結衣「おはようございます、御主人様」 八幡「!?」

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1 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:28:50.26 ID:BmIizrvPO
結衣「奥様もお呼びになっておられますよ」

八幡「は、え...何だって?」

結衣「ふふ、寝ぼけてらっしゃるんですか? もう朝ですよ?」

八幡「...」

辺りを見渡す。
広々とした空間に、大理石らしきもので作られたテーブルや、いかにも高級そうな革張り(?)のソファー...。
由比ヶ浜の向こうには、部屋の掃除をしている執事さん(?)...。
さらには、壁にはよく分からん絵画まで掛けられている。

結衣「御主人様、奥様に怒られてしまいますよ?」

...そしてコイツ。
同級生の由比ヶ浜が、何故かメイドの格好をして、俺を起こそうとしている。
黒を基調としたドレスに、白いカチューシャらしきものを頭につけて...いわゆる、ゴスロリメイドというやつなのだろうか。

だいたい、俺はいつも通り自分の部屋で一人で寝た。
こんな所に移動した覚えはないし、まして由比ヶ浜がいた覚えもない。

八幡「...よく分からんが、分かった」スクッ

色々と疑問は尽きないが、由比ヶ浜が困った顔をしていたので、とりあえず促された通りに動く。
由比ヶ浜の後について部屋を出ると、廊下もまた凄かった。
なんかシャンデリアとかあるんだけど...。

コンコン

由比ヶ浜「奥様、若様を連れてまいりました」

由比ヶ浜が凄い扉をノックして...っていや、おいおい。
若様って何だよ、若様って。

?「はーい。どうぞー」

扉の向こうから、気さくな声で返答が返ってくる。
毎日聞いている、聞き覚えのある声だった。
2 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:29:15.56 ID:BmIizrvPO
小町「はちまーん、遅いよー。小町、お腹ペコペコだよー」

結衣「すみません、奥様。私の手際がもう少し良ければ...」

小町「結衣ちゃんのせいじゃないよ。八幡の寝起きが悪いのがいけないんだもん」

...予想通り小町だった。
何故か、奥様と呼ばれている。
と言うことは、もしかして俺の母親が小町ということになるのだろうか?

小町「八幡、結衣ちゃんにごめんなさいは?」

...小さい子ども相手に話すような言い方なのは何故だ。
小町の方が明らかに年下だろ。

小町「ほら、はちまーん」

結衣「お、奥様、そんな滅相もございません!」

...なんかもうめんどくさい。
ちゃちゃっと言って終わりにしよう。

八幡「由比ヶ浜...すまん」

結衣「ご、御主人様も! おやめになってください!」

何なんだ、この茶番は。
って言うか、由比ヶ浜が敬語を使えていることが一番の驚きだわ。

小町「はい、よろしい。じゃ、ご飯にしましょー。結衣ちゃん、今日のご飯は?」

結衣「あ、はい...。本日の朝食は−−−」
3 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:30:02.36 ID:BmIizrvPO
糞みたいな茶番の後、これまた豪勢な朝食が出てきた。
朝からメロンとか出てきたし...。
いや、コイツの身体の話じゃないからね。

結衣「御主人様、朝食がお済みになられたら、一先ずお部屋に戻りましょう」

八幡「あ...おう」

小町「結衣ちゃーん、今日も八幡のことよろしくねー」

結衣「はい、承知しました」

ガチャ バタン

行きと同じように、帰りも由比ヶ浜の後ろに付いて歩く。

結衣「御主人様、本日はいつもの様に、10時から家庭教師の方がいらっしゃいます。お昼まで勉強した後、一時半から再開です」

え、家庭教師とか来るの?
って言うか、学校とか無いの?

ガチャ

とか何とか考えてたら、俺の部屋(?)に戻って来た。
改めて見ても、無茶苦茶広い。

パタン

結衣「...えへへ」

由比ヶ浜が突然笑い出した。
言っちゃあ悪いけど、少し不気味だ。
まあ、可愛いけど。

結衣「うーん、やっと空き時間だね、ヒッキー」ダキッ

八幡「!?」

そして、これまた突然抱きつかれた。
メロンが非常に主張してきて、色々とヤバイ。
あ、今度は身体に付いてる方。

八幡「ちょ、ちょっと待ってくれ! 由比ヶ浜!」

結衣「も〜、今は二人っきりなんだから、ちゃんと『結衣』って呼んでよ〜」

八幡「は、え、は!?」

こ、これはヤバイ...。
とりあえず、事情を話して分かってもらおう...。

八幡「...由比ヶ浜、じ−−−」

結衣「結衣」

八幡「...結衣、実はな−−−」
4 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:30:29.86 ID:BmIizrvPO
俺は元々、普通(だったはず)の男子高校生だったこと、由比ヶ浜が同級生であること、小町が妹であること...。
とにかく、現状の全てが分からないことを話した。
初めは訝しげに聞いていた由比ヶ浜だったが、徐々に俺の話を信用してくれたのか、本気で聞いてくれた。

結衣「じゃあ...ヒッキーは、私のことも覚えてないの?」

八幡「...そうだな。この世界のお前に関しては、何も...」

結衣「そう...なんだ」ジワ

事を理解した由比ヶ浜は、同時に、目尻に涙を溜めてしまった。
俺自身、訳が分からないながら、申し訳なくなってしまう。
だから、罪を償うため...いや、もしかしたら興味本位なのかもしれないが、彼女に問おうと思った。

八幡「もし良かったら...聞かせてくれないか?」

結衣「グスッ...何を?」

八幡「この家の...それと、俺とお前の状況を」

結衣「...うん」
5 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:30:57.38 ID:BmIizrvPO
結衣「何から話したら良いんだろ...」

うーん、と唸りながら、由比ヶ浜は宙を見つめる。
こういう何気ない仕草は、俺の見覚えのある由比ヶ浜そのものだった。

結衣「えっと...まず、ここは比企谷家のお屋敷」

八幡「ちょっと待て」

結衣「え、何?」

八幡「お屋敷ってどういうことだよ。俺ん家って金持ちなのか?」

結衣「あ〜...そこからか。えっとね、比企谷家の始まりは、大政奉還の動乱に乗じて、ヒッキーのお父様が−−−」

八幡「ちょっと待て」

結衣「も〜、今度は何?」

ヤバイ、頭が痛くなってきた...。
大政奉還?
親父がナンタラ?

八幡「あー...えっと、何時代? いや、年号は?」

結衣「時代は分かんないけど...年号は大正」

八幡「...」

昭和ですら無いのかよ!
いや、でも、大正って15年で終わるはずだし、もうすぐ昭和なのか...。
っつっても、どっちにしろ戦前...。
...戦前でも、日本にメロンってあったんだ。
6 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:31:24.28 ID:BmIizrvPO
結衣「えっと、説明続けるよ?」

そう言って、由比ヶ浜は説明を再開した。

結衣「その時に、旦那様...つまり、ヒッキーのお父様が事業を開始なさって、あれよあれよと言う間に大成長。今じゃ、日本屈指の大財閥だよ」

財閥...比企谷財閥か...。
なんじゃそりゃ...。

結衣「で、その旦那様がお建てになったのが、このお屋敷」

八幡「...なるほど」

そう言われてから改めて部屋を見回すと、どことなく大正ロマンっぽい気がしないでもない。
...すみません、なんとなく知ってる単語を使いました。

結衣「それで、私は比企谷家で奉公させてもらってるの」

八幡「女の子一人で?」

結衣「うん。でもね、普通こういう場合は...その、え、エッチなことされることも覚悟しとかないといけないんだけど、旦那様も奥様もお優しくって、全然そんなことなくて...」

八幡「そう、なのか...」

コイツも、結構な覚悟をして生きてるんだな...。
時代が違うと、ここまで違うもんなのか...。

結衣「あ、でも言っとくけど、ここで奉公させてもらうまでは実家で家業を手伝ってたから、そんな経験一度もないからね!」///

八幡「...何を突然言い訳始めてんだよ」

結衣「え...だって、私達、こ...恋人、なんだよ...?」
7 :いいいい ◆CcW4KPdZhU [saga]:2016/05/14(土) 20:31:50.65 ID:BmIizrvPO
八幡「...え、マジ?」

結衣「...マジ」

...今気づいた。
これは絶対に夢だ、うん。
じゃないと、由比ヶ浜が俺の彼女なんてありえない。
だいたい設定がありえない。
とりあえず、定番のアレ...頬を抓ってみよう。

八幡「...」ギチチチチ

...痛い。
はい、夢じゃない。
じゃあなんだよこれ?

結衣「...ヒッキー、何してるの?」

八幡「いや、夢かどうかの確認...」ヒリヒリ

結衣「なんで?」

八幡「だって、お前みたいな可愛い娘が彼女とか、俺の妄想だとしか思えねえからな」

結衣「か、かわっ...!? もう、ヒッキーったら...」プイッ

そう言いつつも、赤面しつつニヤケるコイツの表情の破壊力は半端じゃない。
でも、それはすぐに消えてしまった。

結衣「でもさ...ヒッキー、私に関する記憶持ってないんだよね?」

八幡「...ああ」

結衣「じゃあ...私のこと、好きでもなんでも無いんだよね?」

そう問いかけてくる彼女の表情は、哀しみに満ち溢れていた。
由比ヶ浜のこんな顔は、向こうの世界でも見たことがない。
俺は、どう答えるべきなのだろうか?
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