デジタルモンスター研究報告会 season2 エピローグ

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250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:38:00.98 ID:MxX5DUEy0

日頃から戦ってるスティングモンに戦闘嫌いなバブンガモンが勝つとは
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 00:38:10.22 ID:LgJcaQF1o

グサグサ負けてたか
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/28(水) 09:41:30.91 ID:qmINGn2H0

やはり好きなリアリティライン
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 22:26:29.29 ID:JKeF4keEo
こんな強いバブンガモンのデジタマも欲しいな
254 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 22:34:38.89 ID:TNwSBUqw0
スティングモンが飛んできた方を見ると…

『フゥッ…フゥゥッ…!』

岩のような甲殻の隙間に、いくつもの刺し傷があるバブンガモンが立っていた。

す、スティングモン!負けたのか!?
ボロボロだぞ!大丈夫か!?

『グサグサと呼べと…言ったはずだ。私一人ならば、この結果は敗北だが…。お前達がいる。よって…私の、勝利だ』
どういうこと!?
スティングモンがそう言うと、バブンガモンは…

『オッ…ウグォォ…!』
がくっと膝をついた。
『シ、シビレル…ウゴケン…!』

こ、これは…!?
バブンガモンの動きが止まった!

『ぜぇ、ぜぇ…。私の針には、しびれさせる毒がある。信徒には、長く効かないが…』
スコピオモンから受け継いだ麻痺毒か!

『オマエ、タチ… シスタモンヲ、ドウシタ…』

…逃げられたよ。
ユニモンと一緒に飛び去って行った。

『…ソウカ。オレノヤクメ、ハタシタ。コロスナラ、コロセ』
バブンガモンは体の力を緩め…
地面に尻をついて座り込んだ。

スティングモンに殴り勝つほど強かったのか、バブンガモンは。
だが、体が麻痺しているのなら、仕留める方法はいくらでもある。
オタマモン(赤)で顔面に火炎放射を放ち、甲殻の隙間をシュリモンの手裏剣で突き刺す。
そうすれば確実に倒せる。

ど、どうする。

私がそう言うと、メガが口を開いた。
「どうするも何もないよ、ケン。とどめを刺さない理由がない」
メガ…。
「バブンガモン。君は僕たちを憎んでいるだろう、恨んでいるだろう」

『…ニクイ…。カゾクヲ、ミナゴロシニシタ、オマエタチガ。ニクイ、キライ、タオシタイ…』
バブンガモンは震えるような声で言う。

「この通りだよ、ケン。ここで見逃せば、きっとバブンガモンはAAAと共に僕らへ復讐をしようとするだろう。トドメを刺さないで放っておくメリットが何もない」
…。
「ただでさえシスタモンに逃げられたんだ。バブンガモンにまで逃げられたら不利になるだけだ。そうでしょ、ケン。とどめを刺そう」
255 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 22:45:47.63 ID:TNwSBUqw0
その時。
「もう…いいだろ…」
カリアゲ…?
「もういいだろ!!!こんなこと!!!」
カリアゲが声を張り上げた。
「バブンガモン!!お前はAAA…じゃない、天使を!信奉していなかった!あいつに群れを乗っ取られて嫌だったんだろ!従いたくないんだろ!?」

『…テンシハ、ナカヨシダッタオレノカゾクタチニ、イジメヲツクッタ。アラソワセタ。ミンナ、アンマリ ナカヨシジャ、ナクナッタ』

「…なあ、みんな。シスタモンにはもう逃げられちまった…。もうバブンガモンを倒す意味なんてないだろ!?」

「…生かすメリットが何かあるの?カリアゲ」

「メリットとかそういうことじゃねえだろ!メガ!もうこんなの十分だろ!生き残ったバブンガモンまで殺して何になるんだよ!」

「ここで仕留めるメリットと、見逃すデメリットはさっき言ったはずだよ、メガ」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 22:47:57.89 ID:mF/gNQpc0
やはり何か言うかカリアゲ
257 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 23:05:07.16 ID:TNwSBUqw0

「…バブンガモン。家族を殺されてつらいだろ」

『アタリマエノ、コト、キクナ…ツラスギルニ、キマッテル』

「だけど今まで、オサオサやグサグサの村の住人達も、信徒デジモン達に殺されてきたんだ。おんなじことを、お前の家族たちもやってたんだよ、バブンガモン」

『…ウ、ウゥ…!』

「バブンガモン、お前はどうなんだ。グサグサを殺したくないんだろ?」

『…ウン…』

「グサグサ、お前だってバブンガモンを殺したくないだろ!」

『…降りかかる火の粉は、払わなくてはならない』

「でもお前を殺したくないって言ってるぞ」

『…ならば殺す理由はないが…』

「…ならもういいじゃねえか、バブンガモン…」

『デモ、オレハ、ダイジナカゾクノ、カタキ、トラナキャ、イケナイ…。ニクイ、オマエタチガ…』

「っ…それは…」

その時。
リーダーがマイクをONにした。
「バブンガモン。お前の家族は生きている」

『エ…』

「前に我々は天使の軍と戦った。その時、天使は信徒を、お前の家族たちを、ある島へ置き去りにしたんだ」

…そういえば、そうだった。
リーダーはドーガモンの力でAAAのデジドローンの偽物を作り、成長期蛮族たちとケンタルモンを騙して、離島へ島流しにしたんだ。
あいつら今どうなってるんだろ。

「もしも、ここですべての戦いを終わりにして…、二度と天使と組まないと誓えるのなら、そいつらと合わせてやる。残った家族と暮らせばいい」

『…イキノコリ、イルノカ』

「そうだ。だが、我々に復讐するというのなら…お前を仕留め、島流しになった信徒達も見捨てる。どうする」

『オ、オレハ、オレハ…!』

バブンガモンは混乱している。

カリアゲがマイクを握った。
「バブンガモン、お前は家族を護りたいんだろ…。戦いたいわけじゃないんだろ?」

『…ウ、ウウゥ、ゥウウ〜〜…!タタカイタク、ナイ…!タタカイタク、ナカッタンダ…!』
バブンガモンは、ぽろぽろと涙を流した。
258 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 23:12:03.37 ID:TNwSBUqw0
パルタス氏が我々に通信してきた。
『何をやっている、リーダー』

「…こいつらにもう戦意がないなら、殺す理由はない」

『だが生かす理由もない!たとえバブンガモンに戦意が無くとも!せっかく島流しにした蛮族共の集団が生き残れば、AAAは必ずそいつらを洗脳してまた手駒にする!』

「そうならないようにバブンガモンが御すればいいだろう」

『できるわけがなかろう!こんな猿にシビリアンコントロールなど!バブンガモンがどう言おうが、あの狡猾な男はまたバブンガモンの家族を乗っ取るぞ!』

「…っ」

『恨みの滴はたった一滴残っただけでもヘドロを生み、我々に復讐をしに来る。唯一の回避策は、すべてを根絶してしまうことだ!』
パルタス氏がそう言ったとき…
クルエが口を開いた。

「いや、ひとつだけあるよ。バブンガモンの家族が、AAAに操られずに暮らしていける方法」

『なんだ?そんなものがあるわけ…』

「グサグサやディノヒューモンの村の一員になればいいじゃん」

『な…!?』
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:13:01.46 ID:aYeBUu/Bo
クルエの十八番 奇策
260 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/02/29(木) 23:13:01.52 ID:FgOQ77lFO
一旦ここまで
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:13:14.17 ID:aYeBUu/Bo
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:13:48.64 ID:mF/gNQpc0

急展開なところで引き
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:17:27.53 ID:medEWl0l0

ディノヒューモン一族は元々敵対関係だった昆虫デジモンとも同じ村の一員になったし
バブンガモンと宴会したことあるし受け入れる下地はあるのか
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 23:27:15.46 ID:imD6Vg3s0
乙でした
ティンカーモンを糸口に説得するかと思ったらびっくりだな
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/01(金) 00:45:28.74 ID:9tHAwMw00

あの島をここで拾ってくるんだ……
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/01(金) 19:36:15.68 ID:srcqN3Eto
意思疎通出来ない獣なら熊みたいな扱い出来るけど意思疎通出来ちゃうとなると難しいな
267 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 19:31:29.10 ID:pGg+9bOKO
「バブンガモンだけで類人猿デジモンの群れを率いるなら、AAAに隙を狙われてまた支配されるかもしれませんけども…、でも、スティングモンやディノヒューモンみたいなしっかり者もいれば、きっと大丈夫じゃないですか?」

クルエの提案を聞いて、パルタス氏が答えた。
『クルエといったか。貴様の提案は、危険のない研究室で安全にくつろげる余所者だから言える絵空事だ。視点がマクロなままで理想だけを言い並べている。ミクロのレベルに視点が向いていない!』

「そうですか?」

『そうだ!ディノヒューモン村の民からすれば、蛮族共は兄弟や子を殺傷した集団だ。個人単位で晴れることのない恨みを抱いているに決まっている!そんな状況で和解できるのなんてマンガの中だけだ!』

「でも、バブンガモンとスティングモンは和解したがってるみたいですよ。きっと大丈夫ですよ」

『きっとだと?たとえ五分五分で和解に成功したとて、我々には何らメリットはない。だが和解に失敗すれば、せっかく滅ぼしかけたAAAの手駒が補充されかねない。得がなく損しかない賭けだ!そんなものなどやる意味がない!』

「うぅ…」

『バカな夢想などせず現実を見ろ。遊びではないんだ。失敗したときの被害は我々だけでなく守るべき市民に及ぶのだぞ。市民の安全を第一にするのが貴様らセキュリティチームではないのか!』
268 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 19:52:02.76 ID:pGg+9bOKO
得なら…あります!
和解するメリットが!我々にも!

『なに…?』

今回、蛮族デジモンが集会をした直後にシューティングスターモンを撃ち込みましたが…
本当に、デジタルワールドの類人猿デジモンを、バブンガモンとシスタモン以外みな滅ぼせたとお思いですか。

『…全てではないかもしれないな』

そうです。
蛮族デジモンの集落には、被差別階級の身分のデジモン達がいた。

差別され虐げられた類人猿デジモンが、すべて虐げらながら集落に留まっていたとは考えにくい。
フーガモンのいる集落から離れたところに逃げ延び、AAAの支配から逃れた類人猿デジモンもいるはずです。

『…そうだな』

たとえ今一時、フーガモン集落を壊滅させたとしても。
AAAはそうしてフーガモン集落から散らばった類人猿デジモンを集めて、手駒を補充する可能性があります。

『ならばそいつらも滅ぼせばいいだろう!ガッチモンで探して、フレイドラモンで焼き尽くせばできるはずだ!』

暴力は恐怖を生みます。
溺れる者は藁をも掴む。
類人猿デジモンを探して虱潰しにしようとするなら、彼らは我々を恐れ、自らAAAに助けを求めるようになるのではないでしょうか。

そうすれば、AAAは生き残りの類人猿デジモンを今より容易に味方につけられるはずです。

『ならばどうするというのだ』

ガッチモンで類人猿デジモンを探すのは同じです。
しかし、生き残りの類人猿デジモンたちには、ジェノサイドの使者としてフレイドラモンを差し向けるのではなく。
対話の使者としてバブンガモンに出向いてもらいます。

そうして彼らをディノヒューモン農園の労働力として囲い込めれば、AAAの手駒が増えるのを防げます。

『…確実性がない。メリット足りえないな。やはり類人猿デジモンは滅ぼしてしまった方が安全だな』
269 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 20:03:05.52 ID:pGg+9bOKO
メガが口を開く。
「パルタスさん、覚えてる?僕たちの社会には、デジモンを全て滅ぼしてしまえと言う人達がたくさんいる。クラッカーデジモンだけでなく、セキュリティデジモンや野生デジモンまでも」

『ふむ…そうだったなメガ』

「どう思う?パルタスさん」

『下らん。セキュリティデジモンはクラッカーデジモンだけでなく、一般のマルウェアの侵入を防ぐこともできる。それを滅ぼせなどと、まるで理解が足りていない』

「今のパルタスさんは、それと同じことを言ってますよ。あなたは、そして今までの僕は、無理解からくる恐怖に囚われて、怖がっていただけだ!」

『なんだと…』

メガ…!

「…どうして僕はこんな簡単なことに気付けなかったんだろう。僕は、デジタルアソートは…、元々デジモンの平和利用を目指し、人とデジモンが共存できる社会をつくっていこうとしていたのに」

『…怖がって何が悪い。市民がクラッカーの魔の手に脅かされる可能性を恐れない者に国防が務まるとでも?』
270 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 20:05:37.68 ID:pGg+9bOKO
「もしも、バブンガモンとスティングモンが無事に共生できたら…、その映像を、僕達デジタルアソートのプロモーションとして利用させてもらうよ。デジタルモンスターは分かり会える存在だとアピールするためにね」

『…』

「世の中が平和で便利になることは!ジャスティファイアの望みじゃないのか!パルタス!」

『っ…』
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:05:43.88 ID:5+eEa8w2o
目につくデジモンをみんな潰していくのも現実的ではないからなあ
272 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/03(日) 20:06:06.49 ID:pGg+9bOKO
つづく
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:07:01.98 ID:Nh4Yq9REo

デジモンで利益得るのが本来の目的だったからね
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:08:06.95 ID:ND5SOe3l0
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:13:13.70 ID:FfCtJ/DD0

うーんどう転ぶかわからない
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:18:57.87 ID:eyIuU/Gp0
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 20:58:38.54 ID:swYQQ1tmo
危険なデジモンみんな滅ぼそうとすると行き着く先は倉田か
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 22:00:08.13 ID:qYFcEzE40
スポンサーさんならバブンガモンからも金儲けのインスピレーションを得られるのだろうか
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/12(火) 22:15:57.52 ID:eMzAxSO80
島流し蛮族どもも懐柔してそいつらのデータやデジタマ大きな利益になるんだろうか
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/14(木) 20:04:48.65 ID:Zvw3uBqmO
まだかな
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/15(金) 23:15:04.36 ID:1NVVoZjXo
展開に困ってるのだろうか
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 23:08:56.14 ID:AssGmYTco
最近来ないな
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 23:57:48.11 ID:cB5Mc2ix0
更新ペース遅くなるって言われてたのにここまでまあまあ早かったからこれが正常かなあと思う
自分も気になるけど待つよ
284 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/21(木) 22:59:32.61 ID:6awLkqYo0
『…我々ジャスティファイアは功利主義だ。貴様ら研究チーム共が何を思い煩おうが知ったことではない。市民にとって得かどうか。それですべてを決める』

パ、パルタスさん…。それはつまり…。

『おいバブンガモン!聞こえるか!私はパルタスだ!』

『ナ、ナンダ』

『私は貴様たちに情けなどかけん!貴様らが我々の役に立つかどうか、それですべてを決める!役に立たないならばこのまま殺してやる!』

『…ドウシロト、イウンダ』

『貴様ら蛮族共は、天使を名乗る犯罪者、AAAに操られていた!だがその一味は死んだ!お前らはどうする、AAAの部下になっていいように使われるのか!?』

『バ、バンゾク?ハンザイシャ?シラナイコトバダ』

…蛮族は信徒と同じ意味。犯罪者は、盗んだり殺したりする悪い奴らって意味だよ。

『オ、オレハ、ソンナコト、シタクナイ…シタクナインダ』

『ならば!罪滅ぼしをしろ!禊だ!これから貴様と生き残りたちは、我々セキュリティ側の軍門に下れ!そしてともにAAAが差し向けてくる刺客と戦うのだ!』

『ミソギ?グンモンニクダレ?サシムケル?シカク?ワ、ワカラナイ、コトバガ』

パルタスさん、あまり難しい言葉を使わないで…。

『難しくないだろう!AAAのヤツ、言語教育がなっとらんな。我々のデジモン達はこのくらい難なく理解できるぞ』

…パルタスさんに代わって私が言うよ、バブンガモン。
つまり、我々と共に天使の部下たちと戦ってくれるなら、天使が置き去りにした生き残りの信徒デジモンを解放できるよ、って言ったんだ。

『ソレハ… シスタモンヤ、ユニモント、タタカエトイウノカ』

あ…。
そ、そうなっちゃいますよ、パルタスさん。

『そうだ。…そうだと言っている!』

『デ、デキナイ、ソンナコト!シスタモン、キンカクモンガノコシタ コドモ! タタカエナイ!』

『ならば十数体の貴様の家族たちを見殺しにするのか!』

『ウゥ…!』

リーダーは、パルタス氏の問いかけを聞いて青ざめている。
「パルタス氏…トロッコ問題を仕掛けてきたか。シスタモンを見捨てて十数体のシャーマモンたちをとるか。十数体のシャーマモンたちを見捨ててシスタモンをとるか…!」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:01:55.31 ID:kdeJO+Jio
あの星形軍団がそんな難しい言葉理解できるの!?
286 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/21(木) 23:26:45.33 ID:6awLkqYo0
短いけど今回はここまで
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:28:15.04 ID:yALvUfZwo
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:31:11.02 ID:s5ziRUPq0
つ、続きが来てる!
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/21(木) 23:40:15.89 ID:kdeJO+Jio

ハーメルンで投下された方はここではなかった話かな
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/22(金) 11:12:15.23 ID:xt0xRRWN0
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/26(火) 18:56:06.71 ID:VDdO2Ub2o
また前みたいに年単位でお休みになるかな?
292 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 22:46:12.09 ID:ZsDi2GLI0
我々がそう話していると…
スティングモンがよろめきながらやってきた。

『貴様達、さっきから勝手なことを好き勝手に言いやがって…』

グサグサ、無事だったのか。

『バブンガモンとその家族を何に利用するだのと…貴様たちが、今決めることではない。天使の味方につかなければいいだけの話だろう』

それはそうだけど…

『バブンガモン。家族とともに、私の農園に来い。私の仲間たちは信徒デジモンをとても嫌っているが…、しっかり働けば受け入れるだろう』

『ウケイレテ…クレルノカ?』

『…私やブンブンも、最初はオサオサにとって敵だった。だがオサオサは、やがて我々を受け入れた。和解し、協力しあえた』

ブンブン…モスモンか。

『信徒デジモン達が働かずに盗み食いでもしようものなら容赦なく叩き伏せる。それでよければ、こちらに来い』

『…イイノカ、グサグサ』

『無意味な質問だ』

『…ヤッパリ、オレハ…オマエニデアエテ、ヨカッタ』

『同感だ』

どうやら話はまとまったようだ。
パルタス氏が慌てた声で通話してくる。

『お、おい!スティングモン!勝手に話を終わらせるんじゃない!バブンガモン達には、私が対クラッカー用のデジモンとして従軍するように言ってる最中だぞ!』

もういいじゃないですか。
土台無理な話です。家族同士で殺しあえだなんて。

『く…。スティングモン!バブンガモン共がまたAAAに加担したら、貴様らの農園も容赦なく叩きつぶすからな!』

『私のことはグサグサと呼べと言っている。…信徒共がまた天使に加担したら、私が処刑するから安心しろ』
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 22:46:56.20 ID:nH3seRuqo
おひさしぶり
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:03:37.32 ID:L1lim30Ao
中々日本語上手くなったグサグサ
295 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:07:29.26 ID:ZsDi2GLI0
そうして戦いは終わった。
かつてのAAAとの戦いの最中にリーダーが島流しにしたシャーマモンやコエモンたちのいる孤島に、デジタルゲートを繋げてみた。
今どうなってるのかな…

孤島のシャーマモンやコエモン達は、まだ生き残っている個体もいたが、既に死んでいる個体や、危篤状態の個体もいた。

海に入って魚デジモンを捕えながら生き延びているようだが…
餌と飲料水が明らかに不足しているのは見て分かる。

海水を飲みすぎて体調を崩している個体が多いようだ。

なんだか、今にも共食いを始めそうな雰囲気だ。

…ケンタルモンの姿は見えないですね、リーダー。
「ケンタルモンは別の孤島に送った」

そうなんですね。
それじゃバブンガモン、この水と食料を持ってゲートを潜って。
スティングモンとディノヒューモンから預かった野菜だ。

『ワカッタ』

バブンガモンは、飲料水と食料を持って、孤島に出た。

『カゾクタチ!!天使ニウラギラレタ、カゾクタチ!タスケニキタゾ!!!』

『バ、バブンガモン!?ナンデ、ココニ!』
シャーマモンが驚いている。

『オマエタチハ、天使ニミステラレテ、オキザリニサレタ。コノママ見殺シニサレルトコロダッタ。ダガ、オサオサ農園ガ、オマエタチヲタスケタンダ』

『オサオサ農園…?』

『天使ガ「ブルースキン」ト呼ビ、オマエタチノ敵ダトフキコンダノガ、オサオサ農園ダ。オマエタチハダマサレテ戦ワサレテイタ!』

『ウ、ウソダ、ソンナ…!』

『嘘ナラナゼ天使ハ助ケニコナイ!』

『オ、オォ、ォオオォ…!』

『エラベ、オマエタチ!コノママ天使ノ言ッタコトヲ信ジツヅケルナラ、コノ島デ天使ヲ待チツヅケロ!ダガ!コレカラブルースキン達ト共ニ暮ラシテ働ク奴ハ、コレヲ食エ!』

だ、大丈夫かな…。
AAAの洗脳は大分強そうだけど。

『オ…』

シャーマモンたちの反応はいかに…!?

『…ォオオーーー!!天使ィーーー!クタバレェーーー!』
『オレタチヲミステタ天使ナンカ知ラネェーー!ブルースキント暮ラス!!』
『飯クレェェーーーー!!』

おお…。
意外なほどあっさりAAAを見限ったぞ。

「まあ、こうなるだろうな」
リーダー…
分かってたんですか?

「フーガモンや幹部たちは本気でAAAを信仰していたかもしれないが…こいつらは違う。周りがAAAを信仰していたからマネしていただけだ」

それじゃあ…
心から信仰してはいなかったと?

「結局、自分たちに飯を食わせてくれる者に従うだけだったんだ」

…そういうことだったんですね。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:14:38.19 ID:uNk+oSuno
ケンタルモンは一応見捨てられたといえば見捨てられたか
297 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:20:27.41 ID:ZsDi2GLI0
シャーマモンやコエモン達は、バブンガモンが差し出した野菜にかぶりついた。
『ウメエエエエエーーーー!!!』
『ヤッパリサイコーニウメエエ!!』

無中で野菜を食べるシャーマモン達を見るバブンガモン。
『コレカラハ、盗ミハダメダゾ。働イテ、一緒ニ野菜ヲツクルンダ』

『バブンガモンサマーーーー!!ブルースキン!!!バンザーーーイ!!!』

…このシャーマモン達も、かつてはバブンガモンを被差別階級として見下していたんだろうに…。
それを許して、家族として救いの手を差し伸べるバブンガモンは、器が大きいな…。




その後。
バブンガモンおよび孤島から救出された類人猿型デジモン達は、スティングモン及びバブンガモンに連れられてディノヒューモン農園にやってきた。

農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達を睨みつけ、殴り掛かろうとしたが…
土下座して謝る類人猿型デジモン達を見て、ひとまず振り上げた拳を下したようだ。

類人猿型デジモン達は当初、農作業に従事するように指示を受けていたが…
いきなり異文化の中に溶け込むのは難しいようだ。

農園のブイモンやカメモンたちは、農作業を楽しみながらやっているが…
類人猿型デジモン達は、この反復作業に飽きて、嫌気がさしてきているようだ。

無理もない。
デジモン達の脳や、そこに根付く本能は、自分の生活に適した特性に特化した進化をする。
狩猟と略奪を生存戦略としてずっと続け、それに特化した脳を獲得した類人猿型デジモン達には、農作業は土台向いていないのだった。

中には、収穫済みの農作物を盗み食いしたシャーマモンもいたが…
その個体には、バブンガモンが鉄拳制裁を下した。

…共生は無理なのかと思われていたが…
しばらくすると、類人猿型デジモン達は、畑を狙ってやってくる害獣デジモン達を狩ったり、あるいは農園の外へ狩りに出るようになった。

草食性になった農園のデジモン達は、類人猿型デジモン達が狩猟によって仕留めたデジモンの肉を食べなかったが…
骨器や革製品などを生活に取り入れることで、今までになかった文化がもたらされたようだ。

そんなわけで…
当初の理想通りとはいかず、苦労しているようだが、それでも共生の道を模索し続けているようだ。
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:21:28.69 ID:uNk+oSuno
土下座って文化あるのか
299 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:27:43.12 ID:ZsDi2GLI0
とりあえず、一件落着したようで何よりですねリーダー。

「ああ。シスタモンたちは取り逃がしたが…それでもAAAから蛮族という戦力は引きはがした。当分大規模な活動はできないだろう」

農園と類人猿型デジモン達の共生の様子は、メガが録画撮影を続けています。
ドキュメンタリー番組に使い、デジタルアソートのプロモーションに使うつもりなんだとか。

「俺も頼りになるチームの仲間を持ったものだな」

そういえば、何か忘れているような気がしますね。

「ん?なんだ?」

なんだっけ…
そう悩んでいると、パルタス氏から通話がかかってきた。

『貴様ら!我々にキウイモン島の蛮族掃討を任せておいて、その結果を聞こうともしないとは何事だ!』

ああ!それだ!
スターモンと…なんだっけ…なんかのデジモンを、キウイモン島の蛮族の掃討に出向いてもらってましたね。
どうなりましたか?

『ふむ。記録映像と共に伝えよう』
300 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/03/31(日) 23:28:12.49 ID:6ptIbc93O
続く
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:28:32.33 ID:uNk+oSuno
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:28:43.21 ID:ytwC00+mo
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:29:18.71 ID:1PUa2QvU0

流石にいけるのか!?って思ってたけどいけるもんなんだなあ
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/31(日) 23:31:52.91 ID:TZsLmsEp0

可能な限り平和への努力は大切だ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/01(月) 00:20:57.57 ID:G03mXO9z0
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/01(月) 11:06:44.03 ID:xVSsZU4no
農園と類人猿デジモン達はどこまで人間社会の利益に使えるか
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/04(木) 21:33:53.10 ID:osBykvP6o
ジオグレイモン誕生の経緯とかこの段階でも気になって見てみたい話いっぱいあるなあ
308 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:01:06.76 ID:qtUdmRv9O
〜時は遡り、シューティングスターモン発射直後… パルタス視点〜

私の名は、コードネーム「パルタス」。
独立行政法人ジャスティファイアの所長だ。

現在はある任務の最中だ。
クラッカーAAAは、その悪質な手口と技術力の高さ、そして保有するデジタルモンスターの戦力の膨大さから、国家危機級の危険犯罪者とみなされた。
これだけ強大な戦力に本拠地を攻められたバイオシミュレーション研究所はよく奴らを撃退できたものだ。

AAAの配下は、デジタルワールドに巣食って増え続けている。
これらを排除しなければ国民達の命にすら危機が及びかねない。
よって国家防衛戦力である我々ジャスティファイアが動くことになった。

AAAの配下のうち蛮族と呼ばれる類人猿型デジモンが、集会をしていると報告を受けた。
そちらにはシューティング
スターモンと、ティンクルスターモン、ピックモンズを差し向けた。
シューティングスターモンの100%の火力を叩き込めば、集落の一つや二つなど造作もなく滅ぼせるだろう。

奴ら類人猿型デジモンは、高い知能と器用な手足を持った優秀なデジモンだ。
そのため、我々はずいぶんと前に、狩りの最中の蛮族デジモン…セピックモンを拉致して捕獲した。

現在そのセピックモンは、我々のサーバーの隔離チェンバーで、両脚と左腕を切断された状態で飼育されている。
強力なデジタマをコンスタントに確保し続けたいのなら、野生デジモンを拉致してこうやって産卵機能と最低限の生存機能を残して飼育し続けるのが1番効率がいい。

そうしてセピックモンから産まれた類人猿型デジモンは、極めて強力な戦力へ育ち…、最終撃滅部隊『天地人』の一角を担うまでに成長している。

その存在はもちろん秘匿している。
国家防衛組織が自らの戦力のすべてを堂々と晒す意味などないからだ。

…余談が過ぎた。
ようは、蛮族デジモンを滅ぼすことのデメリットは皆無ということだ。
せいぜいシューティングスターモンの餌として死骸を回収し、保存食になってもらうとしよう。
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:04:05.86 ID:QE82hXgKo
お久
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:05:24.96 ID:ryEoljEK0
バレたら面倒な法律とか世論云々で身動き取れなくなりそう
311 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:16:48.66 ID:qtUdmRv9O
さて、シューティングスターモンの発射と同時に、我々はもうひとつのミッションに取り掛かった。
キウイモン島に巣食う蛮族デジモンの掃討である。

元々、キウイモン島に蛮族デジモンがいるという情報は、クロッソ・エレクトロニクスのクロッソ氏(バイオシミュレーション研究所のスポンサー)から聞いた情報だ。

作戦に前立って偵察のために、キウイモン島のアクセスポイントへデジドローンを送り込んだことがあったが…
デジドローンの視界は完全に闇に覆われていた。

バイオシミュレーション研究所と同様、AAAもまたアクセスポイントにセキュリティを施していたのだ。
おそらく青銅製の箱でアクセスポイントを密封し、合言葉を言うと待機しているシャーマモンあたりが箱を開けるという簡素な仕組みだろう。

これはごく単純だが、極めて有効なセキュリティ手段だ。
なぜならデジドローンが出てこれる最小限の空間を確保する小さな箱の中だ。それを破壊できるデジモンをその中に繰り出せないのである。
正直、我々のデジモンではこれを突破できない。
箱の中に出せるデジモンはせいぜいピックモン数体程度。その破壊力では青銅の箱は壊せない。

とにかく戦闘力を高めるためのスパルタトレーニングで、DPを極限まで高めるという我々の方針が逆手に取られたというわけだ。

もっとも、この路線が間違っているとはつゆ程も思わない。
なぜならデジモンによるサイバー犯罪は、とどのつまり暴力で反抗デジモンを排除してしまえば解決するからだ。
故にどれだけ膨大な維持コストがかかろうと、最上位の暴力装置となる最強デジモンを保有してさえいれば、最終的には解決できるということだ。
…そのコストを捻出できる我々だからこそ取れる手といえる。

さて…このセキュリティを突破するにはどうすればいいか?
312 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:24:38.26 ID:qtUdmRv9O
それを解決する手段は、バイオシミュレーション研究所が提供してくれた。
つくづく心強い味方だ。

私はデジドローンを使い…
ある小さな物体を青銅の箱の中へ設置した。
そして一旦、デジドローンを回収した。

1分後に、再びデジドローンをアクセスポイントに送り込むと…
箱は見事に破壊されていた。
シャーマモンやコエモン達が、せわしなく喚き立てている。

簡単なことだ。
クラフトモンの進化前の姿であるコマンドラモンは、爆弾の備蓄を生産していた。
クラフトモンに進化した今でも、その備蓄が残っている。

その限りある備蓄のひとつを譲り受けて、箱の中へ放り込んだのだ。

やはりコマンドラモンは優秀なデジモンだ。
飼育二体目にしてこれを育て上げたバイオシミュレーション研究所には敬意を表する。

さて…これでデジモンを送り込み放題となった。
来い、スターモン!ジオグレイモン!


彼らを呼ぶと、アクセスポイントにゲートが開き…
二体のデジモンが現れた。

ボクシンググローブを装着した星型のデジモンはスターモン。
そして、親のグレイモンと叔父のグラウモンの特徴を併せ持った、大きな恐竜型デジモンであるジオグレイモンだ。

あの言うことをまるで聞かなかった制御不能のアグモンが、立派に育ったものだ。
もっとも、現在でも我々の命令を直接聞こうとはしない。
スターモンに懐いているようであり、スターモン経由でしか命令を聞いてくれないのだ。

ジオグレイモンはスターモンと違ってチャットの文字を覚えようとしないため、専らスターモンはボディランゲージでコンタクトを取っている。
だから単純な命令しかできない。

強い者の言うことしか聞かないということなのだろうか。
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:26:13.52 ID:J5dJvR8Xo
ケンキモンクラフトモンは強力だけどやっぱりコマンドラモンの能力殆どなくなったの痛いな
314 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:33:21.23 ID:qtUdmRv9O
スターモン、作戦は単純だ。
今やるべきことは、捕らえられている(かもしれない)キウイモンの確保と、蛮族デジモンの殲滅だ。

基本は現場判断に任せる。
好きに暴れろ!

『ウイイイイッス ヤルゼエエエ!ウリャアア!』

スターモンはそう言うと…
両手を上空にかざした。

すると上空から、まるで流星群のように大量の隕石が降り注ぎ…
島の各地へ次々と降り注いだ。

『マズハ アイサツガワリダゼ』
…バカ!初手で無差別攻撃をかましてどうする!
おかげで敵の警戒度が高まったぞ!あちこちで悲鳴と絶叫が聞こえてくる!
キウイモンが巻き込まれて死んだかもしれんぞ!

『エー ダッテ ヤッテミテージャネーッスカ』

…エネルギーを大量に消耗する切り札はもっと考えて使え!

『ヘーイ』

…現場判断に任せようと思ったが、先が思いやられる。
やはり私が指示を出すことにしよう。
315 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/14(日) 20:33:50.03 ID:qtUdmRv9O
つづく
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:35:38.58 ID:xDB4YTlUo

ちゃんと頭良いデジモン育てるのは大変だ
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 20:36:26.14 ID:J5dJvR8Xo

たまに暴走する核兵器だと思うと怖いな
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/14(日) 22:20:56.77 ID:1UHlQGmv0
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 11:03:52.42 ID:hrh8g3l+o
どうしてこうもデジモンの知能に差が出るのか…
頭良くなれない種族もいるのか
320 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 21:52:13.18 ID:xzsU/RcJ0
スターモンの異様な戦闘力を見たシャーマモン達は、悲鳴を上げて逃げ出していく。
…逃がすと思うか?
ジオグレイモン!火炎放射だ!

『…』
…何をボケっとしているスターモン!おまえに言ったんだぞ!

『エ?オレッスカ?ア、ソッカ。イケェ!ジオグレイモン!!!ブッコロセエェ!!』

スターモンがそう指示を出すと…
ジオグレイモンは、口を大きく開けてシャーマモンを追いかけ…

『ヴオヴォオオオアオオオオオオオオオオオン!!!』
背筋が凍るような咆哮を上げるとともに、口から火炎放射を放った。
逃げまどうシャーマモンやコエモン達が火の海に包まれる。

『アギャアァァァアアアアアアア!!!!』
シャーマモン達は5秒ほど火の中で悶え、すぐに倒れた。
あまりの高熱を浴びたため、即死したのである。

やがて火が消えると…
『ガウゥゥ』
ジオグレイモンは、焼けたシャーマモン達を食べていった。
いいぞジオグレイモン。そうやってエネルギー補給と攻撃を同時にやるんだ。

『オレモクウゼ!ムシャムシャ…』
…野生種のスターモンはあまり肉を食べないが、我々が飼育しているスターモンは肉を好んで食うように育ててある。
エネルギー補給はその分早い。

よし!
それではローラー作戦を仕掛けるぞ。
最終撃滅部隊「天地人」が一体、天のサンダーバーモンにデジドローンを運ばせ、上空から島を監視する。
そして我々は上空映像をもとに、生き残っている島民を効率よく滅ぼしていくのだ。
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 21:56:19.58 ID:2udEKpKno
頭はいまいちで戦闘力ヤバいデジモンばっかで扱い方難しそうだ
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 21:57:34.00 ID:/xIlusPa0
強いけどアホの子
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 21:58:58.60 ID:+SWkIDjco
しれっとサンダーバーモンおる…
324 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:03:52.75 ID:xzsU/RcJ0
『ウワアアァァ!』
『タスケテクレエエェェ!!!』
『テンシサマアアア!!!』
二体の姿を見た島民デジモン達は逃げまどう。
スターモンは、高くジャンプすると、拳にエネルギーを纏わせて…
『スターナックルゥゥ!!!』
逃げるシャーマモン達めがけて、急降下しながら特大のパンチを放った。

『ウッギャアアアァァ!!!』
衝撃派で吹き飛んだシャーマモン達。
その破壊力は榴弾砲並みだ。

『次ィ!』
スターモンは、生き残りのシャーマモンめがけて飛び掛かる。
『コ、コウサン!降参ダ!!ミノガシテクレェ!!命ダケハァァ!!!』

残念だったな。命乞いをするには遅すぎた。
貴様たちは全員私刑だよ。地獄で罪を詫びるがいい!!

『スターパンチィィ!!』
スターモンの普通のパンチ。
『ゴプォオオオ!!』
バイクにはねられたかのように吹き飛んだシャーマモンは、首の骨が折れて息絶えた。

ふん…
どいつもこいつも逃げまどってばかりか。
かかってくる気概がある者はいないのか?

『キキィーーー!オレラノカゾク!マモル!テメェーーブッコローーース!!!』
おお?やっと成熟期がでてきたぞ。
セピックモンとジャングルモジャモン共か。

ジオグレイモン、やれ。

『ジオグレイモン!ヤッチマイナァーー!』

『ガオオゴォオオーーーッ!!』
ジオグレイモンは尻尾のスイングをセピックモン達に放った。

『キキィイーーー!!』
ふむ、素早いな。
ジャングルモジャモンやセピックモン達は、素早い身のこなしでジオグレイモンの尻尾スイングを躱した。

『コンドハコッチノバンダ!キキーー!!』
ジャングルモジャモン達はジオグレイモンに向かって、武器を掲げて走り出したが…

『ヴォオオオオオオオン!!!』
ジオグレイモンが放った火炎放射がジャングルモジャモン達を焼き尽くす。

『グオギャアアアア!!!テンシサマァーーー!!!』
そうしてジャングルモジャモンやセピックモン達は焼け死んだ。

…張り合いがないな。つまらん。
これでは一方的な虐殺だ。
まあ、無事に片付くのならそれでいいが。
325 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:20:06.10 ID:xzsU/RcJ0
…む?なんだここは。
サンダーバーモンが映す上空映像に、何か牧場のようなものが見える。
策で囲われた小屋だ。…家畜小屋か?

スターモン、その小屋を調べろ!
『アイアイサー!』
スターモンは高くジャンプすると、流星のようにエネルギーを纏ったキックで小屋に突撃し…
粉々に破壊した。

バカ!!
調べろと言ったんだ!壊せとは言っていない!!

『デモブッコワシタホウガハエージャネエッスカ』
キウイモンを生きたまま確保しろと言っているだろうが!!
中にいたらどうする!

『ア、ソーッシタネ』
…同じことを何度も言わせるな!
それで?中には何がいる?キウイモンはいるか?

『ドレドレ…』
スターモンが瓦礫となった小屋を調べようとすると…
『ピピーー!!』
何か小さなデジモン達が、小屋から一目散に逃げだした。
なんだこいつらは…?

https://imgur.com/vTIaI9T.jpg

…鳥の雛のように見えるが…どこか異様だ。
まるで鶏のから揚げのような姿をしている。

昔ファストフード店にあったメニューの「とりからボール」のようだ。

…見たところ、小屋の中に成熟期デジモンの姿は(生死問わず)存在しない。
キウイモンはいないようだ、よかった。

『ピーピー!ピィピィ!』
ともあれ、この逃げまどう雛デジモン、とりからポールモン達は…
逃げ足が遅い。

親はいないのか?どこだ?
鳥型デジモンということは、キウイモンの子孫に見えるが…

『ピ…』
む?
一羽のとりからボールモンが、動きを止めた。

『ピィ!』
なんと。
とりからボールモンはデジタマを産んだ。

…このデジモン、あからさまに幼年期デジモンのようだが…
デジタマを産むのか。

なんということだ。
鳥類デジモンは元をたどれば、我々が飼育しているジオグレイモンの親、グレイモンの子孫なのだ。
あの強大無比な大恐竜の末裔が、こんなに弱弱しくなるとは。

…キウイモンではないが、まあいい。
バイオシミュレーションの要望としては、野禽デジモンが有益な家畜になりえるから捕獲しろという話だった。
キウイモンが見つからなくとも、とりからボールモン共を持ち帰れば奴らは喜ぶだろう。

スターモン!こいつらを網で捕獲しろ。
『アイアイサー!』

スターモンは、サンダーバーモンが投下した網をキャッチした。

『ツカマエテヤルゼ!ダイジョーブ トッテ食ヤシナイ トッテ食ヤシナイ』

スターモンがそうやって、そろりそろりととりからボールモンに忍び寄ると…

『オオ、ォオオ・・・!』
…ジオグレイモンの狼狽した声が聞こえた。
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:27:00.16 ID:Z2QN5OwMo
グレイモン達から見たら尊厳破壊みたいなもんか
327 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:27:52.89 ID:xzsU/RcJ0
ジオグレイモンは、とりからボールモン達を見て、明らかに動揺している。
その眼には、恐怖、憎悪、嫌悪、悲哀、憤怒…
様々な感情が伺える。

どうした!?
どうしたんだジオグレイモン!!!

『アンギャアアア!!オアアアア!!!』

これは…まさか。
ジオグレイモンはショックを受けているのか…!?

ジオグレイモンは単純なバカではない。こいつはこいつなりに物事を考えている。
アグモンだった時代に、親のグレイモンの映像を見せてみたところ、こいつなりに自分の親か親戚であることを察したのだろう、テンションが上がっていた。

勝手な想像だが…
ジオグレイモンは、目の前の弱弱しい家畜どもが、自分と血を分けた兄弟の末裔であることを本能的に察しているのだ。

誇り高き恐獣の、暴力と破壊を極めんとする血統が…
こんな無様な姿に貶められてしまったことを察してしまい、憐れみや嫌悪感などの大量の感情がごちゃまぜになっているのだ。

『アアアァ… アアァアーーーー!!!ゴアアアアア!!!』
ジオグレイモンは凄まじい怒号を発した。
地の底まで響き渡るような、恐ろしい声だ。

『ピ…ピピ…!』
とりからボールモンたちは、ぺたんと尻もちをつき、ぶるぶると震えながら泣いている。
あまりにも恐ろしすぎて、逃げまどうことすらできないようだ。

す…スターモン!
早く回収してやれ。さすがにそいつらが哀れだ。

『アイッサー』
スターモンがそう言ってとりからボールモン達へ駆け寄る前に…

『ガアアアアアウウウーーーーーーーーーーーッ!!!』
ジオグレイモンが、これまでにないほど凄まじいエネルギーを込めた、強大無比な猛火を口から放射した。
大地を薙ぎ払う火炎放射は、牧場を一瞬で火の海に変えた。

『ピイィィイーーーーーッ!!!』
とりからボールモン達は、一匹残らず炎の海に包まれた。
328 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/15(月) 22:28:25.03 ID:xzsU/RcJ0
つづく
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:30:45.32 ID:2udEKpKno

このバーサーカー全然制御できてねえぞ!
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:31:44.20 ID:Z2QN5OwMo

貴重な研究材料が…
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 22:48:54.17 ID:x7nPteDB0

これじゃ焼きすぎで食べれる部分もなくなってしまう
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/15(月) 23:01:39.78 ID:6lhJ18wx0
333 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 00:18:05.63 ID:X+29elmd0
家禽のとりからボールモン達は全滅してしまった。
別に滅ぼす必要性は全くなかったのだが…
覆水盆に返らず。まあとりからボールモン達を失ったところで、我々に損失は全くない。
なにか変なものを見た、という程度で流していいだろう。

だが、スターモン。
もしもジオグレイモンがキウイモンを見て同じことをしようとしたら、今度こそきちんと止めろよ。
『ウイーッス』

その後も、スターモンとジオグレイモンは派手に暴れまわり、島民デジモンを次々と仕留めていった。
だが派手に暴れまわるあまり、島民たちは大きな戦闘音が鳴っているところから距離を置いて逃げるようになった。
こうなると島民デジモンを滅ぼしきることは難しい。追い回しても逃げ隠れるのだから。

『ツカレテキタッス』
『フゥー…ッ フゥー…ッ』

スターモンとジオグレイモンは、だんだんと疲労が溜まってきている。
いかに戦いながら獲物を捕食しようとも、消化してエネルギーに変えるまでの間には時間がかかる。
筋肉に疲労も溜まってきていることだろう。
スターモン達は高いDPによって爆発的なエネルギー出力ができるものの、スタミナが長続きしないのが弱点だ。

だが、別にいい。
スターモン達のこういう特性も織り込み済みの作戦だ。
スターモン達に期待している真の任務は、島民を仕留めることそのものでなく、「キウイモン捜索」の方なのだから。

これほど派手に大きな音を立てて暴れまわれば、島民デジモン共は家禽のことなど構わずに逃げ隠れることだろう。
ゆえに、キウイモンを捜索するための障害が自分から去ってくれるのだ。

スターモン、島民デジモン共はすっかり怯えて逃げ回っているようだ。そいつらは今は追わなくていい。
隅々まで、島民以外のデジモン…キウイモンや、それ以外の家畜デジモンなどを探せ。

『ワカッタッス デモ 蛮族ドモ滅ボサナクテイーンスカ?』

それはシャンブルモンにやらせる。
貴様らが今やるべきことは、家畜デジモンがシャンブルモンの無差別攻撃の巻き添えにならないように捕獲して集めることだ。

『オッス』

その後、スターモンたちは島を隅々まで探し回った。
だがキウイモンはとうとう見つからなかった。
ここから既に移動させられていたか、既に食われていたのか、あるいは初手の隕石攻撃で押しつぶされて死んだのか。

その代わりに、別の収穫があった。
『パミ〜!』
バクに似た姿をした成長期デジモン、バクモンである。それも4体。
こいつらはおそらくシマユニモンの幼体だ。

こいつらを捕獲して持ち帰れば、あの素早い走行と放電攻撃ができる便利なシマユニモンを我々が手にすることができる。
是非とも持ち帰らない手はない。

グレイモンは、バクモンたちに尻尾のスイングを放って仕留めようとしたが…
それよりも先にスターモンがバクモンたちを網で捕獲した。

…キウイモンの代わりにこいつらを持ち帰れば収穫になるだろう。
ご苦労だった、スターモン、ジオグレイモン。アクセスポイントからこちらへ帰投せよ。

『テゴタエナクテツマンネー… モットツエーヤツトタタカイタカッタゼ』
そうしてスターモンとジオグレイモンは帰投した。
334 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 00:19:26.40 ID:X+29elmd0
今回はここまで
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 00:22:14.22 ID:7AYecDrIo
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 00:30:44.21 ID:fRY0hbNFo

シャンブルモンなんてやべえ奴までいる…
ゴーストゲームで朝にお見せできるかギリギリなことやりおったデジモン…
337 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:29:14.51 ID:yAGMQaFU0
二体を撤収させた。よし。これでもういい。
いけ、最終撃滅部隊「天地人」が一体、地のシャンブルモンよ!

『ハーイ』

デジタルゲートからシャンブルモンが出現した。
一見すると、頭部の模様が真っ白になったマッシュモンの色違いにしか見えない姿だ。
https://digimon.net/cimages/digimon/chamblemon.jpg

こいつはバイオシミュレーション研究所から貰ったマッシュモンを鍛え上げて成熟期へ進化させたデジモンだ。
マッシュモン時代の高かった知能は低下しているが、代わりに別の能力を与えている。

…というわけでシャンブルモン。
いつものようにやれ。

『ハーイ!キャハハハハハ!!アーッヒャッヒャッヒャッヒャ』
シャンブルモンは狂ったような笑い声をあげると…
周囲に胞子をぶちまけた。

しばらくすると、島中からうめき声が聞こえ始めた。
『アアアア!!イテエエエ!イテエエヨオオオオ!!!』
『ウギギッギ!ヒッコヌイテモ!ハエテクルウウ!!!ギャアアア!!!』
『トッテクレエエエエ!!キノコ!トッテクレエエエエ!!!テンシサマアアアア!!』

シャーマモン達の悲鳴だ。


338 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:36:27.38 ID:yAGMQaFU0
そのうち、島の海岸からイカダに乗ったシャーマモン達が出てきた。

『モウイヤダ!!ウミカラニゲルゾオオ!!』
『キノコハエタクネエエエ!!!』
『ニゲロオオオオ!!!』

どうやらあのイカダを使って島から脱出するつもりのようだ。
イカダはどんどん海へ進んでいく。

…逃がすわけがなかろう。
サンダーバーモン、やれ。

『キョオォオオォオーーーン!!!』
島の上空30mの高度を飛んでいる鳥型デジモン、サンダーバーモンは、角に電気を溜めて…
イカダに向かって放った。

『ギャオオォォ!!』
シャーマモン達は電気ショックを浴びた。
この電撃攻撃には、敵を感電死させるほどのパワーはない。
せいぜい全身が痺れて十数秒間動けなくなる程度だ。

だが、それでいい。
イカダの上で麻痺したシャーマモン達は昏倒し…
海に落下した。

麻痺して泳げないシャーマモン達は、もがくこともできず海へ沈んでいく。
あのまま溺死するだろう。

『アイツダ!』
他のイカダに乗ったセピックモンが、サンダーバーモンに気づいたようだ。

『キキーー!』
セピックモンはサンダーバーモンに向かってブーメランを投げてきたが…
さすがにこの高度だ。届くはずもない。

『コロセエエエエ!!シズメラレルゾ!オトセーー!』
イカダに乗ったコエモンやシャーマモンは、手持ちの道具や武器を手当たり次第にサンダーバーモンに向かって投げるが…
当然届かない。

『キョオォーーン!』
再びサンダーバーモンは雷鳴を発射する。

『アギャアアアア!!!』
一方的な電撃攻撃により、セピックモン達は海に沈んでいった。

『』 
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 22:37:50.55 ID:7AYecDrIo
絵面がダークサイドだ…
340 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:49:51.04 ID:yAGMQaFU0
やがて数時間が経つと…
何かがシャンブルモンに近づいてきた。

『アァ〜…イタミ…ヤワラグ…』
『タスケテ…タスケテ…』
『イタクナクシテ…』

体中からキノコを生やしたシャーマモン達だ。

『ア゛ァ〜…』
シャーマモン達は、シャンブルモンの前で寝そべった。

シャンブルモンはそれを見て大喜びした。
『アヒャヒャヒャヒャヒャ!!!イタダキマス!!!アームッ!!』
シャンブルモンはシャーマモン達の体から生えたキノコを引きちぎり、それを食べた。

『ンマイ!!アヒャヒャヒャヤ!!ンマーイ!!モット!モット!!モグモグ!!』
夢中でキノコを食べているようだ。

『ア〜… イタクナクナッテク…トッテ、モットトッテ…』
シャーマモンの体から、次から次へとキノコが生えていく。

やがて、シャーマモンは…
骨と皮だけになった。

『モットイルネエ!モットオイデエエ!』
シャーマモンは周囲にそう呼びかける。

すると草むらがガサガサと揺れる。
『モゾモゾ…』
数体のデジモンが出てきた。
葉っぱに擬態している幼虫型デジモン、リーフモンが6体。
島に住みついて排泄物や生ごみを食べて生きていると思わしき、ヌメモンが4体。
シャーマモンやコエモンの進化前とみられる幼年期、トコモンが5体。

全員、全身からキノコが生えている。
『オイデオイデェ〜、キノコオイデェ〜!』
シャンブルモンはフェロモンを放出して、キノコが生えた苗床デジモン達をおびき寄せる。
そうして苗床デジモン達は、シャンブルモンの前で横たわった。

『キノコイッパーイ!オイシイネー!ムシャムシャ!』
苗床デジモン達からキノコをちぎる度に、新しいキノコが生えてくる。
苗床デジモン達の肉体を材料にして。 
341 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:58:01.05 ID:yAGMQaFU0
そうして2日ほど経った。
シャンブルモン自身と、上空30mを飛んでいたサンダーバーモン以外は…
島にいたすべてのデジモン達が、みんなシャンブルモンの隣でキノコの苗床になっていた。

島に住みついていた野生デジモンたち含め、全てである。
それだけでなく、樹木にもキノコがびっしりと生え、枯れている。

これがシャンブルモンの能力。
撒いた胞子を吸い込んだデジモンから、キノコが生えてくる。
そのキノコからも、どんどん胞子がばら撒かれるのだ。

キノコが生えている部分は激痛を伴う。
そのため菌床となったデジモンは、キノコを千切って苦痛を和らげようとするのだが、
その千切られたキノコも胞子を撒き続けるのである。

そうして、キノコはデジモンからデジモンへと、どんどん感染して胞子をばらまいていく。

やがてキノコに全身をむしばまれた菌床デジモンは、シャンブルモンが発するフェロモンを感じ取るようになり、
そちらに行けば苦痛が和らぐような錯覚を覚える。

シャンブルモンのところへ到達した菌床デジモンは、その強烈なフェロモンに充てられて酩酊状態となり、自ら横たわる。
そしてシャンブルモンにキノコをとってもらうと、苦痛が取り除かれ、快感が生じる。

菌床は、次々と生えてくるキノコをシャンブルモンに取り除いてもらうことしか考えられなくなり…
やがて痩せこけ、衰弱死していくのだ。

尚、シャンブルモンのフェロモンが届かない範囲ではキノコは生えてこない。
フェロモンの有効範囲はおおよそ半径10kmである。

…そう。
シャンブルモンの周囲10km以内にいるデジモンは、すべてキノコに食いつくされて死ぬのだ。

342 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 22:59:52.32 ID:yAGMQaFU0
これで任務完了だ。
島にいるデジモン全ては根絶した。
蛮族デジモンは駆除完了だ。

バイオシミュレーション研究所のやつらに映像で報告するときは、サンダーバーモンとシャンブルモンの映像は全てカットする。
これらは我々の最重要機密事項であり、何者にであろうとその正体を見せるつもりがないためだ。

適当に、スターモンとジオグレイモンが蛮族を滅ぼしたように見せかけて報告しておけばよいだろう。
343 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 23:06:22.08 ID:yAGMQaFU0
我々のいるリアルワールドでは、生物兵器や毒ガス兵器の使用は禁止されている。
だがデジタルワールドは現在無法地帯だ。法整備が一切進んでいない。

いずれデジモンやデジタルワールドが、多くの人々にとって身近な存在になった場合…
そこには必ずルールが必要になる。
公共の福祉を護るためのルールや、あるいは戦争法に準ずる何かが。

では、それを決める主導権を握る者はだれか?

決まっている。
「その時点で、最も力を持つ者」が、自分に都合よくルールを決める。
これは人類史上一度も崩れたことのない絶対のルールだ。

戦争法も、国際法も。
全て「力を持つ者」が決めている。

我々ジャスティファイアが何に替えても力を求めるのは、このためだ。
来るべき時に、「ルールを決める側」に立つためだ。

どこぞの余所者が都合のいいようにルールを決めてしまっては、そいつらに手綱を握られてしまい、
我々の国民を守ることができなくなるかもしれない。

だからこそ、我々は常に最強の力を維持し続ける必要がある。
…市民たちを永久に護り続けていくために。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:06:27.48 ID:yDeVjFZ40
現実なら条約とかで規制されそうな戦略兵器ばかりだ…
345 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/17(水) 23:07:30.24 ID:yAGMQaFU0
つづく
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:10:50.66 ID:7AYecDrIo
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:11:34.25 ID:naYZCl1D0
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/17(水) 23:23:10.74 ID:RiQv5cGPo

怖い組織
349 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2024/04/18(木) 21:06:28.66 ID:lyflUIsr0


〜再び、ケン視点〜

『というわけだ。映像の通り、ジオグレイモンとスターモン達がキウイモン島を制覇したぞ』
パルタス氏から、キウイモン島での戦いのダイジェストが送られてきた。
キウイモンはいなかったけど、バクモンを鹵獲したわけですね。

映像を見たクルエがムンクの叫びのような顔をしている。
「な、なんでジオグレイモンはとりからボールモン達を倒しちゃったの…!?敵には見えなかったよ!?」

『知らん!腹が減ったのではないか?食わなかったがな』

リーダーが不思議そうに見ている。
「で、この島は蛮族共の何だったんだ?」

『畜産場、兼、武器工場だな。この孤島で家畜を育てれば逃げることはないだろうからな。あとは青銅の武器もここで作っていたようだ』

しかし、この島これからどうするんですか?
一度島を制圧したとしても、またアクセスポイントからいつでも敵は侵入してこれますよね。

『ならば我々のデジモンのトレーニング場にするのがいいだろうな!敵が侵入してこようとも、たまに戦闘訓練ができると考えれば一石二鳥だ!』

カリアゲは眉間にしわを寄せている。
「変なとこで機転が利くな〜この人…」


こうして、我々が観測している範囲での蛮族デジモンは、デジタルワールドから消え去った。
バブンガモン率いる生き残りの類人猿型デジモン達は、ディノヒューモン達と共に、時にうまくやり、時に喧嘩しながら、まあどうにか生きていくだろう。

だが、シスタモンとトコモンを逃がしたのが気がかりだ。
こちらの戦力が整い、デジタルアソートのハックモンが完成したならば…
可及的速やかにこちらからAAAの本拠地に出向き、敵本部壊滅を目指すべきかもしれない。
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