やる夫が正史を書くようです６３

118 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:09:03.94 ID:MlDDLNZU0: 【紀元３９８年７月　北魏　并州　恒山】

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　　　　　　　 < >(ニＯ　・　・　　　　　　　　　ここは恒山。
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　　　ミ_（⌒~(, (__)|｀ッ　ﾄ,o_o)　　　　　　　泰山なんかと並んで五岳の一つとされている
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　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　拓跋珪が平城へ遷都する際、代郡の恒山を通過した
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119 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:09:33.70 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
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　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､　　　　　　　　代での暮らしはどうかしら？
　　　./.i; ; ; '.、　ー　´　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
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　　　耕牛と田畑を支給されてどうにか生活できていますと民衆Aは……　　　　　|/!:ll⊃　､_,､_,　⊂⊃ﾉ: : ｜
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　拓跋珪は親しく恒山の山頂に登り、新たに近隣に移ってきた民を慰撫した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
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120 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:11:21.86 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -ｰ‐‐-､ --‐‐‐――――――‐‐‐--､
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　　 /　　ノ./　　・ )ﾐ .-､,_　　　　　 | l ::::::::::::::l　|　　!:　　　 !:　　　 !:　　　 !: 　 l
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　　　　ﾉ..(o_o,ｲ　　ヽ　　　　~⌒）彡 .ｌ￣￣￣￣, =＝=､、＿＿＿＿, =＝=､、 _|
　　　　 / /~ヽ .ﾉ　　　　　　ノl　ﾉﾆﾆﾆﾆﾆｺ＿_ 〃＼.| ／ヾ _＿＿__〃＼ | ／ヾ_|
　　　　ヽニﾌ|./ /~ヽﾉ'''''''~ヽヽ＼ヽ_　､ ,/ |ヽ ||.―◎― ||　､ / |ヽ|| ―◎― ||
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　　　　　　おおっと、母上。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／.: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:.＼
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　　　　　　長く坂道を歩いてお疲れの御様子。　　　　　　　　　　　　　八:{＼.: .: .: .: .: .: .: .: .}ﾉ.:ﾉ
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　　　　　　ここからは私が母上を背負っていきましょう　　　　　　　　　　 .／⌒)ﾉ人{ヽﾉ(⌒）
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121 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:12:47.51 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
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　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　 /: : i: : : '､: : 珪 : : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.　　　
　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',　　　　　　　　　　　あれは崔宏ではありませんか。
　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､　　　　　　　　　何をしているのかしら？
　　　./.i; ; ; '.、　ー　´　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　 .／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-
　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　お母上が山歩きに難儀していたので介助している様子。　　　　　　　　　 ,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　さすが天下に知られた名士ともなると、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　学問ばかりでなく孝養もしっかり尽くすようで　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この時、崔宏が老母を助けて登山する様子を見かけた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
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122 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:13:17.65 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
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　 /: : i: : : '､: : : : : : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i　　　　　　　素晴らしい。
　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､　　　　　.崔宏に牛と米を下賜してやりなさい。
　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　./.i; ; ; '.、　V__ﾌ　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }　　　　.他に山歩きに難儀している徙人がいれば車と牛を下賜するように
　 .／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　御意　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;　　／　　　　　　　＼　　::::;
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　拓跋珪はこれを喜び、崔宏に牛と米を下賜。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　詔勅を下して、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .徙人の中で自分で進めない者に車と牛を与えている
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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123 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:15:31.55 ID:MlDDLNZU0: 【記述内容からして徒歩の可能性がある崔宏さんち】

　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　　　　　……というわけで牛と米を持参しました。
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　ですが、崔宏殿は馬車をお持ちなのではありませんか？
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／,'　　　　￣￣　9{_
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ﾟ＞‐一￢￣￣`ヽ、　　j. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 /　　 {　　　　　＼ { 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ　{　　ヽ、　＼　 l　ヽ〉.　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧　ｌ__＼　代ｰ､ヽ |　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　 {　X´ｌ　ヽ＼}　＼_ヽ |　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼∨　ヽ　　　　＿_ 　 |　　　　　 !
　　　　　いやあ、お恥ずかしい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼小. ｨ＝　　 ´￣ `　l　　　　　,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　}　　'　　　　　 ,'　　　 /
　　　　　馬車はあるのですが、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:八　　ヽ _フ　　 /　　　　/
　　　　　書物を載せたら我々が乗れなくなってしまいまして。　　　　　　　 .l　个､　　　　ィ/　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 /　 _＞r 'チｰ/　　　／　　　　　　_
　　　　　士大夫たる者、まさか書物を捨てるわけにもいかず　　　　　　　　!　!／　} │ 　 /　 , ＜＿　　_, イ´／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼/ヽ { __ノ/⌒ヽ./ ／　　　/7'´ 　／　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　＼ﾊl　 ∧＿ﾉＸ　　　　/｛　　　ヽヽ　 __j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　_// ／ /　/　　l　　　/ ノ　　　/　 ∨〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r'　　￣// / 　｛ ,/　　│ 　 / ｛　 /ヽノ　　　∨

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　崔宏は拓跋珪に仕えてからも、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　相変わらず資産を築くのに関心を示さなかった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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124 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:16:04.32 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　　　　 ⅰ　　　　　Ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ⅰ　　　　　　|ｰ|＿____　ⅱ　　　　　　　ﾊ　　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　＿_|＿＿　　　　　八　　　＿__|￣|　　　 {_八　　　　　　γ丶　　　　　　 ⅰ　　ロ　　　.|i |i　＿
　　　 ∧,_______|二|_＼＼ | ＿＿_／|　|　　∧_V∧_/＿＿「丁￣|∧￣Y￣|　 |─､_ｖ─､　盂...∧_| |　　　 |i_|i／＿＼
.　　_..|¨:|＼＿_|＿∧|￣| /＿∧¨|¨:|　|ﾍＺ7ZZZZZ癶ＺＺＺ癶~丁T T'''T￣| /￣/¨/＿/￣／`|├|_|¨癶＿,|::::|ＩＩＩＩＩ |/￣
＿　|_|_..|＿_|＿＿|_|￣|￣|ＩＩＩＩ|ＩＩ|¨|　|　| |＼￣＼　|　 | 　 |￣|　|¨|　|　 |￣|丁¨|￣|ＩＩ|￣|￣|￣|丁| |¨|　|￣|::::|ＩＩＩＩＩ |￣
⌒⌒⌒''＜三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
｀:､｀:､｀:､｀:､｀:､─‐Ｌ |Y´　　｀Y|Y´　　｀Y　Y´　｀Y　 Y´　.｀Y　 Y´ .｀Y　ＹＹＹ＾ＹＹ＾ＹＹＹ^i| ＼　　　　　爻爻爻
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,:",:",:",:"ノ⌒ヽ⌒丶､｀:､｀:､｀:､ﾚi:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ|;';';';';';'|｜｜.:.:.:.:.:|｜｜.:.:. |｜｜／＼￣＼ｖｖｖｖｖｖ爻爻爻vv爻爻爻爻xX爻爻
,:",:",:",:"(;';';';';';');';';';';';';')､､､､､ {i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}|.:.:.:.:.:.:|⊥⊥＿＿/ﾍ￣ﾞ＼|⊥ﾐﾐ￣￣|￣￣ﾞ|;';';';';';';'爻爻淡淡爻爻爻爻淡淡淡
从从｀:､｀:､;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'乂i:i:i:i:i:i:i:i:ｿ｀ : : : : :爻/＿___∧＿',_____＼ﾐﾐﾐＩＩＩ | ＩＩＩＩ|'⌒;';';';';';';:;.:,:;.:,:;.:,xX爻爻淡淡淡淡
从从从从;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'｀Ｙi'"~ : : : : : : :爻刈ⅰ　|_..|ＩＩ | ＩＩＩ |ﾐﾐﾐﾐ￣乂;';';';';');';';';';';')xX爻爻淡淡淡淡淡淡淡淡

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　崔宏は拓跋珪の信任深く、権勢は朝廷を傾けた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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125 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:18:42.15 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　/|
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　しかし、自ら倹約して産業を営まず、家徒四壁という有様だった。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　家徒四壁とは貧しさの例えで、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .屋内に家具が何も無く、四方に壁しかない事を意味する
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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126 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:19:11.82 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　　　　　　　　　おお、崔宏殿。
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　　　　 .おはようございます
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'　　　　　　　　　　　　　.　　　　＿_　　　　／:::::::＼／|
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,　　　　　　　　　　　　　　　　　　V::::＼　＿|:::/⌒∨::::::|､＿ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼__／::::::⌒::::::::::＼ノ￣
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　　　　　　　　　　おはよう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |八:::ﾊ　＼|＿　|/::: /:::八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 )::込、ｰ ' 　厶::ΛＮ
　　　　　　　　　　散歩はいいねえ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣V::::＞＜-|／＼|__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣／只＿/　　／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 /::／/〈:i:ｉ:〉-|　　 /:::::::: |
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　外出の際には車に乗らず、朝廷に出仕する時も徒歩だった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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127 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:20:41.15 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　 ,、　''"ﾟ~~￣￣￣~~ﾟ"''～
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　　　　　　　l:.` ｰ‐――――――一´:.|
　　　　　　　l:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. : |
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　　　　　　　＼:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. ／
　　　　　　　　｀ ┬――――┬ ´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　＼ｰ――→::.::.:/:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:.: ＼:.::.::＼￣
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　 T7:.::.::.: |:.::.::.::| :.::.:: _|＿／:: |:.:|:.::.:.:|:.::.::.::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / :.::.::.:: |:.::.::.::|:.::.::.::.:|＼:.::.:斗┐:.::.:|:.::.::.::.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :.::.::.::.::.:.:|:.: ／|:.::.::.::.::.::イ(::;;;) ﾉつ /:.::.::.: |.: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.::.:|:.::.:.:|:Λ :.::斗:.::.::.: ＼　 "} {: /: /:.:: Λ.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.::.:|:.:: 八:.::/(::;;;;)＼:.::.::.:.:＼ } }/:::/:.::.:/　|/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:.::.:|:.::.::.::.::└ ｧっ　　￣￣￣{ {//:.::.:/　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:: Λ:.::.::.:.: ＼{ {　　 ⊂-┘ ／}/ :: Λ／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:/　＼:.:.:＼:.:>{　　　　　　　jｲ{:.:.:Λ::＼＿,ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|{ 　　 }＼:.:.:＼:.::ニ==--ｕ</八::〈 }⌒＼<
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　Λ:.::.:厂　　{___ 　 _厂/　　 //　 /:: ::｀＼
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　母親が七十歳で亡くなった際、供養するのに重膳を用いなかった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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128 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:21:10.45 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　　　　崔宏殿の暮らしに関する報告は以上です
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'　　
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : 珪 : : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　　　　本当に素晴らしい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　　　史書にあるような士大夫は本当にいたのですね。　　　　　　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.i; ; ; '.、　ー　´　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　　　　暮らしに困らないよう絹や穀物を下賜しなさい　　　　　　　　　／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ

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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　拓跋珪は密かに人を使って、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　崔宏の暮らしぶりを観察させていたが、報告を受けてより彼を重んじた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .再び食物や金品を下賜された
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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129 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:22:46.58 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　崔宏殿ってケチ過ぎね？　　　　　　　　(~)　　　　(~)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(~)　　γ´⌒｀ヽγ´⌒｀ヽ　　(~)　　　　　凄い人ではあるんだが
　また陛下から下賜品せしめてる　γ´⌒｀ヽ {i:i:i:i:i:i:i:i:} {i:i:i:i:i:i:i:i:}γ´⌒｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {i:i:i:i:i:i:i:i:}（　´・ω・)(・ω・｀　）{i:i:i:i:i:i:i:i:}　　　　　てか俸禄どこに消えてるんだ？
　　　　邸もボロボロだしな　　　　　（　　´・ω)（::::：::Ｕ）（つと:::::）(ω・｀　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（::::::Ｕ::：)（　　　´・) (・｀　　　）(：::Ｕ::::::）　　　　頭いい奴の考える事は分からん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し─Ｊ　（l::::○::::）（:::::○::::l）　し─Ｊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　し─Ｊ　　し─Ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r――､/＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　_.. -―-＝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r―┘∠ --― ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＞―'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:..:.:.:.:.:..:.:.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞.:.:,:イ.:.／|:／　|.:.:.:.:.:ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌ.:::∧フ　 `ー-./.::::::::../
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠.:.:::::::ﾊ== 　 ==/::／）:/
　　　　　代の草もなかなかイケると思った自分が悲しい。　　　　　　　　　　　 .└‐ｧ:::{　　＿　￣rイ:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/r-,＞.`=' イﾚ' Ｖ-‐┐
　　　　　ちょっと砂っぽいのは気のせいじゃなさそうですね　　　　　　　　　　　　　く　　>'r=レ'　V＿＿ﾚﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /￣`y',ｲし}} l　//.:.:.:.:.:.}.r┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　／/.:.V./|　_l |.:.:.:.:.:.:.|ろ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:.:.>' <lｽjｽ,ﾑ/´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::＼: : : : : : {:::::::::::::::::::::::::|

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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　当時の人の中には
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　崔宏の度の過ぎた倹約を非難する者もいた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .しかし、彼の倹約ぶりはいよいよ甚だしくなった
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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130 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:24:09.00 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　／|　　　／:|
　　　　　　 /::|.:|/＼ /;' :::|
　　　　　　　 /:::::|.:|V⌒{.:| ::::|
　　　　　　 __＼／￣￣＼_/、
　　　　《,/./.:.:/.: .|.: .: .: .: .:.＼
　　　　 ./.:.|＼|.: .:ﾊ／.: |.: |.: .:|
　　　　 /.: .:|ｚ=x.: | ｚ==x|.: |.: .:|
　　　八(|.: | (:i:).:＼(:i:) }|.: |.: .:|　　　　　婁敬は漢の高祖を説いて、魯元公主を匈奴へ嫁がせたのさ
　　　　　 ).公"　v ﾌ　"ノ.:.ﾉ.:乂
　　　　 ⌒)人／＼≦.:／.:.（
　　　　　　／　ﾟ/　＼ﾆミ}⌒
　　　　　　 {＼ﾟ/__ﾄ、　}　/
　　　　　　＼[＿| {＼__ハ
　　　　　　 /￣|八.......＼|　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　 /　 ├ハ .........＼　　＼／⌒＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : 珪 : : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　　　　それは良い事を聞きました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　　　私の公主たちは、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､　
　　　　　　帰順した国へ嫁がせましょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./.i; ; ; '.、　ー　´　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　例え名声が高くても朝臣へは嫁がせません　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　時には拓跋珪へ『漢書』の講義をする事もあった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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131 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:24:38.44 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　／|　　　／:|
　　　　　　 /::|.:|/＼ /;' :::|
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　　　　　　 __＼／￣￣＼_/、
　　　　《,/./.:.:/.: .|.: .: .: .: .:.＼
　　　　 ./.:.|＼|.: .:ﾊ／.: |.: |.: .:|
　　　　 /.: .:|ｚ=x.: | ｚ==x|.: |.: .:|
　　　八(|.: | (:i:).:＼(:i:) }|.: |.: .:|　　　　　　　　王莽が漢王朝で専横するようになったのは、
　　　　　 ).公"　v ﾌ　"ノ.:.ﾉ.:乂　　　　　　　 .伯母の王太皇太后が元帝の皇后だった事が発端だ
　　　　 ⌒)人／＼≦.:／.:.（
　　　　　　／　ﾟ/　＼ﾆミ}⌒
　　　　　　 {＼ﾟ/__ﾄ、　}　/
　　　　　　＼[＿| {＼__ハ
　　　　　　 /￣|八.......＼|　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　 /　 ├ハ .........＼　　＼／⌒＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : 珪 : : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',　　
　　　　　おや？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　　　王太皇太后を殺せば、王莽は専横できないのでは？　　　　　　　./.i; ; ; '.、　ー　´　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　恐らく、拓跋珪はこうした所から、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　悪名高い「子貴母死制」の着想を得たと推測される
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
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　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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132 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:26:19.23 ID:MlDDLNZU0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
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|　　　　　　　　子貴母死制　　　　　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
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|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
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|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　　　.皇帝の後継者が決まると、その生母を殺害する。
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　　　　　　　　現代的価値観から見れば、
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､　　　　　　とても受け入れられない制度である
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
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133 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:27:05.43 ID:MlDDLNZU0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　『魏書』『大宗紀』によると、
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　.拓跋珪は子貴母死制の実行にあたり、皇太子の拓跋嗣へこう告げている。
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　.なお、拓跋珪の晩年の事であり、
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　この頃は五石散をキメ過ぎて大分おかしくなっていた
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　0｀´ 　　､:ツ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. .-‐'´|_ . .　-‐=＝ﾆ二｀ヾ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : -‐. : : : : : : :／. : : : : : : : `‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　　／.:´ 　　　　　 /. : : : 珪: .ヽ : : : : : .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　i : ／: :./: : /:／⌒ : / : : : : : :} : : : : : : ﾉﾊ
　　昔、漢の武帝は太子を立てるとその母を殺しました。　　　　　　／. : : :lイ : : : {: : ,' |:/　{ : / : : : : ﾉ_∧: :　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : { : :l 八: :l斗＝ミ i{: : : ／_/ ｀ヽﾉ . : : : ｉ|
　　婦人が後宮から国政を命じず、　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ' : : : /. : : : 人八: : :Ｎんイ}　八.:i'(　⌒刈／|: : : : : :ﾘ
　　外戚を使って乱を為す事のないように。　　　　　　　　　　': : : : :/ : : :/ : : l: : :ゝ:ゝ{i::::ｒﾘ　　ヽ　んﾊ }}　ﾉｲ: : :ﾊ/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l／{ : / : : :/ : : : |: : : : : :｀ヽ｀.:.::::::.:..　 {:::ｒﾘ　//厶イ
　　あなたが継ぐに当たり、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .八i : : : ': : : : 人: : : : : : .＼　__　 ′｀ヾ　ん: : ∧
　　私は漢の武帝を見習って長久の計とします　　　　　　　　　　　|: 〃{: : :{ : : : .＼: : :、: : : ∨ ｀>　　　,' : | :/: :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人ｉ{ 人: : :、 : : }: ﾄ､ : ＞ '"⌒ヽ　　.イ: :Ｎ/: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｀ヽ{＼ ;ﾊﾉ.:::´.::::::::::::::::::::::「 : :从:ｌ : : ｉ:リ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::／/.:::::::::::::::::::::::::|人人ﾊ : : リ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:::::::／.::::::::::::::::::::::::::::::::::〉
134 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:28:53.25 ID:MlDDLNZU0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　　　　 .拓跋嗣は平素から親孝行で、
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　母親の死をずっと哀しんで日夜号泣していた。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　.父親からその件を咎められて召喚されると、
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　左右の者の進言に従い都から逃亡してしまった。
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　　　 .ここまで聞いていると、まだ中国史にありそうな話ではある
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,イ<>＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __/}｀xく二ニ=く,_ ゝ; : .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. : : : : : : : : :／: : : : : :＼＼;>ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,: : : : : : : : ／: 嗣 : : : : : : : ヽ Y }ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | : : : : : : :ハ; : : : :ヽ: :l: : :l: : :.､ノ}: :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:l: : : |: :./-､ヽ: : :./: :ﾊ : l: : : : :ヽ: :l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ﾊ : : iﾊ,{ﾆ､　 }: :./l:/｀ }:.ﾒ､: }: : } : }:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :ヽ:|/'v心厶ｲﾉﾃ心ハ: :ﾉ: :ﾉ:ノi:|
　　　　　孔子もこういう場合は逃げろと言っていますから　　　　　　　　 /: l: : : :.　ﾋり　　　ﾄV::;刈ｲ:イイ : 八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /l : |: : : :i　　　,　　　｀ﾟ ''／ : : : :/ : : : :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {人:ﾊ: : : :ヽ　､__ , 　／: : : : : /: : :l : }:.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽﾄハ: : : i: .､_ 　 _/: : : : : : /ノ: /: :ハ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,　- }: :lﾉﾉｲ}ヽ- /l: : :／:ノ´/</:ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.厶イ{:.:.Y{ i} {iﾉ!: /.:.:.:.:-=彡'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:/.:.:.:.:.( ト/}―‐=.:.|/.:.:.:.:.:.:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.:.:.:/.:.:.:.:/!' ｀ヽヽ-‐ﾉ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北魏　皇太子　拓跋嗣
135 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:30:07.55 ID:MlDDLNZU0: 　　　　／ :. ィ.;:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　ｲ:.:.:.:/-|/|∧:;､:.:.〈
　　　　　ﾘ:.:./ ● 　　く!:,:.:..、
　　　　　 l:.:.l　　　　●/:./￣　　　問題はここからだ。
　　　　　　vﾍ　 - 　ノ:./　
　　　　　　_,-+　匸ﾍ/V　　　　　　その後、皇帝になった拓跋嗣も後継者の生母を殺したのである。
　　　　　,《　ﾋ⌒j　》、
　　　　　l::＼ l　/∥::l　　　　　　　これでは、拓跋嗣も子貴母死制の有効性を認めたようなものだ
　　　　　|:::::::ﾄ,Ｖイ:::::|
　　　　　.|:::::::l介l:::::::|
　　　　　 l::::::|人|:::::::l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＾＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧＿ノ-──‐-､_‐ ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : :/ : :嗣: : : : : ＼〉＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.' : : : : :/{: : : : : : : : |: : : : ＼: :.
　　父が母を殺した理由が分かりました。　　　　　　　　　　　　　　　　.|: : :|: |: / 丶{: : :}: :}: ﾊ: : : }:.: : ; :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　': :| |: | ＼　_): ノ}斗くﾚｲ:.:.:.:.:/: : :.
　　鮮卑には「母強子立」という考えがありますが、　　　　　　　　　　　 V从:|ｨf尤　　　ﾄク仆/:／:/ : : : :.
　　これを今の我が国に適用すると外戚の専横に繋がります。　　　　 ./: ヾ Lｿ　　ヾツイ: :ﾚ': : : : : :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　': : :/|　　′　　　 / : : /:.:|:.:.:.:.:.:.|
　　心苦しいですが、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|: :.:/込、　＾　　　 /: /|/:.:.:.:.:.:.:.:.:|:|
　　殺された太子の生母には皇后位を追贈するという事で　　　　　　 .|: : |:.:.:.:.:.丶　　ィ: /:.:.:.:.:.:/:.ﾉ:.:.ﾉ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|乂|:.:.:|从:.:r┴─ |:/:.:.:./|/／|／丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　-‐＼:|--人 () () |(:.:.:./､rr─-　　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _､‐''゛　　　　//　‐-､(__／-＼{ //　　　　　｀`丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　rv∨　　　　　　　　　 { {＿_　　　　　　　　　＼
136 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:31:18.93 ID:MlDDLNZU0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　廃止の動き自体はあった　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　結局子貴母死制は、
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　.　　 .北魏が洛陽遷都後の第七代宣武帝の時代に廃止された。
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､　　　　しかし、殺害を免れた妃の胡氏から、
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!　　　 .外戚の専横と北魏の崩壊が始まったのは皮肉と言える
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
137 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:31:49.20 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l　
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　　　.さて、こうして見ると,
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　　　　　　　　　　　 .拓跋珪は漢人士大夫に対して寛容に映る。
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ　　　　　　　　　　 .ただ、一概にそうとも言い切れないのが困りものだ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
138 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:32:25.75 ID:MlDDLNZU0: 【紀元３９６年２月　後燕　冀州　鉅鹿郡】

　　l　 !　　　i　　!　　/　 /　 /　/!　,.､　ヽ　'､　ヾ'､',
　　|　|　　　 !　 l!　 .i 　ｌ　 i　 /ｌﾙﾍ小　 l. 　i 　 l !|
　　|　l!　i l　i　 l| 　 !　/ l　.!　l　　　 l l　 |. 　| 　 l l!
　　| ,' ヽl､!　l　| l 　|　l　 l　|　l　　　ﾉ | ./! 　l!　 ,! !　　　　　 .拓跋部の方とお見受けする。
　　jl.!ﾄ`'! ,ト､l､|　ヽﾊ |- ､ヽﾄ､!　 _,,､‐'jﾉ_｣.　,'} ,/
_／:l! ','､_ﾚ' 　＼r t‐tﾃ‐､ `Ｙ==ｆ-ｧﾃフ　 | /ﾉ'′　　　　　　 .俺は清河郡東武城の出で
:;:;:;:;ll　ﾄ､_　ヽ.　!　`''"´′ ﾉｰ‐!､￣　 ,/'ﾞ:;:ヽ、　　　　　　　燕の吏部尚書を務める崔逞、字を叔祖という。
;:;:;:;:;ﾞl､| 　i　　　`'ー─‐‐'′　 i ｀'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'､
:;:;:;:;:;:;:;l　ヽ　　　　　　　　　　 !　　　.ﾉ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l　　　　　　魏の中尉崔琰の六世の孫で、
;:;:;:;:;:;:;:;i,　　`､　　　　　　　 ´ ‐′　 ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!　　　　　　曾祖父は晋の中書令を務めていた
:;:;:;:;:;:;:;:;:;i, 　　ヽ　　　ｰ､----‐ｧ'　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　＼　　　｀ニ ´ 　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　　ヽ、　　　　　, 'l!:;:;:;:;:;:;:;:;:;i!:r'　←『蒼天航路』に出てた人の子孫

　　　　　　　　　　後燕　尚書　崔逞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:''""'':;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　崔宏殿の同族の方ですか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　我が国への帰順なら歓迎しますよ。　　　　　　　　　　　　　　　　;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　これは期待できそうだ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　　 ::,;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`:,､　　　　　　　　 :::::::::: /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;:'':.:.:　　　　　　　　　　　:｀:､

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　崔逞という人物がいた。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　崔宏と同じ清河崔氏の一門で、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　慕容麟が後燕の皇帝になると妻子を捨てて拓跋珪に降伏。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　拓跋珪の謀臣張袞の推挙により、北魏では尚書、御史中丞を歴任した
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
139 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:32:58.85 ID:MlDDLNZU0: 　　l　 !　　　i　　!　　/　 /　 /　/!　,.､　ヽ　'､　ヾ'､',
　　|　|　　　 !　 l!　 .i 　ｌ　 i　 /ｌﾙﾍ小　 l. 　i 　 l !|
　　|　l!　i l　i　 l| 　 !　/ l　.!　l　　　 l l　 |. 　| 　 l l!
　　| ,' ヽl､!　l　| l 　|　l　 l　|　l　　　ﾉ | ./! 　l!　 ,! !
　　jl.!ﾄ`'! ,ト､l､|　ヽﾊ |- ､ヽﾄ､!　 _,,､‐'jﾉ_｣.　,'} ,/　　　　　　　兵糧が足りない？
_／:l! ','､_ﾚ' 　＼r t‐tﾃ‐､ `Ｙ==ｆ-ｧﾃフ　 | /ﾉ'′　
:;:;:;:;ll　ﾄ､_　ヽ.　!　`''"´′ ﾉｰ‐!､￣　 ,/'ﾞ:;:ヽ、　　　　　　　桑の実を採ると食糧の助けになるぞ。
;:;:;:;:;ﾞl､| 　i　　　`'ー─‐‐'′　 i ｀'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'､
:;:;:;:;:;:;:;l　ヽ　　　　　　　　　　 !　　　.ﾉ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l　　　　　　.梟が飛んで桑の実を食べると音が変わると『詩経』にある
;:;:;:;:;:;:;:;i,　　`､　　　　　　　 ´ ‐′　 ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!　
:;:;:;:;:;:;:;:;:;i, 　　ヽ　　　ｰ､----‐ｧ'　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　＼　　　｀ニ ´ 　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　　ヽ、　　　　　, 'l!:;:;:;:;:;:;:;:;:;i!:r'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : :珪: : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　　　　　　　　　…………　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　　　　　　　　では、どうやって桑の実を？　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./.i; ; ; '.、　‐‐ - 　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　ところがこの男。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　他者を見下す傾向があったらしく、どうにも拓跋珪と相性が悪かった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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140 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:34:36.65 ID:MlDDLNZU0: 　　l　 !　　　i　　!　　/　 /　 /　/!　,.､　ヽ　'､　ヾ'､',
　　|　|　　　 !　 l!　 .i 　ｌ　 i　 /ｌﾙﾍ小　 l. 　i 　 l !|
　　|　l!　i l　i　 l| 　 !　/ l　.!　l　　　 l l　 |. 　| 　 l l!
　　| ,' ヽl､!　l　| l 　|　l　 l　|　l　　　ﾉ | ./! 　l!　 ,! !
　　jl.!ﾄ`'! ,ト､l､|　ヽﾊ |- ､ヽﾄ､!　 _,,､‐'jﾉ_｣.　,'} ,/　　　
_／:l! ','､_ﾚ' 　＼r t‐tﾃ‐､ `Ｙ==ｆ-ｧﾃフ　 | /ﾉ'′　
:;:;:;:;ll　ﾄ､_　ヽ.　!　`''"´′ ﾉｰ‐!､￣　 ,/'ﾞ:;:ヽ、　　　　　　軍人を使って採取すれば、時間と共に全て取れるだろう
;:;:;:;:;ﾞl､| 　i　　　`'ー─‐‐'′　 i ｀'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'､
:;:;:;:;:;:;:;l　ヽ　　　　　　　　　　 !　　　.ﾉ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l　　
;:;:;:;:;:;:;:;i,　　`､　　　　　　　 ´ ‐′　 ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!　
:;:;:;:;:;:;:;:;:;i, 　　ヽ　　　ｰ､----‐ｧ'　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　＼　　　｀ニ ´ 　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　　ヽ、　　　　　, 'l!:;:;:;:;:;:;:;:;:;i!:r'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : :珪: : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　　　まだ賊を平定していないのに何を言っているのかしら？　　　　　　　ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　　何故兵の武装を解いて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.i; ; ; '.、　‐‐ - 　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　　林野で桑の実を集められると思うのです？　　　　　　　　　　　　　.／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『魏書』『崔逞伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　拓跋珪が中山を陥落させる前、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　六軍の兵糧が欠乏し、民の多くが穀物を隠してしまった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　崔逞は兵に林野の桑の実を取らせるよう進言したが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　戦の最中に隙を見せる事になるためか、これに拓跋珪が激怒した
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
141 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:36:10.79 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　 /: : i: : : '､: : 珪: : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i　　　　　　　　　　　あの態度。
　 .ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､　　　　　　　　　.ここで斬っておきましょうか？
　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　./.i; ; ; '.、　‐‐ - 　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　 .／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-′
　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:''""'':;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　陛下。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　　今は戦の最中なのでどうか御容赦を　　　　　　　　　　　　　　;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　　 ::,;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`:,､　　　　　　　　 :::::::::: /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;:'':.:.:　　　　　　　　　　　:｀:､

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ただ、この時は
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　まだ中山が落ちていなかったため、崔逞へ処罰を加えなかった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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142 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:37:54.28 ID:MlDDLNZU0: 【紀元３９９年頃　北魏　首都　平城】

　　　　　　　　　　　　　　 γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　申し上げます　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　　　　 ⅰ　　　　　Ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ⅰ　　　　　　|ｰ|＿____　ⅱ　　　　　　　ﾊ　　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　＿_|＿＿　　　　　八　　　＿__|￣|　　　 {_八　　　　　　γ丶　　　　　　 ⅰ　　ロ　　　.|i |i　＿
　　　 ∧,_______|二|_＼＼ | ＿＿_／|　|　　∧_V∧_/＿＿「丁￣|∧￣Y￣|　 |─､_ｖ─､　盂...∧_| |　　　 |i_|i／＿＼
.　　_..|¨:|＼＿_|＿∧|￣| /＿∧¨|¨:|　|ﾍＺ7ZZZZZ癶ＺＺＺ癶~丁T T'''T￣| /￣/¨/＿/￣／`|├|_|¨癶＿,|::::|ＩＩＩＩＩ |/￣
＿　|_|_..|＿_|＿＿|_|￣|￣|ＩＩＩＩ|ＩＩ|¨|　|　| |＼￣＼　|　 | 　 |￣|　|¨|　|　 |￣|丁¨|￣|ＩＩ|￣|￣|￣|丁| |¨|　|￣|::::|ＩＩＩＩＩ |￣
⌒⌒⌒''＜三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
｀:､｀:､｀:､｀:､｀:､─‐Ｌ |Y´　　｀Y|Y´　　｀Y　Y´　｀Y　 Y´　.｀Y　 Y´ .｀Y　ＹＹＹ＾ＹＹ＾ＹＹＹ^i| ＼　　　　　爻爻爻
,:",:"　｀:､｀:､｀:､｀:､｀:､｀:､｀:､｀`| | |,､ｖｉｖｉ､|＿|｀:､｀:､|┬┤｀:､｀ﾞ|┬┤.:.:. |┬┤ ]|_|　 | |　 |_||┘￣爻爻爻二爻爻爻爻
,:",:",:",:"ノ⌒ヽ⌒丶､｀:､｀:､｀:､ﾚi:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ|;';';';';';'|｜｜.:.:.:.:.:|｜｜.:.:. |｜｜／＼￣＼ｖｖｖｖｖｖ爻爻爻vv爻爻爻爻xX爻爻
,:",:",:",:"(;';';';';';');';';';';';';')､､､､､ {i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}|.:.:.:.:.:.:|⊥⊥＿＿/ﾍ￣ﾞ＼|⊥ﾐﾐ￣￣|￣￣ﾞ|;';';';';';';'爻爻淡淡爻爻爻爻淡淡淡
从从｀:､｀:､;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'乂i:i:i:i:i:i:i:i:ｿ｀ : : : : :爻/＿___∧＿',_____＼ﾐﾐﾐＩＩＩ | ＩＩＩＩ|'⌒;';';';';';';:;.:,:;.:,:;.:,xX爻爻淡淡淡淡
从从从从;';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';';'｀Ｙi'"~ : : : : : : :爻刈ⅰ　|_..|ＩＩ | ＩＩＩ |ﾐﾐﾐﾐ￣乂;';';';';');';';';';';')xX爻爻淡淡淡淡淡淡淡淡

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　しかし、三年後。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　この両者は再び衝突してしまう
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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143 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:38:55.64 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　　鄴に駐屯する拓跋遵様から使いが来て、
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　　　　　　　晋の襄陽を守る郗恢が秦軍の攻撃を受けて援軍を求めてきたと
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　　
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : 珪: : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　拓跋遵には黄河の南へ進軍して陽動するよう伝えなさい。　　　　　.ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　伝える手紙の文章は張袞と崔逞に書かせなさい。　　　　　　　　　　　　/: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.i; ; ; '.、　‐‐ - 　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　完成したら私が確認します　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　東晋の隆安三年（三九九年）。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　東晋の襄陽が後秦軍に攻撃され、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　鄴に駐屯する拓跋遵へ救援を求めてきた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　拓跋珪は張袞と崔逞に
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　拓跋遵へ中原で示威行動するよう命じる手紙を書かせた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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144 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:39:52.95 ID:MlDDLNZU0: 　　l　 !　　　i　　!　　/　 /　 /　/!　,.､　ヽ　'､　ヾ'､',
　　|　|　　　 !　 l!　 .i 　ｌ　 i　 /ｌﾙﾍ小　 l. 　i 　 l !|
　　|　l!　i l　i　 l| 　 !　/ l　.!　l　　　 l l　 |. 　| 　 l l!
　　| ,' ヽl､!　l　| l 　|　l　 l　|　l　　　ﾉ | ./! 　l!　 ,! !
　　jl.!ﾄ`'! ,ト､l､|　ヽﾊ |- ､ヽﾄ､!　 _,,､‐'jﾉ_｣.　,'} ,/　　　
_／:l! ','､_ﾚ' 　＼r t‐tﾃ‐､ `Ｙ==ｆ-ｧﾃフ　 | /ﾉ'′　　　　　　　　　　　　よし、できたぞ。
:;:;:;:;ll　ﾄ､_　ヽ.　!　`''"´′ ﾉｰ‐!､￣　 ,/'ﾞ:;:ヽ、　　　
;:;:;:;:;ﾞl､| 　i　　　`'ー─‐‐'′　 i ｀'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'､　　　　　　　　　　　 .「賢兄虎歩中原」
:;:;:;:;:;:;:;l　ヽ　　　　　　　　　　 !　　　.ﾉ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l　　
;:;:;:;:;:;:;:;i,　　`､　　　　　　　 ´ ‐′　 ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!　
:;:;:;:;:;:;:;:;:;i, 　　ヽ　　　ｰ､----‐ｧ'　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　＼　　　｀ニ ´ 　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　　ヽ、　　　　　, 'l!:;:;:;:;:;:;:;:;:;i!:r'　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:''""'':;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　さすがの達筆。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　　　　　　　すぐに陛下へお見せしよう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　　 ::,;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`:,､　　　　　　　　 :::::::::: /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;:'':.:.:　　　　　　　　　　　:｀:､

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　問題は崔逞が書いた手紙にあった。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　「賢兄虎歩中原」とは、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .賢兄は中原で武威を示せという意味合いになる
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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145 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:40:22.56 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　
　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',　　
　　　',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'　
　　　';:.:.:.:.. ／　　　　　　＼　':,　　　　　　　　　　先程の手紙ができたので御確認を
　　 ';::.:.:.:. .　●　　　　　　●　　;'　
　　　';:::.::.:.　　　（__人__）　　　;'　　
　　　　'':;,:.:.:.:.:. . 　　　　　　､:'
　　　　 ,;:'':.:.:.　　　　　　　　　 '':,

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/|／ :':￣: :ヽ. 、｀ヽ./｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: :/ : : : : : : : : : : ＼ ∩!:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／: : : :!: : : : : :｀､: : : : : : :＼.|: ｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : i: : : '､: : 珪: : :}: :i: ; : : : : :｀､ : ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.! : : |: : :!:|｀､: : :, :-t=ﾅ:+: : : : : : '; : '.
　　　　「賢兄虎歩中原」？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.'; : : ｀､,x:T ｀､: : :/ｨﾃ=ミ.!: :|: : :|: |: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: ､＼ィ=ﾐﾉ／　.{ﾊ_ｲ`!〃: :/:∧: :',
　　　　何故皇帝の私が臣下へ向かって、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ヽ:＼:'､.ﾋﾘ　　　　ー' ∥:／:/:!: '; :.｀､
　　　　君臣の礼に悖る手紙を出さないといけないのかしら？　　　　　　　　 ./: : ｀　 ′　　　 ./: : : : : | : |: : ;｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.i; ; ; '.、　‐‐ - 　 /: : : : : :.!: : i i: :ﾄ }
　　　　もう一度崔逞に命じて書き直させなさい　　　　　　　　　　　　　　　／　!: : : : i＞、__ .／': : : : : //:}: !/!: !.'}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:!: : : :/: ＼,.<}_..〃: : : /〃.///:}/-′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !|: |:|:/:ヽ＼:|∩.ｎ!.|: : //>´　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀｀i i:!:｀::＜::{`／::!:i: :/: : :｀＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /｀､|:::::/,. =-、::::::｀､|::::::::::::::::::::ヽ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　拓跋珪は手紙が君臣の礼に悖るとして、崔逞に書き直しを命じた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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146 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:42:19.95 ID:MlDDLNZU0: 　　l　 !　　　i　　!　　/　 /　 /　/!　,.､　ヽ　'､　ヾ'､',
　　|　|　　　 !　 l!　 .i 　ｌ　 i　 /ｌﾙﾍ小　 l. 　i 　 l !|
　　|　l!　i l　i　 l| 　 !　/ l　.!　l　　　 l l　 |. 　| 　 l l!
　　| ,' ヽl､!　l　| l 　|　l　 l　|　l　　　ﾉ | ./! 　l!　 ,! !
　　jl.!ﾄ`'! ,ト､l､|　ヽﾊ |- ､ヽﾄ､!　 _,,､‐'jﾉ_｣.　,'} ,/　　　　　　　　　　　　何？
_／:l! ','､_ﾚ' 　＼r t‐tﾃ‐､ `Ｙ==ｆ-ｧﾃフ　 | /ﾉ'
:;:;:;:;ll　ﾄ､_　ヽ.　!　`''"´′ ﾉｰ‐!､￣　 ,/'ﾞ:;:ヽ、　　　　　　　　　　　　さっきの手紙を書き直せだと？
;:;:;:;:;ﾞl､| 　i　　　`'ー─‐‐'′　 i ｀'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'､
:;:;:;:;:;:;:;l　ヽ　　　　　　　　　　 !　　　.ﾉ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l　　　　　　　　　　　.では、これでどうだ
;:;:;:;:;:;:;:;i,　　`､　　　　　　　 ´ ‐′　 ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!　
:;:;:;:;:;:;:;:;:;i, 　　ヽ　　　ｰ､----‐ｧ'　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　＼　　　｀ニ ´ 　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　　ヽ、　　　　　, 'l!:;:;:;:;:;:;:;:;:;i!:r'　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:''""'':;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　「貴主虎歩中原」か。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　　　　　　　　これなら大丈夫だろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　　 ::,;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`:,､　　　　　　　　 :::::::::: /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;:'':.:.:　　　　　　　　　　　:｀:､

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　大丈夫ではなかった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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147 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:45:44.52 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　! i　　　 .!l 　　　 !ii i　　　　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　　　| i!i/: : : : !l|ｒ"-'"-i| i`i|‐､　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　|,ｲ|,,.．r''"!l|　　i!　　|ヽi　 `i　　　.,./　　　　　　 ,/　＜　最低な崔逞を斬りなさい！＞
　　　　　　　　 ,ｒ'''! |i!　　　　　　 ii |　　| |`i　 i　　／/　　　　,.r"/　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　i､　　　 /　 !　　　　　　 ,,,,.i! l-ー|--i!､ .i:／ ./　　　,,.r'"　/　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
＼　　 i ＼　　/i　　　　　,,.．r''"　 i! i. 　 !　 i! l .i　 ./ 　 ,ir''"　　,/
　＼　!　 .＼/ .:i.　　　　　　　　　　　　|　　 i ヾ､./:r''"　　　　/ 　　　　　　　　 ,,　　　　　　　　　　　　,,. 　　 ,.
　　　`'　　 / .::/　　　　　　　　　　　　.!|,,.rヾ､,,ノ　　　　　　 /　.　　　　　　　 / | 　 /|　／|　　　　 _,,.ｒ':/　／::|
.　　　　　　〈 .::::i　 i　　|　　　　,,.．-‐ ''"|i　　　i　　　　　　　/　　.　　　　　　 /:::::i　 /::i　|:::::i　 ./'''"´:::::/ .／:::::::|
　　　　　　　ヾ;::ヽ､i　　!　　　　　　　　　　　　/　　　　　　/　　　　　　　 /::::::::i　 |::::! .i::::::i　/::::::::::,,./／:::::::／
　―－―――ヾ;::::i 　 ! 　 !|i　　　　　　　 !|/ヾ;― =＝　　　　　 .　　　　　 i::::::::::i　 i::::i　i:::::::i/:::;.r''" ／:::::::／
　　　　　　　　　ヾ:i, 　|i.　 !||　　 i |i　,,.ｒ"!| 　〉　　　　　　　　　.　　　　 i:::::::::i.　i::::i,/i:::::/'"´　.／:::::::／
　　　　　　　　　　 `i、 ||　　|i　　　i ||'"　　　　/　　　　　　　　　 . 　　　　 i:::::::::i. i:::/::::i:::/　　／:::::::／
　　　　　　　　　　　 .ヽ||　　　　　　　　　　　i|'　　　　　　　　　　 .　　　　　 i:::::::::i i/:::::::i/:| ／::::::::／
.　　　　　　　　　　　　 i'ヽ、　　　　　　,,.r''"!i　　　　　　　　　　　.　　　　　　 i:::::::::"::::::::::／ |:::::::／
　　　　　　　　　　　　....:::::::::ヽ|i,,,,,|,,..r''":::::::.......　　　　　　　　　　　　　　　　　i:::::::::::::::／　　i::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::／　　 i/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::::i
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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　書き直された手紙を見た拓跋珪は激怒した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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148 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:47:10.12 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼
　　　　　　　　　　　　　 .　-‐…‐-　 (_) ｌ|
　　　　　　　　　／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ＼｣|
.　　　　　　　　／..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　l＼
.　　　　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |,ノ.:.:..＼
　　　　　　　　　/二二二ニニﾆ＼lニ|=-.:| :.:.:.:.:}
　　　　　　　／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ＼| .:.: | :.:.: /　　　　　　　張袞！
　　　　／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ＼/|: ／
　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾞ'く　　　　　　　　　.あなたの官職を降格させます！！
.　　　　 {:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|　
　　　　　'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ハ.:.:.:|　　　　　　　　　あなたたちは主君の返答に、
.　　　　　＼＼＼＼／..:.:.:.:.:／/／-‐}.: /　　　　　　　　　貴主だの賢兄だのと称するのですか！！
　　　　　　＼(＼＼)＿彡イ／´ヽ___厶'ﾞ
　　　　　　　_,,.．　｀¨⌒　　　　　　　　｀ヽ
　　　　　／　　　　　　　　　　　　　／　　　　　.,
.　　　 /　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:''""'':;,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;: '';..,　,..,'' :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,;:'';, ,;　 ;　　;　 ;　''':,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;'':.:.　 ;　　;　　 ;　 ;　　'';,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.',ii;:ii;:ii;:ii;;ii;:ii;:ii;:ii:;ii;;ii;:ii;;ii;;ii;;ii,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　えぇ……　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;　　／　　　　　　　＼　　::::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　●　　　　　●　　　:::;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;　　　　（__人__）　　　　 ::,;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`:,､　　　　　　　　 :::::::::: /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,;:'':.:.:　　　　　　　　　　　:｀:､
149 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:48:06.79 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:,:　　　　　　　　　　 :(::)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/⌒''⌒) :,,゜　　　　　 '　　　　　　　　 ,,,,,,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(:::::::::::::::!'　　　　　　　　　　　　　　　　 (::::::)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::';'''　　　　　　　　　　　　　　　　　''~~　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 τ'::/ .;:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 )/
　　　　　　　　　　　　　　　　。　　　　　　　　　　　　'　　、　　　　　　　;:　。
　　　　　　　　　　　　f''`⌒(　　　　　,,,,　　　　　　　　　　　　　　　!:(',,,,　　　　　　　　　　　　　　::,,,,,、...
　　　　　　　　　　　　,!,,,、(　　　　　/::　　　　　　　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::)　　　　　　　　　。　!::::::::::`!　、
　　　　　　　　:.、　　　　　　　　　　!:::(　　　　　ﾉ::`!　　o　　(::::::::::::::::::　　　　　　　　　　　　　(:::,,;,;,、; 。
　　　　　　　　　　　　　゜　　　　　(/　　　　　　⌒ 、　　　　;::::::::::::;;.;~~''
　　　　　　　　　　　　,,、..　　　／/　　　ノ'　　　　　　　　　/／'''~~　　　　　 ..,,.. _,,,.、　　　　　　　　　　,, ...:　..
　　　　　　　　　　 /;::::::::(,.,.(;;;::::(　　 ,,.,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;,;;( ):::::;.　　　　c::── '＾'''::::::::::;'
　　　　　　　　　　):::::::::::::::::::::::::::/　　'''''　　　　　　　　　　　　　'`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒　; !.:::τ''　
　　　　　　　　　　!::::::::::::::::::::::::::::)／,,,,,　　　　　　　　　　　　　　　　　 :'~~~:
　　　　　　　　　　(::::::::::::::::::::::::::::冫 ~~~　　　、,:'::::::`:::,,,,　　　　　　　 !:::::ノ
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　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::';''

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　崔逞は死を賜わった。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　張袞は拓跋珪の謀臣として
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .長年活躍していたが、この事件でその座を失った
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
150 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:49:13.96 ID:MlDDLNZU0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　相互理解の不足　　　　　　 |:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　　　　　　　　　何故こんな事件が起こったのか？
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　漢人士大夫の張袞と崔逞は、
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　　　　　　　　　胡人の拓跋珪を心中どこかで侮っていたのだろう。
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!　　　　　　　しかし、拓跋珪は
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　　　　　　 .漢文の用法を理解できる程度には文明的だった
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
151 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:49:48.96 ID:MlDDLNZU0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　　後年の国史事件にも通じる問題である
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／,'　　　　￣￣　9{_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ﾟ＞‐一￢￣￣`ヽ、　　j. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 /　　 {　　　　　＼ { 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ヽ　{　　ヽ、　＼　 l　ヽ〉.　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 ∧　ｌ__＼　代ｰ､ヽ |　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　 {　X´ｌ　ヽ＼}　＼_ヽ |　　　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼∨　ヽ　　　　＿_ 　 |　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼小. ｨ＝　　 ´￣ `　l　　　　　,′
　　　　　　　はい、その話は止めておきましょうか　　　　　　　　　　　　　　l　}　　'　　　　　 ,'　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:八　　ヽ _フ　　 /　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　个､　　　　ィ/　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 /　 _＞r 'チｰ/　　　／　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　!／　} │ 　 /　 , ＜＿　　_, イ´／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼/ヽ { __ノ/⌒ヽ./ ／　　　/7'´ 　／　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　＼ﾊl　 ∧＿ﾉＸ　　　　/｛　　　ヽヽ　 __j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　_// ／ /　/　　l　　　/ ノ　　　/　 ∨〃
152 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:51:04.62 ID:MlDDLNZU0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　なお、先程殺された崔逞だが、
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　末子崔賾のみ平城に同行しており、父の死後も北魏に仕え続けた。
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　　　　残る妻と息子四人は冀州にいたが、
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　　.南燕次いで宋に亡命し、曾孫の代になって北魏に帰参した者もいる
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　 i　　　 /　　　　　　 ,　 ‐ ､　　､、＼ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　!　.i　　　/　　/　　/　 /　 ,　ヽ,r‐､ヽ、ヽ､ '、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 !　　　i　　!　　/　 /　 /　/!　,.､　ヽ　'､　ヾ'､',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　 !　 l!　 .i 　ｌ　 i　 /ｌﾙﾍ小　 l. 　i 　 l !|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　l!　i l　i　 l| 　 !　/ l　.!　l　　　 l l　 |. 　| 　 l l!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ,' ヽl､!　l　| l 　|　l　 l　|　l　　　ﾉ | ./! 　l!　 ,! !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　jl.!ﾄ`'! ,ト､l､|　ヽﾊ |- ､ヽﾄ､!　 _,,､‐'jﾉ_｣.　,'} ,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _／:l! ','､_ﾚ' 　＼r t‐tﾃ‐､ `Ｙ==ｆ-ｧﾃフ　 | /ﾉ'′
　　　　　　　家を残す配慮というやつさ　　　　　　　　　　　　　　 :;:;:;:;ll　ﾄ､_　ヽ.　!　`''"´′ ﾉｰ‐!､￣　 ,/'ﾞ:;:ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:;:;:;:;ﾞl､| 　i　　　`'ー─‐‐'′　 i ｀'''''''''"!:;:ll;:;:;:;:;'､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :;:;:;:;:;:;:;l　ヽ　　　　　　　　　　 !　　　.ﾉ:;:;:l!;:;:;:;:;:;l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:;:;:;:;:;:;:;i,　　`､　　　　　　　 ´ ‐′　 ,.':;:;:;:;:!:;:;:;:;:;:;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :;:;:;:;:;:;:;:;:;i, 　　ヽ　　　ｰ､----‐ｧ'　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:i;:;:j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　＼　　　｀ニ ´ 　/:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i!;:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:'､　　　　ヽ、　　　　　, 'l!:;:;:;:;:;:;:;:;:;i!:r'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ﾞ､　　　/ >‐r─‐'ﾞ;:;l!;l;:;:;:;:;/:;':;i:;l
153 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:52:37.55 ID:MlDDLNZU0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.-':::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..-':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　＿＿　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::ﾍ
　　　　 l:::::::::::::::::::￣::::::ー...／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ::ﾆ'::::l
　　　　　　ヽ:::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ｀ヽ:::::::l
　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:､　　';::::::|
　　　　　　　　 ,ﾝ､:::::::::::::::::::::｀:-..._:::::::::::::::::::::::/::::::＼　';:::|
　　　　　　 / | |｀ﾄ､_:::::::::::::::::::::｀:::ｰ-......__/::::::::::::::＼ヾl
　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l　
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀　　　　　　　　　　　　　　最後に『魏書』『崔玄伯伝』より、
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　　　　　　　　　　　拓跋珪と崔宏の間柄を示す文章を紹介する。
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ　　　　　　　　　　今の話を踏まえた上で御覧頂きたい
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
154 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:53:53.61 ID:MlDDLNZU0: ┏───────────────────────────────────────┓
　太祖は常に古今の旧事、王者の制度、治世の掟を質問した。

　玄伯は古人が定めた礼、
　及び名君賢臣が過ぎ去って廃興した理由を述べ、上意に大いに合致していた。

　未だかつて、存分に意見を述べて皇帝の命令に背いたり、阿諛追従するような事はなかった。
┗───────────────────────────────────────┛

　　　　　　　　　　　　　、　　,/ ＼　　,-
　　　　　　　　　　 {0 ￣　◯　￣. 0`t、
　　　　　　　　　　　／´ ￣￣￣￣￣｀: : ＼
　　＿＿＿＿＿　/: :, : : : :: : : : : : : : ,: : : : : :.!
　　|　＿＿＿ r./: : /|／',: : : ／＼: : :|: : :ヽ: :'
　　| |　　　　　Ｌ|: :/　　　',／　　丶ﾉ.: : :ﾉ:ノ|
　　| |　　　　　/∨ ○　　　　○　 //イ : 八　　　　　　何故私には専用のAAがないのでしょう？
　　| |　　　　　　/　　　　　　Ｕ /　i : ./ : : :.
　　| |　　　　　　!　　　　┌┐　　　'ｲ: : / : : :ハ}
　　| |＿＿＿＿丶＿　　￣　_＿＿/: ,/: : : : : ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:|| 　 ___
　 └＿＿＿／￣￣　　　　　　:::::::::::::::::::::::::|／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒＼/ ::||＿⌒))
　　|＼　　　 |　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼＿＿　　{.:/⌒￣|:::::/ ￣￣
　　＼＼　　＼＿＿＿　　　　　 ::::::　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼::￣￣V´￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿ノ.: .: .: .: .＼.: .: .: .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〔/ |.: |.:|__ . : |'´＼.: .: .: .＼＿ﾉ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / . |.: |´八.: .:|ｨ苡 |.: |.: .: .:〈￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.: |.:|.: |ｨ苡＼.:＞ｲ／.: |.: .:.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ´|∧.:≧　｀_　ｨ　八.:从.}ﾉ
　　　　　　　　　　固有AAになれる条件は諸説あるが……　　　　　　　　　　　　､＿).: .＼　｀＿／.:／.:(}ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣)ﾉ从/ﾆﾆﾕ-_ﾉﾆ- __≧=‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽ| ￣＼￣ﾆﾆﾆ=- _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼　　　　　　 /ﾆﾆ=-二「}/ |......ﾆﾆﾆﾆ〉＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣..:::　　＼　　　　「￣＼ﾆﾑＮ　|...........＼.......＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 :::::..　 /　＼　　 /　　　ヽ∧.　 |................}...........| |
155 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:54:30.16 ID:MlDDLNZU0: ┏───────────────────────┓
　太祖は晩年、
　大臣の多くが威を犯したために怒りを露わにしたが、
　玄伯のみが譴責されなかったのはこうした理由による。
┗───────────────────────┛

　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　＜　　　─────　ッ！！　　＞
　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼　 |⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／　　　　　　　　　　　 |:.:) >__|/＿／:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿　　　　　　　　　 c<ｺ／:.::.::.::.::.:く:(::ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　───── ッ！！！　（　　　　　　　　　　 /:.::.::/:.::.::.::.::.:.:＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:人乂＼|　ﾉ／:八
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156 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:55:28.44 ID:MlDDLNZU0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　　　　おしまい　　　　　　　　　|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　　　　　　　　　　　最高な崔宏
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
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　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
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　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
157 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/14(水) 23:56:01.69 ID:MlDDLNZU0: 【第百十二回に続く】

新規CAST

～晋～

●司馬元顕（しばげんけん）　比企谷小町（やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。）

～他～

●劉勃勃（りゅうぼつぼつ）　２B（NieR：Automata）
●崔逞（さいてい）　緒方精次（ヒカルの碁）
158 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/14(水) 23:58:39.09 ID:O5KjTzUR0: 乙
まあそりゃヘンだよな
159 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/15(木) 17:17:48.21 ID:mWI/73cE0: 乙～
知恵は借りるけど最後まで手綱は離さなかったか
160 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/15(木) 20:47:38.50 ID:/g0wiLXJ0: 乙でした。
161 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/16(金) 10:43:59.96 ID:GUUJXo1k0: 乙
ヤバい薬キメ無きゃ固有AAになれたかもしれない拓跋珪
太武帝は固有AAになりそうだけど
162 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/16(金) 11:30:03.68 ID:a0lDZUg10: >>1さん乙ー

隠遁せずに国政にガッツリかかわって、なおかつ粛清や政争にまきこまれずに身を全うできた崔宏って、
このスレ的には「士大夫の理想の生き方」と言えるんだろうね
163 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/17(土) 14:00:39.50 ID:VgUjr8uq0: なおその息子
164 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/17(土) 19:03:52.45 ID:nj3BKqOmO: この時代の（あるいは、唐・宋・明・清に至るまで）士大夫にとったら
「時の皇帝と深間に陥るもんじゃない、つかず離れずがベター」というのが基本だったのかも
165 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/05/19(月) 00:29:37.21 ID:Etzn4TZs0: 【「やる夫が正史を書くようです」反省会会場】

　　　　　　　　　　　　　- - ──ー - -､
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　　ヾ＿,;;;l　　　, , ,　　　　　　　　　　　　　　 l;;;__ジ　　　　　　　ついにここまで来たのであります
　　　　　 |　　　　　　i￣i￣i￣i　　"""　　　　 |
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　　　　　 ` ､　　/⌒⌒i　　　/⌒ヽ　　　　　 /
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>>158-159
普通に漢文を読めるなら、拓跋珪が全くの蛮族なんてのはやっぱりなさそうで。

>>161
一応つける方向でいこうとは思うのですが、北魏の皇帝はいまいちイメージが掴みづらいのです。

>>162
『魏書』の記述は簡単に業績を書いていますが、並べるとあれ凄くね？って印象です。

>>164
だんだんそういう考え方も出てきますね
166 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/19(月) 20:35:55.46 ID:bwAD5eDF0: 北魏の皇帝だと破壊神太武帝と漢文化サイコー！な孝文帝はキャラ濃い方だが
その二人以外は別に覚えなくていいかも
167 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/23(金) 15:13:15.91 ID:uxcWzigh0: 魏を名乗っているだけあって、自分を曹髦になぞらえる皇帝が出てくるのが興味深い
168 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/05/23(金) 17:02:39.73 ID:E5XDoLHU0: 爾朱栄とか言う曹操や袁紹まで従えた脳筋董卓みたいなのまで出て来るしな北魏
169 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2025/06/08(日) 09:20:38.42 ID:c7NRdkGLo: 乙でごわす

>>168
董卓ってよりは何進（最後とか）っぽいんスよね

あと爾朱栄軍団はボス含めて若いんだよね
大きく活躍した時点でせいぜい30代か下手すると20代
170 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:16:38.64 ID:gKgqt2ar0: 【おまけ】

　　　　　　　　　　　　　　ノ:/:⌒:ー.个ー-. .
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : j. : : : : ,. : : : : : : ｀ｰミ
　　　　　　　　　　　　f: : : : : _ : : /. : : : : : : : :-=ﾐ
　　　　　　　　　　　八: : :_/: f : : :/: : : : : : : : : : (
　　　　　　　　　　 f: :ﾐ:ｲ: ﾊ: :ﾚﾊｵｲ彡斗: : :-=ミﾊ
　　　　　　　　　　　｝ミr:{::{ハ(　　　　´ 彡ｵ. : : : : :}
　　　　　　　　　　　}:_: {人!　｀ヽ　　　　 ,}≦=ﾐ乂
　　　　　　　　　　　7:ﾊ筏ミ:ｘ　　 _厶斗ｲ 7´ヽ: :/
　　　　　　　　　　　八杙tぅﾒ　 f匕tうｱ"　}!乂:f´
　　　　　　　　　　　　｀.　￣　　!　　　　　ｲ i: り
　　　　　　　　　　　　　∧　　　j|　　　　　 .'从（
　　　　　　　　　　　　 /∧　　ゝ　　　　　.' / }｀
　　　　　　　　　　　　　　}个｀ー　´　イ／ﾆ:|
　　　　　　＿ . 　-=ｾ: : ::}＞　⌒ヽ＜ {f_ﾆﾆﾆ{: 、_
　　 / { } { }　　　　　}: : :＞f ￣｀ヽ｀Yﾆﾆﾆﾆ/: :{:7＼
. 　 ′り .}j　　＞. :´r ´　 (rー-　　 .V_ﾆ彡': :／.:::::::＼
　 .′∨ 　　.′. :o: ⌒ヽノ}　rv　　　 {: : : :／.:::::::::::::::::::｀ー-ミ
. //// V　　 '⌒＼／. ＞ ´ゝｲ　　　　l : :/.:::::::::::::::::::::::::::::::::'⌒ヽ
.ゞゞ.′ ∨. / ＼＼: ´ 　　/ r人　　　j=く::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
: : : : ゞゞゞｲ＞ ´＼＼　　' 　}:::::≧-__ｵ:::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/{
: : : : : : : : :∧◯ 　＼＼′ :|::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'::::.＼
: : : : : :}: : : :∧　　　　｀≠＝:!::::::::::::::::::::::: !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::彡.:::::::::::::〉

　　　　　　　　　　　　　晋　南郡公　桓玄

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　桓玄、字を敬道。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　大司馬桓温の側室の子である。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .生母の馬氏が火の玉を呑み込んで妊娠したとか、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　彼が生まれた時に部屋が光に照らされたといった瑞祥があったとされる
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
171 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:17:39.74 ID:gKgqt2ar0: 　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::ミi::::::::::::::::::::::::::::.
. 　　 ′::::::::::::::::::::::::::::::::Y::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　 i::::::::::::::::::::／::::::::::r=ぅ:::::::::::::_:::::::::::::i
　　　_|:::::::::::::::::::::::::::_彡:/^7::::彡'　ミ:::::::::　
　　/r V::/:::::::::::::::::::::/j::j　""　　　　ﾐ::::ハ
.　八{ﾊ.V {::/:::::::::::／/:/　　　　　　　}:/　′
　　ヽｰi ﾚ __彡 ' _.／　　　　_,,,...=ぇ |i /
　　　込ト-r≧====x ＿r≦====x〃「　　　　　　　　　　　　あれが育つまでは、お前が代わりになれ
.　　　　 ‘，　辷=-///￣ヽﾆ=-///j /
　　　　　　，　`ー一'　i　　 `ー一'　′
.　　　　　 ∧　　　 :..　　ﾉ　　　　 ∧
￣￣￣｀7　iヽ　　＿　二....＿_　　/ ⌒ヽ￣￣　
.　　　 /　 .＼へ　　こ二ヽ＼〃　　　＼　　
　　　 /　　　｀ヽ＞　＿,　＼> 厂￣｀＞＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　晋　大司馬　桓温　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
　　　　　　　　内外に忙しくなりそうですね　　　　　　　　　　　　　彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　桓沖

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　乳母は機会があるたびに桓玄を抱いて桓温を詣で、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　占い師も桓玄が人より優れていると述べたため、桓温は桓玄を寵愛した。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .臨終に際して後継者にする程に
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
172 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:19:50.22 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　　　　　／／　／　,　'.　/!ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 / ﾊ　 ./　　./　 l^　l　'.
　　　　　　　　　　　　　　.' / {／　　/　　l　　{　!
　　　　　　　　　　　　　 l '　_ ＼　 /　　 { 　／j
　　　　　　　　　　　　／{ﾄ. ヽ`､ヽ' ──` ' / }　　　　　　　　敬道。
　 _ ィ7ィヶ-　.＿＿／_,ィﾊ＼｀′'　ｒ-ッ　 / /'
ィ彡7' , /　　　　　　／: :|ﾄ.　_`､'_. -`´─ィ7′　　　　　　　　.彼らは君の家の故吏だったのだ
／ィ' .l/　＿＿____／. : :/::V､｀＞　 _ ィ' V l
彡ｨl　／´　　￣7/　: : :l:::rﾍ＞r.ィ´=:ｲ　ﾄ､!
//ﾊｒく__　　　＜'___ _: :l::::＼7≧´:::::/　 l.!　＼
'"fj l　　ﾍ　 _　　／'´ ヽ:::::77::::::::／　　 |l､　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　／. : :ー-ミメ: .
. : l | ト､＼-_ﾊ「　　　|:://::::／ヽ　　　|.|丶､　　　`　　　　　　　　　　　　　 /. : : : :_刈ﾊ}/ﾉノﾊ
: : V |　　｀＞､ﾊ'.: : .　j/'／´ 　　|l ＝ 'ﾉ　　＼}　/　　　　　　　　　　　　　」-‐=彳　/:f^ｰ-弌{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_j　_彡ｲ､__{{八　　 jﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　爻{　i{　气-芸ﾐ .ｨｱ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ　　　　　　:{ i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ⅵﾍ　　､__　jﾚ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}:.:.＼_rへ　￣ ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　八:.:.:.f==7≧≠,
　　　　　　父は九州の伯であったのだな　　　　　　　　　　　　　　　_rf斗x＜:.:r=7　i　」{乂f二ﾆfvﾍ___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r==气x　.乂7. : : ￣ : ::才｀＜: : :oヽ　}}ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　77i r､＼.{. o: :__ ＞ ´　　 ∨　｀＜:V}}川
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//| ! iﾊV }_／. :/　　　　　　∨　　 o{ :弌乢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ: !」_|L!i {: : : : :＼o　　　　　V 　 o{ :i: : : .＼　←七歳
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : : ,^: : : : : : : :＼o　　　　 ',　 o{:.:| : : : : . ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　: : : : : 7. : : : : : : : : : : ＼　　　 ′ 7. ,. : : : : : :　.＼

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　寧康元年（三七三年）
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　七歳だった桓玄は
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　父の遺命によって南郡公の爵位を継いでいる。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　桓温自身の爵位を継ぐ事で、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　末子の桓玄が桓氏の嫡流と内外に示したわけだ
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
173 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:20:21.72 ID:gKgqt2ar0: 【桓温の諸子（男子）＠『晋書』『桓温伝』】
┌─────────────────────────────┐
│●桓熙　→　長沙郡へ流罪　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓済　→　長沙郡へ流罪　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓歆　→　後の臨賀県公　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　......│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓禕　→　兄弟中最愚、愚昧無知的な事を『晋書』に書かれる　　　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓偉　→　後の安西将軍・荊州刺史・西昌侯　　　　　　　　　　　　　　│
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .│
│●桓玄　→　後の南郡公　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　....│
└─────────────────────────────┘

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　桓玄には五人の兄がいた。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　長男桓熙・次男桓済は叔父桓沖の殺害を謀ったとして流罪となり、
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　　　　　　　　四男桓禕は愚昧のため排除され、三男桓歆・五男桓偉は別家を立てた
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
174 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:20:59.43 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３８４年３月　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　　/／ /　　　　 / / l 　 l ,l　i　　ﾞ､ヽ、　ﾞﾞi
　　　　　　　　 i'/,i'/ ,　/　 ,. /　/ i'　 ,il |ﾞ､ 'i,　　ﾞi,､ﾞヽ､　l
　　　　　　　 i! ﾉ´/　i'　 //i' /' ,i'l　 i.l |. ﾞ､ i, 　 i ﾞi ﾞ､.　ﾞ､l
　　　　　　　　 !/ /　/　 ,i'/､l/ i./li　 i l | __,ﾞ､i, 　ﾞヾ､__､　ﾞi
　　　　　　　 ,'./i　/　 /､ヾ｀ｿ'i､ |.　l=i l､‐‐,yi　　 Y r iﾞ､. |　　　　　　　　　　すまんな。
　　　　　　 l l l ./　/il　￣ i'l i l　l　.!'i,￣´ﾞi i　i, | iy'lヽﾞ,i
　　　　　　　　 !| l,/ ./i |i　　　 i! l :ﾞi l 　ﾞ､　　.!|､. | l,. ノil　|　　　　　　　　　　.私はこれまでのようだ
　　　　　　　　ﾞi! |　,'ﾉ i,､.　　　ﾉ　ﾞ､i,　　　　 ! i, il／|　|　|,
　　　　　　　　　　|　ii'　i､　　　ヽ　　ヽ　　　　 l ﾉ | i　i'　|i
　　　　　　　　 ,i'i i!　i./ﾞ､.　　 ‐ -- ､　　　　 i'/i| | l　l　 |l
　　　　　　　　　 //ﾞ､､i'/　|ﾞ､　　￣　　　／〃| | ! l.　i　l i　　　　　　　　　　　 , ｨ"´/￣´　｀ー-､
　　　　　　　　　i'l　l　i i'／iヽヽ、　　　 ,,.-'",／.／ヽ　i,　i　 lﾞi,　　　　　　　　　/l. , イ /　　 l .ヽ　ﾍ
　　　　　　　　 ,i'l　i .i／;;; i;ﾞ､ﾞヽ ` - ''"／/　／ i |;;;;＼i　i,　l ﾞi,　　　　　　　　　ｲV´ / /　　i　l 　 l　ﾊ
　　　　　　　　,i'l,,.-'/;;;;;ﾞi' l〉''y'^ヽ-'"-､_/-<　　i';r,;;;;;;;;;＼!　!　i　　　　　　　 i`　l､ ! l　　 l　l 　,ﾉ　ｌl
　　 __,,,. -‐'''"　　 /;;r'' ;; l>::::‐‐（_）=-､:::::::i　　 | ,.'";;;;;;;;| |ﾞ'''- .l,,_　　　　　〈ヽ,/ `ヽ,ヽ、ｲ/ ／_,ｲ, /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ,イ　〃 /ﾊ,-'"´　　.}ｲ.{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 lrr,ｌﾐ､,'　〃　　　　　ﾉ!' ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ﾄ,l ヽヒﾄ､､　_,,,ｨｭイ"l´l'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _　 _,..　-‐'"´ｌ.ｌ:ｌ:ｌ.　　　　}　´~""´./ｲﾄ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ///l　　　　 ,!.l::l:ｌi　　　　{　　　 .,'/l::l l　`ー--､_,,,_ ._
　　　　　　　　　　　　御苦労だった　　　　　　　　　　　　　　　.// l、＿＿ノ/!::l:ﾄiﾍ　 , `_'_ 　　//.:l::l l　　　　|.| || | l.ｌT
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.i /`――‐'´ 个､lﾐヽ、ヽ- '　,ｲ//.:l:.ﾄヽ､_＿_ﾉ.| || | |.! l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ/ﾉ.::::::::::::::::::::::::::::::／`ｨ-,-<彡:::::/.::::::｀`―-､ﾉ !.l l l !/ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //.:::::::::::::::::::::::_, -'-､//ハヽヽ､::::::::::::::::::::::::::::::`i.l l,| ﾘ /‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '.::::::::_　-‐''"´　　　 Lﾘﾊ,r､,ｨ_/.＼:::::::::::::::::::::::::.ﾊV /./ ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 `ヽ､:::::::

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　このような変則的な継承が可能だったのは、叔父桓沖の存在が大きい。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　貴重な中継ぎ役をこなした桓沖は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　淝水の戦いの翌年の太元九年（三八四年）に病死した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　桓玄が十八歳の時の事だ
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
175 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:22:58.83 ID:gKgqt2ar0: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r-v'γ　ヽ　ﾊ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ-v　　　【謝玄】､｀{_,､　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､_　 r'◎　　｀,＝-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'　r'建康 {__'ｨ　　}
　　　　　,. -――'´｀ヽ　　　　　　　　 ,　　　　　_,.r'　　　　　　 __／｀
　　　　 _/　　　　　　【桓石民】　　,/　ヽ　　　ﾉ【桓石虔】　　｀^ｰ'｀>　　
　 _ｨvｰ'´　　　　　　　　　）Z､　／【桓伊】ｰ-,r'　　　　　　　　　　　　 }　　
　　　　　　　　　　　　　　 r-‐'´}　　　　　　　{｀ﾍ　
　　　　　　　　　　　　　　　　'ｰ'｀"　　　　　　　｀ｰ'
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　　桓沖の死後も、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　　　 .桓玄の従兄の桓石民・桓石虔が西府軍の実権を握った
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
176 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:23:59.92 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３８４年頃　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　　　　　　　　　.-‐=＝≡≠=ミ
　　　　　　　　　　　　　／. : : : : : : : : :｀: : . :｀＜
　　　　　　　　　　　　 /. : : ／; : : :-ー-=ミ: : :｀ヾ:ﾊ
　　　　　　　　　　　　 }: .イ／. : :-ー-ミ: :}=ミﾊ}: : :〉
　　　　　　　　　　　　{: :／才云: : : : :_彡ﾞ　　｀ヾ才{
　　　　　　　　　　　乂才≠:＞-ミ:=＞"　ﾏﾑ　ﾊ}:ﾘ
　　　　　　　　　　　7. : :ﾉｲ{ rう.ｲ/　　　だ以/イ
　　　　　　　　　　　 T/彡ｲハ_　　　　　　　^　!
　　　　　　　　　　　　/　　　　 i　　　　　　､　:|
　　　　　　　　　　　 .′　　　　:､　　　　｀ｰ-ｱ"
　　　　　　　　　　 .′　　　　ゝ＞...　　　/
　　　　　　　　 /　　　　　　i　　j 　｀二
　　　　　　.　-― '　　　　　　　:.　 {
　　　　／　　　　　　　　　　　-―-ミ
　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　 :
　　 i　　 ;　　　 ,　　　　　:..　　　　　　 '.
　　 |　　′　　　.ﾞ　　　i　　､::　　　　　　 }.
　　 i　 ,　　　　 .:　　　 }　　ヾ　_　　　　ﾊ
　　 }　:{　　 ,:　 :{　　　 'i　　　　｀ー　　./　'.
　　 !　 '.　 .′　:i　　　 :|　　　　　　　 '
.　　l　　 ,　i:　　∧　　　:　　　　　　　/　　　i
.　　|　　 ∨/,　　∧　　,　　　　　　ｲ　.　　 l
.　　|.　　 ∨,　 i　　　/　　　　　　′　ゝ　'
.　　l　　　　∨　|　　 :　　　　　_/　　　　 :{

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　桓玄は成長するに及び、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　外見は非常に優れ、態度は明るく、芸術に広く通じて文章を得意とした。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .常に才能と地位を自負し、それをもって自身を英雄豪傑と見なした
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
177 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:25:21.77 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３８４年頃　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　　桓温の嫡子の桓玄はどうされるので？
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,..::‐=ミ＿＿
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _/::厶＜⌒::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:/::/:::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::/:::::::::::: | ::::::::::::::::::| :::::::::| ::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::::::| ::::::::::| ::::::::: |::::/＼|::: | ::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::| ::::::::::| ::::::::: |::イ　 ∨:|::::::::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::|:::|:::::::::/|ﾊ:::::::::|/_x折ﾊ汁 :::::::|::::|　
　　　　　　　彼は官職に就くにはまだ若い。　　　　　　　　　　　　　　 .|:|:: |:::|:::::::: イ∧::: ﾘ　　Vツ´|:::| ::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|:: |:::| ::::::|斗折ﾄ/　　　　　 |/|::::::|::::|
　　　　　　　桓石民と桓石虔がいる間は、　　　　　　　　　　　　　　　.ﾉ八:|从|:::弌Ｖツ　　､　　　　│::::|::∧
　　　　　　　特に軍権を預ける必要もないでしょう　　　　　　　　　　　　 ∨|:::＼|＼　　　　，　 /|::::::|∧:|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::| :::::个ｰ_>､　　｀　　/ :|::::::|:》≪》
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |八 :::::∨::::::: ≧=ｧr一　　 |:::::［_〉::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::: ＼:::::≪_》__〈＼＼　　 |:::::[∧ト---=ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::: ＼:>､::::＼　||＼丶 >＜|:::::|‐ ||　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::: |　＼::::V||　＞=二 |:::::[＼|　　　　　　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　司徒　謝安

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　人々は桓玄を憚り、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　朝廷もまた彼に疑念を抱いたため用いられなかった
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
178 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:27:44.96 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３９６年頃　晋　揚州　義興郡】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　寿春　　　　　　　　　　広陵　　｀ヽ
　　　　　○　　　　　　　　　　｀´○　　　　　｀ヽ
　　　　合肥　　　　　　,-､ ,-‐‐､　　　　　　｀i,
　　　　　○　　　　　/´◎ ~　○ ヽ,-‐‐-､　_,､｀ヽ,
　　　　　 ,-,_, ､,　　/´建康　曲阿,､ ,､　　　｀く,!~｀=,-｀
　　　　　｀ヽ‐´　 i 　 ,~ﾉ　　~○~=,　○　ヽ｀ヽ,~!
　　　　　　　　,､,i｀~○　ﾟo　陽羨（,　 {,_呉【呉郡】ヽ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',',　//　　　　　 /　}.}| .i
　　　皖○　_,|　　牛渚　【義興郡】　　~　　　 ,--｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　',`' .{　　　　　 /　/ }|　i
　　　　_,i‐´　　　　　　　　　　　〇　　　　 ,-‐´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　　　/　ﾑ_ﾉ}　j
　　　i´　○虎林　　　　　　　　武康　　　,=,‐-´,--､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　./　　　./ ./
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､　, -､',',　! i　＿__/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ冫　　｀ヽjム `一'ﾞ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　 ¨ヽ￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ` ヽ､　　　ヽ　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ─── ､ l`ヽ　　　 ',　}
　　　　　　　　　　　　　　　嘆かわしい　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼ヽ∨　　 ',　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　　　　＼i__　　 '､ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿二7´￣＞､　　　　　　　　｀}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿__　.(ヽ､｀`ー{　　　　　＞､__　　　　　　)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　￣｀¨)　｀` ＜　　　　　　　　　　　,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　7¨　　　　ヽ, -'"　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　i　　　　　i　　　　　　{｀`　　　　　　i!　i! i

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　太元年間の末。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓玄は義興郡太守に任命されたが、志を得られずに鬱々としていた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
179 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:28:22.72 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _;｡*'￢*:｡、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 x''7: : : : ／: : `┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　j: : : : :／: : : :丿::k
　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : :::l::/: : : :／ﾉ:::lヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　./l: : ::ゝl: : ::／::/ )/
　　　　　　　　　　　　　　　　.j.n: : : :ヽ:::l/l ／/ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　``N::::_｡-￢,l｡l ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　y>'_;｡zx==x∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　r／　 ''ﾞYﾞ`　Y
　　　　　　　　　　　　　　　_ _／＼ ''^＾ﾟ~~~ﾟ＾∧
　　　　　　　　　　＿　＿ノ///// ゝ''^＾ﾟ~~~ﾟ＾^' ＼__　　　　　　　　　　　　父は九州の伯になったのに
　　　　　　　　／//////＼///// ＼　　　___zz===;彡ﾍnnnn　　　　　　子は五湖の長にしかなれぬとはな
　　　　　　　 ////////////＼////Y彡彡``__　　　　　《《||||巛
　　　　　　　j//////////////`l/// |　　　　　l`x_____○_|| ||ミﾐz
　　　　　　　l///////////////l////l　　　　　l　　　　￣/|| ||ミﾐz
　　　　　　　j///////////////l////{　　　　 l　　　　　l` lVﾐ=z
　　　　　　 .l/////////////// l////ll　　　　l　　　　　l /　＼|
　　　　　　 }////////////////l////ll　　　　l　　　　 /ノ　　　＼
　　　　　　j//////////////// l////ll　　　 l　　　　 /　　　　　　く
　　　　　　l//////////////// l////ll　　　 l　　　　/＼　　　　　　l
　　　　　　l//////////////// //// ll　　　} 　　　/　　＼　　　　　 l
　　　　　　l////////////////　////ll　　　j　　 ./　　　　_,'ﾄ　　　　∧
　　　　　　l////////////////　////ll＿＿l__　 /___x／＼.＼　　　　}
　　　　　　l//////////////// /////ll　___○|　ゝ::::oヾ__ _______aia ／
　　　　　　ll//////////////// l////llY'　￣　　{::::::o::::::o:::::o_;｡*'
　　　　　　jl//////////////// l////l l　　　　　ｽ_::::::::_;｡*''''

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　ある時、桓玄は丘に登って震沢という名の湖沼を望んで言った。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　五湖というのは、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .呉の太湖周辺の湖沼の総称
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
180 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:30:32.38 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３９６年頃　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|　
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　　　　　　　……などと言って、桓玄が辞表を叩きつけてきました
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::i:::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::/:::::::::;;:::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::::,'::::::/.i:::::::::::::::::/ ＼::::::;;:::::::|:::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::::|::::/__|::::::::::::::_　　　＼:::;;:::::}::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':::i::::::::|:/- ､ヾ;::::::|/ー,‐‐ ´､＼::/::::_::::::､ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '::ノヾ::::::|'‐ｔｯ､　＼:| 　 ―tｯ-,　ﾘ:/ﾚﾍ:::::.ヽー―-｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ＼ゞ￣　　　　　　￣￣　 '/'/_ノ^ヘ;:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ﾆﾍ　　　　,　　　　　　　　　ー;ヘ､|:| |≧、
　　　　　　　何がしたいんだあいつは　　　　　　　　　　　　　 ./ ｙi !ﾍ　　　　　　　　　　　 /ﾚrﾘ　　|:| i::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いゝ'人_　 _　　　　　　　,　　 /　　;:::i | :::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:＼　　　｀､￣　｀　　イ　.／　　 ,::::i j::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::.＼　　　　｀ー＜　　／　　　./:::〃:::::::::::::::::::::::_:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.」:::::::i_/ ｰ　　　 /.〉ｆ､＿_|へ　　 /:::〃|::::::::::::::／::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{::::::::/＼＼　　 //　!:::::／　/＼/::::〃:|::::::::／.:::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::/::::::::＼｀ー''.ﾄ　ﾍ:く　　/＿＿_∥::i::::::/::::::::::::::::::::::::::::::|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　そして、官を棄てて帰国した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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181 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:32:16.73 ID:gKgqt2ar0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　まず職務を果たせよ　　　　　|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　　　　　　桓玄は自身が元勲の一門でありながら、
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　　　世の人々から誹謗されていると考えていた
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
182 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:32:47.53 ID:gKgqt2ar0: 【桓玄さんの上奏文＠『晋書』『桓玄伝』（一部抜粋）】

　　　　　　　　　　_　＿__
　　　　　　　　／. : :ー-ミメ: .
　　　　　　　 /. : : : :_刈ﾊ}/ﾉノﾊ
　　　　　　　」-‐=彳　/:f^ｰ-弌{
　　　　　　_j　_彡ｲ､__{{八　　 jﾘ
　　　　　　爻{　i{　气-芸ﾐ .ｨｱ
　　　　　　　ハ　　　　　　:{ i
　　　　　　　Ⅵﾍ　　､__　jﾚ
　　　　　　　}:.:.＼_rへ　￣ ′　　　　　　　　　　　　　　　　周公は大聖だったが四国の流言に遭い、
.　　　　　　八:.:.:.f==7≧≠,　　　　　　　　　　　　　　　　　楽毅は王佐だったが騎劫の誹謗に遭った。
　　　　_rf斗x＜:.:r=7　i　」{乂f二ﾆfvﾍ___
r==气x　.乂7. : : ￣ : ::才｀＜: : :oヽ　}}ハ　　　　　　　　 .いつの時代も悪が正される事がない
77i r､＼.{. o: :__ ＞ ´　　 ∨　｀＜:V}}川
//| ! iﾊV }_／. :/　　　　　　∨　　 o{ :弌乢
ｲ: !」_|L!i {: : : : :＼o　　　　　V 　 o{ :i: : : .＼
: : : : : : ,^: : : : : : : :＼o　　　　 ',　 o{:.:| : : : : . ＼
: : : : : 7. : : : : : : : : : : ＼　　　 ′ 7. ,. : : : : : :　.＼
: : : :.７.: : : : : : : : : : : : :./＼　　 i　∧ﾊ: : : : : : : : : : :ヽ
:. : .:.:′. : : : : : : : : : : : .＼:o＼　 / /7 ∨_: : /. : : : : : : ,
: : : :{〈. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ:oヾ　:{ {　　└ｲ-=ｲ. : : : : }
: : :i l　＼: : : : : : : : : : : : : : : }: :o{ : { {　　　.ﾉ=-　..,_fv7ﾉ
ｰ=ﾐ.}　　ヽ: : : : : : : : : : : : :/. o: { 八{　／.:o:.:.:.:.:.:.:=ｱ

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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『桓玄伝』に、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この頃の桓玄が書いた上奏文が載っている。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .彼がどういう物の見方をしていたのかが分かる
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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183 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:33:18.29 ID:gKgqt2ar0: ┏────────────────────────────────────────┓
　先臣は国の殊遇を被り、皇極の婿として常に恩徳に報いようと欲していた。

　勢い良く機に乗じて、
　西に巴蜀を平定し、北に伊洛を清め、
　天子を僭称した賊徒を北の宮城で首とし、園陵を修復して大恥をここに雪いだ。

　覇水の水を馬に飲ませ、趙魏の地に旗を懸け、勤王の軍勢の功績は一勝のみではなかった。

　晋室の危機は殷漢以上であり、先臣の功績の高さは伊尹・霍光に匹敵するだろう。
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　　　　　　　　　　　＿＿____
　　　　　　　　　　／://ﾌ_¨-=_:､
　　　　　　　 /::::,,{///}/ヾ/］
　　　　　　　　　　iｲ｀f' ¨x≦ﾆﾐ !
　　　　　　　　 {:{〈{. くｲ:::::::: ﾑ
　　　　　　　　　 ',:ゝｨ',　ヽ=ﾆ二ヽ
　　　　　　　　　 ',/　＼＿＿__ﾉ
　　　　　　　　　∧　　', 　　〈
　　　___　　-≠≦ニ＼_ ＼.　　ヽ､≧
　／==ヽ｀くﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ:ヽヽ＿___〉Ｙ､｀ヽﾆﾆ7ヽ
∠ニニ=∧ニ＼ヽﾆﾆﾆﾆﾆﾊ ///∧ } ‘，}=∠..___ﾊ｀ヽ、＿
二二二ﾆ=|ニニニ＼ニニ=ﾊ.〉//くV___L二二ﾆ/=ﾊニニニヽ、___　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r‐､
ニニニニ=!ニニニニ＼ニニﾊ'///////,!ニ==/ニ=ﾊニニニニニ≧=-　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｆ　!
ニニニ==/ニニニニニ＼ニハ｀ﾞ|/////二ﾆ/ニニ=}ニニニニニニニ ≧==-----------=ﾆ二..＿＿____　,ｲ　ヽr､
ニニニ=/ニニニニニニニ｀ヽﾆ｀ヽ///,}ニ／ニニニ{ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ= ﾊﾑ　　　}--､
ニニニ/ニニニニニニニニニ｀ー-ヽ /∠ニニニニ !ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニﾆハﾑ　　‘､＜
￣￣｀ヽニニニニニニニニニニニニイニニニニニ !ニ=---=ﾆ二ニニニニニニニニニニニニニ二二ﾆ//￣ヽ、ヽｲ
　　　　 Ⅴニニニニニニニニニニ＼Oニニニニニ }　　　　　　　｀ー=ﾆ二ﾆ=-―------=ﾆ二三二= /ｲ　　　｀ヽ_>

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ここでいう先臣は桓温を指す
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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184 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:35:01.72 ID:gKgqt2ar0: ┏──────────────────────────────────────────┓
　しかし、重任を負った事は過去となり、清時になって誹謗されている。

　明王の聖なる治世に黜陟が横行し、
　顕明な功績が突然廃されるなど聞いた事がない。

　暗い心を持つ者を探し射て、嫌疑と誹謗の道を開き、道行く奸邪な者を明らかにしなければならない。
┗──────────────────────────────────────────┛

　　 .r-、 _００　　　　　　　 /::::'┴'ｒ'
　　 .|::::'´::::r┘　　!「`L00、|.l└ｸ_;厂　 /
　　 .|::::「|:::|　　 l| |Lｎ:::r┘|.l _lﾆユ、 ./
　　 .￣└r''"´］_ l| | ｒﾞ=ﾞ┐ |└ァ::/　/　 /
　　､ヽ、 ,ゞ´_::::| l| |「二:::7 .|.l └′/　 / ／
　　 . ＼＼｀´ |:::|. l| l　〈::/　､ !　　　 '／
　　　　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　　　　／: : : r‐r==========、
　　　　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　　　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　　　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　ヽ,, .ｌ :}
　　　　 | :ﾚ　|　　≦ﾟ≧ ﾐ:≦ﾟ≧ｌ :|
　　ミ　|: : :（|　⊂⊃　､_,､_,　⊂l:/　　　　〃　　　　　桓温とかもうオワコンですよと官吏Aは嘲笑しますwww
　　　　i⌒ヽ: :ゝ.　　　　|r┬|　　ﾙ|_／⌒)
　　　　ヽl|lllヽ从ヽ,､　｀ﾆﾆイ从/l|lll／
　　　　　∧|l||l,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／ｉ.ｉ.|l||lﾊ　ﾊﾞﾝﾊﾞﾝ
. 　　　　( ⌒ ) .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}. ( ⌒ )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ノＹヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(ヽ　　/（ﾟ )( ﾟ）ヽ　　　/)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (((i ) ／::::⌒｀´⌒::::＼　( i)))
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／∠_|　,-）　　　　（-，|＿ゝ＼
　　　　　　　　　　　時代は大谷だっていうwwwwww　　　　　　　　　　　　　　( ＿＿　 l　ヽ＿＿ノ　　 ,＿＿）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 |r┬-|　／´
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ー'´
185 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:35:33.71 ID:gKgqt2ar0: ┏─────────────────────────────────────────┓
　先臣が勤王にして艱難の労と危難を平定した功績を朝廷に遺したのは、臣が言うまでもないだろう。

　先帝が帝位に龍飛するに至り、
　陛下が継いで南面できたのは、誰のおかげか、誰の徳によるのかを人々に問われる事を請う。

　思うに晋室の永安は、
　祖宗の祭祀を絶やさなかった陛下の一門にとって本当に奇功だったはずだ。
┗─────────────────────────────────────────┛

　　　　　　　ゝ/´/////彡∧i‐-､
　　　　　／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
　　　　／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
　　　 ////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ　＼::::::::::ヽ
　　　,//／／　　｀￣￣　〈⌒´i‐‐､´
　　γ⌒ヽ' 　　　　　 ,, 　　ヽノ　　 i
　　 i |i､｀)　　　　　　'ゝ二二二二７　,
　　　､` ヽ　　　　　　　　｀‐-==-　　i　　　　　　　　　　　　　　そりゃ俺だろ？
　　　　､ゝλ　　　　　　　　　　　 i
　　　　 ∨i　､　　　　　．＜三ヽ　ノ
　　　　　∨ 　＼‐‐ ´////////／
　　　　　　〉　　　＼/////////,i
　　　　／ {｀､　＼､｀　ヽ////,i
　　ゝ´:::::::∧､　￣　　 ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:.　　　　　 /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧　　　　 ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧　　／　ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ 　 }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
186 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:36:11.43 ID:gKgqt2ar0: ┏─────────────────────────────────────────┓
　近頃、権門は日々盛んだが、
　醜い政治が頻繁に行われ、意見を述べても互いに煽り合ったため、臣の兄弟は皆晋の罪人である。

　臣らはどのように卑しくも聖なる治世で生きていけばよいのか。

　どのような顔をして封禄を死者へ饗すればよいのだろうか。

　もし、陛下が先臣の大造の功を忘れ、甚だしい讒言を信じるのなら、
　臣らは三つの封地を奉還し、市中で戮を受けた後に地下の先臣に従い、先帝の天宮に帰りたい。
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　　　　　　　　　　. : ´ : : : : : : ｀: : .
　　　　　　　　／. : : : : :; : : : : :ｲ : : ｀: : .
　　　　　 .ｨ. : : : : : : ／ : 才´ : : : : :_:_:_: ﾊ
　　　　　/／.:〃. :／. : :-―=＝ : : : : 才: : ＼
　　　　ﾉ : : :/. ::"ｲ才´. : :ー-=ﾆ : : : : : :-‐＜
　　　 i|:i {: :' :彡'"´∨: ー-ミ: : : : :ー-=≦: : : :｀ヽ
　　　八:ハイ　　　　｀ヾミー-: : : : :_ : : : :-=＝ミーﾐ
　　＞ .斗ｱ　　　 .才<　｀ヾ=ミー-ミ: : : : ｀ヾ: : :彡⌒
　/. :/　 /:!　　　丿孑ｱ　　 }: :ﾘ　り }ｰ-ミ: : : : :_｀≦
　}: :'　.八∧　.イｲｲゞﾞ　　　从(　f　ｲ:ﾊ:｀ヾ: :ー-:彡'
　}:/　イ｀ヾヽ　⌒´　　　　　 .∨: 从(: : ;ﾘ人:{　　　　　　　　　　　　　　　　　兄二人も共にな
　／ _.ノ　　　 !　　　　　　　　,ﾍ(　　)ｲ＞ ´｀Y
.　{　 {.　／ヽ.|　　,　　　　　　　 ′ ＞ ´　＞ ´{
　 i　 |／　ハ　.ーく_.ｨ ´　　　　ｲ／　＞ ´. : : : : ＼__
　 ;　｀ヽｲ　 }ノ　　ヽ　　　／／　ィ. : : : : : : :＞. :´: : :｀:ｭ._
／　　　　｀＜　　　ゝ-＜ }〈イ. : : : : : : ／. : : : : : : : : : : ｀: : .
　　　　　　　　＼__　　⌒ー-} }斗ｫ.: : : :／.＞ ´. : : : : : : : : : : : :ﾊ
　　ー-く⌒ー-斗ｲ　　　 }'⌒∨斗ｫ.:／.: : : : : : : : : : : : : : : : : : :∧
　　　　_　. 二ｱ　　　才.´/　　i ∨イｲ. :/.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∧
　＞ ´　　　　　才´　　 /　　 :{　}.:/. : /.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :{
187 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:37:35.26 ID:gKgqt2ar0: ┏─────────────────────────────────┓
　もし、陛下が先旨の述べる所に従うのなら、
　旧勲を追録して、穏やかに少しばかりの恩を与えるよう密かに望むものである。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _;｡*'￢*:｡、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 x''7: : : : ／: :::`┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　j: : : : ::／: : : 丿::k
　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : :::l::/: : :::／ﾉ:::lヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　./l: : ::ゝl: : ::／::/ )/
　　　　　　　　　　　　　　　　.j.n: : : :ヽ:::l/l ／/ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　``N::::_｡-￢,l｡l ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　y>'_;｡zx==x∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　r／　 ''ﾞYﾞ`　Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　''^＾ﾟ~~~ﾟ＾∧
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　　　　　　　　A NMヽ｡*==￣　　　　　　　　　　　　　￣`ﾍnnnn
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　　　　　　∥∥へヽ∥○＿＿　／　　　　　　 l`x_____○_|| ||ミﾐz
　　　　　　　∥∥/V￣￣　　　　 l　　　　　　　l　　　　￣/|| ||ミﾐz
　　　　　　　j///ﾄﾑV ll　　　　　　l　　　　　　　l　　　　　l` lVﾐ=z
　　　　　　　 .l　/　ﾍ ll　　　　　　l　　　　　　　l　　　　　l /　＼|
　　　　　　　 l/　　　ゝll　　　　　 l　　　　　　　l　　　　 /ノ　　　＼
　　　　　　　 j　　　　　　　　　　　l　　　　　　 l　　　　/　　　　　　く
　　　　　　　ゝ　　　　}　　　　　　l　　　　　　 l　　　 /＼　　　　　　l
　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　 l　　　　　 }　　　/　　＼　　　　　 l
　　　　　　　 l　　　　　lゝ　　　　　 .l　　　　　j　　 ./　　　ﾄ　　　　 ∧

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　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　この上奏文。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　一見、誹謗中傷を信じず、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　自分たちを起用するよう朝廷に求めている。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　ただ、桓氏一門は桓温死後も要職に起用されており、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　桓玄自身も官職に任命されたのは先程述べた通りである
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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188 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:38:31.11 ID:gKgqt2ar0: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　　　　　　それを辞任したのを踏まえると、
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　　　　　　　暗にもっと高い官職を寄越せと言っているように見える。
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　 .父の官品を子が継ぐのを当然とする貴族的な発想だ。
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　　　九品中正法の弊害が極まったとも受け取れる
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿__　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ,-――――-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,　, イ'　／　 _, -― -ミミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　i'´ ／　／/　　　　　 `ヽﾐヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r'´ｌ　　l　.ヽ　.i,／ﾆ二三三＿ `‐ﾐ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V ヽ＿ヽ -`'´　　　`i//∧、＿｀`　ﾐ__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ハl　　　　　　　ヽ//,ヽ､＿_, ､　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//.　 l　　　　　　　　.i ,, ´｀ヽ､//,ニﾐ､` ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .{ !、　,!　　　　　 _,, ィ'"_　　　　l:i /´`lヽ、　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `'　〈__　　.,ィ"ｨ=モイ　　　　ﾘ /ノ,l ヽヽ {、
　とはいえ、太元年間の終わりには、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､i　　　　￣´　　　　　　,__,ｲ､//l,,ハ!
　西府の指揮が我が一門の手を離れていたのも事実。　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　l　　 `l_rﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　__　　　　　　 ,li　　　|-､
　西府軍を統べるのは、大司馬桓温の嫡子である私こそが相応しい　　　￣＿　--'　　　／.:l _,　'_,,,ｨ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ`‐'´　　 ,‐‐'-,- '´ｨ=ﾆ三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィヽ＿_ ,,/イ´,-=ﾆ三三三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,＞/／//ｲ'´　,ﾉﾆ三三二ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／/　i　l_,-_‐'´ﾉ彡=‐'´ , -‐'-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -====く〈ヽヽ l､_ヽ_,-‐'´　　.::／, '´￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／//////｀＞`､´　　　　　〈　i、　　　　　`　､
189 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:40:40.78 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３９６年頃　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|　　　　　　　　　　　桓玄から上奏文が届きました
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／　　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　／⌒
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く:::(　　　 -――‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 /|:::::::::/ :| ::: 斗-―∨:::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::ト八::::::::| r―ｇV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　八 :|:::|r‐a＼Ｎ　―‐ |/|: //＼::＼＞
　　　　　何がしたいんだこいつは？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　　とはいえ、桓温の息子を野放しにするのもな　　　　　　　　　 |//^つ　　-　､　　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　　 r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　　 ∨:/＼　￣￣〉|＼::::| 　　 |ニニ-＼二二ニニﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆ/ニニ=-Ｏ/-| 　L:| 　　 |二二二/ニニニニﾆ|

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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　結局、桓玄の上奏文に対して朝廷は特に反応しなかった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
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　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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190 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:41:12.55 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３９７年頃　晋　荊州　江陵】

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　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
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　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-､
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　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　{　∨/ 　 ′　.ノ　　　彡'　　＼
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞＝＝ミ{i{　 /＞ ´-‐　_　　-－　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ／. 二ﾆ=-ミｵ／ｲ彡ｾ彡ｲ_＿__ _　ー-ミ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 (( /.:彳:}　　　　　　　　　　´ー-=　　ー-=ﾐヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:/八ｵ　　　　　　　　　＿彡j斗=: :＞マ: : ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{　ゝ弍爻　　厶孑≦=≠"　ヾ: //ハ ∨:ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 z≧}'　 f z≦ニ=彡　　　 }:|ふ　}　!:八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　l　　　´￣￣　　　　 .jﾘr ´ ／. {: :j
　　　　　　　　ふむ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' j　　　　　　　　　　　 |イ⌒Y:{.iｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八＿　'　　　　　　　　　八　彡'从7
　　　　　　　　そのあたりが落とし所だろうな　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　＿.ｲ＿___／ニ{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧ー-　　-‐' 　∧　　　.／-ﾆﾆ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ ⌒ヽ／｀ヽ-‐ﾊ　　　　　 .ｲ　}　／_ニニニハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ ´　　 _ｲ⌒ヽ　 j　　.ゝ---＜　＿彡ニニニニニﾆ:}ー-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} _ _＿'´.{iﾍ.∨.f宍不示宍不示宍ﾘニニニニニニニ/. : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　r ´　　　　　ヾ:込V{_り八之乂⌒Y{t∨＼ニニニニニ／. : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:} _　　-―＝ミ辷从　　　　　　　　八.　＼ﾆﾆ =-＜: : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　　　_　　＿丿 . ∧　　　　　　　 ∧ }＿　 ': : : : : : :｀: : : : : :

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./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　隆安年間の初め。
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　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓玄は督交・広二州諸軍事・建威将軍・平越中郎将・広州刺史とされた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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191 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:44:00.54 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　＿
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ.:.／.:.:/´￣￣｀ヾLr":lミ､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i／.:.:.:.ノ.　ー-､、￣´ヾ　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.:.:.:.:.:ｌ´　　ー==､`　 r一〉
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　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄl:.:.`i‐'､　　　　　 -‐‐､　,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｉ:.:.i 　ヽ、　　　　 ´　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ」＿_,--､,、　　　 ./　　　　　　　　　　　命は受けよう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l´, ---==ﾐ､l　トﾆ,´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/三三ﾆ(￣ミЛヽ´------､　　　　　　　現地へは統治する人間を送ろう
　　　　 _,.ィニニ―ヽ‐ヽ―――‐ﾄヽ‐',=ミ三ﾆ(ミ￢　__ヽ`＝ミ-､,l_
　　　ムﾑｨ‐＜＞､ _ヽ冫‐v―――'　　　￣｀｀｀7／ニiﾄ､.　　　ﾉ l
　　　 ,＞ニヽ＿,.イ.l ／　,ノ,ィ‐､-------､_, -‐'"´￣￣ヽ､ヽ／‐┘
　.　　l:::::::::::::::l__,,ノ.ｌ,' 　 /,ｲ.　 /,ノ⌒i　ｨ＜ｏ　　　　　　　　｀i´ヽヽ、
　. 　 l:::::::::::::::::l、 ,.ｲ　.i_/ 　././　　/ー､ヽ、　　　　　　ﾊ　ヽヽヽ､
　　　l:::::::::::::::/├'´|.　　　く,/　　〃　 |　　ヽ､Ｏ　　　　　　ﾊ. 　ヽ､ヽヽ　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣ヽ　
　　 l::::::::::::/　ｌ,／ゝ､　　　　 .〃　./ 　　　ヽ、　,､　　　ﾊ　　ヽヽヽヽ‐‐､　　　　　|　　　　は？　　　　|　
　　,ｨ!:::::::::/　　ヽヽ,／i＞ｔ-r､_　　　,l　　　　　　　ヽ`′ 　　ﾊ　　ﾟ.ｲ　i ├ニト、　　　ヽ＿＿＿＿＿＿乂　
　〈::::::::::::,'　　　冫::::::l´`ヾ､二i￣フ　　　　　　　　　ヽ、　　　ｌ　ﾟ l 　 l ｖヽヽ'´
　ヽ:::::::.ヽ,　　 ./.:::::::::.ヽ、　　￣/.ﾊ　　　　　　　　　 /　ヽ、　　 l　･.ﾉ　　l､ﾉl ﾄ'
　　}:::::::::::::i　　／.::::::::::::::.　`ヽ､_//_ノ　　　　　　　　 /　　　ヽ、　l ／　　　 .|,､V
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/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　しかし、任命は受けたが現地へは行かなかった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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192 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:44:51.34 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_...._
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　　　　　　　　　l ﾄﾄ. ﾄ､ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　｀ﾊ_|ヾ弋弍f'ｰ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　 '´く.　　 'ーｲ　l j､7ァt､__:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
　　　　　　　　　　 rヽ､　lー'-'ノ_ﾉ∠Lゝト弋ー--　　:::＿:ﾉ　これが特に問題視された様子はない。　.
　　　　　　　　　　ﾍヽ--j..-＜}::::::::::::〈.｀
　　　　　　　　　　　 ,ﾚ-'⌒:､　ヽ:::::::::::ヽ- 、　　　　　　　　　.桓玄の一連の身勝手を許す程、　
　　　　 ,. -‐､　　　ヽﾆ.:::::;r‐　'´ l::::::::::::::::::::ﾍ　　　　　　　　　有能な指導者を欠いた東晋の権威は衰えていたのである　
　　　,r'::::.,.-'　　ｒ'´ ::::ヽ　　 __'Jノヽ::::::::::::::::::ﾊ
　　 /:::::/　　　　|　　 l::: ｀ヽ､_　ヽ_,ｌ:::::::::::::::::::::l
. 　 |　:::|　　　 |　　 lヽ､__,. ､　';::::::::::::::::::::::::::::::l.、
.　　|　｜　　　 |　　 |:::::::::::::::ヽ. l::::::::::::::::::::::::::::::|:ヽ
　　 l.　 l　　　　ヽl.　..|::::／::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::|::::l.
　　ヽ　ヽ．__ ノ |　::|:'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　｀ｰ-　一ﾍ　|::::ｰ-､.._:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::|ヽ
　　　　　　　　　　　7ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::|:::ヽ
　　　　　　　　　／::|::|:ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::|::::::ヽ
　　　　　　／::::::|:::|:::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|:::::::::ヽ
　　　　　　　／::::::::::{:::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::|:::::::::::｀
193 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:46:39.55 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３９７年頃　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L
　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1　　　　　　　　これは桓玄殿。
　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ
　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ　　　　　　　　　広州刺史への御就任、謹んでお祝い申し上げる
　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´
　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′
　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_
　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,　, イ'　／　 _, -― -ミミ､
　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　i'´ ／　／/　　　　　 `ヽﾐヽ,
,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､　　　　　　　　　　r'´ｌ　　l　.ヽ　.i,／ﾆ二三三＿ `‐ﾐ l
　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}　　　　　　　 V ヽ＿ヽ -`'´　　　`i//∧、＿｀`　ﾐ__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ハl　　　　　　　ヽ//,ヽ､＿_, ､　ﾊ
　　　　　　　　　晋　振威将軍　殷仲堪　　　　　　　　　　　　　　　　　.//.　 l　　　　　　　　.i ,, ´｀ヽ､//,ニﾐ､` ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .{ !、　,!　　　　　 _,, ィ'"_　　　　l:i /´`lヽ、　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `'　〈__　　.,ィ"ｨ=モイ　　　　ﾘ /ノ,l ヽヽ {、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､i　　　　￣´　　　　　　,__,ｲ､//l,,ハ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　l　　 `l_rﾘ
　　　　　　　　　殷仲堪殿。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　__　　　　　　 ,li　　　|-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣＿　--'　　　／.:l _,　'_,,,ｨ'
　　　　　　　　　近々また宴で了語でも如何か？　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ`‐'´　　 ,‐‐'-,- '´ｨ=ﾆ三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィヽ＿_ ,,/イ´,-=ﾆ三三三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,＞/／//ｲ'´　,ﾉﾆ三三二ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／/　i　l_,-_‐'´ﾉ彡=‐'´ , -‐'-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -====く〈ヽヽ l､_ヽ_,-‐'´　　.::／, '´￣｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／//////｀＞`､´　　　　　〈　i、　　　　　`　､

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　殷仲堪、本籍は豫州陳郡。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　祖父の殷融は吏部尚書、父の殷師は晋陵郡太守まで昇進し、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　自身は清談・文章に優れ、何晏の『道徳論』を三日読まない事はなかった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　謝玄の属官を務めた後、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　晋陵郡太守、太子中庶子、黄門侍郎を歴任
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
194 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:48:11.15 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L
　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1　　　　　　　　　　　よかろう。
　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ
　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ　　　　　　　　　　　　.当日は顧愷之も連れてこよう
　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´
　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′
　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_
　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＾}................／....../............乂.......|
　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__　　　　　　　　　　　　　　　　{...../............../.../|.........:|:::::::::}::}::::::ﾊ
,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､　　　　　　　　　　 }）{:::::::::::::/:::/:::|::::::::::|:::::／/::::::::::〉　
　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}　　　　　　　　　 {:::::::＼::::::::{::::{:::::|::::::::/::/:::/:::::::／{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {::::＼(ーｙ／/ーｙｒｙー＾＾＾⌒}:::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨:::::|　/／{{　　　　　　　　　ﾐ:::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _}::::::ﾐ　{:{　 }}　　　　　　　　/__}::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そ/＾个￢==ミ、　　ｒ＝===彳/ﾐ /ハ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ {　ﾐ{ -禾莎ミ、　 ,.禾莎=-　|/　/√ ）
　　　　　　　　　　　それは重畳。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　./∧　|　＾　　/ |　　　＾　　　/　/}/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼',　　　 ∨|　　　　　　 /|_./
　　　　　　　　　　　今日の所はこれで失礼を　　　　　　　　　　　　　　　　 / ∧　　　、」　,　　　 / .|(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|/ ＼　　- ￣ -‐' 　 /　/＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|＼＼ | ＼　　　　　／／　 /|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾆ=＼＼　＼＿__／／　／　|＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ｒ‐.|二二.＼/＾７⌒「∧´　／二二∨三＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　　_.. -=ﾆ￣　 |　 |二二　/　/　　:||　∨ニ二二ニ∨三三≧s｡.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|〕‐=二　　　 ___/￣￣￣￣)　/　　　||　/∨二二二ﾆ ∨三三三三/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　孝武帝の信任厚く、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　会稽王は社稷の臣にあらずとして西府軍を任され江陵に駐屯させられた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .都督荊益甯三州軍事・振威将軍・荊州刺史が肩書となる
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
195 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:48:51.35 ID:gKgqt2ar0: 　　　-''":::::::::::::｀''-､
　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ
　　　　|::::ﾉ　　　ヽ､ヽr-r'"´　　（.__
　　　_,.!イ_　　_,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7
_..,,-":::::rｰ''7ｺ-‐'"´　　 ;　 ',　｀ヽ/｀7　　　　　　　殷仲堪様。
"-..,,_r-'ｧ'"´/　 /!　ﾊ　ハ　 !　　iヾ_ﾉ
　　`!イ´ ,' |　/__,.!/　V　､!__ﾊ　 ,'　,ゝ　　　　　　　あまり桓温に心を許してゆっくりするのはどうかと
　　　`! 　!/ﾚi'　(ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝﾚ'i　ﾉ
　　　,'　ﾉ　 !'"　　 ,＿__,　 "' i .ﾚ'　
　　ノﾉ（　　,ﾊ.　　　ヽ _ﾝ　　人!　　
　（ ,.ﾍ ,）､　　）＞,､ _____,　,.イ　ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L
　　　　　あの桓温の息子にして才能もある。　　　　　　　　　　　　　　　l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!
　　　　　迂闊に扱えば、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　桓氏恩顧の故吏が騒ぎ立てよう。　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　顧愷之を呼んでくれ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 .: .: .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. :. :. : .: .: .:. :. :. :.

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　桓玄が義興郡太守を辞任して江陵に戻ったのは殷仲堪の任期中である。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　殷仲堪は桓玄の才知を憚り、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓玄もまた殷仲堪の軍勢を借りようと欲し、互いに深く交わり結んだ。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　実際に議論を戦わせたり、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　遊びに興じたりする間柄だった様子が史書に見える
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
196 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:50:56.25 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　 r==={三三＼: : : : :＼
　　　　　　＞ '"ﾟ~￣~ﾟ"'':r＜三三三ヽ
.　　　　／: : : :／⌒ : : :〉' : .`マ二ﾆ/
.　　　　/: : : : /: : : : ∧: ﾞ´. : : : :∨_/__
.　　　／:／ : │: : : : |ミVヽ: :＼ : ∨ﾆﾆ〉
　　 /:イ : ／:│: : : : |'~ ´ ‘,: : :´, : :｢｢Y､　　　　　　　　　　　殷仲堪様。
.　 /:'　| :/:/`∧_ : : : : ､ _／: : : :|_: :| | |:∨
.　 {(　 |/:/: :芹ぅ､ﾄ､: :ヾ:> 　} : : | }/| |√ﾍ　　　　　　　　　　.参軍の顧愷之、只今参上しました。
.　　　 /:/: ﾍ夊ﾂ　￣ ⌒¨/:∧(ノ /)〈_〈y∨
.　　　{/＼:ハ "　 ' 　　""/:ノ¨゛　 | ￣　　|:＼　　　　　　　.どんな御用で？
　　　　`　　＿)h､｀　´ _. ｲヽ_　　　＼　　 ,|:＼:＼
　　　　　／　/::::八¨゛ _／　}:::ﾄ､_　　 {`¨゛ﾄ､〈､＼
.　　　 / 　 /::::/／^ロ､　/::::| ⌒＼〈ヽ__ノ　|:＇＼:＼
　　　 / 　 /:::／　 /| 　∨::::::l　　　ヽ|　　　 |: ＇　＼:＼　　　　　　　　　　　! .:.:.　　　　　　　　　　　　　.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　晋　振威参軍　顧愷之　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ
　　　　　　　近く、桓玄ら客人を呼んで了語を行う。　　　　　　　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′
　　　　　　　お前も出席するように　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　顧愷之、字を長康。揚州晋陵郡無錫の人。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　父の顧悦之は尚書左丞を務め、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　殷浩の名誉回復を桓温に掛け合った事で知られる。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　博学にして才気があると共に、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　諧謔を好み、多くの人々に親しまれた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
197 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:51:52.35 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　 . . : ''"ﾟ~￣~ﾟ"ヽ≧s｡_
　　　　　　　　　　　／: :／￣:￣:／⌒:∨: :ミh､＿__
　　　　　　　　 /: :／ : : : : : /: : : : : :∨==ミ∨//＼
.　　　　　　　　 /／: : :/ : : : /: : : : : :/i:}: : : : : ∨///〉
　　　　　　　／／: :/: :/: :/: : : : : :/ミVﾍ: : : : :∨／
.　　　　　　　／: / : : /: :/:│| : :/ : :/´　　 }: :│ : }(
　　　　　　　/:／/: : :/: :/／|.:| : | : :/　　　 |: : |: : :|∧
　　　　　　 //　/: : : |-/‐‐-|.:| : | :/　-‐…‐|: :/: :.│/〉＼
　　　　　 //　/: : : :.|/　　 {∧ :{:(　　　　ﾉｲ: : : :.|＼，: : :.
.　　　　　 {:(　/:ｲ: : : |x=＝ミ{　ヽ(　 x=＝=ミ}:/:/: :ﾘ_ノ '，: : :.
　　　　　　 |∧: : : | vぃv　　;　　　 vぃv /イ: : ∧: : : '，: : :.
　　　　　　 |(.∧: 从　　　　　　　　　 ⌒7:／^~ ∧＼: '，: : :.
　　　　　　　　｢ヽ :{ )h､　 (_￣++7 　 _ ｲ(　　　　　＼＼'，: : :.　　　　　　　　　　　　了解でーす
　　　　　　(＼　 |　{人ﾙ　^ ｫ､　￣ _ ィ　　　　　　　　＼:.'，: : :.
　　　　　　＼＼|　{ 　　　ｧ‐} : : ¨゛　_{-､　　　　　　　　　　⌒'， : :.
　　　　　　　r‐(¨＼}-‐　''7　＼_　_／　 }‐- 　 ,,＿__　　　　 } : : : :.
　　　　　　｢ヽヽ　＼ _∧_＿__ハ＿＿∧　　　　　 /⌒∨　　} : : : :}
　　　　　　{ ^} |_」/ 　《:i:i:i:i:i:r={_:i」=､:i:i:i::i:＼　　　 ′ 　∨　ﾉ : : : :}
　　　　　 ∧ ¨゛: 　_／|{:i:i:i:i:ノ:::ハ::＼:i:i:i:i:i:i:ﾉ　　　 :: 　　 ∨ : : : : /
　　　　　_|　￣￣　　./}:i:i／／i}:::{＼:::＼i:i:/　　　 rｉ{　　　　∨: : :./
　　　　ﾉ.|　　　　　 /<∨_/i:i:i:ｉ|:::|:i:i:i＼_∨:'，　　 ∨＼,,_　　∨／
.　　　 /｢｀‐-==-‐´〉 .〉､:i:i:i:i:i:|::::|i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉:'，　　 {^＼　　⌒＼
　　　/_ﾉ　　／　　/ 〈:i:i:＼:ｉ:i:|:::::|:i:i:i:i:i:ｉ／ヽ::'，　　{_　　　　　　〉
　　∥　　　　　 / /::＼:i:i:＼|:::::|:i:i:ｉ／:i:i:ｉ:ｉ:〉::'，　 ∧　　　　　 ∨

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　父親の官職を見るに、寒門寄りの士大夫だったように見受けられる。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　それでも彼を有名にしたのは、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　才絶・画絶・癡絶で「三絶」と称された圧倒的な才能だった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　文才・画才・集中力で他の追随を許さず、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　それによって桓温・謝安・殷仲堪・桓玄ら時の権力者に重用された
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
198 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:54:42.42 ID:gKgqt2ar0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　士大夫のお遊び　　　　　　 .|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　さて、これから紹介するのは、
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　 .『晋書』『顧愷之伝』にある当時の士大夫の遊興の光景だ
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､　
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!　
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
199 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:55:57.63 ID:gKgqt2ar0: 【紀元３９７年頃　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　　　　　　 ,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L　
　　　　　　　　　　 l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ　
　　　　　　　　　　 l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!　　　　　では、参加者が揃ったので了語を始めるとしよう
　　　　　　　　　　　ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　　　　　　　　ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　　　　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿
　　　　　　　＼　　　 .: .: .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. :. :. : .: .: .:. :. :. :.
　　　　　　　　　　　　　　 .:. :. :. :. :. :. : .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. : .:. :　　　　　　　　　　　　　＿_　　 _____　　＿_____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,´　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_ イ、　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'r ´　　　　　　　　　　ヽ、ﾝ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'＝=─-　　　　 -─=＝',　i　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　ｲ　iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚﾘｲi (ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝ ).| .|、i .||　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はっ！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!Y!""　 ,＿__, 　 "" 「 !ﾉ i　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L.',.　　ヽ _ﾝ　　　　L」ﾉ| .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ||ヽ、　　　　　　 ,ｲ| ||ｲ| /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　レル｀ー--─ ´ルﾚ　ﾚ´　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『顧愷之伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　桓玄と顧愷之は殷仲堪の座に同席し、共に了語を作った
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
200 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 01:56:34.57 ID:gKgqt2ar0: 　／: : ／: : : : : :／: : /: :/: : : : : /: : : :／}:r:／:l: :＼
　: : ／: : : : : :／: : ／: :/: : : : : /: : : :/ミｉ|:/ ﾍ: l: : : :＼
　／ : : : : : ／: : ／: : :/: : : : : /: : : :/ヾ::ﾘﾞ:／ﾑ:|: : : : ､:＼
　..:／: : : :/ : ／: : : :/| i : : : : |: : : /¨~"' ^ﾍ彡,|: : : : : : : :＼
　/: : :/: /:／: .: .:_､//|│ : : : | : : ′　　　 ⌒:|: : : : : : .'＼: ＼
　: : :/: ／: :_,, -　 //│|: :_ノ: |: : {　　　　　　 :|: : : : : : : '，＼: ヽ
　..､‐''゛_､ィ／ｰ――|:^" : : │: 　　　　　　　 | : : : : } : : ，　ヽ}
　￣: :／／　　-‐‐　人|: : : : :|∧:＼　乂_ 　　 l : : : : | : : :|　　　|
　/:／／_ﾌア¨¨テ弌ミ､､ : : : {　¨⌒　　　^　ｰ-ｌ: / : : |: : : |　　　|
　／ｨ^|: _)ミ{ 　 /　　 }　ヾ＼ : {　　　-‐…　､　/:/: : : |: : : |　　　|　　　　　　では、最初は私から。
　: :|: |: :'^寸　 {　・　;　　　＼　　_xf竓ミh､　/ｲ: : : : ∧: : |　　　|　　　　　　　　　　　　　　　・
　:∧{: :ﾄ（､　乂__ノ　　　　　　 ^/ 　 }　ﾏ{　 |: : }: :ﾞ　}: : |　　 ′　　　　　「火燒平原無遺燎」
　/(|: 〉､{ 　　　:^¨゛:､　　　　　　 {　・ ′　}ﾘ /|: :/:/　 }: :/　 _ノ
　ヾハ{　ヽ　　　　　　　　　　　　乂ノ　ノ_:^:/:/:/|　 }:/　　　　　　　　　　（火は燃えて平原に焼き遺る物は無し）
　＼__人_,　　　　　　　　　ﾉ　　　　　｀¨~ ､: /::ノィ:/ .|　ﾉ′
　..^ .',　　　　 /⌒!　　　　　　　　　八/／:　乂 ,'
　　_r ,　　　　 ∨丿　　 , -==､　　／　　　　　/ .ﾉ
　/.ﾉ＼ ',＼　　　 `　ー-〈////ﾊ　　
　{　　..l ＼　丶、　　　　 V///:ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 _,,. 　 .-‐=≡7
　' 　 .＼　　　　｀　ｧｰ-r＜ V///ﾊ　　　　　　_,,. 　 .-‐=≡ﾆ¨´　　　　　 /
　　　　丶、　　／　　｜　　∨厶斗-‐=≡ﾆ¨´　　　　　　　　　　　　 /
　　、　　　　_,.≧ﾆ=-‐=≡ﾆ¨´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　＼　　/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　了語というのは、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　謎を含めた語句を読み続け、句末の語は了と同韻の語を用いる。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .『晋書』の記述を見るに、七言の句でまとめる場合が多かったようだ
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
201 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:01:09.86 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.. -‐≠;ー-　..,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. :{ : i|: /: : : ｨ. : ー=ミ: .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _j:. V V i|/. ／＞-=ﾐ: : : : : ｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r:才＼∨ｨｲ才"　　　 ∨ー-≠､:ー
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{f斗≠"　　　　　,..斗__, 廴: :＼: : ヾ:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≠{从/　　　 ,..斗_≠⌒　 ⌒ヾ＼＼: : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / :{_,　}才vツ,ノ　　　　 }: : ＼ヽ :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ≠ｱ　　　￣　　　　　　　 v≠ﾐ:＼:{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　vV　　　　　　　　　　　 }/⌒V. :ﾊ
　　　　　　　では、続いて。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }ﾍ　　　　　　　　　ﾉ｝f) }＼〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　・　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.i　ヾ　　　　　　　　　　　　　ﾚ .ｨ. : 从
　　　　　　　「白布纏根樹旒旐」　　　　　　　　　　 .　　　　　　　从　　r＝ｰ:- ､　　　　　　　　ﾄイ. : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　ゞ -‐　'"　　　　　　 .ﾉ从: : /
　　　　　　　(白布を根樹に纏わせて旗とする)　　　　　　　　　　　 ∧　　　　　　　　　　　　.ｲ　　 )ｲ{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　　　 ∧　　　　　　＿_, .. イ　_,..斗＝ユ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.ハ　　　　　|.　　＞ ´ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　斗≫---r-:j　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //:i:i:i:／￣i⌒Yﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 { {:i:i:i:i＞　/　　}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＞≪　　　‐-　..,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 { {:i／ /　.{⌒ヽ}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＞　´イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 {イ }､ {^ヽ.∨/ {ﾆﾆ=＞ ´. : : : : : ｀＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 { {⌒ヾ∨7ーｲｲ=≠. : : : : : : : : : : : : : :｀＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≠＞. : :}ハ. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .｀＜
202 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:01:39.61 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　! .:.:.　　　　　　　　　　　　　.!
　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L
　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1
　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ　　　　　　　　　　　次は私か。
　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´　　　　　　　　　　　　 .「投魚深泉放飛鳥」
　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′
　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_　　　　　　　　　　　　　（魚を深泉に投げて飛鳥を放つ）
　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ
　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__
,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､
　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}
　い　　　 |　　　　　＼　/ 　　ﾊ　　　l::::::::l　　/ //　 V

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　 _____　　＿_____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,´　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_ イ、　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'r ´　　　　　　　　　　ヽ、ﾝ、
　　　　　うーん。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'＝=─-　　　　 -─=＝',　i　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　ｲ　iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i　|　
　　　　　ゆっくり考えたのですが良い言葉が思いつきません。　　　　　　　　　　ﾚﾘｲi (ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝ ).| .|、i .||　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!Y!""　 ,＿__, 　 "" 「 !ﾉ i　|　
　　　　　私の負けですね　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 L.',.　　ヽ _ﾝ　　　　L」ﾉ| .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ||ヽ、　　　　　　 ,ｲ| ||ｲ| /　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　レル｀ー--─ ´ルﾚ　ﾚ´　
203 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:02:14.01 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　＿|￣|＿|￣|　 |￣|_|￣|＿_|￣|_|￣| 　 |￣|_|￣|＿|￣|
　　　　　　|＿　＿||　 |￣　　 |　 |　　　　 |　 |￣　　　|　 |　　　￣|
　　　　　　ｒ┘└へ|　 |二ｺ ┌'| 　|二ｺ ┌|　 |二ｺ ┌'|　 |二ｺ ┌┘
　　　　　〈〈]　ﾟ,、〈|　 |　o　ヽ|　｜ o　ヽ|　 |　o　ヽ|　 |　o　└「￣＼
　　　　　　ヽ-ﾍ_>ﾉ_ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿八ﾉ|＿|､＿ハ/|＿|､＿ハ/｀⊇.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.　-───‐-､､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　'´　　　　　　　　　｀`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　　　　　仕方のない奴だ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ
　　　　　　　　　では、次は危語をやるとしよう。　　　　　　　　　　　　　　　l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　　　　　誰か思いついた者から始めてくれ　　　　　　　　　　　　　　　.ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 .: .: .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. :. :. : .: .: .:. :. :. :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:. :. :. :. :. :. : .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. : .:. :

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　殷仲堪らは続いて危語を作った。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　危語も要領は了語と同じで、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .今度は句末の語を危と同韻の語を用いる
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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204 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:03:05.02 ID:gKgqt2ar0: 　　　　才ｲ ::|ｲ:://. ／. : : ‐-ミ: : :ヽ
　　　ｲ:ハ:!: :{:{i:{:{彡'"´_. : -=＝ミ:｀ヾ
_＿＿}＞ォイﾒ∨才ｨｫ=ミ:ー-=ﾆ: : :⌒ｱ
｀ｰ=彡才ﾊ :| ｀ゞ'"´　　　 }:才´ｰ-ミ : :}
.　八 ∨{∧{　　　　　　　｀ヾｰ-ﾐ: :＼!
　　　 }汽:,　乂　　　　　ノﾙj　}: :ｰ-ミﾊ
　　イﾊ示メ.　　　厶斗≦,　 {才⌒ヾメ　　　　　　　　　　　私から。
　　 ∧ 汽ﾓ:圷ｰ斧"ﾓ:ｱ才. 从:ﾘ⌒;汽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　ハi　　￣i　　　　￣　　　}/　 /⌒　　　　　　　　　　　「矛頭淅米剣頭炊」
　　　　 '.　　 :l 　　　　　　 ,　.ｲﾘ
.　　　　∧ 　 .;!_　　　　　　　　/ハ:f　　　　　　　　　　　　　（矛の頭で米を研ぎ、剣の頭で炊く）
　　　　　∧　 _｀ｰ_＿　,　　　ｲ.刈り
ｨｭ_　　　　ヽ　｀ﾆﾆ　 ´　rく　　从{
ア / / ー＜∧　　　 _,.ｲ/　　＞'"´｝　＿
: :/ /: :＞ ´　／￣ﾊr-=≦-‐=ﾆﾆ才´.:.:.:.ﾊ＿
: { ｲ ´　　　 '　　 .//ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-／'.:.:.:.:.::.／.:.:.:.:
ｲ厶. 　　　　 / {ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ_/.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:　　　　　　　　　　　　　　　　　　! .:.:.　　　　　　　　　　　　　.!
　{:::::.＼　　　　/　 'ﾆﾆﾆﾆﾆ_/.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::　　　　　　　　　　　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ
　　　　　　　続いて。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　・　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´
　　　　　　　「百歳老翁攀枯枝」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_
　　　　　　　（百歳の老翁は枯れ枝に縋る）　　　　　　　　　　　　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い　　　 |　　　　　＼　/ 　　ﾊ　　　l::::::::l　　/ //　 V
205 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:04:58.49 ID:gKgqt2ar0: 　　　＿_＿　　　 _____　 ______.　　　
　　ネ　　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_''　　　
　　, ﾝ 'r ´　　　　　　　　　　ヽ、　
　 i　,' ＝=─-　　　　 -─=＝ ;　､　　　　　　　はい。
　 |　i　ｲルゝ､ｲ;人レ／ﾙヽｲ　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　 ||. i、|. |　(ﾋ_]　　　　ﾋ_ﾝ) i ﾘｲj　　　　　　　　.「盲人騎瞎馬臨深池」
　 |　iヽ「 ! ""　　,＿__,　 "" !Y.!　　
　 .| |ヽ.L.」　　　ヽ _ﾝ　　　,'._.」　　　　　　　　 .(盲人が片目が見えない馬に乗り、深い池に臨む)
　ヽ |ｲ|| |ヽ､　　　　　　　ｲ|| |　　
　　ﾚ　ﾚル.　｀.ー--一 ´ルレ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　何？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 .: .: .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. :. :. : .: .: .:. :. :. :.

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　桓玄と殷仲堪が危語を作ると、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　今度は殷仲堪の参軍の一人が続いた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .彼の危語を聞いた殷仲堪は驚いた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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206 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:05:39.68 ID:gKgqt2ar0: 　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　　　 :i
　　　　　　　　　　　　__| i　　､i 　 i,,,　　 ,, |
　　　　　　　　　　　 { ﾍ=-､＿ゝﾉ＿__,,,i_ﾑ
　　　　　　　　　　　ヽ i ¨ﾐ=ﾟ彡i て◎ l}7'/　　　　　　　　　　　　　貴様。
　　　　　　　　　　　 `ﾍヾ '~,ﾉ:i　､`ｰ'',ｨ/
　　　　　　　　　　　　　　 i /~7`ｰ'i´''､'/~　　　　　　　　　　　　　　目上を馬鹿にしているのか。
　　　　　　　　　　　　 __,　|ﾚ'¨''''='''‐､」
　　_,,--､,,__へ,_／ア'~ ､>'＼＼,,__,,∠ｌ_　　　　　　　　　　　　　　　 .今日限りでクビだ
　 /,=‐'''―ヽ、＼'､＼　ヽ、 `''''><　　i＼_
　ゝ/ﾆ=''~,ｰ､ヽ　＼ヽ＼　 `'-∠__＼ _i＿ｉ`‐=へ-､-､
　〔='_,ー{､__〉} ＼　＼　＼　　　　￣　　￣¨ 彡''',　>-‐、
　　ﾝ'ヽ. `ｒ'''｀ヽ i ﾄ､, ヽ、ヽ、　　　　__,,-―'''~　／ '' 　 /
　　人　i　 }ノ　/`‐､i,_>、　　 `ー-‐''' 　　 _／／　　　 ,/
　〈　ヽ:ヽヽーﾍ,,＿_,,) i＼_　　　　　_,,,-‐'_／　　　　　i､
　　ヾ､_>_＼_）／　|　|　 i　iヽ`ー-､'~　 <~　＿_,,,-―-''_/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　 _____　　＿_____
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　： ,´　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_ イ、：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　： 'r ´　　　　　　 ..::::::::::::::.、ﾝ、：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　： ,'＝=─-　　　　 -─=＝',　i ：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：i　ｲ　iゝ、ｲ人レ／_ルヽｲ i　| ：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：ﾚﾘｲi （◯）,　､（◯）::::| .|、i .|| ：
　　　　　　　　　　　　　自信作だったのに！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.： !Y!""　 ,rｪｪｪ､　".::::「 !ﾉ i　| ：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　： L.',.　　|,ｒ-ｒ-| 　 .::::L」ﾉ|　| ：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　： | ||ヽ、｀ﾆﾆ´　.:::::,ｲ| ||ｲ| / ：
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：レル｀ー--─ ´ルﾚ　ﾚ´：

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　何故かと言えば、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　殷仲堪は片目が不自由だったためだ。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .上官の身体的特徴をイジッたこの参軍は罷免された
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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207 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:06:23.12 ID:gKgqt2ar0: 【甘蔗はサトウキビの事】

　　　　　　〈 .‐ヽ:::::::::∨:::.　　／: : :ヽ　 ., - 、
　　　　　　ﾉ　　ヽ:::::::∨:::,./:／: : ヽ} ./:ヽ: :＼
　　　　　　'　　　　 .Ｌ::::::∨/ .: :_/¨ヽ∨_ : ',: : : }＿
　　　　 ,　　　 /⌒人´ｚ＜;:{, 、_　　　　　｀}: : :!: : }､
　　　 ,　　　 ./　　　 ⌒ヽ:::::ヽ　　　　　　ﾉｲ: }: : : :',――ｧ
　　.,　　　　/　　　　　　/ 〉⌒　　　　　　 .リ, - ､ :}:::::::::{　　　　　　　　（単純に下手なんだよねえ）
　　/　　　 .〈　　　 . {　　　　＿　　　　　 /　　} :}＼:::{
　　∧　　　　＼　　　...',　｀¨´　　｀¨´ヽし { 　 ,/ :j::::::::',　　　　　　　（瞎の字がなければちょうど七言なのに）
　　 .ヽ　　　 '::::＼　 . ＼　　　　　　　　 r‐ ': : /::::::::::}
　　　 .ヽ　　　!　　;ヾド　../＼　　　　　　 _,ノ: : : : :{ ＼/´
　　　　 .＼　|　　;　　　.{∧:ﾉ}　　　　 }ｰィ: :∧:_〉
　　　　　ヽヽ　　l　　　　r '' ｉ　　　　／´ヽゝ{:│　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : j. : : : : ,. : : : : : : ｀ｰミ
　　　　　 ∨!　　!　...／/　,r､{ ＿,／　　ｲ＼ |　　　　　　　　　　　　　　　　f: : : : : _ : : /. : : : : : : : :-=ﾐ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八: : :_/: f : : :/: : : : : : : : : : (
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f: :ﾐ:ｲ: ﾊ: :ﾚﾊｵｲ彡斗: : :-=ミﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝ミr:{::{ハ(　　　　´ 彡ｵ. : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}:_: {人!　｀ヽ　　　　 ,}≦=ﾐ乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7:ﾊ筏ミ:ｘ　　 _厶斗ｲ 7´ヽ: :/
　　　　　　　時に顧愷之。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八杙tぅﾒ　 f匕tうｱ"　}!乂:f´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀.　￣　　!　　　　　ｲ i: り
　　　　　　　君は何故甘蔗を　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　j|　　　　　 .'从（
　　　　　　　いつも葉から茎に向かって食するのか？　　　　　　　　　　　　　/∧　　ゝ　　　　　.' / }｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}个｀ー　´　イ／ﾆ:|
　　　　　　　皆が不思議がっている　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ . 　-=ｾ: : ::}＞　⌒ヽ＜ {f_ﾆﾆﾆ{: 、_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / { } { }　　　　　}: : :＞f ￣｀ヽ｀Yﾆﾆﾆﾆ/: :{:7＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 ′り .}j　　＞. :´r ´　 (rー-　　 .V_ﾆ彡': :／.:::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′∨ 　　.′. :o: ⌒ヽノ}　rv　　　 {: : : :／.:::::::::::::::::::｀ー-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. //// V　　 '⌒＼／. ＞ ´ゝｲ　　　　l : :/.:::::::::::::::::::::::::::::::::'⌒ヽ

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　南朝の士大夫の暮らしぶりを伝える貴重な記録である
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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208 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:07:02.63 ID:gKgqt2ar0: ¨ :'' ､,.-､
: : ／: : : ＼-‐‐- . 、
: /: : : : : : : :＼: : : : ＼
/: : : : : :', : : : : :.､: : : : :＼
: : : : : : : }: : : : : :}: : : : : : :ヽ
: : : : : :､∧: : : : :j＼: : : : }ノ　
: : : : : :/＼: : : :∧ : ',: : : !
: : : : :/　　}＼:/　': : :',: : j
: : : :/　,ィﾆﾆミｘ　ｉ: : :| :/
__／　 {/ノイ,x 　 |: : :}/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ようやく佳境に入るから
: : |　　ゞ　 .f心　 | ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ヽ .
: : |　　　　 {{ う　 {、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 }　　 ‐- ､
: : | 　　　ゞリ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j 　ゝ-'‐''　 }
: : |　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　 .}
: : :', 　　 r ､　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　,j
＼ _〉　　ゝく＿,ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ ´￣ヽ　　　 ,ﾉ
＼　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐ ､　　　 |＿／
ｰ-｀ｰ- ,　＿ /　　　　　　　　　　　　　　＞　´　　 ‘，　　 j
.　　　 /」　　　　　　　　　　　　　　＞　´　　　　　　 ∧ 　／
、　　 / :ヽ､　　　　　　　　　　＞　´　　　　　　／　 }／
　｀ｰ': : : :} }　 _ ,.　　-‐=　 ''　¨ ´　ヽ、　　　　　　　　　／

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　このスレもな
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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209 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:08:35.71 ID:gKgqt2ar0: 【>>208修正】
【これが佳境の語源】

¨ :'' ､,.-､
: : ／: : : ＼-‐‐- . 、
: /: : : : : : : :＼: : : : ＼
/: : : : : :', : : : : :.､: : : : :＼
: : : : : : : }: : : : : :}: : : : : : :ヽ
: : : : : :､∧: : : : :j＼: : : : }ノ　
: : : : : :/＼: : : :∧ : ',: : : !
: : : : :/　　}＼:/　': : :',: : j
: : : :/　,ィﾆﾆミｘ　ｉ: : :| :/
__／　 {/ノイ,x 　 |: : :}/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ようやく佳境に入るから
: : |　　ゞ　 .f心　 | ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ヽ .
: : |　　　　 {{ う　 {、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 }　　 ‐- ､
: : | 　　　ゞリ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j 　ゝ-'‐''　 }
: : |　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　　　　　 .}
: : :', 　　 r ､　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　,j
＼ _〉　　ゝく＿,ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ ´￣ヽ　　　 ,ﾉ
＼　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐ ､　　　 |＿／
ｰ-｀ｰ- ,　＿ /　　　　　　　　　　　　　　＞　´　　 ‘，　　 j
.　　　 /」　　　　　　　　　　　　　　＞　´　　　　　　 ∧ 　／
、　　 / :ヽ､　　　　　　　　　　＞　´　　　　　　／　 }／
　｀ｰ': : : :} }　 _ ,.　　-‐=　 ''　¨ ´　ヽ、　　　　　　　　　／

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　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
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　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　このスレもな
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
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210 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:09:05.07 ID:gKgqt2ar0: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
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|　　　　　　　　　おしまい　　　　　　　　　|:::::::::::::|　　ゝ::::|
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211 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/06/12(木) 02:11:25.02 ID:gKgqt2ar0: 【第百十二回に続く】

新規CAST

～晋～

●殷仲堪（いんちゅうかん）　フォンセ・カガチ（機動戦士Vガンダム）　
212 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/06/12(木) 05:47:00.47 ID:QlNutl180: 乙でした
好きなものは後で食べるタイプですね
213 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/06/12(木) 09:51:22.47 ID:aoRLL+BK0: 乙
214 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/06/12(木) 12:15:34.67 ID:nHSosl6M0: >>1さん乙です
この桓玄の上奏文を見ると、上昇志向を隠そうともしない、桓温をはるかにしのぐ野心家みたいに見えるけど、世代の差なんかもあるのかね？
（桓玄は桓温と57歳差）
215 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/06/12(木) 12:38:18.31 ID:rv73MWcq0: 乙ですー
ウイング勢にしれっと混ざるカガチ
ラストで理由が判明ｗｗ
216 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/06/12(木) 17:50:58.00 ID:JNZddG9m0: お疲れ様でした。

「佳境」は食べ物由来だったのか。ちょっとイメージ変わりそうです。

そういえばこのスレの張角はギレンでしたねえ
張角没後213年、乱世未だ盛んなり

ここまでが壮大な前振りだったということか
217 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/06/14(土) 08:50:40.83 ID:G663ZGPzO: 乙でした

桓玄については何というか、単なる?郡桓氏の後継者ではなく
桓温と桓沖の二人が「桓温の事業の後継者」として一から育て上げたサラブレッド感がある

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