小牧嬉歌「間違ってたらアレなんだけど……何回目、なの?」

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1 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:42:26.18 ID:loDylRht0
あらすじ
ウタちゃんはタイムリープに気付いてしまいました


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1701772945
2 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:43:45.11 ID:loDylRht0
注意
うたごえはミルフィーユのタイムリープもの
うたミルのオーディオドラマを聞いてください
https://youtube.com/playlist?list=PLRpMiFx6fhuEciHDxx5bvLuoMRerASdSQ&si=b59VbWSPF2R-0QpT

オーディオドラマ#19までの情報しか使っておらず、核心そうにみえても自分の創作です。
なんでタイムリープものかは、してミルVol.7の19分ぐらいから。

小牧嬉歌=ウタ
繭森結=ムスブ
古城愛莉=アイリ
近衛玲音=レイレイ
宮崎閏=ウルル
熊井弥子=クマ

それでは、投下していきます
3 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:44:50.25 ID:loDylRht0


「ほんと。時間が止まっちゃえばいいのに」

1 #14

手鞠沢高校 アカペラ部室

今、音が傷ついてる。

『ザザザ』みたいな音が聴こえる。

アカペラの最中でも気になる。

繭森結「…かん『ザザザ』なのに?ダメ……?」

そう、この音。

どこかで聞いたことのあるような音。

何かが擦れたような、音。

ムスブちゃんは絶対にこんな声出さないから、たぶん、私のせい。

私のせいじゃないなら……。

熊井弥子「わかる?ウタちゃん」

小牧嬉歌「……」

クマ「ウタちゃん?」

ウタ「……」

ムスブ「ウタァ!」

ウタ「ひゃい!な、なに、ムスブちゃん!?」

ムスブ「クマの話、聞いてた?」

古城愛莉「聞いてなかったねー」

近衛玲音「気になることでもある?今日は時々気が逸れてたから」

ムスブ「そうですか?」
4 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:45:47.09 ID:loDylRht0
宮崎閏「確かに。合わせの時もなんか気が抜けてたような」

ムスブ「言われてみれば、いつにもましてボケっとしてる気もする」

ウタ「私、いつもボケっとしてる?」

レイレイ「ムスブと比べればね」

アイリ「それも言っちゃおう、ウタちゃん」

ウタ「え、あの、気のせいだし変なことだから、また黙秘権を……」

アイリ「大丈夫、大丈夫」

レイレイ「言ってみて」

ウタ「最近、変な音が聞こえるんです」

クマ「変な……音……?」

ウルル「自分もはじめたばっかりだからさー、そこは許してよ」

クマ「私も……もっと綺麗にだせるように、がんばる……」

ウタ「あっ、違って、その、ザザザ、って音がする時があって」

レイレイ「ザザザ?」

ウタ「擦れたような、音が飛ぶような……」

アイリ「うーん?」

ムスブ「言いたいことはわかった。カセットテープが擦り切れるような感じでしょ」

ウルル「オムスビも聞こえんの?」

ムスブ「学校のチャイムと校歌。今時、カセットテープで流してるとか信じられない」

アイリ「歴史を感じるよねー」

ウルル「でもさ、今時そんなことある?」

レイレイ「カセットテープでは流してないよ」

ウルル「そうですよね、レイ先輩!」

レイレイ「カセットテープから古い機材で流したのを録音して、今の機材で流してるんだよ」

ウルル「なんて、ムダな。うちの高校、変なところ古くさいっスよね」

レイレイ「だから、カセットテープが劣化したような音がしてる」

クマ「そうなんですか……気にしてなかった」

ムスブ「ウタ、こんな感じの音が聞こえるわけ?」

ウタ「うん、そう。どこかで聞いたと思ってたから、わかってよかった。でも、聞いていいですか」

アイリ「どうぞー」

ウタ「カセットテープ、ってなんですか?」

アイリ「……!」

ウルル「うーたん、本気で言ってる?」

ウタ「あっ、存在は知ってます」

クマ「私も……聞いたことない、と思う」

レイレイ「ジェネレーションギャップってやつかな」

アイリ「そうかもねぇ」

ムスブ「いや、先輩と私達1学年しか違わないんで」
5 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:46:33.84 ID:loDylRht0
レイレイ「冗談冗談。アイリの家にカセットもプレイヤーもあったから」

ウルル「へー、アイリさんの家は物持ちいいんすね。オムスビは?」

オムスビ「うちの倉庫にたくさんある」

レイレイ「さすがだね」

ウタ「えっと、カセットテープって音が良くないんですか?」

アイリ「ううん。アナログだからCDよりも良いよ」

ムスブ「まぁ、プレイヤーとかにもよりますけど」

レイレイ「問題は劣化だね。名前の通り、カセットテープは磁気テープで録音して再生する」

ムスブ「長くて薄いテープをくるくる回転させて、音を読み取って再生してく」

ウルル「うーたん、わかる?これMetubeで出てきた動画ー」

ウタ「あー、なるほど、見たことある気がする。くるくる回る音と、あっ、擦れる音とかもしてる……」

アイリ「聞けば聞くほど、音が悪くなっちゃうんだよねぇ」

レイレイ「それこそ、擦り切れるほど聞く、の由来だから」

クマ「それは、私も使うかも……」

ムスブ「だから、貴重品扱いで聴かせてもらえない」

アイリ「私は勝手に聴いてたけどねー。ウタちゃん、わかった?」

ウタ「はい。カセットテープはわかりました。でも、何の話してたんでしょうか……?」

ムスブ「アンタが言い始めたんでしょうが」

ウタ「今は聞こえてないし、気のせい、なはず」

ムスブ「アンタがそれならいいけど。次からはちゃんと集中しなさいよ」

ウタ「うん、ムスブちゃん」

レイレイ「あ、そういえばもうすぐ夏休みだけど……」
6 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:47:16.88 ID:loDylRht0


夏休みのとある朝

ウタの部屋

私はカレンダーを確認する。

なぜなら、不安だから。

今日は……、仏滅だ。

色々気をつけないと、忘れものとか。

そうだ、家のカギ。

部活が終わる時間、お母さん仕事だから持っていかないと。

忘れないように、落とさないように、カバンの奥に入れて……よし。

行こう、部活。
7 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:48:07.44 ID:loDylRht0
3 #16

夏休みのとある夕方

手鞠沢高校 アカペラ部室

ウタ「あ、あれ……どこにいったかな……」

クマ「どうしたの、ウタちゃん」

ウタ「家のカギがなくて……あっ、あった。カバンのこんなところに」

クマ「カギ、探してたの」

ウタ「うん。今日は仏滅だから、落とさないように変なところにしまったから見つからなくて」

クマ「あって、よかった」

ウタ「クマちゃん、途中まで一緒に帰ろう」

クマ「うん」

レイレイ「また明日」

ウタ「はい、また明日」
8 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:48:57.99 ID:loDylRht0
4 #17

夏休みのとある日

手鞠沢高校 アカペラ部室

ウタ「ん……部長……?」

アイリ「はーい、今日の練習はお外でやりますよ〜。出る準備して〜」

ムスブ「ん?」

ウタ「……あ」

ウルル「えー、こんな暑いのになんでまた」

ウタ「だっ、だめです!人前で歌うには心の準備が!せめて前日に通告を!」

クマ「え……そうなんです、か」

ウルル「アイリさん、まだ何も言ってなくね?」

ウタ「え、あ、確かに」

アイリ「ウタちゃん、せいかーい」

レイレイ「ウタは察しがいいね」

ウタ「……あれ?」

アイリ「人前で歌うのに慣れるように、路上パフォーマンス、やりましょ〜」

ウタ「あの、もしかして、駅前とか言わないですよ……ね?」

アイリ「お〜、ウタちゃん、だいせいかーい。ほら、これ」

クマ「えっと、道路、使用許可書……」

ウタ「場所は東手鞠沢駅……駅」

ムスブ「おー、いいですね」

レイレイ「機材出しておくね」

アイリ「おねがーい」

ウタ「……あれ?」
9 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:50:46.92 ID:loDylRht0
5 #17

夏休みのとある日

街中 駅前

ウタ「……」

アイリ「みんな準備おっけー?」

ムスブ「もちろん」

ウルル「良いッスよ〜」

ウタ「だっ……」

アイリ「だ?」

ウタ「ダメそうかと思ったけど、意外と落ち着いてます。歌えます、たぶん」

ムスブ「あんだけ、心の準備が1日だか1週間だか必要だとか言って騒いでたのに」

ウタ「なんか自分が落ち着いてることに私が驚いてる。こんなに人がいるところで、歌うのに」

ムスブ「なんか不気味だけど、まぁいい。無理にでも歌わせるつもりだったから」

ウタ「不気味よばわりされたし、とんでもないこと宣言された」

ムスブ「よし。クマ、いける?」

クマ「……」

ムスブ「クマ?」

クマ「無理無理無理無理……」

ムスブ「部長、少し時間取りましょう」

アイリ「うーん、そうしよっか」

ウルル「まったく、オムスビの態度の差はどこから生まれるのかねぇ」

ウタ「……あの」

レイレイ「どうしたの、ウタ」

ウタ「私も少し時間ください。クマちゃんが立ち上がるまででいいので」

ムスブ「いいけど、また何か心配事でも見つけてないでしょうね」

ウタ「なんか、待った方がきっといい気がするから」

ムスブ「はぁ?」
10 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:52:01.59 ID:loDylRht0
6 #17

夏休みのとある日

街中 駅前

ムスブ「ウタ」

ウタ「なに、ムスブちゃん?」

ムスブ「どうしたの、本当に?もう30分座って黙ったままで。落ち着きすぎて気持ち悪いんだけど」

ウタ「さっきも言われた」

ムスブ「クマと仲いいんだから、声でもかけてあげないの?」

ウタ「クマちゃんは大丈夫」

ムスブ「私だって、それは知ってる。それでも、助けてあげた方がいい時はあるでしょ」

クマ「〜〜〜♪」

ムスブ「あっ」

ウタ「ほら」

ムスブ「……ウタ、行くわよ」

ウタ「うん、ムスブちゃん」
11 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:52:48.39 ID:loDylRht0
7 #18

夏休みのとある日

街中 駅前

ムスブ「その代わり、本番までもう一段ギアをあげて練習すること。わかった?」

ウタ「うん」

ムスブ「レイレイ先輩、帰りましょう」

レイレイ「はいはい。みんな帰るよ〜」

ウタ「……」

ウタ「あの、レイレイ先輩」

レイレイ「どうしたの?」

ウタ「荷物をお持ちします」

レイレイ「そこまで先輩扱いはされたくないかな。ウタよりも力持ちだから、気にしないで」

ウタ「その代わりに、お話したくて」

レイレイ「それはずっとサービスで見返りはいらない。歩きながらでいい?」

ウタ「はい。もうすでに歩き始めたムスブちゃんに置いていかれてるので」

レイレイ「ムスブは迷いがないなぁ」

ウタ「あの、その、レイレイ先輩」

レイレイ「また悩み事?何でも聞くよ」

ウタ「私のこと、キライになりましたか」

レイレイ「……え?」
12 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:54:18.16 ID:loDylRht0
ウタ「いいえ、才色兼備のレイレイ先輩からすれば、私なんか虫けら同然の存在で、そんな殿上人が自分を好きになってくれてると思う方がおこがましいのはわかってます」

レイレイ「私はウタのことは好きだよ。ネガティブで扱いづらいところもあるけど、誰よりも周りを見ているウタとやるアカペラは心地良い。前にも言ったかな」

ウタ「はい、前に相談した時に」

レイレイ「まっすぐに歌うことが好きだと言えるウタは素敵だよ。キライになんかならない、むしろ好きなところをどんどん見つけてる途中だよ」

ウタ「でも、なんか、遠い気がして」

レイレイ「遠い?」

ウタ「もっとレイレイ先輩の歌声は近くで支えてくれるような気がしてたんです。前にここで歌った時はもっと。さっきはなんか、上手じゃないのはわかってるんです。でも、もっと上手く、上手くじゃなくて、楽しく歌えたはずな気がして」

レイレイ「えっと……」

ウタ「ごめんなさい。変なこと言って」

レイレイ「変なことは、いつも言ってるかな」

ウタ「ううぅ、重ね重ねすみません」

レイレイ「ウタ」

ウタ「はい」

レイレイ「その理由は私の方だと思う。ウタに寄り添えきれてないんだ」

ウタ「いえ、そんなことは」

レイレイ「今度、ふたりでゆっくり話そうか。ウタのこと、もっと知れたら、きっと変わると思う」

ウタ「……はい、そんな気がします。あっ、部長がレイレイ先輩を呼んでます」

レイレイ「はいはい、ただいま。ウタ、約束覚えておいて」

ウタ「はい、きっと」

ウタ「……」

ウタ「なんでだろう……何かやり忘れたことがある気がする」
13 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:55:02.81 ID:loDylRht0
8 #19

夏休みのとある日

手鞠沢高校 アカペラ部室

アイリ「じゃあ明日の本番に向けての意気込みを〜……」

ウタ「あっ」

アイリ「代表して〜……」

部長と目が合ってる。けど、指名されない気がする。

アイリ「ウタちゃん!と見せかけてムスブちゃんどうぞ!」

ムスブ「私?」

ウタ「ほっ……」

ウルル「うーたんの心臓は守られた」

ムスブ「えーと。そうだな……私が言いたいのは……」

ムスブちゃんは、本気でやりたいと言う。

ムスブ「本気でやりましょう」

上手く行かなかったときに。

本気じゃなかったって言い訳は、失礼な気がするから。

ウルル「……ぉぉぅ」

レイレイ「……」

ムスブ「ただの学校行事ですし、なにかのコンテストでもないし、勝敗がつくものでも点数がつくものでもないですけど」

あの音がする。

ムスブ「人前に立つ以上は、『ザザザ』。本気を出したと胸を張るのが」

ウタ「……自分と、自分の大切なものに対しての誠実さ」

ムスブ「最低限の誠実さだと思います。ウタ、何か言った?」

ウタ「ううん、なんにも」

私は知ってる。私は覚えてる。ムスブちゃんが何を言うかを。

ムスブ「どんなことだって、『ザザザ』、が必要だってわかってる?」

ムスブちゃんの、良いところを。

ムスブ「面白いですね。他の『ザザザ』、『ザザザ』、じゃないですか」

何度でもムスブちゃんは同じことを言うから。

何回でもこの時に。だから、忘れない。

どんなにテープが擦り切れても、聞こえてくる真っすぐで強い音色。

ウタ「わかった……」
14 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:57:36.77 ID:loDylRht0
この世界は、巻き戻ってる。

何度も何度も、繰り返してる。

何度も何度も巻き戻して、傷ついてる。

するべきだった大切なことをしないで、何度も何度も。

ムスブちゃんはきっといつだって、1回目だ。

それに比べて、私は。

本気だったって、言えるのかな。

繰り返せるから、どこかで本気じゃなかったかもしれない。

そう思うと、恥ずかしくて。

ザザザという音が消えて。

ウタ「えっ……」

意識が真っ暗闇に落ちていった。

------------ -------
15 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:58:30.10 ID:loDylRht0
9 #9

街中 カフェ

ウタ「はっ……」

クマ「小牧さん……?」

ウタ「えっと」

クマ「急にキョロキョロして……誰かいた……?」

背伸びしたオシャレなカフェ。クマちゃんとふたりきり。小牧さんと呼ばれた。

ウタ「さっき、部室に行ったよね」

クマ「え……そうだけど」

私の記憶だとさっきまでは夏休みの登校日前日だったのに、今はクマちゃんとはじめてのお茶をしている。

ムスブちゃんの言葉を覚えてる。

『自分と、自分の大切なものに対しての誠実さ』

私は悲しいできごとをずっと覚えておけるけど、本当はこういうことを覚えていたい。

大切なクマちゃんとの時間だから、時間が巻き戻るのは何故かとか考えるのはやめておいて。

大切なもののために、動いてみる。

ウタ「クマちゃん、もう注文した?」

クマ「ううん……まだ決まってない」

ウタ「クマちゃん。無理してオシャレなカフェにきて緊張してて、いつも周りの目を気にしてる私が言うのも変なんだけど、その、飲みたいものを飲もうよ」

クマ「……」

ウタ「迷ってるの、目立たない普通の注文にするかどうか、だよね」

クマ「……そう。なんで、わかるの」

ウタ「それは、えっと、そう!ネガティブ仲間だから」

クマ「わかった……じゃあ、これにしようかな」

ウタ「うん、いいと思う。私はこっちにする」
16 : ◆ty.IaxZULXr/ [saga]:2023/12/05(火) 19:59:10.40 ID:loDylRht0
10 #14

手鞠沢高校 アカペラ部室

私は繰り返した記憶をもっている。

すごい有利、いわゆるボーナスモード。

でも、問題があって。

私は根っからのチキンなのだ。

違うことが起こるのが怖くて、前の記憶と同じように過ごしてしまう。

前の記憶が、正しい道だったとも限らないのに。

自分の行動によって何かが大きく変わってしまうのが怖い。

同じように過ごしても、まったく同じことは起きないのに。

たとえば、今日の練習とか。

レイレイ「おつかれさま。どう、初めてコーラスと合わせてみた感想は」

クマ「む、難しいです……」

自分は何度目かだから上手くできると思ってた。でも、違う。

ムスブ「……ふーーー」

ウタ「あの、ムスブちゃん……」

ムスブ「なに」

ウタ「うっ、ごめんなさい」

ムスブ「まだ何も言ってない」

ウタ「今日の練習……その……」

ムスブ「ウタは悪くなかった。ものすごく良いわけじゃないけど」

ウタ「ごめんなさっ……え、褒められた?」

ムスブ「でも」

アイリ「バラッバラだったよねぇ〜」

ウタ「そうですよね……うまくできなかった」

うまくいかないように歌うつもりだったのに、前と同じにできなかった。

アイリ「ウタちゃんはボイパとベースがはじめて入ったのに、よく聴けて歌えてました」

ムスブ「そこは悪くない」

アイリ「ウタちゃんのリードは周りと調和するリード、もっともっと聴いて綺麗なミルフィーユになろうね〜」

ウタ「は、はい……」

似たようで違う反省会が続く。

声だけで表現するから、同じものにはならないのがアカペラ。

きっと同じ時間を過ごしていないから、変わってしまったアカペラ。

本当に、上手く歌わないようにするのが正解だったのかな。

記憶の中のムスブちゃんの声がする。

『本気でやりましょう』

やっぱり、がんばってみよう。

登校日の本番がもっと上手く行くように。

ウタ「あれ……」

登校日がどうなるか、知らない?
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/12/05(火) 19:59:55.61 ID:9EHhZq9PO
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