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魔剣士「やはりフキノトウは最高だ」武闘家「えっ?」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/05/25(水) 19:51:42.58 ID:+qOyp7LSo
第一株 植物愛
武闘家「なんかすごく苦いにおいがしてるんだけど」
魔剣士「この独特の風味がクセになる」
俺の最も好きな食べ物はフキノトウである。
武闘家「エリウス、今度は何の葉っぱ食べてるの?」
魔剣士「トリカブト」
武闘家「ちょっと……それ最凶レベルのやばい毒草じゃないの」
武闘家「植物に疎いあたしでも知ってるわ」
魔剣士「この苦み……たまらん。美味だ」
俺は植物であればなんでも食べるが、特に苦みや渋みの強い物が大好物だ。
普通なら灰汁抜きが必要な野菜だって未処理で食べるし、
どんな毒草も俺にとってはただの食材である。
・勇者「やっぱり処女は最高だね」戦士「え?」 の続編です。
・このSSに、実在する人物・団体等を誹謗中傷する意図は全くありません。
※エログロ注意(エロメインではない)
2 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:53:50.90 ID:+qOyp7LSo
武闘家「うわあ……」
俺の隣にいる細マッチョ金髪美少女はドン引きしている。
つい昨日、とある出来事があって俺はこいつと共に旅をすることとなった。
――――――――
――
俺は植物研究のため、故郷を出て旅を始めた。
世界中の植物を食べて回りたくなったのである。
今年でもう18なんだ。親から離れたいというのもあった。
教授『研究室に籠りっぱなしも君にとってはつまらんだろう』
教授『行ってこい行ってこい。新たな発見があることを祈っとるぞ』
教授は快く送り出してくれた。
12歳になる年に飛び級で大学に入学した俺は、書類上は大学院生だが実質研究員だ。
植物学の権威である教授や一般企業と協力して研究を行っている。
3 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:55:06.19 ID:+qOyp7LSo
ある町に訪れた。
生のホウレン草をかじりながら町中を歩いていると、
一人の女が怪しい男達に絡まれていた。
武闘家「あの、改宗とか興味ないんですほんと」
武闘家「お引き取りください」
勧誘員1「そう仰らず、どうぞこちらの喫茶店でゆっくり話を聞いていただきたい」
勧誘員2「うちに入信した方が絶対幸せになれますから!」
武闘家「すみません正直困ります」
彼女には見覚えがあった。彼女の名はカナリアーナ。通称カナリア。
俺の両親の旧友の娘だ。遠方に住んでいるが、数年に一度ほどの頻度で会っている。
しばらく見ない間にずいぶん筋肉がついたな。
武闘家「あ、エリウスー! 待ったのよ!」
彼女は俺を見つけると、駆け寄ってきて俺の腕を掴んだ。
そして小声で
武闘家「お願い合わせて。逃げるの手伝って」
と言った。
4 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:55:53.51 ID:+qOyp7LSo
魔剣士「宗教勧誘か……」
珍しいこともあるもんだな。
今の時代は、アモル教という宗教が世界中で信仰されている。
大昔は大きな宗教戦争もあったそうだが、ここ数百年は落ち着いている。
現代でも一部の少数民族が独自の宗教を持っていることはあるが、
彼等が勧誘を行うことはまずありえない。
新しい宗教をわざわざ興そうとする人物でさえ今時稀だ。
つまり、宗教勧誘を行う人間なんて絶滅危惧種も同然なのである。
俺は天然記念物を見つけたような気分になった。
苦労して山に登り、洞窟を探索してヒカリゴケを発見できた時並みの感動である。
魔剣士「話を聞こうじゃないか」
武闘家「ちょっと」
俺の好奇心は、テッポウウリの種のように弾け出した。
5 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:56:22.17 ID:+qOyp7LSo
――喫茶店
勧誘員1「あなたは……先程から何故ホウレン草をかじっておられるのですか?」
魔剣士「小腹が空いていたものですから」
武闘家「小腹が空いたら生のホウレン草をおやつにするの?」
魔剣士「ああ」
魔剣士「灰汁抜きしてないからえぐみがあって美味いぞ」
武闘家「だ、大丈夫なの?」
俺は無表情のまま右手をサムズアップの形にした。
勧誘員2「……そのような食生活を送って、あなたは幸せですか?」
勧誘員2「お可哀想に。まともな料理を食べずにお育ちになったのでしょう」
そんなことはないし憐れまれる筋合いもない。失礼だな。
母さんの料理の味は年々向上してるし元から不味くはない。
俺のわがままで食べなかったことはあったが。
6 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:57:08.99 ID:+qOyp7LSo
魔剣士「俺が何を食べて幸せを感じようが俺の自由です」
俺は鞄からホウレン草をもう一株取り出してかじった。
勧誘員1「えええ……」
小綺麗な喫茶店故に飾られている草花も小ぶりで可愛らしいのだが、
流石に食べるのは我慢した。美しい植物には食欲と性欲をそそられる。
魔剣士「あ、店員さん注文いいですか」
魔剣士「アールグレイとダージリンをお願いします。使った茶葉もください」
店員「は、はい?」
数分後、俺は紅茶を飲みつつ茶葉も食べた。
魔剣士「おかわりお願いします。紅茶だけじゃなくて茶葉も」
武闘家「茶葉入りの焼き菓子を食べるのならまだわかるんだけど……」
勧誘員2「そ、そろそろ……本題に入らせていただきます……」
7 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:58:23.80 ID:+qOyp7LSo
勧誘員1「現在、世界はアモル教の支配下にあります」
勧誘員1「はっきり言って彼等は偽善的な独裁者です」
勧誘員2「人はアモル教の洗脳から解き放たれなければなりません」
魔剣士「ほーう?」
魔剣士「具体的にどう洗脳されているのか説明していただけますかね」
宗教戦争に疲れた昔の人間達は、ある時
『最低限の道徳を教えてあとは何でもアリの適当な宗教を作ろう』
と思い至った。そして生まれたのがアモル教である。
アモル教は多神教であり、他の宗教を弾圧することもない。
『来る者拒まず去る者追わず』主義だ。
長時間祈りを捧げたりする必要もなく、非常に楽に信仰できる。
信心深くなくとも教会でサービスを受けることさえ可能だ。
他に類を見ない程ゆるゆるである。
その結果、いつの間にか世界中の宗教がアモル教に融け込んでいた。
勧誘員1「アモルとは愛の意。アモル教は愛の宗教」
勧誘員1「彼等は愛が世界を救うと謳っています」
勧誘員1「しかし、そのような綺麗事で世界を救うことができたら苦労はしないのですよ」
魔剣士「ふむ」
8 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:58:53.17 ID:+qOyp7LSo
武闘家「ちょっと……この人達の話を聞いちゃ駄目よ。危ないわ」
魔剣士「まあまあ」
勧誘員1「世界は唯一神オディウムを信じることでのみ救われるのです」
魔剣士「ふふっ……」
魔剣士「オ、ディ……ウ、ムッ……くそっ……」
俺は吹き出して笑ってしまった。
勧誘員2「な、何がおかしいのですか!」
武闘家「……?」
魔剣士「オディウムってつまりうどん粉病じゃねえか! ははははは」
野菜の天敵である。
勧誘員1「な、何を言うか!! オディウムとは太古の言語で憎しみという意味であって」
魔剣士「うどん粉病教か……!」
勧誘員2「我等が神を愚弄するか貴様ァー!」
魔剣士「ぎゃはは」
武闘家「憎しみの神様を信仰してるなんて、とても入信する気にはなれないわね……」
9 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 19:59:37.15 ID:+qOyp7LSo
魔剣士「ああ、すみませんすみません」
魔剣士「あなた方は何故オディウム神フフッ を信じてるんですか?」
まだ笑いが漏れてしまう。
勧誘員1「くっ……」
勧誘員2「……我等が神オディウムは、罪深き人間を憎み罰する神」
勧誘員2「オディウム神に懺悔し、己を律することで、人は厄災から解放されるのです」
勧誘員1「私は入信したことで仕事のストレスから解放され、金運にも恵まれました」
勧誘員2「私も恋人ができました。彼女いない歴30年だった私がですよ」
胡散臭いにもほどがある。
勧誘員1「あ、ところであなた方は学生さんですか?」
魔剣士「はい」
武闘家「……」
勧誘員1「毎朝毎晩三十分ずつお経を唱えることで、テストの点数が上がりますよ」
魔剣士「どういう仕組みでですかね?」
勧誘員1「お経を唱えると、全てを知ったも同然になるのです」
ここも笑うところだろうか。
勧誘員1「魔物が跋扈していた時代も、」
勧誘員1「オディウム教徒だけは一人も魔物に襲われなかったそうです」
25年程前に魔王が倒され、魔族を産み出す『魔の核』が封印された。
それまでは魔族が暴れ回る時代が数十年続いていたらしい。
勧誘員1「こちらが我等の会報となります」
勧誘員達はテーブルに怪しい紙を広げた。胡散臭い文章が長々と綴られている。
紙の上の方には、古い言語で書かれた短い文があった。
【 Ira odium generat. 】
10 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:03:33.42 ID:+qOyp7LSo
勧誘員2「『イーラ・オディウム・ゲネラト』と発音します」
勧誘員2「イーラは怒り。ゲネラトは生むという意味です」
勧誘員2「怒りは憎しみを生む……我等オディウム教徒の合言葉のようなものです」
魔剣士「怒りはうどん粉病を生む……ふふっ」
勧誘員1「コホン。オディウム神を信じなければ、あなたにも厄災が降りかかるでしょう」
勧誘員1「いえ、既に不幸な状態に陥っているようですね」
勧誘員1「下茹でをしていないホウレン草や使用済みの茶葉を食べるなんて……」
勧誘員2「オディウム神の力は、人の憎しみの感情を吸って強くなっています」
勧誘員2「一刻も早く入信してください。真の厄災が降りかかる前に。入会費はタダです」
勧誘員1「毎月発行される会報もたったの250Gですよ」
勧誘員2「オディウム神は万能。信じればあなたも神の力で幸せになることができます」
勧誘員1「人を真に救いはしない曖昧なアモル教と違い、本当の幸福を授けられるのです」
魔剣士「世界中の人間が入信したらオディウム神の力はどうなるんですか?」
魔剣士「憎しみを吸えなくなって弱体化するんですか?」
勧誘員2「え、ええと……あくまで破壊の力が強くなるという意味であって……その……」
魔剣士「それって万能だとは言えなくないですかね」
武闘家「あら確かに」
こいつらは胡散臭い幸運グッズの販売員と同じだ。
主張している内容が支離滅裂である。
勧誘員1「そ、それは……」
11 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:04:02.41 ID:+qOyp7LSo
勧誘員2「と、とにかく! 入信しなければ不幸になるのです!」
勧誘員1「さあ署名を!」
魔剣士「お断りですわ、ガキの頃うどん粉病にイチゴをやられてるんすよ」
勧誘員1「くっ、こうなったら……」
勧誘員が指を鳴らすと、武装した男達が現れた。
勧誘員1「無理矢理にでも我等が祭殿に連れていくぞ!」
武闘家「っ……!」
カナリアは戦闘態勢をとった。
店員「きゃああ!」
魔剣士「物騒だな……店に迷惑だろ」
武闘家「あなたも構えなさいよ!」
魔剣士「構える必要もない」
魔剣士「もう勝ってる」
武闘家「え?」
兇手「ぐわああああああああああ!!」
刺客A「あぁああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
刺客B「いっでええええええええええええええええええ!!!!」
12 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:04:44.09 ID:+qOyp7LSo
勧誘員1「い、一体どうしたというんだ」
武闘家「次々と股間を押さえて蹲り出した……?」
勧誘員2「くっ、英雄アキレスの娘だけでも捕らえなければ」
武闘家「!?」
魔剣士「あ、おまえ等にもかけとくからな」
勧誘員1「!? ぎゃああああ!!」
勧誘員2「息子があああああああああああああ!!!!」
魔剣士「シュウ酸の力を舐めるなよ」
勧誘員1「ま、まで! いっだいなにをじだ」
魔剣士「尿道に石をちょこっとな」
魔剣士「あんたらが何を信じようが勝手だが、それを他人に押し付けるのは迷惑だ」
魔剣士「じゃあな」
店長「もしもし国家憲兵ですか。ええ、怪しい男達が……」
魔剣士「店員さん、お勘定頼むわ」
店員「は、はい」
兇手「うぐ……あの目尻、間違いない……」
兇手「奴は……あの男の息子だ……!」
13 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:05:28.12 ID:+qOyp7LSo
武闘家「あなた、一体何をしたの?」
武闘家「魔術を発動したにしても、詠唱は聞こえなかったのだけど」
魔剣士「俺の魔力は特殊でな」
魔剣士「俺が食べた植物の成分と融合させて自由に操ることができる」
武闘家「だから灰汁抜きしていないホウレン草も平気で食べてたのね……」
魔剣士「魔適傾向自体は高くないんだが、植物の成分だけはイメージで自由自在だ」
魔適傾向……体に対する魔力の馴染みやすさのことである。
魔適傾向が高ければ、
術式を組んで術名を詠唱しなくとも、想像するだけで魔術を使うことが可能だ。
魔剣士「更に、俺の魔力は植物から得た成分の力を増幅させることができる」
魔剣士「ホウレン草に含まれるシュウ酸を俺の魔力に乗せ、」
魔剣士「奴等の体内に流して尿路結石を発症させた」
魔剣士「ついでに紅茶に含まれていたカフェインも流し込んでおいた」
魔剣士「とてつもない激痛に加え、奴等は今尿意とも戦っている」
武闘家「あの……漏らしたりしたらお店に迷惑じゃ……」
魔剣士「結石が堰き止めているから大丈夫だ」
武闘家「そ、そう……」
性欲は魔力の流れを乱すため、魔術師にとっての最大の敵は己の性欲なのだが、
植物の力を使う時だけは多少性欲を覚えても問題なかった。
むしろ、植物のことを想って性的興奮を昂らせている時の方が威力が上がる気さえする。
14 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:06:04.77 ID:+qOyp7LSo
魔剣士「おまえこそ何で南の大陸にいるんだよ」
普段、彼女は東の大陸に住んでいる。
武闘家「……何もかも嫌になって、家出したの」
武闘家「どいつもこいつも、あたしを英雄の娘としてしか見てくれない」
武闘家「どんなに頑張っても、英雄の娘だからすごいね、強いんだねって……」
武闘家「あたし自身を認めてくれる人なんていなかった」
そりゃ、魔王を倒した英雄の娘だったらそういう状態に陥っても不自然ではない。
人は何かと色眼鏡をかけてしまう生き物なのだ。
武闘家「だから、誰もあたしを知らない土地に行こうと思って」
魔剣士「ふーん」
武闘家「……あなたも同じような経験ないの?」
俺の両親も、カナリアの両親やその仲間達と共に魔王を倒した勇者だ。
魔剣士「わりとあるけど気にしたことはねえな」
魔剣士「植物以外に興味ないし」
武闘家「……あなたのそういうところ、嫌いじゃないわ」
15 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:06:30.51 ID:+qOyp7LSo
武闘家「でもまさか……元から冷めた奴だとは思ってたけど、」
武闘家「ここまでぶっとん……ええと、ワンダフルな奴だったなんてね」
武闘家「知らなかったわ」
魔剣士「まあ、たまにしか会う機会なかったしな」
俺はそこらへんに生えていた雑草を摘み取り、水魔法で軽く洗って食べた。美味だ。
武闘家「…………」
幼女「ままーあそこのおにいちゃんざっそうたべてるー」
母親「シッ! 見ちゃいけません!」
武闘家「……もう少し人の目は気にしたら?」
魔剣士「他人からの評価なんぞどうでもいい」
武闘家「…………」
16 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:07:05.55 ID:+qOyp7LSo
武闘家「ええと……これからしばらく、家出に付き合ってくれない?」
武闘家「あたし一人で旅をするなんてやっぱり危ないなって思ったの」
武闘家「この頃宗教勧誘が激しすぎるし、よく妙な視線を感じるし……」
魔剣士「いいけど、おまえ金あるのか?」
武闘家「う……貯めたお小遣いがあと15万Gくらい……」
魔剣士「普通に旅してたらすぐに飛ぶ額だな」
武闘家「じ、自分の路銀くらいがんばって稼ぐから! たかる気はないから!」
魔剣士「いや別に。俺は充分すぎるくらい定期収入あるから気にしなくていいよ」
武闘家「え…………」
魔剣士「いろんな技術を開発して企業に売り込んでるからな」
魔剣士「口座にロイヤルティー入ってくる」
武闘家「……頼っていいの?」
魔剣士「うん」
武闘家「…………どうしてそんなに優しいの?」
魔剣士「断るのが面倒なだけだ」
武闘家「そ……そう」
――
――――――――
17 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:08:10.90 ID:+qOyp7LSo
そして今に至る。
魔剣士「調理したフキノトウならおまえでも食べられるぞ」
武闘家「え、ほんとに?」
魔剣士「ちょっと待ってろ。天ぷらにしてやる」
武闘家「あ……ありがと」
魔剣士「流石にトリカブトはどう足掻いても食べさせてやれないけどな」
武闘家「そりゃそうよ……」
武闘家「……何がきっかけで毒草を食べるようになったの?」
魔剣士「幼い頃、俺はフキノトウを求めて山に入った」
陶芸家であるじいちゃんと取引をしている商人が、
ある時土産としてフキノトウを持ってきてくれた。
それ以来、俺はフキノトウの虜となったのだ。
魔剣士「だが、俺が見つけたのはよく似た見た目の毒草、ハシリドコロだった」
魔剣士「当時の俺はその事実に気付かず、それを毟って食べた」
武闘家「ええぇ……普通なら調理してから食べようと思うよね……?」
魔剣士「なんかやばい味だとは思ったが、その時俺は俺の魔力の能力に気がついた」
魔剣士「それ以来だな。俺はあらゆる植物を片っ端から食べるようになり、」
魔剣士「やがて食べた植物の成分を味から把握できるようになっていった」
武闘家「…………すごい才能だとは……思うのだけど……」
カナリアはげんなりしている。
18 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:08:36.65 ID:+qOyp7LSo
魔剣士「ほら、できたぞ。フキノトウの天ぷら」
武闘家「……ほんとにおいしいの?」
魔剣士「おう」
武闘家「にがっ……」
武闘家「…………」
武闘家「……慣れると確かにおいしいわね」
魔剣士「だろ? 健康に良い成分もたくさん含まれてるんだぞ」
兇手「…………」
兵士「ほら歩け」
昨日の連中が、治療を終えたのか病院から何処かへ連行されていった。
男の内の一人に睨まれたような気がしたが、
気にしても仕方がないので忘れることにした。
俺はこれからどんな植物と出会えるのだろうか。非常に楽しみである。
19 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/25(水) 20:10:26.60 ID:+qOyp7LSo
ここまで
お経を唱えるとこの世の全てを知ったことになるからテストの点数が云々のくだりは実話
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/25(水) 20:35:54.56 ID:t2No/GCpO
お経は漢文で書かれてるし、国語の勉強にはなるんじゃない?
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/25(水) 20:40:22.82 ID:2R0iFkezO
お経自体には瞑想と同様の効果があって脳が活性化して云々の話はあるが顕○会の悪質な勧誘は滅べ
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2016/05/25(水) 21:28:24.89 ID:E3z3kcvaO
乙。前作と題名被せてんのね。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/26(木) 18:52:37.27 ID:A5Ov8RIjo
アキレスって誰だっけ
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/05/26(木) 18:54:48.67 ID:BH1MomOpO
アキレス? アキナちゃんのことだよ
25 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:39:36.37 ID:EwJvDa37o
夜空を見上げていると、俺の携帯機が鳴った。父さんからの着信だ。
魔剣士「Hello?」
戦士『もしもし』
魔剣士「うん」
戦士『また部下に失禁された』
現代、技術の発達により通信機が普及している。
おかげで、遠くにいる家族や知り合いとの通話やメールの交換が可能だ。
車があるため旅も楽である。
戦士『父さんの顔って、やっぱりそんなに怖いか?』
魔剣士「今更確認する必要すらないだろ」
うちの父親は顔が怖い上に、ガタイが良くかなり背が高い。
国の軍に所属していて、そこそこ昇進しているのだが、
父さんに凄まれて失禁する部下が後を絶たないそうだ。
どんな悪人でも、父さんに取り調べをされたらビビッて動けなくなる。
また、父さんは基本的には顔のわりに温厚なのだが、叱る時は叱る人である。
流石の俺でも父さんに叱られたらちょっとちびる。
第二株 香辛料
26 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:40:53.79 ID:EwJvDa37o
戦士『まあそんなことはいい』
戦士『しばらく前から、カナリアちゃんが家出して行方不明だそうだ』
戦士『もし彼女を見かけ』
魔剣士「カナリアなら今俺の隣で寝てるけど」
戦士『え?』
戦士『…………』
戦士『おまえ……母さんに去勢されるぞ……』
母さんは貞操に厳しい。
未婚で童貞を卒業したら息子を狩り取られるぞと昔から父さんに警告されている。
魔剣士「え?」
魔剣士「俺の隣の座席で寝てるって言っただけなんだけど」
魔剣士「父さん今何想像したの? 何想像したの??」
戦士『……はあ』
戦士『まあ無事がわかってよかった』
戦士『帰るよう説得してくれないか』
魔剣士「無理。本人に帰る気ないもん」
戦士『あー……とりあえず間違いだけは起こすなよ』
戦士『あと、この頃悪質なカルト組織の動きが活発だから気をつけるんだぞ』
魔剣士「はいはい」
27 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:41:46.73 ID:EwJvDa37o
翌朝。
武闘家「旅の予定はどんな感じなの?」
魔剣士「適当にサウス大陸を回ったら、サントル中央列島に行こうと思ってる」
この南の大陸、サウスよりも北に位置している、西から東へ細長く伸びた列島である。
列島といっても、その面積は合計するとかなり広い。
本島はサウス大陸の、とんでもなくでかい陸繋島であり、細い砂州で繋がっている。
魔剣士「あそこは花の都ルルディブルクや、」
魔剣士「大樹で有名な港町アクアマリーナがあるからな」
魔剣士「そのうち東の大陸にも行きたいんだが」
武闘家「う…………」
魔剣士「いいよ。後回しにするし」
武闘家「……ありがと」
28 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:42:39.97 ID:EwJvDa37o
車を郊外に停め、町に入った。
車道が整備されていない町や村の中を車で進むことはできない。
大抵、大都市や城下町であれば車道が整備されているのだが、
こんな時は郊外に用意されている旅人用の駐車場を借りることになる。
田舎の小国では整備されている町村の方が少ない。
武闘家「畑が広がってるわねー……」
魔剣士「香辛料になる植物の栽培が盛んでな」
魔剣士「この町では様々なバリエーションのカレーを食べることができる」
魔剣士「街中はカレー屋だらけだ」
武闘家「あら、楽しみだわ。詳しいのね」
魔剣士「たまに家族で来るからな」
29 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:43:21.11 ID:EwJvDa37o
香辛料の専門店に立ち寄った。
店主「やあエリウス君、久しぶりじゃないか。大きくなったね」
魔剣士「どうも」
魔剣士「この香辛料のセットを一箱」
店主「まいど」
魔剣士「運送会社って何処にありましたっけ」
店主「あっちの角を右に行った先だよ」
魔剣士「あざっす」
店主「家に送るのかい」
魔剣士「はい」
武闘家「家族思いね」
魔剣士「そうでもない」
魔剣士「家族といい関係を築いとかないといろいろめんどくさいってだけだ」
父さんや上の弟は辛い物が大好きだ。多分喜ぶだろう。
魔剣士「おじさん、こっちの小さい詰め合わせも一箱」
店主「自分用かい?」
魔剣士「はい」
店主「小さかった頃の君が、僕の目の前で唐辛子の粉末を食べた時はまあ驚いたなあ……」
武闘家「……想像しただけで胃が荒れそう」
30 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:44:05.66 ID:EwJvDa37o
何種類かの香辛料がブレンドされている小瓶を開け、中身をスプーンですくって舐めた。
これらの香辛料も、上手く操れば体の調子を整えるのに役立つ。
もちろん常人が食べすぎたら毒にもなり得るため注意が必要だ。
武闘家「……舌、ヒリヒリしない?」
魔剣士「平気だ」
魔剣士「特別辛い物が好きというわけじゃないが、意外とこれクセになるんだよな」
魔剣士「すみませんこれヒート・ヘイズ村の5丁目15番35号まで」
業者「へーい」
地主「アリシアは何処だ!? 何処にいるのだ!!」
兵士1「そ、それが……」
兵士1「ご令嬢は、ローブを纏った怪しい連中にとある建物へ連れ込まれたらしいのです」
兵士1「まだ目撃者に詳しく話を聞いている最中でして」
魔剣士「ん?」
31 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:44:54.93 ID:EwJvDa37o
魔剣士「なんか事件が起きてるみたいだな」
武闘家「物騒ね……」
魔剣士「ほら行くぞ。カレー食べるんだろ」
俺は別の小瓶を開け、香辛料を食べた。
武闘家「あたし、放っておけないわ」
魔剣士「こういうのは子供が首を突っ込むことじゃな……はあ」
カナリアのことは放っておこうと思ったが、
もし彼女に何かあったら後で父さんに怒られそうだ。
仕方がない。追いかけよう。
魔剣士「悪いことは言わん、兵士に任せとけ」
武闘家「あなたは困っている人を見過ごしていられるの?」
武闘家「軍人がぐずぐずしている間にも、被害者は危険な目に遭っているかもしれないわ」
正義感に任せて下手に手を出したら、かえって悪い結果を招くこともある。
しかしカナリアを止めることはできなさそうだ。
32 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/05/29(日) 15:47:04.21 ID:EwJvDa37o
カナリアは、兵士達の会話からアリシアさんが連れ込まれたと思われる建物を特定した。
辺りの様子を窺いつつ突入する気のようだ。
建物には看板が取り付けられており、『幸運を求める者 此処に集え』と書かれている。
武闘家「……あの建物、なんだか嫌な雰囲気がするわ」
兵士2「そこの君達、ここで一体何をやっているんだい」
武闘家「えっと……地主さんの娘さんが心配で」
兵士2「我々に任せてくれ。君達も巻き込まれたらいけな……ん?」
兵士3「この子、英雄アキレスにそっくりじゃないか……?」
兵士2「ああっほんとだ」
兵士は携帯端末でネットを開いた。
現在はネットワーク技術で世界が繋がっている。端末さえあればアクセスが可能だ。
また、魔導の達人であれば端末がなくともネットを見ることができるらしい。
武闘家「…………」
カナリアは複雑そうにしている。
彼女が世界の何処に逃げても、誉れ高き彼女の両親の写真はネットに上がっているのだ。
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