをしていた隊員たちももう演習場を後にしており、残っているのは3人だけだ。

「早く見つけましょう。でないと──」

すると一人の自衛隊員が演習場に入ってきた。その隊員は立ち止まると3人を1人ずつ眺めた。

「お疲れ様です。どうされ──」

高木が場を誤魔化そうと一歩を踏み出したが、それより早く隊員は懐から杖を取り出した。それを見て3人も咄嗟に杖を取り出す。

杖の先を相手に向けながら不動は考える。相手を倒すべきか?それとも2人を守るべきか?

↓1
1攻撃する
2守備に専念する


今日はここまで。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/14(木) 21:56:56.01 ID:yXlVDHwDo
2

136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/09/25(月) 20:34:19.19 ID:y/mmYsJbo
麻痺の呪文が聞こえると同時に、高木が大声で叫ぶ。

「エントヴァフヌング!!」

武装解除の呪文だ。兵士が放った麻痺の呪文は分裂し、3人に向かって奔る。不動の意思によって盾に変化した杖が彼と椎名を守った。だが高木は2人と距離が少し離れていたため、不動の盾の範囲外に居た。しかし、高木に向かって飛んできた麻痺の呪文は、武装解除の呪文に弾かれて消滅した。

高木が次の呪文を繰り出そうとしたその時、3人の足元に何かが転がってきた。

「!!」

それを見た高木が二人に飛びかかってくる。3人を包むように変化した杖によって視界が遮られる寸前、不動は椎名が何らかの呪文を放ったのを見た。

激しい閃光と音が3人を襲う。耳を押さえ目を瞬かせながら、不動は慌てて自衛隊員の姿を探す。しかしすでにその場には居なかった。

「お二人共、無事ですか?」

高木の問いに2人は頷く。

「今のは?」

「分かりませんが、少なくともこの件の関係者には間違いありません」

「あっ!」

椎名の大声につられて2人が彼女の方を見ると、彼女は不動の杖を指さしていた。杖の光が先程よりも弱まっている。

「やられました!きっとヤツが杖を持ち去ったんです!椎名さん、追跡の呪文を放っていたようですが、どうですか?」

↓1 コンマ
奇数:当たった
偶数:外した


今日はこれだけです。
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/09/25(月) 20:35:11.80 ID:S5I4i0v3o

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