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【R-18】由比ヶ浜結衣はレベルが上がりやすい
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445 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:47:03.10 ID:xYcbhKqb0
「悪いと思ってる?」
「ハイ」
「本当に?」
「ハイ」
「……別れても仕方無いって思う?」
「ハ……え? い、いやいやいやそれだけはご勘弁を!」
「ふーん……」
え、まさか別れ話に発展する流れ?
いや確かに改めて自分の愚劣さを思い知ったとこだけど。
まさか前向きな決意がこんな展開に……。
やっぱ罪って消えないわ。
マジかよヒッキー最低だな、これは極刑不可避。
そんな風に己の愚かさ、迂闊さ、屑っぷりに改めて打ちのめされ、
トドメの一撃を震えながら待つしかった俺に、
「分かった、じゃ許したげる」
あっけらかんと、由比ヶ浜はそう告げた。
446 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:49:03.68 ID:xYcbhKqb0
「……へ?」
「許すよ。 正直に言ってくれたし、あたし彼女だし」
「いいの?」
「よくないよ?」
良くないんじゃないか!
また落とし穴に引っ掛かったわ……今日は何度落ちれば気が済むんだ俺。
「よくないけど、でもヒッキーのこと好きなのは本当だし……あたしも、同じだったから」
「同じ?」
「うん……この前言ったじゃん、あたしじゃヒッキーには似合わないって」
……予想外と言うほどではないが、それでもその後の展開のショックで
印象が霞んでいたから衝撃は強かった。
あの時の言葉、確かに由比ヶ浜の根底に疑念がなければあり得ないものだ。
しかし、
「いやでも、それは俺の態度とかが原因だろ、やっぱ俺のせいだ」
「違うよ、あたしだってヒッキーのこと信じられなかったんだもん……きっとあたしも、あんな形でヒッキーと付き合い始めたの、後悔してたんだと思う」
447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:50:45.92 ID:xYcbhKqb0
俯き話す由比ヶ浜の姿に、再び心臓の棘が肥大するのを感じる。
背中を押された、というよりもくっつかなければ身の置き場が無かった。
原因はどうあれあの時の俺達の状況ではそうなるのが道理で、
互いに想い合っていてもそこに悔恨の念が生まれるのは必然だったのかもしれない。
「でもそれからヒッキーに抱き締められて、キスして貰って……それで信じちゃってたんだから、やっぱりあたしってバカなんだよ。 そんなことだけで……ゆきのんのこと、忘れて」
「由比ヶ浜」
でもそんなことはどうでもいいと、さっき言った。
それは嘘じゃない。
「ああなっちまったもんは仕方無いし、俺があいつじゃなくてお前を選んだのは確かなんだ……だからあの時からの気持ちと関係を信じるって、そう言ったろ」
「……いいの?」
「良いも悪いもねぇよ、そもそもさっきまで俺が糾弾されてたんじゃねぇか……悪いのは全部俺で、お前でも雪ノ下でもない。 それでもお前が本当に許してくれるってんなら、それで全部解決だ」
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:54:02.69 ID:xYcbhKqb0
「……うん、分かった」
顔を上げた由比ヶ浜の表情はまだ硬く、眉は内側に寄っていた。
それでもその顔は笑っていて、由比ヶ浜の根っこの真面目さとか、
優しさを何より現している気がした。
やっぱり、俺は由比ヶ浜のことが好きだ。
こんな不器用で、見ててハラハラするくらい優しい女の子。
そんな娘を放っておくことなんてできやしない。
視野狭窄、近視眼、衝動的と言われても構わない。
俺にはこの娘しかいない。
ずっと、ずっと一緒に居たい。
居られれば、きっと――。
「うし、んじゃ暗い話お終いってことで、どっか遊びに行くか」
「え、どうしたのヒッキー……熱でもあるの?」
「いやお前いきなりその反応はどうなんだ」
「だってヒッキーだし。 病院には連れて行ってくれても普段のお世話はしてくれないダメ飼い主って感じじゃん」
攻めガハマモードは継続中ですかそうですか。
あと割と上手いこと言うねコイツ……。
だがその程度で引き下がれるか、気分は初デートのお誘いで気合い入れる男子中学生だ!
つかここで由比ヶ浜を逃がしてしまうと家から逃げる口実の大部分を無くしかねんッ!
449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:56:05.19 ID:xYcbhKqb0
「まぁその通りかもだが、今は時間潰したいんだよ……そういうお題目でも、何なら罪滅ぼしってんでもいいから、どっか行こうぜ。 どこでも好きなとこ連れてくから」
「どこでも、いいの?」
ん? 今どこでもって言ったよね?――何時からか脳内に巣食った獣がねっとり瞳を光らせる。
おう、と反射的に返す前に我に帰った。
安請け合いで破滅パターン入るかこれ!?
「あ、いや、どこでも連れて行きたい気持ちではあるが、その、財布的には手加減して貰えるとだな」
あわあわと甲斐性無しな言い訳を口にする俺である。実際財布は薄かった。
本当に締まらないよなぁ……。
対する由比ヶ浜は、
「えーと、その、多分、そこまでお金かからないと、思う、けど……」
またも俯いて、ぼしょぼしょと語尾を濁らせている。
何、照れてらっしゃる? 可愛いじゃねぇか……。
450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:58:01.59 ID:xYcbhKqb0
しかしお出かけとあらば騒がしいくらいにノリノリな彼女にしては珍しい反応である。
改めて彼氏彼女という関係、或いはデートという現実を意識してしまっているのだろうか?
それとも出費如何は関係無くどこか遠慮するような場所。
……まさか俺ン家に行きたいとか言うんじゃねぇだろうな。
でも、それはそれでいいかもしれないと今は思ってしまっている。
小町の策略に乗ってしまったようで癪ではあるが、
そういう順序を無視した近づき方も俺達らしいかもしれない。
きっと仰天して美人局を疑う両親であるとか、
何時も以上にはしゃぎ回る小町、
そして真っ赤になって縮こまる由比ヶ浜の姿なんかが見られるだろう。
それはきっと悪くないことだ。
――さっきから実に俺らしくなく前向きな考えだ。
今日は朝から緊張と緩和の連続で心臓や神経が麻痺してしまったのかもしれない。
でも、やっぱり過程なんて気にせず結果的にそうなったなら、そんな気持ちを信じても良いんだろう。
そこまで含めて、これが比企谷八幡と由比ヶ浜結衣の一歩目なんだ。
451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 22:59:29.73 ID:xYcbhKqb0
そんな暖かくも清涼な風を心に感じる俺に由比ヶ浜は、
「……ヒッキー!」
俺の腕に抱きつき、
「あのね、あたし……」
顔を真っ赤にしながら、
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/22(日) 23:00:38.90 ID:xYcbhKqb0
「ホテル、行きたい……行こ?」
――ママさん以上の、反物質もかくやという爆弾を炸裂させた。
453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:03:01.14 ID:xYcbhKqbo
以上で本日の投下は終了です、お付き合いありがとうございました。
そして次回、ようやくエロいシーン突入です。
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:04:10.41 ID:gXJgLEBPo
乙
455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:05:28.51 ID:IPnEjKqoo
乙です!
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:13:38.75 ID:Q3czJj/Qo
乙
結局ガハマさんの方から誘うのかーヒッキーに男をみせて欲しかったな
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:30:08.23 ID:xYcbhKqbo
あと珍しく質問なんて来てたので回答をば
他作者の作品ですが、基本そこまで熱心には漁ってないので参考にはならないかもですが
現行なら 結衣「おかえり、ヒッキー」八幡「……いつまでヒッキーって呼ぶんだ」
過去作なら 由比ケ浜結衣「馬鹿にしすぎだからぁ!」
が好き
特に後者は自分がSSを書こうと思った切っ掛けになった作品です
大袈裟かもしれませんが、二次SS特有の軽妙さと楽しさを存分に描きつつも
さり気ない上手さや博識さもあって随分と唸らされました
ガハマさん好きで未読の方には是非ともオススメしたいところ
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:33:44.71 ID:kqBxNA+ko
お疲れ様です
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/22(日) 23:47:09.70 ID:jZnUPNgUO
>>457
お疲れさまです
ID変わってるかもですが質問した者です
主はあくまで結衣スキーなのですね
私もですがその二つもこれも大好きです、応援しております
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/23(月) 08:53:44.21 ID:NiCUhTib0
乙です!
ガハマさんには、もといこの2人には本当に幸せになって欲しい
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/23(月) 13:15:32.04 ID:7GLMAmUf0
乙です
ホテルはお金そこそこかかるのでは……?
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/24(火) 06:26:59.44 ID:9jrGGKe8o
自分のことは棚に上げてあれこれ指図してくる三浦がウザすぎる…
後付でフォローされている感があるけど、序盤のお前は由比ヶ浜ことを体のいいパシリ扱いしたり、
テニスコートを使わせろと横暴な振る舞いをしたりと、わがまま放題のガチ屑女だったじゃねーかよ…
何様のつもりだよ、本気で胸糞悪いわ
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/24(火) 06:37:44.60 ID:W6L1klV8o
何故本編の感想をここに書いた
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/24(火) 07:20:36.18 ID:Bk5N84V0o
いいやつばっかりの世界にいる比企谷想像してみろよ
中学ではただやんわり避けられてるだけだから達観しきれないし由比ヶ浜は手綱放さないから車にも轢かれない、寿退社してるから平塚先生もいない
三浦のパシりもなければ昔の葉山と雪ノ下の確執もないから付き合いはともかく奉仕部作ってない…なにも起きない
比企谷みたいな主人公のラノベ好きならクズ役いないと話にならない
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/26(木) 20:18:09.73 ID:uxEWEu00o
次回更新はエロいシーンだと言ったな、アレは(多分)嘘だ。どうも
>>1
です。
信仰上の都合で「はじめては体より心の触れ合いであるべし」「心で抱け」という教義を
優先する為かなり冗長でオカズには使いづらいシーンになりそうで、長さも相当な気配が
故に次回更新は導入部で、多分今週中の投下になると思います
勿論間に合えば本番にも突入しますが可能性は低いと思って下さい
ともあれ、了承頂けるなら期待せずお待ち下さい
466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/26(木) 20:29:12.04 ID:F0Mfb9g8o
待つ
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/26(木) 21:38:10.38 ID:KmPPvAkT0
待ってる
468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/26(木) 22:02:44.10 ID:R1ovgLyUo
正直いつも文章重くて読むの大変だけどこだわってそうしてるならしょうがないか
気合入れて待ってるわ
469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/26(木) 22:42:47.87 ID:Yek/ayzfo
いいんやでいっちの好きに書いても
470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:22:30.25 ID:MeeibBKL0
ようこそGraf Zeppelin、どうも
>>1
です。
取り敢えず導入部だけは完成したので突発的ですが投下します。
471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:25:25.27 ID:MeeibBKL0
��サァ、サァ��
水の飛沫の連続する音が聞こえる。
しかしその音は壁と硝子、何より暴走気味な俺の心音に阻まれて現実感が伴わない。
夢心地。
今まさに俺は夢を見ているのではないか……そう疑ってしまいたくなる状況。
俺は、少なくとも二年前までの俺はこんな所には生涯来ることはあるまいと思っていた。
一年前の俺でも異次元別世界の城という印象は拭えなかったろう。
それが今はどうだ。
二人用のベッドに腰かける俺は、スマホで必死に男女の営みについて情報収集に勤しんでいる。
隣に投げ出されたコンビニのビニール袋には二人分のお茶ペットボトルと
連なる薄ゴム何枚かを収める小さな箱。
そして音を隔てる壁の向こうには一糸纏わぬ想い人。
472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:27:01.68 ID:MeeibBKL0
悪い夢……とは言えなかろうが、そうなってしまう可能性は十分にあり、
天国と地獄の二つに分かたれた道の幻視が疲弊し尽くした筈の心臓にガソリンをぶちまけた。
シチュエーションとしては三月下旬の俺の部屋と似ているが、
そこに至る心の有り様は、少なくとも俺にとっては別物だった。
満ち足りたい。
幸せになりたい。
迂闊な変化のもたらすそれらとの断絶……膨大な悲観はそのままに、
未来への期待が胸の中で膨らんで思考の容量は破裂寸前。
ラブホテルの一室に大学生が二人。
そんなありふれた筈のシチュエーションは、再スタートしたばかりの俺達に
どんな結末をもたらすのだろうか。
473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:28:51.86 ID:MeeibBKL0
『女なんて皆石地蔵wwwあんあん言ってても全部演技だからwww』
えー。
『男が思ってる以上に女ってエロい。ナニしても感じてくれる』
うーん。
『ぶっちゃけオナニーの方が気持ち良い』
マジで?
『女陰最強。中出しとか気が狂うレベル』
マジで!?
『最強なのは衆道。アレ知ったら女になんて戻れない』
マジかよッッ!!!
474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:30:54.82 ID:MeeibBKL0
……と、一頻り眺めては見たもののなんかどれも嘘臭い。
そもこんな土壇場で匿名掲示板の自称経験者達の意見なんてどれだけ信用したものかって話。
それでも裸一貫・未知の領域で溺れる俺は藁でも掴みたい心境だった。
ある偉人は言った。
「賢者は歴史に学ぶ、愚者は経験に学ぶ」と。
歴史とは客観情報の集積であり、経験はあくまで主観。
故に先人の知識に肖ろうと思えば客観をこそ信用すべし、ということだ。
つまり痛々しい黒歴史を反省したつもりでただ厭世的になっていた俺は
正しく愚者だったというわけだ。全く持ってその通り。
スゲェぜ鉄血先生!
だからこそこうして主観客観問わず情報の洪水である掲示板群を覗いて見たわけだが、
その情報を判別するのもまた俺という主観でしかない……そんな現実を思い知った。
ネットの海は広大だ。
内包する情報を歴史という信用できる単位に編纂するにはまだ時間を要するだろう。
さしあたっては『ネットで分かるHow to SEX』の完成が待たれるところだ。
編纂はよ。
475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:33:32.42 ID:MeeibBKL0
そんな何時も通りの愚考の中、一つの単語がどうしても気になってしまう
セックス。
俺はこれから、由比ヶ浜とセックスをする……のだろうか?
やはり実感が湧かない。
更に言えば「どうにか回避できないか?」と未だに情けないことを考えている自分もいる。
由比ヶ浜とセックスしたくない、なんてことは断じてない。
寧ろしたい。したくて堪らない。
俺の記憶の深くに由比ヶ浜との一時を刻み、由比ヶ浜の純潔を俺の色で穢したい。
極近い未来の展望を考えているだけの今でさえギチギチに張り詰めているくらいだ。
だからこそ怖い。
これほどのパトスを、男性として未熟で至らない己が御しきれるか自信がない。
自分を信じたいと言った。
信じようと誓った。
だがそれはあくまで言葉や決意表明であって、
言えば忽ち強くなるような魔法や呪文ではない。
476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:36:09.81 ID:MeeibBKL0
更に己を御しきれず暴走気味に由比ヶ浜へフェラさせたのが記憶に新しい。
あれほど抗いがたい感触と欲求の先へ進もうというのだ、
今の俺ではレベルが足りないのではないか。
レベル不足の無謀なボス戦の果てに待つのは何か。
再戦はおろかコンティニューすら許されない、
問答無用のゲームオーバーではないのか。
だがここで断り逃げ出す選択肢はない。それは分かっている。
それを選んでしまえば戦いの機会すらなくバッドエンドだ。
俺は本物の狼少年になって大切な人と約束を喪い、己自身の矜持すら守れず、
幸福という境界へ浮かび上がることは二度となくなるだろう。
だからもう、ここは覚悟を決めるしかない。それも分かっている。
なのに不安と悲観は勢いを止めず、それでも期待と楽観も負けず勢力を強め、
俺の脳内心中は濁流さながらに荒れ狂っていっそ統制を放棄してしまいたいくらいだった。
477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:37:29.17 ID:MeeibBKL0
結局スマホでの情報収集は精々『セックス時の男の子のマナー』程度に留まった。
その確認だけでも充分有意義ではあったが身の程知らずにも女の子を喜ばせるテクニック、
決定打を欲していた俺の心を安心させるには至らなかった。
役目を終えたスマホを放り出し、改めて部屋の中を見渡す。
中は意外な程に普通で、いかがわしい空気は感じられない。
それこそビジネスホテルの二人部屋と言われれば納得してしまいそうなくらい。
だが設備諸々はビジネスホテルの範疇ではなく寧ろ少しだけリッチな感じもする。
所々「そういう気遣い」が行き届いてはいたが、それでもただのホテルの一室という空気感は
俺の心を多少なりとも落ち着けてくれていた。落ち着けて濁流なんだけど。
由比ヶ浜と一緒にホテル街へ向かった時、あれやこれと姿を現すお城や館に目が回ったが、
流石にいきなりそんな中世ファンタジーに足を踏み入れる勇気なんぞ無かった。
結局は外装の色だけおピンクなホテルを選んだわけだが、これは正解だったかもしれない。
これでお城選んで、中身が正にSIMPLEシリーズ・THE ラブホテルって感じだったら失神してたかも。
478 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:39:40.65 ID:MeeibBKL0
……あの時、由比ヶ浜の要求は完全に予想外だった。
ここ一ヶ月で二度、由比ヶ浜は俺と男女の繋がりを求めてきた。
形も機会もちぐはぐで決定的な形にはならなかったが、それでも彼女にも性の意識があると、
そんな風に認識していた筈なのに。
俺はまともな回答も出来ず、半ば流されるようにコンビニで必要な物を買って今ここにいる。
ついでにシャワーまで先に貰って済ませた。
頭バシャバシャ濡らしてドライヤーまで使った。
バスローブか浴衣のような寝間着部屋着も用意されていたが、
わざわざ着るのも変に緊張して結局は着てきたシャツとズボンに納まった。
いずれ避けられぬ事態ならば、男の俺が甲斐性を見せるべきだったろうか?
理想としてはそうなのだろうが、それでも今の俺にそれが出来るかと言われれば……。
人生万事塞翁が馬。
なるようにしかならないならば流れに身を任せていいのでは?
しかし昨日の今日で全てを割り切れるほど俺は子供でも大人でもない。
ケセラセラ。
ケセラセラ。
俺の人生を操ってきた神か悪魔がそんな風に笑ってる……気がする。
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:41:06.22 ID:MeeibBKL0
そして、悶々懊悩とした俺の内面など関係無く水の音が止んだ。
それだけで心臓ごと身体がハネた。
もう逃げられない、そう告げられた気がした。
痛いくらいに勢いを増す血流と心音を感じながら、ただその時を待つしかなかった。
やがてシャワーを終えた由比ヶ浜が姿を現し、視認した俺の時は停まった。
「お、おまたせ……」
バスローブとか浴衣、じゃない。
バスタオル一枚、身体に巻き付けただけだった。
「…………」
言葉が出ない。
濡れたばかりの柔肌なんて目には毒でしかないのに、それを隠す布の面積はあまりに小さい。
根本近くまで覗く太股。
隠しきれず零れそうな胸の谷間。
上気した肌の色と殊更赤く染まる頬。
そして濡れた髪は、いつものお団子を解いて肩まで真っ直ぐ伸びていた。
元より童顔な由比ヶ浜だが、何時もはその髪型が彼女の少女性を象徴しているように見えていた。
それが解かれて、濡れて、由比ヶ浜は『女』になっていた。
童顔はそのままに肉の質感を強く持つ身体とその髪のギャップで、今度こそ俺は打ちのめされた。
……魅力と凶器は、紙一重だ。
480 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:42:09.09 ID:MeeibBKL0
「……あ、あんまり見ないでよ」
由比ヶ浜の一言で我に返るが、それへの返しは、
「――お前は何を言っているんだ」
の一語だ。
「そ、そんな恰好で、お前……見られない、とでも、思ってたのかよ」
「そう、かな……あたし、そんなに自分の……自信、ないし」
「お前は何を言っているんだ」
思わず突っ込みが一字違わずリピートした。
そんな立派なメロンとお肉があって「この村に名産品はありません」とか通るわけねぇだろ!
今すぐむしゃぶりつきたいくらいだわ!
「えと、この後のこと、か、考えたら、あんまり着ない方がいいのかなって、思ったんだけど」
「あ、そ、そう……」
はじめての前にもじもじし出す俺の彼女が可愛すぎる件について。
……ただのリア充じゃねぇか、売れねぇなこのタイトル。
しかし由比ヶ浜の肌を見るのは初めてではないのに、これほど動揺してしまうなんて。
理性の分析などお構いなしに、本能は脳の記憶野に無理矢理スペースを確保し撮影録画を開始する。
REC●
求む4K画質。
481 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:43:40.29 ID:MeeibBKL0
「……あの、ドライヤー使って良い?」
「え、あ、や、ど、どーぞ」
俺の視線に気付く……のは当たり前で、その強さに耐えきれなくなったか由比ヶ浜は身を抱くようにしながら言った。
そんな仕草がより雌性の気配を濃厚にさせるのだが、当の由比ヶ浜は気付いていないだろう。
何故だかそれを悟らせたくなくて動揺し、俺の返答はどもりまくりのキモ返しになっていた。
しにたい。
由比ヶ浜は当然のように俺の隣に、しかもかなり近くに座るとドライヤーで髪を乾かし始めた。
ぶおーん、という馴染みの風音と温風の余波が俺の身体にも届いてくる。
風は由比ヶ浜の髪の香りを際立たせ、鼻腔に運ばれては俺の中身を掻き乱す。
チラリと横を見やれば、顔を赤くしたまま髪を乾かす由比ヶ浜の横顔。
女性らしい身体の凹凸も確認出来る。
……グルグル回る心と頭はそろそろ限界で、ショートして機能停止しそうだ。
このまま陰陽の思考の渦に呑まれたまま停滞するなら、
いっそ何も考えず由比ヶ浜に抱きつきたい。
何もかも捨てて、何もかも奪ってしまいたい。
何より由比ヶ浜自身もそれを望んでいるのではないか。
そろそろ黒煙でも上げそうな過負荷を感じながらも、ドライヤーの音が止んだ。
いよいよ状況は動き出す、動き出してしまう。
もう言い訳の逃げ場が残っていない。
彼女が望んでこの場はあって、ならば後は俺が望むだけでスイッチは入る。
482 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:45:14.54 ID:MeeibBKL0
男と生まれたからには何より待望の体験を、それでも怖れる心が止まらない。
由比ヶ浜が女である以上その体験にはどうしても苦痛が伴うからだ。
『はじめてなのに、大好きな人とだから気持ち良くなってしまう』
そんな都合の良い展開のエロ漫画やらで自慰に耽った経験はある。
だが今はその時よりも強く、そんなご都合主義をと願ってしまう。
どんなことであっても、もう由比ヶ浜を傷付けたくなんかないのに――。
「ヒッキー」
気が付くと俯いていた俺は、腕に感じた柔らかさで正気に戻った。
先程の公園の時のように、由比ヶ浜が俺の腕に抱きついていた。
しかし感じる熱と柔感はその時の比ではない。
一瞬、理性も意識も飛びかけた。
「ヒッキーがなに考えてるか、わかるよ」
停止しかけた俺の顔を由比ヶ浜は見上げてくる。
目が合う。
濁りのない瞳、緊張を隠さない赤い顔。
可愛いとか綺麗とか、そんな陳腐な表現では全く足りない。
483 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:46:57.99 ID:MeeibBKL0
そして、
「でも、もう遅いんだよ……あたしはヒッキーにたくさん傷付けられて、ボロボロだから」
由比ヶ浜のこの言葉が、オーバーヒート寸前の心臓の上に特大の杭を打ち付けた。
ただ優しいだけの人間なんていない。
それは由比ヶ浜ですらそうなのだと、とっくに知っていたのに。
そんな彼女の優しさに甘えて、俺がその心にどれだけの非道を繰り返してきたのか。
……恨まれて当然なのだ、本来は。
「……すまん、本当に」
「今更謝ったって遅いよーだ……それにボロボロだけど、それが結果じゃないんだってあたしも信じてるから、だから、ヒッキーとホテルに行きたいって、あたしの、は、はじめてを、もらって欲しいって思ったんだよ?」
「でも俺はまだ、お前の、しょ、処女、を、受け取れる資格なんて」
「資格なんて要らないよ、大事なのはどう受け取るか次第ってヒッキーが言ったんじゃん」
「でも、でもだ、俺は、今更でも、またお前のこと傷付けるのかって、そう考えたら……」
484 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:48:47.68 ID:MeeibBKL0
「ヒッキー」
強く、綺麗な声。
優しいだけじゃない。
ズルいところも弱いところも持っている由比ヶ浜の、それでも強くて綺麗な一面。
やはり顔を赤くしたままで、それでも真っ直ぐ俺を見据えて、言う。
「あたしのことはいいの、ヒッキーがどうしたいか……聞かせてよ」
そして、腕に抱きつく力を強めた。
「俺が、俺、は……」
柔らかい。
暖かい。
愛おしい。
愛おしいんだよ。
だから、
「俺は……ゆ、由比ヶ浜と、お前と、シたい。 俺もはじめてはお前が良い……寧ろ、お前以外となんて、シたくない。 お前だけと、セックスしたい」
485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:51:13.04 ID:MeeibBKL0
もう、そう言うしかない。
結局ギリギリまで追い詰められて、促されて、それでようやく言い出せた。
情けない、男らしさなんて欠片も無い。
でも、言えた。
情けなくて男らしくない俺が、そう言うことが出来たんだ。
言ってしまえばもう枷は軽くて、疲れた神経は瞬時に漲り下半身の充血をこれ以上なく意識した。
「うん、あたしも……ヒッキーと、シたい」
そして由比ヶ浜が微笑む。
「女の子は、最初はどうしたって痛いって聞くもん。 だから、はじめては、本当に好きな人とって……ヒッキーとなら、痛くたって良いって本気で思って――」
……由比ヶ浜の言葉は、本当に男冥利に尽きる。
今でさえそうだと言うのに、更に頭を振って、
「……ううん、大好きな人がくれるものだから、寧ろ、どんなものだって欲しいよ」
またも爆弾を投下する。
「だからね、ヒッキー……あたしに痛いの、ちょうだい?」
――言葉が、それを聞く俺の心が、爆ぜた。
爆発の勢いのまま、俺は由比ヶ浜を一度引き剥がすとベッドへと押し倒した。
486 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/11/27(金) 23:53:57.20 ID:MeeibBKL0
以上で本日の投下は終了です、お付き合いありがとうございました。
次回から本当に本番ですが、前述の通り時間がかかりそうです。
・行くぜ目標一週間
・頑張れ及第二週間
くらいを目安に期待せずお待ち下さい。
487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/28(土) 00:00:09.58 ID:zC0AMUfdo
乙です!
488 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/28(土) 00:05:34.38 ID:32yQxuuG0
乙です。待ってます!
489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/29(日) 01:02:59.22 ID:0WZnO7cHo
乙
490 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/29(日) 01:08:28.51 ID:WSOkD5/Ro
乙です
491 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/29(日) 01:31:06.53 ID:R0ETVojHo
THE ラブホテルで不覚にも笑ってしまった
492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/02(水) 19:17:38.24 ID:T07iUkoio
ラストダンスが終わらない、どうも
>>1
です。
予想通り一週間での完成は無理っぽいんですが、
ある程度キリの良いポイントまでなら進めそうです
濡れ場は一気に、と以前書きましたが予想通り長くなってきたのでどうしようか考えており
そこで前後に分けるか、完成してから一括投下かどちらか希望があればレスお願いします
493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/02(水) 19:25:00.00 ID:Nxv45zLOo
時間かかりそうだったら分けて投下してほしい
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/02(水) 19:31:58.06 ID:/wljawE0o
一括投下でお願いします
495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/02(水) 20:54:31.20 ID:AHHirQtLO
一括一択
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/02(水) 21:55:05.25 ID:bKdfLzQKo
黙って投下しろ
497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/12(土) 00:34:02.31 ID:6UehaLVio
2週間たったがまだなのけ?
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/12(土) 18:08:35.21 ID:/SDuikTio
二人のアカボシのPV見てお腹の減る季節、どうも
>>1
です。
すみません絶賛遅延中です。
なんとか今日か明朝の早い内に書き終え明日の夕方投下を目指します。
というか予想通り文量が相当なことになってきたので夕方に開始しないと何時投下終えられるか分かりません。
正直予定通りに行くか自信ないので本当に期待せずお待ち下さい。
499 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/12(土) 20:54:00.56 ID:GizIIXREo
頑張れ
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/12(土) 20:56:24.50 ID:7ifiVlO4o
期待
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/13(日) 19:13:59.02 ID:dyhpRd1so
どうも
>>1
です、夕方投下無理でしたすみません。
今急ピッチで進めてますが今日中の投下は無理そうです。
何とか明日か明後日には投下出来るよう調整しますので、期待せず以下略。
お待たせしてしまって申し訳ないです。
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/13(日) 19:59:49.42 ID:ekqESeWAo
投下してくれるなら後2週間は待つよ
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/15(火) 23:54:27.85 ID:+Q4uLpI+o
今日も無理だったか
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/17(木) 01:44:01.56 ID:7ndr6rAto
待ってるぞ
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/17(木) 22:21:35.98 ID:6Z85qzva0
待つよー
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/17(木) 23:22:32.06 ID:54FY8ncQo
師走の平日に完成投下とか馬鹿じゃねーの俺、どうも
>>1
です。
取り急ぎ完成はさせましたがかなりの突貫工事なので推敲は明日と明後日の
早い内に終わらせて、土曜の夜に投下する予定です。
期待せずお待ち下さい。
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/18(金) 21:08:17.71 ID:C34fO1/p0
待ってた
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/12/19(土) 11:36:39.34 ID:B9rqdRaro
バチバチシリーズはもっと売れていいと思う、どうも
>>1
です。
一回目の推敲が終わり、これから二度目の推敲
なので猶予を取って今夜20時か21時に投下を開始したいと思います
お待ち下さい
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/19(土) 12:59:59.99 ID:NC8dDblto
バチバチは今のシリーズ暗すぎるんだよなあ
やっぱり吽形vs大鵠がベストバウトってそれ一番言われてるから
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/19(土) 17:42:45.30 ID:m11Jfr8DO
バチバチは完結するまではあまり売れないでほしい。人気が出るのは完結してからでいい
今の展開は別段暗いとは思わん
だが最終章という事もあって未来のある奴とない奴がハッキリ分かれていくから
その辺が暗いというか、切ない
511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/12/19(土) 20:57:38.84 ID:B9rqdRar0
どうも
>>1
です、これから投下を開始します。
予想通り結構な量になってしまったので時間がかかりそうです。
どうか最後までお付き合い下さい。
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 20:59:21.80 ID:B9rqdRar0
寝床の上で女の子を組み敷いている。
そんな状況に対する感慨を抱く間もなく、勢いのまま由比ヶ浜の顔に己の顔を近付けた。
「あ……」
俺の意図を悟ったのか、由比ヶ浜は眼を閉じた。
その対応は正解だ。
俺の方は目を開けたまま、唇を寄せる。
寄せた唇はやがて触れ合い、キスになった。
「ん……」
触れ合った瞬間ピクリと反応する。
強ばる身体と、少しだけ硬くなる表情。
目を開けたままのキス、マナー違反かもしれないが守る気も起きない。
過去何度かのキスの経験で分かったことがあるから。
瞳を閉じてキスを待つ由比ヶ浜。
触れた瞬間の反応。
全て可愛くて、愛おしくて、どうしてもその姿を目に焼き付けておきたくなる。
こんな姿を見てしまえば視覚情報をカットするなど勿体なくて出来やしない
つまり目隠しプレイは俺には無理だな、うん。
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:00:58.14 ID:B9rqdRar0
今回もキス顔の由比ヶ浜は気が狂いそうになるくらい可愛くて、
加えて唇の柔らかさや温もり、吐息や香り、
何よりセックスという状況が俺からブレーキを奪った。
右足と左足、どっちもアクセル。どう足掻いても加速するしかない。
加速した俺はキスの先が欲しくて、閉じた唇を僅かに開いた。
��由比ヶ浜に、挿れたい��
ぬるり舌を伸ばして、由比ヶ浜の唇の間に差し込んだ。
「んむッ!?」
由比ヶ浜はビクッと反応する。
無理もない。だが止まれない。
そのまま唇を超えて閉じられた歯を舌先でなぞる。
硬質な感触の先に閉じ込められた物を求めて、歯を舌でノックする。
トントン、トントン。
出ておいで、出ておいで。
一緒に遊ぼう――。
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:01:58.58 ID:B9rqdRar0
が、
「むんむぐ……ぷはッ、ちょちょちょっと待って、待ってヒッキー!」
強ばった由比ヶ浜が文字通り力を生んで、密着した顔や身体は押されて引き離される。
遊びたいのに、何故――なんて思う間もなく、熱くなった頭に冷や水ぶっかけられて正気に戻った。
や、やっちまったーッ!
警戒してた筈なのに注意してた筈なのにいきなりやらかしたァーッ!
「あ……ご、ごめ……」
反射的に口にした謝罪がまともな言葉なってない。
自分でも信じられないくらい声が震えてる。
心臓は一気に収縮し、顔もきっと血の気が引いて青ざめてる。
リードと自分勝手は違う……さっき確認したマナーにもそれっぽいこと書いてあったろうに。
ダメだ、現実はクソゲーだからセーブできないし残機ないし勿論コンティニューもない。
ああ、終わっちまった……さよなら大人の八幡くん、おいでませ魔法使いの八幡さん。
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:03:29.58 ID:B9rqdRar0
冗談めかした思考を混ぜつつも本気で絶望する俺に、それでも由比ヶ浜は、
「あ、ご、ごめんヒッキー! ちょっとビックリしただけだから、そ、そんな顔しないで……」
そんな風に言ってくれる。
「気ィ使わなくていいよ、やっぱ俺最低だ……」
異性の同僚の病室でそいつオカズにシコシコし出すナイーブな少年パイロットくらいには最低認定。
いっそ一思いに殺してくれ。介錯オナシャス。
「そんなこと言わないでよ……そ、そんなにしたかった? べろちゅー」
……べろちゅーってお前。
でもそんな可愛らしさとも今日でお別れなんだな。さよなら大好きな人。
「……したかった、です。 でも望みは絶たれました、ごめんなさい」
「だからもう、言ったじゃんビックリしただけって……それに、あ、あたしも、シてみたいし、シよ?」
「え、いいの?」
マジで? 許されんの俺?
希望が見えると元気になるなぁ兄弟!
精神的にも局所的にもなゲッハッハ!
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:04:57.48 ID:B9rqdRar0
「うん、だから何かシたい時は、ちゃんと言ってね? わかんないからさ、あたし」
「……サーセンした、以後気を付けます」
目と目が合う瞬間シたいと気付いた、みたいのはダメみたいッスね。
シたいことは言わなきゃ……クッソ照れるだろうし恥ずかしいけど。
言わなきゃ分からないこともある。
彼女の言葉で、在り方の表明。
俺は逆に言葉に依らず伝わってほしいと思ってしまうけど、
それは互いに追々擦り合わせていくものなのだろう。
そうして互いの在り方が一つになれれば、
それは想像を超えた素晴らしいモノ……本物に、俺達はなれる。
妥協なんて結局捉え方の一つでしかない。
互いに歩み寄って出来た新しい形が自分だけの望み以上にならないと誰が決めた?
一人では地面に転がる悲観が限界でも、二人なら想像を超えた新しい光が空に見えてくる筈だ。
分からないけど、きっと。
何はともあれ今は現実に集中だ。
そうだ、キスしよう。
「じゃ、じゃあ、いいか?」
「う、うん、どーぞ」
517 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:05:55.43 ID:B9rqdRar0
そうして再び由比ヶ浜は目を閉じた。キス顔カワイイヤッター!
しかしお互いにどもって緊張して硬くなって、初々しさがなんかそれっぽい。
何時もの俺達って感じなのか……そう思えば緊張は和らぎ自然に動けるような気がする。
さっきよりは幾分柔らかいスピードや心持ちで、俺達は再び唇を合わせた。
「んッ」
再び喉を鳴らす由比ヶ浜。
感触はさっきよりも硬い。先に待つ物を思えば緊張は仕方無かろう。
でもそこをフォローすることは出来ない。
だから緊張より先に幸福や快楽があると信じて、俺は再び舌を挿し入れた。
「むン……ッ」
柔らかな唇を超え、再び歯にぶつかる。
今度は開かれているものの入り口はせまく奥まで入り込むのは厳しそうだ。
まだ拒まれてる?と考えてしまうが、舌だって口内の機関としては中々のサイズ。
小柄な由比ヶ浜の口中に男性の舌は大きすぎるのかもしれない。
しかし今度は扉が開かれていて、中から出て来た由比ヶ浜の舌が俺の舌先に触れた。
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:08:09.74 ID:B9rqdRar0
「んぅ……」
おずおずただ触ってきただけで、仕掛けてきた由比ヶ浜がピクリと反応する。
ちょんちょん、ちょんちょんと小さなヒット&アウェイを繰り返す。
未知に怯えて、でも知りたくて、付かず離れずを繰り返す気持ちは俺にも分かる。
しかしそんな様子が可愛くて、
触れてくる粘膜の感触をもっともっと知りたいと思ってしまう。
だから小突いてくる由比ヶ浜の舌を待ち構え、俺の舌で一気に絡め取った。
「んむッッ」
さっきとは比にならない劇的な反応で、一気に由比ヶ浜の全身が強ばる。
でも止めない、逃がさない。
絡めたまま舌を動かし、こねくり回すようにその柔らかさを味わう。
「んッ、ぅッ、んんッ、むぅッ」
絡む度、由比ヶ浜の身体に電流が走ったような反応。
けれど舌は緊張の硬さが次第に解れて、なされるがままに蹂躙されていく。
随分入念に歯を磨いたのだろう、
歯磨き粉の清涼感が由比ヶ浜の口内や唾液から伝ってくる。
俺も随分磨いたからお相子だな。というか磨いといて良かった……。
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:09:36.86 ID:B9rqdRar0
「むは、はむ、はふ、んん……」
暫く絡み合っていると、由比ヶ浜の身体から緊張が消えていく。
断続的な大きなショックはピクピクと小さな震えに代わり、
何時の間にか俺の背中に回されシャツを握る手を除き身体は完全に脱力していた。
変わらず開いたままの俺の目は、
薄開きの目蓋で熱に浮かされたような表情の由比ヶ浜を捉える。
伝えきれない気持ちを伝えるのに一番簡単で特別なキスというコミュニケーション。
それが今は簡素さを濃密さに変えて、
これでもかというほど刺激的な性接触に変わっていた。
��ちゅるちゅる、ぴちゃぴちゃ��
「うぶ、うぅ……ん、んれ、んぇ、ぇふう……」
��じゅるじゅる、じゅるり��
互いの唾液が混じり合うくぐもった音が、内側からの振動を通して鼓膜へ至る。
俺が由比ヶ浜の上に覆い被さるようにしている為、
俺の唾液が由比ヶ浜の口内に流し込まれるような形になっている。
俺に唾液を流し込まれ、溺れ、恍惚と受け入れる由比ヶ浜。
そんな構図を想像しては頭も下半身も発熱し、どうしようもなく興奮する。
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:11:10.62 ID:B9rqdRar0
キス、凄い。
べろちゅー、ヤバイ。
キスの力は一年前から分かっていたつもりだが、甘かった。
抱き締めて、触れ合うだけのキスをして、
それだけで交際の経験値を内心誇っていた俺は完全に井の中の蛙だった。
自分の感覚も相手の感触も全て混ぜ合って尚足りないような、こんな。
そうして俺の頭も甘く痺れて、自他の境界が曖昧になっていく。
……それはただキスの力ってだけじゃなく、もっと切実な理由もあって直ぐ顕在化した。
息。
苦しい。
「むぐ、むぅぅ……ふ、ぷはッ!」
快楽と苦痛の天秤は生命の危機を察知し一気に苦痛へ傾き、勢いをつけてガバッと離れる。
長く長く、どれほどの時間続けていたかも分からない長いキスから解放された。
「ひー、ひぃー……」
「はふ、はふ……」
互いにぜぇぜぇ肩で息をしている。
何も全く呼吸出来なかったわけじゃないが、
互いの呼吸器を至近距離で過度に興奮するようなことしてたんだから
単純に摂取する酸素量が減るのは自明なわけで。そりゃチアノーゼ気味にもなる。
人体の明らかな設計ミス、神の意表を突く行為――柳、お湯。
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:13:22.59 ID:B9rqdRar0
キスする時は鼻呼吸、とかどっかで聞いたような気がするけど
初のディープキスでそこまで意識出来るかよ。
あんな脳の奥の奥まで痺れて壊れてしまいそうな行為の中で、
何処まで正常な思考を保てるものか。
息も落ち着いてきて、由比ヶ浜はどうなっているかと視線を下げる。
これで顔色青紫でマジチアノーゼってたらどうしよう。
酸素マスクはラブホテルに備え付けてありますかね?
そんな悪い予想に反し、由比ヶ浜は何時ものキス後顔よりも緩んだ顔をしていた。
いや緩いという表現で正しいのか分からない。
エロいとか、やらしいとか、そう言えばいいのか。
目の焦点が合わず、はぁはぁと荒い息を繰り返し胸や腹が上下する。
顔は勿論赤く、半開きの唇の周りには自分のものか、
俺のかも分からない唾液でぬらり濡れている。
その顔を認識すると、酸素不足で朦朧としていた意識が一瞬で覚醒する。
酸素吸ってる場合じゃねぇ!と下から突き上げられる。
下半身さん元気ですね……。
その由比ヶ浜も俺の顔を認識したか、
「ひっきぃ……べろちゅぅ、すごいよぉ……」
掠れた声で囁くよう、甘えるように零す。
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:15:02.09 ID:B9rqdRar0
どくり、心臓が、跳ねる。
最終的には向こうからも絡んできたとはいえ、
殆ど一方的に貪られるような形の接触で恍惚とした顔をする由比ヶ浜。
そんな童貞の妄想のような光景が、どうしようもなく現実だった。
女性優位の体勢だのやり方ってのもあるらしいが、それでも異性間の身体構造や筋力差を鑑みれば
雄性が雌性を組み敷くのが人間という種のスタンダードな性交渉だ。
そして俺が今この場の雄、由比ヶ浜がこの場の雌だと考えればもうブレーキはおろか障害物すらない。
寧ろ障害物を取り除いていこう、そう決めた。
差し当たっての障害は目前にある。
「その、いいか? タオル、取っても」
隠すことで扇情される、ということはある。
だが今はただ由比ヶ浜の肌を見たい。
隠すもののない、純正純粋な由比ヶ浜結衣の身体を、見たい。
「あ、う、うん、いいけど……ヒッキーも、脱いで?」
……由比ヶ浜も、純正純粋な俺の身体が、見たい?
エロ漫画とか薄い本知識だと相手だけ脱がして竿役は着衣って結構あるから意外というか、
流石にこの場で二次エロを当て嵌め行動するのは死亡フラグとして露骨過ぎだから踏まないけどね?
まぁ自分だけってのは恥ずかしいのかもだから、そういうもんなんだろうきっと。
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:17:07.02 ID:B9rqdRar0
「か、構わんけど、由比ヶ浜も見たいのか?」
俺の裸を。
「うん、見たい。 見せっこしよ?」
あ、今の言葉八幡的にポイント高い。クッソ可愛い。
というかここまでですらポイント高過ぎだから、
終わるまでにどれくらいポイント溜まってるやら。
楽しみなような、怖いような。
「そ、そうか……じゃあ、脱ぐわ」
ということで一旦由比ヶ浜から離れ、もたもたシャツとズボンを脱ぎ捨てた。
他人の前で服を脱ぐなんてのはぼっちにとってはかなりハードルが高いもんで、
これを異性の前で直接、しかもセックスの為……なんて考えたら何時も通りの動作なんて望むべくも無い。
しかもズボン脱いでるときの下半身の引っかかりっぷりったらもう。
改めてテントになってる自分のパンツを見下げては嘆息し、
パンツだけは後にしとこうと再び由比ヶ浜に近づき、覆い被さる。
「わ、わ……これが、ヒッキーの……なんだ」
若干のインターバルで思考や呂律が回復したらしい由比ヶ浜が
ちょっと妖しい感想を口にしてくれた。
変な妄想が逞しくなるし、以前手でシてもらった時の台詞と被ってドキリとする。
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:18:35.24 ID:B9rqdRar0
「ど、どうなの? 女子的に」
「え、えと……なんかイイ、かも。 キレイだと思う」
キレイ、キレイかー……男的には喜んでいいのかどうか。
別段貧弱貧相なもやしっ子ってわけじゃないと思ってるが、
かといって運動部の連中とでは比較にならない程度が自己評価。
だからキレイ、というのは案外表現として間違ってはいないのかも。
これはぼっちアスリートへの道再び。バレエでも始めようか?
上半身裸の黒タイツでボレロ踊ろう。
「……それじゃあたしも、脱ぐね」
脱ぐというのが正しいかは分からないが、
ともかく由比ヶ浜もまた身を纏う布地に手を掛け、
しゅるり衣擦れと共に抜きさった。
そうして隠すもののない女体が露わになる。
その瞬間を、それこそ電気信号で回路が焼き切れんばかりに脳内へ焼き付けた。
焼き付けた。
焼き付けた。
大事な事は二度、ただのネットスラングを真理を突いた至言と勘違いする。
それほど衝撃的で、それこそ本能からすら心を奪うほどに、
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:19:55.89 ID:B9rqdRar0
「綺麗だ……」
完全に反射で言葉が漏れ出した。
「そ、そう……かな」
由比ヶ浜の顔は自信なげで、俺から目を逸らすように横を向いていた。
もどかしそうに動く手指は腹の前で組まれ、何を隠すでもない。
自信が無い。
それは姿形に係わらず由比ヶ浜の抱える陰の一つだろう。
誰しも同じような悩みは抱えていようが、
由比ヶ浜はそれを外に漏らしにくい代わりに自責という針で深く刺すことがある。
自分よりも、自分だけ……誰かと繋がることで輝く彼女でさえ逃れ得ない孤独な痛みだ。
だが、そんな由比ヶ浜の内心と関係無くその身体は女性の魅力に溢れている。
寧ろオタク気味な俺の抱く女性への幻想、美しさへの憧憬、その形と限りなく一致するようだった。
少し前に上半身だけならばその裸体を視界に収めていた筈なのに、
それで尚その印象が吹き飛ぶほどの引力を感じる。
大きく膨らんだ乳房と先端を彩る鮮やかな桃色。
なだらかな曲線を描く腰と腹の線。
そして足の根から……。
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:21:30.65 ID:B9rqdRar0
「あ、やッ、そこは、まだ……!」
俺の視線が下腹へと下がったところで、由比ヶ浜は『そこ』を手で隠した。
「あ、わり……その、つい」
「え、あの、あたしの方こそ、ごめんね?」
「謝んなよ、普通の反応だろ、多分」
仕方が無いところではある、のだろう。
俺だって由比ヶ浜にテントとか本身見られたとき超恥ずかしかったし。悶死。
男の俺ですらそうなのだから、
女性で且つそういう経験の無い由比ヶ浜にとっては更に重いだろう。
暴走するな、COOL、COOL、KOOL。
まぁ『そこ』は後の楽しみにしておくとしてだ。
今はとにかく、由比ヶ浜を褒めよう。
彼女への気遣いでもあるし、胸中に留まる感動を有りの侭吐き出したかった。
「それに、自信持っていいんじゃねぇの? 綺麗だし、その、滅茶苦茶エロいし」
「そ、それって喜んでいいのかな……なんか、やらしくて」
「よし良いこと教えてやる。 男子はな、やらしい女の子が大好きなんだよ」
思春期の男子であれば、一度は美痴女からのセクハラという夢を見る。
実際には痴女とエッチな女の子の間には隔たりがある(らしい)んだけどね、良いんだよ夢なんだから。
非実在青少年が何だ、こっちは非実在痴女だバカヤロウ。
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:23:17.86 ID:B9rqdRar0
「それも微妙だよ……や、やらしいの? あたし」
「……やらしいというか、何だ。 可愛くて、いじらしくて、なのに綺麗で、エロくて、スゲェ興奮してる」
もう隠すこともない、かつてない大噴火。もとい大興奮状態。
衝動という意味では少し前のアレは異常なレベルだったが、
意志と本能の方向性が合致した今の方が持続的な力は数段強く感じている。
流されるでなく、己の意志で先へ進む。
進みたい。
「だから……触っていいか? お前の身体に」
「……え、えと」
もじもじと言いよどみ迷っている由比ヶ浜の姿も可愛らしくて、仕草が一々扇情的に見えてくる。
このまま襲いかかってしまうか、そんなことも冗談でなく考えてしまう。
何秒かの逡巡を経て由比ヶ浜はキツく目を瞑り、
「やさしく、してね?」
そう囁くように言った。
だからもういい加減にしろ!
俺の中で可愛いがゲシュタルト崩壊するくらいに一々可愛いんだよ!どうしてくれる!
そしてライオンは獲物を可愛い可愛いと愛でながら狩り殺すという……俗説だっけこれ。
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:25:18.81 ID:B9rqdRar0
ともかくそんな心境、今の俺はプレデターだ。戦闘宇宙人のことではない。
今は一方的に狩ったり殺すでなく、通い合う為にこそ肥大した欲望と力を使いたいと思う。
コントロールせねば。
「じゃあ、始めるから」
開始を宣言すると、目を瞑ったまま由比ヶ浜は無言でコクリと頷いた。
対する俺はゴクリと唾を呑み、由比ヶ浜に向かって手を伸ばす。
伸ばす先は大きく膨らむ丘陵……ではない。
「……ふぇ?」
場所と感触に疑問を覚えたらしい由比ヶ浜が目を開く。
右手は髪を、左手は頬に触れていた。
かなり明るい茶髪だと言うのに、梳いても抵抗なくサラリと流れ甘い香りが立ってくる。
ふっくらとした頬は予想通り見た目通りに柔らかな感触と体温。
それらが春の日溜まりのような彼女の人柄を表しているようで妙に嬉しくなった。
さらさら。
ふにふに。
……なんか癖になりそう。
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:26:59.72 ID:B9rqdRar0
「あ、あれ、ヒッキー? 触りたいの、そこなの?」
「いや、まずはって思って……こういう機会でもないと触れそうにないし」
「こんな機会でなくても触ればいいじゃん。 他の、か、カップルは、みんなやってるし」
「いや流石に恥ずいだろ、今はちょっと気持ち分かるけど」
言葉通り往来で髪や頬を撫でるバカップル共に唾吐いたこと数多だが、
今は気持ちが分ってしまう。
触れ合いっていいなぁ。一方的だけど。
「……恥ずかしくても、あたしはいつでも触って欲しかったし、触っていいよ?」
「お、おう。 その辺はその、追々な」
由比ヶ浜のストレートな言いぐさに押し負けたのを誤魔化すように再び手を動かす。
「はぅ……」
要求通り触れられるのが嬉しいのか、
由比ヶ浜の吐いた溜め息は幸福の色に満ちていた。
実際俺も女の子の手触り、それが由比ヶ浜結衣のモノを味わえている事実に
かつてない幸福感を抱いていた。
手は髪頬から耳、後頭部と撫でて背中へ下ろす。
そして抱き締める形で密着して自分の頬と由比ヶ浜の頬を擦り合わせた。
「んっ……あは、くすぐったいよー」
仰向けの由比ヶ浜と被さる俺が頬を合わせれば互いの顔は見えない。
しかし伝わってくる頬の寄りと振動、
何よりその声色で由比ヶ浜が笑っているのが分かる。
530 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:29:46.23 ID:B9rqdRar0
背中に回した手を肩へ移動しそのまま腕を伝って手指に至る。
頬に負けじと滑らかな肌の手触りもまた病みつきになりそうだ。
指を根から先までスルリ滑らせると
その一本一本を自分の指と組み合い絡ませる。
指に力を込めると、由比ヶ浜の方からも握り返してきた。
「……こ、恋人繋ぎ、はじめてだね」
そういえばそんな名前だったっけ。
そう名付けられると凄く大胆で不遜なことをしている気がしてくる。
だが身体を密着させて手と手を隙間無く絡ませていると、
それだけで心臓の底の方から沸き上がってくるモノがあった。
炎と言うほど熱くないが、それ故に心地よく心身を満たす暖かさ。
以前「スキンシップは共同幻想を続ける為の欺瞞」などと考えたものだが、
今はそう思えない。
ただ触れ合うだけで、俺は本当に由比ヶ浜結衣が好きなんだと確信できるから。
そのくらい分かり易くて、なんでもっと早くこう出来なかったのかと悔やむばかり。
極限状態は抜けつつも高速の一定でトクトク動く心臓を意識する。
俺の身体に圧されて形を変えている柔丘からも、それに負けじと響く振動を感じた。
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:31:37.50 ID:B9rqdRar0
「……ドキドキしてる?」
「――そうだよ、当たり前じゃん。 ヒッキーもだよね? わかるよ」
そりゃそうだ。
はじめて同士で、裸で、身体をくっつけて、それで鼓動が伝わらないわけ無い。
それで興奮しないわけがない。
何時もは緊張やマイナスの感情で心身を痛めつけるようにしか動かなかった心臓、
その鼓動が今は幸福と歓喜を呼び込んでくれているように感じる。
そして多幸感に満ちた心臓が脳に叫ぶ。
「先へ進め」と。
このまま心地よりぬるま湯に浸かって一時を終えたい欲求もある。
ささやかな温もりを尊ぶ慎ましやかさは農耕民族か儒教的で、
曲がりなりにもその遺伝子と魂を欠片でも継いでいる人種の心は
落ち着くことを善しとし、それを否定することは出来ない。
だが魂と対を為す魄は本能の先にある宴の快楽を求める。
ただ衝動的なだけでなく、魄は魂を飲み込み一つとなって
幸いあれと俺の道行きを祝福していた。
心か身体かではない。
まず身体の欲求を満たし、その隣に心の充足もある。
どちらがどちらを言い訳にするのではない。
どちらも真実だ。
だから、進む。
進もう。
「由比ヶ浜、そろそろ……いいか?」
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:33:20.13 ID:B9rqdRar0
密着していた身体を離し、それでも至近の距離から目を見つめながら問う。
正直照れっ照れ。うまい!(テーレッテレー)と叫び出したいくらいに照れてる。
だが言わなければ。
「うん、いいよ。 寧ろあたし、ここに来てからずっと心の準備はしてたから……さっきのシャワー中も、ヒッキーが入って来てもいいって思ってたし」
その問いかけに彼女は首肯し、またそんな嬉し恥ずかしなことを言ってくる。
あーもう、一度は落ち着いて自分のペースで行けるって思ってたのに直ぐコレだ。心臓ビクンビクン。
まぁようやく誰かと共に立って歩いて行こうって決めたばかりのヘタレ野郎と、
ずっと恋心を抱えて喜び悲しみ進んできた清純乙女とでは、
現時点で獲得経験値とかレベルだって圧倒的に差があろう。そう思えば仕方無い。
だからもう開き直ってしまえ。
「あ、そ、そう……そ、そーいうのもまた、追々、な」
「また、するの?」
しかしまたもあっさりカウンターを取られて膝下ガクガク。倒れそう。
国内とWBAルールでは1ラウンド3ダウンでKO負けなもんだから
今倒れるわけにはいかんのだ。
「い、嫌か? そうだったら無理強いは――」
「ううん、また、シよ? だから、今は……」
一緒に進もう。
俺を見つめる由比ヶ浜の目からも俺の本心と同じ意志を感じ取った。
錯覚じゃない。
絶対に錯覚なんかじゃない。
ここに至り、言葉ならずとも通じ合う……俺の理想が現実に見えた気がした。
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:35:06.52 ID:B9rqdRar0
それがどうしようもなく嬉しくて、その勢いのまま、
「――さ、さわる、ぞ」
言葉と同時に両手で由比ヶ浜の乳房に触れた。
「んぅッ」
ビクリ、由比ヶ浜が反応する。
しかしそれを気に掛ける余裕は無かった。
こうして彼女の乳房に触れるのは二度目だが、それでも最初の時は暴走気味な思考と
感情の余波で味わった体験や感覚を朧気にしか覚えていなかった。
だが今は理性と本能の行き先が合致してこの場に臨んでいる。
自意識と目的意識が明瞭、ハッキリとしているのだ。
故に両の指に伝わる柔らかさと温もり、頬の手触りより尚濃厚な��それ�≠フ感触は、
指の神経を伝って脳髄に荒れ狂う磁気嵐を巻き起こした。
「う、わ……!」
思わず感嘆の息が漏れる。
柔らかい。
ただ、柔らかい。
皮膚に触れるだけでふるり震える手触り、僅かに力を込めればそれだけで指が沈んで行く。
それほど柔な印象なのに張りのある形を保っていて、
更に奥まで指を沈めていくと手応えも返ってくる。
そして、
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:37:08.03 ID:B9rqdRar0
「はぁ、ふ、ふ、はふ……」
指を動かす度に短く息を吐く由比ヶ浜の反応が極上のスパイスだった。
ただ触り感触を確かめるだけならそれこそ二の腕でも触っていれば良く、
その内空しさが勝り行為は止まるだろう。
だが今は想い人の感触を味わい、それにより想い人が反応する。
こんなもの、夢中になってしまう。
夢中になるに決まっているじゃないか。
そう思えば、頭は熱くなり衝動のまま両手を動かし、捏ねくり回す。
「あ、あぅ、ひ、ひん、ひぁ……!」
握りしめない程度の力でホールドして、円を描くように動かす。
外側から包み込み内側に寄せて谷を大きくする。
引っ張るように動かし、その伸縮性を目にして驚く。
何をしても反応があり、何をしても予想を超える。
それほどの包容力、物理的な大きさと容量を由比ヶ浜の乳房は持っていた。
所詮経験薄な童貞の思考や想像力なんてさもしいものとは分かっているが、
それでもこちらの入力に応じて如何様にも形を変えるこの乳房は、
悲観的になって以後深くへ封じ込めていた筈の万物への興味・好奇心を呼び起こし、刺激した。
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:38:48.35 ID:B9rqdRar0
「ふ、ふ、はぁ……ね、ねぇ、んっ、ヒッキー……」
時間の感覚を忘れて夢の世界へ飛び立っていた思考を引き戻したのは由比ヶ浜の声。
暴走だけはするまい、そう固く誓ってこの場に臨んでいた筈なのに
結構危うい領域に足を突っ込んでいた。学習しねぇな俺。
「な、なんだ? 痛かったりしたか?」
「ううん、そんなことないけど……あたしのことじゃなくて、ヒッキーは、どう?」
「どうって」
「あたしの、お、おっぱい、変じゃない?」
……だからさぁ、そういう言い方とか聞き方はさぁ。
何なんだよ本当、何なの。
俺の心臓を蜂の巣にするつもりか。今更だけど。
「……まともかどうか判断出来るような経験ねぇよ、俺だって、は、はじめて、なんだし」
「そ、そうだよね、変なこと聞いて、ごめんね?」
「あ、や、でもな、正直夢中になってたわ。 そのくらいその、ヤバいと、少なくとも俺は思う」
もうちょっと言い様とかあるだろう、とは自分でも思うが、
そんなストレートに睦言の類が出てくるわけもない。俺だし。
ヤバイヤバイヤバイわーマジヤバイわー。
しかし、
「え、あ……ス、スゴイ嬉しいんだけど……どうしよ」
既に赤い由比ヶ浜の顔が、こんな俺のこんな言葉に更に紅潮する。
俺もそういう反応が嬉しいです、嬉しいです……。
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:39:57.63 ID:B9rqdRar0
「あたしね、今まで胸大きくて良いと思ったことないんだ」
「え、そうなの?」
それを ほこれないなんて とんでもない!
と男の目線からは思うが、女性には女性ならではの悩みもあろう。
「だって重くて肩凝るし、体育のとき揺れて痛むし、そうでなくても女子から変にネタにされたり、やっかまれたり、逆に男子からは変な目で見られたりするし……皆と同じくらいで良かったのに、そういうとこ似なくて良かったのにってママのことちょっと恨んだこともあったよ」
同性の中では突出した個性が嫉妬の対象になり易いだろうし、
異性にとってもその畏敬の出所が性欲なら嬉しい視線にはなりづらかろう。
富める者には富める者なりの悩みや苦労があるのだ。
「でもね、ヒッキーが、あたしのに夢中になったって言ってくれて、そしたら今までの苦労が全部なくなっちゃうくらい嬉しくなって……お、おっきくて良かったって、思っちゃった。 馬鹿で、単純だよね、あたし」
未だその乳房に触れたままの俺の両手の甲に由比ヶ浜は手を合わせた。
手の平と甲が、それぞれ違う柔らかさと暖かさに包まれる。
あー、あーあー。
蜂の巣どころか、終わるまでに破片一つも残ってるか心配になってきたな心臓。
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:41:37.10 ID:B9rqdRar0
嬉しい。
由比ヶ浜のこんな言葉が、反応が、どうしようもなく嬉しい。
好きだ。
大好きだ。
寧ろこの娘を好きにならないなんて男としてどうかしてる。
由比ヶ浜のこんな一面を知ってしまえばこの世のあらゆる男が恋に落ちるだろう。
だがそれでも、由比ヶ浜結衣をこの世で一番好いているのはこの俺だ。
由比ヶ浜結衣がこの世で一番好いているのはこの俺だ。
ただそれだけで、俺は世界と向かい合える。
これを盲信や勘違いだなんて誰にも言わせない。
想いの丈は瞬時に臨界を越え、声帯を通して一気に出力される。
「好きだ、由比ヶ浜。 お前の身体も、馬鹿で、脳天気で、優しくて、暖かくて、変な所で自虐的になっちまう所も、全部、全部、好きだ。 どうにかなっちまうくらい、好きなんだよ」
言いながら、手の中で勃起していた乳首を指二本で摘み、クリッと転がす。
「ッ!?」
由比ヶ浜の身体が跳ねる。
ここまでで一番大きな反応に興奮は増し、手指の動きは止まらない。
そのまま親指の腹で先端を擦り、ゲームのコントローラーのスティックのように回す。
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:43:01.69 ID:B9rqdRar0
「い、いきなりは、あぅ! ひ、ひっきー!」
元々性感帯だったのか、それとも昂ぶり高まったタイミングだったからか、
局部への干渉の効果は絶大なようだ。
まだ先や奥がありそうだと思う故に心は逸り、左手を離すとそのまま口を近づけて、
「ひぃっ!?」
乳首を咥え、そのまま舌で舐め上げた。
当たり前だが甘い味などしない。しょっぱい。
そもそも母乳は成分が血液と同じで味も塩と鉄の赤い味だそうだが。
だが今味覚は関係無い。
柔らかさはありつつもコリコリとした独特の感覚を、今度は吸い付きながら口内で味わう。
「あ、あ、あ、あ、あぁあ、うぅ、ぅ、うぁ!」
舌で転がし、吸って白い肌ごと引っ張ったりする度に一々ビクビク反応する由比ヶ浜。
己の力で何かが変わる、そんな認識が清い青少年を中二病やら不良の道へ誘うのだろうが、
今正に俺の行為で、由比ヶ浜は反応する。性的な方向に変わっている。
そんな承認欲求と劣情と愛情が混じり合った魔女鍋が、頭の中でグツグツと煮えたぎっている。
鍋から勢いよく起ち上がる妖しい煙か蒸気がタービンを回す。
止まらない。
止まれるわけがない。
539 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:44:48.20 ID:B9rqdRar0
「ひ、ひっきぃ! んひっ! そ、そんなにぃ、んく、しても、で、でないよぉ!」
舌も手も、どんな風に動かしているのかすら埒の外にある俺の耳に由比ヶ浜の悲鳴が届く。
俺が幼児退行で赤ん坊返りでもしたと思ったか、
或いは乳首への執着それ自体の目的を履き違えたか、
そんな由比ヶ浜の誤解すら鍋を炊く燃料にしかならない。
いっそ本当に出るようにしてやろうか、という考えすら頭を過ぎる。
出るようにする為には……そこで互いの下半身を意識し、それでようやく正気に戻った。
……本当に反省がない。こんなの、それこそ前回の再現じゃないか。
ダメなんだよあれじゃ、ダメなんだよこれじゃあ。
口と手を止め離し、身体を上げる。
「あ……わ、悪ぃ、また、俺……」
眼下の由比ヶ浜は先のキスの時と同じ、或いはそれ以上に貪られ、
脱力したまま身体を投げ出していた。
その目に力はなく、為されるが侭のその姿に興奮し、
同時に矢傷とは別の胸の痛みが鋭く走る
「気に、しなくて、いいよぉ……ひっきぃが夢中になってくれて、あたし、うれしいもん……」
生気の薄れた瞳で微笑み放心気味に言ってくれる由比ヶ浜だが、でもそれじゃダメなんだ。
衝動を否定しないでも、ただ衝動の侭に動くだけでは積み上げとは言わない。
ただ一方的に受け取ることが心苦しく、せめて何かを返したいと再び密着し抱き締めた。
540 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:46:30.97 ID:B9rqdRar0
「でも、ただ俺だけがってのは、なんか嫌なんだよ。 お前にも何かって思う」
必死に搾り出した俺の言葉への反応を、
由比ヶ浜は俺の背中に力ない腕を回すことで返してきた。
「あたしは、たくさんもらったよ? ひっきぃが、あたしの身体を喜んでくれてるって、それだけで、いっぱい、いっぱい……」
いじらしい彼女の言い様には胸が熱くなる。
だが、それでもただそれを受け入れるわけにはいかない。
由比ヶ浜の言葉を信じないわけではないが、
一歩間違えばただの搾取になりかねないから。
貰った分は返す。
以前彼女が肯定した終わらないお返しの円環、そうでこそありたい。
今、俺が出来うる彼女への貢献やお返しは何があるか。
逡巡し、少しでも可能性の高い行為をと右手を恐る恐る下腹部へと伸ばし――。
「あッ! やッ!」
しかし、臍の下辺りに触れると由比ヶ浜の両手が瞬時に右手を止めた。
「だ、だめだよひっきぃ! そ、そこはまだ、まだだめぇ!」
「え、ダメ、か?」
「う、うぅ、だ、だめなの、まだ、だめ……」
541 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:48:16.11 ID:B9rqdRar0
先程までの愛撫で良くも悪くも警戒心や羞恥心は取り除けたものと思っていたのだが、
そうでもなかったか。
しかし幾ら何でも反応が過剰な気もする……。
でも嫌がってるのに無理矢理ってのもなぁ、うーん。
「なんでダメなんだ? まだ怖いか?」
「き、きかないでよぉ……」
眉を寄せて、涙目で回答を拒否する由比ヶ浜。
そんな様子に胸は痛むが、
ああも蕩けていた彼女が一気に緊張した理由を判明させないことには先へ進めない。
……周りから攻めてみるか。
止められた右手はそのままに、左手を足に這わせる。
右手の抑えに注意が割かれていたからか、ただ触れただけでまたも跳ねるように反応した。
「あっ、そ、そっちも!? や、やめてよ、ひくっ、まだ、だっ、だめだからぁっ!」
本格的に泣きそうなのか、しゃくりあげながら警告される。
最悪国境侵犯から強制送還・射殺も覚悟の上の左手芸だが、
少なくとも今��そう�≠キるつもりはない。
まず安心させなければ。
「大丈夫だ、その、そっちは触んねぇよ」
言いつつ、膝下から太股までを外からなぞる。
「ひぅっ!」
さっきまでとは違う、ぞわっと来たような反応。
まぁ足なんて普段触られたり触らせたりしないとこだもんなぁ。
それ故か、腕とはまた違う滑らかさ、抵抗感の薄い肌触りがまた興味深い。
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:50:17.72 ID:B9rqdRar0
「ひ、ひっきぃ……足も、さわりたかったの?」
「足、というか、由比ヶ浜の全部に、触ってみたい」
「あ、あぅ……」
俯いて縮こまる由比ヶ浜さんの姿がね、またね、可愛らしいんですよ本当に。
そんな可愛らしさに煽られ、このまま勢いに任せて
手籠めにしてしまいたいという火種も燻っているが、そこは抑え込む。
ゆっくりと全てを目にし、確かめながら進んでいきたいという気持ちもまた強い欲求だから。
すべすべの足をゆっくり撫で回していると、少しずつ緊張が解れていくのを感じる。
その中で次の機を見定めると左手を由比ヶ浜とシーツの間に滑り込ませる。
即ち、尻。
「え、ひゃぁ!」
うーんこの反応。
淫蕩淫靡なさっきまでのものとはまた違うが、こういう馬鹿っぽい明るさも実に由比ヶ浜。
その由比ヶ浜の臀部の感触は乳房よりも僅かに堅く、厚みのある重量感がまた興味深い。
無意識に、撫で回すより揉み込むことを優先してしまう。
モミモミ。
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:51:56.89 ID:B9rqdRar0
「わー、わー! ひ、ひっきぃが痴漢になっちゃったよぉ!」
「お前の中じゃ痴漢=尻スキーなのか……」
「うぅ、だって、ひっきぃの手付きが、う、やらしいんだもん……こんなにぎゅって触られたこと、ないけど」
……なんか聞き捨てならない台詞。
「触られたことはあんの?」
「ハ、ハッキリ『痴漢だ!』て感じのはないけど、んっ、女の子は皆そういう経験あるし……」
「よし分かった触った奴殺そう」
「いきなり極端だ!? ハッキリしてないんだから誰かって分かんないよ!?」
「じゃあ今度一緒に電車乗ったときそれっぽい視線向けた奴皆殺しにするか。 痴漢という民族に対するジェノサイドだ、社会正義だ」
「ひ、ひっきぃが今度は怖い人になっちゃった……」
「冗談に決まってんだろ、ジョーダン」
半分は、だけどな。
痴漢被害発覚で割と本気の殺意沸いたのはマジですマジ。
しかし何時も通りな会話の流れが混じったからか、強ばりはもう殆どない。
強引に右手を��そこ�≠ヨ届かせることも出来るだろうが、まだだめ、だ。
今はまだ暫し流れに身を任せよう。
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/12/19(土) 21:53:09.02 ID:B9rqdRar0
「それはともかくだ……そういう経験あるってことは、尻触られるのって嫌だったりすんの? だとしたら、謝んなきゃだけど」
だが手を止める気はない、というか止められるかなぁ。
胸のような熱中こそ伴わないが、その分中毒性が高い気がする。
この具体的な手応えが、この、このこの。
「あっ、そ、そんなこと言って、全然止める気、ないじゃんっ、はうっ」
「いやすまん、でもこんなん夢中になるわ。 こんな身体してるお前が悪い」
「ほ、ほんとにひっきぃが痴漢みたいなこと言い出した! ひっ、んくぅ」
「でも、本当に嫌だったらちゃんと言ってくれよ? じゃないと多分止められん」
「い、いやなわけ、ないよ……ハッ、ハッ、ひっきぃに、痴漢されてるって、思ったら、変な気分に、なっちゃう……」
…………だからさぁ、もう省略するしかないくらい同じ感想しか出せねぇよ。
疑似痴漢プレイとかOKなの?
俺自分じゃそんなにアブノーマルな嗜好じゃないと思ってたんだけど、
変な方向にイっちゃいそう。
「変な気分になってんの?」
「な、なってるよ。 べろちゅーのときとか、おっぱい触られてたときとか、今も熱くて、熱くて、あたしの全部が、変になってるの……」
すべてが変になる――いや違うかこの場合。
すべてがHになる――……そういうパロAVとか出る?出そう?
いずれにせよ台無し感ハンパねぇ。
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