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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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902 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 22:53:54.53 ID:VSgDkCZmo
ここに来るまで長かったなブイモン…
903 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 22:59:45.47 ID:aRWUSx6po
装甲を身に纏ったブイモンは、手のツメに炎を纏った。
ツメが高熱によって赤熱化していく…!

「ウ、ウガオオオォ!」

フーガモンは棍棒をひったくると、再度振りかぶった。

「うらああああ!」

ブイモンのツメは、青銅の棍棒を一瞬で溶断した。

「ガァウ!?」

『な…なんだこの切断力は!?』

「だあああらあああああ!」

ブイモンが再度ツメを振りかざす。

「ヒイッッ!?」

フーガモンは両腕でガードする。


…炎のツメを受け止めたフーガモンの両腕は、プラスチックカッターを押し付けたれた発泡スチロールのようにスパッと切れた。

「ガ…ゴァアアアアア!?」
904 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 23:07:34.54 ID:aRWUSx6po
「邪魔!なんだ!よ!」

ブイモンはツメをフーガモンの腹部へ突き刺した。

「消えろぉおお!」

フーガモンの腹部へ突き刺さったツメから出た炎が、フーガモンを体内から焼き付きした。

「ゴボォォォオォォ!」

フーガモンの口から炎が吹き出した。

ブイモンがフーガモンの腹からツメを引き抜くと…
フーガモンは倒れた。

『バッ…バカな!あのフーガモンを…こうもあっさりと…!?貴様、何をした…!』

まさか…この現象は…!

リーダーが頷く。
「間違いない。この土壇場で…ついに成功させた。覚醒したんだ…デジクロスの力が!」

『バカな…こんな都合の良いタイミングで偶然進化したのか!?成熟期に!そんな幸運が!あり得るのか!』

「幸運でも偶然でもねーよ!」
そう叫んだのはカリアゲだった。

「いけ!ブイモン!」

「…カリアゲ。オイラはブイモンじゃない」

「えっ違うのか!」

「ここにいるよ!ワームモンも、サラマンダモンも!」

「そうか…いるのか!じゃあ新しい名を付けてやる!」
905 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 23:12:15.83 ID:aRWUSx6po
「名前は…炎の竜!フレイドラモンだ!」
https://i.imgur.com/nMECtCB.jpg

フレイドラモンは、蛮族デジモン達を睨みつけている。

『こ、これは面白い現象だ…。だが…デジタルワールドにはエネルギー保存則がある!それだけのパワー、常に発揮していれば長くはもつまい!』

「…かもな」
フレイドラモンは自分の手を見ている。

『運良く手札にジョーカーが舞い込んだようだなぁ研究者共!だが、ゲームにはジョーカーたった一枚だけでは勝てないことを!教えてやる!』
906 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/25(月) 23:12:43.08 ID:aRWUSx6po
つづく
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:14:03.12 ID:31qNuXTA0

もう戦えるのフレイドラモンしかいない…
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:15:17.27 ID:aqDppXnLo

長年の不遇をこれで晴らせるかな
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:19:54.27 ID:AGYFP8V60
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/25(月) 23:31:59.32 ID:ctgIAIJB0

なにげに漢字まで発言出来るようになってるんだな……
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/26(火) 08:57:50.66 ID:PiF699DJo
ワームモン&サラマンダモン&サラマンダモンのデジタマがジョグレスしたデジタマ×ブイモンで実質×4デジクロスかな
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/30(土) 23:44:15.82 ID:fMHYQjIgo
年末年始は投下するのか投下なしか
913 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:04:42.28 ID:7Sb/MM+So
ブイモンがついにデジクロスを成功させ、超強力な戦闘能力を手に入れた。
その力は蛮族の王であるフーガモンを、手負いとはいえ圧倒するほどだった。

しかし、我々は知っている。
デジクロスの弱点…
それは、エネルギーの消耗が激しく、形態を維持していられる時間が短いこと。

そして活動限界まで戦い続けてからデジクロスを解除した場合、餓死寸前までエネルギーを使い果たした状態となり、戦闘不能になることだ。

つまり…
エネルギーを使い果たすまでに、敵を全滅させれば我々の勝ち。
エネルギーを使い果たせば敵の勝ちだ。

已然、一切気が抜けない状況だ…
それでも、やるしかない!

フレイドラモン!
行け!

「うおおおおおお!」
フレイドラモンは、アイスデビモンへ一直線に突っ込んでいく…!

「フレイドラモン!先にチビマッシュモン達を助けろ!」
リーダーがそう言うと、フレイドラモンは方向転換し、チビマッシュモン達を叩き潰しているジャングルモジャモンの方へ向かった。

なるほど…

「ウ、ウホォ!」
ジャングルモジャモンは棍棒を振りかざす。

「だりゃあ!」
フレイドラモンは、爪を突き出し、ジャングルモジャモンの喉へ突き刺した。

「焼けろ!」
フレイドラモンの爪から炎が吹き出し、ジャングルモジャモンを内部から燃やした。
「ウッホォォァアアア!」
ジャングルモジャモンが倒れた。

「マシ〜!」
チビマッシュモン達は、ジャングルモジャモンのせいでずいぶん数を減らされてしまったが、残った個体はまだいる。
残ったチビマッシュモン達が、マルウェアを食べ、システム障害を緩和させた。
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:06:06.69 ID:6xqwFMlno
これもデジメンタルアーップ!じゃなくてデジクロスという扱いか
915 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:10:48.17 ID:7Sb/MM+So
『セピックモン!やれ!フォーメーションRだ!』
AAAが指示を出すと、セピックモン3体はチビマッシュモン叩きをやめて、フレイドラモンを囲い、円を描くようにぐるぐる回った。

フレイドラモンは、セピックモン一体へ近付こうとする。
すると、背後に回ったセピックモンがブーメランを飛ばしてきた。

「いて!」
ブーメランがフレイドラモンに命中する。

フレイドラモンが背後を振り返ると、再びセピックモンが後ろに回り込み、ブーメランを投げた。
「痛ってぇ!」
フレイドラモンの背中にブーメランが命中する。

『そのままダメージを与えてスタミナを削れ!』

くっ…!
早くも適応してきたか!
フレイドラモンは近接戦闘が得意なようであり、遠距離攻撃は苦手そうだ。

セピックモンはこのフォーメーションのまま、付かず離れず距離をとって攻撃し続け、フレイドラモンにちくちくダメージを与えて消耗させていくつもりだ…!

「うっぜえよ…てめーら!ワームモン!替わるぞ!」
フレイドラモンがそう言うと、フレイドラモンの体が突如光った。

光が消えると…
姿が変わっていた。
https://i.imgur.com/DZ39Q5x.jpg

その姿は、どことなくワームモンの親であるスティングモンに似たシルエットだ。

フレイドラモンによく似た装甲を頭部と手足に纏っており…
赤い翅を生やしている。

これは…!
パイルドラモンがディノビーモンに変形したのと同じだ!
フレイドラモンも、別の姿になれるのか!
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:11:08.06 ID:LqPEwKjIo
もしBreak up!が流れてたらもう勝てる気になれた
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:12:32.38 ID:8xjFY2uR0
いくらスポンサーさんでもブイモン&デジタマの合体変形フィギュアを作るのは無理かな
918 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:26:38.53 ID:7Sb/MM+So
な、なんて呼ぶ!?

私がそう言うと、カリアゲが口を開いた。
「フレイドラモンの影!シェイドラモンだ!」

わ、わかった。
あの形態はシェイドラモンだな!

『形態変化…だからどうした!』
「ウキー!」

再び、セピックモンの一体がシェイドラモンの背後からブーメランを投げた。

シェイドラモンは…
手から糸を出して、ブーメランを絡め取った。

『なに!?』
「ウキ!?」

二体目のセピックモンがブーメランを投げようとするが…
シェイドラモンは両手から糸を伸ばし、セピックモン二体を拘束した。

「う、ウキ!」
強力な粘着糸が、セピックモンの体を動きを鈍らせる。

シェイドラモンは、セピックモン達に小さな火を飛ばした。

すると、飛ばされた火は粘着糸に着火し、一瞬でセピックモン二体はごうごうと炎上した。
「ウッギャアアアアアアア!!!」
転げ回るセピックモン達。

どうやらシェイドラモンは、ワームモンの粘着糸と、サラマンダモンの燃料粘液の性質を併せ持った糸を操れるようだ。

『…形態が変わると、能力も変化するのか…』
AAAは、シェイドラモンを観察しているようだ。

残るセピックモンは一体。
「キ…キキー!」
セピックモンは背を向けて逃げようとした。

シェイドラモンはそれを追おうとする。

「後ろだ!シェイドラモン!」
リーダーの言葉を聞いて振り向いたシェイドラモン。

キンカクモンが、電撃バットが振りかざしていた。
シェイドラモンは、両腕でガードするが…
電撃バットは、防御態勢のシェイドラモンを弾き飛ばした。

空中で回転して着地するシェイドラモン。
キンカクモンの方を向き直る。

そして、キンカクモンに糸を伸ばそうとすると…
「後ろ!ブーメランだ!」
リーダーはシェイドラモンの背後から近づく危機を伝えた。

シェイドラモンは大きく横に飛び退く。

シェイドラモンの背後から飛んできたブーメランは、キンカクモンの目の前でぐるりと回り、セピックモンの手元へ戻った。
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:29:07.70 ID:Vozty7Rl0
やはり勢いに乗らせてくれないか
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:34:10.16 ID:/e4PxsK20
糸と炎の組み合わせ、強いな……
921 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:38:17.02 ID:7Sb/MM+So
シェイドラモンは…
一瞬のうちにフレイドラモンへ変形した。

そして、背後からチクチク攻撃してくるセピックモンへ、一気に距離を詰めた。

『は、速い!』
AAAは驚いている。

フレイドラモンは、セピックモンを蹴り飛ばす。
「ウキー!」
地面を転がるセピックモン。

キンカクモンは、フレイドラモンを背後から攻撃しようとする。
だが、それよりも早く、フレイドラモンは鋭利な足のツメでセピックモンの腹部を突き刺した。
「ウギャアアアア!」

そして、ツメから噴出させた炎でセピックモンを内部から焼き…
キンカクモンへ蹴り飛ばした。
「グギャアアアア!」

腹部から炎を吹き出しながら、キンカクモンの方へ吹き飛んでいくセピックモン。

キンカクモンは、それを電撃バットで払い除けた。

キンカクモンとフレイドラモンは対峙する。


『セピックモンとジャングルモジャモンが全滅したか…』

残っているのは、キンカクモンとアイスデビモンだ…!
壁の腕でボケっとしているナニモンは相変わらず攻撃も破壊活動もしない。

『だが…これで手駒が尽きたと思うな!来い!信徒達よ!』

AAAが号令を出すと…
ネット回線のトンネルから、シャーマモンやコエモン、ジャングルモジャモンがわらわらと現れた。
しかもそれらの多くは弓矢を持っている。

「クソ!まだ来るのかよ!せっかく小せえ奴らを追っ払ったのに!ふざけんな!」
カリアゲが台パンする。

『くっくっく…!私にデジモン伝送路のコントロールを支配されているとはこういうことだ!デジタルワールドには、私の忠実な信徒がまだまだいるぞ!』

賽の河原の石積のような徒労感だ。

そうだ…
マッシュモン達に頑張ってもらい、デジモン伝送路のコントロールを奪還できなければ、敵デジモンはまだまだ増えるし、スターモンは助けに来れない。

「ぜぇっ…ぜぇっ…」
フレイドラモンの息が荒くなっている。
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:39:29.16 ID:8xjFY2uR0
万策尽きたか
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:40:20.14 ID:gkJ01KDB0
ここまでやってもダメなのか!
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:50:28.43 ID:/e4PxsK20
ここまででセピックモン4体とジャングルモジャモン3体倒しててこれなのでマジで戦力が厚い
925 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 21:51:01.19 ID:7Sb/MM+So
「ウガオーー!」
増援達は、蜘蛛の子を散らすようにデジタル空間に散らばった。

ある個体はデジタル空間を直接叩き壊そうとする。

ある個体はチビマッシュモンを叩き潰して、我々がマルウェア排除と伝送路を奪還するのを妨害しようとしている。

ある個体はフレイドラモンへ弓矢を構える。

「うああああああ!邪魔だ!どけえええ!」
フレイドラモンは、増援の蛮族達に飛びかかろうとする。

「待てフレイドラモン!敵は弓矢を持っている!」

「弓矢ってなんだ!?」

「飛び道具だ!ファンビーモンの針!」

「な!?」

『射てぃ!』
成長期蛮族の群れは、一斉に弓矢を放ってきた。
フレイドラモンは、それらのいくつかを払い除けたが…
4、5発ほどが命中した。

「痛ッてええ!」

蛮族の飛び道具は、確実にフレイドラモンの体力を削っていく。

『くっくっく…!デジモンのチーム同士の戦いは…成熟期が最高戦力だ。だが実際は!成長期の使い方こそが!雌雄を決するのだ!』

もっともらしいことを言いやがって…!

「みみっちい!」
フレイドラモンは、シェイドラモンへ変形する。
「まとめて片付けてやる!」
シェイドラモンは大きな翼を羽ばたかせ、空中で巨大な蜘蛛の巣状の網を作り出し…
それを蛮族弓兵たちに頭上から浴びせた。
「ウホホ!?」

「これで…一網打尽だ!」
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:52:22.35 ID:gkJ01KDB0
弓矢知らなかったのか
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 21:58:56.39 ID:laGNMNFFo
やっぱ物量作戦には勝てんね
928 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:01:08.87 ID:7Sb/MM+So
そう言い、シェイドラモンは火炎弾を飛ばした。

網に包まれた蛮族弓兵達は、炎に包まれる。
「ウッギャアアアアアアア!!」
業火に焼かれる蛮族弓兵達。

「やった…」
シェイドラモンは地面へ着地する。

「ぜーはー…ぜーはー…!」
シェイドラモンは、明らかに体力を消耗してきている。

当然だ。
燃料というのは、熱量(カロリー)という科学エネルギーを持たせた物質だ。

そのカロリーは、当然シェイドラモンの肉体から消費したもの。

これだけの炎を放ち続けたということは…
それだけシェイドラモンの体力をすり減らしているということだ。

…シェイドラモン!キンカクモンが来た!

シェイドラモンは空を飛びながら後方を振り返った。
キンカクモンが電撃バットを掲げてやってきる。

シェイドラモンは、近付くのはごめんだと言わんばかりに、空中から糸を飛ばしてキンカクモンを攻撃する。

キンカクモンは、糸を巧みに回避する。

「ぜぇっ…!ぜぇっ…!」
糸を飛ばすのにも、空を飛び続けるのにも、エネルギーを消耗する。
このままでは…シェイドラモンがもたない…!

『くっくっく!どんどんバテてきているな!ダメ押しだ…さらに来い!信徒達!』

くそっ…もうこれ以上の増員はやばい…!
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:05:39.90 ID:laGNMNFFo
このままじゃ年越しがお通夜になっちまうぅぅ!
930 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:07:37.41 ID:7Sb/MM+So
…しかし。
蛮族の増援は来ない。

『ん!?な、なんだ…?』

ネット回線トンネルから、蛮族の増援は来ない。

『私のところへ繋いでいたデジモン伝送路が…遮断されているだと…?』

お、おお?
これは…!
敵の伝送路を遮断できたのか!

め、メガ、これは!?
君がやったのか!?
「…違う」

え、違うの?
「僕は未だに伝送路のコントロールを奪還できていないし…マッシュモン達も伝送路接続のマルウェアを駆除できていない。なのに、突然、AAAへの伝送路は遮断された!」

ど、どういうこと…?
有り難いけども、何がどうなってそうなったんだ!?

私が困惑していると…
席に戻ってきていたクルエが、私に向かってウインクした。

そして、口元に指を添えて、「しー」っとサインを送ってきた。

よくわからないが…
クルエの策のおかげで、AAAのところへのデジモン伝送路は断ったようだ!

『なん…だと…!まだ何か奥の手を隠していたのか…?』
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:09:37.58 ID:laGNMNFFo
味方にすら隠されてる正に奥の手
932 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:16:31.10 ID:7Sb/MM+So
とはいえ、先程敵が送り込んできた増援のうち、チビマッシュモンやデジタル空間を攻撃していた個体はまだ生き残っている。

どうする…?
そっちを片付けていては、キンカクモンやアイスデビモンと戦う体力がもたないかもしれない。

だが、そちらを放置していては、仮にキンカクモンとアイスデビモンを倒しても、体力を使い果たしてしまい、ボコられるかもしれない。

究極の選択だ…
どちらを先に…!

「キンカクモンに行って!」
クルエがそう叫んだ。

「あっちは大丈夫だから!」
大丈夫なの!?
いったいどうして…

…ん…?

よく見ると…

破壊活動をしている蛮族デジモン達の足元が、何かの液体で濡れている。
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:23:03.38 ID:NrTtYmfy0
全員がベストを尽くせばみんなが何やってるか分からなくても上手く行くもんだ
934 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:23:27.27 ID:7Sb/MM+So
物陰から、何かがひょっこり現れた。

…赤いオタマモン。
それが8体だ。

オタマモン達は、蛮族の足元の液体に炎を放った。

すると蛮族デジモン達の足元の液体は、一瞬で着火し、ごうごうと蛮族デジモン達を焼いた。
「ギャアアアアアア!!!」

お、おお!
罠にかけたのか!

『何ィイーーーーッ!?貴様達…どこから味方を呼んだ!?』

赤いオタマモンということは…
スポンサーさんですか!?

『いや違う』
違うの?

『我々も諸君らに増援を送ろうとしているが…伝送路が繋がらない。どこからそのオタマモン達を呼んだんだ?』

スポンサーさんたちのオタマモンじゃない!?
どういうこと!?

…困惑している私を見て、クルエが再度ウインクした。

…あ。
ま、まさか…!

わ…わかったぞ!クルエさんが何をしたか!
どうやってAAAへの伝送路を遮断し…
どこからオタマモンを呼んだか!

そりゃ言えないわけだ!誰にも!!

私はお口にチャックし…
全てのトリックを理解したことを、誰にも悟られないようにした。

これで…
最後の敵は、キンカクモンとアイスデビモンだけだ!
935 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/31(日) 22:23:58.73 ID:7Sb/MM+So
つづく
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:26:17.11 ID:8xjFY2uR0

なんとかここまでたどり着いたか
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:26:36.42 ID:NrTtYmfy0
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:30:56.77 ID:le6IICKh0
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/31(日) 22:31:58.20 ID:/e4PxsK20

流石に明らかな少なさになってる
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/01(月) 13:47:28.94 ID:/pdtuiZvo
万全の2体相手に息切れフレイドラモン1体
後はもう根性がどこまで続くか
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/02(火) 09:56:34.08 ID:ivTvwUfno
この戦いを乗り越えてもお仕事いっぱいあるんだから大変だなこの研究チーム
年末年始休みなんて概念なさそう
942 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 10:40:50.67 ID:SgLli2Cdo
我々がデジタルワールドやデジタル空間の可視化に使用しているソフトウェア…
デジクオリア及びデジドローン。

その開発元であるカンナギ・エンタープライズは、特定勢力に対して贔屓することはなく、冷遇することもないと明言している。

すなわち、クラッカーとセキュリティの戦いに対し、どちらかの味方につくことはなく、デジクオリアの販売規制やライセンスの剥奪をすることはない、ということだ。

何故なら、何が正義で何が悪かは相対的なものだからだ。
もしもカンナギが「セキュリティ側に加担する」と宣言した場合、仮に『武力攻撃をして多数の人々を苦しめている独裁国家に対して、革命家がデジモンを使ってサイバー攻撃する』というケースが生じた際に、カンナギは独裁国家のセキュリティを保護し、革命家を規制しなくてはならなくなる。
そういったジレンマに振り回されるのを防ぐために、最初から誰にも加担しない…と立場を表明している。

もっとも、立場上加担しないというだけで…
CEOの神木さんは、ギリギリ贔屓にならないラインで我々に協力してくれている。

そんなカンナギが、ただ一つだけ。
彼らが明確に敵視している存在がいる。

「デジクオリアを不正コピーして使用する者」だ。

その対策として、デジクオリアには特殊なコピープロテクトが仕込まれている。

不正にコピーされたデジクオリアがインストールされた場合、その端末のデジモン伝送路を乗っ取って強制的にカンナギ・エンタープライズ・ジャパンの極秘のサーバーに接続される。

そして、執行者こと赤いオタマモン達が送り込まれて、端末内部のデジタル空間に放火してシステムを攻撃するのだ。

尚、どこをどの程度燃やすのかは完全にCEO神木氏や、その秘書の岸部エリカ氏の匙加減次第だ。

完全に破壊し尽くすこともあれば、ちょっと灸を据える程度で済ますこともあるだろう。

…この仕様は極秘事項であり、知っているのはカンナギの極一部の上層部と、私とクルエだけだ。


…クルエはこの仕様を逆手に取ったのだ。

あらかじめ電話でカンナギへ事情を伝えた上で、スパコンの高速演算能力を使い、デジクオリアの不正コピー品を作成し…
我々のネットワークに接続された端末へインストールしたのだ。

それによって、AAAに掌握されていたデジモン伝送路を、さらに上から乗っ取った。

マルウェアに支配された伝送路のコントロールを、正規の方法で奪還できないなら…
別のトロイへ伝送路を奪わせてしまえばいい。

この裏技によって、クルエはAAAが繋げてきたデジモン伝送路を遮断したのだ。

なんてイリーガルな手だ…
私には絶対思いつかない発想だ。
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 10:47:09.63 ID:F9CvrnJp0
犯罪者の悪辣な手を考える担当はクルエさんか
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 10:58:59.65 ID:4EkZsmoH0
単純に助けを求めたとかじゃなかった 裏技だわ……
945 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 11:08:42.66 ID:SgLli2Cdo
そして神木CEOは我々のもとにオタマモン8体を送り込んできて…
灸を据える程度に、デジタル空間を燃やしてくれた。

尚、オタマモンが燃やした箇所には、AAAの配下である蛮族デジモン達がいたが…
それらはただ巻き込まれただけだ。
勝手に人の端末にデジモンを送り込んでくる方が悪い。
どっちの味方だとかそういう話ではない。

まあ、そういう建前で…
神木氏は、我々のもとへオタマモン8体の救援を送り込んでAAAの配下を始末し、これ以上フレイドラモンが体力を削られるのを防いでくれたのだ。

なぜ神木氏が我々に味方してくれたのか…
言われなくても分かる。

我々研究所の活動が、カンナギ・エンタープライズにも利益を齎すから。

そして何より、クルエは電話で…サラの訃報を伝えたのだろう。
そして、我々を今攻撃しているAAAこそが、サラことサラマンダモンの仇だと。

クルエが、リーダーやみんなに、何をするのか教えなかったのは…
カンナギの報復システムが秘匿されたものであり、それを利用した手だったからだ。
決して皆に無意味な嫌がらせをしていたわけではなく、必要だから黙っていたのだ。


…キンカクモンが、フレイドラモンに金棒を振りかざす。
フレイドラモンはそれを躱し、反撃を試みるが…
アイスデビモンの蝋がフレイドラモンの手足を拘束して、動きを封じた。

フレイドラモンは蝋を燃やして溶かしたが…
その一瞬の隙を突いて、キンカクモンの金棒がフレイドラモンの頭部を殴りつけた!

金棒を介した電撃攻撃が、フレイドラモンを苦しめる。
キンカクモンやアイスデビモンとの一対一でなら勝てるかもしれないが、それら二体がいると、流石にフレイドラモン側が不利だ。

二体を相手にしても尚、殴り合いならフレイドラモンの方が強そうだが…
アイスデビモンが放ってきた蝋の拘束を溶かすために、どんどん火力を消耗させられるのだ。

尚、このアイスデビモンは先程、キャンドモン4体を吸収することで、蝋を補充していた。

このままでは、スタミナを削られて押し切られかねない…!
敵の手はとんでもなく陰湿だが、脅威だった。

格闘が苦手なオタマモンが、この場に割って入っても…
キンカクモンに叩き潰されてしまうだけだろう。
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:11:14.01 ID:+PSAE41U0
まだ後ちょっと届かないか
947 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 11:24:42.06 ID:SgLli2Cdo
メガは、今まで蛮族デジモン達に破壊されまくったシステムを、必死に修復している。

先程の蛮族達の猛攻によって、システムの様々な部分が破壊され、動作不良を起こしている。
それでも尚、今までどうにか戦えているのは、メガやシステム管理チームがリアルタイムでシステムの修復をしてくれているからだ。

…デジタルゲートはまだ使えなさそう?メガ。

「数分かかると思っていたけど…。もうすぐ復調しそうだ」

おお!
凄いぞメガ!

「僕だけの力じゃない…見て、あれを」

メガが指した方を見ると…
そこにはクラフトモンがいた。

クラフトモンは、フーガモンに滅多打ちにされて、酷い大怪我を負っているにも関わらず…
工具を駆使して、ファイヤウォールやシステムの修復を、手伝ってくれている!

クラフトモンの工具は、どうやらシステムの概念的な修復も可能であるらしい。

…あの傷は相当深い。
全身に激痛が響いていることだろう。
本来なら、今すぐ絶対安静にして寝込まなくては命に関わる重症だ。

それでも、クラフトモンは痛みに耐え、傷付いた体でシステムの修復作業をしている。
フレイドラモンの勝利を信じて…!

「やった!デジタルゲートが復旧した!」

おお、やったか!

メガ…戦況は不利だ。
フレイドラモンは強いけども、敵は狡猾な手段でフレイドラモンの弱点であるスタミナを削っている。

遅延戦術をして、自分達が有利になるのを待っている。

この戦況を覆すために…
私に作戦を任せてくれないか。

「何か手があるんだね。…勿論いいよ、ケン」
948 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/08(月) 11:25:29.52 ID:SgLli2Cdo
つづく
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:26:35.37 ID:+PSAE41U0
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:26:47.53 ID:F9CvrnJp0
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/08(月) 11:27:40.41 ID:fpJ3ipKj0
952 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/09(火) 23:54:35.66 ID:zL1/UX/Co
メガ…
アプリモンスターズ達は、それぞれの力を組み合わせることができるの?

蟹鍋用のシャコモン貝殻探しで、ガッチモンとナビモンが連携したように。

「可能だよ。スプリングシステムというんだ。アプリモンスターズ達の肩から生えているケーブルを相互に接続することで、システムをリンクさせて力を発揮できるんだ」

3体以上でもできる?

「うん。ナビモン、ガッチモン、ドーガモンの3体で、輪になるようにアプリンクすれば、全員のシステムを連携できる」

横からカリアゲが顔を出してきた。
「すげーな…じゃあさ、相性がいいアプモン同士でアプリンクしたら合体できたりしないのか?」

「そんな機能は無いよ」

「え、なんかできそうじゃん!デジクロスならぬアプ合体!みたいな」

「ふざけてるの!?しつこいな、合体できないって言ってるでしょ!」

「そ、そんなに怒るなよ…」

とりあえず…分かった。
3体でアプリンクして…作戦をやりたい。いいかなメガ。
「いいよ、ケン」

今回は、マッシュモンや、救援に来たオタマモン達にも協力してもらう。

「なあ、ケン…このオタマモン達どっから来たんだ?スポンサーさんとこじゃねえなら…マジで今伝送路はどこに繋がってんだ?」

気にするなカリアゲ!
味方であることは間違いない!

「そ、そっか…」
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/09(火) 23:56:01.80 ID:fKveyL8Eo
そういえば昔そんなことやってた
954 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/09(火) 23:58:13.31 ID:zL1/UX/Co
✕スプリングシステム
○アプリンクシステム
955 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/10(水) 00:27:34.63 ID:x0A7IJOho
「うおお!だらぁ!」
フレイドラモンは、猛攻のラッシュを繰り出す。

「グアアァ!」
キンカクモンとアイスデビモンは、フレイドラモンの攻撃によって着実にダメージが蓄積しているが…
致命傷を回避している。

パワーでもスピードでも火力でも勝っているフレイドラモンが、勝負を決めきれない理由は2つある。

一つは、戦闘経験の差だ。
フレイドラモンは確かに強いが、突然手に入れた己の強大なパワーとスピードを振るい慣れていない。
そのため、攻撃の動きが単純になってしまう。

一方キンカクモンは、パワーやスピードで劣っていても、見たところ踏んできた戦闘経験の場数が違う。
おそらく今まで、凄まじい数の敵と戦って来たのだろう。全身の傷痕を見ればわかる。

それ故か、戦闘に慣れているキンカクモンに、スペックでゴリ押す戦術が効かなくなってきているのだ。

もう一つは、アイスデビモンの能力。
フレイドラモンの顔面を狙って、溶けた蝋やセメントを浴びせてくる。

これはアイスデビモンの意思次第で瞬時に硬化できるようだ。
顔面を固められたら呼吸ができなくなり視界が封じられるため、フレイドラモンはアイスデビモンの硬化攻撃を絶対に避ける行動を取らなくてはならない。

そうして、セメントや蝋を回避すると…
「回避されること」を計算に入れたキンカクモンの電撃棍棒が、フレイドラモンに襲いかかる。

この2体の連携は強力だった。
このままでは、スタミナを削りきられてしまう…

フレイドラモンが、2体から距離を取った。
息が荒くなっており、ツメから出る炎の火力も大分弱まってきている。

だが…
ここから反撃開始だ!
フレイドラモンに、長々と作戦を伝えていては、AAAにも聞かれてしまう。

だから…絶対にAAAにバレない言い回しで、フレイドラモンにだけ分かるように…作戦を伝えるんだ!

フレイドラモン…いや、ブイモン!

「!?」
敵から距離を取っているフレイドラモンが、私のデジドローンの方を向いた。
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/10(水) 00:28:56.41 ID:u8toBrp5o
そういう意志疎通ができるの賢いな
957 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/10(水) 00:30:04.52 ID:x0A7IJOho
ブイモン、聞いてくれ!
君は、力を得たから戦う資格を得たんじゃない!

たとえ弱くたって、君は勇気を出して戦った…
偽業者事件で、クラッカーマッシュモン相手に!

その経験は、決して無駄じゃない!
今、その経験が活きる時だ!

「…!」

『くっくっく、なんだ、こんな局面で無意味な応援か!そんなことで戦況を覆せるというのならやってみろ!』
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/10(水) 00:31:10.61 ID:u8toBrp5o
今のところ何の隠語かわかんねえ…
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/10(水) 00:32:24.43 ID:MYLNC/Ln0
これで察せられるんなら知能以上に価値観とか感性とか考え方が人間そっくりだ
960 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/10(水) 00:33:06.22 ID:x0A7IJOho
「クラッカーマッシュモンの…?お、おお…」

…ちゃんと伝わったかな。
ちょっと心配だが…
フレイドラモンの理解力に賭けるしかない。

言い回しが遠回しになってしまったが…
チャットで文書を送ったとしても、それを悠長に読んでられる余裕はないから仕方ない。

どうにか伝わってくれ…!

〜つづく〜
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/10(水) 00:36:22.44 ID:MYLNC/Ln0

綱渡りどころか糸渡りの賭けの連続だ
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/10(水) 00:37:13.34 ID:u8toBrp5o

ブイモン時代でも強くはなかったかもしれないけど決してバカではなかった
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/10(水) 01:24:30.20 ID:upaIQ6y+0
964 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 18:29:11.16 ID:cK1MJX2zo
私が指示を出し終えたあたりで…
アイスデビモンは、フレイドラモンの方へ、何かを投げるように手を大きく振った。

しかし、何も投げ飛ばされていないようだが…?

「!?い、いってえ!」

フレイドラモンが距離を取り、右目を押さえた。
な、なんだ!?何をしたんだアイスデビモンは!?

フレイドラモンの右目側から、キンカクモンの回り込み…
電撃棍棒でフレイドラモンを殴りつけた。

「うああっ!」

次第に押され始めている…!
言い方は悪いが、フレイドラモンの格闘術はパワーとスピード、一撃必殺の火力に頼ったゴリ押し戦法だ。

スタミナが減り、その火力が落ちてきた今、不利になるのは自明の理だ。

「くそっ…!目が痛え!」

しかし、アイスデビモンはいったい何をした…?

「…まさか」

メガ、心当たりがあるのか!?

「AAAはさっき、アイスデビモンはセメントやガラスも操れると言っていた…!もしかしたら、今ケンが指示を出してフレイドラモンの耳を傾けさせている間にできた隙で、すごく細かいガラス片を生成して投げ飛ばしたのかも…!」

い、陰湿すぎる!
細かいガラス片を飛ばされて、目にちょっと当たったということか!?
想像するだけで嫌だ…!

これは、私のミスか…
私が指示を出して、フレイドラモンを注意を引いてしまったせいか…?

「だけど、何も指示を出さなければこのままジリ貧のまま押し切られるだけだ。たとえミスがあったとしても、僕たちはやれることを探してやるしかない。立ち止まるわけにも、じっくり時間をかけて吟味するわけにもいかない」
メガ…。

「そうだよ!何か策があるんでしょ!?」
クルエ…。

…そうだね。挽回しないと。
さあ、来い!
ティンクルスターモン!

私がそう指示を出すと、デジタルゲートが開き、ティンクルスターモンが飛び出してきた。

ティンクルスターモンは、アイスデビモンに向かって回転しながら突っ込む。

『む!?バカな、そいつはフーガモンが片付けたはず…もう復活したのか?それとも温存していた2体目がいたのか?』
965 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 18:33:50.21 ID:7X/BYiIbo
お馬鹿そうだけどキチンと言うことは聞いてくれるティンクル
966 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 18:47:01.11 ID:cK1MJX2zo
アイスデビモンは、ティンクルスターモンの突撃を回避する。

ティンクルスターモンは、空中でUターンして、キンカクモンに突っ込んできた。

キンカクモンは、野球のバッターのようなフォームをとり、ティンクルスターモンを打ち返そうと棍棒を振りかざした。

ティンクルスターモンは、カキーンと大きな音を立てて吹き飛んでいった。

「!?ムム…?」
キンカクモンは、何か不思議そうな表情をしている。
今の反撃の手応えに、なにか違和感を感じたようだ。

『まあいい、とんだ邪魔が入ったが、仕切り直しだ!貴様達の切り札を今処刑してやる!』
AAAがそう言うと、キンカクモンとアイスデビモンは、フレイドラモンの方へ向き直った。

二体はフレイドラモンに襲いかかろうとするが…

『ウバシャアアアア!』
突然デジタル空間に怒声が響いた。

キンカクモンとアイスデビモンは、怒声の方を見る。

すると、大きなデジタルゲートが開き…
モリシェルモンが出現した。

『何だと!?バカな、このモリシェルモンは先程殺したはずだ!別個体を引っ張ってきたのか!?いつの間に!』

AAAは驚いている。

『フン…成る程な。もはやフレイドラモンでは我々に勝てないと考えて、モリシェルモンを誘引して戦わせようというのか。だが、その戦術には致命的な欠陥がある!信徒達よ、距離を取れ!』

モリシェルモンは次々と水流を放つ。
キンカクモンとアイスデビモンは、距離を取ってそれを躱す。

『モリシェルモンは殺しやすい奴を先に狙う!こうやって離れれば、先に食われるのは貴様のフレイドラモンの方だ!』
967 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 18:55:45.35 ID:cK1MJX2zo
そうやってキンカクモンとアイスデビモンはどんどん遠くへ離れていき…

『ある地点』へ到達した。

その地点とは…
先程、ドリモゲモンがモリシェルモンを仕留めるために掘った穴が空いている地点だ。

今だ!!
いけ!マッシュモン!

私はチャットを打って、地面の穴に隠れているボスマッシュモン及びチビマッシュモン達へ指示を出した。

「マシ〜〜〜〜〜〜!」

ボスマッシュモン達は、キンカクモンとアイスデビモンの足元の穴から、一斉に胞子を噴出させた。

「!?ゴホッゴホッ!」
突然の胞子により、キンカクモンとアイスデビモンは咳込む。
だが、彼らの視線は未だにモリシェルモンとフレイドラモンを見据え、警戒したままだ。

…フレイドラモン、いやシェイドラモン!
今だ!!!

「…そういう…ことか…ケン!こうだな!」
フレイドラモンは、シェイドラモンに変形した。

そして、胞子に包まれたキンカクモンとアイスデビモンに向かって、炎の粘着糸を飛ばした。



…やった。
しっかり伝わった!
968 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:05:44.76 ID:cK1MJX2zo
…かつて詐欺事件の調査のために、小学校へ出向いて、クラッカーマッシュモンと戦った際…

敵のクラッカーマッシュモンは、粘菌デジモンの繭に包まれて、合体しようとしていた。

サラマンダモンが天井から火炎放射をして繭を燃やすことで、合体を阻止したが…

その後クラッカーマッシュモンは、繭から飛び出して…
想定外の手段でサラマンダモンへ反撃をしてきた。

サラマンダモンへ、大量の胞子を飛ばしてきたのだ。

サラマンダモンは、その胞子を燃やそうとしたが…
その時、ある化学現象が起こり、サラマンダモンはダメージを受けた。

その現場を、ブイモンは見ていた。

ブイモンだけじゃない。
今ブイモンとデジクロスしている、ワームモンとサラマンダモンも、そこにいた。


…その現象を…
ブイモンはしっかりと見て覚え、学んでいた。

ブイモンの本当の強さはここにある。
デジクロスをしてパワーを得たから強いんじゃない。

勇気があるから、というだけじゃない。

ブイモンは、自分の弱さを認めて、劣等感を抱きながらも…
それでも強くなろうとして、必死に創意工夫を凝らしてきたのだ。
工具作りをしたり、武器の使い方を練習したり、ワームモンとの連携の訓練をしたり…。

そう。
ブイモンの強さは、弱さを克服しようとして、学ぶ姿勢にこそある!
だから、私が出した曖昧な指示の意図を、気付くことができた。




シェイドラモンが飛ばした火種の糸は…
あの時と同じ現象を引き起こした。
私の意図通りに。
そしてシェイドラモンの意図通りに。

そう…
粉塵爆発だ!
キンカクモンとアイスデビモンは突如、爆炎に包まれた。

「ギャアアアァッ!?」
969 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:14:38.35 ID:cK1MJX2zo
私が立てた作戦は、ドーガモン、ナビモン、ガッチモンの3体のアプモンによるアプリンクにより、それらの能力を統合することで実行した。

まずはガッチモンが、ドリモゲモンが地面に空けた穴の位置を検索した。

そして、ナビモンとドーガモンは…
その位置へ、敵をナビゲートするための動画を生成したのだ。

それが先程出現したティンクルスターモンとモリシェルモンの姿だ。

実際のところ、ティンクルスターモンはまだフーガモンにやられたダメージがあって戦線復帰はできない。

モリシェルモンの2体目なんて確保していない。

これらは、ドーガモンが作り出した幻影なのだ。
ファンビーモンの姿を増やしたときと同じ手段で、ティンクルスターモンとモリシェルモンの立体動画をデジタル空間へ投影しただけだ。

そして、ガッチモンが検索した穴へ、マッシュモン達を忍び込ませておき…
『ナビゲート』が完了したタイミングで胞子を噴出させたのだ。

フレイドラモンは、その全容を全て理解したわけではないし、それを求めたわけでもない。

ただひとつ、『粉塵爆発の火種をつける』。
その役割を、しっかり理解し、果たしてくれたのだ。


「ガ…オゴ…!?」
だが、さすがは成熟期二体。
今の爆発だけで仕留めきれるわけではない。

だが、十分だ。
970 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:25:24.98 ID:cK1MJX2zo
キンカクモンとアイスデビモンが有利に立ち回れてきたのは、フレイドラモンの一撃必殺の炎の爪攻撃を、戦いの経験から得た実力でいなしていたからだ。

突然想定外の爆発を食らって、隙ができた今…
ここが攻め時だ!

シェイドラモンは再びフレイドラモンへ変形した。

「うおぁあああああ!」

フレイドラモンは、残った全てのパワーをすべて絞り出す勢いで爆発的な火力を引き出して…
炎のツメでキンカクモンを背中から切り裂いた!

「ギャアアアアアアアッ!!!」
青銅の武器を瞬時に溶断するその威力をマトモに食らったキンカクモンは、大出血をしながら吹き飛んだ。

「あとは!お前だけだあああ!」
フレイドラモンは、炎のツメでアイスデビモンに貫手を放つ!

「ヌウウウウウウウウウ!!」
アイスデビモンは、炎のツメの攻撃を、両手からセメントを出して受け止める!
くそ、正気を取り戻したか!

「燃えろおおおおおお!」
「ガウオォオオオオオ!!」

壮絶な戦いだ。
炎のツメのパワーをすべて振り絞り、アイスデビモンを貫こうとするフレイドラモン。

どんどん溶かされていくセメントを、次々と充填して、炎のツメを受け止めるアイスデビモン。

ここでも消耗戦を仕掛けるてくるのか、アイスデビモンは…!
971 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:32:30.61 ID:cK1MJX2zo
『ここが最終局面か!出てきていいぞプラチナスカモン!アイスデビモンを援護しろ!』

AAAのデジドローンからそう発せられると…

「ギャハハッハハア!ついに来た!オレサマの出番だゾォォ!」
なんと、物陰からプラチナスカモンが出てきた。
ええ!?あいつ死んだんじゃなかったの!?
モリシェルモンに丸呑みにされて!

「オレサマが死んだと思ったかァ!?バカがァ!ドリモゲモンはモリシェルモンの土手っ腹に穴を空けてくれたんだゾ!そのままくせー胃袋に留まってる理由ある?ねーよなァ!」

そう言い、プラチナスカモンはフレイドラモンの背後側に回ると、腕を硬化させ、ドリルを作った。

「ギャーハハハ!くたばりゃがれェェーーーーッ!」

プラチナスカモンは、ドリルを回転させ、フレイドラモンに背後から襲いかかる…!

だが。
「タマーーーーー!!」
オタマモン8体の火炎放射が、プラチナスカモンを包んだ。

「ぎゃあああアッチイィィイャアアアアアア!!!」

燃えるプラチナスカモンは、攻撃どころではない。
地面を転げ回った。
972 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 19:33:52.75 ID:/zu4LZHmo
さすがに消化しきれなかったわけか
973 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 19:34:43.55 ID:LHsR36tb0
8匹いると強いな……
974 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:40:44.46 ID:cK1MJX2zo
アイスデビモンの背後に、デジタルゲートが開いた。

「タマーーーーー!」
オタマモンは、うちの仲間にもいるぞ!
デジタルゲートから顔を出した、我々セキュリティチームのオタマモンは、アイスデビモンに背後から火炎放射を食らわす!

「ウギャアアアアアアアアア!」
火力特化した成長期の火炎放射だ、ただでは済まないはず!

「プスー…」
しかし、オタマモンは燃料が尽きたようだ。
火炎放射が止まった。

8体のオタマモン達も、先程蛮族デジモンたちの増援をまとめて燃やし尽くすためにだいぶ燃料を消耗したらしい。

そして、フレイドラモンの火力も弱まってきて…
ついにツメの火が消えた。

「ち…く…しょう…!」

『アイスデビモン!よく耐えた、お前の粘り勝ちだ!さあ、そいつらを処刑しろ!』

「ゼー…ゼー…!ガハハッハハハ!」
アイスデビモンは高笑いした。
鋭い爪の一撃をフレイドラモンに繰り出そうと、腕を振り上げた。
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 19:42:28.44 ID:/zu4LZHmo
犯罪者のテロリスト風情が処刑なんて言葉を使いやがって
976 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:47:22.95 ID:cK1MJX2zo
その時…
デジタルゲートから、あるデジモンが飛び出してきた。

「たあーーーーーーーー!!」

それは…
先程セピックモンのブーメランで両足を折られたパルモンだった。

両足の傷は全く癒えていないが…
負傷したまま、パルモンが援護に来たのだ。

パルモンは、かつてブイモンが作った粗雑な鉄のツルハシを構えている。
アイスデビモンの後頭部へ、思い切りツルハシを振りかざした!

「ガフッ…!」

ツルハシは、アイスデビモンの後頭部へ深々と突き刺さった。

「ウ、グ…」
頚椎を破壊されたアイスデビモンは、ふらふらとよろめくと…
地面にばたりと倒れ、痙攣した。

「マシーーーー!」
地面の穴から出てきたボスマッシュモンが、パルモンを受け止めた。




「ぜぇ、ぜぇ…やった…」
フレイドラモンは、その場に倒れた。
そしてデジクロスが解除され…
ブイモンとデジタマに戻った。

「はらへった… うごけねえ…」
977 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:53:56.60 ID:cK1MJX2zo
『…バカな…。負けたのか?この私が…。いいや、あり得ん…誰か!誰か戦える奴はまだいないのか!』

AAAのデジドローンから発せられる声は明らかに動揺している。

「ガ…グ…ワタシハ…マダ…!」
地面に倒れ伏しているキンカクモンは、弱々しく声を上げているが、起き上がれず動けないようだ。

「あーちゃちゃちゃ!」
燃え盛るプラチナスカモンは、体を柔らかくして、死んだドリモゲモンの口にズボっと潜り込んだ。

しばらくすると…
大分小さくなったプラチナスカモンが、ドリモゲモンのおしりからブリっと出てきた。

「火は消せましたァ…!マスター…!」

どうやらドリモゲモンの消化管を利用して、燃えてる部分を拭ったらしい。
だが。
プラチナスカモンはチビマッシュモン1体分くらいまで小さくなっていた。

これではボスマッシュモンに簡単に倒されるだろう。

『…あり得ん…あり得ん!こんな…こんなことが!バカな…!私の軍勢がァァァ!』
978 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 19:59:41.21 ID:cK1MJX2zo
『く、くく…プラチナスカモン!それだけ残っていれば、司令塔としての働きはできるな!?…ここのシステムはファイヤウォールが破壊されて、セキュリティが丸裸だ!もう一度マルウェアを送りつけて、デジモン伝送路を繋ぎ、レアモンを送り込んでやる!合体しろ!』

「…!?ま、まだ早くねーですか!?でもまあ…ヘヘ…やっちゃいますかァァァ!」

『そうだ!ここまでやって引き下がれるか!くっくっく、セキュリティチーム共、今見せてやる!究極最強の切り札の姿をなぁ!』

なんだ…
まだ何かやってくるつもりか…!?
流石にもう戦えないぞ…!

『…!?こ、これは…!ファイヤウォールが復活している?マルウェアを送り込めない…!』

ネット回線のトンネルを見ると…
ボロボロのクラフトモンが、ちょうどファイヤウォールを修復完了したところであった。

『…ッ!追加の戦力が…送れん…!』

AAA…!
私達セキュリティチームの勝ちだ!!
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 20:03:45.65 ID:LHsR36tb0
おお……全員完全にボロボロだけど勝利だ
980 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 20:08:52.36 ID:cK1MJX2zo
『…帰るぞ、プラチナスカモン』

帰れると思うか?
お前達の所への伝送路はもう遮断したぞ!

『帰れるさ。おいナニモン、起きろ』

「フガ!?」
そう言うと、壁の上で居眠りしていたナニモンが目を覚ました。
そして壁から降りてきた。

そ、そうだ、こいつがいた…!
なんなんだこいつ。

『ナニモン、キンカクモンはまだ生きている。そいつくらいなら抱えあげられるだろう』

ナニモンは、キンカクモンを抱え上げた。
そして…
「フン!」

なんとナニモンは、デジタルケートを空けた!
行き先は…デジタルワールドだ!

こ、こいつ!まさか!
メガのアプモン達と同じ…
ソフトウェアアプリケーションを吸収してパッチ進化したデジモンか!

デジタルワールドへのデジタルゲートを開くソフトの力を、ナニモンは取り込んでいるんだ…!


「マ、マシーー!」
うちの戦力で今まともに戦えるのはボスマッシュモンしかいない。
ボスマッシュモンは、チビマッシュモン達を連れて、ナニモン達のいる方へ走り出した。

だが…
ちょっとまにあわなさそうだ。
981 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 20:13:05.62 ID:cK1MJX2zo
『…私の敗因は…私のせいじゃない!バカな部下がズバモンとルドモンを貴様らに奪わせたせいだ!奴らがいれば勝っていたのは私の方だったッ!あのクソアマが全部悪い!本当に勝っていたのは私の方だ!』

メガがマイクを握った。
「たらればで好き放題願望を言うな!現実を受け入れられないお前!やはり三流以下のヘボエンジニアだ!」

メガはそう言いながら、キーボードを操作して、誰かへチャットを送っていた。
見たところ…デジタルアソートのアプモンから、何かの報告を受けているみたいだ…?

『ぐぐぐ…!次は絶対に亡ぼしてやる!覚えていろセキュリティ共ォォ!』

そう言い、ナニモンとキンカクモン、小さなプラチナスカモン、そしてAAAのデジドローンはデジタルゲートへくぐり、デジタルワールドへ去っていった…。



デジタル空間には…
蛮族デジモンの死屍累々が残されていた。
982 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/13(土) 20:13:37.80 ID:cK1MJX2zo
つづく
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 20:19:13.78 ID:eF2NBmVX0

これで逃げられたらこっちの戦力削られただけだな…
向こうは戦力補充簡単そうだし
984 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 20:38:15.20 ID:LHsR36tb0

こんだけ死体が出てたらどうなんだろなあ
この戦力ならディノヒューモン村も滅ぼせるんじゃない?って物量がほぼ全壊したわけだし
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 20:39:47.82 ID:DNEl/M1y0

この戦いで出た屍の山食べるのかな?研究材料になるのかな?
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/13(土) 20:40:07.98 ID:CEbCeICR0

向こうも補充できるかな?
残ってる成熟期はナニモンとプラチナスカモンだし
蛮族も農園と戦争状態なのにフーガモン死んでキンカクモンも重症
ワンチャンこのまま農園にやられそう
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/14(日) 23:48:55.06 ID:y5bcojQXo
ギリギリ新スレ必要かな
988 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/15(月) 10:59:30.35 ID:yR4b8Wv50
大量の死体の山はグロテスクでテレビ放送するには一部修正必要そう
989 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:22:40.13 ID:Q41Au4A0O
これで、すべての敵をようやく倒した…のか?
ガッチモン、一応生き残ってる敵がいるか検索してくれ。

「え?もう倒したんじゃねえのか?」
いや、カリアゲ…
今回の蛮族の勢力だけども、いてもおかしくないはずの奴がいなかった。

そいつがまだ潜んでいる可能性がゼロじゃない。

「?どのデジモンだ?」

バブンガモン…。
岩のような硬い甲殻を持つ、ヒヒに似た姿のデジモンだ。

前に蛮族の集落を見たときは、そいつがいたはずだけど…
さっきの戦いには現れなかった。
どういうことなんだろうか。

「潜んでたらこえーな…。そしたらもう戦えないぞ。ティンクルスターモンだって無理してるだけだろ」

『ヨク ワカッタッスネ スゲーッス』

無理してたんだ!

『テキニ ヨワミヲ ミセルワケニハ イカネーンデナ』

…そ、そうか。
で、どう?ガッチモン。

『バブンガモンは いねー けど いきてるやつが まだいる 2体だ』

何!?
どいつだ?

『あっちだ』

そう言って、ガッチモンが指さした方を見ると…

「ヒ…ブルヒ…」

クラフトモンに頭部をドリルで破壊されたシマユニモンが、倒れたまま痙攣している。
あ、あれは生きてる判定なのか…?
まだ死んでないだけって感じだけど。
990 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:25:33.26 ID:Q41Au4A0O
※ちょっと描写が飛んでしまった
※ティンクルスターモンが起き上がって「平気ダ」と言うシーンが前に入ると脳内補完してください
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/15(月) 18:27:20.84 ID:QRY4Jj1Qo
飼われてるくせに大した生命力の馬だ
992 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/15(月) 18:28:53.94 ID:Fp3+AZVe0
生きてるのにご主人様に置いてかれちゃったかあ
993 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:33:08.48 ID:Q41Au4A0O
それで、もう一体は…?

…弱々しく地を這って、シマユニモンに接近しているデジモンがいる。

全身に大火傷を負ったシャーマモンだ。
シェイドラモンに炎の網で焼かれたか、オタマモン達の火炎の罠で焼かれたのだろう。

「テンシ…サマ…オレハ…マダ…イキ…ル…!シナ…ナイ!」

もう死にかけのシャーマモンは…
シマユニモンに触れた。

どうしようというのだろうか。
乗ってみたいのか…?

「…まずい!そのシャーマモンを今すぐ始末しろ、マッシュモン!何でもいいから武器を持ってぶちのめせ!」
り、リーダー!?
そんなに慌ててどうしたんですか!?

「早くしろマッシュモン!!」

「マ、マシッ!」
ボスマッシュモンは、スナイモンの鎌を拾い、シャーマモンの方へ駆け寄った。

「早くトドメをさせ!」

「マシィィーー!」
マッシュモンは、鎌を振り上げた。



…その瞬間。
シャーマモンとシマユニモンの体が、光り輝いた。


「マシャアァァ!?」
ボスマッシュモンは、シャーマモンとシマユニモンを包む光から発せられたパワーにより吹き飛ばされた。
994 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/15(月) 18:36:32.93 ID:YnyJ9mmVo
お、終わった…
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/15(月) 18:40:19.47 ID:+SfqPXkX0
敵にも奇跡使われてしまったか
996 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:40:49.40 ID:Q41Au4A0O
「マ、マシイィイーーー!」
起き上がったボスマッシュモンは、光り輝くシャーマモンに鎌を振り下ろす。

だが。
眩い閃光が周囲を包んだ。


光が消えたとき…

ボスマッシュモンした振り下ろした鎌は…
たくましい腕によって受け止められていた。

https://i.imgur.com/23TgoXA.jpg
…光の中から現れたのは、半人半馬のデジモン。ケンタウロスのような姿だ。
頭部は兜で覆われており、右腕には砲身のようなものが生えている。

こ、これは…
ばかな。
ジョグレス進化…だと!?

「オ、オォオオ!テンシサマアアアーーー!!オレハ!!ヨミガエッタゾォオ!」

歓喜の声を上げた半人半馬のデジモン…ケンタルモンは、ボスマッシュモンを左手で掴んで持ち上げると…
右腕の砲身にエネルギーを貯めた。

「マシ、マシィ!」
ボスマッシュモンはじたばたと暴れている。

「ま、マッシュモン…!」
倒れているブイモンは、立ち上がろうとするが…
もう立つ力も残っていないようだ。
997 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:46:02.22 ID:Q41Au4A0O
…『公正世界仮説』という思考バイアスがある。

ざっくり言うと、「いい事をした者には幸運が訪れ、悪いことをした者には天罰が下るはずだ」という思い込みのことだ。

先程、我々のパートナーデジモンであるブイモンが、ピンチに陥ったときに、奇跡的にデジクロスの力に覚醒した。

私は心のどこかで思い込んでいた。
この奇跡はきっと、人々を守るために努力してきたブイモンの善性に、天が味方して奇跡を授けたのだ…と。

だが、それこそが思考バイアスだったのだ。

善に奇跡が起こるのなら…
悪にも平等に、奇跡は起こる。




『攻撃をやめろ、信徒よ!』
その声を聞いたケンタルモンは、驚いて声の方を向いた。

そこにあったのは…
AAAのデジドローンだ。

『繰り返す。そいつへの攻撃は中止しろ。今はもうそれ以上戦わなくていい』
998 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:54:44.88 ID:Q41Au4A0O
「ナ、ナゼダ テンシサマ! ワタシハ コイツラヲ ミナゴロシニシテ アナタニ ムクイル!」

『より完璧な殺し方を思いついたからだ。蘇ったその力で、私に尽くしてくれ…できるな?』

「モ、モチロンダ!」
ケンタルモンはマッシュモンを地面に放り捨てた。

「マシッ!」
地面にべちーんと叩きつけられるマッシュモン。

『このデジタルゲートを通って、いったん本拠地へ戻ってこい』
デジドローンがそう言うと、デジタルゲートが開いた。

「オオセノママニー!」
ケンタルモンは、デジタルゲートから出ていった。

…そうして、デジタルゲートは閉じ…
デジドローンも消えた。


「ぷ…ククク…あははははは!」
クルエが腹を抱えて笑っている。

「ひーひひひひ!こりゃおかしいや!やるなリーダー!」
カリアゲも大笑いしている。

「そっか、これがあの手品のカラクリか!成長期蛮族をいっぺんに消した手品の!なるほど!」
メガは手をポンと叩いている。

「…そうだ。ドーガモンの力で、『AAAのデジドローン』の動画と音声を合成して再生した。AAAに絶対服従している蛮族達は、その言葉通りに動くからな」

…デジタルゲートはどこへ通じてるんですか?

「カリアゲがこれまでに探し続けてきた、フローティアの候補地だった孤島だ。資源が何も無い、植物もない土地だ」

…島流しにしたんですね。




奇跡は善にも悪にも平等に起こる。
だが、その奇跡を活かせるかどうかは…
また別問題なのだ。
999 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/01/15(月) 18:56:25.87 ID:Q41Au4A0O
次スレ

デジタルモンスター研究報告会 season2 エピローグ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1705312546/
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/01/15(月) 18:56:41.65 ID:Fp3+AZVe0
AAAまだいたのか!?って完全に騙されたわ
1001 :1001 :Over 1000 Thread
  | l| l || || l|           | l| l || || l|         
  | l| | || || l!           | l| | || || l!         たらい回しの最果ての地へようこそ!
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  ゝ___ノ がーん! .   ゝ___ノ がーん! 
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   と    i             と    i          SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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