他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報R
更新
検索
全部
最新50
魔剣士「やはりフキノトウは最高だ」武闘家「えっ?」
Check
Tweet
253 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:10:00.79 ID:x9oGvsjKo
魔剣士「あ、まずい」
魔剣士「奴等が来る」
武器を持ったオディウム教徒が数人現れた。
「この魔力反応、間違いない。アキレスの娘だぞ」
魔剣士「妙な玉持ってんな」
「捕らえよ!」
重斧士「カナリアに手ぇ出させっかよ!」
ガウェインが大体ボコッってくれた。
重斧士「大したことねえな」
魔剣士「……待て。近くにヤバいのがいる」
黒ローブ「…………」
重斧士「あそこか!」
敵が落としたハルパーをガウェインが投げたが、あっさりと避けられた。
魔剣士「何か詠唱してるぞ」
黒いローブを身に纏った男から、ただならぬ邪気を感じた。
母さんほどの魔感力を持っていない俺でもわかる。
あの男はドス黒い何かを抱えている。
254 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:11:04.18 ID:x9oGvsjKo
その瞬間、俺達の足元に魔法陣が現れ、地面が崩壊した。
その上、地に向かって体が強く引き寄せられた。重力系の魔術だ。
動けねえ。
黒ローブ「この女は頂いていく」
遠く離れた所にいた男が、一瞬ですぐ傍に姿を現した。
武闘家「放して! 嫌!!」
魔剣士「くっ……」
重斧士「カナリアを放せ!!」
黒ローブ「この結界内で立っただと!? とんでもない馬鹿力の持ち主だ」
黒ローブ「だが」
男がガウェインに手を向けたかと思うと、ガウェインが後方へ吹っ飛ばされた。
やばい。この男の魔術の腕は超上級王宮魔術師レベルだ。
黒ローブ「おっと。何か小細工を仕掛けようなどとは思うなよ」
魔剣士「チッ……」
武闘家「あたしをどうする気なのよー!」
黒ローブ「……随分とあの男に似たものだな」
重斧士「カナ……リア……!」
255 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:11:32.33 ID:x9oGvsjKo
男はカナリアと共に姿を消した。
重斧士「ちくしょう……今日はやけに仲間が誘拐されるな」
魔剣士「……あいつ、妙だった」
魔剣士「確かにオディウム教徒の気配を纏っていたが、俺だって奴等には狙われてるんだ」
魔剣士「それなのにカナリアだけを連れ去った」
魔剣士「カナリアしか眼中になかったんだ」
魔剣士「早く助けねえと……ヤバい気がする」
魔剣士「傷を見せろ。治すから」
重斧士「だがおまえ、魔力残ってんのか」
魔剣士「四割ちょいくらいな」
魔剣士「……ありがたいことに、奴のドス黒い魔力の痕跡があちこちに残ってる」
魔剣士「追うぞ」
256 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:12:12.77 ID:x9oGvsjKo
――――――――
洞窟を進むと、やや広い空間に出た。
兇手「待っていたぞ、旭光の勇者ヘリオス」
戦士「二つ名で呼ぶのはやめろ。……恥ずかしいんだ」
あの男……レザールとは何度か剣を交えた。
奴の背後に控えている傭兵達が俺の末の弟を拘束している。
地質研究員「兄さん!」
戦士「カイロス、今助けるからな!」
兇手「此奴を解放してほしくば、俺と勝負してもらおう」
戦士「一対一でか」
兇手「そうでなければ意味がない」
兇手「俺の目的は、貴様と雌雄を決することだからな」
彼は二本の刀を構えた。
兇手「……行くぞ!」
257 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:14:40.94 ID:x9oGvsjKo
戦士「牢屋の修理費用を払ってもらおうか!」
こいつが脱獄したせいで税金が無駄になってるんだ。
後からよく調べたら、
こいつを逮捕できたのはうちの長男らしき男が術を使ったためだということがわかった。
尿路結石……痛いらしいな。あいつは何かと他人に容赦がない。
兇手「……氷の刃<アイス・エッジ>!」
レザールはこちらに向かって走りながら氷を放った。
炎で氷を融かし、一瞬で振り下ろされた斬撃を剣で受ける。
兇手「くくっ……!」
彼はギラギラと目を輝かせて笑った。根っからの戦闘狂だ。
この男は会う度に腕を上げている。
まだ若いというのに、
これ以上強くなったら……そこらの軍では太刀打ちできない凶悪な犯罪者となるだろう。
258 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:15:59.38 ID:x9oGvsjKo
だが腕力はこちらの方が上だ。腕に魔力を込めて押し飛ばした。
氷を融かしながら素早い攻撃に対応し続ければ勝機はある。
奴は即座に体勢を整えて俺の背後に向かって高く飛んだ。
俺が振り返った瞬間、氷の棘が数本飛ばされた。
すかさず熱気を発生させた。
体に刺さる直前で融かすことができたが、そうしている間にも奴は剣戟を繰り出した。
身のこなしが人間離れしている。
兇手「よくこの刃を受け止めることができたな……!」
戦士「伊達に場数を踏んできたわけじゃないんでな」
兇手「だが……」
兇手「薄氷の膜<クリア・アイス・フィルム>!」
足が滑った。地面に氷が張られたようだ。
片足を前に出して転倒は回避できたが、
この空間の気温が著しく低下していることに気がついた。
壁や天井のあちこちに埋め込まれた白藍色の石が輝いている。
この男の魔力の効果を強化しているようだ。
259 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:16:37.08 ID:x9oGvsjKo
戦士「ぐっ……!」
振り上げられた刀を防げたものの、俺は吹っ飛ばされて壁にめり込んだ。
地質研究員「兄さん!」
戦士「……大丈夫だ」
常人なら死んでいただろうが、
身体能力及び防御力を強化しているため大したダメージは受けなかった。
地面に降りて体勢を立て直す。
兇手「流石だ……そうでなければな」
兇手「……雪の原<スノー・フィールド>」
辺り一面が雪に包まれた。
雪を見るなんて何年ぶりだろうか。
この地域は十年に一度くらいしか雪が降らない。
奴は雪に慣れているのだろう。
足元に雪が積もっているというのに、相変わらず足取りが軽やかだ。
俺は自分の周囲に炎を灯した。
この雪は奴の魔力で生成されたものだ。普通の雪よりも融かすのに時間がかかる。
だが俺の魔力の威力もそう弱いものではない。
足場の確保くらい容易にできる。
260 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:17:16.96 ID:x9oGvsjKo
兇手「さあ、俺に勝ってみろ! 俺にとって有利なこの空間で!!」
兇手「貴様の強さを見せてくれぇ!!」
戦士「はあ……全く」
戦士「後悔するなよ!」
直径一メートルほどの火の玉をレザールに向かって放った。
兇手「白氷の障壁<ホワイトアイス・ウォール>!」
いちいち術名を唱えなきゃ発動できないなんて不便だな。
俺はもう四玉発射した。
兇手「なっ……!」
氷の壁は砕けた。
奴が次の術名を唱えきる前に、もう一発でかいのをお見舞いする。
兇手「グワアアアアア!!」
雪が融けて派手に湯気が上がった。
俺は奴の魔力を探った。……まだ倒れていない。
261 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:18:12.42 ID:x9oGvsjKo
湯気の中から数十本の氷柱が飛ばされた。
ほとんど融かせたが、一本だけ防げず肩をかすめた。
いいや……防げなかったのは氷柱じゃない。
奴の刀の片割れだ。
兇手「……ふふふ……ははははははは! 素晴らしい!!」
兇手「やはり戦いはこうでなくては!!」
やるじゃないか。だが、俺に戦いを楽しむ趣味はない。
もうそろそろ終わりにしよう。
そう思った時、予想外の事態が起きた。
ああ、早く家に帰りたい。
262 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/15(金) 17:18:48.57 ID:x9oGvsjKo
kokomade
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/15(金) 22:31:57.12 ID:i+pCfCCH0
乙!
264 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:42:45.68 ID:L6USqMm1o
第十株 親と酒
……瞬間転移なんて、伝説級の術なんだがなあ。使える人間を見たのは初めてだ。
魔適体質者でも発動するのは困難らしい。
だが、洞窟内の曲がり角には移動した痕跡が残っているし、
直線的な道であっても数十メートル先には黒い魔力の残滓が見えた。
跡を辿るのはそう困難ではない……はずだったのだが。
魔剣士「うぉああ!?」
地面が抜けた。
やばい。やけに広くて白い場所に落下した。
咄嗟に風魔法を発動してダメージを軽減した。
魔剣士「おいガウェイン! 生きてるか!?」
重斧士「ってえ……折れたなこりゃ」
足があらぬ方向に曲がっている。
魔剣士「骨修復<リストア・ボーン>」
重斧士「おお」
魔剣士「行くぞ!」
265 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:43:24.86 ID:L6USqMm1o
重斧士「おまえってこんなに回復魔術得意だったんだな」
魔剣士「医療系の学部だったから必修で習ったんだよ」
医療に興味はなかったが、植物の研究をしたいがために薬学部に進学した。専攻は生薬だ。
理学部や農学部でも研究はできるのだろうが、薬師免許があれば一生食うのに困らないし、
色々と理由があってこっちを選んだ。
薬師が医者を意味する言葉だった時代もあるが、
今では薬を扱う職業のみを指すようになっている。薬剤師と呼ばれることもある。
兇手「おい…………」
魔剣士「あ、わりい! 後で治療すっから!」
どうやら人を下敷きにしてしまったようだ。
見たところ大きな怪我はなさそうだし一刻を争うから後回しだ。
戦士「え……えぇー……」
地質研究員「エリウス君……?」
266 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:45:12.59 ID:L6USqMm1o
魔剣士「なんでここ雪だらけなんだよ! 寒いわ!!」
滑って転びかけた。
魔剣士「走りづれえ! 俺は亜熱帯育ちなんだぞー!」
戦士「待て」
魔剣士「あ、父さん! 俺達今急いでるから!」
戦士「なんでおまえ達がここにいるんだ!」
魔剣士「カナリアが攫われたんだよ!!」
戦士「なんだと」
魔剣士「どうにかさっきの道に戻れねえかな……」
魔剣士「そうだ、父さんの力でカナリアを探してくれよ! 今マジヤバイから!!」
戦士「カナリアちゃんに何かあったらアキレスに合わせる顔がなくなっちまう」
兇手「お……い……」
父さんはカイロス兄さんを捕らえていた奴等を炎で攻撃した。
魔適傾向が高くて羨ましい。55マジカルくらいあるって言ってたかな。
普通よりも素早く術を発動できる上に微調整が利く。
267 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:46:15.67 ID:L6USqMm1o
戦士「……こっちの方向だ! 来いカイロス!」
地質研究員「わわっ」
兇手「待て……ヘリオス……」
魔剣士「あいつ敵?」
戦士「ああ」
魔剣士「あーよかった、善良な市民に怪我をさせちまったわけじゃなかったんだな」
兇手「勝負はこれからだ……旭光の勇者……」
戦士「二つ名はやめろ」
兇手「おのれ……二度までも息子に……うっ」
あいつにちょっと見覚えがあるような気がしたが思い出せなかった。
魔剣士「あれ、父さん今何か術使った?」
戦士「部下達に突入の合図をちょっとな」
邪魔をするオディウム教徒がちょくちょく現れた。
魔剣士「目ん玉に硫化アリル浴びせっぞ!」
玉ねぎから摂取した硫化アリルを敵にぶつけた。
玉ねぎを切った時と同じ状態になる。
268 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:48:40.89 ID:L6USqMm1o
魔剣士「あーひゃひゃひゃ! 今の俺は機嫌悪いんだぞー!」
魔剣士「邪魔者は排除だー!!」
好きでもない女に好き勝手にされた屈辱により、
他人に八つ当たりせずにはいられなくなっていた。
魔剣士「お? お? おっかけてくるか? ここまで来れるかなー!?」
鞄の中からオニビシの実を取り出してばら撒いた。いわゆるマキビシである。
戦いに役立ちそうな植物をこっそり集めていたのだ。
信者1「この程度避けて走れば何の問題もっ!?」
魔剣士「撒いたのはそれだけじゃあなかったんだよなあ! 残念だったなあああ!!」
魔剣士「ひゃーひゃっひゃっひゃ!!」
最近食べたバナナの外皮を透明な状態で再構成し、
オニビシの実と共に地面に配置したのである。
信者2「ギャー!」
信者3「ひっ!? うがああああ!!!!」
信者4「っでえええええ!!」
それに気づかずすっ転んだ信者達は、次々とオニビシの実の棘の餌食となっていった。
269 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:49:06.53 ID:L6USqMm1o
魔剣士「やべえ……バナナの皮で滑る奴を実際に見たのは生まれて初めてだ……!」
魔剣士「ひゃひゃっふひっふひひっ!」
戦士「ど、どうしたんだ……? テンションがおかしいぞ?」
魔剣士「どいつもこいつも大したことねえなあ!! あーたのしぃー!!」
魔剣士「あっ」
魔剣士「ごめん先に行ってて」
重斧士「あ?」
魔剣士「疲れた。もう走れねえ」
元々体力がない上に二回もイかされた後なんだ。バテるのも無理はない。
戦士「……仕方ないな」
魔剣士「うおっ」
肩に担がれた。
魔剣士「あれ、父さん……血ぃー! 血が出てるー!! うわあああ!!」
戦士「騒ぐな!! 治療は後からで充分だ!!」
270 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:50:21.82 ID:L6USqMm1o
幹部1「アキレスの娘だけを連れてきたとは何事だ!」
幹部1「貴様ならばヘリオスの息子を連れてくることも容易だったであろう!!」
黒ローブ「ふん」
幹部1「我等が神に逆らうのか!?」
黒ローブ「黙れ」
幹部1「貴様の目的は後だ。まずはこの娘を祭殿に」
黒ローブ「黙れと言っている」
何やら揉めているようだ。
武闘家「…………」
部屋に突入した。
戦士「彼女を解放してもらおうか!」
父さんが部屋にいた連中に向かって炎を放った。
重斧士「無事か!?」
武闘家「ええ……」
武闘家「内輪で喧嘩してくれてたからなんとかね」
271 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:51:52.81 ID:L6USqMm1o
幹部1「レザールの奴、しくじりおったな」
幹部1「撤退だ!」
黒ローブ「チッ……いずれ再び迎えに行くからな。待っていろ」
数人の術師が同時に詠唱を始め、奴等は痕跡すら残さず消え去った。
戦士「……またこの術か」
俺達が使っている現代魔術とは系統が違う術だった。
武闘家「……はあ」
戦士「もう大丈夫だ。間に合ってよかった」
カナリアは脱力した。相当怖い思いをしただろう。
魔剣士「もう降ろしてよ」
武闘家「あの男……まさかね」
魔剣士「父さん傷見せて」
戦士「このくらい自分で治せる」
魔剣士「医療の勉強してないのに治療術使えるなんてずるいー」
戦士「おまえ、俺よりも魔力容量がでかいくせにやけに消耗してるじゃないか」
戦士「一体何やってたんだ」
魔剣士「…………」
272 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:53:00.69 ID:L6USqMm1o
床に何かが落ちていた。
カナリアや俺の個人情報をまとめたファイルの様だ。
魔剣士「……!」
戦士「おいどうした」
魔剣士「これは……」
俺の……カルテじゃないか。
患者名[エリウス・レグホニア]
――――子供らしい情緒が見られず、雑草を詰んで食べるのをやめられない。
極めて内向的であり、共感性に乏しい。他人との関わりを極端に避け――
――植物に執着しており、
気に入っている草花を傷付けられた際には激しい攻撃性が見られる。
――母親に一切甘えようとせず、手を繋ぐことさえ――
――好きな女の子はいるのかと問うと、彼は花の名を口に出した。
性嗜好異常者である可能性が高い。また、――
――長期のカウンセリングが必要であり、――――
……そこには、俺の異常性が長々と綴られていた。
おそらく、俺の弱点か何かを探すために病院から盗んだのだろう。
273 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:53:55.60 ID:L6USqMm1o
魔剣士「けっ」
俺が投げ捨てたそれを、父さんが拾い上げて開いた。
戦士「…………エリウス」
魔剣士「自分が人と違うことくらいとっくの昔に開き直ってるし」
魔剣士「他人に見られたところで痛くも痒くもないんだけど?」
戦士「…………」
洞窟から出たところで、再び武器を構えた連中に囲まれた。
撤退したんじゃなかったのか。
それとも別働隊は俺達を攻撃するよう命じられでもしてんのかな。
……武器を向けられるのってけっこう心臓に悪いんだよな。
何故俺がこんな危険な目に遭わなけりゃならんのだ。
兇手「ここを通りたくば……剣を抜け、ヘリオス!」
男は二本の刀を構えた。
274 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:54:29.00 ID:L6USqMm1o
……あの男以外からは戦意が感じられない。
あいつだけが戦うことに拘っているように思える。
しかし妙だな。こいつらからはオディウム教徒独特の気配を感じなかった。
金で雇われているだけなのかもしれない。
兇手「貴様と剣を交えることさえできれば、今回は仲間に手を出さないと約束しよう」
戦士「……しつこい奴だな」
父さんは渋々剣を構えた。
あーはやく終わんねえかなと思ったその時、
勇者「いやああああああああああ!!」
勇者「うちの子が剣向けられてる!!!!」
聞き覚えのあるめんどくさい声が響いた。
275 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:57:43.30 ID:L6USqMm1o
暴風が巻き上がり、敵は一瞬にして吹き飛んだ。
勇者「エル! 怪我してない!?」
魔剣士「…………」
なんでいるんだよ……。
地質研究員「義姉さん……!?」
戦士「母さん、どうしてここに来たんだ」
勇者「だってあなたとカイロス君が心配でたまらなくて……飛び出してきちゃった」
戦士「あぁ…………はあ。子供はどうしたんだ」
勇者「ラヴィとアルクスは離れてくれなかったから連れてきちゃった」
勇者「今は兵士さんに預かってもらってるの」
いやじいちゃんちに置いてこいよ……危ないだろ。
勇者「エル、会いたかったよ……ずっと会えなくて寂しかったぁ……」
旅立ってから一ヶ月しか経ってねえよ。電話だってたまにはしてるってのに。
母さんは俺に抱き付いた。
勇者「あれ……? エル……」
276 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 16:58:51.53 ID:L6USqMm1o
母さんに目を覗きこまれた。
葡萄酒色の虹彩に吸い込まれそうになる。
勇者「嘘…………」
母さんはポロポロと涙を流し始めた。
ああ、そっか。この人わかっちゃうんだもんな。他人の性交経験のこと。
プライバシーの侵害だ。ちくしょうめ。
泣き崩れた母さんの肩を父さんが支えた。
戦士「母さん!」
勇者「ぅ……お父さん……この子……」
泣くなよ。親が泣くようなことをされてるって強く意識しちまうじゃねえか。
これ以上惨めな気分にさせないでくれ。
武闘家「どうしたのかしら……」
魔剣士「…………」
277 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:00:30.73 ID:L6USqMm1o
――――――――
――
事情聴取から解放された。長かったな。
……ユキに会いたい。一人でいるのは落ち着くけど寂しいな。
しばらく宿でぼけっとしていると、父さんが訪ねてきた。
戦士「おまえ、何をやったんだ」
魔剣士「え? なんの話?」
戦士「何故母さんが泣いたんだ!」
魔剣士「知らないよそんなの」
戦士「とぼけるんじゃない」
父さんに胸倉を掴まれた。
戦士「心当たりくらいはあるだろう!」
魔剣士「……母さんさあ、いつも嫌なことがあった時はなんでも父さんに話してるじゃん」
魔剣士「それなのに何も言わないってことは、」
魔剣士「よっぽど父さんに知られたくないってことなんだよ。察せない?」
戦士「……答えろ」
魔剣士「…………」
魔剣士「…………レイプされた」
278 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:01:42.53 ID:L6USqMm1o
戦士「なっ……」
胸倉を掴む手が緩んだ。
魔剣士「俺さあ、行く先々の精霊から脅されて犯されてんの」
惨め過ぎて笑えてきた。
戦士「…………」
魔剣士「なんでショック受けてんの? 俺は別に気にしてないよ」
魔剣士「俺、男だし。精霊の子はみんな美人だし、気持ち良いし、」
魔剣士「大好きな植物が相手してくれてるわけだし、得ばっかしてるもん」
魔剣士「あ〜モテすぎて困るわ。ははは」
戦士「…………すまなかったな」
父さんは俺の頭をポンポン叩いて部屋を出ていった。
ちくしょう。なんでこんなこと親に言わなきゃならねえんだよ。
青い石「……ねえ、エリウス」
魔剣士「聞かなかったことにしてくれ」
外に出ようと思って階段を降りると、ある部屋から母さん達の魔力を感じた。
微かに嗚咽が聞こえる。まだ泣いてんのかよ。
ラヴェンデルとアルクスと父さんとで慰めてるんだろうな。
あーなんかすげえムカムカする。
279 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:02:34.58 ID:L6USqMm1o
――酒場
魔剣士「ラム酒うめえ!」
ダンッ、と俺はグラスをカウンターに叩きつけた。
こうなりゃやけ酒だ。カナリアはまだ事情聴取が終わらないらしい。
魔剣士「次は旧レッヒェルン領産の赤ワインを一杯ください」
重斧士「もっとゆっくり飲め。体に悪いぞ」
バーテンダー「お兄さん、飲酒は初めてなのでしょう。無理しないでくださいよ」
バーテンダー「もう一時間以上飲みっぱなしじゃないですか」
魔剣士「へーきっす」
魔剣士「あーやっぱこのワインおまえにやるわ」
重斧士「どうしてだよ」
魔剣士「母親の目の色みたいで飲む気失せた」
重斧士「ほんとに飲まねえのか? これかなりうまいぞ」
魔剣士「いらね。あ、梅酒ください」
近くに座っていた軍人がビールを飲みながら愚痴を言い始めた。
小隊長「ヘリオスめ……兵養所卒の平民のくせにトントン昇進しおって」
280 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:03:53.59 ID:L6USqMm1o
父さんが子供の頃は、様々な時代背景が重なって士官学校の学費が高かった。
そのかわり、安い兵士養成所等の訓練施設がたくさんあったらしい。
今ではほとんどの士官学校の学費は無料である。
副小隊長「入軍も遅かったくせに……あっという間に抜かされたな」
小隊長「いくら魔王を倒した英雄だからといって優遇されすぎではないのか!?」
副小隊長「俺達なんて嫌がらせがバレてこんな国境近くの町に左遷されたしな……」
副小隊長「一泡吹かせてやりたいもんだ」
小隊長「何か弱味を握るか……不正の一つでもやってくれればな……」
魔剣士「はあ? 嫉妬かよ。いい年こいた大人が見苦しいぜ」
小隊長「なんだとこのガキ!! もう一度言ってみろ」
魔剣士「見苦しいっつってんだよおっさん共」
副小隊長「軍人を侮辱するか!?」
魔剣士「くくっ」
重斧士「おいやめとけ」
小隊長「ただで済むと思うなよ」
魔剣士「上官を陥れようとしてたって俺が通報したら……あんたらどうなるかな」
281 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:05:04.95 ID:L6USqMm1o
小隊長「うぐっ……ガキの言うことなど誰が信じるものか!」
副小隊長「この北方人のガキ……今すぐ北の大陸に送り帰してやる」
俺は南育ちなんですがね。
魔剣士「じゃあ賭けでもやるか?」
魔剣士「俺が勝ったらチクらせてもらうぜ」
小隊長「俺達が勝ったらこの国を出ていってもらうぞ!」
副小隊長「ついでに俺等の飲み代はおまえ持ちだ!」
小隊長「これからテキーラを飲み続け、先に酔い潰れた方が負けだ。いいな」
魔剣士「あ、そんな簡単な勝負でいいの? 俺は構わないぜ」
俺の余裕の笑みに、奴等は少し臆したようだ。
バーテンダー「安全性のことを考えると私はやめてほしいのですが……」
副小隊長「隊長の酒豪っぷりを見て驚くなよ!」
――――――――
――
282 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:05:50.60 ID:L6USqMm1o
小隊長「もう九杯だというのに……まだ酔わんのか」
魔剣士「余裕」
西の大地で育った竜舌蘭から作られた酒……なかなか美味である。
小隊長「ええい! 十杯目だ!」
バーテンダー「し、しかし……」
戦士「おまえ達、一体何をやっている」
小隊長「ひっ! 大佐!?」
副小隊長「あああのこれはですねこのガキが」
魔剣士「父さん俺また外人扱いされた〜」
小隊長「え、と、父さん……?」
副小隊長「お、俺たち帰りま〜す……」
バーテンダー「一万Gになります」
小隊長「ひっ」
283 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:06:35.97 ID:L6USqMm1o
重斧士「なんで全く酔わねえんだ?」
魔剣士「アルコールは全部魔力に溶かしてるからな」
重斧士「なるほど……だが、それじゃあやけ酒してた意味あったのか……?」
魔剣士「気分の問題だ」
戦士「おまえ、あいつらを煽りでもしたんじゃないのか?」
魔剣士「だってあいつら父さんのこと」
戦士「構うな」
戦士「……おまえがここにいると部下から聞いてな。少し話がしたい」
重斧士「じゃあ俺は席外すか」
魔剣士「え、行っちまうの?」
重斧士「親父さんと水入らずでゆっくり話してこいよ」
戦士「気を遣ってもらってすまないな」
ガウェインは自分の分のお代を払って店を出て行った。
正直寂しい。
284 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:08:49.68 ID:L6USqMm1o
魔剣士「…………」
戦士「ちょっと雑談しにきただけだから気を抜いてくれ」
魔剣士「……キャロルさん、父さんのことすげえ心配してた」
父さんの副官のことである。
魔剣士「身内が人質じゃあ冷静じゃいられなくなるかもって言ってた」
戦士「そんなこと言ってたのか。信用されてないんだな……」
戦士「レザールの奴も……あ、俺と戦ってた男な。俺を焦らせるか、」
戦士「もしくは本気にさせるためにカイロスを人質にとったんだろうと思うが、」
戦士「家族が人質だったとしても、俺は冷静に対処するよ」
父さんは魔物だらけの時代で育った。
そのせいか、肝が据わっているというか……『喪う覚悟』ができているのだと思う。
戦士「……あいつ、戦いについては真っ直ぐだったな」
戦士「弟を人質にしたくらいだから、もっと卑怯な手を使われるかと思った」
魔剣士「母さんが人質に取られても、冷静でいられる?」
戦士「自信ないな……母さんは特別だ」
285 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:09:16.29 ID:L6USqMm1o
魔剣士「……父さんってさあ」
魔剣士「人生で一番つらかった出来事、なんだった?」
戦士「一番つらかったことか? ……母さんから永遠の別れを告げられた時かな」
ハードだな。
魔剣士「その次は」
戦士「ん……母さんが苦しんでるのに何もできなかった時はつらかったな」
戦士「あと、母さんに告白して振られた時は死ぬかと思った」
魔剣士「え、振られたの? なんで?」
戦士「……その時、母さんは……自分が長生きできないって思ってたからな」
全部母さん絡みだ。
286 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:09:42.26 ID:L6USqMm1o
魔剣士「……母さん、もう泣き止んだ?」
魔剣士「ああ。泣き疲れて寝てるよ」
魔剣士「……父さんはなんで母さんのこと好きになったの」
戦士「え? うーん……理由を訊かれても、上手く答えられないんだよなあ」
戦士「強いて言えば、俺にだけは素を見せてくれたのがきっかけだったかもしれない」
魔剣士「…………」
戦士「カナリアちゃん達とは上手くやってるのか」
魔剣士「うん」
俺はカクテルを飲み干した。甘酸っぱい。父さんはビール飲んでる。
戦士「……おまえとこうして酒を飲めるようになって嬉しいよ」
魔剣士「…………」
魔剣士「父さん、俺、本気で好きな子ができた」
戦士「そうか」
287 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:11:09.39 ID:L6USqMm1o
魔剣士「精霊なんだけど、何処に本体の木があるのかわかんなくてさ」
魔剣士「会いに行けなくてすげえ寂しい」
戦士「そりゃつらいな。どんな子なんだ」
魔剣士「……俺の理想のお嫁さん像にすっごく近いんだ」
魔剣士「清楚で控えめで、落ち着きがあって、心の芯が強そうな子」
魔剣士「んでもって俺のために泣いてくれたんだ」
魔剣士「いやまだ一回しか会ったことないんだけどさ」
魔剣士「相手の魔力見れば大体どんな子なのかわかるじゃん」
戦士「……はは」
魔剣士「え、なんで笑ったの。俺なんか変なこと言った?」
戦士「いいや。俺の子だなって思ったんだ」
戦士「若い頃の俺と同じこと言ってる」
魔剣士「……母さんってあんまり控えめじゃないし、情緒が不安定だし、」
魔剣士「精神的に脆いし……尚更なんで結婚したの」
戦士「まあ、理想通りの人を好きになるとは限らないだろ」
288 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:11:49.92 ID:L6USqMm1o
戦士「……上手くいくといいな」
魔剣士「本体を見てすらない相手をこんなに好きになるなんて思いもしなかったよ」
ユキがどんな木なのか気になって仕方がない。
魔剣士「すみません、馬乳酒ください」
戦士「あ、ちょっと待て」
魔剣士「なかなか酸味が……うっ」
喉が熱い。
魔剣士「っ……」
戦士「動物の乳から作った酒じゃあ成分を制御できないんじゃと思ったんだが……」
魔剣士「お察しの通りだよ……」
たったの一口で酔っ払ってしまった。
暑いな。頭がぼうっとする。息が苦しい。
289 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:14:44.68 ID:L6USqMm1o
魔剣士「うう……あっ……」
なんか涙が出てきた。
戦士「……よしよし。おまえ、泣き上戸なんだな」
父さんが背中をさすってくれた。
魔剣士「ねえ、父さん……俺、誰かを好きになる資格なんてあるの」
戦士「あるに決まってるだろ。何言ってんだ」
魔剣士「ねえ、俺、なんで『普通』に生まれてこられなかったの?」
戦士「たまたまちょっと個性的だっただけじゃないか」
魔剣士「…………」
戦士「おまえがどんな人間だろうと、おまえは俺の自慢の息子だよ」
魔剣士「…………」
戦士「つらかったら帰ってきてもいいんだぞ」
魔剣士「…………」
戦士「旅、続けたいんだろ」
俺は頷いた。
290 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:15:26.47 ID:L6USqMm1o
戦士「たまに愚痴聞くくらいならしてやれるから」
戦士「あんま溜め込むなよ」
魔剣士「……うん」
これからも犯され続けるとは限らない。
融合が進めば、犯されなくても精霊達に充分な魔力を提供できるようになるかもしれない。
また別の力が発現することもあるかもしれない。
暫くは耐えよう。
魔剣士「父さん……」
魔剣士「…………」
戦士「……寝たか。酒に弱いのは母さんに似たな」
戦士「お会計」
バーテンダー「息子さんのを合わせますと……6万Gになります」
戦士「おおう……」
291 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:17:05.29 ID:L6USqMm1o
翌朝。
カイロス兄さんは護衛の兵士に村まで送ってもらうことになった。
母さんも彼等に同行する。
父さんは、また別の仕事が入ったから家に帰られなくなった。
戦士「そのうち国外出張も入りそうだな……」
戦士「昇進しても昇進しても現場仕事ばかりだ」
戦士「デスクワークは苦手だから別にいいんだが」
「学が浅いから書類への苦手意識が拭えない」と、父さんは時折愚痴っていた。
戦士「年を取るとどうしても体の衰えを感じてしまってなあ……はあ」
副官「魔術の腕は上がってるじゃないですか」
戦士「まあそうなんだが」
魔剣士「性欲が減退したからだろ」
戦士「身も蓋もない言い方をするんじゃない」
292 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:17:52.01 ID:L6USqMm1o
地質研究員「エリウス君が来てくれて助かったよ」
魔剣士「無事に済んでよかった。気をつけてな」
三男「お母さんに近付くな!」
アルクスが蹴ってきた。
魔剣士「……母さん」
勇者「エル……」
魔剣士「別に、嘆く必要はないから」
魔剣士「安心して家に帰って」
勇者「…………」
母さんの右手が俺の左頬に添えられた。
勇者「何があっても、エルは、お母さんの大事な息子だから」
魔剣士「うん。じゃあ」
泣かせっきりじゃあ後味が悪いから、一応声をかけておいた。
293 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:19:10.37 ID:L6USqMm1o
武闘家「軍の人に通報発信機もらっちゃった」
重斧士「どんな機械だそれ」
武闘家「瞬間転移術で飛ばされた時には自動的に最寄の軍に通報されるようになってるの」
武闘家「ボタンを押しても通報できるわ」
武闘家「他にも防犯グッズをいっぱい」
武闘家「……そうだ、言いそびれてたわ」
武闘家「助けにきてくれてありがと」
魔剣士「おまえが捕まったのは、俺が攫われたせいもあっただろうしな」
重斧士「当然のことをしたまでだ」
車のエンジンをかけた。
陽に照らされた草原の緑が綺麗だ。
魔剣士「よし、国境越えるか」
294 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/17(日) 17:19:49.77 ID:L6USqMm1o
kokomade
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/17(日) 23:30:46.20 ID:l4plPEde0
乙!
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/17(日) 23:56:36.77 ID:bMA1lpXFo
親子の会話いいな乙です
297 :
◆qj/KwVcV5s
[sage]:2016/07/18(月) 00:20:47.64 ID:tEbmMAgto
補足
この世界の薬学部は(国にもよるが)四年で薬剤師免許を取ることができる
よってエリウスは現在博士課程の一年目
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/18(月) 00:24:00.69 ID:V4Jx6Pg9O
勇者と戦士のお互いの呼び方の夫婦やってる感
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/18(月) 00:26:12.45 ID:gIWsTbxXO
案の定勇者がおじさんと同じウザキャラの道を
300 :
◆qj/KwVcV5s
[sage]:2016/07/18(月) 18:32:42.74 ID:tEbmMAgto
あ、現代日本でも六年制を出たらすぐ博士課程行けるみたいですが
旧制の薬学部みたいな感じということで
301 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:40:45.75 ID:sq/eI797o
第十一株 無理解
――海岸付近の町・セルリア
武闘家「この頃食べる量増えたわね」
魔剣士「そうだな」
いつ犯されるかわからねえんだ。
ハードなことをされても大丈夫なよう精力つけとかねえと。
俺は必死に牡蠣フライを貪った。熱してあれば多分あたらないはずだ……。
俺は生で魚介類を食うと高確率で食中毒を起こす。
チラシ配り「そこのお二人さん!」
魔剣士「おん?」
チラシ配り「現在、あちらの会場で魔導器の見本市をやっておりまして」
チラシ配り「是非是非いらっしゃってください!」
チラシ配り「おうちに置きたい家電からアベックに嬉しいグッズまでなんでも並んでおりますので!」
魔剣士「ふ〜ん」
面白そうだな。チラシを見たら、俺が技術提供をしている企業の名前もいくつかあった。
魔剣士「行ってみようぜこれ」
302 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:41:44.01 ID:sq/eI797o
武闘家「いいけど……アベックってどういう意味?」
魔剣士「カップル」
武闘家「えっ……」
カナリアは赤面して俯いた。
そりゃ男女が二人でつっ立ってたらデキてると思われても仕方がない。
本当は一人でのんびりぶらつきたんだがなあ。
武闘家「ねえ、エリウス……」
魔剣士「ん」
武闘家「今はどんな花が好きなの」
魔剣士「この間好きになった子」
魔剣士「そこらに生えてる子じゃねえから見せらんねえけど」
武闘家「そう」
魔剣士「……人格を持った相手を好きになったのは初めてだから、」
魔剣士「また会えたとしても、どう接すりゃいいのか全然わかんねえや」
武闘家「!?」
303 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:42:35.70 ID:sq/eI797o
武闘家「人格?」
魔剣士「ああ。精霊の中でも高位だろうな……」
魔剣士「あ、ガウェイン。いい武器見つかったか」
重斧士「待たせたな。しっくりくるのは見つけられなかった」
魔剣士「なあ、これ見に行きてえんだけど」
重斧士「面白そうだな。付き合うぜ」
魔剣士「よし、行こうぜカナリア」
武闘家「うん…………」
重斧士「すげえな……未来に来たみてえだ」
魔剣士「やっぱ省エネ謳ってる企業が多いな」
武闘家「今時バッテリーを買おうとしても高つくものね」
家電に充分な魔力を補給できない家庭は、
他人の魔力を込めたバッテリーを買って生活することになる。
昔は安く買えたのだが、今時は魔力の需要が増えすぎて価格が高騰しているのだ。
俺も買おうかな……植物にかなり魔力吸われるもんな……。
魔剣士「魔力に替わるエネルギーでも見つかりゃあなあ」
304 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:43:09.78 ID:sq/eI797o
武闘家「あっちの部屋にもブースがあるみたいね。雰囲気が怪しいけど……」
重斧士「大人のコーナーって書いてあんな」
魔剣士「あー、アベックに嬉しいグッズがあるって言われてたろ」
魔剣士「そういうことだ」
さっきM性感の店が堂々と表に建っているのを見たし、
そういうのにオープンな町なのかもしれない。
M性感の開発……いや興味なんてないぞ。
武闘家「え、え……? あらぁ……」
魔剣士「興味あんのか?」
武闘家「ないわよ! 馬鹿!!」
魔剣士「くくっ」
魔剣士「あ、これこれ。俺が開発に協力したやつ」
販売員1「エリウスだ!! 一緒に写真撮っていただけませんか!?」
販売員2「俺も俺も!!」
魔剣士「いいっすけど」
305 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:43:43.08 ID:sq/eI797o
重斧士「どんな機械なんだ?」
魔剣士「傍に置いた植物にとって最も適した環境を自動的に作るんだ」
魔剣士「これの元になった装置を作ったのは……十四の頃だっけな」
北育ちの母さんは、故郷の観葉植物を集めていた。
だが、北の植物を南で育てるのは難しい。すぐに元気を失ってしまう株は多かった。
落ち込まれたら面倒だし、枯れてしまう植物を見るのはつらかったから、
植物を中に入れるとその植物に適した温度を自動的に測定し、
その温度を保つ小さな温室を作ったんだ。
喜ばれすぎて面倒だったな……。
販売員1「そうだ、あっちのブースにすごい物があるんですよ!」
販売員2「勇者ナハトを見れるんですよ!」
魔剣士「え?」
306 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:44:36.24 ID:sq/eI797o
示された方向を見てみると、スクリーンに何かが投影されているようだった。
技術者「こちらの製品はデジタルアナログコンバーター、略してDACと申しまして」
技術者「旧式の撮影魔術で保存された情報を新式の保存形式に変換し、」
技術者「こうしてデジタル形式の魔導器での再生を可能にしております!」
技術者「こちらは二十五年前、グレンツェント国の舞踏会の映像です」
技術者「北方の貴婦人から宝石をお借りして再生しております」
技術者「くう〜! 勇者ナハトが映っている映像を探すの大変だったんですよ〜!!」
そこに映し出されていたのは……キザな、俺とよく似た美青年だった。
紺色の髪、藍色の瞳、鉄紺の燕尾服……胸元には空色の石が嵌められたピンブローチが留められている。
若い女性とくるくる踊っている。これ、本当に俺の母さんか……?
勇者『君と会うのは十年ぶりかな……美しくなったね、アンジェリカ嬢』
赤服令嬢『ああ、こうしてあなたと再び踊ることができて……夢のようだわ』
重斧士「俺の親父って……男らしい男じゃなくこういう細いのが好きだったんだな」
307 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:45:14.27 ID:sq/eI797o
画面の端にはアルバそっくりの少年が突っ立っていた。
だが、アルバと違って目だけじゃなく眉もつり上がっており、雰囲気が堅そうだ。
二十五年前だから……十五歳の頃の父さんだろう。
今よりも随分小さいな。百七十あるかないかじゃないか。
父さんはどこか白けた感じの目で、紺色の髪の青年の方をチラ見している。
赤服令嬢『この夢が覚めなければいいのに』
勇者『夢はいつか覚めてしまうものだよ。僕はこの夜が明けたら消え去る定めなんだ』
うっわぁ……自分のこと『僕』って言ってる。
めっちゃ声低い。男の声だろこれ。体も出るべきところが全く出てない。
当時……ええと、十八歳だろ? 当然生理来てるだろ? なんでこんなに細いんだ?
あ、でも、体が成熟するのが遅くて俺を産めるか不安だったから云々って昔言ってたっけ……。
てか俺と同じくらい背があるような……ああ厚底か。なんでわざわざ……。
赤服令嬢『ああ、なんて甘い夢なのでしょう』
勇者『まるで君の唇のようだ』
赤服令嬢『まあ』
うっわくっさ。キザすぎ。マジキモい。
魔剣士「あ……あが……」
重斧士「おーい大丈夫か?」
308 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:46:19.79 ID:sq/eI797o
『そろそろ私と踊って!』
『いいえわたくしと!』
勇者ナハトの周囲に女性がたかった。母さんって呼びたくない。
大公娘『ナハト様、どうか一曲踊ってくださいまし』
勇者ナハトは、その内の一人に手を差し出した。
勇者『喜んで、ジークリンデ嬢』
大公娘『どうして私を選んでくださったのでしょう』
勇者『貴女の薔薇の様な瞳があまりにも魅力的だったものですから』
大公娘『薔薇の花言葉をご存じかしら』
勇者『ええ。紅色の薔薇は『死ぬほど焦がれる恋』』
勇者『そして、二本に束ねられた薔薇のメッセージは……『この世界は二人だけ』』
勇者『もう私の瞳には貴女しか映りません』
大公娘『お上手なこと』
踊っていた曲が終わり、二人は広間の外へ去っていった。
父さんはそれを心配そうに見つめていた。
魔剣士「…………」
魔剣士「あぁ……………………」
武闘家「エリウス!?」
重斧士「気を失ってるぞ」
309 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:47:00.46 ID:sq/eI797o
――――――――
――
目を開けると、そこには白い天井があった。
どれほど眠っていたのだろうか。
魔剣士「ここ何処」
武闘家「病院。あなた映像を見て気絶したのよ」
魔剣士「…………」
重斧士「なあ、いきなりですまないんだが、訊きてえことがあるんだ」
魔剣士「何?」
重斧士「おまえって、男から産まれたのか?」
魔剣士「は?」
重斧士「おまえ、『こんなの母さんじゃない』ってうわ言で何回も言ってたんだよ」
魔剣士「えっ……」
眩暈がした。
重斧士「おまえのお袋さんって、勇者ナハトだったのか?」
魔剣士「…………」
武闘家「…………」
310 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:47:35.67 ID:sq/eI797o
魔剣士「……勇者ナハトは実は女で今も生きてて俺達兄弟が生まれました!」
魔剣士「めでたしめでたし!!」
重斧士「ああ……そういうことか」
魔剣士「他人に漏らすなよこれ」
若い頃、母さんは男の格好をしていたとは聞いていたが……同一人物だと思えなかった。
今と当時とでは、肉付きも、表情の作り方も、立ち振る舞い方も、何もかもが違う。
重斧士「なあ、俺の親父は……ナハトが女だって知ってたのか?」
魔剣士「知ってたらしいぞモル曰く」
重斧士「ゲイじゃ……なかったんだな……」
ガウェインは窓際で黄昏始めた。
重斧士「そうか……こないだ会ったおまえのお袋さんが……」
311 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:48:22.70 ID:sq/eI797o
――――――――
勇者『あの……お父さん、元気にしてる?』
重斧士『あ、ああ……生きてはい……ますが』
勇者『そう……』
重斧士『親父のこと知ってん……知ってるんですか』
勇者『……あ、その、主人が若い頃お世話になったそうだから』
――――――――
重斧士「クレイの町を出る時にちょっと話しかけられたんだよ」
重斧士「そういうことだったんだな……」
青い石「アルカは彼のお父さんが誰なのか一目でわかっただろうね」
青い石「魔力から情報読めちゃうから」
重斧士「はあ……」
重斧士「じゃあ、自分はゲイだと思い続けていた俺の人生は一体……」
武闘家「大丈夫かしら……」
魔剣士「今、あいつは崩壊した自己同一性を再構成しようと戦っているんだ」
魔剣士「そっとしておいてやろうぜ」
312 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:49:15.30 ID:sq/eI797o
魔剣士「親父さんの女装趣味を知ってショックを受けたおまえの気持ちがわかった気がする」
武闘家「そう?」
魔剣士「俺って男から生まれたのかな……」
武闘家「気をしっかり持って」
深呼吸をした。
魔剣士「……俺さ、ずっと……」
魔剣士「どうしてまともな父さんから俺みたいなのが生まれてきたんだろうって思ってたんだ」
魔剣士「でも、あれを見たら……」
魔剣士「男同然の女に惚れた父さんって、意外と変態だったんじゃないかなって」
武闘家「あ、もしかしてギャップがよかったんじゃない?」
武闘家「普段は美青年だけど実は美女っていう」
魔剣士「う〜ん……」
でも普段は男同然なんだろ……父さんの女の趣味がわからない……。
313 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:49:43.15 ID:sq/eI797o
武闘家「あたしは見ててドキドキしちゃった」
武闘家「女の子にモッテモテだったわね、あなたのお母さん」
魔剣士「…………」
青い石「ナハトの……本当のナハトの真似してたからねえ、あの頃」
魔剣士「遠縁の男の子だろ? 魔族に殺された」
青い石「ちなみにあの子は今でもあの世で女の子口説きまくってる」
武闘家「あ、あの世のことがわかるの?」
青い石「寝てる間、お嫁さんや両親とだけは交信できるんだ」
青い石「だからちょっとだけ噂を聞いてる」
魔剣士「モルってさ、生前からそういう話し方だったわけじゃないだろ」
魔剣士「なんでそんな口調なんだ」
青い石「若い子とはこうした方が親しみやすいかと思って」
魔剣士「ふうん」
魔剣士「…………あれ」
314 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:50:38.20 ID:sq/eI797o
魔剣士「なあモル、母さんってあの頃は魔適体質だったんだろ」
青い石「そうだよ」
魔剣士「元々魔適体質じゃなかったのに、なんでそうなったんだ?」
魔剣士「それに、どうして魔王を倒した後は魔適傾向下がったんだよ」
青い石「ええと……まあ、いつか話す機会があったらね」
魔剣士「…………?」
夜、またあの歌声が聞こえた。
魔剣士「ユキ!」
白緑の少女「エリウスさん」
彼女は木の枝に座っていた。
315 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:51:35.98 ID:sq/eI797o
俺も木を登り、彼女の隣に腰をかけた。
な、何話そうかな。あんまりガツガツアピールしても引かれるかもしれないし。
どうしよう。
色々話したいことはあったはずなのに、いざ顔を見ると頭が真っ白になった。
俺が緊張していると、彼女の方から口を開いた。
白緑の少女「私が歌っていたのは、草花を元気づける歌なのです」
白緑の少女「波長が少し特殊で、通常、人には聞こえません」
魔剣士「じゃあ、俺が聞くことができたのは……」
白緑の少女「あなたが、草花を想う優しい心の持ち主である証です」
魔剣士「俺が……優しい心を?」
白緑の少女「ええ」
そうなのかな……幼い頃から植物が好きではあったけど。
316 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:52:03.22 ID:sq/eI797o
白緑の少女「あなたは、その身を犠牲にしてまでこの世界の植物を救おうとしてくださっています」
白緑の少女「それなのに、あなたに無礼を働いている精霊がいることに……」
白緑の少女「一体どう謝罪したらいいのでしょう」
魔剣士「えっ、あ、いや……君は何も悪くないし」
やっぱり、犯されてるところまで全部知られてるんだろうな……。
この子にだけじゃない。世界中の精霊達に知れ渡っている可能性が極めて高い。
生きているのがつらくなってきた。このことを考えるのはよそう。
白緑の少女「……優しい波動の魔力」
肩に頭を預けられた。
い、意外と積極的だな……それとも男として全く意識されていないのだろうか。
そりゃそうだよな。今時、精霊が人間の男になんて……。
魔剣士「……歌、聴きたいな」
317 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:52:50.44 ID:sq/eI797o
魔剣士「め、迷惑だったら別にいいんだけど」
魔剣士「君の歌を聴いてると……心が安らぐんだ」
白緑の少女「ええ、喜んで」
全ての疲れを癒すそうな、優しい歌声だ。心に直接響いてきて、体に染み渡る。
歌の流れと共に、小さな白い花が周囲の草木に振りかかった。まるで雪の様だ。
……雪の花。そう呼ぼう。
風が吹き、雪の花は夜空へと舞い上がった。
白緑の少女「また、いずれ」
彼女は左手を俺の右頬に添え、浅緑の瞳を細めて柔らかく微笑むと、姿を消した。
名残惜しさに胸が痛む。
夢のような甘いひと時だった。
318 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:53:37.99 ID:sq/eI797o
翌日。
武闘家「すぴー……」
魔剣士「なあガウェイン、おまえ……よく平気そうに振る舞えるよな」
重斧士「ん?」
魔剣士「俺、好きな子のことが頭から離れなくてすげえつらい」
重斧士「俺もけっこう苦しんでるぞ」
魔剣士「あんま表に出さねえじゃん……尊敬するわ」
魔剣士「うああぁぁぁ……」
俺は布団を抱き締めて寝台の上を転がった。
心が痛むと体まで痛くなる。胸が軋む。
319 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:55:52.31 ID:sq/eI797o
町を出て森の近くを通りかかると、精霊に呼ばれた。
渋々カナリア達を置いて精霊に会いに行った。
魔剣士「もしオディウム教徒の奴等が近付いてきたら、あいつらを隠してやってくれねえか」
黄柏精霊「お安い御用よ。ただし……」
魔剣士「……俺の体、使わなきゃ駄目か」
黄柏精霊「ええ」
魔剣士「っおまえの前で自慰してやるよ。だから、触るのは……」
黄柏精霊「行為を行っている時から触った方が魔力を取りやすいもの」
仕方がないから脱いだ。ちくしょう。
ユキ以外とこんなことしたくねえのに。
320 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:56:50.33 ID:sq/eI797o
黄柏精霊「実はね、人間のえっちなお店を覗いて……ちょっと勉強してきちゃったの」
黄柏精霊「どうせなら楽しんだ方がいいじゃない?」
魔剣士「ちょっ、おい」
キハダの葉で全身を優しく愛撫された。
魔剣士「やめろ! くすぐったいだけだ!」
黄柏精霊「あら、ほんと?」
指で首筋をなぞられ、そして乳首をこねくり回された。
体から力が抜ける。俺は地面に腰を下ろしてしまった。
黄柏精霊「すごいんだよ。女の人が体中を優しく愛撫して、男の人、すごく気持ち良さそうだった」
魔剣士「あっ……やめっ……」
膝を撫でられるのやばい。ゾクゾクして動けなくなる。
321 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:57:18.57 ID:sq/eI797o
軽く竿を扱かれた。
黄柏精霊「本当にやめてほしいなら、おしべを硬くしたりしないよね?」
魔剣士「これは、そのっ……」
魔剣士「嫌でも反応しちまっ……くっ……」
実際、嫌なのに何で勃っちまうんだろうな。それが更に屈辱なんだ。
黄柏精霊「お尻の穴で、もっと気持ち良くしてあげるね」
魔剣士「は?」
周囲から蔓が忍び寄ってきた。
小腸までゴリゴリ犯されたことを思い出し、俺は恐怖を覚えた。
魔剣士「嫌だっ! やめろ!!」
魔剣士「前を扱くのは妥協してやる! だからそれは……」
黄柏精霊「気持ち良くなるだけだよ?」
魔剣士「ひっ」
俺はその場を逃げ出そうともがいたが、あっさりと捕らえられてしまった。
四つん這いの状態のまま動けない。
322 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:57:51.90 ID:sq/eI797o
葉による愛撫が続いた。
魔剣士「うっ……!」
黄柏精霊「ここ、気持ち良いの?」
尾骨の辺りを撫でられると、どうしようもなく熱が走った。
黄柏精霊「動物みたいね」
黄柏精霊「動物は、オスがメスのここを押して気持ち良くしてあげてるんだよ」
肩に力が入らなくなる。情けなく尻を突き上げる体勢になった。
黄柏精霊「射精せずに男の人が絶頂することをメスイキって言うんだったかな」
黄柏精霊「できたら楽しいかもね!」
楽しいのはおまえ等だけだろ。
黄柏精霊「挿れるよ」
魔剣士「嫌だ!! やめてくれ!!」
粘液で濡れた蔓が肛門を突き破って侵入してきた。
魔剣士「ちょっ、待って…………」
ろくに開発してねえ尻で感じるわけねえだろ……と思ったのだが、
魔剣士「っ……!?」
信じられないほどの快楽が突き抜けた。
323 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:58:29.61 ID:sq/eI797o
以前注入された媚薬の副作用だろうか。
成分そのものは抜けきっているはずなのだが……腹の組織そのものが変質してしまったのかもしれない。
犯されていた時は激しい快楽で頭がどうにかなりそうだったから、
副作用まで認識する余裕がなかった。
前立腺らしき箇所だけではなく、腸壁を押されるだけで周囲の神経が刺激されて快楽が走った。
黄柏精霊「すごいすごい! 感じてるんだね!」
抑えきれない喘ぎ声が漏れる。
切なくて切なくてたまらない。
何故俺が女のように犯されなければならんのだ。
……どうして、守ろうとしている対象からこんな辱めを受けなければならないんだ?
情けなくて涙が出てきた。……耐えろ。耐えろ。きっと永遠に続くわけじゃない。
ああ、もう、何回達したっけな。
射精してねえのに……してねえからこんなに気持ち良いのかな。
黄柏精霊「お兄さん、もうお顔もトロトロだね!」
黄柏精霊「体の中でイキまくって、すっかり女の子みたい」
324 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 18:59:45.52 ID:sq/eI797o
黄柏精霊「最後に、もっと面白いことしてみよっか」
精霊の少女が服をはぐると、彼女の股間には、大きなめしべ……ではなく、
人間の男根を模したモノがついていた。
黄柏精霊「お店でね、男の人にサービスしてた女の人が、」
黄柏精霊「こんな風に男の人を気持ち良くしてあげてたんだあ」
黄柏精霊「不思議だよね、やることが逆転しちゃってるの! 人間の発想ってすご〜い」
彼女はソレを俺に押し当てた。
今まで中に入っていた蔓よりもずっと太い。
魔剣士「やだ……こんな……い、やだ……」
さっきよりも僅かに奥の方を突かれる。
前立腺の奥って何があるんだっけ。精嚢だっけか。
また違った快楽に襲われた。
もう、俺は声を抑えることさえ諦めていた。早く終わってくれ。
親にこんなところ見られたら泣かれるだろうな。いやもう泣かれてたか。
325 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 19:00:13.76 ID:sq/eI797o
……あれ、俺、いつの間に射精してたんだろ。
萎えた愚息の先端から、力なく精液が垂れていた。
すかさず精霊達が俺の精液を吸いに来る。
すげえイカ臭いもんなのに、こいつらにとってはご馳走らしい。
黄柏精霊「ね、気持ち良かったでしょ?」
俺は力尽きるように横向きに倒れた。
魔力の消耗はそう激しくないが、体力を使い過ぎた。
体が重い。
魔剣士「…………」
どうにか起き上がり、服を着る。
ずっと無理な姿勢をとっていたせいで腰が痛い。
黄柏精霊「……どうしてそんなに悲しそうなの?」
魔剣士「……言ったじゃないか。嫌だって」
326 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 19:01:30.92 ID:sq/eI797o
黄柏精霊「え? でも……感じてたでしょ?」
黄柏精霊「動物は性的快楽を好む生き物だし、すっごく気持ち良さそうだったし……」
魔剣士「ああ、そうか、おまえら植物だもんな。俺の気持ちなんて量りようがねえよな」
なんで俺が苦しんでるのかなんて知るわけねえよな。
……普通の人間とも植物とも違う俺って、一体なんなんだろうな。
黄柏精霊「…………」
黄柏精霊「ごめん……なさい……」
背後から、小さくそう聞こえた。
327 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/07/20(水) 19:02:19.03 ID:sq/eI797o
ここまで
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/20(水) 21:16:14.82 ID:E+bdpvvHo
前作でも味わったけど心のすれ違いは読んでて切な苦しい乙です
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/07/21(木) 02:49:44.15 ID:GAQXd/XwO
乙
330 :
◆qj/KwVcV5s
[sage saga]:2016/07/22(金) 00:01:57.88 ID:tQtmzFIAo
訂正
>>332
黄柏精霊「動物みたいね」
黄柏精霊「動物は、オスがメスのここを押して気持ち良くしてあげてるんだよ」
↓
黄柏精霊「獣みたいね」
黄柏精霊「獣は、オスがメスのここを押して気持ち良くしてあげてるんだよ」
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/01(月) 06:47:58.67 ID:09RnrIzLO
続き待ってるよ
332 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:43:06.13 ID:MptHbmsLo
第十二株 古代の体
乱暴にしやがって……上手く歩けねえじゃねえか。
仲間の所へ戻ると、盗賊らしき連中が木々に体を貫かれていた。
カナリア達を隠してくれるだけでよかったのに……流血沙汰になってやがる。
武闘家「大丈夫?」
魔剣士「がっぽり吸われちまった。けっこうきつい」
魔力の大量消費以上に体力を奪われたことがつらい。
重斧士「しかし驚いたぞ。俺が斧を取るより先に木がひとりでに動いてよ、」
重斧士「一瞬でこいつらを倒しちまったんだ」
一応まだ生きているようだ。
魔剣士「なかなかグロいな……一応通報しとくか」
罪人はバッテリー用の魔力の供給源だ。
罪人の魔力はそのままでは穢れているため、浄化の処理を施してから利用されている。
武闘家「蔓が何か運んできてるみたいよ」
魔剣士「この辺で採れる果物や野草だな。……おまえらにやるよ」
これを食って体力を回復しろってことなんだろうが、食べる気にはなれなかった。
333 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:43:36.42 ID:MptHbmsLo
――――――――
――
不能になった。
勃たない。勃たないんだ。
性欲もあまり沸かない……というより、性的な感情に対して嫌悪を覚えるようになった。
俺はプライドが高いんだ。
相手に主導権を握られ、あられもない姿であんあん喘がされるというのはとんでもない屈辱なのである。
それに、魔力の供給のためとはいえ、
好きでもない奴と性的な行為をすることにはどうしても抵抗がある。
正直おぞましくてたまらない。
自覚している以上に精神に負担がかかっている。
今度ユキに会う時、俺は普通に振る舞えるだろうか。
犯され放題の俺なんかが、あの子に会う資格なんて……。
悲観的に考えるのはやめよう。悲劇のヒロインぶるのは嫌いなんだ。
俺は母さんとは違う。
334 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:44:22.73 ID:MptHbmsLo
大砂州近くの村。
道を行く人々の中には、俺を見ると股間を押さえて蹲る奴もいた。
皆壮年のおっさんだ。おそらく勇者ナハトのことを知っているのだろう。
この辺りの国で、勇者ナハトはかなりでかいテロ組織を潰している。
顔を見たことがある人間が多くてもおかしくはない。
勇者ナハトは、性犯罪者の股間を切り落とすだけではなく、
淫らな人間には不能になる呪いをかけまくってもいたらしい。
壮年の男「ひいっ!」
そんなに怯えんなよ。俺は不能にさせる側じゃないんだ。
335 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:45:47.90 ID:MptHbmsLo
老人「困ったのぅ……」
孫娘「司祭さんからも相手にしてもらえないもんね」
老人「仕方ないのじゃ、この頃教会の方々は忙しそうじゃからのう」
武闘家「何かあったのかしら」
魔剣士「他人のことに首突っ込むもんじゃねえぞ」
武闘家「ほっとけないわ。どうしたんですか?」
魔剣士「はあ、まったく……」
重斧士「俺はカナリアのそういうところが好きだ」
老人「実は、うちの敷地内から……夜な夜な女の子の泣き声が聞こえるのです」
孫娘「幽霊よ……絶対幽霊だわ! 昔ここで死んだ女の子よ!」
武闘家「まあ」
老人「一度声を追ってみたのですが、人影は一つも見つけられず……」
老人「怖いものですから、何度もそう探しに行く勇気も出ないのですじゃ」
武闘家「困りましたね。もしよければ、お手伝いさせてください」
336 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:46:53.12 ID:MptHbmsLo
青い石「幽霊……怖いよぉ」
魔剣士「おまえも幽霊だろ」
武闘家「あなた、植物の精霊とは意思の疎通ができるのよね?」
魔剣士「まあ一応」
武闘家「精霊なら幽霊がいるのを把握できるでしょうし」
武闘家「もし幽霊じゃなかったとしても、誰かが森にいるのなら探知できるでしょ?」
魔剣士「そりゃそうだが…………俺に頼ること前提かよ」
武闘家「お願い。協力して、ねっ!」
魔剣士「しゃーねえな」
老人「ありがたや……ご案内いたしましょう。こちらですじゃ」
孫娘「うちの裏の……あの山です」
老人「泣き声が聞こえる時間帯までもうしばらくございます」
老人「夕食をご用意しましょう」
337 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:47:48.20 ID:MptHbmsLo
少し暇ができた。
魔剣士「…………」
武闘家「何やってるの?」
魔剣士「自然破壊をしないようネットで注意喚起してる」
犯されたくない一心でだ。
武闘家「……難しいこと、いっぱい書いてるのね」
魔剣士「ただ呼びかけるだけじゃ駄目だからな」
魔剣士「精霊を怒らせない伐採量の目安や、」
魔剣士「伐採量を減らしたことにより発生する不利益への対策」
魔剣士「その他諸々をしっかり書いとかねえと何かとうるさいからな」
魔剣士「……書いても論争が巻き起こったりはするが、」
魔剣士「何もしねえよりはマシだろ、多分」
武闘家「……『英雄の子供』としてじゃなく、あくまで『あなた個人』としての社会への影響力、」
武闘家「すごく大きいのね。尊敬するわ」
魔剣士「親とは全く違う方向で成功してるからな」
338 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:49:06.57 ID:MptHbmsLo
魔剣士「そりゃ父さんの息子だからって理由で注目されることはあるが、」
魔剣士「一人の学者として評価されることのが圧倒的に多い」
青い石「それだけ薬学・植物学方面に突出してるんだよね」
青い石「正にエリウスは『天才と変態は紙一重』を体現してげふんげふんごめん」
魔剣士「父さんと同じ軍人志望のアルバは『英雄の息子』として見られることがどうしても多いみてえだけど、」
魔剣士「父さんの子供であることを心の底から誇りに思ってるみてえだから微塵も気にしてねえな」
魔剣士「それどころか、『父さんの百倍輝いて見せる』って息巻いてるくらいだ」
武闘家「…………」
武闘家「あたしだって、昔は……」
魔剣士「おまえ、魔導にも格闘にも自信ねえんだろ」
339 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:49:49.56 ID:MptHbmsLo
武闘家「そ、そうだけど」
魔剣士「今はまだ自分の好きなこと模索してればいいんだよ」
魔剣士「他に自分に合ったものが見つかるかもしれねえじゃん」
武闘家「…………」
魔剣士「ついでに言うと、親とは違う方面で実力を発揮するのも、同じような道を進むのも、」
魔剣士「ふっつーの一般人として生きるのもおまえの自由だ。無理に社会的成功を収める必要はない」
武闘家「…………」
魔剣士「英雄の子供のくせにヘボいとか言ってくる奴がいても無視すりゃいい」
魔剣士「英雄だって外面を剥げばただの人間なんだ」
魔剣士「だとしたら、その子供もただの人間だろ」
魔剣士「おまえ自身が親の地位に拘ってる限りはなんの進展もないだろうよ」
魔剣士「気楽に生きりゃいいんだ」
武闘家「……そう、よね。その通りだわ」
武闘家「エリウス、ありがとう」
340 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:50:15.60 ID:MptHbmsLo
武闘家「……そういえば、あなた春生まれよね?」
魔剣士「そうだけど」
武闘家「誕生日、いつ?」
魔剣士「先月終わったが」
武闘家「っどうして言ってくれなかったの? 祝えなかったじゃない!」
魔剣士「ええ……ほら、言う機会なかったし、」
魔剣士「自分から言い出したら祝ってもらいたがってるみたいで嫌だし」
武闘家「もう!」
重斧士「おい何喧嘩してんだよ。目が覚めちまったじゃねえか」
武闘家「あ……ごめん」
重斧士「おまえらも夕飯ができるまで仮眠とっとけ。今晩は夜更かしするんだからよ」
341 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:50:58.86 ID:MptHbmsLo
随分暗い夜だ。晴れてはいるが、月は弓の様に細い。
魔剣士「なあモル、おまえって自分以外の霊と干渉できないか」
青い石「ちょっとはできるけど……怖いから引っ込んでたい……」
魔剣士「あのなあ……」
うぅ……
うぁぁぁぁぁぁ……
武闘家「ねえ、今聞こえなかった?」
重斧士「微かに聞こえたな」
老人「恐ろしや……」
魔剣士「生きてる人間の声じゃあないな……この響きは」
重斧士「そういうのわかるのか?」
魔剣士「物理的な音と霊的な音は種類が違うんだよ」
タスケ
あ
あ
たすケて
342 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:53:18.42 ID:MptHbmsLo
茂っている植物から情報をもらった。
魔剣士「……あっちの方らしい」
青い石「やばいよこれ、依り代なしでこの世にしがみついてるから悪霊になりかけてる」
青い石「ちゃんとした依り代に住まないと存在が安定しなくなるんだよ」
武闘家「ほ、ほんとに霊だったのね……」
重斧士「怖いなら俺の胸に飛び込んできていいぞ」
武闘家「遠慮しとくわね」
ガサッ
孫娘「きゃっ!」
腕に抱きつかれた。
魔剣士「おっと、大丈夫か」
孫娘「は、はい」
物音の正体はただのタヌキだ。
武闘家「っ……」
老人「全く動じないとは……肝が据わっておられますのう」
孫娘「す、すごいです。その、一緒にいてくださると……安心できます」
魔剣士「ん、そっすか」
343 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:53:53.18 ID:MptHbmsLo
魔剣士「あそこにいるな。女の子が蹲ってる」
老人「わしには何も見えませぬ……霊感がおありのようで」
魔剣士「ない方だと思ってたんだけどな」
青い石「多分私と長く一緒にいる影響だと思う」
武闘家「うっすら死んで冷たくなった魔力の塊が見えるわ……」
重斧士「何も見えねえ」
幽霊少女「見つカら……いの……」
魔剣士「ちょっくら行ってくる」
武闘家「あ、あたしも行くわ」
魔剣士「精霊もそうなんだが、霊ってのはエネルギー体だから他人の思念に敏感なんだ」
魔剣士「あまり大勢では行かない方がいい」
武闘家「そう……」
344 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:54:20.80 ID:MptHbmsLo
魔剣士「おい、俺の声聞こえるか?」
幽霊少女「ダ……レ……?」
モルに頼らなくても会話ができそうだ。
魔剣士「ええと……旅のもんなんだが」
幽霊少女「わたシが……見エてるノ?」
魔剣士「ああ」
魔剣士「どうして夜な夜な泣いてるんだ? どんな未練があるんだ」
幽霊少女「探シモノ……」
幽霊少女「わたシ……大切なモノを失くシて、」
幽霊少女「探シてたら、この山で足を滑らせて、死ンじゃって……」
幽霊少女「宝石……パパとママからもらった大切なモノ……見つかラないノ」
魔剣士「どんな宝石なんだ」
幽霊少女「琥珀……綺麗な緑色ノ……」
魔剣士「そうか、わかった。明日、明るくなったら探してやるから」
魔剣士「また明日の夜な」
幽霊少女「! あリが……とウ……」
幽霊少女「皆わたシのこと怖がるノに……あなタみたイな人、初メて……」
345 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:55:58.84 ID:MptHbmsLo
翌日。
重斧士「こんな草木の生い茂った山中でどうやって探すんだよ」
魔剣士「まあ見てろって」
植物達に俺の魔力を与え、琥珀を探すよう頼んだ。
昼間の方が植物の活動が活発なため、夜明けを待ったのである。
生き物や意思を持った何かであれば夜間でも探せたのだが、今回は小さな石相手である。
活動が活発な時間帯でないと探すのは困難だった。
武闘家「植物達の生命力が上がってる……」
生命の結晶との融合前の俺の魔力ではできなかったことだ。
この様子なら、そう時間をかけずに終わるだろう。
魔剣士「……これか」
山の奥の方、草むらの中に落ちていた。柔らかい緑の輝きを放っている。
ペンダントトップになっているようだ。
青い石「天然のグリーンアンバーだ……とんでもなく珍しいよこれ」
俺はその石に手を伸ばした。
魔剣士「っ!」
346 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:56:25.68 ID:MptHbmsLo
――いつまでも待っています。あなたが再び生まれてくる日を――
――ああ。次は必ず、君と……――
――待って! まだ、もう少し……――
――…………、また、いつか――
武闘家「エリウス、エリウス!」
重斧士「おいしっかりしろ」
魔剣士「う……」
魔剣士「わり、なんか……白昼夢見てたみたいだ……」
今のは……石の記憶か?
いや、はっきりとはわからないが、違う気がする……。
347 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:57:55.15 ID:MptHbmsLo
――――――――
――
魔剣士「ほら、あったぞ。おまえの琥珀」
幽霊少女「!」
魔剣士「これで成仏できるか?」
幽霊少女「うん……ありがとウ、お兄さん」
幽霊少女「コの子……お兄さんに持っててほしいノ」
幽霊少女「アノ世にハ……持っテいけなイから」
幽霊少女「そレに……こノ子、お兄さんのトころに行きたがってるみたイだから」
魔剣士「……そうか」
幽霊少女「拾っテもらエて……よかっタ……」
女の子は光の粒になって天に昇っていった。
武闘家「エリウス、ありがとね」
魔剣士「ああ……」
俺は月明かりに照らされた琥珀に目を落とした。
俺はこの石のことを知っているような気がした。
この石に関する記憶なんてものは全くないのだが、どこか懐かしい感覚を覚えたのである。
348 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:59:16.74 ID:MptHbmsLo
大砂州を渡り、サントル中央列島の本島の森に入った。
データ収集が楽しくて仕方がない。
魔剣士「よし、そろそろ行くか……っ!?」
武闘家「どうしたの?」
魔剣士「ちょっと先に車に乗っててくれ。用事ができた」
少し離れたところの大木の陰に隠れた。
俺の体に二体の精霊が貼り付いていたのだ。俺の魔力に魅かれたらしい。
魔剣士「この大きさの双子の精霊は珍しいな……」
まだ人間でいう一歳程の幼女だが、
いずれはこの森を守る立派な人格持ちの精霊になるだろう。
魔剣士「離れろって」
幼青精霊「んー」
幼黄精霊「あうーまよくー」
魔剣士「おい……あーもう!」
幼いとはいえ怒らせたらどんな目に遭わされるかわかったもんじゃない。
強く拒絶することはできなかった。
349 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 18:59:46.24 ID:MptHbmsLo
魔剣士「くすぐってえって……」
上着を開けられ、両乳首を強く吸われた。
魔剣士「動物の真似事してんじゃねえぞ……男の胸吸って楽しいか?」
引っ張っても離れてくれやしなかった。
魔剣士「あのなあ、困ってるわけでもないならおまえらにやる魔力なんて……っ……」
魔剣士「あっ……やべえ…………」
気持ち良くなってきちまった。
こいつら意外とテクニシャンだぞ。巧みに舌を使ってきやがる。
魔剣士「うっ!」
幼黄精霊「きゃっきゃっ!」
幼青精霊「おいちかったぁ!」
俺の体が大きく震えた瞬間、幼女達は満足して駆けていった。
嘘だろ……俺、乳首だけでイッた? イかされた? しかも幼女相手に?
しばらく呆然として動くけなくなってしまった。
俺の体……一体どうなってんだよ。
350 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 19:01:09.62 ID:MptHbmsLo
――――――――
――
数週間、いくつかの村や町を転々とした。
武闘家「海、綺麗ねー。ちょっと見飽きてきちゃったけど」
魔剣士「しばらく内陸を旅するから見納めだな」
南には青い海が広がっている。
西の方角には、大きな木のシルエットがうっすらと聳え立っていた。
アクアマリーナの大樹だ。
武闘家「あたし、ルルディブルクに行くのすっごく楽しみなんだ」
重斧士「花の都だっけか?」
魔剣士「この調子だと、順調にいっても数週間後だな」
魔剣士「あ、なあ、この花すげえ可愛くないか?」
武闘家「確かに可愛いけど……あなたが他人に共感を求めようとするなんて珍しいわね」
魔剣士「あ……確かにな」
重斧士「なんつうか……雰囲気が女っぽいぞ」
魔剣士「冗談言うなよ」
武闘家「そろそろ宿に行きましょうか」
武闘家「っ!」
地面のタイルに躓いたカナリアを受け止めた。
武闘家「ご、ごめんなさい。ありがと」
武闘家「……あら?」
むにっ
351 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 19:01:36.52 ID:MptHbmsLo
武闘家「…………」
むにっ むにっ
魔剣士「んっ……おい……何揉んでんだよ」
武闘家「嘘でしょ……」
魔剣士「な、何がだ?」
むにっ
……むに?
武闘家「エリウスあなた……おっぱい出てるわよ」
魔剣士「…………」
魔剣士「…………!?!?!?!?」
服を着ていれば目立たない程度ではあるが、確かに膨らみかけていた。
言われるまで気がつかなかった。
魔剣士「何かの間違いだろおおぉぉおおお!?」
重斧士「落ち着け! たまにそういう奴いるからよ!!」
352 :
◆qj/KwVcV5s
[saga]:2016/08/02(火) 19:03:10.93 ID:MptHbmsLo
魔剣士「い、いるのか?」
重斧士「ネコやってる男がメス化することは珍しくなかったぞ」
重斧士「『男らしいのがよかったのに女っぽくなったから』という理由で別れるカップルが……」
重斧士「何組かいたくれえだ。俺が入ってる暴走族での話だが」
武闘家「ね、ネコ……?」
魔剣士「すごい世界だな」
そういや、性感を開発されたら女性化するって話を聞いたことがなくもないような……。
サントル中央列島に来てからも、何度か精霊から女のように犯されている。
ちくしょうめ。多分そのせいだろう。
武闘家「……肌も綺麗になったわね」
魔剣士「お、俺が美白なのは元からだろ」
武闘家「更にきめが細かくなってるわ。嫉妬しちゃうくらい」
武闘家「顔つきも……ちょっとだけだけど……」
重斧士「メス化するとそうなるんだぜ」
武闘家「……どうして女の子っぽくなっちゃったの?」
魔剣士「ホルモンバランスが崩れてんだよぉぉぉぉぉ!!!!!」
魔剣士「うわあああああああ!!」
645.77 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報R
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)