奴隷「ご主人、様」

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208 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/05/25(木) 04:55:28.39 ID:XHhm8Rd80
>>203-204
相変わらず待たせてスマヌ。


更新できると思ってまた今頃更新である。あかんなぁ、エロももうちょっと勉強せんと・・・。


>>207の訂正
×俺も、不慣れで、強い快楽に負けてそのまま娘の胸に顔を薄め。
○俺も、不慣れで、強い快楽に負けてそのまま娘の胸に顔を埋め。
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 08:22:36.99 ID:YpdGftObO

面白いな
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/26(金) 00:14:38.12 ID:pDDXfG4wo
顔を薄めるって新しい表現だなって思ってた
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/05/26(金) 12:20:40.36 ID:PAITxAFIO
待った甲斐があった
212 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/06/13(火) 00:49:56.03 ID:VeJShKpJ0
身体の重さで意識を取り戻す。ゆっくりと瞼を開き、光を取り込む。左右を見ると整えられたベッドの上で、仰向けになり眠っていた。戻りつつある記憶が、昨日抱きしめた娘の温もりを思い出させて、それが夢であったかのように思わせる。

身体を起こして、布団を横にどかす。するとシーツには、鮮血の痕が残っていた。

「だよ、な」

夢でなかったことに、喜びを覚える。娘を自分のものにした征服感による幸福、しかし、それと同時に娘がいないことが気がかりだった。着替えの準備がきっちりされているところを見ると、先に起きたのは間違いないだろう。
213 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/06/13(火) 01:00:43.77 ID:VeJShKpJ0
着替えに袖を通す為、ベッドから降りる。それに手に取ろうとして、扉が開く音。目線を向けると、娘が俺の状態について小走りで近づいてきていた。

「お手伝いいたします」

「頼む」

それはいつも通りのことのはずなのに、娘の手伝いの動きが、機械的ではなくどこか違った。そう、心地よさというべきだろうか。暖かい感じだ。

着替えを終えて、娘をジッと見る。こちらの目線に気づいたのか、娘は顔をほのかに赤らめて俯いた。ここまであからさまというか、わかりやすいのは覚えている限りではない。

「どうした、まだ痛むのか?」

多分違うとはわかりつつも、シーツにあったあの痕跡を思えば、言わなければいけない気がした。
214 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/06/13(火) 01:48:34.58 ID:VeJShKpJ0

更に顔が赤らんで、震えが大きくなったように思える。これは、触れてはいけないことだったか。

「あー、そのな。とんと経験がなくて、荒々しくしてしまったと思う。痛むなら今日は休んでいいぞ」

「…それは、お気になさらなくて…、大丈夫です」

やはり、あまり触れない方が良さそうだが、娘に何かあっても俺が嫌だ。何より、自分のしたことだからな。

「今日は書き仕事もない。不慣れなことをしたのだしな」

「…主人は、私のことがお嫌いなのですか?」

それはないと反射的に答えてしまうあたり、俺は娘に依存してしまっているな。
215 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/06/13(火) 02:09:01.86 ID:VeJShKpJ0
ただ、今日はいろいろ珍しいものが見える。俺の言葉に、娘に驚き、喜んで、また顔を赤らめて俯いた。ここまで感情豊かだっただろうかと思う。まぁ、その表情も大げさではなく、小さな変化ではある。

「差し出がましいことを申し上げて…、お詫びいたします。食事の準備は整いましたので、食堂までご案内いたします」

後ろを向いてしまった娘を見たのと、今までのコロコロと変わる表情を見て、ふと悪ガキのような悪戯の気持ちが沸いてくる。待て、と一言かけると娘は振り返る。

「お前の好きにして構わん。その代わり、今日は俺から離れるな。命令だ、いいな?」

驚くと思ったのだが、意外にも娘は真剣な表情でしっかりと頷き。仰せのままにと力強く答えた。
216 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/06/13(火) 02:11:10.60 ID:VeJShKpJ0
>>209
ありがとう

>>210
誤字はこのSSの血です。

ずいまぜん

>>211
ゆっくりしていっておくれ


思ったより早く更新できたけど。もっと早くせななぁ・・・
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/13(火) 13:10:18.33 ID:4LJEaBPx0
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/06/13(火) 15:15:47.80 ID:nOemkY9NO
いいぞ
219 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/07/01(土) 01:52:49.63 ID:NIkjzgSq0
食事を終えて、仕事をする訳でもなく書斎にのんびりと座っている。いつもいる場所ということだけで、落ち着いた気分にはなれるというのはあるだろう。

「…………」

娘があまりにも近くに居なければということが、この場合前提になってくるのは間違いないが。おかげで落ち着いた気分に離れずに、無言で娘を気にする状況が続いている。

もちろんこの状況を解消するのは簡単だ。娘には慣れろと一言いえばそれで済む。しかし、俺から離れるなと言ったのもまた事実。それを忠実に守っているのだろうということわかる。

何より、これが嫌かと言われれば、もちろんそうじゃない。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 07:22:06.38 ID:uj9/hfYbo
おつ
221 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/07/03(月) 01:13:06.58 ID:gqVYmctE0
チラリと横目で娘の様子を見る。慎ましく、両手を合わせて座っている。こちらを見ている訳ではないが、時折こちらの様子を伺っているのはわかる。

何をする訳でもない昼下がり、お茶を飲むにはまだ少し早い。そんな、穏やかの中へ身を委ねるには、娘の存在は良い意味で邪魔だ。変わることを知っているその無表情を、変えられないか。その悪戯心が俺を沸き立たせる。

スッと、左手を娘の両手の上に乗せる。可愛らしくピクリと身体を震わせて、おずおずとこちらを見る娘は、何かと尋ねてきた。

「なんでもない」

少し力を入れて手を握ると、娘は身体を硬直させた。
222 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/07/03(月) 01:52:39.47 ID:gqVYmctE0
手から伝わる体温が、娘への愛おしさを助長してくる。まったく、篭絡したところで何の実入りもない主人だろうにと、心の中でこぼす。

「その、何か粗相をいたしましたでしょうか?」

まだやや無表情だが、怯えにも取れる様子。確かにこれでは、理由もわからないまま、ただいきなり手を掴まれた状態だ。そういったものの方が、当たり前だろう。

しかし、俺が見たいのはそれではない。娘の赤面する愛らしいその顔。

すっと相手を背中に回して、娘を近くまで抱き寄せる。互いの吐息がかかるぐらいの近さで、俺は娘の顔が赤く染まるのを眺めながら、声ではなく、呟きでもない愛らしい音を聞く。
223 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/07/03(月) 02:15:57.66 ID:gqVYmctE0
「やっぱりあれだな」

娘の額と自分の額を合わせる。全てが近く、見えているのは娘の目だけのような気がする。

「お前は無表情より、こういう表情の方が愛らしいな」

「な、な…」

これが本当に湯が沸き立つとでもいうのか、これまでで一番、顔を上気させている。身体は羞恥で震えているのもよくわかる。

「…茶を飲みたい。準備できるか?」

「はは、はい。お、お待ちください」

優しく離すと、いつもの静かな動きではなく、慌てた動作のまま書斎から出ていく娘を見て、やはり更に愛おしくなった。
224 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/07/03(月) 02:19:50.36 ID:gqVYmctE0
>>218
ありがとう


寝落ちた続きである。寝てるんだけどもねぇ。


>>219の訂正

×おかげで落ち着いた気分に離れずに、無言で娘を気にする状況が続いている。
○おかげで落ち着いた気分にはなれずに、無言で娘を気にする状況が続いている。

×もちろんこの状況を解消するのは簡単だ。娘には慣れろと一言いえばそれで済む。
○もちろんこの状況を解消するのは簡単だ。娘に離れろと一言いえばそれで済む。
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/23(水) 20:13:03.68 ID:x+UtBif4O
お茶はまだかな
226 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/08/29(火) 04:35:54.83 ID:C26bSm6i0
戻ってくる頃には、何とか心を落ち着けたのか。いつもの様子でお茶を持ってきて配膳する。いつもの茶と、焼き菓子。違うのは、指示通り娘が隣に座っているということか。

会話はない、静かなものだ。穏やかな時間がそのままに流れていて、娘が触れられる近くにいるということが、ここまで幸せなのかと思える。

あぁ、これは冗談ではなく、召使に陥れられた主人ということだろう。問題なのは、それが悪意などではなく、好意だという性質の悪さ。もし、自分が婚姻などしていれば、陳腐な悲劇の結末を迎える登場人物そのものだ。

生憎、芽生えさせられてしまった好意は俺にもある。茶を半分ほど飲んでから、またそっと娘に手を触れた。
227 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/08/29(火) 04:36:45.95 ID:C26bSm6i0
触れてから、身体をこわばらせる様子はある。しかし、以前に比べれば軟化したと言っていいだろう。

「今日の朝のことだがな?」

朝のことと言われ、娘はいろいろ思案するような様子を見せる。大体は恐らく、自分がしたことで粗相があったのか、だろう。

「お前のことは嫌いではない」

それからの言葉は続けられなかった。気恥ずかしいのと、それにやはりまだ、娘がなぜ俺に対して献身的なのかが見えない。それが、止めさせた。

「私は…」

そこからの言葉は、大体は想像できた。だが、やはりそれは娘の言葉で聞きたかった。触れた手がゆっくり優しく握られた後。

「私は、その、差し出がましい、事を、申し上げます…、愛して、おります…」

本当に後ろの方がか細い声で聴きとりづらかったが、それは間違いないと確信を持っていた。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/29(火) 04:37:21.60 ID:C26bSm6i0
だからこそ聞かなければいけないこともある。さっき言った、娘が俺に好意を抱いているその理由だ。

「…なぜだ? 戦いで足に障害が残り、遺産もない。それに、お前を無碍にしたつもりもないが、優しくしたつもりもない。これでどこに、愛せる要素がある?」

「……主人は」

もう1つ、時折見せる娘の強い眼差しがわずかに眼に宿っていたように、俺は見えた。赤くなり、あたふたした娘も可愛いが、毅然としたその振る舞いも、実のところは惹かれているのかもしれない。

「あの悪夢から、救い出してくれた…」

「悪夢?」

そう言えば、最近、娘がそんなものを見たと言っていた。内容は確か――。
229 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/08/29(火) 04:39:53.72 ID:C26bSm6i0
>>255
すいません、それ来月からなんですよ


まさかの1か月半の放置である。言い訳はせぬ。ていうかなんで>>228だけ酉反映されてないんやろ。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 09:59:40.41 ID:QHHVhLAY0
ゾンビ駆除に忙しかったからね仕方ないね
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 11:13:37.48 ID:w1utak+SO
>>255へのキラーパス
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/10/07(土) 00:55:49.03 ID:KbliPIfbO
念のため保守age
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/08(日) 22:59:11.23 ID:Yw0isKeHo
まだかな
234 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/10/23(月) 00:39:04.53 ID:gBC3GUl90
>>230
そっちもなかなかやれてなくてね・・・。

>>231
あれま

>>232
ありがとう

>>233
すまぬ


仕事の内容は変わってないけど、勤務体系変わったりプライベートが予定込みでなかなか更新できないという言い訳タイムです。
次の休みは特に予定ないから更新は可能な限りはする予定。
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 00:47:21.92 ID:B3DhG0jgo
おkおk
待ってる
236 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/10/25(水) 02:28:14.81 ID:AMYs5dIR0
主人はいつも通りの様子でお気づきにはなられていない。私も、話す必要はないと思っていた。

でも、お話しろとご命令されたのであれば、言わないという選択肢を選ぶ権利はない。

「フォーブリア様が治められていた土地に居ましたことや、戦によって奴隷になったことは、お話いたしましたが、それはお覚えでございますでしょうか」

「もちろん」

真剣な面持ちで主人は頷かれた。

「その奴隷であった私を救い出したのは、誰でもない。主人、貴方様でございます」

237 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/10/25(水) 02:43:19.19 ID:AMYs5dIR0
間が開いた。主人が考えられる仕草を取って、しばらくしてから聞き返してくる。

「まさか、フォーブリア領を取り返して攻め入った時に救出した捕虜たちの中にいたのか?」

頷く。それは偶然出会ったとはいえ、あの狭い折の中にいた私を救い出してくれたのは、主人であったことを私は覚えている。

「…主人、貴方様は私にとって、救いの主なのです」

「そう、か…」

お答えしたことに晴れ晴れとした表情はなさらない。思案するという、どこか苦悶を感じさせるもの。

お答えすべきではなかったか、その不安が、頭の中をちらつかせる。
238 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/10/25(水) 03:15:26.03 ID:AMYs5dIR0
>>235
すまんのう


ちょっと眠気でここまで、思いのほか進まなかったのう。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/26(木) 18:55:31.96 ID:dMPWvGb7o
投下数少なくても間隔短い方がエタったか心配しなくていいからありがたい
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 01:32:30.40 ID:XhtZDSAPo
おつ
少しでも書いてくれると嬉しいから問題ない
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/01(金) 20:26:52.93 ID:SGynhNM8o
保守
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/12(火) 19:33:32.88 ID:F3v+G4Ij0
愛を大量に感じられるSS
こういうの待ってた!
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 20:28:43.62 ID:Fe0oZJet0
…エタってないよね?
244 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/12/17(日) 02:11:20.89 ID:Vle6lmXZ0
「…救いの主などではないよ」

沈痛な面持ちで主人は言う。そんなことはないと申し上げたくても、その表情が押しとどめさせる。

あの時、私を救って頂いたのは主人で間違いはない。その事は主人のお父上にも確認いただいていることなのだから。

「あの頃の俺は、隣国に対する恨みでいっぱいだった。それこそ、容赦の一文字もない」

椅子の背に深く寄りかかり、主人はまた中空を見られて何かを考えられてから。

「その憎しみが、こういう生き方になるキッカケだった」

触れられていた手が、そっと離れていった。
245 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/12/17(日) 02:23:35.99 ID:Vle6lmXZ0
なんてことはない。フォーブリア領を守る兵士の中に、俺の同期がいた。孤独だった俺にとって、最初の友人と言っていい存在が、隣国の奇襲によって殺された。

フォーブリア殿が領民を逃がす為に、最期まで戦った時、そいつも同じく共に最期まで戦ったと聞く。誇りであると同時に生き延びることを選ばなかったことを、どこか責める自分がいた。

その憎しみが、無茶な戦いを俺に強いた。もちろんそれは自分の意思には違いない、だが、衝動的と言っていい。

捕虜は取らなかった。一切を斬り殺したからだ。

もちろんそんな戦いを続けていれば、隣国の兵士達にも目をつけられる。
246 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/12/17(日) 02:32:19.47 ID:Vle6lmXZ0
フォーブリア領を取り戻し、隣国へ攻め入る頃には俺は格好の的だった。それもそうだろう、多くの指揮官の首を取り、そして情けなく命乞いをしようが、一刀に斬り捨てる。目をつけられれば、無慈悲に命を奪っていく死神。

討ち取れば間違いなく武功を上げられ、そのまま生かせばいつ自分が殺されるかわからない恐怖の存在。そんな存在を殺せれば、隣国の士気は間違いなく上がる。

敗戦が濃厚になった隣国の首都近くにきた戦いで、その挽回を図るべく相手の軍師は俺を討つことのみの作戦を立てた。いや、もしかしたら挽回などではなく、それは必然のことだったのかもしれない。

互いに殺し合いをしてなお、そういう風に見られるまで、俺は敵兵士を殺しすぎた。ということだ。
247 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2017/12/17(日) 02:44:02.19 ID:Vle6lmXZ0
結果、相手の罠にかかった俺は包囲された敵を相手取り、孤軍奮闘した。その結果が、残った足の後遺症だ。

うまく動かないこの足は、憎しみに駆られて、その衝動に任せた結果生まれた憎しみが宿ったようなもの。

戦争の理由が相手の勝手だとしても、命のやり取りの虚しさ、いや、自己満足(ぞうお)で無駄に命を奪ったという事実に気づいた俺は、騎士の座を辞した。教官の道も、俺の持つ武功からあったが、その道にいること自体を恥じるしかなかった。

友人を思った時に、少なくともあいつは、俺があの戦でしたことを、認めはしないだろう。

憎しみの塊が、ただたまたま捕虜や捕らえられた娘を救っただけ。俺に救いの主と称される資格は、ない。
248 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/12/17(日) 02:47:31.29 ID:Vle6lmXZ0
>>239-240
すまぬすまぬ。余裕があったら更新と思ってていつも通り遅いという始末。

>>241
ありり

>>242
愛はいいものです

>>243
エタる時は、ちゃんと言うでや。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 07:06:23.62 ID:sZeCZsxAO
更新キター!
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 02:23:43.04 ID:Sz8TypxLo
おつ
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 07:13:16.26 ID:AZWZEsJ50
こういうスレいいね。
乙。
252 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2017/12/31(日) 23:46:44.95 ID:SDHTFlLv0
>>249
遅くてすまんのう

>>251
まぁ、こんなスレです



相変わらずの鈍行ぶりです。来年は週一ぐらいでやれればいいんだけど。

では、良いお年を。
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/02(火) 17:12:25.77 ID:IiPZb1Ev0
あけおめ!
254 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2018/01/04(木) 03:04:11.03 ID:Nz34a9H00
>>253
うん、明けたねぇ


実家より戻ってまいりました。といっても、元々鈍行すぎるこっちには関係ないやもですが。
最悪でも今年中に完結は目指さないとなぁ。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/30(火) 01:24:12.79 ID:PRNXA0x4o
ほしゅ
256 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/02/16(金) 16:38:47.24 ID:UulW8uKt0
主人は話し終えた後、ゆっくりと淹れさせていただいたお茶に口をつけられた。

話された内容は、私が想像していたことでは、確かに無い。私が覚えているのは、絶望の中で現れた主人が、優しい微笑みのまま、無事かと尋ねられたことだ。

その笑みは、付き従える今でもむけられ、そのたびに私の心は安らぎに満ちる。けれど、今主人が見せておられる表情は、苦悶。

私が仕事から戻り、1人で居られた時に時折見せていた表情。それがなんであるかは、今までわからなかった。けれど、その意味がお話しいただいてようやっとわかった。
257 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/02/16(金) 16:43:31.59 ID:UulW8uKt0
意を決して、私は離れた主人の手に触れ直す。主人はそれを払うことなく、苦悶の表情のまま私を見られる。

「それでも…」

身体に力が入る、確かに主人は私が思っていた方とは、違うのかもしれない。でも、それは本当の意味で違うということではない。

「それでも私は…」

憎しみに駆られていた主人がいたのは、本当でいらっしゃるのだろう。でも、それは主人は大切な方を失ったからこその怒りだったことにも、違いないのだ。

「私は、私にとっては、主人は…」

だから。私の思いも、思っていた主人のことも。

「救いの主に、変わりはございません」

何も、変わりはしない。
258 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/02/16(金) 16:52:08.87 ID:UulW8uKt0
「…話を聞いてなかったのか? 俺は、無駄に命を奪ったんだ」

「それでも、今なおお苦しみになられているのは、主人がお優しいからです」

顔をそらされる。触れられたくはない、それこそ治りはしない切り傷にゆるゆると触られるのを想像するようなものなのかもしれない。

けれど、その癒えない傷を背負う主人の負担が軽くのであれば、私は、それを一緒に背負わせていただきたい。

「私は、政治事は疎く、何もわかりません。けれど、戦争で起きたことは、主人だけが悪い事ではないのです」

「…違う」

「違いません」

主人は勢いよく立たれ、手が離れる。

「お前に、何がわかる!」

「…何もわからないかもしれません。けれど、主人がお優しいことは誰よりも存じています」

それだけは、間違えようのない事だった。
259 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2018/02/16(金) 16:53:05.51 ID:UulW8uKt0
>>255
ありがとう


あんまり間を空けないようにしようとしてこの始末である。
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 21:42:17.39 ID:26n4yAioO
待ってた!
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 01:17:49.20 ID:G4aPvqKto
I'm waiting
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 23:56:31.99 ID:ta3CFqvdO
こっちも更新おながいします
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 00:13:06.44 ID:9ZOJc6Koo
(ヾノ・∀・`)ムリムリ
264 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/03/20(火) 02:11:28.16 ID:phs2hJCc0
「どうしてだ?」

どうして、そこまで俺を信じられる。俺はただ、捕虜や捕らえられた民を義務として助けたに過ぎない。それは当然すぎるほどに、当たり前のことで、俺はただ―――。

「憎しみに捕らわれただけなら、私達を救われることはありません。そういうことに私はなったことはありません、でも主人はそうはされなかった」

違う。俺はただ、ただ憎くて―――。

「あの時はまだ戦いの最中。本当に主人が敵を討つことのみ考えていたなら、救いには来られなかったはず」

憎くて―――。

「それに…」

「言うな…」
265 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/03/20(火) 02:17:42.22 ID:phs2hJCc0
「いいえ」

娘も立ち上がり、こちらに近づいてくる。それに、恐怖を感じた。なぜ、恐怖を感じるのか。

「どうか、お逃げにならないでください。どうか、私にもその重荷を背負わせてください」

「…。これは、俺だけの罪だ。誰かに背負わせるものではない」

「だから、だからこそ、主人はお優しいのです。けれど、苦しみは誰かと乗り越えることで、楽になるのです。孤児院で、それを私は学びました」

手のひらが、俺の胸の上に触れられる。それは、どう考えても愛おしさを帯びていた。
266 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/03/20(火) 02:24:40.72 ID:phs2hJCc0
「最後まで申し上げさせていただきます」

その触れる手を払いのけようと思い、行動をしようとする両手が重かった。そうすることが、娘の為と理性(どくぜん)が呟き、欲望が娘の全てを欲していた。

いや、全てではない。そのことそのものには間違いはないが、全てが大元ではない。

「主人が、憎しみだけに捕らわれていたとは、私は思いません。なぜなら――」

そう求めているのは。

「憎しみだけに捕らわれた方が、救いの時にあのような優しい笑みを浮かべることは、できません」

渇望し、そして今まで得られなかった。愛そのものだ。
267 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2018/03/20(火) 02:26:55.28 ID:phs2hJCc0
>>260-261
今回も又時間置きすぎてしもうたの

>>262
すまぬすまぬ…

>>263
orz
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/20(火) 12:58:05.67 ID:dNVUmbK70
シリアスいらないからイチャイチャしてくんねぇかなぁ
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 13:01:51.08 ID:H77ESHgVO
いやいや、シリアスあってのイチャイチャだろ
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 17:05:27.12 ID:aza/sxBN0
はやくもう一回奴隷として売り飛ばされて他の男とセックスしろ
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 18:26:51.51 ID:6oE2UXBgo
>>270












272 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 20:03:09.42 ID:hhttW9LxO
このままでいい。
このままがいい。
273 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/03/26(月) 01:56:22.96 ID:vejXgvSB0
「どうして、お前は。そこまで、俺を」

「私にとってのすべてはもう、あの時向けていただいたその笑みしかありません」

笑ってもらえなかったわけではない。孤児院に居た時、その時が一番周りに笑みがあったと思う。でもどこか、それは寂しさが入り混じっていた。

主人があの捕らわれた時に向けられた笑みに、憎しみのかけらも感じられなかった。赤の他人にも関わらず、主人は私の無事を心の底から安堵し、喜ばれていたのがわかった。

「どうか、どうかお逃げにならないでください。私はただ、お慕いしております」

「…、お前の。思うような…」

「……、ですから…、ですから! それが真実であったとしても…! いえ、真実であり、主人にとって重荷であるというなら…! 共に背負わせてください!」
274 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/03/26(月) 02:05:34.82 ID:vejXgvSB0
こんなに側にいるというのに、主人が遠く感じられる。その思いが、声に出ていたと思う。このまま、主人が独りになられ、自分も独りになってしまう気がして、それだけは、嫌だった。

私が独りになるのは仕方ないとしても、優しい主人が独りになるなど、許されるはずがない。

「奴隷」

重く、私を呼び声に身体が震えて、返事をした。こんなことを言っておきながら、顔を上げられない。表情が見られない。

怖い、この気持ちがお分かりになられないことは責めはしない。敬愛する主人が、良からぬ所へと進みそうなことが、怖い。

「俺は、お前を理解できない。それでも1つ、決まったことはある」

「…はい」

次の言葉を待った。
275 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/03/26(月) 02:14:07.37 ID:vejXgvSB0
「お前のすべてを奪う」

――、それは突然だった。気付けば頭と腰の後ろに回された手に抱き寄せられ、口内を主人が蹂躙してくる。言葉通りだった、奪って頂けるのだ。

胸がときめき、喰われるようなその衝動に幸福感が広がり、顔がとろけていくのがわかる。あぁ、理解されなくてもいい。私の思いなど、砂漠に紛れる砂粒のようなもの。

浸っていると、吸い込まれた舌が主人の口内に入り込む。あぁ、だんだんと主人に包まれていくかのよう。なんて、幸せだろう。

主人にもみくちゃにされるよう、舌を味わって頂けたあと、口が離れ、唾液が糸状になってきれ、甘く感じられる吐息が鼻を満たす。

「もう、逃げたいと言っても、手放す気はない」

「私は、死んでも、側にお仕え致します。どうぞ、私をお食べください」

言われなくてもという言葉の後、その口は私を食べる為に、私の口をまた奪った。
276 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2018/03/26(月) 02:16:16.28 ID:vejXgvSB0
>>268-269
まぁ、気付いたらなんでかこうなってたよ。まぁ男が面倒な性格なせいだけど。


>>272
あるがままに。
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 15:40:03.10 ID:yhCgCO7H0
期待の待機
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 00:59:24.57 ID:OBdV1iKyO

あなたの文章好きだわ
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 15:52:06.94 ID:fZMH7eCbo
待期
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 00:14:47.38 ID:RVVQfgPSo
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 17:35:53.95 ID:RFCB5yuso
>>280
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 10:59:24.22 ID:NoJZoPEJo
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/27(金) 12:25:14.71 ID:x59Dutq1o
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/14(月) 23:19:27.91 ID:GgG5KWDdO
こっちも更新して!
285 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/05/22(火) 12:51:58.73 ID:whMa14Dq0
俺は求めていた。愛というものを。

「主人、様…!」

そして同時に諦めてもいた。

「ふ、あ…あ、ぁ!」

俺は家族に疎まれていた。最初からそうだったのかはわからない、少なくともいらない末っ子だったのだろう。

「もっと、もっ、とくださいま、せ…!」

認められようと、経済や商売を勉強したものだが、すでにいる血のつながる義兄弟(きょうだい)の方がいくらでも上だった。

「…ぁ! んぁ!」

努力はした。俺としては血反吐を吐くような努力だったが、周りから見れば人並みだったのかもしれない。俺は商人として、粗悪品だった。
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 13:01:33.30 ID:SJgVU76hO
復活(゚∀゚ 三 ゚∀゚)キター!!
287 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/05/22(火) 13:42:01.46 ID:whMa14Dq0
その劣情を吐き出すように、娘の中に注ぎ込む。

「ふぁ…。はぁ、ぁ。暖かい、です…」

「悪いが、まだ全然足りん」

滾るままに固いそれで、娘の中をかき回す。乱された心のお返しのような気分。

「もっと、もっ、と…!」

更に腰を激しく動かす、下腹部からじんわりとしながら、それでいて激しく快楽が全身を包んでいく。

触れる肌と中の暖かさ、香る甘美な匂い、視界を埋める裸体、心を乱す喘ぎ。

「ん、んん」

そして、口内を満たしていく娘の舌。

これが、満たされるということなのか。
288 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/05/22(火) 13:58:20.96 ID:whMa14Dq0
性行為に幻想なんてない。あるのは男と女の肉欲が絡まるだけのもの。

「主人…、主人…!」

なのにどうして、娘のすべてが更に愛おしいのか。どうして、全てを欲するのか。

「ぁ、ああ…」

まるで、もう娘しかいないなようだ。娘もそうなのか。

快楽にまみれる思考の中で、わずかに冷静な自分がそれを知りたくて蠢く。

「離さ、いで、主人…!」

「誰が離すものか」

両足が、両手が、腰と首に絡む。まるで丸のみにする蛇のように、俺を捕らえて離さない。

捕らわれているのは、俺なのか娘なのか。それとも、2人ともか。

「なら、それでいい」

溜まりに溜まった欲望を、もう一度娘に注いだ。それは、どこか娘に呑まれる気分だった。
289 : ◆e6bTV9S.2E [sage saga]:2018/05/22(火) 14:05:56.15 ID:whMa14Dq0
>>277
期待、ダメ、絶対

>>278
そう言われたのは初めてかねー

>>279 >>284
うん、流石に今回は期間開けすぎた

>>280-283
どういうことだ・・・。

>>286
復活と言われても仕方ない放置っぷりであった。



毎回書こう書こうと思って、いつもやる方更新終わると満足する自分。
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 14:21:41.22 ID:+PbSRhu3O


>>280は俺だがこうなるとは思ってなかったスマン
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 01:04:14.68 ID:0zUvcCYL0
ホ モ 牛 肉(意味:乙)
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/07/01(日) 07:52:49.54 ID:li+MUv+TO
保守
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 20:49:08.50 ID:AE02R/4UO
まってる
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/09(月) 22:05:00.86 ID:eLV7hhnvo
もってる
295 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2018/07/22(日) 18:25:48.66 ID:GZEcqBih0
>>290
キニスルナ

>>291
新しいな

>>292-294
あり


相変わらず長期放置で申し訳ない。暑さに弱いので執筆自体が体たらくな状態です。
とりあえず、今読み直してるとこですので、近いうち更新できれば、いいな。
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 19:22:10.34 ID:VjvV3p4Vo
>>295
無理せずマイペースでおk
エタらなければええんやで
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/11(土) 10:44:13.28 ID:UCys/a2ZO
そろそろお願いします
298 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/08/23(木) 00:54:53.88 ID:BdlXyN5c0
心地よい温もりと、どこか蒸されるような湿度。ゆっくりと目を開ける。

「主人…」

愛おしさに負け、失礼を承知で主人の頬に触れる。呼吸に合わせ、肩が上下するのを見て、穏やかに眠られていることに胸をなで下ろす。

手から伝わる主人の暖かさが、自分の心を溶かしていくのがわかる。

全てを失っていた自分は、失うことをどうしても想像してしまう。この暖かさが消えてしまうとしたら、自分は狂う。それは冗談ではなく。

けれど、それがいいのかもとも思う。私のすべては主人の為にある。本当は想像さえしたくないが、主人がいなくなったなら、私はいる意味はない。

正常であり続けても、死を選ぶことに躊躇はない。つまるところ、正常で死ぬか。異常で生き続けるかだけ。
299 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/08/23(木) 01:12:17.12 ID:BdlXyN5c0
私の生き方は極端だろうか。主人でさえも言われたように、救われたことでここまでの献身を成すことは、異常な事だろうか。

言ってしまおう。それは最初からある者達の考えなのだということを。私には何もなかった、孤児院にいた皆も同じだった。

確かに皆いた。けれど、私がいた孤児院さえもあの戦争で、消えてなくなった。淡く、それでも戻れると思う場所さえもまた、理不尽に奪われ、そして居場所として確立しようとした、あの貴族の方々の屋敷さえも、燃えて消えた。

あの牢にいた時の私は、抜け殻。だったのだろう、覚えてない。絶望の中にある断片の記憶は、暗闇、光、怒号。そして私のすべて、主人の微笑み。
300 : ◆e6bTV9S.2E [saga]:2018/08/23(木) 01:24:57.65 ID:BdlXyN5c0
頬から手を話し、その胸板に顔をうずめる。私は幸福だ、唯一得られたもの。そしてその方に付き従えさせていただいている。

なによりも、このような側にいられることを許してもらえ、愛していただいている。これ以上の幸福など、存在しえるのだろうか。あったとしても、私はこのこと以外を望まない。

「お許しを…」

その胸板を、一度だけ長く、ゆっくりと舌を這わせた。塩味を強く感じられたが、私には甘く変換された。

こうなることはわかっていた。だから、私は何とか距離を置こうとしてきた。でもだからこそわかっていたのだ、側にいればそれは無理になってくる。気持ちは溢れ続ける泉、抑えようとすれば溢れることを逆に意識してしまう。

もう、私はこの溢れる思いを抑えることさえできはしない。出来るのなら、こうやって、主人を感じながら、眠る時だけだろう。
301 : ◆e6bTV9S.2E [saga sage]:2018/08/23(木) 01:26:27.32 ID:BdlXyN5c0
>>296
マイペースも過ぎる勢いで会った

>>297
へい


今まで一番ひどい期間である。とりあえずもう秋になっておくれ、涼しいのが一番や・・・。
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/23(木) 09:15:02.51 ID:t5L6yPLko
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/23(木) 11:10:04.14 ID:QwQ+/9/aO
おつ
待ってたぞ!
そろそろ夜はマシになってきましたね
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/24(金) 01:16:09.41 ID:Y43ghETz0
乙ー

台風が過ぎたら一気に秋らしくなるかねぇ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/25(土) 20:17:16.25 ID:XVrIa34XO
乙!
過ごしやすい季節は短い…
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 18:13:48.54 ID:Uxir0P1tO
まだか
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 09:43:22.94 ID:X3KCzvt8o
板復活に気付いてるかな…
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