このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください

やる夫が正史を書くようです６３

262 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:53:11.04 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９６年頃　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　／:::::::　　:::::::::::::　　.:.:.:.::丶
　　　　　　　　 /::::/‐..､:::::::::::::ii:::::::::::::.....‐､:ヽ
　　　　　　　　,':::::!　　｀''‐ ､ハ...-''"　　ﾞ､.ﾊ
　　　　　　　 .i:::::′　　　　　　　　　　　 .〈:::::!
　　　　　　　ｌ-､i r'''≠ｮｭ__、　 _.uｮ≠ヤ､i::,-ｌ　　　　　　　　陛下。
　　　　　　　〈　ｷ　ﾞ`!夕ﾞ"′　rﾞﾞ'ﾞ.!夕"゛ .ﾂ　!
　　　　　　　ﾊ　ヾ.　￣　　　｛　　￣　 .ﾘ　ﾒ　　　　　　　 .琅邪王氏の王珣殿は当代の名流ですが、
　　　　　　/:::::乂」.　　　　　　!　　　　亅メ:::'、　　　　　　 .酒色を見るに用いられるべきではありません
　　　　　∧:::::::::::∧.　　　　丿　　　　 ./:::::::::∧
　　　　./　:::::::::::::::.∧　　ｰ――'　　 /:::::::::::::::∧
　　　 /.:.:.:　.:.:.:..,'::::::|丶　　　´　　　 ,.'i､:::::::　　 ∧
　　 ./:::::::::./:::::.,'::::人　丶　　　　　,'　 i::i:::::::::::::::::∧
　　/:::::::::〃:::::,'／′ヽ　ー--―´ .／ヽ|::::::ヽ:::::::∧　　.　　　　　　　 { | 川/ : : : ／: : : : : : : : : : : ヽ
　 /:::::::::/,':::::.7　 !　　　''‐....＿....-''´　　ii:::::::::.ﾊ::::::∧　　　　　　　　　　乂ゝ/ : : :/ : : : : : : : : : : : : : : : .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ::′: : : : : : : : : : : ::∧ : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ::|: : : : : :|: ::∧: : : :/　　j/: : : ::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ::|: : : : : :|∨⌒ﾍ∨　⌒ ｀ﾍ : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |∧ : ::|: : :| =＝　　＝=　 |: : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | :: ::|:＼|　　　　 ,　　　　 |: : :|
　　王国宝は忠臣だねえ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ハ::|（ﾍ　　　　　　　八: :|　　　　／）／⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ∧|: :l:八　　 ( ￣ﾌ　 ..; ::|: ::|　　　 .／／　／
　　あなたの娘を私の下の息子の妃にするのもいいかもしれない　　　 |: 从 ::＼　　　　　／ l ::|: ::|　　／　/／ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |/　∨/_| 　 ─ 个∨/∧从　 {.　 /／ヘ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 〈|　　　 |∧＼ ==--　〉　ﾋ／　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.　--==ﾆ|　　ヽ　　　 /＼}ﾆﾆﾆﾆ/　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ﾆﾆﾆﾆニ|　仄ﾍ　　　/.〃!ﾆﾆニ!〈　　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.ﾉ／ヾﾐ　　 / 〃 |ﾆﾆニ|　￣／/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　当初、皇帝司馬曜も王国宝の素行の悪さを嫌っていた。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　しかし、王国宝が媚びてきたため、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼を寵臣に加えて酒宴を共にするようになった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　司馬曜の急死で実現しなかったが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　王国宝の娘を次男の琅邪王司馬徳文の妃にしようとした程だ
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
263 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:54:07.60 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９６年１０月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,....----....,,_　　　　　　　　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　..‐＜ン'"｀ `''''ｰ- !' ､　　　　　　　　　　　　　　|　　　陛下千秋万歳です　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　 ∠　　''、 ..r-≡ｪ、　ﾞ^''ヽ　　　　　　　　　　　　 .ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::V.　　 '　!歹^''丶-_..zョ
　　　　　　　　　　　　　 ./:::::::::::.V　　　　￣　　　｛歹'!
　　　　　　　　　　　　　,'::,, '' ﾆ1|　　　　　　　　　　 `''. {
　　　　　　　　　　　　 /::」'´　 .ﾞ'!　　　　　　..--....、 ‐' ﾊ
　　　　　　　　　　　　/::::ﾍ、　　　　　　　 / ﾆ－‐ ヽ　 .ハ
　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::｀ j''''　　　　　 {　　ﾞ､ / 　./　　　　　　ちょっと待て！？
　　　　　　　　　　／:::::::::::::::丿　　　　　　ゝ-.... ｿ　 /
　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::ﾔ　　　　　　　　''‐　　/　　　　　　　 .昨夜も元気に酒を煽っていたじゃないか！！？
　　　　　　　／　::::::::::::::::::::::::.ﾔ　　　　　　　　　　/
　　　　　／:::::::::::::::::::::::::i:::::::.:ｷ　　　　　　----‐v
　　　　／:::::::／:::::::::!::::::::|ｌ　　 ∟_　　　 ∨:::::::::::∧
　　　7:::::::.∨/::::._／i　　 !ｖ:::::.ｷ　｀''ｰ､,,」::::::::::: 　∧
　　 ´..---―''"''、　ｌ:::::::::ｌﾔ:::::::ﾔ　　　　r｀ｌ:::::::.:ﾔ、:∧
　　　　　　　　　｀.. |:::::::::|ｷ:::::::.ﾔ　　 /´ヽヽ::::::::ｷ∨:∧
　　　　　　　　　　　|:::::::￤|:::::::::.i、 ../丶.. !ー、::.ﾔ∨:∧
　　　　　　　　　　　|:::::::::.! i:::::::::.|>`´　 /　' ､. ＞､ﾔ.∨.∧
　　　　　　　　　　　!:::::::::ｌ　!::::::::.i ∧　 .i　　　　　　＞∨:∧

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　ここで皇帝司馬曜が急死した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
264 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:54:44.24 ID:Sn1xEGb10: 　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|　　 VⅣ;　　　　　　　　　　.| 　l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|　　〉北〈　　　　　　　　　　 | 　l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|　 _」王ｌ;!＿　　　　　　　 | 　l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|. fif云云ﾒ}-{　　　　　　　 |　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|...| |　　　}.}-{　　　　　　　　.|　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|...| |　　　}.}-{　　　　　　 |　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|...| |　　　}.}-{　　　　　　 |　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| l,'|i:i:|...| |　　　}.}-{　　　　　　 |　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　　 i |　　　}}　　 }:i:i:i{　　　　　　　　　　　　　| r====| |　　_,,}.}-{_　　　　　　 |　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　｛〔二二二二二二}>}ﾆ{　　　　　　　　 | {{.i:i |...| |　/ /~「「　　　　　　　 |　 l,'|i:i|
　　 |i　　　　乂______} {__} {_____ﾉﾉノ　　　　　　　　　　　 | {{.i:i |..」.fⅥ {. }.}-{~""'''　‐-　 .., 」　」 !:i:!
　　 |i　　　　　 ∨///////////∨　　　　　　＿＿__..| {{≫==弌..{.ﾉ仔ｰ八　　　　　　　　　~""'''　‐-　 ..,,__　,,..二二二..
._,,....＼　　　　//＼////////,／　　　　　__,,..　」＿＿「「辷辷辷〉〈辷辷」=={　　　　　　　　　　　　rf二...＿　-―＝…＝
「￣三二ニ iニ二三≫竺竺≪-‐　'''""~　　　ー----} {i{~""'''　「「ソ..,,__　｝｝~""'''　‐-　..,,__　　　∨ ｛=ニ三＿ー====
　　　　　　 | r　'"´~""'''　‐-　 ..,,__　　　　　　　　 .} {i{　　　　}:::{i{　　　｛ {{　''　　..,,__　　　　~""'..∨｛　 }　{　}i{三二三
三二ニ=ー┴}　　　　　　　　　　　　　~""'''　‐-　 ..,,__｀ヾ　　　　刈ﾘ　　　　｀　　　　　　　~""'''　‐-≫＼___}　{　}i{__＿　　
　　　　　　　　~""'''　‐-　..,,__　　　　　　　　　　　　　　　~""'''　‐-　 ..,,__　　　　　　　　　　　　≫ ´,..≪　＼三三二二ニニ
~""'''　‐- 　..,,__　　　　　　　　　~""'''　‐- 　..,,__　　　　　　　　　　　　　　　~""'''　‐-　 .≫ ´　,,.≪　　　　　≫r竺竺竺竺
　　　　　　　　　　~""'''　‐- 　..,,__　　　　　　　　　 ~""'''　‐- 　..,,__　　　　　　　　　　..|ー-　　　~""'''　‐-　..,,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~""'''　‐- 　..,,__　　　　　　　　　　~""'''　‐- 　..,,__|　　　　　　~""'''　‐-　..,,__　~""'''　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~""'''　‐- 　..,,__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~""'''

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　太元二十一年（三九六年）十月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　皇帝司馬曜が崩じ、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　皇太子の司馬徳宗が皇帝となった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　彼は言葉を発する事ができず、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　寒暑の差や飲食・睡眠にも己を出さなかったと『晋書』『安帝紀』にある
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
265 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:55:32.76 ID:Sn1xEGb10: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　､（●）､.:|　
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　u::|
. 　 |　 u ｀-=ﾆ=- '　.::::::|　　　　　　　　　　会稽王殿下。
　　＼　　｀ﾆﾆ´　.u ::／
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ーーノﾞ -､　　　　　　　　　領軍将軍の王国宝様が面会を求めています
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _､-―――-)ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／i:i:i:i:i:_i:i:i:i:i:i:i:i:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /i:/i:ｉ:ｉ／､|i:i:i:ｉ:ｉ:/i:i:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／i:/:i:i:r―，Ni:i:i:/}ハi:i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／i:i:i/^i八￣´　 {V二，:}i:ｉ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣7:i|　|⌒　　　/　￣ /i:i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶=:八　　　　　　 /^l:八
　　　　　　　　　今さらどのツラ下げて来やがった？　　　　　　　　　　　　　　　　　　}i:i:i＼ ´　｀　／イ{⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}八i: :＞―＜从{⌒
　　　　　　　　　こちとら代替わりで忙しいってのによ　　　　　　　　　　　　　　　　　「￣j / l　　　　|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r―{／{/　i|　_､‐''゛__＞― ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::::ﾊ　{ 　／:::::／::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:::/:/ /　.:'::::_／:::::::::::::::::::::: }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ:::７ /　/＜::::::::::::/:::::::::::::: /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::「|/　/::::::::〉:::::::〈:::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:: |:|　/:::::／::::::::::::|:::::::::::::::::::::|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　そこで、叔父の会稽王司馬道子が太傅として摂政に当たる事になった。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　『晋書』『安帝紀』には、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .会稽王司馬道子に政が帰したとある
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
266 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:56:41.98 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　 /:／>､:::::::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　 r=/ / 　＼:/|::::::::_ .. ﾍ::::|
　　　　 /lﾋl| |!>.､　　　ﾚ '´　　〉::|　　　　　　　　　　　　　　.会稽王。
　　　　 /::::ヾ| |!ヾ‘_>､　-＝ﾆ＼|/^i､
　　　／:::::::::::l |!　　冫　` ‘-┘〈 /:::＼　　　　　　　　　　　　過去の非礼は詫びよう。
　　／::::::::::::::::::| 　　 /l　　　　 / ￣＼＼
..／::::::::::::::::::::::::〉　　ヽ| 　　　　/ 　人　 ` ‐- ､　　　　　　　　詫びの印にNintendo Switch 2を持参した
::::::::::::::/:::::::::::/∧ 　'＝=､　　∧_　`-ﾐ､　　　　＼
:::::::::／:::::::::::/: :l　ヽ　^ 　　／て_ `ー '　￣｀　／／＼
::::://:::::::::::/|: : : ＼`ー-‐'／ : /!:::`ｰ--―‐r／／　　　ヽ、
::://:::::::::::/ ∧: : : ／＼／: : : / |::::::::| ヾ　<／　　　　　　.　　　　　　　く:::(　　　 -――‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /|:::::::::/ :| ::: 斗-―∨:::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::ト八::::::::| r―ｇV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　八 :|:::|r‐a＼Ｎ　―‐ |/|: //＼::＼＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　　　　　　そこへ置いていけ　　　　　　　　　　　　　　　　　７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//^つ　　-　､　　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　庇護者である皇帝を失った王国宝は、再び会稽王司馬道子へ接近した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
267 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:57:38.03 ID:Sn1xEGb10: 　　　　 ,:..::../ ::..::..::| ::..::..::. ／::／ﾍ..::..::..≫≪|..::..::,
　　　　 ,::..::..::..::..::..:.:|..::..::..::..::／　　ヽ::..∧ ::.. |..::..::.,
　　　　 /::..::..| ::..:: |:..:|..::..:.　 ´ 　　　 ∨..::===|..::i.::.|　　　　　　　　父上。
　　　 ':/|::..::| ::..:: |:..:|＜　　　　　　　　 ∨ :.::.. |..::i.::.|
　　　 |:ｉ |::..::| ::.. ∧:.|_,_ ＼　　　　　／__|:../..::ﾘ ..::.八　　　　　　　今度琅邪国内史になる王緒って、
　　　 |:ｉ |::..::| ::..::|/^伃i仆ヽ　　ィ伃i仆く|.. /..::/ ｉ i:|　　　　　　　.あの王国宝が推挙してきたんだって？
　　　 |:i:八:小::..fﾍ弋^ソ　　　弋^ソ /イ..::/..: | i:|
　　　 ∨　[人^∧｢´´　　　　　　　　　｀｀厶ｨ..::|八:ﾉ　　　　　　　.コネだなんだって朝廷炎上してるけど？
　　　　＼|::.个ｰ::、　　　　　 ′　　　　　/_ノ:..::.::..::＼
　　　　　　 |::j | !:..::.::、　　 r:::::―v┐　　.::..::./|..:j.::..::厂
　　　　　　j/八|:..::ﾚ个:..　　､::::::__ノ　.:个::..八|/|/∨　　　.　　　　　　　く:::(　　　 -――‐-ミ
　　　　　　__＿_＼|__L.／}＞　　＜{＼トV､＿　　　　　　　　　　　　　　＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　_｢／⌒'ー＜_ j{　ﾉ　　　　 ∨}i　　　二ﾆ=┐　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　晋　司馬道子の子　司馬元顕　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|:::::::::/ :| :::::::Ｔｰ―∨::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::L八 :::::::| r--aV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　八 :|:::|r-a＼Ｎ　＾￣ |/|: //＼::＼＞
　　　　しばらく王国宝に政を任せる事にした。　　　　　　　　　　　　　　>､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　俺も近頃体調が悪くてな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//^つ　　Ｔ　⊃ 　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　今は大した外敵もいないし大事にはならんだろう　　　　　　　r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 ∨:/＼　￣￣〉|＼::::| 　　 |ニニ-＼二二ニニﾆ|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王湛伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王国宝は従弟の王緒を
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　琅邪国内史とするよう進言し、人々はその佞邪ぶりを見て知った。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　再び司馬道子を惑わせたが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　彼は当時病気がちだった事もあり、王国宝を心腹として恃みとしていた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
268 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:58:47.65 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年１月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　 ......‐::::::￣:::::‐..ｊ/
　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::＼::＼
.　　　　　　 /::::::::::／:::::::::::::::::::::::';::::ヽ
　　　　　　　 /:::::::::/::::::／::::::ｨ:::::::::::}::::::',
　　　　　　　ノ::::/::::i:::::/::::／　}::::::从{:::::::}　　　　　　　　　王国宝。
　　　　　 ∠:::／:::::ﾊ:::i:／､＿ j::::ﾉﾉ-ヽ::::}
　　　　　／::::::::{　ヽ{r┰‐‐/／┰ｧ/ハ!　　　　　　　　 .お前を尚書左僕射に任命する。
　　　　　　￣￣ヽ:ヽ　　￣／　〈￣/｀
　　　　　　　／::::ハU 　　　　´　ﾉ　　　　　　　　　　　尚書令となる琅邪王氏の王珣と共に政に当たってくれ
　　　　　　　　　ｲ V ＼ヽ｀ｰ一イヽ　
　　　　　_／ヽヽ　　＞√´//::::}　　
　　　　／:::::::::::ヽ:ヽ　∧ヽ_ノ! 〉〉へ　　
　　　／::::::::::::::::::::ヽ∨:::ﾍ　V　ハ::}}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:／>､:::::::::::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r=/ / 　＼:/|::::::::_ .. ﾍ::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /lﾋl| |!>.､　　　ﾚ '´　　〉::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::ヾ| |!ヾ‘_>､　-＝ﾆ＼|/^i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::l |!　　冫　` ‘-┘〈 /:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::| 　　 /l　　　　 / ￣＼＼
　　　　　　　　　　　承知した　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::〉　　ヽ| 　　　　/ 　人　 ` ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::/:::::::::::/∧ 　'＝=､　　∧_　`-ﾐ､　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::／:::::::::::/: :l　ヽ　^ 　　／て_ `ー '　￣｀　／／＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::://:::::::::::/|: : : ＼`ー-‐'／ : /!:::`ｰ--―‐r／／　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::://:::::::::::/ ∧: : : ／＼／: : : / |::::::::| ヾ　<／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::./:::::::::::/ ｜:ヽ／ヾ　∧ : : / 　|::::::::| 　ヽ　ヽ８

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　翌隆安元年（三九七年）一月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　尚書右僕射の王珣が尚書令に、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　領軍将軍の王国宝が尚書左僕射に任命されたと『晋書』『安帝紀』にある。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　王珣は司徒王導の孫に当たる
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
269 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 16:59:31.07 ID:Sn1xEGb10: 　　　　 __　　　　　 ._..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ______
　　　　.ヽ,,ヽ、　　./ .,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ::::ﾆ--..,,＞..、
　　tー-..,,≧｀''‐- ! 丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /‐'' ｪi歹'　 '、::::ヽ
　　 _ ﾆ二ｪ、　 ..　　.|`''＜＿,,　　　　　　遂に私の時代が来た！　　　　.{歹　￣　　.ﾔ厂iﾍ、　　 _,,.. -‐''''::"" ￣￣''''
　 └----ｯ　　ヽ　 ′　　! .i｀''‐＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.,'ヽ _..r;;ニi　　 __丿::::ｰ‐''"´:::::::....--;;一‐‐‐‐ｰ
　　　 ..r'彡冖ー---ｰ-..__ ハ.!　　　｀''ｰ＜,,_　　　　　　　　　　　　　　　　ハ. ヽﾞ ,r''','　　ﾉV::::::::::::::::::::::::::_:::::::::::::::￣ﾞﾞ＞ｰ
　　　　´　　　　　　　　ハﾒ　7　　　　　　　　｀ﾞ''＜　　　　　　　　　　　　　　.ハ.弋_メ　　　∧::::::::::::::::::::::::｀ﾞ''ﾐ._＞'-．._::::::::
　　　　　　　　　　　　　　｛~ﾒ　　　　　　　　　　　｀ヽ..,,_　　　　　　　　　　　 .iハ　　　　 .∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞､,_　＞.､
　　　　　　　　　　　　　　　冖‐ー-..,,　　　　　　　　　ﾞ'く`'＜.,..-､_..-‐--..,,_　 |::,.｀≧‐‐　∧::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　＞,_　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞..,,_　　　　　　　｀ヽ._丶ﾞヽ　　　 _／'''i..,_r/ﾔ　.ii::::::::!.!:!,,_::　 :::::::::ヽ、::::::::::::::::::＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞-..,,___　　　　　 .ﾍ、./　../r＜´' .∧‐'ﾔ. i.!　　! ii　 .Ｖ:∧ｰ-､::ヽヾ:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`＞､　　　　,..＜´　.,　　/　.∧／_i |.:.:.:.:.iﾊ!　　Ｖ:∧　　＞,. ＼_...、..::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞.r'-､、　／　/　　..∧ `'ｌ !::::::::∧ ii　　Ｖ::∧ ､　.ﾒ::. 　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.廴　,.'Ｙ′　,'＿＿_.∧　.!.i:::::::::::∧ ii　 .廴.∧ ｀ﾞ`ｰ､::　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/ ,'　　＿ヽ .!　　￣　..! !:::::::._.廴　　　￣　　　∧::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i ｀ﾞＹｰ廴ヽﾉ　　／　 .! ﾞト‐′　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　丶, '　　..／　　　　　　　　　－ｰｯ-､　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　 ./ 　.／　　　　　　　　　　　　Ｖ　　＼.　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 ./ .／　　　　　　　　　　　　　.Ｖ　　　　＼　　 ,,.--.._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.i ./／　　　　　　　　　　　　　 .Ｖ　　　　　　　ﾞゝﾉ‐‐''''　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　王国宝は後将軍・丹陽尹も加えられ、東宮の兵を与えられた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　遂に朝権に参画し、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .威は内外を震わせたと『晋書』『王湛伝』は記す
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
270 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:00:02.86 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年１月　晋　揚州　京口】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　＼　　 'ｴ＿,.-‐'｀ー―‐'―= ‐'○滑台彭城　　 .,
　￣￣｀ー‐'―'´　　　　　○　石門○○倉垣　○　〇　　>　←淮水
　　　　　　　◎長安　　洛陽　　　○許昌　譙○　下邳,_,　' ヽ　
　　　　　　　　　　　　　　　宛○　　　　　　　　　r-v'γ　○淮陰_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ-v○寿春広陵○{_,､
　　　　　　　　　　　　　　襄陽　　　　　　　芍陂○,､_○r'◎ ●､-､
　　　　　　　　　　　　　　　　○　　　　　　　　　　歴陽建康京口 }
　　　　　,. -――'´｀ヽ　江陵　　　　,､ ,　　　　　_,.r'　　　　　　 __／｀　
　　　　 _/　　　　　　　ヽ　○　　　,/○ヽ　　　ﾉ　　　　　　　　｀^ｰ'｀>　
　 _ｨvｰ'´　　　　　　　　 Z,､　／武昌　｀ｰ-,r'　　　　　　　　　　　　　　
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

┼-　ｘi(　　｀ヽ　ﾍ＼::: :::＼|　|::::|｜　　　　　　　　　　　　＼／／| 　／＼／　.| |　 |　|　|　|:::::::
｣___ ん/)h､　　 V∧　｢￣￣　 |::::|｜　　　　　　　　　ｒzzzzzz|　|:::::|／＼／　　.| |　 |　|　|　|:::::::
.l　`|////ハ　　 '/ﾊ　＼　　　＼|｜　　　　　　　　　 |//〉二 |　|／＼／　_､+'"~| |　 |　|　|　|::::::
| 　.|//////|＿＿|　.|　　＼　: : : | |　ｒｚzｭ　　　　　　//　|　　|／＼／「 :i´丁￣::| |　 |　|　|　|＿
　　|//////|￣￣|＼|　 : : : .＼:.::.:| |ｚ辻（_)〉　　　 // ||｜ <＼／　| |　|　|::::::::::| |　 |　|　|￣＿
_　 |//////|＿＿|γヽ　: : : : : :＼| |:|丁｀|〉　　　〈/:| ||..|===l:/ ／| | |　|　|::::::::::| |　 |　|　￣
...　|//////|　　 |弋ﾉ　:|｀'i : : : : ::|]|:|┘［|∧ 　　 /:||:|／Ｌ二::|:| |:::::| | |　|　|::::::::::| |　 |　|
.　 |//////|　　ハ　Ⅵ|:: |: : : __: | |:l] ｎ |∨〉　 //:l'´／　| : ::|:| |:::::| | |　|_　- ￣.::|　 |　|
.ﾞ　|//////|　　 .:.....}　L||:: |: : : | | | |:|￣｀|L|____∠|　|'´　｢:|:::: :|:| |:::::| | | 　　　　 |　 |　|
..　|//////|　　:{..... ﾍへ::::|: : : | | |_|:|]丁|ヽ|]丁¨｢|'´|ｎ［l└|:::::::|:|::￣: :| | 　　　　 |　 |　|
　_|//////| 　　 {＿__}∨｀'ﾞ : : :|_|（;;;;)　| ,イ丁丁丁丁丁丁ト ::::|:|::　 : :| | 　　　　 |　 |　|
., |::|￣￣丁¨¨¨¨|＼　Ｙ∧: : : : :γ＾ヽイﾚ'二二二二二二`'く〕ト|:|.:　 . :| |＿＿＿＿_|＿|_,,|..､､､--‐
　≧s｡　　|　　　 |　 }　}¨∧￣`'<ノ　ﾉ｡s个x|:|_｢/〉[] |::| |x个o｡｣-‐　''￣:.::| |￣| |￣: : : : : : : : : :
.ﾟ｡　　　 ≧s｡γ´|‐∧‐| 〈∧. 　　｀ヽL_⊥┘|ィ/￣...|::| |‐-Ｌ｣:|: : : : : : :.::.:| |: : | |: : : : : : : : : : : :
　ﾟ。　　　　　＞┴　_|_j　〈∧ 　　　 .｣_ノ-=ﾆ /　　 └|_| : : : :￣⌒ﾆ=-　 |_|＿| |: : : : : : : : : : : :
　|:ﾍ　　　　／　　　　　｀`7〈∧￣￣￣ /　　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::;:;:;:;:￣⌒＾^''ﾆ=-　　_
　|::| ＼　／　　　　　　 /　〈∧ 　　 ./　／　　　　　　: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　＿　‐丶､　　　　　／　　,〈∧　＿厶ｼﾞ.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
￣: : : : : : ≧s｡　＿∠ 　-─　〈∧:;::;:;:;:;:;:;:;:: : : : : : : : : : : : ::.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:
271 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:00:45.04 ID:Sn1xEGb10: .　　　　　　　 //. . / . . . . . . . ′. . . . . . . . ′ . `､ . V∧
　　　　　　　 //. . . . . /. . . . .｜ . . . . . . . . . |. . . . `､. .V∧
　　　　　　　　 . . . ∧ . /. . . . . /| . . . . . . . . . ∧. . . . .‘， . . .
　　　　　　　　, . . .| . ∨.|. . . . ,　j. . |. . . . . .|. .|　'. .｜. . . . . . .
.　　　　　 , . . . |. . . . l. . ／、 ∨.| . . . . .i|. .l　 ′|. . . . . . .｜
　　　　　　 /|. . . .|. . . . l／ ___＼_Ⅵ､. . . ./!./_／∨ /. .| . . | |
.　　　　　 /. |. . . .|. . . Ｎx笊芋ﾐｘ｀|｜. ./｀/ｘ芋ミ∨! . |. . . ｜
　　　　　 /／|∧. .|. . . i〈{　んハ　　 |／　　んﾊ　Ⅵ .｜ . .Ｎ
　　　　 ,／　 l. ∧.И . l　　乂ｊり　　　　　.乂り. ｲﾉ. 人∧|
.　　　　　　 |. . ∧.ｊﾄ､.ゝ　　　　　　　　　　　　／.イ. /　＼　　　.会稽王はどうかしている！
.　　　　　 ∧. .|＼ﾄ､__|　　　　　　　　'　　　　　丁._ﾉ.ｲ
　　　　　　∧.|　 ∨.∧　　　　　　　　　　　　 /. .厂|　　　　　　　あの王国宝に朝廷の実権を握らせるなんて！！
　　　　　　　　　`　　j|∧. . ､　　　（　　 )　　　. /|. /＼!
　　　　／￣￣ア　|i　∨个s｡.　　　　　. イ/､j/＿_　　　　　　　 .どうにかして止めないと！！
　　　　 /　　　.∠_　　　 iＮ|　　＞　-‐r＜|　|′`､　　｀＼
　　　 ./　　　/　／＾＼　　 |　　　　　　.i.∧|　　　 `､　　 i∨
　　　 ′ 　 /／　／⌒ヽ　.|￣＼　　 __|_|　　　　 _ｒ┴‐､　|｜
　　　| 　　 /　　'"　＿__⊥ ﾄ､　　　　　 ,| 　 .ｒ‐く⌒ヽ　 V　|
　　　|　　 ‘，　　　　＿　〉　＼＿＿／ i|　x┴ ､_｀`　　 Ⅵ!
　　./|.　　　 ‘，　　　 `ｒ‐へ|＼　　　　　 l／{　、　　　　　ﾉ∧
　 / i|　　　　 {＼　　　ヽ　|i　＼＿_／i|　　ソ　　　　／　 /|
　i|　　　　　＼＼______人||　　　　　 .i| ／　　　 .／}　　　 ∨

　　　　　　　　　　　　　晋　輔国将軍　王恭

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　次の登場人物は北府軍を率いる王恭だ
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
272 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:01:42.89 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　 / . /. . ./. . . . . ＼. . . .＼. . . .＼
　　　　　　　　　 / . /. . . .| . .　.　.　.|. . .＼. ＼. . . .ヽ
　　　　　　　　　　　 / . / . ,. . .| . .　.　.　.L. 、 . ＼ ∨, . . . ,
　　　　　　　　 ′ . . . |. . .| . . .　.　.￤｢＼. .￤ ∨. . . ′
　　　　　　　　　ｉ. . ｉ. . . |. . .| . . .　.　.│| ／＼!. . 〈. . . . :.
　　　　　　　　　 |　 |. . l |. ./|／ .　.　.│|.　　　 | . .￤. . . .:.　　　　+
　　　　　　　　　 |│|. . | ∨∧ . . . .　.│|　.　―|＜/. .j . |＼　　　　　＋
　　　　　　　　　 |│|. . |. .|　　＼|＼. . ｈ| j／￣|／!. ,ﾊ. .|　　　　　　　×　王恭、字を孝伯だよ。
　　　　　　　　　 |│|. . |. .|　／￣｀＾＼!　　　::::::::: ﾉｲ ∧.|　　　　　　　十
　　　　　　 .ｘ　＇ |人|＼|＼ ^ ′ 　　　 ,　　　　 |ｲ|　｝　　　　　ｘ　　　叔母は哀帝、
　　　　 ×　　　　人.人｛　、 :::::::::　　　　　┐　　八|　　　　.　*　　　　　妹は孝武帝、つまり先帝の皇后。
　　　十　　　　　　ヽ.｛＼_＼　　く　　ﾉ　／. .|
　　　＋　　　　　　　　＼ | . 介: .　　　　／|. 八|、　　　　　　　　　　　父が一時期北府軍を任された縁で、
　　　　 +　　　　　　　　　　　ﾉイ.人｢∧ﾆ=‐- く.:　|/　　＼　　　　　　　　　　謝玄殿の後任として北府軍を率いている
　　　　　　　　　　　　＿＿／　 ′|　　　　　 ∨ 　　 ∨￣￣￣＼
　　　　　　　　　　／／￣/ 　 +Х　|　　　　　　￤ -+　　∨　　￣＼＼
　　　　　　　　 /　′+ / 　／　　 |￣＼　 /￣|　　Х 　〈/　　　 |　|
　　　　　　　　　　　 |　ｉ　　〈／￣￣＼/l＼　　　／!／￣￣＼〉　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　 |　| 　　　 ,　　　〈|＼＼_,／／|　　　;.　/　　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　 |　|　　　　 ′　／|　＼_／/　|＼　 j / ／
　　　　　　　　　　　 |　|　　　＼　 ∨　 |　　　　 ′￤　∨|／　　　　 /　/
　　　　　　　　　　　 |　|　　　　＼〉. 　 |　　　 /　　.|　　〈　　　　 /　/|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　王恭、字を孝伯。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　光禄大夫王蘊の息子で、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　皇帝司馬曜の皇后の兄に当たる。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　太原王氏だが王渾・王済や王湛の子孫からは遠縁で、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　祖父王濛、父王蘊が二代続けて娘を皇帝に嫁がせて外戚となった家系だ
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
273 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:03:25.06 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 .　　　´　　　　　｀
.　　　　　　　　　　／　　　　　　⌒丶　　　　　＼_
　　　　　　　　　　　　　　/ 　　＼　　＼　　＼⌒
　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 :.　
　　　　　　　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.
　　　　　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　　＿|＿
　　　　　　　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ　　 |　
.　　　　　　 |　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }　　　　　
.　　　　　　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八
　　　　　　　 ,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　　┼　　
.　　　　　　　 ′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}　　　　　　　　　　　　　いずれは宰相になりたい
.　　　　　　　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/
.　　　　　　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八
　　　　　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_
　　　　　　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　.
　　　　　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼＼
　　　　　　　　　　　　　　/ /: :/ : : |_　　　/　|.: : : : :∨: : : : : :＼＼
　　　　　　　　　　　 / /: :/ : : : |　｀　　⌒|/￣＼/}: : : : : /: : ', 　、
.　　　　　　　　　　 / /: :/￣＼_|＼　　 /l/￣＼,/: : : : :/: : : :|　　 :.
　　　　　　　　　　 / /: : l/￣＼_|　＼／ :||: : : : : : : : :.:/: : : : :|　　　:.
.　　　　　　　　　 / / : : : : : : : : ||　　　　　|l : : : : : : : : : : : : : : |　　　|
　　　　　　　　　 / / : : : : : :｜ : ||　　　　　||: : : : : : : : :｜: : : :｜　　 |
.　　　　　　　　 / / : : : : : : :｜ : |l 　.／￣＼-─┐ : : :｜: : : :｜　　 |

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　 .若い頃から容姿の美しさと高尚な志操が評判で、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　才能と地位を自負して常に宰相になりたいと望んでいた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .王国宝の弟の王忱、琅邪王氏の王珣と共に名声が高かった
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
274 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:03:54.56 ID:Sn1xEGb10: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　　　謝安は常に王恭をこう評していた
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　　　　　＼
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 ,.　　　　 |　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　|　　　　　　 ′　　　 |　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　ｌ　　 |、　　　　　　|　|　　　　|　　　　　　 ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′ :|.　　　| ＼　　│ :ｌ│ |　　　　| 　　　　　　 ;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,.. イ　 :|:　　 │／＼　|　:|│ |　　　　|　　 |　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |ｉ:　　／　　 .斗ミ|│ |　　　　|＼　 |　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 ||ｉ　Ｎィr引　｢人|　|　　　　|　 ∨|　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドミ　|　　Ｌﾉ　|/　 |　ｌ　　　　|　　|│　　　　　 |
　　　　王恭の才能と家柄なら、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼rイr引　　　　　 !　;　　　　|　 ∧|　　 |:　　￤
　　　　将来は伯舅になれるでしょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　ソ　　　　　　 :　　　　　トく　＼　 |ｉ　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　ﾉイ　　　八/＼　＼｣|　　 |
　　　　伯舅は異姓の諸侯の事ね。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .人　y .ノ　　　　|　　　　′∨/＾　　＼　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .′|:＼　　　　ｌ　　　仏三＼　｢￣※￣||
　　　　彼の家系はまだ爵位持ちじゃなかったのよ　　　　　　　　　　　 |:..　＼__. イ＼!　　 /′ 　　ヽｰ:介介ぐｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣￣￣l　／ ,　　 .′　／￣￣＼｝l ｝|　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 |￣|　|个‐/ 　 /　／　/ /￣￣^＼_!　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 │ |／ｌ　|人/ 　 /／　 / /　　　　　＼　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　　　　！ |,ノ　└个/　　/＿＿_/ /　/￣￣￣＼〉 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │　　个ミ.　∨　/厂￣7 　 ∧二二二′.′　　　　　　Ⅵ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|　　　＼__／／/　ﾆィ′　′ ＼>　　／　　　　　　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／′ー　／厂｢　〈__／/ 　 ∧`　／　／　　　　　　　　　 |！
275 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:04:49.12 ID:Sn1xEGb10: 　　　　/ . . .′. |. . . . . . .| . . . . . . . . . . ∨/ ∨ . :.
　　　　 |. . . l. . . .|￤. . . . .ﾄ、.. .＼. . . . . . ′ .|/. . .,
　　　　 |. . . | . .j∧|. . . . . j___＼__. .＼. . . ￤ .│:. . :′
　　　 │. . .!-┼　|│. . .│,　　＼. .￤ . . .!. . .|. . . . .,　　　　　　以前謝玄殿の参軍をしていた
　　　　 | . . .|,.斗-ﾐ! | . . Ν　斗-ミ＼|. . ,ﾊト . ド. . l､.′　　　　 .陳郡の袁悦之は会稽王を惑わせています。
　　　　 |￤ .|　｝,,ｈ人. .│　　｝ｈ刈. /　　|.│./￤＼
　　　　 |人 .|　Ｖツ　＼|　　Ｖツ　 |/　｝ ,ﾊ/.∧│　　　　　　.即時誅殺するべきでしょう
　　　　　ﾉ.| ト!.　　　 ,　　　　　　　　└／|. |/　}人
　　　　イ.| | Ｌ ;　　｀　　　　　　　 .厂. ./.|. |
　　　　　 |∧　人　　　、　ノ　　　 .价 /l.人.!
　　　　　　　　｀: . 、　　　　　イ:人!'　′´⌒ヽ　　　　　　　　　　　　　／/ 彡'´　　　　　　　　　＼　　ﾐ　、
　　　　　　 ∧　　｝　}> ‐=≦ 　 j＞-――-　ミ）　　　　　　　　　　　　j{　|／　　　　　 |､　　　　　　　　ハ
　　　　　　 |　＼　　 .ｲ　　　 ≠´　.　-――-ミ　＼.　　　　　　　　　　イ У 　　　　　　 |　、　　　ﾞ．　　　ﾊ
　　　　　／|　　＼厶j／|. ／　／　.　 Х 　Х ＼　　　　.　　　　　　　〉'　|　　　 |　　　＿|＿､＼　｜ | 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 |　｜　|.　　|´|　|!　　ｌ. ｜　!　!　　从
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　!＿|_､ヽ　　|/| /|≦=|zx|　 |　|　　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ　　ﾊ.|　＼l＼ |/'ｲ,ｲl'⌒ヾ㍉　!ｲ|ヽ　　 | l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从ハ　N≧zx､､　ヽ　" V::ﾋｿ:!ﾘ　l{ ﾊ.　}　　| |
　　　　　　分かった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 |　彡＾Yそ.　　　　　ゝ‐''　!ｌ/ r'ﾉ,ｲ　　 |lﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.| ヽ!ヽ込､ _ソ　　　　　　　　　 r､ｲ|　　|　|| |
　　　　　　王恭ちゃんの言葉なら間違いないよね。　　　　　　　　　　＼||　|l ハ　｀　　　　　　 /|: :/|　　|　|! |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从.!| 　ﾊ　　ｒ､　　　　ｲ .!:/:ﾘ　　　 |､i!
　　　　　　袁悦之は誅殺で　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/へ.|ヽ. V＞　　　　　／　 |,':/　 ∧　　|ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼从ﾊ＞-r　´　　　 |:/|　ｲ|　ヽ|ヾ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r＜￣￣|　 ,ｨ≦￣//|/ﾉ＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　＼　/} /'⌒ヽ./ ／／ /ﾆ/三ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __r‐/＿／ /　/ ／,ｨ У／,:'../ﾆ/三三ﾊ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　皇帝司馬曜は王恭を皇后の兄として敬意を払い、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭もまた何度も皇帝へ諫言を行った様子が『晋書』『王恭伝』にある。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .先程の王国宝よりは余程できた人物だった
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
276 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:05:45.22 ID:Sn1xEGb10: 　　　　／ :. ィ.;:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　ｲ:.:.:.:/-|/|∧:;､:.:.〈
　　　　　ﾘ:.:./ ● 　　く!:,:.:..　
　　　　　 l:.:.l　　　　●/:./￣
　　　　　　vﾍ　 - 　ノ:./　　　　　なお、王恭が諫言の際に
　　　　　　_,-+　匸ﾍ/V　　　　　　.何度も槍玉にあげていたのが会稽王司馬道子だった。
　　　　　,《　ﾋ⌒j　》、
　　　　　l::＼ l　/∥::l　　　　　　　.対する司馬道子の側も正論で直言する王恭を嫌っていた
　　　　　|:::::::ﾄ,Ｖイ:::::|
　　　　　.|:::::::l介l:::::::|
　　　　　 l::::::|人|:::::::l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　く:::(　　　 -――‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /|:::::::::/ :| :::::::Ｔｰ―∨::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::L八 :::::::| r--aV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　八 :|:::|r-a＼Ｎ　＾￣ |/|: //＼::＼＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　外戚の身分をいい事に調子に乗って　　　　　　　　　　　７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//^つ　　Ｔ　⊃ 　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 ∨:/＼　￣￣〉|＼::::| 　　 |ニニ-＼二二ニニﾆ|
277 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:06:45.63 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９０年２月　晋　揚州　京口】

　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 :.　
　　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.
　　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　　　　　　　平北将軍に就任した
　　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ　　　　　　太原王氏の王恭、字を孝伯といいます。
.　　　|　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }
.　　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八　　　　　　王皇后の兄としての方が知られているでしょうか？
　　　　 ,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　
.　　　　 ′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}　　　　　　　 .右も左も分からないので軍の指揮はお任せします
.　　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/　
.　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八
　　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　－──　､
　　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　. 　　　　　　　　　　　　'´:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.;;;',
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼　　　　　　　/:.:.:.:.:.::.:.:ｧ─ミ.:.:.:;;;',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:ｒ''¨ヽ-‐{＿__ﾉ≧=:;;',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋_,ノ:.j:!:.:.::.:.::.::.:::;:;:;:;:ｒ‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j:.:.::.:.（.;.;.;.;):.:.::.::.:;:;:;:;:;;λ:　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y:!.:}.::.:.::_二＝ミ从::.;:;:;::;:;::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:.|:.::.从＿＿_,ノ}iii{:;:;;::i{}{}′
　　　　　　　ああ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝl:.::.{iii}.::..iiiiii.::ﾉiiii}:;:;:;:}:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:}iiiiiiiiiiiiiiiiiiii{￣￣￣ﾆ=‐-　_
　　　　　　　北府軍は俺たちに任せてくれ　　　　　　　　　　　　　　　　　 .}iiiiiiiiiiiiiiiiiiii{　　　　　　　　　 ¨Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ＝二iiiiiiiiiiiiiiiiiiii|　　　　 _,　　─┴‐──‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィ ¨￣　　　弋iiiiiiiiiiiiiiiii}　　　　／　　　＞'':.:￣￣:.¨'' ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 ',　　　　　}.:.::.:.:.::.:.:.V　　／　　　／: : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　 '，　　＿/: /:.:.:.:.:.::.:.V∠_　　　　,: : : : : ::.:.:.:.:. ::.:.:.:.:.::.:',

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　龍驤将軍　劉牢之

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　太元十五年（三九〇年）二月。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭は平北将軍・都督青兗幽并冀五州諸軍事・青兗二州刺史となる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
278 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:07:46.70 ID:Sn1xEGb10: 　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 :.　
　　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.
　　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　　　
　　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ　　
.　　　|　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }　
.　　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八　　　　　ただ、「北」の字が入る将軍号は縁起が悪いので、
　　　　 ,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　　　　　　後日朝廷に上奏して別の将軍号をもらおうと考えています
.　　　　 ′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}　　
.　　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/　
.　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八
　　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_　　　
　　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.: :ヽ
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : ::.:.:.:{:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ'_＿: :ィ云≧､:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{//ｿ"//////≧＝=‐‐-斗=ミ:.:.::.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: :.:.V////:.:.::.:.:.:.:..:::.:::.:.斥:.:.:}.::.::.,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :.:.:.､:.￣: ::.:.::.:.:ノ:.:.::.:::.:.ﾊ::.::.ﾉ:::./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "7:.:.:':_.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／::.:/＿ _
　　　　……験担ぎも存外馬鹿にできませんからな　　　　　　　　＿__,,.. -‐＝{`二､ヽ:.从:.:.:..:.::.:.:.:.:.:ｒイ:.:.:.::.:{≫　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　／才二ノ.:.{;;;}:.:. :.:.::.:.:.:.:.::.:._,斗≦　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i|　　　　　／／};;;从;/´￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i| 　　　 ""　 {;;;;;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　}i| 　　　　　_≧＝{　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '': : : : /|i|　　　　＞''　　　/:|　　　　　　　　　　　　_　　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : :/　|i|　　　〃.:.＼＿_/:.:}　　　　　　　　 _　-‐　　　　　　　＿_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　ただし、「北」の号が入る将軍が
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　過去に不祥を受けた者が多いと上奏し、前将軍への転任を認められた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .故に『晋書』『孝武帝紀』には前将軍に任命されたと記される
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
279 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:08:36.15 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９２年頃　晋　首都　建康】

　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L　
　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1　　　　　　　　　おお、王恭殿。
　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ
　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ　　　　　　　　　　実は私も西府軍を任されましてな。
　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´　
　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′　　　　　　　　　　　亡くなった王忱殿の後任でして
　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_　
　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ
　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__　
,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､　　　　　　′ {:.　　　|　　　　　　ﾄ　　丶
　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}　　　　　 ,′ i|:　　{:/|　 ::..　　　|i＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　{:　　|'＿　|:::.　　斗─＼　 .::,　　:::. }　　　 :.
　　　　　　　　　　晋　黄門侍郎　殷仲堪　　　　　　　　　　　　　 |　　|／´|i　 Ⅵ::::.　 ∧| ,＿　＼`::}　 ::::::|::::.　|V:::. ::.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　Ⅳトi}=ミ,Ⅴ::::::..{　ﾘ芹午ミx ⅵ .::::ﾊ|ﾍ::. ,::::::::::::トヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }丶　Ⅴﾍrﾉiム　丶:|　　　 rﾉﾊ i}≫ .::√j! ⅴ :::::/|: |　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |人＼ⅴ 乂り　　＼　　　乂ン　 }.:/　　　∨::/ i|:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / | |ⅵ　,, ,, ,　　　　　　 ,, ,, ,,　　 ′　／::ﾚ　 j/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 /, ｲ } |ﾊ　　　丶　　　　　　　　　　､ノ::∧::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 .∧　　　　　　　　　　　　　ｲ:::::ｲ::j　V
　　　　　お互い国家のために力を尽くしましょう　　　　　　　　　　　∧　ヽ＼　　丶 ― ′　　／ ']::/ j:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　＼丶　　　　　　イ　　ﾍ:{　 ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　}　外t‐　´　　　 | ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ∧　　　ｲ　 |　　　　　　ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ {i 　∧　ノ　}／j　　　　　　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 |　　　ー‐' ﾉ/　　　　　 /　　　　　　￣￣｀丶

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王恭伝』によれば、
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　王恭の北府への起用は皇帝司馬曜が彼の人望を理由に抜擢したという。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　これは時を前後して西府を任された王忱・殷仲堪も同様だった。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　ただ、確かに彼らは名声・人望は持っていたが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　清談や風流を好む人々であり、軍事的な手腕に欠けていた点は共通する
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
280 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:09:25.26 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９４年１０月　晋　揚州　京口】

　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　　　　|（○）,　　　､（○）､ :|
　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|　
　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　　　　　　　　　　　　　　王恭将軍！
　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-　
　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、　　　　　　　　青州が慕容部の軍勢の手に落ちました！！
.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ　　　　　　　　.我らの援軍は間に合わず！！
　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、　　　
　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）　　　
　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / . . .′. |. . . . . . .| . . . . . . . . . . ∨/ ∨ . :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |. . . l. . . .|￤. . . . .ﾄ、.. .＼. . . . . . ′ .|/. . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |. . . | . .j∧|. . . . . j___＼__. .＼. . . ￤ .│:. . :′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │. . .!-┼　|│. . .│,　　＼. .￤ . . .!. . .|. . . . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | . . .|,.斗-ﾐ! | . . Ν　斗-ミ＼|. . ,ﾊト . ド. . l､.′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |￤ .|　｝,,ｈ人. .│　　｝ｈ刈. /　　|.│./￤＼
　　　　　　　　　援軍は間に合わなかったか。　　　　　　　　　　　　　　 .|人 .|　Ｖツ　＼|　　Ｖツ　 |/　｝ ,ﾊ/.∧│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ﾉ.| ト!　　　 ,　　　　　　　　.└／|. |/　}人
　　　　　　　　　責任は追わないといけないな　　　　　　　　　　　　　　.イ.| | Ｌ ;　　｀　　　　　　Ｊ厂. ./.|. |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |∧　人　　　、　ノ　　　 .价 /l.人.!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀: . 、　　　　　イ:人!'　′´⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　｝　}> ‐=≦ 　 j＞-――-　ミ）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　＼　　 .ｲ　　　 ≠´　.　-――-ミ　＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　 .実際、太元十九年（三九四年）に、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　後燕軍が青州へ侵攻した際には援軍を派遣したが青州を失陥した。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .利を失い、輔国将軍へ降号したと『晋書』『王恭伝』は記す
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
281 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:10:04.31 ID:Sn1xEGb10: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　　とはいえ、王恭の関心は外よりも内に向いていた
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ .　　　　　､　　　　＼ｌ　　＼　ミ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:／　　 :|　　| 　 . 　　 :　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . ..::.　　　 ..::|　　|　　:.　　　|　　　 :..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.://　 .: ＿／|　　|　　::.　　 :|　　　　 ::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:://　.:/::／　｀ﾄ、八　.::　　 |　　　::.　:i.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ィ..:..::./幺___　　..::/　　.::.　　.::.|　　　::.　:|:
　　　　それはそうだよ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | }||.::/ｨ久ﾄﾐｘ　 V 　 ..::.　　 ..::.|　　　.::.. :|:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ||/　lｒ勹　刈 i　..::.／　..::.:./|　　.::.:.. :|.::.
　　　　陛下は亡くなり、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厂　　|′ ｊ::タ　　_)狄.:／　 ..::.:../..::.:　 ..::.:..: :||::.
　　　　朝廷は会稽王の天下。　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　 :　　　　　￣ ``　　ﾝ:イ..::.　..::.:..厶//　..::.:..|:: .||.::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　／´ ﾉﾉ..::／..::〈 //　..::.:..::.|::.:小.::.:..
　　　　しかも、会稽王があの王国宝を重用してたらね　　　　　　 .｛､_　　　　　　　　 _ 彡.:／｝／　/ｲ ..::.:..::.ノ｝/.:］::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉［_)　　　　　　　　-=彡／＾厂｝ /..::.:..:／i// ..:〕::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　 '⌒ ¨ /..::.:／..:://..::.:..|.::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　　　ｒ个ｰ─ｧ.::／..::.:.//..::.:..::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　　　　　　　　 V..::./イ..::.:..::.:./..::.:..::.:.ｊ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニ=┐　　　　　 /:／..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::ﾉ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　　　　　　/个..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::..:..
282 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:11:53.24 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９６年１０月　晋　首都　建康】

　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　　　　殿下。
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　　　　　京口の王恭将軍から、また上奏文が届きました
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.........:::::::::::::::::::::､::::::::::::::::::::::|:::::::::::丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::/:::::::::::/:::::::::｝::::::::::::::::::::|::::::::＼:::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .::::::::/:::::::::::/:::::::／!::::::::::::::｝:::八::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::/::::Х　 |:::/:::::::::｝/　　::::|:::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::八:::::::::|／　＼|:/!::::::::ｲ匕￣V::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::ｨ＾ヽ＼:::kｒ‐─t:ｧ刈::／ }ﾃt:ｧ─}:::八:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/イ:::::ｌ|へ}ハﾊl　ﾐ￣￣／´　　￣￣/:/／ヽ!
　　　　　　どうせ王国宝の事だろう。　　　　　　　　　　　　　　　　 }:::::八い,　　　　　　　　 /　　ノイ::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　｝> ___　 u　　　　　　　　　　　仄⌒
　　　　　　放っておけ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｊ/＼圦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}::仆　　ｒ乞辷_「｀ﾏ　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ八{ 个ト　　　 |　 }／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　勹く[｀　　　　ﾆ=-|／⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _丿　＼　　　　　ｒ’ｰ‐　⌒`,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　|　　　＼_　　　｝　ー-─ヤ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　￣￣　　 |　　　／〕　　 ′　ー- ､!＼__

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王恭伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　 .
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　皇帝司馬曜が崩じるに及び、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　会稽王司馬道子が執政となり、寵臣の王国宝に機権を委ねた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　王恭は何度も正色して直言したため、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　司馬道子はこれを深く憚って腹を立てた
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
283 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:12:31.42 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-------ヵ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　　　　 .∧',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //,　　　　　　　∧',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //　　　　　　　　 ∧ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 //,'　　　　　　　 .∧;ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /./,　　　　　　　　　 ∧;ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　 /./,'　　　　　　　　　　 ∧ｉﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 /;/,' 　　 .r======ヵ　　.∧;;ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ｌ/,'　　　　i!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i!　　　∧ｉ;ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;/,'　　　　└＝＝＝┘　　　.∧;;;ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;//　　　　　　　　　　　　　　　 ∧;;;;ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　 /;;/ﾏ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣∨∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;ﾑ─────────────∨∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仏ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾏ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　 r≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡7　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　　 ∨ .∨ ,ｨ＜二二≧≦二二＞､ ./　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ .∨　　＿,/　￥　∨＿　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨ .ヾ＞_､__二二二__, ｨ＜./　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ムニニニニニニニニニニニゝ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　 .
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　以下の話は、皇帝司馬曜の棺を隆平陵に埋葬した際の話だろう
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
284 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:13:31.73 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　 . . . ∧ . /. . . . . /| . . . . . . . . . ∧. . . . .‘， . . .
　　　　　, . . .| . ∨.|. . . . ,　j. . |. . . . . .|. .|　'. .｜. . . . . . .
.　　　 , . . . |. . . . l. . ／、 ∨.| . . . . .i|. .l　 ′|. . . . . . .｜
　　　 /|. . . .|. . . . l／ ___＼_Ⅵ､. . . ./!./_／∨ /. .| . . | |
.　　　/. |. . . .|. . . Ｎx笊芋ﾐｘ｀|｜. ./｀/ｘ芋ミ∨! . |. . . ｜
　　 /／|∧. .|. . . i〈{　んハ　　 |／　　んﾊ　Ⅵ .｜ . .Ｎ　　　　　　　　王珣殿。
　 ,／　 l. ∧.И . l　　乂ｊり　　　　　.乂り. ｲﾉ. 人∧|
.　　　　 |. . ∧.ｊﾄ､.ゝ　　　　　　　　　　　　／.イ. /　＼　　　　　　　僕は王国宝を殺そうと思っている
.　　　 ∧. .|＼ﾄ､__|　　　　　　　　'　　　　　丁._ﾉ.ｲ
　　　　∧.|　 ∨.∧　　　　　　　　　　　　 /. .厂|
　　　　　　`　　j|∧. . ､　　　（　　 )　　　. /|. /＼!
　　／￣￣ア　|i　∨个s｡.　　　　　. イ/､j/＿_　
　 /　　　.∠_　　　 iＮ|　　＞　-‐r＜|　|′`､　　｀＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ., --──-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　王国宝は禍乱を為したと言うが、罪状が明確ではない。　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ
　　　　今先手を打って事を起こせば、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l
　　　　朝野の望は大いに失われるだろう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　　　まして君が強兵を率いて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　　　　都を離れたら、誰が君を逆賊でないと言うのか？　　　　　　.丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『王導伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭は山陵へ赴くと、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .王国宝を殺害しようと欲したが、尚書令の王珣がこれを止めた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
285 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:14:17.68 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　　　　　　　　　　王国宝が態度を改めず、
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　　　　　　　　天下に悪を布いた後に、時望に従って排除するのが良計だ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　　　　　　　　　　　　　　　　／.:／　　 :|　　| 　 . 　　 :　　　ヽ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　 . ..::.　　　 ..::|　　|　　:.　　　|　　　 :..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.://　 .: ＿／|　　|　　::.　　 :|　　　　 ::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:://　.:/::／　｀ﾄ、八　.::　　 |　　　::.　:i.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ィ..:..::./幺___　　..::/　　.::.　　.::.|　　　::.　:|:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | }||.::/ｨ久ﾄﾐｘ　 V 　 ..::.　　 ..::.|　　　.::.. :|:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ||/　lｒ勹　刈 i　..::.／　..::.:./|　　.::.:.. :|.::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厂　　|′ ｊ::タ　　_)狄.:／　 ..::.:../..::.:　 ..::.:..: :||::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 :　　　　　￣ ``　　ﾝ:イ..::.　..::.:..厶//　..::.:..|:: .||.::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　／´ ﾉﾉ..::／..::〈 //　..::.:..::.|::.:小.::.:..
　　　　　　王珣殿は漢の胡広に似ているね　　　　　　　　　　　　｛､_　　　　　　　　 _ 彡.:／｝／　/ｲ ..::.:..::.ノ｝/.:］::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉［_)　　　　　　　　-=彡／＾厂｝ /..::.:..:／i// ..:〕::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　 '⌒ ¨ /..::.:／..:://..::.:..|.::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　　　ｒ个ｰ─ｧ.::／..::.:.//..::.:..::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　　　　　　　　 V..::./イ..::.:..::.:./..::.:..::.:.ｊ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニ=┐　　　　　 /:／..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::ﾉ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　　　　　　/个..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::..:..

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　王恭はここでは思い止まった。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　胡広というのは、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　後漢の安帝～霊帝までの六代の皇帝に仕え三公まで昇進した人物。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　蔡邕が師と仰いだ著名な儒者だが、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　宦官と婚姻関係を結んでいたためか、天下の中庸とも評された
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
286 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:15:27.16 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　　　　　　　　　 .王陵は朝廷で争い、陳平は慎重に沈黙した。
　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　
　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　　　　　　　　　　ただ年の終わりに大義を問うのは如何なものか
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|　　　　　　　　　　　　　　　　／.:／　　 :|　　| 　 . 　　 :　　　ヽ
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::　　　　　　　　　　　　　　　　 . ..::.　　　 ..::|　　|　　:.　　　|　　　 :..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.://　 .: ＿／|　　|　　::.　　 :|　　　　 ::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:://　.:/::／　｀ﾄ、八　.::　　 |　　　::.　:i.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ィ..:..::./幺___　　..::/　　.::.　　.::.|　　　::.　:|:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | }||.::/ｨ久ﾄﾐｘ　 V 　 ..::.　　 ..::.|　　　.::.. :|:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ||/　lｒ勹　刈 i　..::.／　..::.:./|　　.::.:.. :|.::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厂　　|′ ｊ::タ　　_)狄.:／　 ..::.:../..::.:　 ..::.:..: :||::.
　　　　　　　榱棟といえども新しくしないと。　　　　　　　　　　　　　 :　　　　　￣ ``　　ﾝ:イ..::.　..::.:..厶//　..::.:..|:: .||.::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　.／´ ﾉﾉ..::／..::〈 //　..::.:..::.|::.:小.::.:..
　　　　　　　僕は京口へ帰らせてもらう　　　　　　　　　　　　　　　｛､_　　　　　　　　 _ 彡.:／｝／　/ｲ ..::.:..::.ノ｝/.:］::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉［_)　　　　　　　　-=彡／＾厂｝ /..::.:..:／i// ..:〕::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　 '⌒ ¨ /..::.:／..:://..::.:..|.::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　　　ｒ个ｰ─ｧ.::／..::.:.//..::.:..::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　　　　　　　　 V..::./イ..::.:..::.:./..::.:..::.:.ｊ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニ=┐　　　　　 /:／..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::ﾉ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　　　　　　/个..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::..:..

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王恭伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭は山陵へ赴いたが、朝廷から退出してしまった。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .榱棟とは棟木と垂木の事を指し、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　暗に王国宝を排除すると言っているわけだ
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
287 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:16:36.68 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　　／: : : r‐r==========、
　　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣　　　　　　　　　王恭が無断で帰りました。
　　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}
　　 | :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|　　　　　　　　　後日王恭が
　　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　　　会稽王殿下に謁見する際を狙っての襲撃を王緒は提案します
　　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)　
　　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.＜::::::::::::::::::::::　　　　＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. . . .,':::::::. . . . . . __::::::::::::::.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ヽ、::〃:::::::,,..-‐''"´　.ヽ:::::::::::.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　`〃‐''´　　　　　　　ﾊ:::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i＿　　　　　　 ___＿_　　/:::::::::::::::.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 iゞ≧ｮ、 ....uｮllllll三冖ゝ､∨j'￣ヽ .ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ハ.! .夕〉　　´!　 .!夕′　 .ﾍ|‐　　i::::ﾔ
　　　　やめておけ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　￣,'　　　　｀￣　　　　 .!　　./:::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i.　 /　　　　　　　　　　　 ......‐′:::::::::ヽ
　　　　下手に王恭へ手を出せば、　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ　ヽ_　　　　　　　　　　　 V::::::::::::::::::::丶
　　　　北府はおろか西府まで敵に回すかもしれん　　　　　　　　　　ﾊ　 ------　　　　　 .,' ./:::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠ﾊ　－‐　　　　　／ ./::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::ハ　　　　　　／　/:::::::/.i::::::::::::::::::::::::::　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:.:.:::::::::::ハ_＿___,,／　 ./:::::::::/ .|:::::::ﾔ:::::::　　　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　,'::::::::::::::::::::,'|　　 _.... /:::::::::./　 |:::::::.ﾔ. . . . . . . . . ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .∧. . .〃. . . . . ./::/ ﾆ''''" 　/　:::::.Ｖ　　ｷ　　.ﾔ::::::::::::::::::::::::::∧

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　一方の王国宝。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王国宝の従弟の王緒は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭が朝廷に入って会稽王に謁見する際に伏兵に殺害させようと説いた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　しかし、王国宝はこれを許さなかった
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
288 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:17:09.69 ID:Sn1xEGb10: .　　　/:::::::::::/:::::::::{:::::::::::::::::::::;:､::::::::::::::::::::::::::::::
. 　　/::::::::::::'::::::::/ '::::::::::::::::::/　＼::::::::::::::::::::::::,
　　 ;::::::::::::::::::::;:'　 .!:::::::::::::::'　　　ヽ::::::::::::::::::::::,
.　　l::::::::::::::l:::/ ―-l::::::::::::::l-''"￣　 '::::::::::::::::::::::、　　　　　　.いや、待て。
.　　l::::::::::::::l/＿＿_､':l＼::::l　,.--―,r;::/:::_:::::::::::::::、
.　　 ':::､::::::::l` --‐ﾞ'　` 　｀'　　￣　 ;/ ;:'r, }::::､::::::＼　　　　内外がまとまらないといけない時期に
.　　　ヽ{＼::l　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: /::::::',　￣　　　　 .王恭みたいな不穏分子がいては困るだろう。
　　　　}ヽ｀`　　　　　　､　　　　　　　, _' ｲ:::ト ::､
　　　 ,::ノゝ､　　　　　　　　　 /::／｀ヽ、　　　　　　　 .王緒の提案に乗るべきだ
　　　　　 l:::､　　　　　　　　　　　':::{
　　　　　　l::::;＞　　 ´　　｀　イ_:::::!
　　　　　　;:::'　}:::ﾊ　　 _　　　 !ﾉ.lヾ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,....-――‐--...、
.　　　　　　　　／ ',　　　　　／　､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,-'"´........................... ..｀''‐､
　　　　　　　　_./ 　 ,.}　　　　／　　　〉ﾆﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　　/ ..-‐''"`ゝ:::::::::::::::::::::::::::::ハ
.　　　　　　__.//l :', .l　　　　　l　 ', 　./ニl !ﾆ-_　　　　　　　　　　　　　./'´　　　　　 ′:::::::::::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′ _ｨｮ、　 '、:::::::_,,..、::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!vf|ﾃ┐｀　　ヽ::1 －ﾞ'、::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫 ''-　　　　　ﾍ|　　　.i::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' _　　　　　　　　　　''" 1::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧---　　　　　　　　∧::::::::::::::::::::::::::丶
　　　殿下が王恭を邪魔に思っているだけではないか？　　　　　ﾍ　　　　　　　　　∧::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　　　 ∧:::::,:::::::〈::::::::::: ::::　　:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　 _,,....-‐ ∧　:/ 　::ﾆ∨::::::: :: ::::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　 '、/:::::::〃::::::/_....∨::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__r' ∧::::://::::.∨　　 .∨:::::::::::::::::::::::.∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 < 丿 /::::::://:::::::７‐''""￣`､::.∨:::::::::::::::ハ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　むしろ、司馬道子の方が王恭誅殺に乗り気になった。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼からすれば、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .前々から敵視されていた王恭を消す好機と映ったのだろう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
289 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:17:57.20 ID:Sn1xEGb10: 　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　 ≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
-=ニ　王恭殿が先帝の埋葬中に無断で邸へ帰った？ ≦
　　 ≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ≧　　　　王国宝と仲違いしたのは本当か？　　　　　ニ=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　）　戦が始まるのか！！（　　　　　　　　　　.≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣　　　　　　 ≧　　　　　今に都は火の海になるぞ！！！　　　　　ニ=-
　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼　
==lｭ、　　rl========lｭ、　　　　　　　　　　　　　
　　rl=========ｭ　　　　ヽrl==========lｭ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､＿＿_ノl_
　 /　　　　　 ∧　　　/　　　　　　　　　ヽ　rl========lｭ　 rl=======lｭ　　　rl=========lｭ､;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;rl==
. /　　　　　　 /　 ',rl===============lｭ　/　　　　　　　ヽ/　　　　　　ヽ　 /　　　　　　　ヽ　rl=========lｭ、/
/＿＿＿＿＿/＿_/　　　　　　　　　　　　 ∧＿＿rl====================lｭ　　　 rl========================lｭ＿
三三　三三三|三/　　　　　　　　　　 / 　', 三/　　　　　　　　　　　　　 ∧ 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',=
三三　三三三|::/＿＿＿＿＿＿＿＿__/＿＿, /　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ', /＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　 ',
三三　三三三|'|三三三三三三三三三|::::::::::::/＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/＿＿,|三三三三三三三三三三三三三三|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　これによって国難が始まったと『晋書』『王恭伝』は記している
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
290 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:19:14.83 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　　　／　''''''　　　　 ::::＼
.　　　　 |　　　（●）,　　､（●|
　　　　　|　　　　　,,ﾉ(､_, )ヽ､|　　　　　　　　　　　　庾楷将軍。
.　　　　 |　　　　｀ -=ﾆ=- ' :|
　　　　　＼　　　　｀ﾆﾆ´_／　　　　　　　　　　　　.北府の王恭将軍が王国宝と事を構えると噂が流れています。
　　　　　　/　　　　　　ヽ
　　　　　　|　　＿r'ﾟlﾆﾆﾆl]_ _＿＿＿/l　　　　　　　.どちらに味方するので？
fﾆﾆﾆﾆllﾆﾆ|　＼[ l===ﾆﾆl]}||||||||ll]}ｺl|====iﾆｺ
|l_,,=-'''~　 | ＼...　ヽ'''ニ「_,,,l⌒l｡__｡_]三i三三iＦ
　　　　　　|　〈,,/ヽ__＿）|ll [`ー'￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y　／　／　　　/　　'　　　∧ﾘﾉ彡|　}　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　_У　　　　　/|　/∧　　|　　　|　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　 -=ﾆ　＿＿＿ /　.／≧_Ⅳ　V　｜　　 |　/ 　 !　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　{ { ｲ/ ／灯示ミｘト､VΝ　_-―И　　|　 | ＼
　　　　私に逆賊になれと？　　　　　　　　　　　　　　　　　 _乂　乂､／}　　　V_;ソ　｀　ヽ　'f示苅v　　ﾊ . |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　,　/＼o_　　　　　　　　　;　ゞ '　ノｲ从/＼ﾄ､
　　　　王恭殿には大義名分がない。　　　　　　　　　　　.／　イ }/　/.}迅　　　　　　　　　i　　　/ ノ }/ 　 /＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｨｆﾓ'x、　 {/｜∧.　　　　　 '　　.,ｲ
　　　　我が配下の将兵には　　　　　　　　　　　　　　　　.ノ/////＼l　Ν　 ,＼　　´￣￣゛／}/
　　　　軽挙妄動を慎むよう伝えてくれ　　　　　　　.　__／=-///////Yi＼　 ,　＼　　　　／　 l-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＿/⌒ト ,////////∧i:i:i:＼__　　` ‐=≦> l＼∨Ⅵ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼//////＼//////∧i:i:i:i:i:i:i:≧s｡.,ﾉ／ｲ＼'/＼/Ⅵﾐh｡.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//＼//////＼/////∧､i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:ｉ|i:i:i:∨///}////}ﾐh｡.　__, ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'////＼//////＼'///∧i＼＿i:i:i:i,'i:ｉ:／|i:i:i:i:i∨//////{////≧s｡}ヽ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　幸か不幸か、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　歴陽から建康に来ていた西中郎将庾楷は王国宝側に味方した
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
291 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:20:31.30 ID:Sn1xEGb10: 　　　-''":::::::::::::｀''-､
　　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ
　　　　|::::ﾉ　　　ヽ､ヽr-r'"´　　（.__
　　　_,.!イ_　　_,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7
_..,,-":::::rｰ''7ｺ-‐'"´　　 ;　 ',　｀ヽ/｀7
"-..,,_r-'ｧ'"´/　 /!　ﾊ　ハ　 !　　iヾ_ﾉ
　　`!イ´ ,' |　/__,.!/　V　､!__ﾊ　 ,'　,ゝ　　　　　庾楷将軍の軍勢が王国宝に味方してゆっくりするようです
　　　`! 　!/ﾚi'　(ﾋ_] 　　　ﾋ_ﾝﾚ'i　ﾉ
　　　,'　ﾉ　 !'"　　 ,＿__,　 "' i .ﾚ'
　　ノﾉ（　　,ﾊ　　　　ヽ _ﾝ　　人!
　（ ,.ﾍ ,）､　　）＞,､ _____,　,.イ　ハ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . . ∧ . /. . . . . /| . . . . . . . . . ∧. . . . .‘， . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, . . .| . ∨.|. . . . ,　j. . |. . . . . .|. .|　'. .｜. . . . . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 , . . . |. . . . l. . ／、 ∨.| . . . . .i|. .l　 ′|. . . . . . .｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|. . . .|. . . . l／ ___＼_Ⅵ､. . . ./!./_／∨ /. .| . . | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　/. |. . . .|. . . Ｎx笊芋ﾐｘ｀|｜. ./｀/ｘ芋ミ∨! . |. . . ｜
　　都へ連れてきた手勢だけでは厳しいかな？　　　　　　　　/／|∧. .|. . . i〈{　んハ　　 |／　　んﾊ　Ⅵ .｜ . .Ｎ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／　 l. ∧.И . l　　乂ｊり　　　　　.乂り. ｲﾉ. 人∧|
　　一度京口へ戻ってから、　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　 |. . ∧.ｊﾄ､.ゝ　　　　　　　　　　　　／.イ. /　＼
　　西府へも呼び掛けて王国宝討伐の兵を挙げよう　　　　　　∧. .|＼ﾄ､__|　　　　　　　　'　　　　　丁._ﾉ.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧.|　 ∨.∧　　　　　　　　　　　　 /. .厂|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　　j|∧. . ､　　　（　　 )　　　. /|. /＼!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣ア　|i　∨个s｡.　　　　　. イ/､j/＿_　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　.∠_　　　 iＮ|　　＞　-‐r＜|　|′`､　　｀＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭は庾楷を憚り、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　建康での挙兵は避けて本拠の京口へ帰還する事にした
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
292 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:21:30.84 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .γ￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　会稽王殿下　　　|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿乂

==lｭ、　　rl========lｭ、　　　　　　　　　　　　　
　　rl=========ｭ　　　　ヽrl==========lｭ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､＿＿_ノl_
　 /　　　　　 ∧　　　/　　　　　　　　　ヽ　rl========lｭ　 rl=======lｭ　　　rl=========lｭ､;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;rl==
. /　　　　　　 /　 ',rl===============lｭ　/　　　　　　　ヽ/　　　　　　ヽ　 /　　　　　　　ヽ　rl=========lｭ、/
/＿＿＿＿＿/＿_/　　　　　　　　　　　　 ∧＿＿rl====================lｭ　　　 rl========================lｭ＿
三三　三三三|三/　　　　　　　　　　 / 　', 三/　　　　　　　　　　　　　 ∧ 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',=
三三　三三三|::/＿＿＿＿＿＿＿＿__/＿＿, /　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ', /＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　 ',
三三　三三三|'|三三三三三三三三三|::::::::::::/＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/＿＿,|三三三三三三三三三三三三三三|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭は建康を出発するに及び、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　見送りに来た司馬道子へ次のように言ったとされる
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
293 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:22:46.55 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　 _､-―――-)ｿ
　　　　　　／i:i:i:i:i:_i:i:i:i:i:i:i:i:＼
　　　　　　 /i:/i:ｉ:ｉ／､|i:i:i:ｉ:ｉ:/i:i:∧
　　　　　／i:/:i:i:r―，Ni:i:i:/}ハi:i:|
　　　／i:i:i/^i八￣´　 {V二，:}i:ｉ|
　　　￣7:i|　|⌒　　　/　￣ /i:i:|
　　　　厶=:八　　　　　　 /^l:八　　　　　　　　　　　　　　何か？
　　　　　　　}i:i:i＼ ´　｀　／イ{⌒ヽ
　　　　　　　}八i: :＞―＜从{⌒
　　　　　　「￣j / l　　　　|_
　　　　 r―{／{/　i|　_､‐''゛__＞― ､
　　　　 i::::::ﾊ　{ 　／:::::／::::::::::::::::::}
　　　　 l:::/:/ /　.:'::::_／:::::::::::::::::::::: }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . ..::.　　　 ..::|　　|　　:.　　　|　　　 :..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.://　 .: ＿／|　　|　　::.　　 :|　　　　 ::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:://　.:/::／　｀ﾄ、八　.::　　 |　　　::.　:i.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ィ..:..::./幺___　　..::/　　.::.　　.::.|　　　::.　:|:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | }||.::/ｨ久ﾄﾐｘ　 V 　 ..::.　　 ..::.|　　　.::.. :|:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..ﾉ||/　lｒ勹　刈 i　..::.／　..::.:./|　　.::.:.. :|.::.
　主上が服喪に入っての太宰の任は伊尹・周公でも困難だ。　.　厂　　|′ ｊ::タ　　_)狄.:／　 ..::.:../..::.:　 ..::.:..: :||::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:　　　　　￣ ``　　ﾝ:イ..::.　..::.:..厶//　..::.:..|:: .||.::.
　願わくば大王には、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　／´ ﾉﾉ..::／..::〈 //　..::.:..::.|::.:小.::.:..
　万機に親しく直言を用いて　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛､_　　　　　　　　 _ 彡.:／｝／　/ｲ ..::.:..::.ノ｝/.:］::.
　鄭声を遠ざけ佞人を放逐してほしい　　　　　　　　　　　　　.〉［_)　　　　　　　　-=彡／＾厂｝ /..::.:..:／i// ..:〕::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　 '⌒ ¨ /..::.:／..:://..::.:..|.::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　　　ｒ个ｰ─ｧ.::／..::.:.//..::.:..::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　　　　　　　　 V..::./イ..::.:..::.:./..::.:..::.:.ｊ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニ=┐　　　　　 /:／..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::ﾉ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　　　　　　/个..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::..:..

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　鄭声とは淫ら・野卑な音楽を指す
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
294 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:23:21.32 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　　／: : : r‐r==========、
　　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/u. ⌒ ｌ :}
　　 | : ﾚ .|:::::::::○三三○　ｌ :|
　　　|: : :（| ⊂⊃:::､_,､_, 　⊂l:/
　　i⌒ヽ: :ゝ:::::::::u:::::::　　u. ﾙ|_／⌒)
　　ヽ　ヽ从ヽ,､::::::__,u.イ从/ ヽ／
　　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,....----....,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..‐＜ン'"｀ `''''ｰ- !' ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠　　''、 ..r-≡ｪ、　ﾞ^''ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::V.　　 '　!歹^''丶-_..zョ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./:::::::::::.V　U　　三ﾐ三三｛歹'!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'::,, '' ﾆ1|　u　　　　　　　　 `≦{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::」'´　 .ﾞ'!　　　　　　..--....、 ‐' ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::ﾍ、　　　　　　　 / ﾆ－‐ ヽ　 .ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::｀ j''''　　　　　 {　　ﾞ､ / 　./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::丿　　　　　　ゝ-.... ｿ　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::ﾔ　　　　　　　　''‐　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　::::::::::::::::::::::::.ﾔ　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::i:::::::.:ｷ　　　　　　----‐v
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::／:::::::::!::::::::|ｌ　　 ∟_　　　 ∨:::::::::::∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　7:::::::.∨/::::._／i　　 !ｖ:::::.ｷ　｀''ｰ､,,」::::::::::: 　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´..---―''"''、　ｌ:::::::::ｌﾔ:::::::ﾔ　　　　r｀ｌ:::::::.:ﾔ、:∧

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭の口調と態度は大変強かったため、王国宝らは一層恐怖に駆られた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
295 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:23:56.12 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年春　晋　揚州　京口】

. |　　|　　　＼::::::::＼| | | | |＼＼　＼　　　　　　　　　　　／　＼／／:|　／＼／ |　　　　_,.
ﾞ.|　＞'"￣｀丶＼::::::::＼| | | |:|　　＼／　　　　　　　　　　 xく　＼／　 |:::::|／＼／｜ |　｡s≦-‐
..ﾚ'´　　　＿　＼＼::::::::＼| |:|　|＼｜　　　　　　　　　　 < 　＼／　　 |／＼／ |　 |　|　|¨:|:::::::
┼-　ｘi(　　｀ヽ　ﾍ＼::: :::＼|　|::::|｜　　　　　　　　　　　　＼／／| 　／＼／　.| |　 |　|　|　|:::::::
｣___ ん/)h､　　 V∧　｢￣￣　 |::::|｜　　　　　　　　　ｒzzzzzz|　|:::::|／＼／　　.| |　 |　|　|　|:::::::
.l　`|////ハ　　 '/ﾊ　＼　　　＼|｜　　　　　　　　　 |//〉二 |　|／＼／　_､+'"~| |　 |　|　|　|::::::
| 　.|//////|＿＿|　.|　　＼　: : : | |　ｒｚzｭ　　　　　　//　|　　|／＼／「 :i´丁￣::| |　 |　|　|　|＿
　　|//////|￣￣|＼|　 : : : .＼:.::.:| |ｚ辻（_)〉　　　 // ||｜ <＼／　| |　|　|::::::::::| |　 |　|　|￣＿
_　 |//////|＿＿|γヽ　: : : : : :＼| |:|丁｀|〉　　　〈/:| ||..|===l:/ ／| | |　|　|::::::::::| |　 |　|　￣
...　|//////|　　 |弋ﾉ　:|｀'i : : : : ::|]|:|┘［|∧ 　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
.　 |//////|　　ハ　Ⅵ|:: |: : : __: | |:l] ｎ |∨〉 |　　朝廷から安北将軍に任命する使者が来たんだって？　　|
.ﾞ　|//////|　　 .:.....}　L||:: |: : : | | | |:|￣｀|L|____ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
..　|//////|　　:{..... ﾍへ::::|: : : | | |_|:|]丁|ヽ|]丁¨｢|'´|ｎ［l└|:::::::|:|::￣: :| | 　　　　 |　 |　|
　_|//////| 　　 {＿__}∨｀'ﾞ : : :|_|（;;;;)　| ,イ丁丁丁丁丁丁ト ::::|:|::　 : :| | 　　　　 |　 |　|
., |::|￣￣丁¨¨¨¨|＼　Ｙ∧: : : : :γ＾ヽイﾚ'二二二二二二`'く〕ト|:|.:　 . :| |＿＿＿＿_|＿|_,,|..､､､--‐
　≧s｡　　|　　　 |　 }　}¨∧￣`'<ノ　ﾉ｡s个x|:|_｢/〉[] |::| |x个o｡｣-‐　''￣:.::| |￣| |￣: : : : : : : : : :
.ﾟ｡　　　 ≧s｡γ´|‐∧‐| 〈∧. 　　｀ヽL_⊥┘|ィ/￣...|::| |‐-Ｌ｣:|: : : : : : :.::.:| |: : | |: : : : : : : : : : : :
　ﾟ。　　　　　＞┴　_|_j　〈∧ 　　　 .｣_ノ-=ﾆ /　　 └|_| : : : :￣⌒ﾆ=-　 |_|＿| |: : : : : : : : : : : :
　|:ﾍ　　　　／　　　　　｀`7〈∧￣￣￣ /　　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::;:;:;:;:￣⌒＾^''ﾆ=-　　_
　|::| ＼　／　　　　　　 /　〈∧ 　　 ./　／　　　　　　: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　＿　‐丶､　　　　　／　　,〈∧　＿厶ｼﾞ.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
￣: : : : : : ≧s｡　＿∠ 　-─　〈∧:;::;:;:;:;:;:;:;:: : : : : : : : : : : : ::.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:
: : : : : : : : : : :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:｀':;:;:;:;:;:;:;:;:;::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::
296 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:24:43.34 ID:Sn1xEGb10: 【>>295修正】
【紀元３９７年春　晋　揚州　京口】

. |　　|　　　＼::::::::＼| | | | |＼＼　＼　　　　　　　　　　　／　＼／／:|　／＼／ |　　　　_,.
ﾞ.|　＞'"￣｀丶＼::::::::＼| | | |:|　　＼／　　　　　　　　　　 xく　＼／　 |:::::|／＼／｜ |　｡s≦-‐
..ﾚ'´　　　＿　＼＼::::::::＼| |:|　|＼｜　　　　　　　　　　 < 　＼／　　 |／＼／ |　 |　|　|¨:|:::::::
┼-　ｘi(　　｀ヽ　ﾍ＼::: :::＼|　|::::|｜　　　　　　　　　　　　＼／／| 　／＼／　.| |　 |　|　|　|:::::::
｣___ ん/)h､　　 V∧　｢￣￣　 |::::|｜　　　　　　　　　ｒzzzzzz|　|:::::|／＼／　　.| |　 |　|　|　|:::::::
.l　`|////ハ　　 '/ﾊ　＼　　　＼|｜　　　　　　　　　 |//〉二 |　|／＼／　_､+'"~| |　 |　|　|　|::::::
| 　.|//////|＿＿|　.|　　＼　: : : | |　ｒｚzｭ　　　　　　//　|　　|／＼／「 :i´丁￣::| |　 |　|　|　|＿
　　|//////|￣￣|＼|　 : : : .＼:.::.:| |ｚ辻（_)〉　　　 // ||｜ <＼／　| |　|　|::::::::::| |　 |　|　|￣＿
_　 |//////|＿＿|γヽ　: : : : : :＼| |:|丁｀|〉　　　〈/:| ||..|===l:/ ／| | |　|　|::::::::::| |　 |　|　￣
...　|//////|　　 |弋ﾉ　:|｀'i : : : : ::|]|:|┘［|∧ 　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
.　 |//////|　　ハ　Ⅵ|:: |: : : __: | |:l] ｎ |∨〉　|　　朝廷から安北将軍に任命する使者が来たんだって？　　|
.ﾞ　|//////|　　 .:.....}　L||:: |: : : | | | |:|￣｀|L|____ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
..　|//////|　　:{..... ﾍへ::::|: : : | | |_|:|]丁|ヽ|]丁¨｢|'´|ｎ［l└|:::::::|:|::￣: :| | 　　　　 |　 |　|
　_|//////| 　　 {＿__}∨｀'ﾞ : : :|_|（;;;;)　| ,イ丁丁丁丁丁丁ト ::::|:|::　 : :| | 　　　　 |　 |　|
., |::|￣￣丁¨¨¨¨|＼　Ｙ∧: : : : :γ＾ヽイﾚ'二二二二二二`'く〕ト|:|.:　 . :| |＿＿＿＿_|＿|_,,|..､､､--‐
　≧s｡　　|　　　 |　 }　}¨∧￣`'<ノ　ﾉ｡s个x|:|_｢/〉[] |::| |x个o｡｣-‐　''￣:.::| |￣| |￣: : : : : : : : : :
.ﾟ｡　　　 ≧s｡γ´|‐∧‐| 〈∧. 　　｀ヽL_⊥┘|ィ/￣...|::| |‐-Ｌ｣:|: : : : : : :.::.:| |: : | |: : : : : : : : : : : :
　ﾟ。　　　　　＞┴　_|_j　〈∧ 　　　 .｣_ノ-=ﾆ /　　 └|_| : : : :￣⌒ﾆ=-　 |_|＿| |: : : : : : : : : : : :
　|:ﾍ　　　　／　　　　　｀`7〈∧￣￣￣ /　　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::;:;:;:;:￣⌒＾^''ﾆ=-　　_
　|::| ＼　／　　　　　　 /　〈∧ 　　 ./　／　　　　　　: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　＿　‐丶､　　　　　／　　,〈∧　＿厶ｼﾞ.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
￣: : : : : : ≧s｡　＿∠ 　-─　〈∧:;::;:;:;:;:;:;:;:: : : : : : : : : : : : ::.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:
: : : : : : : : : : :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:｀':;:;:;:;:;:;:;:;:;::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::
297 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:25:44.13 ID:Sn1xEGb10: .　　　,　　:　　'　　ｲ　　　　　　/ /　|　　　　/, 　 : | :　|
　　　　 │: 　 ; 　: / | :　　　／　　 ∧　　　　:|　 . :| :　|
　　　│ │: .　| : :/ .イ⌒|　／／　 '⌒|ヽ　　 :|　 . :|. : .|
　　　│ │: .　| : | 　 |:八|/|イ　 |　/　八 | : / :|　 . :|. : .|
　　　 || . | : . 　八斗弁仆 ! | : . .| :ﾞ斗弁仆< . :|　 . :|:│:＼　　
　　　八:│|: .　|<{　i|J::jｘ|｀|人:. ..Ν´i|J::jｘ|　}>ﾘ . . :八| :〈⌒　　　　　　それなら断わったよ。
.　_／ . : ﾉ人: . | 　弋'^ク　　＼|　弋'^ク　∨ . : / :八:　＼_
　＾⌒7 : :八ﾍ.人　´´ ｰ　　　　　　　　　ｰ｀｀/. .:／｝ : /＼厂　　　　　 .王国宝がいたら何も変わらないからね。
　　厶イ : : ＼ﾑ＼　　　　　 '　　　　　　　厶イ／: : ::|　
　　　　 '⌒Ｙ: : ∧　　　　　　　　　　　　　 ∧: : :/＼八　　　　　　　　 .すでに西府にも使いを出して、
　　　　　　ﾉ::::人::::..、　　　丶　　_ノ　　　 .:::::/∨　　　　　　　　　　　　.共に王国宝を排除しようと呼びかけている
　　　　　 '⌒≫=ﾍ∧>､　　　　　　　　　</∨=ミ　
　　　　　　　《（　　　 ∨)|＞　 __　　＜|∨　　 _）》　
　　　　　　　 ∨二ﾆ=─┴---､_, ---┴ =ﾆ二∨　
　　　　　　　人　　　　　　［］　　　　　　　人　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:::. : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : ::.:.:.:{:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ'_＿: :ィ云≧､:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{//ｿ"//////≧＝=‐‐-斗=ミ:.:.::.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: :.:.V////:.:.::.:.:.:.:..:::.:::.:.斥:.:.:}.::.::.,'
　　　　　　　　　　　　で、返事の程は？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :.:.:.､:.￣: ::.:.::.:.:ノ:.:.::.:::.:.ﾊ::.::.ﾉ:::./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "7:.:.:':_.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／::.:/＿ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__,,.. -‐＝{`二､ヽ:.从:.:.:..:.::.:.:.:.:.:ｒイ:.:.:.::.:{≫　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　／才二ノ.:.{;;;}:.:. :.:.::.:.:.:.:.::.:._,斗≦　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i|　　　　　／／};;;从;/´￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i| 　　　 ""　 {;;;;;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　}i| 　　　　　_≧＝{　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ＿
298 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:26:44.93 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　/ 　　＼　　＼　　＼⌒
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 :.　　　
　　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.　　　
　　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　　
　　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ　
.　　　|　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }　　　　　　　　西府は王国宝討伐の盟主に僕を推すと言ってきた。
.　　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八　
　　　　,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　　　　　　　　　.では、これから決起の檄文を書くから失礼するよ
.　　　　′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}
.　　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/
.　　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八
　　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_
　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　.
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:::. : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : ::.:.:.:{:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ'_＿: :ィ云≧､:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{//ｿ"//////≧＝=‐‐-斗=ミ:.:.::.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: :.:.V////:.:.::.:.:.:.:..:::.:::.:.斥:.:.:}.::.::.,'
　　　　　　　　　　　　　　……マジかよ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :.:.:.､:.￣: ::.:.::.:.:ノ:.:.::.:::.:.ﾊ::.::.ﾉ:::./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "7:.:.:':_.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／::.:/＿ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__,,.. -‐＝{`二､ヽ:.从:.:.:..:.::.:.:.:.:.:ｒイ:.:.:.::.:{≫　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　／才二ノ.:.{;;;}:.:. :.:.::.:.:.:.:.::.:._,斗≦　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i|　　　　　／／};;;从;/´￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i| 　　　 ""　 {;;;;;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　}i| 　　　　　_≧＝{　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ＿

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　朝廷は懐柔策として王恭を安北将軍に任命したが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼はこれを拒否し、西府の殷仲堪・桓玄との共闘を画策した
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
299 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:27:52.89 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年春　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　／. : :ー-ミメ: .
　　　　　　　 /. : : : :_刈ﾊ}/ﾉノﾊ
　　　　　　　」-‐=彳　/:f^ｰ-弌{
　　　　　　_j　_彡ｲ､__{{八　　 jﾘ　　　　　　　　　　.殷仲堪殿。
　　　　　　爻{　i{　气-芸ﾐ .ｨｱ
　　　　　　　ハ　　　　　　:{ i　　　　　　　　　　　 .王国宝の奸凶ぶりは天下の知る所。
　　　　　　　Ⅵﾍ　　､__　jﾚ
　　　　　　　}:.:.＼_rへ　￣ ′　　　　　　　　　　　.王恭殿の説く所に従い、
.　　　　　　八:.:.:.f==7≧≠,　　　　　　　　　　　　.晋陽之師を興して内に朝廷を正し、
　　　　_rf斗x＜:.:r=7　i　」{乂f二ﾆfvﾍ___　　　　　荊楚の兵で長江を下り、王恭殿を盟主に推す事が桓文之挙となる
r==气x　.乂7. : : ￣ : ::才｀＜: : :oヽ　}}ハ
77i r､＼.{. o: :__ ＞ ´　　 ∨　｀＜:V}}川
//| ! iﾊV }_／. :/　　　　　　∨　　 o{ :弌乢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ
　　　　　　　　　　　　　　ふむ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『殷仲堪伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　桓玄は王恭に応じるよう殷仲堪を説き、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭を盟主に推して晋陽之挙と桓文之功を立てるよう主張。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　晋陽之挙は春秋時代の晋の六卿の抗争において、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　当時晋の権臣だった知伯を趙・魏・韓の三卿が打ち破った事を指す
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
300 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:29:13.61 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　／. : :ー-ミメ: .
　　　　　　　 /. : : : :_刈ﾊ}/ﾉノﾊ
　　　　　　　」-‐=彳　/:f^ｰ-弌{
　　　　　　_j　_彡ｲ､__{{八　　 jﾘ　
　　　　　　爻{　i{　气-芸ﾐ .ｨｱ
　　　　　　　ハ　　　　　　:{ i　
　　　　　　　Ⅵﾍ　　､__　jﾚ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　如何か？
　　　　　　　}:.:.＼_rへ　￣ ′
.　　　　　　八:.:.:.f==7≧≠,　
　　　　_rf斗x＜:.:r=7　i　」{乂f二ﾆfvﾍ___　
r==气x　.乂7. : : ￣ : ::才｀＜: : :oヽ　}}ハ
77i r､＼.{. o: :__ ＞ ´　　 ∨　｀＜:V}}川
//| ! iﾊV }_／. :/　　　　　　∨　　 o{ :弌乢　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L
　　　まあ、よかろう。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!
　　　ただ、王恭殿のいる京口は都に程近い。　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　我々が道遠い荊州から兵を連ねても間に合わないだろう　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 .: .: .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. :. :. : .: .: .:. :. :. :

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　殷仲堪は納得はしたものの、
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　都からの北府と西府の距離の差から呼応は難しいと見ていた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .そこで、形だけ王恭に応じる返事をした
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
301 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:30:00.77 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年春　晋　揚州　京口】

　　　　　　　　　　　　　　　　 / . /. . ./. . . . . ＼. . . .＼. . . .＼
　　　　　　　　　　　　 / . /. . . .| . .　.　.　.|. . .＼. ＼. . . .ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 / . / . ,. . .| . .　.　.　.L. 、 . ＼ ∨, . . . ,
　　　　　　　　　　 ′ . . . |. . .| . . .　.　.￤｢＼. .￤ ∨. . . ′
　　　　　　　　　　　　ｉ. . ｉ. . . |. . .| . . .　.　.│| ／＼!. . 〈. . . . :.
　　　　　　　　　　　　 |　 |. . l |. ./|／ .　.　.│|.　　　 | . .￤. . . .:.　　　　+
　　　　　　　　　　　　 |│|. . | ∨∧ . . . .　.│|　.　―|＜/. .j . |＼　　　　　＋
　　　　　　　　　　　　 |│|. . |. .|　　＼|＼. . ｈ| j／￣|／!. ,ﾊ. .|　　　　　　　×
　　　　　　　　　　　　 |│|. . |. .|　／￣｀＾＼!　　　　　　ﾉｲ ∧.|　　　　　　　十
　　　　　　　　　 .ｘ　＇ |人|＼|＼ ^ ′ 　　　 ,　　　　 |ｲ|　｝　　　　　ｘ　　　　　　　ｷﾀ――(ﾟ∀ﾟ)――!!
　　　　　　　 ×　　　　人.人｛　、　　　　　　　　┐　　八|　　　　.　*
　　　　　　十　　　　　　ヽ.｛＼_＼　　く　　ﾉ　／. .|
　　　　　＋　　　　　　　　＼ | . 介: .　　　　／|. 八|、
　　　　　　　 +　　　　　　　　　　　ﾉイ.人｢∧ﾆ=‐- く.:　|/　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿／　 ′|　　　　　 ∨ 　　 ∨￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／／￣/ 　 +Х　|　　　　　　￤ -+　　∨　　￣＼＼
　　　　　　　　　　 /　′+ / 　／　　 |￣＼　 /￣|　　Х 　〈/　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　ｉ　　〈／￣￣＼/l＼　　　／!／￣￣＼〉　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　| 　　　 ,　　　〈|＼＼_,／／|　　　;.　/　　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　 ′　／|　＼_／/　|＼　 j / ／
　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　＼　 ∨　 |　　　　 ′￤　∨|／　　　　 /　/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　殷仲堪からの書を得た王恭は大いに喜んだと『晋書』『王恭伝』は記す
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
302 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:33:31.05 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年４月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀'ヽ､　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,r'´　　　）　　　　京口より！　　　　（
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ.:;;;;;;;＝=.::.::.:.:..:.::r'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,」;;:;:;:;;;:;::.:.:. :. :.:. j
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ヾ;:;:; :;::;;: ;r＝=.:.j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_
303 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:34:34.62 ID:Sn1xEGb10: 　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
-=ニ　　　　　　北府軍が都へ進軍を開始ッ！！　　　　　≦
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　　　　　　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
　　　　　　　-=ニ　　　　王国宝殿と王緒殿を誅罰するとの事！！　　≦
　　　　　　　　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　　　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
　　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　　　　　　　　　＼::::::＼:::::::::::::／::::::::::::::: ＼:::::::: ＼.
-=ニ　　　　　抗議の上奏文が届いています！！！　　　≦　　　　　　　　／￣厂:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::: ＼..
　　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦ 　　　　　　　　/::::::／/::::::::::::::::|ｖ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼＿_
　　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼　　　　　　　　　|:::::/:::::|::::::::::::::::::｢^＼::::::::::::::::::::::::::＼::::::::＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:: /::::::..|::::::::::::::::｜　　＼::::::::::::::::::|::::: ＼〈 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__／:|:::::::::::::.′ |::i::::::::|´ ＿＿_＼::!:::!::::|:::::厂::: ＼＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|:::::::::::::|二.|/＼::::!＼　　0 ,　/::/::::::::::::::::::::::┌＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| :::::::::::|　 0`　ヽ{　 ` ￣彡／}:::::::::::::::::::＼{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ八:::::::::::l!三´　　　　　　　 /::::::}ヽ:::::::::/ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣＼:V　　　'　　　　 u 　 /:::::::/ノ:::::::/
　　　　　　　　　　　　　　……正気かよあいつ　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　　　　　　　　　厶イ/:::::::::::ﾊ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　vー～__ヽ.　　／::::::/:::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　⌒　　　　／:::::::::/ V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 ..イ　　 |}'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　＼_.ア爪:　__／　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__|＼　 |　　　　冂　　　/ニ＼_.._　-‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　-=ﾆ∥|　 )／|　　　　|　＼　 | ニニ||i=-

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　隆安元年（三九七年）四月。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　兗州刺史王恭・豫州刺史庾楷が挙兵し、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　尚書左僕射王国宝・建威将軍王緒を討ったと『晋書』『安帝紀』にある。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　ただし、『晋書』『安帝紀』以外に庾楷が参加した形跡はなく、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　先の山陵での王恭の騒動に関わったのと混同されたと思われる
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
304 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:35:25.77 ID:Sn1xEGb10: 【王恭さんの上奏文＠『晋書』『王恭伝』】
┏─────────────────────────────────────┓
　後将軍王国宝は姻戚の顕列に登りながら感恩の効力なく、
　時の施しに報いる所を寵を専らにして威を思うままにし、社稷を危うくしました。

　先帝が遠く登られた折、夜を犯して城門の扉を叩き、偽りの遺詔を欲しました。

　幸いに皇太后は聡明で、相王は神武であったため、反逆の謀議は果たせませんでした。
┗─────────────────────────────────────┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　く:::(　　　 -――‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /|:::::::::/ :| ::: 斗-―∨:::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::ト八::::::::| r―ｇV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　八 :|:::|r‐a＼Ｎ　―‐ |/|: //＼::＼＞
　　　　　　　ん？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　　　　俺の事は悪く書かれてないな。　　　　　　　　　　　　　　　|//^つ　　-　､　　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　　　　あいつにしちゃ珍しい　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 ∨:/＼　￣￣〉|＼::::| 　　 |ニニ-＼二二ニニﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌﾑ…　/ﾆ/ニニ=-Ｏ/-| 　L:| 　　 |二二二/ニニニニﾆ|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　相王とは会稽王司馬道子を指す
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
305 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:37:01.74 ID:Sn1xEGb10: ┏─────────────────────────────────────┓
　また、東宮の兵を割いて己の府に留め、
　讒言によって二人の兄を仇敵とし、従弟の王緒を同党として狡猾に扇動を行いました。

　このように不忠不義は明白です。

　臣は忠誠をもって身を亡ぼし国に殉じるので、これをもって譖臣とは同一ではありません。
┗─────────────────────────────────────┛

.　　　　　　　 ,:::::::::::::;'::::::::':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
.　　　　　 /:::::::::::/:::::::::{:::::::::::::::::::::;:､::::::::::::::::::::::::::::::
. 　　　　 /::::::::::::'::::::::/ '::::::::::::::::::/　＼::::::::::::::::::::::::,
　　　　　 ;::::::::::::::::::::;:'　 .!:::::::::::::::'　　　ヽ::::::::::::::::::::::,
.　　　　　 l::::::::::::::l:::/ ―-l::::::::::::::l-''"￣　 '::::::::::::::::::::::、
.　　　　　　l::::::::::::::l/＿＿_､':l＼::::l　,.--―,r;::/:::_:::::::::::::::、
.　　　　　 ':::､::::::::l` --‐ﾞ'　` 　｀'　　￣　 ;/ ;:'r, }::::､::::::＼
.　　　　　　ヽ{＼::l　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: /::::::',　￣´　　　　　　譙王に命じろ。
　　　　　　 }ヽ｀`　　　　　　､　　　　　　　, _' ｲ:::ト ::､
　　　　　　　 ,::ノゝ､　　　　　　　　　 /::／｀ヽ、　　　　　　　　　王国宝と王緒、
　　　　　　　　　　 l:::､　　　　　　　　　　　':::{　　　　　　　　　　　　　　及びその徒党を引っ捕らえてこいと
　　　　　　　　　　　l::::;＞　　 ´　　｀　イ_:::::!
　　　　　　　　　　 ;:::'　}:::ﾊ　　 _　　　 !ﾉ.lヾ､
.　　　　　　　　　　　／ ',　　　　　／　､_　　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　　　　　_./ 　 ,.}　　　　／　　　〉ﾆﾄ、　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
.　　　　　　　　 __.//l :', .l　　　　　l　 ', 　./ニl !ﾆ-_　　　　　　　　　　＜　　　　ぎ、御意ッ！！　　　　＞
.　　　　　　 __-ﾆﾆ//=!./.! !､＿＿ .ﾉ　 ', ./ﾆﾆl ｌニﾆﾆ-__　　　　　　　　 <　　　　　　　　　　　　　　　　　(　
.　　　 __-ﾆニニ//ニ'=!.l　!ﾆニ／　./　./ニニl lニニニニ=-__　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　二人の兄とは王国宝の異母兄の事で、互いに仲が悪かった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
306 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:37:48.11 ID:Sn1xEGb10: ┏───────────────────────┓
　昔、趙鞅は兵を挙げて君側の悪を誅殺しましたが、
　臣は駑劣といえどもそのような義を敢えて忘れません。
┗───────────────────────┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　,,....----....,,_
　　　　　　　　　　　　　　..‐＜ン'"｀ `''''ｰ- !' ､
　　　　　　　　　　　　 ∠　　''、 ..r-≡ｪ、　ﾞ^''ヽ
　　　　　　　　　　　 /:::::::::::V.　　 '　!歹^''丶-_..zョ
　　　　　　　　　　 ./:::::::::::.V　U　　三ﾐ三三｛歹'!　　　　　　　　王恭め！
　　　　　　　　　　,'::,, '' ﾆ1|　u　　　　　　　　 `≦{
　　　　　　　　　 /::」'´　 .ﾞ'!　　　　　　..--....、 ‐' ﾊ　　　　　　　 .さすがにどうかしているぞ！！
　　　　　　　　　/::::ﾍ、　　　　　　　 / ﾆ－‐ ヽ　 .ハ
　　　　　　　　 ,':::::::::::｀ j''''　　　　　 {　　ﾞ､ / 　./　　　　　　　　都に北府軍に勝てる戦力などいるはずもない！！
　　　　　　　／:::::::::::::::丿　　　　　　ゝ-.... ｿ　 /
　　　　　／::::::::::::::::::::::ﾔ　　　　　　　　''‐　　/
　　　　／　::::::::::::::::::::::::.ﾔ　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , --──-､
　　／:::::::::::::::::::::::::i:::::::.:ｷ　　　　　　----‐v　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ /　　　　　　ﾍ　ﾄ､
　／:::::::／:::::::::!::::::::|ｌ　　 ∟_　　　 ∨:::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　!ー､〉　__ j　j __〉-ﾉ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＿,,;;》 `-"::: `-"l＿.ジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　ヽ　' ＿ ` ｲ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　l　　´＝｀　l　
　　　王国宝殿。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　ヽ＿,､__ノ　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､　
　　　一旦官職を辞任して王恭殿を出迎えてはどうか？　　　　　　　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
　　　恭順の意を示せば、王恭殿も態度を変えるかもしれん　　　　i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王湛伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　尚書令の王珣は
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王国宝に兵権を手放して王恭を出迎えるように進言した。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　王国宝は反対意見を押し切り、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　自らの官職を解任するよう上奏し、宮殿へ参内して罪を待つ事にした
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
307 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:38:27.74 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　）　　逆賊王国宝ッ！！　（
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,....----....,,_　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　..‐＜ン'"｀ `''''ｰ- !' ､
　　　　　　　　　　　　　　　 ∠　　''、 ..r-≡ｪ、　ﾞ^''ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::V.　　 '　!歹^''丶-_..zョ
　　　　　　　　　　　　　 ./:::::::::::.V　U　　三ﾐ三三｛歹'!
　　　　　　　　　　　　　,'::,, '' ﾆ1|　u　　　　　　　　 `≦{
　　　　　　　　　　　　 /::」'´　 .ﾞ'!　　　　　　..--....、 ‐' ﾊ
　　　　　　　　　　　　/::::ﾍ、　　　　　　　 / ﾆ－‐ ヽ　 .ハ　　　　　　　　　　　何ィッ！！？
　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::｀ j''''　　　　　 {　　ﾞ､ / 　./
　　　　　　　　　　／:::::::::::::::丿　　　　　　ゝ-.... ｿ　 /
　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::ﾔ　　　　　　　　''‐　　/
　　　　　　　／　::::::::::::::::::::::::.ﾔ　　　　　　　　　　/
　　　　　／:::::::::::::::::::::::::i:::::::.:ｷ　　　　　　----‐v
　　　　／:::::::／:::::::::!::::::::|ｌ　　 ∟_　　　 ∨:::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　7:::::::.∨/::::._／i　　 !ｖ:::::.ｷ　｀''ｰ､,,」::::::::::: 　∧　　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　 ´..---―''"''、　ｌ:::::::::ｌﾔ:::::::ﾔ　　　　r｀ｌ:::::::.:ﾔ、:∧　　　　　　　　　　　＜　神妙にお縄につけ！！！　＞
　　　　　　　　　｀.. |:::::::::|ｷ:::::::.ﾔ　　 /´ヽヽ::::::::ｷ∨:∧　　　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　|:::::::￤|:::::::::.i、 ../丶.. !ー、::.ﾔ∨:∧　　　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^
　　　　　　　　　　　|:::::::::.! i:::::::::.|>`´　 /　' ､. ＞､ﾔ.∨.∧
　　　　　　　　　　　!:::::::::ｌ　!::::::::.i ∧　 .i　　　　　　＞∨:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.∧

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　だが、王国宝は逮捕された
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
308 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:39:57.68 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,....----....,,_
　　　　　　　　　　　　　　　..‐＜ン'"｀ `''''ｰ- !' ､
　　　　　　　　　　　　　 ∠　　''、 ..r-≡ｪ、　ﾞ^''ヽ
　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::V.　　 '　!歹^''丶-_..zョ
　　　　　　　　　　　 ./:::::::::::.V　　　　￣　　　｛歹'!
　　　　　　　　　　　,'::,, '' ﾆ1|　　　　　　　　　　 `''. {　　　　　　　　　譙王殿下！
　　　　　　　　　　 /::」'´　 .ﾞ'!　　　　　　..--....、 ‐' ﾊ
　　　　　　　　　　/::::ﾍ、　　　　　　　 / ﾆ－‐ ヽ　 .ハ　　　　　　　これはいったい誰の差し金か！？
　　　　　　　　　 ,':::::::::::｀ j''''　　　　　 {　　ﾞ､ / 　./
　　　　　　　　／:::::::::::::::丿　　　　　　ゝ-.... ｿ　 /　　　　　　　　　 .まさかあなたも王恭に与しているのか！！？
　　　　　　／::::::::::::::::::::::ﾔ　　　　　　　　''‐　　/
　　　　　／　::::::::::::::::::::::::.ﾔ　　　　　　　　　　/
　　　／:::::::::::::::::::::::::i:::::::.:ｷ　　　　　　----‐v
　　／:::::::／:::::::::!::::::::|ｌ　　 ∟_　　　 ∨:::::::::::∧　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : :,-､:ヽ/, -、: : : : : ＼
　7:::::::.∨/::::._／i　　 !ｖ:::::.ｷ　｀''ｰ､,,」::::::::::: 　∧　　　　　　　　　　　　　　　/ / : : : :/: ....ヽ/ Y　＼:: : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧/: : : /:l : ::::lヽ l: :|:::.. ::|:: : : : l: ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　| : : / /: : ::ﾉ￣｜|:::::. :l｀l: : : :| : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ: :|: : :|:/ /: :ｲ　　 | ﾊ::::.∧ ∨ : | : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / |:|: : :l/Ｔ:/ﾒ l､.　 | |,xヽ::..＼l: ::::l l l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｰ='_,ィハ: iｲﾚ辷ヽ:ヽ｜|´癶ｼ｀ﾞﾆ-ノ: |:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -＝´l:::｀ミ=‐　　｀::|　　　　´ノ: ノ: <´_ヽ
　　　　　　　　　　　　いやァ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:/ヽ≧=‐　　　:|　　　　__ﾉノ ´ ∧　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.い/ :::∧　　　 }　　　 `ｰ,´: : : :ノ
　　　　　　　　　　　　もっと上だ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.l ﾊ: :::::::＼　ｒ＝＝ｱ　イ:/: : (_,ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ ::::::|　＼｀ニ´ ／ﾆ彡ｌヽ, ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ー}:/ーx_｀ー ´__...,ｲ:┌--ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ |: |　　　┃　　　 |: :lο /

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　譙王　司馬尚之
309 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:40:47.05 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,....----....,,_　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　..‐＜ン'"｀ `''''ｰ- !' ､
　　　　　　　　　　　　　　　 ∠　　''、 ..r-≡ｪ、　ﾞ^''ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::V.　　 '　!歹^''丶-_..zョ
　　　　　　　　　　　　　 ./:::::::::::.V　U　　三ﾐ三三｛歹'!
　　　　　　　　　　　　　,'::,, '' ﾆ1|　u　　　　　　　　 `≦{
　　　　　　　　　　　　 /::」'´　 .ﾞ'!　　　　　　..--....、 ‐' ﾊ
　　　　　　　　　　　　/::::ﾍ、　　　　　　　 / ﾆ－‐ ヽ　 .ハ　　　　　　　　会稽王！？
　　　　　　　　　　　 ,':::::::::::｀ j''''　　　　　 {　　ﾞ､ / 　./
　　　　　　　　　　／:::::::::::::::丿　　　　　　ゝ-.... ｿ　 /　　　　　　　　　　.私を切り捨てる気か！！
　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::ﾔ　　　　　　　　''‐　　/
　　　　　　　／　::::::::::::::::::::::::.ﾔ　　　　　　　　　　/
　　　　　／:::::::::::::::::::::::::i:::::::.:ｷ　　　　　　----‐v
　　　　／:::::::／:::::::::!::::::::|ｌ　　 ∟_　　　 ∨:::::::::::∧　
　　　7:::::::.∨/::::._／i　　 !ｖ:::::.ｷ　｀''ｰ､,,」::::::::::: 　∧
　　 ´..---―''"''、　ｌ:::::::::ｌﾔ:::::::ﾔ　　　　r｀ｌ:::::::.:ﾔ、:∧
　　　　　　　　　｀.. |:::::::::|ｷ:::::::.ﾔ　　 /´ヽヽ::::::::ｷ∨:∧　　
　　　　　　　　　　　|:::::::￤|:::::::::.i、 ../丶.. !ー、::.ﾔ∨:∧　　
　　　　　　　　　　　|:::::::::.! i:::::::::.|>`´　 /　' ､. ＞､ﾔ.∨.∧
　　　　　　　　　　　!:::::::::ｌ　!::::::::.i ∧　 .i　　　　　　＞∨:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.∧

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『王湛伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　司馬道子は諸侯を防ぐのを難しいと見ると、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .王国宝に罪を着せようと欲し、譙王司馬尚之を派遣して王国宝を捕らえた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
310 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:41:52.47 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　＼　ヽ＿＿＿l∧ /　　　　 / レ| |　　ヽ　　　　ヽ￣｀ヽ
　　､　　　　ヽ |　　　　 l￣V　　　　/ﾍｗﾉ/ .　　l 　　　 | |　　　|､
　､　＼　　　 `|　　　　 |＿ｊ　　　／　　//! .|　　h　　　 | |　　　| | ＿_
　. ＼　ヽ.　　　｜　　　 |Ｙ￣￣￣￣|　' '｜ﾊ l　||　　　 | |　　／
　　　l 　 |　　　｜　　　|.|.　 ┌――|, | |､l |=!|　||　　　 | l　 .ィ　　　′
　. ‐┼‐｜　￣｜　　　 |.l　　 !＿＿_|｀|/´l |‐~､ヽ　　　ﾊン｜　　 |　　　　　　　　　狙い撃つぜ！
　　 /　 /　　　 ,|　　　　 |.|. 　　　　 |〈{　リ　　＼＼//／　 |　　　|
　／　,.　　　 /|　　　　 |.ニニニニﾆ’,ｊヽ　　 i､__ノ`　ﾆｿ　　 ,|　　　|
　__／　　　 /､|　　　　 |　 |≧=-　　ヽ '＼ (_＞‐ ／/ 　／ |　　　|
　　　　　　　/ヘ|　　　　 |＿|ゝ＼　ゝ＝＝ﾗ､彡 ´　 l　 /　 /|　　　∨
　.　　　／＼├―― ┤　　|＼＼　￣　／／　　, |　′ / 　　　 V

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾉヽ　　　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　⌒''ヽ,,,)ii(,,,ｒ'''''' :::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ﾝ（●）,ﾝ　<､（●）<::|　　|｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　｀⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒´ ::l　　|::::ヽl
　　　　　　　　　王国宝の一党を残らず捕縛しろ！　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　ヽ iｌ´ﾄｪｪｪｲ｀ｌi　ｒ ;/　 .|:::::ｉ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　 !ｌ |,ｒ-ｒ-| ｌ! 　 /ヽ　 |:::::ｌ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　|^|ヽ､｀ﾆﾆ´一／|^|｀,ｒ-|:「￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 | .|　　　　　　 | .|　,Ｕ(ﾆ､)ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 | .|　　　　　　 | .|人(_(ﾆ､ﾉﾉ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　『晋書』『宗室伝』によれば、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　譙王司馬尚之は王国宝一党の捕縛に多大な貢献をしたという
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
311 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:43:08.72 ID:Sn1xEGb10: .　　　 ,:::::::::::::;'::::::::':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
.　　　/:::::::::::/:::::::::{:::::::::::::::::::::;:､::::::::::::::::::::::::::::::
. 　　/::::::::::::'::::::::/ '::::::::::::::::::/　＼::::::::::::::::::::::::,
　　 ;::::::::::::::::::::;:'　 .!:::::::::::::::'　　　ヽ::::::::::::::::::::::,
.　　l::::::::::::::l:::/ ―-l::::::::::::::l-''"￣　 '::::::::::::::::::::::、　　　　　　　　　　よくやってくれた。
.　　l::::::::::::::l/＿＿_､':l＼::::l　,.--―,r;::/:::_:::::::::::::::、
.　　 ':::､::::::::l` --‐ﾞ'　` 　｀'　　￣　 ;/ ;:'r, }::::､::::::＼　　　　　　　　.牢獄が狭く見えるのは、
.　　　ヽ{＼::l　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: /::::::',　￣´　　　　　　　 .お前が王国宝一味を捕らえたからだろうな
　　　　}ヽ｀`　　　　　　､　　　　　　　, _' ｲ:::ト ::､
　　　　,::ノゝ､　　　　　　　　　 /::／｀ヽ、
　　　　　　 l:::､　　　　　　　　　　　':::{　　
　　　　　　　l::::;＞　　 ´　　｀　イ_:::::!
　　　　　　 ;:::'　}:::ﾊ　　 _　　　 !ﾉ.lヾ､　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:　'　　 . :/:　,､∨ﾍ　ヽヽ　ヽ. ヽ
.　　　　　　　／ ',　　　　　／　､_　　　　　　　　　　　　　　　 /: /:　 . //': : ∧V l　l: . ヽ:l　　　Vﾊ
　　　　　　　　_./ 　 ,.}　　　　／　　　〉ﾆﾄ、　　　　　　　　　　　　　　｜ l: : : : l/7: :　}＾`＾l　|: : :　l、　　 l　|
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　 | : |: : : //: : イ　　｜:l、: : : ｖ: : .　l　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　 | : l : : l-|: :/l:|　　　l: | ＼: : :ｖ: | : |ｌ {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　、　ノ: :ｌ|: : :lｨl: ｬｯﾘﾐ.､　 l: |弐ｬヵ､:V: : |ｌ| ＼__，
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀"""ツ | :「 !:l"´ ｀　',　l: |　｀ "´ヽﾆ=-:ヽ""´
　　　　　　しかし、藩伯の力が強過ぎるのに　　　　　　　　　　　　 .｀丁: ヽヽ｀ヽ　　 | 丶ヽ　　ノﾉ:ﾉ : : }
　　　　　　宰相の権限が弱いのは問題があるな。　　　　　　　　　 ./: :＼ ≧ｚ，　　_|　　｀＼彡'／: :l／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V {､: :｀下　　,　丶´　 ,　-彳: : : :{
　　　　　　自衛の策を講じた方がいいと思うが　　　　　　　　　　　　ゝ-）ﾊ :トヽ.　｀"二."´　 .彳/ ∧:`ーｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__　｀7/ ﾉ:ﾍ　＼　　　　／　lｨ: / ﾍl丁
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　´　　/ ＼{ V　　}`ー‐`=== ´一"八{　∨∧／￣　　　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　〃　 /∧V V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V/　// l }　　l　　　＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　以来、司馬道子は事が起こると
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　居並ぶ宗族諸王から司馬尚之を恃みとするようになった。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .つまり、王国宝が司馬尚之に代わっただけだが、一旦これは置いておく
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
312 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:44:32.21 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　 ,:::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
.　　　　　　　 ,:::::::::::::;'::::::::':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
.　　　　　 /:::::::::::/:::::::::{:::::::::::::::::::::;:､::::::::::::::::::::::::::::::
. 　　　　 /::::::::::::'::::::::/ '::::::::::::::::::/　＼::::::::::::::::::::::::,
　　　　　 ;::::::::::::::::::::;:'　 .!:::::::::::::::'　　　ヽ::::::::::::::::::::::,
.　　　　　 l::::::::::::::l:::/ ―-l::::::::::::::l-''"￣　 '::::::::::::::::::::::、
.　　　　　　l::::::::::::::l/＿＿_､':l＼::::l　,.--―,r;::/:::_:::::::::::::::、
.　　　　　 ':::､::::::::l` --‐ﾞ'　` 　｀'　　￣　 ;/ ;:'r, }::::､::::::＼
.　　　　　　ヽ{＼::l　　　　　　　　　　　　　　ﾉ: /::::::',　￣´　　　　　　それについてはまた話し合おう。
　　　　　　 }ヽ｀`　　　　　　､　　　　　　　, _' ｲ:::ト ::､
　　　　　　　 ,::ノゝ､　　　　　　　　　 /::／｀ヽ、　　　　　　　　　 .まずは王恭を宥めるのが先だ
　　　　　　　　　　 l:::､　　　　　　　　　　　':::{
　　　　　　　　　　　l::::;＞　　 ´　　｀　イ_:::::!
　　　　　　　　　　 ;:::'　}:::ﾊ　　 _　　　 !ﾉ.lヾ､
.　　　　　　　　　　　／ ',　　　　　／　､_
　　　　　　　　　　　　_./ 　 ,.}　　　　／　　　〉ﾆﾄ、
.　　　　　　　　 __.//l :', .l　　　　　l　 ', 　./ニl !ﾆ-_
.　　　　　　 __-ﾆﾆ//=!./.! !､＿＿ .ﾉ　 ', ./ﾆﾆl ｌニﾆﾆ-__
.　　　 __-ﾆニニ//ニ'=!.l　!ﾆニ／　./　./ニニl lニニニニ=-__
　　　／ニニニ∠＿￣/! ＼ｌﾆﾆ}　　'　 /-＝ニ二二二二二二ニ- 、

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『簡文三子伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭が王国宝討伐に挙兵すると、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .司馬道子はこれを恐れ、王国宝を捕らえさせて廷尉へ送った
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
313 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:45:06.62 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
.　　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
.　　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
　∧､.ノヽヽ、ﾆ__ ーノﾞ--､..
/⌒ヽ＼　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
|(●) | i ＼　　/ﾞ（__)＼,| 　i　|
ゝ＿ノ ^i　| 　　　ハ　　| 　 |｜
. |＿|,-''iつ
　[__|_|／
　　[ニニ〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , 　 ´二二ﾄ､二ヾニ‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::／ｌ, =＝'' 　　ｌ二_､＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::/ /| c''"´ 　　　 } ､＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::7 　!|;　　　　　　 ' 　ｌ　ヽ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ﾄ､　| 　　 /二二ｌ　 | 　　V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::r､　＼ｌ　　　ｌ ― ､ | 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::||　　　|ｌ　　ヽ＿,ノ　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::||‐' r ､|ｌ　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'::::::::::ｌ:::::::|　|ｌ､　　　　　　　人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'::::::::::::::::::::::ｌ　|ｌ　` ― 　 r‐'::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,::::::::::::::::::::::::|　|ｌ　　　　　 |:::::::＼::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l::::::::::::::::::::::::|　!ｌ　　　　　 |::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::「￣￣￣￣7ヽ＼:::::::|:::::|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　そして、王国宝は従弟の琅邪国内史王緒と共に斬られた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　『晋書』『安帝紀』によれば、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .王恭の決起から十日後の事だった
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
314 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:45:47.04 ID:Sn1xEGb10: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|　　　　　　　　　　会稽王殿下の命で参りました。
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　　　　こちらが王国宝と王緒の首となります。
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　　　　　　　これをもって天下への謝罪としたいと殿下は仰せでした
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′ {:.　　　|　　　　　　ﾄ　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′ i|:　　{:/|　 ::..　　　|i＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　{:　　|'＿　|:::.　　斗─＼　 .::,　　:::. }　　　 :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|／´|i　 Ⅵ::::.　 ∧| ,＿　＼`::}　 ::::::|::::.　|V:::. ::.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　Ⅳトi}ミ、Ⅴ::::::..{　ﾘ芹午ミx ⅵ .::::ﾊ|ﾍ::. ,::::::::::::トヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }丶　Ⅴﾍrﾉiム　丶:|　　　 rﾉﾊ i}≫ .::√j! ⅴ :::::/|: |　＼
　　　要求を認めてもらった以上、挙兵を止めるのが筋。　　　　.|人＼ⅴ 乂り　　＼　　　乂ン　 }.:/　　　∨::/ i|:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / | |ⅵ　,, ,, ,　　　　　　 ,, ,, ,,　　 ′　／::ﾚ　 j/
　　　我が軍は京口へ撤収する。　　　　　　　　　　　　　　　 /, ｲ } |ﾊ　　　丶　　　　　　　　　　､ノ::∧::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.､　 .∧　　　　　　　　　　　　　ｲ:::::ｲ::j　V
　　　会稽王殿下によろしく伝えてほしい　　　　　　　　　　　　　　　　∧　ヽ＼　　丶 ― ′　　／ ']::/ j:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　＼丶　　　　　　イ　　ﾍ:{　 ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　}　外t‐　´　　　 | ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ∧　　　ｲ　 |　　　　　　ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ {i 　∧　ノ　}／j　　　　　　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 |　　　ー‐' ﾉ/　　　　　 /　　　　　　￣￣｀丶

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　以上をもって王恭に謝罪したため、王恭は即時に挙兵を中止した
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
315 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:48:05.14 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年４月　晋　荊州　江陵】

　　　　　　 /＼＿＿_／ヽ
　　　　　／ ,,,,,,,ﾉiヽ,,,,,,:::i|li:＼
　　　　　|（●）,　　　､（●）､ :|
　　　　　|　⌒,,ﾉ(､_, )ヽ⌒ u.::|
　　　　　|u　{,｀ﾄ===ｲ ,} 　::::::|　　　　　　　　　　　申し上げます！
　　　　　＼　　ヾﾆノ　　.::::/"''=-
　　／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、　　　　　会稽王殿下が王国宝らを斬首して北府と和睦しました！！
.　　i／ﾍ"　ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/　　　ﾞヾノヽ
　 /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ　''"ヽi、　をノ
　（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
　 ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　｀ヽ
　　　（::::ヽへ、: : : i　　　 i/　ﾞ''ヽ,/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ﾞi
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　　　 :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__| i　　､i 　 i,,,　　 ,, |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 { ﾍ=-､＿ゝﾉ＿__,,,i_ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ i ¨ﾐ=ﾟ彡i て◎ l}7'/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ﾍヾ '~,ﾉ:i　､`ｰ'',ｨ/
　　　　よし。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i /~7`ｰ'i´''､'/~
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,　|ﾚ'¨''''='''‐､」
　　　　会稽王へ遺憾の意を示す上奏文を送る。　　　　　_,,--､,,__へ,_／ア'~ ､>'＼＼,,__,,∠ｌ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,=‐'''―ヽ、＼'､＼　ヽ、 `''''><　　i＼_
　　　　西府の軍勢を率いて長江を下り、　　　　　　　　 .ゝ/ﾆ=''~,ｰ､ヽ　＼ヽ＼　 `'-∠__＼ _i＿ｉ`‐=へ-､-､
　　　　返答がない場合は建康へ突き進むぞ　　　　　　〔='_,ー{､__〉} ＼　＼　＼　　　　￣　　￣¨ 彡''',　>-‐、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾝ'ヽ. `ｒ'''｀ヽ i ﾄ､, ヽ、ヽ、　　　　__,,-―'''~　／ '' 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人　i　 }ノ　/`‐､i,_>、　　 `ー-‐''' 　　 _／／　　　 ,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈　ヽ:ヽヽーﾍ,,＿_,,) i＼_　　　　　_,,,-‐'_／　　　　　i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ､_>_＼_）／　|　|　 i　iヽ`ー-､'~　 <~　＿_,,,-―-''_/

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　ちなみに西府軍。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼らは王国宝の死が届いた段階で、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .初めて抗議の上奏文を建康へ送ると共に軍勢を進発させた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
316 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]：2025/07/06(日) 17:49:02.80 ID:XT8Elq+50: 佞臣が国を惑わしてると言って軍が動けばそいつをあっさり斬り捨てて収めるだなんて、ぐだぐだな国だなあ。
317 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:49:51.04 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年４月　晋　荊州　巴陵】

　　　＿_＿　　　 _____　 ______.　
　　ネ　　_,, '-´￣￣｀-ゝ、_''　
　　, ﾝ 'r ´　　　　　　　　　　ヽ、　
　 i　,' ＝=─-　　　　 -─=＝ ;　､　　　　　　会稽王殿下の使いで来ました。
　 |　i　ｲルゝ､ｲ;人レ／ﾙヽｲ　 i　
　 ||. i、|. |　(ﾋ_]　　　　ﾋ_ﾝ) i ﾘｲj　　　　　　　殷仲堪様におかれましては、
　 |　iヽ「 ! ""　　,＿__,　 "" !Y.!　　　　　　　　この謝罪の手紙をもって荊州でゆっくりして頂きたく
　 .| |ヽ.L.」　　　ヽ _ﾝ　　　,'._.」　
　ヽ |ｲ|| |ヽ､　　　　　　　ｲ|| |　
　　ﾚ　ﾚル.　｀.ー--一 ´ルレ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　　　　ふむ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ
　　　　　　　　承知した。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　　　　殿下によろしく伝えてくれ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　しかし、巴陵まで進軍した所で、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　司馬道子からの書が届けられたため、殷仲堪は江陵へ帰還している
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
318 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:50:45.55 ID:Sn1xEGb10: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　　　　なお、『晋書』『王湛伝』にはこうある。
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　王国宝は収斂に貪欲で限度を知らず、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　 .邸に伎妾を百数十人抱えた上、部屋は天下の珍品で満ち溢れていた。
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　同じ太原王氏の王済を思い起こさせるような話だ
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ﾄ､ゝ _,．-‐-.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ`__　　　_　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,．'''"　ゝi r‐' ∠.= /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／　　　　　｀i　　f´￣ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　‐ ､　　 iｰ'r-　ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,'　　　　　 .ヽ.　　ヽi　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .i　　　　　　〈. ヽ　　ヽ　i
　　　　　私の子孫からこのような者が出るとはな。　　　　　　　　　　　　　l　　　　　　 ',ノヽ　　　,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　　 ._,.イ　　 |ゝ､_ノ
　　　　　これも世の流れか　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　ヽ |　　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .,'　　　　　　　　　ヽ.　　.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　lヽ〉　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　　　　 _l　l　　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ．．-r‐　''　"〈　ヽl　　 .l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　　 ‘，　ﾞ､　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､　　　ﾞ､　 ‘，　｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　　 ‘，　ﾞ､´￣〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､　　 .ﾞ､　　ヽ〈｀〉

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　汝南国内史　王湛
319 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:51:58.95 ID:Sn1xEGb10: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　もうちょっと続く回想　　　　　|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　　　　　　.さて、王国宝が殺されて
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|　　　　　　　　　　　めでたしめでたし、とはならなかった
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
320 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:54:46.65 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年４月　晋　首都　建康】

　　　　　 /: /:　 . //': : ∧V l　l: . ヽ:l　　　Vﾊ
　　　　　　｜ l: : : : l/7: :　}＾`＾l　|: : :　l、　　 l　|
.　　　　　 | : |: : : //: : イ　　｜:l、: : : ｖ: : .　l　|
.　　　　　 | : l : : l-|: :/l:|　　　l: | ＼: : :ｖ: | : |ｌ {　　　　　　　　　　会稽王。
　　　、　ノ: :ｌ|: : :lｨl: ｬｯﾘﾐ.､　 l: |弐ｬヵ､:V: : |ｌ| ＼__，
　　　　｀"""ツ | :「 !:l"´ ｀　',　l: |　｀ "´ヽﾆ=-:ヽ""´　　　　　　　前にも話したが、
　　　　　　｀丁: ヽヽ｀ヽ　　 | 丶ヽ　　ノﾉ:ﾉ : : }　　　　　　　　　藩伯の力に対して宰相の力が弱い。
　　　　　　　/: :＼ ≧ｚ，　　_|　　｀＼彡'／: :l／
　　　　　　　V {､: :｀下　　,　丶´　 ,　-彳: : : :{　　　　　　　　　　　.密かに木を植えて自衛の策を講じるべきだ
　　　　　　　ゝ-）ﾊ :トヽ.　｀"二."´　 .彳/ ∧:`ーｧ
　　　　＿__　｀7/ ﾉ:ﾍ　＼　　　　／　lｨ: / ﾍl丁
　.　　´　　/ ＼{ V　　}`ー‐`=== ´一"八{　∨∧／￣　　　､　　 .　　　　く:::(　　　 -――‐-ミ
　　　　　〃　 /∧V V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V/　// l }　　l　　　＼　　　　＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　 /|:::::::::/ :| ::: 斗-―∨:::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::ト八::::::::| r―ｇV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　八 :|:::|r‐a＼Ｎ　―‐ |/|: //＼::＼＞
　　　　誰かに兵力を持たせる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　俺たちに協力的で　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|//^つ　　-　､　　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　かつ王恭を刺激しないような奴が理想だが……　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　 ∨:/＼　￣￣〉|＼::::| 　　 |ニニ-＼二二ニニﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆ/ニニ=-Ｏ/-| 　L:| 　　 |二二二/ニニニニﾆ|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　まず、司馬道子が
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　新たに腹心とした譙王司馬尚之は北府軍を牽制する方向で動いていた。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .さすがに司馬道子も王国宝の一件で懲りたのか、これを支持している
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
321 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:55:44.30 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　/..:: /::..::..::..::..::..::..::..::..::..::..::..＼.::..::..::..::..::,
　　　　 ,:..::../ ::..::..::| ::..::..::. ／::／ﾍ..::..::..≫≪|..::..::,
　　　　,::..::..::..::..::..:.:|..::..::..::..::／　　ヽ::..∧ ::.. |..::..::.,
　　　 /::..::..| ::..:: |:..:|..::..:.　 ´ 　　　 ∨..::===|..::i.::.|　　　　　　父上。
　　　':/|::..::| ::..:: |:..:|＜　　　　　　　　 ∨ :.::.. |..::i.::.|　
　　 |:ｉ |::..::| ::.. ∧:.|_,_ ＼　　　　　／__|:../..::ﾘ ..::.八　　　　　　いつまで王恭に好き勝手させるのさ。
　　 |:ｉ |::..::| ::..::|/^伃i仆ヽ　　ィ伃i仆く|.. /..::/ ｉ i:|
　　 |:i:八:小::..fﾍ弋^ソ　　　弋^ソ /イ..::/..: | i:|　　　　　 .勝手に軍勢を動かして、
　　 ∨　[人^∧｢´´　　　　　　　　｀｀厶ｨ..::|八:ﾉ　　　　　　朝臣を排除するとか、ある意味王国宝よりひどいし
　　　　＼|::.个ｰ::、　　　　　 ′　　　　　/_ノ:..::.::..::＼
　　　　 |::j | !:..::.::、　　 r:::::―v┐　　.::..::./|..:j.::..::厂
　　　　　j/八|:..::ﾚ个:..　　､::::::__ノ　.:个::..八|/|/∨　　.　　　　　　　　　く:::(　　　 -――‐-ミ
　　　　　__＿_＼|__L.／}＞　　＜{＼トV､＿　　　　　　　　　　　　　　＼／::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　_｢／⌒'ー＜_ j{　ﾉ　　　　 ∨}i　　　二ﾆ=┐　　　　　　　　　　　　　／:::::/::::::::::::::::::＼:::::::::::::＼
　　/∨{　　　　　　} j{　　　　　　 }i　　　　　｝｝厂ヽ　　　　　　　　 /::::::::::|:::::::::::::::::|::::::::::::::::|:::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::/|:::::::: |:/Λ::::::::|:::::|:::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 /|:::::::::/ :| :::::::Ｔｰ―∨::|:::::|:::::|:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厶|::::|:::L八 :::::::| r--aV::|:::::|:::::::::::＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　八 :|:::|r-a＼Ｎ　＾￣ |/|: //＼::＼＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >､:| ￣　　　　　　 |/〈リﾉ: ド<⌒
　　　　　　分かった分かった。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７⌒从　｀　　　　　　　r―<ハ|_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |//^つ　　Ｔ　⊃ 　　人／ !ニＶﾆ=-　　 __
　　　　　　だが、すぐに王恭を討つのは無理だ　　　　　　　　　　　　　＼└―丶　　　＜／　　|ニﾆＶニニﾆ/⌒丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 r‐ ＼　　Ｔ〔＼　　|Λ　/|ニﾆﾆVニニニニﾆ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |二二)　　　 ΛΛ　/　Ｖ　|ニﾆ／ニニニﾆﾆ/┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　 |ニﾆ/＼　　　/＿.〈__　　 |ニ＼ニニニニﾆﾆΛ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 ∨:/＼　￣￣〉|＼::::| 　　 |ニニ-＼二二ニニﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆ/ニニ=-Ｏ/-| 　L:| 　　 |二二二/ニニニニﾆ|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　 .また、司馬道子の息子の司馬元顕は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　心中で王恭を憎んでおり、彼の討伐を父親に求めていた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
322 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:56:24.90 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９７年５月　晋　揚州　京口】

.　　　　　　　　／　　　／　　　　　　　　 |＼　＼　　　＼
　　　　　　　 /　/　　 /　　 /　　　　　 j￤　　　ヽ　　　　　、
　　　　　　　　　/　/　　 /　　 /　　　　　　　j　　　　'/ﾊ　　＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／　
.　　　　　　 ,　　:　　'　　ｲ　　　　　　/ /　|　　　　/, 　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　
　　　　　　　 │: 　 ; 　: / | :　　　／　　 ∧　　　　:|　≧　　　劉牢之将軍が呉国の反乱を平定！！　　　ニ=-
　　　　　　│ │: .　| : :/ .イ⌒|　／／　 '⌒|ヽ　　 :|　　≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
　　　　　　│ │: .　| : | 　 |:八|/|イ　 |　/　八 | : / :|　／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼ .
　　　　　　　 || . | : . 　八斗弁仆 ! | : . .| :ﾞ斗弁仆< . :|　 . :|:│:＼
　　　　　　　　八:│|: .　|<{　i|J::jｘ|｀|人:. ..Ν´i|J::jｘ|　}>ﾘ . . :八| :〈⌒　
. 　　　　_／ . : ﾉ人: . | 　弋'^ク　　＼|　弋'^ク　∨ . : / :八:　＼_
　　　　　　＾⌒7 : :八ﾍ.人　´´ ｰ　　　　　　　　　ｰ｀｀/. .:／｝ : /＼厂　
　　　　　　　厶イ : : ＼ﾑ＼　　　　　 '　　　　　　　厶イ／: : ::|　　　　　　　　　　　　　　～♪
　　　　　　　　 '⌒Ｙ: : ∧　　　　　　　　　　　　　 ∧: : :/＼八　
　　　　　　　　　　　ﾉ::::人::::..、　　　丶　　_ノ　　　 .:::::/∨　　
　　　　　　　　　　 '⌒≫=ﾍ∧>､　　　　　　　　　</∨=ミ　　
　　　　　　　　　　　　《（　　　 ∨)|＞　 __　　＜|∨　　 _）》　
　　　　　　　　　　 ∨二ﾆ=─┴---､_, ---┴ =ﾆ二∨　　
　　　　　　　　　　人　　　　　　［］　　　　　　　人　　
　　　　　　　　　　＜　＼　　　　　　　|| 　　　　／　´＞
　　　　　　　／　　　　　　＞　　　　　 ||　　　　＜　　　　　　＼
.　　　　　　 /　　　　　　　/　　　 ≧=ｰjjｰ=≦　　　＼　　　　　　　＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　一方の王恭。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　 .
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼は北府軍の力を自身の力と過信するようになっていた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
323 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:57:56.95 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　/ 　　＼　　＼　　＼⌒
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 :.
　　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.　
　　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:.
　　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ　　　　　　　　劉牢之。
.　　　|　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }
.　　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八　　　　　　　　朝廷が君に晋陵郡太守を兼任するように言ってきた。
　　　　,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V
.　　　　′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}　　　　　　　　　　.これからも僕のために働いてほしい
.　　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/
.　　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八
　　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_
　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　.
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼＼　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:::. : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : ::.:.:.:{:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ'_＿: :ィ云≧､:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{//ｿ"//////≧＝=‐‐-斗=ミ:.:.::.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: :.:.V////:.:.::.:.:.:.:..:::.:::.:.斥:.:.:}.::.::.,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　/: :.:.:.､:.￣: ::.:.::.:.:ノ:.:.::.:::.:.ﾊ::.::.ﾉ:::./
　　　　　　……北府のために精進させてもらいまさ　　　　　　　　　　　　 "7:.:.:':_.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／::.:/＿ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__,,.. -‐＝{`二､ヽ:.从:.:.:..:.::.:.:.:.:.:ｒイ:.:.:.::.:{≫　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　／才二ノ.:.{;;;}:.:. :.:.::.:.:.:.:.::.:._,斗≦　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i|　　　　　／／};;;从;/´￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i| 　　　 ""　 {;;;;;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　}i| 　　　　　_≧＝{　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ＿

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『劉牢之伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　元々王恭は才能と地位で人を凌いだが、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　朝廷が王国宝らを誅殺した事で、己の威徳の著しさを言及し始めた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　補佐を務めた劉牢之すら爪牙と見なし、
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　戦のための武将としての関係は保ったが、礼は大変薄かった
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
324 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:58:42.78 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　 ,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　　i: : : : : : : : : }: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　＿＿|: : : : : : : : : } : : : : : : _: : : : : : : : : : : : :.|
　　　　/　,'　>‐､: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ : : :/ : : : : : : :|
　　　 /　,' /:/⌒Y二─-､ : : : : : : : : : :} : :{ : : : : : : : {
.　　 /　.,' .{:{: 厶ﾉ: : :.￣ヽ￣￣≧-‐-く───- ‐-く}､
　　/　 ,'　ヽ: Y : : : : : : : :＼　.//////ﾊ/⌒Y´////ﾊヽ
　 /　　;　　　{:ﾊ: : : : : : : : : : 刈//////ﾉ: : ',:V/////ﾉ｀､＼
／{　　 ;　　　{}{}{}､: : : : : : : : : : ≧‐-‐く : : : ',≧‐-‐く　　ヽ　＼
　 |　　 ;　　 /: : : :| : : : : ヽ: : : : : : : : :ｒ : : : : :} : : : /. ＼　　`　＼
　 |　　 ;　　 {: : : : |: : : : : : : : :_:_: : : : :`ｰ: :─' : : :/　　　＼　丶　＼
／|　　 ;　　ヽ: : : {: : : : : : ／: : : ￣:¨:ヽ :_:＿: : /　　　　.＼　丶　＼
　 |　　　',　　　V : ＼: :_／ : :_:-‐ : ￣:￣_: : : )_/　　　　　.＼　丶　',
　 |　　　 ',　　　V: : :／ : ／ : : : : :._:-‐¨_V∧: ﾉ_　　　　　　.＼　　　i
　 V　　　 ',　　　V:/: :／ : : : : : ／-‐: ¨: : V∧:.ﾉ',　　　　　　　　　ヽ　 .|
　　V　　　 ',　　　/／: : : :,' : : : : : : : : : :／: V∧　',　　　　　　　 }　 /
.　　 V　　　 ',　 /: : : : :／ : : : : : : : : ／: : :／V∧　',　　　　　　　, '　/　＼
　　　 V　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :／ : :ﾉV∧　',　　　　　, '　／　　　ヽ
　　　　V　　　{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :／　 ¨¨ 　 ', 　　 , '　／　　　　　|
.　　　　 V　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／　　　　　　/＼ , '　／　　　　　.|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　劉牢之は自身の才能を自負しており、これを心中深く恥じて恨んだ
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
325 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 17:59:16.16 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　揚州　歴陽】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　{ 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　涂中
　｀ｰr‐'￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ ,.--
　―'´○寿春　　　　　　　　　　　　　　　　　,「◎建康
　　　　　　　　　　　　　　○東城　　　　　　／　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .歴陽　／
　　　　　　　　 ○合肥　　　　　　　●＿_{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　
　　○六安　　　　　　　　　　横江○.|○牛渚
　　　　　　　　　　.}￣ｰ'￣}　　　　　|
　　　　　　　　　　　｀ｰv'○東興　.／○于湖
　　　　　　　　　　　　　｀ーr―'￣　○蕪湖
　　　　　　　　　濡須口○}
　　　　　　　　　　　　　　r'　　　　　○宣城
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
¨¨癶.: .: ∠ ／＼
TT_T＿_|＿|　　ｿ;';';'爻爻爻爻爻∠二癶￣＼＿＿｀
｀|／＿＿／＼(;';'∠_);';';';';癶,.:'´,.:'∧二二二Ⅵ､､∠ﾆニ癶￣¨／＼｀`ｰ
._|＿＿＿|_/￣￣∧(;';';';'(;';';'):_:_:_:| ∠ﾆﾆ∧;';';'＿|＿_　|／￣癶　　|＿∠二癶＿＿∠二／¨癶＼＿＿＿　､､､､
,:",:",:",:",:"|￣￣ | |∠ア¨¨¨¨¨癶¨|＿_|/;';';';';|T i|￣ﾞ|　|￣ | 癶ニｲ＾ト‐→∠___／＼　∠_,／　＼｀i──→;';';';';'
,:",:",:",:",: ￣￣r┴‐イ─^─イ　 `∠二癶`ﾞ┴ ┴‐┴ |＿_|_|_|＿_|tt| t..癶¨ヽ..|　　 |　|　 |　　　　| |､-wWWW爻
~`~ﾞ"~`~｀"~'`｀TTTTTTTTTTTTTTTT77＿_∧￣￣＼,.:'´∠＿／＾＼─「」二|_|＿＿|二ニ|=====爻爻爻´,.:'´,.:'´
...　　　　　　　　　　　　　　ｎ　　　　　 | l￣ |~|￣￣￣|＿|＿__|　ロ　ト.．／　　／＾＼‐┴─=彡彡_,,.､- =＝
　　...　　　　　..　　　　. 弋ﾆﾆﾆﾆﾆﾌ　　　|｀`ｰ::|¨¨¨ i´「」｀'r┬r→　　 |,.イ…‐‐-イ┌ ┌ `ト爻爻爻爻''"~,.:'´,.:'´
　　..　　　...　　　..　　　.　.｀¨¨¨¨¨´.　.　.　.　.　.乂__丁...丁丁丁丁|丁丁Ｌ_└ └| └ └ 癶￣¨＼,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´
　　　　　　..　　　　　..　　　　　　　...　　　　　　...　　　弌ﾆﾆﾆア┘|┘┘┴_|¨|¨|¨|￣￣|¨|「」|￣￣|,.:'´,.:'´,.:'´,.:'´
　　　...　　　　　...　　　　　　　　...　　　　　　　...　　　　　￣￣　...　...　　..　..　|‐|‐|￣￣|¨|￣|￣￣|‐‐-------
　...　　..　　　　　　...　　　　　　　　　　....　　　　　　　...　　　弋ﾆﾆﾆﾌ　　　　　　..　.　.　.　.　.￣￣　　ー-==二
　　　　　....　　　　　　　....　　　　　　　　　　　....　　　　　　　....￣￣　　　　　　.　...　　..　　　　　..　　　..　　　..

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　この状態で次の事件が起こる
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
326 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:00:11.21 ID:Sn1xEGb10: 　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　／''''''　　　'''''':::::::＼
. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|　　　　　　　　　庾楷殿。
　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
. 　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|　　　　　　　　　実は朝廷で呉国内史の王愉殿を
　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／　　　　　　　　　江州刺史に任命すると決まりまして。
,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i　　　　　　　　.督豫州四郡を兼任させ、都への軍事支援の役目を与えるそうで
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y　／　／　　　/　　'　　　∧ﾘﾉ彡|　}　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　_У　　　　　/|　/∧　　|　　　|　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . 　　　 -=ﾆ　＿＿＿ /　.／≧_Ⅳ　V　｜　　 |　/ 　 !　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　{ { ｲ/ ／灯示ミｘト､VΝ　_-―И　　|　 | ＼
　王国宝の兄なのは別にいいがな。　　　　　　　　　　　　　　　　 _乂　乂､／}　　　V_;ソ　｀　ヽ　'f示苅v　　ﾊ . |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　,　/＼o_　　　　　　　　　;　ゞ '　ノｲ从/＼ﾄ､
　江州は要害の地ではなく、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　イ }/　/.}迅　　　　　　　　　i　　　/ ノ }/ 　 /＼
　西府が北で外敵と戦う以上は　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨｆﾓ'x、　 {/｜∧.　　　　　 '　　.,ｲ
　江州刺史の王愉を豫州四郡の督にすべきではない　　　　..ノ/////＼l　Ν　 ,＼　　´￣￣゛／}/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..　　__／=-///////Yi＼　 ,　＼　　　　／　 l-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/⌒ト ,////////∧i:i:i:＼__　　` ‐=≦> l＼∨Ⅵ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼//////＼//////∧i:i:i:i:i:i:i:≧s｡.,ﾉ／ｲ＼'/＼/Ⅵﾐh｡.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //＼//////＼/////∧､i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:ｉ|i:i:i:∨///}////}ﾐh｡.　_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『庾楷伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　当時会稽王司馬道子は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭・殷仲堪らが兵を思うままにするのを憚った。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　そこで、呉国内史王愉を江州刺史・督豫州四郡とし、軍事上の布石とした
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
327 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:01:05.70 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣○ｰ､　　　 {　　　　　　　　　＿,.-‐'´　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　項　　｀}_　　 }　　　　＿_／　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　葛陂　　　　　　　｀ｰ-{ 　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　涂中
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ 新蔡　　　　　　　｀ｰr‐'￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　○ ,.--
　　　　　　 ○宛　　　　　　　　　　　　　○安城　　○【新蔡国】　　r―'´○寿春　　　　　　　　　　　　　　　　　,「◎建康
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【汝南国】　　　　　　,.----'´￣　　　　　　　　　　　　　　○東城　　　　　 .／　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○新息　 _/　【安豊郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　歴陽　／
　　　　　　　　｀ー――､＿＿/￣￣￣￣￣￣￣　　　○安豊　　　　　　　 ○合肥　　　　　　　●＿_{　
　　　　　　○新野　　　　　　　　　　　　　　　　○弋陽　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　○六安　　　　　　　　　　横江○.|○牛渚
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【弋陽郡】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.}￣ｰ'￣}　　　　　|
ヽ　　○樊城　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　 ∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ｰv'○東興　.／○于湖
　￣○}　　　　　　　　　i　　　　　　　　∧∧　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　｀ーr―'￣　○蕪湖
　襄陽｀}　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　濡須口○}　　【宣城国】
　　　　}　　　　　　　　'ｰ,　　　　　　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　　　　　　　r'　　　　　○宣城
　　　　 }　　　　　　南新市ヽ_,_【江夏郡】　　　　　　　 ∧∧∧∧∧∧　　　　　　　　　　_ノ　
　　　　　|○石城　　　 .○ 　　ヽ○安陸　　　　　　　　　∧∧∧∧　　　　　　　　　r―'
　　　　　 .|＿_　　　　　　　石陽○ ｀ー-,　　　　　　　　　　　∧∧∧　皖城○　　 _,.-‐'
.長坂○　　　　|　　　　　　　＿＿＿＿＿＞-―‐､　　　　　　∧∧∧∧　　　　　 |
　　　　○当陽ヽ_　　　　　　|　　　　　 ○| 　　　●＼_　　　　　　　　　　　　　　 |　
.　　　　　　　　￣￣ヽ＿ﾉ　　　　夏口|　　　武昌　.￣|　　　　○尋陽　　＿r‐'´　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_/　　　　　　ヽ　　　　　　　＿/　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.￣7　　　　　　　　　　　 'ｰ-､＿＿＿イ
-― -―‐_ ○江陵　　　　　　　　／
. ○楽郷__）　　_,.__　　　　　＿r‐'○陸口
　　　 ○'ー'´￣　 |　　　／　　　　　　　　　　　　　（　　　江　　　　　　　州　　　）
　　　公安　　　　｀ヽ　r'　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　＞'○巴陵

／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　　　　　　　庾楷はこの人事に反対する上奏を行った。
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　まず、江州の州都武昌にいて、
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　　　　　　　　　　 .長江北岸の豫州四郡の督を務めるのは地勢的に困難であったため。
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:　
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　　　　　　　　　　　次に、江州は伝統的に西府の管轄下にあったため
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/
328 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:02:35.86 ID:Sn1xEGb10: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､　
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/　　　
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　　　　　　　そして、豫州四郡の督というのは庾楷の任地を削る事を意味するからだ
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/　
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y　／　／　　　/　　'　　　∧ﾘﾉ彡|　}　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　_У　　　　　/|　/∧　　|　　　|　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　　　 -=ﾆ　＿＿＿ /　.／≧_Ⅳ　V　｜　　 |　/ 　 !　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　{ { ｲ/ ／灯示ミｘト､VΝ　_-―И　　|　 | ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　_乂　乂､／}　　　V_;ソ　｀　ヽ　'f示苅v　　ﾊ . |
　　だいたい、私は先の王恭の騒動で会稽王に味方した。　　　／　,　/＼o_　　　　　　　　　;　ゞ '　ノｲ从/＼ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　イ }/　/.}迅　　　　　　　　　i　　　/ ノ }/ 　 /＼
　　それが何故、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .,ｨｆﾓ'x、　 {/｜∧.　　　　　 '　　.,ｲ
　　このような仕打ちを受けないといけないんだ　　　　　　　　ノ/////＼l　Ν　 ,＼　　´￣￣゛／}/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..　　__／=-///////Yi＼　 ,　＼　　　　／　 l-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/⌒ト ,////////∧i:i:i:＼__　　` ‐=≦> l＼∨Ⅵ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼//////＼//////∧i:i:i:i:i:i:i:≧s｡.,ﾉ／ｲ＼'/＼/Ⅵﾐh｡.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//＼//////＼/////∧､i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:ｉ|i:i:i:∨///}////}ﾐh｡.　_
329 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:03:17.98 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　首都　建康】

　　　　　 /: /:　 . //': : ∧V l　l: . ヽ:l　　　Vﾊ
　　　　　　｜ l: : : : l/7: :　}＾`＾l　|: : :　l、　　 l　|
.　　　　　 | : |: : : //: : イ　　｜:l、: : : ｖ: : .　l　|
.　　　　　 | : l : : l-|: :/l:|　　　l: | ＼: : :ｖ: | : |ｌ {
　　　、　ノ: :ｌ|: : :lｨl: ｬｯﾘﾐ.､　 l: |弐ｬヵ､:V: : |ｌ| ＼__，　　　　庾楷から上奏文が届いたそうだな。
　　　　｀"""ツ | :「 !:l"´ ｀　',　l: |　｀ "´ヽﾆ=-:ヽ""´
　　　　　　｀丁: ヽヽ｀ヽ　　 | 丶ヽ　　ノﾉ:ﾉ : : }　　　　　　 .さすがに異を唱えるだろうが
　　　　　　　/: :＼ ≧ｚ，　　_|　　｀＼彡'／: :l／
　　　　　　　V {､: :｀下　　,　丶´　 ,　-彳: : : :{
　　　　　　　ゝ-）ﾊ :トヽ.　｀"二."´　 .彳/ ∧:`ーｧ
　　　　＿__　｀7/ ﾉ:ﾍ　＼　　　　／　lｨ: / ﾍl丁
　.　　´　　/ ＼{ V　　}`ー‐`=== ´一"八{　∨∧／￣　　　　　　 /:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::i:::::::::::::.　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::/:::::::::;;:::::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:::::::::::,'::::::/.i:::::::::::::::::/ ＼::::::;;:::::::|:::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:::::::::::|::::/__|::::::::::::::_　　　＼:::;;:::::}::::::::::::::::::::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,':::i::::::::|:/- ､ヾ;::::::|/ー,‐‐ ´､＼::/::::_::::::､ヽ::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '::ノヾ::::::|'‐ｔｯ､　＼:| 　 ―tｯ-,　ﾘ:/ﾚﾍ:::::.ヽー―-｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ＼ゞ￣　　　　　　￣￣　 '/'/_ノ^ヘ;:::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ﾆﾍ　　　　,　　　　　　　　　ー;ヘ､|:| |≧、
　　　　　　　　　　　　当然却下だ　　　　　　　　　　　　　　　　　./ ｙi !ﾍ　　　　　　　　　　　 /ﾚrﾘ　　|:| i::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いゝ'人_　 _　　　　　　　,　　 /　　;:::i | :::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:＼　　　｀､￣　｀　　イ　.／　　 ,::::i j::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::.＼　　　　｀ー＜　　／　　　./:::〃:::::::::::::::::::::::_:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.」:::::::i_/ ｰ　　　 /.〉ｆ､＿_|へ　　 /:::〃|::::::::::::::／::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{::::::::/＼＼　　 //　!:::::／　/＼/::::〃:|::::::::／.:::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::/::::::::＼｀ー''.ﾄ　ﾍ:く　　/＿＿_∥::i::::::/::::::::::::::::::::::::::::::|

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　だが、庾楷の上奏は詔勅という形で却下された。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　司馬道子と司馬尚之は、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .王愉の江州赴任を名目にこの地域で自派の兵力を確保を狙ったのだろう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
330 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:04:05.42 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　揚州　歴陽】

　　　　　　　　　　 {　　　　　　　＼　　　　　ﾄ､　 Ν　 |_／　/
.　　　　　　＿　　{ゞ　　　＼-､　　＼　　　 |　}　|　　　　　/
.　　　　　＼　￣｀`ト　ヽ＼ヽ＼＿＿　　　　 N　　　 /i/　／
　　　　　　　＼　　　　｀'　／　／　／｀ヽﾍ　　 ,ｨヽ'　{／ /
　　　　　　　＿∨　ヽ＼,／　／　／ /　／/}　'/{　l ＼　 /
　　　　　　　＼｀` 　／　／　　 /　　　 /　∧} /,｜ l 　 ∨
.　　　　　　　　 Y　／　／　　　 /　　'　　　∧ﾘﾉ彡|　}　　 ∨
　　　　　　　　　 _У　　　　　 /|　/∧　　 |　　　 |　　　　 ∨
　　　　　　 -=ﾆ　＿＿＿ /　.／≧_Ⅳ　V　｜　　 |　/ 　 !　＼
.　　　　　　　　 /　{ { ｲ/ ／灯示ミｘト､VΝ　_-―И　　 |　 | ＼
　　　　　　　　_乂　乂､／}　　　V_;ソ　｀　ヽ　'f示苅v　　ﾊ . |
　　　　　　　／　,　/＼o_　　　　　　　　　 ;　ゞ '　ノｲ从/＼ﾄ､
　　　　　／　イ }/　/.}迅　　　　　　　　　i　　　 / ノ }/ 　 /＼　　　　　　　　　　　　不愉快だ
　　　　　　 ,ｨｆﾓ'x、　 {/｜∧　　　　　　　 '　　 .,ｲ
　　　　　ノ/////＼l　Ν　 ,＼　　￣￣　／}/
　　　 __／=-///////Yi＼　 ,　＼　　　　／　 l-､
　＿/⌒ト ,////////∧i:i:i:＼__　　` ‐=≦> l＼∨Ⅵ､
　＼//////＼//////∧i:i:i:i:i:i:i:≧s｡.,ﾉ／ｲ＼'/＼/Ⅵﾐh｡.
　 //＼//////＼/////∧､i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/i:i:i:ｉ|i:i:i:∨///}////}ﾐh｡.　__, ､
　 '////＼//////＼'///∧i＼＿i:i:i:i,'i:ｉ:／|i:i:i:i:i∨//////{////≧s｡}ヽ_
　 ////// ＼//////＼//∧i:i:i:i:i:i:＼i:/i:i:i:|i:i:i:i:i:i:∨////,ｲ///////／//≧s｡.,
　 /////////＼/////∧'/∧､i:i:i:i:i:i:i:ヽi:ｉ:ｉ|i:i:i:i:i:i:i:{//////////,ィi〔/////////

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　庾楷は怨み憤ったと『晋書』『庾楷伝』は記している
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
331 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:05:02.32 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　揚州　京口】

. |　　|　　　＼::::::::＼| | | | |＼＼　＼　　　　　　　　　　　／　＼／／:|　／＼／ |　　　　_,.
ﾞ.|　＞'"￣｀丶＼::::::::＼| | | |:|　　＼／　　　　　　　　　　 xく　＼／　 |:::::|／＼／｜ |　｡s≦-‐
..ﾚ'´　　　＿　＼＼::::::::＼| |:|　|＼｜　　　　　　　　　　 < 　＼／　　 |／＼／ |　 |　|　|¨:|:::::::
┼-　ｘi(　　｀ヽ　ﾍ＼::: :::＼|　|::::|｜　　　　　　　　　　　　＼／／| 　／＼／　.| |　 |　|　|　|:::::::
｣___ ん/)h､　　 V∧　｢￣￣　 |::::|｜　　　　　　　　　ｒzzzzzz|　|:::::|／＼／　　.| |　 |　|　|　|:::::::
.l　`|////ハ　　 '/ﾊ　＼　　　＼|｜　　　　　　　　　 |//〉二 |　|／＼／　_､+'"~| |　 |　|　|　|::::::
| 　.|//////|＿＿|　.|　　＼　: : : | |　ｒｚzｭ　　　　　　//　|　　|／＼／「 :i´丁￣::| |　 |　|　|　|＿
　　|//////|￣￣|＼|　 : : : .＼:.::.:| |ｚ辻（_)〉　　　 // ||｜ <＼／　| |　|　|::::::::::| |　 |　|　|￣＿
_　 |//////|＿＿|γヽ　: : : : : :＼| |:|丁｀|〉　　　〈/:| ||..|===l:/ ／| | |　|　|::::::::::| |　 |　|　￣
...　|//////|　　 |弋ﾉ　:|｀'i : : : : ::|]|:|┘［|∧ 　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
.　 |//////|　　ハ　Ⅵ|:: |: : : __: | |:l] ｎ |∨〉　|　　庾楷将軍の御使者と聞いたけれど何用だい？　 |
.ﾞ　|//////|　　 .:.....}　L||:: |: : : | | | |:|￣｀|L|____ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
..　|//////|　　:{..... ﾍへ::::|: : : | | |_|:|]丁|ヽ|]丁¨｢|'´|ｎ［l└|:::::::|:|::￣: :| | 　　　　 |　 |　|
　_|//////| 　　 {＿__}∨｀'ﾞ : : :|_|（;;;;)　| ,イ丁丁丁丁丁丁ト ::::|:|::　 : :| | 　　　　 |　 |　|
., |::|￣￣丁¨¨¨¨|＼　Ｙ∧: : : : :γ＾ヽイﾚ'二二二二二二`'く〕ト|:|.:　 . :| |＿＿＿＿_|＿|_,,|..､､､--‐
　≧s｡　　|　　　 |　 }　}¨∧￣`'<ノ　ﾉ｡s个x|:|_｢/〉[] |::| |x个o｡｣-‐　''￣:.::| |￣| |￣: : : : : : : : : :
.ﾟ｡　　　 ≧s｡γ´|‐∧‐| 〈∧. 　　｀ヽL_⊥┘|ィ/￣...|::| |‐-Ｌ｣:|: : : : : : :.::.:| |: : | |: : : : : : : : : : : :
　ﾟ。　　　　　＞┴　_|_j　〈∧ 　　　 .｣_ノ-=ﾆ /　　 └|_| : : : :￣⌒ﾆ=-　 |_|＿| |: : : : : : : : : : : :
　|:ﾍ　　　　／　　　　　｀`7〈∧￣￣￣ /　　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::;:;:;:;:￣⌒＾^''ﾆ=-　　_
　|::| ＼　／　　　　　　 /　〈∧ 　　 ./　／　　　　　　: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　＿　‐丶､　　　　　／　　,〈∧　＿厶ｼﾞ.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
￣: : : : : : ≧s｡　＿∠ 　-─　〈∧:;::;:;:;:;:;:;:;:: : : : : : : : : : : : ::.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:
: : : : : : : : : : :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:｀':;:;:;:;:;:;:;:;:;::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::
332 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:05:50.37 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　／: : : r‐r==========、
　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}
　　| :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|　　　　　　　譙王司馬尚之兄弟は朝廷の実権を握り、
　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　朝廷の威を借りて方鎮の力を削るつもりですと庾鴻は父の言葉を伝えます
　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)
　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′ {:.　　　|　　　　　　ﾄ　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′ i|:　　{:/|　 ::..　　　|i＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　{:　　|'＿　|:::.　　斗─＼　 .::,　　:::. }　　　 :.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|／´|i　 Ⅵ::::.　 ∧| ,＿　＼`::}　 ::::::|::::.　|V:::. ::.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　Ⅳトi}ミ、Ⅴ::::::..{　ﾘ芹午ミx ⅵ .::::ﾊ|ﾍ::. ,::::::::::::トヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }丶　Ⅴﾍrﾉiム　丶:|　　　 rﾉﾊ i}≫ .::√j! ⅴ :::::/|: |　＼
　　　　司馬尚之か。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|人＼ⅴ 乂り　　＼　　　乂ン　 }.:/　　　∨::/ i|:/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./ | |ⅵ　　　　　　　　　　　　　　　.′　／::ﾚ　 j/
　　　　北府に介入してくる前に先手を打とうか。　　　　　　　/, ｲ } |ﾊ　　　丶　　　　　　　　　　､ノ::∧::{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　 .∧　　　　　　　　　　　　　ｲ:::::ｲ::j　V
　　　　庾楷将軍は勿論、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧　ヽ＼　　丶 ― ′　　／ ']::/ j:/
　　　　西府も嫌とは言わないだろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　＼丶　　　　　　イ　　ﾍ:{　 ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　}　外t‐　´　　　 | ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ∧　　　ｲ　 |　　　　　　ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ {i 　∧　ノ　}／j　　　　　　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 |　　　ー‐' ﾉ/　　　　　 /　　　　　　￣￣｀丶

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『王恭伝』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　庾楷は息子の庾鴻を王恭の下へ派遣し、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　司馬尚之が方鎮の勢力削減を狙っているため懲罰するべきと訴えた。
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　王恭も平素から司馬尚之を嫌っていたため、共謀して挙兵する事になった
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
333 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:06:46.81 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　荊州　江陵】

　　　　　　　　! .: .:.　　　　　　　　　！
　　　　　　　 i！.:.:...　　　　　　　　　！
　　　　　　　」ﾉ､､.:.:.:.:.､､　　　;　 ,　　 ,,,,;.L　　　　　　　　　.北府から書状が届いた。
　　　　　　　ハ斗--､､,`ヾ;:;:;,ﾉノ´,.ｨｨ:::r彡1
　　　　　　　い.:.:.｀`ｰﾟ''ｼﾉ八乍:((⌒)).:}ｲﾉ　　　　　　　　　王恭殿と庾楷殿で
　　　　　　　　い{:::｀ﾆﾆ´ﾝ'不　`ヽ:に:::ノﾉ　　　　　　　　　　江州刺史となった王愉殿と譙王殿下兄弟を討つそうだ。
　　　　　　　　　`ﾄ､　r'´,.ｲ.:.j　　　　 ,.ｲ´
　　　　　　　　　　', ',　,r'´`ヽ_,.ｲ`ヾ　.;′　　　　　　　　　　 .どう見る？
　　　　　　　　　　い {;j;:ji;rﾆﾆ''j;:;jji!ｲ !_　
　　　　　　rr‐r,. イヽ`ヽ.:.:.:.'⌒　 ,r'/　!.::ヽ
　　　,. ィマ　〈.::::::l: : :.＼ゞ.:___,...ｲ /　 .!:::::::ﾄ､__　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,　, イ'　／　 _, -― -ミミ､
,.ィイ　　ヽ| 　ヽ:::l: : .　　＼＿_／　　l::::::::l　に￣｀77‐､　　　　　　　　　　　　 /　　i'´ ／　／/　　　　　 `ヽﾐヽ,
　i！　　　|　　　＼　　　 /⌒ヽ　　　 l::::::::l　｀~7 /ハ　}　　　　　　　　　　　r'´ｌ　　l　.ヽ　.i,／ﾆ二三三＿ `‐ﾐ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V ヽ＿ヽ -`'´　　　`i//∧、＿｀`　ﾐ__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ハl　　　　　　　ヽ//,ヽ､＿_, ､　ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//.　 l　　　　　　　　.i ,, ´｀ヽ､//,ニﾐ､` ヽ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .{ !、　,!　　　　　 _,, ィ'"_　　　　l:i /´`lヽ、　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `'　〈__　　.,ィ"ｨ=モイ　　　　ﾘ /ノ,l ヽヽ {、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､i　　　　￣´　　　　　　,__,ｲ､//l,,ハ!
　　　　　　　　　　　　王恭殿が必ず勝つ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　l　　 `l_rﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　__　　　　　　 ,li　　　|-､
　　　　　　　　　　　　ここは応じるべき　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣＿　--'　　　／.:l _,　'_,,,ｨ'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ`‐'´　　 ,‐‐'-,- '´ｨ=ﾆ三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィヽ＿_ ,,/イ´,-=ﾆ三三三|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,＞/／//ｲ'´　,ﾉﾆ三三二ト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ／/　i　l_,-_‐'´ﾉ彡=‐'´ , -‐'-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -====く〈ヽヽ l､_ヽ_,-‐'´　　.::／, '´￣｀ヽ､

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　再び西府の殷仲堪・桓玄にも参加を呼びかけ、彼らもこれに応じた
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
334 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:07:17.68 ID:Sn1xEGb10: ／.:.:.:.:.:.::.:: : : : : : :: : ::ヽ、
:.:.:.:/:.::./.:.:./:.:.:.:.:.:.::.:. ;: ::.ヽ　
::: ::|.:.:.:i|:.:./ |:.:li､:.:.∧:.:.:.::ヽ.　
: :: !.:.:. ||/--l/　|ﾉ--ｌ:.: .:.lヾ､
: ::(|:.:.:.:|　‐‐　　 ‐-│::.:/
Ⅵﾍ.:.:.:l　　　_ _ 　 /.:.ﾉ　　　　　当時、内外で疑心を抱き合っていたため、長江の津はどこも厳重な警戒下にあった
　　＼ヽ､　＿ , イ!::/
　　／ヽ{　　ﾄ､ヽ l:
　∧＼　ﾏ三ｿ|　＼　
./: : ＼＼ヾ-〃＿ !＿＿＿___　
ｌ; : : : : ＼＼」ﾘ/　　　　　　　　/
i: : : :::＼::＼i../　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　'´　　　　　　　　　｀`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　　　　　　　　　　　　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　　　　　｀`ヽ　ﾚ'´　　　　　j！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', ,,ﾐﾆﾆﾆ''ｰｲﾉ {,,､､z''ﾆﾆﾆ彡！
　　　　　昨今の情勢では仕方がない。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,r‐1 ~　`‘ﾆ''´ｼ　ﾄ､):::(　　):::)　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　 l　 ´ ｀｀／　　l.:.:.',ヽ::::::::ノ　ﾉﾊ
　　　　　普通に手紙をやりとりしては、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　い;.､　　 ,.ｨ　　 l.:.:.:.｀:.､¨´　ｲ　 ,!
　　　　　使者がどこかで役人に捕まる恐れがある。　　　　　　　　　　　　ヽい!　　/　≧ヽ_ ,.ｨ≦　)　　 j　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ1　,!　　jj　　　　 jj`ヽ　 ,レ'
　　　　　ここは矢文を使って連絡を取るとしよう　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ; ﾚ''"´　ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ　｀`ヾj!　j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. イ⌒ヽ､､,,　　　ﾄ､ `　　 ´¨¨`　　　 ,.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/　　　(`ヽ､ヽ､」ヽ､　　　　　／　L
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 /　　　　＼　`y′￣｀`ヽ____,.イ,.　'"´L二ﾆﾆﾕ¨¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　＼/＿＿＿ /八ヽ　__ ＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 .: .: .: .: .: .: .: . :. :. :. :. :. :. :. :. : .: .: .:. :. :. :.
335 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:09:33.70 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　揚州　歴陽】

　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　／: : : r‐r==========、
　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}　　　　　　　　　父上。
　　| :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|
　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　　　.江陵の殷仲堪様から矢文が届きましたと庾鴻は報告します
　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)
　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ　　
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i　　　　＿　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　 _ ﾘﾄ､￣　　ヽ　＼　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾﾐ　ｨ　ｲ .{ﾐvﾘ,ヘ　　　　＼　ヽ　/　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　v　　 {　!ミl//∧　　ﾄ､　 _ﾊ　 _　二=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i!　i　　　 ∧ ﾄxｭて　ﾏ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 !　トｭi､　　　ィ斗ｔォﾁｱ､vｦ　/ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧ﾄﾄキｫミ　　弋り　　 {　.,ｲﾄ､!
　　　　我が軍で使っている鏃と同じ漆だな。　　　　　　 ´　∧vハ｀じ" !　　　　　　　lィ i　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ム　　　　　　　　　　.ｲ |　　　ヽ
　　　　この矢文は本物だ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .い　　　ｰ　　　　　ﾘへ　,..:::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ　　＞　　　イｫイﾆﾆ=:::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 v::}ｭ干ィ≦二二=:::::::::／:::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　 /::::::ｫﾏﾆﾏ二二二=.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::{:::::::.. ｙ::::/::::::ﾑﾆﾏﾆﾏ二ﾆ＞=::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ::::∨イ::::::::;::::::::｛二ﾆマﾑ＞´ﾆﾆ::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ::::　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　殷仲堪と庾楷は慎重に連絡を取り合った。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　江陵の殷仲堪の手紙が歴陽の庾楷へ届くと、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .それを照合した上で庾楷が京口の王恭へ送って連絡を取った
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
336 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:10:12.40 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　 , '´￣￣｀ｰ-､
　　　／: : : r‐r==========、
　　 /: : /├l‐１ ―――――|
　　,': :∧〉}‐ヒL二二二二二.｣
　　{: :ｉ: ｉ /ゝﾉｲﾉ　l/　―　ｌ :}　　　　　　　　　父上。
　　| :ﾚ　| 　　●　　　●　ｌ :|
　　|: i: （|.⊂⊃　､_,､_,　⊂ l:/　　　　　　　　　　京口の王恭様から矢文が届きましたと庾鴻は報告します
　i⌒ヽ: :ゝ　　　　　　　　ﾙ|_／⌒)
　ヽ　ヽ从ヽ,､　 __,　イ从/ ヽ／
　　∧___,ﾍｉ.ｉ:.:＼__八__／:ｉ.ｉ　　ﾊ　　
　　ヾ　　 .}.}:.:.:.ヽゝoi|.|:.:.:}.}　　ｿ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i　　　　＿　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　 _ ﾘﾄ､￣　　ヽ　＼　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾﾐ　ｨ　ｲ .{ﾐvﾘ,ヘ　　　　＼　ヽ　/　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　v　　 {　!ミl//∧　　ﾄ､　 _ﾊ　 _　二=-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i!　i　　　 ∧ ﾄxｭて　ﾏ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　 !　トｭi､　　　ィ斗ｔォﾁｱ､vｦ　/ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧ﾄﾄキｫミ　　弋り　　 {　.,ｲﾄ､!
　　　　鏃が劣化していて漆の色が分からない。　　　　 ´　∧vハ｀じ" !　　　　　　　lィ i　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ム　　　　　　　　　　.ｲ |　　　ヽ
　　　　この矢文は偽物だ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い　　　ｰ　　　　　ﾘへ　,..:::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ　　＞　　　イｫイﾆﾆ=:::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 v::}ｭ干ィ≦二二=:::::::::／:::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　 /::::::ｫﾏﾆﾏ二二二=.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::{:::::::.. ｙ::::/::::::ﾑﾆﾏﾆﾏ二ﾆ＞=::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ::::∨イ::::::::;::::::::｛二ﾆマﾑ＞´ﾆﾆ::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::イ::::

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　しかし、続いて王恭が庾楷へ出した手紙は、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　照合できなかったため、庾楷はこれを偽物と断じたという
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
337 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:11:07.82 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年夏　晋　揚州　京口】

. |　　|　　　＼::::::::＼| | | | |＼＼　＼　　　　　　　　　　　／　＼／／:|　／＼／ |　　　　_,.
ﾞ.|　＞'"￣｀丶＼::::::::＼| | | |:|　　＼／　　　　　　　　　　 xく　＼／　 |:::::|／＼／｜ |　｡s≦-‐
..ﾚ'´　　　＿　＼＼::::::::＼| |:|　|＼｜　　　　　　　　　　 < 　＼／　　 |／＼／ |　 |　|　|¨:|:::::::
┼-　ｘi(　　｀ヽ　ﾍ＼::: :::＼|　|::::|｜　　　　　　　　　　　　＼／／| 　／＼／　.| |　 |　|　|　|:::::::
｣___ ん/)h､　　 V∧　｢￣￣　 |::::|｜　　　　　　　　　ｒzzzzzz|　|:::::|／＼／　　.| |　 |　|　|　|:::::::
.l　`|////ハ　　 '/ﾊ　＼　　　＼|｜　　　　　　　　　 |//〉二 |　|／＼／　_､+'"~| |　 |　|　|　|::::::
| 　.|//////|＿＿|　.|　　＼　: : : | |　ｒｚzｭ　　　　　　//　|　　|／＼／「 :i´丁￣::| |　 |　|　|　|＿
　　|//////|￣￣|＼|　 : : : .＼:.::.:| |ｚ辻（_)〉　　　 // ||｜ <＼／　| |　|　|::::::::::| |　 |　|　|￣＿
_　 |//////|＿＿|γヽ　: : : : : :＼| |:|丁｀|〉　　　〈/:| ||..|===l:/ ／| | |　|　|::::::::::| |　 |　|　￣
...　|//////|　　 |弋ﾉ　:|｀'i : : : : ::|]|:|┘［|∧ 　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
.　 |//////|　　ハ　Ⅵ|:: |: : : __: | |:l] ｎ |∨〉　|　　殷仲堪殿は去年盟約に来なかった　　　|
.ﾞ　|//////|　　 .:.....}　L||:: |: : : | | | |:|￣｀|L|____ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
..　|//////|　　:{..... ﾍへ::::|: : : | | |_|:|]丁|ヽ|]丁¨｢|'´|ｎ［l└|:::::::|:|::￣: :| | 　　　　 |　 |　|
　_|//////| 　　 {＿__}∨｀'ﾞ : : :|_|（;;;;)　| ,イ丁丁丁丁丁丁ト ::::|:|::　 : :| | 　　　　 |　 |　|
., |::|￣￣丁¨¨¨¨|＼　Ｙ∧: : : : :γ＾ヽイﾚ'二二二二二二`'く〕ト|:|.:　 . :| |＿＿＿＿_|＿|_,,|..､､､--‐
　≧s｡　　|　　　 |　 }　}¨∧￣`'<ノ　ﾉ｡s个x|:|_｢/〉[] |::| |x个o｡｣-‐　''￣:.::| |￣| |￣: : : : : : : : : :
.ﾟ｡　　　 ≧s｡γ´|‐∧‐| 〈∧. 　　｀ヽL_⊥┘|ィ/￣...|::| |‐-Ｌ｣:|: : : : : : :.::.:| |: : | |: : : : : : : : : : : :
　ﾟ。　　　　　＞┴　_|_j　〈∧ 　　　 .｣_ノ-=ﾆ /　　 └|_| : : : :￣⌒ﾆ=-　 |_|＿| |: : : : : : : : : : : :
　|:ﾍ　　　　／　　　　　｀`7〈∧￣￣￣ /　　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::;:;:;:;:￣⌒＾^''ﾆ=-　　_
　|::| ＼　／　　　　　　 /　〈∧ 　　 ./　／　　　　　　: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　＿　‐丶､　　　　　／　　,〈∧　＿厶ｼﾞ.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
￣: : : : : : ≧s｡　＿∠ 　-─　〈∧:;::;:;:;:;:;:;:;:: : : : : : : : : : : : ::.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:
: : : : : : : : : : :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:｀':;:;:;:;:;:;:;:;:;::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭の謀計はどうにも雑だった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
338 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:12:22.77 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　/ 　　＼　　＼　　＼⌒
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　 :.　　
　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.　　
　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　
　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ
.　　 |　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }　　　　　　　　だから今すぐに動くとは思えない。
.　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八
　　　.,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　　　　　　　　　.僕らだけで先に挙兵しよう
.　　　 ′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}
.　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/
.　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八
　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_
　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　.　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:::. : :＼
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼＼　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : : ::.:.:.:{:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ'_＿: :ィ云≧､:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{//ｿ"//////≧＝=‐‐-斗=ミ:.:.::.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: :.:.V////:.:.::.:.:.:.:..:::.:::.:.斥:.:.:}.::.::.,'
　　どうもいけませんな。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :.:.:.､:.￣: ::.:.::.:.:ノ:.:.::.:::.:.ﾊ::.::.ﾉ:::./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "7:.:.:':_.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／::.:/＿ _
　　将軍は今、重き異姓の諸侯として動かれるおつもりだ　　　　＿__,,.. -‐＝{`二､ヽ:.从:.:.:..:.::.:.:.:.:.:ｒイ:.:.:.::.:{≫　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　／才二ノ.:.{;;;}:.:. :.:.::.:.:.:.:.::.:._,斗≦　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i|　　　　　／／};;;从;/´￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i| 　　　 ""　 {;;;;;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　}i| 　　　　　_≧＝{　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ＿
339 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:13:03.77 ID:Sn1xEGb10: 　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.::.::.._:.:.:.:._::.::, -､
　　′:.:.:.:.:.::.:.:.:,ｲ　｀Y.:.斥　　}
　 i　:.:.:.:.:.::.:.:.:ｲ込 _,ノ:.:.:.::.:`マ.:.:.　　　　　　　　　　.だが、それは周公旦の尊位にいる会稽王殿下の仕事では？
　 |:.:.:.:.:.:: ／／:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::,.:.:.}:.:.:ｉ
　 |:.:.:ｒ''¨_／.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:..:ｧ‐＝ミﾊ　　　　　　　　　王国宝たちを誅殺できたのは、
　　､:{:斥.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:从/＿___,ノ};';　　　　　　　　　将軍が会稽王殿下に書を送って深く伏したからだろう？
　　ﾍ:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.:.:.:{;';'{＿__从___};'　
, -‐＝}:≧-:‐､.:.:.:.::.ﾉ;';';';';';';';';';';';;';';';＿　　　　　　 .近頃俺たちは用いられてはいるが、皆に認められた行動でもなし
｀ヽ= ┴─────‐ミ;';';';';';';';';';';/　＼
　　　　　￣二＝‐-　_　ヽ'‐'‐'‐'‐' ＼　　i＿_, ‐,　　　　ｧ‐､
　　　　　　　　　　　　　i　 |:.::.:}　　　　i　｜／.:.ﾉ_.　　　/.:.:/
　　　　　　　　　　　　　|　 |:.::ﾉ　　　　|　 |ﾉ.:.ｒ'′ `ーノ.:.:/､二二ii≡
　　　　　　　　　　　　　|　 |:.:{　　　　／:.:.:.ﾉ＿_,..ィ.:.:.:../:.:}
」_}{　_ _　　　　　　 |　 |:.:::＼　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／:.:/　　　　　　　　 . . . ∧ . /. . . . . /| . . . . . . . . . ∧. . . . .‘， . . .
　　¨￣二＝　‐-　_ ＿}-‐'二二＼ /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:..:.:../:}　　　　　　　　, . . .| . ∨.|. . . . ,　j. . |. . . . . .|. .|　'. .｜. . . . . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 , . . . |. . . . l. . ／、 ∨.| . . . . .i|. .l　 ′|. . . . . . .｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|. . . .|. . . . l／ ___＼_Ⅵ､. . . ./!./_／∨ /. .| . . | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　 /. |. . . .|. . . Ｎx笊芋ﾐｘ｀|｜. ./｀/ｘ芋ミ∨! . |. . . ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／|∧. .|. . . i〈{　んハ　　 |／　　んﾊ　Ⅵ .｜ . .Ｎ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,／　 l. ∧.И . l　　乂ｊり　　　　　.乂り. ｲﾉ. 人∧|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　 |. . ∧.ｊﾄ､.ゝ　　　　　　　　　　　　／.イ. /　＼
　　　　　　　　　　　何が言いたい？　　　　　　　　　　　 .　　　　　 ∧. .|＼ﾄ､__| """"　　　　　'　　"""" 丁_ﾉ.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧.|　 ∨.∧　　　　　　　　　　　　 /. .厂|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　　j|∧. . ､　　　（　　 )　　　. /|. /＼!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣ア　|i　∨个s｡.　　　　　. イ/､j/＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　.∠_　　　 iＮ|　　＞　-‐r＜|　|′`､　　｀＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　/　／＾＼　　 |　　　　　　.i.∧|　　　 `､　　 i∨
340 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:14:36.12 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　 .．　´:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:..､
　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
.　　　　　　　　　　　 , ′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.
.　　　　　　　　　　 ,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
　　　　　　　　　　　 {:./⌒Ｙ_＿＿_,r――- 、:.:.:.:.:.:.:.:.i
　　　　　　　　　　　　　'.{ て):.:.:.:.:.:.￣ﾍ:::::γ⌒ヽ、__:.:.:.:}
　　　　　　　　　　　　　{ト､ヽ:.:.:.:.:.:.:.:＼:.＼ゝ__ ノ⌒ヽ-<j
　　　　　　 __＿＿／:`{}{}_｝:.:.:.:.:.:.::::::｝.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{ 　 j
　　　　　／. . . . .｀ヽ:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:.:.:.:'´.:.:.:.:.:.:.:ﾑ:.:.:.:├r '　　 `ｰ=彡′　　　失うものが大き過ぎるって事さ。
.　　　　 /...,. . ／: :｀ヽ＼:.:.｛:.:.:.:.:.:.:.:.ｨ:.:.:.:.:.:.:.:｀ヾYソ丿　. : .:～彡
　　　　,く. ./. ./... . . . . ..ヾ＼＼:.:／:::{:.:､ｰ‐==-､::::, ´　　　て´　　　　　　.だいたい庾楷殿の件は、
　　　. . . .＼: { . . . . . . . ∠ハ:.:.:ﾐ::::::｛:.:.:.｀`ｰ=才く　　　. :～´　　　　　　　.将軍に何一つ損はないんだぜ？
　　 . . . . . .｀＼. . . . . . . . . .｀Ｙ::彡:::::`ｰ彡{:.:ィ　＼>　: : ..
　　 . . . . :ヾ. . ..＼. . . . . . . :}.:}:.:.:乂从:::::::::_У　　　彡　: . .　　　　　　　 .再び晋陽之師を起こすと言うのかい？
　　 . . . . . :ハ. . . .`＼. . . . :}:.}:.:.:.:.／:"´￣｀ヽ　　(（　　 .:）)
　　 . . . . :/. . . . . . . . :ヽ. . :.}.:}:.:.:.ﾊ. . . . . . . . }　　　 `ー: . .
　　 . . . 〃. . . . . . . . . ..}＼人:.:.:/:∧. . . . . . 人＿
　　 . . . . . . . . . . . . . . 八. :｀Ｙ:.:.:.:.:.:.}ﾄ､. . ／ . . ｀Ｙ｀ヽ
　　 . . . . . . . . . . . . . ..{. :.｝. ..|`ー=升! ∨{. . . . . . }:.:.:.:',
　　 . . . . . . . . . . . . . . し′. .｝圭圭７ . .V . . . . . ﾘ:.:.:.:.:',

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　劉牢之が王恭を諫めて曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　彼は王恭の挙兵に
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .大義名分がないのを承知していたのだろう
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
341 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:15:24.91 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿ｒ─-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　＼＼　＼＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ .　　　　　､　　　　＼ｌ　　＼　ミ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／.:／　　 :|　　| 　 . 　　 :　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . ..::.　　　 ..::|　　|　　:.　　　|　　　 :..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.://　 .: ＿／|　　|　　::.　　 :|　　　　 ::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..:://　.:/::／　｀ﾄ、八　.::　　 |　　　::.　:i.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ィ..:..::./幺___　　..::/　　.::.　　.::.|　　　::.　:|:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | }||.::/ｨ久ﾄﾐｘ　 V 　 ..::.　　 ..::.|　　　.::.. :|:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ||/　lｒ勹　刈 i　..::.／　..::.:./|　　.::.:.. :|.::.
　　　　　事と次第によっては司馬道子も討つ。　　　　　　　　厂　　|′ ｊ::タ　　_)狄.:／　 ..::.:../..::.:　 ..::.:..: :||::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　 :　　　　　￣ ``　　ﾝ:イ..::.　..::.:..厶//　..::.:..|:: .||.::.
　　　　　君側の奸を除こう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　 .／´ ﾉﾉ..::／..::〈 //　..::.:..::.|::.:小.::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　｛､_　　　　　　　　 _ 彡.:／｝／　/ｲ ..::.:..::.ノ｝/.:］::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉［_)　　　　　　　　-=彡／＾厂｝ /..::.:..:／i// ..:〕::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　〉　　　　　　　　　　　　 '⌒ ¨ /..::.:／..:://..::.:..|.::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′　　　　　　　　　　ｒ个ｰ─ｧ.::／..::.:.//..::.:..::.:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　　　　　　　　 V..::./イ..::.:..::.:./..::.:..::.:.ｊ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ニ=┐　　　　　 /:／..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::ﾉ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　　　　　　/个..::.:..:..::.:..::.:..::..::.:..::..:..

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭は従わなかった
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
342 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:17:50.91 ID:Sn1xEGb10: . |　　|　　　＼::::::::＼| | | | |＼＼　＼　　　　　　　　　　　／　＼／／:|　／＼／ |　　　　_,.
ﾞ.|　＞'"￣｀丶＼::::::::＼| | | |:|　　＼／　　　　　　　　　　 xく　＼／　 |:::::|／＼／｜ |　｡s≦-‐
..ﾚ'´　　　＿　＼＼::::::::＼| |:|　|＼｜　　　　　　　　　　 < 　＼／　　 |／＼／ |　 |　|　|¨:|:::::::
┼-　ｘi(　　｀ヽ　ﾍ＼::: :::＼|　|::::|｜　　　　　　　　　　　　＼／／| 　／＼／　.| |　 |　|　|　|:::::::
｣___ ん/)h､　　 V∧　｢￣￣　 |::::|｜　　　　　　　　　ｒzzzzzz|　|:::::|／＼／　　.| |　 |　|　|　|:::::::
.l　`|////ハ　　 '/ﾊ　＼　　　＼|｜　　　　　　　　　 |//〉二 |　|／＼／　_､+'"~| |　 |　|　|　|::::::
| 　.|//////|＿＿|　.|　　＼　: : : | |　ｒｚzｭ　　　　　　//　|　　|／＼／「 :i´丁￣::| |　 |　|　|　|＿
　　|//////|￣￣|＼|　 : : : .＼:.::.:| |ｚ辻（_)〉　　　 // ||｜ <＼／　| |　|　|::::::::::| |　 |　|　|￣＿
_　 |//////|＿＿|γヽ　: : : : : :＼| |:|丁｀|〉　　　〈/:| ||..|===l:/ ／| | |　|　|::::::::::| |　 |　|　￣
...　|//////|　　 |弋ﾉ　:|｀'i : : : : ::|]|:|┘［|∧ 　　 /:||:|／Ｌ二::|:| |:::::| | |　|　|::::::::::| |　 |　|
.　 |//////|　　ハ　Ⅵ|:: |: : : __: | |:l] ｎ |∨〉　 //:l'´／　| : ::|:| |:::::| | |　|_　- ￣.::|　 |　|　　γ￣￣￣￣￣￣￣ヽ
.ﾞ　|//////|　　 .:.....}　L||:: |: : : | | | |:|￣｀|L|____∠|　|'´　｢:|:::: :|:| |:::::| | | 　　　　 |　 |　|　　|　　　やれやれ　　　 |
..　|//////|　　:{..... ﾍへ::::|: : : | | |_|:|]丁|ヽ|]丁¨｢|'´|ｎ［l└|:::::::|:|::￣: :| | 　　　　 |　 |　|　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿乂
　_|//////| 　　 {＿__}∨｀'ﾞ : : :|_|（;;;;)　| ,イ丁丁丁丁丁丁ト ::::|:|::　 : :| | 　　　　 |　 |　|
., |::|￣￣丁¨¨¨¨|＼　Ｙ∧: : : : :γ＾ヽイﾚ'二二二二二二`'く〕ト|:|.:　 . :| |＿＿＿＿_|＿|_,,|..､､､--‐
　≧s｡　　|　　　 |　 }　}¨∧￣`'<ノ　ﾉ｡s个x|:|_｢/〉[] |::| |x个o｡｣-‐　''￣:.::| |￣| |￣: : : : : : : : : :
.ﾟ｡　　　 ≧s｡γ´|‐∧‐| 〈∧. 　　｀ヽL_⊥┘|ィ/￣...|::| |‐-Ｌ｣:|: : : : : : :.::.:| |: : | |: : : : : : : : : : : :
　ﾟ。　　　　　＞┴　_|_j　〈∧ 　　　 .｣_ノ-=ﾆ /　　 └|_| : : : :￣⌒ﾆ=-　 |_|＿| |: : : : : : : : : : : :
　|:ﾍ　　　　／　　　　　｀`7〈∧￣￣￣ /　　 /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::;:;:;:;:￣⌒＾^''ﾆ=-　　_
　|::| ＼　／　　　　　　 /　〈∧ 　　 ./　／　　　　　　: : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
　＿　‐丶､　　　　　／　　,〈∧　＿厶ｼﾞ.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
￣: : : : : : ≧s｡　＿∠ 　-─　〈∧:;::;:;:;:;:;:;:;:: : : : : : : : : : : : ::.:.:.:.:.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:::::::::::::::::::::::::::::;:;:;:;:;:;:
: : : : : : : : : : :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:｀':;:;:;:;:;:;:;:;:;::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::
.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::　
343 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:19:38.18 ID:Sn1xEGb10: 　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.::.::.._:.:.:.:._::.::, -､
　　′:.:.:.:.:.::.:.:.:,ｲ　｀Y.:.斥　　}
　 i　:.:.:.:.:.::.:.:.:ｲ込 _,ノ:.:.:.::.:`マ.:.:.
　 |:.:.:.:.:.:: ／／:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::,.:.:.}:.:.:ｉ
　 |:.:.:ｒ''¨_／.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:..:ｧ‐＝ミﾊ　　　　　　 .勢族様が手前の低能さを棚上げして、
　　､:{:斥.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:从/＿___,ノ};';　　　　　　.愉快に生きようとしたら、あっという間に清談好きのバカが出来上がる。
　　ﾍ:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.:.:.:{;';'{＿__从___};'
, -‐＝}:≧-:‐､.:.:.:.::.ﾉ;';';';';';';';';';';';;';';';＿　　　　.いつの時代も変わらねえ法則だ
｀ヽ= ┴─────‐ミ;';';';';';';';';';';/　＼
　　　　　￣二＝‐-　_　ヽ'‐'‐'‐'‐' ＼　　i＿_, ‐,　　　　ｧ‐､
　　　　　　　　　　　　　i　 |:.::.:}　　　　i　｜／.:.ﾉ_.　　　/.:.:/
　　　　　　　　　　　　　|　 |:.::ﾉ　　　　|　 |ﾉ.:.ｒ'′ `ーノ.:.:/､二二ii≡
　　　　　　　　　　　　　|　 |:.:{　　　　／:.:.:.ﾉ＿_,..ィ.:.:.:../:.:}
」_}{　_ _　　　　　　 |　 |:.:::＼　　 /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／:.:/
　　¨￣二＝　‐-　_ ＿}-‐'二二＼ /:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:..:.:../:}　　　　　　　　　　　　　　　／:i:i:i::i＞──＝＜:i:i:i:i:i:i:i:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:i:i:i:i／　　　　　　｀`''＜:i:i:∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,':i:i:ｉ:i/___,,,､､ィﾊへ　　　　｀寸iﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j／／／／／ .ｨハ　　　　　　 }:i:i:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿,､__　　　　 / イ/ /　/　/ｲ /ヾヽV∠｀ヽ.　　i:i:i:i:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　ヽヽ.　　　ﾚ':i:/ /! /ィ升┤ﾄ､　　　　//ハ　i:i:i:i:i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / ､ﾍ　「｀ヽ　i＼、　 i:i:i:{.ﾊ.|:ハヽ.....|.:|　　 ___//ｲﾍｊ　i:i:i:i:i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ. i　 |　ｉ￣ﾊ.ﾘ､￣|丁):i:iハ!Ｋ弋冬ﾍﾍ　ィメ、⌒メ, 从:i:i:i|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ハヽ. ヽ　ﾍ{´　　￣川j:i:i:|| 　ﾄ､:.:.:.:.:.:.乂ｰ〈:ｨ戈之｀ヾ从i:ｉ:ｉ:|
　　　　　　　どうする劉牢之？　　　　　　　　　　　　ﾑ､__＞ヽ､＼Ｙ￣￣￣:.从 i||　　　　　　/　ヽ:.:.:.:.:.:.ノ:i:i:i:i:i:i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,′　　　　ﾊ:| : ⌒YY⌒i |:i:i:i:|ﾍ　　　　　 ` ′　　　 /i:i:i:i:i:i:i:i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　 ,　!|: : . . | |.:.:.:i |:i:i:i:| :ﾊ　　｀ー―　--′＿/才≠＜八_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　.′ ヒ三三三三}:i:ｉ:ｉ| .:ハ　　　￣　 //才"　　　　｀寸｀Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　　　　　　　 /　　　　　 ′　　　／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:!　　.:＼　　　イ:ｉ:／／／　　　＼:ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,′ 　　　 i　　／:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i丿　　 : : ｀::::´:i:i／／／　　　　　　　　ヾ:j

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋　冠軍将軍　孫無終
344 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:20:25.01 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　 ,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　　i: : : : : : : : : }: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　＿＿|: : : : : : : : : } : : : : : : _: : : : : : : : : : : : :.|
　　　　/　,'　>‐､: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ : : :/ : : : : : : :|
　　　 /　,' /:/⌒Y二─-､ : : : : : : : : : :} : :{ : : : : : : : {
.　　 /　.,' .{:{: 厶ﾉ: : :.￣ヽ￣￣≧-‐-く───- ‐-く}､
　　/　 ,'　ヽ: Y : : : : : : : :＼　.//////ﾊ/⌒Y´////ﾊヽ
　 /　　;　　　{:ﾊ: : : : : : : : : : 刈//////ﾉ: : ',:V/////ﾉ｀､＼　　　　　　　　　　まったくもってムカつく話だが、
／{　　 ;　　　{}{}{}､: : : : : : : : : : ≧‐-‐く : : : ',≧‐-‐く　　ヽ　＼　　　　　　　　 .蛇のように機会を待つのさ孫無終。
　 |　　 ;　　 /: : : :| : : : : ヽ: : : : : : : : :ｒ : : : : :} : : : /. ＼　　`　＼
　 |　　 ;　　 {: : : : |: : : : : : : : :_:_: : : : :`ｰ: :─' : : :/　　　＼　丶　＼　　　　　 .クソのついでに祈ってみたっていい。
／|　　 ;　　ヽ: : : {: : : : : : ／: : : ￣:¨:ヽ :_:＿: : /　　　　.＼　丶　＼
　 |　　　',　　　V : ＼: :_／ : :_:-‐ : ￣:￣_: : : )_/　　　　　.＼　丶　',　　　 .それだけだ
　 |　　　 ',　　　V: : :／ : ／ : : : : :._:-‐¨_V∧: ﾉ_　　　　　　.＼　　　i
　 V　　　 ',　　　V:/: :／ : : : : : ／-‐: ¨: : V∧:.ﾉ',　　　　　　　　　ヽ　 .|
　　V　　　 ',　　　/／: : : :,' : : : : : : : : : :／: V∧　',　　　　　　　 }　 /
.　　 V　　　 ',　 /: : : : :／ : : : : : : : : ／: : :／V∧　',　　　　　　　, '　/　＼
　　　 V　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : :／ : :ﾉV∧　',　　　　　, '　／　　　ヽ
　　　　V　　　{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :／　 ¨¨ 　 ', 　　 , '　／　　　　　|
.　　　　 V　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ／　　　　　　/＼ , '　／　　　　　.|
345 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:22:44.56 ID:Sn1xEGb10: ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ｨ‐'￣｀ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::ヽ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::＼
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::f ＼::::::::}
|　　　　　　　　回想ここまで　　　　　　　|:::::::::::::|　　ゝ::::|
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::ヽ　　∨
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ー:､::::::::::ﾍ
|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::::ヘ＿
|________＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ |:::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶、
　　　　　　　　＼::::| |:::::::::ィ !{　ﾊ T tｰr ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
　　　　　　　　　` | |ー--ﾚﾘﾙ|rfiﾃヽl ｲﾃz rr----――― ' " ´
　　　　　　　　　　　 | |　　　ヾN ゞｿ　　ゞｿ//　
　　　　　　　　　　　 | |　　　　＞:´|､　 -　　,|`:＜　　　　　　　そして、話は今回冒頭の隆安二年（三九八年）に戻る
　　　　　　　　　　　 | | 　　　 |::::::::| ＞　イ |::::::::|
　　　　　　　　　　　 | |　　　＞-､＼!　 !／::,-＜　
　　　　　　　　　　　 | |　　/´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-､
　　　　　　　　　　　 | | 　ｌ:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 | |　 /‐'´::::::::,::V:::::!::∨::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　, ' ﾆ}く::／::::::::/:::::／|::::::::::::::::::::::::::|　
　　　　　　　　　　 |　ｰjヽ＼::::::'"::／ヾ !::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　ヽﾆj　} 　＼:／＼　|:::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　〈:| |Ｖ　　　 }>､___..>!:::j::::::::::::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|:＼　　ﾉ::L.. , __.!::::!::::::::::::::::!:::::|
　　　　　　　　　　　|:!.|::::::`ー':::/　 /　 |::::|:::::::::::::::::!:::::!
　　　　　　　　　　 |:|_!:::::::::::::::/　 /　　|:::::!::::::::::::::::|::::::|
　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::/　 /　　.!:::::!::::::::::::::::|::::::l
　　　　　　　　　　|::::::::::::::::/　 /　　　 !:::::|::::::::::::::::|:::::::!
　　　　　　　　　　　!:::::::::::／　 /　　　　|::::::|::::::::::::::::|::::::::!
346 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:23:27.49 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年７月　晋　揚州　京口】

　　　　　　　　/ 　　＼　　＼　　＼⌒
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　 :.　　
　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.　　
　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　
　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ　　　　　　　　　劉牢之。
.　　 |　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }　
.　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八　　　　　　　　　建康進軍の前鋒を任せたい
　　　.,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　　
.　　　 ′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}
.　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－──　､
.　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八　　　　　　　　　　　　　　　　　'´:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.;;;',
　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:ｧ─ミ.:.:.:;;;',
　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　.　　　　　　　　　　 {:ｒ''¨ヽ-‐{＿__ﾉ≧=:;;',　
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼＼　　　　　　　　 .弋_,ノ:.j:!:.:.::.:.::.::.:::;:;:;:;:ｒ‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j:.:.::.:.（.;.;.;.;):.:.::.::.:;:;:;:;:;;λ:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y:!.:}.::.:.::_二＝ミ从::.;:;:;::;:;::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{:.|:.::.从＿＿_,ノ}iii{:;:;;::i{}{}′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝl:.::.{iii}.::..iiiiii.::ﾉiiii}:;:;:;:}:;:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:}iiiiiiiiiiiiiiiiiiii{￣￣￣ﾆ=‐-　_
　　　　　　　　　　　　　　はッ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }iiiiiiiiiiiiiiiiiiii{　　　　　　　　　 ¨Y
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ＝二iiiiiiiiiiiiiiiiiiii|　　　　 _,　　─┴‐──‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ィ ¨￣　　　弋iiiiiiiiiiiiiiiii}　　　　／　　　＞'':.:￣￣:.¨'' ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{　　 ',　　　　　}.:.::.:.:.::.:.:.V　　／　　　／: : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　 '，　　＿/: /:.:.:.:.:.::.:.V∠_　　　　,: : : : : ::.:.:.:.:. ::.:.:.:.:.::.:',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V　　}　／:.:.:.:./:.:.:.::＞''¨　＼＼　　 i: : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::. .:.::..',

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　『晋書』『安帝紀』に曰く。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　隆安二年（三九八年）七月。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .兗州刺史王恭、豫州刺史庾楷、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　荊州刺史殷仲堪、広州刺史桓玄、南蛮校尉楊佺期らが挙兵し反乱
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
347 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:24:59.36 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　/ 　　＼　　＼　　＼⌒
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　 :.　　
　　　,　　./　　　　ﾄ､＿　　　　　 '⌒ |　 :.　　
　　　′　{　　　　／＼｀　　　 :|＼|　　:. 　　　　　出陣に際して酒宴を開こう。
　　 |　　∧　｜　　 | 　　＼|　　　Ⅳ,ｘ矣ﾐ　ゝ
.　　 |　./ ∧　|　　　|　,ｨ弍ミ＼　| 　しi:} }　 }　　　　近頃僕と君の仲を疑う者が多いけど、僕は君を兄と思っている。
.　　 | 厶ｲ　).ﾉ　　　|｛( しi:ﾊ　 ∨　Ｖﾂ {　八
　　　.,　 {　　　　 | 　 Viツ　　　　　,　　V　　　　　 .精兵と利器は全て君に渡しているし
.　　　 ′　　　＼　　' .　　　　　　　　　　}
.　　　　',　　　 ( ＼　＼　　　 r　　 7 　/　　　
.　　　　 j八　 |: ＼＼l⌒　　　､__ノ／八　　
　　　　　＼八　} ￣＼　 ‐----‐' ∨＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : : : : ::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.: :ヽ
　　　　　　　　 )八ﾉ／ }　　　　 |: : : :', ＿__｀　　.　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : ::.:.:.:{:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :
　　　　　　　　／二/ : / 　　　 |: : : : ∨ /: : :＼＼　　　　　　　　　　　　　ｒ'_＿: :ィ云≧､:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.: :.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{//ｿ"//////≧＝=‐‐-斗=ミ:.:.::.:.:l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V: :.:.V////:.:.::.:.:.:.:..:::.:::.:.斥:.:.:}.::.::.,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: :.:.:.､:.￣: ::.:.::.:.:ノ:.:.::.:::.:.ﾊ::.::.ﾉ:::./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "7:.:.:':_.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.／::.:/＿ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__,,.. -‐＝{`二､ヽ:.从:.:.:..:.::.:.:.:.:.:ｒイ:.:.:.::.:{≫　ヽ
　　　　　　そこを疑う余地はありませんな　　　　　　　　　　　／　　　　　　／才二ノ.:.{;;;}:.:. :.:.::.:.:.:.:.::.:._,斗≦　　　　∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{i|　　　　　／／};;;从;/´￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i| 　　　 ""　 {;;;;;;;;;;|　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　}i| 　　　　　_≧＝{　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '': : : : /|i|　　　　＞''　　　/:|　　　　　　　　　　　　_　　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : :/　|i|　　　〃.:.＼＿_/:.:}　　　　　　　　 _　-‐　　　　　　　＿_

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『劉牢之伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭は軍中で劉牢之に酒宴を請い、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .劉牢之を兄と拝し、精兵と利器を全て配備して前鋒に用いた
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
348 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:25:29.46 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年７月　晋　首都　建康】

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ叉7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿ⅲL_,, ,. _
　　　　　　　　　　　　　　 ,,､､-‐'''""´: .: .: .:::::::::.:.:.:. : :｀`ヾ､､､
　　　　　　　　　　,,． '"´. .:.: .:.: : .:r＝=.: :. :.: .:. :. :. :..: .: :. .::. :.｀ゞｰ-､､
　　　　　　,,． '"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.`''ヽ､,,
　　　,r'"´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;;;;;:;:;:;:.;:.:.:.:;;;;;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;:;:;:;:;;;;;;;;;;:;:;:;:;;:＞
　　　｀`ヾ､;:;:;:;:;;:;:;:;;:;:;:;:;r＝=;:;:;r＝=､;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;;:;r＝=;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:;:;:;:;:;;:;:;:;:r''"´　.
　　　　　　｀`ヾ;:;:;;:;:::::;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;;=＝=;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.:.:.:.:.:.:.:.:,r'ﾞ
　　　　　　　　　　￣｀¨`ヾr＝=.: .: .: .: .:. :. :. ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :r＝z,;,;,;::／
　　　　　　　　　　　　　　　｀¨`ヾ.:.: .: .:.:::::::::;:;:;:;:::::::::;:;:.:.:.:.:､､-‐''"´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＞;:;:,';: .,':;:;:; :;:; :＜´
　　　　　　　　　　　　　　　,､r''"´. :.: .:. :. . :. :. :. :.: .: .:`ヽ､　　　
　　　　　　　　　　　　,､r'"´.:.::;:;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;:.:.:.: .:. . .:.::::::｀'ヽ､　
　　　　　　　　　　　　｀`ヾr＝=;;;;;;;;;;;;;;;:;:;:;::.:.:. :.: .: . :.: .: . ::.:,r'´　
　　　　　　　　　　　　　　 `ヾ::.:.:;;;;;;;;;;:.:.:.:.:.:. :. :.: ; :; :.: .:.:.::r'　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ､:;:;;;;;;;;:;:.:.:::＝=.:.::::::.:.:.:.:／　　　　
　　　　　　　　　　　 γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　 |　　王恭将軍は譙王殿下御兄弟と江州刺史王愉様の辞任を求めています　　|
　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞi:;:;:.:. :.: .:. :.:.:.:,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l;:;: .:.: .: ..:;;;:;;;!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i;;;;;:.:.:.:.:;;;;;;;;;!　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 1;:;:;:;:r＝:.::{　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ;;;;;;:.:,r'´.:.:｀`;:ｰ-..､,,_
349 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:26:28.48 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　 /.........:::::::::::::::::::::､::::::::::::::::::::::|:::::::::::丶
　　　　　 ::::::::::/:::::::::::/:::::::::｝::::::::::::::::::::|::::::::＼:::.
　　　　　 .::::::::/:::::::::::/:::::::／!::::::::::::::｝:::八::::::::::::::::.
　　　　　/::::::::::::::::::::/::::Х　 |:::/:::::::::｝/　　::::|:::|:::::|
　　　　 /::::::::八:::::::::|／　＼|:/!::::::::ｲ匕￣V::::|:::::|
　　　 .:::::::::ｨ＾ヽ＼:::kｒ‐─t:ｧ刈::／ }ﾃt:ｧ─}:::八:::|　　　　　　　　　　.くそッ！
　　　/イ:::::ｌ|へ}ハﾊl　ﾐ￣￣／´　　￣￣/:/／ヽ!
　　　　 }:::::八い,　　　　　　　　 /　　ノイ::＼　　　　　　　　　　　酒を持ってこい！！
　　　　 |／　｝> ___　 u　　　　　　　　　　　仄⌒
　　　　　ｊ/＼圦
　　　　　　　　　}::仆　　ｒ乞辷_「｀ﾏ　／
　　　　　　　　　ﾉ八{ 个ト　　　 |　 }／
　　　　　　　　勹く[｀　　　　ﾆ=-|／⌒ヽ
　　　　　　　 _丿　＼　　　　　ｒ’ｰ‐　⌒`,　　　　　　　　　　　　　　　 ,:..::../ ::..::..::| ::..::..::. ／::／ﾍ..::..::..≫≪|..::..::,
　　　　　　／　|　　　＼_　　　｝　ー-─ヤ　　　　　　　　　　　　　　 ,::..::..::..::..::..:.:|..::..::..::..::／　　ヽ::..∧ ::.. |..::..::.,
　　　￣￣　　 |　　　／〕　　 ′　ー- ､!＼__　　　　　　　　　　　　 /::..::..| ::..:: |:..:|..::..:.　 ´ 　　　 ∨..::===|..::i.::.|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':/|::..::| ::..:: |:..:|＜　　　　　　　　 ∨ :.::.. |..::i.::.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ｉ |::..::| ::.. ∧:.|_,_ ＼　　　　　／__|:../..::ﾘ ..::.八　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ｉ |::..::| ::..::|/^伃i仆ヽ　　ィ伃i仆く|.. /..::/ ｉ i:|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:i:八:小::..fﾍ弋^ソ　　　弋^ソ /イ..::/..: | i:|
　　　　去年王恭を討たなかったからこうなるんだ。　　　　　　　　 ∨　[人^∧｢´´　　　　　　　　　｀｀厶ｨ..::|八:ﾉ　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼|::.个ｰ::、　　　　　 ′　　　　　/_ノ:..::.::..::＼
　　　　今また王恭の言いなりになったら父上は破滅する　　　　　　　 |::j | !:..::.::、　　 r:::::―v┐　　.::..::./|..:j.::..::厂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j/八|:..::ﾚ个:..　　､::::::__ノ　.:个::..八|/|/∨　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿_＼|__L.／}＞　　＜{＼トV､＿　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_｢／⌒'ー＜_ j{　ﾉ　　　　 ∨}i　　　二ﾆ=┐　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『簡文三子伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　朝廷は憂い恐れ、内外を戒厳とした
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
350 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:27:46.63 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　 /.........:::::::::::::::::::::､::::::::::::::::::::::|:::::::::::丶
　　　　　 ::::::::::/:::::::::::/:::::::::｝::::::::::::::::::::|::::::::＼:::.
　　　　　 .::::::::/:::::::::::/:::::::／!::::::::::::::｝:::八::::::::::::::::.
　　　　　/::::::::::::::::::::/::::Х　 |:::/:::::::::｝/　　::::|:::|:::::|
　　　　 /::::::::八:::::::::|／　＼|:/!::::::::ｲ匕￣V::::|:::::|　　　　　　何か考えがあるなら、後はお前に任せる。
　　　 .:::::::::ｨ＾ヽ＼:::kｒ‐─t:ｧ刈::／ }ﾃt:ｧ─}:::八:::|　
　　　/イ:::::ｌ|へ}ハﾊl　ﾐ￣￣／´　　￣￣/:/／ヽ!　　　　　　たくっ。
　　　　 }:::::八い,　　　　　　　　 /　　ノイ::＼　
　　　　 |／　｝> ___　 u　　　　　　　　　　　仄⌒　　　　　　　飲まなきゃやってられん
　　　　　ｊ/＼圦　
　　　　　　　　　}::仆　　ｒ乞辷_「｀ﾏ　／
　　　　　　　　　ﾉ八{ 个ト　　　 |　 }／
　　　　　　　　勹く[｀　　　　ﾆ=-|／⌒ヽ
　　　　　　　 _丿　＼　　　　　ｒ’ｰ‐　⌒`,　　　　　　　　　　　　　　　 ,:..::../ ::..::..::| ::..::..::. ／::／ﾍ..::..::..≫≪|..::..::,
　　　　　　／　|　　　＼_　　　｝　ー-─ヤ　　　　　　　　　　　　　　 ,::..::..::..::..::..:.:|..::..::..::..::／　　ヽ::..∧ ::.. |..::..::.,
　　　￣￣　　 |　　　／〕　　 ′　ー- ､!＼__　　　　　　　　　　　　 /::..::..| ::..:: |:..:|..::..:.　 ´ 　　　 ∨..::===|..::i.::.|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':/|::..::| ::..:: |:..:|＜　　　　　　　　 ∨ :.::.. |..::i.::.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ｉ |::..::| ::.. ∧:.|_,_ ＼　　　　　／__|:../..::ﾘ ..::.八　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ｉ |::..::| ::..::|/^伃i仆ヽ　　ィ伃i仆く|.. /..::/ ｉ i:|　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:i:八:小::..fﾍ弋^ソ　　　弋^ソ /イ..::/..: | i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　[人^∧｢´´　　　　　　　　　｀｀厶ｨ..::|八:ﾉ　
　　　　　　　　　　　　　　任された！　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼|::.个ｰ::、　　　　　 ′　　　　　/_ノ:..::.::..::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::j | !:..::.::、　　 r:::::―v┐　　.::..::./|..:j.::..::厂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j/八|:..::ﾚ个:..　　､::::::__ノ　.:个::..八|/|/∨　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿_＼|__L.／}＞　　＜{＼トV､＿　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_｢／⌒'ー＜_ j{　ﾉ　　　　 ∨}i　　　二ﾆ=┐　

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　司馬道子は日々醇酒を飲むばかりで、事を司馬元顕に委ねた。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　醇酒とは濃い味わいの酒の事で、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .司馬道子は自身は酒浸りで、息子に反乱鎮圧を丸投げしたわけだ
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
351 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:30:28.68 ID:Sn1xEGb10: 　　／: : : : : :_: : : : : : : 丶: : : : : : : 丶
　 /: : : : : l:l: : : :ヾ: : :＼: : :丶 : : : : : : ヽ
／: : : : : /: l: l: : : l: : : : :＼: : :ヽ: : : : : : l
: : :/: : /l⌒l: :､: : :ll: : : : : : : : : :ヽ: : : : : l
7: : : :/: l　/:/ゞ: : :l＼: : : : : : : : :l: : : : : ヽ　　　　　　　　　　　おいおい。
: : : ｌ:l: l_ゞｌ:l　＼: :ゝ-＼ : : : : : l: : : : : : :　
: : :/l: :l 辷ｌ:l　￣辷､:＼_): : : : :/: : : : : : :　　　　　　　　　　　大丈夫なのかい？
ゞ:乂 : l　/ヾ､　　　￣__ノ: : : : / ＼: : : : :
　　　):∨　　丶　　　／: : :／ノ／: : /　　　　　　　　　　　　おじさんで良かったら相談に乗るよ
　　乂: ｨヽ　　　　　　ﾊ/ｌ:/ x-イ: : : : ゝ､_　
　　　 _ノ:ヽ‐-　_ 　　　／　l: : : : l: : :ﾆ=
ゞ=ﾆ三: :_ﾊ　　　　,　　　彡: : : : l : :ヽ
　 7:/,＜　〉-　-　´　__ -=ﾆ- l: : : : :)
　ゞ-l　l　从l二二二f丶　　 /: : :／ゞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/..:: /::..::..::..::..::..::..::..::..::..::..::..＼.::..::..::..::..::,
---./　,l　彡〉二二ﾆ.l　 l ゝﾆ: :／　〉、　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:..::../ ::..::..::| ::..::..::. ／::／ﾍ..::..::..≫≪|..::..::,
─,/ ／ｌ／二二二ﾆl　 l /: ／　　／ l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,::..::..::..::..::..:.:|..::..::..::..::／　　ヽ::..∧ ::.. |..::..::.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::..::..| ::..:: |:..:|..::..:.　 ´ 　　　 ∨..::===|..::i.::.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':/|::..::| ::..:: |:..:|＜　　　　　　　　 ∨ :.::.. |..::i.::.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ｉ |::..::| ::.. ∧:.|_,_ ＼　　　　　／__|:../..::ﾘ ..::.八
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:ｉ |::..::| ::..::|/^伃i仆ヽ　　ィ伃i仆く|.. /..::/ ｉ i:|
　　　譙王。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:i:八:小::..fﾍ弋^ソ　　　弋^ソ /イ..::/..: | i:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　[人^∧｢´´　　　　　　　　　｀｀厶ｨ..::|八:ﾉ
　　　都の士庶を兵士として徴発してほしい。　　　　　　　　　　　　　＼|::.个ｰ::、　　　　　 ′　　　　　/_ノ:..::.::..::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::j | !:..::.::、　　 r:::::―v┐　　.::..::./|..:j.::..::厂
　　　その間に、元顕が軍勢を連れて北府と話をつけてくる　　　　　　 j/八|:..::ﾚ个:..　　､::::::__ノ　.:个::..八|/|/∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿_＼|__L.／}＞　　＜{＼トV､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_｢／⌒'ー＜_ j{　ﾉ　　　　 ∨}i　　　二ﾆ=┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/∨{　　　　　　} j{　　　　　　 }i　　　　　｝｝厂ヽ

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　司馬元顕。
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　司馬道子の世子で当年十六歳。
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .聡明かつ文章に広く通じ、
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　気概に満ちて決断力があり、国家の安危を己の任として譙王を羽翼とした
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
352 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:31:17.71 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　／:.:/: : : :.ｙ: :_: : :ヽ:.:.:.:.:.:＼
　　　　　 ,ｲ: :.:.': .: :. l､{:./ﾊ: :l: : ､: :.: : : ヽ
　　　　　,' l: :.: : .: !:.: VWWl:.:|: :. :､: :. :ヽ: :',
　　　 /: : : : : :.:ｊ|:l:.:{　　 !:.lヽヽ:ヽ: :. :.',: l
　　　　{: :.:.: : : 〃ｊ:A:'、　ｒ!､!≦ｌ:.:.:!: :. :.{: '､
　　　　ヽl:.:/:.: :||ｧ弐ﾐ､ヽ、ﾍﾅｆｊﾊヽ|:.:.:.:.:}:.:､`ーｯ'　　　　　　　　　北府？
　　　　 l|:.l l:.|:.||, {ｆﾊ` }ヽ!　 ┴‐クｨ:.:.ﾙi::､ `≦__,
　　　　ﾉ!:.!:l:.|:.l「￣　ﾞi{‐ﾉ　　ーツ://ﾞ}:.:.:`:.┬'′　　　　　　　 .また王恭の御機嫌取りでもするのかい？
　　　ノｲ:.:〉〉ゝ:ﾐ=‐　ﾞ} 丶　ー＝ｯィﾉ: :.:.:.i､i
　　ー=彡ｿ7:,:.:ﾊ｀"´ ,__,,..　-‐ｧ　 ´,.／:.: : :!:.! |
　　　　 ´ {:.{､:.:.:ゝ　｀ﾞ､二"´　　〃:.ｌ: :.ﾉﾙ' ﾉ
　　　　　いﾊ:.l:.:.i ､　　　　　 , '　ﾚﾉ: :.V
　　　　　､ｒ'｀ｿ:|:.:.l　＼　　／ ‐彳:.: :.､:廴__,　　　　　　　　　 ∧::.,'::..::..:j::..::..::..::..::..::..::..i!　　ヾ::..::..::..::..ト-x",,',::..::ﾊ
　　　　　 ._)ﾞ¨¨´l:.ド=-､￣　　　　l:.:.l:.:. i､:.≦　　　　　　　　 ,::..::{!::..::..:i::..::..::..::..::./::..::.j　　　ヾ、::..::..::イ::..::..`i::..::.'，
　　　　　ｆ　　　ゝﾞ=- 丶　　　　〃:.l:.l: ヽ｀''ｚ_　　　　　　　　 j::..::{!::..::..:i!::..::..::..::../::..::..,' 　　　　＼::..::..:}-''"~::j::..::ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｛::..::{::..::..::i!::..::..::..::/::..::.ノ　　　　　　_,, ＞h::}::..::..::..::}::..:i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l::..::i::..::..::.i!..、::..::/::..／　　　 _,, -''"　　　　 i!::..::..::..:}::..::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:i::..i!::..::..::{::..::¨メ- ,,,_　　　　　　_ｨｬ=芸ﾐヽ,,i::..::..::..:}::.i::..}
　　　　　違う。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i!,::..i::..::..::.レ／　　　　　　　ｨ'¨~ うu:::｝"i:i::..::..::.}::.∧}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i!v::.{::..::..:::',　　 _＿,,,,.｡　　　　　　　乂-"　j!i::..::..::｝:ﾘ i:}
　　　　　話をするのは王恭じゃなくて、　　　　　　　　　　　　',V:.i!::..::..ﾑ "¨"￣”~　　　　　　　　　　　,'j::..::..:/::/　ﾘ
　　　　　実際に軍を動かしている劉牢之だよ。　　　　　　　 .', Vﾏ::..::..ﾑ　　　　　　　、　　　　　　　　/::..::./::./メﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廴ﾒ::.マ::..∧　　　　　　　　　_　,, 　　, '..::.／::..j"　i!
　　　　　伝え聞く所じゃ上手くいっていないらしい　　　　　　　 .｀ゞ::..::.＼弋　　　 r　　　 vノ　／i::../::../i:j , '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j:人::..::..r::＞、　｀ - 　　匕l,,_i!/::..::/i i:!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　以::..>,::}/ (个　 - ＜　ト;;/::..メ::i　i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "　　}从、::>,∧ i　　　　　　 {..:> "i!　j!　'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,　-　 i!//i"'' - ｼi　　　　r　''" 　l::, V::＞ -,,,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／｝:::::::::::::::/ /:j　>,,<　{　　　　ﾊ”〉、　 l:::', ｖ::::::::::r"＞、
353 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:32:48.12 ID:Sn1xEGb10: γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
|　　　司馬元顕様の頼もしさよ　　　|
ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　これで十六とは将来が楽しみですな　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　王敦の乱の時の明帝のようだ　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　 γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　 |　　　大谷を超える逸材　　　 |
　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂　　　　　　　　　　　　　　　 γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　鳶が鷹を生んだのかもしれぬ　　　|
　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂
　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
　　　／　　（ー）　（ー）＼
　　　|　 u　　　 ___´__　　　|　　　　　　　　　（……この国本当に大丈夫ですかね？）
　　　　ヽ、　　　　`ー '´　／
　　　　ノ　　　　　　　　　＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　司馬元顕の取り巻きは、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　皆が彼には皇帝司馬紹のような神武があると言い合った
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
354 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:33:25.61 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　::::'''''ﾍ-..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫:::::::::::::::::`ｰ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫＿::::::::上,,⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/VﾆﾆﾆﾆﾆVl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾉ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ｀'ｬ｡,__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡ｬ'´ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆく　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　 _　　上,,,,,,..-‐ノ'　　　　　　　〉ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　　　..l1
　　　　ｌ、」'、ノ`-'"ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ`ﾞ''ﾞ亡ｰ-L　　　, 'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　　　.l|　　　　　　　　 l1
　　　　_..ﾉ宀'’ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ~~''‐ﾆ　　, 'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ'.,　　 │'‐‐　　　　　 .l|
　　　./=ｧﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　l/l　　＼,,,,,,.　　│'‐‐
　　-/レ彡ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ-┘　l..|　　　　　 /　　.l/l　　＼,,,,,,.
　＼ニニlﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ_ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',　　l:lj''ｰ----‐'´　　　.|　　　　　 /
　　　　￣.',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ┌ﾅﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.',　l.│　　　　　　 :lj''ｰ----‐'´
　　　　　　',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ', l 彳　　　　　　 │
　　　 ,-'''''ﾞﾞﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl┐ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ',.│　　　　　　　彳
　　　lﾆニﾆﾆ',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl　lﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼　　　　　 .│
　　　 lﾆﾆﾆﾆﾊﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆl　 lﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ＼,｡ｬ------、
　　　　',ﾆﾆﾆ≧',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆlミlﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ
　　,｡sニニニニﾆs｡,ﾆﾆﾆﾉ　',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ　-､
　/ニニニニニニニﾆヽ´,｡ｬ'',ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆヽ＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　司馬元顕は仮節・征討都督となり、
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　前将軍王珣・将軍桓之才・毛泰・廬江郡太守高素らを率いて出陣
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
355 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:34:17.53 ID:Sn1xEGb10: 【紀元３９８年９月　晋　揚州　竹裏】

__　,.::-ーｭ_,､_rv:..､　　　　　　　　　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,-─-::_,,　_::.　`　.:::., ..:::ｰy　
::.｀`　-､.::...　.:、:...-iー..__,、_　　___ﾉ:.ー､＿　　　　　　　　　　　　　　　,,--‐'´::.......　:i　.::::::::`'-‐'"　_"::.:.:.:.. ,
_::.　`　.:::., ..:::ｰy　....:..　:... .:::.｀'".::　::i..　　ﾍ'￣`::r､─ ､＿, ､_,､--''`'´.:::::::::... .::..　:::.　.:::::...ノ-",::~_-
::`'-‐'"　_"::.:.:.:.. ,_ -　､::..... ::　　　::..v　:....::"　　..:;''.:'"　`　::.　　　:.:....　.::::::::.:.:.:..　:...　 _,..- '':::::::::... .::..　:::.　.:::::...
::. ::..:::.......,;,..　　./:: .:.::　丶　..　..:......､　　:.､　　ノ-",::~_-　､:::::::::::.::...-､　 `-　 :::.　.., '":::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　　　　r--─‐i　　　　　　　　　　 r--─‐i　　　　　　　　r--─‐i　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　. 　┌─┐　　　　　|　晋　.|　　　　┌─┐　　|　劉　 |　　　　　　　 .|　晋　 |　　　　　　. 　┌─┐　　　　　
　　 .　　　├─┘　　　　　|--─‐'' 　　　 ├─┘　　|--─‐''.　　　　　　　 |--─‐''.　　　　 .　　　├─┘　　　　　
∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二ヽ:::∧二ヽ;::::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;: ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;:∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二
l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝ｌll::::l:ｌl＝ｌll:::::::l:::l:::::::l::.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....:.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝
幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵

　　　 γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　 |　　　私は廬江郡太守を務める高素という者　　　|
　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　征討都督司馬元顕様の命により、劉牢之殿にお会いしたい　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿乂

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　建康近郊の竹裏と呼ばれる地で
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　王恭に前鋒として派遣された劉牢之の軍勢と対陣したらしい
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
356 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:35:15.78 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　－──　､
　　　　　　　　　'´:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.;;;',
　　　　　 /:.:.:.:.:.::.:.:ｧ─ミ.:.:.:;;;',
　　　　　　　{:ｒ''¨ヽ-‐{＿__ﾉ≧=:;;',
　　　　　弋_,ノ:.j:!:.:.::.:.::.::.:::;:;:;:;:ｒ‐､
　　　　　　　 j:.:.::.:.（.;.;.;.;):.:.::.::.:;:;:;:;:;;λ:　　　　　　　　劉牢之だ。
　　　　　 Y:!.:}.::.:.::_二＝ミ从::.;:;:;::;:;::}
　　　　　　　{:.|:.::.从＿＿_,ノ}iii{:;:;;::i{}{}′　　　　　　会稽王殿下の後継ぎから御指名とは余程良いお話なようで
　　　　　　　ゝl:.::.{iii}.::..iiiiii.::ﾉiiii}:;:;:;:}:;:|
　　　　　　　　＼:}iiiiiiiiiiiiiiiiiiii{￣￣￣ﾆ=‐-　_
　　　　　　　　　　}iiiiiiiiiiiiiiiiiiii{　　　　　　　　　 ¨Y
　　　　　　 _ ＝二iiiiiiiiiiiiiiiiiiii|　　　　 _,　　─┴‐──‐-､
　　 ,ィ ¨￣　　　弋iiiiiiiiiiiiiiiii}　　　　／　　　＞'':.:￣￣:.¨'' ､
　　{　　 ',　　　　　}.:.::.:.:.::.:.:.V　　／　　　／: : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.',
　　 V　　 '，　　＿/: /:.:.:.:.:.::.:.V∠_　　　　,: : : : : ::.:.:.:.:. ::.:.:.:.:.::.:',

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
　　　　あまり時間がないので単刀直入に。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
　　　　司馬元顕様は劉牢之殿に王恭を討伐してもらいたいと仰せでな　　　　,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜
357 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:36:26.77 ID:Sn1xEGb10: .　／ |: : : :　　　　　　　　　　　: : : : : ', 　＼
／　　|: : : : 　　　　　　　　　　　: : : : : :', 　　ヽ
　　　 |: : : :　　　　　　　　　　　: : : : : : :|　　　　,＿
. , ⌒V∧: :　　　　　　　　　　　: : : : : : :|〃ヽ　　　　ヽ
.{ {心: V∧:　　　　　　　　　　　　: : : : :∧心 } 　　',　　　＼
　､ツ: :V∧　　　　　　　　　　　: : : :∧Vｯ /　　　.,　　　＼　　　　　　　　　　　　　　条件は？
.　＼ : : V∧　　　　　　　　　: : : :∧V: :./　　　　 }　　　　＼
　　　ＪJ: :V∧　　ヽ : : ﾉ　　 : : : :∧Vｰ个　　　　/　　　　　　　＼
　　　　}: :　f丸＝=ミ_＿__ｒ‐=＝ミ炊V　/　　　　　{　　　　　　　　　 j
　　　　ヽ : : :て＿__ノ ⌒弋＿__ノ : : :.V　　　　　}　　　　　　　　　＼
　　　　ﾍ: : : 　　　　　:::} 　　 .: : :/: /　　　　　 /
　　　　　 i: : :Y 　 _ヽ　ノ__ヽ: : : /: /　　　　　 /
　　　　　 |ヽ: :.てー==＝＝): : :./: /　　　　　 /
　　　　　 |:.:.:＼: ￣￣￣¨~:..: ./: /　　　　 /

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/＼＿＿_／ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／''''''　　　'''''':::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　. 　 |（●）,　　　､（●）､.:|
　　　　事が成った暁には、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 ,,ﾉ(､_, )ヽ､,,　.::::|
　　　　王恭の官職一切を劉牢之殿に与えると。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　｀-=ﾆ=- '　.:::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　｀ﾆﾆ´　 .:::::／
　　　　ちなみに、今回の戦の差配は司馬元顕様に一任されている　　　　　　　,,.....イ.ヽヽ、ﾆ__ ーーノﾞ-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『王恭伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　司馬元顕は使者に劉牢之を説かせ、重い利を喰らわせた
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
358 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:37:00.77 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　｀Ｙ: . .　. :つ　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:'.,　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　人: . .Ｙ´　: .. 　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　（: . .　　し彡　. . . : j ,′.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',　　　　　　　 |　　　　面　　　　 |
　　　／￣￣￣￣＼（: . .　　｀Ｙ: : .　　 ′　.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i　　　　　　 ! 　　　　　　　 |
.　　／　　　　　　　　　＼　　　ミ: : . 　　 |.:.:ﾍ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.|.　　　　　　 |　　　　　白　　　　 |
　　| 　　　　　や　　 |　　　...: 彡:./¨Ｙ|:.:.:.:}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i .:.:.:|￣ﾐヽ　　　　|　　　　　　　　 |
　　|　　　　　　　　っ　　 |　　丿:　｛{ハﾍ:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: {:.:.:.:/⌒ヽ}　　　　 |　　　　　れ　　　 |
　　|　　ね　　　た　　 |　 (.: : . .　:∨　小ｋ.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽＹ´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Ｖ´｀Ｙ/ ∧　　　　 |　　　　　　　　 |
　　|　　　え. 　　ろ　　 |　 . .）: .　 :ハ、_j＼γ ⌒ ヽ云テ云７ ⌒ ヽー /}入_Уﾊ:＼、　　 |　　　　　え　　　　 |
　　|　　　か　　 .う　　　|（: : ..　　:.｀Y{}{}r┐:.:{　　　　},バ:.:バＫ戈癶 }／／{}{}//⌒7´￣￣￣　　　　　　　／
　　|　　　　　　　　じ　　　|　｀Ｙ: : . . 　.:｀）从:.:.乂_＿_人:.:.:.:.:.::乂_＿_人:.:.:从／:｛: :/　高　大　の　面　　／
　　|　　　　　　　ゃ　　 |ﾍ: : . ._丿　 . : : 从:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:|!　、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:从:.:〃ﾊ/　 .素　事　は　白　　|
.　　＼　　　　　　　　　／:人: : . . 　 . . : 八从:.:.:.:.:,r―､_＾ー'＾_,.:--ｭ:.:.:.://ー､: :/　　殿　な　　　　え　　.|:.:｀ヽ、
　　　＼＿＿＿＿／: :.＼:.:.{しﾍ:　. 八{:.:.}:.从、::乂ヽｒ-r-r-r-ｱ乂r--く.:.:.:.:.∨　　　　　こ　　　っ　 |__j_ﾉハ、
　　 .．　´.:.:.:.:.:｀ヽ: : : : : : : : Ⅵ: :｛: : : :_丿: : : Ⅵ从:.:.:ヽ二二二＞＼ヽ: :__,ノ.:.:.:|　　　　　　.と　　　.て　 |:.:.:.:.:.:.:.:.＼
. ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:', : : : : : : : :.｝: :＼丿: . .　｀）Ⅵ从乂;;;;;;从;;;（__:.:.:.:.＼＼｛`ｰ:.|　　　　　　.だ.　　　　　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ',: : : : : : : :|＼ヽ⌒｀Ｙ: .　 . :}:Ⅵ:::::::::::::::::::::::::::::｀Ｙ:.:.:.}＼＼､:.:＼　　　　.ぜ　　　　　　.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ',.: : : : : : }: : :｀`ミ=ァ: . . : : : Ⅵ:::::::::::::::::::::::::::::::}.:.:.:.:Ｙ:.:`ーヽ:.: ＼　　　　　＿＿＿／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨: : : : :i|: :.: ／/小､二ニー乂::::::::::::::::::::: 乂/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.￣￣￣:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨: : :./! : //:.:し{: : : : : : : : : : 乂::::::::::::ノ: : {:.:.:.:.: {.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼彡′ {{:.:.人＼.: : : : : : : : : : : : : : : : :.人:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
359 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:37:39.17 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　＼＿_人＿人从＿人＿人从／
　　　　　　　　　　＿）　　　　　　　　　　　　（＿＿
　　　　　　　　　　　）　　　　王恭将軍！　　　（
　　　　　　　　　￣￣）　　　　　　　　　　　　　　(￣￣
　　　　　　　　　　　／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　劉牢之の寝返りです！！　＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^

　　　　　　　　　　　　　　　r--─‐i　　　　　　　　　　 r--─‐i　　　　　　　　r--─‐i　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　. 　┌─┐　　　　　|　晋　.|　　　　┌─┐　　|　王　 |　　　　　　　 .|　晋　 |　　　　　　. 　┌─┐　　　　　
　　 .　　　├─┘　　　　　|--─‐'' 　　　 ├─┘　　|--─‐''.　　　　　　　 |--─‐''.　　　　 .　　　├─┘　　　　　
∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二ヽ:::∧二ヽ;::::∧二ヽ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;: ;;:;:.∧二ヽ;;:∧二ヽ;;:∧二ヽ: :::''::.∧二ヽ:'::∧二
l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝ｌll::::l:ｌl＝ｌll:::::::l:::l:::::::l::.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....:.:::.l:::l:::::::l:::::l:::l:::::::l:....l :ｌl＝ｌll ...::..:.l:ｌl ＝ｌll:..:.l:ｌl＝
幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵||:::.:||幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵幵
360 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:39:29.34 ID:Sn1xEGb10: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'/,　　　　　|　　　 ||
　　　　　　　　　　　　　　　 '/,　　　　 | 　　 ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_.'/,. -==ﾆ||　　 ||
　　　　　　　　　　ｒ=======ﾆ二二ﾆ '/, .二二|.　　 ||
　　　　　　　　　　)/　/二二二二＼　.'/,-― ||_. -=||　　　　　　　　　　_.. -―
　　　　　　　　　(　　 )二二二二二}　 '/, _.、||二二|　　ｒ、　　　_..-==-`´　　
、　　　　　　　　＿）／二二二二ｒ=(二} '/,　二二二/二ハ-=-　　　//　　
=-　　　　　　_ノ二二二二二二{　 /￣{　'/,二二-.＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
二=　　　|}　`マ二二二二二二乂/{　〉ﾆ '/,二二≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
二ﾆ-　　||　／ }二二二二二二ハ}二{二. '/,-=ニ　　　　　　高雅之は先に京口を抑えろ！！　　　　　≦
二二ﾆ　.|| {　 /二二二二二二二　＼二二.'/, 二≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
二二二 .||/二二二二二二二二二二＼二-'/, ／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼
二二二. ||二二二二二二二二二二二　.＼ﾆ.'/,　二　／二二二二＼二 ∨-=- 　　
二二二二二二二二二二二二二二二二二＼'/,　.／二二二二/／￣＼二＼　　　　
二二二二二二二二二二二二二二二勿二二.＼/二二二二　／二勿　 '勿　＼　_..
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二 ∨二二二二二二乂　　 ∨　乂　
＼二二二二二二二二二二二二二＼二二二二　∨二二二二二二　＼　＼　　＼　　
　＼二二二二二二二二二二二＼　　＼二二二二}二二二＞=＜二二二二　＼＼ }〉
　　　}二二二二二二二二二／￣￣二二＼二(＼ /二二／二/￣￣￣＼二()二/_／　
＼_／二二二二二二二二／/二二二二二　＞＝く二　/二／二二{　　　＞－〈／┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
二二二二二二二二二／　./二二二二二二二二二二二＼ヽ人_从人__从_人__从_从人__从_人__从_从人_人／
二二二二二二二二 /　　 /二二二二二二二二二二二 ≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜
二二二二二二二二/　　 /二二二二二二二二二二-=ニ　　　　俺は敬宣と共に王恭を捕らえる！！！　　　≦
二二二二二二二二　　 /二二二二二二二二二二二二≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　≦
二二二二二二二二　　/二二二二二二二二二/／二二／Y⌒YWW⌒W⌒Y⌒WW⌒W⌒Y⌒W⌒Y⌒WW⌒Y＼

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　『晋書』『王恭伝』に曰く。
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　劉牢之は帳下督顔延先を斬り、
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .娘婿の高雅之・息子の劉敬宣と共に軽騎で王恭を攻撃した
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────
361 ：1 ◆ZXqVVWPHtc [saga]：2025/07/06(日) 18:40:29.65 ID:Sn1xEGb10: 　　 _,,....,,_　
-''":::::::::::::｀'':..、
ヽ:::::::::::::::::::::::::::丶　　　　　　
　|::::::;ノ´￣＼:::::::::::＼_,. -‐ｧ
　|::::ﾉ　　　ヽ､ヽr-r'"´　　（.__　　
_,.!イ_　　_,.ﾍｰｧ'二ﾊ二ヽ､へ,_7　　
::::::rｰ''7ｺ-‐'"´　　 ;　 ',　｀ヽ/｀7
r-'ｧ'"´/　 /!　ﾊ　ハ　 !　　iヾ_ﾉ　　　　　　　　　王恭将軍！
!イ´ ,' |　/__,.!/　V　､!__ﾊ　 ,'　,ゝ
`! 　!/ﾚi'　（◯）,　､（◯）ﾚ'i　ﾉ　　　　　　　　　 .劉牢之の騎兵が攻撃してきました！！
,'　ﾉ　 !'"　　,rｪｪｪ､　 "' i .ﾚ'　　
　（　　,ﾊ　　　 |,r-r-|　　人! 　　
,.ﾍ,）､　　）＞,､｀ﾆﾆ´,.イ　ハ　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . . ∧ . /. . . . . /| . . . . . . . . . ∧. . . . .‘， . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, . . .| . ∨.|. . . . ,　j. . |. . . . . .|. .|　'. .｜. . . . . . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 , . . . |. . . . l. . ／、 ∨.| . . . . .i|. .l　 ′|. . . . . . .｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /|. . . .|. . . . l／ ___＼_Ⅵ､. . . ./!./_／∨ /. .| . . | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /. |. . . .|. . . Ｎx笊芋ﾐｘ｀|｜. ./｀/ｘ芋ミ∨! . |. . . ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／|∧. .|. . . i〈{　んハ　　 |／　　んﾊ　Ⅵ .｜ . .Ｎ
　　　　朝廷に買収されたか。　　　　　　　　　　　　　　　 ,／　 l. ∧.И . l　　乂ｊり　　　　　.乂り. ｲﾉ. 人∧|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　 |. . ∧.ｊﾄ､.ゝ　　　　　　　　　　　　／.イ. /　＼
　　　　一旦京口へ撤退して態勢を立て直そう　　　　　　　 ∧. .|＼ﾄ､__| """"　　　　　'　　"""" 丁_ﾉ.ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧.|　 ∨.∧　　　　　　　　　　　　 /. .厂|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　　j|∧. . ､　　　（　　 )　　　. /|. /＼!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣ア　|i　∨个s｡.　　　　　. イ/､j/＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　.∠_　　　 iＮ|　　＞　-‐r＜|　|′`､　　｀＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　/　／＾＼　　 |　　　　　　.i.∧|　　　 `､　　 i∨

───────────────────────────────────────────────
　　　／.:.:.　　　　　　　　＼
　　/:,:.:.:　／　　　ヽ　　　　＼　　　　　　　
　/.:.l:.:.:/:/　　　:/ 　',　:l　　ヾ`ｰ　　　　　
./!:.:.|:.: l/　〃 /　j　}　:|　　ﾊ　　　　　　
/ｲ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ﾑ_/|　l 　ｌ }　　　　　　王恭は敗れて京口へ帰還しようとした
　N:.ﾊ:.:.:lｨfｱﾄ/　ﾚ　ｨ=ﾄ | /| ∧j　　　　　　
　　ヽﾑ:.} c;_j　　　　c;ﾘﾙ iﾚヽ　　　　　　 .
　　 `ﾍ:ゝ　　　 .'　　小/　　　　　　　　　
　　　ヾ:{＞､ _　ｨ＜}/|/　　　　　　　　　
　　 _, ｨr'´ヽ｛ __＿`}　ヽ､_
───────────────────────────────────────────────

2838.40 KB Speed:5.6 ↑ VIP Service SS速報VIP 更新専用ブラウザ検索全部前100 次100 最新50 続きを読む

スポンサードリンク

Check

荒巻＠中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)