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【艦これ】大鳳「衣食住に娯楽の揃った鎮守府」浦風「深海棲艦も居るんじゃ」
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557 :
◆7xTYM/aOv2
[saga sage]:2017/03/04(土) 00:05:38.92 ID:bsm0wvU50
「もっと、もっときてっ!」
求められるがままに、突き上げる。突き上げる度に舞風の身体が大きく跳ね、まるで踊っているかのように提督には見えた。
その激しく行為に耽る様は、挿入を痛がって泣いていた彼女は幻だったと思わせる程だ。
「提督が、もっと、もっと欲しいの!」
まだ狭い膣中は、突き上げる度に激しくうねる。普段はまとめている髪も、今はほどけて上下する動きに合わせて振り乱されている。
目から一筋、涙のラインが頬を伝っていることからも今回も痛みが無かった訳ではないのが分かる。しかし、終始彼女は挿入から今に至るまで笑顔のままだ。
「私の、奥の奥まで、刻み付けてっ!」
踊る。提督の上で、舞風は踊る。妖艶に、激しく、本能に任せて、貪るように、踊る。
そのとろけるような熱い視線に、提督も魅入られて腰を突き上げる。
ダンスを踊るように、息を合わせて、一つに混ざり合うような感覚の中――同時に二人は果てた。
558 :
◆7xTYM/aOv2
[saga sage]:2017/03/04(土) 00:06:08.05 ID:bsm0wvU50
「……舞風」
「んー?」
「ずっとこれはキツい」
「ヤダ、離れたくない」
「……ていっ」
「あんっ……もう一回、する?」
「残弾ゼロだ、諦めろ」
「むー……どうしたー元気無いぞー」
「やめろ、刺激するな、これ以上搾られたら流石に動けなくなる」
「えー?……ねぇ、提督」
「何だ?」
「こんな私でも、また踊ってくれる?」
「……次の日に響かない程度で頼む」
――――陽炎型にMっ気ある奴が多い気がするんだが。
――――別に私はMじゃないわよ!
559 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/04(土) 00:09:33.25 ID:bsm0wvU50
遅れて申し訳無い、陽炎型はM寄り
560 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/04(土) 23:06:43.55 ID:t3lKWJ2mO
乙
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/05(日) 09:49:47.17 ID:msZ8kUASO
乙です
562 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/09(木) 22:49:32.49 ID:2+rT+78n0
・嵐『夜を越えて』、投下します
563 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/09(木) 22:50:54.30 ID:2+rT+78n0
――――夜の先に待つ光を、追い求めていた。
564 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/09(木) 22:51:42.47 ID:2+rT+78n0
彼女はその任務の性質上、活動の主は夜だった。それは、過去の記憶を想起させる。
しかし、そこ以外に居場所は最初から与えられていなかった。
“外”から守る術は多くあれど、“内”から守る術は少ない。その身勝手とも言える理由の為に、多少の不満や葛藤はあれど、生きる為に萩風と嵐は任務をこなしてきた。
ただ、それは存外悪い生活ではなく、彼女等は彼女等なりの正義を持って組織をまとめていた。
――だからこそ、彼女はこの鎮守府を認められずにいる。
(夜、か……最初はあんなに嫌だったんだけどな)
時刻は、時計の短針が右から右下を指す頃。毎夜の様に、彼女はこうして空を見上げている。
萩風は徐々にここでの生活に馴染み始めているが、嵐はどうしてもその気にはなれなかったからだ。
実際に生活してみて、ここに居る艦娘がただ静かに平和に暮らすことだけを願っているのは、彼女も肌で感じ取っている。しかし、それはいつどう転ぶか分からない不確定要素の上に成り立っているのも、また事実だった。
(一寸先は闇。簡単に道なんて踏み外すし、何度もそれをこの目で見てきた。だから、俺は――)
「夜はいいよねぇ」
「っ!?」
突如木ノ上から声をかけられ、嵐は身構える。降りてきた顔を見て警戒は解けたものの、彼女の顔は青ざめた。
「せ、川内さん……」
「人の顔見るなりその顔はヒドいなー」
「すいません……」
隻眼の呪刃使い神通、葬送歌しか歌わない那珂という異色な二人を見てきた為、過去の記憶も相まって川内にも多少の苦手意識を嵐は持っていた。
それを感じ取ったのか、川内はなるべく優しく微笑みかける。
「怖がらなくても別にとって食べたりしないって、熊じゃないんだし」
「……川内さんは、どうしてここに居るんですか?」
「んー……妹の為、だった」
「だった?」
「今は私の意思で、私の為に、皆の為にここに居る。ここの裏山から鎮守府を見下ろすのが、一番落ち着くんだよね」
565 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/09(木) 22:52:11.60 ID:2+rT+78n0
とても穏やかな目。平和を、今のこの日常を心から大切にしているのが、誰の目にも明らかだ。
それが分からないほど、嵐も馬鹿ではない。
「じゃあ……何で、深海棲艦なんか匿ったりしてるんですか」
「可愛いじゃん、あの子達」
「そういう問題じゃ――」
「あの子達はこの鎮守府の仲間として受け入れられた。だから守る。傷付けるなら、誰であれ容赦しないよ」
穏やかな雰囲気を崩すことのないまま、川内はそう言い放った。それは、ここで暮らす上で侵してはならないタブーの様なものなのだと、嵐は認識する。
「嵐もさ、もっと気楽にのびのびしたらいいと思うよ。別に今までの自分を捨てろとまでは言わないけど、そんな顔してたらお節介が次から次へと現れて落ち着かないよ? 私みたいに、ね」
「……」
ウィンクする川内、ポーズ付き。数秒の静寂の後、無言の嵐にジッと見つめられていることに耐えきれず、川内は大きく咳払いをする。
「え、えっと、那珂のステージでたまにやるからつい癖でやっちゃっただけで――」
「……くっ」
「?」
「はは、あはははっ!」
「ちょっ、笑わなくてもいいじゃん!」
「すんません、何か色々小難しく考えてたのが馬鹿らしくなっちゃって」
「……また、何かあればここにおいでよ。いつでも話ぐらい付き合うから」
「はい、ありがとうございます」
少し、スッキリした表情を浮かべる嵐。それに満足したのか、川内はまた何処かへと姿を消していった。
(……俺は、俺の正義を信じたまま、ここに居ればいいってことだよな)
ずっと闇の中に居たせいで、光に当たるのを気付かぬうちに恐れていた少女。
しかし、同時に光を求めてもいた少女は、白み始めた空を綺麗だと感じていた。
――――川内お姉ちゃん、恥ずかしがっちゃダメなんだよ―?
――――し、仕方ないじゃん!
――――(カメラで撮りたかったです……)
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/12(日) 09:45:18.32 ID:3lSWF939o
なにこの川内かわいい
567 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/13(月) 19:17:12.51 ID:wpKno47K0
・飛鷹『大体餅のせい』 、投下します
実は提督のケッコンカッコカリお断り回数上位
568 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/13(月) 19:19:00.35 ID:wpKno47K0
常に対等でありたい、飛鷹はそう思っている。
言いたいことは言うし、遠慮は一切しない。それを提督も受け入れており、秘書艦日に一回は口喧嘩をするのが彼等の恒例行事のようになっていた。
この日も、それは不意に発生した。
「――今日はあべかわ餅の気分だったのよ」
「砂糖醤油も分けて作れば良かった話だろ」
「別にいいじゃない、美味しいし」
「美味いけど俺は砂糖醤油の気分だったんだよ」
「うるさいわね……そんなに食べたいなら間宮さんにお餅貰ってきて自分で作れば?」
「……あべかわでいい」
「だったら最初から文句言わないで」
「文句なんて言ってないだろ」
「文句以外の何物でもなかったと思うけど?」
「……茶」
「自分で淹れなさいよ」
「……」
「――最近、あんまり外出てないんじゃない?」
「新規着任艦娘が多すぎる。手続きと事後処理やらでそんな暇ない」
「加賀と吹雪に少しは任せたら?」
「なるべく“こっち”は俺で済ませたい。アイツ等には鎮守府の運営に専念してもらいたいしな――ん、ほうじ茶」
「ありがと」
「……まさか、それでか?」
「何の話?」
「年寄り扱いするな、多少塩分取りすぎたところで死なんわ」
「健康診断、血圧で引っ掛かってた癖に」
「アレは別の理由だ」
「へー、どんな?」
「……寝不足」
「ふーん、バカなの?」
「タイミングが悪かったんだから仕方無いだろ」
「……今日はこれ食べたら仕事禁止ね」
「断る」
「加賀と吹雪にはもう言ってあるから」
「お前、何勝手むぐっ!?」
「今日は私に付き合いなさい。まさか艦娘のお願いを断ったりしないわよね、提督?」
「……何が望みだ?」
「服、春物が足りないの」
「ひょっとしてお前、また――」
「その先言ったら海に沈めるわよ……」
「はぁ……全く、相変わらず強引な奴だ」
「誰かさんがもう少ししっかりして逞しくなったら、しおらしい私が見れるかもね」
「そんな気持ち悪いもん飯の時にいてっ!?」
「つい手が滑ったわ、ごめんあそばせ」
「お前なぁ……食ったら行くぞ」
「えぇ」
569 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/13(月) 19:19:27.97 ID:wpKno47K0
――――どっちがいい?
――――餅色。
――――白って言いなさいよ。
570 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/13(月) 19:20:50.94 ID:wpKno47K0
次のリクエストは今夜22時より三つ受け付けます
未着任はいっぱいです
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/13(月) 22:00:00.20 ID:P4DkER34O
秋月
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/13(月) 22:00:01.21 ID:Q5um54sg0
萩風とデート
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/13(月) 22:00:06.17 ID:0Rf0aN2cO
イムヤとR-18
574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/13(月) 22:00:09.10 ID:H+i2f/BAO
19&武蔵
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/13(月) 22:00:15.84 ID:CzRnBSNh0
鹿島
576 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/13(月) 22:28:05.92 ID:wpKno47K0
・秋月『妹のしつけ』
・萩風『雑誌』
・イムヤ『溺れるほどに』(R-18)
以上三本でお送りします
仮面ライダー嵐VS月光仮面
577 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/17(金) 00:26:33.20 ID:DfURZwVC0
・秋月『妹のしつけ』 、投下します
E:缶詰
578 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/17(金) 00:26:59.83 ID:DfURZwVC0
「照月、また電気付けっぱなしにしてたでしょ!」
「ごめんなさい……」
「キヒヒ、怒ラレテル怒ラレテル」
「ルキはお菓子こぼさない!」
「後デ掃除スレバイイジャン」
「じゃあ明日からルキはおやつ無しね」
「……ゴメンナサイ」
「ルキも怒られてるじゃん」
「ウルサイバーカ」
「何ですってー!?」
「……二人とも、全く反省してないでしょ」
来た頃は一人だけで静かだった秋月の部屋も、今は毎日のように怒声が聞こえるようになっていた。
質素倹約の精神で生活している彼女と比べると、照月はとにかく元気で細かいことは気にしないタイプだ。
ルキも照月と同じ様なもので、彼女が現れてからは秋月の怒鳴る回数も単純に二倍に増えている。
今日もまた、廊下に彼女の怒鳴り声は響き渡るのだった。
579 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/17(金) 00:27:27.21 ID:DfURZwVC0
「毎日毎日気が休まりません……」
「元気で姉に退屈させない良い妹じゃないか」
「提督、秘書艦日は二人セットでどうですか?」
「遠慮する」
「この調子だと、他の妹達が来たらもっと大変そう……」
「大変か。じゃあ秋月型の新規着任は断りを入れた方が良さそうだな」
「……」
「痛い。無言で長十センチ砲ちゃんで人をつつくのはやめろ」
「提督は、たまに意地悪です」
「真面目な奴を見るとついからかいたくって痛い!」
「長十センチ砲ちゃんも怒ってます」
「そいつ単純に俺のこと嫌いなだけだろ……で、どうする?」
「はい?」
「新規着任」
「誰の、ですか?」
「お前の妹」
「……本当?」
「照月に負けず劣らず元気な奴らしい。うちで引き取って欲しいそうだ」
「是非、お願いします」
「もっと賑やかで落ち着かなくなるが?」
「――妹をしつけるのは、姉の務めですから」
580 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/03/17(金) 00:27:54.25 ID:DfURZwVC0
「秋月型の四番艦、初月だ。お前が提督か? そっちは姉さんだな、よろしく」
「よろしくな、初月。で……何で缶詰食ってんだ?」
「期限が近かったんだ。姉さんも食べる?」
「初月、ちょっとこっち来て」
「ん? どうかした?」
「いいから、こっち来て」
(照月とは違った意味で、これはまた賑やかにしてくれそうだな)
――――どうして鯖缶食べながら着任の挨拶に来たの!?
――――さっきも言ったよ、期限が近かったんだ。
――――ちゃんと食べようとする気持ちは偉いと思う。でも、後で良かったでしょ?
――――だって、お腹空いたから。
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/17(金) 10:08:26.72 ID:QPqQX1JnO
乙
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/17(金) 10:14:40.88 ID:wUQgHIrSO
乙です
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/03/18(土) 15:44:54.75 ID:w5hCpDtto
自由人やなあw
584 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/02(日) 21:24:21.56 ID:W5EAzmGa0
平凡な日常、平凡な生活、普通の女の子に憧れた。時折目にする、鞄を手に学校に向かう女の子達が羨ましかった。
少女漫画の主役じゃなくて、その背後を通り過ぎるだけの名も無い女の子になりたかった。
特別なんていらない。山も谷もない緩やかな生を送りたい。
その願いだけは、結局叶えてもらえなかった。
「磯波、オ前処女ナノカ?」
「・・・・・・カモミールティーでも飲もうかな」
「オイ、無視スンナ」
「ヒャアァァァァ!? 首、舐めるのやめてって言ってるのに……」
「早ク抱イテ貰エヨ、ソノ為ニ下着買ッタンダロ?」
「あ、あれは叢雲がたまにはこういうのも買いなさいって無理矢理……」
「折角サイズモデカクナッタンダ、モット大キクシテモラッテコイヨ」
「レキ、誰からそういう話聞いてくるの?」
「漣」
「漣ちゃんか……じゃあやっぱり私はいいかな」
(今サラット失礼ナ事考エタナコイツ)
「私はただ普通に司令官とお話して、たまにお出かけして、時々一緒に寝られたら満足だし」
「ソウイウ事言ッテルト、アットイウ間ニアイツ爺サンダゼ?」
「……うん、そうだろうね」
「ケッ、ツマンネー。ジャアイッソ俺ガコノ尻尾デ磯波ノ――プギュ!?」
「レキ? そういう冗談私好きじゃないから、やめてね?」
(普段オドオドシテル癖ニ、コウイウ時ハ怖インダヨナ、コイツ……)
「――でも、いつかは司令官とそういうことするのも、普通と言えば普通なのかな」
「プハッ! ソリャソウダロ。年中盛ッテル奴モ居ルグライダ」
「アレは普通じゃないと思う」
「愛サレタイッテノハ普通ジャネ?」
「……レキって、意外とお節介なんだね」
「ソーカ? 磯波ハ悪戯ノシ甲斐ガアルカラ、カラカウネタガ増エタラ良イナッテ思ッタダケダゼ」
「うん、そういうことにしとく」
「……アーン」
「ヒャアァァァァ!?」
私の新しい友達は、ちょっと色白で尻尾にもう一つ口がある手乗りサイズの女の子。
口は悪いし、人の身体を舐めたり噛んだりするのが好きないたずらっ子だけど、優しい子。
普通からはまた遠ざかってしまったけど、今はこの生活が、私の大切な日常。
585 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/02(日) 21:27:27.26 ID:W5EAzmGa0
・萩風『雑誌』、投下します
信じて送り出した萩風から左手の薬指に光るモノをつけた写真が送られてきた
586 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/02(日) 21:27:52.95 ID:W5EAzmGa0
「……」
「……」
カリカリと書類にペンが走る音だけが、執務室に響く。この日の秘書艦は、着任してまだ日も浅い萩風だ。
経緯が経緯であり、嵐程ではないものの彼女も提督や鎮守府自体に不信感を持っていた。
それを重々承知している為、提督もこの機会を活かそうと事前にリサーチをして、とある萩風に関する情報を彼は入手していた。
「――萩風」
「何でしょうか」
「今日の昼、少し付き合え」
「……そういうことは他の子に言って下さい」
「パンケーキ食べ放題の店なんだが」
「そ、そんなもので釣られると――」
「今だけの限定メニューがあるらしいぞ」
「行きます!」
「お、おぉ」
舞風と野分から雑誌に折り目が付いていて赤ペンで店に丸がしてあったと聞いており、それなりの反応は期待していた提督だが、予想以上の食い付きの良さに逆に不安にさせられていた。
(意外と簡単に騙されるんじゃないか、コイツ……)
提督に対しては一度も見せたことのない上機嫌な顔で、萩風は着替えてきますと自室へ戻る。
これが世間一般に言うデートになるという認識は、すっかり彼女の頭の中からパンケーキに弾き飛ばされていたのだった。
587 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/02(日) 21:28:18.18 ID:W5EAzmGa0
目的の店は鎮守府から一時間以上かかる距離にあり、それなりの時間を要する。
その間、終始無言というのも苦痛でしかなく、道中で鼻歌でも歌いそうな彼女の機嫌の良さに乗じて、提督は少しずつ会話を振っていく。
「あっちに居た頃は、嵐とずっと一緒だったのか?」
「そうですね、ずっと嵐と一緒でした」
「他に居た奴等とも仲は良かったのか? 長門とか足柄とかそれなりの数が居た様だが」
「昔はあまりそういう風でも無かったそうですけど、私達が所属した頃には制限はあれどかなり自由な雰囲気で、隊の仲間も全員良い人達でした」
「そうか……」
提督が三日月から昔聞いた話と比べていくと、かなり特務部隊の内情が変わったことが窺い知れる。
そのこと自体は既に分かっていた部分も多かったものの、実際に当人から聞くのとではまた違った印象を彼は受けた。
(うーん……一応検閲ってことであっちから来た手紙とか確認してたが、どう見ても萩風に好意持ってる奴のとかあったし、流石にやめてやった方が良さそうだな)
ラブレター一歩手前の内容を検閲するのが苦痛でしか無かったという理由では断じて無いと心の中で呟きながら、提督は自由にあちらとのやり取りを許可する方向で加賀や霧島達に話を通そうと考える。
そんなことを彼が考えているとは露知らず、萩風は今まで自由に出歩いたことが無かったのもあって、色々な店を興味深そうに眺めていた。
(あっ、あの喫茶店この前雑誌に載ってたところ。あっちの女の子キャラクターのポスターが一杯貼ってある店は何のお店なんだろ?)
視線が一定の位置に定まることはなく、次から次へと何かを探して彼女は辺りを見回す。
そして、気付かぬ内に今までならば絶対にやらなかったであろう行動を彼女は無意識に行なった。
「――ねぇ、あのお店に少し寄ってもいい?」
「ん?」
「あっ……い、いえ、その、あの、ごめんなさい。いつも隣に嵐が居たから、つい……」
「あそこか? いいぞ、パンケーキ食って帰るだけじゃ味気無いしな」
「えっ? あの、ありがとう、ございます……」
つい引っ張った腕の感触に、今まで意識していなかった隣を歩くのが男性であるということを認識した萩風は、急な緊張感に襲われるのだった。
588 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/02(日) 21:28:44.75 ID:W5EAzmGa0
「……」
「……」
「……?」
「っ……」
既にあちこち付き合わされて慣れきってしまっているが、提督のようなパッと見金を持っているとは思えない男性が居るのは違和感のある、ちょっとお高めなアンティークショップに彼等は居た。
しかし、行きたいと口にした当の萩風の方が落ち着きがなく、商品よりも提督の方を気にしている。
それに気付かないほど彼も馬鹿ではなく、何かあるのかと彼女を見ると、明らかに不自然に手近な商品を見るフリをして視線を避けた。
(さっきまでは普通に話が出来てたってのに、一体何だってんだ?)
(冷静に考えたら、こ、これってデート……? でも相手は司令だし、私と嵐は彼等を監視するのが任務で、だから――)
目をグルグルさせながら、萩風は落ち着こうと必死になる。
特務部隊時代にも男性の隊員と会話をすることはあっても、そこには必ず嵐や他の仲間が居た。こうして男性と二人きりという場面は今までに無かったのだ。
それを言うなら執務室でも二人きりだったのだが、常に執務室が誰かによって監視されているのは彼女も知っており、鎮守府の外に居る今とは違うと認識していた。
「――萩風」
「ひゃいっ!?」
「おいっ!?」
いつもの彼女ならばそんな醜態は見せないだろうが、手に持っていたティーカップを宙に舞わせた。
それをキャッチしようと提督は手を伸ばすが、彼の反射神経では指一本届かず、店内にカップが割れる音が響く。
「お客様、どうされました?」
「あっ、あの、私――」
「お騒がせしてすいません、手を滑らせてしまって。割れてしまったこれと、こちらのセットを頂けますか?」
「あらあら、お二人ともお怪我はございませんか? すぐに片付けますので、あちらで少々お待ちください」
店員に片付けを任せて、二人は客用のソファーに移動する。何かを言いたそうにしている萩風に先んじて、提督は口を開いた。
「気にするな。急に声をかけたのは俺だ、お前のせいじゃない」
「司令……」
「それより、本当に怪我とかないか?」
「はい、大丈夫です」
「そうか、じゃあ会計が終わったらそろそろパンケーキ食いに行くとするか」
「……はい」
589 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/02(日) 21:29:11.19 ID:W5EAzmGa0
「萩風! アイツと出掛けたってホントか!?」
「……うん」
「大丈夫か、何かされたりしなかったか!?」
「……うん」
「……そのティーカップとポット、何だ?」
「……ねぇ、嵐」
「?」
「私、ずっとここに居ようかな」
「・・・・・・はぁ!?」
――――提督、この買い物は何ですか?
――――……必要だったんだ。
――――そうですか。では今度私にもプレゼントして下さいね?
――――(大淀の持ってるのがゼクシィに見えるのは気のせいだと思いたい……思わせてくれ!)
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 10:29:55.29 ID:O01M/O4SO
乙です
591 :
名無し
[aiorn1016@icoud.com]:2017/04/06(木) 22:02:18.21 ID:f1+kFZdsO
更新おつおつです
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/06(木) 22:10:52.76 ID:lONhgFYGO
うーんこの…
イタズラメール送っちまうぞ
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/06(木) 23:18:36.00 ID:1d11JkgA0
携帯のメアドじゃないとsageにならないぞ
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/06(木) 23:20:25.40 ID:Nzph8X0cO
名前欄に本名を書けばsageになるぞ
595 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/08(土) 23:08:21.35 ID:EkXhUXNT0
「――お久しぶりですね」
「あら、貴女もここに?」
「えぇ」
「他の皆はどうしているのか、知ってます?」
「長門はどこかの鎮守府でひっそりと暮らしているそうですよ。卯月は相変わらず、です」
「ふふふ、そう……信濃と川内は、還ったんですね」
「二人とも、私達より人間に最初から好意的でしたから」
「文字通り血路を開いて、ですか……」
「海に囲まれた日本が戦える環境を維持できたのは、彼女達の様な存在のお陰です」
「やっぱり、あの時の誓いは果たせませんでしたね」
「四人も生き残っていただけでも、奇跡じゃないでしょうか」
「……変わったわね、貴女」
「子供を庇って二十年も寝ていた貴女に言われたくないわ」
「これも運命、みたいなものかしら」
「……それを真に望むなら、私は口を挟みません。ですが――」
「その表情、衰えていても“鉄血”の風格は健在みたいですね」
「“狂笑”と呼ばれていた貴女に言われたくありません」
「安心して。あの子は私にとっても特別な存在なんですから」
「……その言葉に偽りが無いと、今は信じておきます」
「そういえば、あの軽空母は元気にしているの?」
「えぇ、龍驤もここに居ますよ」
「あらあら、ふふふ、ちょっと挨拶してきます」
「……程々にしてあげてね?」
――――ふふふ、久しぶりね?
――――げえっ……。
――――ふふふ、ふふふふふ。
――――ちょっ、こっち来んな鹿島!? うちはもうあの頃みたいにアンタのオモチャには……ぎゃあぁぁぁっ!?
596 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/10(月) 14:55:16.29 ID:sG+v5x9zO
本日帰宅後満潮と足柄の話を各一本と、イムヤR18導入投下します
イムヤはC
597 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/10(月) 19:17:52.43 ID:GZ0UxBMg0
初めの仲間は腕が飛んだ、足が千切れた、頭が半分になった、上と下に分かれた、食われた、焼けた、裂かれた、皆、皆沈んだ、私は見てただけ。
次の仲間は次々に狂っていった、最初に司令官を巡って秘書艦が壊れていった、その後姉妹艦が壊れていった、それから他の仲間も壊れていった、最後は数人残して皆解体された、私は見てただけ。
次の仲間は無茶な作戦で皆沈んだ、私は入渠してただけ。
次の仲間は、何だっけ、そうそう、司令官が首を吊って皆バラバラになった、私は発見しただけ。
次の仲間は、姉妹が大半揃ってて、皆そこそこ仲良くやってて、でも、一人欠けて、それから陰で“疫病神”って呼ばれて、もう何もかも嫌になって、私は逃げただけ。
最後の仲間は――。
「――満潮」
「何?」
「少しの間、綿雲の面倒をお願い出来る? 荒潮に呼ばれてるんだけど、流石に店には連れていけないから……」
「いいわよ、早く行ってきなさいな」
「ありがとう満潮、じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい。……さて、と」
――わふ?
「散歩でも、しましょうか」
――わんっ!
――私に優しい居場所をくれただけ。
598 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/10(月) 19:18:18.51 ID:GZ0UxBMg0
独断専行、撤退命令無視、無許可開発、無断外出等々、数々の命令違反を犯したその艦娘はとある鎮守府に引き取られた。
てっきり解体されるものだと思っていた彼女は、恐らく何か良からぬ理由で取引材料にでも使われたのだろうと推測していた。
(演習の的とかそういうのはちょっと勘弁して欲しいわね……)
出来れば無茶な作戦でもいいから出撃して、とにかく深海棲艦を一隻でも多く沈めたい。それが勝利に誰より執着している、足柄の願う処罰だった。
とりあえず、入口で突っ立って居ても仕方無いと鎮守府の中へ歩を進めた彼女を待っていたのは――道のど真ん中で寝ている駆逐艦の姿であった。
599 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/10(月) 19:18:48.87 ID:GZ0UxBMg0
「ははははは、いや助かった。まさか荷物を取りに行かせたらそのまま道で寝てて、あまつさえ着任艦に荷物ごと運ばれてくるとはな」
「だって、重かったし……」
(一体どんなブラック鎮守府かと思ったら……なかなか良さそうね)
本能的に、足柄はこの鎮守府を良い場所だと思った。何よりも直感を信じてきた彼女には、それだけで十分だった。
「挨拶が遅れてごめんなさい。重巡洋艦足柄、今日からここでお世話になるわね。――それで、どうして私を呼んだのかしら?」
「ん? 練度が高くて実戦経験豊富な重巡が問題ばっか起こして解体されそうって聞いたからだ」
「ここでも問題を起こすかもしれないわよ?」
「――お前の戦う理由は?」
「勝ちたいから」
「どうして勝ちたい」
「だって、勝てばそれだけ平和に近付くじゃない」
「なら、俺はお前の勝利の為に最善を尽くすことを約束しよう」
「えぇ、お願いするわね。変わり者の提督さん」
「それでな足柄、早速頼みがあるんだが」
「何かしら」
「……そこでもう一回寝ちまった初雪、部屋に連れていってくれ」
「ふふ、初任務、了解よ」
600 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/10(月) 19:19:16.61 ID:GZ0UxBMg0
「――で、あの頃のお前はどこ行ったんだ」
「ちょっと今話しかけないで提督!」
(何でうちの鎮守府こんなにゲーマーばっかなんだ……)
「んにゃー!? 負けたー!?」
「綺麗にヘッドショット喰らったな。もう少し隠れることを覚えろ」
「だって、そういうの苦手なんだもの」
「お前よくそれでそのゲームやろうと思ったな」
「……提督、指揮して」
「はぁ……相手は?」
「子多摩のところの球磨」
「だったら――」
昔の足柄の願いは、平和。
今の足柄の願いは、日常。
それを奪おうとでもしない限り、彼女が再び牙を剥くことはない。
「妙高、お前の妹どうにかならないか?」
「どうにか?」
「ゲームに深夜まで付き合わされた挙げ句、今タンクトップにパンツ一丁で俺のベッドで寝てやがる……」
(……足柄も少しはそういう方面に成長したんですね)
「妙高、どうして今の流れで涙浮かべてんだ」
601 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/10(月) 19:21:03.88 ID:GZ0UxBMg0
その日、イムヤに鎮守府内にあるプールへと連れて来られた提督は、潜水艦娘も順調に成長しているなと彼女が水面に浮かぶ姿を見ながらぼんやりとしていた。
盛り上がる二つの山は、イク程ではないが来た頃に比べればワンサイズは大きくなっていると彼は推測する。
「――司令官」
「んー?」
「あんまりジーって見られると、流石に恥ずかしいんだけど……」
「気にするな、お前達の成長の観察も俺のやらなきゃならんことの一つだ」
「だったら胸ばっか見ないでよね」
「前は見ろと怒られて、今は見るなと怒られる。何とも理不尽なもんだな」
「それは司令官が昔は誘っても逃げてたからでしょ。それよりほら、一緒に泳ご?」
(……たまにはこういう日があってもいいよな)
プールサイドまで近寄ってきて、手を提督へと伸ばすイムヤ。この日は珍しくそういう気分だったのか、彼は逆に彼女を引っ張りあげようとする。
抵抗さえ無ければ、提督でも潜水艦娘一人持ち上げるぐらいは可能だった。
「……浮上させてどうするつもりなの?」
「ここにあるお前のスマホで撮影でもするか」
「自撮り写真とか私のスマホにはいらないからやめて」
普段は彼女が絶対に手放さないスマホも、提督と居る間だけは電源が切られていた。それだけ、イムヤにとってこの時間は大切なものということだ。
今も提督の胸に顔を埋めながら、幸せそうな表情を浮かべている。
「お前、最近だとどこ行ったんだ?」
「イギリス」
「何でイギリスなんぞに」
「ちょっとSNSで知り合ったエリザベスさんに会いに行ってたの」
「……エリザベス、か」
「何? 今一瞬男と会ってたとか思った?」
「外出禁止、食らいたいんだな?」
「そんなことしたら司令官の部屋の中を毎日ムービーで撮影するから」
「それは……互いの為にならんだろ」
割と本気で言っていそうなイムヤに冷や汗をかきつつ、提督は彼女の水を滴らせている髪を指で遊ぶ。
鎮守府内でも五本の指に入る長さの髪は、水を吸って相当重い。
「……他の皆にも聞いたけど、司令官ってホント髪と足ばっか触るわよね」
「何だ、悪いか」
「悪い」
「何がだよ」
「――今、水着なんだけど」
押し付けられている胸は、やはり以前より成長していた。
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/10(月) 20:38:13.03 ID:/AeHX7E8o
イムヤはいいぞ
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/10(月) 21:39:42.89 ID:O3UHIBMeo
やっぱりイムヤは最高だな
604 :
sage
:2017/04/11(火) 15:31:19.72 ID:m1jRL2EPO
更新乙です 次はまだかなぁ
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/11(火) 16:47:32.51 ID:0VKNibKrO
>>604
fusianasanしないとsage出来ないぞ
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/11(火) 17:46:37.17 ID:vhbxHbXuO
これで出来たかな?
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/13(木) 04:11:27.28 ID:ptpeqzKJo
ええなあ
608 :
◆7xTYM/aOv2
[saga sage]:2017/04/13(木) 16:35:14.62 ID:x7Iz+iVk0
続き、投下します
609 :
◆7xTYM/aOv2
[saga sage]:2017/04/13(木) 16:36:13.19 ID:x7Iz+iVk0
いつものスク水ではなく、オレンジ色のフリルビキニ。見上げる彼女を見下ろせば、谷間が見える。押し付けられていることでそれは更に強調されていて、彼女が狙ってやっているのは明らかだ。
そんなイムヤの誘惑に、提督はひねくれた形で応じた。
「っ……お尻?」
「一番手近にあった」
「何か、手つきがいやらしい」
「逆にそうじゃなかったらおかしいだろ」
最初は撫でるように、徐々に揉むように刺激していく。その間、終始提督をイムヤは見上げていたが、表情に変化は無かった。
何か気に障ったのかと思い提督が手を止めると、彼女の手がそっと彼の頬に添えられた。
「――司令官の目って、少し青いのね」
「そうなのか?」
「自分で気付いてなかったの?」
「昔は普通だったんでな」
「そうなんだ」
見つめる。見つめ合う。互いの心の奥まで覗くように、視線を絡め合う。
瞳の中に溺れていくような、沈んでいくような、それでいて心地好い感覚。包み隠さず全てをさらけ出しても構わないと互いに思えなければ、それは味わえない。
「ねぇ、司令官」
「何だ?」
「……溺れさせて」
望まれたなら、彼は叶える。唇を塞ぎ、舌を絡め、息継ぎの間を与えぬ程、深く貪る。
「ん……ちゅ……んぅ……」
身体という境界を越えて、一つに解け合うように互いを求める。まるで深海に潜っているかのように、今の二人には唇を重ねている相手の情報しか入ってこない。
「――っ……んはぁ……」
「……」
潤んだ瞳、未だに唇と唇を繋ぐ透明の糸、火照ったように上気した頬。
最初から止める気もなかったが、もう止まるはずがなかった。
「しれ――んむっ!?」
唇を奪い、ビキニの中へ手を入れて胸をまさぐり、秘部をなぞる。
布に包まれた柔らかな丘は手に吸い付く様にフィットし、中心が割れている丘からはプールの水ではない湿り気が感じられた。
「ふむぅ、んふぅっ!……んっ……」
強張ったり、脱力したり、忙しなくイムヤは身体をくねらせる。初めて提督から積極的に攻められたこともあり、普段より彼女も興奮していた。
610 :
◆7xTYM/aOv2
[saga sage]:2017/04/13(木) 16:36:44.67 ID:x7Iz+iVk0
(溺れたい、か……俺だって、溺れそうだ)
舌を絡め、息つく暇を与えぬまま、快楽へ誘う為に指を這わせる。
下から掬い上げるように胸を揉みしだき、突起を指で弾く。秘部にもビキニ越しではなく直接触れ、中から溢れ始めた愛液を塗り込むように入り口をなぞる。
「はむ……んふぅ……んぅっ!」
次第に布の感触がもどかしくなり、提督は乱暴に上をめくりあげる。綺麗な桜色の乳首が大気に晒され、自然とそこへ指が動く。
「んっ!? んふっ! んぅっ!?」
つまみ、弾き、転がす。普段ならば少し痛みを感じていたかもしれないが、今の彼女には快感だけが突き抜けていった。
秘部から溢れる愛液も多くなり、一度もプールにすら浸けていない彼の指はふやけていく。
(……このままだと気付かれそうだが、もう無理だな)
気を遣って誰も近付かないとはいえ、流石に喘ぎ声が響けば屋外である以上響く。しかし、彼も彼女も既に撤退できるラインはとうに越えていた。
「――あっ……はぁ……やっダメ、待って、声――んぅぅぅぅぅっ!?」
声を抑える心構えをしようとする間もなく、水着の横から一気に奥へと貫かれる。
どうにか手で口元を塞ぎはしたものの、それも徐々に意味を成さなくなっていく。
「んむっ、ふあっ!? しれいか、ダメ、気付かれちゃうっ……あんっ! 奥、奥まで来るぅっ!」
子宮口に叩き付けるように、提督は腰を突き上げる。その度に、もう我慢どころではなくなった彼女の声と、結合部から響く卑猥な水音がプールに響いた。
そして、その耳からの刺激が更に行為を激しくさせていく。
「っ……イムヤ、出すぞ」
「ダメっ、あっ……来る、来ちゃうぅっ!?」
吐き出される白濁液。力尽きて提督に倒れかかった彼女の身体は小刻みに痙攣し、その度に少し隙間の出来た秘部から二人の混ざり合った体液が溢れて伝い落ちていく。
「っ…………バカ」
「俺は悪くない」
「……でも、嬉しかった」
「……俺は悪くないからな」
「へっ? ちょっ、嘘!?」
――――鎮守府共用施設での夜戦はやめてください。
――――善処はする。
――――……外の方がいいの?
――――……そんな趣味はない、多分。
611 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/13(木) 16:42:40.10 ID:x7Iz+iVk0
次のリクエストはヒトキュウマルマルより三つ受け付けます
瑞加賀、鈴熊、近日投下予定
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/13(木) 19:00:06.42 ID:Diqeo5HSO
赤城さんと花見
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/13(木) 19:11:25.60 ID:k2bWR91IO
羽黒
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/13(木) 19:26:33.83 ID:0BGauy7to
由良
615 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/13(木) 19:44:58.87 ID:x7Iz+iVk0
・赤城『この一瞬を』
・羽黒『姉さんとの休日』
・由良『艦娘であるということ』
以上、三本でお送りします
616 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/14(金) 00:06:47.89 ID:Hg/0Dzzv0
――その日、初めて私は加賀さんと殺し合った。
617 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/14(金) 00:07:14.90 ID:Hg/0Dzzv0
加賀さんに、私は挑み続けている。勝ちたい。勝って、あの人の後ろじゃなくて隣に立ちたい。
これだけは、提督さんにだって叶えて貰うわけにはいかない。私が、私だけの力で、成し遂げなきゃならない。
誰の力も借りない、誰にも邪魔されたくない。
今日もまた、デートの待ち合わせ場所に向かうように演習場へ走る。絶対に先に行って待ったりしない、先に準備して静かに佇むあの人を見るのが好きだから。
「加賀さ――?」
「……」
ゆっくりと振り返った、憎たらしい程憧れている先輩は、見慣れない、見慣れた紫の目をしていた。
618 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/14(金) 00:07:40.48 ID:Hg/0Dzzv0
――最強である必要は、もうない。
「本当に?」
――討ち果たすべき相手は、もういない。
「最強でない貴女に、皆は納得するの?」
――だから、私はここに居る。
「守れなくてもいいの?」
――私の仲間は、強いわ。
「だからといって、貴女が強くなくていい理由にはならないんじゃないかな?」
――今が、幸せなの。
「そっか。じゃあ――こうすれば貴女は強さを求めてくれるのかな?」
――っ!? 何、これは……あっ、やめ……やめてっ……提督、赤城さん、瑞鶴!……こんなの、嘘っ……!
「あれ? 貴女達が今生きていられるのは未知の驚異への対抗策としてなんだよね? だったら、大切な人達が死ぬ可能性はまだあるよね?」
――わたし、私、はっ!
「うん、今の貴女じゃ絶対に守れないよ? だって、こうして私にいいように遊ばれてるもの」
――あっ、ああ、ああアアアアアアッ!!
「――あら、ごめんなさい。失敗しちゃった」
619 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/14(金) 00:08:14.72 ID:Hg/0Dzzv0
「加賀さん……?」
「……瑞鶴」
「ねぇ、それ、冗談のつもり? 笑えないから、やめてよ」
「私ハ、貴女達を……」
「っ……前々から思ってたけど、加賀さんって意外とバカだよね」
「ず、イカクゥ!」
「――第一次航空隊発艦、目標バカな一航戦!」
分かってる。きっと下らないことを考えてて、一人で悩んで、またあの時みたいに私達の気持ちなんて分かってくれてないんだ。
「っ……そんな状態でも、やっぱり加賀さんは加賀さんね!」
「鎧袖一触、蹴散ラシマス」
「出来るもんならしてみなさいよおっ!!」
動きについていくだけで、神経が磨り減っていく。やっぱり、強い。まだ届かないかもしれない。
「――第二次航空隊、敵艦載機を殲滅して!」
「火ノ塊トナッテ、沈ミナサイ」
「くっ……まだよ、まだ終わってない!」
バカ。バカバカバカ。どうして頼ってくれないのよ、どうして何も話してくれないの。そんなにまだ頼りないの、私。
貴女だから、皆提督を安心して任せてたんだよ。別に弱音も愚痴も言っていいじゃない。完璧だから、ただ最強だから貴女に託してたんじゃない。
「私がっ! 私の憧れた貴女はっ!! そんな弱い人じゃないでしょっ!?」
「アアァァァァァッ!」
「これで最後よ! 目標、バカで、意地っ張りで、優しくて、お人好しで、笑うと可愛くて、戦う姿がカッコ良い、私の大好きな先輩! いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
玉砕覚悟、練度も経験も劣ってるのは分かってる。だから、気持ちで勝るしかない。
負けない。絶対に負けない。今だけは負けたりしない。貴女が私を思うより、私が貴女を思う心の方が、絶対に、強い。
(届け、届け、届け届け届け届け届けぇぇぇぇっ!!)
「っ!?」
自分の爆撃と機銃の雨の中を、ただ真っ直ぐに進んだ。身体中痛い、多分、終わったら指一本動かせない。
でも、それでも今、この手をあの遠かった背中に精一杯伸ばして、伝えなきゃいけない。
「――全く、手間かけさせないでよ」
「グッ……ウゥ……」
「そんな姿、提督さんに見せたら怒られるよ。だから、いつもの加賀さんに戻ってよ。私の、大好きな……貴女、に……」
泣かないで、そんな顔しないでよ。私まで泣きたくなるの。ホント、バカなんだから。
「――瑞、鶴……?」
「あら、もう終わり?」
620 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/14(金) 00:08:41.31 ID:Hg/0Dzzv0
「……貴女は、何?」
まだ覚醒しきっていない意識で、理解できたことは二つ。瑞鶴が私の為に無茶をしたことと、目の前で水の上に立つセーラー服の少女が自分に何かをしたこと。
「貴女を最強の艦娘に戻してあげようと思ったんだけど、失敗しちゃった」
「そんなこと、望んでないのだけれど」
「でも、そうじゃなきゃ守れないでしょ?」
「……」
声だけが、聞こえていた。私を呼ぶ声。ずっと、真っ直ぐに、ひたすらに、全力でぶつかってきたこの子の声が。
とうに認めて、一人前として扱っているというのに、それでも私を目標だと言ってはばからないバカな子。
(こんな傷だらけになって、綺麗な肌も髪も台無しね……ごめんなさい、瑞鶴)
優しく、優しく頬を撫でる。幸い、入渠でどうにかなる範囲の負傷で済んでいる。
「誰か助けを呼べばいいのに、一人で挑むなんてその子もバカだよね。貴女に今まで一度も勝てなかったのに」
「――しないで」
「?」
「私の誇りを、バカにしないで」
621 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/14(金) 00:09:08.75 ID:Hg/0Dzzv0
「加賀さーん」
「何?」
「林檎剥いて」
「……私は貴女の召し使いではないのだけど」
「あー痛いなー傷が痛むなー」
「……」
「瑞鶴、あまり加賀さんを困らせてはダメよ?」
「えー? だって加賀さんのせいで私大変だったんだからー」
「……瑞か――」
「明日から、また挑むからね」
「……えぇ」
「それより林檎まだー?」
「――はい」
「・・・・・・へ?」
「食べないの?」
「……食べる」
「なら、早く口を開いてくれないかしら」
「……あーん」
「全く、手間のかかる子だわ」
「むぐぐぐぐむぐぅ!」
「駄々をこねて口を開けて食べ物を待つのは子供です」
「むぐぐぅ……」
(私、お邪魔かしら……)
(煙の様に消えたあの得体の知れない少女……大鳳が会ったのも、恐らく同じ。アレは、確かに妖精達と気配が似ていた。一体、何が目的で動いているの……?)
622 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/14(金) 00:57:11.17 ID:1nfSvL0J0
ずいかが凄く良い
更新おつおつです
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/16(日) 13:29:53.49 ID:O0yJKAfdo
おつずい
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/16(日) 16:17:22.24 ID:LglG4obSO
乙です
625 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/20(木) 19:15:05.37 ID:T0oi9kcP0
・赤城『この一瞬を』 、投下します
626 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/20(木) 19:16:24.93 ID:T0oi9kcP0
――ヒャッハー!
――那珂ちゃん、歌いまーす!
――はいはい並んで並んでー撮りますよー?
「まだ始まったばかりでこれか。相変わらずだな、うちの連中は」
「ふふ、提督もたまには一緒にはしゃがれてはどうですか?」
「あんなのに付き合ってたら身体がいくつあっても足りん」
「適度な運動は大事です」
「適度ってのはあそこでフリスビーを綿雲と一緒に追いかけてる奴等と遊ぶことか?」
――キャッヒっぴょい!
――夕立姉マジで口で取りやがった……。
――あの、綿雲に取らせてあげて下さい。
「……休息も大事ですね」
(見なかったことにしやがったなコイツ……)
「――ありがとうございます」
「礼を言われる覚えがない」
「じゃあ得したと思って下さい」
「後で目が飛び出るような食費が請求されたりしないよな?」
「最近は鎮守府にずっと居ますから」
「そういえばそうだったな」
「――提督は、桜はお好きですか?」
「毛虫が多いところを除けば、まぁ好きだぞ」
「私は、実はどちらかというと嫌いだったんです」
「なら、何で皆で花見なんぞと言い出したんだ」
627 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/20(木) 19:16:50.36 ID:T0oi9kcP0
「物の見方が変わったから、でしょうか」
「……こうして見るとまた増えたな、うちの艦娘も」
「はい、提督が居ますから」
「こないだ“艦娘ホイホイ”って誰かに言われたぞ」
「艦娘だけ、ですか?」
――ヲッ!
――金剛、紅茶ハマダナノ?
――桜餅、オイテケ!
「アレは無関係だ、誰が何と言おうと無関係だ」
「本当ですか?」
――春雨弁当美味しいね。
――間宮グッジョブ。
「……ちょっとはあるかもしれん」
「ふふふ」
「――綺麗だな」
「えぇ、そうですね」
「咲かせるのに栄養が大量に必要なのが玉に瑕だが」
「桜に肥料……いりませんよね?」
「そうだな」
「?……っ!?」
「青葉ー珍しい花が咲いてるぞー」
――珍しい花? どこどこ?
「――提督」
「ん――っ!?」
――おー……青葉、見せつけられちゃいました……。
いずれは散る運命と分かっているからこそ、今を精一杯に生きられる。
だから、私は一瞬一瞬を思い出として重ねよう。その時を、笑って迎えられるように。
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/20(木) 19:41:29.28 ID:eO/5xoVSO
リクエストしたやつきたか、乙です
629 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/20(木) 20:58:41.08 ID:2kfSx3MSo
赤城さん大胆/////
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/21(金) 00:08:13.53 ID:nEkGLb60O
赤城さん乙女だね〜実に良い
631 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/28(金) 20:48:43.02 ID:ZSTHyDXV0
――迷ったなら、その光が目印。彼女は必ずそこに居て、彼女を待っている。
「マジあり得ないんですけどー……」
ちょっと気に入ったバンドのライブに誘い、最高に盛り上がった帰り道。人混みに揉まれ、気付けば隣に居たはずの同行者は姿を消していた。
いつものこととはいえ、この状況下であの庶民派お嬢様を探すのは困難だ。
(どっちもスマホの充電切れてるとかホントあり得ないし……)
お互いスマホの充電は切れていて、一人で熊野が最寄りの駅に辿り着くことすら出来ないのはもう分かりきってる。だから、駅で合流というのも難しい。
(ちゃんと終電までに帰らないと提督達に怒られるよね、絶対)
褒められるのは好きだけど、怒られるのは大嫌い。それに何より、一人にしておきたくない。
「――目立つけど、あれっきゃないかー」
もう随分と長い間、必要なかったもの。コントロールもある程度出来るようになって、提督と、その、アレの時にたまになっちゃったりするぐらい。
(ったくもー、世話の焼けるお嬢様なんだから)
思い浮かべる。自分が迷った癖に、さも鈴谷がはぐれたみたいにやれやれって顔してる熊野。
うん、ちょっとイラッとする。ちょっとイラッとするけど、それでいい。
(誰かの帰る場所、か……提督も良いこと言うよねー)
人混みに逆らうように、少しでも遮るものの少ない場所を目指す。街中では路地を一本隔てば気付かれないかもしれない。
(ううん、気付くよね。だって、鈴谷と熊野は――)
632 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/04/28(金) 20:49:08.91 ID:ZSTHyDXV0
「あり得ませんわ……」
「それは鈴谷のセリフなんですけどー」
「いくら私でもあの人混みの中に入っていくの、相当勇気がいりましたのよ?」
「だから手繋ごって言ったじゃん」
「そ、そんな恥ずかしいこと出来ませんわ!」
「ライブ中変な奇声あげるより恥ずかしくないっしょ」
「奇声!?」
「相当目立ってたよ、熊野」
「そんなに、ですの……?」
「ツイッターでチラホラ熊野のこと書いてるの見かけるぐらいには」
「あ、あり得ませんわぁ……」
「にひひ〜有名になれて良かったじゃーん」
「そういう鈴谷こそ、さっきの一件で相当有名になったのではなくて?」
「うぐっ……そ、それより、ほら」
「? 何ですの?」
「手」
「……仕方ありませんわね、また鈴谷が迷ったら大変ですし」
「あーはいはい、終電間に合わなくなるから行くよー」
「途中でコンビニに寄りたいのですけど」
「ココアならさっき買ったし」
「あら、気が利きますのね」
「鈴谷は出来る子ですから」
何度だって、何時だって、必ず眩い光で導こう。その笑顔を、曇らせたくはないから。
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/28(金) 23:46:32.40 ID:UNfUgfzL0
鈴熊可愛いな??
さて、ここの鎮守府のは改2は来るのかな?
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/04/29(土) 09:45:04.93 ID:2Py2325SO
>>633
気になるのなら次のリクエストで鈴谷改二という手もあるぞ
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/01(月) 13:51:04.03 ID:Wm4d1cW3o
おつん
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/06(土) 16:24:48.08 ID:DKFeaDm7O
>>663
了解ですよ!
637 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 14:58:36.34 ID:0BWktFKnO
・羽黒『姉さんとの休日』、投下します
638 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 14:59:10.88 ID:eWeWcF970
微かに聞こえてくる包丁の音。目覚めを誘うお味噌汁の匂い。今日も、また姉さんは早起きだ。
言うと怒られそうだけど、私のお母さんのイメージは妙高姉さん。
「――あら、おはよう羽黒」
「おはよう姉さん。手伝うね」
「こっちは大丈夫だから、二人を起こしてきてもらえる?」
「うん、分かった」
最近は秘書艦日ぐらいしか早起きしなくなった二人の姉さん。前より残念になったとたまに言われるけど、今の二人の方が私は好き。
「那智姉さん、足柄姉さん、朝御飯だよ、起きて」
「……ん……あぁ、朝か……おはよう、羽黒」
「んー……後五分……」
「おはよう那智姉さん。足柄姉さん、起きないと妙高姉さんにまた怒られちゃうよ?」
「ほら、起きろ足柄。顔を洗ってシャキっとしてこい」
「ん〜……んにゃーい……」
寝起きの二人は大体こんな感じ。那智姉さんは比較的早く起きてくれるけど、長い髪で顔が隠れて見えない。足柄姉さんはなかなか起きなくて、寝ぼけている姿は可愛い。
「すまない羽黒、髪をまとめるのを手伝ってくれないか?」
「うん、いいよ」
那智姉さんの髪をまとめるのも、最近は日課のようになっている。たまに子供に引っ張られて少し涙目の姉さんはとても可愛かった。
「姉さんみたいに、私も伸ばそうかな」
「大変だぞ、洗うのにも乾かすのにも時間がかかる」
「じゃあ姉さんも一度短くする?」
「いや、それは……」
知ってる。姉さんは絶対に整えるだけで短くしない。
元々司令官さんのこともあって髪は気にしてたけど、ある一件があってから今はより一層気にしているらしい。
「姉さんももうちょっとオシャレしてみたらいいのに」
「最低限人前に出れる服があれば十分だ」
よし、今度那智姉さんを買い物に連れていこう。足柄姉さんと妙高姉さん、初風ちゃんも誘ったら、きっと楽しい。
639 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 14:59:51.84 ID:eWeWcF970
「足柄姉さん」
「んー?」
「今日は部屋に居るの?」
「居るわよ、どうかしたの?」
「最近駆逐艦の子達のところへいつも遊びに行ってたから、たまには私も姉さんと遊びたいなー、なんて」
最近自覚したことの一つ、私は結構甘えっ子らしい。ほんの少しだけど、駆逐艦の子達が羨ましいと思っていたりする。
逆に甘やかしてみたいと思ったりもするけど、それはそれ、これはこれ。
「そうね、今日は那智姉さんも妙高姉さんも居るし、四人で何かしましょうか」
「うん。じゃあ私お茶淹れてくるね」
「――ロン、一盃口タンヤオドラドラ」
「それ、私もロン、リーチ一発一通」
「ん゛にゃー!?」
「そんな地雷をよく踏みにいけるな……」
ずっとニコニコしている妙高姉さん、堅実な那智姉さん、ガンガン攻める足柄姉さん。
今日の夕飯担当は足柄姉さんに決まりそう。カレーはこの前食べたから、カツとじがいいな。
「もう半荘! もう半荘しましょ!」
「何だ足柄、デザートまで作るつもりか?」
「次は絶対に負けないわ!」
カツとじとフルーツ白玉はとっても美味しかった。
640 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 15:00:25.04 ID:eWeWcF970
「羽黒」
「何?」
「提督とはうまくいっているの?」
「何でそんなこと急に聞くの?」
「足柄はともかく、貴女もそういう気配が見えないから少し心配になってしまって……」
「そ、それは流石に姉さんでもあまり気にしないで欲しいな……後、足柄姉さんももうちょっと気にしてあげて」
「ごめんなさい。ちゃんとうまくいっているのならいいの」
「大丈夫、昔の私じゃないから」
「そう……もう書類と指輪を握り締めて気絶していた貴女じゃないものね」
「その話はやめて、思い出すと今でも恥ずかしいの!」
「ふふふ、最初はあんなに私の陰で震えていたのに」
ダメだ、こうなったら妙高姉さんの話は長いし、色々恥ずかしい。何かで気を逸らさないと。
「――そういえば、足柄姉さんがこの前“勝負下着を買った”って言ってたよ」
「勝負下着……? 足柄、足柄!」
よし、これでもう大丈夫。お風呂入ってこよ。
今までは、背中にずっと隠れていた。だから、これからはちょっと前に出て姉さん達を振り回してみよう。
それが私の精一杯の、姉孝行です。
641 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 23:47:49.28 ID:eWeWcF970
・由良『艦娘であるということ』、投下します
642 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 23:48:16.21 ID:eWeWcF970
単装砲が好き。ゆらゆらと揺れる水面が好き。綿菓子みたいな雲が好き。皆が好き。ここには私の好きなものがいっぱいある。
提督さんはいつだって私の好きを馬鹿にしなかった。ただ、笑って受け入れてくれた。
でも、ふと最近思うことがある。
「提督さんは、艦娘じゃない私でも好き?」
「何だ急に」
「好き?」
「そうだな……お前は俺が提督じゃなかったとしても、好きか?」
「質問に質問で返すのは良くない」
「ちゃんと俺は答えたぞ」
「……提督じゃなかったら、まず出会えてないと思う」
「あぁ、そういうことだ」
「……えい」
「由良、今度はな……ぐ……お……折れ……」
「提督さんと会えないとか、嫌」
「だい……じょぶ……だから……力……抜け……」
「……うん」
「っはぁ……悪い、不安にさせたか?」
「うん」
「俺が言いたかったのはな、そんなものはただのきっかけに過ぎないってことだ」
「艦娘なのが、きっかけ?」
「学校が同じ、家が近所、趣味が一緒、共通の友人がいる、そういうのと一緒だ。それが無かったら出会わないかもしれんが、それで好きになったわけじゃない」
「提督さんは、私が私だから好きになってくれたの?」
「まぁ、そうなるな」
「瑞雲は別に好きじゃない」
「ボケにマジで返すな」
「だって、好きって聞きたい」
「……お前はどこか掴み所が無いように見えて、真っ直ぐだな」
「難しいの、疲れるから」
「そういうところに、やられたのかもしれん」
「私は、握手してくれたあの時からずっと好き」
「……もうそろそろ許してくれないか?」
「好き」
「……あぁ、俺も好きだ」
「うん。ずっと好きでいてね、ね?」
艦娘で良かった。
だって、こんなに大好きな人と出会えたから。
643 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/19(金) 23:52:41.31 ID:eWeWcF970
次のリクエストは明朝マルハチマルマルより三つ受け付けます
五隻着任確定、後数隻未定
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 02:08:35.88 ID:JEnssBJhO
乙
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 08:00:01.27 ID:TgTq8o9co
鳥海
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 08:00:07.91 ID:9R6KP/ENO
松風
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 08:00:35.44 ID:te36TFBto
漣
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 08:03:15.99 ID:TgTq8o9co
訂正可能なら響でお願いします
649 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/20(土) 08:18:47.36 ID:drv7KaU8O
・響『悪くない』
・松風『ハイカラさん』
・漣『スカウト』
以上三つでお送りします
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 11:39:59.39 ID:ipY4jdXyo
ね!
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/20(土) 18:49:47.82 ID:wnhDFETSO
了解です
652 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/22(月) 22:08:09.77 ID:sn78/4RX0
「司令官、お願いがあるんだ」
「何だ?」
「友人が訪ねてきたんだが、部屋に泊めてもいいかい?」
「悪いが流石にそれは許可出来ん。寮は一般人の立ち入りしていい範囲じゃない」
「そうか。なら、問題ない」
「……待て、嫌な予感がしてきた」
「紹介するよ、ロシアに行った時の友人で――」
「Гангут級一番艦、Гангутだ。よろしく頼む」
(落ち着け、泊まるだけだ、泊まるだけでコイツは帰るんだ)
「……分かった、泊まるだけなら許可する。一応そっちの国に連絡は入れるが、問題ないな?」
「あぁ、当然許可は得ている。こちらにも事前に連絡があったはずだが?」
「そんなものは……いや、なんとなく察した。どうせいつものだ」
「? とりあえず、少しの間だが世話になる。こちらに迷惑はかけないと約束しよう」
「じゃあ部屋に案内するよ、こっちだ」
「確か四姉妹だったな、会うのが楽しみだ」
(……まともに見えたが、何にせよちゃんと帰国するなら問題はないか)
この時のことを提督は後にこう語っている。“長門だって、最初は普通だったな”と。
――――Гангутが鎮守府に遊びに来ました。
653 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/22(月) 22:08:47.98 ID:sn78/4RX0
これは、まだ私が物だった頃のお話。
654 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/22(月) 22:09:23.56 ID:sn78/4RX0
“人には心がある。だが、お前達兵器には心がない。だから何をしても許される”、それが、艦娘になって初めて貰った言葉。
酷い話よね、そういうことにしてしまえば罪悪感から逃れて自分を正当化出来るんだもの。
殴っても、蹴っても、叩いても、絞めても、焼いても、刺しても、切っても、突いても、犯しても、血を流しても、泣き叫ばれても、罵倒されても、許してと懇願されても、いっそ殺してと哀願されても、物相手なら心は痛まない。
心の中でこう思ったわ、一体どっちが物なのかしら、って。
朝も、昼も、夜も、ただただ物として扱われる日々。薄めて使われているのか分からないけれど、一日一回頭から被せられる修復材でも消えなくなっていく傷。
次第に本当に物みたいになり始めて、考えることも放棄し始めた頃、見慣れない人と艦娘が部屋に入ってきた。
(かんむすをみるのはいつぶりかしら……あのこもものなのかしらね)
どうでもいい、どうせ何かが変わる訳じゃない。そう思って目を閉じようとした瞬間、暗い海の底のような部屋の中に光るものが見えた気がした。
――涙って、綺麗なのね。
655 :
◆UeZ8dRl.OE
[saga sage]:2017/05/22(月) 22:09:53.12 ID:sn78/4RX0
「はい、採寸終わったわ」
「ありがとう、荒潮」
「それにしても、吹雪は胸が小さいままね〜」
「気にしてるんだからそれ言わないでよー」
「ふふふ、下着も用意しましょうか?」
「……考えとく」
「じゃあ服は出来たら部屋まで届けるから、待っていてちょうだい」
「ありがとう、また今度お礼するね」
「えぇ、楽しみにしているわ〜」
プラス1センチ。微かでも、差はあっても、私達は人と同じ様に成長している。
身体に刻まれた傷はそのままだけれど、それも含めて私。心の傷は司令官と皆が癒してくれたし、“手”に怯えることもなくなった。
ヤンデレなんて言われることもあるけど、どうしようもなく火照っているのに相手してくれない司令官が悪いんじゃないかしら。
最初は触れられそうになるだけで吐き気がしていたのに、今では軽く触られるだけですぐ達してしまいそうになる。
(……服を作り始めたの、欲求不満を解消するのが本当の理由なんて言えないわね〜)
夜通し作業する時は、絶対に誰も作業場には入れない。
――だって、そういう趣味はないもの。
656 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2017/05/23(火) 08:38:04.26 ID:g03ys6Rao
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