【学マス】広「ままならないね」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:02:10.02 ID:6avaHyFb0
p「ですが、見違えるほどの成長ですよ。準備運動すらままならなかったあの頃と比べればね」

広「ふふ。今でも、体力の半分を持っていかれる」

p「このままではライブのやり方が限られます。しっかりしてください」

広「プロデューサーは、いつだってわたしを元気にする言葉を知ってる」

p「学習したので」

広「プロデューサーの得意分野」

p「あなたが言うと皮肉に聞こえる。不思議ですね」

広「そんなつもりはないよ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:03:12.79 ID:6avaHyFb0
広「プロデューサーはこうして、休日までわたしの面倒に、費やしてくれる」

p「そういうものですよ」

広「それでも芽の出ないわたしに、苛々しない?」

p「そうすればあなたはもっと喜びますか?」

広「…どうかな」

p「性分ですので。気にせず、励んでください」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:05:34.91 ID:6avaHyFb0
間違えて切れた

広「うん」

p「といいますか、それがあなたの強みでしょう?周囲の評価を気にせず自分の道を突き進める度胸こそが」

広「それ、皮肉?」

p「どうでしょうか」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:07:00.96 ID:6avaHyFb0
広「…昔のわたしを、知ってる人たちからは、今でも連絡が来るよ。今となってはもう、恨み言に近いかな」

p「鮮烈な才能だったのですね」

広「あなたも、間違ってるとは思う?」

p「何が?」

広「わたしがここにいること」

p「さあ。ただ、逆の立場で考えれば、彼らに同情すべきでしょうね」

広「…そうかな?」

p「そうですよ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:07:57.51 ID:6avaHyFb0
広「わたしの進路なんて、他人事なのに?」

p「…他人事だからかもしれません」

広「わたしの、勝手」

p「…」

広「そう言ったら、プロデューサーはわたしを軽蔑する?」

p「いえ。まさにその通りなので」

広「そうだよね」

p「はい。性癖は人それぞれですし」

広「わたしのことマゾだと思ってる?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:08:33.85 ID:6avaHyFb0
p「どうしたんですか?」

広「プロデューサーは、わたしのことを理解してくれてると思ってたのに」

p「なんのことですか?」

広「辛いことは、楽しい」

p「標語のように言われても」

広「意地悪しないで」

p「嬉しくないんですか?」

広「試行錯誤してる?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:09:13.89 ID:6avaHyFb0
p「辛いことが楽しい人間は、一般的にマゾと分類されるのでは?」

広「それはマゾの人に失礼」

p「それもそうですね」

広「プロデューサーはそんな簡単に、人を分類してしまう人種?」

p「それが、あなたの括りですか?」

広「…混ぜっ返し」

p「そういえば」

広「なに?」

p「まだ一人でも交流が続いているのですか?」

広「…」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:10:03.55 ID:6avaHyFb0
広「一人でもって?」

p「はい」

広「…連絡は来るって、さっき言ったけど?」

p「そうですね」

広「何その質問」

p「言葉通りです」

広「…」

広「…そういえば、そろそろ15分経った?」

p「あと7分あります」

広「…プロデューサーは、わたしの答えに何を期待していたの?」

p「期待なんてしてませんよ。そんなもの、あなたにするだけ無駄でしょう?」

広「…」

広「ねえ。プロデューサーは、わたしが間違ってると思うの?」

p「そんなこと、気にするんですか?」

広「わたしは間違ってるのかな?」

p「全然。あなたはあなたの好きなようにすればいい」

p「あなたへ無理強いすることこそが間違いだ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:11:00.53 ID:6avaHyFb0
広「…そうだよね」

広「…わたし、実は、そこまで人とずれてることをしてるつもりはない」

p「はい」

広「苦しい壁を、不可能だって思うような崖を、登り続けて得られるものがある。途中で落ちようが、落ちまいが。結果を、重んじる人は、いるけれど」

p「はい」

広「わたしが求めるものは、そこにはない。わかるでしょ?」

p「まあ、そうですね」

広「…それとは、別の話?」

p「どういう話だと思っているんですか?」

広「…」

p「突き詰めて言えば、あなたの言うことは間違ってないように思えます。理解はあまり得られませんが」

広「どうして怒ってるの?」

p「怒ってませんよ。どうしてそう思うんですか?」

広「…」

p「…おっと。もう時間ですね。トレーニングを再開しましょうか」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:11:37.31 ID:6avaHyFb0
広「待って」

p「なんでしょう」

広「もっと話そう。まだ再開したくない」

p「珍しいですね。まあ、構いませんよ」

広「…」

p「…何をそこまで焦っているんですか?」

広「そんな、顔してる?」

p「はい」

広「…今日のプロデューサーのことが、わからないから?」

p「なるほど。では、何をお答えすれば疑問が解消されて、トレーニングに戻れますか?」

広「…」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:12:31.87 ID:6avaHyFb0
広「プロデューサーは…」

広「プロデューサー…」

広「…」

広「わたしのこと、嫌い?」

p「はい?どうしてそうなるんですか…それが、質問ですか?」

広「…いや…」

p「…」

p「というか、意外ですね」

広「え?」

p「あなたにとって俺は、好きとか嫌いとか言う関係性上にあるんですね」

広「…どういう意味?」

p「あなたに必要なのは理解者でしょう?期待をして評価する人間ではない」

広「…評価されることは嫌いじゃないよ」

p「現状を把握し、叱咤激励を繰り返し、あなたの望む苦しい道を提供する者こそが、あなたの求める人間だ。違いますか?」

広「…違わ、ないけど」

p「それならむしろ好きでいられても、邪魔じゃないですか?」

広「そんなこと、ないよ?」

p「そうですか?しかし、それこそが、あなたが振り払った人たちだ」

広「…」

広「…わたしの能力が、好きな人たちでしょ?」

p「ええ。ですから、そう言っています」

広「そうでしょ?」

p「あなたは本質的に、自分が作り上げたものに興味がない。それをどれだけ愛する人がいたとしてもね」

広「…」

広「…それ、は、悪い、こと?」

p「あなたが気にすることでは、ありませんよ」

広「…プロデューサー」

p「なんですか?」

広「わたしのこと嫌い?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:13:21.96 ID:6avaHyFb0
広「…」

広「…あれ?」

広「…」

広「…プロデューサー、いない?」

広「夢…?」

広「夢だった」

広「…」

広「はーっ」

広「…それは、そう。プロデューサー、怖かったし」

広「すごい汗…」

広「…」

広「…夢?」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:13:54.61 ID:6avaHyFb0
p「もしもし」

広「おはよう…プロデューサー…」

p「…何かありました?」

広「事故とかじゃないから、安心して」

p「…はあ。驚かさないでください。いいですか?段差に気をつけて歩いてくださいね?」

広「わたし、おばあちゃん?」

p「今日のレッスンのことで懸念事項でも?」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:14:23.15 ID:6avaHyFb0
広「プロデューサー…」

p「…」

広「プロデューサーは…」

p「…はい」

広「…わたしのこと、好き?」

p「はあ?」

広「こわい」

p「す、すみません…いえ、ですが、何を言ってるんですか?」

広「…」

p「…寝ぼけてます?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:15:25.10 ID:6avaHyFb0
広「わたしのことが嫌いな人はね、たくさんいるよ」

p「…?」

広「お世話になった人とか、元同僚とか、ここにくることで縁を切った人たち」

p「…」

広「どうして怒ってるのか、よくわからなかったけど」

p「…」

広「わたしに問題があったのかもって、今になっては思う」

p「そうでしょうか」

広「わたしは、本当に、アイドルに向いてない」

p「…それはまあ、あなたほど向いてない人もいないでしょうが…だからこそ選んだのでは?」

広「そうじゃない」

p「なにが」

広「…どんどん怖くなる」

p「何がですか?」

広「…だから、ね」

広「…」

広「わたしの中で満足して、ある日ふっと、みんなと、あなたの前から消えてしまう」

広「そういうこと」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:16:29.30 ID:6avaHyFb0
p「それでもいいですよ」

広「…今、それでもいいって言った?」

p「はい」

広「いいわけなくない?」

広「だって」

広「ファンの人たち、がっかりするよ?」

広「プロデューサーのことも、裏切ってる」

広「許せないよね?」

広「ずっと自分の夢よりも、わたしを、優先していたのに、勝手に飽きられて」

広「あの」

広「全部、無駄になった気分に、なるんじゃない?」

p「…」

p「ファンが惹かれたのは、あなたが道を歩んできたからだ。あなたが歩く姿をずっと見てきた」

p「結果だけが全てじゃない。俺は…」

p「…」

p「…だから、あなたが、いいんですよ」

広「………」

p「まあしかし…現実問題としては、ファンの間で騒ぎになるでしょうね。そういった面をサポートするのもプロデューサーの仕事です」

広「…」

p「くれぐれも消える前に声をかけてくださいね」

広「…」

p「わかってますか?」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:17:47.03 ID:6avaHyFb0
広「…プロデューサーは、本当に、優しいね」

p「そうですか?」

広「…」

広「わたしみたいな脆弱な命にまで」

p「命は平等ですから」

広「ひどい」

p「他に吐き出したいことは?聞きますよ」

広「ううん。もう大丈夫」

p「そうですか」

広「プロデューサー」

p「なんですか?」

広「大好きだよ」

p「俺も嫌いじゃありませんよ。それでは」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:18:30.06 ID:6avaHyFb0
広「ふふ…照れ屋さん」

広「…ふ」

広「…」

広「…」

広「…わたし、は」

広「好きでいられるかな?」

広「好きでいたいな」

広「あなたと一緒に、ずっと」

広「…」

広「大好きだよ、本当に」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:22:07.92 ID:6avaHyFb0
終わり
光景のライブがクッソ好き
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/08/14(水) 11:23:05.21 ID:6avaHyFb0
374774
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/15(木) 17:21:26.36 ID:g9ek8BVPo
おつおつ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/15(木) 17:21:56.55 ID:g9ek8BVPo
こういうのが輪郭を補強してくれるのだ
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