【艦これ】大鳳「衣食住に娯楽の揃った鎮守府」浦風「深海棲艦も居るんじゃ」

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605 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 16:47:32.51 ID:0VKNibKrO
>>604
fusianasanしないとsage出来ないぞ
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/11(火) 17:46:37.17 ID:vhbxHbXuO
これで出来たかな?
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 04:11:27.28 ID:ptpeqzKJo
ええなあ
608 : ◆7xTYM/aOv2 [saga sage]:2017/04/13(木) 16:35:14.62 ID:x7Iz+iVk0
続き、投下します
609 : ◆7xTYM/aOv2 [saga sage]:2017/04/13(木) 16:36:13.19 ID:x7Iz+iVk0
 いつものスク水ではなく、オレンジ色のフリルビキニ。見上げる彼女を見下ろせば、谷間が見える。押し付けられていることでそれは更に強調されていて、彼女が狙ってやっているのは明らかだ。
 そんなイムヤの誘惑に、提督はひねくれた形で応じた。

「っ……お尻?」

「一番手近にあった」

「何か、手つきがいやらしい」

「逆にそうじゃなかったらおかしいだろ」

 最初は撫でるように、徐々に揉むように刺激していく。その間、終始提督をイムヤは見上げていたが、表情に変化は無かった。
 何か気に障ったのかと思い提督が手を止めると、彼女の手がそっと彼の頬に添えられた。

「――司令官の目って、少し青いのね」

「そうなのか?」

「自分で気付いてなかったの?」

「昔は普通だったんでな」

「そうなんだ」

 見つめる。見つめ合う。互いの心の奥まで覗くように、視線を絡め合う。
 瞳の中に溺れていくような、沈んでいくような、それでいて心地好い感覚。包み隠さず全てをさらけ出しても構わないと互いに思えなければ、それは味わえない。

「ねぇ、司令官」

「何だ?」

「……溺れさせて」

 望まれたなら、彼は叶える。唇を塞ぎ、舌を絡め、息継ぎの間を与えぬ程、深く貪る。

「ん……ちゅ……んぅ……」

 身体という境界を越えて、一つに解け合うように互いを求める。まるで深海に潜っているかのように、今の二人には唇を重ねている相手の情報しか入ってこない。

「――っ……んはぁ……」

「……」

 潤んだ瞳、未だに唇と唇を繋ぐ透明の糸、火照ったように上気した頬。
 最初から止める気もなかったが、もう止まるはずがなかった。

「しれ――んむっ!?」

 唇を奪い、ビキニの中へ手を入れて胸をまさぐり、秘部をなぞる。
 布に包まれた柔らかな丘は手に吸い付く様にフィットし、中心が割れている丘からはプールの水ではない湿り気が感じられた。

「ふむぅ、んふぅっ!……んっ……」

 強張ったり、脱力したり、忙しなくイムヤは身体をくねらせる。初めて提督から積極的に攻められたこともあり、普段より彼女も興奮していた。
610 : ◆7xTYM/aOv2 [saga sage]:2017/04/13(木) 16:36:44.67 ID:x7Iz+iVk0
(溺れたい、か……俺だって、溺れそうだ)

 舌を絡め、息つく暇を与えぬまま、快楽へ誘う為に指を這わせる。
 下から掬い上げるように胸を揉みしだき、突起を指で弾く。秘部にもビキニ越しではなく直接触れ、中から溢れ始めた愛液を塗り込むように入り口をなぞる。

「はむ……んふぅ……んぅっ!」

 次第に布の感触がもどかしくなり、提督は乱暴に上をめくりあげる。綺麗な桜色の乳首が大気に晒され、自然とそこへ指が動く。

「んっ!? んふっ! んぅっ!?」

 つまみ、弾き、転がす。普段ならば少し痛みを感じていたかもしれないが、今の彼女には快感だけが突き抜けていった。
 秘部から溢れる愛液も多くなり、一度もプールにすら浸けていない彼の指はふやけていく。

(……このままだと気付かれそうだが、もう無理だな)

 気を遣って誰も近付かないとはいえ、流石に喘ぎ声が響けば屋外である以上響く。しかし、彼も彼女も既に撤退できるラインはとうに越えていた。

「――あっ……はぁ……やっダメ、待って、声――んぅぅぅぅぅっ!?」

 声を抑える心構えをしようとする間もなく、水着の横から一気に奥へと貫かれる。
 どうにか手で口元を塞ぎはしたものの、それも徐々に意味を成さなくなっていく。

「んむっ、ふあっ!? しれいか、ダメ、気付かれちゃうっ……あんっ! 奥、奥まで来るぅっ!」

 子宮口に叩き付けるように、提督は腰を突き上げる。その度に、もう我慢どころではなくなった彼女の声と、結合部から響く卑猥な水音がプールに響いた。
 そして、その耳からの刺激が更に行為を激しくさせていく。

「っ……イムヤ、出すぞ」

「ダメっ、あっ……来る、来ちゃうぅっ!?」

 吐き出される白濁液。力尽きて提督に倒れかかった彼女の身体は小刻みに痙攣し、その度に少し隙間の出来た秘部から二人の混ざり合った体液が溢れて伝い落ちていく。

「っ…………バカ」

「俺は悪くない」

「……でも、嬉しかった」

「……俺は悪くないからな」

「へっ? ちょっ、嘘!?」




――――鎮守府共用施設での夜戦はやめてください。

 ――――善処はする。

――――……外の方がいいの?

 ――――……そんな趣味はない、多分。
611 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/13(木) 16:42:40.10 ID:x7Iz+iVk0
次のリクエストはヒトキュウマルマルより三つ受け付けます

瑞加賀、鈴熊、近日投下予定
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 19:00:06.42 ID:Diqeo5HSO
赤城さんと花見
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 19:11:25.60 ID:k2bWR91IO
羽黒
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 19:26:33.83 ID:0BGauy7to
由良
615 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/13(木) 19:44:58.87 ID:x7Iz+iVk0
・赤城『この一瞬を』

・羽黒『姉さんとの休日』

・由良『艦娘であるということ』

以上、三本でお送りします

616 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/14(金) 00:06:47.89 ID:Hg/0Dzzv0





 ――その日、初めて私は加賀さんと殺し合った。




617 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/14(金) 00:07:14.90 ID:Hg/0Dzzv0
 加賀さんに、私は挑み続けている。勝ちたい。勝って、あの人の後ろじゃなくて隣に立ちたい。
 これだけは、提督さんにだって叶えて貰うわけにはいかない。私が、私だけの力で、成し遂げなきゃならない。
 誰の力も借りない、誰にも邪魔されたくない。
 今日もまた、デートの待ち合わせ場所に向かうように演習場へ走る。絶対に先に行って待ったりしない、先に準備して静かに佇むあの人を見るのが好きだから。

「加賀さ――?」

「……」

 ゆっくりと振り返った、憎たらしい程憧れている先輩は、見慣れない、見慣れた紫の目をしていた。
618 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/14(金) 00:07:40.48 ID:Hg/0Dzzv0
 ――最強である必要は、もうない。

「本当に?」

 ――討ち果たすべき相手は、もういない。

「最強でない貴女に、皆は納得するの?」

 ――だから、私はここに居る。

「守れなくてもいいの?」

 ――私の仲間は、強いわ。

「だからといって、貴女が強くなくていい理由にはならないんじゃないかな?」

 ――今が、幸せなの。

「そっか。じゃあ――こうすれば貴女は強さを求めてくれるのかな?」

 ――っ!? 何、これは……あっ、やめ……やめてっ……提督、赤城さん、瑞鶴!……こんなの、嘘っ……!

「あれ? 貴女達が今生きていられるのは未知の驚異への対抗策としてなんだよね? だったら、大切な人達が死ぬ可能性はまだあるよね?」

 ――わたし、私、はっ!

「うん、今の貴女じゃ絶対に守れないよ? だって、こうして私にいいように遊ばれてるもの」

 ――あっ、ああ、ああアアアアアアッ!!




「――あら、ごめんなさい。失敗しちゃった」
619 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/14(金) 00:08:14.72 ID:Hg/0Dzzv0
「加賀さん……?」

「……瑞鶴」

「ねぇ、それ、冗談のつもり? 笑えないから、やめてよ」

「私ハ、貴女達を……」

「っ……前々から思ってたけど、加賀さんって意外とバカだよね」

「ず、イカクゥ!」

「――第一次航空隊発艦、目標バカな一航戦!」

 分かってる。きっと下らないことを考えてて、一人で悩んで、またあの時みたいに私達の気持ちなんて分かってくれてないんだ。

「っ……そんな状態でも、やっぱり加賀さんは加賀さんね!」

「鎧袖一触、蹴散ラシマス」

「出来るもんならしてみなさいよおっ!!」

 動きについていくだけで、神経が磨り減っていく。やっぱり、強い。まだ届かないかもしれない。

「――第二次航空隊、敵艦載機を殲滅して!」

「火ノ塊トナッテ、沈ミナサイ」

「くっ……まだよ、まだ終わってない!」

 バカ。バカバカバカ。どうして頼ってくれないのよ、どうして何も話してくれないの。そんなにまだ頼りないの、私。
 貴女だから、皆提督を安心して任せてたんだよ。別に弱音も愚痴も言っていいじゃない。完璧だから、ただ最強だから貴女に託してたんじゃない。

「私がっ! 私の憧れた貴女はっ!! そんな弱い人じゃないでしょっ!?」

「アアァァァァァッ!」

「これで最後よ! 目標、バカで、意地っ張りで、優しくて、お人好しで、笑うと可愛くて、戦う姿がカッコ良い、私の大好きな先輩! いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 玉砕覚悟、練度も経験も劣ってるのは分かってる。だから、気持ちで勝るしかない。
 負けない。絶対に負けない。今だけは負けたりしない。貴女が私を思うより、私が貴女を思う心の方が、絶対に、強い。

(届け、届け、届け届け届け届け届けぇぇぇぇっ!!)

「っ!?」

 自分の爆撃と機銃の雨の中を、ただ真っ直ぐに進んだ。身体中痛い、多分、終わったら指一本動かせない。
 でも、それでも今、この手をあの遠かった背中に精一杯伸ばして、伝えなきゃいけない。

「――全く、手間かけさせないでよ」

「グッ……ウゥ……」

「そんな姿、提督さんに見せたら怒られるよ。だから、いつもの加賀さんに戻ってよ。私の、大好きな……貴女、に……」

 泣かないで、そんな顔しないでよ。私まで泣きたくなるの。ホント、バカなんだから。

「――瑞、鶴……?」




「あら、もう終わり?」
620 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/14(金) 00:08:41.31 ID:Hg/0Dzzv0
「……貴女は、何?」

 まだ覚醒しきっていない意識で、理解できたことは二つ。瑞鶴が私の為に無茶をしたことと、目の前で水の上に立つセーラー服の少女が自分に何かをしたこと。

「貴女を最強の艦娘に戻してあげようと思ったんだけど、失敗しちゃった」

「そんなこと、望んでないのだけれど」

「でも、そうじゃなきゃ守れないでしょ?」

「……」

 声だけが、聞こえていた。私を呼ぶ声。ずっと、真っ直ぐに、ひたすらに、全力でぶつかってきたこの子の声が。
 とうに認めて、一人前として扱っているというのに、それでも私を目標だと言ってはばからないバカな子。

(こんな傷だらけになって、綺麗な肌も髪も台無しね……ごめんなさい、瑞鶴)

 優しく、優しく頬を撫でる。幸い、入渠でどうにかなる範囲の負傷で済んでいる。

「誰か助けを呼べばいいのに、一人で挑むなんてその子もバカだよね。貴女に今まで一度も勝てなかったのに」

「――しないで」

「?」




「私の誇りを、バカにしないで」
621 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/14(金) 00:09:08.75 ID:Hg/0Dzzv0
「加賀さーん」

「何?」

「林檎剥いて」

「……私は貴女の召し使いではないのだけど」

「あー痛いなー傷が痛むなー」

「……」

「瑞鶴、あまり加賀さんを困らせてはダメよ?」

「えー? だって加賀さんのせいで私大変だったんだからー」

「……瑞か――」

「明日から、また挑むからね」

「……えぇ」

「それより林檎まだー?」

「――はい」

「・・・・・・へ?」

「食べないの?」

「……食べる」

「なら、早く口を開いてくれないかしら」

「……あーん」

「全く、手間のかかる子だわ」

「むぐぐぐぐむぐぅ!」

「駄々をこねて口を開けて食べ物を待つのは子供です」

「むぐぐぅ……」

(私、お邪魔かしら……)




(煙の様に消えたあの得体の知れない少女……大鳳が会ったのも、恐らく同じ。アレは、確かに妖精達と気配が似ていた。一体、何が目的で動いているの……?)
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 00:57:11.17 ID:1nfSvL0J0
ずいかが凄く良い
更新おつおつです
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 13:29:53.49 ID:O0yJKAfdo
おつずい
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/16(日) 16:17:22.24 ID:LglG4obSO
乙です
625 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/20(木) 19:15:05.37 ID:T0oi9kcP0
・赤城『この一瞬を』 、投下します
626 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/20(木) 19:16:24.93 ID:T0oi9kcP0
 ――ヒャッハー!

 ――那珂ちゃん、歌いまーす!

 ――はいはい並んで並んでー撮りますよー?

「まだ始まったばかりでこれか。相変わらずだな、うちの連中は」

「ふふ、提督もたまには一緒にはしゃがれてはどうですか?」

「あんなのに付き合ってたら身体がいくつあっても足りん」

「適度な運動は大事です」

「適度ってのはあそこでフリスビーを綿雲と一緒に追いかけてる奴等と遊ぶことか?」

 ――キャッヒっぴょい!

 ――夕立姉マジで口で取りやがった……。

 ――あの、綿雲に取らせてあげて下さい。

「……休息も大事ですね」

(見なかったことにしやがったなコイツ……)

「――ありがとうございます」

「礼を言われる覚えがない」

「じゃあ得したと思って下さい」

「後で目が飛び出るような食費が請求されたりしないよな?」

「最近は鎮守府にずっと居ますから」

「そういえばそうだったな」

「――提督は、桜はお好きですか?」

「毛虫が多いところを除けば、まぁ好きだぞ」

「私は、実はどちらかというと嫌いだったんです」

「なら、何で皆で花見なんぞと言い出したんだ」

627 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/20(木) 19:16:50.36 ID:T0oi9kcP0
「物の見方が変わったから、でしょうか」

「……こうして見るとまた増えたな、うちの艦娘も」

「はい、提督が居ますから」

「こないだ“艦娘ホイホイ”って誰かに言われたぞ」

「艦娘だけ、ですか?」

 ――ヲッ!

 ――金剛、紅茶ハマダナノ?

 ――桜餅、オイテケ!

「アレは無関係だ、誰が何と言おうと無関係だ」

「本当ですか?」

 ――春雨弁当美味しいね。

 ――間宮グッジョブ。

「……ちょっとはあるかもしれん」

「ふふふ」

「――綺麗だな」

「えぇ、そうですね」

「咲かせるのに栄養が大量に必要なのが玉に瑕だが」

「桜に肥料……いりませんよね?」

「そうだな」

「?……っ!?」

「青葉ー珍しい花が咲いてるぞー」

 ――珍しい花? どこどこ?

「――提督」

「ん――っ!?」

 ――おー……青葉、見せつけられちゃいました……。




 いずれは散る運命と分かっているからこそ、今を精一杯に生きられる。
 だから、私は一瞬一瞬を思い出として重ねよう。その時を、笑って迎えられるように。
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 19:41:29.28 ID:eO/5xoVSO
リクエストしたやつきたか、乙です
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 20:58:41.08 ID:2kfSx3MSo
赤城さん大胆/////
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 00:08:13.53 ID:nEkGLb60O
赤城さん乙女だね〜実に良い
631 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/28(金) 20:48:43.02 ID:ZSTHyDXV0
 ――迷ったなら、その光が目印。彼女は必ずそこに居て、彼女を待っている。




「マジあり得ないんですけどー……」

 ちょっと気に入ったバンドのライブに誘い、最高に盛り上がった帰り道。人混みに揉まれ、気付けば隣に居たはずの同行者は姿を消していた。
 いつものこととはいえ、この状況下であの庶民派お嬢様を探すのは困難だ。

(どっちもスマホの充電切れてるとかホントあり得ないし……)

 お互いスマホの充電は切れていて、一人で熊野が最寄りの駅に辿り着くことすら出来ないのはもう分かりきってる。だから、駅で合流というのも難しい。

(ちゃんと終電までに帰らないと提督達に怒られるよね、絶対)

 褒められるのは好きだけど、怒られるのは大嫌い。それに何より、一人にしておきたくない。

「――目立つけど、あれっきゃないかー」

 もう随分と長い間、必要なかったもの。コントロールもある程度出来るようになって、提督と、その、アレの時にたまになっちゃったりするぐらい。

(ったくもー、世話の焼けるお嬢様なんだから)

 思い浮かべる。自分が迷った癖に、さも鈴谷がはぐれたみたいにやれやれって顔してる熊野。
 うん、ちょっとイラッとする。ちょっとイラッとするけど、それでいい。

(誰かの帰る場所、か……提督も良いこと言うよねー)

 人混みに逆らうように、少しでも遮るものの少ない場所を目指す。街中では路地を一本隔てば気付かれないかもしれない。

(ううん、気付くよね。だって、鈴谷と熊野は――)
632 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/04/28(金) 20:49:08.91 ID:ZSTHyDXV0
「あり得ませんわ……」

「それは鈴谷のセリフなんですけどー」

「いくら私でもあの人混みの中に入っていくの、相当勇気がいりましたのよ?」

「だから手繋ごって言ったじゃん」

「そ、そんな恥ずかしいこと出来ませんわ!」

「ライブ中変な奇声あげるより恥ずかしくないっしょ」

「奇声!?」

「相当目立ってたよ、熊野」

「そんなに、ですの……?」

「ツイッターでチラホラ熊野のこと書いてるの見かけるぐらいには」

「あ、あり得ませんわぁ……」

「にひひ〜有名になれて良かったじゃーん」

「そういう鈴谷こそ、さっきの一件で相当有名になったのではなくて?」

「うぐっ……そ、それより、ほら」

「? 何ですの?」

「手」

「……仕方ありませんわね、また鈴谷が迷ったら大変ですし」

「あーはいはい、終電間に合わなくなるから行くよー」

「途中でコンビニに寄りたいのですけど」

「ココアならさっき買ったし」

「あら、気が利きますのね」

「鈴谷は出来る子ですから」




 何度だって、何時だって、必ず眩い光で導こう。その笑顔を、曇らせたくはないから。
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:46:32.40 ID:UNfUgfzL0
鈴熊可愛いな??
さて、ここの鎮守府のは改2は来るのかな?
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 09:45:04.93 ID:2Py2325SO
>>633
気になるのなら次のリクエストで鈴谷改二という手もあるぞ

635 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 13:51:04.03 ID:Wm4d1cW3o
おつん
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 16:24:48.08 ID:DKFeaDm7O
>>663了解ですよ!
637 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 14:58:36.34 ID:0BWktFKnO
・羽黒『姉さんとの休日』、投下します
638 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 14:59:10.88 ID:eWeWcF970
 微かに聞こえてくる包丁の音。目覚めを誘うお味噌汁の匂い。今日も、また姉さんは早起きだ。
 言うと怒られそうだけど、私のお母さんのイメージは妙高姉さん。

「――あら、おはよう羽黒」

「おはよう姉さん。手伝うね」

「こっちは大丈夫だから、二人を起こしてきてもらえる?」

「うん、分かった」

 最近は秘書艦日ぐらいしか早起きしなくなった二人の姉さん。前より残念になったとたまに言われるけど、今の二人の方が私は好き。

「那智姉さん、足柄姉さん、朝御飯だよ、起きて」

「……ん……あぁ、朝か……おはよう、羽黒」

「んー……後五分……」

「おはよう那智姉さん。足柄姉さん、起きないと妙高姉さんにまた怒られちゃうよ?」

「ほら、起きろ足柄。顔を洗ってシャキっとしてこい」

「ん〜……んにゃーい……」

 寝起きの二人は大体こんな感じ。那智姉さんは比較的早く起きてくれるけど、長い髪で顔が隠れて見えない。足柄姉さんはなかなか起きなくて、寝ぼけている姿は可愛い。

「すまない羽黒、髪をまとめるのを手伝ってくれないか?」

「うん、いいよ」

 那智姉さんの髪をまとめるのも、最近は日課のようになっている。たまに子供に引っ張られて少し涙目の姉さんはとても可愛かった。

「姉さんみたいに、私も伸ばそうかな」

「大変だぞ、洗うのにも乾かすのにも時間がかかる」

「じゃあ姉さんも一度短くする?」

「いや、それは……」

 知ってる。姉さんは絶対に整えるだけで短くしない。
 元々司令官さんのこともあって髪は気にしてたけど、ある一件があってから今はより一層気にしているらしい。

「姉さんももうちょっとオシャレしてみたらいいのに」

「最低限人前に出れる服があれば十分だ」

 よし、今度那智姉さんを買い物に連れていこう。足柄姉さんと妙高姉さん、初風ちゃんも誘ったら、きっと楽しい。
639 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 14:59:51.84 ID:eWeWcF970
「足柄姉さん」

「んー?」

「今日は部屋に居るの?」

「居るわよ、どうかしたの?」

「最近駆逐艦の子達のところへいつも遊びに行ってたから、たまには私も姉さんと遊びたいなー、なんて」

 最近自覚したことの一つ、私は結構甘えっ子らしい。ほんの少しだけど、駆逐艦の子達が羨ましいと思っていたりする。
 逆に甘やかしてみたいと思ったりもするけど、それはそれ、これはこれ。

「そうね、今日は那智姉さんも妙高姉さんも居るし、四人で何かしましょうか」

「うん。じゃあ私お茶淹れてくるね」




「――ロン、一盃口タンヤオドラドラ」

「それ、私もロン、リーチ一発一通」

「ん゛にゃー!?」

「そんな地雷をよく踏みにいけるな……」

 ずっとニコニコしている妙高姉さん、堅実な那智姉さん、ガンガン攻める足柄姉さん。
 今日の夕飯担当は足柄姉さんに決まりそう。カレーはこの前食べたから、カツとじがいいな。

「もう半荘! もう半荘しましょ!」

「何だ足柄、デザートまで作るつもりか?」

「次は絶対に負けないわ!」




 カツとじとフルーツ白玉はとっても美味しかった。
640 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 15:00:25.04 ID:eWeWcF970
「羽黒」

「何?」

「提督とはうまくいっているの?」

「何でそんなこと急に聞くの?」

「足柄はともかく、貴女もそういう気配が見えないから少し心配になってしまって……」

「そ、それは流石に姉さんでもあまり気にしないで欲しいな……後、足柄姉さんももうちょっと気にしてあげて」

「ごめんなさい。ちゃんとうまくいっているのならいいの」

「大丈夫、昔の私じゃないから」

「そう……もう書類と指輪を握り締めて気絶していた貴女じゃないものね」

「その話はやめて、思い出すと今でも恥ずかしいの!」

「ふふふ、最初はあんなに私の陰で震えていたのに」

 ダメだ、こうなったら妙高姉さんの話は長いし、色々恥ずかしい。何かで気を逸らさないと。

「――そういえば、足柄姉さんがこの前“勝負下着を買った”って言ってたよ」

「勝負下着……? 足柄、足柄!」

 よし、これでもう大丈夫。お風呂入ってこよ。




 今までは、背中にずっと隠れていた。だから、これからはちょっと前に出て姉さん達を振り回してみよう。
 それが私の精一杯の、姉孝行です。
641 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 23:47:49.28 ID:eWeWcF970
・由良『艦娘であるということ』、投下します
642 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 23:48:16.21 ID:eWeWcF970
 単装砲が好き。ゆらゆらと揺れる水面が好き。綿菓子みたいな雲が好き。皆が好き。ここには私の好きなものがいっぱいある。
 提督さんはいつだって私の好きを馬鹿にしなかった。ただ、笑って受け入れてくれた。
 でも、ふと最近思うことがある。




「提督さんは、艦娘じゃない私でも好き?」

「何だ急に」

「好き?」

「そうだな……お前は俺が提督じゃなかったとしても、好きか?」

「質問に質問で返すのは良くない」

「ちゃんと俺は答えたぞ」

「……提督じゃなかったら、まず出会えてないと思う」

「あぁ、そういうことだ」

「……えい」

「由良、今度はな……ぐ……お……折れ……」

「提督さんと会えないとか、嫌」

「だい……じょぶ……だから……力……抜け……」

「……うん」

「っはぁ……悪い、不安にさせたか?」

「うん」

「俺が言いたかったのはな、そんなものはただのきっかけに過ぎないってことだ」

「艦娘なのが、きっかけ?」

「学校が同じ、家が近所、趣味が一緒、共通の友人がいる、そういうのと一緒だ。それが無かったら出会わないかもしれんが、それで好きになったわけじゃない」

「提督さんは、私が私だから好きになってくれたの?」

「まぁ、そうなるな」

「瑞雲は別に好きじゃない」

「ボケにマジで返すな」

「だって、好きって聞きたい」

「……お前はどこか掴み所が無いように見えて、真っ直ぐだな」

「難しいの、疲れるから」

「そういうところに、やられたのかもしれん」

「私は、握手してくれたあの時からずっと好き」

「……もうそろそろ許してくれないか?」

「好き」

「……あぁ、俺も好きだ」

「うん。ずっと好きでいてね、ね?」




 艦娘で良かった。
 だって、こんなに大好きな人と出会えたから。
643 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/19(金) 23:52:41.31 ID:eWeWcF970
次のリクエストは明朝マルハチマルマルより三つ受け付けます

五隻着任確定、後数隻未定
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 02:08:35.88 ID:JEnssBJhO
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 08:00:01.27 ID:TgTq8o9co
鳥海
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 08:00:07.91 ID:9R6KP/ENO
松風
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 08:00:35.44 ID:te36TFBto
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 08:03:15.99 ID:TgTq8o9co
訂正可能なら響でお願いします
649 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/20(土) 08:18:47.36 ID:drv7KaU8O
・響『悪くない』

・松風『ハイカラさん』

・漣『スカウト』

以上三つでお送りします
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 11:39:59.39 ID:ipY4jdXyo
ね!
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 18:49:47.82 ID:wnhDFETSO
了解です
652 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/22(月) 22:08:09.77 ID:sn78/4RX0
「司令官、お願いがあるんだ」

「何だ?」

「友人が訪ねてきたんだが、部屋に泊めてもいいかい?」

「悪いが流石にそれは許可出来ん。寮は一般人の立ち入りしていい範囲じゃない」

「そうか。なら、問題ない」

「……待て、嫌な予感がしてきた」

「紹介するよ、ロシアに行った時の友人で――」

「Гангут級一番艦、Гангутだ。よろしく頼む」

(落ち着け、泊まるだけだ、泊まるだけでコイツは帰るんだ)

「……分かった、泊まるだけなら許可する。一応そっちの国に連絡は入れるが、問題ないな?」

「あぁ、当然許可は得ている。こちらにも事前に連絡があったはずだが?」

「そんなものは……いや、なんとなく察した。どうせいつものだ」

「? とりあえず、少しの間だが世話になる。こちらに迷惑はかけないと約束しよう」

「じゃあ部屋に案内するよ、こっちだ」

「確か四姉妹だったな、会うのが楽しみだ」

(……まともに見えたが、何にせよちゃんと帰国するなら問題はないか)




 この時のことを提督は後にこう語っている。“長門だって、最初は普通だったな”と。




――――Гангутが鎮守府に遊びに来ました。
653 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/22(月) 22:08:47.98 ID:sn78/4RX0




 これは、まだ私が物だった頃のお話。




654 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/22(月) 22:09:23.56 ID:sn78/4RX0
 “人には心がある。だが、お前達兵器には心がない。だから何をしても許される”、それが、艦娘になって初めて貰った言葉。
 酷い話よね、そういうことにしてしまえば罪悪感から逃れて自分を正当化出来るんだもの。
 殴っても、蹴っても、叩いても、絞めても、焼いても、刺しても、切っても、突いても、犯しても、血を流しても、泣き叫ばれても、罵倒されても、許してと懇願されても、いっそ殺してと哀願されても、物相手なら心は痛まない。
 心の中でこう思ったわ、一体どっちが物なのかしら、って。
 朝も、昼も、夜も、ただただ物として扱われる日々。薄めて使われているのか分からないけれど、一日一回頭から被せられる修復材でも消えなくなっていく傷。
 次第に本当に物みたいになり始めて、考えることも放棄し始めた頃、見慣れない人と艦娘が部屋に入ってきた。

(かんむすをみるのはいつぶりかしら……あのこもものなのかしらね)

 どうでもいい、どうせ何かが変わる訳じゃない。そう思って目を閉じようとした瞬間、暗い海の底のような部屋の中に光るものが見えた気がした。
 ――涙って、綺麗なのね。
655 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/22(月) 22:09:53.12 ID:sn78/4RX0
「はい、採寸終わったわ」

「ありがとう、荒潮」

「それにしても、吹雪は胸が小さいままね〜」

「気にしてるんだからそれ言わないでよー」

「ふふふ、下着も用意しましょうか?」

「……考えとく」

「じゃあ服は出来たら部屋まで届けるから、待っていてちょうだい」

「ありがとう、また今度お礼するね」

「えぇ、楽しみにしているわ〜」

 プラス1センチ。微かでも、差はあっても、私達は人と同じ様に成長している。
 身体に刻まれた傷はそのままだけれど、それも含めて私。心の傷は司令官と皆が癒してくれたし、“手”に怯えることもなくなった。
 ヤンデレなんて言われることもあるけど、どうしようもなく火照っているのに相手してくれない司令官が悪いんじゃないかしら。
 最初は触れられそうになるだけで吐き気がしていたのに、今では軽く触られるだけですぐ達してしまいそうになる。

(……服を作り始めたの、欲求不満を解消するのが本当の理由なんて言えないわね〜)

 夜通し作業する時は、絶対に誰も作業場には入れない。
 ――だって、そういう趣味はないもの。
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/23(火) 08:38:04.26 ID:g03ys6Rao
おつー
657 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/28(日) 13:26:47.58 ID:vx39ZGTc0
・響『悪くない』 、投下します

その頃部屋で冷房ガンガンにされて暁はくしゃみをしていた
658 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/28(日) 13:27:48.81 ID:vx39ZGTc0
「響だよ」

「……突っ込まんぞ」

「不死鳥の通り名もあるよ」

「わざわざその達筆な偽ラベル作って貰ったのかお前」

「信頼の名は伊達じゃない」

「そういうところで信頼得てどうしたいんだよ……」

「司令官が気を良くして一緒に飲んでくれるかもしれないだろ?」

「水に一滴垂らす程度なら飲んでやる」

「酔った司令官が見たいんだよ」

「何度か醜態を晒したからもう絶対酔う程は飲まん」

「どうしてもダメかい?」

「ダメだ」

「……分かった、今日のところは諦めるよ」

「悪いな、付き合ってやれなくて」

「いいさ、その代わり別のお願いを聞いてもらうよ」

「出来る範囲でなら聞いてやる」

「……欲しい」

「ん?」

「お姫様抱っこというのを、して欲しいんだ」

「……酔ってるのか?」

「私だって、そういうものに憧れたりもするんだよ」

「お姫様抱っこか……長くは無理だぞ」

「して貰えるなら文句はないさ」

「じゃあこっち来い」

「……うん」

「――よし、いくぞ」

「あぁ、いつでもいいよ」

「せーの、っと!」

(これが、お姫様抱っこ……流石に人前でされるのは恥ずかしいな)

「ど、どうだ? ご期待にはそえたか?」

「悪くない」

「そうか、もう下ろしていいか?」

「後五分」

「無理だ」

「三分」

「落とすぞ」

「――じゃあ、これでもう少し頑張ってくれ」




――――頭がクラクラする……。

 ――――そんなに刺激的だったかい?

――――刺激的で酒の味がするキスをどうも……。

 ――――次はウォッカ味にしよう。

――――マジでやめろ。
659 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/28(日) 13:29:06.06 ID:vx39ZGTc0
「司令官、居る?」

「何だ?」

「友達が遊びに来てるんだけど、泊めちゃダメ?」

「……さっきもこの流れだったんだが、もしかして艦娘か?」

「うん、イギリスの艦娘さんなの」

「泊めてもいいがちゃんと国に帰らせろよ」

「すっごく綺麗よ?」

「ここは艦娘の駆け込み寺でも保健所でもない」

「とにかく泊めるわ、また後で本人にも会ってあげてね。ここまで来るのは大変そうだから」

「あぁ、分かった」

(……来るのに大変ってどういう意味だ?)




――――イムヤの友達のエリザベスが遊びに来ました。
660 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/05/28(日) 13:29:47.99 ID:vx39ZGTc0
「ボク、大きくなったらお姉ちゃんとけっこんするー」

「ほわー、文月と結婚したいのー?」

「うん!」

「ありがとー。でも文月ねー、もう結婚してるんだー」

「えっ、やだやだーボクもお姉ちゃんとけっこんしたい!」

「ごめんねー」




「小さい子にモテるな、文月は」

「長月とは違ってな」

「餌付けされているのもどうかと思うぞ」

「アレは好意を無下にしない為に受け取っているだけだ」

 ――よーし、当て鬼するよー。

 ――文月姉ちゃん手加減してよ?

 ――大丈夫大丈夫ー。

「ちゃんとお姉ちゃんしてる文月、か」

「姉だぞ、私達の」

「そんなことは分かっている」

「……文月は、アレでいいんだ」

「そうだな」

 ――あーやったなーお返しするよー?

 ――ちょっ、タンマ!さっき手加減するって言ったじゃん!

 ――大丈夫だよー。

「……無邪鬼だな」

「鬼級ぐらいなら御しやすいんだが」

「違いない」
661 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/04(日) 20:21:17.44 ID:6EouTNtnO
「気付いたら三年経ってた、時の流れって恐ろしいな……」

「こっち見ながら言わないで、老けたって言われてるみたいだから」

「姉さんはまだまだ老けとらんよ、大丈夫じゃ」

「何はともあれ更新がなかなか出来てないのに未だに付き合ってくれてる読者には感謝している、ありがとう」

「最近少し書いては寝落ちの繰り返しで全然進まないものね」

「ネタはあるのに文章にする気力がなくてな……」

「ストックは二桁あるのに勿体無いのぅ……」

「明日は久々に身体が動ける半日休みだから更新する」

「優しい心を振り撒きながら通る松風の話ね」

「映画化見てビックリしたわ、タイムリー過ぎて」

「脱線しとるよ、それじゃあこれからも続けられる限り続けるけぇ、見たってね」
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 23:09:50.26 ID:CkCDotC9o
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 07:23:41.64 ID:S8mCSXJ5o

もう三年も経ったのか……
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/05(月) 10:06:28.70 ID:qlQ8v5FSO
乙です
665 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/05(月) 21:22:56.91 ID:g0cHkI0T0
・松風『ハイカラさん』 、投下します

いずれ誰かの顔に草履の跡をくっきりと残すかもしれない
666 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/05(月) 21:23:47.37 ID:g0cHkI0T0
「あーハイカラさんだー」

「ハイカラさん、って僕のこと?」

「そうだよー前にアニメで見たの」

(何だか少し間違えてるみたいだけど、まぁいいか)

「それで、僕に何か用?」

「うん、文月と一緒に遊ぼ」

「姉貴が来るのをただ待つってのも暇だし、いいぜ」

「じゃあ真似っこしよー」

「真似っこ?」

「んとねー、ここにいる皆の真似っこするんだよ」

「まだあんまりここの艦娘がどんな奴等か知らないぞ」

「だったらあたしが教えたげるね」

「うん、頼む」

「まずは天ちゃん!」

「天ちゃん?」

「ふふ、怖いかー?」

(あぁ……天龍さんか)

「次、ハイカラさん」

「僕にもやれって?」

「うん!」

「……ふふ、怖いか?」

「うん、上手上手ー」

(上手なのか……)

「次はねー夜戦さん」

「それで誰か分かるのも凄いよな」

「木をねーこうやって登るの」

「……まず僕はそんなクナイ型魚雷持ってないし、垂直に3メートルも飛べない」

「ほわーそうなのー? じゃあ文月と特訓だねー」

「特訓?」
667 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/05(月) 21:24:14.77 ID:g0cHkI0T0
「キミ、ちょっと聞きたいことがある」

「松風か、どうした?」

「ここの艦娘はアレが普通なのか?」

「何を以て普通とするか知らんが、ちょっと特殊な奴等が多いのは確かだな」

「それを聞いて少し安心したぜ。海の上なら僕もそれなりだと自負してるけど、陸の上であんな動き出来るのが普通ってんなら自信を無くしてたところだ」

「誰を見てそう思ったんだ?」

「文月」

「あぁ、じゃあ“真似っこ”したのか」

「アレはどういう理屈なんだ」

「理屈で説明しろってんならそういう才だ。見たものをそのまま吸収する。本人は遊びの延長程度にしか思ってないが」

「それはつまり、ここの艦娘の誰かが出来るってことか」

「見てないものは真似っこ出来ないからな、まぁそうなる」

「そうか……くっ……ふふ、あーはっはっは!」

「急に笑いだしてどうした」

「やっぱりここへ来て良かったよ、姉貴達が来るまで退屈することはなさそうだ。引き留めて悪かった、文月を探してくる」

「文月と遊ぶのはいいが、変なこと教えるなよ?」

「大丈夫だよ、じゃあね」

(……昔の記憶とは関係無さそうだし、問題ないな)




「えへへー待て待てー」

「そう簡単に捕まらないよ!」

「文月、楽しそうなのね」

「新しい遊び相手が増えると、いつもはしゃいでたもの」

「ほわー文月、ちょっと本気出しちゃうよー」

「本気? はっ、そうこなくっちゃ面白くない!」

「あら、風通しが良くなっちゃったわね」

「えっと、明石さんへ、駆逐艦寮の壁が壊れたので、修繕お願いします、と……」

「今日は風が気持ち良いわ〜」

 ――やったーハイカラさん捕まえたー。

 ――まさか三階の窓から飛び降りてくるとは思わなかったよ、やられたな。

 ――ねぇねぇ次は何して遊ぶー?

 ――そうだな……じゃあ的当てでリベンジだ。

 ――うん、いいよー。




 まつかぜ の れんど が 8 あがった!
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 01:17:26.60 ID:WDzA8f2bo
フミィ
669 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 12:15:21.58 ID:4zrqFRwA0
・漣『スカウト』、投下します

赤疲労だって怖くない
670 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 12:16:06.32 ID:4zrqFRwA0
「ちょっとそこ行くお嬢さん、うちの店で働かない?」

「……漣、何やってんだ?」

「スカウト、お給料弾むから頼むよ長波ちゃ〜ん」

「嫌だね、他を当たれよ」

「一回だけ、一回だけだから!」

「お前絶対そのままなし崩しで働かせるつもりだろ、い・や・だ!」

「チッ……かくなる上はっ!」

「ちょっ、何やってんだ!?」

「お願いしますお願いします人手がマジで足りないんですレギュラー後一人居ないとキツいんです」

「分かった、分かったから土下座はやめろ!」

「貴女が神か!」

「……私、接客とかしたことないぞ?」

「大丈夫だ、問題ない」

「いや、あるだろ」

「じゃ、明日からよろしくー!」

「おい漣! ちゃんと色々説明しろー!」
671 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 12:16:33.15 ID:4zrqFRwA0
「――で、言い残すことは?」

「ヘイ長波様、この頭を鷲掴みしているハンドを外して一旦落ち着こ、ね?」

「大丈夫、私はお前(の丈夫さ)を信じてるぜ」

「ノー! ミシミシいってる、ミシミシいってるから! 脳しょうぶちまけちゃらめぇー!?」

「どこぞの怪力達みたいに素手で頭砕く程握力無いっつーの。……で?」

「漣のちょっと本気は凄いでしょ、ね?」

「……」

「いだだだだだだ!?」

「こんな背中丸出しで谷間強調されてて屈んだら見えそうな服着れる訳ないだろ!」

「それでも長波様ならきっと着てくれるって、私信じてるかひゃぎゃあー!?」

「その頭の中にはプリンでも詰まってるのか? ん?」

「その笑顔、マジ怖い」

「ほら、さっさとまともなの出せ」

「……露出低くて屈んだりしても大丈夫なら着る?」

「それならまぁ、衣装も楽しんで貰う店ってのは理解してるし」

「じゃあ更衣室にあるんで、ちゃちゃっと着替えてきてくーださい」

「おい、準備してあるなら最初からそっち出せよ」

「ワンチャン着てくれるかなって」

「断じて無いから!」
672 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 12:17:02.49 ID:4zrqFRwA0
「……おい」

「流石長波様! 着こなしもパーフェクト! じゃあ早速ホールで――」

「ちょっと待てバカなみ、このオマケは何だ」

「何って、肉球グローブと尻尾と猫耳ですが、何か?」

「何で私だけ着けなきゃいけないんだよ!」

「アレ? 言ってなかったっけ? 今日はそういうイベントの日なんで」

「そんなのちっとも聞いてないぞ!」

「露出は低くて屈んだりしても大丈夫、注文はクリアーしてるし問題ナッシッング、でしょ?」

「うっ……それは、そうだけど」

「あれれー長波ともあろう者が言ったことを曲げちゃうのかにゃー?」

「うぐっ……分かった、分かったよ! これ着けてやればいいんだろやれば!」

「オッケーではではよろしくお願いしまーす」




 翌日、秋雲のアシしてる方がマシだと魂の抜けた表情で口にする長波の姿があったそうな。
673 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 12:17:34.56 ID:4zrqFRwA0
「長波落とすとかやるじゃん漣」

「どこぞの漫画家が出す無茶苦茶な注文をこなす万能アシが居るって聞いたら、即スカウトしかないでしょ」

「最近色々あって忙しそうだもんな、どこの店も」

「働いてる鎮守府がブラック過ぎて私はもうダメかもしれない」

「それ、ネタって分からないと袋叩きされかねなくね?」

「相手選んでるからへーきへーき」

「――鎮守府イベントの収入とかってどうなってんの?」

「今んところプラマイゼロ、宣伝費って割りきってるからモーマンタイ」

「月トータルでのプラスは?」

「微増傾向、ビスマルクさんのところみたいにオープンテラスも追加しないとキャパ上限でそろそろ頭打ち」

「それで長波投入って訳か」

「何人か他に候補は居たけど、うちの面子と組むなら長波かなって」

「こっちも忙しい時期は貸さないかんね?」

「大丈夫、秋雲の制服も用意したから」

「それなら安心安心……はぁ!?」

「たまには観察する側から観察される側に立ってみるのも、ありだと思うの」

「……でジマ?」

「でジマ」

「……際どいのは勘弁して」

「どの口で言ってんの?」




 月月火水木金金、疲労がなんだ、忙しいのがなんだ。
 三百六十五日、恋する乙女の本気は凄いんだから。
674 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 12:19:24.24 ID:4zrqFRwA0
次のリクエストはヒトナナマルマルより三つ受け付けます
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 17:00:21.52 ID:tGM8FBiLo
伊8
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 17:00:21.55 ID:uVgFngBP0
五月雨ちゃんお願いします!
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 17:30:40.85 ID:5cTFhOzSO
鈴熊航改二でお願いします
678 : ◆UeZ8dRl.OE [saga sage]:2017/06/11(日) 17:46:00.95 ID:4zrqFRwA0
・伊8『積み本の山』

・五月雨『私を集めたら最上さんになるんですか!?』

・鈴熊『資格給』

以上三本でお送りします
679 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/25(日) 23:59:19.19 ID:xMR0hBDa0
・伊8『積み本の山』、投下します

メガネ×スク水×白衣?
680 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/26(月) 00:00:26.64 ID:rrDMXnbz0
undefined
681 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/26(月) 00:02:19.78 ID:rrDMXnbz0
undefined
682 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/26(月) 00:04:58.51 ID:rrDMXnbz0
とりあえず買う。そして積む。買う。積む。買う。積む。積む。積む。
 つむつむと書くと繋げれば消えそうだが、実際は溜まる一方で減りはしない。
 片っ端から色々な場所に寄贈しているものの、それすら追い付かない。
 挙げ句の果てには他鎮守府のハチとネットワークを作り本を交換し始め、更に収拾がつかなくなっていた。 
 流石にこれはマズイとイムヤ達が提督に相談した結果、彼女は今とある場所に連れてこられていた。

「提督、ここは?」
 
「どっかの兎がコツコツ貯めた金を使って建てた施設だ。歳を取ると、こういうことがしたくなるらしい」

「それ、聞かれたら首刈られますよ」

 自分達の住む場所で聞きなれた、元気な子供の声。その施設の敷地に二人が足を踏み入れると、声はピタリと止んだ。
 
「……どちら様ですか?」
 
「警戒しなくていい、兎のお姉ちゃんの知り合いだよ。今日はアイツに頼まれてな、コイツを連れてきた」

 周囲の子供より少し年上と判断できる少女が、恐る恐る二人の素性を尋ねる。明らかにその後ろで怯えている子供達の警戒も解こうと、提督はしゃがんでから笑顔でここの事実上の責任者と知り合いだと告げる。
 その態度よりも寧ろ、横に立つハチの似合わないことをしているなという顔を見て少女は警戒を解いた。

「話は聞いてます。こちらへどうぞ」
 
 広い庭の奥に見える建物へと歩いていく栗色の髪の少女。その背を追いながら、ハチは提督に問うような視線を送るが、頭を振って答えるだけだった。
683 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/26(月) 00:05:43.43 ID:rrDMXnbz0
「よく来たね、あの嬢ちゃんから話は聞いてるよ。そっちの子がそうかい?」
 
「えぇ、期待に添えると思いますよ」

 通された部屋で待っていたのは、絵本に出てくる魔女のような老婆だった。ニタリと笑うその魔女にハチを差し出す提督。
 どういうことか説明してくれと今度は涙目で訴えるように見てくるハチに、彼は先程案内してくれた少女を視線で示した。

「お前の得た知識、どうせなら役立ててみないか?」
 
「その子の先生になれ、ということですか?」
 
「その子だけじゃないよ、ここの子全員さね」
 
「人に教えた経験なんて無いです」
 
「別に教師になれとはいってない、ただお前が知っていることを話してやればいいんだ」

 言葉にしての会話と、言葉にしない会話。鋭い眼で二人の会話を聞く老婆は、昔から知っているひねくれものの人を見る目は濁っちゃいないと再認識していた。

(この子達の事情を真っ先に聞こうとしたらすぐに叩き出そうと思ったんだけどねぇ、一応頭は使えるみたいじゃないか)

「――連れてこられた理由は分かりました。でも、それは私じゃなくてその子達が決めることじゃないでしょうか」

「だそうだよ。アンタはどうだい?」

「……私は――」
684 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/26(月) 00:06:24.20 ID:rrDMXnbz0
「まず、自己紹介からしましょう。私はハチ、はっちゃん、アハト先生と呼んでください」

「ハチさん、何でスクール水着の上に白衣を着てるんですか?」

「先生気分を出すためです」

「……この人に頼んで良かったのかな」

「次は貴方の番ですよ?」

「まいな、十四歳、趣味は創作料理です」

「まいな、ですね。ではまいなの知りたいことを教えてください。どんな話が聞きたいですか?」

「ハチさんの、ハチさんの話を聞かせてください」

「いいですよ。私の話、私の仲間、鎮守府のことを話しましょう」

 一から、最初から、物語を読むように、ハチは話し始める。大鳳が子供達に聞かせたよりも、少し深いことも含めて、少女に語る。
 楽しかったこと、苦しかったこと、辛かったこと、一つ一つ伝えていく。
 昔は少しおバカな面も見せていたハチも、今では幅広い知識を手に入れている。だからこそ、これが少女にとってとても大切なことだと理解出来た。

「――こうして、はっちゃんは提督に恋しました」

「のろけ話が大半だった気がするんですけど……」

「学校とかじゃ教えてくれないことです」

「いや、そういう問題じゃねーだろ」

「なるほど、そっちが素なんですね」

「あっ……乱暴な言葉遣いしたのバレたらお小遣い減らされるんで、シスターには黙ってて下さい」
 
「ふふっ、女の子同士の秘密、です」

「ハチさんって、何歳になるんですか?」

「……永遠のアハツェーンです」




 本は相変わらず積まれている。だが、今まで読まれるだけだったそれは、教科書という別の役割を持つようになった。
 ――さて、今日はどれを話の種にしようかしら。
685 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/06/26(月) 00:09:58.21 ID:rrDMXnbz0
スマホ変えてエラー猫に襲われただけなので失敗した書き込み二つは気にしないでください
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 11:47:36.34 ID:rsM67BBRo
おつかれなのー
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 11:52:06.17 ID:qpULeVBSO
乙です
688 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/07/10(月) 23:21:19.30 ID:a8Wzxblz0

・五月雨『私を集めたら最上さんになるんですか!?』、投下します
689 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/07/10(月) 23:21:44.70 ID:a8Wzxblz0
「そんなことになったらスーパー超絶ドジっ子な最上の出来上がりだな」

「何人集まったらなっちゃうんですか? 教えてください提督!」

「そもそもドジって合体出来ないってオチしか見えないから心配しなくていい」

「最近は一日に二回しか白露姉さんにぶつかってませんし調味料も一つしか入れ間違えなくなったんだからそんなにドジって言わないでください!」

「あーはいはい、悪かったから怒るな怒るな」

「もう……でも、今はドジで良かったかもって思っちゃうときもあるんです」

「そう思えるなら、それでいいんだろうさ」

「はい、これからもたくさん迷惑かけるかもしれませんけど、宜しくお願いします、提督」

「あぁ――早速で悪いが、とりあえず秘書艦業務出来る服に着替えてこい」

「?……あっ!? すぐに着替えてわきゃあっ!?」

「……寝巻きで駆け込んできたのと、書類にコーヒーぶちまけたのは、その捲れて見えてるパンツではチャラにならんぞ?」

「うぅ……ごめんなさーい……」

「白」

「……興奮、しちゃった?」

「いや、朝早くから書いててようやく終わった書類がコーヒーまみれになった俺の頭の中と一緒の色だと思っただけだ」

「……えへ」

「可愛いな、だが許さん」

「わーん、ごめんなさーい!」
690 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/07/10(月) 23:22:13.45 ID:a8Wzxblz0
「五月雨がいっぱいとか、日本吹き飛んじまうね」

「国が吹き飛ぶほどじゃないもん」

「ドイツって過ごしやすいかな……」

「白露、長女が逃げちゃダメだよ」

「一蓮托生っぽい?」

「そもそも一ヶ所に集めることすら難しいんじゃないかしら?」

「五月雨、方向音痴だもんね」

「ンなことより夕飯まだ?」

「ちゃんともうおかずは作ってあるから、ご飯が炊ければ――」

「炊飯器、動イテナイゾ?」

「えっ!? 嘘!?」

「やっぱり、五月雨は一人で十分だわ」

「とりあえず、江風が我慢できそうにないから夕飯にしようよ」

「ねぇねぇ五月雨、因みに今日の献立は?」

「明太子、明日葉と卵の炒め物、豚肉の味噌漬け、大根のお味噌汁です!」

「……米、必須じゃん」

「私、どこかで余ってないか聞いてきます」

「春雨食エバ解決ダロ」

「それは貴女と春雨だけね」

「……ごめんね」

「謝る暇があったら料理暖めてきなって、今日のは今までで一番の出来って言ってたろ?」

「へー、それは僕も楽しみだな」

「夕立も早く食べたいっぽい!」

「……はい!」



 五月雨を、集めてはやし、最上川。
 激流になっている間はとても危険で近寄りたくないかもしれないが、いずれ穏やかな姿を見せる。
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/11(火) 21:39:16.98 ID:STX1hRRko
>スーパー超絶ドジっ子な最上
いつもより多く三隈にぶつかってそう

乙カレー
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/12(水) 09:48:47.67 ID:0uGaco1SO
乙です
693 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/07/22(土) 01:14:53.79 ID:S2GLzvb50
 風雨に晒され、時の流れのなかで、朽ちていく。それが自然の理で、誰であっても、何であっても、逆らえはしない。
 歴戦の艦娘であればあるほど、何かしらの不調をその身に抱えて生きている。
 ――彼女も、そんな艦娘の一人である。




「初めまして、Admiral。私がElizabethです」

「イムヤから話は聞いてる。滞在中は好きに鎮守府の施設は使ってくれて構わない。ただ、外部の者には立ち入りを許可していない区域もあるというのを理解してもらえると助かる」

「えぇ、心得ているわ。Don't worry、イムヤに迷惑がかかるようなことはしたくないもの」

「あぁ、そう言ってもらえると有難い。――因みにこれは確認だが、手を貸すのは無礼にあたるのか?」

「純粋な好意や善意を無下にするようなことはしないわ」

「そうか、うちにはお節介焼きが多いんで念のために確認させてもらったが、問題無さそうだな」

「ふふ、Dinnerぐらいは私のペースで食べさせてもらえるのかしら?」

「そこまでじゃ……ない、多分」

「――イムヤから聞いてはいたけれど、本当に不思議な人ね」

「普通だぞ、ただのどこにでもいる軍人だ」

「普通のAdmiralは国を越えて名前が知れ渡ったりしないわ」

「普通の艦娘も国を越えてその武勇が伝わったりしないけどな」

「……Sorry」

「こちらこそ悪かった。ここではエリザベスとしてもてなすから、安心してくれ」

「Queenとして?」

「跪いて手の甲に口付けでもすればいいのか?」

「面白そうだけれど、イムヤに怒られそうだからやめておくわ」

「そりゃ残念だ。じゃあゆっくりしていってくれ、お姫様」

「えぇ、そうさせてもらうわ」




(あの作戦で無理をし過ぎて解体されたと聞いていたが、生きてたのか……イムヤの奴、どうやってイギリスの神器なんかと知り合ったんだ?)
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 22:52:53.42 ID:3my/5BI2o
おつん
695 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/08/03(木) 00:17:14.72 ID:J7Sg5r270

・鈴熊『資格給』?、投下します

インテリア家具
696 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/08/03(木) 00:18:28.77 ID:J7Sg5r270
「あり得ませんわ!」

「いや、仕方ないじゃん? お給料も上げてくれるっぽいしさ」

「仕方なくありませんことよ!」

「……話を続けてもいいか?」

「あーはいはい、続けてー」

「改二で軽空母になれば、偵察機よりも監視の精度は上がる。今までとは艦装がだいぶ変わるが、警備員の仕事には差し支えないだろう」

「提督的にはそれで問題ない感じ?」

「お前らが航巡だろうが軽空母だろうが、有事の際にはそれに合わせるだけだ。鈴谷と熊野が望んだことなら、何も問題はない」

「だから、私は納得出来ませんわ!」

「ドラム缶部屋に持っていっていいからちょっと落ち着け」

「部屋に……それは素敵ですわね」

「ちょっ、鈴谷も相部屋なんだからやめてって! 部屋にドラム缶とかちょー邪魔なんですけどー?」

「インテリアとして見ればよろしくってよ」

「話を戻すぞー。今までも陸奥や長門では即座に察知できない案件に対応して貰ってきたが、軽空母なら更にカバー出来る範囲も増えてくる。それに応じて若干支給額に色を付けていいと大淀達も認めている。後はお前達がどうありたいかなんだが、どうする?」

「鈴谷はなるよ、軽空母」

「熊野は?」

「……ドラム缶、約束でしてよ?」

「……本当に置くのか?」

「鈴谷はんたーい!」

「先に勝手に決めたのは鈴谷ですわ。私も勝手に決めます」

「別に鈴谷だけなってもいいし」

「そんなの絶対許しませんことよ」

「続きは部屋でやれ、明石と夕張には伝えておく」

「熊野はドラム缶と仲良くしてればいいじゃん」

「この前の賞味期限ギリギリのプリンのことまだ根に持ってますの?」

「べっつにー」

「……いいから部屋に帰れ!」
697 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/08/03(木) 00:19:32.85 ID:J7Sg5r270
「熊野ー」

「何ですの?」

「嫌なら別にいいよ、無理してなんなくて」

「別に嫌じゃありませんわ」

「大好きなドラム缶、標準装備出来なくなるよ」

「無理矢理載せます」

「いやいや、流石に無理……ってここじゃ言い切れないのが怖いわー」

「鈴谷にも載せてあげてもよろしくってよ?」

「あっ、うん、大丈夫」

「……どうして、今更新しい改装の話など出たのか不思議ではなくて?」

「そりゃーアレよ、もしものためってやつ?」

「もしも、なんて考えたくもありませんわ」

「そう難しく考えなくてもお給料弾んで貰えてラッキー、でいいじゃん」

「……鈴谷はいいですわね、悩みが無さそうで」

「これでも鈴谷ちょー悩み事あるんですけどー?」

「明日のランチや次に遊びに行くのはどこがいいか、とかではなくって?」

「そういうのも大事じゃん」

「はぁ……呆れてものも言えませんわ」

「じゃあ鈴谷が勝手に決めて良いよねー」

「ちょっとお待ちなさい! 私は次こそロイヤルホストがよろしくってよ!」

「えー、それならサイゼでいいじゃん」

「今回ばかりは譲りませんわ!」

「鈴谷今月あんまりお金使いたくないんですけどー……」





 知っていましてよ、今の仕事にやりがいを感じていること、軽空母になれば万が一の時も直ぐに探せると考えていること。
 ずっと隣に居て気付かないとかあり得ませんわ。お調子者に見えて実は真面目で、嘘が下手なんですから。
 心配されて悪い気はしないけれど、私だって同じ様に大切に思っていることを忘れないで欲しいですわ。
 ――それにしても、ドラム缶、どこに置くのが一番ベストか悩みますわね。
698 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/08/03(木) 08:38:23.92 ID:J7Sg5r270
次のリクエストは今日のヒトフタマルマルより三つ受け付けます
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 09:57:31.69 ID:vB0LGmHD0
了解です。
それにしても熊野のドラム缶愛は誰にも止められないな
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 12:00:00.27 ID:OdkJpgljO
天津風と汗だくセックス
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 12:00:11.20 ID:vB0LGmHD0
赤城さん(R18)
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 12:00:17.83 ID:ZvVmp89BO
秋月
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 12:00:37.25 ID:6HQ3mvW5O
衣笠
704 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/08/03(木) 13:40:44.01 ID:J7Sg5r270
・天津風『真夏の秘め事(R-18)』

・秋月『妹が個性的すぎて私の影が薄い気がする』

・衣笠『衣笠丼』

以上三本でお送りします
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